(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】医用放射線検出器及び医用情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20230724BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20230724BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20230724BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20230724BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G01T1/161 C
G01T1/20 G
G01T1/24
G01T1/20 F
G01T7/00 B
A61B6/03 320Q
A61B6/03 377
A61B6/03 350K
(21)【出願番号】P 2019108123
(22)【出願日】2019-06-10
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2018119765
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】勅使川原 学
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207482(JP,A)
【文献】特表2001-508171(JP,A)
【文献】特表2017-537471(JP,A)
【文献】特開2016-010649(JP,A)
【文献】特表2017-527782(JP,A)
【文献】特表2018-506021(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14 、
G01T 1/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの出力信号に基づき、前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検体を撮像するための放射線が入射された前記複数のセンサから出力信号を取得する取得部と、
前記取得した出力信号と前記学習済みモデルとに基づいて、前記取得した出力信号に対応する前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する処理部と
を備え
、
前記入射された放射線は、前記複数のセンサの個数以上の個数のチャネルのうちの前記入射チャネルに入射した入射放射線と、前記入射放射線がコンプトン散乱により前記入射チャネルとは異なるチャネルに到達してなる散乱放射線とを含んでおり、
前記複数のセンサは、前記入射放射線と前記散乱放射線との各々に応じて個別に出力信号を出力し、
前記取得部は、前記複数のセンサから出力信号を取得したタイミングに関する時間情報と当該出力信号の波高値とを含む信号を、前記取得した出力信号として前記処理部に送出し、
前記入射チャネルに関する情報は、前記送出された出力信号のうちの遅い時間情報をもつ出力信号のチャネルを入射チャネルとして同定する情報と、前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値とを含んでおり、
前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値は、前記入射放射線に応じた出力信号の波高値と前記散乱放射線に応じた出力信号の波高値との総和である、医用放射線検出器。
【請求項2】
前記複数のセンサは、前記放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータと、前記蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサとを備え、
前記入射チャネルに関する情報は、前記複数のセンサのうちの前記放射線が入射したシンチレータを入射チャネルとして同定する情報を含んでいる、請求項1に記載の医用放射線検出器。
【請求項3】
前記複数のセンサは、前記放射線に応じて出力信号を出力する複数の半導体素子であり、
前記入射チャネルに関する情報は、前記複数の半導体素子のうちの前記放射線が入射した半導体素子を入射チャネルとして同定する情報を含んでいる、請求項1に記載の医用放射線検出器。
【請求項4】
入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの出力信号に基づき、前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた複数の学習済みモデルであって、前記出力信号の計数率が閾値未満の場合に対応する第1の学習済みモデルと、前記出力信号の計数率が前記閾値以上の場合に対応する第2の学習済みモデルとを含む前記複数の学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検体を撮像するための放射線が入射された前記複数のセンサから出力信号を取得する取得部と、
前記取得した出力信号の計数率を取得する計数率取得部と、
前記取得した計数率と前記閾値とに基づいて、前記第1の学習済みモデル又は前記第2の学習済みモデルを選択する選択部と、
前記取得した出力信号と、前記選択し
た学習済みモデルとに基づいて、前記取得した出力信号に対応する前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する処理部と
を備え
、
前記複数のセンサは、前記放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータであって前記複数のセンサの個数以上の個数の前記シンチレータと、前記蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサであって前記複数のセンサの個数と同数の前記光センサとを備え、
前記入射された放射線は、前記複数のシンチレータの各々である各チャネルのうちの前記入射チャネルに入射した入射放射線と、前記入射放射線がコンプトン散乱により前記入射チャネルとは異なるチャネルに到達してなる散乱放射線とを含んでおり、
前記複数のセンサは、前記入射放射線に応じてシンチレータで発生した第1蛍光の光量に応じた出力信号と、前記散乱放射線に応じてシンチレータで発生した第2蛍光の光量に応じた出力信号とを出力し、
前記入射チャネルに関する情報は、前記複数のシンチレータのうちの前記第1蛍光を発生したシンチレータを入射チャネルとして同定する情報と、前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値とを含んでおり、
前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値は、前記入射放射線に応じた出力信号の波高値と前記散乱放射線に応じた出力信号の波高値との総和である、医用放射線検出器。
【請求項5】
前記閾値は、前記複数のセンサが前記入射した放射線を蛍光に変換したときの前記蛍光の減衰時間に対応する計数率である、請求項
4に記載の医用放射線検出器。
【請求項6】
前記閾値は、前記複数のセンサの各々が前記入射した放射線に基づく出力信号を生成する処理のために他の入射した放射線を処理できないデッドタイムに対応する計数率である、請求項
4に記載の医用放射線検出器。
【請求項7】
入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの出力信号に基づき、前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検体を撮像するための放射線が入射された前記複数のセンサから出力信号を取得する取得部と、
前記取得した出力信号と前記学習済みモデルとに基づいて、前記取得した出力信号に対応する前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する処理部と
を備え
、
前記複数のセンサは、前記放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータであって前記複数のセンサの個数以上の個数の前記シンチレータと、前記蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサであって前記複数のセンサの個数と同数の前記光センサとを備え、
前記入射された放射線は、前記複数のシンチレータの各々である各チャネルのうちの前記入射チャネルに入射した入射放射線と、前記入射放射線がコンプトン散乱により前記入射チャネルとは異なるチャネルに到達してなる散乱放射線とを含んでおり、
前記複数のセンサは、前記入射放射線に応じてシンチレータで発生した第1蛍光の光量に応じた出力信号と、前記散乱放射線に応じてシンチレータで発生した第2蛍光の光量に応じた出力信号とを出力し、
前記入射チャネルに関する情報は、前記複数のシンチレータのうちの前記第1蛍光を発生したシンチレータを入射チャネルとして同定する情報と、前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値とを含んでおり、
前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値は、前記入射放射線に応じた出力信号の波高値と前記散乱放射線に応じた出力信号の波高値との総和である、医用情報処理装置。
【請求項8】
入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサの前方に配置され、前記放射線が入射する入射チャネルを、前記複数のセンサのうちの1つのセンサに制限するためのコリメータと、
前記入射チャネルに関する情報と、前記コリメータの開口を介して前記入射チャネルに入射した放射線に基づく前記出力信号とを取得する取得部と、
前記取得した出力信号と、前記入射チャネルに関する情報とを、前記取得した出力信号を受け付けて前記出力信号に対応する入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルとなる機械学習モデルに使用するための学習用データとして出力する出力部と
を備え
、
前記複数のセンサは、前記放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータであって前記複数のセンサの個数以上の個数の前記シンチレータと、前記蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサであって前記複数のセンサの個数と同数の前記光センサとを備え、
前記入射された放射線は、前記複数のシンチレータの各々である各チャネルのうちの前記入射チャネルに入射した入射放射線と、前記入射放射線がコンプトン散乱により前記入射チャネルとは異なるチャネルに到達してなる散乱放射線とを含んでおり、
前記複数のセンサは、前記入射放射線に応じてシンチレータで発生した第1蛍光の光量に応じた出力信号と、前記散乱放射線に応じてシンチレータで発生した第2蛍光の光量に応じた出力信号とを出力し、
前記入射チャネルに関する情報は、前記複数のシンチレータのうちの前記第1蛍光を発生したシンチレータを入射チャネルとして同定する情報と、前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値とを含んでおり、
前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値は、前記入射放射線に応じた出力信号の波高値と前記散乱放射線に応じた出力信号の波高値との総和である、医用情報処理装置。
【請求項9】
入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの出力信号に基づき、前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する学習済みモデルと、
被検体を撮像するための放射線が入射された前記複数のセンサから出力信号を取得する取得部と、
前記取得した出力信号と前記学習済みモデルとに基づいて、前記取得した出力信号に対応する前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する処理部と
を備え
、
前記複数のセンサは、前記放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータであって前記複数のセンサの個数以上の個数の前記シンチレータと、前記蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサであって前記複数のセンサの個数と同数の前記光センサとを備え、
前記入射された放射線は、前記複数のシンチレータの各々である各チャネルのうちの前記入射チャネルに入射した入射放射線と、前記入射放射線がコンプトン散乱により前記入射チャネルとは異なるチャネルに到達してなる散乱放射線とを含んでおり、
前記複数のセンサは、前記入射放射線に応じてシンチレータで発生した第1蛍光の光量に応じた出力信号と、前記散乱放射線に応じてシンチレータで発生した第2蛍光の光量に応じた出力信号とを出力し、
前記入射チャネルに関する情報は、前記複数のシンチレータのうちの前記第1蛍光を発生したシンチレータを入射チャネルとして同定する情報と、前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値とを含んでおり、
前記同定した入射チャネルに対応する出力信号の波高値は、前記入射放射線に応じた出力信号の波高値と前記散乱放射線に応じた出力信号の波高値との総和である、医用放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用放射線検出器及び医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission CT)装置、及び光子計数型のX線CT装置などの医用情報処理装置では、入射した放射線に応じた複数の出力信号に基づいて入射チャネルを同定する。具体的には例えば、間接変換型の放射線検出器の場合には、断面4mm角で長さ20mm程度のサイズの複数のシンチレータに反射材などを挟んでシンチレータアレイを作成し、シンチレータアレイの後段にライトガイドを介して光学結合した複数の光センサを設けている。これにより、入射したガンマ線をシンチレータにより蛍光に変換し、この蛍光を複数の光センサの各々が検出して出力信号を出力し、各々の出力信号から重心計算を行い、重心計算の結果から蛍光シンチレータを同定する。さらに、同定された蛍光シンチレータをガンマ線の入射チャネルとして同定する。なお、シンチレータと光センサとの光学結合は1対1結合の場合や多対多結合の場合がある。直接変換型の放射線検出器の場合も同様に、入射した放射線を複数の半導体検出素子の各々が検出して出力信号を出力し、各々の出力信号から重心計算を行い、重心計算の結果から放射線を検出した半導体検出素子を同定する。また、同定された半導体検出素子を入射チャネルとして同定する。
【0003】
しかしながら、以上のような医用情報処理装置では、放射線検出器に入射した放射線がシンチレータ中や半導体中のコンプトン散乱により入射チャネルとは異なるチャネルに到達し、散乱先のチャネルに関する高い出力信号が高頻度に出力される。これに伴い、重心演算の結果が散乱先のチャネルに関する高い出力信号に影響されてしまい、入射チャネルの同定精度が低下してしまう。このように、医用情報処理装置は、入射した放射線の散乱に伴う入射チャネルの同定精度が低下する点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2010/0044571号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、入射した放射線の散乱に伴う入射チャネルの同定精度の低下を阻止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用放射線検出器は、複数のセンサと、記憶部と、取得部と、処理部とを備えている。
前記複数のセンサは、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する。
前記記憶部は、前記複数のセンサからの出力信号に基づき、前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルを記憶する。
前記取得部は、被検体を撮像するための放射線が入射された前記複数のセンサから出力信号を取得する。
前記処理部は、前記取得した出力信号と前記学習済みモデルとに基づいて、前記取得した出力信号に対応する前記放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成を示す模式図である。
【
図2A】
図2Aは、第1の実施形態に係るガンマ線検出器の構成を示す模式図である。
【
図2B】
図2Bは、第1の実施形態に係るガンマ線検出器の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図2A及び
図2Bに示す複数のシンチレータ及び複数の光センサを入射面から見た場合の模式図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る多層化ネットワークの典型的な構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るガンマ線検出器の処理回路の他の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るX線検出器の構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るX線検出器の処理回路の他の構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置に用いられる機械学習モデル及び学習済みモデルを説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置の他の構成例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第3の実施形態に係るガンマ線検出器の構成を示す模式図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係るX線検出器の構成を示す模式図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係わる医用情報処理装置及び医用放射線検出器を説明する。
【0009】
各実施形態に係る医用情報処理装置は、少なくとも医用放射線検出器を用いた撮像機構を有する。医用放射線検出器としては、直接変換型及び間接変換型のいずれでもよく、また、積分型及び光子計数型のいずれでもよい。このような医用情報処理装置としては、例えば、PET撮像機能のみを有するPET装置、CT撮像機構のみを有するCT装置、PET撮像機構とCT撮像機構とを有するPET/CT装置、PET撮像機構とMR(Magnetic Resonance)撮像機構とを有するPET/MR装置等が挙げられる。また、本実施形態に係る医用情報処理装置は、少なくともSPECT(Single Photon Emission CT)撮像を行う撮像機構を有してもよい。このような医用情報処理装置としては、例えば、SPECT撮像機能のみを有するSPECT装置、SPECT撮像機構とCT撮像機構とを有するSPECT/CT装置、SPECT撮像機構とMR撮像機構とを有するPET/MR装置等が挙げられる。各実施形態に係る医用情報処理装置は、これらの如何なる型の装置にも適用可能であるが、以下の説明を具体的に行うため、PET/CT装置であるとする。詳しくは、以下の説明は、医用放射線検出器が直接変換型及び間接変換型のいずれでもよいことと、放射線がガンマ線及びX線のいずれでもよいこととを具体的に述べるため、PET/CT装置を例に挙げている。すなわち、医用情報処理装置としては、PET/CT装置のように2つの撮像機構を有する装置に限定されず、PET装置、CT装置又はSPECT装置のように、1つの撮像機構を有する装置としてもよい。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置(PET/CT装置1)の構成を示す模式図であり、
図2A乃至
図8は、第1の実施形態に係る医用放射線検出器(ガンマ線検出器17/X線検出器32)の構成を説明するための模式図である。
図1に示すように、PET/CT装置1は、PETガントリ10、CTガントリ30、寝台50及びコンソール装置70を有する。典型的には、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50は、共通の検査室に設置され、コンソール装置70は、検査室に隣接する制御室に設置される。PETガントリ10は、被検体PをPET撮像する撮像装置である。CTガントリ30は、被検体PをX線CT撮像する撮像装置である。寝台50は、撮像対象の被検体Pを載置する天板53を移動自在に支持する。コンソール装置70は、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50を制御するコンピュータである。
【0011】
図1に示すように、PETガントリ10は、検出器リング11、信号処理回路13及び同時計数回路15を有する。
【0012】
検出器リング11は、中心軸Z回りの円周上に配列された複数のガンマ線検出器17を有する。検出器リング11の開口部には、画像視野(FOV:Field Of View)が設定される。画像視野に被検体Pの撮像部位が含まれるように被検体Pが位置決めされる。被検体Pには陽電子放出核種により標識された薬剤が投与される。陽電子放出核種から放出された陽電子は周囲の電子と対消滅し、一対の対消滅ガンマ線が発生される。
【0013】
ガンマ線検出器17は、被検体Pの体内から放出された対消滅ガンマ線を検出し、検出された対消滅ガンマ線の光量に応じた電気信号を生成する。各々のガンマ線検出器17は、例えば
図2A及び
図2Bに模式的に示すように、複数のセンサ170と、取得部174と、メモリ175と、処理回路176とを備えた医用放射線検出器である。なお、
図2Bは、
図2Aにおける各センサ170からの各々の出力信号の出力タイミングの差分Δtを誇張して表している。複数のセンサ170は、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する。このような複数のセンサ170は、例えば、放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータ171と、蛍光を透過させるライトガイド172と、透過した蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサ173とを備えている。センサ170の個数は、光センサ173の個数と同じである。センサ170の個数は、シンチレータ171の個数より少ないが、シンチレータ171の個数と同じとしてもよい。なお、
図3は、
図2A及び
図2Bに示す複数のシンチレータ171及び複数の光センサ173を入射面から見た場合の概略図である。各々のシンチレータ171の断面は、例えば4mm×4mmである。各々のシンチレータ171の長さ(奥行き)は、例えば20mmである。なお、シンチレータ171の長さは、長い方がガンマ線を捕捉する確率が高まることになり、典型的には10~30mmの範囲にある。各々のシンチレータ171は互いに反射材を挟んで配列されている。なお、ガンマ線を検出する複数のセンサ170として直接変換型の半導体素子を用いてもよいが、X線とは異なり、511keVのガンマ線は透過力が高いことから、半導体素子の長さが長いほうが望ましい。
【0014】
シンチレータ171は、被検体P内の放射性同位元素に由来する対消滅ガンマ線を受けて蛍光(シンチレーション光sc1)を発生する。このとき、対消滅ガンマ線は、コンプトン散乱cmpにより、入射チャネルとは異なるチャネルに到達し、さらに、蛍光(シンチレーション光sc2)を発生する場合がある。いずれにしても蛍光は、ライトガイド172を介して光センサ173に到達する。詳しくは、
図2Bに示すように、入射チャネルで発生したシンチレーション光sc1は、コンプトン散乱cmpにより到達したチャネル(以下、到達チャネルともいう)で発生したシンチレーション光sc2よりも、遅いタイミングで光センサ173に到達する。これは、シンチレーション光sc1が入射チャネル内を進む距離が、シンチレーション光sc2が到達チャネル内を進む距離よりも、長いためである。
【0015】
光センサ173は、光の光量に応じた電気信号である出力信号を発生及び出力する。光センサ173としては、例えば、光電子増倍管が用いられる。なお、前述した通り、入射チャネルのシンチレーション光sc1は、到達チャネルのシンチレーション光sc2よりも遅いタイミングで光センサ173に到達する。言い換えると、到達チャネルのシンチレーション光sc2は、入射チャネルのシンチレーション光sc1よりも早いタイミングで光センサ173に到達する。これに伴い、光センサ173は、到達チャネルのシンチレーション光sc2に応じた出力信号を出力し(時刻t1)、微小時間Δtの後、入射チャネルのシンチレーション光sc1に応じた出力信号を出力する(時刻t2)。
【0016】
取得部174は、被検体Pを撮像するための放射線が入射された複数のセンサ170から出力信号を取得する回路である。取得部174は、例えば、A/D変換回路を有していてもよい。この場合、取得部174は、取得した出力信号をA/D変換によりデジタルの出力信号として処理回路176に送出する。また、取得部174は、複数のセンサ170から出力信号を取得したタイミングに関する時間情報を、デジタルの出力信号に含めてもよい。補足すると、デジタルの出力信号は、センサ170から取得した出力信号の波高値の他に、時間情報を含んでもよい。この場合、取得部174は、複数のセンサ170から出力信号を取得したタイミングに関する時間情報と当該出力信号の波高値とを含む信号を、取得した出力信号として処理回路176に送出する。また、デジタルの出力信号は、波高値と時間情報とを連結した信号としてもよい。時間情報は、取得した時刻を示す値でもよく、取得した順序を示す値でもよく、最初に取得した出力信号からの時間差を示す値でもよい。このような取得部174は、光センサ173に一体的に設けられてもよい。この場合、光センサ173は、デジタルの出力信号を処理回路176に出力する。
【0017】
メモリ175(記憶部)は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ175は、例えば、学習済みモデル175a等を記憶する。メモリ175は、ガンマ線検出器17の工場出荷前に予め学習済みモデル175aを記憶してもよく、あるいはガンマ線検出器17の工場出荷後に、図示しないサーバ装置などから取得した学習済みモデル175aを記憶してもよい。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0018】
学習済みモデル175aは、学習データに基づいて、モデル学習プログラムに従い機械学習モデルに機械学習を行わせることにより、得られた学習済みの機械学習モデルである。ここで、本実施形態の学習済みモデル175aは、複数のセンサ170からの出力信号に基づき、放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられている。この場合、学習用データは、複数のセンサ170からの出力信号である入力データと、入射チャネルに関する情報である出力データとを含んでいる。機械学習モデルは、出力信号(を表すデジタル情報)を入力として入射チャネルに関する情報を出力する、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る機械学習モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であっても良いが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる学習済みモデル175aは、被検体Pを撮像するための放射線を検出して得られる出力信号を入力する入力層と、当該出力信号に対応した入射チャネルに関する情報を出力する出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層とを有する。なお、入力層は、出力信号及び付帯情報を入力してもよく、入射チャネルに関する情報は、当該出力信号及び付帯情報に対応した情報としてもよい。当該学習済みモデル175aは、人工知能ソフトウエアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0019】
本実施形態に係る多層化ネットワークの典型的な構成について、以下説明する。ここで、多層化ネットワークとは、層状に並べた隣接層間のみ結合した構造を持ち、情報が入力層側から出力層側に一方向に伝播するネットワークである。本実施形態に係る多層化ネットワークは、
図4に示す様に、入力層(l=1)、中間層(l=2,3,・・・,L-1)、出力層(l=L)のL個の層から構成されるものとする。なお、以下は例を説明するものであって、多層化ネットワークの構成は以下の説明に限定されない。
【0020】
第l層でのユニット数をI個とし、第l層への入力u(l)を式(1-1)、第l層からの出力z(l)を式(l-2)の様にそれぞれ表記すると、第l層への入力と第l層からの出力との関係は、式(1-3)によって表すことができる。
【0021】
【0022】
ここで、右上の添字(l)は層の番号を示す。また、式(1-3)におけるf(u)は、活性化関数であり、ロジスティックシグモイド関数(ロジスティック関数)、双曲線正接関数、正規化線形関数(ReLU)、線形写像、恒等写像、マックスアウト関数等、目的に応じて種々の関数を選択することができる。「ReLU」は、「Rectified Liner Unit」の略語である。
【0023】
第l+1層でのユニット数をJ個とし、第l層と第l+1層との間の重み付行列W(l+1)を式(2-1)、第l+1層におけるバイアスb(l+1)を式(2-2)の様にそれぞれ表記したとする。このとき、第l+1層への入力u(l+1)、第l+1層からの出力z(l+1)は、それぞれ式(2-3)、式(2-4)によって表すことができる。
【0024】
【0025】
本実施形態に係る多層化ネットワークにおいて、入力層(l=1)には、式(3-1)で表現される出力信号が入力される。また、当該入力層においては、入力データxがそのまま出力データz(1)となるため、式(3-2)の関係が成立する。
【0026】
【0027】
ここで、入力層に入力される出力信号を「入力データx」と呼ぶことにすれば、入力データxについては、以下の(1)又は(2)等のように、種々の形式を用いることができる。(1)入力データxを一個の画像データとし、各成分xp(p=1,2,・・・,N)を当該一個の画像データを構成する光センサ173の位置毎の値(ピクセル値或いはボクセル値)として規定する形式。(2)入力データxを、畳み込み処理が施された画像データとして、(1)を採用する形式。
【0028】
入力層に続く中間層(l=2,3,・・・,L-1)層においては、式(2-3)、式(2-4)に従う計算を順次実行することで、各層の出力z(2),・・・z(L-1)を計算することができる。
【0029】
出力層(第L層)の出力z(L)を以下の式(4-1)の様に表記する。本実施形態に係る多層化ネットワークは、入力層に入力された画像データxが、入力層側から出力層側に向かって隣接層間でのみ結合しながら伝播する順伝播型ネットワークである。この様な順伝播型ネットワークは、式(4-2)の様な合成関数として表現することができる。
【0030】
【0031】
式(4-2)に示す合成関数は、式(2-3)、式(2-4)より、重み付行列W(l+1)を用いた各層間の線形関係、各層における活性化関数f(u(l+1))を用いた非線形関係(又は線形関係)、バイアスb(l+1)の組み合わせとして定義される。特に、重み付行列W(l+1)、バイアスb(l+1)はネットワークのパラメータpと呼ばれる。式(4-2)によって定義される合成関数は、パラメータpをどのように選ぶかで、関数としての形を変える。従って、本実施形態に係る多層化ネットワークは、式(4-2)を構成するパラメータpを適切に選ぶことで、出力層が好ましい結果yを出力することができる関数として、定義することができる。
【0032】
パラメータpを適切に選ぶためには、学習データと誤差関数を用いた学習を実行する。ここで、学習データとは、入力xnに対する望ましい出力(正解出力)をdnとすると、式(5-1)のように表現される学習サンプル(xn,dn)の集合D(n=1,・・・,S)である。
【0033】
【0034】
また、誤差関数とは、xnを入力した多層化ネットワークからの出力と学習データdnとの近さを表す関数である。誤差関数の代表例としては、二乗誤差関数、最尤度推定関数、交差エントロピー関数等を挙げることができる。どのような関数を誤差関数に選択するかは、多層化ネットワークが取り扱う問題(例えば、回帰問題、二値問題、多クラス分類問題等)に依存する。
【0035】
誤差関数をE(p)と表記し、一つの学習サンプル(xn,dn)のみを使用して計算される誤差関数をEn(p)と表記する。現在のパラメータp(t)は、勾配降下法に従う場合には誤差関数E(p)の勾配ベクトルを用いた式(6-1)、確率的勾配降下法に従う場合には誤差関数En(p)の勾配ベクトルを用いた式(6-3)によって、新たなパラメータp(t+1)に更新される。
【0036】
【0037】
ここで、εはパラメータpの更新量の大きさを定める学習係数である。
【0038】
式(6-1)又は式(6-3)に従って、現在のpを負の勾配方向に少し動かし、これを逐次繰り返すことで、誤差関数E(p)を極小にするパラメータpを決定することができる。
【0039】
なお、式(6-1)又は式(6-3)を計算するためには、式(6-2)で示されるE(p)の勾配ベクトル、又は式(6-4)で示されるEn(p)の勾配ベクトルを計算する必要がある。誤差関数が二乗誤差関数である場合を例とすれば、式(7-1)に示される誤差関数について、各層の重み係数と各ユニットのバイアスとで微分する必要がある。
【0040】
【0041】
一方、最終出力yが式(4-2)で表される合成関数であることから、E(p)又はEn(p)の勾配ベクトルの計算は複雑であり、その計算量も膨大なものとなる。
【0042】
この様な勾配計算における不具合は、誤差逆伝播法によって解決することができる。例えば、第l-1層の第iユニットと第l層の第jユニットとを繋ぐ重みwji
(l)についての誤差関数の微分は、以下の式(8-1)の様に表すことができる。
【0043】
【0044】
l層の第jユニットへの入力uj
(l)がEnに与える変化量は、当該第jユニットからの出力zj
(l)を通じて第l+1層の各ユニットkへの各入力uk
(l+1)を変化させることのみを介して生じるものである。このことから、式(8-1)の右辺第1項は、微分の連鎖則を用いて、次の式(9-1)の様に表すことができる。
【0045】
【0046】
ここで、式(9-1)の左辺をδj
(l)とおくと、式(10-1)、式(10-2)の関係を使って、式(9-1)は式(10-3)の様に書き直すことができる。
【0047】
【0048】
式(10-3)より、左辺のδj
(l)は、δk
(l+1)(k=1,2,・・・・)から計算できることがわかる。すなわち、一つ上位の出力層側に存在する第l+1層の第kユニットに関するδk
(l+1)が与えられれば、第l層についてのδj
(l)を計算することができる。さらに、第l+1層の第kユニットに関するδk
(l+1)についても、その一つ上位の出力層側に存在する第l+2層の第kユニットに関するδk
(l+2)が与えられれば、計算することができる。このことを逐次繰り返して最上位層である出力層まで辿ることができる。
【0049】
最初に第L層である出力層の第kユニットに関するδk
(L)が取得されていれば、式(10-3)を用いて下位側(すなわち入力層側)に向かって逐次計算を繰り返すことにより(逆伝播)、任意層におけるδk
(l+1)を計算することができる。
【0050】
一方、式(8-1)の右辺第2項については、式(2-3)を第l層について成分で表現した式(11-1)を用いて、式(11-2)の様に計算することができる。
【0051】
【0052】
従って、第l-1層の第iユニットと第l層の第jユニットとを繋ぐ重みwji
(l)についての誤差関数の微分は、式(8-1)、式(10-3)によるδj
(l)、式(11-2)を用いて、以下の式(12-1)の様に表現することができる。
【0053】
【0054】
式(12-1)から、第l-1層の第iユニットと第l層の第jユニットとを繋ぐ重みwji
(l)についての誤差関数の微分は、第jユニットに関するδj
(l)と、第iユニットからの出力であるzi
(l-1)との積で与えらえることがわかる。なお、δj
(l)についての計算は、上述した様に、式(10-3)を用いて逆伝播により求めることができ、また、逆伝播の最初の値、すなわち、第L層である出力層に関するδj
(L)は、以下の式(13-1)の様に計算することができる。
【0055】
【0056】
以上の手順により、本実施形態に係る多層化ネットワークについて、ある学習サンプル(xn,dn)を用いた学習を実現することができる。なお、複数の学習サンプルに対する誤差の総和E=ΣnEnに関する勾配ベクトルについては、上述した手順を学習サンプル(xn,dn)毎に並列的に繰り返し、以下の式(14-1)に示す和を計算することで、取得することができる。
【0057】
【0058】
以上が本実施形態に係る多層化ネットワークに関する説明である。また、本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)を用いている。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を用いてもよい。以上の当該多層化ネットワークに関する説明は、以下の全ての機械学習モデル及び学習済みモデルにも該当する。続いて、処理回路176の各機能について述べる。
【0059】
処理回路176(処理部)は、取得部174が取得した出力信号と、メモリ175内の学習済みモデル175aとに基づいて、当該取得した出力信号に対応する当該放射線が入射した入射チャネルに関する情報ciを出力する。例えば、処理回路176は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路176は、メモリに展開された各プログラムを実行するプロセッサにより、学習済みモデル175aなどを実行する。例えば、処理回路176は、メモリ175に記憶された学習済みモデル175aからの指令に従って、当該入力層に入力された出力信号に対し、学習済みのパラメータに基づく演算を行い、当該出力層から入射チャネルに関する情報ciを出力するように動作する。
図2A及び
図2B中、処理回路176は、5個の入力層(図示せず)に入力された5個の出力信号{0,vl1,vl,0,0}に対し、10個の出力層(図示せず)からの10個の値{0,0,0,0,vl,0,0,0,0,0}を含む情報ciを出力するように動作している。なお、入力された5個の出力信号{0,vl1,vl,0,0}は、それぞれ波高値を含んでもよく、それぞれ波高値及び時間情報の両者を含んでもよい。入力された出力信号が波高値及び時間情報の両者を含む場合の方が、出力される情報ciの精度の向上を期待できる。例えば、複数の出力信号の波高値が近い場合でも、遅い時間情報をもつ出力信号のチャネルを入射チャネルとして同定できるためである。また、ここでいう「5個」及び「10個」は、理解を容易にするための数値であり、実際の値ではない。
図2A及び
図2Bに示すように、各々のシンチレータ171と、各々の光センサ173とが多対1で光学結合する場合、基本的には(付帯情報の入出力がなければ)、入力層の個数が光センサ173の個数と同数であり、出力層の個数がシンチレータ171の個数と同数となる。入射チャネルに関する情報ciは、複数のシンチレータ171のうちの放射線が入射したシンチレータ171を入射チャネルとして同定する情報と、同定したシンチレータ171に対応する出力信号の波高値vlとを含んでいる。
図2A及び
図2B中、放射線が入射したシンチレータ171は、第1のシンチレーション光sc1が発生したシンチレータ171である。コンプトン散乱cmpの後、散乱先のシンチレータ171では、第2のシンチレーション光sc2が発生している。ここで、
図2A及び
図2B中の10行のシンチレータ171と、処理回路176から出力された情報ci内の10行の値とが対応している。すなわち、
図2A及び
図2B中、情報ciは、上から5行目の入射チャネルであるシンチレータ171に対応して、上から5行目の値が“vl”であり、上から1~4行目及び6~10行目の値が“0”である。なお、エネルギーを回復させる場合、出力値のvlを、入力値のvl,vl1の総和としてもよい。また、情報ciは、複数のシンチレータ171のうちの放射線が入射したシンチレータ171を入射チャネルとして同定する情報を含めばよいので、必ずしも出力信号の波高値vlを含まなくてもよい。この場合、情報ciは、例えば、5個の入力層(図示せず)に入力された5個の出力信号{0,vl1,vl,0,0}に対し、10個の出力層(図示せず)からの10個の値{0,0,0,0,1,0,0,0,0,0}を含めばよく、出力信号の波高値vlは、別途、出力すればよい。
【0060】
なお、処理回路176の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスには、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等がある。「ASIC」は、Application Specific Integrated Circuit」の略語である。「SPLD」は、「Simple Programmable Logic Device」の略語である。「CPLD」は、「Complex Programmable Logic Device」の略語である。「FPGA」は、「Field Programmable Gate Array」の略語である。この種のプロセッサはメモリ175に保存されたプログラム(学習済みモデル175a)を読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ175にプログラム(学習済みモデル175a)を保存する代わりに、
図5に示すように、プロセッサの回路内にプログラム(学習済みモデル176a)を直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラム(学習済みモデル176a)を読み出し実行することで機能を実現する。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0061】
信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの入射チャネルに関する情報ciに基づいてシングルイベントデータを生成する。具体的には、信号処理回路13は、検出時刻計測処理、位置同定処理、及びエネルギー計算処理を施す。信号処理回路13は、検出時刻計測処理、位置同定処理、及びエネルギー計算処理を実行可能に構成された特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現される。
【0062】
検出時刻計測処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17によるガンマ線の検出時刻を計測する。具体的には、信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの入射チャネルに関する情報ciに含まれる波高値をモニタリングし、波高値が予め設定された閾値を超える時刻を検出時刻として計測する。換言すれば、信号処理回路13は、波高値が閾値を超えたことを検知することにより電気的に消滅ガンマ線を検出する。位置同定処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの入射チャネルに関する情報ciに含まれる「放射線が入射したシンチレータ171を入射チャネルとして同定する情報」に基づいて対消滅ガンマ線の入射位置を同定する。消滅ガンマ線の入射位置は、消滅ガンマ線が入射したシンチレータ171の位置座標に対応する。入射位置の同定は、例えば、予めシンチレータ171毎に位置座標を記述したテーブルを用いることにより、実行してもよい。エネルギー計算処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの入射チャネルに関する情報ciに基づいて、検出した対消滅ガンマ線のエネルギー値を計算する。シングルイベントに関する検出時刻のデータと位置座標のデータとエネルギー値のデータとは関連付けられる。シングルイベントに関するエネルギー値のデータと位置座標のデータと検出時刻のデータとの組合せは、シングルイベントデータと呼ばれている。シングルイベントデータは、消滅ガンマ線が検出される毎に次々に生成される。生成されたシングルイベントデータは、同時計数回路15に供給される。
【0063】
同時計数回路15は、信号処理回路13からのシングルイベントデータに同時計数処理を施す。ハードウェア資源としては、同時計数回路15は、同時計数処理を実行可能に構成されたASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現される。同時計数処理において同時計数回路15は、繰り返し供給されるシングルイベントデータの中から、予め定められた時間枠内に収まる2つのシングルイベントに関するシングルイベントデータを繰り返し特定する。この対のシングルイベントは、同一の対消滅点から発生された対消滅ガンマ線に由来すると推定される。対のシングルイベントは、まとめて同時計数イベントと呼ばれる。この対消滅ガンマ線を検出した対のガンマ線検出器17(より詳細にはシンチレータ)を結ぶ線は、LOR(line of response)と呼ばれる。LORを構成する対のイベントに関するイベントデータは、同時計数イベントデータと呼ばれる。同時計数イベントデータとシングルイベントデータとは、コンソール装置70に伝送される。なお、同時計数イベントデータとシングルイベントデータとを特に区別しないときはPETイベントデータと呼ぶことにする。
【0064】
なお、上記構成において信号処理回路13と同時計数回路15とは、PETガントリ10に含まれるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、同時計数回路15、又は信号処理回路13と同時計数回路15との双方が、PETガントリ10とは別体の装置に含まれても良い。また、同時計数回路15は、PETガントリ10に搭載される複数の信号処理回路13に対して一つ設けられても良いし、PETガントリ10に搭載される複数の信号処理回路13を複数のグループに区分し、各グループに対して一つ設けられても良い。
【0065】
図1に示すように、CTガントリ30は、X線管31、X線検出器32、回転フレーム33、X線高電圧装置34、CT制御装置35、ウェッジ36、コリメータ37及びDAS38を有する。
【0066】
X線管31は、X線を発生する。具体的には、X線管31は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管を含む。X線管31は高圧ケーブルを介してX線高電圧装置34に接続されている。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置34により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。X線高電圧装置34からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突することによりX線が発生される。
【0067】
X線検出器32は、X線管31から発生され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応したデジタル値を含む情報として、入射チャネルに関する情報をDAS38へと出力する。X線検出器32は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器32は、例えば、入射X線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器(半導体検出器)である。具体的には、X線検出器32は、例えば
図6に一部分を示すように、複数のセンサ320と、取得部324と、メモリ325と、処理回路326とを備えた医用放射線検出器である。複数のセンサ320は、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する。このような複数のセンサ320は、例えば、放射線に応じて出力信号を出力する複数の半導体素子321として実装される。なお、X線検出器32は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であっても構わない。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。なお、X線に用いる場合、シンチレータの厚さは1~2mmあればよい。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、光電子増倍管が用いられる。但し、本実施形態は、前述した通り、X線検出器32が半導体素子を有する直接変換型の検出器である場合を例に挙げて述べる。
【0068】
半導体素子321は、高純度の半導体素子であってもよい。また、半導体素子321は、フォトダイオードに用いられるSi pn接合型のダイオードであってもよいし、Ge、Si、CdTe又はCZTなどを材料として構成されてもよい。半導体素子321がダイオードである場合、例えば空乏層の厚さを、赤外光の受光などに用いられる10~300μm程度の厚さの拡散層とする。また、半導体素子321は、空乏層を広げるために例えば10~200V程度の電圧が印加される。
【0069】
半導体素子321は、被検体Pを介して入射したX線を受けて二次電子を生成し、二次電子が電離作用によって電子正孔対を生成する。このとき、入射したX線は、半導体中の散乱により、入射チャネルとは異なるチャネルに到達し、さらに、二次電子を生成する場合がある。そして、半導体素子321は、生成された電荷Qを図示しないコンデンサ(容量C)に蓄積した後に放電することにより、放射線のエネルギーにほぼ比例する波高の電圧パルス(電圧V)を生成し、生成した電圧パルスを出力信号として取得部324に出力する。言い換えると、半導体素子321は、生成した電子正孔対に相当する電気信号を出力信号として取得部324に出力する。なお、半導体素子321は、アバランシェフォトダイオード、あるいはフォトダイオードであってもよい。
【0070】
取得部324は、被検体Pを撮像するための放射線が入射された複数のセンサ320から出力信号を取得する。また、取得部324は、当該取得した出力信号(X線の線量に応じた電気信号)を可変の増幅率で増幅し、ビュー期間に亘り出力信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を、複数のセンサ320から取得した出力信号として処理回路326に送出する。また、取得部324は、複数のセンサ320から出力信号を取得したタイミングに関する時間情報を、デジタルの出力信号に含めてもよい。補足すると、デジタルの出力信号は、センサ320から取得した出力信号に基づくX線の線量に応じたデジタル値の他に、時間情報を含んでもよい。この場合、デジタルの出力信号は、線量のデジタル値と時間情報とを連結した信号としてもよい。時間情報は、取得した時刻を示す値でもよく、取得した順序を示す値でもよく、最初に取得した出力信号からの時間差を示す値でもよい。
【0071】
メモリ325(記憶部)は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ325は、例えば、学習済みモデル325a等を記憶する。メモリ325は、X線検出器32の工場出荷前に予め学習済みモデル325aを記憶してもよく、あるいはX線検出器32の工場出荷後に、図示しないサーバ装置などから取得した学習済みモデル325aを記憶してもよい。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0072】
学習済みモデル325aは、学習データに基づいて、モデル学習プログラムに従い機械学習モデルに機械学習を行わせることにより、得られた学習済みの機械学習モデルである。ここで、本実施形態の学習済みモデル325aは、複数のセンサ320からの出力信号に基づき、放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられている。この場合、学習用データは、複数のセンサ320からの出力信号である入力データと、入射チャネルに関する情報である出力データとを含んでいる。機械学習モデルは、出力信号(を表す出力デジタル情報)を入力として入射チャネルに関する情報を出力する、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る機械学習モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であっても良いが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)を用いている。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を用いてもよい。当該多層化ネットワークに関する説明は、機械学習モデル及び学習済みモデルを用いる全ての実施形態にも該当する。多層化ネットワークを用いる学習済みモデル325aは、被検体Pを撮像するための放射線を検出して得られる出力信号を入力する入力層と、当該出力信号に対応した入射チャネルに関する情報を出力する出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層とを有する。なお、入力層は、出力信号及び付帯情報を入力してもよく、入射チャネルに関する情報は、当該出力信号及び付帯情報に対応した情報としてもよい。当該学習済みモデル325aは、人工知能ソフトウエアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0073】
処理回路326(処理部)は、取得部324が取得した出力信号と、メモリ325内の学習済みモデル325aとに基づいて、当該取得した出力信号に対応する当該放射線が入射した入射チャネルに関する情報ciを出力する。例えば、処理回路326は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路326は、メモリに展開された各プログラムを実行するプロセッサにより、学習済みモデル325aなどを実行する。例えば、処理回路326は、メモリ325に記憶された学習済みモデル325aからの指令に従って、当該入力層に入力された出力信号に対し、学習済みのパラメータに基づく演算を行い、当該出力層から入射チャネルに関する情報ciを出力するように動作する。なお、
図6から分かるように、入力層の個数、半導体素子321の個数及び出力層の個数は互いに同数である。入射チャネルに関する情報ciは、複数の半導体素子321のうちの放射線が入射した半導体素子321を入射チャネルとして同定する情報と、同定した半導体素子321に対応する出力信号の波高値vlとを含んでいる。なお、情報ciは、放射線が入射した半導体素子321を入射チャネルとして同定する情報を含めばよいので、必ずしも出力信号の波高値vlを含まなくてもよい。この場合、情報ciとは別に、出力信号の波高値vlを出力すればよい。
【0074】
なお、処理回路326の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスには、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等がある。この種のプロセッサはメモリ325に保存されたプログラム(学習済みモデル325a)を読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ325にプログラム(学習済みモデル325a)を保存する代わりに、
図7に示すように、プロセッサの回路内にプログラム(学習済みモデル326a)を直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラム(学習済みモデル326a)を読み出し実行することで機能を実現する。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0075】
回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とを対向支持する。回転フレーム33は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。CT制御装置35により回転フレーム33が回転軸Z回りに回転することによりX線管31とX線検出器32とを回転軸Z回りに回転させる。回転フレーム33は、CT制御装置35の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム33の開口部には、画像視野(FOV)が設定される。
【0076】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム33の回転軸又は寝台50の天板53の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0077】
X線高電圧装置34は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管31に印加する高電圧及びX線管31に供給するフィラメント電流を発生する高電圧発生装置と、X線管31が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置34は、CTガントリ30内の回転フレーム33に設けられてもよいし、CTガントリ30内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0078】
ウェッジ36は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ36は、X線管31から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ36としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)等のアルミニウム等の金属板が用いられる。
【0079】
コリメータ37は、ウェッジ36を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ37は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。
【0080】
DAS38(Data Acquisition System)は、X線検出器32から出力された入射チャネルに関する情報をビュー期間ごとに受けることにより、当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有するCT生データを収集する。DAS38は、例えば、CT生データを生成可能な回路素子を搭載したASICにより実現される。CT生データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール装置70に伝送される。
【0081】
CT制御装置35は、コンソール装置70の処理回路73の撮像制御機能733に従いX線CT撮像を実行するためにX線高電圧装置34やDAS38を制御する。CT制御装置35は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。また、CT制御装置35は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されてもよい。
【0082】
なお、CTガントリ30は、X線発生部とX線検出部とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線発生部のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等の様々なタイプがあり、いずれのタイプでも一実施形態へ適用可能である。
【0083】
図1に示すように、寝台50は、スキャン対象の被検体Pを載置し、載置された被検体を移動させる。寝台50は、PETガントリ10とCTガントリ30とで共有される。
【0084】
寝台50は、基台51、支持フレーム52、天板53及び寝台駆動装置54を備える。基台51は、床面に設置される。基台51は、支持フレーム52を、床面に対して垂直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。支持フレーム52は、基台51の上部に設けられるフレームである。支持フレーム52は、天板53を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板53は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板である。
【0085】
寝台駆動装置54は、寝台50の筐体内に収容される。寝台駆動装置54は、被検体Pが載置された支持フレーム52と天板53とを移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置54は、コンソール装置70等による制御に従い作動する。
【0086】
PETガントリ10とCTガントリ30とは、PETガントリ10の開口の中心軸ZとCTガントリ30の開口の中心軸Zとが略一致するように配置される。天板53の長軸がPETガントリ10及びCTガントリ30の開口の中心軸Zに平行するように寝台50が配置される。寝台50に近い方からCTガントリ30及びPETガントリ10の順番に設置される。
【0087】
図1に示すように、コンソール装置70は、PETデータメモリ71、CTデータメモリ72、処理回路73、ディスプレイ74、メモリ75、入力インタフェース76及び通信インタフェース77を有する。例えば、PETデータメモリ71、CTデータメモリ72、処理回路73、ディスプレイ74、メモリ75、入力インタフェース76及び通信インタフェース77間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0088】
PETデータメモリ71は、PETガントリ10から伝送されたシングルイベントデータ及び同時計数イベントデータを記憶する記憶装置である。PETデータメモリ71は、HDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。
【0089】
CTデータメモリ72は、CTガントリ30から伝送されたCT生データを記憶する記憶装置である。CTデータメモリ72は、HDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。
【0090】
処理回路73は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路73は、当該メモリから読み出した各種プログラムの実行により再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733及び表示制御機能734を実現する。なお、再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733及び表示制御機能734は、一の基板の処理回路73により実装されても良いし、複数の基板の処理回路73により分散して実装されても良い。
【0091】
再構成機能731において処理回路73は、PETガントリ10から伝送された同時計数イベントデータに基づいて、被検体Pに投与された陽電子放出核種の分布を示すPET画像を再構成する。また、処理回路73は、CTガントリ30から伝送されたCT生データに基づいて、被検体Pに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を再構成する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法や逐次近似再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。また、処理回路73は、PETイベントデータに基づいてPETに関する位置決め画像を生成したり、CT生データに基づいてCTに関する位置決め画像を生成することも可能である。
【0092】
画像処理機能732において処理回路73は、再構成機能731により再構成されたPET画像及びCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、処理回路73は、PET画像及びCT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画素値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0093】
撮像制御機能733において処理回路73は、PET撮像を行うためPETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。また、処理回路73は、CT撮像を行うためCTガントリ30と寝台50とを同期的に制御する。PET撮像とCT撮像とを連続して行う場合、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50を同期的に制御する。また、処理回路73は、PETガントリ10による位置決めスキャン(以下、PET位置決めスキャンと呼ぶ)やCTガントリ30による位置決めスキャン(以下、CT位置決めスキャンと呼ぶ)を実行可能である。PET位置決めスキャンのために処理回路73は、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。CT位置決めスキャンのために処理回路73は、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御する。
【0094】
表示制御機能734において処理回路73は、種々の情報をディスプレイ74に表示する。例えば、処理回路73は、再構成機能731により再構成されたPET画像とCT画像とを表示する。
【0095】
ディスプレイ74は、表示制御機能734における処理回路73の制御を受けて、種々の情報を表示する。ディスプレイ74としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0096】
メモリ75は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ75は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。
【0097】
入力インタフェース76は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力インタフェース76は、入力機器に接続されている。入力機器としては、キーボードやマウス、トラックボール、ジョイスティック、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース76は、入力機器からの出力信号をバスを介して処理回路73に供給する。
【0098】
通信インタフェース77は、有線、無線又はその両方にて外部装置と通信するための通信回路である。外部装置は、例えば、各モダリティ(医用画像診断装置)、放射線部門情報管理システム(RIS)、病院情報システム(HIS)及びPACS等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。「RIS」は、「Radiological Information System」の略語である。「HIS」は、「Hospital Information System」の略語である。「PACS」は、「Picture Archiving and Communication System」である。
【0099】
次に、以上のように構成されたPET/CT装置1の動作について
図8のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明は、PET/CT装置1によるPET/CT検査のうち、主に、X線検出器32及びガンマ線検出器17の動作について述べる。なお、PET/CT検査は、PET撮像とCT撮像との両方を行う医用検査をいうものとする。
【0100】
始めに、PET/CT装置1は、通信インタフェース77を介して、図示しない検査予約システム等から検査対象の被検体に関する患者情報(被検体情報)を取得する。患者情報は、患者ID、患者名、生年月日、年齢、身長、体重、性別、検査部位、既往症である。なお、患者情報は、患者のインプラントを示すインプラント情報を含んでもよい
続いて、PET/CT装置1においては、ユーザにより、天板53上に被検体Pがセッティングされる。また、ユーザによる入力インタフェース76の操作により、位置決め撮影の開始位置に天板53が移動する。ユーザによる入力インタフェース76の操作により、プリセットされたスキャン計画が選択され、当該スキャン計画の詳細条件が設定される。
【0101】
次に、PET/CT装置1は、スキャン計画に従って、被検体の位置決め撮影を実行し、被検体のスキャノ画像を生成する。スキャノ画像はメモリ75に保存される。続いて、PET/CT装置1は、スキャノ画像を用いて撮影範囲を設定し、撮影開始位置に天板53を移動させる。また、PET/CT装置1は、スキャノ画像を用いてスキャン条件、再構成条件を設定する。また、PET/CT装置1は、スキャノ画像を用いて、例えば、ステップ&シュート方式のPET撮像の収集エリア及び収集時間を設定する。
【0102】
しかる後、PET/CT装置1の処理回路73は、撮像制御機能733を実行することにより、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御し、CTガントリ30によりCT撮像を実行する。CT撮像の際に、CTガントリ30においては、X線管31及びX線検出器32を回転軸Z回りに一定の角速度で回転させながら、X線管31によるX線照射及びX線検出器32によるX線検出を行う。このとき、X線検出器32によるX線検出は、ステップST11~ST14に示すように、実行される。
【0103】
すなわち、X線検出器32において、複数の半導体素子321は、被検体Pを介して入射したX線の線量に応じた電気信号を出力信号として取得部324に出力する(ST11~ST12)。
【0104】
取得部324は、複数の半導体素子321から出力信号を取得すると(ST13)、取得した出力信号を増幅及び積分することによりビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を、複数のセンサから取得した出力信号として処理回路326に送出する。
【0105】
処理回路326は、取得部324が取得した出力信号と、メモリ325内の学習済みモデル325aとに基づいて、当該取得した出力信号に対応する当該放射線が入射した入射チャネルに関する情報ciをDAS38に出力する(ST14)。この情報ciは、X線が入射した半導体素子321を入射チャネルとして同定する一方、X線の散乱先の半導体素子321を入射チャネルとは同定しないものである。
【0106】
ステップST14の後、DAS38は、当該出力された入射チャネルに関する情報に基づくCT生データを収集し、CT生データをコンソール装置70に伝送する。伝送されたCT生データは、CTデータメモリ72に保存される。
【0107】
CT撮像の後、処理回路73は、引き続き撮像制御機能733を実行することにより、PET撮像の収集エリア及び収集時間に従いPETガントリ10と寝台50とを同期的に制御し、PETガントリ10によりステップ&シュート方式のPET撮像を実行する。このとき、PETガントリ10においては、ガンマ線検出器17がステップST11~ST14の動作を実行する。
【0108】
すなわち、ガンマ線検出器17においては、被検体を撮像するための被検体Pの体内から放出されたガンマ線がシンチレータ171に入射される(ST11)。シンチレータ171は、入射されたガンマ線に応じて第1のシンチレーション光sc1を発生する。また例えば、入射されたガンマ線のコンプトン散乱により、散乱先のシンチレータ171は、第2のシンチレーション光sc2を発生する。
【0109】
複数の光センサ173は、ライトガイド172を透過したシンチレーション光sc1,sc2の光量に応じた出力信号を出力する(ST12)。
【0110】
取得部174は、複数の光センサ173から出力信号を取得する(ST13)。取得部174は、例えば、取得した出力信号をA/D変換によりデジタルの出力信号として処理回路176に送出する。
【0111】
処理回路176は、ステップST13で取得した出力信号と、メモリ175内の学習済みモデル175aとに基づいて、当該取得した出力信号に対応する当該放射線が入射した入射チャネルに関する情報ciを信号処理回路13に出力する(ST14)。この情報ciは、第1のシンチレーション光sc1を発生したシンチレータ171を入射チャネルとして同定する一方、第2のシンチレーション光を発生した散乱先のシンチレータ171を入射チャネルとは同定しないものである。
【0112】
ステップST14の後、信号処理回路13は、当該出力された入射チャネルに関する情報に基づいてシングルイベントデータを生成し、当該シングルイベントデータを同時計数回路15に供給する。
【0113】
同時計数回路15は、信号処理回路13からのシングルイベントデータに同時計数処理を施すことにより、LORを構成する対のイベントに関する同時計数イベントデータを特定する。同時計数イベントデータとシングルイベントデータとは、コンソール装置70に伝送され、PETデータメモリ71に保存される。
【0114】
PET撮像の後、処理回路73は、再構成機能731を実行することにより、CT撮像により収集されたCT生データに基づいてCT画像を再構成し、PET撮像により収集された同時計数イベントデータに基づいてPET画像を再構成する。具体的には、処理回路73は、CT生データに基づいて3次元のCTボリュームデータを再構成し、CTボリュームデータにレンダリング処理を施して2次元の表示画像を生成する。CT画像は、CTボリュームデータと当該CTボリュームデータに基づく表示画像との総称である。また、処理回路73は、同時計数イベントデータに基づいて3次元のPETボリュームデータを再構成し、PETボリュームデータにレンダリング処理を施して2次元の表示画像を生成する。PET画像は、PETボリュームデータと当該PETボリュームデータに基づく表示画像との総称である。
【0115】
CT画像及びPET画像の再構成の後、処理回路73は、表示制御機能734を実行することにより、当該CT画像とPET画像とをディスプレイ74に表示する。
【0116】
これにより、PET/CT検査が終了する。
【0117】
上述したように第1の実施形態によれば、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、複数のセンサからの出力信号に基づき、放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する学習済みモデルと、取得部と、処理部とを備えている。学習済みモデルは、記憶部に記憶されていてもよい。いずれにしても、取得部は、被検体を撮像するための放射線が入射された複数のセンサから出力信号を取得する。処理部は、取得した出力信号と学習済みモデルとに基づいて、取得した出力信号に対応する当該放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する。
【0118】
従って、重心計算により入射チャネルを同定する従来とは異なり、入射した放射線の散乱に伴う入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。また、再構成される医用画像の空間分解能の劣化を阻止することができる。係る効果は、センサ、学習モデル、取得部及び処理部を備えた医用情報処理装置及び医用放射線検出器の各々について得ることができる。
【0119】
また、第1の実施形態によれば、複数のセンサが、放射線に応じて蛍光を発生する複数のシンチレータと、蛍光の光量に応じた出力信号を出力する複数の光センサとを備えていてもよい。また、入射チャネルに関する情報は、当該複数のセンサのうちの放射線が入射したシンチレータを入射チャネルとして同定する情報を含んでいてもよい。このような間接変換型の医用放射線検出器においても、前述した効果を得ることができる。
【0120】
また、第1の実施形態によれば、複数のセンサが、放射線に応じて出力信号を出力する複数の半導体素子であり、入射チャネルに関する情報が、複数の半導体素子のうちの放射線が入射した半導体素子を入射チャネルとして同定する情報を含んでいてもよい。このような直接変換型の医用放射線検出器においても、前述した効果を得ることができる。
【0121】
また、第1の実施形態によれば、取得部は、複数のセンサから出力信号を取得したタイミングに関する時間情報と当該出力信号の波高値とを含む信号を、取得した出力信号として処理部に送出してもよい。この場合、複数の出力信号の波高値が近い場合でも、遅い時間情報をもつ出力信号のチャネルを入射チャネルとして同定できるため、入射チャネルの同定精度の向上を期待することができる。
【0122】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る医用情報処理装置について説明する。なお、以下の説明において、
図1乃至
図8と略同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは、主に異なる部分について述べる。このことは以下の各実施形態でも同様である。
【0123】
第2の実施形態は、
図9に示すように、利用段階の前述した学習済みモデル175a,176a,325a,326aを作成するために、学習段階の機械学習モデル175b,176b,325b,326bに学習用データを出力する構成である。
【0124】
具体的には、例えば
図10に示すように、医用情報処理装置80は、機械学習モデル176bの機械学習に用いる学習用データを作成するためのコリメータ81、駆動部82及びモデル学習装置83を備えている。
【0125】
コリメータ81は、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサ170の前方に配置され、放射線が入射する入射チャネルを、複数のセンサ170のうちの1つのセンサ170に制限するための部材である。例えば、コリメータ81は、ガンマ線源12から照射されたガンマ線のうち、1個のシンチレータ171の入射面に対応する開口81aに照射されたガンマ線を入射面に通過させ、開口81a以外に照射されたガンマ線を遮蔽するように用いられる。コリメータ81は、開口81aが形成された板状の遮蔽部材としてもよい。あるいはコリメータ81は、X線絞り器と同様に、板状の複数の放射線絞り羽根を移動させて開口81aを所望の位置に形成する機構でもよい。
【0126】
駆動部82は、モデル学習装置83からの制御により、コリメータ81を駆動して開口81aの位置を変更する。
【0127】
モデル学習装置83は、メモリ84、入力インタフェース85、ディスプレイ86及び処理回路87を備えている。
【0128】
メモリ84は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ84は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。
【0129】
入力インタフェース85は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力インタフェース85は、入力機器に接続されている。入力機器としては、キーボードやマウス、トラックボール、ジョイスティック、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース85は、入力機器からの出力信号をバスを介して処理回路87に供給する。
【0130】
ディスプレイ86は、処理回路73の制御を受けて、種々の情報を表示する。ディスプレイ86としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0131】
処理回路87は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路87は、当該メモリから読み出した各種プログラムの実行により取得機能871及び出力機能872を実現する。なお、取得機能871及び出力機能872は、一の基板の処理回路87により実装されても良いし、複数の基板の処理回路87により分散して実装されても良い。
【0132】
取得機能871(取得部)において処理回路87は、入射チャネルに関する情報と、コリメータ81の開口81aを介して当該入射チャネルに入射した放射線に基づく出力信号とを取得する。補足すると、取得機能871は、取得部174でA/D変換されたデジタル値の出力信号を、取得部174と処理回路176との間の信号線871aから取得する。
【0133】
出力機能872(出力部)において処理回路87は、取得した出力信号と、入射チャネルに関する情報とを、取得した出力信号を受け付けて当該出力信号に対応する入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルとなる機械学習モデルに使用するための学習用データとして出力する。学習用データの出力先は、ガンマ線検出器17の処理回路176に実装された機械学習モデル176bである。なお、学習用データの出力先は、
図2A及び
図2Bに示すガンマ線検出器17の場合には、メモリ175内の学習済みモデル175aとなる機械学習モデル175bとなる。いずれにしても、出力機能872は、学習用データを機械学習モデル176b(又は175b)に出力することにより、機械学習モデル176b(又は175b)に機械学習を施して学習済みモデル176a(又は175a)を作成する。
【0134】
なお、X線検出器32を対象とする場合、例えば
図11に示すように、医用情報処理装置80は、機械学習モデル326bの機械学習に用いる学習用データを作成するためのコリメータ88、駆動部89及びモデル学習装置83を備えている。
【0135】
コリメータ88は、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサ320の前方に配置され、放射線が入射する入射チャネルを、複数のセンサ320のうちの1つのセンサ320(半導体素子321)に制限するための部材である。例えば、コリメータ81は、X線管31から照射されたX線のうち、1個の半導体素子321の入射面に対応する開口88aに照射されたX線を入射面に通過させ、開口88a以外に照射されたX線を遮蔽するように用いられる。コリメータ88は、開口88aが形成された板状の遮蔽部材としてもよい。あるいはコリメータ88は、X線絞り器と同様に、板状の複数の放射線絞り羽根を移動させて開口88aを所望の位置に形成する機構でもよい。
【0136】
駆動部89は、モデル学習装置83からの制御により、コリメータ88を駆動して開口88aの位置を変更する。
【0137】
モデル学習装置83は、前述同様の構成である。但し、X線検出器32を対象としたことに伴い、取得機能871は、取得部324でA/D変換されたデジタル値の出力信号を、取得部324と処理回路326との間の信号線871aから取得する。また、出力機能872における学習用データの出力先は、X線検出器32の処理回路326に実装された機械学習モデル326bである。なお、学習用データの出力先は、
図6に示すX線検出器32の場合には、メモリ325内の学習済みモデル325aとなる機械学習モデル325bとなる。いずれにしても、出力機能872は、学習用データを機械学習モデル326b(又は325b)に出力することにより、機械学習モデル326b(又は325b)に機械学習を施して学習済みモデル326a(又は325a)を作成する。
【0138】
次に、以上のように構成された医用情報処理装置の動作について
図12のフローチャートを用いて説明する。以下の説明は、ガンマ線検出器17及びX線検出器32のうち、ガンマ線検出器17の機械学習モデル176bに機械学習を施す場合を代表例に挙げて述べる。
【0139】
医用情報処理装置80において、モデル学習装置83の処理回路87は、ガンマ線が入射する入射チャネルを1つのセンサ170(シンチレータ171)に制限するため、駆動部82を介してコリメータ81の開口81aの位置を制御する(ST21)。これにより、コリメータ81は、指定された入射チャネルである1個のシンチレータ171の入射面に対向して開口81aが配置されると共に、開口81a以外の遮蔽部分が他のシンチレータ171の入射面に対向して配置される。
【0140】
ステップST21の後、ガンマ線源12からガンマ線が照射される。当該ガンマ線は、コリメータ81の開口81aを介して入射チャネルのシンチレータ171に入射される(ST22)。シンチレータ171は、入射されたガンマ線に応じて第1のシンチレーション光sc1を発生する。また例えば、入射されたガンマ線のコンプトン散乱により、散乱先のシンチレータ171は、第2のシンチレーション光sc2を発生する。
【0141】
複数の光センサ173は、ライトガイド172を透過したシンチレーション光sc1,sc2の光量に応じた出力信号を出力する(ST23)。取得部174は、複数の光センサ173から出力信号を取得する。取得部174は、例えば、取得した出力信号をA/D変換によりデジタルの出力信号として処理回路176に送出する。
【0142】
モデル学習装置83の処理回路87は、このデジタルの出力信号を、信号線871aを介して取得する(ST24)。また、処理回路87は、ステップST24で取得した出力信号と、ステップST21の制御に用いた入射チャネルに関する情報とを学習用データとしてメモリ84に保存する(ST25)。なお、入射チャネルに関する情報は、ステップST21の制御に用いたシンチレータ171を入射チャネルとして同定する情報と、同定したシンチレータ171に対応する光センサ173の出力信号の波高値vlとを含んでいる。また、ステップST22~ST25は、入射チャネルが同一の場合でも、複数パターンの出力信号を取得するため、繰り返し実行する。これは、同一の入射チャネルにガンマ線が入射した場合でも、散乱の有無、散乱の角度、散乱の回数などの物理過程が確率的に異なることから、複数パターンの出力信号が得られるためである。
【0143】
ステップST25の後、処理回路87は、ガンマ線を未入射の入射チャネルの有無を判定し(ST26)、未入射の入射チャネルがあれば、当該未入射の入射チャネルに開口81aを位置させて前述同様に学習用データを取得するため、ステップST21に戻る。ステップST26の判定の結果、否の場合には、学習用データの取得を終了する。
【0144】
続いて、モデル学習装置83の処理回路87は、メモリ84に保存した入射チャネル毎の各パターンの学習用データを順次、ガンマ線検出器17の処理回路176に出力する。これにより、処理回路176の機械学習モデル176bは、学習用データ内の出力信号を受け付けて当該出力信号に対応する入射チャネルに関する情報を出力する。また、処理回路176は、機械学習モデル176bから出力された情報が、学習用データ内の入射チャネルに関する情報に近づくように、機械学習モデル176bのパラメータを調整し、機械学習モデル176bの機械学習を行う(ST27)。
【0145】
ステップST27の後、機械学習モデル176bを学習済みモデル176aとして、医用情報処理装置80は、ガンマ線検出器17に対する処理を終了する。また同様に、医用情報処理装置80は、X線検出器32に対してステップST21~ST29の処理を行う。
【0146】
上述したように第2の実施形態によれば、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサの前方に配置され、放射線が入射する入射チャネルを、複数のセンサのうちの1つのセンサに制限するためのコリメータと、取得部と、出力部とを備えている。取得部は、入射チャネルに関する情報と、コリメータの開口を介して入射チャネルに入射した放射線に基づく出力信号とを取得する。出力部は、取得した出力信号と、入射チャネルに関する情報とを、取得した出力信号を受け付けて当該出力信号に対応する入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルとなる機械学習モデルに使用するための学習用データとして出力する。従って、重心計算により入射チャネルを同定する従来とは異なり、出力信号と、入射チャネルに関する情報とを学習用データとして使用して学習済みモデルを得ることにより、入射した放射線の散乱に伴う入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。
【0147】
[第1変形例]
次に、第2の実施形態の第1変形例について述べる。この第1変形例は、全てのシンチレータ171の各々に対して開口を対向配置して出力信号を取得する動作に代えて、各々の光センサ173における複数のシンチレータ171のいずれか1つに対して開口を対向配置して出力信号を取得する構成となっている。これに伴い、取得した出力信号は、同一の光センサ173における残りの各々のシンチレータ171を入力チャネルとして同定した学習用データに用いる。
【0148】
他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0149】
以上のような第1変形例によれば、コリメータ81の開口81aを対向配置して出力信号を取得する動作の回数が、全てのシンチレータ171の個数から、全ての光センサ173の個数に減少する。従って、第2の実施形態の効果に加え、学習用データを作成するための動作の効率化を図ることができる。
【0150】
[第2変形例]
次に、第2の実施形態の第2変形例について述べる。この第2変形例は、ガンマ線検出器17及びX線検出器32から出力信号を取得せず、シミュレータにより出力信号を取得することにより、学習用データを得るものである。すなわち、第2変形例は、コリメータ81,88、駆動部82,89、取得機能871に代えて、シミュレータを備えた構成となっている。
【0151】
ここで、シミュレータとしては、例えば、PET装置やSPECT装置の設計時などに用いられるGATE(Geant4 Application for Tomographic Emission)が使用可能となっている。具体的には例えば、GATEのプログラムをメモリ84に保存し、処理回路87が当該プログラムを実行することにより、当該シミュレータを実現可能である。このようなシミュレータは、例えば、被検体内に分布する放射能同位元素から発せられて入射チャネルに入射された各々のガンマ線の経路、シンチレータ171内での蛍光(sc1,sc2)、コンプトン散乱cmp、トリガー、出力信号を生成可能となっている。
【0152】
これに伴い、処理回路87は、メモリ84内のプログラムを実行することにより生成機能及び出力機能を実現する。
【0153】
生成機能において処理回路87は、入射チャネルに関する情報と、入射チャネルに入射した放射線に基づく複数のセンサからの出力信号とを生成する。
【0154】
出力機能において処理回路87は、生成した出力信号と、入射チャネルに関する情報とを、当該生成した出力信号を受け付けて当該出力信号に対応する入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた学習済みモデルとなる機械学習モデルに使用するための学習用データとして出力する。
【0155】
他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0156】
以上のような第2変形例によれば、放射線を医用放射線検出器に入射することなく、シミュレーションにより、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0157】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る医用放射線検出器及び医用情報処理装置について説明する。
【0158】
第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、計数率の高低に応じて複数の学習済みモデルを使い分ける構成である。例えば
図13及び
図14に示すように、メモリ175,325が、複数のセンサ170,320からの出力信号に基づき、放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた複数の学習済みモデルを記憶している。なお、複数の学習済みモデルは、メモリ175,325に記憶される場合に限らず、前述同様に処理回路176,326に実装されてもよい。
【0159】
ここで、複数の学習済みモデルは、出力信号の計数率が閾値未満の場合に対応する第1の学習済みモデル175a1,325a1と、出力信号の計数率が閾値以上の場合に対応する第2の学習済みモデル175a2,325a2とを含んでいる。第1の学習済みモデル175a1,325a1は、各々のガンマ線が間欠的に照射される理想的な低計測率の場合に対応する。第1の学習済みモデル175a1,325a1は、コンプトン散乱が有る場合及びコンプトン散乱がない場合の各々の場合について、複数の出力信号パターンを学習済みである。第2の学習済みモデル175a2,325a2は、各々のガンマ線が頻繁に照射されてパイルアップが生じる高計測率の場合に対応する。第2の学習済みモデル175a2,325a2は、コンプトン散乱及びパイルアップが両方有る場合、コンプトン散乱が無くてパイルアップが有る場合、コンプトン散乱が有ってパイルアップが無い場合、コンプトン散乱及びパイルアップが両方無い場合、の各々の場合について、複数の出力信号パターンを学習済みである。ここで、閾値は、複数のセンサ(におけるシンチレータ171)が入射した放射線を蛍光に変換したときの当該蛍光の減衰時間(例、40ナノ秒、100ナノ秒、1マイクロ秒など)に対応する計数率であってもよい。あるいは、閾値は、複数のセンサの各々が当該入射した放射線に基づく出力信号を生成する処理のために他の入射した放射線を処理できないデッドタイム(例、800ナノ秒、1マイクロ秒など)に対応する計数率であってもよい。このような複数の学習済みモデルは、例えば第2の実施形態又はその第1変形例において、閾値未満の計数率と閾値以上の計数率との各々に応じてガンマ線源12及びX線管31を制御して出力信号を取得し、取得した出力信号を機械学習モデルの機械学習に用いることにより作成可能となっている。あるいは、このような複数の学習済みモデルは、例えば第2の実施形態の第2変形例において、閾値未満の計数率と閾値以上の計数率との各々に応じてシミュレータを設定し、得られた学習用データを機械学習モデル175b1,175b2,325b1,325b2の機械学習に用いることにより作成可能となっている。
【0160】
これに伴い、処理回路176,326は、メモリに展開された各プログラムを実行するプロセッサにより、計数率取得機能1761,3261、選択機能1762,3262、出力機能1763,3263などを実行する。
【0161】
計数率取得機能1761,3261(計数率取得部)において処理回路176,326は、取得した出力信号の計数率を取得する。
【0162】
選択機能1762,3262(選択部)において処理回路176,326は、取得した計数率と閾値とに基づいて、第1の学習済みモデル175a1,325a1又は第2の学習済みモデル175a2,325a2を選択する。
【0163】
出力機能1763,3263(処理部)において処理回路176,326は、取得した出力信号と、選択した第1の学習済みモデル175a1,325a1又は選択した第2の学習済みモデル175a2,325a2とに基づいて、取得した出力信号に対応する放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する。
【0164】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0165】
以上のような構成によれば、
図15に示すように、医用放射線検出器の動作におけるステップST14を除き、第1の実施形態と同様のPET/CT検査が実行される。続いて、前述同様に、X線検出器32及びガンマ線検出器17によるステップST11~ST14の動作を順に述べる。
【0166】
X線検出器32によるX線検出は、
図15のステップST11~ST14に示すように、実行される。なお、ステップST11~ST13は、前述同様に実行される。
【0167】
ステップST13の後、処理回路326は、ステップST13で取得した出力信号の計数率を取得する(ST14-1)。
【0168】
ステップST14-1の後、処理回路326は、取得した計数率が閾値未満か否かを判定する(ST14-2)。ここで、処理回路326は、出力信号の計数率が閾値未満の場合に対応する第1の学習済みモデル325a1を選択する(ST14-3)。また、処理回路176は、出力信号の計数率が閾値以上の場合に対応する第2の学習済みモデル325a2を選択する(ST14-4)。
【0169】
ステップST14-3又はST14-4の後、処理回路326は、ステップST13で取得した出力信号と、選択した第1の学習済みモデル325a1又は選択した第2の学習済みモデル325a2とに基づいて、取得した出力信号に対応するX線が入射した入射チャネルに関する情報ciをDAS38に出力する(ST14-5)。この情報ciは、X線が入射した半導体素子321を入射チャネルとして同定する一方、X線の散乱先の半導体素子321を入射チャネルとは同定しないものである。ステップST14-5の完了により、X線検出器32によるX線検出動作が終了する。以下同様に、CT撮像が行われる。
【0170】
次に、ガンマ線検出器17によるガンマ線検出の動作について述べる。ガンマ線検出器17によるガンマ線検出は、同様に
図15のステップST11~ST14に示すように、実行される。なお、ステップST11~ST13は、前述同様に実行される。
【0171】
ステップST13の後、処理回路176は、ステップST13で取得した出力信号の計数率を取得する(ST14-1)。
【0172】
ステップST14-1の後、処理回路176は、取得した計数率が閾値未満か否かを判定する(ST14-2)。ここで、処理回路176は、出力信号の計数率が閾値未満の場合に対応する第1の学習済みモデル175a1を選択する(ST14-3)。また、処理回路176は、出力信号の計数率が閾値以上の場合に対応する第2の学習済みモデル175a2を選択する(ST14-4)。
【0173】
ステップST14-3又はST14-4の後、処理回路176は、ステップST13で取得した出力信号と、選択した第1の学習済みモデル175a1又は選択した第2の学習済みモデル175a2とに基づいて、取得した出力信号に対応するガンマ線が入射した入射チャネルに関する情報ciを信号処理回路13に出力する(ST14-5)。この情報ciは、第1のシンチレーション光sc1を発生したシンチレータ171を入射チャネルとして同定する一方、第2のシンチレーション光を発生した散乱先のシンチレータ171を入射チャネルとは同定しないものである。ステップST14-5の完了により、ガンマ線検出器17によるガンマ線検出動作が終了する。以下同様に、PET撮像が行われる。また同様に、PET撮像の後、CT画像及びPET画像の再構成が実行され、得られたCT画像及びPET画像が表示される。
【0174】
これにより、PET/CT検査が終了する。
【0175】
上述したように第3の実施形態によれば、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、複数のセンサからの出力信号に基づき、放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力するように機能付けられた複数の学習済みモデルであって、出力信号の計数率が閾値未満の場合に対応する第1の学習済みモデルと、出力信号の計数率が前記閾値以上の場合に対応する第2の学習済みモデルとを含む複数の学習済みモデルを記憶する記憶部と、取得部と、計数率取得部と、選択部と、処理部とを備えている。ここで、取得部は、被検体を撮像するための放射線が入射された複数のセンサから出力信号を取得する。計数率取得部は、取得した出力信号の計数率を取得する。選択部は、取得した計数率と閾値とに基づいて、第1の学習済みモデル又は第2の学習済みモデルを選択する。処理部は、取得した出力信号と、選択した第1の学習済みモデル又は選択した第2の学習済みモデルとに基づいて、取得した出力信号に対応する放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する。
【0176】
従って、重心計算により入射チャネルを同定する従来とは異なり、入射した放射線の散乱に伴う入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。これに加え、計数率の高低に応じた学習済みモデルによって入射チャネルに関する情報を出力するので、計数率が閾値以上に高い場合でも、入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。すなわち、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、高い計数率をもつパイルアップ状態の場合には第2の学習済みモデルを選択することにより、入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。
【0177】
また、閾値が、複数のセンサが入射した放射線を蛍光に変換したときの蛍光の減衰時間に対応する計数率である場合には、減衰時間に対応する計数率より高い計数率で放射線が入射したときでも、入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。
【0178】
また、閾値が、複数のセンサの各々が入射した放射線に基づく出力信号を生成する処理のために他の入射した放射線を処理できないデッドタイムに対応する計数率であるときでも、入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。
【0179】
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、入射された放射線に基づいて出力信号を出力する複数のセンサと、複数のセンサからの出力信号に基づき、放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する学習済みモデルと、被検体を撮像するための放射線が入射された複数のセンサから出力信号を取得する取得部と、取得した出力信号と学習済みモデルとに基づいて、取得した出力信号に対応する当該放射線が入射した入射チャネルに関する情報を出力する処理部とを備えている。従って、重心計算により入射チャネルを同定する従来とは異なり、入射した放射線の散乱に伴う入射チャネルの同定精度の低下を阻止することができる。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0181】
1 PET/CT装置
10 PETガントリ
11 検出器リング
12 ガンマ線源
13 信号処理回路
15 同時計数回路
17 ガンマ線検出器
170,320 センサ
171 シンチレータ
172 ライトガイド
173 光センサ
174,324 取得部
175,325,75 メモリ
175a,176a,325a,326a 学習済みモデル
175a1,325a1 第1の学習済みモデル
175a2,325a2 第2の学習済みモデル
175b,176b,325b,326b 機械学習モデル
176,326,73,87 処理回路
1761,3261 計数率取得機能
1762,3262 選択機能
1763,3263 出力機能
30 CTガントリ
31 X線管
32 X線検出器
321 半導体素子
33 回転フレーム
34 X線高電圧装置
35 CT制御装置
36 ウェッジ
37,81,88 コリメータ
50 寝台
51 基台
52 支持フレーム
53 天板
54 寝台駆動装置
70 コンソール装置
71 PETデータメモリ
72 CTデータメモリ
74,86 ディスプレイ
76,85 入力インタフェース
731 再構成機能
732 画像処理機能
733 撮像制御機能
734 表示制御機能
80 医用情報処理装置
81a,88a 開口
82,89 駆動部
871 取得機能
871a 信号線
872 出力機能
cmp コンプトン散乱
P 被検体
sc1,sc2 シンチレーション光