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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】スライドドア床操作装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
E05D15/06 110A
E05D15/06 124A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020506313
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018000365
(87)【国際公開番号】W WO2019029838
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】102017000091124
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519206287
【氏名又は名称】テルノ・スコレヴォリ・エスピーエー・ユニペルソナレ
(73)【特許権者】
【識別番号】519206298
【氏名又は名称】バロッタ、ニコラ
【住所又は居所原語表記】Via XXV Aprile,7,41054 Marano Sul Panaro(MO)Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルノ、ジョバンニ
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/073215(WO,A1)
【文献】特開2012-001919(JP,A)
【文献】特開2006-194048(JP,A)
【文献】実開昭58-060762(JP,U)
【文献】特開2004-100194(JP,A)
【文献】実開昭55-166878(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁(16)に隣接して配置され、かつ床(48)から突出するピン(14)と組み合わされるガイド(82)を底部に備えた木製ドア(10)又はガラスドア(72)のスライド用のスライドドア床操作装置(20)であって、実質的に平行六面体形状であり、かつ前記木製ドア(10)又はガラスドア(72)の下面に取付けられる部を有し、前記部に沿って下側が部分的に開口している格納シェル(26)を備え、前記シェル内にはフォーク型フレーム(44)が配置され、前記フォーク型フレームの平行部(64)には、ピン(54)を挿入するための穴(52)が設けられ、前記ピン(54)は回転時に前記床(48)に整合するように設計されたホイール(46)を支持し、前記フォーク型フレーム(44)には、前記シェル(26)に固定された1つ又は複数の弾性シート(60)が設けられ、前記シェル内には円筒形状のエラストマーパッド(42)が、その側面を上下方向において前記フォーク型フレーム(44)に重なる位置に配置されることを特徴とする当該装置。
【請求項2】
前記弾性シート(60)は、平坦面(62)を画定する正面から、前記フォーク型フレーム(44)の対向する平行部(64)に直交して突出しており、かつ対向する凹部(66)を含む一端で、前記フォーク型フレーム中に取り外せないように一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弾性シート(60)には、前記シェル(26)ネジ(38)で固定するための穴(68)が設けられ、前記シェルの前記基部の下面には平坦展開領域(32)が成されいることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シェル(26)の下側には、前記シェル(26)を前記ドア(10)に固定する複数のネジ(28)設けられ、前記平坦展開領域(32)には前記ネジ(28)の頭部を通過させるための複数の穴(34)が開けられていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記シェル(26)は、一方の側に窓(30)を備え、エラストマー体(40)は側面が前記窓から突出しており、1つの前記ネジ(38)のステムが中に延在する軸方向穴が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ホイール(46)は、ポリウレタン材料から形成される被覆部(50)及び転がり軸受(56)を備え、ロッキングリング(58)が、前記ピン(54)の両端の少なくとも一方で圧入して嵌め込まれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記シェル(26)は、前記ドア(10)の下縁(24)に沿って形成された空洞(22)内に配置され、前記シェルは前記空洞内に前記ネジ(28)で固定されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【詳細】
【0001】
本発明は、スライドドア操作装置に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、一般的に壁に固定された上部ガイドに沿ってキャリッジによってスライドする反対側で、ドアの下部前面を正確に操作するのに特に適した前記定義した装置に関する。
【0003】
2つの部屋を分離できるように設置されたスライドドアは、実用性に応じてますます広く普及していることが知られ、なぜならば、それらは開くために片持ち支持する空間を必要とせず、ある解決策では、壁の反対側間に含まれるシート部に挿入されて見えなくなるためである。これらの特性に応じて、スライドドアは審美的な観点からも高く評価されており、住宅だけでなく、オフィスや商業施設でも使用されている。これらのドアのスライドを可能で容易にするため、キャリッジを備えた特定の装置が設計されており、キャリッジは、壁に固定された上部ガイドに沿って操作され、同時に操作対象のドアの上端又はヘッダに固定される。公知の解決策によれば、キャリッジとドアの間の連結は、各キャリッジの下部と一体の付属物を介して行われ、この付属物は、上述のガイドの長手方向に延びるスロットから突出する。前記付属物は、その自由端上に平板等を有し、それはネジ又は同等の保持手段によってドアに固定される。
【0004】
別の解決策として、ドアは、壁に面する内側上に成形プロファイル部を備えており、この成形プロファイル部の上部は、固定式、すなわち壁に固定されたキャリッジの一対のホイール又はローラの断面に相補的なエンボス(embossed)断面を規定している。次に、ドアは前記ローラに引っ掛けられ、その開閉操作は、固定式キャリッジのホイール又はローラ上で前記プロファイル部をスライドさせることで実現される。この第2の既知の実施形態では、プロファイル部の対向する両方のヘッダを閉じるプラスチックキャップを除き、装置全体は視界から隠されたままであるため、更に有利である。第1及び第2の両方の仮説では、反対側の下部ガイドにより装置が完成する。下部ガイドは、床に固定され、かつピン等のような突出する付属物により規定され、この付属物は、上方に延び、特にドアの下端に得られた長手方向スロットに沿って挿入され係合する。前述の装置は、キャリッジに加えて、ドアを制御し、制動する手段、並びに、スライドラインを規定するガイドの偶発的な乗り上げを防止する手段も備える前述の装置の存在を考慮すると、ドアの上側でのスライドは正確かつ容易に行われる。
【0005】
一方、ドアの反対側の下側でのガイド操作は、床から突出し、かつドア自体の下縁に沿った長手方向スロットと連携する付属物のみに委ねられる。この解決策には重大な欠点があり、この欠点は、例えば隙間の形成である。実際、時間の経過とともに、ドアの可変重量の関数として、スライドが不正確で困難になる可能性があり、ドアがガラスドアの場合に関連する。関連する重量は、ドアを製造するための無垢材又はガラスの使用に起因し得、ドア自体のスライド中に減却され得ない著しい垂直推力を生じさせる可能性がある。これらの欠点を克服するための床スライドドア機構が考案され、欧州特許第2,646,635号に記載されており、この機構では、床の付属物に加えて、ドアの長手方向スロット又は前記スロットに配置された金属ガイドに係合するホイール用のフォーク支持体の使用を開示している。支持体及びホイールの間には、少なくとも1つの可撓性プレートが介在してバネとして機能する。ドアの重量に応じて、このようなプレートの数を増減させて使用することが考えられる。ホイールはドアの下縁に沿って形成されたシート部に収容され、ホイールはそこから部分的に突出して床に沿って回転してドアの下端での操作を容易にする。全体として、この機構は、前述の伝統的な解決策と比較して、ドアのスライドを改善する機構であり、例えば、床の不規則性やタイルとタイルの間の大きな継ぎ目の存在による垂直推力を少なくとも部分的に吸収する。
【0006】
しかしながら、この解決策には、操作及びドア上での機構の組立ての両方に関連する一連の欠点も示されている。第1の欠点は、木製のドアの場合、ホイールを備えた機構は、ドア自体の基部に形成されたシート部内に配置され、応力及び垂直推力を常に受けている事実に関係し、それらは弾性シートにのみ吸収される一方、相当な水準の騒音を決定付ける。従って、程度の差はあるが重いドアの種類、並びに程度の差はあるが滑らかな床の種類に応じて、機構の組み立て中、関連する支持体及びホイールの間に介在する前記シートの数を増減させて使用する必要がある。更なる欠点は、ホイールを備えた機構及びドア全体がストロークの終了時に激しい衝撃を受ける可能性に関係し、そのような衝撃はその機構だけでなく、上に配置されたスライド装置にも悪影響を与える危険性がある。更に、前述の欧州特許に記載されている解決策では、ホイールを備えた機構は、ドアに取り付けられるときに特に注意が必要である。この作業は、煩雑であり、とりわけ特定のスペーサの使用を準備してドア自体に固定する必要があるためである。更に、機構全体がドアに作製されたシート部に正確に取り付けられていない場合、同シート部内の挿入の正確な感覚を考慮すると、その作業は、十分に妥協されていない場合、容易に不満足なものになる。この場合、組立品全体を分解して、上部ガイドからドアを取り外して、前記機構に適合する下縁に沿ってその上に介在させる必要があり、長時間を要する煩雑な正確な機能性の復元を含み、従って設置コストの大幅な増加をもたらす。
【0007】
欧州特許第2,646,635号は、2つの開放終了位置と閉鎖終了位置との間を移動可能なドアを含むスライドドアを製造する解決策を開示している。前記ドアには、ドアを支持及びガイドする手段が設けられ、この手段は、ドアの上に固定され、その下縁に関連する長手方向ガイド装置をスライド可能に支持する回転要素を備える。
【0008】
独国特許第1269537号は、格納シェル、フォークフレーム、ホイール、及びシェルに固定された弾性プレートを備えるスライドドアの移動用装置を記載している。前記シートは、横滑りを妨げることにより、装置の迅速な組み立てを可能にする機能を有するもので、ドアがスライドするときに発生する応力を吸収する機能を果たさない。
【0009】
本発明の目的は、前述の欠点を取り除くことである。
【0010】
より詳細には、本発明の目的は、応力及び垂直推力を最適な方法で吸収することを可能にし、それにより高水準の騒音に起因する不快感を同時に除去することを可能にするスライドドア床操作装置を提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、ストロークの終了時にドアが激しい衝撃を受けることを抑制することができる前記定義された装置を提供することである。
【0012】
本発明の特に目的は、不正確な組み立てに起因するいかなる誤動作を避けて、容易かつ迅速な方法で設置できるスライドドア床操作装置を提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、木製ドアとガラスドア又はクリスタルドアの両方に使用するのに適した装置を提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、容易かつ経済的に製造されるように、高水準の耐性及び信頼性を長期間に亘って保証するように設計されたスライドドア床操作装置を使用者に提供することである。
【0015】
これら及び更に他の目的は、主請求項に係る本発明のスライドドア床操作装置によって達成される。
【0016】
本発明の装置の構造上及び機能上の特徴は、その好ましい非限定的な実施形態を示す添付の図面の目録を参照する以下の詳細な説明からよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、壁に隣接し、床から突出する付属物が延出する伝統的なシート部が下方に設けられているドアの概略側面図である。
図1A図1Aは、図1の部分拡大図である。
図2図2は、壁に隣接し、本発明の操作装置が下方に設けられているドアの概略側面図である。
図2A図2Aは、図2の部分拡大図である。
図3図3は、同じドアを縮尺して不等角投影図で模式的に示している。
図3A図3Aは、図3の部分拡大図であり、本発明の装置の構成要素及びドアの下縁部に沿ったその格納シート部を示している。
図4図4は、同じドアを縮尺して不等角投影図で模式的に示している。
図4A図4Aは、本発明の装置、上方にあるドア、及び図3Aの構成要素の概略分解図である。
図5図5及び図6は、図3及び図4と同じドアを概略的に示している。
図5A図5A及び図6Aは、上記図5及び図6に関連するそれぞれ部分的な拡大図であり、垂直推力を受ける条件での装置の動作を示している。
図6図5及び図6は、図3及び図4と同じドアを概略的に示している。
図6A図5A及び図6Aは、上記図5及び図6に関連するそれぞれ部分的な拡大図であり、垂直推力を受ける条件での装置の動作を示している。
図7図7は、本発明に係る装置のシェルの概略的な不等角投影図である。
図8図8は、上記図に係る正面図で同じシェルを概略的に示している。
図9図9は、図8のシェルのC-C線に沿った長手方向断面図である。
図10図10は、図8のシェルのD-D線に沿った長手方向断面図である。
図11図11は、シェルから取り外された本発明の装置の概略側面図である。
図12図12及び図13は、それぞれ図11のE-E線及びF-F線に沿った断面における前記装置の概略図である。
図13図12及び図13は、それぞれ図11のE-E線及びF-F線に沿った断面における前記装置の概略図である。
図14図14は、図11~13に係る装置の概略分解図である。
図15図15は、図4Aに対して上下逆の位置で示される装置及びそのシェルの概略分解図である。
図16図16は、木製ドアに代えてガラスドアの床操作に使用される本発明に係る装置の概略分解図である。
図17図17は、互いに組み立てた図16の構成要素の一部の不等角投影図を概略的に示している。
図18図18は、前記図を上下逆にして拡大した図を概略的に示している。
【0018】
最初に図1図2図1A及び図2Aを参照すると、本発明のスライドドア床操作装置は、ドア10の下縁に固定されている。説明では、単一のスライド装置を参照しているが、ドア10は、その下縁に沿って、ドア自体の両端に位置する一対のスライド装置を含むか、又は含み得ることを理解されたい。特に、図1及び図1Aに示す既知の解決策によれば、前記装置は、82で示されるガイドプロファイル部が配置される長手方向スロット12に隣接して配置され、その中に床から突出するピン又は付属物14が固定される。或いは、長手方向スロット12には前記ガイドプロファイル部82がなくてもよく、それにより、ピン又は付属物14は、ドア10の長手方向スロット12に直接嵌め込まれている。前記ドア10は、壁16に隣接して配置され、壁自体に面するその上部に長手方向下方延在部18を有し、それに沿ってキャリッジと連携するガイドプロファイル部がドアの上部を操作するために前記壁に固定され、このキャリッジは本発明の保護に属さない特定の装置である。
【0019】
図4A及び図15において全体として20で示される本発明の装置は、ドア10の下縁24に沿って形成された空洞22内に収容されている。前記装置は、シェル26を備え、このシェルは支持体を構成し、好ましくは上端に沿って部分的に開口している実質的に平行六面体形状の容器を画定する。空洞22の底壁と整合されることを意図したシェル26の反対側の下端には、同じ数のネジ28(図3A、8、10及び15)に対して複数、好ましくは4つの貫通穴が設けられ、このネジ28は同シェル26をドア10に固定し、空洞22内に固定する。前記シェルは、有利には、成形によりプラスチック材料で作られ、1つの側面又はヘッダ上に窓30を有する。シェル26は、上端に沿って、その縁部に近接して平坦展開領域32を有し、前記領域はネジ28の頭部の直径よりも大きい直径を有する2つの穴34を備えている。2つの追加の穴36は、シェル26の長手方向軸に沿って整列され、以下で説明するように、ホイールを有する支持体を同シェルに対して拘束するのと同数のネジ38を受け入れるように配置される。エラストマー体40の側面は、窓30から部分的に突出し、窓30を含むシート部に収容されるように適切に成形され、窓30は、好ましくは円形部形状である。前記体は、床から突出するガイド付属物14を認知した場合、シェル26が受ける可能性のある誤って激しい衝撃を吸収する機能を有するものであり、前記シェルに形成された専用の窪み内に配置され、押し込み等の既知の方法で設置される。シェル26内には、更に、例えば図7図9、並びに図5A及び図6Aに示されるような円筒形状のエラストマーで作られたパッド42がある。前記パッドは、シェル26の中央上部に作られたシート内に加圧下で収容される。ホイールを備えた前記支持体は、図4A及び図11図15に詳細に示され、金属又は他の適切な材料からなるフォーク型フレーム44を備え、前記フレームは、回転時に床に接触するように設計されたホイール46を支持し、図5A及び図6Aに48で示されている。特に、図14は、前記フレーム及びホイール46を示し、前記ホイールには、有利にはポリウレタン材料等からなる被覆部50が設けられている。この被覆部は、特にタイルの継ぎ目が完全に整列しておらず不規則な広がりがある場合、床48上でのホイール46のスライドに起因する騒音を低減し、前記ホイールが同じ線に沿って繰り返し通過することによる床48上の跡の形成を回避する。図14に詳細に示すように、フォークフレーム44には、ホイール46をフレーム自体に接続するように適合した金属ピン54の挿入のため、対向する平行部のそれぞれに貫通穴52が設けられている。転がり軸受56は、好ましくは、そのホイールの中央穴46’に挿入され、そのスライド特性及びその能力の両方を増加するように設計されている。ロッキングリング58は、黄銅又は他の適切な材料で作られ、ホイールが軸受56及びフォーク型フレーム44から滑り出るのを防ぐために、ピン54の両端の少なくとも一方に圧入して取り付けられる。
【0020】
フォーク型フレーム44は、特に図4A図11図12及び図5からわかるように、長方形の金属板からなる少なくとも1つの弾性シート60に接合されている。前記シート60は、床48に沿ったスライド時にドア10からくる応力、及びその製造に使用される材料に応じて増減し得るドア自体の重量の両方の関数として、曲がる傾向のばねを規定している。好ましい実施形態によれば、特に図14からわかるように、2つの重なり合う弾性シート60がフォーク型フレーム44に結合される。いずれにせよ、それは、前記シートが任意の厚さ、幅、及び長手方向の展開を有する可能性があることを考慮すると、変動の影響を受けやすい仮説である。(単数又は複数の)弾性シート60は、62で示される平坦面を正面に画定するフレーム自体の基部から延びてフォーク型フレーム44に拘束され、対向する平行部64に直交する。特に図12からわかるように、前記シート60は、
その両端の一方に近接する位置において、半円形の断面を備えた凹部66の両側に設けられ、その中にフォーク型フレーム44の金属材料が配置され、機械的圧縮作用が与えられる。従って、この作用の結果として、弾性シートは、フォーク型フレーム44にしっかりと一体化される。
【0021】
後者は、図4A及び図15に概略的に示すように、ホイール46及び弾性金属シート60を備え、シェル26に固定されている。正確に重なり合った前記シートには、対応するネジ70のステムが中に挿入される一対の貫通穴68が設けられている。次に、ネジ70をシェル26の穴38の中にネジ込む。結果として、ホイール46及び関連するフォーク型フレーム44をシェル自体内に挿入し、ホイール自体が床48に沿って回転し得るようにその下側から部分的に突出させる。ホイール46及びフォーク型フレーム44により作られた組立品は、単一の反転可能な本体を規定し、すなわち強制された挿入方向に従う必要なくシェル26内に適切に一体化でき、そのことは誤動作の危険を回避し、組立てを容易にすることに留意されたい。
【0022】
図5A及び図6Aは、弾性シート60に起因する前進的減衰効果を強調するために、負荷の重さの多少の条件下でのホイールの2つの可能な位置を示す。特に、図5Aでは、ドア10が静止又は完全に滑らかな床48に沿って移動する通常の負荷条件を示している。この場合、ホイールはドアの重量に加えて負荷を受けず、シェル26に固定された弾性シート60は床自体に平行のままである。一方、図6Aは、例えばタイル間の隙間等の床の不規則性により、ホイールが一時的により大きな負荷を受けている状態を示している。現れた突出を吸収し、同時に騒音を減衰するために、弾性シート60は曲がって上向きになり、その結果、ホイール46を上昇及び傾斜させる。床の不規則性が特に顕著である場合、ホイールの上昇によりフォーク型フレーム44が一時的にパッド42と接触し、その弾性により負荷の影響が更に減衰すると同時に、回転による騒音の低減がホイール46の被覆部50によって保証される。
【0023】
図16図17及び図18は、本発明の装置が木製ドアではなくガラス製又はクリスタル製のドアに適用される解決策を示している。図16では、ガラス板72の下縁は、「U」字型プロファイル部74に既知の方法で挿入され、プロファイル部74は下にあるプロファイル部78の長手方向シート部76に収容される。後者は、木製ドア10のガイド82に対応する内部構造を有する下方のガイド82’を収容し、床に固定されたピン14と適合する。上下逆に成形された後者の下部76’には、シェル26が挿入され、既知の方法で固定される。次に、ホイール46及び弾性シート60を備えたフォーク型フレーム44を、前述の解決策と同じ方法で、ネジ38でシェル26に固定する。特に、図18は、プロファイル部78内に配置されたシェル26並びに穴36を示し、穴36は、シェル46自体に弾性シート60を接続し、ホイール46を支持するフォーク型フレーム44から出てくるネジ38を収容することを意図している。組み立てられると、従来のプラスチック製の閉鎖キャップ80がプロファイル部78の対向するヘッダ上に配置される。プロファイル部78の同下部76’では、ガイド82’が床48から突出する付属物14に対して配置される。
【0024】
図16に示されるように、シェル26は、有利には、プロファイル部78のシート部76’にネジ又は同等の手段で固定するのに適した1つ又は複数のプレート84を上側に備えている。
【0025】
従って、ガラス製又はクリスタル製のドアの場合にも、本発明の装置は、木製ドアに関して前記説明したのと同じ有効な機能を実行し、一般に、木材から作られたドアよりも顕著に重いガラス製のドアでもその結果となる。
【0026】
前述から分かるように、本発明が達成する利点は、明らかである。
【0027】
本発明のスライドドア床操作装置は、垂直応力及び垂直推力の効果的な吸収を可能にする。部分的にシェル26から突出する衝撃吸収要素(エラストマー体)40の存在により、ストロークの終了時にドアが激しい衝撃を受けるのを防ぐことができると同時に、エラストマーパッド42及びホイール46の被覆部50が更に垂直推力を減衰させ、従って床48の滑らかでない領域でのホイール46のスライドによる騒音を同時に低減する。
【0028】
更に、本発明の装置は、不正確な組み立てに起因し得る誤動作を避けて、木製ドア及びガラスドアの両方に容易に設置することができる。
【0029】
特に有利なのは、フォーク型フレーム44、ホイール46及び弾性シート60からなる単一体を製造し得ることであり、これにより組立品の設置がかなり容易になる。
【0030】
本発明は、その実行可能な実施形態を参照して上述する説明をされてきたが、それらは非限定的な例として与えられ上述する説明に照らして、当業者には多くの変更及び変形が明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲の精神及び保護範囲内にある全ての変更及び変形を包含することを意図している。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
壁(16)に隣接して配置され、かつ床(48)から突出するピン(14)と組み合わされるガイド(82)を底部に備えた木製ドア(10)又はガラスドア(72)のスライド用のスライドドア床操作装置(20)であって、実質的に平行六面体形状であり、かつ基部上側に沿って部分的に開口している格納シェル(26)を備え、前記シェル内にはフォーク型フレーム(44)が配置され、前記フォーク型フレームの平行部(64)には、ピン(54)を挿入するための穴(52)が設けられ、前記ピンは回転時に前記床(48)に整合するように設計されたホイール(46)を支持し、前記フォーク型フレーム(44)には、前記シェル(26)に固定された1つ又は複数の弾性シート(60)が設けられ、前記シェル内にはエラストマーパッド(42)が前記フォーク型フレーム(44)に重ね合わせて配置されることを特徴とする当該装置。
[2]
前記弾性シート(60)は、平坦面(62)を画定する正面から、前記フォーク型フレーム(44)の対向する平行部(64)に直交して突出しており、かつ対向する凹部(66)を含む一端で、前記フォーク型フレーム中に取り外せないように一体化されていることを特徴とする[1]に記載の装置。
[3]
前記弾性シート(60)には、前記シェル(26)の上側にそれらをネジ(38)で固定するための穴(68)が設けられ、前記シェルの上側に沿って平坦展開領域(32)が縁部に近接して形成され、前記ネジ(38)を受け入れるための穴(36)が設けられていることを特徴とする[1]に記載の装置。
[4]
前記シェル(26)の反対側の下側には、前記同シェル(26)を前記ドア(10)に固定する同数のネジ(28)用の複数の貫通穴が設けられ、前記平坦展開領域(32)上には前記ネジ(28)の頭部を通過させるための2つの穴(34)が開けられていることを特徴とする[3]に記載の装置。
[5]
前記シェル(26)は、一方の側に窓(30)を備え、エラストマーの円筒体の外側面(40)が前記窓から突出しており、1つの前記ネジ(38)のステムが中に延在する軸方向穴が設けられていることを特徴とする[4]に記載の装置。
[6]
前記ホイール(46)は、ポリウレタン材料から形成される被覆部(50)及び転がり軸受(56)を備え、ロッキングリング(58)が、前記ピン(54)の両端の少なくとも一方で圧入して嵌め込まれることを特徴とする[1]に記載の装置。
[7]
前記シェル(26)は、前記ドア(10)の下縁(24)に沿って形成された空洞(22)内に配置され、前記シェルは前記空洞内に前記ネジ(28)で固定されていることを特徴とする[4]に記載の装置。
[8]
前記ガラスドア(72)に連結され、前記弾性シート(60)及び前記ホイール(46)を持つ前記フォーク型支持体(44)を備える前記シェル(26)は、成形プロファイル部(78)の下部内に作られたシート部(76)’内に配置され、前記シート部内には、前記シェルが1つ又は複数のプレート(84)を介して固定され、前記シェル自体が前記プレートの上側に設けられていることを特徴とする[1]に記載の装置。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図3A
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18