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特許7317864試料分析システム用のロードロックチャンバ組立体ならびに関連した質量分析計システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】試料分析システム用のロードロックチャンバ組立体ならびに関連した質量分析計システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/04 20060101AFI20230724BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01J49/04 130
H01J49/04 950
H01J37/20 B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020564802
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017507
(87)【国際公開番号】W WO2019160818
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】62/629,746
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502073946
【氏名又は名称】ビオメリュー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロック, ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, スコット
(72)【発明者】
【氏名】タルマー, マーク
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0225596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/04
H01J 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料分析システム用のロードロック組立体であって、
ロードロックチャンバを備えるハウジングであって、前記ロードロックチャンバが長手方向に対向した第1の端部と第2の端部ならびに貫通チャネルを有する、ハウジングと、
前記第2の端部に結合されたドアと、
前記第1の端部に結合されたシール組立体カートリッジであって、前記ロードロックチャンバの前記ハウジングに取り付けられた密封ハウジング部材を備えるシール組立体カートリッジと
を備え、前記密封ハウジング部材が、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部に、前記貫通チャネルの一部分を形成するポートを備え、前記シール組立体カートリッジが、第1の公称位置を有し、それによって、前記ハウジングに対して左右および/または上下に浮動することができ、また、前記第1の公称位置からオフセットされ得る第2の操作位置を有し、それによって、XYステージの真空密封接触面とのセルフセンタリング整列が可能になる、ロードロック組立体。
【請求項2】
前記密封ハウジング部材が、前記ロードロックチャンバの内部の壁の貫通開口と整列する間隔を置いた複数の開口を備え、固定部材が、前記壁を通って前記密封ハウジング部材の前記開口の中へ長手方向に延在して、前記ロードロックチャンバの前記ハウジングに前記シール組立体カートリッジを取り付け、前記シール組立体カートリッジが、前記固定部材が緩んでいるとき前記第1の公称位置にあり、前記固定部材が締められたとき前記第2の操作位置にある、請求項1に記載のロードロック組立体。
【請求項3】
Oリングを間に挟んで前記密封ハウジング部材に結合されたリテーナ部材をさらに備え、前記Oリングが前記密封ハウジング部材の外部にある距離だけ突出する、請求項1または2に記載のロードロック組立体。
【請求項4】
前記貫通チャネルが横方向次元において横長であり、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う、請求項1から3のいずれか一項に記載のロードロック組立体。
【請求項5】
前記密封ハウジング部材が前記ポートの全体の周囲のまわりに溝を備え、前記溝と前記ポートがどちらも横方向次元において横長であり、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う、請求項3に記載のロードロック組立体。
【請求項6】
(i)前記ロードロックチャンバの前記ハウジングが、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部に、凹部を囲むフランジを備え、前記凹部に前記密封ハウジング部材が存する、および/または
(ii)前記ロードロックチャンバの前記チャネルは、横幅が高さを上回り、1cc~100ccの容積を有する、および/または
(iii)前記ロードロックチャンバと連通して、前記ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることおよび/または真空を与えることができる、少なくとも1つの弁をさらに備える、および/または
(iv)前記ドアが、前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して枢動可能に取り付けられており、前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して密封可能に閉じることができ、任意で、前記ドアを自動的に開閉するように前記ドアに取り付けられた第2の歯車と係合する第1の歯車に結合されたシャフトを有するモータをさらに備え、かつ任意で、前記第2の歯車が前記ドアに取り付けられたアームに結合されており、前記第2の歯車が3つの側面のみを有し、前記3つの側面のうちの1つは外周に歯車の歯があり、60~120度の角度範囲を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のロードロック組立体。
【請求項7】
(i)密封接触面の表面を備えるスライド保持具を有するXYステージと組み合わされ、前記シール組立体カートリッジが前記第1の公称位置にあるとき、前記シール組立体カートリッジに前記スライド保持具を挿入して前記スライド保持具の密封接触面と係合させると、前記固定部材が締められる前に、前記シール組立体カートリッジを前記第2の操作位置へ押し進め、任意で、前記スライド保持具の前記密封接触面の表面が横方向次元において横長であり、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、前記スライド保持具の凹部に向かう方向に先細りになる外表面とを有する、および/または
(ii)前記密封ハウジング部材には、8~12の前記間隔を置いた開口があり、前記密封ハウジング部材が、停留部材の開口と整列して間隔を置いた複数の開口をさらに備え、これらを通って固定部材が延在し、停留プレートを通って延在する前記固定部材が、外部の対向するヘッドを有し、前記ロードロックチャンバの前記壁に取り付けられた前記固定部材よりも短い、請求項2に記載のロードロック組立体。
【請求項8】
前記密封ハウジング部材の長手方向に間隔を置いて対向した第1および第2の端部に保持された第1および第2の横方向に横長のOリングであって、前記ロードロックチャンバのドアに面する前記第1の端部に保持された第1のOリングが、前記第2の端部に保持された第2のOリングよりも大きい、第1および第2のOリングと、
前記第2のOリングおよび前記密封ハウジング部材の前記第2の端部に結合された停留部材であって、前記密封ハウジング部材の前記第2の端部における開口と整列する開口を備える停留部材と、
前記密封ハウジング部材の前記第1の端部における開口を通って延在する複数のロードロックチャンバ固定部材と、
前記停留部材の前記開口を通って前記密封ハウジング部材の前記第2の端部へと延在する複数の停留部材固定部材と
をさらに備え、
前記停留部材固定部材は前記ロードロックチャンバ固定部材よりも短い、請求項1から7のいずれか一項に記載のロードロック組立体。
【請求項9】
質量分析システムであって、
開口を有する第1の壁を伴う真空チャンバと、
前記真空チャンバの中のXYステージと、
ロードロックチャンバを伴うハウジングを備えるロードロックチャンバ組立体であって、前記ロードロックチャンバが、対向した第1の端部と第2の端部を有して長手方向に延在する貫通チャネルを備え、前記真空チャンバの前記第1の壁の内側にあるかまたは隣接する前記第1の端部で前記真空チャンバの前記第1の壁に取り付けられている、ロードロックチャンバ組立体とを備え、
前記ロードロックチャンバ組立体が、
前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して密封可能かつ解放可能に結合されたドアと、
前記ロードロックチャンバの前記第1の端部の一部分を形成するポートを備えるシール組立体カートリッジであって、第1の公称位置を有することにより、前記ロードロックチャンバ組立体の前記ハウジングに対して左右および上下に浮動することができ、前記XYステージの真空密封接触面との係合に応答して前記第1の公称位置からオフセットされ得る第2の操作位置を有することにより、前記XYステージの密封接触面とのセルフセンタリング整列をもたらすシール組立体カートリッジと
をさらに備える、質量分析システム。
【請求項10】
(i)前記シール組立体カートリッジが、
前記ロードロックチャンバの前記ハウジングに結合された密封ハウジング部材であって、前記ポートのまわりに延在するチャネルを伴う前記真空チャンバに面する表面を備える密封ハウジング部材と、
前記密封ハウジング部材の前記チャネルにおいて、前記密封ハウジング部材の前記チャネルの外部にある距離だけ突出するように保持されたOリングと、
前記Oリングを間に挟んで前記密封ハウジング部材に結合された停留部材と
を備え、
前記XYステージが、摺動自在に前記Oリングと係合して前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を密封する密封接触面を伴うスライド保持具を備え、
任意で、前記密封ハウジング部材の周囲のまわりの位置に、間隔を置いて8~12の開口があり、固定部材がこれらの開口を通って延在し、前記浮動を可能にするように、緩んだ状態で前記ロードロックチャンバの内壁セグメントに取り付けられ得、前記固定部材が締められて、前記シール組立体カートリッジを前記ロードロックチャンバの前記ハウジングに対して前記第2の操作位置にしっかりと取り付ける、および/または
(ii)前記ロードロックチャンバの前記ハウジングが備えるフランジが、前記貫通チャネルを通って接近できる壁セグメントを伴う凹部を囲み、間隔を置いた貫通開口を備え、前記フランジが前記真空チャンバの前記第1の壁に取り付けられており、前記凹部には前記シール組立体カートリッジの密封ハウジング部材が存し、固定部材が、前記壁セグメントの前記貫通開口を通って前記密封ハウジング部材の開口の中へ延在し、前記XYステージの密封接触面は横長であり、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、前記スライド保持具の凹部に向かう方向に角度が下がる外表面とを有し、前記ロードロックチャンバの前記貫通チャネルが、横方向次元において横長であり、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う、および/または
(iii)前記シール組立体カートリッジが、前記ロードロックチャンバの内部の壁の貫通開口と整列する間隔を置いた複数の開口を伴う密封ハウジング部材を備え、固定部材が、前記壁を通って前記密封ハウジング部材の前記開口の中へ長手方向に延在して、前記ロードロックチャンバの前記ハウジングに前記シール組立体カートリッジを取り付け、前記固定部材が緩んでいるとき、前記シール組立体カートリッジが前記第1の公称位置にあり、前記固定部材が締められたとき、前記シール組立体カートリッジが前記第2の操作位置にある、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
分析用の試料を扱う方法であって、
請求項1に記載のロードロック組立体を有する質量分析計を設けることであって、前記第1の端部が、収集真空チャンバの中に、または隣接して存在し、前記第2の端部が、前記第1の端部から間隔を置いて存在し、前記ドアを有する、質量分析計を設けることと、
前記ドアが前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して密封可能に閉じている間に、前記XYステージのスライド保持具を前記収集真空チャンバから前記ロードロックチャンバに挿入することと、
前記スライド保持具の密封接触面が前記ロードロックチャンバの前記第1の端部の密封接触面と係合したとき、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を前記収集真空チャンバから自動的に密封することと、
前記ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることと、
前記ドアを開くことと、
前記ロードロックチャンバの前記第2の端部からスライドを挿入して、前記ロードロックチャンバ内の前記スライド保持具と係合させることと、
前記ドアを閉じて前記ロードロックチャンバを密封することと、
前記ロードロックチャンバを真空圧まで真空引きすることと、
前記ドアが閉じられて前記ロードロックチャンバが減圧下の状態で、前記スライド保持具を前記スライドとともに前記真空チャンバの中へ引っ込ませることと
を含む、分析用の試料を扱う方法。
【請求項12】
(i)前記スライドにおける試料または前記スライド上の試料を分析することをさらに含み、前記試料が、約2000~約20,000ダルトンの質量範囲における1つまたは複数の微生物を識別するように分析される、および/または
(ii)セットアップ中または設置中に、
前記収集真空チャンバから、XYステージの前記スライド保持具を前記ロードロックチャンバの中に挿入することと、
前記挿入に応答して、シール組立体カートリッジを、公称位置から、左右および/または上下に、セルフセンタリングされる第2の位置まで移動させて、前記スライド保持具の前記密封接触面と整列させることと、
次いで、前記シール組立体カートリッジを、前記ロードロックチャンバの前記ハウジング上の固定位置にしっかりと取り付けて、前記XYステージと整列した操作位置を与えることとをさらに含む、および/または
(iii)前記通気口をつけることおよび/または前記真空引きに応答して、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部上の曲げ材を曲げることをさらに含み、前記曲げ材が、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部上の剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周を備え、前記曲げ材が前記チャンバと整列する開口を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料分析システム用のロードロック組立体であって、
長手方向に対向した第1の端部と第2の端部および貫通チャネルを有するロードロックチャンバと、
前記第2の端部に結合されたドアと、
前記第1の端部に結合されたシール組立体と
を備え、
前記シール組立体が、
前記ロードロックチャンバのハウジングに結合された剛体の密封ハウジング部材であって、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部に前記貫通チャネルの一部分を形成するポートを備える剛体の密封ハウジング部材と、
前記ロードロックチャンバの前記ハウジングおよび前記剛体の密封ハウジング部材に結合された曲げ材であって、前記剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周、および前記剛体の密封ハウジング部材の前記ポートと整列する開口を備える曲げ材と
を備え、
任意で、前記曲げ材が薄板を備え、前記曲げ材の前記外周が、前記ロードロックチャンバの前記ハウジングのフランジの開口と整列する間隔を置いた複数の開口を備える、試料分析システム用のロードロック組立体。
【請求項14】
前記剛体の密封ハウジング部材が、前記ポートのまわりに延在するチャネルを伴う外側に面する表面を備え、前記剛体の密封ハウジング部材が、前記チャネルにおいて、Oリングを前記チャネルの外部へある距離だけ突出させて保持する、請求項13に記載のロードロック組立体。
【請求項15】
前記ポートが、横方向次元において横長であり、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う、請求項13から14のいずれか一項に記載のロードロック組立体。
【請求項16】
前記外側に面する表面の前記チャネルと前記Oリングが、前記ポートの全体の周囲のまわりに延在し、どちらも横方向次元において横長であり、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う、請求項14に記載のロードロック組立体。
【請求項17】
(i)前記ロードロックチャンバの前記ハウジングが、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部に、凹部を囲むフランジを備え、前記曲げ材が前記フランジに取り付けられており、前記凹部に前記剛体の密封ハウジング部材が存する、および/または
(ii)前記ロードロックチャンバの前記貫通チャネルは、横幅が高さを上回り、1cc~100ccの容積を有する、および/または
(iii)前記ロードロックチャンバと連通して、前記ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることおよび/または真空を与えることができる、少なくとも1つの弁をさらに備える、および/または
(iv)前記ドアが、前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して枢動可能に取り付けられており、前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して密封可能に閉じることができ、任意で、前記ドアを自動的に開閉するように前記ドアに取り付けられた第2の歯車と係合する第1の歯車に結合されたシャフトを有するモータをさらに備え、かつ任意で、前記第2の歯車が前記ドアに取り付けられたアームに結合されており、前記第2の歯車が3つの側面のみを有し、前記3つの側面のうちの1つは外周に歯車の歯があり、60~120度の角度範囲を有する、請求項13から16のいずれか一項に記載のロードロック組立体。
【請求項18】
摺動自在に前記Oリングと係合して前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を密封する密封表面を備えるスライド保持具を伴うXYステージと組み合わされ、任意で前記密封表面が横方向次元において横長であり、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、前記スライド保持具の凹部に向かう方向に先細りになる外表面とを有する、請求項14に記載のロードロック組立体。
【請求項19】
前記剛体の密封ハウジング部材が第1の剛体の密封ハウジング部材であり、前記ロードロック組立体が、前記第1の剛体の密封ハウジング部材に結合された第2の剛体の密封ハウジング部材をさらに備え、前記第2の剛体の密封ハウジング部材が、前記第1の剛体の密封ハウジング部材の前記ポートと整列するポートを有し、前記第1の剛体の密封ハウジング部材と前記第2の剛体の密封ハウジング部材の間に前記曲げ材が挟まれている、請求項13から14のいずれか一項に記載のロードロック組立体。
【請求項20】
質量分析システムであって、
開口を有する第1の壁を伴う真空チャンバと、
前記真空チャンバの中のXYステージと、
対向した第1の端部と第2の端部を有して長手方向に延在する貫通チャネルを伴うロードロックチャンバを備えるロードロックチャンバ組立体と
を備え、前記ロードロックチャンバが、前記真空チャンバの前記第1の壁の内側にあるかまたは隣接する前記第1の端部で前記真空チャンバの前記第1の壁に取り付けられており、前記ロードロックチャンバ組立体が、
前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に結合されたドアと、
前記ロードロックチャンバの前記第1の端部の一部分を形成するポートを備える剛体の密封ハウジング部材と、
前記ロードロックチャンバのハウジングおよび前記剛体の密封ハウジング部材に結合された曲げ材であって、前記剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周、および前記剛体の密封ハウジング部材の前記ポートと整列する開口を備える曲げ材と
を備える、質量分析システム。
【請求項21】
(i)前記剛体の密封ハウジング部材が、前記ポートのまわりに延在するチャネルを伴う外側に面する表面を備え、前記剛体の密封ハウジング部材が、前記チャネルにおいて、Oリングを前記チャネルの外部へある距離だけ突出させて保持し、前記XYステージが、摺動自在に前記Oリングと係合して前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を密封する密封接触面を伴うスライド保持具を備え、任意で
前記密封接触面が、横長であって、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、前記スライド保持具の凹部に向かう方向に角度が下がる外表面とを有する、および/または
(ii)前記曲げ材が薄いステンレス鋼板を備え、前記外周が、前記ロードロックチャンバの前記ハウジングのフランジの開口と整列する間隔を置いた複数の開口を備え、任意選択でピンである固定部材が、整列した前記開口を通って延在して前記真空チャンバの前記第1の壁に取り付けられる、および/または
(iii)前記貫通チャネルが横方向次元において横長であり、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
XYステージを試料分析測定器のロードロックチャンバと整列させる方法であって、セットアップ中または設置中に、
収集真空チャンバから、前記XYステージのスライド保持具を前記ロードロックチャンバの中に挿入することと、
前記挿入に応答して、シール組立体カートリッジを、公称位置から、左右および/または上下に、セルフセンタリングされる第2の位置まで移動させて、前記スライド保持具の密封接触面と整列させることと、
次いで、前記シール組立体カートリッジを、前記ロードロックチャンバのハウジング上の固定位置にしっかりと取り付けて、前記XYステージと整列した操作位置を与えることと
を含む、整列させる方法。
【請求項23】
分析用の試料を扱う方法であって、該方法は、
対向した第1の端部と第2の端部を伴うロードロックチャンバを有する質量分析計を設けることであって、前記第1の端部が、収集真空チャンバの中に、または隣接して存在し、前記第2の端部が、前記第1の端部から間隔を置いて存在し、ドアを有する、質量分析計を設けることと、
前記ドアが前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して密封可能に閉じている間に、XYステージのスライド保持具を前記収集真空チャンバから前記ロードロックチャンバに挿入することと、
前記スライド保持具の密封接触面が前記ロードロックチャンバの前記第1の端部の密封接触面と係合したとき、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を前記収集真空チャンバから自動的に密封することと、
前記ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることと、
前記ドアを開くことと、
前記ロードロックチャンバの前記第2の端部からスライドを挿入して、前記ロードロックチャンバ内の前記スライド保持具と係合させることと、
前記ドアを閉じて前記ロードロックチャンバを密封することと、
前記ロードロックチャンバを真空圧まで真空引きすることと、
前記ドアが閉じられて前記ロードロックチャンバが減圧下の状態で、前記スライド保持具を前記スライドとともに前記真空チャンバの中へ引っ込ませることと
を含み、さらに、
(i)セットアップ中または設置中に、
前記収集真空チャンバから、XYステージの前記スライド保持具を前記ロードロックチャンバの中に挿入することと、
前記挿入に応答して、シール組立体カートリッジを、公称位置から、左右および/または上下に、セルフセンタリングされる第2の位置まで移動させて、前記スライド保持具の前記密封接触面と整列させることと、
次いで、前記シール組立体カートリッジを、前記ロードロックチャンバの前記ハウジング上の固定位置にしっかりと取り付けて、前記XYステージと整列した操作位置を与えることとを含む、および/または
(ii)前記通気口をつけることおよび/または前記真空引きに応答して、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部上の曲げ材を曲げることを含み、前記曲げ材が、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部上の剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周を備え、前記曲げ材が前記チャンバと整列する開口を備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、あたかも内容の全体が本明細書で詳述されたかのように参照によって本明細書に組み込まれている2018年2月13日出願の米国仮特許出願第62/629,746号の利益および優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は分析測定器に関し、質量分析計に特に適切であり得る。
【背景技術】
【0003】
質量分析計は、試料をイオン化し、次いで形成されたイオンの収集の質量対電荷比を判定するデバイスである。周知の質量分析器の1つである飛行時間型質量分析計(TOFMS)では、イオンの質量対電荷比は、パルス電界および/または静電界の影響下でイオンがイオン源から検知器まで伝送されるのに必要な時間によって判定される。TOFMSにおけるスペクトル品質は、無電界ドリフト領域へと加速する前のイオンビームの初期条件を反映する。具体的には、同一質量のイオンの、異なる運動エネルギーおよび/または空間における異なるポイントからの加速をもたらすあらゆる要因により、スペクトル分解能が低下することによって質量精度が失われる。マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)は、質量分光分析用の気相生体分子イオンを生成するための周知の方法である。MALDI-TOFのための遅延引き出し法(DE)の開発により、MALDIベース測定器の高分解能動作が実現した。DE-MALDIでは、レーザによってトリガされるイオン化イベントとTOF源領域に対する加速パルスの印加の間に短い遅延が付加される。高速の(すなわち高エネルギーの)イオンは低速のイオンよりも遠くへ移動することになり、それによって、エネルギー分布を、イオン化したときのものから、加速時の(抽出パルスを印加する以前のイオン化領域における)空間分布に変換する。
【0004】
米国特許第5,625,184号、米国特許第5,627,369号および米国特許第5,760,393号を参照されたい。Wileyら、Time-of-flight mass spectrometer with improved resolution、Review of Scientific Instruments、vol.26、no.12、1150~1157頁(2004年)、M.L.Vestal、Modern MALDI time-of-flight mass spectrometry、Journal of Mass Spectrometry、vol.44、no.3、303~317頁(2009年)、Vestalら、Resolution and mass accuracy in matrix-assisted laser desorption ionization-time-of-flight、Journal of the American Society for Mass Spectrometry、vol.9、no.9、892~911頁(1998年)およびVestalら、High Performance MALDI-TOF mass spectrometry for proteomics、International Journal of Mass Spectrometry、vol.268、no.2、83~92頁(2007年)も参照されたい。これらの文献の内容は、あたかも全体が本明細書において詳述されたかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、試料分析用の真空チャンバに接続されたロードロックチャンバを有する質量分析システムを対象とするものである。
【0006】
ロードロックチャンバが含み得る薄い曲げ材は、真空チャンバからロードロックチャンバを密封するために密封接触面と協働することができる。
【0007】
本発明の実施形態は、遅延引き出し(DE)マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)の飛行時間型質量分析計(TOF MS)を対象とするものである。飛行管は、約0.4m~約1mの長さを有することができる。しかしながら、任意選択で、より長い飛行管またはより短い飛行管が使用され得る。
【0008】
本発明の実施形態は試料分析システム用のロードロック組立体を対象とするものである。組立体は、ロードロックチャンバを有するハウジングを含む。ロードロックチャンバは、長手方向に対向した第1の端部と第2の端部、貫通チャネル、第2の端部に結合されたドア、ならびに第1の端部に結合されたシール組立体カートリッジを有する。シール組立体カートリッジは、ロードロックチャンバのハウジングに取り付けられた密封ハウジング部材を含む。密封ハウジング部材は、ロードロックチャンバの第1の端部に、貫通チャネルの一部分を形成するポートを含む。シール組立体カートリッジは第1の公称位置を有し、それによって、ハウジングに対して左右および/または上下に浮動することができ、また第1の公称位置からオフセットされ得る第2の操作位置を有し、それによって、XYステージの真空密封接触面とのセルフセンタリング整列が可能になる。
【0009】
密封ハウジング部材は、ロードロックチャンバの内部の壁の貫通開口と整列する間隔を置いた複数の開口を有することができる。固定部材が、壁を通って密封ハウジング部材の開口の中へ長手方向に延在して、ロードロックチャンバのハウジングにシール組立体カートリッジを取り付けることができる。シール組立体カートリッジは、固定部材が緩んでいるとき第1の公称位置にあり得、固定部材が締められたとき第2の操作位置にあり得る。
【0010】
ロードロック組立体は、Oリングを間に挟んで密封ハウジング部材に結合されたリテーナ部材を含むことができる。Oリングは、密封ハウジング部材の外部にある距離だけ突出することができる。
【0011】
貫通チャネルは、横方向次元において横長であり得、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う。
【0012】
密封ハウジング部材は、ポートの全体の周囲のまわりに溝を有し得、溝とポートはどちらも横方向次元において横長であり得、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う。
【0013】
ロードロックチャンバのハウジングは、ロードロックチャンバの第1の端部に、凹部を囲むフランジを有し得る。凹部には密封ハウジング部材が存し得る。
【0014】
ロードロックチャンバのチャネルは、高さを上回る横幅を有し得、容積は1cc~100ccであり得る。
【0015】
ロードロック組立体は、ロードロックチャンバと連通する少なくとも1つの弁をさらに含み得、ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることおよび/または真空を与えることができる。
【0016】
ドアがロードロックチャンバの第2の端部に対して枢動可能に取り付けられ得、ロードロックチャンバの第2の端部に対して密封可能に閉じることができる。
【0017】
ロードロック組立体は、第1の歯車に結合されたシャフトを有するモータをさらに含むことができ、第1の歯車は、ドアを自動的に開閉するようにドアに取り付けられている第2の歯車と係合する。
【0018】
第2の歯車はドアに取り付けられたアームに結合され得る。第2の歯車が3つの側面のみを有する本体を有し得、3つの側面のうちの1つは外周に歯車の歯があり、60~120度の角度範囲を有する。
【0019】
ロードロック組立体は、密封接触面の表面を有するスライド保持具を伴うXYステージと組み合わされ得る。シール組立体カートリッジが第1の公称位置にあるとき、シール組立体カートリッジにスライド保持具を挿入してスライド保持具の密封接触面と係合させると、固定部材が締められる前に、シール組立体カートリッジを第2の操作位置へ押し進めることができる。
【0020】
スライド保持具の密封接触面の表面は横方向次元において横長であり得、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、スライド保持具の凹部に向かう方向に先細りになる外表面とを有し得る。
【0021】
密封ハウジング部材には、間隔を置いて8~12の開口があり得る。密封ハウジング部材は、停留部材の開口と整列して間隔を置いた複数の開口をさらに含むことができ、これらを通って固定部材が延在する。停留プレートを通って延在する固定部材は、外部の対向するヘッドを有し得、ロードロックチャンバの壁に取り付けられた固定部材よりも短いものであり得る。
【0022】
ロードロック組立体がさらに含み得る第1および第2の横方向に横長のOリングが、密封ハウジング部材の、長手方向に間隔を置いて対向した第1および第2の端部に保持されており、ロードロックチャンバのドアに面する第1の端部に保持された第1のOリングが、第2の端部に保持された第2のOリングよりも大きく、停留部材が、第2のOリングおよび密封ハウジング部材の前記第2の端部に結合される。停留部材が含み得る開口が、密封ハウジング部材の第2の端部における開口と整列する。複数のロードロックチャンバ固定部材が、密封ハウジング部材の第1の端部における開口を通って延在することができる。組立体は、停留部材の開口を通って密封ハウジング部材の第2の端部へと延在する複数の停留部材固定部材も含むことができる。停留部材固定部材はロードロックチャンバ固定部材よりも短いものであり得る。
【0023】
他の実施形態は質量分析システムを対象とするものである。このシステムは、開口を有する第1の壁を伴う真空チャンバと、真空チャンバの中のXYステージと、ロードロックチャンバを伴うハウジングを備えるロードロックチャンバ組立体とを含む。ロードロックチャンバが含む長手方向に延在した貫通チャネルは、対向した第1の端部と第2の端部を有する。ロードロックチャンバは、真空チャンバの第1の壁の内側にあるかまたは隣接する第1の端部で真空チャンバの第1の壁に取り付けられている。ロードロックチャンバ組立体は、ロードロックチャンバの第2の端部に密封可能かつ解放可能に結合されたドアと、ロードロックチャンバの第1の端部の一部分を形成するポートを備えるシール組立体カートリッジとをさらに含む。シール組立体カートリッジは第1の公称位置を有し、それによって、ロードロックチャンバ組立体のハウジングに対して左右および上下に浮動することができる。シール組立体カートリッジは、XYステージの真空密封接触面との係合に応答して第1の公称位置からオフセットされ得る第2の操作位置を有し、それによってXYステージ密封接触面とのセルフセンタリング整列をもたらす。
【0024】
シール組立体カートリッジは、ロードロックチャンバのハウジングに結合された密封ハウジング部材を含むことができる。密封ハウジング部材は、ポートのまわりに延在するチャネルを伴う真空チャンバに面する表面を有することができる。密封ハウジング部材のチャネルにはOリングが存し得、Oリングは密封ハウジング部材のチャネルの外部にある距離だけ突出するように保持され得る。カートリッジは、このOリングを間に挟んで密封ハウジング部材に結合された停留部材も含むことができる。XYステージが有し得る、密封接触面を伴うスライド保持具が、摺動自在にOリングと係合してロードロックチャンバの第1の端部を密封する。
【0025】
密封ハウジング部材の周囲のまわりの位置に、間隔を置いて8~12の開口があり得る。固定部材がこれらの開口を通って延在し得、浮動を可能にするように、緩んだ状態でロードロックチャンバの内壁セグメントに取り付けられ得る。固定部材は、締められ得、シール組立体カートリッジをロードロックチャンバのハウジングに対して第2の操作位置にしっかりと取り付ける。
【0026】
ロードロックチャンバのハウジングが有し得るフランジは、貫通チャネルを通って接近できる壁セグメントを伴う凹部を囲み、間隔を置いた貫通開口を備える。フランジは真空チャンバの第1の壁に取り付けられ得る。凹部にはシール組立体カートリッジの密封ハウジング部材が存し得、固定部材が、壁セグメントの貫通開口を通って密封ハウジング部材の開口の中へ延在する。XYステージの密封接触面は横長であり得、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、スライド保持具の凹部に向かう方向に角度が下がる外表面とを有する。ロードロックチャンバの貫通チャネルは、横方向次元において横長であり得、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う。
【0027】
シール組立体カートリッジは、ロードロックチャンバの内部の壁の貫通開口と整列する間隔を置いた複数の開口を伴う密封ハウジング部材を有し得る。固定部材が、壁を通って密封ハウジング部材の開口の中へ長手方向に延在して、ロードロックチャンバのハウジングにシール組立体カートリッジを取り付けることができる。シール組立体カートリッジは、固定部材が緩んでいるとき第1の公称位置にあり得、固定部材が締められたとき第2の操作位置にあり得る。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態は、分析用の試料を扱う方法を対象とするものである。この方法は、対向した第1の端部と第2の端部を伴うロードロックチャンバを有する質量分析計を設けることであって、第1の端部が、収集真空チャンバの中に、または隣接して存在し、第2の端部が、第1の端部から間隔を置いて存在し、ドアを有する、質量分析計を設けることと、ドアがロードロックチャンバの第2の端部に対して密封可能に閉じている間に、XYステージのスライド保持具を収集真空チャンバからロードロックチャンバに挿入することと、スライド保持具の密封接触面がロードロックチャンバの第1の端部の密封接触面と係合したとき、ロードロックチャンバの第1の端部を収集真空チャンバから自動的に密封することと、ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることと、ドアを開くことと、ロードロックチャンバの第2の端部からスライドを挿入して、ロードロックチャンバ内のスライド保持具と係合させることと、ドアを閉じてロードロックチャンバを密封することと、ロードロックチャンバを真空圧まで真空引きすることと、ドアが閉じられてロードロックチャンバが減圧下の状態で、スライド保持具をスライドとともに真空チャンバの中へ引っ込ませることとを含む。
【0029】
この方法は、スライドにおける試料またはスライド上の試料を分析することをさらに含むことができる。試料は、約2000~約20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって1つまたは複数の微生物が存在するかどうかを判定するように分析され得る。
【0030】
この方法は、セットアップ中または設置中に、収集真空チャンバから、XYステージのスライド保持具をロードロックチャンバの中に挿入することと、挿入に応答して、シール組立体カートリッジを、公称位置から、左右および/または上下に、セルフセンタリングされる第2の位置まで移動させて、スライド保持具の密封接触面と整列させることと、次いで、シール組立体カートリッジを、ロードロックチャンバのハウジング上の固定位置にしっかりと取り付けて、XYステージと整列した操作位置を与えることとを含み得る。
【0031】
この方法は、通気口をつけることおよび/または真空引きに応答して、ロードロックチャンバの第1の端部上の曲げ材を曲げることを含み得る。曲げ材は、ロードロックチャンバの第1の端部上の剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周を有し得る。曲げ材はチャンバと整列する開口を備える。
【0032】
さらに他の実施形態は、試料分析システム用のロードロック組立体を対象とするものである。組立体は、長手方向に対向した第1の端部と第2の端部および貫通チャネルを有するロードロックチャンバと、第2の端部に結合されたドアと、第1の端部に結合されたシール組立体とを含む。シール組立体は、ロードロックチャンバのハウジングに結合された剛体の密封ハウジング部材を含む。剛体の密封ハウジング部材は、ロードロックチャンバの第1の端部に、貫通チャネルの一部分を形成するポートを有し得る。シール組立体は、ロードロックチャンバのハウジングと剛体の密封ハウジング部材とに結合された曲げ材も含むことができる。曲げ材は、剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周を有し、剛体の密封ハウジング部材のポートと整列する開口を有する。
【0033】
曲げ材は材料の薄板であり得る。曲げ材の外周は、ロードロックチャンバのハウジングのフランジの開口と整列する間隔を置いた複数の開口を有し得る。
【0034】
剛体の密封ハウジング部材は、ポートのまわりに延在するチャネルを伴う外側に面する表面を有し得る。剛体の密封ハウジング部材は、チャネルにおいて、Oリングをチャネルの外部へある距離だけ突出させて保持することができる。
【0035】
ポートは、横方向次元において横長であり得、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う。
【0036】
外側に面する表面のチャネルとOリングは、ポートの全体の周囲のまわりに延在することができ、どちらも横方向次元において横長であり得、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う。
【0037】
ロードロックチャンバのハウジングは、ロードロックチャンバの第1の端部に、凹部を囲むフランジを有し得る。フランジには曲げ材が取り付けられ得る。凹部には剛体の密封ハウジング部材が存し得る。
【0038】
ロードロックチャンバの貫通チャネルは、高さを上回る横幅を有し得、容積は1cc~100ccであり得る。
【0039】
組立体は、ロードロックチャンバと連通する少なくとも1つの弁を有し得、ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることおよび/または真空を与えることができる。
【0040】
ロードロック組立体のドアは、ロードロックチャンバの第2の端部に対して枢動可能に取り付けられ得、ロードロックチャンバの第2の端部に対して密封可能に閉じることができる。
【0041】
ロードロック組立体は、第1の歯車に結合されたシャフトを有するモータを含むことができ、第1の歯車は、ドアを自動的に開閉するようにドアに取り付けられている第2の歯車と係合する。
【0042】
第2の歯車はドアに取り付けられたアームに結合され得、第2の歯車が3つの側面のみを有し得、3つの側面のうちの1つは外周に歯車の歯があり、60~120度の角度範囲を有する。
【0043】
ロードロック組立体は、摺動自在にOリングと係合してロードロックチャンバの第1の端部を密封する密封表面を備えるスライド保持具を伴うXYステージと組み合わされ得る。
【0044】
密封表面は横方向次元において横長であり得、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、スライド保持具の凹部に向かう方向に先細りになる外表面とを有し得る。
【0045】
剛体の密封ハウジング部材は第1の剛体の密封ハウジング部材であり得、ロードロック組立体は、第1の剛体の密封ハウジング部材に結合された第2の剛体の密封ハウジング部材をさらに含むことができる。第2の剛体の密封ハウジング部材は、第1の剛体の密封ハウジング部材のポートと整列するポートを有し得る。第1の剛体の密封ハウジング部材と第2の剛体の密封ハウジング部材の間に曲げ材を挟むことができる。
【0046】
さらに他の実施形態が対象とする質量分析システムは、開口を有する第1の壁を伴う真空チャンバと、真空チャンバの中のXYステージと、対向した第1の端部と第2の端部を有して長手方向に延在する貫通チャネルを有するロードロックチャンバを伴うロードロックチャンバ組立体とを含むものである。ロードロックチャンバは、真空チャンバの第1の壁の内側にあるかまたは隣接する第1の端部で真空チャンバの第1の壁に取り付けられている。ロードロックチャンバ組立体は、ロードロックチャンバの第2の端部に結合されたドアと、ロードロックチャンバの第1の端部の一部分を形成するポートを備える剛体の密封ハウジング部材と、ロードロックチャンバのハウジングおよび剛体の密封ハウジング部材に結合された曲げ材であって、剛体の密封ハウジング部材の上や下に延在する外周を備える曲げ材とをさらに含むことができる。曲げ材は、剛体の密封ハウジング部材のポートと整列する開口を含む。
【0047】
剛体の密封ハウジング部材は、ポートのまわりに延在するチャネルを伴う外側に面する表面を有し得る。剛体の密封ハウジング部材は、チャネルにおいて、Oリングをチャネルの外部へある距離だけ突出させて保持することができる。XYステージが有し得る、密封接触面を伴うスライド保持具が、摺動自在にOリングと係合してロードロックチャンバの第1の端部を密封する。
【0048】
密封接触面は横長であり得、横方向に間隔を置いて対向したアーチ形の端部を伴う周囲と、スライド保持具の凹部に向かう方向に角度が下がる外表面とを有し得る。
【0049】
曲げ材は薄いステンレス鋼板であり得る。外周は、ロードロックチャンバのハウジングのフランジの開口と整列する間隔を置いた複数の開口を有し得る。ピンまたは他の取付け部材が、整列した開口を通って延在し、真空チャンバの第1の壁に取り付けられる。
【0050】
貫通チャネルは、横方向次元において横長であり得、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う。
【0051】
さらに他の実施形態は、セットアップ中または設置中にXYステージを試料分析測定器のロードロックチャンバと整列させる方法を対象とするものである。この方法は、収集真空チャンバから、XYステージのスライド保持具をロードロックチャンバの中に挿入することと、挿入に応答して、シール組立体カートリッジを、公称位置から、左右および/または上下に、セルフセンタリングされる第2の位置まで移動させて、スライド保持具の密封接触面と整列させることと、次いで、シール組立体カートリッジを、ロードロックチャンバのハウジング上の固定位置にしっかりと取り付けて、XYステージと整列した操作位置を与えることとを含む。
【0052】
試料は、約2000~約20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって、1つまたは複数の微生物が存在するかどうかを判定するように分析され得る。
【0053】
試料は、約2000~20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって、1つまたは複数の異なるタイプのバクテリアおよび/または真菌が存在し得るかどうかを判定するように分析され得る。
【0054】
この方法は、シグナルに基づいて試料の中の微生物またはタンパク質を識別することを含むことができる。
【0055】
当業者には、本発明のさらなる特徴、利点および詳細が、図と、それに続く望ましい実施形態の詳細な説明とを読み取ることから認識されるはずであり、そのような説明は本発明の単なる例証である。
【0056】
1つの実施形態を参照しながら説明された本発明の態様は、特に関連して説明されなくても別の実施形態に組み込まれ得ることが注意される。すなわち、任意の実施形態のすべての実施形態および/または特徴は、任意のやり方および/または組合せにおいて組み合わされ得る。したがって、出願人は、従属すべき元来出願された請求項を補正すること、および/または元来そのように請求されていなくともあらゆる他の請求項のあらゆる特徴を組み込むことができる権利を含めて、あらゆる元来出願された請求項を変更する権利またはあらゆる新規の請求項を出願する権利を留保するものである。本発明のこれらおよび他の目的および/または態様は、以下で明らかにされる仕様において詳細に説明される。
【0057】
特許または出願のファイルは、少なくとも1つのカラー印刷された図面を含有している。この特許または特許出願の刊行物の、カラー図面を伴うコピーは、請求して必要な料金を支払えば官庁によって提供されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1A】本発明の実施形態による例示的質量分析システムの前部の側面斜視図である。
図1B】本発明の実施形態による図1Aに示された例示的質量分析システムの前面の部分斜視図である。
図1C】本発明の実施形態による図1Aに示された質量分析システムの、内部構成要素を図示するために外壁を除去した前面の部分斜視図である。
図2A】本発明の実施形態による運用モジュールを図示する質量分析システムのブロック図である。
図2B】本発明の実施形態による、図2Aに示されたモジュールのいくつかまたはすべてを備える試料分析測定器を部分的に透視した側面斜視図である。
図2C】本発明の実施形態による、図2Aに示されたモジュールのいくつかまたはすべてを備える試料分析測定器を部分的に透視した側面斜視図である。
図3A】装填の準備ができた構成で示された、本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムおよびロードロックチャンバの側面斜視図である。
図3B図3Aに示された構成要素の側面図である。
図4A】本発明の実施形態による装填構成において示された、図3Aに示されたスライド取扱いシステムおよびロードロックチャンバの側面斜視図である。
図4B図4Aに示された構成要素および構成の側面図である。
図5A】本発明の実施形態による図3Aに示されたスライド取扱いシステムおよびロードロックチャンバの、スライドがXYステージに移されてロードロックドアを閉じた構成を示す側面斜視図である。
図5B図5Aに示された構成要素および構成の側面図である。
図6A】本発明の実施形態によるシール組立体カートリッジを図示する、ロードロックチャンバ組立体の別の実施形態の端面図である。
図6B】本発明の実施形態による図6Aに示されたロードロックチャンバ組立体の上面図である。
図7図6Aに示されたロードロックチャンバ組立体の部分的分解組立図である。
図8A】本発明の実施形態によるシール組立体カートリッジのロードロック側の図である。
図8B】本発明の実施形態による図8Aに示されたシール組立体カートリッジの真空チャンバ側の図である。
図8C】本発明の実施形態によって動作中に印加され得る予測応力を図示する色分けされたミーゼス応力プロット(N/mm(MPa))を伴う、図8Bに示されたシール組立体カートリッジの真空チャンバ側の図である。
図8D】本発明の実施形態によって動作中に印加され得る予測たわみを図示する色分けされたたわみプロット(URES、mm)を伴う、図8Bに示されたシール組立体カートリッジの真空チャンバ側の図である。
図9A】本発明の実施形態による、XYステージに結合されたシール組立体カートリッジを伴うロードロック組立体を伴うロードロックチャンバの側面斜視図である。
図9B】本発明の実施形態によるロードロックチャンバ組立体の断面図である。
図10A】本発明の実施形態によるXYステージの上面図である。
図10B図10Aに示されたXYステージの側面斜視図である。
図10C】本発明の実施形態によるXYステージのX軸構成要素の上面斜視図である。
図10D】本発明の実施形態によるXYステージのY軸構成要素の上面斜視図である。
図11A】本発明の実施形態によるXYステージのスライド保持具の真空密封接触面の頂部の拡大斜視図である。
図11B】本発明の実施形態による図11Aに示されたスライド保持具の、スライドを保持した状態の側面斜視図である。
図12】本発明の実施形態によるシールカートリッジの部分組立品のハウジングの一部分の側面図である。
図13A】本発明の実施形態によるロードロックチャンバ組立体の端部の側面斜視図である。
図13B図13Aに示されたロードロックチャンバ組立体の側面斜視図である。
図13C図13Bに示されたがドアを閉じた状態で示されるロードロックチャンバ組立体の側面斜視図である。
図14】本発明の実施形態による質量分析計の中のスライドの測定器内部収納ラックに隣接したロードロックチャンバ組立体の側面斜視図である。
図15】本発明の実施形態によって分析用の試料を扱う方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
次に、本発明が、本発明の実例となる実施形態を示す添付図面を参照しながら以下でより十分に説明される。類似の番号は類似の要素を指し、類似の要素の異なる実施形態は、異なる数の標識アポストロフィ(たとえば10、10’、10’’、10’’’)を使用して指定され得る。
【0060】
図では、明瞭さのために、ある特定の層、構成要素または特徴が誇張されることがあり、破線は、特に指定がない限り任意選択の特徴または動作を図示するものである。「図(FIG.)」および「図(Fig.)」という用語は、出願および/または図面において「図(Figure)」という語と区別なく使用される。しかしながら、この発明は様々な形態で具現され得、本明細書で明らかにされた実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全になるように提供されるものであり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるはずである。
【0061】
本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層および/または区分を説明するために第1、第2、などの用語が使用されることがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または区分は、これらの用語によって制限されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層または区分と、別の領域、層または区分を区別するためにのみ使用されるものである。したがって、以下で議論される第1の要素、構成要素、領域、層または区分は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層または区分と称され得る。
【0062】
「の下に(beneath)」、「より下に(below)」、「底部の(bottom)」、「下部の(lower)」、「より上に(above)」、「上部の(upper)」等の空間的相対語は、本明細書では、説明の容易さのために、1つの要素または特徴の、図において図示されるような別の要素または特徴との関係を説明するように使用され得る。空間的相対語が、図に表された配向に加えて使用中または動作中のデバイスの異なる配向を包含するように意図されていることが理解されよう。たとえば、図中のデバイスが反転されると、他の要素または特徴「より下に」または「の下に」と説明された要素は、その後、他の要素または特徴「より上に」配向されることになる。したがって、「より下に」という例示的用語は、「より上に」、「より下に」、および「の後ろに(behind)」といった配向を包含することができる。デバイスは別様に(90°回転されて、または他の配向において)配向されてよく、本明細書で使用された空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0063】
「約」という用語は、言及された値の±20%の範囲の数値を指す。
【0064】
本明細書で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、明示的に別段の定めをした場合を除き複数形も含むように意図されている。「含む」、「備える」、「含んでいる」および/または「備えている」といった用語は、本明細書で使用されたとき、明示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在や付加を排除するものではないことがさらに理解されよう。ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と称されるとき、他の要素に直接接続または結合されてよく、あるいは介在要素が存在してもよいことが理解されよう。「および/または」という用語は、本明細書で使用するとき、関連する列記された項目のうち1つまたは複数の、ありとあらゆる組合せを含む。
【0065】
特に別の定義がなければ、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、この発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。一般に使用される辞書において定義されているものなどの用語は、本明細書および関連技術の状況における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されなければ、理想化された意味または過度に形式的な意味には解釈されないことがさらに理解されよう。
【0066】
「シグナル収集時間」という用語は、試料を分析するために質量分析計の検知器から単一試料の質量スペクトルのデジタル信号が収集されるかまたは獲得される時間を指す。
【0067】
「時間遅延」および「遅延時間」という用語は区別なく使用され、遅延引き出しのための、レーザフラッシュ(点火/伝送)とイオン抽出の間、すなわちイオン化と加速の間の時間を指す。
【0068】
いくつかの実施形態では、質量分析計は約2,000~約20,000ダルトンの質量範囲の試料からイオンシグナルを取得するように構成されている。
【0069】
「パス」という用語は、1つのスペクトルの収集、たとえばスポットにわたる1回の完全なスイープを指す。「ショット」という用語は単一スペクトルの生成および収集を指す。
【0070】
「試料」という用語は、分析される物質を指し、広範囲の分子量の任意の媒体であり得る。いくつかの実施形態では、試料はバクテリアまたは真菌など微生物の存在に関して評価される。しかしながら、試料は、毒素または他の化学薬品を含む他の構成物質の存在に関して評価され得る。
【0071】
「実質的に同一の」という用語は、ピーク分解能を参照するときには、一般的には2kDa~20kDa、3kDa~18kDa、および/または約4kDa~12kDaの目標範囲にわたるスペクトルが、定義された焦点質量のピーク分解能の10%以内の分解能を有することを意味する。焦点質量の例は4kDa、8kDa、12kDaおよび18kDaである。
【0072】
試料分析装置に関しての「テーブルトップ」という用語は、標準的なテーブルトップまたはカウンタトップ上に適合し得る、かつ/またはたとえば約1フィート×6フィートの長さ寸法での幅および一般的には約1~4フィートの高さ寸法を有するテーブルトップなどのテーブルトップと同等のフットプリントを占める、比較的コンパクトなユニットを指す。いくつかの実施形態では、システムは、28インチ~14インチ(W)×28インチ~14インチ(D)×38~28インチ(H)の密閉箱またはハウジングの中に存する。
【0073】
「モジュール」という用語は、定義された機能性を実行するハードウェアまたはファームウェア、ハードウェアおよびファームウェア、あるいはハードウェア(たとえばコンピュータハードウェア)またはソフトウェアコンポーネントを指す。
【0074】
図1Aおよび図1Bは、例示的質量分析システム10を図示するものである。示されるように、質量分析システム10が含むハウジング10hは、前面壁10f、ユーザインターフェースを有する表示器10dおよび少なくとも1つの試料標本ポート15を有し、試料標本ポート15は、図1Aでは1つのポートとして、図1Bでは2つの並んだポートとして示されており、スライドを連続的に受け取り、かつ/または出力するような寸法設定および構成であるが、3つ以上のポートが使用されてもよい。それぞれのポート15は、分析用の標本スライド「S」(図3A)のための、入口専用ポート、出口専用ポート、または入口と出口の両方のポートとして構成され得る。図1Aに示されるように、システム10は、テーブルトップT上に存し得るテーブルトップユニットとしての寸法設定および構成が可能である。
【0075】
図1Cは、分析器の構成要素(すなわちイオン化装置、TOF管(使用される場合)および検知器)なしで、質量分析システム10のいくつかの内部構成要素を図示するものである。示されるように、システム10は、スライド保持具25を有するロボット20と、真空チャンバ60の壁60wに結合されたロードロックチャンバ組立体50と、XYステージ70とを含み得る。「ロボット」という用語は広く使用されており、それぞれのスライドSを質量分析システム10における様々な位置に沿って自動的に移動させることができる多自由度の電気機械システムを指す。ロボット20が有し得るアーム20aは、一般的には図1Bに示されるようにハウジング10hの内部の前の隅10cの位置において取付けブラケット20pに付けられており、定義された位置移動を実行する。
【0076】
以下でさらに論じられるように、ロードロックチャンバ組立体50が有するロードロックチャンバ55の開いたチャネル55cは、スライドSを摺動自在に受け取ることができ、密封可能に閉じられ得る。ロードロックチャンバ55は、チャネル55cと流体連通している1つまたは複数の弁56によって減圧下に置かれ得(または通気口をつけられ得)、スライドSは、真空チャンバ60の真空を損なうことなく、またはわずかな圧損で、真空チャンバ60に対して出し入れされることが可能になる。図3Aに示された実施形態では、たとえばガス抜き用と真空源156(たとえば図13B)への接続用の2つの専用弁56がある。しかしながら、ガス抜きおよび真空引き(図示せず)を実行するために二方弁または三方弁が使用され得る。
【0077】
図2は、質量分析システム10内または同システム上に含まれ得る例示的運用モジュール100(モジュール100nとして識別され、nは数的識別子である)を図示する。モジュール100は、ユーザインターフェース(UI)モジュール100、電源モジュール100、主要な電子機器モジュール100(1つまたは複数の高電圧電源V、デジタイザ、および抽出パルサを有する)、スライドI/Oモジュール100、ロードロックモジュール100、飛行管モジュール100、少なくとも1つの真空ポンプ107を有する真空モジュール100、少なくとも1つのレーザ108を有するレーザ光学モジュール100、および温度管理モジュール100を含み得る。少なくとも1つの真空ポンプ107は粗引き真空ポンプ107およびターボポンプ107を含み得る。ターボポンプ107は収集真空チャンバ60にのみ直接接続され得るが、粗引きポンプ107は、ロードロックチャンバ55cおよび任意選択で収集真空チャンバ60にも直接接続され得る。
【0078】
図2Bおよび図2Cは、図2Aに示された運用モジュール100および関連した構成要素のいくつかまたはすべてを含む測定器10を図示するものである。粗引きポンプ107は、比較的コンパクトな内部空間においてターボ真空ポンプ107より下に存し得る。
【0079】
測定器10は、外部空気が測定器に入るのを阻止するため、および/または試料がユニット10内にある間に外部供給源からの汚染を阻止するために、(減圧下の真空チャンバおよびロードロックチャンバの外部で)正圧に保たれ得る。「正圧」という用語は、空気が換気用通気口および/またはハウジングの外板もしくはケースにおける何らかの開口から流入することなく流出するように、測定器の外の気圧よりも高い圧力を指す。測定器10における1つまたは複数のファン(一般的にはフィルタを伴う)は、正圧を生成するために使用され得る。
【0080】
図1Cおよび図2Aに示されるように、たとえば、ロードロックチャンバ55は真空チャンバ60の壁60wに取り付けられている。真空チャンバ60の中には、XYステージ70とともに、生成されたイオンまたはレーザビームを導くバックバイアスプレート61、抽出プレート62、集束イオン光学部品63、偏向板64、およびプリズム65などの電子的操作可能な構成要素がある。真空チャンバ60は高電圧(HV)分圧器66も含有し得る。当業者には周知のように、プリズム65はレーザビームを導くことができ、プレート61、62が、生成されたイオンを導くことができる。図2Aおよび図2Cにおいて、レーザ光学部品は「L」と称され、イオン光学部品は「I」と称される。
【0081】
図3Aおよび図3Bは、ロードロック部材組立体50のドア57が開き、開いたチャネル55cが露出し、ロボット20およびスライド保持具25が移転高さにあってロードロックハンドオフの準備ができている状態を図示するものである。XYステージ70のスライド保持具72(たとえば図9B)は既にチャンバ55内の適切な位置にあり、真空チャンバ60の真空圧を維持するためにロードロックチャンバ組立体50に対して密封されている。アーム20aは、z軸方向の移転高さにおいて回転して、この運用上の構成の入力位置に対して位置決めされる。スライド保持具25は、少なくともスライドの長手方向がグリップ25gの前方に延びて解放されているようにする端部グリップ25gを含むことができる。この構成により、スライドSを、XYステージ70の整列したスライド保持具72に挿入するのが容易になり得る(図4A図4B)。スライド保持具25(すなわちグリッパ25g)は、スライドSをスライド保持具72に放して、定位置に引っ込むことができる(図5A図5B)。
【0082】
図13Bを参照して、ロードロックチャンバ55は比較的コンパクトな構成を有することができ、ドア57に隣接するスライド挿入/抜取り端から真空チャンバ60の壁60wにおける端部55e(すなわち壁60wに面するフランジ55fの前部または内表面)まで延在する約75mm~約95mmの範囲の長さLと、約40mm~60mmの範囲の高さHとを有する。開いたチャネル55cは横方向に横長または細長であり得、すなわち高さが幅よりも小さい。
【0083】
図4Aおよび図4Bは、ロボットアーム20aとスライド保持具25のスライド移転の構成/位置を図示するものである。動作において、XYステージ70がスライド移転のための適切な位置にあって、スライド保持具72がロードロックチャンバ55のチャネル55cの中に延びた状態で、真空シール組立体200(図8A図9A)の真空シール200s(図9A)がスライド保持具72と係合し、ロボット20および/またはハウジングの前部10fに面するチャンバ55cの端部においてドア57が閉じられて密封される。弁56のうち第1の弁が開いてロードロックチャンバ55に大気への通気口をつけることができ、次いでロードロックドア57が開かれ得、スライドハンドラアーム20aは、スライド保持具25をチャンバ55cの中へ延ばすことができ、スライドSをXYステージ70のスライド保持具72(図11A)に放すことができる。
【0084】
図5Aおよび図5Bは、ロボット20、スライド保持具25およびロードロックチャンバ組立体50の別の運用上の構成を図示するものである。示されるように、スライドハンドラ25を有するアーム20aがロードロックチャンバ55から離れて引っ込められ、ドア57がロードロックチャンバ55に対して密封可能に閉じられている。弁56の第2の弁は開かれており、ロードロックチャンバ55は、一般的には真空チャンバ60の適切な圧力の範囲内の所望の圧力まで真空ポンプ(すなわち図13Bのポンプ107)によってポンピング/真空引きされ得る。
【0085】
真空計G(図2のモジュール100の中にあり得る)は、監視を自動化して、所望の圧力が達成されたとき、XYステージ70によってスライド保持具72を真空チャンバ60の中へ移動させるために使用され得る。一旦、ロードロックチャンバ55内の真空が適正値になると、ドア57をロードロックチャンバ55に対して密封可能に閉じたまま、XYステージ70が、スライド保持具72をロードロックチャンバ55から取り出して真空チャンバ60の中へ移動させることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、装填/密封位置におけるロードロックチャンバ55と真空チャンバ60の間の真空圧にステップがあり得る。たとえば、ロードロックチャンバ55が、ドア57を開いて大気に通じ、収集真空チャンバ60からは密封された状態で、試料スライドSが外部からロードロックチャンバ55に装填される。次いで、ロードロックチャンバ55は、ドア57を閉じることによって外部から密封され、ロードロックチャンバ組立体50上の弁56を開くことにより中間圧力レベル(一般的には気圧よりも低いが、収集チャンバ60内の圧力よりも高い)まで粗引きされる。次いで弁56が閉じられる。ロードロックチャンバ55は、外部と収集真空チャンバ60の両方から密封され、収集チャンバをより低い動作圧に保ったまま、ロードロックチャンバ55を中間圧力に置く。試料ステージ70が収集チャンバ60の中に引っ込められ、ロードロックチャンバ55と収集チャンバ60の間の密封が破られる。2つのチャンバ55と60はもはや流体連通状態にあり、そのため、収集チャンバ60には、以前に密封されたロードロックチャンバ55からの空気の流入によって瞬時の圧力スパイクが生じ得る。真空チャンバ60の中の圧力は、比較的短い時間の後に再び作動レベルに到達する。
【0087】
しかしながら、他の実施形態では、ロードロックチャンバ55は収集チャンバ60以下の圧力まで真空引きされ得る。
【0088】
図3A図4Aおよび図5Aに示されたシーケンスは、分析後のスライドSをハウジング10hの内部の収納ラック10r(図14)または出口ポート15(図1A)に取り出すために逆にされ得る。
【0089】
ロードロックチャンバ組立体50は、フランジ55fによって真空チャンバ60の壁60wに取り付けられ得る。フランジ55fは、収集真空チャンバ60に面するロードロックチャンバ55の端部55e(図6A図7)の周囲のまわりである距離だけ外側へ延在することができる。一般的には、フランジ55fは壁60wの外表面に取り付けられ、任意選択で壁60wに直接取り付けられる。壁60wは、ハウジング10hの前面壁10fに面し得る(図1A)。壁60wは、ロードロックチャンバ55のフランジ55fと密封式に係合することができるOリング160を保持する溝または隆起60gを有することができる(図7)。
【0090】
ロードロックチャンバ組立体50のドア57は、ユーザ入力および/または手動力を必要とせずに動作する自動ドアであり得る。示されるように、ドア57およびロードロックチャンバ55は高さに対して横方向に細長いものであり得る。ドア57は、Oリングまたはガスケットなどのシール部材57sを伴う内表面を有することができる。ロードロックチャンバ組立体50が含み得るステッピングモータ58のシャフト58sが、第2の歯車59と係合する第1の歯車58gを回転させてドア57を自動的に開閉する。
【0091】
図9Aおよび図9Bは、レール上をスライドしてロードロックチャンバ55の外側に面する端部を開閉することができるドア57’の別の例を図示するものである。
【0092】
図6Aおよび図13Aに示されるように、制御回路110は、ステッピングモータ58に隣接して取り付けられ得るプリント回路基板112上に少なくとも部分的に存在し得、少なくとも1つの弁56を開閉してドア57を開閉するための自動電子制御をもたらすことができる。
【0093】
図8A図8D図9Aおよび図9Bを参照して、ロードロックチャンバ組立体50のシール組立体カートリッジ200が示されている。この実施形態では、シール組立体カートリッジ200は、曲げ材165と、開ポート205pを伴う第1の密封ハウジング部材205と、チャネル206からはみ出し得るOリング210(または他のシール部材)を保持してポート205pの周囲のまわりに延在するチャネル206とを含む。第1の密封ハウジング部材205は剛体であり得、曲げ材165は、固体の(不通気性の)単一層または多層の部材であり得、正常動作条件下で通気および真空引きに関連した圧力変化にさらされたとき曲がる(たわむ)ことができるように、より低い構造的硬直性を有し得る。
【0094】
図9Aを参照して、曲げ材165は、第1のハウジング部材205とロードロックチャンバのハウジング55hの間の適切な位置に存する。曲げ材165は、第1の密封ハウジング部材205とロードロックチャンバ55のフランジ55fの間に存し得る。曲げ材165は、間隔を置いた開口165aを伴う周囲を有することができる。真空チャンバ60の壁60wに曲げ材165をしっかりと取り付けるためにピン166が使用され得る。曲げ材165は、第1の密封ハウジング205および/または密封ハウジングのポート205pの高さを上回る高さ「h」を有することができる。曲げ材165は、ポート205pに対応する形状寸法の横に細長い開口167を有することができる。
【0095】
曲げ材165は、たとえばステンレス鋼板、すなわちダイヤフラムなどの薄い材料の単一層部材もしくは多層部材であり得、またはこれらを備えることができ、割高な正側許容差の構成要素を必要とすることなく、機構部品の過剰制約を解消し得る。「薄い」という用語は約0.00001mm~約2mmの厚さを指す。
【0096】
図8Aおよび図8Bは、第1の密封ハウジング部材205の対向面および曲げ材165の対向面を図示するものである。図8Aは、ロードロックチャンバの接面を示し、真空チャンバ60にロードロックチャンバ55を付けるために固定部材155が使用され得ることを図示するものである。固定部材155は、ドア57が開いているときロードロックチャネル55cを通じて接近可能なねじ頭155hを伴うねじであり得る(図6A)。図8Cはミーゼス応力プロット(N/mm(MPa))を図示するものであり、図8Dはたわみプロット(URES、0.00mm~0.02mm)であって、曲げ材165のポート205pのあたりのたわみおよび応力を予測する有限要素解析から、曲げ材165の最大たわみおよび最大応力はポート205pに隣接したところに見られ、曲げ材165の周囲165pにはたわみがない(降伏応力は、いくつかの特定の実施形態における約207MPaなど、いくつかの実施形態では100MPa~500MPaであり得る)。
【0097】
図8A図8Bおよび図9Bは、シール組立体カートリッジ200に含まれ得る第2の密封ハウジング215が、曲げ材165を間に挟んで第1の密封ハウジング205に結合され得ることを図示するものである。図9Bは、ロードロックチャンバ55の主要なハウジング55hの凹部55rの中に第2の密封ハウジング215が存し得ることを図示するものである。
【0098】
図6A図6Bおよび図7は、シール組立体カートリッジ200’の別の実施形態を図示するものである。示されるように、シール組立体カートリッジ200’が含む密封ハウジング部材215は、Oリング210またはガスケットなど他の密封部材を間に挟んで停留部材1165に結合され、それぞれの(横に細長い)開ポート215p、210p、1165pが、整列してロードロックチャンバ55cの一部分を形成し、かつ/またはロードロックチャンバ55cに付着する。
【0099】
図7および図12に示されるように、密封ハウジング部材215は、収集真空チャンバに面する表面に、Oリング210を保持する溝215gを含むことができる。密封ハウジング部材215および停留部材1165が含み得る協働する開口215aと1165aのセットは、構成要素215と1165をカートリッジ部分組立品として一緒に取り付けることができる固定部材219の第1のセットと整列する。固定部材219のヘッド219hは真空チャンバ60の方へ外に向くことができる。
【0100】
示されるように、密封ハウジング部材215はまた、ドアに面する表面に、Oリング1210または他の密封部材を保持する溝216gを含むことができる。溝216は第1の溝215gと同心であり得、Oリング1210は第1のOリング210よりも大きな周囲サイズを有し得る。
【0101】
密封ハウジング部材215は、ポート215に隣接してまわりに延在している壁セグメントのまわりの間隔を置いた開口215bの第2のセットを含むことができる。固定部材155は、(ドア57が開いているとき)チャンバ55cを通って、ハウジング55hのへこんだ部分55rに接近した貫通チャネル55cを通って接近可能な壁55wの貫通開口55a(図6A)の中へ延在することができる。凹部55rには密封ハウジング部材215が存し得る(図6B)。固定部材155は、整列したとき、カートリッジ組立体200’を密封ハウジング部材215の壁55wの開口215bに取り付けるために使用され得る。開口215bの第2のセットは、開口215aの第1のセットよりもポート215pに近くすることができる。チャンバ55cを通って挿入され得る固定部材155は、停留部材1165および密封ハウジング部材215の反対側に取り付けられた固定部材219を越える長さを有し得る。図7に示されるように、固定部材219は固定部材155よりも多数であり得るが、同数またはより少数でもあり得る。固定部材219、155の数は、4~12、より一般的には8~12であり得、それぞれ10および8として示されており、等間隔であり得る。固定部材の他の数も使用され得る。
【0102】
固定部材155は、シール組立体カートリッジ200’を、XYステージのスライド保持具72に対する第1の公称位置に保持することができ、その後に締められて、第1の公称位置に対して左右および/または上下にオフセットされ得る固定された第2の操作位置を与える。いくつかの実施形態では、シール組立体カートリッジ200’は、固定部材155のねじが緩んでいるが密封ハウジング215または205に取り付けられているとき、取り付け面において左右および上下に0.1mm~0.5mm、一般的には約±0.3mmの遊びといったいくらかの移動能力を一般的には有し得る。すなわち、上/下および左/右に合計0.6mmの調整範囲があり得る。固定部材155が有し得るシャフト155sは、ねじ切りされているのはサブ部分155tのみであり、一般的には、ねじ切りされているのはシャフトの長さの50%未満である。
【0103】
ロードロックハウジング55hは、固定部材166によって収集真空チャンバ60に対して正確に配置され得る(図7図9A図9B)。
【0104】
シール組立体カートリッジ200、200’によって与えられる真空シール200sは、設置において浮動することができる。次いで、XYステージ70がロードロックチャンバの密封位置に移動され得、これによって、真空シール200sが、密封ハウジング205もしくは215またはシール組立体カートリッジ200、200’によって移動され得、スライド保持具の密封接触面72sと整列する。次いで、開いたドア57を通じてロードロックチャンバ55に接近することにより、固定部材または取付け部材155が締められ得る。ロードロックチャンバ組立体50は、他の設計と比較して、使用するOリングシールおよび構成要素の数を減らすことができる。
【0105】
図9Bおよび図12は、チャネル206または溝215gが、圧縮されていないときにOリング210がはみ出ることを許す一方でOリング210を閉じ込めることができるパーカーあり継ぎの断面構成を有し得ることを図示するものである。Oリング210は、いくつかの特定の実施形態では50~90のショアA硬度を有し得る。
【0106】
シール組立体カートリッジ200、200’は、2~10ポンドの線形のシール力/インチを有するように構成され得る。半径R(図12)は、約20%の所望のつぶし代のための1/8の公称断面および約0.111~0.113のグランド深さLでは、(OリングサイズAS568A、201~284について)約0.010であり得る。半径Rは、寿命を延ばし、摩耗を低減し、または組立体損傷を阻止するために重要であり得る。また、半径が大きすぎると使用中に望ましくないはみ出しが生じる恐れがある。R1はRよりも大きく、0.005インチ~約0.25インチでよく、たとえば、いくつかの実施形態では約0.03インチでよい。
【0107】
Oリング210は、スライド保持具72の密封表面72sと接触すると、チャネル206または溝215gと密封表面72sの間で一般的には約20%圧縮され得、適切な真空シール200sを形成する。いくつかの実施形態では、Oリング210は(横方向に細長い)横長でよく、チャネル206または溝215gにおいて、4~6インチの、一般的には約4インチ、約4.5インチおよび約5インチなど、約4~5インチの横方向に延在する周囲長さを有し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、60AデュロメータのOリングについては、真空シール組立体200は、約20%の圧縮をもたらす5ポンド/線形インチのシールを有するように構成され得る(5ポンド/インチ×4.49インチ=22ポンド)。しかしながら、他の力および異なるデュロメータのOリングが使用され得ることが企図されている。たとえば、高デュロメータのOリングはより大きいシール力を使用することができる。他の密封接触面および構成が使用され得ることも企図されている。
【0109】
次に図10A図10Dを参照して、例示的XYステージとこれの構成要素が示されている。図10Aが図示するXYステージ70の装填/ロック/密封の構成では、スライド保持具72は、X方向に延び、走査中心位置75に関連した開口75aに対して横へY方向に移動されている。図10Bが図示するスライド保持具72は、X方向に引っ込み、図10Aに示された位置に対して、走査中心75の開口75aの近くへ横方向に移動されている。
【0110】
図10Cは、XYステージ70の例示的Xステージ構成要素70Xを図示するものである。示されるように、これらは、xステージ(x軸)ステッピングモータの親ねじ駆動装置170、モータ取付け台171、X/Yセンサおよび相互接続PCB 173、Xステージ往復台174、ベースプレート175、ならびにXステージベアリングおよびブロック176を含む。
【0111】
図10Dは、XYステージ70の例示的Yステージ構成要素70Yを図示するものである。示されるように、これらは、yステージ(y軸)モータ、接地フレックスケーブル177、yステッピングモータ親ねじ駆動装置178、yステージ往復台179、yステージベアリングおよびブロック180、Xステージ往復台部材(Yモータ取付け台が組み込まれている)181、Yホームフラグ182、Xホームフラグ183、ならびにセンサおよび相互接続PCB 173を含む。
【0112】
図11Aおよび図11Bは、スライド保持具72の気密面/接触面72sの拡大図である。示されるように、この気密面72sは、拡大した真空シール面積をもたらすため、および/またはシール組立体カートリッジ200、200’を介したロードロックチャンバ55cとのセルフセンタリング整列を可能にして接触面200sに適した真空シールをもたらすために、角を成してよい。この表面72sは電気研磨され得、この統合気密面72sを有する単一ピースの一体型ステンレス鋼スライド保持具72として形成されてよく、複数構成要素設計の組合せ交差を低減するかまたは解消することができる。
【0113】
(真空/ロードロックチャンバ)の気密面72s(区別なく密封接触面とも記述されることが知られている)は、スライド保持具72の全体の周囲のまわりに横方向へ延在することができ、横方向次元において間隔を置いて放射状に延在する対向したアーチ形の端部を有し得る。この全体の半径気密面72sは、長方形の密封する周囲のとがった角の膨らみを解消することによって密封するために必要な圧力低下をもたらすことができる。
【0114】
気密面72sは、それぞれのスライドSの端部を保持するスライド保持具72の凹部領域72rから約0.1インチ~約1インチの距離だけ間隔を置いて長手方向に存し得る(図11B)。
【0115】
スライド保持具72は、スライド保持具72の凹部72rに保持されたスライド捕獲扁平形状ばね172を備えることができる。ばね172は、スライド保持具25(図1A)によって滑らせて出し入れするのを容易にするために、テーパの前端部172tとともに、上方へ延在する屈曲突起172pを備えることができる。適切な扁平形状ばねは、マサチューセッツ州テュークスベリーのSpring Manufacturing Corporationから市販されている。スライドSは、スライド間で、スライドの高さを一致させるために、先端部から装填する(先端部のテーパエンド172tから滑り込ませる)ことができる。切欠き172fにより、スライドを取り出すためにスライドを指でつかむのが容易になり得る。
【0116】
図13A図13Cを参照して、ロードロック組立体50をさらに説明する。示されるように、ロードロック組立体50は、組立体50用の制御回路110の少なくとも一部分を有するプリント回路基板112を含む。ロードロック組立体50は、第1の歯車58gに結合されるシャフト58sを伴うステッピングモータ58を含む。この歯車58gが、ドア57に取り付けられた第2の歯車59を回転させる。ステッピングモータ58はNEMA 11のフレームサイズのコンパクトなステッピングモータであり得(本体長さ2.01インチで、0.12Nmの保持トルクおよび10~22回転/秒の速度を有する)、任意選択で1.8度のステップ角を有する。ステッピングモータ58は、カリフォルニア州モーガンヒルのLin Engineering LLCから入手可能なコンパクトなステッピングモータ211-20-02であり得る。
【0117】
歯車58gから歯車59へは10:1の減速を有し得る。ドア57は、密封するための十分な力でロードロックチャンバ55のハウジング55hと容易にはめ合うように、コンプライアント平面刃ばねまたは他のコンプライアント部材(図示せず)に対して結合され得る。示されるように、第1の弁56は、ターボポンプ(図13Bの156)と流体連通する真空弁56vである。第2の弁56は、フィルタ(図示せず)に接続することができる大気への通気弁56aである。いくつかの実施形態では、弁本体56b(たとえば図13A)は、弁本体の1/2を収容するためのハウジングの機械加工を回避するために、そっくりチャンバハウジング55hの外部に存することができる。弁本体56bは円筒状でもよい。
【0118】
図13A図13Cに示されるように、第2の歯車59は、第1の歯車58gの上方にあって、45~180度の角度範囲βを伴う半円形の周囲を有することができる。いくつかの実施形態では、第2の歯車59は3つの側面のみを有し、そのうちの2つは垂直であり、3つの側面のうちの1つの外周には60~120度の角度範囲、より一般的には約90度の角度を有する歯車の歯59tがあって、第1の位置と第2の位置の間で回転してドアを開閉することができる。示されるように、十分に密封するための適切な力でドア57を開閉するために、角度範囲βは第1の位置と第2の位置の間で約90度である。ドア57が有し得るアーム157は、(閉位置のとき)1つまたは複数の固定部材157fによって第2の歯車59の上面に付けられる。
【0119】
図14が図示する質量分析システム10は、ハウジング10h内に存する(任意選択でドア57に隣接した)、分析前および/または分析後のスライドSを保持するための内部収納ラック10rを含み得る。収納ラック10rは、それぞれのスライドSを保持するための隔室11の縦の列を与えることができる。しかしながら、収納ラック10rは任意の適切な構成で設けられ得、隔室の縦の列を有する必要はない。いくつかの実施形態では、ラック10rは、16のスライド収納隔室を有することができる。いくつかの実施形態では、ユニット10は、幅×長さ×高さが0.7m×0.7m×1.1mといったコンパクトな寸法を有し得、ロードロックチャンバ55および/または真空チャンバ60に隣接したスライドS用の1つまたは複数の収納ラックのための内部空間は、約0.25m×0.3m×0.3mのフットプリントであり得る。
【0120】
図15は、質量分析計において分析する試料を扱うための例示的アクションの流れ図である。示されるように、対向する端部を有するロードロックチャンバを有する質量分析計が設けられており、第1の端部は、真空チャンバに隣接し、第2の端部は、第1の端部から間隔を置いて存在し、ドアを有する(ブロック300)。ドアがロードロックチャンバに対して密封可能に閉じている間に、XYステージのスライド保持具が、真空チャンバからロードロックチャンバの第1の端部に挿入される(ブロック310)。スライド保持具がロードロックチャンバの第1の端部の密封接触面と係合したとき、ロードロックチャンバが真空チャンバから自動的に密封される(ブロック320)。次いで、ロードロックチャンバは大気に通気口をつけられる(ブロック330)。ドアが開かれる(ブロック340)。ロードロックチャンバの第2の端部から、スライドが、ロードロックチャンバ内のスライド保持具と係合するように挿入される(ブロック350)。ドアが閉じられてロードロックチャンバを密封する(ブロック360)。ロードロックチャンバが真空圧まで真空引きされる(ブロック370)。ドアが閉じられてロードロックチャンバが減圧下の状態で、スライド保持具がスライドとともに真空チャンバの中に引っ込められる(ブロック380)。次いで、質量分析計によって真空チャンバの中で試料が分析される。
【0121】
ロードロックチャンバはコンパクトであり、高さが横幅未満であり、約1cc~約200cc(空)、より一般的には、約1cc~約100cc、たとえば約10cc、約15cc、約20cc、約25cc、約30cc、約35cc、約40cc、約45cc、約50cc、約55cc、約60cc、約65cc、約70cc、約75cc、約80cc、約85cc、約90cc、約95ccおよび約100ccであり得る小さい体積容量を有し得、貫通チャネルは(横方向次元において)横長の周囲形状を有し得る(ブロック302)。
【0122】
スライド保持具が有し得る角のある横長の気密面が、スライド保持具の内側の(真空チャンバに面する)端部の周囲のまわりに延在する(ブロック312)。
【0123】
密封接触面は、第1および第2の剛体の密封ハウジング部材と、真空チャンバに面するチャネルに保持された横長のOリングと、第1の密封ハウジング部材と第2の密封ハウジング部材の間に延在し、これらの周囲の外部にある距離だけ延在する形状の薄い曲げ材とを有し得、第1および第2の密封ハウジング部材のオープンセンタスペースと整列したオープンスペースを伴う(ブロック322)。
【0124】
密封接触面が含み得る複数の固定部材は、密封ハウジング部材を通って延在し、ドアが開いているときには、ロードロックチャンバの第2の端部を通して視覚的に接近可能である(ブロック325)。
【0125】
この方法はまた、測定器を試料分析モードで運転する前のセットアップ中または設置中に、ロードロックチャンバの中にスライド保持具を挿入することと、次いで、挿入に応答して、シール組立体カートリッジを上下または左右方向に移動してシール組立体カートリッジをセルフセンタリングしてスライド保持具の密封接触面と整列させることと、次いで、シール組立体カートリッジを、ロードロックチャンバのハウジング上の固定位置にしっかりと取り付けて、整列した操作位置を与えることとを含み得る。
【0126】
質量分析システム10はMALDI-TOF MSシステムであり得る。MALDI-TOFMSシステムは周知である。たとえば米国特許第5,625,184号、米国特許第5,627,369号、米国特許第5,760,393号、米国特許第6,002,127号、米国特許第6,057,543号、米国特許第6,281,493号、米国特許第6,541,765号、米国特許第5,969,348号および米国特許第9,536,726号を参照されたい。これらの内容は、あたかも全体が本明細書において詳述されたかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。最新のMALDI-TOF MSシステムは、大多数が、イオンの初期のエネルギー分布の悪いスペクトルの品質を緩和するために遅延引き出し法(たとえばタイムラグ集束法)を採用する。
【0127】
いくつかの実施形態では、分析用の(マトリクススライド上の)試料は、質量分析システム(任意選択で、真空チャンバの中にTOF飛行管を有し、レーザを備える、MALDI-TOF MSシステム)に導入される。それぞれの単一試料の分析中に、質量スペクトルを取得するために、レーザパルスが連続的に印加され得る。取得されたスペクトルに基づき、試料の中の物質(たとえば構成物質、生体分子、微生物、タンパク質)が識別される。TOF飛行管の長さは任意選択で約0.4m~約1.0mであり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、より長い飛行管またはより短い飛行管が使用され得る。
【0128】
MSシステム10は、任意選択で、TOF飛行管の長さが約0.8mのテーブルトップユニットであり得る。
【0129】
試料は患者からの生体試料を含むことができ、患者の医療評価のために、試料の中にバクテリアなどの定義されたタンパク質または微生物が存在するかどうかを識別するために識別ステップが実行され得る。
【0130】
この分析により、それぞれの試料の中に、バクテリアおよび/または真菌の約150(以上)の異なって定義された種のうちいずれかが存在するかどうかが、取得されたスペクトルに基づいて識別され得る。対象の質量範囲は約2,000~20,000ダルトンであり得る。
【0131】
質量分析システム10が含み得る患者記録のデータベースおよび/またはサーバは、クライアント-サーバ動作によるHIPPAルールおよび別々のユーザに関するアクセスを定義した特権に従うプライバシーアクセス制限を伴う電子カルテ(EMR)を含むことができる。
【0132】
前述のことは本発明の例証であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。この発明のいくつかの例示的実施形態が説明されてきたが、当業者なら、この発明の斬新な教示および利点から実質的に逸脱することなく例示的実施形態における多くの修正形態が可能であることを容易に認識するはずである。それゆえに、すべてのそのような修正形態がこの発明の範囲内に含まれることが意図されている。したがって、前述のことは本発明の例証であり、開示された特定の実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、開示された実施形態に対する修正形態ならびに他の実施形態が本発明の範囲内に含まれるように意図されていることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15