(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】近位隣接椎間後弯変形のリスクを低減するためのシステム及び方法で使用するためのコネクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20230724BHJP
A61B 17/84 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/84
(21)【出願番号】P 2020505255
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 US2018044631
(87)【国際公開番号】W WO2019028042
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ミツキェビッチ・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】オニール・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エングストローム・コナー
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エイムズ・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】グプタ・マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】スコット-ヤング・マシュー
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534862(JP,A)
【文献】特表2008-535583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0074166(US,A1)
【文献】国際公開第2007/052975(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0204151(US,A1)
【文献】特表2013-525006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
主要構造体であって、剛性脊椎固定ロッドと、前記剛性脊椎固定ロッドを第1及び第2の椎骨に取り付けるように構成された第1及び第2の骨アンカーとを含む、主要構造体と、
コネクタであって、
前記コネクタを前記主要構造体に取り付けるための少なくとも1つの取り付け点を有する本体と、
前記本体から上位方向に延在する第1及び第2のアームと、
前記第1及び第2のアームを互いに向かって移動させるために前記第1及び第2のアームに対して回転可能
であるカラーと、を含む、コネクタと、を備える、外科用システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの取り付け点が、前記本体の両端部に配置された第1及び第2のロッド受容凹部を含み、前記本体が、前記第1のロッド受容凹部と前記第2のロッド受容凹部との間に延在する横断支柱を含み、前記第1及び第2のアームが、前記横断支柱から上方に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2のアームが、その上に形成された骨係合歯又は表面特徴部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1及び第2のアームが、棘突起の上縁部の周囲を包み込むように成形されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2のアームが、各アームの第1の部分が棘突起の側面に接触し、各アームの第2の部分が前記棘突起の上面に接触するように成形されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2のアームが、前記本体に対して選択的に並進可能及び/又は回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記本体が、前記本体に対する前記第1及び第2のアームの位置及び/又は向きを係止するように構成された係止機構を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1及び第2のアームが、前記剛性脊椎固定ロッドよりも可撓性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1及び第2のアームが、少なくとも2つの椎骨レベルの長さだけ前記本体から上方に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1及び第2のアームが、締結具を内部を通して受容するための開口部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1及び第2のアームが、前記本体に近づくにつれて単一のアームへと併合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記カラーが、前記第1及び第2のアームの雄ネジと係合する雌ネジを含み、前記雌ネジ及び前記雄ネジのうちの少なくとも一方がテーパ状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記コネクタの前記本体内に形成された1つ又は2つ以上の開口部を通して挿入可能な細長い可撓性テザーを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記本体は、前記
細長い可撓性テザーが前記1つ又は2つ以上の開口部を通して配置されているとき、前記
細長い可撓性テザーに締め付けるように構成された1つ又は2つ以上の係止要素を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記カラーは、前記第1及び第2のアームを互いに向かって移動させるように前記第1及び第2のアームに対して
摺動可能である、請求項
1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1及び第2のアームが前記カラーの中を通って延在している、請求項1
または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2のアームが前記カラー内の共通の開口部を通って延在している、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近位隣接椎間後弯変形(proximal junctional kyphosis、PJK)、近位隣接椎間後弯障害(proximal junctional failure、PJF)、及び他の症状のリスクを低減するためのシステム及び方法が、本明細書で開示される。
【背景技術】
【0002】
固定化又は安定化構造体が患者に埋め込まれ、患者の脊椎に取り付けられるいくつかの脊椎手術がある。例えば、典型的な後方固定構造体は、それぞれの骨アンカーによって患者の複数の椎骨に取り付けられる1つ又は2つ以上の長手方向脊椎ロッドを含み得る。例示的な骨アンカーは、椎弓根スクリュー又は外側塊スクリュー、フック、ワイヤなどを含むことができる。埋め込まれた構造体は、最上部の機器が装着された椎骨(uppermost instrumented vertebra、UIV)、すなわち、構造体が取り付けられている最上位つまり最頭側の椎骨と、最下部の機器が装着された椎骨(lowermost instrumented vertebra、LIV)、すなわち、構造体が取り付けられている最下位つまり最尾部の椎骨との間の脊椎の分節に沿って延在する。
【0003】
これらの手術で生じ得る1つの合併症は、UIVにおける又はUIVより上部の望ましくない程度の脊椎後弯症である。近位隣接椎間後弯変形(PJK)は、典型的には、術前測定値よりも10度を超えて大きい又は少なくとも10度大きい近位隣接椎間の矢状面コブ角として定義される。成人の脊椎患者の5%~46%が、何らかの形でPJKを患っており、ほとんどの場合、手術後数週又は数ヶ月で診断されると推定される。場合によっては、近位隣接椎間後弯障害(PJF)を発症することがある。PJFは、(i)UIV又はそれに上位で隣接する椎骨(UIV+1)の術後骨折、(ii)UIVインプラント障害、(iii)PJKの15度を超える増加、及び/又は(iv)手術の6ヶ月以内の融合又は構造体の近位延長の必要性、によって特徴付けることができる。
図1は、固定構造体Cの埋め込み手術後にUIVの上方にPJK/PJFが生じた患者の脊椎Sの矢状面図である。PJK又はPJFに罹患している患者は、痛みの増加、神経障害、又は歩行困難を経験する場合があり、再置換手術、並びにそれに付随する出費及びリスクに直面し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
PJK、PJF、及び他の症状のリスクを低減するためのシステム及び方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、長手方向延長部を主要固定構造体に加えて、構造体を1つ又は2つ以上の追加の椎骨レベルまで延長させることができる。延長部は、主要構造体よりも上位である椎骨の棘突起などの第1の取り付け点に取り付けられ得る。延長部はまた、第1の取り付け点よりも下位に配置された主要構造体の構成要素又は解剖学的構造などの第2の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、主要構造体よりも可撓性であることができ、かつ/又は主要構造体よりも低い程度に運動を制限することができ、それによって、機器が装着された椎骨から、当該椎骨に隣接する患者の天然の解剖学的構造への、より緩やかな移行を提供する。延長部は、軟組織破壊をほとんど又は全く伴わずに配置され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、外科的方法は、主要構造体を患者の脊椎に取り付けることであって、主要構造体は、最上部の機器が装着された椎骨(UIV)と最下部の機器が装着された椎骨(LIV)との間に延在する、取り付けることと、コネクタを第1の取り付け点に取り付けることであって、第1の取り付け点は、主要構造体のUIVよりも上位に配置された棘突起を含む、取り付けることと、コネクタを患者の脊椎に対して位置決めすることと、コネクタを第2の取り付け点に取り付けることであって、第2の取り付け点は、主要構造体のUIVに配置されているか又はUIVよりも下位に配置されている、取り付けることと、を含み得る。
【0006】
第1の取り付け点は、主要構造体のUIVよりも上位に配置された複数の棘突起を含み得る。第2の取り付け点は、主要構造体の第1及び第2の脊椎ロッドを含み得る。第2の取り付け点は、主要構造体の第1及び第2の骨アンカーを含み得る。コネクタは、本体を含み得、その本体が、そこから上位方向に延在する第1及び第2のアームを有する。コネクタを第2の取り付け点に取り付けることは、本体の対向する接続点を主要構造体の対側の構成要素に取り付けることを含み得る。アームは、矢状面において湾曲していてもよく、患者の脊椎に伸展力を加えることができる。コネクタを第1の取り付け点に取り付けることは、アーム上に形成された歯を付勢して棘突起と係合させることを含み得る。コネクタを第1の取り付け点に取り付けることは、各アームの第1の部分を棘突起のそれぞれの側面と接触させて位置決めすることと、各アームの第2の部分を棘突起の上面と接触させて位置決めすることと、を含み得る。コネクタを第1の取り付け点に取り付けることは、コネクタのアームを棘突起に縫合又はリベット留めすることを含み得る。コネクタを第1の取り付け点に取り付けることは、アーム内に形成された開口部を通して縫合糸を適用することを含み得る。コネクタを患者の脊椎に対して位置決めすることは、(i)本体内に形成された凹部内でアームを本体に対して長手方向に並進させることと、(ii)本体内に形成された凹部内でアームを本体に対して傾けることと、のうちの少なくとも一方を含み得る。コネクタを患者の脊椎に対して位置決めすることは、コネクタの係止機構を締めて、本体に対するアームの位置及び/又は向きを係止することを含み得る。コネクタを位置決めすることは、コネクタのアームを互いに離間するように広げて、棘突起がそれらの間に挿入されることを可能にし、次いでアームを互いに向かって戻して、アーム間に画定された空間内に棘突起を捕捉することを含み得る。
【0007】
コネクタを第1の取り付け点に取り付けることは、コネクタのアームに対してカラーを回転又は摺動させて、アームを棘突起上に締め付けることを含み得る。アームは硬さを有し得、その硬さは、主要構造体のUIVよりも上位の患者の解剖学的構造の硬さよりも高く、かつ主要構造体の硬さよりも低い。アームは、脊椎運動制限の程度を有し得、脊椎運動制限の程度は、主要構造体のUIVよりも上位の患者の解剖学的構造の脊椎運動制限の程度よりも大きく、かつ主要構造体の脊椎運動制限の程度よりも小さい。アームは、脊椎の屈曲を完全に防止することなく、そのような屈曲を制限し得る。主要構造体は、一次切開部を通して埋め込まれることができ、コネクタは、一次切開部を介して、患者の脊椎に対して位置付けられて、第1及び第2の取り付け点に取り付けられることができる。一次切開部は、主要構造体のUIVに配置されているか又はUIVよりも下位に配置されている上位末端部を有し得る。コネクタを患者の脊椎に対して位置決めすることは、コネクタの第1及び第2のアームを一次切開部から上位方向に掘進させて、アームを、一次切開部の上位末端部よりも上位に配置された複数の棘突起に沿って位置付けることを含み得る。コネクタを第2の取り付け点に取り付けることは、細長い可撓性テザーをコネクタの1つ又は2つ以上の開口部に挿通させることと、テザーを主要構造体に取り付けることと、を含み得る。いくつかの実施形態では、主要構造体が装着された椎骨は、互いに融合されるか、又はそのような融合のために準備され、コネクタによって主要構造体が延在している椎骨は、融合されないか、又は融合のために準備されない。主要構造体は、それぞれの骨アンカーによって第1及び第2の椎骨に取り付けられた剛性脊椎ロッドを含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタが第1の取り付け点及び第2の取り付け点に取り付けられているとき、コネクタのいかなる部分も、患者の脊椎の任意の椎弓板の前方に配置されていない。
【0008】
いくつかの実施形態では、外科用システムは、主要構造体であって、剛性脊椎固定ロッドと、脊椎ロッドを第1及び第2の椎骨に取り付けるように構成された第1及び第2の骨アンカーとを含む、主要構造体と、コネクタであって、コネクタを主要構造体に取り付けるための少なくとも1つの取り付け点を有する本体と、本体から上位方向に延在する第1及び第2のアームと、を含む、コネクタと、を備え得る。
【0009】
少なくとも1つの取り付け点は、本体の両端部に配置された第1及び第2のロッド受容凹部を含み得る。本体は、第1のロッド受容凹部と第2のロッド受容凹部との間に延在する横断支柱を含み得る。第1及び第2のアームは、横断支柱から上方に延在し得る。アームは、その上に形成された骨係合歯又は表面特徴部を含み得る。アームは、棘突起の上縁部の周囲を包み込むように成形され得る。アームは、上記棘突起の側面及び棘突起の上面と同時に接触するように成形され得る。アームは、本体に対して選択的に並進可能及び/又は回転可能であり得る。本体は、本体に対するアームの位置及び/又は向きを係止するように構成された係止機構を含み得る。アームは、脊椎ロッドよりも可撓性であり得る。アームは、成人のヒト患者の少なくとも2つの椎骨レベルの長さだけ本体から上方に延在し得る。アームは、締結具を内部を通して受容するための開口部を含み得る。アームは、本体に近づくにつれて単一のアームへと併合し得る。システムは、アームを互いに向かって移動させるためにアームに対して回転可能及び/又は摺動可能であるカラーを備え得る。カラーは、アームの雄ネジと係合する雌ネジを含み得、雌ネジ及び雄ネジのうちの少なくとも一方はテーパ状である。システムは、コネクタの本体内に形成された1つ又は2つ以上の開口部を通して挿入可能な細長い可撓性テザーを更に備え得る。本体は、テザーが1つ又は2つ以上の開口部を通して配置されているとき、テザーに締め付けられるように構成された1つ又は2つ以上の係止要素を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】PJK/PJFに罹患しているヒト患者の脊椎の矢状面図である。
【
図2A】主要構造体及び長手方向延長部が取り付けられたヒト脊椎の斜視図である。
【
図3】患者の脊椎に取り付けられたコネクタの斜視図である。
【
図4】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの斜視図である。
【
図5】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの上面図である。
【
図6】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの上面図である。
【
図7】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの上面図である。
【
図8】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの上面図である。
【
図9】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの斜視図である。
【
図10】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの斜視図である。
【
図11】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの斜視図である。
【
図12】患者の脊椎に取り付けられた別のコネクタの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
PJK、PJF、及び他の症状のリスクを低減するためのシステム及び方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、長手方向延長部を主要固定構造体に加えて、構造体を1つ又は2つ以上の追加の椎骨レベルまで延長させることができる。延長部は、主要構造体よりも上位である椎骨の棘突起などの第1の取り付け点に取り付けられ得る。延長部はまた、第1の取り付け点よりも下位に配置された主要構造体の構成要素又は解剖学的構造などの第2の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、主要構造体よりも可撓性であることができ、かつ/又は主要構造体よりも低い程度に運動を制限することができ、それによって、機器が装着された椎骨から、当該椎骨に隣接する患者の天然の解剖学的構造への、より緩やかな移行を提供する。延長部は、軟組織破壊をほとんど又は全く伴わずに配置され得る。
【0012】
本明細書で開示されるシステム及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態をこれから説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書に詳細に述べられ、添付の図面に示されるシステム及び方法は、非限定的な例示的実施形態である点を理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0013】
図2A~
図2Bは、近位隣接椎間後弯変形、近位隣接椎間後弯障害、及び他の症状を治療、予防するための、又はそれらのリスクを低減するための、システム及び方法を概略的に示す。図示のように、主要構造体200は、患者に埋め込まれて、患者の脊椎Sに取り付けられることができる。主要構造体200は、(i)長手方向延長部202を第1の取り付け点204に取り付けることと、(ii)長手方向延長部を患者の脊椎に対して位置決めすることと、(iii)長手方向延長部を第2の取り付け点206に取り付けることと、によって、1つ又は2つ以上の追加の椎骨レベルまで延長させることができる。第1の取り付け点204は、主要構造体200から長手方向にオフセットされているインプラント又は解剖学的構造、例えば、主要構造体のUIVよりも上位の1つ又は2つ以上の椎骨レベルであり得る。延長部202は、第1の取り付け点の近傍の軟組織を破壊しない又は極力破壊しないやり方で、第1の取り付け点204に取り付けられることができる。第2の取り付け点206は、主要構造体200のUIVに又はUIVの下方に配置されたインプラント又は解剖学的構造であり得る。例えば、第2の取り付け点は、主要構造体200自体のロッド208、骨アンカー210、又は他の構成要素、あるいは主要構造体が取り付けられた椎骨であり得る。上記の工程は、任意の順序で実施することができる。例えば、延長部202は、主要構造体200に先立って埋め込まれ得る。別の実施例として、延長部202は、延長部を脊椎に対するその最終位置に配置した後、及び/又は延長部を第2の取り付け点206に取り付けた後に、第1の取り付け点204に取り付けられ得る。
【0014】
延長部は、主要構造体(典型的には、比較的剛性かつ不動である)と、主要構造体よりも上位の天然の軟組織及び他の患者の解剖学的構造(インプラントベースの剛性又は可動性制限が一般的に加えられない)との間の硬さの段階的低下及び/又は脊椎運動制限を提供することができる。延長部は、患者の天然の解剖学的構造よりも高く、かつ主要構造体よりも低い硬さを有することができる。延長部は、患者の天然の解剖学的構造よりも大きく、かつ主要構造体よりも小さい、脊椎運動制限の程度を有することができる。延長部は、主要構造体よりも上位の患者の解剖学的構造を、PJK/PJFの一因となり得る力及び応力から保護するのに役立ち得る。延長部は、主要構造体と、主要構造体よりも上位の損傷を受けていない軟組織との間に、柔軟な連結をもたらすことができる。延長部は、PJK/PJFのリスクを低減するために、脊椎の屈曲を制約又は制限することができる。延長部は、天然の軟組織エンベロープを複製することができる。いくつかの実施形態では、主要構造体が装着された椎骨は、互いに融合され、延長部によって主要構造体が延在している椎骨は融合されない。したがって、第1の脊髄分節は機器が装着されておりかつ融合され、第1の分節よりも上位の第2の脊髄分節は機器が装着されているが融合されず、第2の分節よりも上位の第3の脊髄分節は機器が装着されずかつ融合されない、ハイブリッド構造体が形成され得る。
【0015】
ここで
図2Bを参照すると、工程S1において、主要構造体を患者に埋め込むことができる。主要構造体は、患者の脊椎に沿って長手方向に延在する1つ又は2つ以上の脊椎ロッドを含むことができる。脊椎ロッド(1つ又は複数)は、椎弓根スクリュー又は外側塊スクリュー、フック、ワイヤなどの骨アンカーを使用して、患者の脊椎に取り付けられ得る。主要構造体は、主要構造体の最上部の機器が装着された椎骨(UIV)、すなわち、主要構造体が取り付けられている最上位つまり最頭側の椎骨と、主要構造体の最下部の機器が装着された椎骨(LIV)、すなわち、主要構造体が取り付けられている最下位つまり最尾部の椎骨との間の脊椎の分節に沿って延在することができる。UIVは、主要構造体の骨ネジが埋め込まれている最上部の椎骨であり得る。LIVは、主要構造体の骨ネジが埋め込まれている最下部の椎骨であり得る。主要構造体は、開放手技、低侵襲的又は経皮的処置などを含む、様々な既知の技術のいずれかを使用して埋め込むことができる。主要構造体は、一次切開部を通して埋め込まれ得る。一次切開部は、患者の脊椎に沿って長手方向に延在し得る。一次切開部の末端上端は、UIV+1よりも下位に、UIVよりも下位に、及び/又はUIV-1よりも下位に位置し得る。一次切開部は、例えば、主要構造体を設置するための低侵襲的処置の場合に、複数の別個の切開部を含むことができる。主要構造体は、剛性脊椎ロッド、例えば、通常の解剖学的負荷にさらされたときに埋め込み後に実質的に屈曲又は変形しないロッド、又はそのような条件下で屈曲又は変形するように設計されていないロッドを含むことができる。
【0016】
工程S2において、長手方向延長部は、第1の取り付け点、例えば、主要構造体からオフセットされている患者内の位置に取り付けられ得る。延長部は、主要構造体を1つ又は2つ以上の追加の椎骨レベルまで延長させるための様々な要素のうちのいずれかであり得る、又はそれを含むことができる。例えば、延長部は、テザー、ケーブル、コード、メッシュ、布地、テープ、フィルム、又はワイヤであり得る。延長部は可撓性であり得る。延長部は、主要構造体又はその構成要素の硬さよりも低い硬さ、例えば、主要構造体の脊椎ロッドの硬さよりも低い硬さを有し得る。延長部は、例えば、天然の脊椎解剖学的構造よりも高い硬さ、例えば、椎骨を接続する靭帯及び他の軟組織の硬さよりも高い硬さを有し得る。
【0017】
延長部は、以下に記載される種類のコネクタであり得る。延長部は、ETHICON(Somerville,New Jersey)から入手可能な、ある長さのMERSILENEテープであり得る。延長部は、ある長さの非吸収性、編組、無菌材料であり得る。延長部は、ポリ(エチレンテレフタレート)から形成され得る。延長部は、繰り返し芳香環(recurrent aromatic rings)を有する高分子量、長鎖、直鎖ポリエステルの繊維から形成され得る。延長部は、抗菌剤、コルチコステロイド、抗感染剤、トリクロサンなどでコーティングされ得る。延長部は、放射線不透過性、放射線透過性、又は部分的に放射線不透過性及び部分的に放射線透過性であり得る。延長部は、撮像バンド又はマーカーを含むことができる。延長部は、ポリマーであり得る。延長部は、ポリエチレンテレフタレート又はDACRON、ポリテトラフルオロエチレン又はテフロン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド又はKEVLAR、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ナイロン、ポリ(L-乳酸)などの様々な材料から形成され得るか、又はこれらを含むことができる。延長部は、金属、エラストマー、炭素繊維等などの材料で強化させることができる。延長部は、エラストマー又はニチノールなどの弾性又は形状記憶材料を含み得る。そのような材料は、延長部が脊椎の屈曲を制限するだけでなく、伸展力を注入するのも可能にすることができ、これにより脊椎前弯症を改善する及び/又は後方軟組織を強化することができる。伸展力は、延長部の材料特性、織り構造、厚さ、又は他の属性に基づいて調整することができる。
【0018】
延長部は、実質的に平坦又は平面であるテザーであり得る。テザーは、断面高さよりも大きい断面幅を有し得る。例えば、幅は、高さよりも少なくとも2倍大きくてもよい。テザーの幅は、約4mm~約8mmの範囲であり得る。テザーの高さは、約0.5mm~約2.5mmの範囲であり得る。テザーは、矩形、正方形、楕円形、円形などを含む任意の数の異なる断面を有することができる。
【0019】
延長部は、主要構造体からオフセットされている第1の取り付け点、例えば、主要構造体よりも1レベル又は2レベル以上上位の椎骨レベルに取り付けられ得る。第1の取り付け点は椎骨であり得る。第1の取り付け点は、椎弓根、横突起、椎弓板、椎間関節突起、棘突起、又は椎骨の椎体であり得る。第1の取り付け点は、上記の位置のいずれかに埋め込まれたインプラントであり得る。椎骨は、UIVよりも上位であり得る。椎骨は、UIV+1、UIV+2、又はそれ以上であり得る。第1の取り付け点は、肋骨又は他の解剖学的アンカーポイントであり得る。第1の取り付け点は、骨構造であり得る。第1の取り付け点は、軟組織構造であり得る。第1の取り付け点は、筋肉、腱、又は靱帯であり得る。延長部は、複数の上述した第1の取り付け点に取り付けられ得る。
【0020】
延長部は、任意の様々な方法で第1の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、縫合糸、リベット、又はステープルを使用して、第1の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、クランプを使用して第1の取り付け点に取り付けられ得る。クランプは、椎弓板、棘突起、若しくは他の解剖学的構造、又はインプラントに取り付けられ得る。延長部は、フックを使用して第1の取り付け点に取り付けられ得る。フックは、椎弓板、棘突起、若しくは他の解剖学的構造、又はインプラントに引っ掛けることができる。延長部は、骨アンカー、例えば、ネジアンカー、縫合糸アンカー、拡張可能なアンカー、テザーアンカー、及び/又は軟組織アンカーを使用して、第1の取り付け点に取り付けることができ、これらのアンカーのうちのいずれかは、DEPUY SYNTHES(Raynham,Massachusetts)から入手可能なタイプのものであってもよい。
【0021】
延長部は、軟組織の破壊を最小限に抑える方法で、第1の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、一次切開部を広げることなく、及び/又は一次切開部以外の切開部を形成することなく、第1の取り付け点に位置付けられ得る。延長部は、第1の取り付け点の上に形成された小さな二次切開部を通じて、第1の取り付け点に位置付けられ得る。二次切開部は、経皮的な穿刺切開部であり得る。二次切開部は、延長部を通すのに必要なだけの大きさ、又は延長部を取り付けるためのアンカーを通すのに必要なだけの大きさに形成され得る。二次切開部は、延長部の対応する寸法と等しい又は実質的に等しい(例えば、当該寸法の10%以内の)長さを有することができる。二次切開部は、延長部を第1の取り付け点に取り付けるために使用される骨アンカーの直径と等しい又は実質的に等しい(例えば、当該直径の10%以内の)直径を有することができる。二次切開部は、約10mm未満、約5mm未満、約3mm未満、及び/又は約1mm未満の長さ又は直径を有することができる。延長部、又はその少なくとも一方の端部、アンカー、又は延長部及びアンカーの両方は、トロカール、チューブ、又はカニューレを通して第1の取り付け点に送達され得る。延長部は、主要構造体よりも上位の椎骨レベルの軟組織エンベロープに損傷を与える(disturb)ことなく、第1の取り付け点に取り付けられ得る。
【0022】
工程S3において、延長部は、患者の脊椎に対して位置付けられ得る。延長部は、第1の取り付け点と、主要構造体などの第2の取り付け点との間の患者の脊椎に沿って延在するように位置付けられ得る。
【0023】
延長部は、二次切開部に通され、次いで、延長部を、二次切開部と主要構造体との中間に配置された皮膚及び/又は軟組織の下に通しながら、主要構造体に向かって下位方向に押される及び/又は引っ張られることができる。延長部は、挿入器又はトンネリング器具によって下位方向に押される及び/又は引っ張られることができる。挿入器具は、一次切開部を通じて、及び二次切開部に向かって上方に通されて、延長部を下方に引く前に延長部をつかむことができる。挿入器具は、二次切開部に通され、延長部が連結された状態で、皮膚及び/又は軟組織の下で、主要構造体に向かって下方に押され得る。
【0024】
延長部は、一次切開部を通じて挿入され、第1の取り付け点と一次切開部との中間に配置された皮膚及び/又は軟組織の下で延長部を誘導しながら、第1の取り付け点に向かう上位方向に通すことができる。延長部は、鉗子、押棒、又は他の挿入器具を使用して、上位方向に通すことができる。
【0025】
延長部は、脊椎の後方の側面に沿って位置付けられ得る。延長部は、脊椎の前面又は外側面に沿って位置付けられ得る。延長部は、延長部のいかなる部分も患者の脊椎の任意の椎弓板の前方に配置されないように位置付けられ得る。
【0026】
延長部は、軟組織破壊を最小限に抑える方法で位置付けられ得る。延長部は、一次切開部を広げることなく、及び/又は一次切開部以外の切開部を形成することなく、位置付けられ得る。延長部は、主要構造体よりも上位の椎骨レベルの軟組織エンベロープに損傷を与えることなく位置付けられ得る。
【0027】
工程S4において、延長部を第2の取り付け点に取り付けることができる。第2の取り付け点は、第1の取り付け点よりも下位であり得る。第2の取り付け点は、脊椎ロッド、骨アンカー若しくは骨ネジ、クロスコネクタ、又は主要構造体の任意の他の構成要素であり得る。第2の取り付け点は、主要構造体に隣接する又は主要構造体よりも下位の解剖学的構造であり得る。
【0028】
第2の取り付け点は椎骨であり得る。第2の取り付け点は、椎弓根、横突起、椎弓板、椎間関節突起、棘突起、又は椎骨の椎体であり得る。第2の取り付け点は、上記の位置のいずれかに埋め込まれたインプラントであり得る。椎骨は、主要構造体のUIVよりも下位であり得る。椎骨は、UIV、UIV-1、UIV-2、又はそれより下であり得る。第2の取り付け点は、肋骨又は他の解剖学的アンカーポイントであり得る。第2の取り付け点は、骨構造であり得る。第2の取り付け点は、軟組織構造であり得る。第2の取り付け点は、筋肉、腱、又は靱帯であり得る。延長部は、複数の上述した第2の取り付け点に取り付けられ得る。
【0029】
延長部は、任意の様々な方法で第2の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、縫合糸、リベット、又はステープルを使用して、第2の取り付け点に取り付けられ得る。延長部は、クランプを使用して、第2の取り付け点に取り付けられ得る。クランプは、椎弓板、棘突起、若しくは他の解剖学的構造、又はインプラントに取り付けられ得る。延長部は、フックを使用して第2の取り付け点に取り付けられ得る。フックは、椎弓板、棘突起、若しくは他の解剖学的構造、又はインプラントに引っ掛けることができる。延長部は、骨アンカー、例えば、ネジアンカー、縫合糸アンカー、拡張可能なアンカー、テザーアンカー、及び/又は軟組織アンカーを使用して、第2の取り付け点に取り付けることができ、これらのアンカーのうちのいずれかは、DEPUY SYNTHES(Raynham,Massachusetts)から入手可能なタイプのものであってもよい。
【0030】
第2の取り付け点は、脊椎ロッドであり得る。延長部は、ロッド及び延長部を受容するクランプ又はコネクタを使用して脊椎ロッドに取り付けられ得る。
【0031】
第2の取り付け点は、骨アンカー、例えば、ネジ又はフックであり得る。延長部は、骨アンカー及び延長部を受容するクランプ又はコネクタを使用して脊椎ロッドに取り付けられ得る。延長部は、脊椎ロッドと骨アンカーのロッド座との間に締め付けられ得る。延長部は、脊椎ロッドと、骨アンカーの止めネジ又は閉鎖機構との間に締め付けられ得る。骨アンカーは、延長部を骨アンカーに係止するための第1の止めネジ又は閉鎖機構と、脊椎ロッドを骨アンカーに係止するための第2の止めネジ又は閉鎖機構とを含み得る。
【0032】
複数の延長部を患者の脊椎に取り付けるために、上記の工程を繰り返すことができる。複数の延長部は、共通の取り付け点を共有することができ、又は異なる場所で取り付けられることができる。例えば、第1及び第2の延長部は、脊椎正中線の対側に平行に配置され得る。延長部の下端は、主要構造体のそれぞれの脊椎ロッド及び/又はそれぞれの骨アンカーに取り付けられ得る。延長部の上端は、主要構造体から長手方向にオフセットされたそれぞれの取り付け点、又は上位椎骨の棘突起などの共通の取り付け点に取り付けられ得る。
【0033】
図3は、第1の取り付け点(例えば、主要構造体200よりも上位の椎骨の1つ又は2つ以上の棘突起302)及び第2の取り付け点(例えば、主要構造体の1つ又は2つ以上の脊椎ロッド208又は骨アンカー210)に取り付けられるように構成されたコネクタ300の形態の延長部の例示的な実施形態を示す。
【0034】
図示のように、コネクタ300は、本体304を含み得、その本体が、そこから上位方向に延在する1つ又は2つ以上のアーム306を有する。本体304は、当該技術分野において既知のタイプの横断クロスコネクタ(transverse cross-connector)であってもよく、又はそれを含むことができる。例示的な横断クロスコネクタは、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、「DUAL ROD CROSS CONNECTORS AND INSERTER TOOLS」という名称の米国特許第7,717,938号、「ROD ATTACHMENT FOR HEAD TO HEAD CROSS CONNECTOR」という名称の米国特許第7,717,939号、及び「SPINAL CROSS CONNECTORS」という名称の米国特許第8,361,117号に記載されている。本体304は、上記の特許に記載されているクロスコネクタの特徴のうちのいずれかを含むことができる。例えば、本体304は、コネクタ300の対向するロッド接続点が1つ又は2つ以上の自由度で互いに対して移動可能となるように、1つ又は2つ以上の関節運動継手を含むことができる。図示した実施形態では、本体304は、軸線A1に沿って対向する自由端の間に延在する横断支柱308を含む。支柱308の各端部は、それぞれのロッド受容凹部310と、ロッド受容凹部内に脊椎ロッドを係止するための止めネジとを含むことができる。ロッド受容凹部が示されているが、代わりに又は加えて、様々な他の取り付け機構が含まれてもよいことが理解されよう。例えば、支柱308の一方又は両方の端部は、支柱を骨アンカー210の頭部に直接取り付けるためのアイレット又は他の機構を含むことができる。
【0035】
アーム306は、本体304から上位方向に延在することができる。アーム306は、それぞれの軸線A2、A3に沿って延在し得る。アーム306は、直線状であってもよく、又は1つ又は2つ以上の平面において湾曲状、屈曲状、又は階段状であってもよい。例えば、アーム306は、矢状面において湾曲して、患者の脊椎の所望の矢状曲率に近似するか、又は患者の脊椎に伸張力を加えることができる。アーム306は、ロッド、チューブ、レールなどであってもよい。アーム306は、アーム軸線A2、A3に垂直な平面において、円筒形、長円形、楕円形、正方形、又は矩形である断面を有することができる。アーム306は、第1の取り付け点、例えば、1つ又は2つ以上の棘突起302と摩擦的に及び/又は機械的に係合するように構成されている。例えば、棘突起302に隣接する各アーム306の表面は、歯、隆起部、粗面化、又は棘突起を把持して係合するための他の表面特徴部若しくは仕上げ部を含むことができる。別の実施例として、アーム306は、1つ又は2つ以上の棘突起302の上縁部を包み込むように構成された幾何学的形状を有することができる。アーム306は、屈曲又は湾曲していてもよく、又は棘突起302の上縁部を包み込む突出部、肩部、又は他の特徴部を含むことができる。アーム306は、患者に埋め込まれたとき、各アームの第1の部分が棘突起の側面と接触し、かつ上記アームの第2の部分が上記棘突起の上面と接触するように成形されていてもよい。
【0036】
アーム306は、主要構造体200の脊椎ロッド208(1つ又は複数)よりも剛性が低くてもよい。例えば、アーム306は、ロッド208よりも小さい直径若しくは断面を有することができ、及び/又はロッドとは異なる、より可撓性である材料から形成されることができる。アーム306は、所望の椎骨レベルまで延在する長さに切断されてもよく、又は既製の長さで使用されてもよい。図示されたアーム306は、主本体304から、主要構造体200のUIVよりも3つ上位の椎骨レベルまで延在している。他の実施例では、アーム306は、1レベル上位の椎骨レベルまで、2レベル上位の椎骨レベルまで、又は3超レベル上位の椎骨レベルまで延在することができる。
【0037】
使用中、主要構造体200は、一次切開部212を通して埋め込まれ得る。コネクタ300は、一次切開部212を通して挿入することができ、アーム306は、患者の皮膚及び/又は軟組織214の下で、一次切開部から第1の取り付け点まで上位方向に掘進させることができる。アーム306は、脊椎正中線の対側に位置付けられ得る。アーム306は、冠状面において主要構造体200のロッド208に平行に延在するように位置付けられ得る。コネクタ300の本体304は、冠状面において主要構造体200のロッド208に対して垂直に、かつ/又は冠状面において脊椎正中線に対して垂直に延在するように位置付けられ得る。アーム306は、主要構造体200のUIVよりも上位の1つ又は2つ以上の椎骨の棘突起302の対向する側面に隣接して、又はこれと接触して位置付けられ得る。
【0038】
アーム306は、図示のように縫合312によって、又はネジ、リベット、フック、クランプ、又は他の取り付け機構を用いて、1つ又は2つ以上の棘突起302に取り付けられ得る。縫合糸312又は他の取り付け機構は、アーム306に対して横方向に延在し得る。縫合糸312又は他の取り付け機構は、一次切開部212を通して挿入され、患者の皮膚及び/又は軟組織214の下で上方に掘進され、アーム306及び棘突起302に固定され得る。湾曲した針、鉗子で把持された針、又は他の挿入器具を使用して、縫合糸312又は他の取り付け機構を掘進させることができる。一次切開部212の上位末端部は、第1の取り付け点よりも下位かつ/又は主要構造体200のUIVよりも下位であり得、縫合糸312又は他の取り付け機構は、一次切開部を上位方向に広げることなく適用され得る。代替的に、又は加えて、縫合糸312又は他の取り付け機構は、一次切開部212よりも上位に配置された1つ又は2つ以上の二次切開部を介して適用され得る。二次切開部は、経皮的又は低侵襲的切開部であり得る。コネクタ300は、1つの部品として、又はその場で組み立てられる別個の構成要素として設置され得る。例えば、アーム306は、上記構成要素が患者内に配置されている間に、本体304に取り付けられてもよい。コネクタ300の一部又は全体は、主要構造体200が埋め込まれている一次切開部212の上位末端部よりも上方に配置され得る。
【0039】
図4は、第1の取り付け点(例えば、主要構造体200よりも上位の椎骨の1つ又は2つ以上の棘突起402)及び第2の取り付け点(例えば、主要構造体の1つ又は2つ以上の脊椎ロッド208又は骨アンカー210)に取り付けられるように構成されたコネクタ400の形態の延長部の例示的な実施形態を示す。下記で指摘されない限り、本開示を考慮することで当業者によって容易に理解されるように、コネクタ400の構造及び動作は上記のコネクタ300の構造及び動作と同じである。
【0040】
コネクタ400は、本体404に対して1つ又は2つ以上の自由度で移動可能な、調節可能なアーム406を含むことができる。例えば、アーム406は、アームが軸線A2、A3に沿って本体に対して並進することができるように、本体404に形成された開口部414内に摺動可能に配置され得る。開口部414は、アーム406の外部寸法に対してオーバーサイズにされることにより、例えば、より幅広の又はより幅狭の棘突起402をアームの間に収容するためにアームが互いに向かって又は互いから離れる方向に広がること、又は、例えば、棘突起402の高さに沿って取り付け点を調整するために矢状面において傾斜することが可能になる。コネクタ400は、本体404に対するアーム406の位置及び/又は向きを選択的に係止するための1つ又は2つ以上の係止要素416を含むことができる。例えば、本体404は、アーム406が内部に摺動可能に配置される開口部414と交差するネジ切りされた凹部を含むことができる。止めネジ416は、凹部に螺入され、締められて、アーム406を本体404内に締め付けて、アームと本体との間の運動を防止することができる。独立した止めネジ416が示されているが、いくつかの構成では、単一の止めネジを使用して両方のアーム406を同時に締め付けることができる。カムロック、ネジ切りされたナットなどの他の係止機構を、止めネジの代わりに又は止めネジの加えて使用することができる。アーム406は、1つ又は2つ以上の開口部418を含むことができる。アーム406は、アームの長さに沿って離間配置された複数の開口部418を含むことができる。開口部418は、縫合糸、リベット、ネジ、又は他の締結具412を内部を通して受容するように寸法決めされ得る。開口部418は、図示のように軸線A1、A2、及びA3に対して垂直に向けられ得る。
【0041】
図5は、第1の取り付け点(例えば、主要構造体200よりも上位の椎骨の1つ又は2つ以上の棘突起502)及び第2の取り付け点(例えば、主要構造体の1つ又は2つ以上の脊椎ロッド208又は骨アンカー210)に取り付けられるように構成されたコネクタ500の形態の延長部の例示的な実施形態を示す。下記で指摘されない限り、本開示を考慮することで当業者によって容易に理解されるように、コネクタ500の構造及び動作は上記のコネクタ300、400の構造及び動作と同じである。
【0042】
コネクタ500のアーム506は、本体504に近づくにつれて単一のアームへと併合して、図示のようにY字形延長部を形成し得る。アーム506は、棘突起502の対向する側面上に位置付けられ得、ネジ、リベット、又は他の締結具520は、内部を通して挿入されてアームを棘突起に取り付けることができる。アーム506は可撓性であってもよい。アーム506は、コネクタ500が棘突起502の上を上位方向に前進するにつれて互いから離れる方向に移動して、棘突起がアーム間に画定された空間に入ることを可能にするように構成され得る。アーム506は、次いで、互いに向かって移動して、それらの間に棘突起502を捕捉するように構成され得る。アーム506は、ネジ、リベット、又は他の締結具520がコネクタ500に適用されると、互いに向かって更に移動するように構成され得る。アーム506は、図示のように単一の棘突起502に、又は複数の棘突起に取り付けられ得る。
【0043】
アーム506は、1つ又は2つ以上の棘突起502の上縁部を包み込むように構成された幾何学的形状を有することができる。アーム506は、屈曲又は湾曲していてもよく、又は棘突起502の上縁部を包み込む突出部、肩部、又は他の特徴部522を含むことができる。アーム506は、患者に埋め込まれたときに、各アームの第1の部分が棘突起の側面と接触し、かつ上記アームの第2の部分が上記棘突起の上面と接触するように成形され得る。
【0044】
図6は、第1の取り付け点(例えば、主要構造体200よりも上位の椎骨の1つ又は2つ以上の棘突起602)及び第2の取り付け点(例えば、主要構造体の1つ又は2つ以上の脊椎ロッド208又は骨アンカー210)に取り付けられるように構成されたコネクタ600の形態の延長部の例示的な実施形態を示す。下記で指摘されない限り、本開示を考慮することで当業者によって容易に理解されるように、コネクタ600の構造及び動作は上記のコネクタ300、400、500の構造及び動作と同じである。
【0045】
コネクタ600は、回転可能又は摺動可能なリング又はカラー624を含むことができ、それを通してアーム606が延在する。カラー624は、冠状面内の軸線A1に対して垂直であり、かつ冠状面内の軸線A2、A3に対して平行又は実質的に平行である軸線A4を中心に、アーム606に対して回転可能であり得る。カラー624の中央開口部は、アーム606上に形成された雄ネジと整合する雌ネジを含むことができる。カラー624のネジ山及び/又はアーム606のネジ山は、カラーを第1の方向に回転させるとアームが互いに向かって圧搾して、例えば、アーム間に配置された棘突起602に締め付け、カラーを第2の反対方向に回転させるとアームが互いから離れるように移動して、例えば、アーム間に配置された棘突起602を解放することができるように、テーパ状になっていてもよい。アーム606の内面は、棘突起602に食い込んで棘突起に対する把握力を強化するための歯、スパイク、又は他の表面特徴部若しくは表面処理を含むことができる。アーム606は弾性であってもよく、又は別の方法で解放位置に向かって付勢されてもよい。他の構成では、カラー624は、アーム606の上に摺動可能に配置されてもよく、カラーをアームに対して回転させるか、又は回転させずに、アーム606に対して軸線A4に沿って並進するように構成されてもよい。カラー624及び/又はアーム606は、カラーをアームに対して上位方向に摺動させることによってアームを互いに向かって移動させ、カラーをアームに対して下位方向に摺動させることによってアームが互いから離れる方向に移動できるように、テーパ状になっていてもよい。アーム606は、図示のように複数の棘突起602に、又は単一の棘突起に取り付けられ得る。
【0046】
使用中、コネクタ600は、主要構造体200を埋め込むために使用される一次切開部を通して挿入され得る。対向するアーム606は、上位方向に掘進されて、主要構造体200のUIVよりも上位の椎骨の1つ又は2つ以上の棘突起602の対向する側面に位置付けられてもよい。次いで、カラー624をアーム606に対して回転又は摺動させてアームを互いに向かって移動させ、アームを1つ又は2つ以上の棘突起に締め付けることができる。コネクタの本体604は、例えば、主要構造体の1つ又は2つ以上のロッド208に締め付けることによって、主要構造体200に取り付けられ得る。
【0047】
上記のコネクタ300、400、500、600は、ロッド間接続を有する本体を備えて示されているが、代わりに又は加えて、他の構成も使用可能であることが理解されるであろう。例えば、本明細書に記載されるコネクタのいずれも、主要構造体の第1及び第2の骨アンカー(例えば椎弓根スクリュー又は外側塊スクリューなど)に直接取り付けられるように構成された本体を含むことができる。
図7は、上述のコネクタ600と同様であるが、対向するアイレット726を有する本体704を含む例示的なコネクタ700を示す。アイレット726は、それぞれの骨アンカーに取り付けられるように構成され得る。例えば、各アイレット726は、骨アンカーから近位方向に延出するネジ山付きポストを受容することができ、ナットは、本体704を骨アンカーに固定するためにネジ山付きポストの上を前進し得る。アイレット726は、本体704に移動可能に連結され得るワッシャ728内に形成されてもよい。例えば、ワッシャ728は、本体704に対して軸線A1に沿って摺動可能であり得る。
【0048】
上記のコネクタ300、400、500、600は、主要構造体200に強固に取り付けられてもよく、又は可撓自在に取り付けられてもよい。例えば、本明細書に記載されるコネクタのいずれかは、1つ又は2つ以上の可撓性テザー又は他の連結機構を使用して本体を主要構造体に取り付けるための開口部又は他の特徴部を備える本体を含むことができる。
図8は、上述したコネクタ600と同様であるが、1つ又は2つ以上の可撓性テザーを受容するための対向する開口部830を備えた本体804を含む例示的なコネクタ80を示す。本体804は次に、主要構造体200に締め付けられるか、ないしは別の方法で取り付けられることができる。コネクタ800は、開口部830を通って延在するテザーに締め付けるためのネジ又は他の係止要素832を含むことができる。1つの構成では、単一のテザーは、主要構造体200の第1の脊椎ロッドに取り付けられ、コネクタ800まで上方に延在し、コネクタの両方の開口部830を通過し、下方に戻って主要構造体の第2の対側脊椎ロッドに取り付けられることができる。別の構成では、第1のテザーが、主要構造体200の第1の脊椎ロッドに取り付けられ、コネクタ800まで上方に延在し、コネクタの第1の開口部830に取り付けられることができる。第2のテザーは、主要構造体200の第2の対側脊椎ロッドに取り付けられ、コネクタ800まで上方に延在し、コネクタの第2の開口部830に取り付けられることができる。
【0049】
本明細書で開示されるコネクタは、主要構造体が埋め込まれている一次切開部を通してコネクタを挿入し、次いで、コネクタのアームを、第1の取り付け点(複数可)(例えば、上位の椎骨の1つ又は2つ以上の棘突起)に沿って、又はそれに向かって形成されたトンネルを通って掘進させることによって、埋め込まれ得る。トンネルは、患者の皮膚及び/又は軟組織の下に形成され得る。トンネルは、筋肉を温存する方法で形成され得る。アームを第1の取り付け点に取り付けるために使用される締結具は、同じトンネルを通して、又は別個のトンネルを通して適用され得る。締結具を適用するための器具は、同じトンネルを通して、又は別個のトンネルを通して挿入され得る。これらの技術は、構造体及びコネクタを配置することに伴う切開の数及び組織破壊の量を低減するために使用することができ、これは、PJK/PJFの予防に役立ち得る。
【0050】
例示的な構成では、挿入治具をコネクタに取り付けることができ、リベット、縫合糸、針、ネジ、又は他の締結具を、コネクタのアームに沿った所定の標的位置と交差する弧を通って案内するために、取り付け点を中心に挿入治具を回転させることができる。これにより、挿入治具は、所望の位置が患者の皮膚及び/又は軟組織の下にあるため見えない場合であっても、締結具を所望の位置に一貫してかつ正確に案内することができる。挿入治具は、患者を閉じる前にコネクタから分離され、除去され得る。
【0051】
別の例示的な構成では、コネクタは、コネクタのアームに沿った所定の目標位置にリベット、縫合糸、針、ネジ、又は他の締結具を案内するための溝、トラック、又は隆起部を画定することができる。リベット留めツールなどの挿入器具は、器具の動作端部と締結具を適用するための所望の位置とを整列させるために、溝、トラック、又は隆起部に沿って案内され得る。コネクタのアームは、I型梁の断面を有することができ、さもなければ、器具がそこを通って案内されて締結具を所望の位置に適用することができるガイドトラックを含むことができる。
【0052】
図9は、コネクタのアーム906内又はアーム1206上に形成されたガイドトラックを有する例示的なコネクタ900を示す。図示のように、一方又は両方のアーム906は、アームの後面内又はその上に形成されたガイドトラック934を含むことができる。ガイドトラック934は、尾側から頭側の方向に延在することができる。ガイドトラック934は、アーム906上に形成された溝、凹部、トラック、隆起部、及び/又は突出部であってもよい。ガイドトラック934は、矩形横断面を有することができる。ガイドトラック934は、アーム906の後面の中心又は実質的に中心に形成され得る。図示したコネクタ900は上述のコネクタ400と同様であるが、本明細書のコネクタのいずれも同様のガイドトラックを含み得ることが理解されるであろう。
【0053】
図10は、コネクタのアーム1006内又はアーム1206上に形成されたガイドトラックを有する例示的なコネクタ1000を示す。図示のように、一方又は両方のアーム1006は、アームの後面内又はその上に形成されたガイドトラック1034を含むことができる。ガイドトラック1034は、尾側から頭側の方向に延在することができる。ガイドトラック1034は、アーム1006上に形成された溝、凹部、トラック、隆起部、及び/又は突出部であってもよい。ガイドトラック1034は、ダブテール形横断面を有することができる。例えば、ガイドトラック1034は、アーム1006の後面から後方に延在する突出部であってもよく、突出部は、後方から前方の方向に互いに向かって斜めに先細になる、対向する横方向側壁を有する。ガイドトラック1034によって案内される器具は、ガイドトラックと嵌合するための対応するダブテール溝を含むことができ、これにより、ガイドトラックへの器具の保持を容易にすることができる。ガイドトラック1034は、アーム1006の後面の中心又は実質的に中心に形成され得る。雄ダブテール機構が示されているが、アーム1006は、代わりに、器具の雄ダブテール機構を受容するように構成された雌ダブテール機構を含むことができる。図示したコネクタ1000は上述のコネクタ400と同様であるが、本明細書のコネクタのいずれも同様のガイドトラックを含み得ることが理解されるであろう。
【0054】
図11は、コネクタのアーム1106内又はアーム1206上に形成されたガイドトラックを有する例示的なコネクタ1100を示す。図示のように、一方又は両方のアーム1106は、アームの側面内又はその上に形成されたガイドトラック1134を含むことができる。ガイドトラック1134は、尾側から頭側の方向に延在することができる。ガイドトラック1134は、アーム1106上に形成された溝、凹部、トラック、隆起部、及び/又は突出部であってもよい。ガイドトラック1134は、ダブテール形横断面を有することができる。例えば、ガイドトラック1134は、アーム1106の側面から内側に延びる凹部であってもよく、凹部は、内側から外側の方向に互いに向かって斜めに先細になる、対向する前方側壁及び後方側壁を有する。ガイドトラック1134によって案内される器具は、ガイドトラックと嵌合するための対応するダブテール突出部を含むことができ、これにより、ガイドトラックへの器具の保持を容易にすることができる。ガイドトラック1134は、アーム1106の側面の中心又は実質的に中心に形成され得る。雌ダブテール機構が示されているが、アーム1106は、代わりに、器具の雌ダブテール機構内に受容されるように構成された雄ダブテール機構を含むことができる。図示したコネクタ1100は上述のコネクタ400と同様であるが、本明細書のコネクタのいずれも同様のガイドトラックを含み得ることが理解されるであろう。
【0055】
図12は、コネクタのアーム1206内又はアーム1206上に形成されたガイドトラックを有する例示的なコネクタ1200を示す。図示のように、一方又は両方のアーム1206は、その中又はその上に形成されたガイドトラック1234を含むことができる。ガイドトラック1234は、後方から前方の方向に延在することができる。ガイドトラック1234は、アーム1206上に形成された溝、凹部、トラック、隆起部、及び/又は突出部であってもよい。ガイドトラック1234は、ダブテール形横断面を有することができる。ガイドトラック1234によって案内される器具は、ガイドトラックと嵌合するための対応するダブテール機構を含むことができ、これにより、ガイドトラックへの器具の保持を容易にすることができる。ガイドトラック1234は、アーム1206の中心に、又は実質的に中心に形成され得る。図示したコネクタ1200は上述のコネクタ500と同様であるが、本明細書のコネクタのいずれも同様のガイドトラックを含み得ることが理解されるであろう。
【0056】
上記の説明若しくは添付図面において表現された又は示唆された方法工程の任意の順序は、開示された方法を、その順序で工程を実施することに限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示される方法のそれぞれの様々な工程は、任意の様々な順序で実施することができる。更に、記載した方法は、代表的実施形態に過ぎず、追加の工程を含む、又はより少ない工程を含む、様々なその他の方法もまた本開示の範囲内である。
【0057】
上位方向における構造体の延長部が概ね上述されているが、本明細書で開示されるシステム及び方法はまた、例えば、主要構造体を補強するために、構造体を下位方向に延長させるために、又は単に主要構造体の上位限界及び下位限界内で延長させるために使用され得ることが理解されるであろう。
【0058】
本明細書で開示されるシステム及び方法は、概して、剛性脊椎固定構造体を使用した脊椎手術との関連において記載されているが、本明細書のシステム及び方法は、任意の骨、非骨組織、又は非生物若しくは非組織対象物内で、様々な他の種類の固定化又は安定化機器と共に用いることができることを理解されたい。本明細書で開示されるシステム及びその様々な構成部品は、完全に埋め込まれることができる、又は外部固定化又は安定化システムの一部として使用することができる。本明細書で開示されるシステム及び方法は、最小侵襲性手術及び/又は切開手術で用いることができる。
【0059】
本明細書で開示されるシステム及びそれらの様々な構成部品は、様々な既知の材料のいずれかから構築することができる。例示的な材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、コバルトクロム、チタン-モリブデン、又はそれらの合金などの金属、PEEKなどのポリマー、セラミックス、炭素繊維、等々を含む、外科用途で使用するのに適した材料を含む。本明細書で開示されるシステムの様々な構成要素は、剛性又は可撓性であり得る。システムの1つ又は2つ以上の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の画像処理技法の下での視覚化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成することができ、又は他の構造物の可視化を干渉しないように放射線透過性材料から形成することができる。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。
【0060】
以上、特定の実施形態を記載したが、記載された概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされ得る点を理解されたい。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) 外科的方法であって、
主要構造体を患者の脊椎に取り付けることであって、前記主要構造体は、最上部の機器が装着された椎骨(UIV)と最下部の機器が装着された椎骨(LIV)との間に延在する、取り付けることと、
コネクタを第1の取り付け点に取り付けることであって、前記第1の取り付け点は、前記主要構造体の前記UIVよりも上位に配置された棘突起を含む、取り付けることと、
前記コネクタを前記患者の脊椎に対して位置決めすることと、
前記コネクタを第2の取り付け点に取り付けることであって、前記第2の取り付け点は、前記主要構造体の前記UIVに配置されているか又は前記UIVよりも下位に配置されている、取り付けることと、を含む、外科的方法。
(2) 前記第1の取り付け点が、前記主要構造体の前記UIVよりも上位に配置された複数の棘突起を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第2の取り付け点が、前記主要構造体の第1及び第2の脊椎ロッドを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第2の取り付け点が、前記主要構造体の第1及び第2の骨アンカーを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記コネクタが、本体を含み、前記本体が、そこから上位方向に延在する第1及び第2のアームを有する、実施態様1に記載の方法。
【0062】
(6) 前記コネクタを前記第2の取り付け点に取り付けることが、前記本体の対向する接続点を前記主要構造体の対側の構成要素に取り付けることを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記アームが、矢状面において湾曲しており、前記患者の脊椎に伸展力を加える、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記コネクタを前記第1の取り付け点に取り付けることが、前記アーム上に形成された歯を付勢して前記棘突起と係合させることを含む、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記コネクタを前記第1の取り付け点に取り付けることが、各アームの第1の部分を前記棘突起のそれぞれの側面と接触させて位置決めすることと、各アームの第2の部分を前記棘突起の上面と接触させて位置決めすることと、を含む、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記コネクタを前記第1の取り付け点に取り付けることが、前記コネクタの前記アームを前記棘突起に縫合又はリベット留めすることを含む、実施態様5に記載の方法。
【0063】
(11) 前記コネクタを前記第1の取り付け点に取り付けることが、前記アーム内に形成された開口部を通して縫合糸を適用することを含む、実施態様5に記載の方法。
(12) 前記コネクタを前記患者の脊椎に対して位置決めすることが、(i)前記本体内に形成された凹部内で前記アームを前記本体に対して長手方向に並進させることと、(ii)前記本体内に形成された凹部内で前記アームを前記本体に対して傾けることと、のうちの少なくとも一方を含む、実施態様5に記載の方法。
(13) 前記コネクタを前記患者の脊椎に対して位置決めすることが、前記コネクタの係止機構を締めて、前記本体に対する前記アームの位置及び/又は向きを係止することを含む、実施態様5に記載の方法。
(14) 前記コネクタを位置決めすることが、前記コネクタの前記アームを互いに離間するように広げて、前記棘突起がそれらの間に挿入されることを可能にし、次いで前記アームを互いに向かって戻して、前記アーム間に画定された空間内に前記棘突起を捕捉することを含む、実施態様5に記載の方法。
(15) 前記コネクタを前記第1の取り付け点に取り付けることが、前記コネクタの前記アームに対してカラーを回転又は摺動させて、前記アームを前記棘突起に締め付けることを含む、実施態様5に記載の方法。
【0064】
(16) 前記アームが硬さを有し、前記硬さは、前記主要構造体の前記UIVよりも上位の患者の解剖学的構造の硬さよりも高く、かつ前記主要構造体の硬さよりも低い、実施態様5に記載の方法。
(17) 前記アームが、脊椎運動制限の程度を有し、前記脊椎運動制限の程度は、前記主要構造体の前記UIVよりも上位の患者の解剖学的構造の脊椎運動制限の程度よりも大きく、かつ前記主要構造体の脊椎運動制限の程度よりも小さい、実施態様5に記載の方法。
(18) 前記アームが、前記脊椎の屈曲を完全に防止することなく、そのような屈曲を制限する、実施態様5に記載の方法。
(19) 前記主要構造体が一次切開部を通して埋め込まれ、前記コネクタが、前記一次切開部を介して、前記患者の脊椎に対して位置付けられて、前記第1及び第2の取り付け点に取り付けられている、実施態様1に記載の方法。
(20) 前記一次切開部が、前記主要構造体の前記UIVに配置されているか又は前記UIVよりも下位に配置されている上位末端部を有する、実施態様19に記載の方法。
【0065】
(21) 前記コネクタを前記患者の脊椎に対して位置決めすることが、前記コネクタの第1及び第2のアームを前記一次切開部から上位方向に掘進させて、前記アームを、前記一次切開部の上位末端部よりも上位に配置された複数の棘突起に沿って位置付けることを含む、実施態様19に記載の方法。
(22) 前記コネクタを前記第2の取り付け点に取り付けることが、細長い可撓性テザーを前記コネクタの1つ又は2つ以上の開口部に挿通させることと、前記テザーを前記主要構造体に取り付けることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(23) 前記主要構造体が装着された椎骨が、互いに融合されるか、又はそのような融合のために準備され、前記コネクタによって前記主要構造体が延在している椎骨は、融合されないか、又は融合のために準備されない、実施態様1に記載の方法。
(24) 前記主要構造体が、それぞれの骨アンカーによって第1及び第2の椎骨に取り付けられた剛性脊椎ロッドを含む、実施態様1に記載の方法。
(25) 前記コネクタが前記第1の取り付け点及び前記第2の取り付け点に取り付けられているとき、前記コネクタのいかなる部分も、前記患者の脊椎の任意の椎弓板の前方に配置されていない、実施態様1に記載の方法。
【0066】
(26) 外科用システムであって、
主要構造体であって、剛性脊椎固定ロッドと、前記脊椎ロッドを第1及び第2の椎骨に取り付けるように構成された第1及び第2の骨アンカーとを含む、主要構造体と、
コネクタであって、
前記コネクタを前記主要構造体に取り付けるための少なくとも1つの取り付け点を有する本体と、
前記本体から上位方向に延在する第1及び第2のアームと、を含む、コネクタと、を備える、外科用システム。
(27) 前記少なくとも1つの取り付け点が、前記本体の両端部に配置された第1及び第2のロッド受容凹部を含み、前記本体が、前記第1のロッド受容凹部と前記第2のロッド受容凹部との間に延在する横断支柱を含み、前記第1及び第2のアームが、前記横断支柱から上方に延在する、実施態様26に記載のシステム。
(28) 前記アームが、その上に形成された骨係合歯又は表面特徴部を含む、実施態様26に記載のシステム。
(29) 前記アームが、棘突起の上縁部の周囲を包み込むように成形されている、実施態様26に記載のシステム。
(30) 前記アームが、棘突起の側面及び前記棘突起の上面と同時に接触するように成形されている、実施態様26に記載のシステム。
【0067】
(31) 前記アームが、前記本体に対して選択的に並進可能及び/又は回転可能である、実施態様26に記載のシステム。
(32) 前記本体が、前記本体に対する前記アームの位置及び/又は向きを係止するように構成された係止機構を含む、実施態様26に記載のシステム。
(33) 前記アームが、前記脊椎ロッドよりも可撓性である、実施態様26に記載のシステム。
(34) 前記アームが、成人のヒト患者の少なくとも2つの椎骨レベルの長さだけ前記本体から上方に延在する、実施態様26に記載のシステム。
(35) 前記アームが、締結具を内部を通して受容するための開口部を含む、実施態様26に記載のシステム。
【0068】
(36) 前記アームが、前記本体に近づくにつれて単一のアームへと併合する、実施態様26に記載のシステム。
(37) 前記アームを互いに向かって移動させるために前記アームに対して回転可能及び/又は摺動可能であるカラーを更に備える、実施態様26に記載のシステム。
(38) 前記カラーが、前記アームの雄ネジと係合する雌ネジを含み、前記雌ネジ及び前記雄ネジのうちの少なくとも一方がテーパ状である、実施態様37に記載のシステム。
(39) 前記コネクタの前記本体内に形成された1つ又は2つ以上の開口部を通して挿入可能な細長い可撓性テザーを更に備える、実施態様26に記載のシステム。
(40) 前記本体は、前記テザーが前記1つ又は2つ以上の開口部を通して配置されているとき、前記テザーに締め付けるように構成された1つ又は2つ以上の係止要素を含む、実施態様39に記載のシステム。