(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】データ統合処理方法、プログラム、データ統合処理用サーバ、および、可視化データ処理システム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20230724BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20230724BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W4/38
(21)【出願番号】P 2020027133
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-11-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「狭空間における周波数稠密利用のための周波数有効利用技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】玉井 森彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0088588(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0279111(US,A1)
【文献】特開2020-155889(JP,A)
【文献】特開2021-128401(JP,A)
【文献】玉井 森彦, 長谷川 晃朗, 横山 浩之,無線ネットワークのテストに向けた無線トラフィックエミュレータの設計,FIT2018 第17回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第4分冊 選奨論文・一般論文・既発表論文紹介 ネットワーク・セキュリティ ユビキタス・モバイルコンピューティング 教育・人文科学 情報システム Forum on Information Technology 2018,2018年09月12日
【文献】玉井 森彦, 長谷川 晃朗, 横山 浩之,無線ネットワークモニタリングのための信号強度データとキャブチャデータ間の同期方式,電子情報通信学会2021年総合大会講演論文集 通信1 PROCEEDINGS OF THE 2021 IEICE GENERAL CONFERENCE,2021年02月23日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 24/00
H04W 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得される複数種類のデータを統合するためのデータ統合処理方法であり、複数のバッファを含む統合処理用記憶部を備えるシステムを用いて実行されるデータ統合処理方法であって、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータであるセンサデータを取得し、当該センサデータを解析することで、当該センサデータの時間情報、および、データ種別の情報を取得する解析ステップと、
時間を所定の期間ごとに区切った統合区間を設定するとともに、前記統合区間ごとにタイマーを設定し、前記統合区間ごとに前記統合処理用記憶部の複数のバッファを対応付け、前記解析ステップにより取得された、前記センサデータの時間情報、および、データ種別の情報に基づいて、前記センサデータを、対応する統合区間の対応するバッファに記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにおいて前記センサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを所定の値に設定するタイマー再設定ステップと、
前記タイマーがタイマー処理を完了した場合、当該タイマーに対応する統合区間に属するバッファに記憶されているデータに対して、統合処理を行う統合処理ステップと、
を備える、データ統合処理方法。
【請求項2】
最大残時間を設定する最大残時間設定ステップをさらに備え、
前記タイマー再設定ステップは、
前記記憶ステップにおいて前記センサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを前記最大残時間に設定する、
請求項1に記載のデータ統合処理方法。
【請求項3】
最大残時間を設定する最大残時間設定ステップをさらに備え、
前記記憶ステップは、
前記センサデータを対応する統合区間の対応するバッファに記憶する前の当該バッファの残メモリ量を取得し、
前記タイマー再設定ステップは、
(1)前記残メモリ量が所定の閾値よりも小さい場合、前記記憶ステップにおいて前記センサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを前記最大残時間よりも短い時間に設定し、
(2)前記残メモリ量が所定の閾値以上の場合、前記記憶ステップにおいて前記センサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを前記最大残時間に設定する、
請求項1に記載のデータ統合処理方法。
【請求項4】
前記最大残時間は、統合区間の時間長の半分の長さの時間である、
請求項2または3に記載のデータ統合処理方法。
【請求項5】
前記記憶ステップは、
前記センサデータを対応する統合区間の対応するバッファに記憶する前の当該バッファの残メモリ量を取得し、
前記タイマー再設定ステップは、
前記残メモリ量に基づく残時間を設定し、
前記記憶ステップにおいて前記センサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを、前記残メモリ量に基づく時間に設定する、
請求項1に記載のデータ統合処理方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のデータ統合処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置からのデータを受信するデータ統合処理用サーバであって、
複数のバッファを含む統合処理用記憶部と、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータであるセンサデータを取得し、当該センサデータを解析することで、当該センサデータの時間情報、および、データ種別の情報を取得する解析処理と、
時間を所定の期間ごとに区切った統合区間を設定するとともに、前記統合区間ごとにタイマーを設定し、前記統合区間ごとに前記統合処理用記憶部の複数のバッファを対応付け、前記解析処理により取得された、前記センサデータの時間情報、および、データ種別の情報に基づいて、前記センサデータを、対応する統合区間の対応するバッファに記憶する記憶処理と、
前記記憶処理において前記センサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを所定の値に設定するタイマー再設定処理と、
前記タイマーがタイマー処理を完了した場合、当該タイマーに対応する統合区間に属するバッファに記憶されているデータに対して、統合処理を行う統合処理と、
を実行する統合処理部と、
を備えるデータ統合処理用サーバ。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ統合処理用サーバと、
ユーザー端末装置と、
を備え、
前記データ統合処理用サーバは、
前記統合処理により取得したデータである統合データを前記ユーザー端末装置に送信し、
前記ユーザー端末装置は、
前記データ統合処理用サーバから受信した統合データに対して可視化処理を実行する、
可視化データ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信環境(例えば、無線通信環境)における通信品質の状態(現状)を把握するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機器の稼働状況の把握、制御などを目的として、工場、病院、商業施設などの屋内環境へのIoT(Internet of Things)デバイスの導入が進んでいる。
【0003】
例えば工場のような環境下で製造システムの状態管理や制御のために無線通信が使用されている場合、電波の減衰や干渉などの影響により通信断が生じてしまうと、製造工程の遅延や停止につながる場合もある。このため、無線通信に対し特に高い品質が求められる。
【0004】
無線品質の悪化を防ぐためには、ネットワーク管理者は、まず対象環境における現状の無線品質がどうなっているかを把握することが求められる。対象環境における現状の無線品質がどうなっているかを把握するために、例えば、対象環境下に複数のセンサノード(センサ装置)を設置し、当該複数のセンサノード(センサ装置)において無線品質に関するデータを取得し、取得したデータを解析することが考えられる。複数のセンサノード(センサ装置)により取得される無線品質に関するデータは、その種類が多様であり、かつ、その量が膨大であるため、効率良くデータ解析を行い、解析結果を示すデータを可視化できる方法が求められている。例えば、特許文献1には、生産設備ごとの独自フォーマットで定義された多様なデータに対して、フォーマットの変換を行い、各種のデータを統一的に可視化する技術の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対象環境における通信品質(例えば、無線品質)の準リアルタイムでの把握のため、センサノードがデータを取得し、当該データの可視化を行うノード(可視化ノード(例えば、ユーザー端末装置)で、当該データが表示されるまでの間の時間(データ取得からデータ表示までの遅延時間)を可能な限り小さくしたい、という要望がある。
【0007】
その一方で、対象環境において複数種類のセンサデータを取得し、それらのデータを統合したものを表示することで、対象環境の通信品質(例えば、無線品質)で特に注目したい点に焦点を絞った可視化を行いたい、という要望もある。
【0008】
データ取得から表示までの遅延時間を小さくしたいという観点からは、センサノードが取得したデータをできるだけ即座に可視化を行うノード(可視化ノード)まで転送することが求められるが、一方、複数種類のセンサデータの統合の観点からは、統合処理の実行に十分なデータが揃うまで、データの到着を待っておくことが求められる。
【0009】
特許文献1の技術では、統合処理のために、複数のセンサデータの到着をいかに待機するかという点については考慮されておらず、上記課題を解決することができない。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、センサノードがデータを取得してから、当該データが表示されるまでの時間(遅延)を小さくしつつ、複数種類のセンサデータを統合する処理(統合処理)を適切に実行する可視化データ処理システム、および、当該システムで用いられる方法、プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の発明は、通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得される複数種類のデータを統合するためのデータ統合処理方法であり、複数のバッファを含む統合処理用記憶部を備えるシステムを用いて実行されるデータ統合処理方法である。データ統合処理方法は、解析ステップと、記憶ステップと、タイマー再設定ステップと、統合処理ステップと、を備える。
【0012】
解析ステップは、センサ装置が通信環境下で取得したデータであるセンサデータを取得し、当該センサデータを解析することで、当該センサデータの時間情報、および、データ種別の情報を取得する。
【0013】
記憶ステップは、時間を所定の期間ごとに区切った統合区間を設定するとともに、統合区間ごとにタイマーを設定し、統合区間ごとに統合処理用記憶部の複数のバッファを対応付け、解析ステップにより取得された、センサデータの時間情報、および、データ種別の情報に基づいて、センサデータを、対応する統合区間の対応するバッファに記憶する。
【0014】
タイマー再設定ステップは、記憶ステップにおいてセンサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを所定の値に設定する。
【0015】
統合処理ステップは、タイマーがタイマー処理を完了した場合、当該タイマーに対応する統合区間に属するバッファに記憶されているデータに対して、統合処理を行う。
【0016】
このデータ統合処理方法では、統合区間ごとに、複数(例えば、複数種類)のセンサデータを記憶する複数のバッファを設け、統合区間ごとに設定されたタイマーによる時間管理を行うことで、適切なタイミングで、統合区間ごとに複数(例えば、複数種類)のセンサデータの統合処理を行うことができる。
【0017】
このデータ統合処理方法では、センサ装置からのデータ受信(センサデータの受信)を監視し、センサデータを受信したときに、センサデータの時間情報(タイムスタンプ)、データ種別に応じて、対応する統合区間の対応するバッファにデータを記憶するとともに、統合区間ごとに設定されたタイマーにより統合区間の時間管理を行う。そして、このデータ統合処理方法では、統合区間のタイマーのタイマー処理が完了(例えば、カウントダウンが終了)したタイミングで、当該統合区間に属する複数のバッファのデータの統合処理を行う。
【0018】
つまり、このデータ統合処理方法では、統合処理を開始するまでにあとどれくらい待つべきかを表すタイマーを用意し、データの到着状況に合わせてタイマー終了までの残時間を動的に更新しつつ、統合処理の対象となる複数のデータのバッファリングを行う。したがって、このデータ統合処理方法では、適切なタイミングで、統合処理を実行し、統合処理後のデータを、例えば、ユーザー端末装置2(可視化ノード)に送信することで、統合処理後のデータを可視化することができる。
【0019】
このように、このデータ統合処理方法を用いることで、センサ装置(センサノード)がデータを取得してから、当該データが表示されるまでの時間(遅延)を小さくしつつ、複数種類のセンサデータを統合する処理(統合処理)を適切に実行することができる。
【0020】
なお、「統合処理」とは、複数のデータのうちの1または複数のデータに基づいて、所定の加工、結合等の処理を行うことで、複数のデータを統合する処理を含む概念である。
【0021】
また、タイマー処理は、時間計測を行う処理を含む概念であり、例えば、カウントダウン方式により時間計測を行う処理により実現される。なお、カウントダウン方式により時間計測を行う処理によりタイマー処理を実現する場合、残時間がゼロになったときが、タイマー処理が完了したときとなる。
【0022】
第2の発明は、第1の発明であって、最大残時間を設定する最大残時間設定ステップをさらに備える。
【0023】
タイマー再設定ステップは、記憶ステップにおいてセンサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを最大残時間に設定する。
【0024】
これにより、このデータ統合処理方法では、センサデータがバッファに記憶されたとき、対応する統合区間のタイマーを最大残時間に設定するという簡単な処理により、統合区間の時間管理を行うことできる。
【0025】
第3の発明は、第1の発明であって、最大残時間を設定する最大残時間設定ステップをさらに備える。
【0026】
記憶ステップは、センサデータを対応する統合区間の対応するバッファに記憶する前の当該バッファの残メモリ量を取得する。
【0027】
タイマー再設定ステップは、
(1)残メモリ量が所定の閾値よりも小さい場合、記憶ステップにおいてセンサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを最大残時間よりも短い時間に設定し、
(2)残メモリ量が所定の閾値以上の場合、記憶ステップにおいてセンサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを最大残時間に設定する。
【0028】
これにより、このデータ統合処理方法では、残メモリ量が少ない場合に、統合区間のタイマーの再設定値を短い時間に設定することできる。その結果、タイマー処理が完了するまでの時間を短くすることができ、統合処理が開始されるまでの待機時間を短くすることができる。
【0029】
第4の発明は、第2または第3の発明であって、最大残時間は、統合区間の時間長の半分の長さの時間である。
【0030】
これにより、最大残時間を統合区間の時間長の半分の長さの時間に設定できる。
【0031】
第5の発明は、第1の発明であって、記憶ステップは、センサデータを対応する統合区間の対応するバッファに記憶する前の当該バッファの残メモリ量を取得する。
【0032】
タイマー再設定ステップは、残メモリ量に基づく残時間を設定し、記憶ステップにおいてセンサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを、残メモリ量に基づく時間に設定する。
【0033】
これにより、残メモリ量に応じて動的に統合区間のタイマーの再設定値を設定することができる。
【0034】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明であるデータ統合処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0035】
これにより、第1から第5のいずれかの発明と同様の効果を奏するデータ統合処理方法を実現することができる。
【0036】
第7の発明は、通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置からのデータを受信するデータ統合処理用サーバであって、複数のバッファを含む統合処理用記憶部と、統合処理部と、を備える。
【0037】
統合処理部は、
センサ装置が通信環境下で取得したデータであるセンサデータを取得し、当該センサデータを解析することで、当該センサデータの時間情報、および、データ種別の情報を取得する解析処理と、
時間を所定の期間ごとに区切った統合区間を設定するとともに、統合区間ごとにタイマーを設定し、統合区間ごとに統合処理用記憶部の複数のバッファを対応付け、解析処理により取得された、センサデータの時間情報、および、データ種別の情報に基づいて、センサデータを、対応する統合区間の対応するバッファに記憶する記憶処理と、
記憶処理においてセンサデータが記憶されたバッファに対応する統合区間のタイマーを所定の値に設定するタイマー再設定処理と、
タイマーがタイマー処理を完了した場合、当該タイマーに対応する統合区間に属するバッファに記憶されているデータに対して、統合処理を行う統合処理と、
を実行する。
【0038】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏するデータ統合処理用サーバを実現することができる。
【0039】
第8の発明は、第7の発明であるデータ統合処理用サーバと、
ユーザー端末装置と、を備える可視化データ処理システムである。
【0040】
データ統合処理用サーバは、統合処理により取得したデータである統合データをユーザー端末装置に送信する。
【0041】
ユーザー端末装置は、データ統合処理用サーバから受信した統合データに対して可視化処理を実行する。
【0042】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する可視化データ処理システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、センサノードがデータを取得してから、当該データが表示されるまでの時間(遅延)を小さくしつつ、複数種類のセンサデータを統合する処理(統合処理)を適切に実行する可視化データ処理システム、および、当該システムで用いられる方法、プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】第1実施形態に係る無線品質データ可視化システム1000の概略構成図。
【
図2】第1実施形態に係る無線品質データサーバ1およびユーザー端末2の概略構成図。
【
図3】第1実施形態に係る無線品質データ可視化システム1000で用いられる統合処理用バッファを説明するための図。
【
図4】包絡線データの図式表現について説明するための図。
【
図5】ヘッダデータの図式表現について説明するための図。
【
図6】無線品質データ可視化システム1000で実行される処理のフローチャート。
【
図7】無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理を説明するための図。
【
図8】無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理を説明するための図。
【
図9】無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理を説明するための図。
【
図10】無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理を説明するための図。
【
図11】無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理を説明するための図。
【
図12】第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データ可視化システム1000Aの概略構成図。
【
図13】第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データサーバ1Aおよびユーザー端末2の概略構成図。
【
図14】無線品質データ可視化システム1000Aで実行される統合処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0046】
<1.1:無線品質データ可視化システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る無線品質データ可視化システム1000の概略構成図である。
【0047】
図2は、第1実施形態に係る無線品質データサーバ1およびユーザー端末2の概略構成図である。
【0048】
図3は、第1実施形態に係る無線品質データ可視化システム1000で用いられる統合処理用バッファを説明するための図である。
【0049】
無線品質データ可視化システム1000(可視化データ処理システム)は、
図1に示すように、無線品質データサーバ1(データ統合処理用サーバ)と、ユーザー端末2と、1または複数のセンサ装置(
図1では、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3)と、1または複数の通信機器(
図1では、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtC)とを備える。
【0050】
なお、説明便宜のため、
図1に示すように、無線品質データ可視化システム1000に、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3の3つセンサ装置が含まれ、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCの3つの通信機器が含まれる場合について、以下説明する。
【0051】
通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、狭空間内(例えば、工場内)に設置される。そして、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、IEEE802.11a、b、g、n、ac等の無線LAN規格に従い、互いに無線通信を行うことができる。通信機器RbtA、通信機器RbtB、および/または、通信機器RbtCは、例えば、無線通信機能付きの工作機械である。
【0052】
無線品質データサーバ1と、1または複数のセンサ装置とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0053】
また、無線品質データサーバ1とユーザー端末2とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0054】
(1.1.1:無線品質データサーバ)
無線品質データサーバ1は、
図2に示すように、第1通信インターフェース11と、時計部12と、統合処理部13と、統合処理用記憶部14と、サーバ側通信インターフェース15と、を備える。
【0055】
第1通信インターフェース11は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。第1通信インターフェース11は、ネットワークを介してデータDin(例えば、センサ装置からのデータDin)を受信する。なお、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)から受信したデータをデータDin(S_nodek)と表記する。なお、本実施形態では、kは3以下の自然数として説明するが、これに限定されることはなく、kは他の自然数であってもよい。
【0056】
第1通信インターフェース11は、受信したデータDinを、統合処理部13が処理できるデータDa1にして、当該データDa1を統合処理部13に出力する。なお、Din(S_nodek)から取得されるデータDa1をDa1(S_nodek)と表記する。
【0057】
時計部12は、時間情報を管理する機能部であり、統合処理の基準となる時間(例えば、絶対時間)を取得することができる機能部である。時計部12は、統合処理の基準(統合処理のタイマー処理(カウントダウン処理)の基準)にできる時間情報を含むデータをデータD_timeとして、例えば、所定の周期で、統合処理部13に出力する。
【0058】
統合処理部13は、第1通信インターフェース11から出力されるデータDa1と、時計部12から出力される時間データD_timeとを入力する。統合処理部13は、入力したデータDa1を解析し、(1)データ(センサデータ)の種類、(2)データDa1がセンサ装置S_nodekにより取得されたときの時間の情報を特定する。そして、統合処理部13は、特定したデータの種類、時間情報に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに、データDa1を記憶させる。具体的には、統合処理部13は、データDa1に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに記憶できる形式のデータを生成し、当該データをデータDa2として、統合処理用記憶部14に記憶させる。なお、Da1(S_nodek)から取得されるデータDa2をDa2(S_nodek)と表記する。
【0059】
また、統合処理部13は、統合処理用記憶部14で記憶されるデータを、時間を所定の期間ごとに区切った統合区間Ti(i:整数)ごとに管理するための時間管理処理を行う。具体的には、統合処理部13は、統合区間Tiごとにタイマー(カウントダウン用タイマー)を有しており、第1通信インターフェース11からデータDa1を入力すると、当該データDa1に対応する統合区間のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxに設定(再設定)する。そして、統合処理部13は、時計部12から出力される時間データD_timeを基準時間として、統合区間Tiごとにタイマー処理(カウントダウンタイマー処理)を実行する。そして、統合処理部13は、タイマー処理(カウントダウンタイマー処理)が完了した統合区間Tiのデータを統合処理用記憶部14から取得するためのデータ読み出し指令を統合処理用記憶部14に出力して、統合処理用記憶部14から、タイマー処理(カウントダウンタイマー処理)が完了した統合区間Tiのデータ(統合処理の対象とするデータ)を取得する(読み出す)。統合処理部13は、統合処理用記憶部14から取得したデータ(統合処理の対象とするデータ)に対して統合処理を行うことで、統合処理後のデータを取得する。そして、統合処理部13は、統合処理後のデータをデータDa4として、サーバ側通信インターフェース15に出力する。
【0060】
統合処理用記憶部14は、統合処理部13から出力されるデータDa2を入力する。統合処理用記憶部14は、データDa2に含まれるセンサデータの種類ごとにデータを記憶するバッファであって、一定期間ごとに区切った期間である統合区間におけるセンサデータを記憶するバッファを複数有している。統合処理用記憶部14は、例えば、
図3に示すように、統合区間T
iにおけるセンサデータを記憶するN個(N:2以上の自然数)のバッファT
i.buf(1)~T
i.buf(N)を有しており、N個のバッファT
i.buf(1)~T
i.buf(N)には、それぞれ、特定の種類のデータ(センサデータ)を記憶することができる。
【0061】
なお、i番目(i:整数)の統合区間をTiと表記し、統合区間Tiにおけるセンサデータを記憶するN個(N:2以上の自然数)のバッファのうちのk番目のバッファをTi.buf(k)(k:自然数、1≦k≦N)と表記する。また、統合区間Tiの時間(期間の時間長)を「統合単位時間」と呼ぶこととし、統合単位時間をunit_term_timeと表記する。また、統合区間Tiを、開始時刻tsi以降であり、終了時刻teiよりも前の期間(時刻tsi~teiの期間であって、時刻tsiを含み、時刻teiを含まない期間)により特定とすることとし、当該期間を[tsi~tei)と表記する。
【0062】
また、統合処理用記憶部14は、統合処理部13からのデータ読み出し指令に従い、当該データ読み出し指令で指示されているバッファのデータを読み出し、読み出したデータを含むデータをデータDa3として、統合処理部13に出力する。
【0063】
サーバ側通信インターフェース15は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。サーバ側通信インターフェース15は、統合処理部13から出力されるデータDa4を入力する。サーバ側通信インターフェース15は、当該データDa4を含む送信データDoを生成し、当該送信データDoを、ネットワークを介して、ユーザー端末装置2に送信する。
【0064】
(1.1.2:ユーザー端末)
ユーザー端末2は、
図2に示すように、端末側通信インターフェース21と、可視化処理部22とを備える。
【0065】
端末側通信インターフェース21は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。端末側通信インターフェース21は、無線品質データサーバ1から送信される送信データDoを、ネットワークを介して受信し、受信したデータDoから可視化処理用のデータをデータDa5として取得する。そして、端末側通信インターフェース21は、取得したデータDa5を可視化処理部22に出力する。
【0066】
可視化処理部22は、端末側通信インターフェース21から出力されるデータDa5を入力し、当該データDa5に対して可視化処理(例えば、描画処理)を行う。
【0067】
(1.1.3:センサ装置)
センサ装置S_nodek(k:自然数、本実施形態の場合、1≦k≦3)は、無線通信機能を有しており、無線通信環境下に設置される(例えば、通信機器(例えば、無線通信機能付き工作機械)の周辺に設置される)。センサ装置S_nodekで、設置された無線通信環境下において、外部(自装置外)から放射(送信)された電波(無線信号)を受信し、受信した無線信号に対して所定の処理を行うことで、例えば、(1)受信した無線信号の信号強度に関するデータ(このデータを「包絡線データ」という)、(2)受信した無線信号に含まれるヘッダに関するデータ(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)(このデータを「ヘッダデータ」という)を取得する。そして、センサ装置S_nodekは、取得したデータ(例えば、包絡線データ、および/または、ヘッダデータ)を含むデータをデータDin(S_nodek)として、無線品質データサーバ1に送信する。
【0068】
<1.2:無線品質データ可視化システムの動作>
以上のように構成された無線品質データ可視化システム1000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0069】
図4は、包絡線データの図式表現について説明するための図である。
【0070】
図5は、ヘッダデータの図式表現について説明するための図である。
【0071】
図6は、無線品質データ可視化システム1000で実行される処理のフローチャートである。
【0072】
図7~
図11は、無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理を説明するための図である。
【0073】
以下では、説明便宜のため、狭空間(例えば、工場内)に、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtC、並びに、センサ装置S_node1~S_node3が設置されている場合(一例)について説明する。そして、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、それぞれ、継続的に、自装置で受信した無線信号から取得したデータDin(S_nodek)を無線品質データサーバ1に送信するものとして、以下、説明する。
【0074】
図1に示すように、センサ装置S_node1~S_node3は、それぞれ、設置された無線通信環境下において、外部(自装置外)から放射(送信)された電波(無線信号)を受信し、受信した無線信号に対して所定の処理を行うことで、例えば、(1)受信した無線信号の信号強度に関するデータ(包絡線データ)、(2)受信した無線信号に含まれるヘッダに関するデータ(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)(ヘッダデータ)等を取得する。
【0075】
センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、例えば、
図4に示すように、受信した無線信号(例えば、
図4の上図の無線信号Sig0)に対して所定の処理(例えば、包絡線検波処理)を行うことで、受信した無線信号の信号強度に関するデータを取得する。センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、例えば、
図4に示すように、矩形で表現されたデータ(矩形データ(例えば、
図4のデータD1_env))として、受信した無線信号の信号強度に関するデータ(包絡線データ)を取得する。なお、この矩形データを取得するために、例えば、特開2019-161290号に開示されている方法を用いてもよい。
【0076】
「矩形データ」は、矩形を特定するデータを含むものであればよく、例えば、(1)開始時点、終了時点、Y軸値(
図4の場合、信号強度値に対応する値)を含むデータや、(2)開始時点、継続時間、Y軸値(
図4の場合、信号強度値に対応する値)を含むデータである。
【0077】
また、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、例えば、
図5に示すように、受信した無線信号に対して所定の処理(例えば、無線信号の復調処理、無線フレームのヘッダ解析処理)を行うことで、受信した無線信号に含まれるヘッダ(無線信号を復調して取得される無線フレームのヘッダ)に関するデータ(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)(ヘッダデータ)を取得する。
【0078】
図5の上図は、センサ装置S_nodekで受信した無線信号に対して復調処理を行い取得した信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号)の一例をしており、横軸が時間であり、縦軸が振幅(信号値)である。
図5の下図は、
図5の上図と時間軸を一致させて、無線信号から取得した各フレームを矩形で表現した図である。なお、
図5の下図において、1つの矩形が同一のヘッダデータを有しているフレームを表している。
【0079】
フレームのヘッダ部分から抽出可能な代表的な情報として、以下のような情報がある。
(1)送信元MACアドレス
(2)受信先MACアドレス
(3)フレーム長(バイト数)
(4)フレームの種類(Beacon、Data、Ackなど)
(5)再送フラグ
(6)シーケンス番号
(7)データレート(6Mbps,54Mbpsなど)
したがって、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、フレームのヘッダを解析する処理を行い、例えば、フレームの開始時点、継続時間、送信元、送信先を含むデータを取得し、取得した当該データに対応する矩形データを取得する。このようにして取得される矩形データの一例を
図5に示す。
【0080】
例えば、センサ装置S_nodekは、
図5の下図の各矩形に対応するヘッダデータを、以下の形式のデータとして取得する。
(tk,dk,hk)
tk:フレームの開始時刻
dk:フレームの継続時間
hk:フレームのヘッダ部分から抽出した情報(送信元MACアドレス等)
そして、センサ装置S_nodekは、処理対象としている期間に含まれる複数のヘッダデータをヘッダデータD1_headとして、以下の形式で取得する。
D1_head={(t1,d1,h1),(t1,d2,h2),(t3,d3,h3),・・・}
なお、ヘッダ情報hkにより、例えば、
図5の「ヘッダ内容」の欄に模式的表現で示すように、
図5の1番目と2番目のフレームがノードAからノードBへのデータ(Data(A->B)と表記)であり、
図5の3番目のフレームがノードBからノードAへのACK(Ack(B->A)と表記)であることが分かる。
【0081】
センサ装置S_nodekは、上記のようにしてヘッダデータD1_headを取得する。
【0082】
そして、センサ装置S_nodekは、上記処理により取得した、(1)受信した無線信号の信号強度に関するデータD1_env(包絡線データD1_env)、および/または、(2)受信した無線信号に含まれるヘッダに関する情報(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)を示すデータD1_head(ヘッダデータD1_head)を含むデータをデータDin(S_nodek)として、無線品質データサーバ1に送信する。
【0083】
次に、無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理について、
図6のフローチャートを参照しながら、説明する。
【0084】
(ステップS1):
ステップS1において、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、統合処理用記憶部14の統合区間Tiにおけるセンサデータを記憶するN個(N:2以上の自然数)のバッファTi.buf(1)~Ti.buf(N)の時間管理を行うために、統合単位時間unit_term_timeおよび最大残時間Rmaxの設定を行う。例えば、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、統合単位時間unit_term_timeおよび最大残時間Rmaxを以下の値に設定する。
unit_term_time=1.0s
Rmax=0.5s
これにより、統合処理用記憶部14のバッファTi.buf(1)~Ti.buf(N)には、それぞれ、1秒間(=unit_term_time)のデータが記憶され、各バッファに記憶させるべきデータを受信した場合に、各バッファに対応づけられたタイマーの再設定値が0.5秒(=Rmax)に設定される。
【0085】
(ステップS2):
ステップS2において、ループ処理(ループ1)が開始される。当該ループ処理は、時間間隔T_smplごとに繰り返し実行される。なお、時間間隔T_smplは、無線品質データサーバ1において設定される値であり、時間間隔T_smplは、最大残時間Rmaxよりも十分小さい値に設定される(T_smpl<<Rmax)。
【0086】
(ステップS3):
ステップS3において、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、第1通信インターフェース11からデータDa1が出力されていないかを監視することで、無線品質データサーバ1において、センサ装置S_nodekから新たなセンサデータの到着(受信)がないかを判定する。新たなセンサデータの到着(受信)がある場合、処理をステップS4に進め、新たなセンサデータの到着(受信)がない場合、処理をステップS6に進める。
【0087】
(ステップS4):
ステップS4において、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、センサデータを追加の対象となる統合区間のバッファに追加する処理を行う。具体的には、統合処理部13は、第1通信インターフェース11から入力したデータDa1を解析し、(1)データ(センサデータ)の種類、(2)データDa1がセンサ装置S_nodekにより取得されたときの時間の情報を特定する。そして、統合処理部13は、特定したデータの種類、時間情報に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに、データDa1を記憶させる。つまり、統合処理部13は、データDa1に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに記憶できる形式のデータを生成し、当該データをデータDa2として、統合処理用記憶部14に記憶させる。
【0088】
(ステップS5):
ステップS5において、統合処理部13は、センサデータが追加された統合区間のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxに設定(再設定)する。具体的には、統合処理部13は、統合区間Tiごとにタイマー(カウントダウン用タイマー)を有しており、第1通信インターフェース11からデータDa1を入力すると、当該データDa1に対応する統合区間のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxに設定(再設定)する。すなわち、統合処理部13は、
Ti.time_remain=Rmax
に相当する処理を実行する。なお、Ti.time_remainは、統合区間Tiのタイマー(カウントダウン用タイマー)の値(残時間の値)を表すものとする。
【0089】
そして、統合処理部13は、時計部12から出力される時間データD_timeを基準時間として、統合区間Tiごとにタイマー処理(カウントダウンタイマー処理)を実行する。
【0090】
(ステップS6):
ステップS6において、統合処理部13は、タイマーが満了した(カウントダウンが終了した)統合区間が存在するか否かを判定する。タイマーが満了した(カウントダウンが終了した)統合区間が存在する場合、処理をステップS7に進め、タイマーが満了した(カウントダウンが終了した)統合区間が存在しない場合、処理をステップS8に進める。
【0091】
(ステップS7):
ステップS7において、統合処理部13は、タイマーが満了した(カウントダウンが終了した)統合区間について、センサデータの統合処理を実行する。具体的には、統合処理部13は、タイマー処理(カウントダウンタイマー処理)が完了した統合区間Tiのデータを統合処理用記憶部14から取得するためのデータ読み出し指令を統合処理用記憶部14に出力して、統合処理用記憶部14から、タイマー処理(カウントダウンタイマー処理)が完了した統合区間Tiのデータ(統合処理の対象とするデータ)を取得する(読み出す)。統合処理部13は、統合処理用記憶部14から取得したデータ(統合処理の対象とするデータ)に対して統合処理を行うことで、統合処理後のデータを取得する。そして、統合処理部13は、統合処理後のデータをデータDa4として、サーバ側通信インターフェース15に出力する。
【0092】
(ステップS8):
ステップS8において、統合処理部13は、ループ処理(ループ1)が終了条件を満たしているか否かを判定し、終了条件を満たしていないと判定したときは、処理をステップS2に戻し、終了条件を満たしていると判定した場合、統合処理を終了させる。無線品質データ可視化システム1000において、ループ処理(ループ1)は、時間間隔T_smplごとに実行されるので、例えば、無線品質データサーバ1に統合処理を終了させる指示信号が入力されたとき、ループ処理(ループ1)が終了されるようにすればよい。
【0093】
以上のように、無線品質データ可視化システム1000では、時間間隔T_smplで、ループ処理(ループ1)が繰り返し実行されることで、データ(センサデータ)の統合処理が実行される。
【0094】
次に、無線品質データ可視化システム1000で実行される統合処理の具体例について、
図7~
図11を参照しながら説明する。
【0095】
なお、説明便宜のため、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1に、2種類のセンサデータ、すなわち、(1)包絡線データ、および、(2)ヘッダデータが送信され、無線品質データサーバ1が、当該包絡線データとヘッダデータとを統合処理の対象として処理する場合(一例)について、以下説明する。
【0096】
また、無線品質データ可視化システム1000において、統合単位時間unit_term_timeおよび最大残時間Rmaxを以下の値に設定されているものとする。
unit_term_time=1.0s
Rmax=0.5s
また、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1に送信されるデータには、データの種類、データ取得したときの時間情報(データ取得期間の情報)等が含まれるものとする。
【0097】
また、無線品質データサーバ1において、統合処理用バッファは、(1)1番目のバッファ(Ti.buf(1))が包絡線データを記憶するためのバッファであり、(2)2番目のバッファ(Ti.buf(2))がヘッダデータを記憶するためのバッファとして設定されているものとする。
【0098】
(時刻t1):
時刻t1において、
図7に示すように、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1に包絡線データ(32.20秒以降、32.58秒よりも前の期間の包絡線データ)が送信されたとする。この場合、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、第1通信インターフェース11を介して、当該データ(センサ装置S_node1から送信された包絡線データ)を含むデータDa1を取得する。そして、統合処理部13は、当該データDa1を解析し、(1)データ(センサデータ)の種類、(2)データDa1がセンサ装置S_node1により取得されたときの時間の情報を特定する。
【0099】
時刻t1の場合、統合処理部13は、
(1)センサデータの種類:包絡線データ
(2)センサデータが取得されたときの期間:[32.20,32.58)
と特定する。なお、[tx,ty)は、時刻tx以降であって、かつ、時刻tyよりも前である期間を表すものとする。
【0100】
そして、統合処理部13は、特定したデータの種類、時間情報に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに、データDa1を記憶させる。時刻t1の場合、データDa1のデータ取得期間が[32.20,32.58)であり、データ種類が包絡線データであるので、統合処理部13は、
図7の中段に示す、統合区間が[32,33)の包絡線データ用のバッファ(バッファT
i.buf(1))に、データDa1を記憶させる。データDa1を記憶させる領域は、包絡線データ用のバッファ(バッファT
i.buf(1))において、センサデータが取得されたときの期間[32.20,32.58)に対応する領域(
図7の左端の中段の太枠部分に相当)である。
【0101】
そして、統合処理部13は、センサデータ(包絡線データ)が追加された統合区間[32,33)のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxに設定(再設定)する。例えば、
図7に示すように、センサデータ(包絡線データ)を追加した時点において、統合区間[32,33)のタイマーが「0.4s」であったとすると、統合処理部13は、統合区間[32,33)のタイマーを最大残時間Rmax(=0.5s)に設定(再設定)する。すなわち、統合処理部13は、
T
i.time_remain=Rmax(=0.5s)
に相当する処理を実行する(
図7の中央の中段の点線部分を参照)。
【0102】
上記のように再設定された、統合区間[32,33)のタイマーは、その後、時間計測処理(カウントダウンによりタイマー処理)を継続させる。
【0103】
(時刻t2):
図7の右端の図は、時刻t2の統合処理用バッファの状態を示している。具体的には、
図7の右端の図は、時刻t1において、統合区間[32,33)のタイマーが再設定されてから、0.1秒が経過し、統合区間[32,33)のタイマーが「0.4s」となっている状態を示している。なお、
図7の右端の図は、時刻t1から時刻t2の間に新たなセンサデータの到着がなかったときの状態を示している。
【0104】
(時刻t3):
時刻t3において、
図8に示すように、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1にヘッダデータ(32.15秒以降、32.46秒よりも前の期間のヘッダデータ)が送信されたとする。この場合、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、第1通信インターフェース11を介して、当該データ(センサ装置S_node1から送信されたヘッダデータ)を含むデータDa1を取得する。そして、統合処理部13は、当該データDa1を解析し、(1)データ(センサデータ)の種類、(2)データDa1がセンサ装置S_node1により取得されたときの時間の情報を特定する。
【0105】
時刻t3の場合、統合処理部13は、
(1)センサデータの種類:ヘッダデータ
(2)センサデータが取得されたときの期間:[32.15,32.46)
と特定する。
【0106】
そして、統合処理部13は、特定したデータの種類、時間情報に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに、データDa1を記憶させる。時刻t3の場合、データDa1のデータ取得期間が[32.15,32.46)であり、データ種類がヘッダデータであるので、統合処理部13は、
図8の中段に示す、統合区間が[32,33)のヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))に、データDa1を記憶させる。データDa1を記憶させる領域は、ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))において、センサデータが取得されたときの期間[32.15,32.46)に対応する領域(
図8の左端の中段の太枠部分に相当)である。
【0107】
そして、統合処理部13は、センサデータ(ヘッダデータ)が追加された統合区間[32,33)のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxに設定(再設定)する。例えば、
図8に示すように、センサデータ(ヘッダデータ)を追加した時点において、統合区間[32,33)のタイマーが「0.3s」であったとすると、統合処理部13は、統合区間[32,33)のタイマーを最大残時間Rmax(=0.5s)に設定(再設定)する。すなわち、統合処理部13は、
T
i.time_remain=Rmax(=0.5s)
に相当する処理を実行する(
図8の中央の中段の点線部分を参照)。
【0108】
上記のように再設定された、統合区間[32,33)のタイマーは、その後、時間計測処理(カウントダウンによりタイマー処理)を継続させる。
【0109】
(時刻t4):
図8の右端の図は、時刻t4の統合処理用バッファの状態を示している。具体的には、
図8の右端の図は、時刻t3において、統合区間[32,33)のタイマーが再設定されてから、0.3秒が経過し、統合区間[32,33)のタイマーが「0.2s」となっている状態を示している。なお、
図8の右端の図は、時刻t3から時刻t4の間に新たなセンサデータ(包絡線データおよびヘッダデータ)の到着があったときの状態を示している。
【0110】
(時刻t5):
時刻t5において、
図9に示すように、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1にヘッダデータ(32.91秒以降、33.20秒よりも前の期間のヘッダデータ)が送信されたとする。この場合、無線品質データサーバ1の統合処理部13は、第1通信インターフェース11を介して、当該データ(センサ装置S_node1から送信されたヘッダデータ)を含むデータDa1を取得する。そして、統合処理部13は、当該データDa1を解析し、(1)データ(センサデータ)の種類、(2)データDa1がセンサ装置S_node1により取得されたときの時間の情報を特定する。
【0111】
時刻t3の場合、統合処理部13は、
(1)センサデータの種類:ヘッダデータ
(2)センサデータが取得されたときの期間:[32.91,33.20)
と特定する。
【0112】
そして、統合処理部13は、特定したデータの種類、時間情報に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに、データDa1を記憶させる。時刻t5の場合、データDa1のデータ取得期間が[32.91,33.20)であり、データ種類がヘッダデータであるので、統合処理部13は、(1)
図9の中段に示す、統合区間が[32,33)のヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))、および、(2)
図9の下段に示す、統合区間が[33,34)のヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i+1.buf(2))に、データDa1を記憶させる。データDa1を記憶させる領域は、ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))において、センサデータが取得されたときの期間[32.91,33.20)に対応する領域(
図9の左端の中段、下段の太枠部分に相当)である。つまり、データDa1を記憶させる領域は、(1)ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))の[32.91,33)に相当する領域、および、(2)ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i+1.buf(2))の[33,33.20)に相当する領域である。
【0113】
そして、統合処理部13は、センサデータ(ヘッダデータ)が追加された、統合区間[32,33)のタイマー、および、統合区間[33,34)のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxに設定(再設定)する。例えば、
図9に示すように、センサデータ(ヘッダデータ)を追加した時点において、統合区間[32,33)のタイマーが「0.1s」であったとすると、統合処理部13は、統合区間[32,33)のタイマーを最大残時間Rmax(=0.5s)に設定(再設定)する。すなわち、統合処理部13は、
T
i.time_remain=Rmax(=0.5s)
に相当する処理を実行する(
図9の中央の中段の点線部分を参照)。
【0114】
また、
図9に示すように、センサデータ(ヘッダデータ)を追加した時点において、統合区間[33,34)のタイマーが「0.4s」であったとすると、統合処理部13は、統合区間[33,34)のタイマーを最大残時間Rmax(=0.5s)に設定(再設定)する。すなわち、統合処理部13は、
T
i+1.time_remain=Rmax(=0.5s)
に相当する処理を実行する(
図9の中央の中段の点線部分を参照)。
【0115】
上記のように再設定された、統合区間[32,33)のタイマー、および、統合区間[33,34)のタイマーは、その後、時間計測処理(カウントダウンによりタイマー処理)を継続させる。
【0116】
(時刻t6):
時刻t6において、
図9に示すように、時刻t5において、統合区間[32,33)のタイマーを再設定してから、時間が経過し、統合区間[32,33)のタイマーが満了した(カウントダウンによるタイマー処理の残時間がゼロになった)とする。
【0117】
この場合、統合処理部13は、タイマーが満了した(カウントダウンが終了した)統合区間[32,33)について、センサデータの統合処理を実行する。具体的には、統合処理部13は、タイマー処理(カウントダウンタイマー処理)が完了した統合区間Ti(統合区間[32,33))のデータを統合処理用記憶部14から取得するためのデータ読み出し指令を統合処理用記憶部14に出力して、統合処理用記憶部14から、タイマー処理(カウントダウンタイマー処理)が完了した統合区間Ti(統合区間[32,33))のデータ(統合処理の対象とするデータ)を取得する(読み出す)。時刻t6の場合、統合処理部13は、(1)統合区間Ti(統合区間[32,33))の包絡線データをバッファTi.buf(1)から読み出し、(2)統合区間Ti(統合区間[32,33))のヘッダデータをバッファTi.buf(2)から読み出す。
【0118】
そして、統合処理部13は、上記の2つのデータを統合処理の対象のデータとして、統合処理を実行する。例えば、包絡線データとヘッダデータとを統合処理の対象データとする場合、ヘッダデータから、通信元と通信先が分かるので、例えば、ユーザーが無線通信環境の監視を行うときに注目したいあるノード(例えば、工場内に設定された通信機器)のペアが行った通信に該当する包絡線データをマーキング対象とすることができる。つまり、統合処理部13は、あるノード(センサ装置)のペアが行った通信に該当する包絡線データを、可視化の際に目立つように表示できる統合データを、統合処理により、生成することができる。これについて、
図10、
図11を用いて説明する。
【0119】
図10に示すように、統合処理部13は、
(1)統合区間T
i(統合区間[32,33))の包絡線データ(バッファT
i.buf(1)から読み出したデータ)、
(2)統合区間T
i(統合区間[32,33))のヘッダデータ(バッファT
i.buf(2)から読み出したデータ)
とを用いて、統合処理を行うことで、例えば、注目するペア間で行われた通信に該当する包絡線データの表示色と、注目するペア間で行われた通信以外の通信に該当する包絡線データの表示色とを異なる色となるように設定した統合データ(統合処理後のデータ)を取得することができる。
【0120】
例えば、注目するペア間の通信を通信機器RbtAと通信機器RbtBとの間の通信とする。そして、統合処理部13による統合区間T
i(統合区間[32,33))のヘッダデータの解析の結果、
図11に示す、ヘッダデータD
2~D
8,D
11(
図11において、クロスのハッチングを施した矩形データ)が、通信機器RbtAと通信機器RbtBとの間の通信であるとする。
【0121】
この場合、統合処理部13は、
(1)統合処理後のデータの値は、統合区間T
i(統合区間[32,33))の包絡線データの値とし(統合処理後のデータの信号波形は、統合区間T
i(統合区間[32,33))の包絡線データの信号波形と同様のものとし)、
(2)ヘッダデータD
2~D
8,D
11のそれぞれに対応する包絡線データが、可視化時に、他のヘッダデータに対応する包絡線データと明確に区別して認識できるようにするデータ(これを「マーキング対象データ」という)を設定することで、
統合処理後のデータを取得する。このように処理することで、
図10、
図11に示すように、ヘッダデータD
2~D
8,D
11のそれぞれに対応する包絡線データが、他のヘッダに対応する包絡線データと明確に区別できるデータとして、統合処理後のデータが取得される。
【0122】
なお、可視化時に、他のヘッダデータに対応する包絡線データと明確に区別して認識できるようにするデータ(マーキング対象データ)の設定方法として、例えば、以下の方法を採用してもよい。
(1)統合処理後のデータを矩形データ(例えば、開始点、終了点、Y軸値により矩形を特定するデータ)の集合として規定する場合、マーキング対象データの矩形データの色を、マーキング対象データ以外のデータの矩形データの色(可視化時に表示される色)と異なる色に設定する。なお、設定色のデータは、矩形データに含めるものとする。
(2)統合処理後のデータを矩形データ(例えば、開始点、終了点、Y軸値により矩形を特定するデータ)の集合として規定する場合、マーキング対象データの矩形データの枠の太さを第1の値に設定し、マーキング対象データ以外のデータの矩形データの枠の太さを第1の値よりも小さい第2の値に設定する。なお、矩形データの枠の太さのデータは、矩形データに含めるものとする。
【0123】
なお、マーキング対象データ(注目するデータ)は、上記のように、特定のペア間の通信に限定されることはなく、例えば、ビーコン、ブロードキャスト、マルチキャスト、エニーキャスト、ユニキャスト等に関連する通信データをマーキング対象データ(注目するデータ)としてもよい。
【0124】
そして、上記処理により取得された統合処理後のデータは、データDa4として、統合処理部13からサーバ側通信インターフェース15に出力される。そして、サーバ側通信インターフェース15は、当該データDa4を含む送信データDoを生成し、当該送信データDoを、ネットワークを介して、ユーザー端末装置2に送信する。
【0125】
ユーザー端末装置2は、無線品質データサーバ1から送信されるデータ(統合処理後のデータを含む送信データ)を受信する。端末側通信インターフェース21は、無線品質データサーバ1からの受信したデータから、統合処理後のデータをデータDa5として取得し、当該データDa5を可視化処理部22に出力する。
【0126】
可視化処理部22は、統合処理後のデータDa5に対して可視化処理(例えば、描画処理)を実行する。このとき、可視化処理部22は、統合処理後のデータDa5に含まれる、所定の矩形データのマーキング情報を取得し、当該マーキング情報に基づいて、可視化処理(例えば、描画処理)を行う。これにより、例えば、
図11に示したマーキング対象データが、他の矩形データと明確に区別して認識できるように、統合処理後のデータを表示させることができる。これにより、ユーザーは、統合処理後のデータの表示を確認することで、対象環境の無線通信状況を適切に認識することができる。
【0127】
以上のように、無線品質データ可視化システム1000では、統合区間ごとに、複数(例えば、複数種類)のセンサデータを記憶する複数のバッファを設け、統合区間ごとに設定されたタイマーによる時間管理を行うことで、適切なタイミングで、統合区間ごとに複数(例えば、複数種類)のセンサデータの統合処理を行うことができる。
【0128】
無線品質データ可視化システム1000では、無線品質データサーバ1が、センサ装置からのデータ受信(センサデータの受信)を監視し、センサデータを受信したときに、センサデータの時間情報(タイムスタンプ)、データ種別に応じて、対応する統合区間の対応するバッファにデータを記憶するとともに、統合区間の時間管理をしているタイマーを所定の値(最大残時間)に設定し、統合区間の時間管理を行う。そして、無線品質データ可視化システム1000では、統合区間のタイマーのタイマー処理が完了(カウントダウンが終了)したタイミングで、当該統合区間に属する複数のバッファのデータの統合処理を行う。
【0129】
つまり、無線品質データ可視化システム1000では、統合処理を開始するまでにあとどれくらい待つべきかを表すタイマーを用意し、データの到着状況に合わせてタイマー終了までの残時間を動的に更新しつつ、統合処理の対象となる複数のデータのバッファリングを行う。したがって、無線品質データ可視化システム1000では、適切なタイミングで、統合処理を実行し、統合処理後のデータを、ユーザー端末装置2(可視化ノード)に送信することができる。その結果、無線品質データ可視化システム1000では、センサ装置(センサノード)でデータが取得されてから、無線品質データサーバ1で統合処理を行い、ユーザー端末装置2(可視化ノード)で、統合処理後のデータの可視化処理(例えば、描画処理)が実行されるまでの時間(遅延)を劇的に低減することができる。
【0130】
センサ装置(センサノード)でデータが取得されてから、当該データが統合処理を行う無線品質データサーバ1(サーバノード)へ到着するまでの時間は、データサイズやセンサ装置と統合処理を行うサーバノードとの間のネットワークの混雑状況などに依存したジッタが存在するため、ある一定時間待つという方法では、統合処理を開始するまでの待機時間を適切に定めるのが難しい。無線品質データ可視化システム1000では、上記のように処理することで、センサ装置(センサノード)でデータが取得されてから、無線品質データサーバ1で統合処理を行い、ユーザー端末装置2(可視化ノード)で、統合処理後のデータの可視化処理(例えば、描画処理)が実行されるまでの時間(遅延)を劇的に低減することができる。
【0131】
このように、無線品質データ可視化システム1000では、センサ装置(センサノード)がデータを取得してから、当該データが表示されるまでの時間(遅延)を小さくしつつ、複数種類のセンサデータを統合する処理(統合処理)を適切に実行することができる。
【0132】
≪第1変形例≫
次に、第1実施形態の第1変形例について、説明する。なお、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0133】
図12は、第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データ可視化システム1000Aの概略構成図である。
【0134】
図13は、第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データサーバ1Aおよびユーザー端末2の概略構成図である。
【0135】
図14は、無線品質データ可視化システム1000Aで実行される統合処理を説明するための図である。
【0136】
本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aは、第1実施形態の無線品質データ可視化システム1000において、無線品質データサーバ1を無線品質データサーバ1Aに置換した構成を有している。
【0137】
そして、本変形例の無線品質データサーバ1Aは、第1実施形態の無線品質データサーバ1において、統合処理部13を統合処理部13Aに置換した構成を有している。それ以外について、無線品質データ可視化システム1000Aは、無線品質データ可視化システム1000と同様である。
【0138】
第1実施形態の統合処理部13は、無線品質データサーバ1がセンサデータを受信する度に、統合区間のタイマーを最大残時間Rmaxに設定(再設定)するが、本変形例の統合処理部13Aは、無線品質データサーバ1Aがセンサデータを受信したときに、当該センサデータを追加する対象の統合区間のバッファの残量が所定量よりも少ない場合、当該バッファの残量に応じて、当該統合区間のタイマーを最大残時間Rmaxよりも小さい値(短い時間)に設定する。
【0139】
統合処理部13Aでの処理について、以下説明する。具体的には、時刻t5の処理について、
図14を参照しながら説明する。
【0140】
(時刻t5):
時刻t5において、
図14に示すように、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1にヘッダデータ(32.91秒以降、33.20秒よりも前の期間のヘッダデータ)が送信されたとする。この場合、無線品質データサーバ1の統合処理部13Aは、第1通信インターフェース11を介して、当該データ(センサ装置S_node1から送信されたヘッダデータ)を含むデータDa1を取得する。そして、統合処理部13は、当該データDa1を解析し、(1)データ(センサデータ)の種類、(2)データDa1がセンサ装置S_node1により取得されたときの時間の情報を特定する。
【0141】
時刻t3の場合、統合処理部13は、
(1)センサデータの種類:ヘッダデータ
(2)センサデータが取得されたときの期間:[32.91,33.20)
と特定する。
【0142】
そして、統合処理部13Aは、特定したデータの種類、時間情報に基づいて、統合処理用記憶部14の所定のバッファに、データDa1を記憶させる。時刻t5の場合、データDa1のデータ取得期間が[32.91,33.20)であり、データ種類がヘッダデータであるので、統合処理部13は、(1)
図14の中段に示す、統合区間が[32,33)のヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))、および、(2)
図14の下段に示す、統合区間が[33,34)のヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i+1.buf(2))に、データDa1を記憶させる。データDa1を記憶させる領域は、ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))において、センサデータが取得されたときの期間[32.91,33.20)に対応する領域(
図14の左端の中段、下段の太枠部分に相当)である。つまり、データDa1を記憶させる領域は、(1)ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i.buf(2))の[32.91,33)に相当する領域、および、(2)ヘッダデータ用のバッファ(バッファT
i+1.buf(2))の[33,33.20)に相当する領域である。
【0143】
そして、統合処理部13Aは、センサデータ(ヘッダデータ)が追加された、統合区間[32,33)のデータ追加前のバッファのメモリ残量M1が閾値Th1(例えば、バッファ全体のメモリ量の1/3)よりも少ないか否かの判定を行う。ここで、閾値Th1を、バッファ全体のメモリ量の1/3とすると、センサデータ(ヘッダデータ)が追加された、統合区間[32,33)のデータ追加前のバッファのメモリ残量M1は、閾値Th1よりも小さいと判定される。したがって、この場合、統合処理部13Aは、統合区間[32,33)のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxよりも小さい値(例えば、0.2s)に設定(再設定)する。
【0144】
また、統合処理部13Aは、センサデータ(ヘッダデータ)が追加された、統合区間[33,34)のデータ追加前のバッファのメモリ残量M2が閾値Th1(例えば、バッファ全体のメモリ量の1/3)よりも少ないか否かの判定を行う。閾値Th1を、バッファ全体のメモリ量の1/3とすると、センサデータ(ヘッダデータ)が追加された、統合区間[33,34)のデータ追加前のバッファのメモリ残量M2は、閾値Th1よりも大きいと判定される。したがって、この場合、統合処理部13Aは、統合区間[33,34)のタイマーの残時間を最大残時間Rmax(=0.5s)に設定(再設定)する。
【0145】
このように、本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、統合区間のデータ追加対象のバッファの残量が少ないとき、当該統合区間の残時間を最大残時間Rmaxよりも小さい値に設定(再設定)する。したがって、本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、バッファの大部分にデータが記憶されている状態から、統合処理の開始までの待機時間をさらに短くすることができる(例えば、
図14の場合、時刻t5から、統合処理が開示される時刻t6までの時間が、第1実施形態に比べて、短くなる(第1実施形態の場合、時刻t5~t6の時間は0.5sであり、本変形例の場合、時刻t5~t6の時間は0.2sである)。
【0146】
本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、上記のように処理することで、センサ装置(センサノード)でデータが取得されてから、無線品質データサーバ1で統合処理を行い、ユーザー端末装置2(可視化ノード)で、統合処理後のデータの可視化処理(例えば、描画処理)が実行されるまでの時間(遅延)をさらに低減することができる。
【0147】
したがって、無線品質データ可視化システム1000Aでは、センサ装置(センサノード)がデータを取得してから、当該データが表示されるまでの時間(遅延)をさらに小さくしつつ、複数種類のセンサデータを統合する処理(統合処理)を適切に実行することができる。
【0148】
なお、本変形例において、統合区間のバッファの残量が閾値th1よりも小さい場合、当該統合区間のタイマーの残時間を最大残時間Rmaxよりも小さい値に設定したが、これに限定されることはない。例えば、統合区間のバッファの残量に応じて、統合区間のタイマーの残時間を動的に設定するようにしてもよい。例えば、統合区間Tiのバッファの総量がMaであり、統合区間Tiのバッファの残量がMrである場合、統合区間Tiのタイマーの残時間を、
Ti.time_remain=unit_term_time×Mr/Ma
により、設定するようにしてもよい。
【0149】
[他の実施形態]
上記実施形態(変形例を含む)では、無線品質データ可視化システム1000、1000Aにおいて、1つセンサ装置(センサ装置S_node1)から受信したデータ(センサデータ)について、統合処理を実行する場合について説明したが、これに限定されることはなく、無線品質データ可視化システム1000、1000Aにおいて、複数のセンサ装置から受信したデータに対して統合処理を行うようにしてもよい。
【0150】
また、統合処理の対象とする複数のデータは、上記(包絡線データ、および、ヘッダデータ)に限定されず、他の種類のデータであってもよく、さらに、センサ装置ごとに、異なる種類のデータを取得して、当該データを統合処理の対象として、統合処理を実行するようにしてもよい。
【0151】
上記実施形態(変形例を含む)では、無線品質データ可視化システム1000、1000Aが
図1、
図12の構成の場合を例に説明したが、無線品質データ可視化システムの構成は、上記(
図1、
図12等)に限定されるものではなく、センサ装置の位置、数等は、上記以外のものであってもよい。また、上記では、センサ装置が、通信機器とは別個に存在している場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、通信機器がセンサ装置を含む、あるいは、付加されたものであってもよい。また、無線品質データサーバ1、1Aと、ユーザー端末2とは、同一装置により実現されるものであってもよい。
【0152】
また、上記実施形態(変形例を含む)で説明した無線品質データ可視化システム、無線品質データサーバ、ユーザー端末において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0153】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0154】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0155】
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0156】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0157】
また、例えば、上記実施形態(変形例を含む)の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、
図15に示したハードウェア構成(例えば、CPU、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0158】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0159】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0160】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0161】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0162】
1000、1000A、1000B 無線品質データ可視化システム
1、1A 無線品質データサーバ
2 ユーザー端末
S_node1~S_node3 センサ装置
12 時計部
13 統合処理部
14 統合処理用記憶部
22 可視化処理部22