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特許7317811リパーゼ変異体及びかかるリパーゼ変異体を含むマイクロカプセル組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】リパーゼ変異体及びかかるリパーゼ変異体を含むマイクロカプセル組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/55 20060101AFI20230724BHJP
   C12N 9/20 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230724BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230724BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C12N15/55
C12N9/20 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C11D17/08
C11D3/386
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020517356
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2018075852
(87)【国際公開番号】W WO2019063499
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】17193514.1
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18180386.7
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500586299
【氏名又は名称】ノボザイムス アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル ドゥアルテ ギリェルメ ペレイラ トスカーノ
(72)【発明者】
【氏名】トマス エーヤステン ポウルスン
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ハアスリウ ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】ローネ バウンスゴー
(72)【発明者】
【氏名】キース ギブソン
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-512808(JP,A)
【文献】特表2016-523996(JP,A)
【文献】国際公開第2017/001673(WO,A1)
【文献】特表2009-523901(JP,A)
【文献】特表2016-506237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/55
C12N 9/20
C12N 15/63
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C11D 17/08
C11D 3/386
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リパーゼ活性を有し、かつ配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有し、R118Fに対応する位置に置換を含む、親リパーゼの変異体。
【請求項2】
R118F+T231R+N233Rに対応する置換を含む、請求項1に記載の変異体。
【請求項3】
R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I若しくはF51L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の変異体。
【請求項4】
E56R+R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I若しくはF51L、D57N、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項5】
E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I若しくはF51L、D57N、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項6】
F51I若しくはF51L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、D57N、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項7】
G23S+F51I若しくはF51L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにD27N、A40I、D57N、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項8】
D27N+F51I若しくはF51L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、A40I、D57N、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項9】
A40I+F51I若しくはF51L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、D57N、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項10】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E若しくはV60K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項11】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E若しくはV60K、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項12】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E若しくはV60K、N101D、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項13】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+T244E+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E若しくはV60K、N101D、及びY220Fに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項14】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+V60E若しくはV60K+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項15】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+N101D+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E若しくはV60K、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項16】
F51I若しくはF51L+E56R+D57N+V60E若しくはV60K+K98I+N101D+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項17】
配列番号2に対して少なくとも95%配列同一性を有する、親リパーゼの変異体である、請求項1~16のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項18】
配列番号2に対して、少なくとも95%であるが、100%未満の配列同一性を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の変異体を含む、洗浄用組成物。
【請求項20】
界面活性剤をさらに含む、請求項19に記載の洗浄用組成物。
【請求項21】
リパーゼ基質を加水分解するための請求項1~18のいずれか一項に記載の変異体の使用。
【請求項22】
洗浄対象の表面を請求項1~18のいずれか一項に記載の変異体と接触させることを含む、前記表面を洗浄するための方法。
【請求項23】
リパーゼ基質を請求項1~18のいずれか一項に記載のリパーゼ変異体で処理することを含む、前記リパーゼ基質を加水分解する方法。
【請求項24】
請求項1~18のいずれか一項に記載の変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項25】
ポリヌクレオチドが、組換え宿主細胞内での前記リパーゼ変異体の生成を誘導する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結される、請求項24に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【請求項26】
請求項24に記載のポリヌクレオチド又は請求項25に記載の核酸構築物を含む発現ベクター。
【請求項27】
請求項25に記載の核酸構築物又は請求項26に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項28】
a)請求項27に記載の宿主細胞を前記変異体の発現に適した条件下で培養することと;
b)前記変異体を回収することと、
を含む、リパーゼ変異体を生成する方法。
【請求項29】
マイクロカプセルを含む洗浄用組成物であって、当該マイクロカプセルの膜が1kDa超の分子量を有する多分岐ポリアミンの架橋により生成され、ここで当該マイクロカプセルが請求項1~18のいずれか一項に記載のリパーゼ変異体を含む、マイクロカプセル組成物。
【請求項30】
請求項29に記載のマイクロカプセルを含む洗浄用組成物を含む洗浄用液体製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願はコンピュータ読取り可能な形態の配列表を含み、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、リパーゼ変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、並びに前記変異体を作製する方法に関する。本発明はまた、本発明のリパーゼ変異体を含む組成物及びマイクロカプセル組成物、並びに本発明のマイクロカプセル組成物を含む液体製品に関する。
【0003】
リパーゼは、様々な用途にとって有用であることが示されている重要な生体触媒である。LIPOLASE(商標)の商品名で販売されている野生型サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ(フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)と同義)及びその変異体は、トリグリセリドを加水分解して脂肪酸を生成させることによって、脂質汚れを除去する洗浄組成物中の活性成分として市販されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗剤、洗浄及び/又は布地ケア組成物は、脂質汚れを除去するリパーゼの能力を妨害する活性成分を含んでいる。良好な洗浄性能を有する多数の既知のサーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ変異体は、洗浄中に臭気を生成する短鎖脂肪酸を形成し、且つ/又は短い貯蔵安定性を有する。
【0005】
したがって、改善された洗浄性能、臭気生成の減少及び/又は改善された貯蔵安定性/より長い有効期間/増強された熱安定性を有するリパーゼがやはり必要とされ、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、リパーゼ活性を有し、配列番号2と少なくとも60%であるが、100%未満の配列同一性を有し、且つ、G23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T231R、N233R、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む、親リパーゼの変異体に関する。
【0007】
本発明は、さらに、本発明のリパーゼ変異体を含む組成物、並びに脂質基質を加水分解するためのその使用に関する。さらに、本発明は、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド;ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、ベクター、及び宿主細胞に関する。
【0008】
一態様では、本発明は、マイクロカプセル組成物に関し、ここでマイクロカプセルの膜は、1kDa超の分子量を有する多分岐ポリアミンの架橋により生成され、ここでマイクロカプセルは本発明のリパーゼ変異体を含む。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、膜によって形成される区画内に封入された本発明のリパーゼ変異体を含む、マイクロカプセル組成物に関し、ここで膜は、(a)800Da超の分子量を有する多分岐ポリアミン、及び(b)300Da未満の分子量を有する脂肪族又は芳香族アミンの架橋により生成され;ここで(a)/(b)の重量比は、0.1~1000の範囲内にある。
【0010】
最終的に、本発明は、本発明のマイクロカプセル組成物を含む液体製品に関する。
【0011】
定義
リパーゼ:「リパーゼ」、「リパーゼ酵素」、「脂肪分解酵素」、「脂質エステラーゼ」、「脂肪分解ポリペプチド」、及び「脂肪分解タンパク質」という用語は、酵素命名法により定義されるクラスEC3.1.1に属する酵素を指す。これは、リパーゼ活性(トリアシルグリセロールリパーゼ、EC3.1.1.3)、クチナーゼ活性(EC3.1.1.74)、ステロールエステラーゼ活性(EC3.1.1.13)、及び/又はワックス-エステルヒドロラーゼ活性(EC3.1.1.50)を有し得る。本発明の目的のために、リパーゼ活性は、実施例に記載する手順に従い決定される。一態様では、本発明の変異体は、配列番号2のポリペプチドのリパーゼ活性の少なくとも20%、例えば、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を有する。
【0012】
対立遺伝子変異体:「対立遺伝子変異体」という用語は、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の2つ以上の代替形態のいずれかを意味する。対立遺伝子変異は、突然変異を通じて天然に生じ、且つ集団内部に多型をもたらすことがある。遺伝子突然変異は、サイレントでありうる(コードポリペプチドにおける変化がない)、又は改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることがある。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によってコードされるポリペプチドである。
【0013】
cDNA:「cDNA」という用語は、真核細胞又は原核細胞から得られたスプライスされた成熟mRNA分子から逆転写によって調製可能であるDNA分子を意味する。cDNAは、対応するゲノムDNA中に存在し得るイントロン配列を欠いている。元の一次RNA転写物は、スプライスされた成熟mRNAとして出現する前にスプライシングを含む一連のステップを介して処理されるmRNAに対する前駆体である。
【0014】
コード配列:「コード配列」という用語は、変異体のアミノ酸配列を直接的に特定するポリヌクレオチドを意味する。コード配列の境界は、一般にオープンリーディングフレームによって判定されるが、これは、ATG、GTG若しくはTTGなどの開始コドンで始まり、TAA、TAG若しくはTGAなどの終止コドンで終わる。コード配列は、DNA、cDNA、合成DNA、又はこれらの組合せであってよい。
【0015】
制御配列:「制御配列」という用語は、ポリヌクレオチドの発現に必要なすべての核酸配列を意味し、本発明の変異体をコードする。各制御配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドに対して自生(即ち、同じ遺伝子由来)であっても外来性(即ち、異なる遺伝子由来)であっても、相互に自生若しくは外来性であってもよい。このような制御配列としては、これらに限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、及び、転写ターミネータが挙げられる。制御配列としては、プロモータ、並びに、転写及び翻訳停止シグナルが最低限挙げられる。制御配列は、ポリヌクレオチドのコード領域との制御配列の連結反応を促進させる特定の制限部位を導入するために、リンカーと共に提供され得る。
【0016】
発現:「発現」という用語は、変異体の生成に関与するいずれかのステップを含み、特にこれらに限定されないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾及び分泌が挙げられる。
【0017】
発現ベクター:「発現ベクター」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを含み、また、発現をもたらす制御ヌクレオチドに作動可能に結合している直線状又は環状のDNA分子を意味する。
【0018】
断片:「断片」という用語は、ポリペプチドのアミノ及び/又はカルボキシル末端から1つ又は複数(例えばいくつか)のアミノ酸が存在しないポリペプチドを意味し;ここで、断片は、リパーゼ活性を有する。一態様では、断片は、配列番号2の1~269のアミノ酸の数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、及び少なくとも95%しかし100%未満を有する。
【0019】
高ストリンジェンシー条件:「高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて65℃で3回洗浄される。
【0020】
宿主細胞:「宿主細胞」という用語は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物又は発現ベクターを伴う形質転換、形質移入、形質導入等に対する感受性を有するいずれかの細胞型を意味する。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異によって親細胞とは異なっている親細胞のいずれかの子孫を包含する。
【0021】
向上した特性:「向上した特性」という用語は、親リパーゼと比較して、向上した変異体に関連する特徴を意味する。かかる改善された特性として、限定はされないが、洗剤安定性、プロテアーゼが存在する場合の洗剤における安定性、プロテアーゼ安定性、化学安定性、酸化安定性、pH安定性、貯蔵条件下での安定性、及び熱安定性が挙げられる。
【0022】
単離された:「単離された」という用語は、天然では存在しない形態又は環境にある物質を意味する。単離された物質の非制限的例として、(1)任意の非天然型物質、(2)これらに限定されないが、天然では関連している天然に存在する成分の1つ又は複数又は全部から少なくとも部分的に取り出された任意の酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチド若しくは補因子;(3)天然に存在する物質に対して、人為的に修飾された任意の物質;又は(4)天然では関連している他の成分と比較して物質の量を増加すること(例えば、物質をコードする遺伝子の複数のコピー;物質をコードする遺伝子と天然で関連するプロモータより強力なプロモータの使用)によって修飾された任意の物質が挙げられる。単離された物質は、発酵ブロスサンプル中に存在し得る。
【0023】
低ストリンジェンシー条件:「低ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて50℃で3回洗浄される。
【0024】
成熟ポリペプチド:「成熟ポリペプチド」という用語は、N-末端処理、C-末端切断、グリコシル化、リン酸化などのような、翻訳及び任意の翻訳後修飾後のその最終形態でのポリペプチドを意味する。一態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1~269である。宿主細胞が、同じポリヌクレオチドによって発現される2つ以上の異なる成熟ポリペプチドの混合物(即ち、異なるC末端及び/又はN末端アミノ酸を有する)を生成することがあることは、当該技術分野で公知である。
【0025】
成熟ポリペプチドコード配列:「成熟ポリペプチドコード配列」という用語は、リパーゼ活性を有する成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。一態様において、成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド1~807である。
【0026】
中ストリンジェンシー条件:「中ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて55℃で3回洗浄される。
【0027】
中-高ストリンジェンシー条件:「中-高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて60℃で3回洗浄される。
【0028】
突然変異体:「突然変異体」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0029】
核酸構築物:「核酸構築物」という用語は、一本鎖若しくは二本鎖である核酸分子を意味し、これは、天然遺伝子から単離されるか、又は、本来自然には存在し得ないような核酸のセグメント、若しくは、合成された核酸のセグメントを含有するよう修飾されており、1つ又は複数の制御配列を含む。
【0030】
作動可能に結合:「作動可能に結合」という用語は、制御配列がコード配列の発現をもたらすよう、ポリヌクレオチドのコード配列と比して制御配列が適切な位置に位置されている構成を意味する。
【0031】
親又は親リパーゼ:「親」又は「親リパーゼ」という用語は、本発明の酵素変異体をもたらすよう改変が行われたリパーゼを意味する。親リパーゼは、天然に存在する(野生型)ポリペプチド又はその変異体であり得る。
【0032】
配列同一性:2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の関連性が、「配列同一性」というパラメータによって記載される。
【0033】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSボージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のとおり算出される。
(同等の残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
【0034】
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSS package(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,supra)、好ましくはバージョン5.0.0以降のNeedle programに実装されているNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,supra)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、及び、EDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のとおり算出される:
(同一のデオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
【0035】
安定性:本発明のリパーゼ変異体の安定性は、前記リパーゼの、例えば、様々な温度、様々なpH、プロテアーゼ、化学物質、及び/若しくは酸化物質などの異なる成分の存在下での洗剤組成物中の貯蔵など、様々な試験条件への曝露中若しくは曝露後(ストレス条件)、又は洗浄プロセス内での使用中の残留活性又は残留性能として表されてもよい。リパーゼ変異体の安定性は、親リパーゼ、例えば配列番号2で示されるリパーゼの既知の活性若しくは性能と比して、或いは代替的には、任意選択的に低温若しくは凍結貯蔵された洗剤組成物に最初に添加されるときのリパーゼ変異体の既知の活性若しくは性能と比して、又は低温若しくは凍結貯蔵されたリパーゼ変異体と比して測定されうる(非ストレス条件)。
【0036】
サブ配列:「サブ配列」という用語は、配列番号1の1~807の5’及び/又は3’末端から1つ又は複数(例えばいくつか)のヌクレオチドが存在しないポリペプチドを意味し;ここで、サブ配列は、リパーゼ活性を有する断片をコードする。一態様では、本発明のサブ配列は、成熟ポリペプチドコード配列のヌクレオチドの数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%しかし100%未満を有する。
【0037】
変異体:「変異体」という用語は、改変、即ち、置換、挿入、及び/又は欠失を1つ又は複数(例えば、いくつか)の位置で含む、リバーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。置換とは、ある位置を占めるアミノ酸を異なるアミノ酸で置き換えることを意味し;欠失とは、ある位置を占めるアミノ酸が除去されていることを意味し;挿入とは、ある位置を占めるアミノ酸に隣接し且つ直後に1つのアミノ酸を加えることを意味する。本発明の変異体は、配列番号2のポリペプチドのリパーゼ活性の少なくとも20%、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%を有する。
【0038】
超高ストリンジェンシー条件:「超高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて70℃で3回洗浄される。
【0039】
超低ストリンジェンシー条件:「超低ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて45℃で3回洗浄される。
【0040】
野生型リアーゼ:「野生型」リパーゼという用語は、自然界において見出されるバクテリア、酵母、糸状真菌などの天然に存在する微生物により発現されるリパーゼを意味する。
【0041】
変異体の命名のための慣習
本発明の目的として、配列番号2で開示されるポリペプチドは、他方のリパーゼ中の対応するアミノ酸残基を決定するため、用いられる。他方のリパーゼのアミノ酸配列は、配列番号2と整列され、その整列に基づき、配列番号2で開示されるポリペプチド中のいずれかのアミノ酸残基に対応するアミノ酸位置の数は、好ましくはバージョン5.0.0又はそれ以降の、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のNeedleプログラム中で実行されるものとして、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を用いて決定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。
【0042】
他方のリパーゼ中の対応するアミノ酸残基の同定は、限定はされないが、MUSCLE(log-expectationによる複数の配列比較;バージョン3.5又はそれ以降;Edgar,2004,Nucleic Acids Research 32:1792-1797)、MAFFT(バージョン6.857又はそれ以降;Katoh and Kuma,2002,Nucleic Acids Research 30:3059-3066;Katoh et al.,2005,Nucleic Acids Research 33:511-518;Katoh and Toh,2007,Bioinformatics 23:372-374;Katoh et al.,2009,Methods in Molecular Biology 537:39-64;Katoh and Toh,2010,Bioinformatics 26:1899-1900)、及びClustalWを利用したEMBOSS EMMA(1.83又はそれ以降;Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Research 22:4673-4680)を含む(それら各々のデフォルトパラメータを用いる)、いくつかのコンピュータプログラムを用いる複数のポリペプチド配列のアライメントにより、判定可能である。
【0043】
他の酵素が配列番号2のポリペプチドから分化していて、伝統的な配列に基づく比較ではそれらの関係性を検出できない(Lindahl and Elofsson,2000,J.Mol.Biol.295:613-615)とき、他のペアワイズ配列比較アルゴリズムを用いることができる。ポリペプチドファミリーの確率的表現(プロファイル)を利用する探索プログラムを用いてデータベースを探索することにより、配列に基づく探索におけるより高い感度を達成することができる。例えば、PSI-BLASTプログラムは、反復性データベース探索プロセスを通じてプロファイルを生成し、遠隔相同体を検出する能力がある(Atschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。ポリペプチドにおけるファミリー又はスーパーファミリーがタンパク質構造データベース内に1つ又は複数の代表を有する場合、さらにより高い感度を達成することができる。GenTHREADER(Jones,1999,J.Mol.Biol.287:797-815;McGuffin and Jones,2003,Bioinformatics 19:874-881)などのプログラムは、問い合わせ配列についての構造的折り畳みを予測する神経回路網へのインプットとして、種々のソースからの情報(PSI-BLAST、二次構造予測、構造的アライメントプロファイル、及び溶媒和の可能性)を利用する。同様に、未知の構造の配列をSCOPデータベース内に存在するスーパーファミリーモデルと整列するため、Gough et al.,2000,J.Mol.Biol.313:903-919の方法を用いることができる。次に、これらの整列を用いて、ポリペプチドにおける相同性モデルを作成することができ、またかかるモデルは、正確度について評価することが、その目的のために開発された種々のツールを用いて可能である。
【0044】
既知の構造のタンパク質においては、構造的アライメントを検索し、生成するため、いくつかのツール及び資源が利用可能である。例えば、タンパク質のSCOPスーパーファミリーが、構造的に整列されており、それらアライメントは、アクセス及びダウンロード可能である。2つ以上のタンパク質構造は、距離アライメントマトリックス(Holm and Sander,1998,Proteins 33:88-96)又はコンビナトリアル伸長(Shindyalov and Bourne,1998,Protein Engineering 11:739-747)などの種々のアルゴリズムを用いて整列可能であり、加えて、有望な構造的相同体を発見するため、これらアルゴリズムの実行を利用し、目的の構造を有する構造データベースを検索することが可能である(例えば、Holm and Park,2000,Bioinformatics 16:566-567)。
【0045】
本発明の変異体の記載においては、参照を容易にするため、下記命名法が、適応される。認められたIUPACの一文字又は三文字のアミノ酸略称が用いられる。
【0046】
置換.アミノ酸置換においては、元のアミノ酸、位置、置換アミノ酸について、以下の命名法が用いられる。したがって、226位でのトレオニンとアラニンとの置換は、「Thr226Ala」又は「T226A」と名づけられる。複数の突然変異は、記号(「+」)を付けることにより分離され、例えば「Gly205Arg+Ser411Phe」又は「G205R+S411F」は、205位及び411位各々でのグリシン(G)とアルギニン(R)との置換及びセリン(S)とフェニルアラニン(F)との置換を表す。
【0047】
欠失.アミノ酸欠失においては、元のアミノ酸、位置、について、以下の命名法が用いられる。したがって、195位でのグリシンの欠失は、「Gly195」又は「G195」と名づけられる。複数の欠失は、記号(「+」)を付けることにより分離され、例えば「Gly195+Ser411」又は「G195+S411」が挙げられる。
【0048】
挿入.アミノ酸挿入においては、元のアミノ酸、位置、元のアミノ酸、挿入アミノ酸について、以下の命名法が用いられる。したがって、195位でのグリシンの後へのリジンの挿入は、「Gly195GlyLys」又は「G195GK」と名づけられる。複数のアミノ酸の挿入は、[元のアミノ酸、位置、元のアミノ酸、挿入アミノ酸#1、挿入アミノ酸#2など]のように名づけられる。例えば、195位でのグリシンの後へのリジン及びアラニンの挿入は、「Gly195GlyLysAla」又は「G195GKA」のように示される。
【0049】
かかる場合、挿入アミノ酸残基は、挿入アミノ酸残基に先行するアミノ酸残基の位置数に小文字を付けることにより付番される。それ故、上の例では、配列は次のようになる。
【0050】
【表1】
【0051】
複数の改変.複数の改変を含む変異体は、記号(「+」)を付けることにより分離され、例えば、「Arg170Tyr+Gly195Glu」又は「R170Y+G195E」は、170位及び195位各々でのアルギニン及びグリシンとチロシン及びグルタミン酸との置換を表す。
【0052】
異なる改変.異なる改変がある位置で導入可能である場合、異なる改変は、カンマによって分離され、例えば、「Arg170Tyr,Glu」又は「R170Y,E」は、170位でのアルギニンとチロシン又はグルタミン酸との置換を表す。したがって、「Tyr167Gly,Ala+Arg170Gly,Ala」は、以下の変異体:
「Tyr167Gly+Arg170Gly」、「Tyr167Gly+Arg170Ala」、「Tyr167Ala+Arg170Gly」、及び「Tyr167Ala+Arg170Ala」
を指す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
変異体がリパーゼ活性を有する親リパーゼの変異体であって、例えばサーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)由来の配列番号2と少なくとも60%であるが、100%未満の配列同一性を有する変異体が開示される。
【0054】
変異体
本発明は、変異体がリパーゼ活性を有する親リパーゼの変異体であって、配列番号2と少なくとも60%であるが、100%未満の配列同一性を有し、且つG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T231R、N233R、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む、変異体を提供する。
【0055】
好ましくは、リパーゼ変異体は、配列番号2と少なくとも60%であるが、100%未満の配列同一性を有し、且つG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む。好ましくは、変異体は、T231R及び/又はN233Rに対応する位置に一方又は両方の置換をさらに含む。
【0056】
好ましい変異体は、G23Sに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、D27Nに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、A40lに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、F51I,Lに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、E56Rに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、D57Nに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、V60E,Kに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、K98Iに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、N101Dに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、R118Fに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、G163Sに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、Y220Fに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、T244Eに対応する位置に置換を含む。好ましい変異体は、P256Tに対応する位置に置換を含む。
【0057】
好ましい変異体は、F51I,L、E56R及び/又はR118Fに対応する位置に1つ又は複数の置換を含む。
【0058】
好ましい実施形態では、本発明の変異体は、以下の置換セットのいずれか1つを含む。
【0059】
【表2】
【0060】
一実施形態では、変異体は、T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0061】
好ましい実施形態では、変異体は、E56R+T231R+N233Rに対応する置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I,L、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0062】
好ましい実施形態では、変異体は、R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0063】
より好ましい実施形態では、変異体は、E56R+R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I,L、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0064】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I,L、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0065】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0066】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0067】
別のより好ましい実施形態では、変異体は、G23S+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにD27N、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0068】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、D27N+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0069】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、A40I+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0070】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、D27N+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0071】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、A40I+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0072】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。さらにより好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60EK、N101D、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0074】
さらにより好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+T244E+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D及びY220Fに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0075】
さらに好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+V60E,K+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0076】
さらに好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+V60E,K+K98I+N101D+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。さらに好ましい実施形態では、変異体は、F51I,L+E56R+D57N+N101D+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0077】
特に好ましい実施形態は、以下の置換セット:
R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+R118F+T231R+N233R;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+D57N+R118F+T231R+N233R;
E56R+V60K+R118F+T231R+N233R;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+E56R+R118F+T231R+N233R;
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G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
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D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
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F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
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F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
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G23S+D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
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G23S+D27N+F51I+E56R+K98I+R118F+Y220F+T231R+N233R+T244E+P256T
の1つに対応する位置に置換を含む変異体を含む。
【0078】
本発明のリパーゼ変異体は、親リパーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが、100%未満の配列同一性を有する。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明の変異体は、配列番号2に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが、100%未満の配列同一性を有する。
【0080】
本発明の変異体は、1~40、1~30、1~20、例えば1~12、例えば1~11、例えば1~10、例えば1~9、例えば1~8、例えば1~7、例えば1~6、例えば1~5、例えば1~4、例えば1~3、又は例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20の置換を有してもよい。
【0081】
本発明の変異体は、親リパーゼと比して、以下の特性:改善された洗浄性能、臭気発生の減少、改善された貯蔵安定性、より長い有効期間及び/又は増強された熱安定性の1つ又は複数を有してもよい。
【0082】
本発明のリパーゼ変異体は、1つ又は複数(例えばいくつか)の他の位置に1つ又は複数のさらなる置換をさらに含んでもよい。
【0083】
アミノ酸変化は、マイナーな性質、即ち、タンパク質のフォールディング及び/若しくは活性に有意には影響しない保存的アミノ酸置換若しくは挿入;典型的には1~30アミノ酸の小規模な欠失;アミノ若しくはカルボキシル末端、例えばアミノ末端メチオニン残基の小規模な伸長;最大20~25残基の小さいリンカーペプチド;又は正味電荷若しくは別の機能、例えば、ポリ-ヒスチジン路、抗原エピトープ若しくは結合ドメインを改変することにより精製を容易にする小規模な伸長であってもよい。
【0084】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン及びメチオニン)の基の中に含まれる。一般には比活性を改変しないアミノ酸置換は、当該技術分野で公知であり、例えば、H.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkによって記載されている。一般的置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、及びAsp/Glyである。
【0085】
或いは、アミノ酸変化は、ポリペプチドの物理化学的特性が改変されているような性質である。例えば、アミノ酸変化は、ポリペプチドの熱安定性を改善する、基質特異性を改変する、最適pHを変更するなどがあってもよい。
【0086】
ポリペプチド中の必須アミノ酸は、当該技術分野で公知の手順、例えば部位特異的変異誘発又はアラニン走査変異誘発に従って同定されうる(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)。後者の技法では、単一のアラニン突然変異が分子中のすべての残基に導入され、得られた突然変異体分子が、分子の活性にとって決定的であるアミノ酸残基を同定するため、リパーゼ活性について試験される。Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699-4708も参照のこと。酵素の活性部位又は他の生物学的相互作用についても、推定上の接触部位アミノ酸の突然変異と関連して、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、又は光親和性標識などの技術により測定されるような構造の物理分析により判定されうる。例えば、de Vos et al.,1992,Science 255:306-312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59-64を参照のこと。必須アミノ酸の同一性についても、関連ポリペプチドとのアライメントから推測されうる。
【0087】
変異体は、配列番号2のアミノ酸の数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%からなる、又はそれを含んでもよい。
【0088】
親リパーゼ
親リパーゼは、
a)配列番号2に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%若しくは100%の配列同一性を有するポリペプチド;
b)低ストリンジェンシー条件下、中ストリンジェンシー条件下、中-高ストリンジェンシー条件下、高ストリンジェンシー条件下、又は超高ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1のポリペプチドコード配列若しくは(ii)(i)の完全長相補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
c)配列番号1に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;及び
d)配列番号2のポリペプチドの断片
からなる群から選択されてもよい。
【0089】
本発明の一態様では、親リパーゼは、リパーゼ活性を有し、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の、配列番号2のポリペプチドに対する配列同一性を有する。
【0090】
一態様では、親のアミノ酸配列は、配列番号2のポリペプチドとは、アミノ酸が最大で40、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40だけ異なる。
【0091】
別の態様では、親は、配列番号2のアミノ酸配列を含む、又はそれからなる。
【0092】
別の態様では、親は、配列番号2のアミノ酸の数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%を含む、配列番号2のポリペプチドの断片である。
【0093】
別の実施形態では、親は、配列番号2のポリペプチドの対立遺伝子変異体である。
【0094】
別の態様では、親リパーゼは、超低ストリンジェンシー条件下、低ストリンジェンシー条件下、中ストリンジェンシー条件下、中-高ストリンジェンシー条件下、高ストリンジェンシー条件下、又は超高ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1のポリペプチドコード配列、(ii)(i)の完全長相補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる(Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor,New York)。
【0095】
当該技術分野で周知の方法に従い、異なる属又は種の株に由来する親をコードするDNAを同定及びクローン化するように核酸プローブを設計するため、配列番号1のポリヌクレオチド又はそのサブ配列、並びに配列番号2のポリペプチド又はその断片を用いてもよい。特に、かかるプローブは、標準のサザンブロッティング手順に従い、目的の細胞のゲノムDNA又はcDNAとハイブリダイゼーションし、その中の対応遺伝子を同定及び単離するため、用いることができる。かかるプローブは、全配列よりも大幅に短い可能性があるが、少なくとも15、例えば、少なくとも25、少なくとも35、又は少なくとも70ヌクレオチド長である必要がある。好ましくは、核酸プローブは、少なくとも100ヌクレオチド長、例えば、少なくとも200ヌクレオチド長、少なくとも300ヌクレオチド長、少なくとも400ヌクレオチド長、少なくとも500ヌクレオチド長、少なくとも600ヌクレオチド長、少なくとも700ヌクレオチド長、少なくとも800ヌクレオチド長、又は少なくとも900ヌクレオチド長である。DNA及びRNAプローブの両方を用いることができる。プローブは、典型的には、対応遺伝子を検出するため、(例えば、32P、3H、35S、ビオチン、又はアビジンで)標識される。かかるプローブは、本発明により包含される。
【0096】
かかる他の株から調製されたゲノムDNA又はcDNAライブラリーは、上記のプローブとハイブリダイズし、親をコードするDNAについてスクリーニングされてもよい。かかる他の株からのゲノム又は他のDNAは、アガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動、又は他の分離技術により分離されてもよい。ライブラリーからのDNA又は分離されたDNAは、ニトロセルロース又は他の好適な担体材料に移され、固定化されてもよい。配列番号1又はそのサブ配列とハイブリダイズするクローン又はDNAを同定するため、サザンブロットにおいて担体材料が用いられる。
【0097】
本発明の目的として、ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドが、超低~超高ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1;(ii)配列番号1のポリペプチドコード配列;(iii)その完全長相補体;又は(iv)そのサブ配列に対応する標識核酸プローブにハイブリダイズすることを示す。核酸プローブがこれらの条件下でハイブリダイズする対象分子は、例えばX線フィルム又は当該技術分野で公知の任意の他の検出手段を用いて検出可能である。
【0098】
一態様では、核酸プローブは、配列番号1のポリペプチドコード配列である。別の態様では、核酸プローブは、配列番号1のヌクレオチドの数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。別の態様では、核酸プローブは、配列番号2のポリペプチド;そのポリペプチド;又はその断片をコードするポリヌクレオチドである。別の態様では、核酸プローブは、配列番号1である。
【0099】
別の実施形態では、親は、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の、配列番号1のポリペプチドコード配列に対する配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされる。
【0100】
ポリペプチドは、一方のポリペプチドの領域が他方のポリペプチドの領域のN末端又はC末端で融合された、ハイブリッドポリペプチドであってもよい。
【0101】
親リパーゼは、他方のポリペプチドが本発明のポリペプチドのN末端又はC末端で融合された、融合ポリペプチド又は切断可能な融合ポリペプチドであってもよい。融合ポリペプチドは、他方のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを本発明のポリヌクレオチドに融合することにより作製される。融合ポリペプチドを作製するための技術は、当該技術分野で公知であり、ポリペプチドをコードするコード配列を、それらがインフレームであり、且つ融合ポリペプチドの発現が同じプロモーター及びターミネーターの制御下にあるようにライゲートすることを含む。融合ポリペプチドはまた、融合ポリペプチドが翻訳後に作出されるようなインテイン技術を用いて構築されてもよい(Cooper et al.,1993,EMBO J.12:2575-2583;Dawson et al.,1994,Science 266:776-779)。
【0102】
融合ポリペプチドは、2つのポリペプチド間に切断部位をさらに含みうる。融合タンパク質の分泌時、部位は切断され、2つのポリペプチドが放出される。切断部位の例として、限定はされないが、Martin et al.,2003,J.Ind.Microbiol.Biotechnol.3:568-576;Svetina et al.,2000,J.Biotechnol.76:245-251;Rasmussen-Wilson et al.,1997,Appl.Environ.Microbiol.63:3488-3493;Ward et al.,1995,Biotechnology 13:498-503;並びにContreras et al.,1991,Biotechnology 9:378-381;Eaton et al.,1986,Biochemistry 25:505-512;Collins-Racie et al.,1995,Biotechnology 13:982-987;Carter et al.,1989,Proteins:Structure,Function,and Genetics 6:240-248;及びStevens,2003,Drug Discovery World 4:35-48に開示された部位が挙げられる。
【0103】
親リパーゼは、任意の属の微生物から得てもよい。本発明の目的として、「から得られる」という用語は、所与の供給源と関連して本明細書で用いられるとき、ポリヌクレオチドによってコードされる親が、供給源により、又は供給源由来のポリヌクレオチドが挿入されている場合の株により作製されることを意味するものとする。一態様では、親は、細胞外に分泌される。
【0104】
親は、細菌リパーゼであってもよい。例えば、親は、バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、腸球菌(Enterococcus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、オセアノバチルス(Oceanobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)若しくはサーモビフィダ(Thermobifida)リパーゼなどのグラム陽性細菌ポリペプチド、又はカンピロバクター(Campylobacter)、大腸菌(E.Coli)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、ヘリコバクター(Helicobacter)、イリオバクター(Ilyobacter)、ナイセリア(Neisseria)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、若しくはウレアプラズマ(Ureaplasma)リパーゼなどのグラム陰性細菌ポリペプチドであってもよい。
【0105】
一態様では、親は、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、又はバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)リパーゼである。
【0106】
別の態様では、親は、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、又は腺疫菌亜種ズーエピデミクス(Streptococcus equi subsp.Zooepidemicus)リパーゼである。
【0107】
別の態様では、親は、ストレプトマイセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトマイセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、又はストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)リパーゼである。
【0108】
別の態様では、親は、サーモビフィダ・アルバ(Thermobifida alba)又はサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)(以前はサーモモナスポラ・フスカ(Thermomonaspora fusca)として公知)リパーゼである。
【0109】
親は、真菌リパーゼであってもよい。例えば、親は、酵母リパーゼ、例えば、カンジダ(Candida)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、若しくはヤロウィア(Yarrowia)リパーゼ;又は糸状真菌リパーゼ、例えば、アクレモニウム(Acremonium)、アガリクス(Agaricus)、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ボトリオスパエリア(Botryospaeria)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、カエトミジウム(Chaetomidium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、麦角菌(Claviceps)、コクリオボルス(Cochliobolus)、コプリノプシス(Coprinopsis)、イエシロアリ(Coptotermes)、コリナスカス(Corynascus)、クリフォネクトリア(Cryphonectria)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ジプロジア(Diplodia)、エキシジア(Exidia)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、ジベレラ(Gibberella)、ホロマスチゴトイデス(Holomastigotoides)、フミコラ(Humicola)、イルペックス(Irpex)、レンチヌラ(Lentinula)、レプトスパエリア(Leptospaeria)、マグナポルテ(Magnaporthe)、メラノカルプス(Melanocarpus)、メリピルス(Meripilus)、ケカビ(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、パンカビ(Neurospora)、パエキロミケス(Paecilomyces)、アオカビ(Penicillium)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、ピロミセス(Piromyces)、ポイトラシア(Poitrasia)、シュードプレクタニア(Pseudoplectania)、シュードトリコニンファ(Pseudotrichonympha)、リゾムコール(Rhizomucor)、シゾフィラム(Schizophyllum)、スキタリジウム(Scytalidium)、タラロマイセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トリコデルマ(Trichoderma)、トリコファエア(Trichophaea)、ベルチシリウム(Verticillium)、フクロタケ属(Volvariella)、若しくはキシラリア(Xylaria)リパーゼであってもよい。
【0110】
別の態様では、親は、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ディアスタティカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロマイセス・ドウグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロマイセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロマイセス・オビフォルミス(Saccharomyces oviformis)リパーゼである。
【0111】
別の態様では、親は、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フェティデュス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・ケラチノフィラム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・パンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンズランジカム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・ゾナタム(Chrysosporium zonatum)、フザリウム・バクトリディオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロックウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼアム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・べネナタム(Fusarium venenatum)、フミコラ・グリセア(Humicola grisea)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、イルペックス・ラクテウス(Irpex lacteus)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、アカバンカビ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・パープロゲナム(Penicillium purpurogenum)、白色腐朽菌(Phanerochaete chrysosporium)、チエラビア・アクロマティカ(Thielavia achromatica)、チエラビア・アルボミセス(Thielavia albomyces)、チエラビア・アルボピロサ(Thielavia albopilosa)、チエラビア・アウストラレインシス(Thielavia australeinsis)、チエラビア・フィメチ(Thielavia fimeti)、チエラビア・ミクロスポラ(Thielavia microspora)、チエラビア・オビスポラ(Thielavia ovispora)、チエラビア・ペルビアナ(Thielavia peruviana)、チエラビア・セトサ(Thielavia setosa)、チエラビア・スペデドニウム(Thielavia spededonium)、チエラビア・サブサーモフィラ(Thielavia subthermophila)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)リパーゼである。
【0112】
別の態様では、親は、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ、例えば特に配列番号2のリパーゼである。
【0113】
上記の種において、本発明が、完全状態と不完全状態の両方に加え、公知とされる種の名称と無関係に、他の分類学的均等物、例えばアナモルフを包含することは理解されるであろう。当業者は、適切な均等物の同等性を容易に理解するであろう。
【0114】
これらの種の株は、幾つかの菌株保存機関、例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、及び農業研究用特許培養株コレクション(Agricultural Research Service Patent Culture Collection)、ノーザン・リージョナル・リサーチ・センター(Northern Regional Research Center)(NRRL)にて容易に公的にアクセス可能である。
【0115】
親リパーゼは、自然(例えば、汚染物、コンポスト、水など)から単離された微生物を含む他の供給源から同定及び入手されてもよい、又はDNAサンプルは、上記のプローブを用いて天然材料(例えば、汚染物、コンポスト、水など)から直接的に入手されてもよい。微生物及び自然生息地から直接的にDNAを単離するための技術は、当該技術分野で周知である。次に、親をコードするポリヌクレオチドは、他方の微生物のゲノムDNA若しくはcDNAライブラリー又は混合されたDNAサンプルを同様にスクリーニングすることにより入手されてもよい。一旦親をコードするポリヌクレオチドがプローブを用いて検出されていると、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の技術を利用することにより単離又はクローン化されうる(例えば、Sambrook et al.,1989(上記)を参照)。
【0116】
変異体の調製
本発明はまた、(a)G23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、K98I、R118F、G163S、T231R、N233R、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に置換を導入することと;(b)リパーゼ活性を有し、且つ親リパーゼと比して、上掲の所望される特性の1つを有する変異体を選択することと;(c)変異体を回収することと、を含む、本発明のリパーゼ変異体を得るための方法に関する。
【0117】
変異体は、当該技術分野で公知の任意の変異誘発方法、例えば、部位特異的変異誘発、合成遺伝子構築、半合成遺伝子構築、ランダム突然変異誘発、シャッフリングなどを用いて調製されうる。
【0118】
部位特異的変異誘発は、親リパーゼをコードするポリヌクレオチド中の1つ又は複数の規定された部位に1つ又は複数(例えばいくつか)の突然変異が導入される場合の技法である。
【0119】
部位特異的変異誘発は、所望される突然変異を有するオリゴヌクレオチドプライマーの使用を含むPCRによりインビトロで達成可能である。部位特異的変異誘発はまた、親リパーゼをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド内のある部位での制限酵素による切断を含むカセット突然変異誘発と、それに続くポリヌクレオチド中に突然変異を有するオリゴヌクレオチドのライゲーションにより、インビトロで実施可能である。通常、プラスミド及びオリゴヌクレオチドを消化する制限酵素とは同じであることから、プラスミドのスティッキーエンドとインサートを互いにライゲートすることが可能である。例えば、Scherer and Davis,1979,Proc.Natl.Acad.Sci.USA76:4949-4955;及びBarton et al.,1990,Nucleic Acids Res.18:7349-4966を参照のこと。
【0120】
部位特異的変異誘発はまた、当該技術分野で公知の方法によりインビボで達成されうる。例えば、米国特許出願公開第2004/0171154号明細書;Storici et al.,2001,Nature Biotechnol.19:773-776;Kren et al.,1998,Nat.Med.4:285-290;及びCalissano and Macino,1996,Fungal Genet.Newslett.43:15-16を参照のこと。
【0121】
本発明において、任意の部位特異的変異誘発方法を用いることができる。多くの市販キットが利用可能であり、それは変異体を調製するために用いることができる。
【0122】
合成遺伝子構築は、目的のポリペプチドをコードするように設計されたポリヌクレオチド分子のインビトロ合成を必要とする。遺伝子合成は、いくつかの技術、例えばTianらによって記載された多重マイクロチップに基づく技術(2004,Nature 432:1050-1054)及びオリゴヌクレオチドがフォトプログラム可能なマイクロ流体チップ上で合成及び構築されるような類似技術を用いて実施可能である。
【0123】
変異誘発、組換え、及び/又はシャッフリングの公知の方法と、それに続く関連するスクリーニング方法、例えば、Reidhaar-Olson and Sauer,1988,Science 241:53-57;Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:2152-2156;国際公開第95/17413号パンフレット;又は国際公開第95/22625号パンフレットで開示されたものを用いて、単一又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入が設けられ、試験されうる。使用可能な他の方法は、エラープローンPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al.,1991,Biochemistry 30:10832-10837;米国特許第5,223,409号明細書;国際公開第92/06204号パンフレット)、及び領域特異的変異誘発(Derbyshire et al.,1986,Gene 46:145;Ner et al.,1988,DNA7:127)を含む。
【0124】
宿主細胞によって発現された、クローン化され、変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するため、変異誘発/シャッフリング方法をハイスループットな自動化スクリーニング方法と組み合わせることができる(Ness et al.,1999,Nature Biotechnology 17:893-896)。活性ポリペプチドをコードする変異誘発されたDNA分子は、当該技術分野で標準の方法を用いて、宿主細胞から回収され、迅速に配列決定されうる。これらの方法は、ポリペプチド中の個別のアミノ酸残基の重要性の迅速な判定を可能にする。
【0125】
半合成遺伝子構築は、合成遺伝子構築、及び/又は部位特異的変異誘発、及び/又はランダム突然変異誘発、及び/又はシャッフルの態様を組み合わせることにより達成される。半合成構成は、合成されたポリヌクレオチド断片をPCR技術と組み合わせて利用するプロセスにより、典型的に表される。したがって、遺伝子の規定領域は新規に合成されてもよい一方で、他の領域は部位特異的変異誘発プライマーを用いて増幅されてもよいものの、他の領域は、エラープローンPCR又は非エラープローンPCR増幅が施されてもよい。ポリヌクレオチド部分配列は、次にシャッフルされてもよい。
【0126】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明のリパーゼ変異体をコードする単離ポリヌクレオチドに関する。特定の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物に関する。特定の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。特定の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関する。特定の態様では、本発明は、(a)本発明の宿主細胞を変異体の発現に適した条件下で培養することと;(b)変異体を回収することと、を含む、リパーゼ変異体を生成する方法に関する。
【0127】
核酸構築物
本発明はまた、制御配列に適した条件下、好適な宿主細胞内でコード配列の発現を誘導する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結された本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物に関する。
【0128】
ポリヌクレオチドは、変異体の発現をもたらすため、種々の方法で操作されてもよい。ポリヌクレオチドのベクターへのその挿入前の操作が、発現ベクターに応じて、望ましいか又は必要であることがある。組換えDNA方法を用いてのポリヌクレオチドを修飾するための技術は、当該技術分野で周知である。
【0129】
制御配列は、ポリヌクレオチドの発現用の宿主細胞によって認識されるポリヌクレオチドであるプロモーターであってもよい。プロモーターは、変異体の発現を媒介する転写制御配列を有する。プロモーターは、突然変異体、切断、及びハイブリッドプロモーターを含む、宿主細胞内で転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであってもよく、また宿主細胞に対して相同又は異種のいずれかである細胞外若しくは細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られてもよい。
【0130】
細菌宿主細胞内での本発明の核酸構築物の転写を誘導するのに適したプロモーターの例が、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトジェニックアミラーゼ遺伝子(amyM)、枯草菌(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、枯草菌(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cryIIIA遺伝子(Agaisse and Lereclus,1994,Molecular Microbiology 13:97-107)、大腸菌(E.Coli)lacオペロン、大腸菌(E.Coli)trcプロモーター(Egon et al.,1988,Gene 69:301-315)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、及び原核生物ベータ-ラクタマーゼ遺伝子(Villa-Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA75:3727-3731)、並びにtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA80:21-25)から得られるプロモーターである。さらなるプロモーターが、Gilbert et al.,1980,Scientific American 242:74-94;及びSambrook et al.,1989(上記)における「組換え細菌からの有用なタンパク質」に記載されている。タンデムプロモーターの例が、国際公開第99/43835号パンフレット中に開示されている。
【0131】
糸状真菌宿主細胞内での本発明の核酸構築物の転写を誘導するのに適したプロモーターの例が、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アルファ-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性アルファ-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)若しくはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(glaA)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)アルカリ性プロテアーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ(国際公開第96/00787号パンフレット)、フザリウム・べネナタム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼ(国際公開第00/56900号パンフレット)、フザリウム・べネナタム(Fusarium venenatum)Daria(国際公開第00/56900号パンフレット)、フザリウム・べネナタム(Fusarium venenatum)Quinn(国際公開第00/56900号パンフレット)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)ベータ-グルコシダーゼ、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIV、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼI、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)ベータ-キシロシダーゼにおける遺伝子から得られるプロモーター、並びにNA2-tpiプロモーター(アスペルギルス(Aspergillus)中性アルファ-アミラーゼ遺伝子であって、その非翻訳リーダーがアスペルギルス(Aspergillus)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子からの非翻訳リーダーによって置換されているものからの修飾プロモーター;非限定例として、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アルファ-アミラーゼ遺伝子であって、その非翻訳リーダーがアスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)若しくはコウジカビ(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子からの非翻訳リーダーによって置換されているものからの修飾プロモーターが挙げられる);及び切断された突然変異体、並びにそれらのハイブリッドプロモーターである。
【0132】
酵母宿主では、有用なプロモーターは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)ガラクトキナーゼ(GAL1)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH1、ADH2/ギャップ)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)メタロチオネイン(CUP1)、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)3-ホスホグリセリン酸キナーゼにおける遺伝子から得られる。酵母宿主細胞における他の有用なプロモーターが、Romanos et al.,1992,Yeast 8:423-488にて記載されている。
【0133】
制御配列はまた、転写を終結させるために宿主細胞によって認識される転写ターミネーターであってもよい。ターミネーター配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドの3’末端に作動可能に連結される。宿主細胞内で機能的である任意のターミネーターが用いられてもよい。
【0134】
細菌宿主細胞における好ましいターミネーターは、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)アルカリ性プロテアーゼ(aprH)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファ-アミラーゼ(amyL)、及び大腸菌(Escherichia coli)リボソームRNA(rrnB)における遺伝子から得られる。
【0135】
糸状真菌宿主細胞における好ましいターミネーターは、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アルファ-グルコシダーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼにおける遺伝子から得られる。
【0136】
酵母宿主細胞における好ましいターミネーターは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)チトクロムC(CYC1)、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼにおける遺伝子から得られる。酵母宿主細胞における他の有用なターミネーターが、Romanos et al.,1992(上記)によって記載されている。
【0137】
制御配列はまた、プロモーターの下流及び遺伝子の発現を増強する遺伝子のコード配列の上流のmRNA安定化剤領域であってもよい。
【0138】
好適なmRNA安定化剤領域の例が、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cryIIIA遺伝子(国際公開第94/25612号パンフレット)及び枯草菌(Bacillus subtilis)SP82遺伝子(Hue et al.,1995,Journal of Bacteriology 177:3465-3471)から得られる。
【0139】
制御配列はまた、宿主細胞による翻訳にとって重要であるmRNAの非翻訳リーダー領域であってもよい。リーダー配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドの5’末端に作動可能に連結される。宿主細胞内で機能的である任意のリーダーが用いられてもよい。
【0140】
糸状真菌宿主細胞における好ましいリーダーは、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ及びアスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)トリオースリン酸イソメラーゼにおける遺伝子から得られる。
【0141】
酵母宿主細胞に適したリーダーは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)における遺伝子から得られる。
【0142】
制御配列はまた、変異体コード配列の3’末端に作動可能に連結された配列であるポリアデニル化配列であってもよく、転写されるとき、ポリアデノシン残基を転写されたmRNAに付加するためのシグナルとして宿主細胞によって認識される。宿主細胞内で機能的である任意のポリアデニル化配列が用いられてもよい。
【0143】
糸状真菌宿主細胞における好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アルファ-グルコシダーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼにおける遺伝子から得られる。
【0144】
酵母宿主細胞にとって有用なポリアデニル化配列が、Guo and Sherman,1995,Mol.Cellular Biol.15:5983-5990によって記載されている。
【0145】
制御配列はまた、変異体のN末端に連結されたシグナルペプチドをコードし、且つ変異体を細胞の分泌経路に誘導するシグナルペプチドコード領域であってもよい。ポリヌクレオチドのコード配列の5’末端は、本質的に、翻訳リーディングフレーム内で変異体をコードするコード配列のセグメントと天然に連結されたシグナルペプチドコード配列を有してもよい。或いは、コード配列の5’末端は、コード配列に対して外来性のシグナルペプチドコード配列を有してもよい。コード配列が天然にシグナルペプチドコード配列を有しない場合、外来性シグナルペプチドコード配列が要求されてもよい。或いは、変異体の分泌を増強するため、外来性シグナルペプチドコード配列が、天然シグナルペプチドコード配列を単純に置換してもよい。しかし、発現された変異体を宿主細胞の分泌経路に誘導する任意のシグナルペプチドコード配列が用いられてもよい。
【0146】
細菌宿主細胞にとって有効なシグナルペプチドコード配列は、バチルス(Bacillus)NCIB11837マルトジェニックアミラーゼ、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)スブチリシン、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ベータ-ラクタマーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アルファ-アミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)prsAにおける遺伝子から得られるシグナルペプチドコード配列である。さらに、シグナルペプチドは、Simonen and Palva,1993,Microbiological Reviews 57:109-137によって記載されている。
【0147】
糸状真菌宿主細胞にとって有効なシグナルペプチドコード配列は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)エンドグルカナーゼV、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ、及びリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼにおける遺伝子から得られるシグナルペプチドコード配列である。
【0148】
酵母宿主細胞において有用なシグナルペプチドは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)インベルターゼにおける遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード配列が、Romanos et al.,1992(上記)によって記載されている。
【0149】
制御配列はまた、変異体のN末端に位置するプロペプチドをコードするプロペプチドコード配列であってもよい。得られたポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は場合によっては酵素前躯体)として公知である。プロポリペプチドは、一般に不活性であり、且つプロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的又は自己触媒的切断により活性ポリペプチドに変換されうる。プロペプチドコード配列は、枯草菌(Bacillus subtilis)アルカリ性プロテアーゼ(aprE)、枯草菌(Bacillus subtilis)中性プロテアーゼ(nprT)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼ(国際公開第95/33836号パンフレット)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子における遺伝子から得られてもよい。
【0150】
シグナルペプチド及びプロペプチド配列の両方が存在する場合、プロペプチド配列は、変異体のN末端の隣に位置し、且つシグナルペプチド配列は、プロペプチド配列のN末端の隣に位置する。
【0151】
宿主細胞の増殖に対しての変異体の発現を調節する制御配列を付加することが望ましいこともある。制御系の例が、制御性化合物の存在を含む、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現のオン又はオフをもたらすものである。原核生物系における制御系は、lac、tac、及びtrpオペレーター系を含む。酵母では、ADH2系又はGAL1系が用いられてもよい。糸状菌では、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモーター、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、及びコウジカビ(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼプロモーターが用いられてもよい。制御配列の他の例が、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物系では、これらの制御配列は、メトトレキサートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、及び重金属を用いて増幅されるメタロチオネイン遺伝子を含む。これらの場合、変異体をコードするポリヌクレオチドは、制御配列と作動可能に連結されることになる。
【0152】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド、プロモーター、並びに転写及び翻訳停止シグナルを含む組換え発現ベクターに関する。1つ又は複数の便益的な制限部位を、変異体をコードするポリヌクレオチドのかかる部位での挿入又は置換を可能にするために含んでもよい組換え発現ベクターを作製するため、様々なヌクレオチド及び制御配列が一緒に連結されてもよい。或いは、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む核酸構築物を発現用の適切なベクターに挿入することにより発現されてもよい。発現ベクターを作出する場合、コード配列は、ベクター内で、コード配列が発現用の適切な制御配列と作動可能に連結されるように位置する。
【0153】
組換え発現ベクターは、便益的に組換えDNA方法に従うことが可能であり、ポリヌクレオチドの発現をもたらしうる任意のベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)であってもよい。ベクターの選択は、典型的には、ベクターとベクターが導入されるべき宿主細胞との互換性に依存することになる。ベクターは、直鎖状又は閉環状のプラスミドであってもよい。
【0154】
ベクターは、自律的に複製するベクター、即ち染色体外実体として存在するベクターであってもよく、その複製は、染色体複製、例えば、プラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、又は人工染色体に依存しない。ベクターは、自己複製を保証するための任意の手段を含有してもよい。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入されるとき、ゲノム中に組み込まれ、それが中に組み込まれている染色体と一緒に複製されるものであってもよい。さらに、宿主細胞のゲノムに導入されるべき全DNA、又はトランスポゾンを一緒に有する、単一のベクター若しくはプラスミド又は2つ以上のベクター若しくはプラスミドが用いられてもよい。
【0155】
ベクターは、好ましくは、形質転換細胞、トランスフェクト細胞、形質導入細胞、又はそれに類する細胞の容易な選択を可能にする1つ又は複数の選択可能マーカーを有する。選択可能マーカーは、遺伝子であって、その産物が、殺生物剤又はウイルス抵抗性、重金属に対する抵抗性、栄養要求体に対する原栄養性などをもたらす遺伝子である。
【0156】
細菌選択可能マーカーの例が、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)若しくは枯草菌(Bacillus subtilis)dal遺伝子、又は抗生物質抵抗性、例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン若しくはテトラサイクリン抵抗性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞に適したマーカーとして、限定はされないが、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3が挙げられる。糸状真菌宿主細胞において用いられる選択可能マーカーとして、限定はされないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン-5’リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニリルトランスフェラーゼ)、及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、並びにそれらの均等物が挙げられる。アスペルギルス(Aspergillus)細胞においては、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)若しくはコウジカビ(Aspergillus oryzae)のamdS及びpyrG遺伝子、並びにストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子の使用が好ましい。
【0157】
ベクターは、好ましくは、ベクターの宿主細胞のゲノムへの組込み又は細胞内でのベクターのゲノムに依存しない自律的複製を可能にするエレメントを有する。
【0158】
宿主細胞ゲノムへの組込みにおいては、ベクターは、変異体をコードするポリヌクレオチドの配列、又は相同若しくは非相同組換えによるゲノムへの組込みのためのベクターの任意の他のエレメントに依存してもよい。或いは、ベクターは、染色体中の正確な位置での宿主細胞のゲノムへの相同組換えによる組込みを誘導するための追加的なポリヌクレオチドを有してもよい。正確な位置での組込みの可能性を高めるため、組込みエレメントは、相同組換えの確率を高めるために対応する標的配列に対して高度な配列同一性を有する、十分な数の核酸、例えば、100~10,000塩基対、400~10,000塩基対、及び800~10,000塩基対を含む必要がある。組込みエレメントは、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同である任意の配列であってもよい。さらに、組込みエレメントは、非コード又はコードポリヌクレオチドであってもよい。他方、ベクターは、非相同組換えにより宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよい。
【0159】
自律的複製においては、ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞内で自律的に複製することを可能にする複製起点をさらに含んでもよい。複製起点は、細胞内で機能する自律的複製を媒介する任意のプラスミドレプリケーターであってもよい。「複製起点」又は「プラスミドレプリケーター」という用語は、プラスミド又はベクターがインビボで複製することを可能にするポリヌクレオチドを意味する。
【0160】
細菌の複製起源の例が、大腸菌(E.Coli)中での複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177、及びpACYC184の複製起源、並びにバチルス(Bacillus)中での複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060、及びpAMβ1の複製起源である。
【0161】
酵母宿主細胞内で用いられる複製起源の例が、2ミクロンの複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組み合わせ、及びARS4とCEN6との組み合わせである。
【0162】
糸状真菌細胞内で有用な複製起源の例が、AMA1及びANS1である(Gems et al.,1991,Gene 98:61-67;Cullen et al.,1987,Nucleic Acids Res.15:9163-9175;国際公開第00/24883号パンフレット)。AMA1遺伝子の単離及び遺伝子を含むプラスミド又はベクターの構築は、国際公開第00/24883号パンフレット中に開示される方法に従ってなされうる。
【0163】
変異体の生成を増加させるため、本発明のポリヌクレオチドの2つ以上のコピーが宿主細胞に挿入されてもよい。ポリヌクレオチドのコピー数における増加は、配列の少なくとも1つの追加的コピーを宿主細胞ゲノムに組み込むことにより、又は選択可能マーカー遺伝子の増幅されたコピーと、それによるポリヌクレオチドの追加的コピーとを有する細胞が、適切な選択可能薬剤の存在下で細胞を培養することにより選択されうる場合、ポリヌクレオチドとともに増幅可能な選択可能マーカー遺伝子を含めることにより、得られうる。
【0164】
本発明の組換え発現ベクターを構築するため、上記エレメントをライゲートするのに用いられる手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al.,1989(上記)を参照)。
【0165】
宿主細胞
本発明はまた、本発明の変異体の生成を誘導する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結された本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、組換え宿主細胞に関する。ポリヌクレオチドを含む構築物又はベクターが宿主細胞に導入されることで、構築物又はベクターは、前述のように染色体組込み体として又は自己複製染色体外ベクターとして維持される。「宿主細胞」という用語は、複製中に生じる突然変異に起因して、親細胞と同一でない、親細胞のいずれかの子孫を包含する。宿主細胞の選択は、変異体をコードする遺伝子及びその供給源に多くは依存することになる。
【0166】
宿主細胞は、変異体の組換え生成において有用な任意の細胞、例えば原核生物又は真核生物であってもよい。
【0167】
原核宿主細胞は、任意のグラム陽性又はグラム陰性細菌であってもよい。グラム陽性細菌は、限定はされないが、バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、腸球菌(Enterococcus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、オセアノバチルス(Oceanobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)を含む。グラム陰性細菌は、限定はされないが、カンピロバクター(Campylobacter)、大腸菌(E.Coli)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、ヘリコバクター(Helicobacter)、イリオバクター(Ilyobacter)、ナイセリア(Neisseria)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、及びウレアプラズマ(Ureaplasma)を含む。
【0168】
細菌宿主細胞は、限定はされないが、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)細胞を含む任意のバチルス(Bacillus)細胞であってもよい。
【0169】
細菌宿主細胞はまた、限定はされないが、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、及び腺疫菌亜種ズーエピデミクス(Streptococcus equi subsp.Zooepidemicus)細胞を含む、任意の連鎖球菌(Streptococcus)細胞であってもよい。
【0170】
細菌宿主細胞はまた、限定はされないが、ストレプトマイセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトマイセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、及びストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞を含む、任意のストレプトマイセス(Streptomyces)細胞であってもよい。
【0171】
DNAのバチルス(Bacillus)細胞への導入は、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen,1979,Mol.Gen.Genet.168:111-115を参照)、コンピテント細胞形質転換(例えば、Young and Spizizen,1961,J.Bacteriol.81:823-829、又はDubnau and Davidoff-Abelson,1971,J.Mol.Biol.56:209-221を参照)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawa and Dower,1988,Biotechniques 6:742-751を参照)、又はコンジュゲーション(例えば、Koehler and Thorne,1987,J.Bacteriol.169:5271-5278を参照)によって行われてもよい。DNAの大腸菌(E.Coli)細胞への導入は、プロトプラスト形質転換(例えば、Hanahan,1983,J.Mol.Biol.166:557-580を参照)又はエレクトロポレーション(例えば、Dower et al.,1988,Nucleic Acids Res.16:6127-6145を参照)によって行われてもよい。DNAのストレプトマイセス(Streptomyces)細胞への導入は、プロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション(例えば、Gong et al.,2004,Folia Microbiol.(Praha)49:399-405を参照)、コンジュゲーション(例えば、Mazodier et al.,1989,J.Bacteriol.171:3583-3585を参照)、又は形質導入(例えば、Burke et al.,2001,Proc.Natl.Acad.Sci.USA98:6289-6294を参照)によって行われてもよい。DNAのシュードモナス(Pseudomonas)細胞への導入は、エレクトロポレーション(例えば、Choi et al.,2006,J.Microbiol.Methods 64:391-397を参照)、又はコンジュゲーション(例えば、Pinedo and Smets,2005,Appl.Environ.Microbiol.71:51-57を参照)によって行われてもよい。DNAの連鎖球菌(Streptococcus)細胞への導入は、天然コンピテンス(例えば、Perry and Kuramitsu,1981,Infect.Immun.32:1295-1297を参照)、プロトプラスト形質転換(例えば、Catt and Jollick,1991,Microbios 68:189-207を参照)、エレクトロポレーション(例えば、Buckley et al.,1999,Appl.Environ.Microbiol.65:3800-3804を参照)又はコンジュゲーション(例えば、Clewell,1981,Microbiol.Rev.45:409-436を参照)によって行われてもよい。しかし、DNAを宿主細胞に導入するための当該技術分野で公知の任意の方法が使用可能である。
【0172】
宿主細胞はまた、真核生物、例えば、哺乳動物、昆虫、植物、又は真菌細胞であってもよい。
【0173】
宿主細胞は、真菌細胞であってもよい。「真菌」は、本明細書で用いられるとき、アスコミコタ門(phyla Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、ツボカビ門(Chytridiomycota)、及び接合菌門(Zygomycota)、並びに卵菌門(Oomycota)及びすべての栄養胞子形成菌(Hawksworth et al.,In,Ainsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi,8th edition,1995,CAB International,University Press,Cambridge,UKによって定義されたもの)を含む。
【0174】
真菌宿主細胞は、酵母細胞であってもよい。「酵母」は、本明細書で用いられるとき、有子嚢胞子酵母(エンドミセス目(Endomycetales))、担子菌酵母、及び不完全菌類(Fungi Imperfecti)に属する酵母(不完全酵母菌類(Blastomycetes))を含む。酵母の分類が将来的に変化することがあることから、本発明の目的に適うように、酵母は、Biology and Activities of Yeast(Skinner,Passmore,and Davenport,editors,Soc.App.Bacteriol.Symposium Series No.9,1980)に記載の通りに定義されるものとする。
【0175】
酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、又はヤロウィア(Yarrowia)細胞、例えば、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ディアスタティカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロマイセス・ドウグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロマイセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、サッカロマイセス・オビフォルミス(Saccharomyces oviformis)、又はヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞であってもよい。
【0176】
真菌宿主細胞は、糸状真菌細胞であってもよい。「糸状菌」は、(Hawksworth et al.,1995(上記)によって定義された)真菌亜門(Eumycota)及び卵菌亜門(Oomycota)のすべての糸状形態を含む。糸状菌は、一般に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、及び他の複合多糖からなる菌糸体壁によって特徴づけられる。栄養増殖は、菌糸伸長によるものであり、また炭素異化作用は、偏性好気性である。それに対し、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母による栄養増殖は、単細胞葉状体の出芽によるものであり、また炭素異化作用は、発酵性の場合がある。
【0177】
糸状真菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ブジェルカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリナス(Coprinus)、コリオルス(Coriolus)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ケカビ(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、パンカビ(Neurospora)、パエキロミケス(Paecilomyces)、アオカビ(Penicillium)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、フレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、プレウロタス(Pleurotus)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロマイセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、ホウロクタケ(Trametes)、又はトリコデルマ(Trichoderma)細胞であってもよい。
【0178】
例えば、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フェティデュス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、ブジェルカンデラ・アダスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベスセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・ケラチノフィラム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・パンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンズランジカム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・ゾナタム(Chrysosporium zonatum)、ウシグソヒトヨタケ(Coprinus cinereus)、イチョウタケ(Coriolus hirsutus)、フザリウム・バクトリディオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロックウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼアム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・べネナタム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、アカバンカビ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・パープロゲナム(Penicillium purpurogenum)、白色腐朽菌(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジアータ(Phlebia radiata)、プレウロタス・エリンギ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞であってもよい。
【0179】
真菌細胞は、本質的に公知の方法で、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換、及び細胞壁の再生を含むプロセスにより、形質転換されてもよい。アスペルギルス(Aspergillus)及びトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞の形質転換に適した方法は、欧州特許第238023号明細書、Yelton et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:1470-1474、及びChristensen et al.,1988,Bio/Technology 6:1419-1422に記載されている。フザリウム(Fusarium)種を形質転換するための好適な方法は、Malardier et al.,1989,Gene 78:147-156、及び国際公開第96/00787号パンフレットによって記載されている。酵母は、Becker and Guarente,In Abelson,J.N.and Simon,M.I.,editors,Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods in Enzymology,Volume 194,pp182-187,Academic Press,Inc.,New York;Ito et al.,1983,J.Bacteriol.153:163;及びHinnen et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA75:1920によって記載された方法を用いて形質転換されてもよい。
【0180】
生成方法
本発明はまた、(a)本発明の宿主細胞を変異体の発現に適した条件下で培養することと;(b)変異体を回収することと、を含む、本発明のリパーゼ変異体を生成する方法に関する。
【0181】
宿主細胞は、当該技術分野で公知の方法を用いて、変異体の生成に適した栄養培地中で培養される。例えば、細胞は、振盪フラスコ培養、又は好適な培地中や変異体の発現及び/若しくは単離を可能にする条件下で実施される実験室若しくは工業発酵槽における小規模若しくは大規模発酵(連続、バッチ、フェドバッチ、又は固体発酵を含む)により培養されてもよい。培養は、当該技術分野で公知の方法を用いて、炭素及び窒素源並びに無機塩類を含む好適な栄養培地中で行われる。好適な培地は、商業供給者から入手可能である、又は(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関のカタログ中の)公表された組成物に従って調製されてもよい。変異体が栄養培地中に分泌される場合、変異体は、培地から直接的に回収されうる。変異体が分泌されない場合、それは細胞可溶化物から回収されうる。
【0182】
変異体は、変異体に特化された当該技術分野で公知の方法を用いて検出されてもよい。これらの検出方法は、限定はされないが、特異抗体の使用、酵素産物の形成、又は酵素基質の消失を含む。例えば、例に記載されるような変異体の活性を測定するため、酵素アッセイが用いられてもよい。
【0183】
変異体は、当該技術分野で公知の方法を用いて回収されてもよい。例えば、変異体は、限定はされないが、収集、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、又は沈殿を含む通常の方法により、栄養培地から回収されてもよい。
【0184】
変異体は、実質的に純粋な変異体を得るため、限定はされないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、等電点電気泳動、及びサイズ排除)、電気泳動法(例えば、分取等電点電気泳動)、差次的溶解度(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS-PAGE、又は抽出を含む当該技術分野で公知の種々の方法により精製されてもよい(例えば、Protein Purification,Janson and Ryden,editors,VCH Publishers,New York,1989を参照)。
【0185】
代替的態様では、変異体が回収されないばかりか、変異体を発現する本発明の宿主細胞が、変異体の供給源として用いられる。
【0186】
組成物
本発明はまた、本発明のリパーゼ変異体を含む組成物を含む。
【0187】
特定の態様では、本発明は、リパーゼ活性を有し、配列番号2と少なくとも60%であるが、100%未満の配列同一性を有し、且つ、G23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、K98I、R118F、G163S、T231R、N233R、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む、親リパーゼの変異体を含む組成物に関する。
【0188】
特定の態様では、組成物は、R118F+T231R+N233Rに対応する位置に置換、並びにG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、K98I、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む。
【0189】
特定の態様では、前記変異体は、改善された洗浄性能、臭気生成の減少及び/又は改善された貯蔵安定性/より長い有効期間/増強された熱安定性を有する。
【0190】
本明細書の以下に説明される組成物成分の非限定的リストは、本組成物で使用するのに適しており、本明細書の方法は、例えば、洗浄される基材の処理を目的として洗浄性能を支援又は増強するために、又は香料、着色剤、染料等の場合のように、組成物の美観を改変するために、本発明の特定の実施形態に望ましくは組み込まれ得る。任意の組成物に組み込まれるこのような任意の成分のレベルは、組み込みのために前に列挙された任意の材料に加えたものである。これらの追加の成分の正確な性質及びその組み込みのレベルは、組成物の物理形態及びそれが使用される洗浄操作の性質に依存することになる。下記の成分は特定の機能に従って一般的な見出しにより分類されるが、当業者により認識されるように、これは、成分が追加の機能を含み得るので、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0191】
他に指示がない限り、パーセント量は、組成物の重量を基準とするものである(重量%)。好適な成分材料としては、これらに限定されないが、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移行阻害剤、分散剤、酵素、及び酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、事前に形成した過酸、ポリマー分散剤、粘土汚染物除去剤/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、色調染料、香料、香料送達系、構造弾力化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、及び/又は顔料が挙げられる。以下の開示に加えて、他のこのような成分の好適例及び使用レベルについては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5576282号明細書、米国特許第6306812号明細書、及び米国特許第6326348号明細書に見出される。
【0192】
それ故、特定の実施形態では、本発明は、以下の補助材料の1つ又は複数を含有しない:界面活性剤、石鹸、ビルダー、キレート剤、染料移行阻害剤、分散剤、追加の酵素、酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、事前に形成した過酸、ポリマー分散剤、粘土汚染物除去剤/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、香料送達系、構造弾力化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、及び/又は顔料。しかしながら、1つ又は複数の成分が存在する場合、以下に詳述するような1つ又は複数の成分が存在し得る。
【0193】
界面活性剤-本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、この界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物から選択することができる。界面活性剤は、存在する場合、典型的には、0.1~60重量%、0.2~40重量%、0.5~30重量%、1~50重量%、1~40重量%、1~30重量%、1~20重量%、3~10重量%、3~5重量%、5~40重量%、5~30重量%、5~15重量%、3~20重量%、3~10重量%、8~12重量%、10~12重量%、20~25重量%、又は25~60重量%のレベルで存在する。
【0194】
好適なアニオン性洗浄界面活性剤には、スルフェート及びスルホネート洗浄界面活性剤が含まれる。
【0195】
好適なスルホネート洗浄界面活性剤には、アルキルベンゼンスルホネート、一態様では、C10~13アルキルベンゼンスルホネートが含まれる。好適なアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することにより得ることができ;好適なLABには、Isochem(登録商標)又はPetrelab(登録商標)などの低級2-フェニルLABが含まれ、他の好適なLABには、Hyblene(登録商標)などの高級2-フェニルLABが含まれる。好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、DETAL触媒工程により得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HFなどの他の合成経路が適していることもある。一態様では、LASのマグネシウム塩が使用される。
【0196】
好適なスルフェート洗浄界面活性剤には、アルキルスルフェート、一態様では、C8~18アルキルスルフェート又は主としてC12アルキルスルフェートが含まれる。
【0197】
他の好適なスルフェート洗浄界面活性剤は、アルキルアルコキシル化スルフェート、一態様ではアルキルエトキシル化スルフェート、一態様ではC8~18アルキルアルコキシル化スルフェート、別の態様ではC8~18アルキルエトキシル化スルフェートであり、典型的には、アルキルアルコキシル化スルフェートの平均アルコキシル化度は0.5~20又は0.5~10であり、典型的には、アルキルアルコキシル化スルフェートは、平均エトキシル化度が0.5~10、0.5~7、0.5~5、又は0.5~3のC8~18アルキルエトキシル化スルフェートである。
【0198】
アルキルスルフェート、アルキルアルコキシル化スルフェート、及びアルキルベンゼンスルホネートは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0199】
洗浄界面活性剤は、中間鎖分枝洗浄界面活性剤、一態様では、中間鎖分枝アニオン性洗浄界面活性剤、一態様では、中間鎖分枝アルキルスルフェート、及び/又は中間鎖分枝アルキルベンゼンスルホネート、例えば、中間鎖分枝アルキルスルフェートであってもよい。一態様では、中間鎖分枝は、C1~4アルキル基、典型的には、メチル基及び/又はエチル基である。
【0200】
アニオン性界面活性剤の非限定例としては、スルフェート及びスルホネート、特に、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、LASの異性体、分枝アルキルベンゼンスルホネート(BABS)、フェニルアルカンスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート(AOS)、オレフィンスルホネート、アルケンスルホネート、アルカン-2,3-ジイルビス(スルフェート)、ヒドロキシアルカンスルホネート及びジスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアルキルスルフェート(AS)、脂肪アルコールスルフェート(FAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、アルコールエーテルスルフェート(AES又はAEOS又はFES、アルコールエトキシスルフェート又は脂肪アルコールエーテルスルフェートとしても知られる)、第二級アルカンスルホネート(SAS)、パラフィンスルホネート(PS)、エステルスルホネート、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホネート(MES)を含むアルファ-スルホ脂肪酸メチルエステル(アルファ-SFMe又はSES)、アルキル-又はアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホ-コハク酸又は石鹸のジエステル及びモノエステル、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0201】
好適な非イオン性洗浄界面活性剤は、以下のものからなる群から選択される:NEODOL(登録商標)などのC~C18アルキルエトキシレート;アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はそれらの混合物であり得るC~C12アルキルフェノールアルコキシレート;Pluronic(登録商標)など、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC12~C18アルコール及びC~C12アルキルフェノール縮合物;C14~C22中間鎖分枝アルコール;典型的には1~30の平均アルコキシル化度を有するC14~C22中間鎖分枝アルキルアルコキシレート;アルキルポリサッカライド、一態様では、アルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;エーテルキャップドポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤;並びにそれらの混合物。
【0202】
好適な非イオン性洗浄界面活性剤には、アルキルポリグルコシド及び/又はアルキルアルコキシル化アルコールが含まれる。
【0203】
一態様では、非イオン性洗浄界面活性剤には、アルキルアルコキシル化アルコール、一態様では、C8~18アルキルアルコキシル化アルコール、例えばC8~18アルキルエトキシル化アルコールが含まれ、アルキルアルコキシル化アルコールは、1~50、1~30、1~20、又は1~10の平均アルコキシ化度を有し得る。一態様では、アルキルアルコキシル化アルコールは、1~10、1~7、さらには1~5又は3~7の平均エトキシ化度を有するC8~18アルキルエトキシル化アルコールであってもよい。アルキルアルコキシル化アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、置換されていても置換されていなくてもよい好適な非イオン性界面活性剤にはLutensol(登録商標)が含まれる。
【0204】
非イオン性界面活性剤の非限定例としては、アルコールエトキシレート(AE又はAEO)、アルコールプロポキシレート、プロポキシル化脂肪アルコール(PFA)、アルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、例えばエトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪酸アルキルエステル、アルキルフェノールエトキシレート(APE)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)、アルキルポリグリコシド(APG)、アルコキシル化アミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAM)、脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体(グルカミド、GA、又は脂肪酸グルカミド、FAGA)、並びにSPAN及びTWEENの商品名で入手可能な製品、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0205】
好適なカチオン性洗浄界面活性剤には、アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物、及びそれらの混合物が含まれる。
【0206】
好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、以下の一般式を有する第四級アンモニウム化合物である:(R)(R)(R)(R)N、式中、Rは、直鎖又は分枝の置換又は無置換C6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R及びRは独立して、メチル又はエチル部分から選択され、Rは、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷的中性を付与するアニオンであり、好適なアニオンには、ハライド、例えばクロライド;スルフェート;及びスルホネートが含まれる。好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、モノC6~18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライドである。極めて好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、モノC8~10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライド、モノC10~12アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライド、及びモノC10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライドである。
【0207】
カチオン性界面活性剤の非限定例としては、アルキルジメチルエタノールアミンクォート(ADMEAQ)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド(DSDMAC)、及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム(AQA)化合物、エステルクォート、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0208】
好適な双性/両性イオン性界面活性剤には、アミンオキシド及びアルキルジメチルベタイン、スルホベタインなどのベタイン、又はそれらの組合せが含まれる。アミン中和化アニオン性界面活性剤-本発明のアニオン性界面活性剤及び補助アニオン性共界面活性剤は、酸形態で存在し得るものであり、前記酸形態を中和して、本洗剤組成物で使用するのに望ましい界面活性剤塩を形成させることができる。典型的な中和剤には、水酸化物、例えばNaOH又はKOHなどの金属対イオン塩基が含まれる。酸形態にある、本発明のアニオン性界面活性剤及び補助アニオン性界面活性剤又は共界面活性剤を中和するためのさらなる好ましい薬剤には、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミンが含まれる。アルカノールアミンが好ましい。好適な非限定例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び当技術分野で公知の他の直鎖又は分枝アルカノールアミンが挙げられ、例えば、極めて好ましいアルカノールアミンとしては、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン、又は1-アミノ-3-プロパノールが挙げられる。アミンによる中和は、全体的又は部分的な範囲で行うことができ、例えば、アニオン性界面活性剤混合物の一部をナトリウム又はカリウムで中和し、アニオン性界面活性剤混合物の一部をアミン又はアルカノールアミンで中和することもできる。
【0209】
半極性界面活性剤の非限定例としては、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド(AO)が挙げられる。
【0210】
1種又は複数のアニオン性界面活性剤と、それに加えて、任意選択でカチオン性界面活性剤などの追加の界面活性剤を伴う1種又は複数の非イオン性界面活性剤の混合物とを含む界面活性剤系が好ましいこともある。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との好ましい重量比は、少なくとも2:1、又は少なくとも1:1~1:10である。
【0211】
一態様では、界面活性剤系は、以下の式A及び式Bにより表されるイソプレノイド界面活性剤の混合物を含み得る:
【化1】
式中、YはCH又は存在しないであり、Zは、得られる界面活性剤が以下の界面活性剤から選択されるように選ぶことができる:アルキルカルボキシレート界面活性剤、アルキルポリアルコキシ界面活性剤、アルキルアニオン性ポリアルコキシスルフェート界面活性剤、アルキルグリセロールエステルスルホネート界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、アルキルポリヒドロキシベースの界面活性剤、アルキルリン酸エステル界面活性剤、アルキルグリセロールスルホネート界面活性剤、アルキルポリグルコネート界面活性剤、アルキルポリリン酸エステル界面活性剤、アルキルホスホネート界面活性剤、アルキルポリグリコシド界面活性剤、アルキルモノグリコシド界面活性剤、アルキルジグリコシド界面活性剤、アルキルスルホサクシネート界面活性剤、アルキルジスルフェート界面活性剤、アルキルジスルホネート界面活性剤、アルキルスルホサクシンアマート界面活性剤、アルキルグルカミド界面活性剤、アルキルタウリネート界面活性剤、アルキルサルコシネート界面活性剤、アルキルグリシネート界面活性剤、アルキルイセチオネート界面活性剤、アルキルジアルカノールアミド界面活性剤、アルキルモノアルカノールアミド界面活性剤、アルキルモノアルカノールアミドスルフェート界面活性剤、アルキルジグリコールアミド界面活性剤、アルキルジグリコールアミドスルフェート界面活性剤、アルキルグリセロールエステル界面活性剤、アルキルグリセロールエステルスルフェート界面活性剤、アルキルグリセロールエーテル界面活性剤、アルキルグリセロールエーテルスルフェート界面活性剤、アルキルメチルエステルスルホネート界面活性剤、アルキルポリグリセロールエーテル界面活性剤、アルキルポリグリセロールエーテルスルフェート界面活性剤、アルキルソルビタンエステル界面活性剤、アルキルアンモニオアルカンスルホネート界面活性剤、アルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、アルキルアリル化クォートベースの界面活性剤、アルキルモノヒドロキシアルキル-ジ-アルキル化クォートベースの界面活性剤、アルキルジヒドロキシアルキルモノアルキルクォートベースの界面活性剤、アルキル化クォート界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクォート界面活性剤、アルキルポリヒドロキシアルキルオキシプロピルクォートベースの界面活性剤、アルキルグリセロールエステルクォート界面活性剤、アルキルグリコールアミンクォート界面活性剤、アルキルモノメチルジヒドロキシエチル第四級アンモニウム界面活性剤、アルキルジメチルモノヒドロキシエチル第四級アンモニウム界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム界面活性剤、アルキルイミダゾリンベースの界面活性剤、アルケン-2-イル-サクシネート界面活性剤、アルキルa-スルホン化カルボン酸界面活性剤、アルキルa-スルホン化カルボン酸アルキルエステル界面活性剤、アルファオレフィンスルホネート界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート界面活性剤、アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤、アルキルスルホベタイン界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン界面活性剤、アルキルアンモニオカルボキシレートベタイン界面活性剤、アルキルスクロースエステル界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、アルキルジ(ポリオキシエチレン)モノアルキルアンモニウム界面活性剤、アルキルモノ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム界面活性剤、アルキルベンジルジメチルアンモニウム界面活性剤、アルキルアミノプロピオネート界面活性剤、アルキルアミドプロピルジメチルアミン界面活性剤、又はそれらの混合物;またZが荷電部分である場合には、Zは好適な金属又は有機対イオンにより電荷平衡が保たれる。好適な対イオンとしては、金属対イオン、アミン、又はアルカノールアミン、例えばC1~C6アルカノールアンモニウムが挙げられる。より具体的には、好適な対イオンとして、Na+、Ca+、Li+、K+、Mg+、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパノール、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1-アミノ-3-プロパノール、又はそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、組成物は、5%~97%の1種又は複数の非イソプレノイド界面活性剤、及び1種又は複数の補助洗浄添加剤を含有し、式Aの界面活性剤と式Bの界面活性剤との重量比は50:50~95:5である。
【0212】
石鹸-本明細書の組成物は石鹸を含有することができる。理論に拘束されるものではないが、一部界面活性剤として、一部ビルダーとして作用し、泡の抑制に有用となり得、さらには組成物の種々のカチオン性化合物と有利に相互作用して、本発明組成物と共に揉まれた織物の柔軟性を増強することができる石鹸を含むことが望ましいことがある。洗濯洗剤で使用される当技術分野で公知のいずれの石鹸も利用することができる。一実施形態では、組成物は、0重量%~20重量%、0.5重量%~20重量%、4重量%~10重量%、又は4重量%~7重量%の石鹸を含有する。
【0213】
本明細書において有用な石鹸の例としては、オレイン酸石鹸、パルミチン酸石鹸、パーム核脂肪酸石鹸、及びそれらの混合物が挙げられる。典型的な石鹸は、種々の鎖長及び置換度を有する脂肪酸石鹸の混合物の形態である。そのような混合物の1つは、トップドパーム核脂肪酸である。
【0214】
一実施形態では、石鹸は遊離脂肪酸から選択される。好適な脂肪酸は、飽和及び/又は不飽和であり、植物性また動物性エステル(例えば、パーム核油、パーム油、ヤシ油、ババス油、サフラワー油、トール油、ヒマシ油、牛脂及び魚油、油脂、及びそれらの混合物)などの天然供給源から得ることも、合成的に(例えば、石油の酸化を介して、又はFisher Tropsch法による一酸化炭素の水素添加によって)調製することもできる。
【0215】
本発明の組成物で使用される好適な飽和脂肪酸の例としては、カプチック酸(captic acid)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘニン酸が挙げられる。好適な不飽和脂肪酸種としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びリシノール酸が挙げられる。好ましい脂肪酸の例は、飽和Cn脂肪酸、飽和Ci~Ci脂肪酸、及び飽和又は不飽和Cn~Ci脂肪酸、並びにそれらの混合物である。
【0216】
存在する場合、布地を柔軟にするカチオン性共界面活性剤と脂肪酸との重量比は、好ましくは約1:3~約3:1、より好ましくは約1:1.5~約1.5:1、最も好ましくは約1:1である。
【0217】
本明細書における石鹸及び非石鹸アニオン性界面活性剤のレベルは、酸形態に基づいて指定される洗剤組成物の重量パーセントとする。しかしながら、当技術分野で一般に理解されるように、アニオン性界面活性剤及び石鹸は、実際には、水酸化ナトリウム又はモノエタノールアミンなどのナトリウム、カリウム、又はアルカノールアンモニウム塩基を使用して中和されている。
【0218】
ヒドロトロープ-本発明の組成物は1種又は複数のヒドロトロープを含むことができる。ヒドロトロープは、疎水性化合物を水溶液に(又は反対に、極性物質を非極性環境中に)可溶化する化合物である。典型的には、ヒドロトロープは、親水性及び疎水性の両方の特性を有する(界面活性剤で知られるようないわゆる両親媒性);しかしながら、ヒドロトロープの分子構造は、一般に、自発的な自己凝集を促進しない(例えば、Hodgdon and Kaler(2007),Current Opinion in Colloid&Interface Science 12:121-128による総説を参照のこと)。ヒドロトロープは、ミセル相、ラメラ相又は他の十分明確な中間相を形成する界面活性剤及び脂質に見られるような、自己凝集を生じる臨界濃度を示さない。その代わり、多くのヒドロトロープは、凝集のサイズが濃度の増加につれて増大する連続型の凝集プロセスを示す。しかしながら、多くのヒドロトロープは、水、油、界面活性剤、及びポリマーの混合物を含む、極性及び非極性の物質を含有する系の相挙動、安定性、及びコロイド特性を変化させる。ヒドロトロープは、医薬品、パーソナルケア、食品から技術用途にわたる産業に従来用いられている。洗剤組成物中にヒドロトロープを使用することにより、例えば、(水を除去することにより、液体洗剤をコンパクト化するプロセスにおいてのように)相分離又は高粘性などの望ましくない現象を引き起こすことなく、界面活性剤がより濃縮された配合物が可能になる。
【0219】
洗剤は、0~10重量%、例えば、0~5重量%、0.5~5重量%、又は3重量%~5重量%のヒドロトロープを含有することができる。洗剤で使用される当技術分野で公知のいずれのヒドロトロープも利用することができる。ヒドロトロープの非限定的な例としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム(STS)、キシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)、クメンスルホン酸ナトリウム(SCS)、シメンスルホン酸ナトリウム、アミンオキシド、アルコール及びポリグリコールエーテル、ヒドロキシナフトエ酸ナトリウム、ヒドロキシナフタレンスルホン酸ナトリウム、エチルヘキシル硫酸ナトリウム、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0220】
ビルダー-本発明の組成物は、1種又は複数のビルダー、共ビルダー、ビルダー系、又はそれらの混合物を含むことができる。ビルダーが使用される場合、洗浄組成物は、典型的には、0~65重量%、少なくとも1重量%、2~60重量%、又は5~10重量%のビルダーを含むことになる。食器洗浄組成物では、ビルダーのレベルは、典型的には、40~65重量%又は50~65重量%である。組成物は、ビルダーを実質的に含まなくてもよく;実質的に含まないということは、ゼオライト及び/又はリン酸が「意図的に添加されていない」ことを意味する。典型的なゼオライトビルダーには、ゼオライトA、ゼオライトP、及びゼオライトMAPが含まれる。典型的なリン酸ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウムである。
【0221】
ビルダー及び/又は共ビルダーは、特に、Ca及びMgと水溶性錯体を形成するキレート剤であってもよい。洗剤で使用される当技術分野で公知のいずれのビルダー及び/又は共ビルダーも利用することができる。ビルダーの非限定例としては、ゼオライト、ジホスフェート(ピロホスフェート)、三リン酸ナトリウム(STP又はSTPP)などのトリホスフェート、炭酸ナトリウムなどのカーボネート、メタケイ酸ナトリウムなどの可溶性シリケート、層状シリケート(例えば、Hoechst製のSKS-6)、2-アミノエタン-1-オール(MEA)、イミノジエタノール(DEA)、及び2,2’,2”-ニトリロトリエタノール(TEA)などのエタノールアミン、並びにカルボキシメチルイヌリン(CMI)、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0222】
洗浄組成物は、共ビルダーを単独で、又はビルダー、例えばゼオライトビルダーと組み合わせて含むことができる。共ビルダーの非限定例としては、ポリアクリレートのホモポリマー又はそのコポリマー、例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)又はコポリ(アクリル酸/マレイン酸)(PAA/PMA)が挙げられる。さらに非限定例としては、シトレート、キレート剤、例えば、アミノカルボキシレート、アミノポリカルボキシレート及びホスホネート、並びにアルキル-又はアルケニルコハク酸が挙げられる。さらなる特定の例としては、2,2’,2”-ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、イミノ二コハク酸(IDS)、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイルビス(ホスホン酸)(HEDP)、エチレンジアミンテトラキス(メチレン)テトラキス(ホスホン酸)(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレン)ペンタキス(ホスホン酸)(DTPMPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(EDG)、アスパラギン酸-N-一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸-N-一プロピオン酸(ASMP)、イミノ二コハク酸(IDA)、N-(2-スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α-アラニン-N,N-二酢酸(α-ALDA)、セリン-N,N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N,N-二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N,N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N,N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N,N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N,N-二酢酸(TUDA)及びスルホメチル-N,N-二酢酸(SMDA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチリデンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエタノールグリシン(DEG)、ジエチレントリアミン五(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、並びにそれらの組合せ及び塩が挙げられる。さらなる例示的なビルダー及び/又は共ビルダーは、例えば、国際公開第09/102854号パンフレット、米国特許第5977053号明細書に記載されている。
【0223】
キレート剤及び結晶成長阻害剤-本明細書の組成物は、キレート剤及び/又は結晶成長阻害剤を含有することができる。好適な分子には、銅、鉄、及び/又はマンガンのキレート剤、並びにそれらの混合物が含まれる。好適な分子としては、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸ジナトリウム塩水和物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、カルボキシメチルイヌリン、及び2-ホスホノブタン1,2,4-トリカルボン酸(Bayhibit(登録商標)AM)、及びそれらの誘導体が挙げられる。典型的には、組成物は、0.005~15重量%又は3.0~10重量%のキレート剤又は結晶成長阻害剤を含むことができる。
【0224】
漂白成分-本発明の方法及び組成物に組み込むのに適した漂白成分には、1種の漂白成分又は2種以上の漂白成分の混合物が含まれる。好適な漂白成分としては、漂白触媒、光漂白剤、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、事前に形成した過酸、及びそれらの混合物が挙げられる。一般に、漂白剤成分が使用される場合、本発明の組成物は、0~30重量%、0.00001~90重量%、0.0001~50重量%、0.001~25重量%、又は1~20重量%含むことができる。好適な漂白成分は、以下のものを含む:
(1)事前に形成した過酸:好適な事前に形成した過酸としては、これらに限定されないが、事前に形成した過酸若しくはその塩からなる群から選択される化合物、典型的には、ペルオキシカルボン酸若しくはその塩、又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩のいずれかが挙げられる。
【0225】
事前に形成した過酸若しくはその塩は、好ましくはペルオキシカルボン酸若しくはその塩であり、これは、典型的には、下記の化学式に対応する化学構造:
【化2】
を有し、
式中、R14は、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール若しくは複素環式基から選択され;R14基は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換であってよく;Yは、電荷中性を達成する任意の好適な対イオンであり、好ましくは、Yは、水素、ナトリウム若しくはカリウムから選択される。好ましくは、R14は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換C6~9アルキルである。好ましくは、過酸若しくはその塩は、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組合せから選択される。特に好ましい過酸は、フタルイミド-ペルオキシ-アルカン酸、とりわけ、ε-フタルイミド-ペルオキシ-ヘキサン酸(PAP)である。好ましくは、過酸若しくはその塩は、30℃~60℃の範囲の融点を有する。
【0226】
事前に形成した過酸若しくはその塩はペルオキシスルホン酸若しくはその塩であってもよく、これは、典型的には、下記の化学式に対応する化学構造:
【化3】
を有し、
式中、R15は、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール若しくは複素環式基から選択され;R15基は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換であってよく;Zは、電荷中性を達成する任意の好適な対イオンであり、好ましくは、Zは、水素、ナトリウム若しくはカリウムから選択される。好ましくは、R15は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換C6~9アルキルである。好ましくはこのような漂白成分は、0.01~50重量%、又は0.1~20重量%の量で本発明の組成物中に存在してよい。
【0227】
(2)過酸化水素源としては、例えば、過ホウ酸(通常は一水和物又は四水和物)、過炭酸、過硫酸、過リン酸、過ケイ酸のナトリウム塩及びこれらの混合物などのアルカリ金属塩を含む無機過酸化水和物塩類が挙げられる。本発明の一態様では、無機過酸化水和物塩類、例えば、過ホウ酸、過炭酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるものなど。使用する場合には、無機過酸化水和物塩類は、組成物全体の0.05~40重量%、又は1~30重量%の量で存在し、典型的に、結晶性固体のような組成物に含有させるが、この固体をコーティングしてもよい。好適なコーティングは、アルカリ金属ケイ酸塩、炭酸塩若しくはホウ酸塩又はこれらの混合物などの無機塩、或いは、水溶性若しくは分散性ポリマー、ワックス、油又は脂肪酸石鹸などの有機材料を含む。好ましくは、このような漂白成分は、0.01~50重量%又は0.1~20重量%の量で、本発明の組成物中に存在させることができる。
【0228】
(3)漂白活性化剤という用語は、本明細書では、過酸化水素と反応して、過加水分解を介して過酸を形成する化合物を意味する。このように形成された過酸は、活性化漂白剤を構成する。本明細書で使用される好適な漂白活性化剤としては、エステル、アミド、イミド、又は無水物のクラスに属するものが挙げられる。好適な漂白活性化剤は、R-(C=O)-Lを有するものであり、式中、Rは、漂白活性化剤が疎水性の場合には、6~14個の炭素原子又は8~12個の炭素原子、また漂白活性化剤が親水性の場合には、6個未満の炭素原子又は4個未満の炭素原子を有する、任意選択で分枝状のアルキル基であり;Lは脱離基である。好適な脱離基の例は、安息香酸及びその誘導体、特にベンゼンスルホネートである。好適な漂白活性化剤としては、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸又はその塩、3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、4-[(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)オキシ]ベンゼン-1-スルホン酸ナトリウム(ISONOBS)、4-(ドデカノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホネート(LOBS)、4-(デカノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホネート、4-(デカノイルオキシ)ベンゾエート(DOBS又はDOBA)、4-(ノナノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホネート(NOBS)、及び/又は国際公開第98/17767号パンフレットに開示されるものが挙げられる。漂白活性化剤のファミリーが、欧州特許第624154号明細書に開示され、そのファミリーの中で特に好ましいのはアセチルトリエチルシトレート(ATC)である。ATC又はトリアセチンのような短鎖トリグリセリドは、環境にやさしいという利点を有する。さらに、アセチルトリエチルシトレート及びトリアセチンは、貯蔵の際に製品中で良好な加水分解安定性を有し、また効率的な漂白活性化剤である。最終的に、ATCは、過加水分解反応で放出されるシトレートがビルダーとして機能し得るので多機能である。或いは、漂白系は、例えば、アミド、イミド、又はスルホンタイプのペルオキソ酸を含むことができる。漂白系はまた、6-(フタロイルイミド)ペルカプロン酸(PAP)などの過酸を含むことができる。また、好適な漂白活性化剤は国際公開第98/17767号パンフレットにも開示されている。任意の好適な漂白活性化剤を使用することができるが、本発明の一態様では、対象の洗浄組成物は、NOBS、TAED、又はこれらの混合物を含むことができる。存在する場合、過酸及び/又は漂白活性化剤は、一般に、布地及びホームケア組成物を基準にして、0.1~60重量%、0.5~40重量%、又は0.6~10重量%の量で組成物中に存在する。1種又は複数の疎水性過酸又はその前駆体を1種又は複数の親水性過酸又はその前駆体と組み合わせて使用することができる。好ましくは、このような漂白成分は、0.01~50重量%、又は0.1~20重量%の量で、本発明の組成物中に存在させることができる。
【0229】
過酸化水素源及び過酸又は漂白活性化剤の量は、利用可能な酸素(過酸化物源由来)と過酸とのモル比が、1:1~35:1、又はさらには2:1~10:1となるように選択することができる。
【0230】
(4)ジアシル過酸化物-好ましいジアシル過酸化物漂白種には、一般式:R-C(O)-OO-(O)C-R(式中、Rは、少なくとも5個の炭素原子の直鎖を含有し、任意選択で1個又は複数の置換基(例えば、-N(CH、-COOH若しくは-CN)及び/又はアルキル基の隣接する炭素原子間に挿入された1つ又は複数の割り込み部分(例えば、-CONH-若しくは-CH=CH-)を含有する、C~C18アルキル、好ましくはC~C12アルキル基を示し;Rは、過酸化物部分と適合する脂肪族基を示し、その結果、R及びRは合わせて計8~30個の炭素原子を含有する)のジアシル過酸化物から選択されるものが含まれる。好ましい一態様では、R及びRは、直鎖非置換C~C12アルキル鎖である。最も好ましくは、R及びRは同一である。R及びRの両方がC6~C12アルキル基であるジアシル過酸化物が特に好ましい。好ましくは、R基(R又はR)の少なくとも一方、最も好ましくはその一方のみは、アルファ位置に、又は好ましくはアルファ位置にもベータ位置にも、或いは最も好ましくはアルファ位置にもベータ位置にもガンマ位置にも分枝もペンダント環も含まない。さらに好ましい一実施形態では、好ましくは、R1アシル基の加水分解は過酸を生成するように迅速であるが、R2アシル基の加水分解は緩慢であるように、DAPを非対称とすることができる。
【0231】
テトラアシル過酸化物漂白種は、好ましくは、一般式:R-C(O)-OO-C(O)-(CH)n-C(O)-OO-C(O)-R(式中、Rは、C~Cアルキル基又はC~Cアルキル基を示し;nは、2~12又は4~10の整数(両端の値を含む)を示す)のテトラアシル過酸化物から選択される。
【0232】
好ましくは、ジアシル及び/又はテトラアシル過酸化物漂白種は、洗浄液の重量を基準として少なくとも0.5ppm、少なくとも10ppm、又は少なくとも50ppm供給するのに十分な量で存在する。好ましい実施形態では、漂白種は、洗浄液の重量を基準として0.5~300ppm、30~150ppm供給するのに十分な量で存在する。
【0233】
好ましくは、漂白成分は、漂白触媒(5及び6)を含む。
【0234】
(5)好ましい有機(非金属)漂白触媒としては、過酸及び/又はその塩から酸素原子を受容して、その酸素原子を酸化可能な基質に輸送することができる漂白触媒がある。好適な漂白触媒として、これらに限定されないが、イミニウムカチオン及びポリイオン;イミニウム双性イオン;修飾アミン;修飾アミン酸化物;N-スルホニルイミン;N-ホスホニルイミン;N-アシルイミン;チアジアゾール二酸化物;ペルフルオロイミン;環状糖ケトン並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0235】
好適なイミニウムカチオン及びポリイオンとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Tetrahedron(1992),49(2),423-38(例えば、compound 4,p.433)に記載のように調製される、N-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムテトラフルオロホウ酸塩;米国特許第5360569号明細書(例えば、Column 11,Example 1)に記載のように調製される、N-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムp-トルエンスルホン酸塩;並びに米国特許第5360568号明細書(例えば、Column 10,Ex.3)に記載のように調製される、N-オクチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムp-トルエンスルホン酸塩。
【0236】
好適なイミニウム双性イオンとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:米国特許第5576282号明細書(例えば、Column 31,Ex.II)に記載のように調製される分子内塩である、N-(3-スルホプロピル)-3,4-ジヒドロイソキノリウム;米国特許第5817614号明細書(例えば、Column 32,Ex.V)に記載のように調製される分子内塩である、N-[2-(スルホキシ)ドデシル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム;国際公開第05/047264号パンフレット(例えば、第18頁、Ex.8)に記載のように調製される分子内塩である、2-[3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、;並びに分子内塩である2-[3-[(2-ブチルオクチル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム。
【0237】
好適な修飾アミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-メチル-1-イソキノリノールがあり、これは、Tetrahedron Letters(1987),28(48),6061-6064に記載の方法に従い製造することができる。好適な修飾アミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、ナトリウム1-ヒドロキシ-N-オキシ-N-[2-(スルホキシ)デシル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンがある。
【0238】
好適なN-スルホニルイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Journal of Organic Chemistry(1990),55(4),1254-61に記載の方法に従い調製される、3-メチル-1,2-ベンズイソチアゾール1,1-二酸化物がある。
【0239】
好適なN-ホスホニルイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Journal of the Chemical Society,Chemical Communications(1994),(22),2569-70に記載の方法に従い調製される、「R-(E)]-N-[(2-クロロ-5-ニトロフェニル)メチレン]-P-フェニル-P-(2,4,6-トリメチルフェニル)-ホスフィン酸アミドがある。
【0240】
好適なN-アシルイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Polish Journal of Chemistry(2003),77(5),577-590に記載の方法に従い調製される、「N(E)]-N-(フェニルメチレン)アセトアミドがある。
【0241】
好適なチアジアゾール二酸化物酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、米国特許第5753599号明細書(Column 9,Ex.2を参照)に記載の方法に従い調製される、3-メチル-4-フェニル-1,2,5-チアジアゾール1,1-ジオキシドがある。
【0242】
好適なペルフルオロイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Tetrahedron Letters(1994),35(34),6329-30に記載の方法に従い製造することができる、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-N-(ノナフルオロブチル)ブタンイミドイルフッ化物がある。
【0243】
好適な環状糖ケトン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、米国特許第6649085号明細書(Column 12,Ex.1)に記載の方法に従い調製される、1,2:4,5-ジ-O-イソプロピリデン-D-エリスロ-2,3-ヘキソジウロ-2,6-ピラノースがある。
【0244】
好ましくは、漂白触媒は、イミニウム及び/若しくはカルボニル官能基を含み、典型的に、酸素原子の受容時、特に過酸及び/若しくはその塩からの酸素原子の受容時に、オキサジリジウム及び/若しくはジオキシラン官能基を形成することができる。好ましくは、漂白触媒は、オキサジリジウム官能基を含み、及び/又は酸素原子の受容時、特に過酸及び/若しくはその塩からの酸素原子の受容時に、オキサジリジウム官能基を形成することができる。好ましくは、漂白成分は、環状イミニウム官能基を含み、好ましくは、環状部分は、5~8原子(窒素原子を含む)、好ましくは6原子の環サイズを有する。好ましくは、漂白触媒は、アリリミニウム官能基、好ましくは二環式アリリミニウム官能基、好ましくは3,4-ジヒドロイソキノリニウム官能基を含む。典型的には、イミン官能基は、4級イミン官能基であり、典型的に、酸素原子の受容時、特に過酸及び/若しくはその塩からの酸素原子の受容時に、4級オキサジリジウム官能基を形成することができる。別の態様では、洗剤組成物は、0以下のlogPo/w、-0.5以下のlogPo/w、-1.0以下のlogPo/w、-1.5以下のlogPo/w、-2.0以下のlogPo/w、-2.5以下のlogPo/w、-3.0以下のlogPo/w、或いは-3.5以下のlogPo/wを有する漂白成分を含む。logPo/wを決定する方法については、以下に詳しく記載する。
【0245】
典型的に、漂白成分は、0.01~0.30、0.05~0.25、或いは0.10~0.20のXSOを有する漂白種を生成することができる。XSOを決定する方法については、以下に詳しく記載する。例えば、イソキノリニウム構造を有する漂白成分は、オキサジリジウム構造を有する漂白種を生成することができる。この例では、XSOは、オキサジリジウム漂白種のそれである。
【0246】
好ましくは、漂白触媒は、下記の化学式:
【化4】
に対応する化学構造を有し、
式中、n及びmは、独立して、0~4であり、好ましくは、n及びmは両方が0であり;各Rは、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、融合アリール、複素環、融合複素環、ニトロ、ハロ、シアノ、スルホナト、アルコキシ、ケト、カルボキシル及びカルボアルコキシラジカルからなる群から選択される置換若しくは非置換ラジカルから選択され;並びに任意の2つの隣接R置換基が結合して、融合アリール、融合炭素環若しくは融合複素環を形成してもよく;各Rは、独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルキレン、複素環、アルコキシ、アリールカルボニル基、カルボキシアルキル基及びアミド基からなる群から選択される置換若しくは非置換ラジカルから独立して選択され;任意のRがいずれか他のRと結合して、共通環の一部を形成してもよく;任意のジェミナルRが結合してカルボニルを形成してもよく;また、任意の2つのRが結合して、置換若しくは非置換の融合した不飽和部分を形成してもよく;Rは、C~C20置換若しくは非置換アルキルであり;Rは、水素又は部分Q-Aであり、ここで、Qは、分岐又は非分岐アルキレンであり、t=0又は1であり、Aは、OSO 、SO 、CO 、OCO 、OPO 2-、OPO及びOPO からなる群から選択されるアニオン基であり;Rは、水素又は部分-CR1112-Y-G-Y-[(CR10-O]-Rであり;ここで、各Yは、独立して、O、S、N-H、又はN-Rからなる群から選択され;各Rは、独立して、アルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、前記部分は、置換若しくは非置換であり、置換若しくは非置換のいずれにかかわらず、前記部分は、21個未満の炭素を有し;各Gは、独立して、CO,SO、SO、PO及びPOからなる群から選択され;R及びR10は、独立して、H及びC~Cアルキルからなる群から選択され;R11及びR12は、独立して、H及びアルキルからなる群から選択されるか、又は合わせて考える場合、結合してカルボニルを形成してもよく;b=0又は1;c=0又は1であってよいが、b=0であるとき、c=0でなければならない;yは1~6の整数であり;kは0~20の整数であり;RはH、又はアルキル、アリール若しくはヘテロアリール部分であり;前記部分は、置換若しくは非置換であり;Xは、それが存在すれば、好適な電荷平衡対イオンであり、Rが水素である場合には、Xが存在するのが好ましく、好適なXとしては、これらに限定されないが、塩化物、臭化物、硫酸塩、メトサルフェート、スルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ボロンテトラフルオリド及びリン酸塩が挙げられる。
【0247】
本発明の一実施形態において、漂白触媒は、下記の一般式:
【化5】
に対応する化学構造を有し
式中、R13は、3~24個の炭素原子(分岐炭素原子を含む)を含む分岐アルキル基及び1~24個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり;好ましくは、R13は、8~18個の炭素原子を含む分岐アルキル基又は8~18個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり;好ましくは、R13は、2-プロピルへプチル、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、イソ-ノニル、イソ-デシル、イソ-トリデシル及びイソ-ペンタデシル;好ましくは、R13は、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル、イソ-トリデシル及びイソ-ペンタデシルからなる群から選択される。
【0248】
好ましくは、漂白成分は、漂白触媒以外に、過酸源、特に有機漂白触媒を含む。過酸源は、以下:(a)事前に形成した過酸、(b)好ましくは漂白活性化剤と組み合わせた過炭素塩、過ホウ酸塩又は過硫酸塩(過硫酸水素源);及び(c)織物又は硬質表面処理ステップにおいて、水の存在下、in situで過酸を形成するペルヒドラーゼ酵素及びエステルから選択してもよい。
【0249】
過酸及び/又は漂白活性化剤が存在する場合、これは、一般に、組成物に対して、0.1~60重量%、0.5~40重量%、又は0.6~10重量%存在する。1種又は複数種の疎水性過酸又はその前駆体を1種又は複数種の親水性過酸又はその前駆体と組み合わせて用いてもよい。
【0250】
過酸化水素源及び過酸若しくは漂白活性化剤の量は、利用可能な酸素(過酸化物源から):過酸のモル比が、1:1~35:1、或いは2:1~10:1であるように選択してよい。
【0251】
(6)金属含有漂白触媒-触媒成分は、触媒金属複合体によって提供してもよい。1タイプの金属含有漂白触媒は、例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、若しくはマンガンカチオンなどの規定の漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛若しくはアルミニウムカチオンなどの、漂白触媒活性がほとんど又は全くない補助金属カチオン、並びに触媒及び補助金属カチオンについて既定の安定定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンリン酸)及びそれらの水溶性塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4430243号明細書に開示されている。好ましい触媒は、国際公開第09/839406号パンフレット、米国特許第6218351号明細書及び国際公開第00/012667号パンフレットに記載されている。遷移金属触媒、又は架橋多座配位子N-ドナー配位子である配位子が特に好ましい。
【0252】
必要に応じて、本明細書の組成物は、マンガン化合物を用いて、触媒することができる。このような化合物及び使用レベルは、当業者には公知であり、例えば、米国特許第5576282号明細書に開示のマンガンベースの触媒がある。
【0253】
本発明で有用なコバルト漂白触媒は公知であり、例えば、米国特許第5597936号明細書;米国特許第5595967号明細書に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば、米国特許第5597936号明細書及び米国特許第5595967号明細書に教示されているような公知の方法によって容易に調製される。
【0254】
本発明の組成物は、ビスピドン(米国特許第7501389号明細書)及び/又は大多環式硬質配位子(略称「MRL」)などの配位子の遷移金属複合体を含むのが好適である。実際に、また非限定的に、水性洗浄媒質中少なくとも1億分の1部前後の活性MRL種、典型的には、洗浄液中0.005~25ppm、0.05~10ppm、或いは0.1~5ppmのMRLを提供するように、本発明の組成物及び方法を調節することができる。
【0255】
本発明の遷移金属漂白触媒中の好適な遷移金属としては、例えば、マンガン、鉄及びクロミウムがある。好適なMRLには、5,12-ジエチル-1,5,8,12-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンが含まれる。好適な遷移金属MRLは、例えば、米国特許第6225464号明細書及び国際公開第00/32601号パンフレットに教示されているような公知の手順により容易に調製される。
【0256】
(7)光漂白剤-好適な光漂白剤としては、例えば、スルホン化亜鉛フタロシアン スルホン化アルミニウムフタロシアン、キサンテン染料及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物に用いるのに好ましい漂白成分には、過酸化水素源、漂白活性化剤及び/又は有機過酸(任意選択で、過酸化水素源と漂白活性化剤の反応によりin situで生成する)が、漂白触媒と組み合わせて含まれる。好ましい漂白成分は、前述したように、漂白触媒、好ましくは有機漂白触媒を含む。
【0257】
特に好ましい漂白成分は、漂白触媒、特に有機漂白触媒である。
【0258】
例示的な漂白系はまた、例えば、国際公開第2007/087258号パンフレット、国際公開第2007/087244号パンフレット、国際公開第2007/087259号パンフレット、及び国際公開第2007/087242号パンフレットに記載されている。
【0259】
布地色調剤-組成物は布地色調剤を含むことができる。好適な布地色調剤には、染料、染料-粘土コンジュゲート、及び顔料が含まれる。好適な染料としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレット、アシッドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット、及びベーシックレッドのカラーインデックス(C.I.)分類に該当する染料、又はそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0260】
別の態様では、好適な小分子染料として、ダイレクトバイオレット9、ダイレクトバイオレット35、ダイレクトバイオレット48、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトバイオレット66、ダイレクトバイオレット99、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー80、ダイレクトブルー279、アシッドレッド17、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドバイオレット15、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット24、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー15、アシッドブルー17、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー40、アシッドブルー45、アシッドブルー75、アシッドブルー80、アシッドブルー83、アシッドブルー90及びアシッドブルー113、アシッドブラック1、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット35、ベーシックブルー3、ベーシックブルー16、ベーシックブルー22、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、ベーシックブルー75、ベーシックブルー159のカラーインデックス(Society of Dyers and Colorists,Bradford,UK)番号、及びそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料として、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー45、アシッドブルー113、アシッドブラック1、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51のカラーインデックス(Society of Dyers and Colorists,Bradford,UK)番号、及びそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料として、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113のカラーインデックス(Society of Dyers and Colorists,Bradford,UK)番号、又はそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0261】
好適なポリマー染料としては、コンジュゲートしたクロモゲンを含有するポリマー(染料-ポリマーコンジュゲート)及びポリマー骨格の中に共重合したクロモゲンを有するポリマーからなる群から選択されるポリマー染料、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0262】
別の態様では、好適なポリマー染料として、Liquitint(登録商標)(Milliken)の名称で販売されている布地実質着色剤、少なくとも1つの反応性染料とヒドロキシル部分、第一級アミン部分、第二級アミン部分、チオール部分、及びそれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーとから形成される染料-ポリマーコンジュゲートからなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。さらに別の態様では、好適なポリマー染料として、Liquitint(登録商標)バイオレットCT、リアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッド染料とコンジュゲートしたカルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば商品名AZO-CM-CELLULOSE、製品コードS-ACMCの下でMegazyme,Wicklow,Irelandにより販売されている、C.I.リアクティブブルー19とコンジュゲートしたCMC、アルコキシル化トリフェニル-メタンポリマー着色剤、アルコキシル化チオフェンポリマー着色剤、及びそれらの混合物からなる群より選択されるポリマー染料が挙げられる。
【0263】
好ましい色調染料には、国際公開第08/87497号パンフレットに見出される増白剤が含まれる。これらの増白剤は以下の構造(I)によって特徴づけることができる:
【化6】
式中、R及びRは、独立して、以下のものから選択することができる:
a)[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;R”は、H、CHO(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦5;y≧1;且つz=0~5である;
b)R=アルキル、アリール、又はアリールアルキル且つR=[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;R”は、H、CHO(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦10;y≧1;且つz=0~5である;
c)R=[CHCH(OR)CHOR]及びR=[CHCH(OR)CHOR
式中、Rは、H、(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;且つz=0~10であり;
は、(C~C16)アルキル基、アリール基、及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
d)R1及びR2は、独立して、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びグリシジルヘキサデシルエーテルのアミノ付加生成物に、1~10アルキレンオキシド単位を付加したものから選択することができる。
【0264】
本発明の好ましい増白剤は、以下の構造(II)によって特徴づけることができる:
【化7】
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;R”は、H、CHO(CHCHO)H、及びそれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦5;y≧1;且つz=0~5である。
【0265】
本発明のさらなる好ましい増白剤は、以下の構造(III)によって特徴づけることができる:
【化8】
典型的には合計5個のEO基を有する混合物を含む。好適な好ましい分子は、上記の「パートa」において、以下のペンダント基を有する構造Iに属するものである。
【0266】
【表3】
【0267】
さらなる有用な増白剤には、米国特許出願公開第2008/34511号明細書(Unilever)に記載されているものが含まれる。好ましい増白剤は「バイオレット13」である。
【0268】
好適な染料粘土コンジュゲートとしては、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料とスメクタイト粘土とを含む群から選択される染料粘土コンジュゲート並びにそれらの混合物が挙げられる。別の態様では、好適な染料粘土コンジュゲートとして、C.I.ベーシックイエロー1~108、C.I.ベーシックオレンジ1~69、C.I.ベーシックレッド1~118、C.I.ベーシックバイオレット1~51、C.I.ベーシックブルー1~164、C.I.ベーシックグリーン1~14、C.I.ベーシックブラウン1~23、CIベーシックブラック1~11からなる群から選択される1つのカチオン性/塩基性染料と、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土からなる群から選択される粘土とからなる群から選択される染料粘土コンジュゲート並びにそれらの混合物が挙げられる。さらに別の態様では、好適な染料粘土コンジュゲートとして、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160コンジュゲート、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2コンジュゲート、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595コンジュゲート、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015コンジュゲート、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555コンジュゲート、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040コンジュゲート、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160コンジュゲート、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2コンジュゲート、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595コンジュゲート、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015コンジュゲート、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555コンジュゲート、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040コンジュゲート、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160コンジュゲート、サポナイトC.I.ベーシックブラック2コンジュゲート、及びそれらの混合物からなる群から選択される染料粘土コンジュゲートが挙げられる。
【0269】
好適な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1~4個の塩素原子を有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド(イミド基はC1~C3-アルキル又はフェニル又は複素環基で置換されていなくても置換されていてもよく、フェニル及び複素環基は水溶性を付与しない置換基をさらに保持していてもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、銅フタロシアニン(1分子当たり最大2個の塩素原子を含有していてもよい)、ポリクロロ-銅フタロシアニン又はポリブロモクロロ-銅フタロシアニン(1分子当たり最大14個の臭素原子を含有する)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0270】
別の態様では、好適な顔料として、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)、及びそれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0271】
前述の布地色調剤は、組み合わせて使用することができる(布地色調剤のいずれの混合物も使用することができる)。好適な色調剤は、米国特許第7208459号明細書に詳細に記載されている。本発明の組成物中の染料の好ましいレベルは、0.00001~0.5重量%、又は0.0001~0.25重量%である。処理及び/又は洗浄段階に対して水中での好ましい染料濃度は、1ppb~5ppm、10ppb~5ppm、又は20ppb~5ppmである。好ましい組成物では、界面活性剤の濃度は、0.2~3g/lである。
【0272】
カプセル-組成物はカプセルを含むことができる。一態様において、カプセルは、コア、内表面及び外表面を有するシェルを含み、前記シェルは前記コアを被包している。
【0273】
前記カプセルの一態様では、前記コアは、香料;増白剤;染料;防虫剤;シリコーン;ワックス;香味料;ビタミン類;布地柔軟剤;スキンケア剤、一態様では、パラフィン;酵素;抗菌剤;漂白剤;感覚惹起剤;及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことができ;前記シェルは、ポリエチレン;ポリアミド;ポリビニルアルコール、任意選択で他のコモノマーを含有する;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アミノプラスト、一態様では、前記アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン、及び/又はポリ尿素ウレタンを含むことができ、一態様では、前記ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含むことができる;ポリオレフィン;多糖、一態様では、前記多糖はアルギネート及び/又はキトサンを含むことができる;ゼラチン;シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機物;シリコーン;並びにそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことができる。
【0274】
前記カプセルの一態様では、前記コアは香料を含むことができる。
【0275】
前記カプセルの一態様では、前記シェルはメラミンホルムアルデヒド及び/又は架橋メラミンホルムアルデヒドを含むことができる。
【0276】
一態様では、好適なカプセルはコア材料及びシェルを含むことができ、前記コアを少なくとも部分的に包囲する前記シェルが開示されている。前記カプセルの少なくとも75%、85%、又は90%は、0.2~10MPa、0.4~5MPa、0.6~3.5MPa、又は0.7~3MPaの破壊強度;及び0~30%、0~20%、又は0~5%の有益剤の漏出を有することができる。
【0277】
一態様では、前記カプセルの少なくとも75%、85%、又は90%は、1~80ミクロン、5~60ミクロン、10~50ミクロン、又は15~40ミクロンの粒子サイズを有することができる。
【0278】
一態様では、前記カプセルの少なくとも75%、85%、又は90%は、30~250nm、80~180nm、又は100~160nmの粒子壁厚を有することができる。
【0279】
一態様では、前記カプセルコア材料は、香料原材料からなる群から選択される材料及び/又は任意選択で、植物油、例えば、ヒマシ油、ヤシ油、綿実油、ブドウ油、菜種、大豆油、トウモロコシ油、パーム油、亜麻仁油、サフラワー油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヤシ油、パーム核油、ヒマシ油、レモン油、及びそれらの混合物を含む純粋及び/又はブレンド植物油;植物油のエステル、ジブチルアジペート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルアジペート、ベンジルオクチルアジペート、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びそれらの混合物を含むエステル;約80℃超の沸点を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素;部分的に水素化されたテルフェニル、ジアルキルフタレート、モノイソプロピルビフェニルを含むアルキルビフェニル、ジプロピルナフタレンを含むアルキル化ナフタレン、灯油を含む石油スピリット、鉱油、及びそれらの混合物;ベンゼン、トルエン、及びそれらの混合物を含む芳香族溶媒;シリコーン油;並びにそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことができる。
【0280】
一態様では、前記カプセル壁材は、アルデヒド及びアミンの反応生成物を含む好適な樹脂を含むことができ、好適なアルデヒドとしてはホルムアルデヒドが挙げられる。好適なアミンとしては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、及びそれらの混合物が挙げられる。好適なメラミンとしては、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミン、及びそれらの混合物が挙げられる。好適な尿素としては、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素-レゾルシノール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0281】
一態様では、好適なホルムアルデヒド捕捉剤を、例えばカプセルスラリー中でカプセルと共に使用することができ、且つ/又はカプセルが組成物に加えられる前、その間、又はその後に組成物に加えることができる。好適なカプセルは、米国特許出願公開第2008/0305982号明細書;及び/又は米国特許出願公開第2009/0247449号明細書の教示により作製することができる。
【0282】
好ましい態様では、組成物はまた、好ましくはカチオン性ポリマー又は非イオン性ポリマーを含む群からなる付着助剤を含むことができる。好適なポリマーとしては、カチオン性デンプン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルホルムアルデヒド、ローカストビーンガム、マンナン、キシログルカン、タマリンドガム、ポリエチレンテレフタレート、並びに任意選択でアクリル酸及びアクリルアミドを含む群から選択される1つ又は複数のモノマーと共にジメチルアミノエチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられる。
【0283】
香料-一態様では、組成物は、以下のものからなる群から選択される1つ又は複数の香料原料を含む香料を含む:1,1’-オキシビス-2-プロパノール;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸,ジエチルエステル;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;1,3-ノナンジオール,モノアセテート;(3-メチルブトキシ)酢酸,2-プロペニルエステル;ベータ-メチルシクロドデカンエタノール;2-メチル-3-[(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)オキシ]-1-プロパノール;オキサシクロヘキサデカン-2-オン;アルファ-メチル-ベンゼンメタノールアセテート;トランス-3-エトキシ-1,1,5-トリメチルシクロヘキサン;4-(1,1-ジメチルエチル)シクロヘキサノールアセテート;ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン;ベータ-メチルベンゼンプロパナール;ベータ-メチル-3-(1-メチルエチル)ベンゼンプロパナール;4-フェニル-2-ブタノン;2-メチルブタン酸,エチルエステル;ベンズアルデヒド;2-メチルブタン酸,1-メチルエチルエステル;ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)フラノン;(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;ドデカナール;ウンデカナール;2-エチル-アルファ,アルファ-ジメチルベンゼンプロパナール;デカナール;アルファ,アルファ-ジメチルベンゼンエタノールアセテート;2-(フェニルメチレン)オクタナール;2-[[3-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]-2-メチルプロピリデン]アミノ]安息香酸,メチルエステル;1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;2-ペンチルシクロペンタノン;3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸,メチルエステル;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-エトキシ-4-オキシベンズアルデヒド;2-ヘプチルシクロペンタノン;1-(4-メチルフェニル)エタノン;(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン;(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン;ベンゼンエタノール;2H-1-ベンゾピラン-2-オン;4-メトキシベンズアルデヒド;10-ウンデセナール;プロパン酸,フェニルメチルエステル;ベータ-メチルベンゼンペンタノール;1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン;アルファ,アルファ-ジメチルベンゼンエタノール;(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;酢酸,フェニルメチルエステル;シクロヘキサンプロパン酸,2-プロペニルエステル;ヘキサン酸,2-プロペニルエステル;1,2-ジメトキシ-4-(2-プロペニル)ベンゼン;1,5-ジメチル-ビシクロ[3.2.1]オクタノ-8-オンオキシム;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド;3-ブテン-2-オール;2-[[[2,4(又は3,5)-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]メチレン]アミノ]安息香酸,メチルエステル;8-シクロヘキサデセン-1-オン;メチルイオノン;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール;(2E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール;2-ヒドロキシ-安息香酸,(3Z)-3-ヘキセニルエステル;2-トリデセンニトリル;4-(2,2-ジメチル-6-メチレンシクロヘキシル)-3-メチル-3-ブテン-2-オン;テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン;酢酸,(2-メチルブトキシ)-,2-プロペニルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,3-メチルブチルエステル;2-ブテン-1-オン,1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-,(Z)-;シクロペンタンカルボン酸,2-ヘキシル-3-オキソ-,メチルエステル;ベンゼンプロパナール,4-エチル-.アルファ.,.アルファ.-ジメチル-;3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-;エタノン,1-(2,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,6,8,8-テトラメチル-1H-3a,7-(メタノアズレン-5-イル)-,[3R-(3.アルファ.,3a.ベータ.7.ベータ.,8a.アルファ.)]-;ウンデカナール,2-メチル-2H-ピラン-2-オン,6-ブチルテトラヒドロ-;ベンゼンプロパナール,4-(1,1-ジメチルエチル)-.アルファ.-メチル-;2(3H)-フラノン,5-ヘプチルジヒドロ-;安息香酸,2-[(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクチリデン)アミノ]-,メチル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,フェニルメチルエステル;ナフタレン,2-メトキシ-;2-シクロペンテン-1-オン,2-ヘキシル-;2(3H)-フラノン,5-ヘキシルジヒドロ-;オキシランカルボン酸,3-メチル-3-フェニル-,エチルエステル;2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン,1,3,3-トリメチル-;ベンゼンペンタノール,.ガンマ.-メチル-;3-オクタノール,3,7-ジメチル-;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール;テルピネオールアセテート;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール,ジヒドロ誘導体;3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-6-オールプロパノエート;3-メチル-2-ブテン-1-オールアセテート;(Z)-3-ヘキセン-1-オールアセテート;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール;4-(オクタヒドロ-4,7-メタノ-5H-インデン-5-イリデン)-ブタナール;3-2,4-ジメチル-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド;1-(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル-エタノン;2-ヒドロキシ-安息香酸,メチルエステル;2-ヒドロキシ-安息香酸,ヘキシルエステル;2-フェノキシ-エタノール;2-ヒドロキシ-安息香酸,ペンチルエステル;2,3-ヘプタンジオン;2-ヘキセン-1-オール;6-オクテン-2-オール,2,6-ジメチル-;ダマスコン(アルファ、ベータ、ガンマ、若しくはデルタ、又はそれらの混合物),4,7-メタノ-1H-インデン-6-オール,3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-,アセテート;9-ウンデセナール;8-ウンデセナール;イソシクロシトラール;エタノン,1-(1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-;3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド,3,5-ジメチル-;3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド,2,4-ジメチル-;1,6-オクタジエン-3-オール,3,7-ジメチル-;1,6-オクタジエン-3-オール,3,7-ジメチル-,アセテート;リリアル(p-t-ブシナール)、及びシクロペンタノン、2-[2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル]-及び1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン、並びにそれらの混合物。
【0284】
一態様では、組成物は、水溶性ヒドロキシル化合物又はメラミン-ホルムアルデヒド又は修飾ポリビニルアルコールのいずれかを含むカプセル化香料粒子を含むことができる。一態様では、カプセルは、(a)1種又は複数の水溶性ヒドロキシル化合物を含む少なくとも部分的に水溶性の固体マトリックス、好ましくはデンプン;及び(b)固体マトリックスによりカプセル化された香油を含む。
【0285】
さらなる態様では、香料は、シッフ塩基を形成するように、ポリアミン、好ましくはポリエチレンイミンと事前に複合体形成させることができる。
【0286】
ポリマー-組成物は1種又は複数のポリマーを含むことができる。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリアクリレートなどのポリカルボキシレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーがある。
【0287】
組成物は、以下の一般構造を有する化合物などの1種又は複数の両親媒性洗浄ポリマーを含むことができる:ビス((CO)(CO)n)(CH)-N-C2x-N-(CH)-ビス((CO)(CO)n)、式中、n=20~30、x=3~8である。
【0288】
組成物は、布地及び表面から油脂粒子を除去するように、親水性と疎水性のバランスが取れた両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマーを含むことができる。本発明の両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマーの特定の実施形態は、コア構造及びそのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基を含む。これらは、内側のポリエチレンオキシドブロックと外側のポリプロピレンオキシドブロックとを好ましくは有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含むことができる。
【0289】
ポリアクリレートから調製されるものなどアルコキシル化ポリカルボキシレートは、さらなる油脂除去性能を提供するのに本明細書において有用である。このような材料は、国際公開第91/08281号パンフレット及びPCT90/01815号明細書に記載されている。化学的には、これらの材料は、7~8個のアクリレート単位当たり1個のエトキシ側鎖を有するポリアクリレートを含む。この側鎖は、式-(CHCHO)(CHCH(式中、mは2~3、nは6~12である)である。この側鎖は、ポリアクリレート「骨格」にエステル結合して、「コーム」ポリマー型構造を与える。分子量は変動し得るものであるが、典型的には、2000~50,000の範囲にある。このようなアルコキシル化ポリカルボキシレートは、本明細書では組成物の0.05重量%~10重量%で含むことができる。
【0290】
本発明のイソプレノイド由来界面活性剤、並びに他の共界面活性剤及び他の補助成分とのそれらの混合物は、両親媒性グラフトコポリマーと共に使用するのに特に適しており、好ましくは、両親媒性グラフトコポリマーは、(i)ポリエチレングリコール骨格と、(ii)ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのペンダント部分とを含む。好ましい両親媒性グラフトコポリマーは、BASFから供給されるSokalan HP22である。好適なポリマーとしては、ランダムグラフトコポリマー、好ましくは、ポリエチレンオキシド骨格及び複数のポリビニルアセテート側鎖を有するポリビニルアセテートグラフト化ポリエチレンオキシドポリマーが挙げられる。ポリエチレンオキシド骨格の分子量は好ましくは6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートの重量比は、40~60であり、また50個のエチレンオキシド単位当たり最大1個のグラフト点がある。
【0291】
カルボキシレートポリマー-本発明の組成物はまた、マレアート/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマーなどの1種又は複数のカルボキシレートポリマーを含むことができる。一態様では、カルボキシレートポリマーは、4,000~9,000Da又は6,000~9,000Daの分子量を有するポリアクリレートホモポリマーである。
【0292】
汚染物放出ポリマー-本発明の組成物はまた、以下の構造(I)、(II)、又は(III)の1つによって定義される構造を有する1つ又は複数の汚染物ポリマーを含むことができる:
(I)-[(OCHR-CHR-O-OC-Ar-CO-]
(II)-[(OCHR-CHR-O-OC-sAr-CO-]
(III)-[(OCHR-CHR-OR
式中、
a、b、及びcは、1~200であり;
d、e、及びfは、1~50であり;
Arは、1,4-置換フェニレンであり;
sArは、5位がSOMeで置換されている1,3-置換フェニレンであり;
Meは、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、アルキル基がC~C18アルキル若しくはC~C10ヒドロキシアルキル、又はそれらの混合物であるモノ-、ジ-、トリ-、又はテトラアルキルアンモニウムであり;
、R、R、R、R、及びRは、独立して、H又はC~C18n-又はイソ-アルキルから選択され;且つ
は、直鎖若しくは分枝C~C18アルキル又は直鎖若しくは分枝C~C30アルケニル、又は5~9個の炭素原子を有するシクロアルキル、又はC~C30アリール基、又はC~C30アリールアルキル基である。
【0293】
好適な汚染物放出ポリマーは、Repel-o-texポリマーなどのポリエステル汚染物放出ポリマーであり、Rhodiaにより供給されるRepel-o-tex、SF-2、及びSRP6が含まれる。他の好適な汚染物放出ポリマーとして、Texcareポリマーが挙げられ、Clariantにより供給されるTexcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300、及びSRN325が含まれる。他の好適な汚染物放出ポリマーには、Sasolにより供給されるMarloquest SLなどのMarloquestポリマーがある。
【0294】
セルロースポリマー-本発明の組成物はまた、アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキルセルロースから選択されるものを含む、1種又は複数のセルロースポリマーを含むことができる。一態様では、セルロースポリマーは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びそれらの混合物を含む群から選択される。一態様では、カルボキシメチルセルロースは、0.5~0.9のカルボキシメチル置換度及び100,000~300,000Daの分子量を有する。
【0295】
酵素-組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケアの利点を提供する1種又は複数の酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、これらに限定されないが、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、クロロフィラーゼ、アミラーゼ、又はそれらの混合物が挙げられる。典型的な組合せは、例えば、アミラーゼと組み合わせたプロテアーゼ及びリパーゼを含み得る酵素カクテルである。組成物中に存在する場合、前述の追加の酵素は、組成物の重量を基準として、0.00001~2重量%、0.0001~1重量%、又は0.001~0.5重量%の酵素タンパク質のレベルで存在することができる。
【0296】
一般に、選択される酵素の特性は、選択される洗剤と適合するべきものであり(即ち、至適pH、他の酵素成分及び非酵素成分等との適合性)、また酵素は有効量で存在するべきである。
【0297】
一態様では、好ましい酵素であれば、セルラーゼを含むことになる。好適なセルラーゼとしては、細菌又は真菌を起源とするものが挙げられる。化学修飾又はタンパク質工学による突然変異体が含まれる。好適なセルラーゼとしては、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)に由来するセルラーゼ、例えば、米国特許第4435307号明細書、米国特許第5648263号明細書、米国特許第5691178号明細書、米国特許第5776757号明細書、及び国際公開第89/09259号パンフレットに開示されている、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から産生される真菌セルラーゼが挙げられる。
【0298】
特に好適なセルラーゼは、カラーケアの利点があるアルカリ性又は中性のセルラーゼである。そのようなセルラーゼの例には、欧州特許第0495257号明細書、欧州特許第0531372号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、国際公開第98/08940号パンフレットに記載されるセルラーゼがある。他の例には、国際公開第94/07998号パンフレット、欧州特許第0531315号明細書、米国特許第5457046号明細書、米国特許第5686593号明細書、米国特許第5763254号明細書、国際公開第95/24471号パンフレット、国際公開第98/12307号パンフレット、及びPCT/DK98/00299号明細書に記載されるものなど、セルラーゼ変異体がある。
【0299】
市販のセルラーゼとしては、Celluzyme(商標)、及びCarezyme(商標)(Novozymes A/S)、Clazinase(商標)、及びPuradax HA(商標)(Genencor International Inc.)、及びKAC-500(B)(商標)(Kao Corporation)が挙げられる。
【0300】
一態様では、好ましい酵素にはプロテアーゼが含まれよう。好適なプロテアーゼとしては、細菌、真菌、植物、ウイルス、又は動物起源のもの、例えば植物又は微生物起源のものが挙げられる。微生物起源が好ましい。化学修飾又はタンパク質工学による突然変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼなどのアルカリ性プロテアーゼであってもよい。セリンプロテアーゼは、例えば、トリプシンなどのS1ファミリーであっても、サブチリシンなどのS8ファミリーであってもよい。メタロプロテアーゼは、例えば、ファミリーM4に由来するサーモリシンであっても、M5、M7、又はM8ファミリーに由来するものなど、他のメタロプロテアーゼであってもよい。
【0301】
「サブチラーゼ」という用語は、Siezen et al.,Protein Engng.4(1991)719-737及びSiezen et al.Protein Science 6(1997)501-523による、セリンプロテアーゼの亜群を指す。セリンプロテアーゼは、基質と共有結合付加体を形成する、活性部位のセリンを有することを特徴とするプロテアーゼの亜群である。サブチラーゼは、6つの区分、即ち、サブチリシンファミリー、テルミターゼファミリー、プロテイナーゼKファミリー、ランチビオティックペプチダーゼファミリー、ケキシンファミリー、及びピロリシンファミリーに分類することができる。
【0302】
サブチラーゼの例には、米国特許第7262042号明細書及び国際公開第09/021867号パンフレットに記載される、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)、B.サブチリス(B.subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、及びバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)などのバチルス属(Bacillus)に由来するもの、並びに国際公開第89/06279号パンフレットに記載される、サブチリシンlentus、サブチリシンNovo、サブチリシンCarlsberg、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、サブチリシンBPN’、サブチリシン309、サブチリシン147、及びサブチリシン168、並びに(国際公開第93/18140号パンフレット)に記載されるプロテアーゼPD138がある。他の有用なプロテアーゼには、国際公開第92/175177号パンフレット、国際公開第01/016285号パンフレット、国際公開第02/026024号パンフレット、及び国際公開第02/016547号パンフレットに記載されるものがあり得る。トリプシン様プロテアーゼの例には、トリプシン(例えば、ブタ又はウシに由来する)、及び国際公開第89/06270号パンフレット、国際公開第94/25583号パンフレット、及び国際公開第05/040372号パンフレットに記載されるフザリウム属(Fusarium)プロテアーゼ、及び国際公開第05/052161号パンフレット及び国際公開第05/052146号パンフレットに記載される、セルモナス(Cellumonas)に由来するキモトリプシンプロテアーゼがある。
【0303】
さらなる好ましいプロテアーゼは、例えば国際公開第95/23221号パンフレットに記載される、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483由来のアルカリ性プロテアーゼ、並びに国際公開第92/21760号パンフレット、国際公開第95/23221号パンフレット、欧州特許第1921147号明細書、及び欧州特許第1921148号明細書に記載されるその変異体である。
【0304】
メタロプロテアーゼの例には、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に由来するものなど、国際公開第07/044993号パンフレット(Genencor Int.)に記載される中性メタロプロテアーゼがある。
【0305】
有用なプロテアーゼの例には、国際公開第92/19729号パンフレット、国際公開第96/034946号パンフレット、国際公開第98/20115号パンフレット、国際公開第98/20116号パンフレット、国際公開第99/011768号パンフレット、国際公開第01/44452号パンフレット、国際公開第03/006602号パンフレット、国際公開第04/03186号パンフレット、国際公開第04/041979号パンフレット、国際公開第07/006305号パンフレット、国際公開第11/036263号パンフレット、国際公開第11/036264号パンフレットに記載される変異体、特に、BPN’の番号付けを使用すると、3、4、9、15、27、36、57、68、76、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、118、120、123、128、129、130、160、167、170、194、195、199、205、206、217、218、222、224、232、235、236、245、248、及び274の位置の1つ又は複数に置換を有する変異体がある。より好ましくは、サブチラーゼ変異体は以下の突然変異を含み得る:S3T、V4I、S9R、A15T、K27R、36D、V68A、N76D、N87S、R、97E、A98S、S99G、D、A、S99AD、S101G、M、R S103A、V104I、Y、N、S106A、G118V、R、H120D、N、N123S、S128L、P129Q、S130A、G160D、Y167A、R170S、A194P、G195E、V199M、V205I、L217D、N218D、K235L、Q236H、Q245R、N252K、T274A(BPN’の番号付けを使用)。
【0306】
好適な市販プロテアーゼ酵素としては、商品名Alcalase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Duralase(商標)、Durazym(商標)、Relase(登録商標)、Relase(登録商標)Ultra、Savinase(登録商標)、Savinase(登録商標)Ultra、Primase(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase(登録商標)Ultra、Ovozyme(登録商標)、Coronase(登録商標)、Coronase(登録商標)Ultra、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、及びEsperase(登録商標)であり全てUltra(登録商標)又はEvity(登録商標)として販売可能で(Novozymes A/S)の下で販売されているもの、商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Preferenz(商標)、Purafect MA(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、Purafect OxP(登録商標)、Puramax(登録商標)、Properase(登録商標)、Effectenz(商標)、FN2(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標))、Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)(Danisco/DuPont)、Axapem(商標)(Gist-Brocases N.V.)の下で販売されているもの、BLAP(米国特許第5352604号明細書の図29に示される配列)及びこの変異体(Henkel AG)、並びにKaoからのKAP(バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)サブチリシン)が挙げられる。
【0307】
一態様では、好ましい酵素としてアミラーゼが挙げられよう。好適なアミラーゼは、アルファ-アミラーゼであってもグルコアミラーゼであってもよく、また細菌起源であっても真菌起源であってもよい。化学修飾又はタンパク質工学による突然変異体が含まれる。アミラーゼとしては、例えば、英国特許第1296839号明細書に詳細に記載される、バチルス属(Bacillus)、例えばバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)の特定の菌株から得られるアルファ-アミラーゼが挙げられる。
【0308】
好適なアミラーゼとしては、国際公開第95/10603号パンフレット中の配列番号3を有するアミラーゼ、又は配列番号3に90%の配列同一性を有するその変異体が挙げられる。好ましい変異体は、国際公開第94/02597号パンフレット、国際公開第94/18314号パンフレット、国際公開第97/43424号パンフレット、及び国際公開第99/019467号パンフレットの配列番号4に記載されており、例えば、位置15、23、105、106、124、128、133、154、156、178、179、181、188、190、197、201、202、207、208、209、211、243、264、304、305、391、408、及び444の1つ又は複数に置換を有する変異体である。
【0309】
異なる好適なアミラーゼとして、国際公開第02/010355号パンフレット中の配列番号6を有するアミラーゼ、又は配列番号6に対して90%の配列同一性を有するその変異体が挙げられる。配列番号6の好ましい変異体は、位置181及び182が欠失し、位置193が置換しているものである。
【0310】
好適な他のアミラーゼは、国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号6に示されるB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)に由来するアルファ-アミラーゼの残基1~33と、国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号4に示されるB.リケニフォルミス(B.licheniformis)アルファ-アミラーゼの残基36~483とを含むハイブリッドアルファ-アミラーゼ、又は90%の配列同一性を有するその変異体である。このハイブリッドアルファ-アミラーゼの好ましい変異体は、以下の位置の1つ又は複数において、置換、欠失、又は挿入を有するものである:G48、T49、G107、H156、A181、N190、M197、I201、A209、及びQ264。国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号6に示されるB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)に由来するアルファ-アミラーゼの残基1~33と、配列番号4の残基36~483とを含むハイブリッドアルファ-アミラーゼの最も好ましい変異体は、以下の置換を有するものである:
M197T;
H156Y+A181T+N190F+A209V+Q264S;又は
G48A+T49I+G107A+H156Y+A181T+N190F+I201F+A209V+Q264S。
【0311】
さらなる好適なアミラーゼは、国際公開第99/019467号パンフレット中の配列番号6を有するアミラーゼ又は配列番号6に対して90%の配列同一性を有するその変異体である。配列番号6の好ましい変異体は、以下の位置の1つ又は複数に置換、欠失、又は挿入を有するものである:R181、G182、H183、G184、N195、I206、E212、E216、及びK269。特に好ましいアミラーゼは、位置R181及びG182、又は位置H183及びG184に欠失を有するものである。
【0312】
使用することができるさらなるアミラーゼは、国際公開第96/023873号パンフレットの配列番号1、配列番号3、配列番号2、若しくは配列番号7を有するもの、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号7に対して90%の配列同一性を有するそれらの変異体である。配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号7の好ましい変異体は、以下の位置の1つ又は複数に置換、欠失、又は挿入を有するものである:140、181、182、183、184、195、206、212、243、260、269、304、及び476。より好ましい変異体は、位置181及び182、又は位置183及び184に欠失を有するものである。配列番号1、配列番号2、又は配列番号7の最も好ましいアミラーゼ変異体は、位置183及び184に欠失を、位置140、195、206、243、260、304、及び476の1つ又は複数に置換を有するものである。
【0313】
使用することができる他のアミラーゼは、国際公開第08/153815号パンフレットの配列番号2、国際公開第01/66712号パンフレット中の配列番号10を有するアミラーゼ、又は国際公開第08/153815号パンフレットの配列番号2に対して90%の配列同一性を有するか、若しくは国際公開第01/66712号パンフレット中の配列番号10に対して90%の配列同一性を有するそれらの変異体である。国際公開第01/66712号パンフレット中の配列番号10の好ましい変異体は、以下の位置の1つ又は複数に置換、欠失、又は挿入を有するものである:176、177、178、179、190、201、207、211、及び264。
【0314】
さらに好適なアミラーゼは、国際公開第09/061380号パンフレットの配列番号2を有するアミラーゼ、又は配列番号2に90%の配列同一性を有するその変異体である。配列番号2の好ましい変異体は、C末端の短縮及び/又は以下の位置の1つ若しくは複数に置換、欠失、若しくは挿入を有するものである:Q87、Q98、S125、N128、T131、T165、K178、R180、S181、T182、G183、M201、F202、N225、S243、N272、N282、Y305、R309、D319、Q320、Q359、K444、及びG475。配列番号2のより好ましい変異体は、以下の位置:Q87E、R、Q98R、S125A、N128C、T131I、T165I、K178L、T182G、M201L、F202Y、N225E、R、N272E、R、S243Q、A、E、D、Y305R、R309A、Q320R、Q359E、K444E、及びG475Kの1つ又は複数に置換を有し、且つ/或いは位置R180及び/若しくはS181、又はT182及び/若しくはG183に欠失を有するものである。配列番号2の最も好ましいアミラーゼ変異体は、以下の置換を有するものである:
N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;
N128C+K178L+T182G+F202Y+Y305R+D319T+G475K;
S125A+N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;又は
S125A+N128C+T131I+T165I+K178L+T182G+Y305R+G475K
ここで、これらの変異体は、C-末端が短縮されており、また任意選択で、さらに、位置243に置換並びに/又は位置180及び/若しくは位置181に欠失を含む。
【0315】
他の好適なアミラーゼは、国際公開第01/66712号パンフレット中の配列番号12を有するアルファ-アミラーゼ、又は配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体である。好ましいアミラーゼ変異体は、国際公開第01/66712号パンフレット中の配列番号12の以下の位置の1つ又は複数に置換、欠失、又は挿入を有するものである:R28、R118、N174;R181、G182、D183、G184、G186、W189、N195、M202、Y298、N299、K302、S303、N306、R310、N314;R320、H324、E345、Y396、R400、W439、R444、N445、K446、Q449、R458、N471、N484。特に好ましいアミラーゼとしては、D183及びG184の欠失を有し、且つ置換R118K、N195F、R320K、及びR458Kを有する変異体、並びに以下の群:M9、G149、G182、G186、M202、T257、Y295、N299、M323、E345、及びA339から選択される1つ又は複数の位置に置換をさらに有する変異体が挙げられ、これらのすべての位置に置換をさらに有する変異体が最も好ましい。
【0316】
他の例には、国際公開第2011/098531号パンフレット、国際公開第2013/001078号パンフレット、及び国際公開第2013/001087号パンフレットに記載されるものなどのアミラーゼ変異体がある。
【0317】
市販のアミラーゼには、Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Termamyl Ultra(商標)、Fungamyl(商標)、Ban(商標)、Stainzyme(商標)、Stainzyme Plus(商標)、Amplify(登録商標)、Supramyl(商標)、Natalase(商標)、Liquozyme X及びBAN(商標)(Novozymes A/S製)、KEMZYM(登録商標)AT 9000 Biozym Biotech Trading GmbH Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria、及びRapidase(商標)、Purastar(商標)/Effectenz(商標)、Powerase、Preferenz S100、Preferenx S110、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、及びPURASTAR OXAM(登録商標)(Danisco/DuPont)、及びKAM(登録商標)(Kao)がある。
【0318】
好適なリパーゼ及びクチナーゼとしては、細菌又は真菌を起源とするものが挙げられる。化学修飾又はタンパク質工学による突然変異体酵素が含まれる。例としては、サーモミセス属(Thermomyces)由来のリパーゼ、例えば、欧州特許第258068号明細書及び欧州特許第305216号明細書に記載される、T.ラヌジノサス(T.lanuginosus)(以前の名前、フミコラ・ラヌジノサス(Humicola lanuginosa))由来のリパーゼ、フミコラ属(Humicola)由来のクチナーゼ、例えばH.インソレンス(H.insolens)由来のクチナーゼ(国際公開第96/13580号パンフレット)、シュードモナス属の菌株(これらの一部は、現在、バークホルデリア属(Burkholderia)に改名されている)由来のリパーゼ、例えば、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)(欧州特許第331376号明細書)、シュードモナス種菌株SD705(国際公開第95/06720号パンフレット及び国際公開第96/27002号パンフレット)、P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)(国際公開第96/12012号パンフレット)由来のリパーゼ、GDSL型ストレプトミセス(Streptomyces)リパーゼ(国際公開第10/065455号パンフレット)、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)(国際公開第10/107560号パンフレット)由来のクチナーゼ、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)(米国特許第5,389,536号明細書)由来のクチナーゼ、サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)(国際公開第11/084412号パンフレット、国際公開第13/033318号パンフレット)由来のリパーゼ、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)リパーゼ(国際公開第11/084417号パンフレット)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(国際公開第11/084599号パンフレット)由来のリパーゼ、並びにストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)(国際公開第11/150157号パンフレット)及びS.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)(国際公開第12/137147号パンフレット)由来のリパーゼがある。
【0319】
他の例には、欧州特許第407225号明細書、国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、国際公開第00/34450号パンフレット、国際公開第00/60063号パンフレット国際公開第01/92502号パンフレット、国際公開第07/87508号パンフレット、及び国際公開第09/109500号パンフレットに記載されるものなどのリパーゼ変異体がある。
【0320】
好ましい商用リパーゼ製品としては、Lipolase(商標)、Lipex(商標);Lipolex(商標)及びLipoclean(商標)(Novozymes A/S)、Lumafast(元はGenencor製)及びLipomax(元はGist-Brocades製)が挙げられる。
【0321】
さらに他の例は、アシルトランスフェラーゼ又はペルヒドロラーゼと呼ばれることがあるリパーゼであり、例えばカンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)リパーゼAに相同性があるアシルトランスフェラーゼ(国際公開第10/111143号パンフレット)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来のアシルトランスフェラーゼ(国際公開第05/56782号パンフレット)、CE7ファミリー由来のペルヒドロラーゼ(国際公開第09/67279号パンフレット)、及びM.スメグマチス(M.smegmatis)ペルヒドロラーゼの変異体、特にHuntsman Textile Effects Pte Ltd(国際公開第10/100028号パンフレット)製の商品Gentle Power Bleachで使用されるS54V変異体がある。
【0322】
一態様では、他の好ましい酵素として、米国特許第7141403号明細書中のアミノ酸配列番号2に対して少なくとも90%、94%、97%、又は99%の同一性がある配列を有する、バチルス(Bacillus)属のメンバーにとって内因性の細菌ポリペプチドを含む、エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ活性(EC3.2.1.4)を示す微生物由来エンドグルカナーゼ、及びそれらの混合物が挙げられる。好適なエンドグルカナーゼは、商品名Celluclean(登録商標)及びWhitezyme(登録商標)(Novozymes)の下で販売されている。
【0323】
他の好ましい酵素としては、商品名Pectawash(登録商標)、Pectaway(登録商標)、Xpect(登録商標)の下で販売されているペクチン酸リアーゼ、並びに商品名Mannaway(登録商標)(Novozymes)及びPurabrite(登録商標)(Danisco/DuPont)の下で販売されているマンナナーゼが挙げられる。
【0324】
洗剤酵素は、1種又は複数の酵素を含有する別々の添加剤を加えることにより、又はこれらの酵素をすべて含む、合わせた添加剤を加えることにより洗剤組成物に含めることができる。本発明の洗剤添加剤、即ち別々の添加剤又は合わせた添加剤は、例えば、顆粒、液体、スラリー等として配合することができる。好ましい洗剤添加剤配合物は、顆粒、特に非ダスティング顆粒、液体、特に安定化された液体、又はスラリーである。
【0325】
非ダスティング顆粒は、例えば、米国特許第4106991号明細書及び米国特許第4661452号明細書に開示されるように製造することができ、任意選択で、当技術分野で公知の方法によりコーティングすることができる。ワックスコーティング材料の例には、平均モル重量が1000~20000のポリ(エチレンオキシド)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16~50個のエチレンオキシド単位を有するエトキシル化ノニルフェノール;アルコール部分が12~20個の炭素原子を含有し、15~80個のエチレンオキシド単位があるエトキシル化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ-及びジ-及びトリグリセリドがある。流動層手法による適用に適したフィルム形成コーティング材料の例は、英国特許第1483591号明細書に示されている。液体酵素調製物は、例えば、確立された方法に従い、プロピレングリコール、糖又は糖アルコール、乳酸又はホウ酸などのポリオールを加えることにより安定化することができる。保護された酵素は、欧州特許第238216号明細書に開示されている方法により調製することができる。
【0326】
染料移行阻害剤-本発明の組成物はまた、1種又は複数の染料移行阻害剤を含むことができる。好適なポリマー性染料移行阻害剤としては、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、並びにそれらの混合物を挙げることができる。組成物中に存在する場合、染料移行阻害剤は、0.0001重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、又は0.1重量%~3重量%のレベルで存在することができる。
【0327】
増白剤-本発明の組成物はまた、蛍光増白剤など、洗浄される商品に色合いを整えることができる追加の成分を含有することができる。
【0328】
組成物は、以下の構造を有する、アルファ結晶形態のC.I.蛍光増白剤260を含むことができる:
【化9】
【0329】
一態様では、増白剤は、アルファ結晶形態のC.I.蛍光増白剤260などの冷水可溶性増白剤である。一態様では、増白剤は、主にアルファ結晶形態であり、これは、典型的には、C.I.蛍光増白剤260の少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも99重量%、又は実質的にすべてもがアルファ結晶形態であることを意味する。
【0330】
増白剤は、典型的には、3~30マイクロメートル、3マイクロメートル~20マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの重量平均一次粒子サイズを有する、微粒子化された粒子形態である。
【0331】
組成物はベータ結晶形態のC.I.蛍光増白剤260を含むことができ、また(i)アルファ結晶形態のC.I.蛍光増白剤260と、(ii)ベータ結晶形態のC.I.蛍光増白剤との重量比を少なくとも0.1、又は少なくとも0.6とすることができる。BE680847号明細書は、アルファ結晶形態のC.I蛍光増白剤260を製造する方法に関する。
【0332】
本発明において有用となり得る商用蛍光増白剤は亜群に分類することができ、それらには、これらに限定されないが、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン-5,5-ジオキシド、アゾール、5員環及び6員環複素環の誘導体、並びに他の種々の薬剤が含まれる。このような増白剤の例は、“The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents”,M.Zahradnik,出版社John Wiley&Sons,New York(1982)に開示されている。本組成物において有用な蛍光増白剤の具体的な非限定例は、米国特許第4790856号明細書及び米国特許第3646015号明細書で同定されたものである。
【0333】
さらに好適な増白剤は以下の構造を有する:
【化10】
【0334】
好適な蛍光増白剤レベルは、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、又は0.2重量%の下限レベルから0.5重量%又は0.75重量%の上限レベルを含む。
【0335】
一態様では、増白剤は粘土の上に負荷されて粒子を形成することができる。ケイ酸塩-本発明の組成物はまた、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムなどのケイ酸塩を含有することができる。組成物は、0重量%から10重量%未満、9重量%、又は8重量%、又は7重量%、又は6重量%、又は5重量%、又は4重量%、又は3重量%、又はさらには2重量%のケイ酸塩を含むことができ、また上記の0重量%、又は0.5重量%、又は1重量%のケイ酸塩から含むことができる。好適なケイ酸塩はケイ酸ナトリウムである。
【0336】
分散剤-本発明の組成物はまた、分散剤を含有することができる。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩を含み、ここでポリカルボン酸は、2個以下の炭素原子により互いから分離している少なくとも2つのカルボキシル基を含む。
【0337】
酵素安定化剤-組成物中で使用される酵素は、種々の手法により安定化することができる。本明細書で使用される酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在により安定化することができる。通常の安定化剤の例には、例えば、プロピレングリコール又はグリセロールなどのポリオール、糖又は糖アルコール、ペプチドアルデヒド、乳酸、ホウ酸、又はホウ酸誘導体、例えば芳香族ホウ酸エステル、又は4-ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体があり、組成物は、例えば、国際公開第92/19709号パンフレット及び国際公開第92/19708号パンフレットに記載されるように配合することができる。プロテアーゼを含む水性組成物の場合には、ボレート、4-ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸、及びそれらの誘導体を含むホウ素化合物などの可逆的なプロテアーゼ阻害剤、又はギ酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、及び1,2-プロパンジオールなどの化合物を加えて、安定性をさらに改善することができる。ペプチドアルデヒドは、式B-B-B-R(式中、Rは水素、CH、CX3、CHX、又はCHXであり、ここでXはハロゲン原子であり;Bは、p-位置及び/又はm-位置にOH置換基を有するフェニルアラニン残基であり;Bは、単一アミノ酸残基であり;Bは、任意選択でN末端保護基を含む、1つ又は複数のアミノ酸残基からなる)であり得る。好ましいペプチドアルデヒドとしては、これらに限定されないが、Z-RAY-H、Ac-GAY-H、Z-GAY-H、Z-GAL-H、Z-GAF-H、Z-GAV-H、Z-RVY-H、Z-LVY-H、Ac-LGAY-H、Ac-FGAY-H、Ac-YGAY-H、Ac-FGVY-H、又はAc-WLVY-H(式中、Zはベンジルオキシカルボニルであり、Acはアセチルである)が挙げられる。
【0338】
溶媒-好適な溶媒には、水、及び親油性液体などの他の溶媒が含まれる。好適な親油性液体の例としては、シロキサン、他のシリコーン、炭化水素、グリコールエーテル、グリセリンエーテルなどのグリセリン誘導体、全フッ素化アミン、全フッ素化及びハイドロフルオロエーテル溶媒、低揮発性非フッ素化有機溶媒、ジオール溶媒、他の環境にやさしい溶媒、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0339】
構造化剤/増粘剤-構造化液体は、それによって構造が一次成分(例えば界面活性剤物質)により形成されるように内部的に構造化することも、且つ/又は二次成分(例えばポリマー、粘土、及び/又はケイ酸物質)を使用して3次元マトリックス構造を提供することにより外部的に構造化することもできる。組成物は、0.01~5重量%、又は0.1~2.0重量%の構造化剤を含むことができる。構造化剤は、典型的には、ジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、セルロース系物質、マイクロファイバーセルロース、Polygel W30(3VSigma)などの疎水的に修飾されたアルカリ膨潤性エマルジョン、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好適な構造化剤には、硬化ヒマシ油及びその非エトキシル化誘導体が含まれる。好適な構造化剤は、米国特許第6855680号明細書に開示されている。このような構造化剤は、ある範囲のアスペクト比を有する糸状の構造系を有する。他の好適な構造化剤及びそれらを製造する方法は、国際公開第10/034736号パンフレットに記載されている。
【0340】
コンディショニング剤-本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含むことができる。本明細書において有用な高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有し、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。低融点のこのような化合物を、このセクションに含めることは意図していない。高融点化合物の非限定例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,第5版,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,第2版,1992に見ることができる。
【0341】
高融点脂肪族化合物は、濡れた髪に適用したときのつるつるした感触、乾燥した髪における柔軟性及び保湿した感触など、コンディショニングの改善を示す利点を提供することを考慮して、0.1~40重量%、1~30重量%、1.5~16重量%、1.5~8重量%のレベルで組成物中に含まれる。
【0342】
本発明の組成物は、カチオン性ポリマーを含有することができる。組成物中のカチオン性ポリマーの濃度は、典型的には、0.05~3重量%、0.075~2.0重量%、又は0.1~1.0重量%の範囲である。好適なカチオン性ポリマーは、組成物の使用目的のpH(このpHは一般にpH3~pH9、又はpH4~pH8の間の範囲になる)で、少なくとも0.5meq/gm、少なくとも0.9meq/gm、少なくとも1.2meq/gm、少なくとも1.5meq/gm、又は7meq/gm未満、及び5meq/gm未満のカチオン性電荷密度を有する。本明細書において、ポリマーの「カチオン性電荷密度」は、ポリマー上の正電荷数とポリマーの分子量との比を指す。このような好適なカチオン性ポリマーの平均分子量は、一般に、10,000~1000万の間、50,000~500万の間、又は100,000から300万の間になる。
【0343】
本発明の組成物に使用される好適なカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム部分又はカチオン性プロトン化アミノ部分などのカチオン性窒素含有部分を含有する。ポリマーが水中に、組成物中に、又は組成物のコアセルベート相中に可溶である限り、且つ対イオンが組成物の必須成分と物理的及び化学的に適合する限り、又は組成物の性能、安定性、若しくは美観を過度に損なわない限り、任意のアニオン性対イオンをカチオン性ポリマーと共に使用することができる。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、スルフェート、及びメチルスルフェートが挙げられる。
【0344】
このようなポリマーの非限定例は、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary,第3版,Estrin,Crosley,and Haynes編,(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.,Washington,D.C.(1982))に記載されている。
【0345】
組成物に使用される他の好適なカチオン性ポリマーとしては、多糖ポリマー、カチオン性グアーガム誘導体、第四級窒素含有セルロースエーテル、合成ポリマー、エーテル化セルロースのコポリマー、グアー、及びデンプンが挙げられる。使用される場合、本明細書におけるカチオン性ポリマーは、組成物中に可溶であるか、又は本明細書の上記に記載した、カチオン性ポリマー並びにアニオン性、双性、及び/若しくは両性イオン性界面活性剤成分によって形成される組成物中の複合コアセルベート相中に可溶であるかのいずれかである。カチオン性ポリマーの複合コアセルベートはまた、組成物中の他の荷電物質と共に形成することができる。好適なカチオン性ポリマーは、米国特許第3962418号明細書、第3958581号明細書、及び米国特許出願公開第2007/0207109号明細書に記載されている。
【0346】
本発明の組成物は、コンディショニング剤として非イオン性ポリマーを含むことができる。1000を超える分子量を有するポリアルキレングリコールが本明細書では有用である。以下の一般式を有するものが有用である:
【化11】
式中、R95は、H,メチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。コンディショニング剤、特にシリコーンを組成物中に含むことができる。本発明の組成物に有用なコンディショニング剤は、典型的には、乳化液体粒子を形成する水不溶性で水分散性の不揮発性液体を含む。組成物に使用される好適なコンディショニング剤は、一般に、シリコーン(例えば、シリコーン油、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率シリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニング油(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)若しくはそれらの組合せとして特徴づけられるコンディショニング剤、又はそうでなければ本明細書の水性界面活性剤マトリックス中に液体分散粒子を形成するコンディショニング剤である。このようなコンディショニング剤は、組成物の必須成分と物理的及び化学的に適合すべきであり、またそうでなければ組成物の安定性、美観、又は性能を過度に損なうべきではない。
【0347】
組成物中のコンディショニング剤の濃度は、所望のコンディショニング利点を提供するのに十分であるべきである。このような濃度は、コンディショニング剤、所望のコンディショニング性能、コンディショニング剤粒子の平均サイズ、他の成分の種類及び濃度、並びに他の同様の要因により異なり得る。
【0348】
シリコーンコンディショニング剤の濃度は、典型的には、0.01~10重量%の範囲である。好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーン用の任意選択の懸濁化剤の非限定例は、米国再発行特許第34,584号明細書;米国特許第5104646号明細書;米国特許第5106609号明細書;米国特許第4152416号明細書;米国特許第2826551号明細書;米国特許第3964500号明細書;米国特許第4364837号明細書;米国特許第6607717号明細書;米国特許第6482969号明細書;米国特許第5807956号明細書;米国特許第5981681号明細書;米国特許第6207782号明細書;米国特許第7465439号明細書;米国特許第7041767号明細書;米国特許第7217777号明細書;米国特許出願公開第2007/0286837A1号明細書;米国特許出願公開第2005/0048549A1号明細書;米国特許出願公開第2007/0041929A1号明細書;英国特許第849433号明細書;独国特許第10036533号明細書(これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる);Chemistry and Technology of Silicones,New York:Academic Press(1968);General Electric Silicone Rubber Product Data Sheets SE 30,SE 33,SE 54 and SE 76;Silicon Compounds,Petrarch Systems,Inc.(1984);及びEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,第2版,pp 204-308,John Wiley & Sons,Inc.(1989)に記載されている。
【0349】
本発明の組成物はまた、コンディショニング剤として、単独で又はシリコーン(本明細書に記載される)などの他のコンディショニング剤と組み合わせて、0.05~3重量%の少なくとも1つの有機コンディショニング油を含むことができる。好適なコンディショニング油としては、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステルが挙げられる。さらに、本明細書において組成物に使用するのに適しているのは、米国特許第5674478号明細書及び米国特許第4529586号明細書に、又は米国特許第5750122号明細書;米国特許第4507280号明細書;米国特許第4663158号明細書;米国特許第4197865号明細書;米国特許第4217914号明細書;米国特許第4381919号明細書;及び米国特許第4422853号明細書に記載されるコンディショニング剤である。
【0350】
衛生及び悪臭-本発明の組成物はまた、リシノール酸亜鉛、チモール、Bardac(登録商標)などの第四級アンモニウム塩、ポリエチレンイミン(BASF製のLupasol(登録商標など)及びその亜鉛錯体、銀及び銀化合物、特にAgを除放するように設計されたもの又はナノ銀分散体の1つ又は複数を含むことができる。
【0351】
プロバイオティクス-組成物は、国際公開第09/043709号パンフレットに記載されるものなど、プロバイオティクスを含むことができる。
【0352】
増泡剤-高い起泡性が所望される場合、C10~C16アルカノールアミド又はC10~C14アルキルサルフェートなどの増泡剤を、典型的には、1~10重量%のレベルで組成物中に組み込むことができる。C10~C14モノエタノール及びジエタノールアミドは、このような増泡剤の典型的な種類の例である。上述されるアミンオキシド、ベタイン、及びスルタインなどの高起泡補助界面活性剤と共に、このような増泡剤を使用することも有益である。所望により、MgCl、MgSO、CaCl、CaSO等の水溶性マグネシウム及び/又はカルシウム塩を、典型的には、0.1~2重量%のレベルで加えて、さらなる起泡をもたらすとともに、油脂除去性能を増強することができる。
【0353】
抑泡剤-泡の形成を低減又は抑制する化合物を本発明の組成物に組み込むことができる。泡の抑制は、米国特許第4489455号明細書及び米国特許第4,489,574号明細書に記載される、いわゆる「高濃度洗浄プロセス」、並びにフロントローディング式洗濯機において特に重要となり得る。抑泡剤として多種多様な物質を使用することができ、抑泡剤は当業者に周知である。例えば、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第7巻,p.430-447(John Wiley&Sons,Inc.,1979)を参照されたい。抑泡剤の例としては、モノカルボン脂肪酸及びその中の可溶性塩、パラフィンなどの高分子量炭化水素、脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸トリグリセリド)、一価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪族C18~C40ケトン(例えば、ステアロン)、N-アルキル化アミノトリアジン、好ましくは融点が約100℃未満のワックス状炭化水素、シリコーン抑泡剤、及び二級アルコールが挙げられる。抑泡剤は、米国特許第2954347号明細書;米国特許第4265779号明細書;米国特許第4265779号明細書;米国特許第3455839号明細書;米国特許第3933672号明細書;米国特許第4652392号明細書;米国特許第4978471号明細書;米国特許第4983316号明細書;米国特許第5288431号明細書;米国特許第4639489号明細書;米国特許第4749740号明細書;米国特許第4798679号明細書;米国特許第4075118号明細書;欧州特許第89307851.9号明細書;欧州特許第150872号明細書;及びDOS 2,124,526号明細書に記載されている。
【0354】
自動洗濯機で使用されるいかなる洗剤組成物の場合も、泡は、洗濯機からあふれ出る程に形成されるべきでない。使用する場合、抑泡剤は、好ましくは「抑泡量」で存在する。「抑泡量」によって、十分に泡を制御して、自動洗濯機で使用するための低起泡性洗濯洗剤をもたらす、この泡制御剤の量を、組成物の配合者が選択することができることを意味する。
【0355】
本明細書における組成物は、一般に、0~10重量%の抑泡剤を含むことになる。モノカルボン脂肪酸及びその中の塩は、抑泡剤として使用する場合、典型的には最大で5重量%の量で存在することになる。好ましくは、0.5~3重量%の脂肪族モノカルボキシレート抑泡剤を使用する。シリコーン抑泡剤は、典型的には、最大2.0重量%の量で使用するが、増量して使用することもできる。モノステアリルホスフェート抑泡剤は、一般に、0.1~2重量%の範囲の量で使用する。炭化水素抑泡剤は、典型的には、0.01~5.0重量%の範囲の量で使用するが、増量して使用することもできる。アルコール石鹸抑泡剤は、典型的には、0.2~3重量%で使用する。
【0356】
本明細書における組成物は、広範囲のpHにわたって洗浄活性を有し得る。特定の実施形態では、組成物は、pH4~pH11.5において洗浄活性を有する。他の実施形態では、組成物は、pH6~pH11、pH7~pH11、pH8~pH11、pH9~pH11、又はpH10~pH11.5において活性である。
【0357】
本明細書における組成物は、広範囲の温度にわたって、例えば10℃以下~90℃において洗浄活性を有し得る。好ましくは、温度は50℃未満若しくは40℃未満、又は30℃未満でもある。特定の実施形態では、組成物の至適温度範囲は、10℃~20℃、15℃~25℃、15℃~30℃、20℃~30℃、25℃~35℃、30℃~40℃、35℃~45℃、又は40℃~50℃である。
【0358】
組成物の形態
本明細書に記載する組成物は、例えば、洗濯用途、硬質表面洗浄、食器洗浄用途、並びに義歯、歯、毛髪、及び皮膚などの化粧用途に有利に使用される。本発明の組成物は、特に、固体又は液体の洗浄組成物及び/又は処理組成物である。一態様では、本発明は、組成物の形態が、レギュラー、圧縮、又は濃縮の液体;ゲル;ペースト;棒状石鹸;レギュラー又は圧縮の粉末;粒状固体;2つ以上の層を有する均質錠又は多層錠(同じ又は異なる相);1つ又は複数のコンパートメントを有するパウチ;単一又は多重コンパートメントの単位用量形態;又はそれらの任意の組合せから選択される、組成物に関する。
【0359】
組成物の形態によって、例えば水溶解性パウチなどのコンパートメント又は錠剤の異なる層において、成分を互いから物理的に分離することができる。それによって、成分間のネガティブな貯蔵相互作用を回避することができる。コンパートメントのそれぞれの溶出プロファイルが異なることによっても、洗浄溶液中の選択された成分の溶出を遅延させることができる。
【0360】
パウチは、単一又は多重コンパートメントとして構成することができる。パウチは、例えば水と接触する前にパウチから組成物を放出することなく、組成物を保持するのに適したいかなる形態、形状、及び材料であってもよい。パウチは、内部体積を包む水溶性フィルムから作製される。前記内部体積は、パウチのコンパートメントに分割することができる。好ましいフィルムは、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに形成されるポリマーである。好ましいポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、選択されたポリアクリレート、及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムデキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートであり、最も好ましくはポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。好ましくは、フィルム中のポリマー、例えばPVAのレベルは、少なくとも約60%である。好ましい平均分子量は、典型的には、約20,000~約150,000である。フィルムはまた、ポリ乳酸及びポリビニルアルコール(MonoSol LLC,Indiana,USAにより販売される商標名M8630の下で知られている)にグリセロール、エチレングリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びそれらの混合物のような可塑剤を加えたものなど、加水分解可能で水溶性のポリマーブレンドを含む、ブレンドされた組成物であってもよい。パウチは、水溶性フィルムにより分離された固体洗濯洗浄組成物若しくは部分成分及び/又は液体洗濯洗浄組成物若しくは部分成分を含むことができる。液体成分のためのコンパートメントは、固体を含有するコンパートメントとは組成が異なり得る(米国特許出願公開第2009/0011970A1号明細書)。
【0361】
水溶性フィルム-本発明の組成物はまた、水溶性フィルム内に封入することができる。好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。当技術分野で公知であるように、フィルム材料は、例えば、ポリマー材料のキャスティング、ブロー成形、押出し、又はブロー押出しにより得ることができる。パウチ材料として使用するのに適した、好ましいポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにそれらの組合せから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えばPVAポリマーのレベルは、少なくとも60重量%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有することができるが、好ましくは、約1,000~1,000,000、約10,000~300,000、約20,000~150,000である。ポリマーの混合物もパウチ材料として使用することができる。
【0362】
当然のことながら、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを、本発明のコンパートメントの作製に使用することができる。異なるフィルムを選択することの利点は、得られるコンパートメントが異なる溶解性又は放出特性を示し得ることである。
【0363】
好ましいフィルム材料は、MonoSol商品番号M8630、M8900、H8779で知られるPVAフィルム、並びに米国特許第6166117号明細書及び米国特許第6787512号明細書に記載されるもの、並びに相当する溶解性及び変形能特性を有するPVAフィルムである。
【0364】
本明細書におけるフィルム材料はまた、1種又は複数の添加成分を含むことができる。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びそれらの混合物を添加することが有益となることがある。他の添加剤としては、洗浄水に送達される機能的な洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤等が挙げられる。
【0365】
組成物を作製する方法
本発明の組成物は、任意の好適な形態に製剤化することができ、配合者により選択される任意の方法により調製することができる。この方法の非限定例は、出願人の実施例及び米国特許第4990280号明細書;米国特許出願公開第20030087791A1号明細書;米国特許出願公開第20030087790A1号明細書;米国特許出願公開第20050003983A1号明細書;米国特許出願公開第20040048764A1号明細書;米国特許第4762636号明細書;米国特許第6291412号明細書;米国特許出願公開第20050227891A1号明細書;欧州特許出願公開第1070115A2号明細書;米国特許第5879584号明細書;米国特許第5691297号明細書;米国特許第5574005号明細書;米国特許第5569645号明細書;米国特許第5565422号明細書;米国特許第5516448号明細書;米国特許第5489392号明細書;米国特許第5486303号明細書に記載されており、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の組成物、又は本発明に従って調製される組成物は、これらに限定されないが、布地、硬質表面、並びに布地及びホームケア領域(例えば、エアフレッシュナー及び香り送達系を含む空気ケア、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟にすること及び/又は新鮮にすることを含む)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎの添加及び/又はケア、床及び便器用クリーナーを含む硬質表面洗浄及び/又は処理)の他の任意の表面を処理するための組成物、顆粒又は粉末形態の多目的洗剤又は「ヘビーデューティー」洗剤、特に洗浄洗剤;液体、ゲル、又はペースト形態の多目的洗剤、特にいわゆるヘビーデューティー液体型;微細布地用液体洗剤;食器手洗い用洗剤又はライトデューティー食器洗剤、特に高起泡性型;家庭用途及び業務用途のための種々の錠剤型、粒剤型、液剤型、及びすすぎ助剤型を含む食洗機用食器洗剤;自動車又はカーペット用シャンプー、便器用クリーナーを含む浴室クリーナー;並びに漂白添加剤などの洗浄補助剤、及び乾燥機用シートなどの「汚れ付着」型又は前処理型の基材負荷組成物を含む、洗浄及び/又は処理組成物を含む。繊維製品及び/又は硬質表面、最も好ましくは繊維製品を洗浄及び/又は処理するための組成物及び方法が好ましい。組成物は、好ましくは、洗浄工程の前処理ステップ又は主要洗浄ステップで使用される組成物、最も好ましくは繊維製品の洗浄ステップで使用するための組成物である。
【0366】
本明細書で使用される場合、「布地及び/又は硬質表面の洗浄及び/又は処理組成物」という用語は、他に指示がない限り、顆粒又は粉末形態の多目的洗剤又は「ヘビーデューティー」洗剤、特に洗浄洗剤;液体、ゲル、又はペースト形態の多目的洗剤、特にいわゆるヘビーデューティー液体型;微細布地用液体洗剤;食器手洗い用洗剤又はライトデューティー食器洗剤、特に高起泡性型;家庭用途及び業務用途のための種々の錠剤型、粒剤型、液剤型、及びすすぎ助剤型を含む食洗機用食器洗剤;液体洗浄剤及び殺菌剤、自動車又はカーペット用シャンプー、便器用クリーナーを含む浴室クリーナー;液体、固体、及び/又は乾燥機用シート形態であり得る、柔軟にすること及び/又は新鮮にすることを含む布地コンディショニング組成物;並びに漂白添加剤などの洗浄補助剤、及び乾燥機用シートなどの「汚れ付着」型又は前処理型の基材負荷組成物を含む、洗浄及び/又は処理組成物のサブセットである。適用可能であるこのような組成物はすべて、標準形態、濃縮形態、又は特定の態様では、非水性になり得る程の高濃縮形態であっても可能である。
【0367】
使用方法
本発明は、繊維製品若しくは硬質表面、又は布地及び/若しくはホームケアの分野の他の表面を処理することを含む、任意の表面を洗浄するための方法を含む。上記のような洗浄が、小規模、例えば家族(family house hold)などの場合、並びに大規模、例えば工業的且つプロフェッショナルな状況などの場合のいずれであってもよいことが考えられる。本発明の一態様では、この方法は、最も好ましくは、繊維製品の洗浄工程で使用するために、或いは手洗い食器洗浄と自動/機械食器洗浄の両方を含む食器洗浄に使用するために、洗浄工程の前処理ステップ又は主要洗浄ステップで処理される表面に接触させるステップを含む。本発明の一実施形態では、表面を洗浄及び/又は処理するための方法の中で、リパーゼ変異体及び他の成分を逐次的に加える。或いはリパーゼ変異体及び他の成分を同時に加える。
【0368】
本明細書で使用される場合、洗浄は、これらに限定されないが、スクラビング及び機械的撹拌を含む。洗浄は、国際公開第08/101958号パンフレットに記載されるように、且つ/又はスクラビング及び機械的撹拌に追加して、若しくはその代わりに圧力を交互に加えることにより(圧力/真空)、泡組成物を用いて行うことができる。このような表面又は布地の乾燥は、家庭内又は工業的環境のいずれかで使用される一般的手段の任意の1つによって遂行することができる。本発明の洗浄組成物は、理想的には、洗濯及び食器洗浄の用途で使用するのに適している。したがって、本発明は、これらに限定されないが、布地、食器、刃物、及び台所用品を含む対象を洗浄するための方法を含む。この方法は、出願人の洗浄組成物、洗浄添加剤、又はそれらの混合物の少なくとも1つの実施形態を含む前記洗浄組成物と、洗浄される対象とを接触させるステップを含む。布地は、通常の消費者又は施設使用条件で洗濯することができるほとんどいずれの布地も含み得る。溶液のpHは、8~10.5とすることができる。組成物は、500~15.000ppmの溶液濃度で使用することができる。水温は、典型的には、5℃~90℃の範囲である。水と布地の比は、典型的には、1:1~30:1である。
【0369】
一態様では、本発明は、組成物を製造するために配列番号2に対して少なくとも60%の同一性を有するポリペプチドを使用する方法に関する。一態様では、本発明は、対象を洗浄するための組成物の使用に関する。
【0370】
一態様では、本発明は、配列番号2に対して少なくとも60%の同一性を有するポリペプチド及び界面活性剤を加えることを含む、組成物を製造する方法に関する。一態様では、本発明は、洗浄される表面上に存在する脂質汚れを洗浄組成物と接触させることを含む、表面を洗浄するための方法に関する。一態様では、本発明は、汚染物及び/又は汚れを洗浄組成物と接触させることを含む、汚染物及び/又は表面上の汚れに存在する脂質を加水分解するための方法に関する。一態様では、本発明は、カルボン酸エステルの加水分解における組成物の使用に関する。一態様では、本発明は、エステルの加水分解、合成又はエステル交換における組成物の使用に関する。一態様では、本発明は、安定製剤の作製における組成物の使用に関する。
【0371】
植物
本発明はまた、変異体を回収可能な量で発現及び生成するための、本発明のポリヌクレオチドを含む、植物、例えば、トランスジェニック植物、植物部分、又は植物細胞に関する。変異体は、植物又は植物部分から回収されてもよい。或いは、変異体を含有する植物又は植物部分は、1又は複数の食物の質を改善する、例えば、栄養価、嗜好性、及びレオロジー特性を改善する、又は非栄養因子を破壊することを意図するように、用いられてもよい。
【0372】
トランスジェニック植物は、双子葉類(双子葉)又は単子葉類(単子葉)でありうる。単子葉植物の例が、草、例えば牧草(青草、ポア(Poa))、飼料草、例えばフェスツカ(Festuca)、ロリウム(Lolium)、温帯草、例えばアグロスチス(Agrostis)、及び穀類、例えば、コムギ、カラスムギ、ライ麦、オオムギ、米、ソルガム、及びトウモロコシ(コーン)である。
【0373】
双子葉植物の例が、タバコ、マメ科植物、例えば、ルピナス、ジャガイモ、テンサイ、エンドウマメ、マメ及び大豆、及びアブラナ科植物(アブラナ科(Brassicaceae))、例えば、カリフラワー、ナタネ、及び近縁モデル生物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)である。
【0374】
植物部分の例が、茎、カルス、葉、根、果実、種子、及び塊茎、並びにこれらの部分を含む各組織、例えば、表皮、葉肉、実質、血管組織、分裂組織である。特定の植物細胞区画、例えば、クロロプラスト、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシソーム及び細胞質もまた、植物部分であると考えられる。さらに、任意の植物細胞は、組織の起源が何であっても、植物部分であると考えられる。同様に、本発明の利用化を促進するために単離される特定の組織及び細胞などの植物部分もまた、植物部分、例えば、胚、胚乳、アリューロン及び種皮であると考えられる。
【0375】
さらに、かかる植物、植物部分、及び植物細胞の子孫が本発明の範囲内に含まれる。
【0376】
変異体を発現するトランスジェニック植物又は植物細胞は、当該技術分野で公知の方法に従って構築されてもよい。要するに、植物又は植物細胞は、変異体をコードする1つ又は複数の発現構築物を植物宿主ゲノム又は葉緑体ゲノムに組み込み、得られた修飾植物又は植物細胞をトランスジェニック植物又は植物細胞に増殖させることにより構築される。
【0377】
発現構築物は、便宜上、選択される植物又は植物部分におけるポリヌクレオチドの発現に必要とされる適切な制御配列に作動可能に連結された変異体をコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物である。さらに、発現構築物は、発現構築物が組み込まれている植物細胞を同定するために有用な選択可能マーカー及び問題の植物への構築物の導入にとって必要なDNA配列を含んでもよい(後者は用いられるべきDNA導入方法に依存する)。
【0378】
制御配列、例えばプロモーター及びターミネーター配列、また任意選択的にはシグナル又はトランジット配列の選択は、例えば、変異体の発現が所望される時、場所及び方法に基づいて決定される。例えば、変異体をコードする遺伝子の発現は、構成的若しくは誘導的であってもよい、又は発生、段階若しくは組織特異的であってもよく、且つ遺伝子産物は、特異的な組織若しくは植物部分、例えば種子若しくは葉が標的化されてもよい。制御配列は、例えば、Tague et al.,1988,Plant Physiology 86:506により記載されている。
【0379】
構成的発現においては、35S-CaMV、トウモロコシユビキチン1、又はコメアクチン1プロモーターが用いられてもよい(Franck et al.,1980,Cell 21:285-294;Christensen et al.,1992,Plant Mol.Biol.18:675-689;Zhang et al.,1991,Plant Cell 3:1155-1165)。臓器特異的プロモーターは、例えば、種子、ジャガイモ塊茎、及び果実などの貯蔵シンク組織由来のプロモーター(Edwards and Coruzzi,1990,Ann.Rev.Genet.24:275-303)、又は分裂組織などの代謝シンク組織由来のプロモーター(Ito et al.,1994,Plant Mol.Biol.24:863-878)、種子特異的プロモーター、例えば、コメ由来のグルテリン、プロラミン、グロブリン、若しくはアルブミンプロモーター(Wu et al.,1998,Plant Cell Physiol.39:885-889)、レグミンB4及びソラマメ(Vicia faba)由来の未知の種子タンパク質遺伝子からのソラマメ(Vicia faba)プロモーター(Conrad et al.,1998,J.Plant Physiol.152:708-711)、種子油体タンパク質からのプロモーター(Chen et al.,1998,Plant Cell Physiol.39:935-941)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)由来の貯蔵タンパク質napAプロモーター、又は当該技術分野で公知の任意の他の種子に特異的なプロモーター、例えば国際公開第91/14772号パンフレットに記載のものであってもよい。さらに、プロモーターは、葉特異的プロモーター、例えば、コメ若しくはトマト由来のrbcsプロモーター(Kyozuka et al.,1993,Plant Physiol.102:991-1000)、クロレラウイルスアデニンメチルトランスフェラーゼ遺伝子プロモーター(Mitra and Higgins,1994,Plant Mol.Biol.26:85-93)、コメ由来のaldP遺伝子プロモーター(Kagaya et al.,1995,Mol.Gen.Genet.248:668-674)、又は傷誘導性プロモーター、例えば、ジャガイモpin2プロモーター(Xu et al.,1993,Plant Mol.Biol.22:573-588)であってもよい。同様に、プロモーターは、温度、乾燥、若しくは塩分変更などの非生物的処理により誘導されてもよい、又はプロモーターを活性化する外因的に適用された物質、例えば、エタノール、エストロゲン、植物ホルモン、例えば、エチレン、アブシジン酸、及びジベレリン酸、並びに重金属により誘導されてもよい。
【0380】
植物における変異体のより高い発現を達成するため、プロモーターエンハンサーエレメントも用いられてもよい。例えば、プロモーターエンハンサーエレメントは、プロモーターと変異体をコードするポリヌクレオチドとの間に配置されたイントロンであってもよい。例えば、Xu et al.,1993(上記)は、発現を増強するための、コメアクチン1遺伝子の第1のイントロンの使用について開示している。
【0381】
発現構築物の選択可能マーカー遺伝子及び任意の他の部分は、当該技術分野で利用可能なものから選択されてもよい。
【0382】
核酸構築物は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換、ウイルス媒介性形質転換、マイクロインジェクション、微粒子銃、バイオリスティック形質転換、及びエレクトロポレーションを含む、当該技術分野で公知の通常の技術に従い、植物ゲノム中に組み込まれる(Gasser et al.,1990,Science 244:1293;Potrykus,1990,Bio/Technology 8:535;Shimamoto et al.,1989,Nature 338:274)。
【0383】
アグロバクテリウム・ツメファシェンス(アグロバクテリウム(Agrobacterium)tumefaciens)媒介性遺伝子導入は、トランスジェニック双子葉植物を作製するための方法であり(レビューとして、Hooykas and Schilperoort,1992,Plant Mol.Biol.19:15-38を参照)、また単子葉植物を形質転換するための方法であるが、これらの植物に対して他の形質転換方法が用いられてもよい。トランスジェニック単子葉植物を作製するための方法は、胚性カルス又は発生胚の微粒子銃(形質転換DNAでコーティングされた微細な金又はタングステン粒子)である(Christou,1992,Plant J.2:275-281;Shimamoto,1994,Curr.Opin.Biotechnol.5:158-162;Vasil et al.,1992,Bio/Technology 10:667-674)。単子葉植物を形質転換するための代替的方法は、Omirulleh et al.,1993,Plant Mol.Biol.21:415-428によって記載のようなプロトプラスト形質転換に基づく。さらなる形質転換方法は、米国特許第6395966号明細書及び米国特許第7151204号明細書(それら両方はそれら全体が参照により本明細書中に援用される)に記載のものを含む。
【0384】
形質転換後、当該技術分野で周知の方法に従い、発現構築物を組み込んでいる形質転換体が選択され、全植物に再生される。形質転換方法は、再生中、又は例えば2つの別々のT-DNA構築物の同時形質転換若しくは選択遺伝子の特異的なリコンビナーゼによる部位特異的切除を用いることによるその後の作製のいずれかにおいて、選択遺伝子の選択的除去を意図して設計されることが多い。
【0385】
本発明の構築物を用いた特定の植物遺伝子型の直接的形質転換に加えて、トランスジェニック植物は、構築物を有する植物を構築物を欠いた第2の植物と交配させることにより作製されてもよい。例えば、変異体をコードする構築物は、今まで所与の変種の植物を直接的に形質転換しているという必要性がなく、交配により特定の植物変種に導入されうる。したがって、本発明は、本発明に従って形質転換されている細胞から直接的に再生された植物だけでなく、かかる植物の子孫を包含する。本明細書で用いられるとき、子孫は、本発明に従って調製された親植物の任意の世代の子孫を指してもよい。かかる子孫は、本発明に従って調製されたDNA構築物を含んでもよい。交配は、開始系統をドナー植物系統で他花受粉することによる導入遺伝子の植物系統への導入をもたらす。かかるステップの非限定例が、米国特許第7151204号明細書に記載されている。
【0386】
植物は、戻し交配変換の過程を通じて作製されてもよい。例えば、植物は、戻し交配変換された遺伝子型、系統、近交系、又はハイブリッドと称される植物を含む。
【0387】
本発明の1つ又は複数の導入遺伝子の、ある遺伝的背景から別の遺伝的背景への遺伝子移入を補助するため、遺伝子マーカーが用いられてもよい。マーカー補助選択は、表現型変異によって引き起こされる誤りを回避するためにそれを用いることができる点において、通常の育種に対する優位性をもたらす。さらに、遺伝子マーカーは、特定の交配の各子孫におけるエリート生殖質の相対度に関するデータを提供することがある。例えば、通常であれば非農学的に望ましい遺伝的背景を有する、所望される形質を有する植物がエリート親と交配されるとき、目的の形質を有するだけでなく、比較的大きい割合の所望される生殖質を有する子孫を選択するため、遺伝子マーカーが用いられてもよい。このようにして、1つ又は複数の形質を特定の遺伝的背景に遺伝子移入するのに要求される世代の数は最小化される。
【0388】
本発明はまた、(a)変異体をコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物又は植物細胞を、変異体の生成に寄与する条件下で培養することと;(b)変異体を回収することと、を含む、本発明の変異体を生成する方法に関する。
【0389】
本発明のリパーゼ変異体を含むマイクロカプセル組成物
この態様では、本発明は、マイクロカプセルの膜が1kDa超の分子量を有する多分岐ポリアミンの架橋によって生成されるマイクロカプセル組成物に関し、ここでマイクロカプセルは、本発明のリパーゼ変異体を含む。
【0390】
多分岐ポリアミンを架橋することによって形成される膜は、酵素の安定性に対して有害であることが知られる、洗剤中の(アニオン性)界面活性剤から酵素を分離する能力がある。
【0391】
洗剤中にカプセル封入された酵素を用いるときに決定的に重要なパラメータは、例えば洗濯又は食器洗浄適用などの場合、洗剤を水で希釈直後、酵素を放出する能力である。本発明のマイクロカプセルは、これに関連した優れた特性を有し、且つ全カプセル封入酵素を1分以内に放出する能力がある。
【0392】
マイクロカプセルは、水での希釈時、酵素を放出する能力があるべきコアポリマーの存在を必要としない。さらに、本発明は、国際公開第97/24177号パンフレットに記載の通り、中途での放出を制御するため、マイクロカプセルのコア内で沈殿形態であるべき酵素を必要としない。
【0393】
本発明のリパーゼ変異体、任意選択的には他の酵素を、半透膜を有するマイクロカプセルにカプセル封入し、且つ(液体洗剤への添加前に)これらのカプセル内部に液体洗剤中よりも高い水活性を有するとき、カプセルは、洗剤に添加されるとき、(部分的に)崩壊を被り(水が滲み出している)、それ故、カプセル中にインテリアを含有する、より濃縮され、より粘稠な酵素が残ることになる。膜の崩壊はまた、透過性の低下をもたらすことがある。これはさらに、安定化剤/ポリマー、特に膜を通じて透過できないものの添加により利用されうる。崩壊とその結果としての粘度増加は、不適成分(例えば、界面活性剤又は捕捉剤)のカプセル中への拡散を低減/妨害し、ひいては酵素の液体洗剤中での貯蔵安定性を増強することになる。酵素に対して感受性がある液体洗剤中の成分(例えば、酵素に対する基質として作用する成分)はまた、酵素による分解に対して保護される。洗浄中、液体洗剤は、水によって希釈されることから、水活性が増強される。水は、ここでカプセル中に拡散することになる(浸透)。カプセルは膨張することになり、膜は、酵素に対して透過可能になり、カプセルが残存しうるか、又は単純に破裂し、このようにして酵素を放出するかのいずれかになる。概念は、酵素の液体洗剤中の不適成分に対する安定化において非常に効率的であり、またその逆もまた、液体洗剤中の酵素感受性成分を酵素から保護する。
【0394】
酵素に対して感受性があり、且つ酵素により分解可能である洗剤成分の例として(括弧内は関連酵素)、キサンタンガム(キサンタナーゼ)、エステル結合を有するポリマー(リパーゼ)、水素化ヒマシ油(リパーゼ)、香料(リパーゼ)、メチルエステルスルホン酸塩界面活性剤(リパーゼ)、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、CMC)(セルラーゼ)、並びにデキストリン及びシクロデキストリン(アミラーゼ)が挙げられる。
【0395】
また、感受性洗剤成分は、本発明のマイクロカプセル中にカプセル封入され、ひいては安定化されうる。感受性洗剤成分は、貯蔵中に分解する傾向がある。かかる洗剤成分は、漂白化合物、ブリーチアクチベーター、香料、ポリマー、ビルダー、界面活性剤などを含む。
【0396】
一般に、洗剤中の適合しない成分/化合物を分離するため、本発明のマイクロカプセルを用いることができる。
【0397】
洗剤へのマイクロカプセルの添加を用いて、洗剤製品の外観、例えば不透明にする効果(小型マイクロカプセル)又は粒子が明確に見える効果(大型マイクロカプセル)に影響を及ぼすことができる。マイクロカプセルはまた、着色されてもよい。
【0398】
酵素製品のハンドリング及びプロセシングの間の酵素ダストレベルを低減するため、マイクロカプセルを用いることができる。
【0399】
別段の指示がない限り、すべての百分率は、本願全体を通じて重量パーセント(%w/w)で示される。
【0400】
マイクロカプセル
マイクロカプセルは、典型的には水滴を水と非混和性である連続体中に形成することにより、即ち、典型的には油中水エマルジョンを調製することにより、またその後の架橋剤の添加を介した界面重合による膜の形成により生成される。最終的硬化後、当該技術分野で公知の方法により、カプセルは、収集され、さらにすすがれ、製剤化されうる。続いて、カプセル製剤は、洗剤に添加される。
【0401】
カプセル封入されるべきペイロード、主要な膜成分及び最終的な追加成分は、水相中に見出される。連続体中に、水滴を合体の方へ安定化させる成分(乳化剤、乳化安定剤、界面活性剤など)が見出され、架橋剤もまた連続体を介して添加される。
【0402】
エマルジョンは、当該技術分野で公知の任意の方法、例えば、機械的撹拌、ドリッピングプロセス、膜乳化、マイクロフルイディクス、超音波処理などにより、調製されうる。場合によっては、相の単純混合は、自動的にエマルジョンをもたらすことになる(自己乳化と称されることが多い)。狭いサイズ分布をもたらす方法を用いることは、有利である
【0403】
その後、架橋剤は、典型的には、直接的に、又はより典型的には、連続相において可溶性である溶媒中で架橋剤の溶液を調製することにより、エマルジョンに添加される。エマルジョン及び架橋剤又はこれにおける溶液は、当該技術分野で用いられる通常の方法により、例えば、単純混合により、又はエマルジョン及び架橋剤溶液がインラインミキサーを通る流れを慎重に制御することにより、混合されうる。
【0404】
場合によっては、カプセルの硬化は、膜形成を完了させるために必要とされる。硬化は、界面重合反応の終了を可能にするため、しばらくの間、カプセルを単純撹拌することであることが多い。それ以外の場合では、膜形成は、反応クエンチャーの添加により停止されうる。
【0405】
カプセルは、国際公開第99/01534号パンフレットに記載の通り、洗剤中での粒子の綿状沈殿を阻止又は低減するため、例えば成分を膜上で反応させることにより、後修飾されてもよい。
【0406】
生成されたカプセルは、当該技術分野で公知の方法により、例えば、カプセル分散液の濾過、遠心分離、蒸留又はデカンテーションにより、単離又は濃縮されうる。
【0407】
得られたカプセルは、例えば、生成物に、貯蔵、輸送、並びに後のハンドリング及び洗剤への添加における所望される特性を与えるための界面活性剤の添加により、さらに製剤化されうる。他のマイクロカプセル製剤は、レオロジー調整剤、殺生物剤(例えば、Proxel)、pHの調節用の(マイクロカプセル内部も調節することになる)酸/塩基、及び水活性の調節用の水を含む。
【0408】
カプセル形成プロセスは、以下のステップ:
-最初の水及び油相の調製、
-油中水エマルジョン、
-界面重合による膜形成、
-任意選択的な後修飾、
-任意選択的な単離及び/又は製剤化、
-洗剤への添加
を含んでもよい。
【0409】
プロセスは、バッチプロセス又は連続若しくは半連続プロセスのいずれかでありうる。
【0410】
本発明に記載のマイクロカプセルは、周囲に均一膜を有する小さい水球である。マイクロカプセル内部の材料は、コア、内部相、又は充填物と称される一方、膜は、シェル、コーティング剤、又は壁と称されることがある。本発明のマイクロカプセルは、0.5μm~2mmの間の直径を有する。好ましくは、マイクロカプセルの平均直径は、1μm~1000μmの範囲内、より好ましくは5μm~500μmの範囲内、さらにより好ましくは10μm~500μmの範囲内、さらにより好ましくは50μm~500μmの範囲内、また最も好ましくは50μm~200μmの範囲内である。或いは、マイクロカプセルの直径は、0.5μm~30μmの範囲内;又は1μm~25μmの範囲内である。マイクロカプセルの直径は、重合が完了後、油相中で測定される。カプセルの直径は、周囲の化学的環境の水活性に応じて変化してもよい。
【0411】
酵素のマイクロカプセル封入は、本発明にて用いられるとき、界面重合により実施されてもよく、ここで重合反応における2つの反応物は、ある界面で会合し、急速に反応する。この方法の基本は、ポリアミンと、架橋剤として作用する、酸誘導体、通常は酸ハロゲン化物との反応である。ポリアミンは、好ましくは実質的に水溶性(遊離塩基形態であるとき)である。正しい条件下で、薄い可動性膜が界面で急速に形成する。重合を行う一方法は、非水性溶媒(及び乳化剤)で乳化された、酵素及びポリアミンの水溶液を用いることであり、酸誘導体を含有する溶液が添加される。反応中に形成される酸を中和するため、アルカリ化剤が酵素溶液中に存在してもよい。エマルション滴の界面で直ぐにポリマー(ポリアミド)膜が形成する。マイクロカプセルのポリマー膜は、典型的にはカチオン性であり、それ故、アニオン性の化合物と結合/複合化する。
【0412】
マイクロカプセルの直径は、例えば撹拌速度により制御される、エマルション滴のサイズにより判定される。
【0413】
エマルジョン
エマルジョンは、1つの液相の第2の液相中での一時的又は永久的な分散液である。第2の液体は、一般に連続相と称される。エマルジョンの形成及び安定化に寄与するように、一般に界面活性剤が用いられる。すべての界面活性剤がエマルジョンを等しく安定化できるわけではない。界面活性剤のタイプ及び量が、特にエマルジョンの調製及び物理的安定性、並びに希釈及びさらなる処理の間での安定性に関しての最適なエマルジョンの有用性についての選択に必要である。物理的安定性は、エマルジョンを分散液形態で維持することを指す。合体、凝集、容器壁への吸着、沈降及びクリーミングなどのプロセスは、物理的不安定性の形態であり、且つ回避される必要がある。好適な界面活性剤の例が、国際公開第97/24177号パンフレット、19~21頁;及び国際公開第99/01534号パンフレットに記載されている。
【0414】
エマルジョンは、分散液相が簡単な均一液体である簡単なエマルジョン、又は分散液相が液相若しくは固相の異質な組み合わせであるようなより複雑なエマルジョン、例えば二重エマルジョン又は多重エマルジョンのいずれかとして、さらに分類されうる。例えば、水相自体が乳化油相をさらに含有するような油中水二重エマルジョン又は多重エマルジョンが形成されてもよく;エマルジョンのこのタイプは、油中水中油(o/w/o)エマルジョンとして特定されてもよい。或いは、水相が懸濁液-エマルジョンと称されることが多い分散固相を含有するような油中水エマルジョンが形成されてもよい。他のより複雑なエマルジョンが説明されうる。かかる系を説明することが本質的に困難であることから、エマルジョンという用語は、簡単なエマルジョン及びより複雑なエマルジョンの両方を記述するため、エマルジョンの形態又は存在する相のタイプ及び数を必ずしも制限することなく用いられる。
【0415】
ポリアミン
膜の硬性/可動性及び透過性は、主にポリアミンの選択による影響を受ける。ポリアミンは、本発明の多分岐ポリアミンに従う。各分岐、好ましくは一次アミノ基を有する末端は、膜ネットワークにおける係留点として役立ち、それにより本発明の好ましい特性が得られる。多分岐ポリアミンは、本発明の2より多い分岐点及び2より多い反応性アミノ基(架橋剤、即ち一次及び二次アミノ基と反応する能力がある)を有するポリアミンに従う。多分岐ポリアミンは、エマルジョンが調製されるときの出発物質として用いられる(それは他の出発物質からは原位置で形成されない)。本発明の魅力的な特性を得るため、ポリアミンの多分岐構造は、出発物質として存在する必要がある。
【0416】
第一級アミンが常に分岐の末端に位置づけられることになり:直鎖アミンが専ら2つの第一級アミンを有しうることから、分岐点の数と第一級アミンの数との間には密接な関係がある。仮説的にかかる直鎖ジアミンに導入された各分岐点においては、導入された分岐の末端に1つ又は複数の第一級アミンを導入することが可能になる。これに関連して、我々は、第一級アミノ基を分岐の一部、即ち分岐の終点として理解している。例えば、我々は、トリス(2-アミノエチル)アミンと1,2,3-プロパントリアミンの両方を、1つの分岐点を有する分子としてみなす。本発明においては、ポリアミンは、少なくとも4つの第一級アミンを有する。分岐点は、前述した例などでは脂肪族炭化水素鎖から、又は例えば3,3’-ジアミノベンジジンでは不飽和炭素結合から、又は例えばN,N,N’,N’-テトラキス-(2-アミノエチル)エチレンジアミンでは第三級アミノ基から導入されうる。
【0417】
分岐点の数に加えて、我々は、反応性アミノ基の緻密性が非常に重要であることを見出している。例えば、N,N,N’,N’-テトラキス-(12-アミノドデシル)エチレンジアミンなどの物質であれば、好適でないことになる。ペプチド又はタンパク質、例えば酵素のいずれも膜形成に適しないことになる。したがって、多分岐ポリアミンは、ペプチド又はタンパク質でない。
【0418】
一実施形態では、反応性アミノ基は、多分岐ポリアミンの分子量の少なくとも15%、例えば、20%超、又は25%超を占める。好ましくは、多分岐ポリアミンの分子量は、少なくとも1kDaであり;より好ましくは、多分岐ポリアミンの分子量は、少なくとも1.3kDaである。
【0419】
好ましい実施形態では、多分岐ポリアミンは、2より多い分岐点及び2より多い反応性アミノ基を有する、ポリエチレンイミン(PEI)、及びその修飾体であり;ここで反応性アミノ基は、PEIの分子量の少なくとも15%、例えば、20%超、又は25%超を占める。好ましくは、PEIの分子量は、少なくとも1kDaである。
【0420】
本発明に記載のマイクロカプセルを調製するため、異なる多分岐ポリアミンの組み合わせが用いられてもよい。
【0421】
本発明のマイクロカプセルの有利な特性(例えば、酵素貯蔵安定性、酵素漏出の低下、洗剤成分流入の低下)は、1つ又は複数の1kDa未満の分子量を有する小アミンを添加することにより改善されることがある。小アミンは、好ましくは実質的に水溶性であり(遊離塩基形態であるとき)、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレンテトラミン、エチレンテトラミン、ジアミノベンゼン、ピペラジン、テトラメチレンペンタミン又は、好ましくはジエチレントリアミン(DETA)などの材料でありうる。小アミンは、本発明のマイクロカプセルを調製するとき、小アミン及び多分岐ポリアミンの全含量の重量で、最大50%、好ましくは最大40%、最大30%、最大20%、最大10%、又は最大5%の量で添加されてもよい。
【0422】
架橋剤
架橋剤は、本発明で用いられるとき、共有結合を形成するため、アミンと反応可能である少なくとも2つの基/部位を有する分子である。
【0423】
架橋剤は、好ましくは油溶性であり、酸無水物又は酸ハロゲン化物、好ましくは酸塩化物の形態でありうる。例えば、それは、アジポイルクロリド、セバコイルクロリド、ドデカン二酸塩化物、フタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド、イソフタロイルクロリド、又はトリメソイルクロリドでありうるが、好ましくは、架橋剤は、テレフタロイルクロリド又はトリメソイルクロリドである。
【0424】
酵素
一実施形態では、本発明の組成物又はマイクロカプセル組成物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ペルヒドロラーゼ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酵素をさらに含んでもよい。
【0425】
本発明の組成物中の又はマイクロカプセル中に封入された酵素は、例えば、洗濯又は食器洗浄洗剤中に適した1つ又は複数の酵素(洗剤酵素)、例えば、プロテアーゼ(例えば、スブチリシン又はメタロプロテアーゼ)、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシラナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ペルヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ(例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼ及び/又はハロペルオキシダーゼ)を含んでもよい。好ましい洗剤酵素は、プロテアーゼ(例えば、スブチリシン又はメタロプロテアーゼ)、リパーゼ、アミラーゼ、リアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ペルヒドロラーゼ、及びオキシドレダクターゼ(例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼ及び/又はハロペルオキシダーゼ);又はそれらの組み合わせである。より好ましい洗剤酵素は、プロテアーゼ(例えば、スブチリシン又はメタロプロテアーゼ)、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、及びマンナナーゼ;又はそれらの組み合わせである。
【0426】
本発明の組成物又はマイクロカプセル組成物は、0.1%(w/w)超の活性酵素タンパク質、特に本発明のリパーゼ変異体;好ましくは0.25%超、より好ましくは0.5%超、より好ましくは1%超、より好ましくは2.5%超、より好ましくは5%超、より好ましくは7.5%超、より好ましくは10%超、より好ましくは12.5%超、より好ましくは15%超、さらにより好ましくは20%超、また最も好ましくは25%(w/w)超の活性酵素タンパク質を含んでもよい。
【0427】
プロテアーゼ:本発明にて用いられるプロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、例えば、スブチリシン、メタロプロテアーゼ及び/又はトリプシン様プロテアーゼである。好ましくは、プロテアーゼは、スブチリシン又はメタロプロテアーゼであり;より好ましくは、プロテアーゼは、スブチリシンである。
【0428】
セリンプロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、そこでは活性部位に必須のセリン残基が存在する(White,Handler and Smith,1973“Principles of Biochemistry”Fifth Edition,McGraw-Hill Book Company,NY,pp.271-272)。スブチリシンは、Siezen et al.,Protein Engng.4(1991)719-737;及びSiezen et al.,Protein Science 6(1997)501-523による定義として、I-S1及びI-S2亜群を含む、好ましくはそれらからなる。セリンプロテアーゼの活性部位の高度に保存された構造が理由で、本発明に記載のスブチリシンは、Siezen et al.(上記)による提起された亜群として命名されたスブチラーゼと機能的に等価であってもよい。
【0429】
スブチリシンは、化学的又は遺伝的な組換え突然変異体(タンパク質改変変異体)を含む、動物、植物又は微生物起源のもの、好ましくは好アルカリ性微生物スブチリシンであってもよい。スブチリシンの例として、バチルス(Bacillus)由来のもの、例えば、スブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシンBPN’、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(国際公開第89/06279号パンフレットに記載)、並びにプロテアーゼPD138(国際公開第93/18140号パンフレット)が挙げられる。例が、国際公開第98/020115号パンフレット、国際公開第01/44452号パンフレット、国際公開第01/58275号パンフレット、国際公開第01/58276号パンフレット、国際公開第03/006602号パンフレット及び国際公開第04/099401号パンフレットに記載されている。トリプシン様プロテアーゼの例として、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)及び国際公開第89/06270号パンフレット及び国際公開第94/25583号パンフレットに記載のフザリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。他の例が、国際公開第92/19729号パンフレット、国際公開第88/08028号パンフレット、国際公開第98/20115号パンフレット、国際公開第98/20116号パンフレット、国際公開第98/34946号パンフレット、国際公開第2000/037599号パンフレット、国際公開第2011/036263号パンフレットに記載の変異体、特に、以下の位置:27、36、57、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235、及び274の1つ又は複数に置換を有する変異体である。
【0430】
メタロプロテアーゼは、化学的又は遺伝的な組換え突然変異体(タンパク質改変変異体)を含む、動物、植物又は微生物起源のもの、好ましくは好アルカリ性微生物メタロプロテアーゼであってもよい。例が、国際公開第2007/044993号パンフレット、国際公開第2012/110562号パンフレット及び国際公開第2008/134343号パンフレットに記載されている。
【0431】
市販のスブチリシンの例として、Kannase(商標)、Everlase(商標)、Relase(商標)、Esperase(商標)、Alcalase(商標)、Durazym(商標)、Savinase(商標)、Ovozyme(商標)、Liquanase(商標)、Coronase(商標)、Polarzyme(商標)、Pyrase(商標)、膵臓トリプシンNOVO(PTN)、Bio-Feed(商標)Pro及びClear-Lens(商標)Pro;Blaze(すべてはNovozymes A/S,Bagsvaerd,Denmarkから入手可能)が挙げられる。他の市販のプロテアーゼとして、Neutrase(商標)、Ronozyme(商標)Pro、Maxatase(商標)、Maxacal(商標)、Maxapem(商標)、Opticlean(商標)、Properase(商標)、Purafast(商標)、Purafect(商標)、PurafectOx(商標)、Purafact Prime(商標)、Excellase(商標)、FN2(商標)、FN3(商標)及びFN4(商標)(Novozymes,Genencor International Inc.,Gist-Brocades,BASF、又はDSMから入手可能)が挙げられる。他の例が、Primase(商標)及びDuralase(商標)である。Henkelから入手可能であるBlap R、Blap S及びBlap Xも例である。
【0432】
リアーゼ:リアーゼは、例えば、米国特許第6124127号明細書、国際公開第99/027083号パンフレット、国際公開第99/027084号パンフレット、国際公開第02/006442号パンフレット、国際公開第02/092741号パンフレット、国際公開第03/095638号パンフレットに記載の通り、バチルス(Bacillus)、特にB.リケニフォルミス(B.licheniformis)若しくはB.アガラドヘレンス(B.agaradhaerens)に由来するペクチン酸リアーゼ、又はこれらのいずれかに由来する変異体であってもよく、市販のペクチン酸リアーゼは、XPect;Pectawash及びPectaway(Novozymes A/S)である。
【0433】
マンナナーゼ:マンナナーゼは、ファミリー5又は26のアルカリ性マンナナーゼであってもよい。それは、バチルス(Bacillus)又はフミコラ(Humicola)、特に、B.アガラドヘレンス(B.agaradhaerens)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.クラウジイ(B.clausii)、又はH.インソレンス(H.insolens)からの野生型であってもよい。好適なマンナナーゼは、国際公開第99/064619号パンフレットに記載されている。市販のマンナナーゼは、Mannaway(Novozymes A/S)である。
【0434】
セルラーゼ:好適なセルラーゼは、細菌又は真菌起源のものを含む。化学修飾又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。好適なセルラーゼは、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼ、例えば、米国特許第4,435,307号明細書、米国特許第5,648,263号明細書、米国特許第5,691,178号明細書、米国特許第5,776,757号明細書及び国際公開第89/09259号パンフレットに開示された、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から生成される真菌セルラーゼを含む。
【0435】
特に好適なセルラーゼは、カラーケア効果を有するアルカリ性又は中性セルラーゼである。かかるセルラーゼの例が、欧州特許第0495257号明細書、欧州特許第0531372号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、国際公開第98/08940号パンフレットに記載されたセルラーゼである。他の例が、国際公開第94/07998号パンフレット、欧州特許第0531315号明細書、米国特許第5,457,046号明細書、米国特許第5,686,593号明細書、米国特許第5,763,254号明細書、国際公開第95/24471号パンフレット、国際公開第98/12307号パンフレット及びPCT/DK98/00299号明細書に記載されたようなセルラーゼ変異体である。
【0436】
市販のセルラーゼとして、Celluzyme(商標)、及びCarezyme(商標)(Novozymes A/S)、Clazinase(商標)、及びPuradaxHA(商標)(Genencor International Inc.)、及びKAC-500(B)(商標)(Kao Corporation)が挙げられる。
【0437】
本発明のリパーゼ変異体に加えて、組成物又はマイクロカプセル組成物は、他のリパーゼを含んでもよい。
【0438】
他のリパーゼ及びクチナーゼ:好適なリパーゼ及びクチナーゼは、細菌又は真菌起源のものを含む。化学修飾又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。例として、サーモマイセス(Thermomyces)由来、例えば、欧州特許第258068号明細書及び欧州特許第305216号明細書に記載のようなT.ラヌギノサス(T.lanuginosus)(以前はフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)という名称)由来のリパーゼ、フミコラ(Humicola)、例えば国際公開第96/13580号パンフレットに記載のようなH.インソレンス(H.insolens)由来のクチナーゼ、例えば、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)若しくはP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)(欧州特許第331376号明細書)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)(英国特許第1,372,034号明細書)、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)株SD705(国際公開第95/06720号パンフレット及び国際公開第96/27002号パンフレット)、P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)(国際公開第96/12012号パンフレット)由来のシュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、例えば、枯草菌(B.subtilis)(Dartois et al.,1993,Biochemica et Biophysica Acta,1131:253-360)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)(特開昭64/744992号公報)若しくはB.プミルス(B.pumilus)(国際公開第91/16422号パンフレット)由来のバチルス(Bacillus)リパーゼが挙げられる。
【0439】
他の例が、リパーゼ変異体、例えば、国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、欧州特許第407225号明細書、欧州特許第260105号明細書、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、国際公開第00/060063号パンフレット、国際公開第2007/087508号パンフレット及び国際公開第2009/109500号パンフレットに記載のものである。
【0440】
他の市販のリパーゼ酵素として、Lipolase(商標)、Lipolase Ultra(商標)、及びLipex(商標);Lipex Evity 100L、Lecitase(商標)、Lipolex(商標);Lipoclean(商標)、Lipoprime(商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。他の市販のリパーゼとして、Lumafast(Genencor Int Inc);Lipomax(Gist-Brocades/Genencor Int Inc)及びSolvay製のバチルス属(Bacillus sp.)リパーゼが挙げられる。
【0441】
アミラーゼ:好適なアミラーゼは、細菌又は真菌起源のものを含む。化学修飾又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。アミラーゼとして、例えば、バチルス(Bacillus)、例えばバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)の特殊株(英国特許第1,296,839号明細書により詳細に記載)から得られるアルファ-アミラーゼが挙げられる。
【0442】
好適なアミラーゼの例として、国際公開第95/10603号パンフレットの配列番号2を有するアミラーゼ又はその中の配列番号3に対して90%の配列同一性を有する変異体が挙げられる。好ましい変異体が、国際公開第94/02597号パンフレット、国際公開第94/18314号パンフレット、国際公開第97/43424号パンフレット及び国際公開第99/019467号パンフレットの配列番号4、例えば、以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、178、179、181、188、190、197、201、202、207、208、209、211、243、264、304、305、391、408、及び444の1つ又は複数に置換を有する変異体に記述される。
【0443】
異なる好適なアミラーゼが、国際公開第02/010355号パンフレットの配列番号6を有するアミラーゼ又は配列番号6に対して90%の配列同一性を有するその変異体を含む。配列番号6の好ましい変異体が、181位及び182位に欠失、また193位に置換を有するものである。好適である他のアミラーゼが、国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号6に示されるB.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)由来のアルファ-アミラーゼの1~33残基及び国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号4に示されるB.リケニフォルミス(B.licheniformis)アルファ-アミラーゼの36~483残基を含むハイブリッドアルファ-アミラーゼ又はその90%の配列同一性を有する変異体である。このハイブリッドアルファ-アミラーゼの好ましい変異体が、以下の位置:G48、T49、G107、H156、A181、N190、M197、I201、A209及びQ264の1つ又は複数に置換、欠失又は挿入を有するものである。国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号6に示されるB.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)由来のアルファ-アミラーゼの1~33残基及び配列番号4の36~483残基を含むハイブリッドアルファ-アミラーゼの最も好ましい変異体が、
M197T;
H156Y+A181T+N190F+A209V+Q264S;又は
G48A+T49I+G107A+H156Y+A181T+N190F+I201F+A209V+Q264S
に置換を有するものである。
【0444】
好適であるさらなるアミラーゼが、国際公開第99/019467号パンフレットの配列番号6を有するアミラーゼ又は配列番号6に対して90%の配列同一性を有するその変異体である。配列番号6の好ましい変異体が、以下の位置:R181、G182、H183、G184、N195、I206、E212、E216及びK269の1つ又は複数に置換、欠失又は挿入を有するものである。特に好ましいアミラーゼが、R181位及びG182位、又はH183位及びG184位に欠失を有するものである。
【0445】
使用可能であるさらなるアミラーゼが、国際公開第96/023873号パンフレットの配列番号1、配列番号3、配列番号2若しくは配列番号7を有するもの又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号7に対して90%の配列同一性を有するその変異体である。配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号7の好ましい変異体が、以下の位置:140、181、182、183、184、195、206、212、243、260、269、304及び476の1つ又は複数に置換、欠失又は挿入を有するものである。より好ましい変異体が、181位及び182位又は183位及び184位に欠失を有するものである。配列番号1、配列番号2又は配列番号7の最も好ましいアミラーゼ変異体が、183位及び184位に欠失、また位置140、195、206、243、260、304及び476の1つ又は複数に置換を有するものである。
【0446】
使用可能である他のアミラーゼが、国際公開第08/153815号パンフレットの配列番号2、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10を有するアミラーゼ、又は国際公開第08/153815号パンフレットの配列番号2に対して90%の配列同一性若しくは国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10に対して90%の配列同一性を有するその変異体である。国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10の好ましい変異体は、以下の位置:176、177、178、179、190、201、207、211及び264の1つ又は複数に置換、欠失又は挿入を有するものである。
【0447】
さらに好適なアミラーゼは、国際公開第09/061380号パンフレットの配列番号2を有するアミラーゼ又はその配列番号2に対して90%の配列同一性を有する変異体である。配列番号2の好ましい変異体は、C末端の切断及び/又は以下の位置:Q87、Q98、S125、N128、T131、T165、K178、R180、S181、T182、G183、M201、F202、N225、S243、N272、N282、Y305、R309、D319、Q320、Q359、K444及びG475の1つ又は複数に置換、欠失若しくは挿入を有するものである。配列番号2のより好ましい変異体は、以下の位置:Q87E,R、Q98R、S125A、N128C、T131I、T165I、K178L、T182G、M201L、F202Y、N225E,R、N272E,R、S243Q,A,E,D、Y305R、R309A、Q320R、Q359E、K444E及びG475Kの1つ又は複数に置換を、且つ/又は、R180位及び/若しくはS181位又はT182及び/若しくはG183に欠失を有するものである。配列番号2の最も好ましいアミラーゼ変異体は、置換:
N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;
N128C+K178L+T182G+F202Y+Y305R+D319T+G475K;
S125A+N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;又は
S125A+N128C+T131I+T165I+K178L+T182G+Y305R+G475K
を有するものであり、ここで変異体は、C末端が切断され、任意選択的には、243位に置換を、且つ/又は180位及び/若しくは181位に欠失をさらに含む。
【0448】
他の好適なアミラーゼは、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号12を有するアルファ-アミラーゼ又は配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有する変異体である。好ましいアミラーゼ変異体は、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号12の以下の位置:R28、R118、N174;R181、G182、D183、G184、G186、W189、N195、M202、Y298、N299、K302、S303、N306、R310、N314;R320、H324、E345、Y396、R400、W439、R444、N445、K446、Q449、R458、N471、N484の1つ又は複数に置換、欠失又は挿入を有するものである。特定の好ましいアミラーゼは、D183及びG184の欠失を有し、且つR118K、N195F、R320K及びR458Kの置換を有する変異体、並びにM9、G149、G182、G186、M202、T257、Y295、N299、M323、E345及びA339の群から選択される1つ又は複数の位置に置換をさらに有する変異体、最も好ましくはこれらすべての位置に置換をさらに有する変異体を含む。
【0449】
他の例が、国際公開第2011/098531号パンフレット、国際公開第2013/001078号パンフレット及び国際公開第2013/001087号パンフレットに記載されるようなアミラーゼ変異体である。
【0450】
市販のアミラーゼは、Stainzyme;Stainzyme Plus;Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Termamyl Ultra;Natalase、Fungamyl(商標)及びBAN(商標)(Novozymes A/S)、Rapidase(商標)及びPurastar(商標)/Effectenz(商標)、Powerase及びPreferenz S100(Genencor International Inc./DuPont製)である。
【0451】
デオキシリボヌクレアーゼ(DNase):好適なデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)は、DNA骨格におけるリン酸ジエステル結合の加水切断を触媒し、それによりDNAを分解する任意の酵素である。本発明によると、細菌から入手可能であるDNaseが好ましく;特にバチルス(Bacillus)から入手可能であるDNaseが好ましく;特に枯草菌(Bacillus subtilis)若しくはバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から入手可能であるDNaseが好ましい。かかるDNaseの例が、特許出願の国際公開第2011/098579号パンフレットに、又はPCT/EP2013/075922号明細書に記載されている。
【0452】
ペルヒドロラーゼ:好適なペルヒドロラーゼは、ペルオキシゲンの供給源(例えば過酸化水素)の存在下でカルボン酸エステル(アシル)基質からの過酸の生成をもたらす過加水分解反応を触媒する能力がある。多数の酵素がこの反応を低レベルで行う一方で、ペルヒドロラーゼは、高い過加水分解(加水分解比が1を超えることが多い)を示す。好適なペルヒドロラーゼは、植物、細菌又は真菌起源であってもよい。化学修飾又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。
【0453】
有用なペルヒドロラーゼの例として、天然に存在するマイコバクテリウム(Mycobacterium)ペルヒドロラーゼ酵素、又はその変異体が挙げられる。例示的酵素が、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)に由来する。かかる酵素、その酵素的特性、その構造、及びその変異体は、国際公開第2005/056782号パンフレット、国際公開第2008/063400号パンフレット、米国特許第2008/145353号明細書、及び米国特許第2007167344号明細書に記載されている。
【0454】
オキシダーゼ/ペルオキシダーゼ:好適なオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ(又はオキシドレダクターゼ)は、様々な糖酸化酵素、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及びハロペルオキシダーゼを含む。
【0455】
好適なペルオキシダーゼは、ペルオキシダーゼ活性を示す、国際生化学分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の命名委員会(Nomenclature Committee)によって提示された酵素分類EC1.11.1.7によって含まれるもの、又はそれに由来する任意の断片を含む。
【0456】
好適なペルオキシダーゼは、植物、細菌又は真菌起源のものを含む。化学修飾又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼの例として、コプリノプシス(Coprinopsis)由来のペルオキシダーゼ、例えばC.シネレア(C.cinerea)由来のペルオキシダーゼ(欧州特許第179,486号明細書)、及びその変異体(国際公開第93/24618号パンフレット、国際公開第95/10602号パンフレット、及び国際公開第98/15257号パンフレットに記載されるもの)が挙げられる。
【0457】
本発明で用いられるペルオキシダーゼはまた、ハロペルオキシダーゼ酵素、例えば、クロロペルオキシダーゼ、ブロモペルオキシダーゼ、及びクロロペルオキシダーゼ又はブロモペルオキシダーゼ活性を示す化合物を含む。ハロペルオキシダーゼは、ハロゲン化物イオンに対するその特異性に従って分類される。クロロペルオキシダーゼ(E.C.1.11.1.10)は、塩化物イオンからの次亜塩素酸塩の形成を触媒する。
【0458】
一実施形態では、ハロペルオキシダーゼは、クロロペルオキシダーゼである。好ましくは、ハロペルオキシダーゼは、バナジウムハロペルオキシダーゼ、即ちバナジン酸塩含有ハロペルオキシダーゼである。本発明の好ましい方法では、バナジン酸塩含有ハロペルオキシダーゼは、塩化物イオンの供給源と組み合わせられる。
【0459】
ハロペルオキシダーゼは、多種の真菌から、特に暗色糸状不完全菌類、例えば、カルダリオマイセス(Caldariomyces)、例えばC.フマゴ(C.fumago)、アルテルナリア(Alternaria)、クルブラリア(Curvularia)、例えばC.ベルクロサ(C.verruculosa)及びC.イナエクアリス(C.inaequalis)、ドレクスレラ(Drechslera)、ウロクラジウム(Ulocladium)及びボトリチス(Botrytis)の真菌群から単離されている。
【0460】
ハロペルオキシダーゼは、シュードモナス(Pseudomonas)、例えばP.ピロシニア(P.pyrrocinia)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)、例えばS.アウレオファシエンス(S.aureofaciens)などの細菌からも単離されている。
【0461】
好ましい実施形態では、ハロペルオキシダーゼは、クルブラリア属(Curvularia sp.)、特にクルブラリア・ベルクロサ(Curvularia verruculosa)又はクルブラリア・イナエクアリス(Curvularia inaequalis)、例えば、国際公開第95/27046号パンフレットに記載のようなC.イナエクアリス(C.inaequalis)CBS102.42;又は国際公開第97/04102号パンフレットに記載のようなC.ベルクロサ(C.verruculosa)CBS147.63若しくはC.ベルクロサ(C.verruculosa)CBS444.70から;又は国際公開第01/79459号パンフレットに記載のようなドレキスレラ・ハルトレビイ(Drechslera hartlebii)、国際公開第01/79458号パンフレットに記載のようなデンドリフィエラ・サリナ(Dendryphiella salina)、国際公開第01/79461号パンフレットに記載のようなフェオトリココニス・クロタラリエ(Phaeotrichoconis crotalarie)、又は国際公開第01/79460号パンフレットに記載のようなゲニクロスポリウム種(Geniculosporium sp.)から誘導可能である。
【0462】
本発明に従うオキシダーゼは、特に、酵素分類EC1.10.3.2によって含まれる任意のラッカーゼ酵素、又はラッカーゼ活性を示すそれに由来する任意の断片、又は類似活性を示す化合物、例えば、カテコールオキシダーゼ(EC1.10.3.1)、o-アミノフェノールオキシダーゼ(EC1.10.3.4)、又はビリルビンオキシダーゼ(EC1.3.3.5)を含む。
【0463】
好ましいラッカーゼ酵素は、微生物起源の酵素である。酵素は、植物、細菌又は真菌(糸状菌及び酵母を含む)に由来してもよい。
【0464】
真菌由来の好適な例として、アスペルギルス(Aspergillus)、パンカビ(Neurospora)、例えば、N.クラッサ(N.crassa)、ポドスポラ(Podospora)、ボトリチス(Botrytis)、コリビア(Collybia)、フォメス(Fomes)、レンチヌス(Lentinus)、プレウロタス(Pleurotus)、ホウロクタケ(Trametes)、例えば、T.ビロサ(T.villosa)及びT.ベルシコロル(T.versicolor)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、例えば、紋枯病菌(R.solani)、コプリノプシス(Coprinopsis)、例えば、C.シネレア(C.cinerea)、ササクレヒトヨタケ(C.comatus)、ヒメヒトヨタケ(C.friesii)、及びC.プリカチリス(C.plicatilis)、ナヨタケ(Psathyrella)、例えば、P.コンデレアナ(P.condelleana)、パナエオラス(Panaeolus)、例えば、ワライタケ(P.papilionaceus)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、例えば、M.サーモフィラ(M.thermophila)、シタリジウム(Schytalidium)、例えば、S.サーモフィルム(S.thermophilum)、ポリポルス(Polyporus)、例えば、P.ピンシツス(P.pinsitus)、フレビア(Phlebia)、例えば、P.ラジアータ(P.radiata)(国際公開第92/01046号パンフレット)、又はコリオルス(Coriolus)、例えば、C.ヒルスツス(C.hirsutus)(日本国特許第2238885号明細書)の株から誘導可能なラッカーゼが挙げられる。
【0465】
細菌由来の好適な例として、バチルス(Bacillus)の株から誘導可能なラッカーゼが挙げられる。
【0466】
コプリノプシス(Coprinopsis)又はミセリオフトラ(Myceliophthora)由来;特に、国際公開第97/08325号パンフレットに開示のようなコプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来;又は国際公開第95/33836号パンフレットに開示のようなミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)由来のラッカーゼが好ましい。
【0467】
他のオキシダーゼの例として、限定はされないが、アミノ酸オキシダーゼ、ブドウ糖酸化酵素、乳酸オキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ポリオールオキシダーゼ(例えば、国際公開第2008/051491号パンフレット)、及びアルドースオキシダーゼが挙げられる。オキシダーゼ及びそれに対応する基質が、過酸化水素生成酵素系、ひいては過酸化水素の供給源として用いられてもよい。いくつかの酵素、例えば、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ及びペルヒドロラーゼは、過酸化水素の供給源を必要とする。EC1.1.3._、EC1.2.3._、EC1.4.3._、及びEC1.5.3._又は類似クラス(International Unionof Biochemistryの下)を検討することにより、オキシダーゼと基質のような組み合わせの他の例が、当業者によって容易に理解される。
【0468】
酵素安定剤及び/又はレオロジー調整剤
組成物又はマイクロカプセルはまた、当該技術分野で公知のような酵素安定剤、例えば、ポリオール、ポリマー、可逆的酵素阻害剤、二価カチオン、酵素基質、抗酸化剤などを含有してもよい。水溶性の安定剤が好ましい。
【0469】
カプセル化酵素/化合物に対してより「フレンドリーである」ことから、貯蔵中の安定性を改善する、カプセル内部の局所的環境を作出するため、徐々に溶解する安定剤の添加を用いることができる。
【0470】
可逆的プロテアーゼ阻害剤の例として、ホウ酸、ペプチドアルデヒド及びその誘導体、並びに高分子タンパク質型阻害剤(BASI/RASI阻害剤に類するもの、国際公開第2009/095425号パンフレットを参照)が挙げられる。メタロプロテアーゼ阻害剤の例が、国際公開第2008/134343号パンフレットに記載されている。プロテアーゼ阻害剤は、「プロテアーゼ阻害剤」の見出し以下により詳述されている。
【0471】
安定化ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及びそれらの共重合体に基づくことができる。安定化ポリオールは、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールなどのような小さめの分子であるだけでなく、ポリエチレングリコール、多糖などのような大きめの分子でありうる。
【0472】
安定化二価カチオンの中で、Ca2+、Mg2+及びZn2+は、当該技術分野で周知である。したがって、一実施形態では、本発明の組成物は、Ca2+、Mg2+又はZn2+イオンの供給源を含む。好ましくは、Ca2+、Mg2+又はZn2+イオンの供給源は、Ca2+、Mg2+又はZn2+の弱溶性(徐々に溶解する)塩である。弱溶性は、20℃での純水中の溶解度が5g/l未満、2g/l、1g/l、0.5g/l、0.2g/l、0.1g/l、又は0.05g/lであることを意味する。Ca2+、Mg2+又はZn2+の好ましい塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸亜鉛、シュウ酸カルシウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸亜鉛、酒石酸カルシウム、酒石酸マグネシウム、又は酒石酸亜鉛である。
【0473】
また、カプセル化酵素/化合物に対してより「フレンドリー」である、マイクロカプセル内部で局所的pHを創出するため、徐々に溶解する酸又は塩基を用いることができる。
【0474】
酵素は、ほとんどの場合、その基質の添加により安定化される(例えば、プロテアーゼに対するタンパク質、アミラーゼに対するデンプンなど)。例えば、酵素の酸化を低減するため、チオ硫酸塩、アスコルビン酸塩などの抗酸化剤又は還元剤を適用することができる。洗剤1gあたりでこれらの安定剤の必要とされる正味の用量は、それらが内部カプセル相中で濃縮されることから、連続洗剤相に安定剤を添加する場合と比してはるかに低く、多くの場合、貯蔵中に拡散しないか、又は安定剤の構造及び分子量に応じて徐々に拡散するだけのいずれかとなる。特に高分子量の安定剤(例えば、1kDa超、又は2kDa超、より好ましくは5kDa超)は、改善された正味の効率をもたらすことになる。それ故、高分子量の阻害剤、ポリマー、ポリオール、カチオン、酵素基質及び抗酸化剤が好ましい。
【0475】
酵素は、「スカベンジャー」タンパク質の添加により保護されてもよい。それ故、タンパク質上のアミノ酸基(例えばアミン)上で反応することにより成分が不安定化している酵素は、添加されたスカベンジャー又は犠牲タンパク質と反応することがある。カプセル内部に留まるように十分な高分子量を有するスカベンジャータンパク質が好ましい。
【0476】
酵素安定性を改善するためのやや異なる方法は、内部カプセル相の粘度を増加させるレオロジー修飾成分を添加することである。内部粘度の増加は、酵素脱安定剤(destabilizer)のカプセルへの拡散を遅延させ(且つ/又はカプセルからの酵素安定剤の拡散を遅延させ)、ひいては酵素の寿命を延長することになる。かかる粘度変更因子の例として、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、親水性ポリウレタン、ポリビニルピロリドン(PVP)及びPVP酢酸ビニル共重合体のようなポリマー、デンプン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースのような水溶性セルロース誘導体、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーゴム若しくはキサンタンガムなどのような水溶性ガム、並びにそれらの組み合わせ若しくは共重合体が挙げられる。1kDa超、又は2kDa超、より好ましくは5kDa超の分子量を有する非イオン性高分子量ポリマーが最も好ましい。非イオン性ポリマーは、ほとんどの場合、反応性膜ポリマーに、イオン性ポリマーよりも適合できることから好ましい。
【0477】
高粘度は、高粘度水相を用いてカプセルを生成する、又はより高度には、エマルジョン/カプセルの生成後に最初に粘度増加が生じる場合にカプセルを生成することによって達成されうる。この「引き起こされた」粘度増加は、エマルジョンを、困難でありうる高粘度水相で調製するときに好ましい。引き起こされた粘度増加は、その添加対象の洗剤よりも高い水活性を有する内部カプセル相による洗剤への添加時、原位置で生じうることから、水が(レオロジー調整剤を除く)カプセル外部に拡散し、洗剤への添加後に内部相の粘度が増加することになる。これはまた、塩又は他の低分子成分の拡散を用いて、例えば洗剤への添加により塩濃度が減少するときに粘度を増加させることになる成分(例えば、初期高塩分含有量で沈殿するが、洗剤への添加時に塩の拡散に起因して塩濃度が減少するときに可溶性であるポリマー)を有することにより利用可能である。粘度増加を引き起こすための別の方法は、粘度がpHに依存している場合の成分を使用することである。いくつかの界面重合プロセス(例えば、アミン-酸ハロゲン反応)においては、内部相のpHはカプセル封入中に変化し、アミン-酸ハロゲンの場合、pHは界面重合中に減少することになる。これは、粘度における増加を引き起こすため、用いることができる。ポリアクリレートのような多数のレオロジー調整剤は、特定のpH又はpH範囲で最大粘度を示す。Lubrizol製のCarbopol 934及びScott-Bader製のTexipol 63-258は、pHが11から8に減少する、又はpHが4から8に増加するときに粘度が有意に増加する場合のレオロジー調整剤の例である。低pH及び高pHで異なる粘度を有する別のポリマータイプは、部分的に加水分解されたポリアクリルアミドである。さらに別の可能性が、温度依存性があることで、ある温度でエマルジョン/カプセル封入を行い、その後に温度を変更して粘度を増加させる、レオロジー調整剤を用いることである。また、光又は超音波誘導性粘度が利用可能である。さらに別の方法が、エマルジョンが形成されるとき、高剪断で粘度が低くなり、剪断が低下すると高くなるように、剪断減粘性レオロジー調整剤を用いることである。
【0478】
別の安定化技術は、酵素が貯蔵中、例えば塩又はポリエチレングリコール(PEG)のような沈殿剤の添加により、カプセル内に沈殿することを保証することである。上記と同じ「引き起こされた安定化」は、例えば、洗剤への添加後、酵素が沈殿するような程度まで水が拡散することにより濃縮されるPEGの添加により、用いることができる。この方法では、酵素は、カプセルの処理中、溶液中に存在しうるが、洗剤に添加されるとき、沈殿されうる。
【0479】
マイクロカプセルを調製するとき、酵素も沈殿又は結晶形態で使用可能である。
【0480】
具体的に検討された実施形態では、本発明のマイクロカプセル組成物は、本発明のリパーゼ変異体を含む、国際公開第2014/177709号パンフレット(ここで参照により援用される)に記載のものである。
【0481】
別の実施形態では、本発明は、膜によって形成された区画内に封入された本発明のリパーゼ変異体を含むマイクロカプセル組成物であって、膜が(a)800Daを超える分子量を有する多分岐ポリアミンと、(b)300Da未満の分子量を有する脂肪族又は芳香族アミンとの架橋によって生成され;ここで(a)/(b)の重量比が0.1~1000の範囲内にある、マイクロカプセル組成物に関する。
【0482】
上述の通り、マイクロカプセルは、プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、スブチリシン、アミラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キサンタナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ペルヒドロラーゼ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酵素をさらに含んでもよい。上述の他の酵素についても検討される。
【0483】
一実施形態では、多分岐ポリアミンの反応性アミノ基は、分子量の少なくとも15%を占める。一実施形態では、区画の直径は、少なくとも50μmである。好ましい実施形態では、区画は、全区画の少なくとも1重量%の活性酵素、特に本発明のリパーゼ変異体を含有する。さらに上述の通り、マイクロカプセルは、アルコール、例えばポリオールをさらに含んでもよい。
【0484】
好ましい実施形態では、(a)はポリエチレンイミンである。
【0485】
一実施形態では、(b)は、エチレンアミン又はアルカノールアミンである。好ましい実施形態では、(b)は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノベンゼン、ピペラジン、及びテトラエチレンペンタミンからなる群から選択される。より好ましい実施形態では、(b)は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、モノエタノールアミン、及びジエタノールアミンからなる群から選択される。
【0486】
本発明によると、マイクロカプセルの区画は、Mg2+、Ca2+、又はZn2+イオンの供給源、例えば、Mg2+、Ca2+、又はZn2+の弱溶性塩を含む。
【0487】
好ましい実施形態では、膜は、架橋剤として酸塩化物、例えば、イソフタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド、又はトリメソイルクロリドを用いることにより生成される。
【0488】
好ましい実施形態では、膜は界面重合により生成される。
【0489】
具体的に検討された実施形態では、本発明のマイクロカプセル組成物は、本発明のリパーゼ変異体を含む、国際公開第2015/1144784号パンフレット(ここで参照により援用される)に記載のものである。
【0490】
液体製品
最終の態様では、本発明は、本発明のマイクロカプセル組成物を含む液体製品に関する。好ましい実施形態では、液体製品は、水又は少なくとも有意な量の水を含む。
【0491】
以下のパラグラフは、本発明の実施形態を説明する:
1.リパーゼ活性を有し、配列番号2と少なくとも60%であるが、100%未満の配列同一性を有し、且つG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T231R、N233R、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む親リパーゼの変異体。
【0492】
2.T231R+N233Rに対応する位置に置換を、且つG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に1つ又は複数(例えばいくつか)の置換を含む、パラグラフ1の変異体。
【0493】
3.以下の置換セットのいずれかに対応する置換を含む、パラグラフ1又は2の変異体。
【0494】
【表4】
【0495】
4.E56R+T231R+N233Rに対応する置換を、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、F51I,L、D57N、V60E,K、K98I、N101D、R118F、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に含む、パラグラフ1~3のいずれかの変異体。
【0496】
5.置換をR118F+T231R+N233Rに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、F51I,L、E56R、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に含む、パラグラフ1~4のいずれかの変異体。
【0497】
6.置換をE56R+R118F+T231R+N233Rに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、F51I,L、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、T244E、及びP256Tに対応する位置に含む、パラグラフ1~5のいずれかの変異体。
【0498】
7.置換をE56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、F51I,L、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~6のいずれかの変異体。
【0499】
8.置換をF51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~7のいずれかの変異体。
【0500】
9.置換をG23S+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をD27N、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~8のいずれかの変異体。
【0501】
10.置換をD27N+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、A40I、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~9のいずれかの変異体。
【0502】
11.置換をA40I+F51I,L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、D57N、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~10のいずれかの変異体。
【0503】
12.置換をF51I,L+E56R+D57N+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、V60E,K、K98I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~11のいずれかの変異体。
【0504】
13.置換をF51I,L+E56R+D57N+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~12のいずれかの変異体。
【0505】
14.置換をF51I,L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~13のいずれかの変異体。
【0506】
15.置換をF51I,L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+T244E+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D、及びY220Fに対応する位置に含む、パラグラフ1~14のいずれかの変異体。
【0507】
16.置換をF51I,L+E56R+D57N+V60E,K+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~15のいずれかの変異体。
【0508】
17.置換をF51I,L+E56R+D57N+N101D+K98I+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、V60E,K、N101D、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含む、パラグラフ1~16のいずれかの変異体。
【0509】
18.置換をF51I,L+E56R+D57N+V60E,K+K98I+N101D+R118F+T231R+N233R+P256Tに対応する位置に、且つ1つ又は複数(例えばいくつか)の置換をG23S、D27N、A40I、G163S、Y220F、及びT244Eに対応する位置に含むパラグラフ1~17のいずれかの変異体。
【0510】
19.置換を以下の置換セット:
E56R+R118F+T231R+N233R;
R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+R118F+T231R+N233R;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+D57N+R118F+T231R+N233R;
E56R+V60K+R118F+T231R+N233R;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+E56R+R118F+T231R+N233R;
D57N+E56R+R118F+T231R+N233R;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+D57N+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+D57N+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
D57N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+D57N+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+D57N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+D57N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+D57N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51L+D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+F51L+D57N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+D57N+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51L+D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+D57N+K98I+G163S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51L+E56R+D57N+K98I+R118F+G163S+T231R+N233R+P256T;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+A40I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+A40I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+A40I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E:
G23S+D27N+A40I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
A40I+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
A40I+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+A40I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+A40I+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+A40I+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+K98I+N101D+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60K+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+A40I+F51I+E56R+V60E+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R;
G23S+D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E;
G23S+D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+P256T;
G23S+D27N+F51I+K98I+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+K98I+Y220F+E56R+R118F+T231R+N233R+T244E+P256T;
G23S+D27N+F51I+E56R+K98I+R118F+Y220F+T231R+N233R+T244E+P256T.
の1つに対応する位置に含む、パラグラフ1~18のいずれかの変異体。
【0511】
20.
a)配列番号2に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%若しくは100%の配列同一性を有するポリペプチド;
b)(i)配列番号1のポリペプチドコード配列若しくは(ii)(i)の完全長相補体と、低ストリンジェンシー条件下、中ストリンジェンシー条件下、中-高ストリンジェンシー条件下、高ストリンジェンシー条件下、又は超高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
c)配列番号1に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;及び
d)配列番号2のポリペプチドの断片
からなる群から選択される親リパーゼの変異体である、パラグラフ1~19のいずれかの変異体。
【0512】
21.配列番号2に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが、100%未満の配列同一性を有する、パラグラフ1~20のいずれかの変異体。
【0513】
22.置換の数が、1~40、例えば1~30、例えば1~20、例えば1~12、例えば1~11、例えば1~10、例えば1~9、例えば1~8、例えば1~7、例えば1~6、例えば1~5、例えば1~4、例えば1~3、又は1、2、3 4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20の置換である、パラグラフ1~21のいずれかの変異体。
【0514】
23.親リパーゼと比して、以下の特性:増強された貯蔵安定性、増強された熱安定性、改善された洗浄性能及び/又は臭気発生の減少の1つ又は複数を有する、パラグラフ1~22のいずれかの変異体。
【0515】
24.パラグラフ1~23のいずれかの変異体を含む組成物。
【0516】
25.界面活性剤をさらに含む、パラグラフ25の組成物。
【0517】
26.リパーゼ基質を加水分解することを意図した、パラグラフ1~23のいずれかの変異体の使用。
【0518】
27.表面をパラグラフ1~23のいずれかの変異体と接触させることを含む、表面を洗浄するための方法。
【0519】
28.リパーゼ基質をパラグラフ1~23のいずれかのリパーゼ変異体で処理することを含む、リパーゼ基質を加水分解する方法。
【0520】
29.パラグラフ1~23のいずれかの変異体をコードするポリヌクレオチド。
【0521】
30.ポリヌクレオチドが、組換え宿主細胞内でのリパーゼ変異体の生成を誘導する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結される、パラグラフ29のポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【0522】
31.パラグラフ29のポリヌクレオチド又はパラグラフ30の核酸構築物を含む発現ベクター。
【0523】
32.パラグラフ30の核酸構築物又はパラグラフ31の発現ベクターを含む宿主細胞。
【0524】
33.
a)パラグラフ32の宿主細胞を変異体の発現に適した条件下で培養することと;
b)変異体を回収することと、
を含む、リパーゼ変異体を生成する方法。
【0525】
34.マイクロカプセルの膜が1kDaを超える分子量を有する多分岐ポリアミンの架橋により生成され、マイクロカプセルがパラグラフ1~23のいずれかのリパーゼ変異体を含む、マイクロカプセル組成物。
【0526】
35.プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ペルヒドロラーゼ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酵素をさらに含む、パラグラフ34のマイクロカプセル組成物。
【0527】
36.多分岐ポリアミンの反応性アミノ基が分子量の少なくとも15%を占める、パラグラフ34又は35のマイクロカプセル組成物。
【0528】
37.マイクロカプセルが酸塩化物を架橋剤として用いることにより生成される、パラグラフ34~36のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0529】
38.マイクロカプセルの直径が、少なくとも、又はおよそ50μmである、パラグラフ34~37のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0530】
39.マイクロカプセルが、活性酵素、特にパラグラフ1~23のいずれかのリパーゼ変異体の少なくとも1重量%を含有する、パラグラフ34~38のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0531】
40.アルコール、例えばポリオールをさらに含む、パラグラフ34~39のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0532】
41.水の90重量%未満を含有する、パラグラフ34~40のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0533】
42.プロテアーゼが、メタロプロテアーゼ又はアルカリ性セリンプロテアーゼ、例えばスブチリシンである、パラグラフ34又は41のマイクロカプセル組成物。
【0534】
43.マイクロカプセルが、架橋剤として酸塩化物を用いる界面重合により生成される、パラグラフ34~42のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0535】
44.多分岐ポリアミンがポリエチレンイミンである、パラグラフ34~43のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0536】
45.マイクロカプセルが、Mg2+、Ca2+、又はZn2+イオンの供給源、例えば、Mg2+、Ca2+、又はZn2+の弱溶性塩を含む、パラグラフ34~44のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0537】
46.膜によって形成された区画内に封入されたパラグラフ1~23のいずれかのリパーゼ変異体を含むマイクロカプセル組成物であって、膜が(a)800Daを超える分子量を有する多分岐ポリアミンと、(b)300Da未満の分子量を有する脂肪族又は芳香族アミンとの架橋によって生成され;ここで(a)/(b)の重量比が0.1~1000の範囲内にある、マイクロカプセル組成物。
【0538】
47.プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、スブチリシン、アミラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キサンタナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ペルヒドロラーゼ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酵素をさらに含む、パラグラフ46のマイクロカプセル組成物。
【0539】
48.多分岐ポリアミンの反応性アミノ基が分子量の少なくとも15%を占める、パラグラフ46又は47のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0540】
49.区画の直径が少なくとも50μmである、パラグラフ46~48のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0541】
50.区画が、全区画の少なくとも1重量%の活性酵素、特にパラグラフ1~23のいずれかのリパーゼ変異体を含有する、パラグラフ46~49のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0542】
51.アルコール、例えばポリオールをさらに含む、パラグラフ46~50のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0543】
52.(a)がポリエチレンイミンである、パラグラフ46~51のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0544】
53.(b)がエチレンアミン又はアルカノールアミンである、パラグラフ46~52のいずれかの組成物。
【0545】
54.(b)が、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノベンゼン、ピペラジン、及びテトラエチレンペンタミンからなる群から選択される、パラグラフ46~5のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0546】
55.(b)が、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、モノエタノールアミン、及びジエタノールアミンからなる群から選択される、パラグラフ46~54のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0547】
56.区画が、Mg2+、Ca2+、又はZn2+イオンの供給源、例えば、Mg2+、Ca2+、又はZn2+の弱溶性塩を含む、パラグラフ46~55のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0548】
57.膜が、架橋剤として酸塩化物、例えば、イソフタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド、又はトリメソイルクロリドを用いることにより生成される、パラグラフ43~55のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0549】
58.膜が界面重合により生成される、パラグラフ46~57のいずれかのマイクロカプセル組成物。
【0550】
59.パラグラフ34~58のいずれかのマイクロカプセル組成物を含む液体製品。
【0551】
本発明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない以下の実施例により、さらに説明される。
【実施例
【0552】
実施例1:p-ニトロフェニル(pNP)アッセイ
リパーゼの加水分解活性は、基質としてp-ニトロフェニルアシルエステルを用いる動力学的アッセイにより測定してもよい。
【0553】
基質としてのp-ニトロフェニル酪酸(C4)、p-ニトロフェニルカプロン酸(C6)、p-ニトロフェニルカプリン酸(C10)、p-ニトロフェニルラウリン酸(C12)及びp-ニトロフェニルパルミチン酸(C16)(すべてがSigma-Aldrich Danmark A/S,Kirkebjerg Alle 84,2605 Brφndby製;カタログ番号:C3:N-9876,C6:N-0502,C10:N-0252,C12:N-2002,C16:N-2752)の各々に対するDMSO中の100mMの保存液を、アッセイ緩衝液(50mMトリス;pH7.7;0.4%トリトンX100)中、1mM 25mMの最終濃度まで希釈する。
【0554】
50mMヘペス;pH8.0;10ppmのトリトンX100;+/-20mM CaCl中のリパーゼ変異体、親リパーゼ及び適切な対照、例えばLipolase(商標)(配列番号2)を、以下の最終のタンパク質濃度:0.01mg/ml;5×10-3mg/ml;2.5×10-4mg/ml;及び1.25×10-4mg/ml、96ウェルNUNCプレート内(カタログ番号260836,Kamstrupvej 90,DK-4000,Roskilde)の基質溶液に添加する。緩衝液はまた、陰性対照として機能する。p-ニトロフェニルアシルの加水分解によるp-ニトロフェノールの放出は、Spectra max 190(Molecular Devices GmbH,Bismarckring 39,88400 Biberach an der Riss,GERMANY)で、405nm、10秒間隔で5分間、監視してもよい。変異体の1つ又は複数の基質に対する加水分解活性は、親リパーゼの場合と比較してもよい。
【0555】
実施例2:部位特異的変異誘発による変異体の構築
サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ(TLL)(配列番号2)について、部位特異的変異体を構築した。変異体は、所望される突然変異を得られる配列に導入する、適切に設計した変異誘発オリゴヌクレオチドとともにPCRを用いて、DNA断片の伝統的クローニング(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor,1989)により作製した。
【0556】
変異誘発オリゴは、挿入/欠失/置換を規定するDNA塩基対によって分かれた、突然変異の所望される部位に隣接するDNA配列に対応するように設計し、Life Technologiesなどのオリゴベンダーから購入した。
【0557】
TLL変異体を試験するため、変異体をコードする突然変異DNAを、相同組換えにより、コンピテントなコウジカビ(A.oryzae)株に組み込み、標準プロトコル(酵母抽出物ベースの培地、3~4日、30℃)を用いて発酵させ、クロマトグラフィーにより精製した。このような様式で、下表中に列挙する変異体を構築及び生成した。
【0558】
【表5】
【0559】
実施例3:相対的洗浄性能(RP(洗浄))
洗濯における洗浄性能を評価するために、自動機械的応力分析(AMSA)を用いて洗浄実験を実施した。AMSAプレートは、試験溶液用の多数のスロットと、洗浄される洗濯試料である繊維製品をすべてのスロット開口部に対してしっかりと押し込むリッドとを有する。洗浄時間中、プレート、試験溶液、繊維製品、及びリッドを激しく振動させることにより、試験溶液を繊維製品に接触させ、規則的、周期的振動方式で機械的応力を加えた。さらに詳細な説明については、国際公開第02/42740号パンフレット、特に第23~24頁のパラグラフ「Special method embodiments」を参照されたい。
【0560】
以下に指定する実験条件下で洗濯実験を実施した。
洗剤:3.3g/Lの洗剤B又は0.8g/Lの洗剤J
試験溶液量:160μL
洗浄時間:20分
温度:30℃
リパーゼ用量:0ppm又は0.35ppm
試験材料:ターメリックをアナトー(Annatto:A-320-WS,Chr.HansenA/S,Boege Alle’10-12,DK-2970,Hoersholm,Denmark & EMPA221:EMPA,Lerchenfeldstrasse 5,CH-9014,St.Gallen,Switzerland)と交換すること以外は国際公開第06/125437号パンフレットに記載の通りに調製された、クリームAnnattoで染色されたEMPA221綿製品
水の硬度は、CaCl、MgCl及びNaHCO(Ca2+:Mg2+:HCO =4:1:7.5又は2:1:4.5)の添加により、15°dH又は6°dHに調整した。
【0561】
【表6】
【0562】
【表7】
【0563】
洗浄後、繊維製品を水道水で洗い流し、濾紙を用いて余分な水を繊維製品から除去し、その直後、繊維製品を100℃で15分間乾燥させた。
【0564】
洗浄性能を、洗浄した繊維製品汚れの色変化として測定した。汚染物は、アナトーと混合されたクリームであった。アナトーは、pH依存性色変化を有するpH指示薬として機能する着色剤ノルビキシンを含有する。リパーゼ活性は、クリームのアシルグリセロールからの遊離脂肪酸の放出をもたらし、これはpHの減少、ひいてはノルビキシンpH指示薬の色変化をもたらす。したがって、リパーゼ洗浄性能は、白色光照射時の、洗浄した繊維製品汚れからの光反射-放射の色変化の度合いとして表すことができる。
【0565】
洗浄した繊維製品汚れの画像を捉えるのに用いた、プロ仕様のフラットベッドスキャナー(EPSON EXPRESSION 11000XL,Atea A/S,Lautrupvang 6,2750 Ballerup,Denmark)で色測定を実施した。スキャン画像の光強度値を抽出するため、画像からの24ビットピクセル値を、赤、緑及び青(RGB)値へと変換した。
【0566】
リパーゼ活性に起因する色変化を、
【数1】
として計算される光強度値(lnt)と比べての緑色光(G)の反射-放射における変化として測定した。
【0567】
リパーゼの参照リパーゼと比べての相対的洗浄性能(RP(洗浄))を、
RP(洗浄)=(G/Int(被験リパーゼ)-G/Int(酵素なし))/(G/Int(リパーゼ参照)-G/Int(酵素なし))
として計算した。
【0568】
リパーゼは、参照よりも優れた性能を示す場合(RP(洗浄)>1)、改善された洗浄性能を示すと考えられる。本発明との関連で、参照酵素は、配列番号2で示されるリパーゼである。
【0569】
固相マイクロ抽出ガスクロマトグラム測定による臭気検出
リパーゼ洗浄見本からの酪酸放出(臭気)は、以下の方法を用いる固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフィー(SPME-GC)により測定した。
【0570】
クリームアナトーで染色したEMPA221綿織物を上記仕様の通りに洗浄し、洗浄後、濾紙を用いて繊維製品から余分な水を除去し、その後、繊維製品を25℃で2時間乾燥させた。各SPME-GC測定は、洗浄し、乾燥させた繊維製品の4断片(直径5mm)を用いて実施し、それらをガスクロマトグラム(GC)バイアルに移し、バイアルを閉じた。サンプルを30℃で24時間インキュベートし、続いて140℃で30分間加熱し、20℃~25℃で少なくとも4時間貯蔵してから分析した。分析は、Stabilwax-DA w/lntegra-Guardカラム(30m、0.32mm ID及び0.25μm df)及びCarboxen PDMS SPME線維(85μm)を備えたVarian 3800 GCで実施した。各GCバイアルからのサンプリングを、繊維製品片全体にわたり、ヘッドスペース内、SPME線維で、50℃で8分間実施し、続いて採取した化合物をカラム上に注射した(注射器温度=250℃)。カラムフロー=2mlのヘリウム/分。カラムオーブン温度勾配:0分=50℃、2分=50℃、6分45秒=240℃、11分45秒=240℃。水素炎イオン化検出器(FID)を用いて検出を行い、確証的標準を用いて酪酸における保持時間を同定した。
【0571】
リパーゼの相対的臭気放出(RP(臭気))は、リパーゼ洗浄見本から放出される酪酸量(ピーク面積)と参照リパーゼ洗浄見本から放出される酪酸量(ピーク面積)との間の比であり、その前に両値は、非リパーゼ洗浄見本(ブランク)から放出される酪酸量(ピーク面積)について補正されている。ポリペプチドの相対的臭気性能(RP(臭気))は、下の式:
RP(臭気)=(臭気(被験リパーゼ)-臭気(酵素なし))/(臭気(リパーゼ参照)-臭気(酵素なし))
(式中、臭気は、繊維製品表面から放出される測定された酪酸(ピーク面積)である)
に従って計算する。
【0572】
ベネフィットリスク因子(Benefit Risk factor)(RP(洗浄)/RP(臭気))
洗浄性能(ベネフィット)と臭気放出(リスク)との比較を説明するベネフィットリスク因子(BRF)は、RP(洗浄)/RP(臭気)と定義することができる。リパーゼのベネフィットリスク因子が1より大きい場合、リパーゼは、参照リパーゼ(配列番号2)と比してより優れた放出臭気に相対的な洗浄性能を有する。
【0573】
【表8】
【0574】
実施例4:タンパク質熱変性分析(TSA、サーマルシフトアッセイ)
配列番号2の変異体のタンパク質熱変性を、リアルタイムPCR装置(Applied Biosystems;Step-One-Plus)を用いて、Sypro Orange(Invitrogen,S-6650)で監視した。
【0575】
96ウェル白色PCRプレート内で、サンプル(100mM EPPS、0.01%トリトンX-100;pH8.0で希釈した精製酵素)15μlを、水中のSypro Orange(濃度=10倍;供給業者からの保存液=5000倍)と混合した(1:1)。
【0576】
プレートを光学的PCRシールで密封した。PCR装置は、25℃で開始し、96℃で終了するように、76℃/時間の走査速度に設定した。
【0577】
励起用の内蔵LED青色光及びROXフィルター(610nm、発光)を用いて20秒ごとに蛍光を監視した。一次導関数(dF/dK)の最大値としてTm値を計算した(Gregory et al.,2009,J.Biomol.Screen.14:700)。
【0578】
【表9】
【0579】
実施例5:部位特異的変異誘発による変異体の構築
部位特異的変異体を、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ(TLL)(配列番号2)から構築した。変異体は、所望される突然変異を得られる配列に導入する、適切に設計した変異誘発オリゴヌクレオチドとともにPCRを用いて、DNA断片の伝統的クローニング(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor,1989)により作製した。
【0580】
変異誘発オリゴは、挿入/欠失/置換を規定するDNA塩基対によって分かれた、突然変異の所望される部位に隣接するDNA配列に対応するように設計し、Life Technologiesなどのオリゴベンダーから購入した。TLL変異体を試験するため、変異体をコードする突然変異DNAを、相同組換えにより、コンピテントなコウジカビ(A.oryzae)株に組み込み、標準プロトコル(酵母抽出物ベースの培地、3~4日、30℃)を用いて発酵させ、クロマトグラフィーにより精製した。このような様式で、下表中に列挙する変異体を構築及び生成した。
【0581】
【表10】
【0582】
実施例6:相対的洗浄性能(RP(洗浄))
洗濯における洗浄性能を評価するために、自動機械的応力分析(AMSA)を用いて洗浄実験を実施した。AMSAプレートは、試験溶液用の多数のスロットと、洗浄される洗濯試料である繊維製品をすべてのスロット開口部に対してしっかりと押し込むリッドとを有する。洗浄時間中、プレート、試験溶液、繊維製品、及びリッドを激しく振動させることにより、試験溶液を繊維製品に接触させ、規則的、周期的振動方式で機械的応力を加えた。さらに詳細な説明については、国際公開第02/42740号パンフレット、特に第23~24頁のパラグラフ「Special method embodiments」を参照されたい。
【0583】
以下に指定する実験条件下で洗濯実験を行った:
洗剤:3.3g/Lのモデル洗剤B又は0.8g/Lのモデル洗剤J
試験溶液量:160μL
洗浄時間:20分
温度:30℃
リパーゼ用量:0ppm又は0.35ppm
試験材料:ターメリックをアナトー(Annatto:A-320-WS,Chr.Hansen A/S,Boege Alle’ 10-12,DK-2970,Hoersholm,Denmark & EMPA221:EMPA,Lerchenfeldstrasse 5,CH-9014,St.Gallen,Switzerland)と交換すること以外は国際公開第06/125437号パンフレットに記載の通りに調製された、クリームAnnattoで染色されたEMPA221綿製品
水の硬度は、CaCl、MgCl及びNaHCO(Ca2+:Mg2+:HCO =4:1:7.5又は2:1:4.5)の添加により、15°dH又は6°dHに調整した。
【0584】
【表11】
【0585】
【表12】
【0586】
洗浄後、繊維製品を水道水で洗い流し、濾紙を用いて余分な水を繊維製品から除去し、その直後、繊維製品を100℃で15分間乾燥させた。
【0587】
洗浄性能を、洗浄した繊維製品汚れの色変化として測定した。汚染物は、アナトーと混合したクリームであった。アナトーは、pH依存性色変化を有するpH指示薬として機能する着色剤ノルビキシンを含有する。リパーゼ活性は、クリームのアシルグリセロールからの遊離脂肪酸の放出をもたらし、これはpHの減少、ひいてはノルビキシンpH指示薬の色変化をもたらす。したがって、リパーゼ洗浄性能は、白色光の照射時の、洗浄した繊維製品汚れからの光反射-放射の色変化の度合いとして表すことができる。
【0588】
洗浄した繊維製品汚れの画像を捉えるのに用いた、プロ仕様のフラットベッドスキャナー(EPSON EXPRESSION 11000XL,Atea A/S,Lautrupvang 6,2750 Ballerup,Denmark)で色測定を実施した。スキャン画像の光強度値を抽出するため、画像からの24ビットピクセル値を、赤、緑及び青(RGB)値へと変換した。
【0589】
リパーゼ活性に起因する色変化を、
【数2】
として計算される光強度値(lnt)と比べての緑色光(G)の反射-放射における変化として測定した。
【0590】
リパーゼの参照リパーゼと比べての相対的洗浄性能(RP(洗浄))を、
RP(洗浄)=(G/Int(被験リパーゼ)-G/Int(酵素なし))/(G/Int(リパーゼ参照)-G/Int(酵素なし))
として計算した。
【0591】
リパーゼは、参照よりも優れた性能を示す場合(RP(洗浄)>1)、改善された洗浄性能を示すと考えられる。本発明との関連で、参照酵素は、配列番号2で示されるリパーゼである。
【0592】
固相マイクロ抽出ガスクロマトグラム測定による臭気検出
リパーゼ洗浄見本からの酪酸放出(臭気)は、以下の方法を用いる固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフィー(SPME-GC)により測定した。
【0593】
クリームアナトーで染色したEMPA221綿織物を上記仕様の通りに洗浄し、洗浄後、濾紙を用いて繊維製品から余分な水を除去し、その後、繊維製品を25℃で2時間乾燥させた。各SPME-GC測定は、洗浄し、乾燥させた繊維製品の4断片(直径5mm)を用いて実施し、それらをガスクロマトグラム(GC)バイアルに移し、バイアルを閉じた。サンプルを30℃で24時間インキュベートし、続いて140℃で30分間加熱し、20℃~25℃で少なくとも4時間貯蔵してから分析した。分析は、Stabilwax-DA w/lntegra-Guardカラム(30m、0.32mm ID及び0.25μm df)及びCarboxen PDMS SPME線維(85μm)を備えたVarian 3800 GCで実施した。各GCバイアルからのサンプリングを、繊維製品片全体にわたり、ヘッドスペース内、SPME線維で、50℃で8分間実施し、続いて採取した化合物をカラム上に注射した(注射器温度=250℃)。カラムフロー=2mlのヘリウム/分。カラムオーブン温度勾配:0分=50℃、2分=50℃、6分45秒=240℃、11分45秒=240℃。水素炎イオン化検出器(FID)を用いて検出を行い、確証的標準を用いて酪酸における保持時間を同定した。
【0594】
リパーゼの相対的臭気放出(RP(臭気))は、リパーゼ洗浄見本から放出される酪酸量(ピーク面積)と参照リパーゼ洗浄見本から放出される酪酸量(ピーク面積)との間の比であり、その前に両値は、非リパーゼ洗浄見本(ブランク)から放出される酪酸量(ピーク面積)について補正されている。相対的臭気性能(RP(臭気))は、下の式:
RP(臭気)=(臭気(被験リパーゼ)-臭気(酵素なし))/(臭気(リパーゼ参照)-臭気(酵素なし))
(式中、臭気は、繊維製品表面から放出される測定された酪酸(ピーク面積)である)
に従って計算する。
【0595】
ベネフィットリスク因子(RP(洗浄)/RP(臭気))
洗浄性能(ベネフィット)と臭気放出(リスク)との比較を説明するベネフィットリスク因子(BRF)は、RP(洗浄)/RP(臭気)と定義することができる。リパーゼのベネフィットリスク因子が1より大きい場合、リパーゼは、参照リパーゼ(配列番号2)と比してより優れた放出臭気に相対的な洗浄性能を有する。
【0596】
【表13】
【0597】
【表14】
【0598】
実施例7:タンパク質熱変性分析(TSA、サーマルシフトアッセイ)
配列番号2の変異体のタンパク質熱変性を、リアルタイムPCR装置(Applied Biosystems;Step-One-Plus)を用いて、Sypro Orange(Invitrogen,S-6650)で監視した。
【0599】
96ウェル白色PCRプレート内で、サンプル(100mM EPPS、0.01%トリトンX-100;pH8.0で希釈した精製酵素)15μlを、水中のSypro Orange(濃度=10倍;供給業者からの保存液=5000倍)と混合した(1:1)。
【0600】
プレートを光学的PCRシールで密封した。PCR装置は、25℃で開始し、96℃で終了するように、76℃/時間の走査速度に設定した。
【0601】
励起用の内蔵LED青色光及びROXフィルター(610nm、発光)を用いて20秒ごとに蛍光を監視した。一次導関数(dF/dK)の最大値としてTm値を計算した(Gregory et al.,2009,J.Biomol.Screen.14:700)。
【0602】
【表15】
【0603】
本明細書に記載され、主張される本発明は、開示される本明細書中の具体的態様による範囲内に限定されるべきではない。というのは、これらの態様は、本発明のいくつかの態様の例示として意図されるからである。任意の均等な態様は、本発明の範囲内に含まれるように意図される。確かに、本発明の様々な修飾は、本明細書に示され、記載される態様に加えて、前述から当業者にとって明白になる。かかる修飾はまた、貼付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。利害衝突が生じる場合、定義を含む本開示が調節することになる。
【配列表】
0007317811000001.app