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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/06 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
F24F3/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019224315
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021092363
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】390003333
【氏名又は名称】新晃工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 敦
(72)【発明者】
【氏名】両木 強
(72)【発明者】
【氏名】古谷 光
(72)【発明者】
【氏名】山元 浩暉
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-041495(JP,A)
【文献】特開2004-353893(JP,A)
【文献】特開2010-243004(JP,A)
【文献】特開2012-172877(JP,A)
【文献】特開2016-194383(JP,A)
【文献】特開2018-063086(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0019906(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気をコイルに通風させて空調処理を行う空調装置において、
前記コイルは、外気を冷却、冷却除湿又は加熱自在な冷温水コイルと、外気を冷却自在な予冷コイルと、外気を加熱自在な再熱コイルとを有し、外気の通流方向において、予冷コイル、冷温水コイル、再熱コイルの順に配置され、
前記予冷コイルでの冷却及び前記再熱コイルでの加熱を行うために、前記予冷コイルと前記再熱コイルとの間で熱媒体を循環させる熱媒体循環部と、
前記予冷コイル、前記冷温水コイル、前記再熱コイルの順に外気を通風させる第1通風状態と、前記予冷コイル及び前記再熱コイルの少なくとも一方側に外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイルに外気を通風させる第2通風状態とに切替自在な通風状態切替部と、
前記熱媒体循環部を作動させて前記通風状態切替部を第1通風状態に切り替える再熱モードと、前記熱媒体循環部を作動停止させて前記通風状態切替部を第2通風状態に切り替える非再熱モードとを実行自在な制御部とが備えられている空調装置。
【請求項2】
前記通風状態切替部は、前記第2通風状態において、前記予冷コイル及び前記再熱コイルの両方に外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイルに外気を通風させる請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
外気の通流方向において前記冷温水コイルと前記再熱コイルとの間に、冷水専用コイルが配置され、
前記通風状態切替部は、
前記第1通風状態において、前記予冷コイル、前記冷温水コイル、前記冷水専用コイル、前記再熱コイルの順に外気を通風させ、
前記第2通風状態において、前記予冷コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイル、前記冷水専用コイル、前記再熱コイルに外気を通風させる冷房用第2通風状態と、前記予冷コイル、前記冷水専用コイル及び前記再熱コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイルに外気を通風させる暖房用第2通風状態とに切替自在に構成されている請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記通風状態切替部は、第1通風状態及び第2通風状態に加えて、前記予冷コイル、前記冷温水コイル、前記再熱コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、外気を通風させる第3通風状態に切替自在に構成され、
前記制御部は、再熱モード及び非再熱モードに加えて、前記熱媒体循環部を作動停止させて前記通風状態切替部を第3通風状態に切り替えるバイパスモードを実行自在に構成されている請求項1~3の何れか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記予冷コイル、前記冷温水コイル、及び、前記再熱コイルが内蔵され、外気を通風自在なケーシングが備えられ、
そのケーシングには、流入口からの外気を通風させる第1通風路と、その第1通風路の下流側端部にて折り返して反対方向に通風させて流出口に外気を導く第2通風路とが備えられ、
前記通風状態切替部は、前記第1通風路の上流側端部と前記第2通風路の下流側端部とを非連通状態として、第1通風状態又は第2通風状態に切替自在であり、且つ、前記第1通風路の上流側端部と前記第2通風路の下流側端部とを連通状態として、第3通風状態に切替自在に構成されている請求項4に記載の空調装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気をコイルに通風させて空調処理を行う空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置は、外気をコイルに通風させて空調処理を行い、空調処理後の空気を空調対象空間に供給している。このような空調装置では、温度だけでなく湿度も調整可能とする高機能化に伴って、空調処理を行うためのコイルを複数備えることが求められている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の空調装置では、コイルとして、外気を冷却自在な予冷コイルと、外気を冷却自在な冷却コイルと、外気を冷却又は加熱自在な補助コイルと、外気を加熱自在な再熱コイルとを有し、外気の通流方向において、予冷コイル、冷却コイル、補助コイル、再熱コイルの順に配置されている。これにより、予冷コイルでの予冷、冷却コイルでの冷却(冷却除湿)、補助コイルでの加熱、再熱コイルでの再熱等を行い、温度及び湿度を調整した外気を空調対象空間に供給している。
【0004】
また、特許文献1に記載の空調装置では、予冷コイル、冷却コイル、補助コイル、再熱コイルをバイパスさせて外気を通風させるバイパス路が備えられ、外気の通風状態として、予冷コイル、冷却コイル、補助コイル、再熱コイルの全てのコイルに対して外気を通風させるだけでなく、予冷コイル、冷却コイル、補助コイル、再熱コイルをバイパスさせて外気を通風させることも可能となっている。これにより、暖房運転時や暖房加湿運転時には、予冷コイル、冷却コイル、補助コイル、再熱コイルを休止状態とし、バイパス路を通風させる外気の流量を最大とすることで、各コイルでの圧力損失を抑え、外気を通風させるファンの動力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4582243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、空調負荷の状況によっては、予冷コイルでの予冷や再熱コイルでの再熱を行わずに、冷却コイルでの冷却を行い、冷却コイルにて冷却された外気を空調対象空間に供給したい場合もある。この場合に、冷却コイルに外気を通風させるために、冷却コイルだけでなく、予冷コイルや再熱コイルに対しても、外気を通風することになると、コイルでの圧力損失が増大して、外気を通風させるファンの動力が増大してしまう。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、予冷コイルでの予冷や再熱コイルでの再熱を行わずに、冷却コイルでの冷却を行いたいという要望に応えながら、コイルでの圧力損失の低減を図り、外気を通風させるファンの動力を低減して省エネルギー化を図ることができる空調装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、外気をコイルに通風させて空調処理を行う空調装置において、
前記コイルは、外気を冷却、冷却除湿又は加熱自在な冷温水コイルと、外気を冷却自在な予冷コイルと、外気を加熱自在な再熱コイルとを有し、外気の通流方向において、予冷コイル、冷温水コイル、再熱コイルの順に配置され、
前記予冷コイルでの冷却及び前記再熱コイルでの加熱を行うために、前記予冷コイルと前記再熱コイルとの間で熱媒体を循環させる熱媒体循環部と、
前記予冷コイル、前記冷温水コイル、前記再熱コイルの順に外気を通風させる第1通風状態と、前記予冷コイル及び前記再熱コイルの少なくとも一方側に外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイルに外気を通風させる第2通風状態とに切替自在な通風状態切替部と、
前記熱媒体循環部を作動させて前記通風状態切替部を第1通風状態に切り替える再熱モードと、前記熱媒体循環部を作動停止させて前記通風状態切替部を第2通風状態に切り替える非再熱モードとを実行自在な制御部とが備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、制御部は、再熱モードだけではなく、非再熱モードを実行することができるので、予冷コイルでの予冷、冷温水コイルでの冷却又は加熱、再熱コイルでの再熱により、温度及び湿度を調整した外気を空調対象空間に供給できるだけでなく、予冷コイルでの予冷及び再熱コイルでの再熱を行わずに、冷温水コイルでの冷却又は加熱により空調処理された外気を空調対象空間に供給することができる。
【0010】
再熱モードと非再熱モードとを切り替えるためには、熱媒体循環部を作動と作動停止とに切り替え、通風状態切替部を第1通風状態と第2通風状態とに切り替えるだけでよく、構成の簡素化を図りながら、冷温水コイルにて冷却又は加熱された外気を空調対象空間に供給したいという要望に応えることができる。
【0011】
しかも、非再熱モードでは、通風状態切替部を第2通風状態に切り替えるので、予冷コイル及び再熱コイルの少なくとも一方側に外気を通風させずにバイパスさせながら、冷温水コイルに外気を通風させることで、コイルでの圧力損失を低減することができ、外気を通風させるファンの動力を低減して省エネルギー化を図ることができる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記通風状態切替部は、前記第2通風状態において、前記予冷コイル及び前記再熱コイルの両方に外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイルに外気を通風させる点にある。
【0013】
本構成によれば、第2通風状態では、予冷コイル及び再熱コイルの両方に外気を通風させずにバイパスさせながら、外気を通風させることで、コイルでの圧力損失を更に低減することができ、更に省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、外気の通流方向において前記冷温水コイルと前記再熱コイルとの間に、冷水専用コイルが配置され、
前記通風状態切替部は、
前記第1通風状態において、前記予冷コイル、前記冷温水コイル、前記冷水専用コイル、前記再熱コイルの順に外気を通風させ、
前記第2通風状態において、前記予冷コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイル、前記冷水専用コイル、前記再熱コイルに外気を通風させる冷房用第2通風状態と、前記予冷コイル、前記冷水専用コイル及び前記再熱コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、前記冷温水コイルに外気を通風させる暖房用第2通風状態とに切替自在に構成されている点にある。
【0015】
本構成によれば、第1通風状態及び冷房用第2通風状態では、冷温水コイルに加えて、冷水専用コイルにも外気を通風させるので、冷水専用コイルを用いて、外気を十分に冷却することができ、十分な冷却効果を得ることができる。
【0016】
暖房用第2通風状態では、予冷コイル及び再熱コイルの両方に加えて、冷水専用コイルに外気を通風させずにバイパスさせるので、コイルでの圧力損失を更に低減することができ、更に省エネルギー化を図ることができる。
【0017】
しかも、冷房用第2通風状態と暖房用第2通風状態とで、冷水専用コイルに外気を通風させるか否かを切り替えるに当たり、冷水専用コイルの下流側に配置される再熱コイルも冷水専用コイルと合わせて切り替えているので、冷水専用コイルの上流側にて外気の通風状態を切り替えための構成を追加するだけでよく、外気の通風状態を切り替えるための構成の簡素化を図ることができる。
【0018】
よって、冷水専用コイルを用いた好適な冷房を行うことができながら、外気の通風状態を切り替えるための構成の簡素化を図り、省エネルギー化を効果的に図ることができる。
【0019】
本発明の第4特徴構成は、前記通風状態切替部は、第1通風状態及び第2通風状態に加えて、前記予冷コイル、前記冷温水コイル、前記再熱コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、外気を通風させる第3通風状態に切替自在に構成され、
前記制御部は、再熱モード及び非再熱モードに加えて、前記熱媒体循環部を作動停止させて前記通風状態切替部を第3通風状態に切り替えるバイパスモードを実行自在に構成されている点にある。
【0020】
本構成によれば、制御部は、再熱モード及び非再熱モードに加えて、バイパスモードを実行自在であるので、予冷コイルでの予冷、冷温水コイルでの冷却又は加熱、再熱コイルでの再熱の何れも行わずに、外気を空調対象空間に供給して、外気冷房を行うことができる。
しかも、バイパスモードでは、通風状態切替部を第3通風状態に切り替えるので、予冷コイル、冷温水コイル及び再熱コイルに外気を通風させずにバイパスさせながら、外気を通風させることで、コイルでの圧力損失を低減することができ、外気を通風させるファンの動力を低減して省エネルギー化を図ることができる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、前記予冷コイル、前記冷温水コイル、及び、前記再熱コイルが内蔵され、外気を通風自在なケーシングが備えられ、
そのケーシングには、流入口からの外気を通風させる第1通風路と、その第1通風路の下流側端部にて折り返して反対方向に通風させて流出口に外気を導く第2通風路とが備えられ、
前記通風状態切替部は、前記第1通風路の上流側端部と前記第2通風路の下流側端部とを非連通状態として、第1通風状態又は第2通風状態に切替自在であり、且つ、前記第1通風路の上流側端部と前記第2通風路の下流側端部とを連通状態として、第3通風状態に切替自在に構成されている点にある。
【0022】
本構成によれば、予冷コイルでの予冷、冷温水コイルでの冷却又は加熱、再熱コイルでの再熱の何れも行わない場合には、通風状態切替部が、ケーシングにおける第1通風路の上流側端部と第2通風路の下流側端部とを連通状態として、第3通風状態に切替自在である。これにより、予冷コイル、冷温水コイル、及び、再熱コイルの何れのコイルにも外気を通風させないだけでなく、外気を通風させる距離を極力短くすることができるので、外気を通風させるファンの動力の低減を効果的に図ることができ、省エネルギー化を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】空調装置において第1実施形態の冷房用の再熱モードでの通風状態を示す図
図2】空調装置において第1実施形態の冷房用の非再熱モードでの通風状態を示す図
図3】空調装置において第1実施形態の暖房モードでの通風状態を示す図
図4】空調装置において第1実施形態のバイパスモードでの通風状態を示す図
図5】空調装置において第2実施形態の冷房用の再熱モードでの通風状態を示す図
図6】空調装置において第2実施形態の冷房用の非再熱モードでの通風状態を示す図
図7】空調装置において第2実施形態の暖房モードでの通風状態を示す図
図8】空調装置において第2実施形態のバイパスモードでの通風状態を示す図
図9】空調装置において第3実施形態の冷房用の再熱モードでの通風状態を示す図
図10】空調装置において第3実施形態の冷房用の非再熱モードでの通風状態を示す図
図11】空調装置において第3実施形態のバイパスモードでの通風状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る空調装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この空調装置1は、図1に示すように、外気OAを空調対象の空気として取り入れて、その外気OAをコイル2、3、5、6に通風させて空調処理を行い、空調処理後の空気等を給気SAとして空調対象空間に供給している。
【0025】
図1図4では、空気が通風するコイル2、3、5、6等が異なるだけで、空調装置1としては同じ構成を有している。そこで、まずは、図1に基づいて、空調装置1の構成について説明する。ちなみに、図1図4において、コイル2、3、5、6については、作動しているものを太線にて示し、作動していないものを細線にて示しており、ダンパーD1~D4については、開状態であるものを白抜きにて示し、閉状態であるものをグレーにて示している。
【0026】
空調装置1は、空気が通風する流路として、第1~第3流路R1~R3を備えている。図1では、第1~第3流路R1~R3のいずれも直線状の流路とし、第1流路R1を上下方向の中央に配置し、第2流路R2を上方側に配置し、第3流路R3を下方側に配置した状態を示している。
【0027】
第1流路R1の上流側端部には、外気OAを取り入れる流入口8が備えられ、第1流路R1の下流側端部には、空調処理後の給気SAを空調対象空間に供給する流出口9が備えられている。第1流路R1には、空気の通風方向の上流側から順に、第2ダンパーD2、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6、ファン7が備えられている。
【0028】
第2流路R2及び第3流路R3は、第1流路R1から分岐して空気を通風させたのち、第1流路R1に合流させる分岐合流流路として備えられている。第2流路R2の上流側端部は、第1連通部B1を通して、第1流路R1において第2ダンパーD2の上流側部位に連通接続されている。第2流路R2の下流側端部は、第2連通部B2を通して、第1流路R1において第2ダンパーD2と冷温水コイル3との間の部位に連通接続されている。第2流路R2には、空気の通風方向の上流側から順に、第1ダンパーD1、予冷コイル2が備えられている。
【0029】
第3流路R3の上流側端部は、第3連通部B3を通して、第1流路R1において第2ダンパーD2の上流側部位に連通接続されている。第3流路R3の途中部位は、第4連通部B4(図3参照)を通して、第1流路R1において加湿器4と冷水専用コイル5の間の部位が連通接続されている。第3流路R3の下流側端部は、第5連通部B5を通して、第1流路R1においてファン7の配設部位に連通接続されている。第3流路R3の上流側端部には、第3ダンパーD3が備えられている。
【0030】
予冷コイル2は、熱媒体循環路22にて供給される熱媒体(例えば、冷水)と通風される空気とを熱交換させて、通風される空気を冷却(予冷)させるように構成されている。熱媒体循環路22には、予冷コイル2に熱媒体を循環供給して、予冷コイル2への熱媒体の供給量を調整自在な循環ポンプ23が備えられている。
【0031】
冷温水コイル3は、外部の熱源機等から冷温水用循環路31にて供給される熱媒体(例えば、冷水又は温水)と通風される空気とを熱交換させて、通風される空気を冷却又は加熱させるように構成されている。冷温水用循環路31には、冷温水コイル3への熱媒体の供給を断続自在であり、且つ、冷温水コイル3への熱媒体の供給量を調整自在な冷温水用調整弁32が備えられている。冷温水コイル3は、冷温水用循環路31にて供給する熱媒体を冷却用熱媒体(例えば、冷水)と加熱用熱媒体(例えば、温水)とに切り替えることで、通風される空気を冷却する状態と加熱する状態とに切り替えられる。
【0032】
加湿器4は、例えば、加湿用供給路41にて供給される加湿用媒体を用いて、通風される空気を加湿する水気化式に構成されている。加湿用供給路41には、加湿器4への加湿用媒体の供給を断続自在であり、且つ、加湿器4への加湿用媒体の供給量を調整自在な加湿用調整弁42が備えられている。
【0033】
冷水専用コイル5は、外部の熱源機等から冷水専用循環路51にて供給される熱媒体(例えば、冷水)と通風される空気とを熱交換させて、通風される空気を冷却させるように構成されている。冷水専用循環路51には、冷水専用コイル5への熱媒体の供給を断続自在であり、且つ、冷水専用コイル5への熱媒体の供給量を調整自在な冷水専用調整弁52が備えられている。
【0034】
再熱コイル6は、熱媒体循環路22にて供給される熱媒体(例えば、温水)と通風される空気とを熱交換させて、通風される空気を加熱させるように構成されている。熱媒体循環路22は、予冷コイル2と再熱コイル6とに接続されており、予冷コイル2と再熱コイル6との間で熱媒体を循環自在に構成されている。これにより、熱媒体循環部21が、熱媒体循環路22、及び、循環ポンプ23にて構成されている。熱媒体循環部21は、予冷コイル2における冷却により温度上昇した熱媒体を再熱コイル6に供給して、再熱コイル6における加熱を行うことができ、更に、再熱コイル6における加熱により温度低下した熱媒体を予冷コイル2に供給して、予冷コイル2における冷却を行うことができる。熱媒体循環部21は、予冷コイル2と再熱コイル6との間で熱媒体を循環して熱の授受を行い、省エネルギー化を図りながら、予冷コイル2での冷却及び再熱コイル6での加熱の両者を行うことができる。予冷コイル2における冷却も、再熱コイル6における加熱も、それほど大きな負荷が求められないので、熱媒体の循環により予冷コイル2での冷却及び再熱コイル6での加熱の両者を効果的に行うことができる。
【0035】
ダンパーD1~D4は、開状態と閉状態とに切り替えることで、空気を通風させる状態と通風させない状態とに切り替えるようにしている。第1ダンパーD1は、第2流路R2において予冷コイル2の上流側に配置されており、予冷コイル2に対して空気を通風させる状態と通風させない状態とに切り替えている。第2ダンパーD2は、第1流路R1において冷温水コイル3の上流側に配置されており、第1流路R1においてその設置箇所よりも下流側に空気を通風させる状態と通風させない状態とに切り替えている。第3ダンパーD3は、第3流路R3の上流側端部に配置されており、第3流路R3に対して空気を通風させる状態と通風させない状態に切り替えている。第4ダンパーD4は、第4連通部B4に対して空気を通風させる状態と通風させない状態とに切り替えている。第4連通部B4は、第1流路R1における加湿器4と冷水専用コイル5との間の部位と第3流路R3の途中部位とを連通接続するように備えられている。
【0036】
このように、ダンパーD1~D4を開状態と閉状態とに切り替えることで、どのコイル2、3、5、6に空気を通風させるかを切り替えており、第1~第3流路R1~R3、及び、第1ダンパーD1~第4ダンパーD4により通風状態切替部11が構成されている。図1図4に基づいて、通風状態切替部11による通風状態の切り替えについて説明する。
【0037】
通風状態切替部11は、図1に示す第1通風状態と、図2に示す冷房用第2通風状態と、図3に示す暖房用第2通風状態と、図4に示す第3通風状態とに切替自在に構成されている。冷房用第2通風状態と暖房用第2通風状態とが、予冷コイル2及び再熱コイル6の少なくとも一方側に外気OAを通風させずにバイパスさせながら、冷温水コイル3に外気OAを通風させる第2通風状態に相当する。
【0038】
第1通風状態では、図1に示すように、通風状態切替部11が、第1ダンパーD1を開状態とし、第2~第4ダンパーD2~D4を閉状態として、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の順に外気OAを通風させている。
【0039】
冷房用第2通風状態では、図2に示すように、通風状態切替部11が、第2ダンパーD2を開状態とし、第1ダンパーD1、第3ダンパーD3及び第4ダンパーD4を閉状態として、予冷コイル2に外気OAを通風させずにバイパスさせながら、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の順に外気OAを通風させている。
【0040】
暖房用第2通風状態では、図3に示すように、通風状態切替部11が、第2ダンパーD2及び第4ダンパーD4を開状態とし、第1ダンパーD1及び第3ダンパーD3を閉状態として、予冷コイル2、冷水専用コイル5、及び、再熱コイル6に外気OAを通風させずにバイパスさせながら、冷温水コイル3、加湿器4に外気OAを通風させている。
【0041】
第3通風状態では、図4に示すように、通風状態切替部11が、第3ダンパーD3を開状態とし、第1ダンパーD1、第2ダンパーD2及び第4ダンパーD4を閉状態として、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の全てのコイルに外気OAを通風させずにバイパスさせながら、外気OAをそのまま通風させている。
【0042】
空調装置1は、図1に示すように、空調装置1の運転を制御する制御部10が備えられている。制御部10は、ファン7、通風状態切替部11、熱媒体循環部21、冷温水用調整弁32、加湿用調整弁42、冷水専用調整弁52等の作動状態を制御することで、空調装置1を複数の運転モードに切り替えている。制御部10は、流出口9から供給される給気SAや空調対象空間の空気における温度を検出する温度センサ及び湿度を検出する湿度センサの検出情報に基づいて、給気SAの温度及び湿度を調整している。制御部10は、複数の運転モードの夫々において、温度センサの検出温度が目標温度となり、且つ、湿度センサの検出湿度が目標湿度となるように、ファン7の回転速度、熱媒体循環部21における循環ポンプ23の回転速度、冷温水用調整弁32の開度、加湿用調整弁42の開度、冷水専用調整弁52の開度等を制御している。
【0043】
空調装置1は、運転モードとして、再熱モードと非再熱モードとバイパスモードとを備えているので、各運転モードについて説明する。運転モードの切り替えは、例えば、ユーザがリモコンを操作することで、運転モードを人為操作に基づいて切り替えたり、空調対象空間の負荷状況や季節等に応じて、運転モードを自動的に切り替えることもできる。
【0044】
冷房用の再熱モードでは、図1に示すように、制御部10が、ファン7を作動させ、熱媒体循環部21を作動させ、冷却用熱媒体を供給する状態にて冷温水用調整弁32を開状態とし、冷水専用調整弁52を開状態とし、通風状態切替部11を第1通風状態に切り替えている。図1の矢印にて示すように、冷房用の再熱モードでは、取り入れた外気OAが、第1連通部B1を通して第1流路R1から第2流路R2に通風して予冷コイル2に通風され、予冷コイル2にて冷却(予冷)される。予冷コイル2を通過した外気OAは、第2連通部B2を通して第2流路R2から第1流路R1に通風して冷温水コイル3に通風され、冷温水コイル3にて冷却(冷却除湿)される。冷温水コイル3を通過した外気OAは、加湿器4を通過したのち、冷水専用コイル5に通風され、冷水専用コイル5にて冷却(冷却除湿)される。冷水専用コイル5を通過した外気OAは、再熱コイル6に通風され、再熱コイル6にて加熱(再熱)され、給気SAとして流出口9から空調対象空間に供給される。
【0045】
冷房用の再熱モードでは、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の順に外気OAが通風されている。外気OAは、予冷コイル2における冷却(予冷)、冷温水コイル3における冷却(冷却除湿)、冷水専用コイル5における冷却(冷却除湿)、再熱コイル6における加熱(再熱)等の複数の空調処理を経て、給気SAの温度及び湿度が目標温度及び目標湿度になるように調整されている。よって、給気SAの温度を目標温度にするだけでなく、給気SAの湿度を目標湿度に調整することができ、空調対象空間の快適性の向上を図ることができる。
【0046】
冷房用の非再熱モードでは、図2に示すように、制御部10が、ファン7を作動させ、熱媒体循環部21を作動停止させ、冷却用熱媒体を供給する状態にて冷温水用調整弁32を開状態とし、冷水専用調整弁52を開状態とし、通風状態切替部11を冷房用第2通風状態に切り替えている。図2の矢印にて示すように、冷房用の非再熱モードでは、取り入れた外気OAが、第1流路R1を通風して予冷コイル2をバイパスする状態で冷温水コイル3に通風され、冷温水コイル3にて冷却(冷却除湿)される。冷温水コイル3を通過した外気OAは、加湿器4を通過したのち、冷水専用コイル5に通風され、冷水専用コイル5にて冷却(冷却除湿)される。冷水専用コイル5を通過した外気OAは、再熱コイル6をそのまま通過して、給気SAとして流出口9から空調対象空間に供給される。
【0047】
冷房用の非再熱モードでは、予冷コイル2がバイパスされて、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の順に外気OAが通風されている。外気OAは、冷温水コイル3における冷却(冷却除湿)、冷水専用コイル5における冷却(冷却除湿)の複数の空調処理を経て、給気SAの温度や湿度が目標温度や目標湿度になるように調整されている。冷房用の非再熱モードでは、外気OAが予冷コイル2に通風されずにバイパスされるので、それだけ圧力損失の低減を図ることができ、ファン7の動力を低減して省エネルギー化を図ることができる。ちなみに、冷房用の非再熱モードにおいて、冷温水コイル3での冷却(冷却除湿)だけで給気SAの温度や湿度を目標温度や目標湿度とすることができる場合には、制御部10が、冷水専用調整弁52を閉状態として、冷水専用コイル5を非作動状態に切り替えることもできる。
【0048】
暖房モード(非再熱モードに相当する)では、図3に示すように、制御部10が、ファン7を作動させ、熱媒体循環部21を作動停止させ、加熱用熱媒体を供給する状態にて冷温水用調整弁32を開状態とし、加湿用調整弁42を開状態とし、通風状態切替部11を暖房用第2通風状態に切り替えている。図3の矢印にて示すように、暖房モードでは、取り入れた外気OAが、第1流路R1を通風して予冷コイル2をバイパスする状態で冷温水コイル3に通風され、冷温水コイル3にて加熱される。冷温水コイル3を通過した外気OAは、加湿器4に通風され、加湿器4にて加湿される。加湿器4を通過した外気OAは、第4連通部B4を通して第1流路R1から第3流路R3に通風され、冷水専用コイル5及び再熱コイル6をバイパスして、給気SAとして流出口9から空調対象空間に供給される。
【0049】
暖房モードでは、予冷コイル2、冷水専用コイル5及び再熱コイル6がバイパスされて、冷温水コイル3、加湿器4の順に外気OAが通風されている。外気OAは、冷温水コイル3における加熱、加湿器4における加湿の空調処理を経て、給気SAの温度及び湿度が目標温度及び目標湿度になるように調整されている。暖房モードでは、外気OAが、予冷コイル2、冷水専用コイル5、再熱コイル6の3つのコイルに通風されずにバイパスされるので、それだけ圧力損失の低減を図ることができ、ファン7の動力を低減して省エネルギー化を図ることができる。ちなみに、図3では、加湿器4を作動させる状態を示しているが、例えば、給気SAの湿度が目標湿度以上であれば、加湿器4を作動させない状態とすることもできる。
【0050】
バイパスモードでは、図4に示すように、制御部10が、ファン7を作動させ、熱媒体循環部21を作動停止させ、通風状態切替部11を第3通風状態に切り替えている。図4の矢印にて示すように、バイパスモードでは、取り入れた外気OAが、第3連通部B3を通して第1流路R1から第3流路R3に通風して、そのまま第3流路R3を通風され、給気SAとして流出口9から空調対象空間に供給される。
【0051】
バイパスモードでは、いずれのコイル2、3、5、6にも外気OAが通風されずにバイパスされて、空調処理されることなく、外気OAがそのまま給気SAとして空調対象空間に供給され、空調対象空間が外気冷房される。バイパスモードでは、外気OAが、予冷コイル2、冷温水コイル3、冷水専用コイル5、再熱コイル6の全てのコイルに通風されずにバイパスされるので、それだけ圧力損失の低減を図ることができ、ファン7の動力を低減して省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、図5図8に示すように、第1実施形態における空調装置1をケーシングKに内蔵させた場合を示している。よって、基本的な構成については、第1実施形態と同様であるので、同符号を記す等により説明は省略し、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0053】
制御部10は、第1実施形態と同様に、運転モードとして、再熱モードと非再熱モードとバイパスモードとに切替自在に構成されている。図5は、冷房用の再熱モードを示しており、図6は、冷房用の非再熱モードを示しており、図7は、暖房モードを示しており、図8は、バイパスモードを示している。
【0054】
図5図8では、ファン7等を省略して図示しており、コイル2、3、5、6への空気の通風状態がどのような状態であるかが分かるように示している。図5図8において、空気が通風するコイル2、3、5、6等が異なるだけで、空調装置1としては同じ構成を有している。そこで、まずは、図5に基づいて、空調装置1の構成について説明する。ちなみに、図5図8において、コイル2、3、5、6については、作動しているものを太線にて示し、作動していないものを細線にて示しており、ダンパーD5~D8については、開状態であるものを白抜きにて示し、閉状態であるものをグレーにて示している。
【0055】
図5に示すように、空調装置1は、例えば、矩形状のケーシングKが備えられ、そのケーシングKに、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6が内蔵されている。ケーシングKには、空気を通風させる流路として、第4流路R4と第5流路R5とが備えられている。第4流路R4(第1通風路に相当する)は、流入口8からの外気OAを、図5において左側から右側に通風させる直線状の流路となっている。第5流路R5(第2通風路に相当する)は、第4流路R4の下流側端部にて折り返して反対方向(図5において右側から左側に向かう方向)に通風させて流出口9に外気OAを導く直線状の流路となっている。
【0056】
第4流路R4の途中部位には、第1区画体E1が備えられ、その第1区画体E1にて上流側の第1空間C1と下流側の第2空間C2とに区画されている。第1空間C1の上流側端部に流入口8が備えられ、第2空間C2内に予冷コイル2が配置されている。第1区画体E1には、第1空間C1と第2空間C2とを連通する第6連通部B6と第7連通部B7とが備えられている。第6連通部B6は、予冷コイル2から外れた位置に配置され、第7連通部B7は、予冷コイル2と対向する位置に配置されている。第1空間C1と第2空間C2との連通状態を切り替えるダンパーとして、第7連通部B7を開状態と閉状態とに切り替える第5ダンパーD5と、第6連通部B6を開状態と閉状態とに切り替える第6ダンパーD6とが備えられている。
【0057】
第5流路R5の途中部位には、第2区画体E2が備えられ、その第2区画体E2にて上流側の第3空間C3と下流側の第4空間C4とに区画されている。第3空間C3内に冷温水コイル3及び加湿器4が隣接する状態で配置されており、第4空間C4内に冷水専用コイル5及び再熱コイル6が間隔を隔てる状態で配置されている。第2空間C2と第3空間C3とは、第8連通部B8により第2空間C2(第4流路R4)の下流側端部と第3空間C3(第5流路R5)の上流側端部とが連通されている。第2区画体E2には、第3空間C3と第4空間C4とを連通する第9連通部B9と第10連通部B10とが備えられている。第9連通部B9は、冷水専用コイル5から外れた位置に配置され、第10連通部B10は、冷水専用コイル5と対向する位置に配置されている。第3空間C3と第4空間C4との連通状態を切り替えるダンパーとして、第9連通部B9を開状態と閉状態とに切り替える第7ダンパーD7が備えられており、第10連通部B10は常時開状態とされている。
【0058】
第4流路R4と第5流路R5とを区画する第3区画体E3が備えられている。第3区画体E3において第1空間C1と第4空間C4とが隣接する部位には、第1空間C1と第4空間C4とを連通する第11連通部B11が備えられている。第1空間C1と第4空間C4との連通状態を切り替えるダンパーとして、第11連通部B11を開状態と閉状態とに切り替える第8ダンパーD8が備えられている。
【0059】
通風状態切替部11は、第4流路R4及び第5流路R5と第5~第8ダンパーD5~D8とから構成されており、第5~第8ダンパーD5~D8の夫々を開状態と閉状態とに切り替えることで、図5に示す第1通風状態と、図6に示す冷房用第2通風状態と、図7に示す暖房用第2通風状態と、図8に示す第3通風状態とに切替自在に構成されている。
【0060】
冷房用の再熱モードでは、図5に示すように、制御部10が、第5ダンパーD5を開状態とし、第6~第8ダンパーD6~D8を閉状態として、通風状態切替部11を第1通風状態に切り替えている。冷房用の再熱モードでは、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の順に外気OAが通風されている。外気OAは、予冷コイル2における予冷、冷温水コイル3における冷却除湿、冷水専用コイル5における冷却、再熱コイル6における加熱等の複数の空調処理を経て、給気SAとして空調対象空間に供給される。
【0061】
冷房用の非再熱モードでは、図6に示すように、制御部10が、第6ダンパーD6を開状態とし、第5ダンパーD5、第7ダンパーD7及び第8ダンパーD8を閉状態として、通風状態切替部11を冷房用第2通風状態に切り替えている。冷房用の非再熱モードでは、第6連通部B6を通して外気OAが通風されて予冷コイル2がバイパスされ、冷温水コイル3、加湿器4、冷水専用コイル5、再熱コイル6の順に外気OAが通風されている。第6連通部B6は、予冷コイル2から外れた位置に配置されており、第2空間C2では、予冷コイル2が大きな圧力損失(通気抵抗)となる。よって、第6連通部B6を通して通風された外気OAは、予冷コイル2を外れた位置を通風することになり、予冷コイル2をバイパスすることができる。外気OAは、冷温水コイル3における冷却、冷水専用コイル5における冷却の複数の空調処理を経て、給気SAとして空調対象空間に供給される。
【0062】
暖房モード(非再熱モードに相当する)では、図7に示すように、制御部10が、第6ダンパーD6及び第7ダンパーD7を開状態とし、第5ダンパーD5及び第8ダンパーD8を閉状態として、通風状態切替部11を暖房用第2通風状態に切り替えている。暖房モードでは、予冷コイル2、冷水専用コイル5及び再熱コイル6がバイパスされて、冷温水コイル3、加湿器4の順に外気OAが通風されている。第10連通部B10が冷水専用コイル5に対向する位置に配置され、且つ、第10連通部B10と冷水専用コイル5とが通風方向で隣接して備えられている。これにより、第10連通部B10は常時開状態であるが、冷水専用コイル5が大きな圧力損失(通気抵抗)となるので、この圧力バランスによって、第7ダンパーD7を開状態とするだけで、第9連通部B9を通して空気(外気OA)を通風させることができる。また、第4空間C4では、冷水専用コイル5及び再熱コイル6が大きな圧力損失(通気抵抗)となっているので、第9連通部B9を通して通風された外気OAは、冷水専用コイル5及び再熱コイル6から外れた位置を通風することになり、冷水専用コイル5及び再熱コイル6をバイパスすることができる。予冷コイル2のバイパスは、冷房用の非再熱モードと同様であるので、説明は省略する。外気OAは、冷温水コイル3における加熱、加湿器4における加湿の空調処理を経て、給気SAとして空調対象空間に供給される。
【0063】
バイパスモードでは、図8に示すように、制御部10が、第8ダンパーD8を開状態とし、第5~第7ダンパーD5~D7を閉状態として、通風状態切替部11を第3通風状態に切り替えている。バイパスモードでは、全てのコイル2、3、5、6がバイパスされて、空調処理されることなく、外気OAがそのまま給気SAとして空調対象空間に供給されている。第11連通部B11は、第4流路R4の上流側端部と第5流路R5の下流側端部とを連通しているので、第11連通部B11を通して外気OAを通風させることで、外気OAを通風させる距離を極力短くすることができる。よって、外気OAを通風させるファン7の動力の低減を効果的に図ることができ、省エネルギー化を効果的に図ることができる。
【0064】
〔第3実施形態〕
この第3実施形態は、第1実施形態において冷水専用コイル5等を省略した別実施形態であり、図9図11に基づいて、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
制御部10は、第1実施形態と同様に、運転モードとして、再熱モードと非再熱モードとバイパスモードとに切替自在に構成されている。図9は、冷房用の再熱モードを示しており、図10は、非再熱モードを示しており、図11は、バイパスモードを示している。
【0066】
図9図11において、空気が通風するコイル2、3、6等が異なるだけで、空調装置1としては同じ構成を有している。そこで、まずは、図9に基づいて、空調装置1の構成について説明する。ちなみに、図9図11において、コイル2、3、6については、作動しているものを太線にて示し、作動していないものを細線にて示しており、ダンパーD9~D12については、開状態であるものを白抜きにて示し、閉状態であるものをグレーにて示している。
【0067】
図9に示すように、空気が通風する流路として、第6流路R6及び第7流路R7が備えられている。第6流路R6には、空気の通風方向の上流側から順に、第9ダンパーD9、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、再熱コイル6、ファン7が備えられている。
【0068】
第7流路R7の上流側端部は、第12連通部B12を通して、第6流路R6において第9ダンパーD9の上流側部位に連通接続されている。第7流路R7の下流側端部は、第15連通部B15を通して、第6流路R6においてファン7の配設部位に連通接続されている。第7流路R7の途中部位には、空気の通風方向の上流側から順に、図10に示すように、第13連通部B13、第14連通部B14が備えられ、第6流路R6の途中部位に連通接続されている。第13連通部B13は、第6流路R6において予冷コイル2と冷温水コイル3との間の部位に配置されており、第14連通部B14は、第6流路R6において加湿器4と再熱コイル6との間の部位に配置されている。
【0069】
ダンパーとして、図9に示すように、第6流路R6の第9ダンパーD9に加えて、第13連通部B13を開状態と閉状態とに切り替える第10ダンパーD10と、第14連通部B14を開状態と閉状態とに切り替える第11ダンパーD11と、第7流路R7の途中部位を開状態と閉状態とに切り替える第12ダンパーD12とが備えられている。第12ダンパーD12は、第6流路R6において冷温水コイル3と加湿器4との間の部位に相当する位置に配置されている。
【0070】
通風状態切替部11は、第6流路R6及び第7流路R7と第9~第12ダンパーD9~D12とから構成されており、第9~第12ダンパーD9~D12の夫々を開状態と閉状態とに切り替えることで、図9に示す第1通風状態と、図10に示す第2通風状態と、図11に示す第3通風状態とに切替自在に構成されている。
【0071】
冷房用の再熱モードでは、図9に示すように、制御部10が、第9ダンパーD9を開状態とし、第10~第12ダンパーD10~D12を閉状態として、通風状態切替部11を第1通風状態に切り替えている。冷房用の再熱モードでは、予冷コイル2、冷温水コイル3、加湿器4、再熱コイル6の順に外気OAが通風されている。外気OAは、予冷コイル2における予冷、冷温水コイル3における冷却除湿、再熱コイル6における加熱等の複数の空調処理を経て、給気SAとして空調対象空間に供給される。
【0072】
冷房用の非再熱モードでは、図10に示すように、制御部10が、第10ダンパーD10及び第11ダンパーD11を開状態とし、第9ダンパーD9及び第12ダンパーD12を閉状態として、通風状態切替部11を第2通風状態に切り替えている。冷房用の非再熱モードでは、第12連通部B12を通して外気OAが第7流路R7に通風されて予冷コイル2がバイパスされたのち、第13連通部B13を通して第6流路R6に戻り、冷温水コイル3、加湿器4の順に外気OAが通風されている。加湿器4を通過した外気OAは、第14連通部B14を通して第7流路R7に通風されて再熱コイル6をバイパスしている。再熱コイル6は大きな圧力損失(通気抵抗)となるので、第11ダンパーD11を開状態とするだけで、加湿器4を通過した外気OAが、第14連通部B14を通して第7流路R7に通風されることになり、再熱コイル6をバイパスすることができる。冷房用の非再熱モードでは、予冷コイル2及び再熱コイル6をバイパスさせて、冷温水コイル3、加湿器4の順に外気OAが通風されている。外気OAは、冷温水コイル3における冷却の空調処理を経て、給気SAとして空調対象空間に供給される。
【0073】
バイパスモードでは、図11に示すように、制御部10が、第12ダンパーD12を開状態とし、第9~第11ダンパーD9~D11を閉状態として、通風状態切替部11を第3通風状態に切り替えている。バイパスモードでは、第12連通部B12を通して外気OAが第7流路R7に通風されて、全てのコイル2、3、6がバイパスされて、空調処理されることなく、第15連通部B15を通して第6流路R6に戻り、外気OAがそのまま給気SAとして空調対象空間に供給されている。
【0074】
この第3実施形態では、暖房モードについて、図示はしていないが、例えば、冷房用の非再熱モードと同様に、図10に示すように、制御部10が、第10ダンパーD10及び第11ダンパーD11を開状態とし、第9ダンパーD9及び第12ダンパーD12を閉状態として、通風状態切替部11を第2通風状態に切り替えることができる。これにより、暖房モードでは、冷房用の非再熱モードと同様に、予冷コイル2及び再熱コイル6をバイパスさせて、冷温水コイル3、加湿器4の順に外気OAが通風されている。外気OAは、冷温水コイル3における加熱、加湿器4における加湿の空調処理を経て、給気SAとして空調対象空間に供給される。
【符号の説明】
【0075】
1 空調装置
2 予冷コイル
3 冷温水コイル
5 冷水専用コイル
6 再熱コイル
8 流入口
9 流出口
10 制御部
11 通風状態切替部
21 熱媒体循環部
K ケーシング
R4 第4流路(第1通風路)
R5 第5流路(第2通風路)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11