(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】液体洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/12 20060101AFI20230724BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230724BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20230724BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230724BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20230724BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20230724BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20230724BHJP
D06M 13/256 20060101ALI20230724BHJP
D06M 13/325 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C11D1/12
C11D3/20
C11D3/43
C11D17/08
C11D3/30
C11D3/04
D06M13/224
D06M13/256
D06M13/325
(21)【出願番号】P 2019231324
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】廣島 理文
(72)【発明者】
【氏名】尾谷 佳則
(72)【発明者】
【氏名】宅見 洋輝
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517023(JP,A)
【文献】特開2019-044323(JP,A)
【文献】特開2017-214576(JP,A)
【文献】特開2016-204508(JP,A)
【文献】特開2003-081935(JP,A)
【文献】特開昭62-265397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)内部オレフィンスルホン酸塩〔以下、(A)成分という〕を1質量%以上50質量%以下、(B)結晶性の脂肪酸グリセリド〔以下、(B)成分という〕を0.001質量%以上1.0質量%以下、(C)水酸基を有する有機溶剤を0.1質量%以上40質量%以下、及び水を含有する液体洗剤組成物であって、
(A)成分中の(A1)炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩〔以下、(A1)成分という〕の割合が80質量%以上である、
液体洗剤組成物。
【請求項2】
(A1)成分が、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-1S)とスルホン酸基が5位以上に存在する炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-2S)とを含み、(A1)成分中の(IO-1S)の含有量と(IO-2S)の含有量との質量比である(IO-1S)/(IO-2S)が0.75以上5.5以下である、請求項1に記載の液体洗剤組成物。
【請求項3】
(B)成分が、脂肪族アシル基中に水酸基を有する結晶性の脂肪酸グリセリドである、請求項1又は2に記載の液体洗剤組成物。
【請求項4】
更に(D)アミン及びアンモニアから選ばれる化合物を0.01質量%以上10質量%以下含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項5】
全界面活性剤中の(A)成分の割合が1質量%以上である、請求項1~4の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者が繊維製品用液体洗剤に求める性能は多様化しており、洗浄性能だけでなく、洗い上がりの性能を損なわないことも求めている。具体的には、繊維製品に対する柔軟性だけでなく、使用時の見た目の仕上がり性(しわ抑制)に優れることが求められている。またこの効果は一年を通して季節に関係なく、どのような環境下における洗濯においても求められる機能である。
【0003】
従来、アニオン性界面活性剤、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、更には二重結合をオレフィン鎖の末端ではなく内部に有する内部オレフィンを原料として得られる内部オレフィンスルホン酸塩、炭素数2~3のオキシアルキレン基を含むノニオン界面活性剤は、家庭用及び工業用の洗浄成分として広く用いられている。
【0004】
特許文献1~3には、特定の炭素数を有する内部オレフィンスルホン酸塩及びこれを含有する洗浄剤組成物が記載されている。特許文献1、2には、毛髪洗浄時の起泡性や泡質などに優れることが記載されている。特許文献3には、特定のノニオン界面活性剤との併用により繊維を柔らかく仕上げることが記載されている。また、特許文献4には、所定の内部オレフィンスルホン酸塩を所定の洗濯方法で用いることで、繊維製品に柔軟性などの風合いを付与できることが記載されている。特許文献5には、所定の内部オレフィンスルホン酸塩を所定の洗濯方法で用いることで、繊維製品が有する吸水性を維持できることが記載されている。特許文献6には、所定の内部オレフィンスルホン酸塩を、繊維製品を柔らかく仕上げる改質剤として用いることが開示されている。特許文献7には、脂肪族アシル基中に水酸基を有する脂肪酸グリセリド、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤を及び水を所定条件で含有し、前記水を含む相に(A)成分を含む球形の結晶粒子を含有する、液体洗浄剤組成物用のチキソトロピー性付与剤、並びにこれを含有する液体洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-077126号公報
【文献】特開2014-076988号公報
【文献】特開2017-214567号公報
【文献】特開2017-214678号公報
【文献】特開2018-104880号公報
【文献】特開2018-66102号公報
【文献】特開2016-113510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
陰イオン性界面活性剤を主剤とする繊維製品向けの洗剤組成物は優れた洗浄性能を示す一方で、繊維製品に対し、乾燥後の仕上がりにおいてしわを形成し易く、特に綿製の繊維製品はしわになり易く、スチーム処理やアイロン掛けによるしわ伸ばしが求められる。界面活性剤として内部オレフィンスルホン酸塩を用いた洗剤は、繊維製品を柔らかな風合いに仕上げることが知られているが、乾燥後のしわ抑制効果について検討するものではなかった。また内部オレフィンスルホン酸は、低温(例えば0℃以下)において固化してしまうため、冬場などの使用など低温において性能が発揮しにくくなる傾向がある。
【0007】
本発明は、季節を問わず年間を通して、繊維製品に対して、新たな観点からの柔軟性を含めた良好な風合いと乾燥後のしわ抑制性に優れた仕上がりを与える液体洗剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の内部オレフィンスルホン酸塩を用いた液体洗剤につき鋭意研究を進めたところ、低温での保存と低温での洗浄であっても、洗浄性のみならず、しわ抑制効果を発揮し、柔軟性を付与することができる液体洗剤組成物を見出した。そして更に、脱水直後のような湿潤状態の繊維製品の柔軟性という評価方法を用いることで、脱水後の被洗物同士の絡まりが少なく、繊維製品を傷めず優しく仕上げる指標となりうること、そして乾燥後の繊維製品の風合いを柔らかく滑やかに仕上げるための洗剤組成物の指標となることを見出し、本発明に提案するに至った。脱水後の繊維製品の柔軟性の違いは、触ることで認知することができ、その違いは乾燥後の好ましい風合いの比較を容易にさせる。
【0009】
すなわち本発明は、(A)内部オレフィンスルホン酸塩〔以下、(A)成分という〕を1質量%以上50質量%以下、(B)結晶性の脂肪酸グリセリド〔以下、(B)成分という〕を0.001質量%以上1.0質量%以下、(C)水酸基を有する有機溶剤〔以下、(C)成分という〕を0.1質量%以上40質量%以下、及び水を含有する液体洗剤組成物であって、
(A)成分中の(A1)炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩〔以下、(A1)成分という〕の割合が80質量%以上である、
液体洗剤組成物に関する。
【0010】
本発明では、上記観点に鑑み、実施例では、脱水後の繊維製品を対象として柔軟性を評価している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、季節を問わず年間を通して、繊維製品に対して、新たな観点からの柔軟性を含めた良好な風合いと乾燥後のしわ抑制性に優れた仕上がりを与える液体洗剤組成物が提供される。
本発明の液体洗剤組成物は、例えば、冬場の低温洗濯環境下においても、洗浄のみならず、繊維製品に柔軟性を付与でき、かつしわ抑制性能に優れ、高い性能を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、内部オレフィンスルホン酸塩である。(A)成分の内部オレフィンスルホン酸塩は、炭素数16以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩であってよい。
そして、(A)成分中の炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩〔(A1)成分〕の割合が80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、そして、好ましくは100質量%であり、100質量%であってもよい。炭素数18以外の内部オレフィンスルホン酸塩は、炭素数が好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更により好ましくは16以上であり、そして好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更により好ましくは20以下の内部オレフィンスルホン酸塩である。
(A)成分、(A1)成分の炭素数は、スルホン酸塩が共有結合した内部オレフィンの炭素数を表す。
本発明では、(A)成分として所定量の(A1)成分を用いることで、柔軟性及びしわ抑制性に優れる。
本発明の液体洗剤組成物は、しわ抑制効果及び柔軟性の観点から、好ましくは(A)成分として炭素数16以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩を含有し、この炭素数の範囲の(A)成分中、(A1)成分の割合が80質量%以上である内部オレフィンスルホン酸塩を含有する。
なお、本発明では、(A)成分、(A)成分の含有量は、特に規定がない限り、ナトリウム塩に換算した場合の量である。すなわち、ナトリウム換算の量で(A)成分や(A1)成分の質量%や質量比を算出する。また、以下、(A)成分として説明している記載は(A1)成分にも適用できる。
【0013】
(A)成分の内部オレフィンスルホン酸塩は、原料として、炭素数18の内部オレフィン(二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィン)を80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含む内部オレフィンをスルホン化、中和及び加水分解することにより得られるスルホン酸塩である。
【0014】
かかる内部オレフィンには、二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるアルファオレフィン(以下、α-オレフィンともいう。)を微量に含有するものも含まれる。また、内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、オレフィンスルホン酸塩へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するオレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。
本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩((A)成分)という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(以下、HAS体ともいう。)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(以下、IOS体ともいう。)という。
なお、(A)成分中の化合物のHAS体とIOS体の質量比は、高速液体クロマトグラフィー質量分析計(以下、HPLC-MSと省略)により測定できる。具体的には、(A)成分のHPLC-MSピーク面積から質量比を求めることができる。
【0015】
内部オレフィンスルホン酸塩の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩としては後述する炭素数2以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩にはアミンの塩も含む。内部オレフィンスルホン酸塩の塩は、汎用性の観点から、好ましくはアルカリ金属塩であり、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩である。
【0016】
(A)成分の内部オレフィンスルホン酸塩のスルホン酸基は、上記の製法から明らかなように、内部オレフィンスルホン酸塩の炭素鎖、すなわちオレフィン鎖又はアルカン鎖の内部に存在し、その一部に炭素鎖の末端にスルホン酸基が存在するものも微量に含まれる場合もある。
【0017】
(A)成分中における、スルホン酸基が5位以上、好ましくは5位以上9位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、繊維の柔軟性向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。(A1)成分中における、スルホン酸基が5位以上、好ましくは5位以上9位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量も、この範囲が好ましい。
【0018】
(A)成分中における、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩[以下(IO-1S)という場合がある]の含有量と、スルホン酸基が5位以上、好ましくは5位以上9位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩[以下(IO-2S)という場合がある]の含有量との質量比である、(IO-1S)/(IO-2S)は、繊維の柔軟性向上の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5.5以下、更により好ましくは4以下である。(A1)成分中における、(IO-1S)/(IO-2S)の質量比も、この範囲が好ましい。
【0019】
尚、(A)成分中における、スルホン酸基の位置の異なる各化合物の含有量は、HPLC-MSにより測定できる。本明細書におけるスルホン酸基の位置の異なる各化合物の含有量は、(A)成分の全HAS体における、スルホン酸基が各位置にある化合物のHPLC-MSピーク面積に基づく質量比として求めるものとする。
【0020】
(A)成分中における、スルホン酸基が1位に存在するオレフィンスルホン酸塩の含有量は、洗浄に用いる水の温度が0℃以上15℃以下の低温であっても、繊維に良好な柔軟性を付与できる観点から、(A)成分中に、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、そして、生産コストの低減、及び生産性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上である。(A1)成分中における、スルホン酸基が1位に存在するオレフィンスルホン酸塩の含有量も、この範囲が好ましい。
これらの化合物のスルホン酸基の位置は、オレフィン鎖又はアルカン鎖における位置である。
【0021】
前記の内部オレフィンスルホン酸塩は、ヒドロキシ体とオレフィン体の混合物であることが出来る。(A)成分中の内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量との質量比(オレフィン体/ヒドロキシ体)は、0/100以上、更に5/95以上、そして、50/50以下、更に40/60以下、更に30/70以下、更に25/75以下であることが出来る。
【0022】
(A)成分中における内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量との質量比は、(A)成分から、高速液体クロマトグラフ質量分析計(HPLC-MS)により実施例記載の方法で測定することができる。
【0023】
(A)成分は、例えば、原料として、炭素数18の内部オレフィンを所定量含む内部オレフィン、好ましくは炭素数18の内部オレフィンを、スルホン化、中和及び加水分解することにより製造することができる。スルホン化反応は、内部オレフィン1モルに対し三酸化硫黄ガスを1.0~1.2モル反応させることにより行うことができる。反応温度は、20~40℃で行うことができる。
中和は、スルホン酸基の理論値に対し1.0~1.5モル倍量の水酸化ナトリウム、アンモニア、2-アミノエタノール等のアルカリ水溶液を反応させることにより行なわれる。加水分解反応は、水の存在下、90~200℃で30分~3時間反応を行えばよい。これらの反応は、連続して行うことができる。また反応終了後は、抽出、洗浄等により精製することができる。
【0024】
なお、内部オレフィンスルホン酸塩(A)を製造するにあたり、炭素数18の内部オレフィンを主に含む原料内部オレフィンを用いてスルホン化、中和、加水分解の処理を行ってもよく、炭素数18からなる原料内部オレフィンを用いてスルホン化、中和、加水分解の処理を行ったものに、また必要に応じて予め製造した異なる炭素数を有する複数種の内部オレフィンスルホン酸塩を混合してもよい。
【0025】
本発明において内部オレフィンとは、上記の如く、二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィンをいう。(A)成分に使用される内部オレフィンは炭素数18のみの単独で用いてもよく、炭素数18以外の炭素数のオレフィンを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
原料内部オレフィンをスルホン化し、中和し、加水分解して、(A1)成分を特定量含む(A)成分の内部オレフィンスルホン酸塩を得る場合、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの合計含有量は、繊維の柔軟性向上の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下である。
【0027】
原料内部オレフィン中における二重結合が1位に存在するオレフィン、いわゆるアルファオレフィンの合計含有量は、洗浄に用いる水の温度が0℃以上15℃以下の低温であっても、繊維に良好な柔軟性を付与できる観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、そして、生産コストの低減、及び生産性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上である。
【0028】
原料内部オレフィン中における二重結合が6位以上に存在するオレフィンの含有量は、溶液安定性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。なお、原料内部オレフィン中における二重結合の位置の最大値は、炭素数により異なる。
【0029】
原料内部オレフィン中における二重結合の分布は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(以下、GC-MSと省略)により測定することができる。具体的には、ガスクロマトグラフ分析計(以下、GCと省略)により炭素鎖長及び二重結合位置の異なる各成分を正確に分離し、それぞれを質量分析計(以下、MSと省略)にかけることで、その二重結合位置を同定することができ、そのGCピーク面積から各々の割合を求めることができる
【0030】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、結晶性の脂肪酸グリセリドである。ここで、(B)成分の脂肪酸グリセリドについて、結晶性であるとは、示差走査熱量測定での昇温時に吸熱ピークが検出される性質を有することをいう。本発明では、(A)成分に対して(B)成分を併用することにより、(A)成分の低温での安定性を高めることができるため、冬場の低温での洗濯においても優れた仕上がり性を発揮することができる。
【0031】
(B)成分としては、脂肪族アシル基中に水酸基を有する脂肪酸グリセリドが挙げられる。(B)成分は、(A)成分の低温安定性を高める点で、水素原子の1つ以上が水酸基で置換された炭素数14以上、18以下の脂肪族アシル基を有する脂肪酸グリセリドが好ましい。脂肪族アシル基中に水酸基を有することで、(B)成分同士の分子間水素結合により、(B)成分の結晶成長が促進される。また、脂肪族アシル基中に水酸基を有する脂肪酸グリセリドは、脂肪族アシル基中に水酸基を有する脂肪族アシル基を最大で3つ有することが出来る。脂肪族アシル基中に水酸基を有する脂肪酸グリセリドのアシル基の平均の数は、結晶形成が促進される点より、1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは2.5以上である。結晶の保存安定性の点より、前記平均の数は、好ましくは3である。また、脂肪族アシル基中に水酸基を有する脂肪酸グリセリドのよう素価は、より均一な結晶を生成することで、液体洗剤組成物の低温安定性を高める点で、5以下であることが好ましく、4以下がより好ましく、3以下がより好ましく、2以下がより好ましい。よう素価は、JIS K 0070:1992(化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法)に記載の方法に従って求めることが出来る。(B)成分としては、硬化ヒマシ油及び水添ヒマシ油から選ばれる1種以上の結晶性の脂肪酸グリセリドが好ましい。
【0032】
<(C)成分>
(C)成分は、水酸基を有する有機溶剤である。有機溶剤は、一般的には溶解剤として用いられている。しかしながら本発明においては、(A)成分及び(B)に対して(C)成分を併用することで、冬場の低温での洗濯においても優れた仕上がり性(柔軟性、しわ抑制)を発揮することできる。
【0033】
本発明の液体洗剤組成物の(A)成分及び(B)成分と併用することで、冬場の低温での洗濯においても優れた仕上がり性(柔軟性、しわ抑制)を高める観点から、(C)成分は、CLogPが-1.5以上2以下の有機溶剤であることが好ましい。本発明においてCLogPはPerkin Elmer社のChemBioDraw Ultra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出した計算値を用いる。なお、ClogPの値が大きい程、疎水性が高いことを表す。
【0034】
(C)成分は、本発明の液体洗剤組成物が低温での洗浄に用いられても、繊維製品に風合い及びしわ抑制能を付与する効果が向上できる観点から、CLogPが、好ましくは-1.4以上、より好ましくは-1.2以上、更に好ましくは-1以上、より更に好ましくは-0.8以上、より更に好ましくは-0.5以上、より更に好ましくは-0.1以上、より更に好ましくは0以上、より更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.4以上、より更に好ましくは0.6以上、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.7以下、より更に好ましくは1.6以下、より更に好ましくは1.5以下の、水酸基を有する有機溶剤である。
【0035】
(C)成分は、本発明の液体洗剤組成物が繊維製品に直接付着して洗浄されても、繊維製品に風合い及びしわ抑制能を付与する効果が向上できる観点から、CLogPが、好ましくは-1.4以上、より好ましくは-1.2以上、更に好ましくは-1以上、より更に好ましくは-0.8以上、より更に好ましくは-0.5以上、より更に好ましくは-0.1以上、より更に好ましくは0以上、より更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.4以上、より更に好ましくは0.6以上、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.7以下、より更に好ましくは1.6以下、より更に好ましくは1.5以下の、水酸基を有する有機溶剤である。
【0036】
(A)成分及び(B)成分の併用による繊維製品に柔軟性及びしわ抑制能を付与する効果を更に高めることが出来る点で、(C)成分は、下記(C1)成分~(C4)成分から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましい。
(C1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコール
(C2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコール
(C3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤(但し、炭化水素基は芳香族基を除く。)
(C4)成分:部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤
【0037】
以下に(C1)成分~(C4)成分の具体例を示す。尚( )内の数字は、Perkin Elmer社のChem Bio DrawUltra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出した各成分の計算値(CLogP)である。
【0038】
(C1)成分である、炭素数2以上6以下の1価のアルコールとして例えば、エタノール(-0.24)、1-プロパノール(0.29)、2-プロパノール(0.07)、フェノール(1.48)が挙げられる。
【0039】
(C2)成分である、炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコールとして例えば、エチレングリコール(-1.4)、プロピレングリコール(-1.1)、ブチレングリコール(-0.73)、ヘキシレングリコール(-0.02)、ジエチレングリコール(-1.3)、トリエチレングリコール(-1.5)、テトラエチレングリコール(-1.66)、ジプロピレングリコール(-0.69)、トリプロピレングリコール(-0.55)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(-0.56)、グリセリン(-1.5)が挙げられる。
【0040】
(C3)成分である、炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤として例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(-0.78)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(-0.26)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(-0.96)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(-0.39)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(0.52)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.67)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(-0.16)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(0.23)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(-0.03)、1-メトキシ-2-プロパノール(-0.30)、1-エトキシ-2-プロパノール(0.09)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(0.18)、1-メチルグリセリンエーテル(-1.43)、2-メチルグリセリンエーテル(-0.73)、1,3-ジメチルグリセリンエーテル(-0.67)、1-エチルグリセリンエーテル(-1.04)、1,3-ジエチルグリセリンエーテル(0.11)、トリエチルグリセリンエーテル(0.83)、1-ペンチルグリセリルエーテル(0.54)、2-ペンチルグリセリルエーテル(1.25)、1-オクチルグリセリルエーテル(2.1)、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(2.0)が挙げられる。
【0041】
(C4)成分である、部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤として例えば、2-フェノキシエタノール(1.2)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(1.25)、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル(1.08)、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル(算出不可)、2-ベンジルオキシエタノール(1.1)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(0.96)が挙げられる。
【0042】
(C)成分は、前記の(C3)成分及び(C4)成分から選ばれる水酸基を有する有機溶剤であって、前記のClogPが0.6以上1.5以下の有機溶剤が好ましい。
【0043】
本発明の液体洗剤組成物が、直接繊維製品に局所的に付着しても、繊維製品の柔軟性が向上し及びしわ抑制能を付与できる観点で、前記の(C3)成分及び(C4)成分から選ばれる有機溶剤であって、前記のClogPが0.6以上1.5以下の有機溶剤の含有割合は、全ての(C)成分中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。
【0044】
<組成>
本発明の液体洗剤組成物中の(A)成分の含有量は、繊維製品の柔軟性やしわ抑制能を高める観点から、1量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0045】
本発明の液体洗剤組成物中の(B)成分の含有量は、冬場の低温洗濯時における仕上がり性(柔軟性、しわ抑制)を高める観点から、0.001質量%以上、好ましくは0.005量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして、使用感を高める観点から、1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0046】
本発明の液体洗剤組成物中の(C)成分の含有量は、(A)成分の柔軟性しわ抑制能を高める観点から、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、好ましくは4量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、そして、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
【0047】
本発明の液体洗剤組成物中の(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)は、冬場の低温洗濯時の仕上がり性(柔軟性、しわ抑制能)を高める観点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは500以下である。
【0048】
本発明の液体洗剤組成物中の(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比(A)/(C)は、(A)成分の柔軟性やしわ抑制能を高める観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
【0049】
<水>
本発明の液体洗剤組成物の残部の水である。水は一般に液体洗剤に使用されている水を用いるが、脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下、添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。水の含有量は、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0050】
<任意成分、pH等>
【0051】
本発明の液体洗剤組成物には、以下に示す(D)成分~(H)成分及びその他本発明の効果を阻害しない限り、液体洗剤に配合することが知られている後述する任意成分を含有することが好ましい。
【0052】
<(D)成分>
本発明の液体洗剤組成物は、(D)成分として、アミン及びアンモニアから選ばれる化合物を含有することができる。(D)成分は、液体洗剤に配合する場合、アルカリ剤として働くが、本発明では、陰イオン界面活性剤、キレート剤などのアニオン性化合物の対イオンとして組成物中に含有されていてもよく、その場合は相安定化剤としても作用する。
【0053】
(D)成分としては、下記一般式(d1)~(d4)から選ばれるものを挙げることができる。
【0054】
【0055】
〔式中、R11、R14、R16、R18、R20、R22、R23はそれぞれ水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、R12、R13、R15、R17、R19、R21はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数2以上4以下のヒドロキシアルキル基を示す。〕
【0056】
一般式(d1)で表わされる化合物としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。一般式(d2)で表わされる化合物としては、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。一般式(d3)で表わされる化合物としては、ジエチレントリアミン等が挙げられる。また、一般式(d4)で表わされる化合物としては、モルホリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。
【0057】
本発明において好ましい(D)成分は、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルプロパノール、アンモニアであり、この中でもアルカリ剤としての特性や安定性の点からモノエタノールアミンがより好ましい。(D)成分は、陰イオン界面活性剤を含有する場合、対イオンとして配合することができ、液相安定性に寄与する。
【0058】
本発明の液体洗剤組成物中の(D)成分の含有量は、洗浄性及び液相安定性の点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0059】
本発明の液体洗剤組成物中の(A)成分の含有量と(D)成分の含有量の質量比(A)/(D)は、洗浄性及び液相安定性の点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下である。
【0060】
<(E)成分>
本発明の液体洗剤組成物は、(E)成分として、非イオン界面活性剤を含有することができる。(E)成分の非イオン界面活性剤として、下記一般式(e1)で表される非イオン界面活性剤を上げることができる。
R1e(CO)mO-(AO)n-R2e (e1)
〔式中、R1eは炭素数9以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、R2eは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AO基はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基であり、nは平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。〕
【0061】
一般式(e1)中、R1eは炭素数9以上16以下の脂肪族炭化水素基である。繊維に付着した汚れをより落としやすくする点で、Re1の炭素数は、9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、繊維の柔軟化効果をより高める点で、16以下、好ましくは15以下、より好ましくは14以下である。
【0062】
R1eの脂肪族炭化水素基としては、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基が好ましい。
一般式(e1)中、mは0が好ましい。
一般式(e1)中、R2eは水素原子好ましい。
【0063】
一般式(e1)中、AO基は、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であっても良い。AO基は、(A)成分による繊維の柔軟化効果を阻害させない観点から、エチレンオキシ基を含む基であることが好ましい。
【0064】
一般式(e1)中、nは平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。nの数が大きくなる程HLBの値は高くなり、小さくなる程HLBの値は低くなる。nは、(A)成分を安定に配合する観点から、3以上、好ましくは5以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは9以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは12以上、そして、繊維に付着した汚れの洗浄性の観点から、50以下、好ましくは45以下が好ましく、より好ましくは40以下、更に好ましくは35以下、より更に好ましくは26以下、より更に好ましくは24以下である。
【0065】
本発明の(E)成分の非イオン界面活性剤としてより好ましい化合物は、エチレンオキシ基(以下EO基という場合がある)の平均重合度(あるいは平均付加モル数という場合もある)が3以上、好ましくは5以上、そして、50以下、好ましくは25以下であり、プロピレンオキシ基(以下PO基という場合もある)の平均重合度(あるいは平均付加モル数という場合もある)が0以上5以下、好ましくは3以下であって、EO基とPO基とはランダム結合又はブロック結合であってもよく、好ましくはブロック結合であって、より好ましくは、安定性の観点から、アルキルエーテルに対してEOPOEOの順序であるかPOEOの順のブロック結合であり、そしてアルキル基が炭素数12以上18以下、より好ましくは12又は14、更により好ましくは12の直鎖1級又は2級アルコール由来であるポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテルである。
【0066】
(E)成分は、本発明の液体洗剤組成物中に、洗浄性及び液相安定性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更により好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは30質量%、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下含有される。
【0067】
本発明の液体洗剤組成物中の(A)成分の含有量と(E)成分の含有量の質量比(A)/(E)は、液相安定性及び柔軟性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。
【0068】
本発明の液体洗剤組成物は、柔軟性及びしわ抑制の点から、全界面活性剤中の(A)成分の割合が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下であるが、柔軟性及びしわ抑制の観点から(A)成分は多い方がよく、更により好ましくは50質量%以上である。
【0069】
<(F)成分>
本発明の液体洗剤組成物は、前記(A)及び(E)成分以外の界面活性剤を含有することができる。しわ抑制及び柔軟性を更に高める観点から、(A)成分以外の陰イオン界面活性剤(以下(F)成分という場合がある)を併用することが好ましい。
【0070】
(F)成分である(A)成分以外の陰イオン界面活性剤としては、下記一般式(f1)で示される化合物(F1)、一般式(f2)で示される化合物(F2)及び一般式(f3)で示される化合物(F3)から選ばれる一種以上の化合物が挙げられる。
R1f-O-(PO)m1(EO)n1-SO3M (f1)
(式(f1)中、R1fは炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、酸素原子と結合する炭素原子が第1炭素原子であって、POはプロピレンオキシ基、EOはエチレンオキシ基を示し、EOとPOはブロック又はランダム結合であってもよく、m1及びn1は平均付加モル数であって、mは0以上5以下、かつnは0以上16以下であり、そしてMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。)
R2f-B-SO3M (f2)
(式(f2)中、R2fは炭素数9以上21以下のアルキル基を示し、Bはベンゼン環を示し、Bの炭素原子と結合するR2fの炭素原子が第2級炭素原子であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。Bに結合するR2に対して、スルホン酸基はパラ位に結合している。)
R3f-CH(SO3M)COOR4f (f3)
(式(f3)中、R3fは炭素数6以上20以下のアルキル基を示し、R4fは炭素数1以上6以下のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。)
【0071】
一般式(f1)中、R1fは、好ましくは炭素数9以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下のアルキル基である。
一般式(f1)中、m1は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
一般式(f1)中、n1は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
一般式(f1)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウムは、前述の(D)成分のアミンによる塩であってよい。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくは、ナトリウムである。
【0072】
(F1)成分としては、アルキル基の炭素数が12以上14以下であってプロピオキシ基の平均付加モル数が0以上4以下、エチレンオキシ基の平均付加モル数が1以上4以下である(ポリオキシプロピレン)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。すなわち、(F1)成分は、一般式(f1)中、R1fが炭素数12以上14以下のアルキル基、m1が0以上4以下、n1が1以上4以下、Mがナトリウムである化合物が好ましい。
【0073】
一般式(f2)中、R2fは、炭素数9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である。
一般式(f2)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウムは、前述の(D)成分のアミンによる塩であってよい。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくは、ナトリウムである。
【0074】
(F2)成分としては、アルキル基の炭素数が11以上14以下のp-アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上14以下のp-アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩がより好ましい。すなわち、(F2)成分は、一般式(f2)中、R2fが炭素数11以上14以下のアルキル基、Mがナトリウムである化合物が好ましい。
【0075】
一般式(f3)中、R3fは、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、そして好ましくは18以下、より好ましくは16以下のアルキル基である。
一般式(f3)中、R4fは、炭素数1以上、好ましくは5以下、より好ましくは4以下のアルキル基である。
一般式(f3)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウムは、前述の(D)成分のアミンによる塩であってよい。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくは、ナトリウムである。
【0076】
(F3)成分としては、一般式(f3)中、R3f炭素数が11以上14以下のアルキル基、R4fがメチル基であるα-スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩が好ましい。
【0077】
本発明の(F)成分としては、(A)成分の柔軟性を高める観点から、(F1)成分及び(F2)成分が好ましく、(F2)成分がより好ましい。
【0078】
本発明の(F)成分としては、(A)成分の柔軟性を高める観点から、(F1)成分、(F2)成分及び(F3)成分から2種以上を併用することができ、更に、洗浄性としわ抑制性を高める観点から、(F1)成分及び(F2)成分を併用することができる。
【0079】
本発明の(F)成分として、(F1)成分と(F2)成分を併用する場合、(F1)成分の含有量と(F2)成分の含有量の質量比(F1)/(F2)は、洗浄性やしわ抑制性を高める観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下である。
【0080】
本発明の液体洗剤組成物中の(F)成分の含有量は、(A)成分の柔軟性を高める観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0081】
本発明の液体洗剤組成物中の(A)成分の含有量と(F)成分の含有量の質量比(A)/(F)は、(A)成分の柔軟性を高める観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは10以下である。
【0082】
<(G)成分>
本発明の液体洗剤組成物は、組成物のpHを調整する観点から、(G)成分として酸剤を含有することができる。
酸剤としては、無機酸及び有機酸が挙げられ、無機酸の具体例としては、塩酸、及び硫酸が挙げられる。有機酸の具体例としては、炭素数1以上10以下の1価又は多価のカルボン酸、炭素数1以上20以下の1価又は多価のスルホン酸、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸が挙げられる。より具体的には、メチル硫酸、エチル硫酸、p-トルエンスルホン酸、(o-、m-、p-)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、グリコール酸、エチレンジアミン4酢酸、クエン酸、安息香酸、及びサリチル酸が挙げられる。
これらの中でも、無機酸であれば塩酸が好ましく、有機酸であれば炭素数1以上10以下の1価又は多価のカルボン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。
【0083】
<(H)成分>
本発明の液体洗剤組成物には、その配合が洗剤製品に行われている各種香料化合物からなる香料組成物を含有することが好ましい。香料は、液体洗剤組成物に、マイクロカプセル粒子に包含された形態で配合してもよいし、外香料(非マイクロカプセル)の形態で配合してもよい。香料組成物を構成する香料化合物としては、例えば特開2017-214676号公報記載の香料化合物が挙げられる。マイクロカプセルは、機能性成分である香料組成物をカプセル化したものである。例えば、マイクロカプセルの外殻(壁材)に樹脂を用いて、公知の方法により香料組成物が封入される。
【0084】
<その他の成分>
前記成分の他に、本発明の液体洗剤組成物には、下記(I1)~(I7)成分を配合してもよい。
(I1)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロースなどの再汚染防止剤及び分散剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(I2)過酸化水素、過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(I3)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6-316700号の一般式(I-2)~(I-7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下、
(I4)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素を組成物中0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、2質量%以下、好ましくは1質量%以下
(I5)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料を組成物中0.001質量%以上1質量%以下
(I6)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を組成物中0.01質量%以上2質量%以下
(I7)色素、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤を適量。
【0085】
本発明の液体洗剤組成物の20℃におけるpHは、低温環境下における当該組成物中の固形物の析出の抑制又は分離の抑制の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下である。pHは、下記に記載のpHの測定法に従って測定する。
<pHの測定法>
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプルを25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0086】
本発明の液体洗剤組成物は、球形の結晶粒子、好ましくは(B)成分を含む球形の結晶粒子を含有することが好ましい。球形の結晶粒子は、例えば、前記(B)成分の結晶が水を含む相中で、(A)成分、任意で(C)成分により安定に球の様な形状で分散している。
球形の結晶粒子は真球でなくても良く、楕円形であっても良い。楕円形の場合、長軸の長さと短軸の長さの比である(長軸の長さ)/(短軸の長さ)は、1/1以上3/1以下の形状が挙げられる。
(A)成分の低温安定性を高める観点で、球形の結晶粒子の平均直径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、そして、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
前記の球形の結晶粒子の平均直径は、液体洗剤組成物をスライドガラスに滴下し、ガラスカバーを被せ、デジタルマイクロスコープ(VH-250R、株式会社キーエンス製)で観察した球形の結晶粒子の直径を、デジタルマイクロスコープのスケールを用いて測定し、20個の球形の結晶粒子の直径を平均することで求めることが出来る。球形の結晶粒子が楕円の場合は、楕円の面積を求め、楕円を円とみなした時の直径を算出し求めることができる。
【0087】
本発明の液体洗剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いの容易さの観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは30mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・s以上であり、好ましくは400mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下である。なお、これらの粘度は、B型粘度計((株)東京計器製、VISCOMETER MODEL DVM-B)を用い、ローターNo.3又は4、回転数60r/min、測定時間60秒で測定されたものである。
【0088】
本発明の液体洗剤組成物は、繊維製品用として好適である。更には、本発明の液体洗剤組成物は、硬度成分を含む水中での繊維製品の洗浄に適している。前記の「硬度成分を含む水中での繊維製品の洗浄に適している。」とは、本発明の液体洗剤組成物を用いて硬度成分を含む水中で繊維製品を洗浄することにより、繊維製品が柔らかくしわが少なく仕上がり、且つ繊維製品に付着した汚れを洗浄できることを意味する。
【0089】
洗浄に使用する硬度成分を含有する水において、水の硬度は、繊維製品への柔軟性付与効果がより向上する観点から、ドイツ硬度で、好ましくは1°dH以上、より好ましくは2°dH以上、更に好ましくは3°dH以上、そして、好ましくは20°dH以下、より好ましくは18°dH以下、更に好ましくは15°dH以下である。ここで、本明細書におけるドイツ硬度(°dH)とは、水中におけるカルシウム及びマグネシウムの濃度を、CaCO3換算濃度で1mg/L(ppm)=約0.056°dH(1°dH=17.8ppm)で表したものを指す。
このドイツ硬度のためのカルシウム及びマグネシウムの濃度は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を使用したキレート滴定法で求められる。
本明細書における水のドイツ硬度の具体的な測定方法を下記に示す。
<水のドイツ硬度の測定方法>
〔試薬〕
・0.01mol/l EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/l水溶液(滴定用溶液、0.01 M EDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔硬度の測定〕
(1)試料となる水20mlをホールピペットでコニカルビーカーに採取する。
(2)硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。
(3)Universal BT指示薬を0.5ml添加する。添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
(4)コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/l EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とする。
(5)全硬度は下記の算出式で求める。
硬度(°dH)=T×0.01×F×56.0774×100/A
T:0.01mol/l EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/l EDTA・2Na溶液のファクター
【0090】
<繊維>
本発明の液体洗剤組成物で洗浄する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
【0091】
<繊維製品>
繊維製品としては、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
【0092】
[液体洗剤組成物の製造方法]
本発明の液体洗剤組成物は、例えば、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を、(B)成分の融点以上で混合して乳化液を得る工程(1)、及び前記乳化液を5℃以上40℃以下に冷却する工程(2)を含む製造方法により製造できる。この方法は、球形の結晶粒子、好ましくは(B)成分を含む球形の結晶粒子を含有する本発明の液体洗剤組成物を得る方法として好ましい。球形の結晶粒子は真球でなくても良く、楕円形であっても良い。楕円形の場合、長軸の長さと短軸の長さの比である(長軸の長さ)/(短軸の長さ)は、1/1以上3/1以下の形状が挙げられる。
【0093】
<工程(1)>
本発明の工程(1)は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を、(B)成分の融点以上で混合して乳化液を得る工程である。次の工程2における乳化液の液滴中で(B)成分を含む球形の結晶粒子の結晶化を促進する点より、(B)成分の融点より1℃以上高い温度が好ましく、3℃以上が好ましく、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは7℃以上高い温度がより更に好ましい。製造時にかかる熱エネルギーの低減の点から、温度の上限値は、例えば95℃以下であり、90℃以下である。
【0094】
<工程(2)>
本発明の工程(2)は、前記乳化液を5℃以上40℃以下に冷却する工程(2)である。工程(2)で得られる液体洗剤組成物の取り扱いの容易性を高める観点から、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。球形の結晶粒子の安定性の点より、38℃以下が好ましい。
前記工程(2)において、冷却速度は0.2℃/分以上、5℃/分以下で冷却するのが好ましい。球形の結晶粒子の肥大化を抑制する事で、液体洗剤組成物の(A)成分の低温安定性を高める観点から、0.5℃/分以上が好ましく、0.7℃/分以上がより好ましい。球形の結晶粒子の二次粒子形成を抑制する事で、液体洗剤組成物の低温安定性を高める観点から、2℃/分以下が好ましく、1.5℃/分以下がより好ましい。また、冷却は、前記乳化液と冷媒とを接触させることで行うことが出来る。
【0095】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明は、本発明の液体洗剤組成物及び水を含有する洗浄液で繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法を提供する。
本発明の繊維製品の洗浄方法は、例えば、本発明の液体洗剤組成物及び水を含有する洗浄液で繊維製品を洗浄する方法であって、洗浄液の硬度が0°dHを超える、繊維製品の洗浄方法である。
また、本発明の繊維製品の洗浄方法は、例えば、本発明の液体洗剤組成物及び水を混合して得た洗浄液で繊維製品を洗浄する方法であって、前記水の硬度が0°dHを超える、繊維製品の洗浄方法である。
また、本発明の繊維製品の洗浄方法は、本発明の液体洗剤組成物及び水を含有し、硬度が0°dHを超える洗浄液で繊維製品を洗浄する方法である。
【0096】
これら本発明の繊維製品の洗浄方法において、洗浄液の硬度は、前記の「水のドイツ硬度の測定方法」を用いて算出した値である。また、洗浄液の硬度は、本発明の液体洗剤組成物で説明した硬度成分を含む水の硬度の好ましい範囲から選択できる。洗浄液の硬度の測定法も前記水の硬度と同様に測定できる。また、洗浄方法に用いる水、例えば洗浄液の調製に用いる水、すすぎに用いる水などの水の硬度も、本発明の液体洗剤組成物で説明した硬度成分を含む水の硬度の好ましい範囲から選択できる。水の硬度の測定法も前記水の硬度と同様に測定できる。
【0097】
本発明の繊維製品の洗浄方法において、前記洗浄液は、前記本発明の液体洗剤組成物を用いて得られたものであることが好ましい。
【0098】
本発明の繊維の洗浄方法には、本発明の液体洗剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0099】
洗浄液中の(A)成分の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、更に好ましくは0.003質量%以上であり、そして、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.05質量%以下、より更に好ましくは0.02質量%以下である。
【0100】
洗浄液中の(B)成分の含有量は、好ましくは0.000005質量%以上、より好ましくは0.00001質量%以上、更に好ましくは0.00005質量%以上であり、そして、好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0008質量%以下、更に好ましくは0.0006質量%以下である。
【0101】
洗浄液中の(C)成分の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.003質量%以上であり、そして、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.035質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以下である。
【0102】
前記洗浄液は、(B)成分の含有量と(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、該洗浄液の質量あたりの繊維製品に付着した汚れの洗浄性及び低温洗濯時の仕上がり性を高める観点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは500以下である。
【0103】
また、前記洗浄液は、本発明の液体洗剤組成物の質量あたりの繊維製品への柔軟性やしわ抑制能を高める観点から、(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比(A)/(C)が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
【0104】
洗浄液の温度は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性がより向上できる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは3℃以上、更に好ましくは5℃以上、そして、衣料を構成する繊維自身に含まれる油剤を落としすぎず、繊維製品をより柔らかく見た目をきれいに仕上げることが出来る観点から、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下である。本発明では、洗浄液の温度が低温、例えば15℃以下、更に10℃以下であっても、繊維製品の仕上がり性(柔軟性、しわ抑制能)に優れることを実感できる。
【0105】
洗浄液のpHは、繊維製品に付着した汚れの洗浄性がより向上できる観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、そして、繊維製品をより柔らかく見た目をきれいに仕上げることが出来る観点から、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。洗浄液のpHの測定法も前記液体洗剤組成物のpHと同様に測定できる。洗浄液は、20℃におけるpHが前記範囲であってよい。
【0106】
近年、洗濯機が大型化し、衣料の質量(kg)と洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち洗浄液の水量(リットル)/衣料の質量(kg)(以下、この比を浴比とする場合もある)の値が小さくなる傾向にある。家庭用洗濯機を用いた場合に浴比が小さくなると、洗浄時の攪拌により繊維製品同士の擦れが大きくなり、繊維製品の仕上がり性が損なわれる場合がある。本発明の繊維製品の洗浄方法は、浴比が小さい洗浄条件下でも、繊維製品を柔らかく見た目をきれいに仕上げることができる。浴比は、繊維製品がより柔らかくきれいに仕上がる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、そして、洗浄力を維持する観点から、好ましくは45以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0107】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、洗浄時間が短くても、繊維製品をより柔らかくきれいに仕上げることができる。洗浄時間は、繊維製品に付着した汚れを落としやすくする点又は繊維製品をより柔らかくきれいに仕上げることが出来る観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上、繊維製品をより柔らかく仕上げることが出来る観点から、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは15分以下である。
【0108】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法、回転式洗浄方法に適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない繊維製品が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明では、繊維製品がより柔らかくきれいに仕上げる点で、繊維製品の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものを使用することができる。
【実施例】
【0109】
<配合成分>
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
〔(A)成分〕
(a-1):炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム塩
(a-1)中のオレフィン体(オレフィンスルホン酸ナトリウム)/ヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸ナトリウム)の質量比は16/84である。(a-1)中のHAS体のスルホン酸基の位置分布の質量比は以下の通りである。1位/2位/3位/4位/5位/6~9位=1.5/22.1/17.2/21.8/13.5/23.9。また、(IO-1S)/(IO-2S)=1.6(質量比)である。
【0110】
各内部オレフィンスルホン酸塩中に含まれるHAS体のスルホン酸基の位置分布及びオレフィン体とヒドロキシ体(HAS体)の質量比率は、高速液体クロマトグラフ質量分析計(以下、HPLC-MSと省略)により測定した。なお、二重結合が6位以上に存在する内部オレフィンスルホン酸塩は、ピークが重なり明確に分画出来なかった。測定に使用した装置及び分析条件は次の通りである。
〔測定機器〕
LC装置:「LC-20ASXR」((株)島津製作所製)
LC-MS装置:「LCMS-2020」((株)島津製作所製)
カラム:ODS Hypersil(長さ:250mm、内径:4.6mm、粒子径:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)検出器:ESI(-)、m/z=349.15(C18)、321.10(C16)、293.05(C14)
〔溶媒〕
溶媒A:10mM酢酸アンモニウム水溶液
溶媒B:10mM酢酸アンモニウム添加、アセトニトリル/水=95/5溶液
〔溶出条件〕
・グラジエント:溶媒A60%溶媒B40%(0~15分)→溶媒A30%溶媒B70%(15.1~20分)→溶媒A60%溶媒B40%(20.1~30分)
・流速:0.5ml/min
・カラム温度:40℃
・インジェクション量:5μl
【0111】
〔(B)成分〕
(b-1):硬化ヒマシ油(よう素価1.5g-I2/100g)
【0112】
〔(C)成分〕
(c-1):プロピレングリコール
(c-2):ジエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業(株))
(c-3):2-フェノキシエタノール(和光純薬工業(株))
【0113】
〔(D)成分〕
(d-1):モノエタノールアミン
【0114】
〔(E)成分〕
(e-1):ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(ラウリルアルコール1モルに対し、エチレンオキシ基を平均で9モル付加した後、プロピレンオキシ基を平均で2モル付加した後、エチレンオキシ基を平均で9モル付加した化合物、HLB=14.5、一般式(e1)において、R1e:ラウリル基、m:0、AO:エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基、n:20、R2e:水素原子の化合物)
(e-2):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数は10モル、HLB=14.0、一般式(e1)において、R1e:ラウリル基、m:0、AO:エチレンオキシ基、n:10、R2e:水素原子の化合物)
【0115】
〔(F)成分〕
(f-1):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル組成:C10/C11/C12/C13=11/29/34/26(質量比、Cの次の数字は炭素数を意味する、)、質量平均炭素数=17.75)
【0116】
〔(H)成分〕
(h-1):表1に示す香料組成物
【0117】
【0118】
〔水〕
イオン交換水
【0119】
<液体洗剤組成物の製造>
上記の配合成分を用いて、表2に示す液体洗剤組成物を製造し、以下の項目について評価を行った。結果を表2に示す。表2に示す液体洗剤組成物の製造方法は、具体的には下記の通りであった。
イオン交換水50g、(A)成分、(B)成分、(C)成分を任意量投入し、工程(1)として、温度88℃付近でイオン交換水と前記成分とを混合して乳化液を調製し、次いで工程(2)として、1.0℃/分の冷却速度で、前記乳化液を温度約35℃迄冷却し、30分間攪拌した。その後、6連スターラー(アズワンRS-60D)600rpmで室温25℃まで1.0℃/分の冷却速度で冷却した。次に、必要により(D)成分、(E)成分、(F)成分を更に投入し、ビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。内容物が入ったビーカーを600rpmで更に30分間撹拌した。その後、pHをアルカリ剤(モノエタノールアミン)又は酸剤(クエン酸)によりpH7に調整した。次に、ウォーターバス内の水を、5℃の水道水に替え、ビーカー内の該組成物の温度が20℃になるまで冷却した後、(H)成分を投入し、更に5分間攪拌した。次に、サランラップ(登録商標)を外し、内容物の質量が100gになるように、イオン交換水を入れ、再度、100rpm/minで30秒間撹拌し、表2に記載の液体洗剤組成物を得た。実施例の組成物は、(B)成分を含む球形の結晶粒子を含有していた。
【0120】
上記方法にて配合した各液体洗剤組成物を100mLのガラス瓶(規格瓶No.11)に充填し、大気圧下で密閉した(各2本)。これを0℃の恒温槽にそれぞれ栓口を上方にして立てて20日間保管した。保管後の液体洗剤組成物を用いて以下の評価を行った。
【0121】
<柔軟性の評価方法>
(1)評価繊維の前処理
(1-1)綿メリヤスの前処理
あらかじめ、47cm×100cmに裁断された木綿メリヤス8枚、約1.7kg((株)色染社製、綿ニット未シル(シルケット加工されていないもの)、木綿100%)を、全自動洗濯機(National製NAF702P)の標準コースで2回累積洗濯(洗浄時にエマルゲン108(花王(株)製)4.7g、水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)後、水のみで3回累積洗濯(水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)を行い、25℃、45%RHの環境下で24時間乾燥させた。乾燥後、1枚の木綿メリヤスを長辺1/3、短辺1/2の位置で裁断することで、6枚切り出し、合計48の試験布を得た。
【0122】
(1-2)綿タオルの前処理
あらかじめ、非イオン性界面活性剤(ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物(平均付加モル数8))を用いて、市販のタオル(ヒオリエタオル、日本製、木綿100%34cm×86cm×12枚)約1.6kgを、Panasonic全自動洗濯機NA-F70PB1の洗濯工程を5回繰り返した(非イオン界面活性剤使用量4.5g、標準コース、水量45L、水温20℃、洗浄時間10分、ため濯ぎ2回)。その後、25℃、45%RHの条件下で1日間、乾燥した。
【0123】
(2)評価繊維の洗浄
National製電気バケツ式洗濯機(型番「N-BK2」)に、市水(3.5°dH、前記の水の硬度の測定方法で算出、5℃)を6.0L注水し、表2に記載の液体洗剤組成物の0℃20日保存品12gを投入し、1分間攪拌した。その後前記の方法で前処理した綿メリヤス4枚(約140g)又は綿タオル1枚を投入し、10分間洗浄した。洗浄後、日立製二層式洗濯機(型番「PS-H35L」)を用いて1分間脱水を行った。次に前記のバケツ洗濯機に前記の市水を6.0L注水し、更に日立製二層式洗濯機で脱水した後の綿メリヤス又は綿タオルを投入して3分間すすぎ処理を行った。その後二層式洗濯機を用いて同様の脱水処理を1分間行った。このすすぎ処理を合計2回行った後、25℃、45%RHの条件下で12時間放置し乾燥させた。
【0124】
(3)柔軟性(柔らかさ)の評価
表2に記載の液体洗剤組成物の0℃20日保存品を用いて洗浄、濯ぎ、脱水した際に、二層式洗濯機の脱水槽から取り出したときの綿メリヤス又は綿タオルの柔らかさを、繊維の風合い評価の熟練者6名で下記の基準で点数づけし、6人の平均点を算出した。その際、1人の評価者から、1つの組成物につき、綿メリヤスの点数と綿タオルの点数を取得してその平均値をその組成物についての評価点とした。その評価点を6人分集計し、平均点を算出した。結果を表2に示した。平均点は、0.5以上が合格であり、数値が高い方が好ましい。このような脱水後の繊維製品の柔軟性の評価は、繊維製品同士の絡まりが少なく、繊維製品の傷みが抑制された仕上がりの指標となるだけなく、乾燥後の繊維製品が柔らかく且つすべやかな風合いに仕上がっていることを容易に知ることができる。
-1…比較例1の組成物で処理した綿メリヤス又は綿タオルよりも柔らかく仕上がらなかった。
0…比較例1の組成物で処理した綿メリヤス又は綿タオルと同等の柔らかさに仕上がった。
1…比較例1の組成物で処理した綿メリヤス又は綿タオルと比較してやや柔らかく仕上がった。
2…比較例1の組成物で処理した綿メリヤス又は綿タオルと比較して柔らかく仕上がった。
3…比較例1の組成物で処理した綿メリヤス又は綿タオルと比較して非常に柔らかく仕上がった。
【0125】
(4)しわ抑制能の評価
表2に記載の液体洗剤組成物の0℃20日保存品を用いて、洗浄、濯ぎ、乾燥した綿メリヤスのしわ抑制評価の熟練者6名で下記の基準で点数づけし、6人の平均点を算出した。結果を表2に示した。平均点は、0.5以上が合格であり、数値が高い方が好ましい。
-1…比較例1の組成物で処理した綿メリヤスよりもしわレベルが悪かった。
0…比較例1の組成物で処理した綿メリヤスと同等のしわレベルだった。
1…比較例1の組成物で処理した綿メリヤスと比較してややしわレベルが良かった。
2…比較例1の組成物で処理した綿メリヤスと比較してしわレベルが良かった。
3…比較例1の組成物で処理した綿メリヤスと比較して非常にしわレベルが良かった。
【0126】
【0127】
表2に示されるように、所定量の(A1)成分を含む(A)成分を用いた実施例の液体洗剤組成物は、低温での柔軟性、しわ抑制に優れ、季節を問わず、冬場の低温洗濯においても繊維を柔らかくしわなくきれいに仕上げることが出来る。しかも、このような効果は、低温で保存した後の実施例の液体洗剤組成物であっても得ることができる。
なお、実施例の液体洗剤組成物は、繊維に付着した汚れを洗浄することが出来る。