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特許7317858単離された抗体またはその抗原結合断片、および腫瘍治療におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】単離された抗体またはその抗原結合断片、および腫瘍治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230724BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230724BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230724BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230724BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230724BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230724BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230724BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230724BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230724BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230724BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C07K16/46
A61P35/00
A61P31/12
A61P31/00
A61P43/00 111
A61K39/395 N
A61K47/68
C12P21/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020555277
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2018120520
(87)【国際公開番号】W WO2019128708
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】201711476160.3
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520233308
【氏名又は名称】ナンジン ユーマブ-バイオファーマ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING UMAB-BIOPHARMA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(72)【発明者】
【氏名】モー,シーフー
(72)【発明者】
【氏名】イン,シュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジン
【審査官】茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537090(JP,A)
【文献】国際公開第2016/179517(WO,A1)
【文献】特表2017-501167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12P 21/08
A61P 35/00
A61P 31/12
A61P 31/00
A61P 43/00
A61K 39/395
A61K 47/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖相補性決定領域と、軽鎖相補性決定領域とを含む、ヒトOX40との結合親和性を有する単離された抗体もしくはその抗原結合断片であり、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:1によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:2によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:3によって表されるCDR3とを含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:5によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:6によって表されるCDR3とを含むか、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:1によって表されるCDR1と、EQ ID NO:7によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:3によって表されるCDR3を含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:5によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:6によって表されるCDR3とを含むか、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:1によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:2によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:3によって表されるCDR3とを含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:5によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:8によって表されるCDR3とを含むか、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:1によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:7によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:3によって表されるCDR3とを含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:5によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:8によって表されるCDR3とを含むか、あるいは、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:9によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:10によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:11によって表されるCDR3とを含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:12によって表されるCDR1と、SEQ ID NO:13によって表されるCDR2と、SEQ ID NO:14によって表されるCDR3とを含むことを特徴とする単離された抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:15を含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:16を含むか、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:17を含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:16を含むか、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:15を含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:18を含むか、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:17を含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:18を含むか、あるいは、
前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:19を含み、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:20を含むことを特徴とする請求項1に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項3】
ヒト化ノクローナル抗体である請求項1または2に記載の抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項4】
二機能性抗体、scFv、scFv二量体、BsFv、dsFv、dsFv2、dsFv-dsFv’、Fvフラグメント、Fab、Fab’、F(ab’)2またはds二機能性抗体である請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項5】
ヒトIgG1、IgG2またはIgG4のタンパク質の定常領域を含む免疫グロブリン定常領域をさらに含む請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項7に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項9】
請求項8に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項10】
請求項7に記載の単離されたポリヌクレオチドを発現する条件下で、請求項9に記載の宿主細胞を培養することを含む請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片を発現させる方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項6に記載のコンジュゲートを含むキット。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または請求項6に記載のコンジュゲートと、1種または複数種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
ヒトまたはサルOX40の存在またはレベルの検出における、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項6に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項14】
上方制御された免疫応答から利益を得ることができる状態状況を治療するための薬物の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項6に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項15】
前記状態が癌または慢性ウイルス感染症である、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本願は、2017年12月29日に出願された、名称が「単離された抗体またはその抗原結合断片、および腫瘍治療におけるその使用」であり、出願番号が2017114761603である中国発明特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、抗体に関し、特に、単離された抗体またはその抗原結合断片、および腫瘍治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトOX40は、277aaのタンパク質であるが、N146およびN160位でのグリコシル化のため、その見かけの分子量が約50kD[1、2]である。OX40は、I型膜貫通タンパク質であり、その細胞外セグメントがその天然リガンドOX40L(CD252)と結合し、細胞内セグメントがT細胞活性化の複数のシグナル伝達経路と結合する。
【0004】
ヒトOX40は、CD4、CD8、ThおよびTreg細胞などを含む活性化T細胞で主に発現される(reviewed in[3])。OX40のナイーブT細胞(naive(iはトレマ付き)T細胞)での発現は非常に低いが、抗原誘導刺激後に、その発現レベルが上方制御され、12hから5~6日までにピークに達する。同様に、OX40Lの発現は、細胞の活性化状態に影響される[3]。APC細胞は、抗原刺激の1~3日後にOX40Lの発現を検出することができる。興味深いことに、免疫細胞に加えて、筋肉細胞は炎症因子の刺激下でもOX40L[4、5]を発現し、OX40L-OX40シグナル伝達経路が生体の炎症反応に広く作用する可能性があることを示唆している。
【0005】
OX40/OX40Lが抗原活性化T細胞に主に発現するという特徴に基づいて、OX40アゴニストは、特異性が強く、副作用が低い免疫療法になると開発することが期待されている。
【0006】
抗原依存性のOX40L/OX40共刺激分子の活性化は、T細胞内の複数のシグナル伝達経路と結合する。結晶構造の研究は、OX40LとOX40の結合がOX40-OX40L複合体の三量体化を誘導することができ[6]、これにより受容体関連分子(receptor-associated factor、TRAF)との結合部位が細胞内に形成されることを示している。後者(TRAF2、5)は、NF-κBシグナル伝達経路をさらに活性化し、T細胞のアポトーシスを抑制することができる[5、7、8]。一部の研究では、OX40活性化は、Bcl-2およびBcl-xLの高発現につながる可能性があることが見出され[9]、OX40がNF-κBシグナル伝達経路を介して抗アポトーシスタンパク質の発現を誘導し、T細胞のアポトーシスを抑制するその機能を果たす可能性があることを示唆している。
【0007】
PKB/PI3Kは、OX40の下流の別の重要なシグナル伝達経路である。研究により、T細胞上のOX40の共刺激シグナルがPKBの活性化を維持するための必要条件である一方、構成的に活性化されたPKBは、OX40欠損に起因するT細胞における抗アポトーシスタンパク質の下方制御に拮抗し得ることが見出された[10]。OX40共刺激シグナルは、PKB/PI3Kシグナル伝達経路を介してSurvivinの発現を維持することができる[11]。
【0008】
最後に、T細胞上のTCRおよびOX40の活性化はまた、カルシウム流れおよびNFATシグナル伝達経路の活性化を相乗的に引き起こし、IL-2、IL-4、IL-5およびIFN-γを含むサイトカインの発現を調節することができる[12]。
【0009】
以上の研究により、OX40の活性化がNF-κBシグナル伝達経路、PKB/PI3Kシグナル伝達経路およびNFATシグナル伝達経路を介してT細胞の増殖、アポトーシスおよびサイトカイン分泌活性を調節し、これにより免疫系の活力を増強する効果が得られることが示された。
【0010】
しかし、OX40のさらなる研究により、CD4+細胞におけるTreg細胞亜集団もOX40を発現することが見出された。OX40はマウスTreg細胞で持続的に発現するが、ヒトTreg細胞は活性化後に上方制御された発現を示した[13、14]。TregはエフェクターT細胞(Teff)の抑制に寄与する細胞の一種であるため、Treg細胞でのOX40の機能を調べることは非常に興味深い問題である。既存の証拠は、OX40シグナル伝達経路が天然Treg(nTreg)の発育にあまり影響しないことを示しており、ほとんどの研究は、誘導されたTreg(iTreg)の発育に対してより明確な抑制的調節作用を示すことを示している(reviewed in[3、15])。
【0011】
Treg細胞の発育により明確な結論があると違って、Treg細胞の機能に対するOX40シグナル伝達経路の調節作用に関する研究が完全には一致していない。いくつかの研究により、OX40シグナル伝達経路はTreg細胞の免疫抑制機能を抑制できることが示された[14、16~20]。また、Treg細胞がその免疫抑制機能を十分に発揮するためにOX40が必要であることが見出された[21~23]。この不一致は異なる実験室で採用した異なる実験モデルおよび実験条件と相関する可能性があり、OX40が生体内でTreg細胞の機能に対して異なる生理学的、病理学的条件の影響を受ける可能性も示唆した。
【0012】
同様に、Treg細胞の増殖およびアポトーシスに対するOX40活性の影響は、細胞が存在する微小環境によっても異なる。例えば、IFN-γおよびIL-4がないと[24]、またはFoxP3発現があると[17]、OX40の活性化は、Treg細胞の増幅を著しく促進することができる。一方、他の場合では、このOX40依存性Tregの増幅は観察されなかった[14]。
【0013】
以上のように、免疫系に対するOX40の調節制御作用は複雑な過程である。一方では、OX40共刺激シグナルは場合によってはエフェクターT細胞活性を増強し、Treg機能を抑制する二重機序によって免疫活性化の効果を達成することができる。他方では、OX40シグナル伝達経路はTreg細胞の増殖を促進し、エフェクターT細胞の機能に拮抗することもある。さらに、ADCCの作用機序は、Teff細胞およびネガティブコントロールされたTreg細胞の両方を除去することができる。
【0014】
腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocytes、TIL)は末梢リンパ系が遊走して腫瘍組織内部に留まるリンパ球であり、その数およびタイプは患者の予後と相関する傾向がある[25、26]。多くの研究は、OX40が腫瘍浸潤リンパ球、特にTregで高発現することを示し[27~32]、これは腫瘍特異的抗原がT細胞を活性化する形態の1つである可能性が高いことを示している。リンパ腫では、OX40がTregで高度に上方制御されるので、OX40は抗原特異的Tregのバイオマーカーとしてさえ働くことができる[30]。興味深いことに、OX40の発現は、腫瘍患者の臨床予後と関連している。結腸癌では、TIL、腸間膜リンパ節または腫瘍辺縁のリンパ集塊におけるOX40の高発現は、より長い生存期間に関連する[31]。同様に、黒色腫患者において、TILおよび腫瘍周辺リンパ球中のOX40陽性細胞の数は、腫瘍の転移および患者の生存期間に関連する[32]。
【0015】
上記の知見、およびT細胞活性化におけるOX40の重要な役割に基づいて、OX40は腫瘍治療の重要な標的となる。OX40シグナル伝達経路の活性化は、活性化されたOX40抗体を使用するか、またはOX40L融合タンパク質に結合することなどによって達成することができる。OX40アゴニストを用いた腫瘍治療の最初の試みは2000年に遡ることができ、Weinberg実験室はOX40L:Ig融合タンパク質の腹腔投与が皮下移植腫瘍の腫瘍形成を阻止できることを報告した[33]。興味深いことに、治療群のマウスは、同じ腫瘍を再接種するのに対しまた良い免疫力を有するが、異なる腫瘍細胞を接種するのに対し同様の免疫力を有しない[33]。この結果は、OX40アゴニストが腫瘍治療中に腫瘍特異的記憶T細胞応答を増強できることを示唆する。同時に、研究はまた、OX40アゴニストの抗腫瘍活性のために、CD4+およびCD8+細胞の両方が必要であることを示した[33、34]。その後の多くの前臨床研究により、動物モデルでのOX40アゴニストの単独使用または他の腫瘍治療手段との併用は、腫瘍成長の抑制、更には腫瘍再発の予防に有効であることを実証している(reviewed in[15、35])。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【文献】Mallett S,Fossum S,Barclay AN.Characterization of the MRC OX40 antigen of activated CD4 positive T lymphocytes--a molecule related to nerve growth factor receptor.EMBO J.1990;9:1063-8.doi:
【文献】Byun M,Ma CS,Akcay A,Pedergnana V,Palendira U,Myoung J,Avery DT,Liu Y,Abhyankar A,Lorenzo L,Schmidt M,Lim HK,Cassar O,et al.Inherited human OX40 deficiency underlying classic Kaposi sarcoma of childhood.J Exp Med.2013;210:1743-59.doi:10.1084/jem.20130592.
【文献】Willoughby J,Griffiths J,Tews I,Cragg MS.OX40:Structure and function-What questions remain?Mol Immunol.2017;83:13-22.doi:10.1016/j.molimm.2017.01.006.
【文献】Burgess JK,Carlin S,Pack RA,Arndt GM,Au WW,Johnson PR,Black JL,Hunt NH.Detection and characterization of OX40 ligand expression in human airway smooth muscle cells:a possible role in asthma?J Allergy Clin Immunol.2004;113:683-9.doi:10.1016/j.jaci.2003.12.311.
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【文献】Kroemer A,Xiao X,Vu MD,Gao W,Minamimura K,Chen M,Maki T,Li XC.OX40 controls functionally different T cell subsets and their resistance to depletion therapy.J Immunol.2007;179:5584-91.doi:
【文献】Valzasina B,Guiducci C,Dislich H,Killeen N,Weinberg AD,Colombo MP.Triggering of OX40(CD134)on CD4(+)CD25+T cells blocks their inhibitory activity:a novel regulatory role for OX40 and its comparison with GITR.Blood.2005;105:2845-51.doi:10.1182/blood-2004-07-2959.
【文献】Piconese S,Valzasina B,Colombo MP.OX40 triggering blocks suppression by regulatory T cells and facilitates tumor rejection.J Exp Med.2008;205:825-39.doi:10.1084/jem.20071341.
【文献】Voo KS,Bover L,Harline ML,Vien LT,Facchinetti V,Arima K,Kwak LW,Liu YJ.Antibodies targeting human OX40 expand effector T cells and block inducible and natural regulatory T cell function.J Immunol.2013;191:3641-50.doi:10.4049/jimmunol.1202752.
【文献】Takeda I,Ine S,Killeen N,Ndhlovu LC,Murata K,Satomi S,Sugamura K,Ishii N.Distinct roles for the OX40-OX40 ligand interaction in regulatory and nonregulatory T cells.J Immunol.2004;172:3580-9.doi:
【文献】Piconese S,Pittoni P,Burocchi A,Gorzanelli A,Care A,Tripodo C,Colombo MP.A non-redundant role for OX40 in the competitive fitness of Treg in response to IL-2.Eur J Immunol.2010;40:2902-13.doi:10.1002/eji.201040505.
【文献】Griseri T,Asquith M,Thompson C,Powrie F.OX40 is required for regulatory T cell-mediated control of colitis.J Exp Med.2010;207:699-709.doi:10.1084/jem.20091618.
【文献】Ruby CE,Yates MA,Hirschhorn-Cymerman D,Chlebeck P,Wolchok JD,Houghton AN,Offner H,Weinberg AD.Cutting Edge:OX40 agonists can drive regulatory T cell expansion if the cytokine milieu is right.J Immunol.2009;183:4853-7.doi:10.4049/jimmunol.0901112.
【文献】Zhang L,Conejo-Garcia JR,Katsaros D,Gimotty PA,Massobrio M,Regnani G,Makrigiannakis A,Gray H,Schlienger K,Liebman MN,Rubin SC,Coukos G.Intratumoral T cells,recurrence,and survival in epithelial ovarian cancer.N Engl J Med.2003;348:203-13.doi:10.1056/NEJMoa020177.
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来技術の問題を解消するために、本発明は、新規な抗ヒトOX40モノクローナル抗体、それをコードするポリヌクレオチド、および腫瘍治療におけるその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、およびSEQ ID NO:11からなる群から選択される1つまたは複数の配列からなる重鎖相補性決定領域と、軽鎖相補性決定領域とを含む単離された抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0019】
ここで、前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2および/またはSEQ ID NO:3であるか、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7および/またはSEQ ID NO:3であるか、あるいは、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10および/またはSEQ ID NO:11である。
【0020】
ここで、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、およびSEQ ID NO:14からなる群から選択される1つまたは複数の配列である。
【0021】
ここで、前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:6であるか、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:8であるか、あるいはSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13および/またはSEQ ID NO:14である。
【0022】
ここで、重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6を含むか、重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6を含むか、重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:8を含むか、重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:8を含むか、あるいは重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:11を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13およびSEQ ID NO:14を含む。
【0023】
ここで、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:19またはSEQ ID NO:29に置換されている。
【0024】
ここで、前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20またはSEQ ID NO:30に置換されている。
【0025】
ここで、重鎖可変領域がSEQ ID NO:15を含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:16を含むか、重鎖可変領域がSEQ ID NO:17を含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:16を含むか、重鎖可変領域がSEQ ID NO:15を含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:18を含むか、重鎖可変領域がSEQ ID NO:17を含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:18を含むか、あるいは重鎖可変領域がSEQ ID NO:19を含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:20を含むか、あるいは重鎖可変領域がSEQ ID NO:29を含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:30を含む。
【0026】
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片がヒト化または完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0027】
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片がラクダ化シングルドメイン抗体、二機能性抗体、scFv、scFv二量体、BsFv、dsFv、dsFv2、dsFv-dsFv’、Fvフラグメント、Fab、Fab’、F(ab’)2、ds二機能性抗体、ナノボディ、ドメイン抗体または二価ドメイン抗体である。
【0028】
ここで、さらにヒトIgG1、IgG2またはIgG4のタンパク質の定常領域を含む免疫グロブリン定常領域を含む。
【0029】
本発明で提供される前記抗体またはその抗原結合断片が、さらにコンジュゲートを含む。
【0030】
本発明は、前記抗体またはその抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0031】
本発明は、前記単離されたポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0032】
本発明は、前記ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0033】
本発明は、前記単離されたポリヌクレオチドを発現する条件下で、前記宿主細胞を培養することを含む前記抗体またはその抗原結合断片を発現させる方法を提供する。
【0034】
本発明はまた、前記抗体またはその抗原結合断片を含むキットを提供する。
【0035】
本発明はまた、前記抗体またはその抗原結合断片と、1種あるいは複数種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0036】
本発明は、ヒトまたはサルOX40の存在またはレベルの検出における、前記抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0037】
本発明は、OX40アゴニストに応答する障害または状態を有する個体の検出および同定における、前記抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0038】
本発明は、OX40アゴニスト治療の治療応答または疾患進行のモニタリングにおける、前記抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0039】
本発明は、上方制御された免疫応答から利益を得ることができる状態を治療するための薬物の製造における、前記抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。ここで、前記状態が癌または慢性ウイルス感染症である。
【0040】
本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合断片を使用することを含む、ヒトまたはサルOX40の存在またはレベルを検出する方法を提供する。
【0041】
本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合断片を使用することを含む、OX40アゴニストに応答する障害または状態を有する個体を検出および同定する方法を提供する。
【0042】
本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合断片を使用することを含む、OX40アゴニスト治療の治療応答または疾患進行をモニタリングする方法を提供する。
【0043】
本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合断片を使用することを含む、上方制御された免疫応答から利益を得ることができる状態を治療する方法を提供する。ここで、前記状態が癌または慢性ウイルス感染症である。
【0044】
本発明は、ヒトまたはサルOX40の存在またはレベルを検出するための抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0045】
本発明は、OX40アゴニストに応答する障害または状態を有する個体を検出および同定する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0046】
本発明は、OX40アゴニスト治療の治療応答または疾患進行をモニタリングする抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0047】
本発明は、上方制御された免疫応答から利益を得ることができる状態を治療する抗体またはその抗原結合断片を提供する。ここで、前記状態が癌または慢性ウイルス感染症である。
【発明の効果】
【0048】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本発明は自主的に開発したマウス由来抗OX40抗体を改造することにより、ヒト-マウスキメラ抗OX40モノクローナル抗体を開発し、本発明の抗体は細胞表面OX40タンパク質と結合し、かつその下流のシグナル伝達経路を活性化し、T細胞の機能を活性化して、腫瘍または慢性ウイルス感染症の治療に可能性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】ELISA結合実験結果を示す。
図2】FACS検出抗体とCHO-hsOX40との結合実験結果を示す。
図3】FACS検出抗体とCHO-mOX40との結合実験結果を示す。
図4】OX40抗体によるJurkat細胞NF-kBシグナル伝達経路活性の活性化を示す。
図5】OX40抗体がOX-40Lで誘導したJurkat細胞NF-kBシグナル伝達経路の活性化を競合的に抑制することを示す。
図6】CHO-OX40細胞に対するOX40抗体媒介性PBMCのADCC作用を示す。
図7】OX40抗体がTh細胞の増殖を促進することを示す。異なる濃度のOX40抗体がOKT3と相乗的に作用し、CD4+Th細胞の増殖を促進する。
図8図8aは、OX40抗体薬物による腫瘍体積抑制の相関図を示す(**P<0.01)。図8bは、OX40抗体薬物がマウス体重に明らかな影響がないことを示す。
図9】(a)は、ヒトOX40にヒト化抗体が結合したELISAデータを示す。(b)は、Jurkat細胞NF-kBシグナル伝達経路に対するヒト化抗体の活性化活性を示す。(c)は、OX40ヒト化トランスジェニックマウスにおけるヒト化抗体の抗腫瘍薬効を示す。
図10図10aは、マウスにおけるOX40抗体薬物の薬物動態学的挙動を示す。図10bは、カニクイザルにおけるOX40抗体薬物の薬物動態学的挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本願の以下の記述は、本願の様々な実施形態を説明するためのものにすぎない。したがって、本明細書で論じられる特定の修正は、適用範囲の限定として解釈されるべきではない。当業者であれば、本願に記載された範疇内において、各種の均等物、変更例および修正例を考えやすくなり、こんな同等な実施形態は本発明の範囲に属するものと了解される。本願に引用される刊行物、特許および特許出願を含む全ての文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0051】
用語の詳細
本発明における「抗体」なる用語は、特定の抗原に結合し得る任意の免疫グロブリン、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体、または二重特異性(二価)抗体を含む。1つの天然の無傷抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む。各重鎖は一つの可変領域と第1、第2、第3の定常領域からなり、各軽鎖は一つの可変領域と一つの定常領域からなる。哺乳動物の重鎖はα、δ、ε、γおよびμに分けられ、哺乳動物の軽鎖はλまたはκに分けられる。抗体が「Y」型であり、Y型構造のネックは2つの重鎖の第2および第3の定常領域からなり、これはジスルフィド結合によって結合される。「Y」型構造の各アームは1つの軽鎖の可変領域および定常領域と結合された1つの重鎖の可変領域および第1の定常領域を含む。軽鎖と重鎖の可変領域は抗原の結合を決定する。各鎖の可変領域は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの超可変領域を含む。軽鎖(L)のCDRはLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、重鎖(H)のCDRはHCDR1、HCDR2、HCDR3を含む。本発明に開示される抗体および抗原結合断片のCDR境界はKabat、ChothiaまたはAl-Lazikani命名法によって命名または認識することができる。(AI-Lazikani,B.,Chothia,C.,Lesk,A.M.,J.Mol.Biol.,273(4):927(1997);Chothia,C.等,J.Mol.Biol.,186(3):651-63(1985);Chothia,C.and Lesk、A.M.,J.Mol.Biol.,196:901(1987);Chothia,C.等,Nature,342(6252):877-83(1989);Kabat,E.A.等,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。ここで、3つのCDRは、CDRよりも高度に保存され、ステント支持超可変リングを形成するフレームワーク領域(FR)と呼ばれる側部連続部によって分離されている。重鎖および軽鎖の定常領域は抗原結合とは無関係であるが、様々なエフェクター機能を有する。抗体は重鎖定常領域のアミノ酸配列によっていくつかのクラスに分類することができる。抗体は、α、δ、ε、γおよびμ重鎖を含むか否かに応じて、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5つの主要な分類または異性体にそれぞれ分けることができる。いくつかの主要な抗体分類はまた、IgG1(γ1重鎖)、IgG2(γ2重鎖)、IgG3(γ3重鎖)、IgG4(γ4重鎖)、IgA1(α1重鎖)またはIgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分けることができる。
【0052】
本願における「抗原結合断片」なる用語は、1つあるいは複数のCDRを含む抗体部分、または抗原に結合するが完全な抗体構造を有さない任意の他の抗体断片から形成される抗体断片を指す。抗原結合断片の例としては、限定されないが、例えば、二機能性抗体(diabody)、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィド結合安定化Fvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド結合安定化二機能性抗体(ds diabody)、一本鎖抗体分子(scFv)、scFv二量体(二価の二機能性抗体)、二価一本鎖抗体(BsFv)、多特異性抗体、ラクダ化シングルドメイン抗体(camelized single domain antibody)、ナノボディ、ドメイン抗体、および二価ドメイン抗体が挙げられる。抗原結合断片は親抗体と同じ抗原に結合することができる。特定の実施形態では、抗原結合断片は、特定のヒト抗体からの1つあるいは複数のCDRを含み、1つあるいは複数の異なるヒト抗体からのフレームワーク領域に転送することができる。
【0053】
抗体の「Fab」断片は、1つの軽鎖(可変領域および定常領域を含む)、および1つの重鎖の可変領域、および定常領域の一部がジスルフィド結合を介して結合している抗体分子の部分を指す。
【0054】
「Fab’」断片は、ヒンジ領域の一部を含むFab断片を指す。
【0055】
「F(ab’)2」は、Fabの二量体を指す。
【0056】
抗体のFcセグメントは、ADCCおよびCDCなどの様々な異なるエフェクター機能を担うが、抗原結合には関与しない。
【0057】
抗体の「Fv」セグメントは、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片を指す。Fv断片は、1つの軽鎖の可変領域と1つの重鎖の可変領域とからなる。
【0058】
「一本鎖Fv抗体」または「scFv」は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とが直接または1つのペプチド鎖を介して連結された工学抗体を指す(Huston JS等,Proc Natl Acad Sci USA,85:5879(1988))。
【0059】
「一本鎖抗体Fv-Fc」または「scFv-Fc」は、ある抗体Fcセグメントに結合したscFvからなる工学抗体を指す。
【0060】
「ラクダ化シングルドメイン抗体(Camelized single domain antibody)」、「重鎖抗体」または「HCAb(Heavy-chain-only antibodies、HCAb)」はいずれも2つのVHドメインを含むが、軽鎖を含まない抗体を指す(Riechmann L.およびMuyldermans S.,J Immunol Methods.231(1-2):25-38(1999);Muyldermans S.,J Biotechnol.74(4):277-302(2001);W094/04678;W094/25591;U.S.Patent No.6,005,079)。重鎖抗体は、最初にパカ科(ラクダ、ヒトコブラクダ、およびアメリカ大陸アルパカ)に由来する。軽鎖の欠失にもかかわらず、ラクダ化抗体(camelized antibodies)は、抗原結合の全機能を確証する(HamersCasterman C.等,Nature 363(6428):446-8(1993);Nguyen VK.等,“Heavy-chain antibodies in Camelidae:a case of evolutionary innovation,Immunogenetics.54(1):39-47(2002);Nguyen VK.等,Immunology.109(1):93101(2003))。重鎖抗体の可変領域(VHドメイン)は、既知の最小の獲得免疫による抗原結合単位である(Koch-Nolte F.等,FASEB J.21(13):3490-8.Epub(2007))。
【0061】
「ナノボディ」は、重鎖抗体からの1つのVHドメインおよび2つの定常領域CH2およびCH3からなる抗体断片を指す。
【0062】
「二機能性抗体(diabody)」は、同じポリペプチド鎖に連結されたVHドメインおよびVLドメインを含む2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を含む(Holliger P.等,Proc Natl Acad Sci U S A.90(14):6444-8(1993);EP404097;W093/11161を参照されたい)。2つのドメイン間のアダプターは非常に短く、同じ鎖上の2つのドメインを互いにペアにすることができないため、2つのドメインを他の2つの鎖の相補ドメインとペアにさせ、2つの抗体結合部位を形成させる。これらの2つの抗体結合部位は、同じ抗原または異なる抗原(または抗原エピトープ)に標的結合することができる。
【0063】
「ドメイン抗体」は、1つの重鎖可変領域または1つの軽鎖可変領域のみを含む抗体断片を指す。いくつかの場合において、2つ以上のVHドメインは、1つのポリペプチドアダプターによって共有結合され、二価ドメイン抗体を形成する。二価ドメイン抗体の2つのVHドメインは、同じ抗原または異なる抗原に標的化することができる。
【0064】
特定の実施形態では、「(dsFv)2」は、2つのVH遺伝子間が1つのポリペプチドアダプターによって連結され、ジスルフィド結合を介して2つのVL基に結合する3つのペプチド鎖を含む。
【0065】
特定の実施形態では、「二重特異性ds二機能性抗体」は、VL1-VH2(2つのポリペプチドアダプターによって連結された)およびVH1-VL2(2つのポリペプチドアダプターによって連結された)を含み、両者はVH1とVLlの間でジスルフィド結合により結合する。
【0066】
「二重特異性dsFv」または「dsFv-dsFv」は、VH1-VH2基では、両方の重鎖がポリペプチドアダプター(例えば、長いエラストマーアダプター)によって連結され、そして、ジスルフィド結合を介してそれぞれVL1およびVL2基に結合し、ジスルフィド結合を介してペアする各重鎖軽鎖が異なる抗原特異性を有する3つのポリペプチド鎖を含む。
【0067】
特定の実施形態では、「scFv二量体」は、二量化された2つのVH-VL(ポリペプチドアダプターによって連結された)基を含む二価二機能性抗体または二価一本鎖抗体(BsFv)であり、2つの基のVHは、他方の基のVLと協働して、同じ抗原(または抗原エピトープ)または異なる抗原(または抗原エピトープ)に標的結合できる2つの結合部位を形成する。別の実施形態では、「scFv二量体」は、互いに連結されたVL1-VH2(ポリペプチドアダプターによって連結された)およびVH1-VL2(ポリペプチドアダプターによって連結された)を含む二重特異性二機能性抗体であり、ここで、VH1およびVL1は協働し、VH2およびVL2は協働し、各協働のペアは異なる抗原特異性を有する。
【0068】
本願で使用される「完全ヒト」なる用語は、抗体または抗原結合断片に使用される場合、前記抗体または抗原結合断片があるアミノ酸配列を有するか、または前記アミノ酸配列からなることを意味し、前記アミノ酸配列は、ヒトまたはヒト免疫細胞から産生された、またはヒト化抗体ライブラリーを利用するトランスジェニック非ヒト動物などの非ヒト由来抗体のアミノ酸配列、またはヒト化抗体をコードする他の配列に対応する。特定の実施形態では、完全ヒト抗体は、非ヒト抗体由来のアミノ酸残基(特に抗原結合残基)を含まない。
【0069】
本願で使用される「ヒト化」なる用語は、抗体または抗原結合断片に使用される場合、非ヒト動物由来のCDR、ヒト由来のFR領域、およびヒト由来の定常領域(適用する場合)を含む抗体または抗原結合断片を意味する。ヒト化抗体または抗原結合断片は、免疫原性が低下しているため、特定の実施形態ではヒトの治療剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、前記非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモット、またはハムスターなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、前記ヒト化抗体または抗原結合断片は、CDR配列が非ヒト由来であることを除き、基本的に全てヒト化配列からなる。いくつかの実施形態では、前記ヒト由来のFR領域は、それが由来するヒト化抗体と同じアミノ酸配列を含むことができ、またはいくつかのアミノ酸変化、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下のアミノ酸の変化を含んでもよい。いくつかの実施形態では、該アミノ酸変化は、重鎖FR領域にのみ存在してもよく、軽鎖FR領域にのみ存在してもよく、または両方の鎖に存在してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、前記ヒト化抗体は、ヒト化FRl-3およびヒト化JHおよびJKを含む。
【0070】
本願で使用される「キメラ」なる用語は、1つの種に由来する重鎖および/または軽鎖の一部を有し、前記重鎖および/または軽鎖の残りが異なる種に由来する抗体または抗原結合断片を指す。例示的な例では、キメラ抗体は、ヒト由来の定常領域と、マウスなどの非ヒト動物由来の可変領域とを含むことができる。
【0071】
「OX40」なる用語は、OX40Lに結合する受容体を指す。それはTNF受容体ファミリーに属するI型膜タンパク質である。その他の名称は、ACT-4、OX40L受容体、CD134抗原、ACT35抗原、TNFRSF4である。これは、50kDaの分子量を有し、SwissProtに保存され、登録番号がP43489である。
【0072】
本願で使用される「抗OX40抗体」は、診断および/または治療用途を提供するのに十分な親和性でOX40(例えば、ヒトまたはサルOX40)に特異的に結合することができる抗体を意味する。
【0073】
本願における「特異的結合」または「特異的な結合」は、2分子間の非ランダム結合反応、例えば抗体と抗原との間の反応を意味する。特定の実施形態では、本願の抗体またはその抗原結合断片は、ヒトおよび/またはサルOX40に特異的に結合し、その結合親和性(KD)が≦10-6Mである。本願におけるKDは、解離速度と結合速度との比(koff/kon)を意味し、例えばBiacoreのような器具を使用して、表面プラズモン共鳴法によって測定することができる。
【0074】
本願で使用される「MT01-L1」は、SEQ ID NO:15に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:16に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0075】
本願で使用される「MT01-L1(M1)」は、SEQ ID NO:17に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:16に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0076】
本願で使用される「MT01-L1(M2)」は、SEQ ID NO:15に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:18に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0077】
本願で使用される「MT01-L1(M1/M2)」は、SEQ ID NO:17に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:18に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0078】
本願で使用される「MT01-L1(G2)」は、SEQ ID NO:15に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:16に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG2/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0079】
本願で使用される「MT01-L2」は、SEQ ID NO:19に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:20に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/λアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0080】
本願で使用される「MT01-L2(G2)」は、SEQ ID NO:19に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:20に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG2/λアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0081】
本願で使用される「MT01-C1」は、SEQ ID NO:29に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:30に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト化モノクローナル抗体である。
【0082】
本願で使用される「MT01-C1(G2)」は、SEQ ID NO:29に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:30に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG2/κアイソタイプ定常領域を有するヒト化モノクローナル抗体である。
【0083】
本願において、「保守的な置換」がアミノ酸配列で使用される場合、1つのアミノ酸残基を、類似の物理化学的性質を有する別の側鎖のアミノ酸残基で置換することを意味する。例えば、疎水性側鎖アミノ酸残基間(例えば、Met、Ala、VaL、LeuおよびIle)、中性親水性側鎖残基間(例えば、Cys、Ser、Thr、AsnおよびGln)、酸性側鎖残基間(例えば、Asp、Glu)、塩基性側鎖アミノ酸間(例えば、His、LysおよびArg)、または芳香側鎖残基間(例えば、Trp、TyrおよびPhe)は、保守的に置換される。保守的な置換は、通常、タンパク質の立体構造の有意な変化を引き起こさず、したがってタンパク質の生物学的活性を保持することができることが当該技術分野で知られている。
【0084】
アミノ酸配列(または核酸配列)に「パーセント配列同一性」を用いる場合には、配列アラインメントを行い、必要に応じて同一アミノ酸(または核酸)の数が最大となるように間隔を導入した後、候補配列において、参照配列と同じアミノ酸(または核酸)残基は、前記候補配列のアミノ酸(または核酸)残基のパーセントを占めることを意味する。前記アミノ酸残基の保守的な置換は、同一の残基と見なされてもされなくてもよい。配列は、アミノ酸(または核酸)配列のパーセント配列同一性を決定するために、当該技術分野で開示されているツールによって配列アラインメントすることができる。当業者は、例えば適切なアルゴリズムを選択することによって、前記ツールのデフォルトパラメータを使用してもよいし、アラインメントの必要に応じてパラメータを適切に調整してもよい。
【0085】
本願で使用される「T細胞」には、CD4+T細胞、CD8+T細胞、Tヘルパー1型T細胞、Tヘルパー2型T細胞、Tヘルパー17型T細胞および抑制性T細胞が含まれる。
【0086】
本願で使用される「エフェクター機能」は、抗体のFc領域が、そのエフェクター、例えば、C1複合体およびFc受容体に結合する生物学的活性を指す。例示的なエフェクター機能は、抗体とC1複合体上のC1qとの相互作用によって誘導される補体依存性細胞毒性(CDC)、抗体のFc領域とエフェクター細胞上のFc受容体との結合によって誘導される抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)および貪食を含む。
【0087】
本願における「癌」または「癌状態」は、腫瘍または悪性細胞の成長、増殖または転移によって媒介され、固形腫瘍および白血病などの非固形腫瘍を誘発する任意の医学的状態を意味する。本発明における「腫瘍」は、腫瘍および/または悪性細胞の実体物質を意味する。
【0088】
ある状態に対する「治療」または「療法」は、ある状態を予防または軽減し、ある状態が勃興または進行する速度を低下させ、ある状態に発展するリスクを減少させ、ある状態に関連する症状の進行を予防または遅延させ、ある状態に関連する症状を減少または終息させ、ある状態の完全または部分的な逆転を生じさせ、ある状態を治癒させる、あるいは以上の組み合わせを含む。癌の場合、「治療」または「療法」は、腫瘍または悪性細胞の成長、増殖、または転移、またはこれらのいくつかの組合せを抑制または遅延させることを意味する場合がある。腫瘍の場合、「治療」または「療法」は、腫瘍の全部または一部を除去すること、腫瘍の成長および転移を抑制または遅延させること、腫瘍の進行を予防または遅延させること、またはこれらのいくつかの組み合わせを含む。
【0089】
「単離された」物質は、人工的に自然状態から変化した。ある「単離された」物質または成分が自然界に存在する場合、それは元の状態から変更または離脱されているか、またはその両方が発生している。例えば、ある生体動物の体内に天然に存在するポリヌクレオチドやポリペプチドは単離されていないが、これらのポリヌクレオチドやポリペプチドが天然状態で共存する物質と十分に単離し、十分に純粋な状態で存在していれば、「単離されている」と考えることができる。特定の実施形態では、抗体および抗原結合断片の純度は、少なくとも90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%であり、電気泳動法(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動、キャピラリー電気泳動)、またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたは逆相HPLC)によって決定される。
【0090】
本発明において「ベクター」は、あるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを操作的に挿入し、そのタンパク質を発現させることができる運送工具を意味する。ベクターは、保有する遺伝物質要素が宿主細胞内で発現されるように、宿主細胞を形質転換、形質導入またはトランスフェクトするために使用することができる。例えば、ベクターは、プラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)などの人工染色体、細菌人工染色体(BAC)、またはP1由来の人工染色体(PAC)、λファージやM13ファージなどのファージ、および動物ウイルスなどが挙げられる。ベクターとして使用される動物ウイルスの種類は、レトロウイルス(レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポーバウイルス(例えば、SV40)を含む)である。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素、およびレポーター遺伝子のような発現を制御する様々な要素を含むことができる。さらに、ベクターは複製開始部位を含んでもよい。ベクターはまた、これらに限定されないが、ウイルス粒子、リポソーム、またはタンパク質外殻のような細胞へのアクセスを助ける成分を含むことができる。
【0091】
本発明における「宿主細胞」は、外来ポリヌクレオチドおよび/またはベクターが導入された細胞である。
【0092】
本発明における「OX40に関連するかまたは関係する疾患」は、OX40の発現または活性の増加または減少に起因する、増悪または他の関連する任意の状態を意味する。
【0093】
本発明における「治療上有効な量」または「有効な用量」は、ある薬物がヒトOX40に関連する疾患または状態を治療するのに有効な用量または濃度を意味する。例えば、本発明で開示される抗体またはその抗原結合断片の使用に関して、治療上有効な量は、該用量または濃度で、該抗体または抗原結合体は腫瘍の全部または一部の除去、腫瘍の成長の抑制または遅延、癌状態を媒介する細胞の成長または増殖の抑制、腫瘍細胞転移の抑制、腫瘍または癌状態に関連する任意の症状またはマーカーの軽減、腫瘍または癌状態の進行の予防または遅延、またはこれらの組み合わせの機能を果たすことができる。
【0094】
「薬学的に許容される」は、一般に化学的および/または物理的に製剤中の他の成分と適合性があり、生理学的に受容者と適合性がある担体、溶媒、希釈剤、賦形剤および/または塩を意味する。
【0095】
(抗OX40抗体について)
特定の実施形態では、本願は、例示的なモノクローナル抗体MT01-L1、MT01-L1(M1)、MT01-L1(M2)、MT01-L1(M1/M2)、MT01-L1(G2)、MT01-L2およびMT01-L2(G2)、MT01-C1およびMT01-C1(G2)を提供する。そのCDR配列を表1に示し、重鎖または軽鎖相補性決定領域配列を以下に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1、2、3、7、9、10および11からなる群から選択される重鎖相補性決定領域配列を含む。いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4、5、6、8、12、13および14からなる群から選択される軽鎖相補性決定領域配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2および/またはSEQ ID NO:3を含む重鎖相補性決定領域、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7および/またはSEQ ID NO:3を含む重鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10および/またはSEQ ID NO:11を含む重鎖相補性決定領域からなる群から選択される重鎖相補性決定領域を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:6を含む軽鎖相補性決定領域、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:8を含む軽鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13および/またはSEQ ID NO:14を含む軽鎖相補性決定領域からなる群から選択される軽鎖相補性決定領域を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、a)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2および/またはSEQ ID NO:3を含む重鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:6を含む軽鎖相補性決定領域を含むか、b)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7および/またはSEQ ID NO:3を含む重鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:6を含む軽鎖相補性決定領域を含むか、c)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2および/またはSEQ ID NO:3を含む重鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:8を含む軽鎖相補性決定領域を含むか、d)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7および/またはSEQ ID NO:3を含む重鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:8を含む軽鎖相補性決定領域を含むか、あるいは、e)SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10および/またはSEQ ID NO:11を含む重鎖相補性決定領域、およびSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13および/またはSEQ ID NO:14を含む軽鎖相補性決定領域を含む。
【0101】
本願で使用される「MT01-L1」は、SEQ ID NO:15に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:16に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0102】
本願で使用される「MT01-L1(M1)」は、SEQ ID NO:17に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:16に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0103】
本願で使用される「MT01-L1(M2)」は、SEQ ID NO:15に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:18に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0104】
本願で使用される「MT01-L1(M1/M2)」は、SEQ ID NO:17に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:18に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0105】
本願で使用される「MT01-L1(G2)」は、SEQ ID NO:15に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:16に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG2/κアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0106】
本願で使用される「MT01-L2」は、SEQ ID NO:19に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:20に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/λアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0107】
本願で使用される「MT01-L2(G2)」は、SEQ ID NO:19に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:20に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG2/λアイソタイプ定常領域を有するヒト-マウスキメラモノクローナル抗体である。
【0108】
本願で使用される「MT01-C1」は、SEQ ID NO:29に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:30に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG1/κアイソタイプ定常領域を有するヒト化モノクローナル抗体である。
【0109】
本願で使用される「MT01-C1(G2)」は、SEQ ID NO:29に示す重鎖可変領域、SEQ ID NO:30に示す軽鎖可変領域、およびヒトIgG2/κアイソタイプ定常領域を有するヒト化モノクローナル抗体である。
【0110】
当業者は、前述のCDR配列が、1つまたは複数のアミノ酸の置換を含むように修飾され得、それにより、生物学的活性の向上、例えば、ヒトOX40との結合親和性の向上がもたらされることを理解できる。例えば、抗体変異体ライブラリー(例えば、FabまたはFcFv変異体)は、ファージディスプレイ技術を用いて作製および発現され、その後、ヒトOX40と親和性のある抗体がスクリーニングされ得る。別の例では、ヒトOX40への前記抗体の結合をコンピュータソフトウェアでシミュレートし、抗体上の結合界面を形成するアミノ酸残基を同定することができる。これらの残基の置換は、結合親和性の低下を防ぐために回避され得るか、または、より強力な結合を形成するためにこれらの残基を標的化し得る。特定の実施形態では、CDR配列の少なくとも1つ(または全て)の置換は、保守的な置換である。
【0111】
特定の実施形態では、前記抗体および抗原結合断片は、表1に列挙された配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を持ち、かつ基本的に同一の配列を有するが、対応するCDR配列が表1に列挙された配列と100%の配列同一性を持つその親抗体と同様のまたはそれよりも高いヒトOX40との結合親和性を保持する1つまたは複数のCDR配列を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、表面プラズモン共鳴法によって測定することで、≦10-7Mの結合親和性(Kd)でヒトOX40に特異的に結合することができることが見出された。結合親和性値は、抗原と抗原結合分子との結合が平衡に達したときの解離速度と結合速度との比(koff/kon)から計算されるKD値で表すことができる。前記抗原結合親和性(例えば、KD)は、例えばBiacoreのような器具を用いたプラズモン共鳴結合法を含む当該技術分野で公知の適切な方法によって適切に決定することができる。
【0113】
特定の実施形態では、本願に記載の抗体およびその抗原結合断片は、10ng/mL~10μg/mLのEC50(すなわち、半数結合濃度)でヒトOX40に結合する。ヒトOX40への前記抗体の結合は、ELISAなどのサンドイッチ法、Westernブロット、FACSまたは他の結合試験などの当該技術分野で公知の方法によって測定することができる。代表的な例では、固定化されたヒトOX40またはヒトOX40を発現する細胞に被測定抗体(すなわち、一次抗体)を結合させた後、未結合抗体を洗い流し、標識された二次抗体を導入し、それは一次抗体と結合することができ、したがって結合した二次抗体を検出することができる。前記検出は、固定化されたOX40を使用する場合には、エライザプレート上で行うことができ、またはヒトOX40を発現する細胞を使用する場合には、FACS分析を使用して行うことができる。
【0114】
特定の実施形態では、本願に記載の抗体およびその抗原結合断片は、0.1μg/mL~10μg/mL(FACS分析を用いて測定)のEC50(すなわち、50%の有効濃度)でヒトOX40に結合する。
【0115】
特定の実施形態では、本願に記載の抗体およびその抗原結合断片は、ヒトOX40シグナル伝達経路を活性化することができ、それにより、例えば、活性化T細胞のサイトカイン産生の誘導(例えば、CD4+T細胞およびCD8+T細胞)、活性化T細胞の増殖の誘導(例えば、CD4+T細胞およびCD8+T細胞)、および調節性Tregの抑制性機能の逆転を含む生物学的活性を提供する。
【0116】
前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、ヒトOX40に特異的である。特定の実施形態では、前記抗体およびその抗原結合断片は、マウスOX40に結合しないが、ヒトOX40と類似の結合親和性でサルOX40に結合する。例えば、マウスOX40への例示的な抗体MT01-L1およびMT01-L2の結合は、FACS分析などの一般的な結合測定法では検出できないが、FACSはこれらの抗体がヒトOX40と類似の親和性またはEC50値でサルOX40に結合することを検出する。
【0117】
いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、低減または排除されたエフェクター機能を有するIgG2アイソタイプ定常領域を有する。例えば、ADCCおよびCDCなどのエフェクター機能は、OX40を発現する細胞に対する細胞毒性をもたらすことができる。いくつかの正常な細胞は、OX40を発現することができる。これらの正常な細胞に対する潜在的な望ましくない毒性を回避するために、本発明に記載の抗体およびその抗原結合断片の特定の実施形態は、低減またはさらに排除されたエフェクター機能を有する。当業者が容易に選択できるFc受容体結合試験、補体Clq結合実験、および細胞分裂法などのADCCまたはCDC活性を推定するための多数のアッセイが知られている。理論に束縛されるものではないが、ADCCやCDCなどのエフェクター機能を低減または排除する抗体は、OX40を発現する細胞(例えば、それらの正常な細胞)に対する細胞毒性を引き起こしたり、最小化したりしないと考えられる。そのために望ましくない副作用を避けることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、副作用を低減する。例えば、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、完全ヒトIgG配列を有することができるので、その免疫原性がヒト化抗体よりも低い。さらに例えば、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、ADCCおよびCDCを除去するためにIgG2またはIgG4の形態を有することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、腫瘍細胞、精製された腫瘍抗原、および免疫刺激因子をコードするものでトランスフェクトされた細胞、腫瘍ワクチンなどの免疫原性を有する物質との併用が可能であるという利点がある。さらに、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、標準化学療法および放射線療法、標的ベースの小分子療法、他の新興免疫チェックポイント調節剤療法を含む併用療法に含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記抗体およびその抗原結合断片は、抗体-薬物のコンジュゲート、二重特異性または多価抗体のベース分子として使用することができる。
【0120】
本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、二重特異性抗体、標識抗体、二価抗体または抗イディオタイプ抗体であり得る。組換え抗体は、動物の代わりに組換え法を用いてインビトロで作製された抗体である。二重特異性抗体または二価抗体は、2つの異なる抗原に結合できる、2つの異なるモノクローナル抗体の断片を有する人工抗体である。「二価」抗体およびその抗原結合断片は、2つの抗原結合部位を含む。2つの抗原結合部位は、同じ抗原に結合してもよく、またはそれぞれ異なる抗原に結合してもよく、この場合、抗体または抗原結合断片は、「二重特異性」である。
【0121】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、完全ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、前記完全ヒト抗体は、組換え法を用いて作製される。例えば、マウスなどのトランスジェニック動物は、ヒト由来免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックまたはトランスジェニック染色体を担持するように作製することができ、したがって、ヒトOX40などの適切な抗原で免疫した後に、完全ヒト抗体を産生することができる。完全ヒト抗体は、そのようなトランスジェニック動物から単離されてもよく、または加えて、前記トランスジェニック動物の脾臓細胞を不死細胞系と融合させて、前記完全ヒト抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を生成するハイブリドーマ技術によって作製されてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、ラクダ化シングルドメイン抗体(camelized single chain domain antibody)、二機能性抗体(diabody)、scFv、scFv二量体、BsFv、dsFv、(dsFv)2、dsFv-dsFv’、Fvフラグメント、Fab、Fab’、F(ab’)2、ds二機能性抗体(ds diabody)、ナノボディ、ドメイン抗体、または二価ドメイン抗体である。
【0123】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、免疫グロブリン定常領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、重鎖および/または軽鎖定常領域を含む。前記重鎖定常領域は、CH1、CH1-CH2またはCH1-CH3領域を含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、所望の特性を得るための1つまたは複数の修飾をさらに含むことができる。例えば、前記定常領域は、FcRn受容体の結合を増強するか、または1つまたは複数のシステイン残基を導入するために、1つまたは複数のエフェクター機能を低減または排除するように修飾され得る。
【0124】
特定の実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、コンジュゲートをさらに含む。本発明における抗体またはその抗原結合断片は、様々なコンジュゲートに連結できる(例えば、「Conjugate Vaccines」、Contributions to Microbiology and Immunology、J.M.Cruse and R.E.Lewis、Jr.(eds.)、Carger Press、New York(1989)参照)。これらのコンジュゲートは、共有結合、親和性結合、埋め込み、同等結合(coordinate binding)、錯化、結合、混合、または添加などの他の手段によって、前記抗体または抗原結合体に連結され得る。特定の実施形態では、本発明に開示される抗体および抗原結合断片は、1つまたは複数のコンジュゲートに結合するために使用され得るエピトープ結合部分以外の特定の部位を含むように操作され得る。例えば、そのような部位は、結合体との共有結合を促進するために、システイン残基およびヒスチジン残基などの1つまたは複数の反応性アミノ酸残基を含んでもよい。特定の実施形態では、抗体は、コンジュゲートに間接的に、または別のコンジュゲートを介して連結することができる。例えば、前記抗体またはその抗原結合断片は、ビオチンに結合し、次いで、アビジンに連結された第2のコンジュゲートに間接的に結合することができる。前記コンジュゲートは、検出可能な標識、薬物動態学的修飾部分、精製部分、または細胞毒性部分であってもよい。検出可能な標識の例としては、検出のために、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリスリン、またはテキサスレッド)、酵素基質標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖酸化酵素、またはβ-Dガラクトキシラーゼ)、安定同位体または放射性同位体、発色団部分、ジゴキシン、ビオチン/アビジン、DNA分子または金が挙げられる。特定の実施形態では、前記コンジュゲートは、抗体の半減期の延長を助けるPEGなどの薬物動態学的修飾部分であってもよい。他の適切なポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。特定の実施形態では、前記コンジュゲートは、精製部分、例えば磁気ビーズであってもよい。「細胞毒性部分」は、細胞に有害であるか、または細胞を損傷または死滅させる可能性のある任意の薬剤であり得る。細胞毒性部分の例としては、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エリスリン、マイトマイシン、エトプシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、l-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンおよびそれらの類似体、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-メルカプトグアニン、シタラビン、5フルオロウラシルダカルバ)、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、チオテパクロランブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミンプラチナ(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン系抗生物質(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)およびアドリアマイシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアンピシリン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含むが、これらに限定されない。
【0125】
ポリヌクレオチドおよび組換え法
当該技術分野で公知の遺伝工学技術を用いて、表1のアミノ酸配列を対応するDNAコード配列に変換することができる。遺伝子コードの縮退性のため、変換されたDNA配列は完全に一致し得るが、コードされたタンパク質配列は不変のままである。
【0126】
当該技術分野で公知の組換え技術を用いて、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片(例えば、表1に示す配列を含む)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、クローニング(DNAの増幅)または遺伝子発現のために宿主細胞に導入することができる。別の実施形態では、前記抗体は、当該技術分野で公知の相同組換えの方法によって作製することができる。前記モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の方法(例えば、前記抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブを使用することができる)によって単離および配列決定することができる。複数のベクターから選択可能である。ベクター成分は、典型的には、限定されないが、シグナル配列、複製開始点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサー配列、プロモーター(例えば、SV40、CMV、EF-1a)、および転写終結配列の二種類以上を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、前記ベクター系は、哺乳動物、細菌、酵母系などを含み、かつ限定されないが、プラスミドpALTER、pBAD、pcDNA、pCal、pL、pELpGEMEX、pGEX、pCLpCMV、pEGFP、pEGFT、pSV2、pFUSE、pVITRO、pVIVO、pMAL、pMONO、pSELECT、pUNO、pDUO、Psg5L、pBABE、pWPXL、pBI、p15TV-L、pPro18、pTD、pRS420、pLexA、pACT2などの実験室から入手可能なまたは市販されている他のベクターを含む。適切なベクターは、プラスミドまたはウイルスベクター(例えば、複製欠損型レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含むことができる。
【0128】
前記抗体およびその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを、クローニングまたは遺伝子発現のために宿主細胞に導入することができる。前記ベクター中のDNAをクローニングまたは発現するために本発明において有用な宿主細胞は、原核細胞、酵母、または上記の高級真核細胞である。本発明での使用に適した原核細胞には、例えば、大腸菌、腸内細菌属、エルビニア属、クレブシエラ属、プロテウス属、ネズミチフス菌などのサルモネラ属、セラチア・マルセッセンスなどのセラチア属、および赤痢菌属、ならびに枯草菌やバチルスリケニフォルミスなどのバチルス属、緑ペプチドバクテリウムやストレプトマイセスなどのシュードモナスなどの腸内細菌科が挙げられる、グラム陰性菌やグラム陽性菌などの真細菌が含まれる。
【0129】
原核細胞以外にも、糸状菌や酵母などの真核微生物も、宿主細胞における抗OX40抗体をコードするクローニングまたは発現ベクターとして用いることができる。サッカロミセス酵母、またはパン酵母は、最も一般的に使用される下等真核宿主微生物である。しかし、多くの他の属、種および株はより一般的に使用され、本発明において有用であり、例えば、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス属乳酵母、クルイベロマイセス・フラジリス(ATCC12,424)、クルイベロマイセス・ブルガリクス(ATCC16,045)、クルイベロマイセス・ウィルソニー(ATCC24,178)、クルイベロマイセス・セレビシエ(ATCC56,500)、クルイベロマイセス・ドロソフィラルム(ATCC36,906)、クルイベロマイセス・サーモトレランスおよびクルイベロマイセス・マルシアヌス:ヤロウィア・リポリティカ(EP402,226)などのクルイベロマイセス属宿主、ピキア・パストリス(EP183,070)、カンジダ:トリコデルマ・レセイ(EP244,234)、アカパンカビ、シュワニオミセス・オキシデンタリスなどのシュワニオミセス・オキシデンタリス、およびニューロスポラ、ペニシリウム、クルブラリアおよびアスペルギルス・ニデュランスやアスペルギルス・ニジェールなどのアスペルギルスなどの糸状菌が挙げられる。
【0130】
グリコシル化抗体またはその抗原結合断片の発現に適した本発明で提供される宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎細胞の例には、植物細胞および昆虫細胞が含まれる。バキュロウイルス株(baculoviral strains)およびその変異体ならびに対応する許可昆虫宿主細胞(permissive insect host cells)は、例えば、ツマジロクサヨトウ(毛虫)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、およびカイコなどの宿主に多く見られる。トランスフェクションに使用される種々のウイルス株は、例えば、本発明で使用され、特にツマジロクサヨトウ細胞をトランスフェクションするために使用される、アウトグラファカリフォルニカ核多角体病ウイルスおよびカイコ核多角体病ウイルスのBm-5変異体などが一般的に入手可能である。綿花、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養も宿主として使用することができる。
【0131】
しかし、最も興味深いのは脊椎細胞であり、脊椎細胞の培養(組織培養)は一般的な操作となっている。有用な哺乳動物宿主細胞の例は、SV40により形質転換されたサル腎細胞CV1系(COS-7,ATCC CRL 1651)、ヒト胎芽腎細胞系(293または懸濁培養でのサブクローニングされた293細胞,Graham et al.,].Gen Virol.36:59(1977))、赤ん坊ハムスター腎細胞(B血,ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO,Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))、マウスセルトリ細胞(TM4,Ma ther,Biol.Reprod.23:243-251(1980))、サル腎細胞(CV1ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA,ATCC CCL2)、イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL 34)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL75)、ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065)、マウス乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51)、TRI細胞(Ma ther等,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982))、MRC 5細胞、FS4細胞、およびヒトヘパトーム系(HepG2)である。ある好ましい実施形態では、前記宿主細胞は293F細胞である。
【0132】
上記の抗OX40抗体を産生する発現またはクローニングベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、修飾されると、プロモーターの誘導、形質転換細胞の選択、または目的配列をコードする遺伝子の増幅に適した通常の栄養培地で培養する。
【0133】
前記抗体またはその抗原結合断片を産生するための本発明の宿主細胞は、当該技術分野で公知の種々の培地で培養することができる。前記培地はまた、当該技術分野で公知の適切な濃度の任意の他の必要な添加剤を含んでもよい。前記培地の条件、例えば、温度、pHなどの類似の条件は、発現に使用される宿主細胞の選択にこれまでに用いられてきた条件であり、当業者には周知である。
【0134】
組換え技術を使用する場合、前記抗体は、細胞内、壁膜空間で産生されるか、または培地中に直接分泌され得る。前記抗体が細胞内で産生される場合、例えば、遠心分離または超音波の方法によって、宿主細胞を最初に除去するか、または断片の粒子の残渣を分裂する。Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992)は、大腸菌壁膜空間に分泌される抗体を単離する方法を記載している。簡潔に言えば、酢酸ウラン(pH3.5)、EDTA、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で約30分間以上細胞ペースト(cell paste)を解凍する。遠心分離により細胞破片を除去する。前記抗体が培地中に分泌される場合、一般的にはまず、市販のタンパク質濃度フィルター、例えば、lAmiconまたはMillipore Pellicon ultrafiltration unitを使用して、この発現系の上清液を濃縮する。タンパク質分解を抑制するためのPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤、および偶発的な汚染物質の成長を防止するための抗生物質を、上記のいずれの工程においても添加することができる。
【0135】
前記細胞から得られた抗体は、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、DEAE-セルロースイオン交換カラム、硫酸アンモニウム沈殿、塩析、およびアフィニティークロマトグラフィーなどの精製方法により精製することができ、ここで、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。前記抗体の種類および前記抗体中の任意の免疫グロブリンのFcドメインの存在は、アフィニティーリガンドとしてタンパク質Aが適切であるかどうかを決定する。タンパク質Aを用いて、ヒトγ1、γ2またはγ4の重鎖に基づく抗体を精製することができる(Lindmark et al.,J.lmmunol.Meth.62:卜13(1983))。タンパク質Gは、全てのマウス由来異性体およびヒトγ3に適している(Guss et al.,EMBO J.5:1567 1575(1986))。アガロースは最も一般的なアフィニティーリガンド付着基質であるが、他の基質を用いてもよい。機械的に安定な基質、例えば、制御可能な多孔性ガラスまたはポリ(スチレン)ベンゼンは、アガロースと比較して、より速い流速およびより短い処理時間を達成することができる。該抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX.TM樹脂を用いて精製することができる(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)。他のタンパク質精製技術、例えば、イオン交換カラム中の分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカゲルクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂に基づくヘパリンアガロースゲルクロマトグラフィー(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトグラフィーフォーカス、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿も、所望により得られた抗体から決定することができる。
【0136】
任意の予備精製工程の後、目的の抗体および不純物を含む混合物は、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーの方法で処理され得、約2.5~4.5のpHの溶出緩衝液で、好ましくは低塩濃度(例えば、約0~0.25Mの塩濃度)で行われる。
【0137】
キット
本願は、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、前記キットは、生物学的試料中のOX40の存在またはレベルを検出するために使用される。前記生物学的試料は、細胞または組織を含むことができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、前記キットは、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗OX40抗体およびその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、前記キットは、標識されていない抗OX40抗体およびその抗原結合断片を含み、さらに、標識されていない抗OX40抗体およびその抗原結合断片に結合して標識することができる二次抗体を含む。前記キットは、使用説明書と、キット内の各構成要素を分離するパッケージとをさらに含むことができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片は、サンドイッチアッセイ、例えばELISAまたは免疫クロマトグラフィーアッセイのために基材または器具に連結される。好適な基材または器具は、例えば、マイクロウェルプレートおよび試験紙であり得る。
【0140】
医薬組成物および治療方法
本願はさらに、前記抗OX40抗体およびその抗原結合断片を含む医薬組成物および1つまたは複数の薬学的に許容される担体を提供する。
【0141】
本願に開示される医薬組成物に使用される薬学的に許容される担体としては、例えば、薬学的に許容される液体、ゲルまたは固体担体、水相媒体、非水相媒体、抗菌物質、等張物質、緩衝液、酸化防止剤、麻酔剤、懸濁剤/分散剤、キレート剤、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または非毒性補助物質、他の当該技術分野で公知の成分またはそれ以上の組み合わせを含み得る。
【0142】
好適な成分としては、例えば、酸化防止剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、緩衝液、防腐剤、滑沢剤、香味剤、増粘剤、着色剤、乳化剤、または糖およびシクロデキストリンなどの安定剤が挙げられる。好適な酸化防止剤としては、例えば、メチオニン、アスコルビン酸、EDTA、チオ硫酸ナトリウム、白金、カタラーゼ、クエン酸、システイン、メルカプトグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトソルビトール、ブチルメチルアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよび/または没食子酸プロピルが挙げられる。本発明に開示されるように、本発明に開示される抗体またはその抗原結合断片を含む組成物中にメチオニンなどの1種または複数種の酸化防止剤を含めることにより、前記抗体またはその抗原結合断片の酸化を低減することができる。酸化効果の減少は、結合親和性の低下を防止または減少させ、それによって抗体の安定性を向上させ、貯蔵寿命を延長させることができる。したがって、特定の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の前記抗体またはその抗原結合断片、ならびにメチオニンなどの1種または複数種の酸化防止剤を含む組成物を提供する。本発明は、本発明で提供される抗体またはその抗原結合断片を、メチオニンなどの1種または複数種の酸化防止剤と混合することにより、前記抗体またはその抗原結合断片の酸化を防止し、その貯蔵寿命の延長および/またはその活性の向上を達成できる、様々な方法をさらに提供する。
【0143】
さらに、薬学的に許容される担体としては、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張ブドウ糖注射液、滅菌水注射液、またはブドウ糖および乳酸リンガー注射液などの水相媒体、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、またはピーナッツ油などの非水相媒体、細菌抑制または真菌抑制濃度での抗菌物質、塩化ナトリウムまたはブドウ糖などの等張剤、リン酸塩またはクエン酸塩緩衝液などの緩衝液、硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤、塩酸プロカインなどの局所麻酔剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンなどの懸濁剤および分散剤、ポリソルベート80(tween-80)などの乳化剤、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)またはEGTA(エチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)四酢酸)、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸などのキレート剤が挙げられる。担体としての抗菌剤は、フェノール類またはクレゾール、水銀製剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸エステル、チオメルサール、クロルフェノキシアンモニウム、およびクロルフェネチルアンモニウムを含む複数回用量容器中の医薬組成物に添加することができる。好適な賦形剤としては、例えば、水、塩、ブドウ糖、グリセロール、またはエタノールが挙げられる。好適な非毒性補助物質としては、例えば、乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、可溶化剤、または酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレイン酸エステル、またはシクロデキストリンなどが挙げられる。
【0144】
前記医薬組成物は、液剤、懸濁液、乳剤、丸剤、カプセル剤、錠剤、持続放出製剤または粉末であってもよい。経口製剤は、薬物グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準担体を含むことができる。
【0145】
特定の実施形態では、前記医薬組成物は、注射可能な組成物として製剤化される。注射可能な医薬組成物は、任意の従来の形態、例えば、液体溶媒、懸濁剤、乳化剤、または液体溶媒、懸濁剤または乳化剤の生成に適した固体形態で製造することができる。注射用製剤には、既製の無菌および/または無発熱物質の溶液、凍結乾燥粉末などの使用前に溶媒と結合する凍結乾燥可溶性物質、皮下錠剤、注射用の既製の無菌懸濁剤、使用前に媒体と結合する無菌乾燥不溶性製品、および無菌および/または無発熱物質のエマルジョンを含んでもよい。溶媒は、水相または非水相であってもよい。
【0146】
特定の実施形態では、単位用量の注射用製剤は、アンプル、チューブ、または針を備えたシリンジに包装される。全ての注射投与製剤は、無菌かつ無発熱物質のものであることが当該技術分野で知られている。
【0147】
特定の実施形態では、無菌凍結乾燥粉末は、本願に開示される抗体またはその抗原結合断片を適切な溶媒に溶解することによって調製され得る。前記溶媒は、粉末または粉末から製造される組換え溶液の安定性を改善し、または粉末または組換え溶液を改善することができる他の薬理学的成分を含むことができる。好適な賦形剤としては、水、ブドウ糖、トリソルビトール、フルクトース、トウモロコシシロップ、キシリトール、グリセロール、ブドウ糖、黒糖、または他の好適な物質が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、クエン酸緩衝液、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム緩衝液、または当業者に公知の他の緩衝液などの緩衝液を含むことができ、一実施形態では、緩衝液のpHは中性である。当該技術分野で公知の標準条件下で、前記溶液を次の濾過除菌に供し、次いで凍結乾燥して所望の製剤を調製する。一実施形態では、得られた溶媒は、バイアルに分注されて凍結乾燥される。各バイアルは、1回または複数回の用量の前記抗OX40抗体またはその抗原結合断片またはその組成物を収容することができる。各バイアルへの充填量は、サンプリングの正確さおよび投与の正確さを保証するために、1回の用量に必要な量または複数回の用量に必要な量(例えば、10%過剰量)よりわずかに多くてもよい。凍結乾燥粉末は、適当な条件下、例えば約4℃から室温の範囲で保存することができる。
【0148】
凍結乾燥粉末を注射用水で再溶解して、注射投与用製剤が得られる。一実施形態では、凍結乾燥粉末は、無菌かつ無発熱物質の水または他の好適な液体担体に添加して再溶解させることができる。精確な量は選択された療法によって決定され、経験値によって決めることができる。
【0149】
また、本願に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な量を、それを必要とする被験者に投与することにより、OX40に関連する状態または障害を治療または予防することを含む治療方法が提供される。別の態様では、本願に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な量を、それを必要とする被験者に投与することを含む、上方制御された免疫応答から利益を得る被験者の状態を治療する方法も提供される。
【0150】
本願において提供される抗OX40抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な用量は、当該技術分野で公知の様々な因子、例えば、体重、年齢、過去の病歴、現用治療、対象の健康状態および交差感染の可能性、アレルギー、過敏性および副作用、ならびに投与経路および腫瘍の進行の程度に依存する。当業者(例えば、医師または獣医)は、これらまたは他の条件または要件に応じて、用量を比例的に減少または増加させることができる。
【0151】
特定の実施形態では、本発明により提供される抗OX40抗体またはその抗原結合断片は、治療上有効な用量の約0.01mg/kg~約100mg/kgの間で投与され得る。特定の実施形態では、前記抗OX40抗体またはその抗原結合断片は、約50mg/kg以下の用量で投与され、特定の実施形態では、投与量は、10mg/kg以下、5mg/kg以下、1mg/kg以下、0.5mg/kg以下、または0.1mg/kg以下である。ある特定の用量は、例えば、1日に1回、1日に2回以上、月に2回以上、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回、または2か月以上に1回の間隔で投与することができる。特定の実施形態では、投与量は、治療の進行に応じて変化し得る。例えば、特定の実施形態では、最初の投与量は、その後の投与量よりも多くてもよい。特定の実施形態では、投与量は、治療の進行中に、投与対象の反応に応じて調節される。
【0152】
投与レジメンは、最適な応答(例えば、治療応答)を達成するように調節することができる。例えば、単回投与または2つの期間にわたって複数の分割用量で投与することができる。
【0153】
本発明に開示される抗体および抗原結合断片は、当該技術分野で公知の投与手段、例えば、注射投与(例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内点滴、筋肉内注射または皮内注射を含む静脈内注射)、または非注射投与(例えば、経口投与、鼻腔投与、舌下投与、直腸投与または外用投与)により投与することができる。
【0154】
OX40に関連する状態および障害は、免疫関連疾患または障害であり得る。特定の実施形態では、前記OX40に関連する状態および障害は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫(mycoses fungoids)、メルケル細胞癌などの腫瘍および癌、古典的ホジキンリンパ腫(CHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞/組織球に富むB細胞リンパ腫、EBV陽性と陰性PTLDとEBV関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、形質芽球性リンパ腫、節外NK/T細胞リンパ腫、鼻咽頭癌とHHV8関連原発性滲出性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、原発性CNSリンパ腫、脊軸腫瘍、脳幹神経膠腫などの中枢神経系(CNS)腫瘍などの他の悪性血液疾患を含む。特定の実施形態では、前記腫瘍および癌は転移性であり、特にOX40を発現する転移性腫瘍である。特定の実施形態では、前記OX40に関連する状態および障害は、慢性ウイルス感染症、例えば、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペスウイルス、Epstein-Barrウイルス、エイズウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスI型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルスのウイルス感染、カポジ肉腫関連のヘルペスウイルス流行病、トルクテノウイルス(Torquetenovirus)、JCウイルスやBKウイルスなどを含む。
【0155】
使用方法
本願はさらに、前記抗OX40抗体またはその抗原結合断片を使用する方法を提供する。
【0156】
いくつかの実施形態では、本願は、本願に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な量を投与することを含む、OX40に関連する状態または障害を個体で治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記個体は、OX40アゴニストに応答し得る障害または状態を有すると同定される。
【0157】
標的生物組織におけるOX40の存在およびレベルは、前記生物学的試料源の個体がOX40アゴニストに応答する可能性があるかどうかを示すことができる。OX40の存在またはレベルは、複数の方法を使用して、前記個体からの被測定生物学的試料において決定することができる。例えば、前記被測定生物学的試料は、発現されたOX40タンパク質に結合し、発現されたOX40タンパク質を検出する抗OX40抗体またはその抗原結合断片に曝露することができる。いくつかの実施形態では、前記被測定試料は、癌細胞または組織、または腫瘍に入る免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態では、OX40の存在またはレベルは、前記被測定生物学的試料中の応答の可能性を上方制御する。本願で使用される「上方制御」なる用語は、同じ抗体を用いて検出された参照試料中のOX40タンパク質レベルと比較して、本願に記載の抗体またはその抗原結合断片を使用して被測定試料中で検出されるOX40タンパク質レベルの合計の増加は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%またはそれ以上であることを意味する。前記参照試料は、健康なまたは疾患のない個体から得られた対照試料であってもよいし、被測定試料源の個体から得られた健康なまたは疾患のない試料であってもよい。例えば、前記参照試料は、被測定試料(例えば、腫瘍)の近くまたは隣接する無疾患試料であってもよい。
【0158】
本発明に開示される抗体および抗原結合断片は、単独で、または1つまたは複数の他の治療手段または物質と組み合わせて、投与することができる。例えば、本発明に開示される抗体および抗原結合断片は、化学療法、放射線療法、癌治療手術(例えば、腫瘍切除術)、1つまたは複数の抗嘔吐剤または他の化学療法による合併症に対する治療、または、癌のための任意の他の治療物質、またはOX40によって媒介される任意の障害のための治療物質と併用することができる。このような特定の実施形態では、本発明に開示される抗体および抗原結合断片は、1つまたは複数の治療物質と併用される場合、前記1つまたは複数の治療物質と同時に投与されてもよく、このような特定の実施形態では、前記抗体および抗原結合断片は、同じ医薬組成物の一部として同時に投与することができる。しかし、他の治療物質と「併用」される抗体および抗原結合体は、同時にまたは当該治療物質と同じ組成物中で投与される必要はない。本発明における「併用」とは、他の治療物質の前または後に投与される抗体および抗原結合体も、当該治療物質と「併用」されると考えられることを意味する。前記抗体またはその抗原結合断片が第2の物質と異なる投与手段で投与されてもよい。可能な場合には、本発明に開示される抗体またはその抗原結合断片と併用される他の治療物質は、当該他の治療物質の製品説明書の方法を参照して投与することができ、または外科医のデスクリファレンス2003(Physicians’Desk Reference,57th Ed;Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月))を参照するか、または当該技術分野で公知の他の方法を参照する。
【0159】
特定の実施形態では、前記治療物質は、癌に対する免疫応答を誘導または増強することができる。例えば、腫瘍ワクチンを使用して、特定の腫瘍または癌に対する免疫応答を誘導することができる。サイトカイン治療は、腫瘍抗原の免疫系への提示を高めるために使用することができる。サイトカイン治療の例としては、インターフェロンα、β、およびγなどのインターフェロン、マクロファージCSF、顆粒球マクロファージCSF、および顆粒球CSFなどのコロニー刺激因子、1L-L、1L-1a、1L-2、1L-3、1L-4、1L-5、1L-6、1L-7、1L-8、1L-9、1L-10、1L-llおよび1L-12などのインターロイキン、TNF-αおよびTNF-βなどの腫瘍壊死因子を含むが、これらに限定されない。PD-L1/PD-1抗体、TGF-β抑制剤、IL-10抑制剤、およびFasリガンド抑制剤などの免疫抑制標的を不活性化する薬剤を使用することもできる。別の群の薬剤は、腫瘍または癌細胞に対する免疫応答を活性化するもの、例えば、T細胞活性化を増強するもの(例えば、CTLA-4、ICOSなどのT細胞共刺激分子アゴニスト)、ならびに樹状細胞機能と抗原提示を促進するものを含む。
【0160】
本願はさらに、本願に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合断片を用いて、前記個体からの被測定生物学的試料中のOX40の存在またはレベルを決定することを含む、OX40アゴニストで治療された被験者における治療応答または疾患進行をモニタリングする方法を提供する。特定の実施形態では、前記方法は、被測定生物学的試料中のOX40レベルを、以前に同一の個体から得られた比較可能な試料中のOX40レベルと比較することをさらに含み、ここで、OX40レベルの増加が、被測定生物学的試料において減少または減速または停止する場合、積極的な治療応答または制御された疾患進行を示す。前記比較可能な試料は、被測定試料と同じタイプの試料であってもよいが、治療前または治療の初期段階に同じ個体から得られる。
【実施例
【0161】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下に記載される全ての特定の組成物、材料および方法は、全体的または部分的に、本発明の範囲内である。これらの特定の組成物、材料および方法は、本発明を限定するものではなく、特定の実施形態を説明するために本発明の範囲内である。当業者は、創造性を追加することなく、かつ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の組成物、材料および方法を開発することができる。本発明の方法に加えられた様々な変更は、本発明の範囲内に含まれ得ることを理解されたい。本発明者らは、このような変更を本発明の範囲に包含することを意図している。
【0162】
実施例1:抗ヒトOX40活性化モノクローナル抗体の獲得
本願発明者らは、マウスを免疫し、ハイブリドーマ細胞融合を行うために、OX40を過剰発現するCHO細胞株を構築した。抗原抗体結合実験と細胞機能スクリーニングにより、強いELISA結合活性とOX40活性化機能を有する一連のマウス由来抗体が得られた。配列決定により、各抗体の可変領域VHおよびVLの配列が得られ、それに基づいてヒト-マウスキメラ抗体を設計、発現し、前記重鎖相補性決定領域は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、およびSEQ ID NO:11からなる群から選択される1つまたは複数の配列からなる。前記軽鎖相補性決定領域は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、およびSEQ ID NO:14からなる群から選択される1つまたは複数の配列からなる。
【0163】
より好ましくは、前記重鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2および/またはSEQ ID NO:3であるか、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7および/またはSEQ ID NO:3であるか、あるいは、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10および/またはSEQ ID NO:11である。前記軽鎖相補性決定領域が、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:6であるか、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:8であるか、あるいは、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13および/またはSEQ ID NO:14である。
【0164】
本発明の好適な実施例では、重鎖相補性決定領域および軽鎖相補性決定領域はそれぞれ表1に示され、
a.重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6を含むか、
b.重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7、およびSEQ ID NO: 3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6を含むか、
c.重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:8を含むか、
d.重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7、およびSEQ ID NO:3を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:8を含むか、あるいは、
重鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、およびSEQ ID NO:11を含み、軽鎖相補性決定領域がSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、およびSEQ ID NO:14を含む。
【0165】
具体的には、本実施例1の発明者らは、マウスを免疫し、SP2/0-AG14細胞株とハイブリドーマ細胞融合を行うために、OX40を過剰発現するCHO細胞株を構築した。抗原抗体結合実験と細胞機能スクリーニングにより、強いELISA結合活性とOX40活性化機能を有する一連のマウス由来抗体が得られた。配列決定により、各抗体の可変領域VHおよびVLの配列が得られ、それに基づいてMT01-L1およびMT01-L2を含むヒト-マウスキメラ抗体を設計、発現した。
【0166】
抗体の安定性を増強し、可能性のある酸化および異性化が抗体の純度および活性に及ぼす影響を低減するために、抗体重鎖および軽鎖V領域の潜在的な不安定特定部位に対して突然変異を行った。例えば、MT01-L1の重鎖第57アミノ酸GlycinをAlanineに突然変異させ、MT01-L1の軽鎖第96位アミノ酸Tryptophanをphenylalanineに突然変異させた。得られた突然変異抗体は、MT01-L1(M1)、MT01-L1(M2)、MT01-L1(M1/M2)であった。
【0167】
抗体のADCC、CDC活性を除去するために、抗体重鎖のサブタイプをヒトIgG1からヒトIgG2サブタイプに置換し、得られたキメラ抗体はMT01-L1(G2)であった。
【0168】
MT01-L1およびMT01-L1(G2)の重鎖および軽鎖可変領域をヒト化した後、得られたヒト化抗体はMT01-C1およびMT01-C1(G2)であった。
【0169】
実施例2:抗体の作製
融合タンパク質をコードする重鎖および軽鎖のcDNA配列を、哺乳動物細胞発現ベクターpcDNA3.4にそれぞれクローニングした。重鎖発現プラスミドと軽鎖発現プラスミドを2:1のモル比でLipofectamine2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を用いてHEK293細胞にトランスフェクションし、37℃、5%二酸化炭素条件下で7日間培養した。培養液上清を採取し、上清中の抗体をProteinAアフィニティークロマトグラフィーで精製した。精製した抗体をPBS溶液で透析し、凍結乾燥して濃縮した後、-20℃で保存した。
【0170】
実施例3:ELISA結合実験
濃度1μg/mLのタンパク質溶液を、96ウェル高親和性プレートで100μL/wellでコーティングし、4℃で一晩振盪した。翌日、PBST 300μL(Tween20:0.5%。)で3回洗浄した後、100μL/wellの5%BSA/PBSで2時間ブロッキングし、室温で振盪した。PBST 300μLで3回洗浄した。試料の勾配希釈溶液をPBSで調製した。96ウェルプレートを100μL/wellで加え、室温で1時間振盪した。PBST 300μLで3回洗浄した。二次抗体goat anti-human IgG HRP溶液を調製し、96ウェルプレートを100μL/wellで加え、室温で1時間振盪した。PBST 300μLで4回洗浄した。100μL/well TMBを加え、20min発色させた。100μL/well 0.6N H2SO4を加えて発色を停止し、OD450nmを検出した。
【0171】
検出したところ、結果を図1に示すように、ヒト-マウスキメラ抗体MT01-L1およびMT01-L2のELISA結合EC50は、それぞれ290.7ng/mLおよび208.5ng/mLであった。
【0172】
実施例4:CHO-hOX40との結合
OX40抗体勾配をPBSで設定し、最終濃度の10×作動液を調製した。CHO-hOX40細胞を収集し、PBSを1回洗浄した後にカウントし、2*10^6/ml細胞懸濁液に希釈した。それぞれ10μlのOX40抗体作動液を100μlの細胞懸濁液に添加し、4℃で30min遮光インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、二次抗体を添加し、4℃で30min遮光インキュベートし、PBSで1回洗浄した後、400μlのFACS bufferで懸濁し、機上検出した。図2に示すように、その結果、MT01-L1およびMT01-L2はヒトOX40と結合しており、そのEC50がそれぞれ1.22μg/mLおよび2.42μg/mLであることが示された。
【0173】
同様に、本願発明者らは、マウスOX40を発現したCHO細胞への抗体の結合を検出したが、図3の結合実験結果を参照すると、MT01-L1もMT01-L2もマウスOX40に結合していないことが判明した。
【0174】
実施例5:OX40シグナル伝達経路活性化実験
本願発明者らは、OX40活性化抗体の機能を検出する細胞実験系を構築した。具体的には、本願発明者らは、Jurkat-OX40-NFκB-luciferase reporter安定形質転換細胞株を構築し、OX40活性化抗体を、当該安定形質転換細胞株およびFcRを過剰発現したHEK293細胞と混合すると、OX40抗体は、NFκB-luciferaseレポーター遺伝子の発現を活性化することができた。
【0175】
OX40抗体勾配をPBSで設定し、最終濃度の2×作動液を調製し、氷上で操作した。Jurkat-NFkB-luc-OX40細胞およびFcRを過剰発現したHEK293細胞を収集し、遠心分離後、培地に再懸濁した。384ウェルプレートに、OX40 Abおよび適量の細胞懸濁液を添加し、5時間インキュベートした後、One-Glo(Promega)検出試薬を添加し、均一に混合した後、Pherastarで蛍光シグナルを検出した。
【0176】
図4(a)に示すように、上記の実験系において、MT01-L1、MT01-L1(G2)、MT01-L2、MT01-L2(G2)がNFκB-luciferaseレポーター遺伝子を活性化したEC50が、それぞれ39.1、14.9、84.1および117.9ng/mLであることが検出された。
【0177】
図4(b)に示すように、上記の実験系において、MT01-L1、MT01-L1(M1)、MT01-L1(M2)、MT01-L1(M1/M2)がNFκB-luciferaseレポーター遺伝子を活性化するEC50が、それぞれ57.35、64.52、59.95および127.9ng/mLであることが検出された。
【0178】
実施例6:OX-40Lとの競合実験
OX40LをPBSで希釈し、最終濃度の10×作動液を調製し、PBSでOX40を配置して抗体勾配を精製し、最終濃度の2×作動液を調製し、氷上で操作した。Jurkat-NFkB-luc-OX40細胞を収集し、遠心分離後、培地に再懸濁し、細胞懸濁液とした。384ウェルプレートに、OX40Ab、細胞懸濁液およびOX40Lを加えた。37℃で、5%CO2インキュベーター中で5時間インキュベートした後、One-Glo(Promega)試薬を添加し、均一に混合した後、Pherastarで蛍光シグナルを検出した。図5で述べたように、結果は、OX40Lで誘導したJurkat細胞NFkBシグナル伝達経路活性化に対するMT01-L1およびMT01-L2の抑制IC50がそれぞれ0.686μg/mLおよび1.59μg/mLであることを示した。
【0179】
実施例7:ADCC実験
CHO-OX40-lucを96ウェルプレーンプレートに敷き、一晩培養した。翌日、OX40Ab勾配希釈液を1640培地で調製し、96ウェルプレーンプレートに添加した。ヒトPBMCを加えてそれと共に48hインキュベートした後、遠心分離により上清を採取し、Cyto-Tox Gloキットで検出した。図6に示すように、結果は、キメラ抗体MT01-L1およびMT01-L2の両方が、1μg/mLを超える濃度で有意なADCC作用を有することを示した。
【0180】
実施例8:OX40抗体による初代Th細胞増殖の促進
健常ボランティアの血液からCD4+細胞を単離し、PHA/IL-2を含有する1640完全培地で2日間培養して使用に備える。OKT3(0.1μg/ウェル)および勾配希釈後のOX40抗体または対照IgGを高親和性96ウェル丸底プレートにコーティングした。翌日、ウェルプレートをPBSで2回洗浄し、前処理したCD4+細胞を1ウェルあたり50000で抗体を予めコーティングした96ウェルプレートに加え、7日間培養を続けた後、CCK8キットで細胞増殖状況を検出した。図7に示すように、OKT3抗体が存在する場合、OX40抗体は、用量依存的にCD4 Th細胞の増殖を促進することが実験結果から示された。実験では最高濃度1500ng/mLのOX40抗体のみを加えた場合のCD4+細胞の生存率を同時に測定し、これを基にデータを標準化処理した。
【0181】
実施例9:キメラ抗体動物薬効実験
マウス結腸癌細胞を、OX40ヒト化マウス(OX40細胞外部分をヒトOX40細胞外部分配列に置換した)の皮下に、106細胞/匹の量で接種した。腫瘍が約100mm3に成長した後、OX40抗体またはIgG1対照(10mg/kg)を3日に1回、合計4回静脈内投与した。図8(a)および図8(b)に示すように、MT01-L1は、投与開始13日間後に、対照群と比較して極めて有意な薬効を示した。同じ投与方法では、MT01-L2の薬効は統計学的有意差を達成しなかったが、明らかな薬効傾向を示した。
【0182】
実施例10:ヒト化抗体活性
キメラ抗体に対してCDR graftingおよびアミノ酸復帰突然変異を行うことにより、ヒト化抗体MT01-C1およびMT01-C1(G2)を得た。
【0183】
ヒト化抗体とヒトOX抗原タンパク質とのインビトロ結合実験を、実施例3に記載の方法に従って行った。結果は、ヒト化抗体とヒトOX40タンパク質のELISA結合EC50がそれぞれ0.345μg/mLおよび0.390μg/mLであることを示した。
【0184】
ヒト化抗体のインビトロ活性実験を、実施例5に記載の方法に従って行った。結果は、Jurkat-OX40-NFκB-luciferase reporter安定形質転換細胞株におけるMT01-C1およびMT01-C1(G2)の活性化EC50がそれぞれ0.028および0.0434μg/mLであることを示した。(図9b)
【0185】
ヒト化抗体の動物薬効実験を実施例8の方法に従って行ったが、抗体投与方法は15mg/kgに変更し、単回投与した。その結果、投与17日間後、MT01-C1およびMT01-C1(G2)の腫瘍体積に対する抑制率はそれぞれ79%および66%に達した(図9c)。
【0186】
実施例11:ヒト化抗体マウスおよびカニクイザルPKの性質
マウスPK実験では、C56BL6マウス、雌、6匹/群に各抗体を5mg/kgの用量で静脈内注射した。投与後1h、2h、6h、24h、48h、72h、96h、192h、312h、各時点で100μLの血液試料を1群あたり3匹のマウスから採取し、4度で2~3h静置した後、5000rpmで10min遠心分離し、血清を採取し、-80℃で保存し、ELISA検出に用いた。
【0187】
血清中の抗体濃度を検出するために、高親和性マイクロウェルプレートをヒトOX40抗原でコーティングした。マウス血清試料を希釈緩衝液1:100で希釈した後、ウェルに添加し、C57BL6マウス血清中のMT01-C1およびMT01-C1(G2)をマイクロウェルプレートでコーティングされたヒトOX40-6hisに結合させた。未結合薬物は、プレート洗浄工程で洗い流された。さらに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を標識したロバ抗ヒトIgGを加えて抗原抗体複合体と結合させ、洗浄後にHRP酵素の基質(TMB)を加えて色反応を起こし、色の濃淡は、被測定抗体の濃度に比例する。1M H2SO4で反応を停止した後、OD値を酵素マーカーで読み取り、検出波長が450nmで、参照波長が620nmであった。生物学的試料中の被測定抗体の濃度を、OD450nm読み取り値と試料標準曲線とを比較することによって計算した。
【0188】
その結果、MT01-C1およびMT01-C1(G2)のCmaxはそれぞれ、125.7μg/mLおよび107.2μg/mLであり、t1/2はそれぞれ、265hsおよび321hsであった。(図10a)
【0189】
カニクイザルのPK実験では、各抗体を1.5mg/kgの用量で、オスのカニクイザル1群に3匹ずつ静脈内注射した。動物群に投与前48h、投与後15min、30min、1、2、6、24、48、72、96、168、240、336、504h、血液試料を各時点で100μlずつ採取した。4度で2~3h静置した後、5000rpmで10min遠心分離し、血清を採取し、-80℃で保存し、ELISA検出に用いた。
【0190】
血清中の抗体濃度を検出するために、高親和性マイクロウェルプレートをヒトOX40抗原でコーティングした。カニクイザル血清試料を希釈緩衝液1:100で希釈した後、ウェルに添加し、カニクイザル血清中のMT01-C1およびMT01-C1(G2)をマイクロウェルプレートでコーティングされたヒトOX40-6hisと結合させ、未結合薬物は、プレート洗浄工程で洗い流される。さらに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を標識したロバ抗ヒトIgGを加えて抗原抗体複合体と結合させ、洗浄後にHRP酵素の基質(TMB)を加えて色反応を起こし、色の濃淡は、被測定抗体の濃度に比例する。1M H2SO4で反応を停止した後、OD値を酵素マーカーで読み取り、検出波長が450nmで、参照波長が620nmであった。生物学的試料中の被測定抗体の濃度を、OD450nm読み取り値と試料標準曲線とを比較することによって計算した。
【0191】
検出の結果、カニクイザルの1.5mg/kg静脈内注射後、末端除去項t1/2が121.307±66.853hrであり、Cmaxが42.619±3.464μg/mLであった。(図10b)
【0192】
上記は、本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、本発明の開示する技術的思想および技術的内容を任意の形で均等に置換または変更することが可能であり、いずれも、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の範囲内に属するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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