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特許7317640円形の測定マークによる見当合わせ測定/位置合わせ測定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】円形の測定マークによる見当合わせ測定/位置合わせ測定
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20230724BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
B41F33/00 290
B41J2/01 451
B41J2/01 307
B41J2/01 401
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019165319
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2020075484
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】10 2018 215 500.3
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン クリーガー
(72)【発明者】
【氏名】イマヌエル フェアゲン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ゴーダウ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ フォルク
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート シュナイダー
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052257(JP,A)
【文献】特開2014-168958(JP,A)
【文献】特開2005-319801(JP,A)
【文献】特開2019-051707(JP,A)
【文献】特開2002-192701(JP,A)
【文献】特開平11-048458(JP,A)
【文献】特開昭63-091253(JP,A)
【文献】特開昭58-118261(JP,A)
【文献】特表平02-501373(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0118317(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0009429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機(2,7)による、印刷機(4)における自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための方法であって、
複数の色分解版を伴うテストパターン(12,19)が、印刷機(4)によって、印刷基材上に印刷され、画像検出システム(1)の少なくとも1つの画像センサ(5)によって、デジタルの全体画像の形態で記録され、前記計算機(2,7)によって、見当合わせズレ/位置合わせズレに関して評価され、次に前記計算機(2,7)は、前記見当合わせズレ/位置合わせズレを修正し、
既知の直径を有する円形の測定マーク(9,11)が各色分解版に対して、前記テストパターン(12,19)内に統合され、前記計算機(2,7)は、各円形の測定マーク(9,11)の中心位置をサブピクセルの精度で求め、これによって前記見当合わせズレ/位置合わせズレを計算する方法において、
各円形の測定マーク(9,11)の前記中心位置を求めるために、前記計算機(2,7)が、少なくとも1つの円形の測定マーク(9,11)を備える画像領域を前記デジタルの全体画像から切り出し、前記円形の測定マーク(9,11)の中心点から外側へ向かう半径方向における色の強度経過f(r)によって規定される印刷点のモデルのパラメータを、前記デジタルの全体画像から特定
インクジェット印刷機(4)の、隣り合って配置されている印刷ヘッドから成るプリントバー(15)の間で、前記見当合わせズレを求めるために、前記方法が実施され、前記円形の測定マーク(9)が、行の形状で、前記印刷機(4)を通る前記印刷基材の移動方向に対して水平にまたは垂直に、前記印刷基材上に配置され、
前記プリントバー(15)の間での前記見当合わせズレを求めるために、前記計算機(2,7)によって、前記円形の測定マーク(9)の前記中心位置と、その既知の理想的な位置と、の間の偏差が特定され、
前記印刷基材にわたった前記偏差の平均化のために、外れ値・ロバスト回帰方法が適用され、ここから、前記見当合わせズレが求められ、前記計算機(2,7)によって、前記プリントバー(15)の位置を、前記見当合わせズレがキャンセルされるように、前記見当合わせズレと反対方向に変更する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
個々の画像センサ(5)によって完全に検出され、唯一のデジタルの全体画像において画像化されるように、前記円形の測定マーク(9,11)が前記印刷基材上に配置される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
円形の測定マーク(9,11)として、既知の直径を有する、内部が色で満たされた円である円板(9,11)または内部が色で満たされていない円である円環が各色分解版に対して使用される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記円形の測定マーク(9)は、2つの印刷ヘッドの間の重畳領域に印刷されてはならない、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機による、印刷機における自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための方法に関する。
【0002】
本発明は、印刷の質のコントロールの技術領域に属する。
【背景技術】
【0003】
印刷プロセスの実行時には、作成された印刷製品の、その後の質のコントロールが、極めて重要な部分になる。このような印刷の質のコントロールの重要な部分は、いわゆる位置合わせ(用語の解釈次第では、見当合わせとして知られている)の検査である。ここで位置合わせは、従来の見方では一般的に、印刷基材上の題材の位置を表しており、見当合わせは多色印刷において個々の色分解版を重ねて印刷することを意図している。特に、個々の色分解版が正確に重ねて印刷されなければならない、種々の色分解版を用いたこのような多色印刷では、個々の色分解版の印刷画像における、題材もしくは個々の印刷対象物のズレは、いわゆる見当不良の発生につながり得る。見当合わせズレまたは位置合わせズレとも称され得るこの種のズレは、ここで、周囲位置合わせと、側方位置合わせに分けられる。周囲位置合わせズレはここで、他の色分解版に対する特定の色分解版の、上方または下方へのズレを表している。これに対して側方位置合わせは、他の色分解版に対する、左または右への相応のズレを表している。さらなる位置合わせズレは、いわゆる対角線位置合わせに関する。
【0004】
位置合わせズレを求めるために、通常は、テストパターン/テストマークが、題材の一部である元来の印刷画像の隣に印刷される。このようなレジスターマークは、例えば、特定の幾何学形状的な配置における、個々の色分解版の対象物から成る。これによって、1つまたは複数の色分解版の位置合わせズレの場合、迅速に、どの色分解版がズレを有しているのか、および偏差が正確にはどのような種類であるのかが求められる。印刷されたレジスターマークの評価を手動で、ユーザーによって行うことができる。しかし今日では、例えば固有の特別な位置合わせセンサによる自動的な評価が、本質的に一般的である。この位置合わせセンサはレジスターマークを検出し、計算機に供給する。計算機はこれを、生じている可能性のある位置合わせズレに関して評価する。元来は、印刷題材の質のコントロールのために使用され、多くの場合には印刷機内に、最後の印刷機構の後に、インラインで取り付けられている画像検出システムを使用することも知られている。位置合わせズレが求められると、ユーザーもしくは印刷工は手動で、または印刷機の制御部は自動的に、この位置合わせズレを補償することができる。これは例えば、個々の色分解版の印刷画像データが相応に逆向きに整合されることによって行われる。ユーザーによる周辺位置合わせ、側方位置合わせおよび対角線位置合わせの修正を用いた、機械による整合も、ある程度までは可能である。
【0005】
しかし、位置合わせズレを求めるこれらの解決方法の欠点は、多くの場合に、位置合わせセンサと、この位置合わせセンサによって読み出される固有のレジスターマークとを備える完全に固有の評価システムが必要である、ということである。このようなコストを低減するために、しばしば、上述したように、別の画像センサまたはカメラが、レジスターマークの評価のために使用される。このような画像センサまたはカメラのタスクは、例えば、画像コンテンツに関する印刷の質の検査またはカラーコントロールである。しかしこれは、このカメラが充分に高い画像解像度を有しており、レジスターマークも正確に目的を定めて検出および評価することができる場合にのみ可能である。
【0006】
さらに、従来技術から、独国特許発明第102004021597号明細書(DE102004021597B4)が既知である。これは位置合わせセンサによって読み出されるレジスターマークを開示している。しかしここでは、レジスターマークは、付加的に、調整されるべき位置合わせ色の色測定のための幅広い領域を含んでいる。すなわち、このような場合には、位置合わせズレの評価は、印刷プロセスのカラーコントロールもしくは色制御と結び付いている。ここでは位置合わせセンサは、レジスターマークから位置合わせズレを読み出すためだけにではなく、同様に、相応する色分解版の色値を読み出すためにも用いられる。すなわち、ここで提示されているレジスターマークは、いわば、レジスターマークと、色測定領域もしくはカラーコントロールストリップとの合成物である。したがって、このような解決方法によって、カラーコントロールのコストは低減されるが、位置合わせズレの算出に対するコストは低減されない。さらに、しばしば、位置合わせズレと色制御をこのように結び付けることは望まれていない。なぜならこのようなアプローチは特に、色制御に対する質の要求が極めて高い場合に、最適な結果を提供しないからである。
【0007】
さらに、現在、まだ開示されていない独国特許出願公開第102018211922号明細書(DE102018211922A1)から、このような問題に対して、ある方法が公知であり、この方法は、円板から成るテストパターンを用い、この円板の中心を特定することによって、画像検出システムのカメラ配向、インクジェット印刷機の印刷ヘッド配向ならびにこのインクジェット印刷機の印刷プロセスにおける、生じている可能性のある見当合わせズレおよび位置合わせズレを求め、相応に修正する。しかしこのような方法は、インクジェット印刷機のために開発されており、極めて特別なテストパターンを使用する。このようなテストパターンは、相当する円板によって埋められたシート全体を必要とし、ここから、この方法によって、見当不良を計算することができる。これは、印刷機、特に当然にはオフセット印刷機において、しかしインクジェット印刷機においても、標準的な見当合わせ測定および位置合わせ測定に対してそれほど良く適していない。なぜならこれによって、刷り損じが増大し、印刷プロセスの生産性が相応に下がるからである。すなわち、このような方法もしくはここから既知の円板状のテスト領域を、自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための標準的な方法に対しても使用する手法を見出さなければならないだろう。ここでは、ここから既知のテストパターンが、円形のテスト領域ならびに中心特定のための相応する方法によって次のように整合される。すなわち、これらが、シート全体を埋めていない通常のテストパターンによって使用可能であるように整合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、円形のテストケースの中心特定のための既知の方法を利用するが、このようなこれまでの、従来技術から既知の方法よりも効率的である、印刷機における自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題は、計算機による、印刷機における自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための方法によって解決され、ここでは、複数の色分解版を伴うテストパターンが、印刷機によって、印刷基材上に印刷され、画像検出システムの少なくとも1つの画像センサによって、デジタルの全体画像の形態で記録され、計算機によって、見当合わせズレ/位置合わせズレに関して評価され、次に計算機が、見当合わせズレ/位置合わせズレを修正する。ここで、既知の直径を有する円形の測定マークは各色分解版に対して、テストパターン内に統合され、計算機は、各円形の測定マークの中心位置をサブピクセルの精度で求め、これによって見当合わせズレ/位置合わせズレを計算する。この方法は、各円形の測定マークの中心位置を求めるために、計算機が、少なくとも1つの円形の測定マークを備える画像領域をデジタルの全体画像から切り出し、この円形の測定マークの印刷点のモデルのパラメータを、デジタルの全体画像から特定することを特徴とする。本発明による方法の基本的な考えは、円形の測定マークもしくはテスト領域の中心特定のための既知の方法が求められ、これを、自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための方法に統合することである。このような本発明の方法では、元来、カラーコントロールに使用され、元来の印刷画像の隣にカラーコントロールストリップの形態で配置されるテストパターンが印刷され、画像検出システムによってデジタル化され、計算機によって、見当合わせズレおよび位置合わせズレに関して評価される。これによって、固有の位置合わせセンサおよび固有のレジスターマークを使用する必要がなくなる。したがって、このようなテストパターンに、円形の測定マークの中心特定のための既知の方法を投入するためには、相応するテストパターン内に、既知の直径を有する同様の円形の測定マークが、各色分解版に対して、統合されなければならない。これによって、一方では、元来の方法のように、シート全体にわたって延在しているテストパターンを使用する必要が回避される。元来の印刷画像の外に位置しており、したがって、刷り損じの増大および生産性の低減をもたらさない円形の測定マークをカラーコントロールストリップ内に統合すれば、完全に足りる。円形の測定マークの中心特定のための元来の方法では、シート全体にわたって延在するこのようなテストパターンが必要である。なぜなら、このような方法の元来の背景は、画像センサもしくはカメラの位置算出ならびにインクジェット印刷機の印刷ヘッドの位置検出にあるからである。このために、このようなシートを埋めるテストパターンが必要である。しかし、自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための方法に対しては、各段に小さいテストパターンで完全に足りる。元来は、色測定のためのものであるカラーコントロールストリップ内への統合によって、シート全体を埋めるテストパターンの使用を回避するだけでなく、付加的に、一挙に、固有の位置合わせセンサによって評価されなければならない固有のレジスターマークを省くことができる。本発明による方法はここで、これに加えて、従来技術から既知の方法と比べて、明確な効率の上昇をもたらす。必要なモデルはここで、円板の中心点から外側へ向かう半径方向の強度経過によって規定される。この半径方向の強度経過は同様に、実質的に、半径R0における、中心の色値から背景の値への跳躍として規定されており、これは、対物レンズの制限された結像能力を考慮するために、さら拡幅される。
【0010】
本発明の有利な発展形態は、属する従属請求項ならびに明細書および属する図面から明らかである。
【0011】
本発明による方法の別の有利な発展形態では、個々の画像センサによって完全に検出され、唯一のデジタルの全体画像において画像化されるように、円形の測定マークが印刷基材上に配置される。画像検出システムは複数の画像センサもしくはカメラを有している。しかし、各円形の測定マークの中心位置を求めるための方法の実施を保証するために、各円形の測定マークがテストパターンにおいて、少なくとも1つの個々の画像センサによって完全に検出され、これに相応して唯一のデジタルの全体画像において画像化されることが必要である。円形の測定マークが部分的にのみ、ある画像センサによって検出され、別の部分が別の画像センサによって検出されるならば、さらなる評価を可能にするために、結果として生じる2つの画像が、計算機によって、その後で再び合成されなければならないだろう。しかし、2つの画像のこのような合成によって、合成された画像において欠陥が生じてしまうことがある。これは例えば、2つの画像半部の僅かなズレによって生じる。しかしこれは、相応する円形の測定マークの可用性にとって、極めて不都合であろう。
【0012】
本発明による方法の別の有利な発展形態では、円形の測定マークとして、既知の直径を有する、閉じられている円板または開放されている円環が各色分解版に対して使用される。開放されている円環は、閉じられている円板に対して、理論的に、これが印刷技術によるアーチファクトの影響を受けにくいという利点を有している。他方で、閉じられている円板は、使用において有効であることが既に実証されている。すなわち、これが有用に機能することが判明しており、また、開放されている円環の使用に対してはまだ、それほど多くの経験値が存在していない。
【0013】
本発明による方法の別の有利な発展形態では、インクジェット印刷機の、隣り合って配置されている印刷ヘッドから成るプリントバーの間で、見当合わせズレを求めるために、この方法が実施され、円形の測定マークが、行の形状で、水平にまたは垂直に、印刷基材上に配置される。カラーコントロールストリップ内に配置されている円形の測定マークを評価することによって、見当合わせ測定および位置合わせ測定のための、円形の測定マークの中心を特定する方法の基本的な使用方法は、特に、2つの主要適用領域に分けられる。最初の適用領域は、インクジェット印刷機におけるプリントバーの間での見当合わせズレの算出である。すなわちここで、見当合わせ測定もしくは位置合わせ測定は、これらの各プリントバーの間の見当合わせズレの算出と同じことを意味している。すなわち、印刷画像全体にわたって延在している色分解版の従来の見当合わせが意図されているのではなく、個々の、隣り合って配置されているプリントバーによって生じる見当合わせが意図されている。プリントバーの間でこのような見当合わせズレを相応に求めるために、円形の測定マークがテストパターンにおいて、もしくはカラーコントロールストリップにおいて、行の形状で、水平または垂直に、印刷基材上に配置されるべきである。重要なのは、相応する行が、1つより多くの、隣り合って配置されている印刷ヘッドにわたって延在しているということである。なぜなら、このようにして、相応する見当合わせズレを、これらの、隣り合って配置されている印刷ヘッドの間で求めることができるからである。
【0014】
本発明による方法の別の有利な発展形態では、プリントバーの間での見当合わせズレを求めるために、計算機によって、円形の測定マークの中心位置と、その既知の理想的な位置との間の偏差が特定され、印刷基材にわたったこのような偏差の平均化のために、外れ値・ロバスト回帰方法が適用され、ここから、見当合わせズレが求められ、計算機によって、プリントバーの、抵抗する駆動制御によって補償される。当然、これに対する前提条件は、一方では、円形の測定マークの中心の理想的な位置もしくは目標位置が既知であり、他方では、円形の測定マークの中心の実際位置が、中心算出のための相応する方法によって修正して求められているということである。そうである場合には、直線が、色分解版の全ての点偏差によって覆われる、もしくは全ての点偏差によって平均化される。この場合にはこのような直線は、フレームにおけるプリントバーの配向に対するモデルであり、これによって、任意の箇所での理想的な水平な線からの平均的な偏差を特定することができる。自由選択的に、求められ、平均化された点偏差をさらに改善するために、別の、同様のテストパターンの1つまたは複数の新たな測定が実行されてもよい。これによって、空間におけるプリントバーの配向が求められ、ここから、プリントバーの間の見当合わせズレが求められ、計算機によって、プリントバーの、抵抗する駆動制御によって補償される。
【0015】
本発明による方法の別の有利な発展形態では、円形の測定マークは、2つの印刷ヘッドの間の重畳領域に印刷されてはならない。個々の円形の測定マークは、隣り合って配置されている印刷ヘッドが、見当合わせズレを有している可能性があるという事実に基づいて、それぞれ、1つの印刷ヘッドだけによって印刷されてよいので、したがってこれは、2つの印刷ヘッドの間の重畳領域、いわゆるスティッチングにおいて、印刷されてはならない。
【0016】
本発明による方法の別の有利な発展形態では、オフセット印刷機において見当合わせズレ/位置合わせズレを求めるために、この方法が実施され、円形の測定マークが既存の印刷コントロールストリップ内に統合され、ここで円形の測定マークは、従来の適した色測定領域の代わりに用いられる。このような円形の測定マークを伴うカラーコントロールストリップの使用による、自動的な見当合わせ測定および位置合わせ測定のための、統合された方法における、円形の測定マークの中心を求める方法の基本的な使用方法の第2の適用可能性は、オフセット印刷機に対する、見当合わせ測定/位置合わせ測定の使用にある。ここでは、円形の測定マークは、既存の印刷コントロールストリップもしくはカラーコントロールストリップ内に統合され、従来の色測定領域の代わりだけをする。円形の測定マークは同様にそれぞれ色分解版を表すので、これによって、このような印刷コントロールストリップにおける元来の色測定が実行され、さらに円形の測定マークの中心を求める方法の適用によって、同時に、見当合わせズレ/位置合わせズレの算出が実行される。この方法はここでは、インクジェット印刷機の、隣り合って配置されている印刷ヘッドから成るプリントバーの間での見当合わせズレの算出のための方法と同様に、計算機によってサポートされて実施される。ここでこの計算機は、有利には、画像検出システムの画像処理計算機である。しかし画像検出システムによって生成されたデータにアクセスすることができる任意の他の計算機も可能である。異なる計算機の間でタスクを分けることも、1つの選択肢である。したがって、例えば、画像検出システムの計算機によって、見当合わせズレ/位置合わせズレの評価および算出が行われ、求められた見当合わせズレ/位置合わせズレの修正が、印刷機の制御計算機によって実行されてよい。ここで、正確に、どの計算機が、どのような目的に使用されるのかは、通常、印刷機システムの構造に関連している。
【0017】
本発明自体ならびに本発明の構造的かつ機能的に有利な発展形態を以降で、属する図面を参照して、少なくとも1つの有利な実施例に基づいて詳細に説明する。図面では、相互に対応する要素にそれぞれ同じ参照番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】画像検出システムの概略図である。
図2】色分解版に対する、使用されているテストパターンシートの例である。
図3】オフセットカラーコントロールストリップ内に統合されている円板の例である。
図4】インクジェット印刷機用の円板を備える見当合わせマーク/レジスターマークの例である。
図5】プリントバーの修正された傾斜位置を有していない見当不良の例と、プリントバーの修正された傾斜位置を有している見当不良の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
近年の高い価格カテゴリー/性能カテゴリーのインクジェット印刷機およびオフセット印刷機4がそうであるように、使用されている印刷機4が、測定システム1として、通常、複数のカメラ5ならびに固有の画像処理計算機7を備えている、組み込まれた画像検出システム1を有している場合には、そのカメラ5の画像は、位置合わせ測定のために使用される。これは、ユーザー6が、もはや手動で、レジスターマーク、カラーコントロールストリップ19等を読み出し、評価する必要がないという利点を有している。図1は、概略的に、本発明の方法を使用する、この種の画像検出システム1の構造を示している。これは、印刷機4内に統合されている少なくとも1つの画像センサ5、通常はカメラ5から成る。少なくとも1つのカメラ5は、印刷機4によって生成された印刷画像を記録し、このデータを、評価のために、計算機2、7に送信する。このような計算機2、7は、有利には、固有の別個の計算機7、例えば1つまたは複数の特別な画像処理計算機7であるが、印刷機4の制御計算機2と同じであってもよい。少なくとも、印刷機4の制御計算機2はディスプレイ3を有しており、このディスプレイ上に、画像検査の結果が表示される。
【0020】
図2は、使用される、従来技術から既知のテスト印刷パターン10の例を示している。これは1つの色分解版のためだけに含まれている。このような場合には、当然、テスト印刷パターン10は、各色分解版に対して印刷および評価されなければならない。この種のテスト印刷パターン10の標準的な評価は、ここで、以下のように行われる。
【0021】
印刷シート上に、円板9で埋められた行が配置され、各印刷ヘッドは円板9を成す。ここで印刷ヘッド毎に、少なくとも3つの円板9が、スティッチング領域内に印刷されないように分配されている。各印刷ヘッドは、隣り合って位置する円板9の少なくとも2つの完全なセットを印刷するべきである。円板9は、ここで、できるだけ大きい領域が、y方向において拡がっているように、シートにわたって分配されるべきである。これは、2つの座標方向(x:プリントバー方向、y:紙搬送方向)における高い解像度を保証する。円板9は、これが、空白行または斜めに噴射するノズルの存在時にも、本発明の方法にとって良好な結果をもたらすように、十分に大きくなくてはならない。この円板サイズは、実験に基づき、シミュレーションによって特定される。上述したカメラシステム5からの高い質の画像の場合には、60カメラピクセルの目標サイズで十分であり、または670dpiのカメラ解像度の場合には、2.2mmを上回る直径で十分である。大きい行に対する幾らかの間隔を伴い、かつ印刷パターンの始まりのできるだけ近くに、カメラ5毎に、1つの付加的な、オフセットされた点8が配置される。これは、点を探すための参照(参照点8)を可能にする。要件は、上述したものと同じである。
【0022】
後続の方法に対しては、円板9の中心点をサブピクセルの精度で特定する部分的な方法が必要である。このために使用される方法は、以降のように実施される。
【0023】
調べられるべき円板9に対する印刷色は既知であるので、画像は、このような情報によって、例えばチャネルR、GまたはBの選択によって、被印刷材料に対する高いコントラストを伴って、理想的には、コントラストが高いグレースケール画像に変換される。例えば、元来の円板9の約2倍の大きさの領域(ROI)が、グレースケールに変換された全体画像から切り出される。円板9を備えるROIにおいて、縁部検出が実行され、円板9の縁部が1ピクセルの幅の線として、バイナリー画像10内に保たれる。ここで、この時点で二重の線として浮かび上がる、円板9における線のアーチファクトをフィルタによって除去するために、別のフィルタが使用される。この別のフィルタは、まずは、バイナリー画像において、1つのピクセルから成り、少なくとも9つのピクセル分の高さを有している垂直な線を見つけ、次にこれをマスクによって除去する。これによって、縁部検出後に、欠陥のない円板9が、結果として得られる。少なくとも9つのピクセルの境界は、この方法を、別のカメラ解像度に合わせることを可能にするために、設定可能にされている。バイナリー画像は、近似的に質量重心として特定されている、円板9の中心点による十字を中心に拡張される。この結果はMASKEと称される。MASKEは最終的に、拡張によって、3~5つのピクセル分、拡幅される。正確に、どのくらいのピクセル分、拡張されるのかは、使用されているカメラシステムの結像能力もしくはステップ応答に関連する。ここで非線形最小二乗フィッティングが、マスキングされたROIデータに対して実行され、ここで印刷点のモデルのパラメータが特定される。このモデルは、円板の中心点(x0,y0)から外側へ向かう半径方向の強度経過f(r)によって規定される。半径方向の強度経過f(r)は、実質的に、半径r0における、中心の色値(A0+A1)から、背景の値A0への跳躍として規定されている。これはさらに幅w分、拡幅され、これによって、対物レンズの制限された結像能力が考慮される。さらに、非対称ファクタaが考慮されてよく、これによって、例えば、x方向とy方向における異なる解像度が考慮される。これは、例えば、比較的高い印刷速度を補償するための、ある方向における解像度の低減にも関連する。
【0024】
全てのこれらのパラメータに対して、まずは、合理的な開始パラメータが選択される。このようなパラメータは、例えば、x0、y0に対する画像の質量重心、r0に対する印刷画像から予期される半径、wに対する機械経験値等である。次に、例えばレーベンバーグ・マーカート法等の数値学の標準的な方法によってフィッティングが実行される。
【0025】
このような結果の意味性が検査される。したがって、例えば半径もしくは中心が、拡張された領域内に位置するはずである。そうでない場合には、相応する円板9が疑問視され、さらなる評価には使用されない。このようなアルゴリズムは、円板9が完全にROI内に位置しておらず、50~60%を上回る割合だけ可視である場合にも機能する。しかし、ここでは場合によって、正確さが犠牲になる。しかしこれは、結果の重み付けまたはスコアリングを介して、考慮可能である。
【0026】
円板9を備えるテストパターン10を評価するためのこのような標準的な方法は、ここで枚葉オフセット印刷機4のためのインライン測定および見当合わせ偏差/位置合わせ偏差の調整に使用されるべきである。このために、これまでに使用されてきた見当合わせマーク/レジスターマークの種々の整合が必要である。したがってここで、較正点/円板9が、従来のカラーコントロールストリップ19内に統合される。
【0027】
図3は、統合された較正点/円板11を備える、このようなオフセットカラーコントロールストリップ19の結果を示している。使用されている画像検出システム1の解像度は、ここで、検出されるべき見当合わせ/位置合わせ調節(サブピクセル)より低くてもよい。各色分解版に対する、個々の測定マークもしくは円板11の配置は、ここで、測定マークが重畳することのない最大の調節可能性を考慮する。
【0028】
円板11が統合されたカラーコントロールストリップ19の使用例を、以降で詳細に説明する。
【0029】
円板11を伴う水平の行が使用される場合、印刷機構毎に少なくとも1つの円を既知の印刷コントロールストリップ内に統合することが可能である。
【0030】
行の長さは、L=2×xa+4×d+3×xiであり、円板11の直径は、d=(L-2×xa-3×xi)×1/4であり、ここで、円板11の間の間隔であるxi=0.8mm、カラーコントロールストリップ19の次の対象物と行の間の間隔であるxa=0.5mmを伴って、この場合には、行の長さL=13mmが生じ、ここで、円板11の最大の可能な直径d=2.275mmである。一般的には、可能な直径は、0.2~5mmの範囲にある。
【0031】
このような整合されたカラーコントロールストリップ19によって、次に、円板11の評価のための上述の方法が実施され、これによって、見当合わせ偏差/位置合わせ偏差が計算される。この際に、固有のレジスターマークを使用する必要はない。カラーコントロールストリップ19内への円板11の統合は、ここで、色測定もしくはカラーコントロールの元来のタスクを妨げない。なぜなら、円板11も種々の色分解版を再現し、色測定に適しているからである。
【0032】
インクジェット印刷機4内で使用される場合には、適用ケースは若干異なっている。ここでは、それぞれ隣り合って配置されている印刷ヘッドから成る2つのプリントバー15の間の見当合わせが測定されるべきである。すなわち、1つの色の印刷ヘッドの間の見当合わせズレ/位置合わせズレではなく、異なる色のプリントバー15全体の間の見当合わせ/位置合わせズレが意図されている。これは大まかに、色分解版の間の見当合わせに相応する。
【0033】
このために必要なレジスターマーク、すなわち、異なる色分解版から成る、整合されたインクジェットテスト印刷パターン12は、最低直径を伴う円板11から成るので、印刷ヘッド内の欠陥を有する印刷ノズルの存在も、見当合わせ測定に影響を与えない。図4は、印刷画像における、整合されたインクジェットテスト印刷パターン12の構造および配列の例を示している。図の上方には、本発明に相応に整合された標準的なパターンが示されている。色毎に、ここで2つの円板11が、印刷ヘッドにおいて印刷され、参照のために、これに対して測定が行われる参照色の円板11が、その間に印刷される。その下に示されている、図4における配列はここで、本発明による標準的なパターンの拡張であり、これは、ストリップにおける、異なる色の測定も可能にする。また、整合された標準的なパターンにおいては、厳密に1つの見当合わせだけが測定可能である。図4の、整合されたインクジェットテスト印刷パターン12の行は、ここで、カラーコントロールストリップ19に類似して、題材上の場所に応じて、垂直または水平に、元来の印刷画像の隣に配置される。ここでは、垂直な配列が有利である。重要なのは、誤ってアライメントされた印刷ヘッドによる欠陥を回避するために、円板11が、2つの印刷ヘッドの間の重畳領域(スティッチング領域)に印刷されない、ということである。さらに、2つのカメラ5相互の不正確なアライメント/配向による欠陥を回避するために、円板11での完全な測定を可能にする円板11のグループが常に、カメラ5によって完全に検出されなければならない。
【0034】
プリントバー15相互の見当合わせの調整方法はここで、以降のように実施され、結果に関して、図5において再度、概略的に示されている。図5の上方の部分はここで、見当合わせが、プリントバー15の間の見当合わせを考慮せずに調整された場合に生じる見当不良13を示している。左側の円板11は良好に調整されており、最小の見当合わせ偏差16を示しているが、中間の円板11および右側の円板11は、プリントバーのズレによってそれぞれ、中間の見当合わせ偏差17もしくは大きい見当合わせ偏差18を有していることが極めて良く見て取れる。これはより良好に、図5の下方部分において調整され、ここでは見当不良14は、プリントバー15の間の見当合わせを考慮して調整される。ここでは、ワースト・ケースにおいて中間の見当合わせ偏差17が生じる。プリントバー15の間の見当合わせを考慮して調整する方法はここで以下のように実行される。
【0035】
1.参照色(典型的には黒)に対する1つの色/各色の見当合わせ偏差が特定される。
a.全ての円板11を大まかに見つけ、切り出す。自由選択的にこれは、円特徴検出(例えばハフ変換)を介して行われてもよい。
b.各円板11の中心位置をサブピクセルの精度で特定する。
c.座標変換を用いて中心位置を実際の座標(例えばミリメーターまたは印刷ピクセル)に再計算する。
d.テストストリップの配向に対して横向きの偏差に対して、直線が、円板11の見つけられた位置を通って置かれる。このために、外れ値・ロバスト回帰方法、例えば反復再重み付け最小二乗法(IRLS)または通常の最小二乗法フィッティングが用いられる。これは、測定色および参照色に対して行われ、テストストリップの配向に対して横向きの見当合わせを特定するために、これらの直線の間隔が任意の箇所で計算される。場合によってはここで、測定点および参照点が線の上に印刷されなかったことが考慮される。2つの直線は、プリントバー15の間の角度を測定することも可能にする。択一的に、e.において記載される方法も使用可能である。
e.テストストリップに沿った偏差に対して、円板11の予期された理想の位置が(例えば、カメラ5の事前に特定された較正によって、または局部的に、周辺に位置する参照点から計算された、印刷画像とカメラ画像との間の較正/座標変換によって)特定される。予期された位置からの見つけられた位置の偏差はここで、測定マークでの見当不良である。
f.自由選択的:種々のシートおよび/または1つのシート上での種々の測定パターンからの測定を平均化する。
g.X/Yズレを特定し、これによって、シート全体にわたった見当合わせ偏差が最小化される。すなわち、例えば左側は0ではなく、右側はこれに対して過度に大きくない(図5の下の図を参照)。
【0036】
2.測定された偏差を補償するために、機械制御部において、特定されたX/Yズレを逆方向において調節する。
【0037】
3.再び測定を行う。
a.境界よりも小さい偏差→終了
b.境界よりも大きい偏差→ステップ1に戻る
【0038】
別の有利な実施形態では、さらに、2つの適用ケースに対して、円板9、11の代わりに、適した直径を有する、開放された円環も使用される。これは、これらが同様に、既知の印刷コントロールストリップ19またはレジスターマーク内に統合可能の場合である。これらは、理論的に、印刷技術によるアーチファクトの影響を受けにくい。
【0039】
2つの適用ケース、すなわちオフセットとインクジェットに対する本発明による方法の利点は、位置合わせ/見当合わせ調整のために、別個の測定機器がもはや必要ではない、ということである。なぜなら、いずれにせよ存在している、画像検出システム1のカメラ5が利用されるからである。さらに、複数のシートにわたった平均化が可能であり、シート上の任意の箇所においても特別なマークが使用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 画像検出システム
2 印刷機の制御計算機
3 ディスプレイ
4 印刷機(インクジェットまたはオフセット)
5 画像センサ/カメラシステム
6 ユーザー
7 画像処理計算機
8 色分解版に対する参照のための参照点
9 色分解版の較正点/円板
10 色分解版に対する標準的なインクジェットテスト印刷パターン
11 整合されたテストパターンにおける種々の色分解版の較正点/円板
12 種々の色分解版の整合されたインクジェットテスト印刷パターン
13 修正された傾斜位置を伴わない、プリントバーにおける見当合わせ・位置合わせ不良
14 修正された傾斜位置を伴う、プリントバーにおける見当合わせ・位置合わせ不良
15 印刷ヘッドのプリントバー
16 良好に調整された見当合わせ
17 中間の見当合わせ偏差
18 大きい見当合わせ偏差
19 統合された較正点/円板を伴う、オフセットカラーコントロールストリップ
図1
図2
図3
図4
図5