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特許7317852アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/00 20060101AFI20230724BHJP
   H01G 9/048 20060101ALN20230724BHJP
   H01G 9/052 20060101ALN20230724BHJP
   H01G 9/055 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
H01G9/00 290D
H01G9/048 G
H01G9/052 500
H01G9/055
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020551180
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2019039739
(87)【国際公開番号】W WO2020075733
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2018193788
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 敏文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和也
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-065940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0259580(US,A1)
【文献】国際公開第2004/045794(WO,A1)
【文献】特開2012-162770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00
H01G 9/048
H01G 9/052
H01G 9/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法であって、
(1)アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末にエッチング処理を施す第1工程、
(2)前記粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むペースト組成物からなる皮膜を基材の少なくとも一方の面に形成する第2工程、及び
(3)前記皮膜を焼結する第3工程
を含むことを特徴とする、アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング処理は、酸性溶液又はアルカリ性溶液による化学エッチングである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング処理は、酸性溶液による化学エッチングである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記粉末の平均粒径D50が1~15μmである、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記焼結の温度は、560℃以上660℃以下である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記焼結後の前記皮膜の厚みが30~2000μmである、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記焼結後の前記皮膜の細孔径は、1.3μm以下である、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム電解コンデンサは、その特性からエネルギー分野で広く用いられており、例えば、携帯電話等の小型電子機器、テレビ等の家庭電化製品、ハイブリッド車のインバーター電源や風力発電の蓄電等にアルミニウム電解コンデンサが使用されている。このように、アルミニウム電解コンデンサは様々な用途で用いられ、その用途に応じた電圧で大容量の特性を示すことが要求される。
【0003】
表面に微細なアルミニウム粉末を付着させたアルミニウム箔を用いたことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサが提案されている(特許文献1参照)。また、箔厚が15μm以上35μm未満である平滑なアルミニウム箔の片面又は両面に、2μm~0.01μmの長さ範囲で自己相似となるアルミニウム及び/又は表面に酸化アルミニウム層を形成したアルミニウムからなる微粒子の凝集物が付着した電極箔を用いた電解コンデンサも知られている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、これらの文献で開示されているメッキ及び/又は蒸着によりアルミニウム粉末をアルミニウム箔に付着させる方法では、少なくとも、中高圧用のコンデンサ用途に用いるのには十分なものとは言えない。
【0005】
また、アルミニウム電解コンデンサ用電極材として、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の焼結体からなるアルミニウム電解コンデンサ用電極材が開示されている(特許文献3参照)。この焼結体は、アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末粒子が互いに空隙を維持しながら積層された積層体を焼結してなる特異な構造を持つことから、従来のエッチド箔と同等又はそれ以上の静電容量を得ることができるとされている(特許文献3の[0012]段落)。この電極材は、積層させる粉末の量または厚みを増やすことで容量を増加させることができる。
【0006】
しかしながら、近年、コンデンサに求められる性能がより厳しくなっている。上述の電極材は、厚みを厚くすることで電極材の静電容量が増加するが、体積あたりの静電容量では不十分となりつつあるという問題がある。
【0007】
また、アルミニウムの粉末を含むペースト組成物からなる皮膜を基材上に形成し、当該皮膜を焼結し、焼結された皮膜にエッチング処理を施すアルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法が開示されている(特許文献4参照)。この製造方法によれば、用いるアルミニウム粉末の平均粒径にかかわらず、体積あたりの静電容量が大きく、薄膜化可能なアルミニウム電解コンデンサ用電極材を製造することができることが記載されている。
【0008】
しかしながら、上述の方法は、静電容量の増加については検討の余地がある。焼結された皮膜にエッチング処理を施す際に、皮膜を構成する粉末と粉末の間のネッキング部がエッチング処理により溶解され、表面積は増大するものの、強度が低下し皮膜が崩れやすくなるため、皮膜の厚みを厚く出来ないという問題がある。そのため、より高い容量の電極材を製造することができる製造方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平2-267916号公報
【文献】特開2006-108159号公報
【文献】特開2008-98279号公報
【文献】特開2014-138159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、静電容量の大きいアルミニウム電解コンデンサ用電極材を容易に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、アルミニウム等の粉末にエッチング処理を施し、当該粉末を含むペースト組成物からなる皮膜を基材上に形成し、当該皮膜を焼結する製造方法によれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記のアルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法に関する。
1.アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法であって、
(1)アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末にエッチング処理を施す第1工程、
(2)前記粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むペースト組成物からなる皮膜を基材の少なくとも一方の面に形成する第2工程、及び
(3)前記皮膜を焼結する第3工程
を含むことを特徴とする、アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法。
2.前記エッチング処理は、酸性溶液又はアルカリ性溶液による化学エッチングである、項1に記載の製造方法。
3.前記エッチング処理は、酸性溶液による化学エッチングである、項1に記載の製造方法。
4.前記粉末の平均粒径D50が1~15μmである、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
5.前記焼結の温度は、560℃以上660℃以下である、項1~4のいずれかに記載の製造方法。
6.前記焼結後の前記皮膜の厚みが30~2000μmである、項1~5のいずれかに記載の製造方法。
7.前記焼結後の前記皮膜の細孔径は、1.3μm以下である、項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末にエッチング処理を施し、当該粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むペースト組成物からなる皮膜を基材の少なくとも一方の面に形成し、当該皮膜を焼結することにより、体積あたりの静電容量が大きいアルミニウム電解コンデンサ用電極材を得ることができる。このため、当該電極材を用いて製造されるコンデンサを小型化することが可能となる。
【0014】
また、焼結した皮膜を厚く形成できるので、電極としての静電容量が大きいアルミニウム電解コンデンサ用電極材を得る事ができ、当該電極材を用いて製造されるコンデンサを大容量化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の製造方法の第1工程における、エッチング処理前の粉末(AHZL560F)のSEM写真(二次電子像)を示す図である。
図2】本発明の製造方法の第1工程における、エッチング処理後の粉末(AHZL560F)のSEM写真(二次電子像)を示す図である。
図3】実施例2及び比較例2のアルミニウム電解コンデンサ用電極材の、焼結後の皮膜の細孔径の測定結果を示す図である。縦軸は、細孔容積(Log Differential Intrusion(mL/g))を示し、横軸は、細孔径(Pore size Diameter(μm))を示す。
図4】比較例2及び比較例14のアルミニウム電解コンデンサ用電極材の、焼結後の皮膜の細孔径の測定結果を示す図である。縦軸は、細孔容積(Log Differential Intrusion(mL/g))を示し、横軸は、細孔径(Pore size Diameter(μm))を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のアルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法は、(1)アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末にエッチング処理を施す第1工程、(2)前記粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むペースト組成物からなる皮膜を基材の少なくとも一方の面に形成する第2工程、及び(3)前記皮膜を焼結する第3工程を含む。以下、工程ごとに説明する。
【0017】
(第1工程)
第1工程は、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末にエッチング処理を施す工程である。
【0018】
原料のアルミニウム粉末としては、例えば、アルミニウム純度99.8重量%以上のアルミニウム粉末が好ましく、より好ましくは99.9重量%以上である。また、原料のアルミニウム合金粉末としては、例えば、珪素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)及びジルコニウム(Zr)等の元素の1種又は2種以上を含む合金が好ましい。アルミニウム合金中のこれらの元素の含有量は、それぞれ100重量ppm以下、特に50重量ppm以下とすることが好ましい。
【0019】
前記粉末としては、焼結前の平均粒径D50が1~15μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは1.8~15μmである。特に前記粉末の平均粒径D50が3~9μmの場合には、中高容量のアルミニウム電解コンデンサの電極材として好適に利用することができる。
【0020】
なお、本明細書における平均粒径D50は、レーザー回折法により粒径とその粒径に該当する粒子の数を求めて得られる粒度分布曲線において全粒子数の50%目に該当する粒子の粒子径である。また、焼結後の前記粉末の平均粒径D50は、前記焼結体の断面を、走査型電子顕微鏡によって観察することによって測定する。例えば、焼結後の前記粉末は、一部が溶融又は粉末同士が繋がった状態となっているが、略円形状を有する部分は近似的に粒子とみなせる。即ち、上記観察において、略円形状を有する粒子のそれぞれの最大径(長径)をその粒子の粒子径とし、任意の50個の粒子の粒子径を測定し、これらの算術平均を焼結後の前記粉末の平均粒子径とする。かかる方法により得られる粉末の粒子径は、焼結前の粒子径と比較して、殆ど変化しない。
【0021】
前記粉末の形状は、特に限定されないが、球状、略球状、不定形状のいずれかを好適に使用できる。前記粉末の形状は、球状、略球状が好ましい。粉末の形状が球状、略球状であることにより、鱗片状又は繊維状等の形状である場合に生じる可能性がある、エッチング処理の際の薄い部分または細い部分による分断が、より一層抑制される。
【0022】
前記粉末は、公知の方法によって製造されるものを使用することができる。例えば、アトマイズ法、メルトスピニング法、回転円盤法、回転電極法、急冷凝固法等が挙げられるが、工業的生産にはアトマイズ法、特にガスアトマイズ法が好ましい。即ち、溶湯をアトマイズすることにより得られる粉末を用いることが望ましい。
【0023】
エッチング処理は特に限定されないが、酸性溶液またはアルカリ性溶液による化学エッチングであることが好ましい。特に酸性溶液による化学エッチングであると、効果的に表面積を拡大でき、さらに分散性が良く第2工程におけるペースト組成物をより一層容易に混合することができる。アルカリ性溶液による化学エッチングである場合、表面積をより一層効果的に拡大できるが、前記粉末が凝集し易くなるおそれがある。
【0024】
これらのエッチング処理を施すことにより、前記粉末に細孔を形成し表面積をより一層増大させることができる。前記粉末に形成される細孔の細孔径は1.3μm以下が好ましく、1.1μm以下がより好ましい。粉末の細孔径の上限が上記範囲である粉末を用いると、得られるコンデンサ用電極材の表面積をより一層増大させることができ、容量および体積あたりの容量がより一層高いアルミニウム電解コンデンサ用電極材を得ることができる。また、前記粉末に形成される細孔の細孔径は0.3μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましい。粉末の細孔径の下限が上記範囲である粉末を用いると、得られるコンデンサ用電極材の静電容量がより一層向上する。
【0025】
上記酸性溶液による化学エッチングに用いる酸性溶液としては特に限定されず、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等の1または2以上を含有する混酸水溶液等の公知の酸性溶液を用いることができる。酸性溶液の濃度は、低電圧領域で高い容量を示すアルミニウム電解コンデンサ用電極材、高電圧領域で高い容量を示すアルミニウム電解コンデンサ用電極材、又はその両方の領域で高い容量を示すアルミニウム電解コンデンサ用電極材等、所望の特性に応じて適宜設定すればよいが、10~40質量%が好ましい。また、エッチング温度及び時間も、粉末の形状や平均粒径、エッチングにより粉末に形成しようとする細孔径、細孔の数、分布、表面積等に応じて適宜調整すればよいが、20~90℃で1~210分程度が好ましい。
【0026】
上記アルカリ性溶液による化学エッチングに用いるアルカリ性溶液は、特に限定されず、例えば、苛性ソーダ等のアルカリ性溶液(水溶液)を用いることができる。アルカリ性溶液の濃度は、低電圧領域で高い容量を示すアルミニウム電解コンデンサ用電極材、高電圧領域で高い容量を示すアルミニウム電解コンデンサ用電極材、又はその両方の領域で高い容量を示すアルミニウム電解コンデンサ用電極材等、所望の特性を示す電極材に応じて適宜設定すればよいが、通常10~40質量%程度が好ましい。また、エッチング温度及び時間も、粉末の形状や平均粒径、エッチングにより粉末に形成しようとする細孔径、細孔の数、分布、表面積等に応じて適宜調整すればよいが、通常は温度20~90℃で1~210分程度が好ましい。
【0027】
上記エッチング処理を行うことにより、所望の特性を示す電極材を得ることができる。例えば、酸性溶液またはアルカリ性溶液による化学エッチングを施すことにより、例えば250~550V程度の高電圧領域で高い容量および体積あたりの容量を示す電極材を得ることができる。その理由としては、以下のように考えられる。
【0028】
即ち、アルカリ性溶液による化学エッチングは、アルミニウムの表面、酸化皮膜を溶解させる能力が高く、電極材のアルミニウム粉末の平均粒径D50を低下させる事ができ、電極材の表面積を向上させるからであると考えられる。また、酸性溶液による化学エッチングは電極材のアルミニウム表面を溶解させ、同時にアルミニウム粉末へのトンネル状のエッチングピットも形成するからであると考えられる。
【0029】
エッチング処理の後に、上記粉末に、更に、洗浄を施すことが好ましい。洗浄液は特に限定されないが、例えば、水、エタノール、トルエン、ケトン類、エステル類等の有機溶剤の単体または混合液を使用することができる。コストの観点から水で洗浄を行うことが好ましい。また、洗浄液には、必要に応じて界面活性剤や中和剤などの添加剤を加えてもよい。洗浄の回数は特に限定されないが複数回行うことが好ましい。また、洗浄を複数回行う場合、途中で洗浄液を変更してもよい。洗浄を行うことにより、上記酸性溶液、上記アルカリ性溶液、又は、粉末と溶液の反応生成物等が、粉末の表面に残留することによるアルミニウム電解コンデンサ用電極材の特性の低下をより一層抑制することができる。
【0030】
本発明の製造方法は、上記第1工程において、上記粉末に洗浄を施した後に、更に、粉末を乾燥させることが好ましい。
【0031】
以上説明した第1工程により、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末にエッチング処理が施される。
【0032】
(第2工程)
第2工程は、上記粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むペースト組成物からなる皮膜を基材の少なくとも一方の面に形成する工程である。
【0033】
上記ペースト組成物は、上記粉末の他に、バインダ樹脂及び溶剤を含む。これらはいずれも、公知又は市販のものを使用することができる。
【0034】
上記バインダ樹脂は限定的でなく、例えば、カルボキシ変性ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、ビニルアルコール樹脂、ブチラール樹脂、フッ化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成樹脂又はワックス、タール、にかわ、ウルシ、松脂、ミツロウ等の天然樹脂又はワックスが好適に使用できる。これらのバインダ樹脂は、分子量、樹脂の種類等により、加熱時に揮発するものと、熱分解によりその残渣がアルミニウム粉末とともに残存するものとがあり、所望の静電特性等に応じて使い分けることができる。
【0035】
上記溶剤は、公知のものが使用できる。例えば、水のほか、エタノール、トルエン、ケトン類、エステル類等の有機溶剤を使用することができる。
【0036】
上記ペースト組成物は、必要に応じて焼結助剤、界面活性剤等の他の成分が含まれていてもよい。これらはいずれも公知又は市販のものを使用することができる。ペースト組成物が上記他の成分を含有することにより、より一層効率よく皮膜を形成することができる。
【0037】
第2工程では、上記ペースト組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布することにより、皮膜を形成する。基材としては、アルミニウム電解コンデンサ用電極材の基材として使用されるものであれば、公知のものを広く使用できる。特にアルミニウム箔を好適に用いることができる。
【0038】
基材としてのアルミニウム箔は、特に限定されず、例えば、純アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることができる。本発明で用いられるアルミニウム箔は、その組成として、珪素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)及びホウ素(B)の少なくとも1種の合金元素を必要範囲内において添加したアルミニウム合金あるいは上記の不可避的不純物元素の含有量を限定したアルミニウムも含む。アルミニウム箔の純度は99.8重量%以上が好ましく、より好ましくは99.9重量%以上である。上記アルミニウム箔の純度は上記アルミニウム粉末の純度と同じでもよいし、異なっていてもよいが、上記アルミニウム箔と上記粉末の間の焼結後の強度を向上させるため異なっているほうが好ましい。
【0039】
アルミニウム箔の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下、特に、10μm以上50μm以下の範囲内とするのが好ましい。
【0040】
上記のアルミニウム箔は、公知の方法によって製造されるものを使用することができる。例えば、上記の所定の組成を有するアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を調製し、これを鋳造して得られた鋳塊を適切に均質化処理する。その後、この鋳塊に熱間圧延と冷間圧延を施すことにより、アルミニウム箔を得ることができる。
【0041】
なお、上記の冷間圧延工程の途中で、50℃以上500℃以下、特に150℃以上400℃以下の範囲内で中間焼鈍処理を施してもよい。また、上記の冷間圧延工程の後に、150℃以上650℃以下、特に350℃以上550℃以下の範囲内で焼鈍処理を施して軟質箔としてもよい。
【0042】
皮膜は基材の少なくとも一方の面に形成する。第2工程では、皮膜は、基材の両面に形成されることが好ましい。両面に形成する場合には、基材を挟んで皮膜および未形成部を対称に配置することが好ましい。対称に配置することにより、第3工程において、焼結による基材と皮膜との界面での剥離をより一層抑制することができ、皮膜に発生する反りをより一層抑制することができる。
【0043】
第2工程において、皮膜は、基材の全面に形成されていないことが好ましい。すなわち、基材の面に皮膜を形成した状態で、基材の面と垂直な方向から平面視した場合、基材の面積が皮膜の面積よりも広く、基材の面に、皮膜が形成されていない部分が存在することが好ましい。当該構成とすることで、ロールツーロールで処理を行う際のハンドリングがより一層向上する。具体的には、アルミニウム電解コンデンサ用電極材の表面に酸化皮膜を形成する化成処理等の際に基材の破断をより一層抑制することができる。
【0044】
皮膜の合計厚さは30~2000μmが好ましく、60~2000μmがより好ましい。この皮膜の合計厚さは、圧延・焼結を経て最終的に得られる焼結体の合計厚さが30~2000μmとなるように設定することが好ましい。これらの数値は、基材の片面又は両面に形成するどちらの場合にも当てはまるが、両面に形成する場合には、片面の被膜の厚さは全体厚み(基材の厚さも含む)の1/3以上であることが好ましい。
【0045】
なお、上記皮膜の平均厚みは、マイクロメーターで7点測定し、最大値と最小値を除いた5点の平均値である。
【0046】
皮膜は、必要に応じて、20~300℃の範囲内の温度で乾燥させてもよい。
【0047】
皮膜の形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、ペースト組成物をローラー、刷毛、スプレー、ディッピング等の塗布方法を用いて皮膜形成してもよいし、シルクスクリーン印刷やダイコート等の公知の印刷方法により形成してもよい。
【0048】
以上説明した第2工程により、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むペースト組成物からなる皮膜が基材の少なくとも一方の面に形成される。
【0049】
(第3工程)
第3工程は、前記皮膜を焼結する工程である。
【0050】
焼結温度は、560~660℃が好ましく、570~650℃がより好ましく、580~620℃が更に好ましい。焼結時間は、焼結温度等により異なるが、通常は5~24時間程度の範囲内で適宜決定することができる。
【0051】
焼結雰囲気は特に限定されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気(大気)、還元性雰囲気等のいずれであってもよいが、特に真空雰囲気又は還元性雰囲気とすることが好ましい。また、圧力条件についても、常圧、減圧又は加圧のいずれでもよい。
【0052】
本発明の製造方法では、第3工程により皮膜が焼結され、更に、基材と焼結後の皮膜とが接合されることが好ましい。焼結により基材と焼結後の皮膜とが接合される構成とすることにより、アルミニウム電解コンデンサ用電極材を、より一層容易に製造することができる。このような構成としては、例えば、基材としてアルミニウム箔を用い、第2工程によりアルミニウム箔の少なくとも一方の面に形成皮膜を形成し、第3工程により皮膜が焼結され、焼結後の皮膜とアルミニウム箔とが接合される構成が挙げられる。
【0053】
なお、本発明の製造方法では、第2工程後第3工程に先立って、予め100℃以上から600℃以下の温度範囲で保持時間が5時間以上の加熱処理(脱脂処理)を行なうことが好ましい。加熱処理雰囲気は特に限定されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気又は酸化性ガス雰囲気中のいずれでもよい。また、圧力条件も、常圧、減圧又は加圧のいずれでもよい。
【0054】
以上説明した第3工程により、基材の少なくとも一方の面に形成された皮膜が焼結される。
【0055】
本発明の製造方法により、アルミニウム電解コンデンサ用電極材が製造される。本発明の製造方法により製造されるアルミニウム電解コンデンサ用電極材は、体積あたりの静電容量が大きいので、当該電極材を用いて製造されるコンデンサを小型化することが可能となる。また、焼結した皮膜が厚く形成されているので、電極としての静電容量が大きいアルミニウム電解コンデンサ用電極材となり、当該電極材を用いて製造されるコンデンサを大容量化することが可能となる。
【0056】
上記第3工程により焼結された、焼結後の皮膜の細孔径、すなわち、本発明の製造方法により製造されるアルミニウム電解コンデンサ用電極材の、焼結後の皮膜の細孔径は1.3μm以下が好ましく、1.1μm以下がより好ましい。焼結後の皮膜の細孔径の上限が上記範囲であると、本発明の製造方法により製造されるコンデンサ用電極材の表面積をより一層増大させることができ、容量および体積あたりの容量がより一層高いアルミニウム電解コンデンサ用電極材となる。また、前記焼結後の皮膜の細孔径は0.3μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましい。焼結後の皮膜の細孔径の下限が上記範囲であると、得られるコンデンサ用電極材の静電容量がより一層向上する。
【0057】
なお、アルミニウム電解コンデンサ用電極材の焼結後の皮膜の細孔径は一例としては水銀圧入法で測定される。なお、ガス吸着法といった他の測定方法についても排除するものではなく、細孔径に応じて適した測定方法が選択される。通常、細孔径は分布を有しているが、細孔容積の大きいピークの細孔径を、測定対象における細孔径として採用する。細孔容積のピークが複数ある場合は、例えば電子顕微鏡観察等で測定した細孔径に最も近い細孔径を採用する。
【実施例
【0058】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0059】
下記手順に従って実施例及び比較例の電極材を作製した。得られた電極材の静電容量を下記測定方法により測定した。
【0060】
(静電容量)
ホウ酸水溶液(50g/L)中で電極材に対し250、550及び700Vの各電圧で化成処理を施した後、ホウ酸アンモニウム水溶液(3g/L)にて静電容量を測定した。測定投影面積は10cmとした。
【0061】
(細孔径)
電極材の焼結後の皮膜の細孔径を、細孔分布測定装置(Micromeritics社製 AutoPoreIV 9500)を用いて測定した。得られた測定結果のうち、最も細孔容積(Log Differential Intrusion(mL/g))の大きいピークの細孔径(Pore size Diameter(μm))を電極材の焼結後の皮膜の細孔径とした。
【0062】
<実施例及び比較例>
比較例1
平均粒径D50が15.0μmのアルミニウム粉末(JIS A1080、東洋アルミニウム(株)製、AHZL530C)とエチルセルロース系バインダー樹脂と溶剤(酢酸ブチル)を混合しペースト組成物を得た。この組成物を、厚みが30μmのアルミニウム箔基材(SB材 純度99.99重量%)の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ50μmになるようにコンマコーターを用いて塗工し、皮膜を空気雰囲気で100℃で1.5分間乾燥した。このアルミニウム箔をアルゴンガス雰囲気中にて温度600℃で10時間焼結することにより、比較例1の電極材を作製した。焼結後の電極材の厚みは約120μmであった。
【0063】
尚、アルミニウム粉末の平均粒径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を使用し、レーザー解析法により粒度分布を体積基準で測定し、平均粒径D50を算出した。
【0064】
比較例2
平均粒径D50が9.0μmのアルミニウム粉末(JIS A1080、東洋アルミニウム(株)製、AHZL560F)とエチルセルロース系バインダー樹脂と溶剤(酢酸ブチル)を混合しペースト組成物を得た。この組成物を、厚みが30μmのアルミニウム箔基材(SB材 純度99.99重量%)の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ50μmになるようにコンマコーターを用いて塗工し、皮膜を空気雰囲気で100℃で1.5分間乾燥した。このアルミニウム箔をアルゴンガス雰囲気中にて温度600℃で10時間焼結することにより、比較例の電極材を作製した。焼結後の電極材の厚みは約120μmであった。
【0065】
比較例3
平均粒径D50が3.0μmのアルミニウム粉末(JIS A1080、東洋アルミニウム(株)製、AHZL58FN)とエチルセルロース系バインダー樹脂と溶剤(酢酸ブチル)を混合しペースト組成物を得た。この組成物を、厚みが30μmのアルミニウム箔基材(SB材 純度99.99重量%)の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ50μmになるようにコンマコーターを用いて塗工し、皮膜を空気雰囲気で100℃で1.5分間乾燥した。このアルミニウム箔をアルゴンガス雰囲気中にて温度600℃で10時間焼結することにより、比較例の電極材を作製した。焼結後の電極材の厚みは約120μmであった。
【0066】
比較例4
平均粒径D50が1.8μmのアルミニウム粉末(JIS A1080、東洋アルミニウム(株)製、AHU091)とエチルセルロース系バインダー樹脂と溶剤(酢酸ブチル)を混合しペースト組成物を得た。この組成物を、厚みが30μmのアルミニウム箔基材(SB材 純度99.99重量%)の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ50μmになるようにコンマコーターを用いて塗工し、皮膜を空気雰囲気で100℃で1.5分間乾燥した。このアルミニウム箔をアルゴンガス雰囲気中にて温度600℃で10時間焼結することにより、比較例の電極材を作製した。焼結後の電極材の厚みは約120μmであった。
【0067】
実施例1
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0068】
実施例2
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0069】
実施例3
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0070】
実施例4
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例4と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0071】
結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
実施例5
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:硫酸(濃度40%)、温度:25℃、時間:60min
【0074】
実施例6
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:硫酸(濃度40%)、温度:25℃、時間:60min
【0075】
実施例7
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:硫酸(濃度40%)、温度:25℃、時間:60min
【0076】
実施例8
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例4と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:硫酸(濃度40%)、温度:25℃、時間:60min
【0077】
結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例9
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:25℃、時間:210min
【0080】
実施例10
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:25℃、時間:210min
【0081】
実施例11
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:25℃、時間:210min
【0082】
実施例12
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例4と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:25℃、時間:210min
【0083】
結果を表3に示す。
【表3】
【0084】
実施例13
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:80℃、時間:60min
【0085】
実施例14
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:80℃、時間:60min
【0086】
実施例15
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:80℃、時間:60min
【0087】
実施例16
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例4と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度10%)、温度:80℃、時間:60min
【0088】
結果を表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
比較例5
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ30μmになるように塗工すること以外は、比較例1と同様にして電極材を作成した。
【0091】
比較例6
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ30μmになるように塗工すること以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
【0092】
比較例7
組成物をルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ30μmになるように塗工すること以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
【0093】
比較例8
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ30μmになるように塗工すること以外は、比較例4と同様にして電極材を作成した。
【0094】
実施例17
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例5と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0095】
実施例18
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例6と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0096】
実施例19
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例7と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0097】
実施例20
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例8と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0098】
結果を表5に示す。
【表5】
【0099】
比較例9
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ1000μmになるように塗工すること以外は、比較例1と同様にして電極材を作成した。
【0100】
比較例10
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ1000μmになるように塗工すること以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
【0101】
比較例11
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ1000μmになるように塗工すること以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
【0102】
比較例12
組成物をアルミニウム箔基材の両面に対称に、焼結後の皮膜の厚みがそれぞれ1000μmになるように塗工すること以外は、比較例4と同様にして電極材を作成した。
【0103】
実施例21
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例9と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0104】
実施例22
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例10と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0105】
実施例23
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例11と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0106】
実施例24
アルミニウム粉末に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例12と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸(濃度30%)、温度:25℃、時間:60min
【0107】
結果を表6に示す。
【表6】
【0108】
比較例13(特開2014-138159号公報の実施例1)
焼結後の電極材に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例3と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:1モル/L、硫酸濃度:3モル/L、濃度15%)、温度:40℃、時間:2min
【0109】
結果を表7に示す。
【表7】
【0110】
比較例14(特開2014-138159号公報の実施例9)
焼結後の電極材に下記の条件でエッチング処理を行うこと以外は、比較例2と同様にして電極材を作成した。
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:1モル/L、硫酸濃度:3モル/L、濃度15%)、温度:40℃、時間:2min
【0111】
結果を表8に示す。
【表8】
【0112】
[結果]
表1~8に示されるように、各実施例の電極材は、対応する比較例の電極材と比べ、コンデンサに要求される優れた静電容量を有することが確認された。
図1
図2
図3
図4