(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】車両のためのハイブリッドシステムおよびハイブリッドシステムを備える車両
(51)【国際特許分類】
F16H 3/66 20060101AFI20230724BHJP
B60K 6/365 20071001ALI20230724BHJP
B60K 6/405 20071001ALI20230724BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20230724BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20230724BHJP
【FI】
F16H3/66 B
B60K6/365 ZHV
B60K6/405
B60K6/48
B60K6/547
(21)【出願番号】P 2020569761
(86)(22)【出願日】2018-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2018065677
(87)【国際公開番号】W WO2019238225
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520485941
【氏名又は名称】ボルボ・コンストラクション・イクイップメント・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】VOLVO CONSTRUCTION EQUIPMENT AB
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】マットソン,ペール
(72)【発明者】
【氏名】レヒコイネン,マティアス
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-308705(JP,A)
【文献】特開平5-229350(JP,A)
【文献】特開2013-170658(JP,A)
【文献】特開2003-35341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/66
B60K 6/365
B60K 6/405
B60K 6/48
B60K 6/547
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド機械(200)とトランスミッション構成体(900)とを備えた、車両のためのハイブリッドシステム(100)であって、
前記トランスミッション構成体(900)が、トランスミッションハウジング(160)と入力シャフト(136)と出力シャフト(112)とを備え、
更に、前記トランスミッション構成体(900)が、第1の遊星ギアセット(102)と第2の遊星ギアセット(104)と第3の遊星ギアセット(106)とを備え、
前記第1の遊星ギアセット(102)と前記第2の遊星ギアセット(104)と前記第3の遊星ギアセット(106)との各々が、第1の遊星部材と第2の遊星部材と第3の遊星部材とを備え、前記遊星部材が、太陽ギアと遊星キャリアとリングギアとであり、
更に、前記トランスミッション構成体(900)が、6つの前進ギア段を実現するための、2つの組み合わせにより係合可能な5つのシフト要素(138、142、144、146、150)を備える、ハイブリッドシステム(100)において、
前記第1の遊星ギアセット(102)のリングギア(102R)と、前記第2の遊星ギアセット(104)の遊星キャリア(104P)とが互いに動作可能に接続され、
前記第2の遊星ギアセット(104)のリングギア(104R)と、前記第3の遊星ギアセット(106)の遊星キャリア(106P)とが互いに動作可能に接続され、
前記第3の遊星ギアセット(106)の2つの前記遊星部材が、前記シフト要素のうちの1つ(150)により互いに選択的に接続可能であり、
前記ハイブリッド機械(200)と、前記第1の遊星ギアセット(102)の前記リングギア(102R)とが互いに接続され
、
前記出力シャフト(112)が、前記第1の遊星ギアセット(102)の遊星キャリア(102P)に動作可能に接続された、
ことを特徴とするハイブリッドシステム(100)。
【請求項2】
前記トランスミッション構成体(900)の前記出力シャフト(112)に動作可能に接続された追加のトランスミッション構成体(600)を更に備える、請求項1に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項3】
前記追加のトランスミッション構成体(600)が、前記出力シャフト(112)に動作可能に接続された第1のギアホイール(602)と、前記トランスミッション構成体(900)からのトルクを、前記出力シャフト(112)と比較して垂直方向に低い位置まで導くために、前記第1のギアホイール(602)とかみ合って接続するように構成された第2のギアホイール(604)とを備える、請求項2に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項4】
前記入力シャフト(136)が、前記第3の遊星ギアセット(106)の太陽ギア(106S)に接続された、請求項1から
3のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項5】
前記トランスミッション構成体(900)が、太陽ギア(108S)と遊星キャリア(108P)とリングギア(108R)とを備える第4の遊星ギアセット(108)を更に備え、前記第4の遊星ギアセット(108)が、前記入力シャフト(136)と前記第3の遊星ギアセット(106)の前記太陽ギア(106S)との間に動作可能に接続された、請求項
4に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項6】
前記入力シャフト(136)が、前記第4の遊星ギアセット(108)の前記太陽ギア(108S)に動作可能に接続された、請求項
5に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項7】
前記入力シャフト(136)が、前記第4の遊星ギアセット(108)の前記遊星キャリア(108P)に選択的に接続可能である、請求項
5または
6に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項8】
前記第4の遊星ギアセット(108)の前記リングギア(108R)が、前記トランスミッションハウジング(160)に選択的に接続可能である、請求項
5から
7のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項9】
前記第4の遊星ギアセット(108)の前記遊星キャリア(108P)が、前記第3の遊星ギアセット(106)の前記太陽ギア(106S)に動作可能に接続された、請求項
5から
8のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項10】
前記第3の遊星ギアセット(106)の前記太陽ギア(106S)とリングギア(106R)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
9のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項11】
前記第3の遊星ギアセット(106)の前記太陽ギア(106S)と前記遊星キャリア(106P)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
9のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項12】
前記5つのシフト要素が、2つのロック機構(138、142)と3つの接続機構(144、146、150)とを備える、請求項1から
11のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項13】
前記第1の遊星ギアセット(102)の太陽ギア(102S)と前記第2の遊星ギアセット(104)の太陽ギア(104S)とが互いに動作可能に接続された、請求項1から
12のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項14】
前記第1の遊星ギアセット(102)の前記太陽ギア(102S)と前記トランスミッションハウジング(160)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
13のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項15】
前記第2の遊星ギアセット(104)の前記太陽ギア(104S)と前記トランスミッションハウジング(160)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
14のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項16】
前記第2の遊星ギアセット(104)の前記遊星キャリア(104P)と前記第3の遊星ギアセット(106)の前記リングギア(106R)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
15のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項17】
前記第3の遊星ギアセット(106)の前記リングギア(106R)と前記トランスミッションハウジング(160)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
16のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項18】
前記第3の遊星ギアセット(106)の前記太陽ギア(106S)と前記第2の遊星ギアセット(104)の前記遊星キャリア(104P)とが互いに選択的に接続可能である、請求項1から
17のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項19】
前記ハイブリッド機械(200)が、エネルギー貯蔵デバイス(202)に動作可能に接続された、請求項1から
18のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項20】
前記ハイブリッド機械(200)が、油圧機械と電気機械とのうちの1つである、請求項1から
19のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)。
【請求項21】
原動機と前記原動機に接続された駆動伝達経路とを備える車両であって、
前記駆動伝達経路が、請求項1から
20のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム(100)を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のためのハイブリッドシステムに関する。本発明は、更に、このようなハイブリッドシステムを備える車両に関する。本発明は、車両、特に作業用機械(working machine)、例えばホイールローダーに適用可能であるが、他の種類の作業用機械も考えられる。
【背景技術】
【0002】
工事現場における重量物の移送などに関連して、作業用機械が多くの場合に使用される。作業用機械は、道路またはトンネル建造物、砂採取場、鉱山、森林地、および同様の環境に関連して、移送のために使用される。したがって、作業用機械は、整備された道路が存在しない起伏の多い地域において、および滑りやすい地面の上で大きい重量物を伴って頻繁に動作させられる。
【0003】
より環境に優しい手法、例えば作業用機械の駆動伝達経路のハイブリッド化により作業用機械を推進させることができることに対して市場からの要求がある。このような駆動伝達経路は、原動機、ギアボックス、および、単独で、または原動機からの推進力と組み合わされて使用され得るハイブリッド機械、例えば液圧機械から構成され得る。原動機から車輪への数と同じとは限らないが、幾つかのギアがハイブリッド機械から車輪へと提供されるように、ハイブリッド機械がギアボックスに接続される。ギアの数、ならびに、ギア比およびステップは、使用される特定のハイブリッド機械に対して最適化される必要がある。最適化されたギアボックスを使用することで、ハイブリッド機械がその最も効率の高い範囲で動作する。牽引力および最高速度の所望の組み合わせが、限られた寸法のハイブリッド機械を使用して達成される。
【0004】
ギアボックスは、トランスミッション構成体(transmission arrangement)を備え、特定の種類のギアボックスに応じて、トランスミッション構成体は、例えば、互いにかみ合って接続した円柱ギアホイールを含む通常のギアセット、または、太陽ギアとリングギアと遊星キャリアとを備える遊星ギアセット、または、通常のギアセットと1つまたは複数の遊星ギアセットとの組み合わせを含むトランスミッションを備え得る。このようなトランスミッション構成体は、ハイブリッドシステムを実現するためにハイブリッド機械と組み合わされる。
【0005】
したがって、原動機による従来の推進の代わりとして、作業用機械の動作をハイブリッド化することができることに対する要望が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点を少なくとも部分的に解決するハイブリッドシステムを提供することが本発明の目的である。本目的は、請求項1に記載のハイブリッドシステムにより少なくとも部分的に達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様により、ハイブリッド機械とトランスミッション構成体とを備えた、車両のためのハイブリッドシステムであって、トランスミッション構成体が、トランスミッションハウジングと入力シャフトと出力シャフトとを備え、更に、トランスミッション構成体が、第1の遊星ギアセットと第2の遊星ギアセットと第3の遊星ギアセットとを備え、第1の遊星ギアセットと第2の遊星ギアセットと第3の遊星ギアセットとの各々が、第1の遊星部材と第2の遊星部材と第3の遊星部材とを備え、遊星部材が、太陽ギアと遊星キャリアとリングギアとであり、更に、トランスミッション構成体が、6つの前進ギア段を実現するための、2つの組み合わせにより係合可能な5つのシフト要素を備え、第1の遊星ギアセットのリングギアと第2の遊星ギアセットの遊星キャリアとが互いに動作可能に接続され、第2の遊星ギアセットのリングギアと第3の遊星ギアセットの遊星キャリアとが互いに動作可能に接続され、第3の遊星ギアセットの2つの遊星部材が、シフト要素のうちの1つにより互いに選択的に接続可能であり、ハイブリッド機械と、第1の遊星ギアセットのリングギアとが互いに接続された、車両のためのハイブリッドシステムが提供される。
【0008】
「~に動作可能に接続された」という表現は、以下で、および説明全体を通して、そのコンポーネントが互いに固く接続されるように、すなわち、互いに動作可能に接続されたコンポーネントの回転速度が同じであるように解釈されるべきである。したがって、互いに動作可能に接続されたコンポーネント間に接続機構などは配置されておらず、それらのコンポーネントは動作中に互いに係合解除されることができない。したがって、第1の遊星ギアセットのリングギアは、第2の遊星ギアセットの遊星キャリアに常に接続されている。
【0009】
更に、「~に選択的に接続可能である」という表現は、以下で、および説明全体を通して、ある要素が望ましい時点において別の要素に接続可能であると解釈されるべきである。これにより、トランスミッション構成体のギアシフトは、要素を相互に対して接続すること、または接続解除することにより実行され得る。コンポーネントは、接続/ロック機構により互いに選択的に接続可能であってよく、例えば制御ユニットなどにより制御されてもよい。接続/ロック機構が係合状態に配置されたとき、コンポーネントが互いに接続される。
【0010】
「~に接続された」という表現は、ハイブリッド機械が第1の遊星ギアセットのリングギアに直接的に、すなわち動作可能に接続されるか、または間接的に接続されるように解釈されるべきである。ハイブリッド機械は、通常のギアセットまたは遊星ギアセットである第1の遊星ギアセットのリングギアに、例えばクラッチまたはギア段を介して間接的に接続されてもよい。
【0011】
更に、ハイブリッド機械は、単独で、または原動機、例えば内燃エンジンと組み合わされて作業用機械を推進させることができる機械と解釈されるべきである。ハイブリッド機械は、更に、動作中にエネルギー貯蔵デバイスと一緒にエネルギーを蓄積および貯蔵するように構成されてもよい。ハイブリッド機械は、好ましくは油圧機械であってもよい。したがって、このような油圧機械は、作業用機械を推進させるときに油圧モーターとして動作するように、および、そうするための駆動状態が有利である場合、エネルギーの再生のために油圧ポンプとして動作するように構成されてもよい。以下で更に説明されるように、油圧機械は、油圧アキュムレータの形態をとるエネルギー貯蔵デバイスと流体連通して構成されてもよい。しかし、ハイブリッド機械は、代替的に電気機械であってもよい。このような電気機械は、作業用機械を推進させるときに電動モーターとして動作するように構成されてもよく、そうするための駆動状態が有利な場合、例えばエネルギーの蓄積のための電池に接続された発電機として構成されてもよい。
【0012】
車両はハイブリッドシステムとともに動作させられてもよく、結果として、より環境に優しい手法により推進されるという利点がある。本開示の発明者らは、特定のトランスミッション構成体が、環境に優しいハイブリッドシステムを形成するために、ハイブリッド機械と組み合わされて有利に使用されることに気付いた。ハイブリッド機械を第1の遊星ギアセットのリングギアに接続することにより、出力シャフトに対する様々なギア比が実現可能であり、このことが、作業用機械の様々な負荷サイクルに対して有利であり、高い車両速度におけるハイブリッド機械のスピード超過を防止し得る。別の利点としては、移動方向の反転がハイブリッドシステムを使用することでより滑らかとなり、更にブレーキの摩耗がより少なくなる。
【0013】
例示的な実施形態によると、ハイブリッドシステムは、トランスミッション構成体の出力シャフトに動作可能に接続された追加のトランスミッション構成体を更に備えてもよい。
【0014】
例示的な実施形態によると、追加のトランスミッション構成体は、出力シャフトに動作可能に接続された第1のギアホイールと、トランスミッション構成体からのトルクを、出力シャフトと比較して垂直方向に低い位置まで導くために、第1のギアホイールとかみ合って接続するように構成された第2のギアホイールとを備えてもよい。
【0015】
ギアボックスの入力シャフトと出力シャフトとの間の高さの差が実現され、このことが、ギアボックスを例えばホイールローダーに適したものにするという利点がある。
【0016】
例示的な実施形態によると、出力シャフトは、第1の遊星ギアセットの遊星キャリアに動作可能に接続されてもよい。
【0017】
例示的な実施形態によると、入力シャフトは、第3の遊星ギアセットの太陽ギアに接続されてもよい。
【0018】
「~に接続された」という表現は、入力シャフトが第3の遊星ギアセットの太陽ギアに直接的に、すなわち動作可能に接続されるか、または間接的に接続されるように解釈されるべきである。入力シャフトは、第3の遊星ギアセットの太陽ギアに、例えばクラッチを介して、ギア段を介して、または、以下で説明されるように第4の遊星ギアセットを介して間接的に接続されてもよい。
【0019】
例示的な実施形態によると、トランスミッション構成体は、太陽ギアと遊星キャリアとリングギアとを備える第4の遊星ギアセットを更に備えてもよく、第4の遊星ギアセットは、入力シャフトと第3の遊星ギアセットの太陽ギアとの間に動作可能に接続される。
【0020】
第4の遊星ギアセットは、トランスミッション構成体の第1の遊星ギアセット、第2の遊星ギアセット、および第3の遊星ギアセットと同様の構造により形成されている。遊星ギアセットは、好ましくは同軸的な様式により構成されてもよい。したがって、第4の遊星ギアセットと第3の遊星ギアセットとの間の相互接続は、比較的実現しやすいものである。
【0021】
例示的な実施形態によると、入力シャフトは、第4の遊星ギアセットの太陽ギアに動作可能に接続されてもよい。
【0022】
例示的な実施形態によると、入力シャフトは、第4の遊星ギアセットの遊星キャリアに選択的に接続可能であってよい。
【0023】
例示的な実施形態によると、第4の遊星ギアセットのリングギアは、トランスミッションハウジングに選択的に接続可能であってよい。
【0024】
例示的な実施形態によると、第4の遊星ギアセットの遊星キャリアは、第3の遊星ギアセットの太陽ギアに動作可能に接続されてもよい。
【0025】
これにより、特に第4の遊星ギアセットにおけるダブル遊星ギアの場合、前進/後退ギア機能は、第4の遊星ギアセットにより実現される。
【0026】
例示的な実施形態によると、第3の遊星ギアセットの太陽ギアとリングギアとが互いに選択的に接続可能であってよい。これにより、動力が、入力シャフトから第2の遊星ギアセットのリングギアに、第3の遊星ギアセットにおける動力再循環を伴わずに第3の遊星ギアセットの遊星キャリアを介して伝達される。
【0027】
例示的な実施形態によると、第3の遊星ギアセットの太陽ギアと遊星キャリアとは、互いに選択的に接続可能であってよい。これにより、動力が、入力シャフトから第2の遊星ギアセットのリングギアに、第3の遊星ギアセットをバイパスすることにより第3の遊星ギアセットの遊星キャリアを介して伝達される。
【0028】
例示的な実施形態によると、5つのシフト要素は、2つのロック機構と3つの接続機構とを備えてもよい。
【0029】
ロック機構は、例えば遊星ギアセットのうちの1つの遊星部材をトランスミッションハウジングにロックするシフト要素と解釈されるべきである。したがって、ロック機構が係合状態に配置されたとき、ロック機構に接続された遊星部材が静止状態に保持される。また一方では、接続機構は、例えば2つの遊星部材を互いに接続する、または、遊星部材を入力シャフトまたはトランスミッション構成体の出力シャフトに接続するシフト要素と解釈されるべきである。これにより、接続機構が係合状態に配置されたとき、接続機構のそれぞれの側における部材が同じ回転速度で回転する。ロック機構と接続機構とは滑る状態で配置されてもよく、結果的に、相対回転速度がそれに接続された部材間において実現される。
【0030】
例示的な実施形態によると、第1の遊星ギアセットの太陽ギアと第2の遊星ギアセットの太陽ギアとが互いに動作可能に接続されてもよい。
【0031】
例示的な実施形態によると、第1の遊星ギアセットの太陽ギアとトランスミッションハウジングとが互いに選択的に接続可能であってよい。
【0032】
例示的な実施形態によると、第2の遊星ギアセットの太陽ギアとトランスミッションハウジングとが互いに選択的に接続可能であってよい。
【0033】
例示的な実施形態によると、第2の遊星ギアセットの遊星キャリアと第3の遊星ギアセットのリングギアとが互いに選択的に接続可能であってよい。
【0034】
例示的な実施形態によると、第3の遊星ギアセットのリングギアとトランスミッションハウジングとが互いに選択的に接続可能であってよい。
【0035】
例示的な実施形態によると、第3の遊星ギアセットの太陽ギアと第2の遊星ギアセットの遊星キャリアとが互いに選択的に接続可能であってよい。
【0036】
例示的な実施形態によると、ハイブリッド機械が、エネルギー貯蔵デバイスに動作可能に接続されてもよい。これにより、ハイブリッド機械は、トランスミッション構成体を介して作業用機械を推進させるための動力が供給される。ハイブリッド機械は、更に車両が動力再生モードにおいて動作させられるとき、例えば下り坂を走行しているときなどに、エネルギー貯蔵デバイスに動力を再生するように構成されてもよい。
【0037】
例示的な実施形態によると、ハイブリッド機械は、油圧機械と電気機械とのうちの1つであってもよい。油圧機械は、例えば可変容量機械(variable displacement machine)であってもよい。油圧機械は好ましくは、オーバーセンター油圧機械を使用することにより、または、例えば適切な弁構成体の使用により、前進および後退駆動方向において動作可能であるべきであり、すなわち、両方の流れ方向において油圧流体の流れを供給すること、または受け取ることができるべきである。
【0038】
本発明の第2の態様により、原動機と原動機に接続された駆動伝達経路とを備える車両が提供され、駆動伝達経路は、第1の態様に関連した上述の例示的な実施形態のいずれか1つによるハイブリッドシステムを備える。
【0039】
第2の態様の効果および特徴は、第1の態様に関連してここまでに説明されているものに大部分は類似している。
【0040】
本発明の更なる特徴、および本発明に伴う利点が、添付の特許請求の範囲および以下の説明を検討することにより明らかとなる。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、以下で説明されるもの以外の実施形態を作るために本発明の異なる特徴が組み合わされてもよいことを理解する。
【0041】
〔定義〕
遊星ギアセットにおける異なる部材の回転速度の間の関係は、以下に従って定義される。
【0042】
【数1】
ここで、
ω
Sは、太陽ギアの回転速度であり、
ω
Pは、遊星キャリアの回転速度であり、
ω
Rは、リングギアの回転速度であり、
Rは、遊星ギアセットの静止ギア比(stationary gear ratio)である。
【0043】
本明細書において使用されるとき、遊星ギアセットに対する「静止ギア比」Rという表現は、遊星キャリアが静止した状況における、リングギアの回転速度に対する太陽ギアの回転速度の比と定義され、すなわち、
【数2】
であり、
【数3】
であり、
ここで、
z
Rは、リングギアの歯数であり、
z
Sは、太陽ギアの歯数である。
【0044】
同様の手法により、トランスミッションに対する「比」という表現は、トランスミッションの入力シャフトの回転数をトランスミッションの出力シャフトの回転数で除算したものに関連すると理解されるべきである。更に、「ステップ」という表現は、ギアの比をトランスミッションの隣接したギアの比で除算したときに得られる商を意味すると理解されるべきである。
【0045】
本発明の上述の、および更なる目的、特徴、および利点が、本発明の例示的な実施形態による以下の例示的で非限定的な詳細な説明を通して、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】ホイールローダーの形態による作業用機械を示す側面図である。
【
図2】本発明の例示的な一実施形態によるハイブリッドシステムを概略的に示す図である。
【
図3】本発明の別の例示的な実施形態によるハイブリッドシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、本発明の例示的な実施形態が示される添付図面を参照しながら、以下においてより完全に説明される。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は徹底および完全性のために提供される。説明を通して、同様の参照符号は同様の要素を表す。
【0048】
図1は、積み荷動作のための器具2を含むローダー車両1の形態による作業用機械の例示的な一実施形態を示す側面図である。
図1に示されるローダー車両1は、関節式ホイールローダーの形態をとる。「器具」という用語は、ローダー車両1上に配置された任意の種類の油圧動作式ツール、例えばバケット、フォークまたは把持ツールを包含することを意図したものである。
図1に示される器具2は、バケット3を備えており、該バケット3はそのバケット3を持ち上げる、および下げるための積荷ユニット組立体4に配置されている。バケット3は、更に、積荷ユニット組立体4に対して傾けられ、または旋回させられる。ローダー車両1は、少なくとも1つの油圧機械(図示されていない)、例えば油圧ポンプを有する油圧システムを備える。ローダー車両1は、積荷ユニット組立体4の持ち上げ動作のための油圧式持ち上げシリンダー5と、積荷ユニット組立体4に対してバケット3を傾けるための油圧式傾きシリンダー6とを更に備える。更に、油圧システムは、関節式ジョイント構成体12の実質的に鉛直な幾何学的軸10の周りにおける前部ユニット8と後部ユニット9との相対的な動きによりローダー車両1を方向転換させるための操縦シリンダー7a、7bを備える。前部ユニット8および後部ユニット9は、地面接触部材20、22のそれぞれのペアを備える。地面接触部材20、22は、例示的な実施形態において、それぞれ車輪のペアである。言い換えると、ローダー車両1は、操縦シリンダー7a、7bによりフレーム操縦される(frame-steered)。
【0049】
ここで、上述のローダー車両1に適した例示的な実施形態によるハイブリッドシステム100を概略的に示す
図2を参照する。ハイブリッドシステム100は、以下で更に説明されるように前進ギア段を実現するように構成されたトランスミッション構成体900を備える。トランスミッション構成体900は、太陽ギア102Sと遊星キャリア102Pとリングギア102Rとを備える第1の遊星ギアセット102と、太陽ギア104Sと遊星キャリア104Pとリングギア104Rとを備える第2の遊星ギアセット104と、太陽ギア106Sと遊星キャリア106Pとリングギア106Rとを備える第3の遊星ギアセット106とを備える。トランスミッション構成体900は、更にローダー車両1の原動機(図示されていない)から回転運動/トルクを受けるための入力シャフト136と、ローダー車両1の駆動される車輪に回転運動/トルクを伝動するための出力シャフト112とを備える。出力シャフト112は、続いて、更なるトランスミッション構成体600に動作可能に接続されている。
【0050】
ドロップボックスとも呼ばれ得る更なるトランスミッション構成体600は、互いにかみ合って接続するように構成された第1のギアホイール602と、第2のギアホイール604とを備える。第2のギアホイール604は、トランスミッションシャフト606に配置されている。トランスミッションシャフト606は、作業用機械の車輪に直接的に、または間接的に接続される。ドロップボックスにより、トランスミッション構成体900からのトルクが、垂直方向においてより低い位置まで伝達される。
図2はギアホイールの1つのペアのみを示すが、更なるトランスミッション構成体600は、互いにかみ合って接続するように構成された複数のギアホイールを備えてもよい。
【0051】
ハイブリッドシステム100は、ハイブリッド機械200を更に備える。ハイブリッド機械200は、好ましくは、作業用機械を推進させるための油圧モーターとして、または油圧動力を生成するための油圧ポンプとして動作するように構成される油圧機械(200)である。ハイブリッド機械200は、第1の遊星ギアセット102のリングギア102R、および、第2の遊星ギアセット104の遊星キャリア104Pに動作可能に接続されている。これにより、ハイブリッド機械は、トランスミッション構成体900に、および、更にトランスミッション構成体の出力シャフト112に推進力を提供し得る。
【0052】
図2に示される例示的な実施形態によると、ハイブリッドシステム100は、ハイブリッド機械200に接続されたエネルギー貯蔵デバイス202を備える。駆動状況に応じて、エネルギー貯蔵デバイス202は、ハイブリッド機械200から動力を受け取るように、または、ハイブリッド機械200に動力を供給するように構成される。ハイブリッド機械が油圧機械である場合、エネルギー貯蔵デバイス202は、好ましくは油圧アキュムレータである。
【0053】
トランスミッション構成体900の遊星ギアセット102、104、106の異なる部材、すなわち、太陽ギア、遊星キャリア、およびリングギアは、
図2に示される例示的な実施形態において、以下に従って構成される。以下で説明される異なる部材は、互いに直接的に、すなわち動作可能に接続され、または、接続機構を介して、すなわち選択的に接続可能であることが容易に理解される。部材は、例えばコネクタ要素により互いに動作可能に接続され得る。このようなコネクタ要素は、例えば、2つの部材を互いに接続するための、中実シャフト、中空シャフトまたはドラム、または他の適切な要素であり、これらの要素は当業者に知られている。したがって、部材を互いに接続する手段について、以下で明示的な説明はされない。
【0054】
第1の遊星ギアセット102の遊星キャリア102Pは、トランスミッション構成体900の出力シャフト112に動作可能に接続され、すなわち、遊星キャリア102Pは、トランスミッション構成体900の出力シャフト112に常に直接接続されている。更に、第1の遊星ギアセット102のリングギア102Rは、第2の遊星ギアセット104の遊星キャリア104Pに動作可能に接続されている。第1の遊星ギアセット102のリングギア102Rは、更に、第2の接続機構144により、第3の遊星ギアセット106の太陽ギア106S、および、トランスミッション構成体900の入力シャフト136に選択的に接続可能である。第1の遊星ギアセット102の太陽ギア102Sは、第2の遊星ギアセット104の太陽ギア104Sに動作可能に接続されている。更に、第1の遊星ギアセット102の太陽ギア102Sおよび第2の遊星ギアセット104の太陽ギア104Sは、第1のロック機構142により、トランスミッション構成体900のトランスミッションハウジング160に選択的に接続可能である。したがって、第1のロック機構142は、係合されたとき、最初に、それぞれの太陽ギア102S、104Sの回転速度を下げ、その後、それぞれの太陽ギア102S、104Sをトランスミッションハウジング160にロックする。
【0055】
第2の遊星ギアセット104のリングギア104Rは、第3の遊星ギアセット106の遊星キャリア106Pに動作可能に接続されている。更に、第2の遊星ギアセット104の遊星キャリア104Pは、第1の接続機構146により第3の遊星ギアセット106のリングギア106Rに選択的に接続可能である。
【0056】
第3の遊星ギアセット106の太陽ギア106Sは、入力シャフト136に動作可能に接続されている。第3の遊星ギアセット106のリングギア106Rは、第2のロック機構138によりトランスミッションハウジング160に選択的に接続可能である。したがって、第2のロック機構138は、係合されたとき、最初に、リングギア106Rの回転速度を下げ、その後、リングギア106Rをトランスミッションハウジング160にロックする。更に、入力シャフト136は、第3の接続機構150により第3の遊星ギアセット106のリングギア106Rに選択的に接続可能である。したがって、第3の遊星ギアセット106の太陽ギア106Sおよびリングギア106Rは、第3の接続機構150により互いに選択的に接続可能である。
【0057】
第3の接続機構150が、第3の遊星ギアセット106の太陽ギア106Sと遊星キャリア106Pとの間に、および、第3の遊星ギアセット106の遊星キャリア106Pとリングギア106Rとの間に、同じく同様に位置してよいことが容易に理解される。これは、
図3に関連して以下で説明される実施形態に対しても当てはまる。
【0058】
図2に示される例によると、トランスミッション構成体900は、下記の表1に示されるギアを担うように適応される。下記の表1において、および、本開示の残りの表に対して、ロック機構は、単に「ブレーキ」と表記されるのに対し、接続機構は、単に「クラッチ」と表記される。ドットでマークされたセルは係合状態を示し、空白セルは係合解除状態を示す。表は、更に、様々なギアに対してトランスミッション構成体900により実現可能なギア比およびステップの非限定的な例を示す。下記のすべての表に対して当てはまる非限定的な例によると、第1の遊星ギアセット102に対する静止ギア比は、-2.871であり、第2の遊星ギアセット104に対する静止ギア比は、-1.754であり、第3の遊星ギアセット106に対する静止ギア比は、-1.737である。
【0059】
【0060】
表1において確認されるように、
図2におけるトランスミッション構成体900は、6つの前進ギア段F1~F6を備え、6つのギア段の各々は、シフト要素のうちの2つを係合状態に配置することにより実現される。ギアの切換えは、好ましくは、1ステップギアシフトにより、または2ステップギアシフトにより実行される。1ステップギアシフトは、ギアシフトがあるギアから次に来る連続したギアに実行されること、例えば、第1のギア段から第2のギア段への、第2のギア段から第3のギア段への、第3のギア段から第2のギア段へのギアシフトなどを意味すると理解されるべきである。2ステップギアシフトは、ギアシフトが次に来る連続したギア段をとばすように実行されること、例えば、第1のギア段から第3のギア段への、第2のギア段から第4のギア段への、第3のギア段から第1のギア段へのギアシフトなどを意味すると理解されるべきである。
【0061】
表1から確認されるように、1ステップギアシフトは、接続機構およびロック機構の1つのシフトのみを含む。すなわち1ステップギアシフトを実行するとき、接続機構/ロック機構のうちの1つのみが、係合状態から係合解除状態にシフトされ、接続機構/ロック機構のうちの1つのみが、係合解除状態から係合状態にシフトさせられる。一例として、第1のギア段から第2のギア段にシフトするとき、係合状態から係合解除状態に変えられるのは第2のロック機構138のみであり、係合解除状態から係合状態に変えられるのは第1の接続機構146のみである。同様に、2ステップギアシフトも、接続機構およびロック機構の1つのシフトのみを含む。
【0062】
したがって、トランスミッション構成体の利点は、ギアシフト中に有効化/無効化を必要とする接続機構/ロック機構の数がより少ないので、シフト可能性が改善されることである。詳細には、1ステップギアシフト中と2ステップギアシフト中との両方において、1つのシフトのみが発生する。
【0063】
更に、ハイブリッド機械200は、
図2において、第1の遊星ギアセット102のリングギア102Rと、第2の遊星ギアセット104の遊星キャリア104Pとに動作可能に接続されている。これにより、下記の例示的な表2において提示されるように、出力シャフト112への3つの異なるギア比が、ハイブリッド機械200に対して実現可能となる。ギアF1~F4に対して、第1のロック機構142が係合され、第1の遊星ギアセット102の太陽ギア102Sが静止状態に保持される。したがって、ハイブリッド機械200は、ギアF1~F4用の出力シャフト112に対して固定のギア比となる。ギアF4~F6の場合、第2の接続機構144が係合され、ハイブリッド機械200が入力シャフト136に、および原動機に直接接続される。したがって、ハイブリッド機械200は、ギアF4~F6に対して、出力シャフト112に対して原動機と同じギア比となる。これにより、ハイブリッド機械200の回転速度を過大にするリスクが減る。
【0064】
【0065】
上述のように、トランスミッション構成体900は、前進ギア段を担う。したがって、更に後退ギア段を実現するために、入力シャフト136と第3の遊星ギアセット106との間に動作可能に接続された第4の遊星ギアセット108を説明するために
図3が参照される。第4の遊星ギアセット108は、太陽ギア108Sと遊星キャリア108Pとリングギア108Rとを備える。遊星キャリア108Pは、他の遊星キャリア102P、104P、および106Pに対するものと同様に多くの遊星ギアを支持する(図示されていない)。本例において、好ましくは、ダブル遊星ギアのセットが使用され、第4の遊星ギアセット108に対する正の静止ギア比を結果的にもたらす。トランスミッション構成体900は、第3のロック機構140の形態をとる更なるシフト要素140、および、第4の接続機構148の形態をとる追加のシフト要素148もまた備える。
【0066】
図3において確認されるように、第4の遊星ギアセット108の太陽ギア108Sは、入力シャフト136に動作可能に接続されている。遊星キャリア108Pは、第4の接続機構148により入力シャフト136に選択的に接続可能である。第4の遊星ギアセット108の遊星キャリア108Pは、更に、第3の遊星ギアセット106の太陽ギア106Sに動作可能に接続されている。最後に、第4の遊星ギアセット108のリングギア108Rは、第3のロック機構140によりトランスミッションハウジング160に選択的に接続可能である。したがって、第3のロック機構140は、係合されたとき、最初に、リングギア108Rの回転速度を下げ、その後、リングギア108Rをトランスミッションハウジング160にロックする。
【0067】
図3におけるハイブリッドシステム100は、下記の表3および表4において提示されているようにギア段を担うように適応されている。表3および表4において提示されている比およびステップは、非限定的な例とみなされるべきである。
【0068】
【0069】
【0070】
表3および表4において確認されるように、
図3に示されるトランスミッション構成体900は、6つの前進ギア段F1~F6および6つの後退ギア段R1~R6を担う。表3に示される非限定的な例によると、前進ギアF1~F6に対する比およびステップは、上記の表1に示されるものと同様である。これは、第3のロック機構140が係合解除状態に配置されること、および、第4の接続機構148が前進ギア段の各々に対して係合状態に配置されることに起因しており、第4の遊星ギアセット108上で1:1のギア比を結果的にもたらす。
【0071】
更に、第3のロック機構140が係合状態に配置され、第4の接続機構148が後退ギア段R1~R6の各々に対して係合解除状態に配置される。したがって、第4の遊星ギアセット108は、後退ギア段R1~R6を実現するように構成されている。非限定的な例として、第4の遊星ギアセット108に対する静止ギア比は、+2に選択され、第4の遊星ギアセット108上で1:-1のギア比を結果的にもたらす。したがって、後退ギア段R1~R6に対する比の絶対値は、前進ギア段F1~F6に対するものと同じである。
【0072】
1ステップギアシフトおよび2ステップギアシフトに関して、
図2並びに表1の説明に関連して行われる議論と同じ議論が、
図3並びに表3および表4において示される実施形態にも当てはまる。更に、
図2の説明に関連した上述のハイブリッド機械200の説明は、
図3に示される実施形態にも当てはまる。
【0073】
本発明は、上述の実施形態および図面に示される実施形態に限定されず、むしろ、多くの変形および変更が添付の請求項の範囲内において行われる可能性があることを当業者が認識することが理解される。例えば、本発明は主にホイールローダーに関連して説明されているが、本発明は、あらゆる種類の車両に対して等しく適用可能であると理解されるべきである。