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特許7317733インクジェット印刷ヘッドのノズル内のインクを安定化させる蒸発性インクブロッキングフィルムデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】インクジェット印刷ヘッドのノズル内のインクを安定化させる蒸発性インクブロッキングフィルムデバイス
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20230724BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/165 101
B41J2/01 301
B41J2/01 401
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020007186
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2020128082
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】16/272,074
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】チュ-ヘン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・マコンヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ・ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム・ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・レヴィ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エイ・ヴァンコウエンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】リン・シー・フーヴァー
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139904(JP,A)
【文献】特開2002-273867(JP,A)
【文献】特開2001-315346(JP,A)
【文献】特開2010-030245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
液体インクを吐出するように適合されたノズルを備える印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドが前記液体インクを吐出していないときには、前記印刷ヘッドに接触するように位置付けられるキャップであって、前記キャップ及び前記印刷ヘッドは、互いに接触しているときには、前記ノズルに隣接する密封空間を作成する、キャップと、
前記キャップに接続され、前記ノズル内の前記液体インク上にインクブロッキングフィルムを凝縮させるように、前記密封空間内への液体の蒸発を制御するように適合された蒸発器であって、前記液体が、水不相容性又は溶媒不相容性液体を含む、蒸発器と、
前記ノズルを冷却して、前記ノズル内の前記液体インクの上に前記インクブロッキングフィルムを凝縮させるように適合された印刷ヘッド冷却器と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記印刷ヘッドが、前記キャップが前記印刷ヘッドに接触している間に、前記ノズル内の前記液体インクの表面上の前記インクブロッキングフィルムを前記密封空間内に蒸発させる温度にまで前記印刷ヘッドを加熱するように適合されたヒータを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記蒸発器を制御して異なる量の前記液体を異なる色の印刷ヘッドに蒸発させるように適合された前記蒸発器に接続されたコントローラを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズルが前記液体インクを吐出しないアイドル期間が終了した後にのみ、前記蒸発器を制御して前記液体を前記密封空間に蒸発させて、前記ノズル内の前記液体インクの表面上に前記インクブロッキングフィルムを凝縮させるように適合された前記蒸発器に接続されたコントローラを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記蒸発器が、前記ノズル上に直接前記液体を噴霧することを避けるように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
装置であって、
液体インクを吐出するように適合されたノズルを備える印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドが前記液体インクを吐出していないときには、前記印刷ヘッドに接触するように位置付けられるキャップであって、前記キャップ及び前記印刷ヘッドが、互いに接触すると、前記ノズルに隣接する密封空間を作成する、キャップと、
前記キャップに接続され、前記密封空間内への液体の蒸発を制御し、前記ノズル内の前記液体インク上にインクブロッキングフィルムを凝縮させるように適合された蒸発器であって、前記液体が、水不相容性又は溶媒不相容性液体を含む、蒸発器と、
前記蒸発器に接続された蒸気制御部であって、前記キャップが前記印刷ヘッドに接触していないときには、前記蒸発器が前記液体を蒸発させることを防止するように適合されている、蒸気制御部と、
前記ノズルを冷却して、前記ノズル内の前記液体インクの上に前記インクブロッキングフィルムを凝縮させるように適合された印刷ヘッド冷却器と、
を備える、装置。
【請求項7】
前記印刷ヘッドが、前記キャップが前記印刷ヘッドに接触している間に、前記ノズル内の前記液体インクの表面上の前記インクブロッキングフィルムを前記密封空間内に蒸発させる温度にまで前記印刷ヘッドを加熱するように適合されたヒータを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記蒸発器を制御して異なる量の前記液体を異なる色の印刷ヘッドに蒸発させるように適合された前記蒸発器に接続されたコントローラを更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ノズルが前記液体インクを吐出しないアイドル期間が終了した後にのみ、前記蒸発器を制御して前記液体を前記密封空間に蒸発させて、前記ノズル内の前記液体インクの表面上に前記インクブロッキングフィルムを凝縮させるように適合された前記蒸発器に接続されたコントローラを更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記蒸発器に動作可能に接続され、前記液体を前記蒸発器に供給するように適合されたリザーバを更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
方法であって、
印刷ヘッド及びキャップを互いに接触させて、前記キャップと前記印刷ヘッドのノズルとの間に密封空間を作成するように位置付けすることであって、前記ノズルは液体インクを維持するように適合されている、位置付けすることと、
液体を前記密封空間内に蒸発させて、前記ノズル内の前記液体インク上にインクブロッキングフィルムを凝縮させることであって、前記液体が、水不相容性又は溶媒不相容性液体を含む、蒸発させることと、
前記ノズルを冷却して、前記ノズル内の前記液体インクの上に前記インクブロッキングフィルムを凝縮させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記蒸発させることが、前記キャップ内の蒸発器の蒸気制御部を開放することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャップが前記印刷ヘッドに接触している間に、前記ノズル内の前記液体インクの表面上の前記インクブロッキングフィルムを前記密封空間内に蒸発させる温度にまで前記印刷ヘッドを加熱することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
異なる量の前記液体を異なる色の印刷ヘッドに蒸発させることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記液体が、前記ノズルが前記液体インクを吐出しないアイドル期間が終了した後にのみ、前記密封空間内に蒸発される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書のシステム及び方法は、一般にインクジェットプリンタに関し、より具体的にはインクジェット印刷ヘッドのノズル内のインクを安定化させる蒸発性インクブロッキングフィルムデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、印刷を実行するために印刷ヘッドのノズル又は「ジェット」から液体マーキング材料(例えば、インク)の液滴を吐出する。インクジェット印刷ヘッドのこれらのノズルは、例えばインクジェットプリンタが長期間にわたって印刷されないとき、又は一定の色若しくはノズルが長期間未使用であるときに、定期的に目詰まりする。
【0003】
これにより、全くインクを吐出しない、又は著しく減少した液滴質量を吐出するだけのノズルをもたらし、これは、最適な画素配置(「縞状」固体充填画像)をより小さく、目標液滴質量(目標固体密度よりも軽い)をより低くさせる。条件が正されない場合、断続的な発射をもたらし得、ジェットは最終的に発射を停止し得、そのような状況は、不可逆的な印刷ヘッドの損傷をもたらす回復不可能な場合がある。ヘッドの前提条件に応じて、このような回復不可能な故障の開始の時間スケールは、数時間から終夜/週末のアイドル時間までの範囲であり得る。
【0004】
付加的に、特定の色(例えば、マゼンタなど)は、他の色に比べてより目詰まりしやすく、これは、特定の色インクが他の色インクよりも速く乾燥し、これによってインクが印刷ヘッドのノズル内で長期にわたる休止間の乾燥をもたらす。このようなノズル目詰まりの問題は、パージ及び洗浄サイクルによって緩和され得るが、回避はされない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題に対処するために、本明細書の例示的な装置は、他の構成要素の中でも、液体インクを吐出するように適合されたノズルを含む印刷ヘッドと、印刷ヘッドが液体インクを吐出していないときには、印刷ヘッドに接触するように位置付けられるキャップと、を含む。キャップ及び印刷ヘッドは、互いに接触しているときにノズルに隣接する密封空間を作成する。
【0006】
付加的に、蒸発器はキャップに接続され、ノズル内の液体インクの表面上のインクブロッキングフィルムとして凝縮する密封空間内への水不相容性又は溶媒不相容性液体の蒸発を制御するように適合され、ノズル上に直接、水不相容性又は溶媒不相容性液体が噴霧されることを回避するように適合されている。例えば、蒸発器は、水不相容性又は溶媒不相容性液体の小滴を密封空間に供給するディスペンサ、水不相容性又は溶媒不相容性液体が蒸発する水不相容性又は溶媒不相容性液体を含有させる容器又は発泡体パッドなどであり得る。
【0007】
蒸気制御部(例えば、ディスペンサ上のバルブ、容器上の蓋、発泡体パッド上のキャップなど)は、蒸発器の構成要素に接続することができる。蒸気制御部は、キャップが印刷ヘッドに接触していないときには、蒸発器が、水不相容性又は溶媒不相容性液体を蒸発させるのを防止するように適合される。リザーバは、蒸発器に接続することができ、水不相容性又は溶媒不相容性液体を蒸発器に供給するように適合され得る。加えて、ヒータを印刷ヘッド、又はその構成要素、に接続でき、そのようなヒータは、キャップが印刷ヘッドに接触している間に、水不相容性又は溶媒不相容性液体が蒸発器に戻ることができるように、ノズル内の液体インクの表面上のインクブロッキングフィルムを蒸発させて密封空間に戻る温度にまで印刷ヘッドを加熱するように適合される。
【0008】
一実施例では、コントローラは、蒸発器に組み込まれてもよく、又は蒸発器に動作可能に接続され得る。コントローラは、異なる量の水不相容性又は溶媒不相容性液体を異なる色の印刷ヘッドに蒸発させ、水不相容性又は溶媒不相容性液体を密封空間に蒸発させて、遅延処理中にかつ(ノズルが液体インクを吐出しない)アイドル期間が終了した後にのみノズル内の液体インクの表面上にインクブロッキングフィルムを形成する蒸発器を制御するように適合させることができる。
【0009】
本明細書の様々な方法は、印刷ヘッドとキャップとを互いに接触させて、印刷ヘッドのキャップとノズルとの間に密封空間を作成するように位置付ける。ここでも、ノズルは、液体インクを維持するように適合される。前述したように、このような方法は、ノズル内の液体インクの表面上のインクブロッキングフィルムを凝縮させるために、密封空間内に水不相容性又は溶媒不相容性液体を蒸発させる。蒸発を実施するために多くの異なるプロセスを使用することができるが、本明細書におけるいくつかの方法は、キャップ内の蒸発器の蒸気制御部を開放することができる。
【0010】
更に、これらの方法は、異なる量の水不相容性又は溶媒不相容性液体を異なる色の印刷ヘッドに蒸発させることができる。また、水不相容性又は溶媒不相容性液体は、遅延処理中にかつ(ノズルが液体インクを吐出しない間の)アイドル期間が満了した後にのみ、密封空間内に蒸発させることができる。付加的に、これらの方法は、(キャップがまだ印刷ヘッドに接触している間に)印刷ヘッドを、ノズル内の液体インクの表面から密封空間内へと蒸発させる温度に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書の構造体のインクジェット印刷カートリッジ及びカートリッジ静止位置を示す斜視/分解概念図である。
図2】本明細書の構造体のインクジェット印刷カートリッジ及びカートリッジ静止位置を示す斜視/分解概念図である。
図3】インクジェット印刷カートリッジ及び本明細書の構造体のカートリッジ静止位置を示す断面概念図である。
図4】インクジェット印刷カートリッジ及び本明細書の構造体のカートリッジ静止位置を示す、端面概念図である。
図5】本明細書の構造体のインクジェット印刷カートリッジのノズルを示す断面概念図である。
図6】本明細書の構造体のインクジェット印刷カートリッジのノズルを示す断面概念図である。
図7A】本明細書のキャップデバイス及び印刷ヘッドの拡大断面図である。
図7B】本明細書のキャップデバイス及び印刷ヘッドの拡大断面図である。
図8A】本明細書のキャップデバイス及び印刷ヘッドの拡大断面図である。
図8B】本明細書のキャップデバイス及び印刷ヘッドの拡大断面図である。
図9A】本明細書のキャップデバイス及び印刷ヘッドの拡大断面図である。
図9B】本明細書のキャップデバイス及び印刷ヘッドの拡大断面図である。
図10】本明細書のデバイスを示す概略図である。
図11】本明細書のデバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述したように、インクジェット印刷ヘッドのノズルは、長時間使用されていないときには、定期的に目詰まりし、パージ及び洗浄サイクルは、目詰まりを防止するのに完全に有効ではない。このような問題を考慮すると、本明細書の装置は、インクジェット印刷ヘッドのノズル内のインクを安定化させるためにインクブロッキングフィルムを使用する。
【0013】
より具体的には、本明細書の構造体は、インクジェット印刷ヘッドを使用しないときにインクジェット印刷ヘッドを覆うキャップを有するインクジェット印刷ヘッド静止/駐車(parking)デバイスを含み、キャップは、ノズルの周囲に密封空間を作成する。キャップデバイスは、ノズル内の液体インクの表面上のインクブロッキングフィルム(インク中の水又は溶媒を遮断する)として凝縮する密封空間内に水不相容性又は溶媒不相容性液体を蒸発させ、ノズルを密封し、ノズル内のインクが乾燥するのを防止する蒸発器を含む。したがって、キャップデバイスによって形成された密封空間内の水(水性インクで使用される)又は溶媒(溶媒系インクに使用される)が、ノズル内のインクと空気との間に薄いインクブロッキングフィルムを形成して、インク中の水又は溶媒が蒸発することを防止し、インクが乾燥することを防止し、それによってノズル目詰まり/ブロッキングを防止することができる。
【0014】
より詳細には、凝結によってノズル上に形成されるインクブロッキングフィルムは、比較的低い表面エネルギーを有し、それにより、インク表面上に非常に薄く広がる。キャップデバイス内の蒸発器は、ノズル内のインクと密封空間内の空気との間にこの連続インクブロッキングフィルムを形成する。インクの低表面エネルギー及び水との不相容性により、凝縮インクブロッキングフィルムは、ノズルの最端部で液体インク表面上に広がり、ガソリン/油が薄いインクブロッキングフィルムを水の上に形成するのと同様の方法で、ノズル開口部でインクの全表面を覆う連続インクブロッキングフィルムを形成する。
【0015】
上述のように、インクブロッキングフィルムは、インク中の水又は溶媒と不相容性である。したがって、インク中の(ノズル内の)水又は溶媒は、インクブロッキングフィルムを通って移動せず、ノズルから流出しない。インクブロッキングフィルムは、水又はインク溶媒と混合しない任意の材料で形成することができるが、揮発性シリコーン油及び他の同様の材料は、インクブロッキングフィルムを形成するのに非常に有用である。
【0016】
蒸発環境は、必要な限り、及び印刷ヘッドが媒体印刷操作のために呼び出されるまで、インクブロッキングフィルム層をノズル上に保持するためにキャップデバイスによって作成された密封空間内に維持される。例えば、水不相容性又は溶媒不相容性液体の液滴をキャップデバイスの底部に定期的に分配して、水不相容性又は溶媒不相容性液体を蒸発させることにより、インク遮断フィルムが蒸発するキャップデバイス内に水不相容性又は溶媒不相容性液体を含有する露出した液体リザーバ又は発泡体パッドなどを含むことより、インクブロッキングフィルムをノズル上に維持することができる。インクジェット印刷ヘッドがキャップデバイスに接続されていないとき、水不相容性又は溶媒不相容性液体を含有する液体リザーバ又は発泡体パッドは、水不相容性又は溶媒不相容性液体が露出雰囲気中に蒸発するのを防止するために、被覆/密封され得る。
【0017】
したがって、本明細書の方法及び構造は、インクジェット印刷ヘッドとキャップデバイスとの間の密封空間内の液体-蒸気力学バランスを維持する。具体的には、水不相容性又は溶媒不相容性液体は、リザーバ/発泡体パッドから(密封空間内の蒸発した蒸気として)移動し、インクジェット印刷ヘッドの表面上で凝縮する。これは、印刷ヘッドにおいて液体リザーバの温度よりも低い温度を作成することによって達成することができる。水不相容性又は溶媒不相容性液体の表面における蒸気圧が、インクジェット印刷ヘッド表面の蒸気圧よりも高いため凝縮が起こる。蒸気圧が平衡化すると、蒸気圧は、より低い温度の印刷ヘッド表面上の飽和レベルを超え、インクブロッキングフィルムとしてノズル上の蒸発した蒸気の凝縮を引き起こす。上述したように、凝縮インクブロッキングフィルムは、インク及びフェースプレート表面上に広がり、連続的なインクブロッキングフィルムを形成し、キャップ内の空気がインク表面を密封することによるインクの蒸発を防止する。
【0018】
加えて、印刷操作を再開する際に、ノズルからインクブロッキングフィルムを除去するために、単純な蒸発を使用することができる。インクジェット印刷ヘッドをキャップデバイスから分離することにより、密封空間が開かれ、インクブロッキングフィルムは、キャップ構造体の外側の空気環境に露出されると、ノズルから自発的に素早く蒸発する。したがって、本明細書の方法を再開する前に、単にキャップと印刷ヘッドとを分離し、印刷準備ルーチンを働かせて印刷ヘッドに印刷準備を整えさせる。キャップデバイスが印刷ヘッドから取り外されると、インクブロッキングフィルムは、ノズル内のインクの表面から露出した周囲空気に自発的に蒸発し、インクジェットフェースプレート又はインク上に残留物を残さない。
【0019】
他の代替例では、印刷ヘッドは、印刷動作の準備において、印刷ヘッドをその標準的な動作温度まで上昇させるだけでなく、インクブロッキングフィルムが凝縮し得るインクジェット印刷ヘッドの全ての表面からのブロッキングインクブロッキングフィルムの蒸発速度も増加させることもできる。印刷ヘッドのこの加熱は、印刷ヘッドがキャップデバイスから取り外される前に行われ、印刷ヘッドの温度が液体リザーバの温度を上回るレベルまで上昇する場合、インクブロッキングフィルムは、印刷ヘッドから密封空間の大気中へと蒸発し、キャップデバイスの壁上の水不相容性又は溶媒不相容性液体に戻すことができる(及びキャップデバイス内のリザーバ/発泡体パッドに戻る重力供給)。したがって、これらの構造体/方法は、インクの乾燥を防止し、印刷ヘッドと非接触であり、残留物を残さず、活性な制御を必要としない。
【0020】
図1及び図2は、インクジェット印刷カートリッジ104及びカートリッジ静止構造体102を含むインクジェット印刷エンジン100のいくつかの構成要素を示す斜視/分解概念図である。カートリッジ静止構造体102及びインクジェット印刷カートリッジ104の一方又は両方は、例えば、アクチュエータ/トラック構造体108に沿って移動可能である。一実施例では、インクジェットプリンタカートリッジ104は、印刷媒体106のシート上にマーキングを印刷するために、アクチュエータ/トラック構造体108によって印刷位置に移動される。印刷されないとき、インクジェット印刷カートリッジ104は、カートリッジ静止構造体102のキャップ112に接続する「駐車」、「静止」、又は「ホーム」位置に移動する。図1のブロック矢印によって示されるように、アクチュエータ/トラック構造体108は、インクジェット印刷カートリッジ104を多くの異なる方向に移動させることができる。
【0021】
インクジェット印刷カートリッジ104は、インクジェット印刷エンジン100が印刷のためにインクジェット印刷カートリッジ104を使用するプロセスにない限り、カートリッジ静止構造体102に接続されたままである。印刷媒体106のシート上にマーキングを印刷するとき、インクジェット印刷機100は、液滴(小滴)をパターン内のインクジェット印刷ヘッド116のノズル118(ジェット)から吐出させて印刷媒体106上に印刷を実施する。印刷後、インクジェット印刷カートリッジ104は再びカートリッジ静止構造体102に戻る。
【0022】
再び、このようなインクジェット印刷ヘッドのノズル118は、長時間使用されていないときには、定期的に目詰まりする。そのような問題に対処するために、本明細書の装置は、カートリッジ静止構造体102の一部としてキャップ112を含む。キャップ112は、印刷ヘッド116が液体インクを吐出しないときに、印刷ヘッド116と接触する(接続するか、又は接合する)ように位置付けられる。キャップ112は、キャップ112及び印刷ヘッド116が、互いに接触又は接続されたときに(例えば、印刷動作間で印刷ヘッド116がキャップ112上に駐車されるか、又は静置されるとき)、ノズル118に隣接する密封空間(外部環境に露出していない)を作成するように密封部128を含む。
【0023】
密封空間114は、カートリッジ静止構造体102のうちの1つに接続されたインクジェット印刷カートリッジ104のうちの1つを示す、図3及び図4の断面図及び端面図でより容易に見ることができる。図3及び図4にも見ることができるように、蒸発器124はキャップ112に接続され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132(リザーバ126内に貯蔵され得る)を蒸発させて、密封空間114内に水不相容性又は溶媒不相容性蒸気134を作成するように適合されている。蒸発して蒸気134を形成する、水不相容性又は溶媒不相容性液体132は、容易に蒸発し(例えば、高揮発性であり)、水又はインク溶媒と相容性ではなく、ノズル118内のインク140が乾燥することを防ぐことができる任意の材料(例えば、液体、ゲルなど)であり得る。
【0024】
図5及び図6は、インクジェット印刷ヘッド116の小部分を例示し、いくつかのノズル118内に液体インク140を示す。図5では、表面張力/メニスカスは、ノズル118の開放端部(例えば、液体インクの小滴が吐出されるノズル開口部)にいくらかの空間142を残す。図6に示すように、蒸発器124による蒸気134を作成するための水不相容性又は溶媒不相容性液体132の蒸発は、薄いインクブロッキングフィルム136をノズル118内のインク140の表面上に形成させる(及びインクブロッキングフィルム136は、蒸気134に露出された印刷ヘッド116の他の構成要素上にも形成され得る)。
【0025】
フィルム形成を促進するために、水不相容性又は溶媒不相容性液体132は、比較的低い表面エネルギー(low surface energy、LSE)を有する。液体分子間の密着力は、表面における分子が全ての面に他の同様の分子を有さないため、表面張力に関与し、その結果、表面上の他に対してより強く密着するためである。表面張力は、典型的には、ダイン/cm(例えば、長さ1cmのフィルムを破断するのに必要なダインの力)又は平方センチメートル当たりのエルグで測定される。いくつかの実施例では、20℃では、水性インクは、典型的には、25~35ダイン/cmの表面張力を有し、エチルアルコールは、22.3ダイン/cmの低い表面張力を有し、水銀は、465ダイン/cmの高い表面張力を有する。本明細書における水不相容性又は溶媒不相容性液体132及び凝縮されたインクブロッキングフィルム136の表面張力は、20℃で有意な量だけインクの表面張力よりも小さいことが好ましい。したがって、本明細書の水不相容性又は溶媒不相容性液体132で形成されたインクブロッキングフィルム136は、露出したインク140の表面上に非常に薄く広がり、インク中の水又は溶媒が蒸発するのを防止する。
【0026】
更に、水不相容性又は溶媒不相容性液体132は揮発性であり、したがって、インクブロッキングフィルム136になりやすいように蒸発する。揮発性は、物質が気化し、物質の蒸気圧/沸点に直接関連する傾向である。液体の蒸気圧は、より高い温度でより高くなる。凝縮は、蒸気圧が物体の表面の温度での飽和蒸気圧よりも高いときに生じる。例えば、液体132が印刷ヘッドの温度よりも高い温度にある場合、液体132によって発生した蒸気は、印刷ヘッドの表面上並びにノズル内のインクと凝縮する。この温度差は重要であり、印刷ヘッドを冷却するか、又は液体を加熱するかのいずれかによって達成され得る。液体及び印刷ヘッドが同じ温度に達すると、蒸発及び凝縮プロセスが停止する。ブロッキング液体フィルム膜136は、その厚さに留まり、かつその厚さを維持する。
【0027】
蒸発器122A~Cは、蒸気134を形成することができる任意の数の異なるデバイスとすることができ、容器124A(図7A図7B)、発泡体パッド124B(図8A図8B)、ディスペンサ124C(図9D図9B)などを含むことができる。また、そのようなデバイスには、蒸気制御デバイス(例えば、容器124Aの蓋122A(以下で説明する図7A図7Bに示す)、発泡体パッド124B上のカバー122B(以下で説明する図8A図8Bに示す)、ディスペンサ124Cのバルブ122C(以下で説明する図9A図9Bに示す)など)を含み、蒸気制御デバイスは、蒸発器124に接続することができ、又はその構成要素であり得る。蒸気制御部は、キャップデバイス112が印刷ヘッド116に接触していないときには、蒸発器124が水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発させることを防止するように適合される。
【0028】
より具体的には、図7A及び図7Bは、キャップデバイス112の拡大断面図であり、蒸発器124がキャップデバイス112内に位置付けされた容器124Aである一例を示す。容器124Aは、蓋122Aである蒸気制御デバイスを含む。図7Aは、キャップデバイス112から接続を断たれた印刷ヘッド116を示し、この状況では、蓋122Aが閉じられるように制御され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132が蒸発するのを防止する。対照的に、図7Bは、キャップデバイス112に接続された印刷ヘッド116を示し、この状況では、蓋122Aが開くように制御され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132が容器124Aから密封空間114に蒸発して蒸気134を形成できるようにする(上述の図6に示されるように、ノズル118内の液体インク140上にインクブロッキングフィルム136として凝縮する)。再び、リザーバ126は蒸発器124Aに接続することができ、水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発器124Aに供給するように適合され得ることに留意されたい。
【0029】
付加的に、図7A図7Bに示すように、印刷ヘッドヒータ/冷却器144は、印刷ヘッド116に接続され得るか、又はその構成要素であり得る。印刷ヘッドヒータ/冷却器144ヒータは、印刷ヘッド116を冷却して、その上のインクブロッキングフィルム136の凝縮を促進し、印刷動作中に印刷ヘッド116の温度を室温より高くして、インクの粘度を下げてインクの流れを助け、インクの乾燥を助けるために有用である。本明細書に開示されている構造及び方法では、印刷ヘッドヒータ/冷却器144は、印刷ヘッド116を加熱するように適合させることもでき、一方、キャップ112は、インクブロッキングフィルム136をノズル118内の液体インク140の表面から、及びインクブロッキングフィルム136が凝縮した任意の他の成分から蒸発させる液体132の温度よりも高い温度まで、依然として印刷ヘッド116に接触している。より具体的には、キャップ112が依然として印刷ヘッド116に接触していると、印刷ヘッドヒータ/冷却器144は、インクブロッキングフィルム136を蒸気134として密封空間114内へと蒸発させる。これにより、蒸気134は再凝縮及び戻しを可能にし、水不相容性又は溶媒不相容性液体132が蒸発器124に戻ることを可能にする。いくつかの例では、印刷ヘッドのヒータ/冷却器144がインクブロッキングフィルム136を蒸発させて蒸気134にするとき、蒸気は、容器124A内で再凝縮し得るか、キャップデバイス112の側壁に沿って再凝縮し、(重力により)容器124Aなどに排出することができる。インクブロッキングフィルム136を再凝縮し、水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発器124(及び潜在的にリザーバ126)に戻すことは、消費される水不相容性又は溶媒不相容性液体132の量を節約するのに役立つ。
【0030】
上述の構造と同様に、図8A及び図8Bは、キャップデバイス112の拡大断面図であり、蒸発器124がキャップデバイス112内に位置付けされた発泡体パッド124Bである異なる実施例を示す。発泡体パッド124Bは、カバー122Bである蒸気制御デバイスを含む。図8Aは、キャップデバイス112から接続を断たれた印刷ヘッド116を示し、この状況では、カバー122Bが閉じられるように制御され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132が蒸発するのを防止する。対照的に、図8Bは、キャップデバイス112に接続された印刷ヘッド116を示し、この状況では、カバー122Bが開くように制御され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132が発泡体パッド124Bから密封空間114に蒸発して蒸気134を形成できるようにする(上述の図6に示されるように、ノズル118内の液体インク140上にインクブロッキングフィルム136として凝縮する)。再び、リザーバ126は蒸発器124Bに接続することができ、水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発器124Bに供給するように適合され得ることに留意されたい。ヒータ/冷却器144は、蒸発及び再蒸発を補助するために上述したように動作する。
【0031】
図9A及び図9Bもキャップデバイス112の拡大断面図であり、蒸発器124がキャップデバイス112内に水不相容性又は溶媒不相容性液体132を分配するように位置付けされたディスペンサ124Cである更に別の例を示す。ディスペンサ124Cは、バルブ122Cである蒸気制御デバイスを含む。図9Aは、キャップデバイス112から接続を断たれた印刷ヘッド116を示し、この状況では、バルブ122Cが閉じられるように制御され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132がキャップデバイス112に分配されるのを防止する。対照的に、図9Bは、キャップデバイス112に接続された印刷ヘッド116を示し、この状況では、バルブ122Cが開くように制御され、水不相容性又は溶媒不相容性液体132を密封空間114(例えば、キャップデバイス112の側壁及び底部に沿った小滴)から水不相容性又は溶媒不相容性液体132が蒸発して蒸気134を形成する(上述の図6に示されるように、ノズル118内の液体インク140上にインクブロッキングフィルム136として凝縮する)。再び、リザーバ126は蒸発器124Cに接続することができ、水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発器124Cに供給するように適合され得ることに留意されたい。ヒータ/冷却器144は、蒸発及び再蒸発を補助するために上述したように動作する。
【0032】
本明細書の蒸発器124(及び/又は蒸気制御デバイス122A~122C)は、異なる量の水不相容性又は溶媒不相容性液体132を異なる色の印刷ヘッド116に蒸発させ(例えば、マゼンダの印刷ヘッドではより多い蒸気134、シアンの印刷ヘッドなどではより少ないなど)、水不相容性又は溶媒不相容性液体132を密封空間114に蒸発させて、遅延処理中にかつ(ノズルが液体インクを吐出しない間の)アイドル期間が満了した後にのみ、ノズル118の液体インク140の表面上にインクブロッキングフィルム136を形成するように適合させることができる。したがって、一部の色の印刷ヘッドは、他の色の印刷ヘッドほど頻繁にインクブロッキングフィルム136を受け取らない場合がある。また、印刷ヘッド116は、印刷動作が一時停止されるたびにキャップデバイス112に接続され得るが、印刷ヘッドが確立された期間(時間、日など)使用されず、消費される水不相容性又は溶媒不相容性液体132の量を再び節約した後、蒸気制御デバイス122A~122Cは、蒸発器124がインクブロッキングフィルム136を形成することのみを可能にするように制御され得る。
【0033】
図10は、本明細書の様々な方法のいくつかの態様を示し、このような方法は、印刷ヘッドとキャップとを接触又は接続して(品目150において)、印刷ヘッドのキャップとノズルとの間に封止された空間を作成する。前述したように、品目152では、このような方法は、密封空間内に水不相容性又は溶媒不相容性液体を蒸発させて、ノズル内の液体インクの表面上のインクブロッキングフィルムを凝縮させる。多くの異なるプロセスを使用して品目152内で蒸発を行うことができるが、本明細書のいくつかの方法は、キャップ内の蒸発器の蒸気制御部を開放することができる。
【0034】
更に、品目152において、これらの方法は、異なる量の水不相容性又は溶媒不相容性液体を異なる色の印刷ヘッドに蒸発させることができる。更に、水不相容性又は溶媒不相容性液体は、アイドル期間(ノズルが液体インクを吐出しない間)が満了した後にのみ、密封空間内に蒸発させることができる。
【0035】
付加的に、品目154に示されるように、これらの方法は、(キャップがまだ印刷ヘッドに接触している間に)印刷ヘッドを、ノズル内の液体インクの表面から密封空間内に蒸発させる温度に加熱することができる。前述したように、再蒸発したフィルムは、後のサイクルのために再凝縮されて再利用される。
【0036】
本明細書の実施形態では、インクブロッキングフィルムがノズル内のインクを保護するため及びインクブロッキングフィルムが周囲の空気中で非常に揮発性であり、印刷ヘッドがキャップデバイスから分離されたとき自然に蒸発するためノズルフラッシング及び他の同様の事前印刷インク調製プロセスは不要である(しかし使用することはできる)。したがって、本明細書の構造と方法では、ノズルとキャップデバイス間の密封空間内の蒸気環境は、ノズル内の液体インクにインクブロッキングフィルムを保持して長時間の非印刷時に液体インクを保護するが、キャップデバイスから印刷ヘッドを単に分離するだけで、インクブロッキングフィルムが周囲の環境に蒸発することができ、フラッシングなどを必要とせずにノズルがすぐに印刷できるようになる。
【0037】
図11は、例えば、プリンタ、コピー機、多機能機械、多機能デバイス(multi-function device、MFD)などを含み得る、本明細書のプリンタ構造体204の多くの構成要素を示す。印刷デバイス204は、制御部/有形プロセッサ224と、有形プロセッサ224に動作可能に接続された通信ポート(入力/出力)214と、印刷デバイス204の外部のコンピュータ化されたネットワークとを含む。また、印刷デバイス204は、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)アセンブリ212などの少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素を含み得る。ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース又は制御パネル212からメッセージ、命令、及びメニューオプションを受信し、グラフィカルユーザインターフェース又は制御パネル212を介して命令を入力し得る。
【0038】
入力/出力デバイス214は、印刷デバイス204への通信及びそこからの通信に使用され、有線又は無線デバイス(現在知られているか又は将来開発されているかにかかわらず、任意の形態)を備える。有形プロセッサ224は、印刷デバイス204の様々な動作を制御する。非一時的な有形のコンピュータ記憶媒体デバイス210(光学、磁気、コンデンサベースなどであり得、一時的な信号とは異なる)は、有形プロセッサ224によって読み取り可能であり、有形プロセッサ224が実行して、コンピュータ化されたデバイスが、本明細書に記載される機能など、その様々な機能を実行することを可能にする命令を記憶する。したがって、図11に示すように、本体ハウジングは、交流(alternating current、AC)源220から電力供給部218によって供給された電力で動作する1つ以上の機能構成要素を有する。電力供給部218は、共通電力変換ユニット、電力貯蔵素子(例えば、電池など)などを含むことができる。
【0039】
印刷デバイス204は、マーキング材料を使用し、かつ特殊画像プロセッサ224(画像データの処理に特殊であるため汎用コンピュータとは異なり得る)に動作可能に接続されている少なくとも1つのマーキングデバイス(印刷エンジン)100と、連続した媒体又は媒体のシートをシート供給部230からマーキングデバイス100などに供給するように配置された媒体経路236とを含む。印刷エンジン100から様々なマーキングを受信した後、媒体のシートは、任意選択で、様々な印刷されたシートの折り畳み、ステープル、ソートなどを行うことができるフィニッシャ234にわたる。また、印刷デバイス204は、やはり外部電力源220から(電力供給部218を介して)供給された電力で動作する、少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素(スキャナ/文書ハンドラ232(自動文書送込み装置(automatic document feeder、ADF))など)を含むことができる。
【0040】
1つ以上の印刷エンジン100は、マーキング材料(トナー、インク、プラスチック、有機材料など)を連続媒体、媒体のシート、固定プラットフォームなどに、現在知られているか又は将来開発されているかにかかわらず、二次元又は三次元印刷プロセスにおいて適用する任意のマーキングデバイスを示すことを意図している。印刷エンジン100は、例えば、インクジェット印刷ヘッド、接触印刷ヘッド、三次元プリンタなどを使用するデバイスを含み得る。
【0041】
上述のように、密封空間114内の蒸気134レベルは、異なる印刷ヘッド、異なるインク、異なる色、異なる印刷バーなどの異なるレベルに維持することができる。印刷ヘッド、インク、色などがプリンタに設置されると、コントローラ224は、プリンタの構成要素を認識するようになる。したがって、コントローラ224は、蒸発器124及び/又は蒸気制御デバイス122A~122Cを:プリンタ内の異なる色の印刷ヘッド116に異なる量の水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発させ、プリンタ内で使用される固有の種類の印刷ヘッド116に固有の量の水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発させ、密封空間で水不相容性又は溶媒不相容性液体132を蒸発させてアイドル期間(プリンタ内のインク又は印刷ヘッドに固有のものであり得る)が満了したなどの後にのみノズル118内の液体インクの表面上にインクブロッキングフィルム136を凝縮させる、ように制御することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11