(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ニキビ緩和及び予防用パッチ
(51)【国際特許分類】
A61K 33/06 20060101AFI20230724BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230724BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230724BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20230724BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230724BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
A61K33/06
A61K8/19
A61K9/00
A61M37/00 500
A61P17/10
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020564559
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 KR2019006068
(87)【国際公開番号】W WO2019225948
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0057629
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0058730
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518358859
【氏名又は名称】ラブンピープル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LABNPEOPLE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】チョ,スンヨン
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0115449(KR,A)
【文献】特開2000-159632(JP,A)
【文献】山本 玲子,表面技術,2011年,Vol.62, No.4,pp.204-210.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/06
A61K 8/19
A61K 9/00
A61M 37/00
A61P 17/10
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示され、皮膚に密着して付着する薄板状のパッチの形態で適用され
、分解過程で発生するOH-イオンによる局所的pHの増加により適用された部位に存在するニキビ原因菌に選択的に作用することにより抗ニキビ菌効果を有する生体分解性金属からな
り、
前記生体分解性金属がマイクロニードルタイプで含まれており、
前記生体分解性金属が不可避的不純物を含む純度95%以上の純Mgである
ことを特徴とするニキビ緩和及び予防用パッチ。
[化学式1]
MgaZnbXc
(式中、a、b及びcは各成分の重量%であって、a+b+c=100重量%であり、
95≦a≦100、0≦b
≦5、0≦c≦
5の範囲の中でaが最も大きく、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPよりなる群から選択される1種以上である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニキビ緩和及び予防用パッチに係り、より詳細には、マグネシウムを主成分として含む生体分解性金属の新規用途に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルは、1998年に米国ジョージア工科大学のプラウスニッツグループで半導体プロセス技術を利用してシリコン素子でマイクロニードルアレイを作って薬物送達への応用可能性を提示したことを始めとして、多くの研究が盛んに行われている。マイクロニードルは、皮膚に挿入するとき、マイクロニードルが曲がったり折れたりすることなく挿入できるように十分に高い物理的強度を維持しなければならないので、それに適した強度及び形状の制御が可能な特性が要求される。このような特性を満足させるために、マイクロニードルの素材としてステンレス鋼(stainless steel)が使用されたが、小さい粒子(particle)が体に残る場合、炎症(inflammation)が発生するという問題点があり、ポリマー(PLA、PGA、生分解性コポリマー)の場合、侵襲(penetration)がなされないという問題点があった。
【0003】
韓国公開特許第2016-0058261号は、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド-グリコリド共重合体(PLGA)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチンなどを素材とした水溶性マイクロニードル及びその製造方法を開示しており、韓国登録特許第1622388号は、シリコンマイクロニードルスタンプ及びその製造方法を開示しており、韓国公開特許第2015-0121053号は、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、金属(ステンレス鋼、チタン、ニッケル、モリブデン、クロム、コバルトなど)、及び合成又は天然の樹脂を素材にして日本脳炎ワクチン抗原をコートしたマイクロニードルを開示した。
【0004】
上述したように、これまでのマイクロニードルは、経口投与による薬物送達方式又は注射による薬物送達方式を代替することができる代案的薬物投与手段であって、皮膚に分布した痛覚神経を刺激せずに表皮を透過して薬物を送達することができる機器、すなわち一種の薬物送達体として使用されてきた。
【0005】
一方、本出願人によって既に出願されて公開された韓国公開特許第2017-0115449号には、生体分解性金属を用いたマイクロニードル及びこれを含むパッチが開示されているが、ここでは、薬物送達体としての有用性と共に、これがミネラルとして作用して自体的にしわの改善にも効果を発現することを確認したことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の薬物送達手段として開発されたマイクロニードルの主成分である生体分解性金属の新規用途を提供しようとする。
【0007】
本発明は、特に、別途の薬物を含まなくても、マイクロニードルの主成分として使用された生体分解性金属自体がニキビ原因菌に対する抗菌活性を発現することを確認することにより、特定の生体分解性金属のニキビ緩和及び予防用としての新規用途を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化学式1で表示される生体分解性金属であり、抗ニキビ菌効果を有する、ニキビ緩和及び予防用パッチを提供する。
【0009】
[化学式1]
【0010】
MgaZnbXc
【0011】
式中、a、b及びcは各成分の重量%であって、a+b+c=100重量%であり、0≦a≦100、0≦b≦100、0≦c≦10の範囲の中でa又はbが最も大きく、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPよりなる群から選択される1種以上である。
【0012】
このようなニキビ緩和及び予防用パッチにおいて、生体分解性金属は、マイクロニードルタイプで含まれるか、あるいは薄板タイプで含まれ得る。
【0013】
本発明の好適な一実施形態によるニキビ緩和及び予防用パッチにおいて、生体分解性金属は、前記化学式1中、a、b及びcは、各成分の重量%であって、a+b+c=100重量%であり、i)90≦a≦100、0≦b≦10、0≦c≦10又はii)0≦a≦10、90≦b≦100、0≦c≦10であり、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPよりなる群から選択される1種以上であり得る。
【0014】
最も好適な一実施形態によるニキビ緩和及び予防用パッチにおいて、前記生体分解性金属は、不可避的不純物を含む純度95%以上の純Mgであり得る。
【0015】
本発明の一実施形態によるニキビ緩和及び予防用パッチにおいて、生体分解性金属は、2以上の金属相(phase)がガルバニック回路を生成して分解速度が加速化されるものであり得る。このような生体分解性金属は、Mg2Ca相を含むもの、MgZn相を含むもの、又はCa2Mg6Zn3相を含むものであり得る。
【0016】
本発明の一実施形態によるニキビ緩和及び予防用パッチにおいて、生体分解性金属は、ガルバニック回路を形成させるために、金属の表面に異なる種類の第2の金属がコートされたものであり得る。この時、前記第2の金属は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ニッケル、亜鉛、ガリウム、セレン、ストロンチウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、ケイ素、銀、金、マンガン及びカルシウムよりなる群から選択される1種以上の金属であり得る。
【0017】
本発明の他の一実施形態では、上述したニキビ緩和及び予防用パッチをニキビ皮膚に付着させて使用する方法を提供する。
【0018】
より好適な一実施形態による方法において、ニキビ緩和及び予防用パッチをニキビ皮膚に付着させる前に、水分供給ステップ又は皮膚鎮静ステップを行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の生体分解性金属を適用したパッチは、別途の薬物の担持なしで自体的にニキビ原因菌に対する抗菌活性を持ってニキビ緩和及び予防用として有用であり、これを様々な形で製作して皮膚に適用する簡易な方法によってニキビを予防するか、或いは誘発されたニキビに対する緩和効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】生体分解性金属で構成されシートにマイクロニードルを加工したマイクロニードルの展開図である。
【0021】
【
図2】加工されたマイクロニードルを曲げ加工したマイクロニードルの概略図である。
【0022】
【
図3】チップ形態のマイクロニードルとマイクロニードルホルダーの概略図である。
【0023】
【
図4】本発明のマイクロニードルの試作品写真(A)及びその屈曲特性を示す写真(B)である。
【0024】
【
図5】本発明のマイクロニードルパッチの写真である(A:使用前、B:使用後)。
【0025】
【
図6】抗菌試験に提供した本発明のマイクロニードルの試験片の写真である。
【0026】
【
図7-9】抗菌ないし抗真菌試験結果写真であって、
図7はPropionibacterium acnes ATCC 6919に対する試験結果であり、
図8はStaphylococcus epidermidis ATCC 12228に対する試験結果であり、
図9はTrichophyton rubrum ATCC 28188に対する試験結果である。
【0027】
【
図10-11】本発明のマイクロニードルパッチの様々な形状を例示して示す概略図である。
【0028】
【
図12】本発明のマイクロニードルパッチを適用して官能評価した結果の写真であって、付着前(左)、付着状態(中央)及び付着後8時間経過時点の皮膚状態(右側)を示す。
【0029】
【
図13】本発明のマイクロニードルパッチを適用した臨床試験において試験対象者に付着した一例を示す写真である。
【0030】
【
図14】臨床試験においてニキビ重症度システム(Global Acne Grading System:GAGS)による評価で顔部位を6つの区間に分けた試験部位を示すイメージである。
【0031】
【
図15】臨床試験においてニキビ重症度システム(Global Acne Grading System:GAGS)による評価で
図14に示した各区間の固有ファクター(factor)及びグローバルスコア(global score)を示す表である。
【0032】
【
図16】臨床試験において皮膚刺激評価で異常反応有無及び等級を分類した表である。
【0033】
【
図17】臨床試験において試験対象にマグネシウムマイクロニードルパッチを付着させて試験期間の経過に伴う写真撮影の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ニキビとは、毛皮脂腺単位の慢性炎症疾患であって、面皰(Comedone、毛包の中に溜まって硬くなった皮脂)、丘疹(Papule、直径1cm未満の皮膚の隆起病変)、膿疱、結節、偽性嚢胞などのさまざまな皮膚変化が現れ、これに伴う後遺症として、凹んだ傷跡又は拡大した傷跡を残すこともある。皮脂腺が集まっている顔、首、胸などに多く発生し、毛を作る毛包に付いている皮脂腺に炎症が生じる疾患をいう。
【0035】
ニキビの正確な原因は明らかに解明されていないが、一つの原因ではなく、様々な原因が複合的に作用し、その一つの原因として、思春期に男性ホルモンの過剰により皮脂腺の分泌が盛んになり、毛包の上皮が異角化症(不完全で未熟な角質化を示す異常角質化)を起こし、毛包が詰まってニキビの基本病変である面皰が形成されることがある。
【0036】
このうち、バクテリアによるニキビの発振は、毛包内に常駐する菌のうち、特にプロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)がその原因菌として知られている。このニキビ原因菌は、皮脂を食べて育ちながらトラブル発生の主な原因になるが、健常者では、この菌が皮膚に存在しても全く問題を起こさないが、毛包が詰まって皮脂が毛包内に蓄積されてからは皮脂を食べて速く育つ。
【0037】
また、このニキビ原因菌は、脂肪(トリグリセリド)を食べた後、バターのような物質、すなわち脂肪酸を排泄する。このような化学的変化は、健康な弱酸性皮膚が油分のpHバランスが崩れながらアルカリ化され、結局は皮膚自体の機能が低下し、皮膚の悪循環をもたらす。このようなプロピオニバクテリウムアクネスによって誘発されるニキビを予防及び緩和させるために、通常、塗る薬又は飲む薬の治療方法が提案されてきたのはいうまでもよい。
【0038】
一方、本出願人は、生体分解性金属を用いたマイクロニードルを開発したことがあり、これに対して既に出願したことがある(韓国公開特許第2017-0115449号)。
【0039】
本発明は、このように開発されたマイクロニードルに対して多角的な研究を行い続けた結果として得られたもので、当該生体分解性金属がニキビ原因菌としてのプロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)に対して抗菌活性を発現することを解明することにより、このような生体分解性金属の新規用途を案出したのである。
【0040】
本発明において生体適合性金属に関連する記載、これをマイクロニードルのタイプに製造する方法に関連する記載、及び皮膚で起こる一連の金属的反応に関連する記載は、韓国公開特許第2017-0115449号に記載された内容による。
【0041】
ただし、本発明において、生体分解性金属は、薬物送達体として提案されたマイクロニードルに限定されるものではなく、それ自体がニキビ原因菌に対する抗菌活性を有する機能的な構成として単独で作用するものであることを解明する。
【0042】
本発明では、マグネシウム又は亜鉛を単独素材にした生体分解性金属と前記金属にカルシウムなどの異なる種類の金属を混合した生体分解性金属を薄板タイプ又はマイクロニードルタイプに製造し、これらのニキビ原因菌に対する抗菌活性を評価した。その結果、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛を単独素材にして製造された生体分解性金属又は前記金属に異なる種類の金属が特定の範囲で混合された合金は、別途の薬物封入なしでもそれ自体が抗菌活性を有することを確認することができた。
【0043】
したがって、本発明は、ある観点から、化学式1で表示される生体分解性金属であり、抗ニキビ菌効果を有する、ニキビ緩和及び予防用パッチを提供する。
【0044】
[化学式1]
【0045】
MgaZnbXc
【0046】
式中、a、b及びcは、各成分の重量%であって、a+b+c=100重量%であり、0≦a≦100、0≦b≦100、0≦c≦10の範囲の中でa又はbが最も大きく、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPよりなる群から選択される1種以上である。
【0047】
前記生体分解性金属は、マグネシウム又は亜鉛を最も多く含むことが好ましい。したがって、前記化学式1中、a、b及びcは、各成分の重量%であって、a+b+c=100重量%であり、i)90≦a≦100、0≦b≦10、0≦c≦10又はii)0≦a≦10、90≦b≦100、0≦c≦10であり、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPよりなる群から選択される1種以上であることが好ましいことが分かる。
【0048】
本発明に係る生体分解性金属は、皮下又は上皮に付着又は挿入された後、吸収及び分解され、金属イオン及び分解酸化物を体内に放出する特性を有する金属であって、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)などは、アルカリ土類金属系の生体分解性金属であって、下記反応式1~3で表したように、水と反応して水素ガスを放出するカニズムを有する。
【0049】
[反応式1]
【0050】
Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2(ガス)
【0051】
[反応式2]
【0052】
Ca+2H2O→Ca(OH)2+H2(ガス)
【0053】
[反応式3]
【0054】
Zn+2H2O→Zn(OH)2+H2(ガス)
【0055】
本発明において、前記生体分解性金属は、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)などを単独素材にして製造されることが好ましく、特に生体適合性に優れ且つ正常細胞又は組織で毒性を示さない観点から最も好ましくは、マグネシウム単独素材である生体分解性金属であり得る。ここで、マグネシウム単独素材又は亜鉛単独素材という用語は、金属生産過程で発生する不可避的不純物を含むこと以外に、純度95%以上の純マグネシウム又は純亜鉛を意味する。
【0056】
他方で、生体分解性金属は、皮下又は上皮における分解速度を加速化させるために、すなわちガルバニック回路を生成させるために、2以上の金属を素材にして製造できる。本発明において、前記生体分解性金属は、ガルバニック回路を生成するために、前記化学式1で表示される生体分解性金属の表面に異なる種類の第2の金属がコートされたものであり得る。この時、第2の金属は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ニッケル、亜鉛、ガリウム、セレン、ストロンチウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、ケイ素、銀、金、マンガン、カルシウムなどを例示することができるが、これに限定されるものではない。この時、前記鉄(Fe)を含む場合、特にクロムやニッケルが含まれてはならない。
【0057】
本発明のニキビ緩和及び予防用パッチにおける生体分解性金属は、薄板タイプ又はマイクロニードタイプで含まれ得るが、一例として、マイクロニードルは、レーザーカッティング、板金工程、キャスティング工法、エッチング工法などの業界の通常的な溶解性マイクロニードルを製造する方法で製造でき、その製造方法は、特に限定されない。例えば、
図1に示すように、生体分解性金属で構成された薄板型シート10を製造した後、レーザーカッティング機(マーキング機)を用いて一定の形状に成形した後、治具プレスで曲げることにより、マイクロニードルを製造することができる。
【0058】
本発明では、このような生体分解性金属を含むパッチは、別途の薬物コーティングや担持なしに、それ自体でニキビ緩和及び予防用の目的で使用することができる。
【0059】
図2は加工されたマイクロニードルを皮膚貫通のために曲げ加工したマイクロニードル11の概略図である。
【0060】
本発明に係るマイクロニードルは、一体型で構成されるか、或いは
図3に示すようにマイクロニードル20とマイクロニードルホルダー21で構成され得る。マイクロニードルホルダー21の形態を活用したマイクロニードルは、ニードルが挿入された後、ねじれを加えて人為的にニードルが皮下に残存するようにすることもできる。
【0061】
図4は本発明の一実施形態によって製造されたマイクロニードルの試作品写真(A)及びその屈曲特性を示す写真(B)である。
【0062】
本発明によれば、このようなマイクロニードルを皮膚に適用することを容易にする観点から、パッチタイプに製作することができる。
【0063】
図5に示すように、前記マイクロニードルパッチは、マイクロニードルを皮膚に固定させるためのものであって、マイクロニードル、及び前記マイクロニードルの反対面に形成されたパッチ部で構成されている。前記パッチ部の大きさ、形状及び素材は、特別な制限なく利用可能である。
図5のBに示すように、使用されたマイクロニードルは、皮下でイオン化されて変色することがある。
【0064】
本発明の生体分解性金属を含むパッチを皮膚に適用する際には、他の薬物の封入や塗布なしにも、それ自体で抗ニキビ効果を発現するが、その効果を倍加させるか或いは効果発現時間を短縮させる意味で、本発明のパッチを付着させる前に、水分供給ステップや皮膚鎮静ステップを伴うことが好ましい。ここで、水分供給ステップは、様々な保湿用化粧品、例えばトナー又は水分供給用ミストなどの塗布によって行われてもよく、皮膚鎮静ステップは、皮膚紅潮又はニキビを鎮静させることが知られている機能性化粧品又は医薬品を塗布する方法によって行われ得るが、これに限定されるものではない。
【0065】
このような水分供給ステップ又は皮膚鎮静ステップは、単に、本発明の生体分解性金属を含むパッチの抗ニキビ効果を補助する役割を果たすだけであり、このようなステップが先行されてこそ本発明のパッチの効果が実現されるのではないのはいうまでもよい。
【0066】
本発明は、マイクロニードルのタイプで適用された生体分解性金属のニキビ緩和及び予防用としての新規用途を開発したものであり、このような用途は、以下に記載される実施例を介して、上述した生体分解性金属を試験片にして、皮膚に存在する様々な菌に対してその活性を評価し、それが択一的にニキビ原因菌に対してのみ活性を示すことを解明する方法によって確認しようとする。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0068】
<実施例1>
【0069】
本発明の生体分解性金属に対する抗ニキビ菌活性を評価するために、韓国化学融合試験研究院に試料を提供して、次の方法で抗菌及び抗真菌試験を行った。
【0070】
このとき、提供した試料は、製造時に発生する不可避的不純物を含む純Mg(純度95%以上のマグネシウム)を用いてシートを製作(厚さ100μm)したものであって、
図6の写真のように所定の規格に切断して実験の試料として使用した。
【0071】
<試験装置及び材料>
【0072】
(1)試験装置
【0073】
オートクレーブ(コアテック製、韓国)
【0074】
乾燥器(Jisico製、韓国)
【0075】
水浴(Polyscience製、米国)
【0076】
インキュベーター(Memmert製、ドイツ)
【0077】
pHメーター(Thermo Orion製、米国)
【0078】
ストップウォッチ(Time Art製、日本)
【0079】
ボルテックスミキサー(Thermolyne製、米国)
【0080】
コンテナー(いわきパイレックス(登録商標)製、日本)
【0081】
滅菌ピペット(Falcon製、米国)
【0082】
ペトリー皿(SPL製、韓国)
【0083】
容量フラスコ(Myung Sung製、韓国)
【0084】
メカニカルシェーカー(Jisico製、韓国)
【0085】
クリーンベンチ(スゴンヤンヘン製、韓国)
【0086】
コロニー計数器(徳友科学製、韓国)
【0087】
嫌気性容器(Anaerobic container)(DIFCO製、米国)
【0088】
(2)試験材料
【0089】
1)試験菌株
【0090】
韓国微生物保存センターから分譲を受ける。
【0091】
-Propionibacterium acnes ATCC 6919
【0092】
-Staphylococcus epidermidis ATCC 12228
【0093】
-Trichophyton rubrum ATCC 28188
【0094】
2)培地及び試薬
【0095】
-強化クロストリジア培地ブロス(Reinforced clostridial medium broth)(DIFCO製、米国)
【0096】
-ブレインハートインフュージョンブロス(Brain heart infusion broth)(DIFCO製、米国)
【0097】
-サブローデキストロースブロス(Sabouraud dextrose broth)(DIFCO製、米国)
【0098】
-強化クロストリジア寒天培地(Reinforced clostridial medium agar)(DIFCO製、米国)
【0099】
-トリプシンソイ寒天培地(Tryptic soy agar)(DIFCO製、米国)
【0100】
-サブローデキストロース寒天培地(Sabouraud dextrose agar)(DIFCO製、米国)
【0101】
-Gaspak TM EZ(DIFCO製、米国)
【0102】
-0.05%ポリソルベート80溶液
【0103】
-滅菌流動パラフィン
【0104】
(3)試験方法(Test method)
【0105】
1)試験方法
【0106】
a.試験菌の前培養及び調製
【0107】
P.acnesは、強化クロストリジア培地(RCM)ブロス(Reinforced clostridial medium broth)に接種して(35±1)℃で3日間培養した。培養された菌液を新しいRCMブロスに接種し、上記と同様の条件で培養した後、この過程を1回さらに繰り返し行った。菌株のすべての培養過程で滅菌流動パラフィンを用いて嫌気的条件を維持させた。その後、試験菌液として使用した。
【0108】
S.epidermidisは、ブレインハートインフュージョンブロス(Brain heart infusion broth)に接種して(35±1)℃で(18~24)時間培養した後、試験菌液として使用した。
【0109】
T.rubrumは、サブローデキストロース寒天培地(Sabouraud dextrose agar)に接種して(25±1)℃で14日間培養した。試験菌が育った固体培地上に0.05%ポリソルベート80溶液(0.05% polysorbate 80 solution)を分注し、スプレッダー(spreader)を用いて胞子を外した後、ガーゼを通過させて菌糸を除去した。このような方式で調製された胞子液(spore solution)を(1~9)×107CFU/mLとなるように調整して試験菌液として使用した。
【0110】
b.試験手順
【0111】
予め用意された強化クロストリジア寒天培地(Reinforced clostridial medium agar)、トリプシンソイ寒天培地(Tryptic soy agar)及びサブローデキストロース寒天培地(Sabouraud dextrose agar)上にそれぞれの菌培養液を滅菌された綿棒で均等に接種し、培地の中央に、用意された試料(20mm×20mm)をのせた。その後、P.acnesは嫌気条件(35±1)℃で5日間培養し、S.epidermidisは(35±1)℃で(24±2)時間、T.rubrumは(25±1)℃で7日間培養した。その後、試料周囲の菌成長阻止帯(Zone of inhibition)を測定する方式で試験を行った。
【0112】
2)結果の判読
【0113】
次の式1に基づいて成長阻止帯の幅(W)を計算した。
【0114】
<式1>
【0115】
W=(T-D)/2
【0116】
W:阻止帯の幅(mm)
【0117】
T:試料と阻止帯の全体直径(mm)
【0118】
D:試料の直径(mm)
【0119】
【0120】
上記表1にまとめたように、P.acnesに対する抗菌効果の結果、試料と阻止帯の全体直径(T)は32mm、試料の直径(D)は20mmと観察された。よって、上記の計算式に基づいて、阻止帯の幅(W)は6.0mmと確認された(
図7参照)。
【0121】
S.epidermidisに対する抗菌効果の結果、試料と阻止帯の全体直径(T)は20mm、試料の直径(D)は20mmと観察された。したがって、上記の計算式に基づいて、阻止帯の幅(W)は0.0mmと確認された(
図8参照)。
【0122】
T.rubrumに対する抗真菌効果の結果、試料と阻止帯の全体直径(T)は20mm、試料の直径(D)は20mmと観察された。したがって、上記の計算式に基づいて、阻止帯の幅(W)は0.0mmと確認された(
図9参照)。
【0123】
本試験条件の下で、試料[Mg Micro Carrier Multi Careと命名]に対するP.acnes、S.epidermidis及びT.rubrumの阻止帯は、それぞれ6.0mm、0.0mm及び0.0mmであった。
【0124】
その結果、本発明の生体分解性金属は、ニキビ原因菌に対してのみ抗菌活性を有し、残りは抗菌ないし抗真菌効果が観察されなかった。
【0125】
<実施例2>マイクロニードル及びパッチの製作
【0126】
前記実施例1の抗菌活性の評価時に提供したシートと同じ生体分解性金属シートを作製した後、レーザーマーキング機(JTY FIBER MA20、JTWシステム)を用いてマイクロニードルを製作した。この時、マイクロニードルの先端角は15°、30°及び35°とし、ニードルの高さは0.5mm、1.0mm及び1.5mmとした。
【0127】
マイクロニードルの針が生成された反対側の面に接着剤の塗布されたハイドロコロイドパッチを付着させてマイクロニードルパッチを製造した。製造されたマイクロニードルパッチは、包装及び滅菌させた。
【0128】
このようなマイクロニードルパッチは、ニキビの緩和及び予防のための観点から様々な形状に製作できるが、
図10及び
図11に示したような形状を一例として挙げることができる。
【0129】
こうして得られたマイクロニードルパッチを、ニキビ皮膚を持っている15歳の男子学生7人が洗顔後、顔のニキビ部位のいずれか一箇所に付着するようにした後、ニキビ緩和効果を7日間観察した。
【0130】
評価基準として、ニキビ治療効果が著しい場合、つまり、ニキビ皮膚の面積が明らかに減少し且つニキビ炎症程度も明らかに減る場合には5点、このような改善程度が中等度である場合には4点、軽度である場合には3点、不変である場合には2点、ニキビが悪化した場合には1点にして評価した後、合計点をもって総合判定を行った。その結果を下記表2に示す。
【0131】
【0132】
【0133】
上記表2から分かるように、評価結果、殆どの被験者の評価結果が5点を示して、実質的にニキビ緩和に大きな影響を与える。
【0134】
一方、
図12は額のニキビを持つ被験者のマイクロニードルパッチ付着前の皮膚状態(左側)、付着状態(中央)、及び付着後8時間経過後の皮膚状態(右側)を示す写真であって、この写真から、本発明のマイクロニードルパッチ付着8時間後に即時ニキビ緩和効果を確認することができる。
【0135】
<実施例3>臨床試験
【0136】
本発明の生体分解性金属に対するニキビ性皮膚適合性を評価するために、韓国の忠清北道化粧品臨床研究支援センターに依頼して次の方法で臨床評価を行った。
【0137】
(1)試験方法
【0138】
満18~40歳の成人男女を対象とした。試験部位に1日1回試験製品を定められた使用方法に従って使用するようにした。目視評価によって効果を評価した。評価は、センターの内部指針書(SOP)に準じて行った。食品医薬品安全処の告示に規定していない事項は、参考文献を参照して行った。試験部位は、試験対象者の顔面部位とした。
【0139】
定められた使用方法は、次のとおりである。
【0140】
[1]きれいに洗顔した後、皮膚を整える。
【0141】
[2]高濃度のセンテラアンプル(水分供給ないし鎮静効果)入りの注射器の栓を分離する。
【0142】
[3]マグネシウムパッチ(純度95%以上のマグネシウムで製作)のマイクロキャリアに高濃度のセンテラアンプルを適量滴定する。
【0143】
[4]マグネシウムパッチに手が触れないように保護フィルムを除去する。
【0144】
[5]就寝の前、パッチをケアの必要なところに位置するように密着させた後、刺激を感じることができるように複数回押す。
【0145】
[6]翌日の朝、パッチを取り外す。
【0146】
[7]パッチを取り外した位置にハイドロコロイドバンドを付着させて昼間に維持するようにする。
【0147】
試験者にマグネシウムパッチを適用した一例は、
図13のとおりである。
【0148】
試験対象者は、選定基準に適合し、除外基準が適用されない者である20人を選定した。
【0149】
試験対象者の選定・除外基準に基づいて研究に適した試験対象者を選定し、試験対象者の皮膚状態を確認した後、目視評価及び写真撮影(VISIA-CR)をそれぞれ製品使用前(0日)、製品使用1日後、製品使用3日後、製品使用4日後及び製品使用5日後に実施した
【0150】
(2)測定及び評価方法
【0151】
1)準備ステップ
【0152】
評価のために、試験対象者は恒温・恒湿(22±2℃、RH40~60%)条件の待機室で30分間安定をとり、皮膚表面の温度と湿度を測定空間の環境に適応するようにした。客観的測定のために、機器評価は、研究者1人が毎測定時に同じ部位を測定した。目視評価は、研究者2人が評価した。
【0153】
【0154】
2)写真撮影
【0155】
写真撮影は、カメラ(Canon製、EOS6D、日本)が取り付けられた顔面撮影機(VISIA-CR、Canfield、米国)を用いた顔全面写真撮影を行った。撮影にはStandard2測定モードを使用した。顔面撮影機(VISIA-CR、Canfield)は、試験対象者の動きを最小限に抑えるために額と顎を固定し、撮影時の光の変化を知ることができるようにグレーカード(gray card)が一緒に撮影される。測定は、製品使用前(0日)、製品使用1日後、製品使用3日後、製品使用5日後に行った。同じ部位の撮影のためにオーバーレイ(overlay)機能を使用した。本研究では、イメージのみを活用した。
【0156】
3)目視評価
【0157】
目視評価は、二人の玄人によって、二重盲検試験(Double-blind test)で評価した。
【0158】
二人の玄人の評価に差がある場合には、適合性は低い段階、皮膚異常反応は高い段階をそれぞれ選択して評価した。
【0159】
目視評価は、ニキビ重症度システム(Global Acne Grading System:GAGS)を介して評価した。GAGSは、顔面部位、顔及び背部位を毛皮脂腺単位(Pilosebaceous units)の表面積分布及び密度によって6つの区間に分けて分析し、各区間ごとに固有ファクター(factor)を付与した後、病変部位に応じてローカルスコア(Local score)を与えてグローバルスコア(Global score)に反映し、評価を定めて評価した。6つの区間は、
図14に示したとおりである。
【0160】
また、各区間の固有ファクター(factor)及びグローバルスコア(global score)は、
図15に示したとおりである。
【0161】
4)アンケート評価
【0162】
アンケートは、試験対象者の訪問(製品使用5日後)の際にそれぞれの試験対象者を対象に、試験製品の一般的評価(使用感)、使用後の変化評価、製品に対する満足度、異常反応などをアンケート調査した。
【0163】
a.有効性評価アンケート調査(Global Assessment of Efficacy)
【0164】
試験対象者によるアンケート評価は、試験製品の使用後の測定項目に対して、非常に満足(5)、満足(4)、普通(3)、不満足(2)、非常に不満足(1)の5つの段階で直接アンケート調査に答えるようにした。研究者は、各答弁に対する試験対象者数の百分率を求めて試験製品の効能有無を判断した。
【0165】
b.製品記号度のアンケート調査
【0166】
試験製品と使用後の製品使用感について試験対象者が直接アンケート調査に答えるようにした。評価項目は、一般的評価(使用感)と製品に対する満足度について非常に満足(5)、満足(4)、普通(3)、不満足(2)及び非常に不満(1)の5段階で評価するようにした。
【0167】
5)順応度評価
【0168】
製品使用の開始日から終了時点まで順応日誌に製品塗布有無及び異常反応有無を作成するようにした。
【0169】
6)皮膚刺激評価
【0170】
試験製品に対して異常反応である紅斑(Erythema)、浮腫(Edema)、鱗屑(Scaling)、掻痒(Itching)、刺痛(Stinging)、灼熱感(Burning)、こわばり(Tightness)、チクチクする痛み(Prickling)又は他の異常反応が発生すか否かを綿密に観察し、皮膚異常反応が現れるとき、重症度によって等級を表示し、これに対する検査所見を作成した。訪問日ではなくても、テストにそれ以上参加することができなくなる場合は、本人の署名が添付された「試験参加放棄同意書」を書くようにした。
【0171】
異常反応有無及び等級分類表は、
図16のとおりである。
【0172】
(3)結果分析
【0173】
1)目視評価
【0174】
目視評価は、製品の使用前後の差を比較して行った。評価方法は、前記(2)の3)項目に記載された方法を用いて行った。
【0175】
2)統計分析
【0176】
評価結果は、製品の使用前後の変化について対応のあるt-検定(paired t-test)法を用いた。統計結果は、生物学的統計分析で最も多く使用する有意差5%(p<0.05)のとき、統計的有意性があると見なした。
【0177】
3)アンケート評価
【0178】
有効性評価アンケート調査の結果と製品嗜好度評価アンケート調査の結果に基づいて評価した。
【0179】
4)統計分析プログラムは、SPSSバージョン10.0ソフトウェアを使用した。
【0180】
(4)結果
【0181】
人体適用試験に参加した試験対象者は、平均年齢21.9±2.9の20人の健康な成人男女を選定した。参加した試験対象者20人が途中で脱落せずに最終試験を完了した。
【0182】
1)目視評価結果
【0183】
目視評価の結果、グローバルスコア(Global score)による評価等級は、一部試験者の場合にはmoderateからmildに減少することを確認することができた。全体試験対象者のグローバルスコア(Global score)による評価は、mildであって、有意な変化はなかった。
【0184】
一方、試験製品は、製品使用前(0日)と比較して試験製品使用1日後、製品使用3日後、製品使用5日後で統計的に有意差があることが確認された(p<0.05)。
【0185】
評価期間の間、試験製品による皮膚有害事例は発生しなかった。分析結果は下記表3のとおりである。
【0186】
【0187】
2)アンケート調査の結果
【0188】
a.有効性評価アンケート調査の結果
【0189】
試験製品使用後の測定項目についてのアンケート調査の結果は、下記表4のとおりである。
【0190】
【0191】
(注)*5:非常に満足、4:満足、3:普通、2:不満足、1:非常に不満足
【0192】
アンケート評価の結果、ニキビ改善効果項目について試験対象者の100%が満足以上と評価した。
【0193】
b.嗜好度アンケート調査の結果
【0194】
製品使用後の製品の満足度、使用感、使用後の変化について試験対象者が感じる嗜好度を調査した。調査結果は、下記表5のとおりである。
【0195】
【0196】
(注)*5:非常に満足、4:満足、3:普通、2:不満足、1:非常に不満足
【0197】
アンケート評価の結果、製品の満足度部分の色、粘度項目について試験対象者
【0198】
の100%が普通以上と評価した。使用感部分では、刺激程度項目について試験対象者の100%が普通以上と評価し、皮膚吸収程度、接着項目について試験対象者の95%が普通以上と評価した。そして、使用後の変化部分では、柔らかさ、しっとり、皮脂改善効果項目について試験対象者の100%が普通以上と評価した。
【0199】
3)皮膚刺激評価
【0200】
試験対象者に対する皮膚刺激評価(自己評価)の結果は、下記表6のとおりである。
【0201】
【0202】
試験対象者は、異常反応が発生し次第に研究者に報告するようにした。また、アンケート用紙上の皮膚刺激有無項目に表記するようにした。本試験の進行中に試験対象者を対象にしたアンケート調査の結果、試験対象者全員の試験製品に対する皮膚異常反応が観察されなかった。
【0203】
また、研究者による目視評価においても、皮膚異常反応は観察されなかった。
【0204】
4)写真撮影の結果
【0205】
試験対象者の全てに対して写真撮影を行ったが、ここではすべてを図示せず、その一部だけを
図17に示した。
【0206】
図17から、試験材料として使用されたマグネシウムパッチの形状や付着のタイプについて確認することができ、ニキビ緩和効果の目視観測の根拠を確認することができるのはもちろんである。
【0207】
本発明のニキビ緩和及び予防用マイクロニードル及びマイクロニードルパッチに対する皮膚刺激評価及び皮膚侵襲効果は、本出願人によって既に出願されて公開された韓国公開特許第2017-0115449号の実験によって解明したことがあり、これにより本発明の生体分解性金属を含むパッチは、正常細胞又は組織で毒性を示さずに、皮膚への刺激なしで侵襲してニキビ原因菌に対する抗菌活性を発現することができることにより、簡易で安全なニキビ緩和及び予防に寄与することができる。
【0208】
一方、このような生体適合性に優れた毒性のない生体分解性金属を含むパッチの選択的抗ニキビ菌活性効果は、反応式1~3で表される金属の分解過程で発生するOH-イオンによる局地的pHの増加が重要な原因であると予測され、純マグネシウム又は純亜鉛金属に前記化学式1による成分が含まれて分解速度が加速化される場合には、より迅速な抗菌効果が期待される。
【0209】
【産業上の利用可能性】
【0210】
本発明の生体分解性金属を適用したパッチは、別途の薬物の担持なしで自体的にニキビ原因菌に対する抗菌活性を持つため、ニキビ緩和及び予防のために有用であり、これを様々なタイプに製作して皮膚に適用する簡易な方法によってニキビを予防するか、或いは誘発されたニキビに対する緩和用パッチとして有用であり得る。