(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】円形靴下類編機を用いて、二重層のインシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などを製造するための中間製品を作製する方法、及びこの方法を用いて得られた中間製品
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20230724BHJP
A41B 11/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
A43B23/02 101A
A41B11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020572827
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2019056666
(87)【国際公開番号】W WO2020025175
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】102018000007798
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】597009471
【氏名又は名称】ロナティ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,エットーレ
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,ファウスト
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,フランチェスコ
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0042340(US,A1)
【文献】特開2001-164405(JP,A)
【文献】特開2011-231428(JP,A)
【文献】特開2016-135251(JP,A)
【文献】特表2017-537238(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108506(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0311672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/02
A43B 1/04
A41B 11/00
D04B 1/00 - 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その軸芯が垂直であるように配置された針シリンダを備えた円形靴下類編機を用いて
、インシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などの製品を製造するための中間製品を作製する方法であって、
前記針シリンダは、針を夫々収容している複数の軸スロットを前記針シリンダの側面に有しており、少なくとも1つのドロップ又はフィードが前記針シリンダの周りに配置されており、編成品を形成すべく前記針によって係合可能な少なくとも1本の糸が前記少なくとも1つのドロップ又はフィードで供給され、前記少なくとも1つのフィードで糸を把持して編成ループを形成するために対応する軸スロットに沿って前記針を作動させる手段が設けられており、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針を選択する選択装置が設けられており、前記針シリンダは、前記少なくとも1つのフィードで供給される少なくとも1本の糸を使用して前記針の少なくとも一部により編成品を形成するために、両方の回転方向への前記少なくとも1つのフィードに対する自軸回りの回転運動で作動可能であり、
前記方法は、少なくとも
- 前記針シリンダを一回転方向に自軸回りの連続的な回転運動で作動させることにより、編地の第1の管状部
分を作製する工
程と、
- 前記少なくとも1つのフィードで一群の隣り合う針を編成のために移動させて、前記針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させて、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に減らし、予め設定された順序に応じて前記一群の針の横方向端部に位置する針を除外して、第1の部分編成列を形成するために編成から除外された前記針によって、最後に形成された編成ループを保持することにより、編地の一
部を作製する目減らし工
程と、
- 前記少なくとも1つのフィードで一群の隣り合う針を編成のために移動させて、前記針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させて、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に増やし、前記第1の部分編成列と結合された第2の部分編成列を形成するために、前記目減らし工
程の順序と逆の予め設定された順序に応じて前記目減らし工
程で編成から以前に除外された針を編成のために戻すことにより、編地の一
部を作製する目増やし工
程と、
- 前記針シリンダを一回転方向に自軸回りの連続的な回転運動で作動させることにより、編地の第2の管状部
分を作製する工
程と
を有し、
前記目減らし工
程及び前記目増やし工
程で、編成すべく移動する前記一群の針の内の針の数が、まず減少して、その後増加する夫々の予め設定された順序は、前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の軸
芯が前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の間に実質的に90°より小さい角度を形成する状態で、前記目減らし工
程で編成から以前に除外されて、次に前記目増やし工
程で編成のために戻される針によって形成された前記第1の部分編成列及び前記第2の部分編成列の端部にある編成ループで前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分を、前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の側方部分を用いて結合するような順序であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記目減らし工
程で、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針の数を全体として減らすにも関わらず、一部の部分編成列を形成する際に、先の部分編成列を形成する際に編成から除外された針を編成のために戻すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目増やし工
程で、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針の数を全体として増やすにも関わらず、一部の部分編成列を形成する際に、先の部分編成列を形成する際に編成に戻された針を編成から除外することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記目減らし工
程の後であって前記目増やし工
程の前に、前記針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させることにより、前記一群の針の一部は少なくとも2つのかかと編成処
理を順に行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
順に行う前記少なくとも2つのかかと編成処
理間に、前記針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させることにより、前記一群の針の一部は作動して更なるかかと編成処
理を行うことを特徴とする請求
項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つのかかと編成処
理を順に行う前記一群の針の内の一部の針が、前記一群の針内で中央に配置されていることを特徴とする請求項
4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記更なるかかと編成処
理を行う前記一群の針の内の一部の針が、前記一群の針内で中央に配置されていることを特徴とする請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
編地の前記第2の管状部
分を、靴下のつま先編成部分として終えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記目減らし工
程中に作製された中間製品の一
部及び前記目増やし工
程中に作製された中間製品の一
部の閉鎖結合部
分に沿って中間製品を折り畳むことにより、前記中間製品の一
部を前記中間製品の一
部の内部に押し込み、
前記第2の管状部
分を前記第1の管状部
分の内部に内側に折り畳み、
前記目増やし工
程中に作製された中間製品の一
部に最も近い、順に行う2つのかかと編成処
理の一方で得られた1つの部
分を、順に行う2つのかかと編成処
理の他方で得られた別の部
分の内側に押し付け、前記目減らし工
程で作製された中間製品の一
部を前記目増やし工
程で作製された中間製品の一
部と連結する閉鎖結合部
分が靴又は靴下を着用するための開口
部を横方向に画定す
る一種の靴又は靴下を得ることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記更なるかかと編成処
理によって作製される製品部
分により、前記少なくとも2つのかかと編成処
理によって作製される中間製品の部
分を互いに連結する後方舌状部を設けることを特徴とする請求項
5又は7に記載の方法。
【請求項11】
インシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などの製品を製造する方法であって、
請求項1~10のいずれか1つに記載の方法によって中間製
品を作製し、
前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の自由端部を閉じることを特徴とする方法。
【請求項12】
足挿入開口
部と反対側の前記第1の管状部
分の側にソー
ルを装着することを特徴する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
外側に配置された中間製
品の一部、及び内側に配置された中間製
品の一部を共に接着することを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1つに記載の方法によって得られた、インシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などの製品を製造するための中間製品であって、
それらの側方部分と少なくとも1つのかかと編成処
理で作製された曲線状部
分とによって結合された第1の管状部
分及び第2の管状部
分を有しており、
前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の軸
芯が、前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の間に実質的に90°より小さい角度を形成していることを特徴とする中間製品。
【請求項15】
前記第2の管状部
分の一部が、前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の側方の結合領域で前記第1の管状部
分の一部の内側に配置されており、前記第2の管状部
分は前記第1の管状部
分の内部に内側に折り畳まれており
、靴又は靴下のための足挿入開口
部を形成する、前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の結合領域を有す
る一種の靴又は靴下を形成することを特徴とする請求項14に記載の中間製品。
【請求項16】
インシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などの製品であって、
請求項14又は15に記載の中間製品を有し、
前記曲線状部
分によって相互に結合された軸方向端部と反対側の前記第1の管状部
分及び前記第2の管状部
分の軸方向端部が閉じられていることを特徴とする製品。
【請求項17】
足挿入開口
部が作製されている側と反対側の前記第1の管状部
分の側にソー
ルが装着されていることを特徴する請求項16に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形靴下類編機を用いて、2倍の厚さのインシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などの製品を製造するための中間製品を作製する方法、及びこの方法を用いて得られた中間製品に関する。
【背景技術】
【0002】
靴下類の分野では、足の下部又はどのような場合でも足首より下の部分のみを覆う、足に着用される製品から実質的に構成されるインソール、ショートソックス、インシューズ、ミニソックス、ノーショウソックスなどと一般に称される製品が知られている。
【0003】
針シリンダが2つの回転方向への自軸回りの回転運動で作動して円形靴下類編機の針の一部のみを円形靴下類編機の少なくとも1つのフィード又はドロップで編成すべく移動させて、製品の一部又は製品全体の製造中に残りの針を編成から除外することができる円形靴下類編機を使用して、このような製品を通常製造する。
【0004】
このような製品を製造するために使用される方法に応じて、完成品として、つまり販売するために仕上げ作業を必要としない製品として、又は完成品にするために更なる処理を行う必要がある中間製品として、このような製品を製造機から外す。
【0005】
上部が編地から形成されている軽量の靴が更に知られている。この場合、上部は通常、1つの編地から切断されて次に一般に縫製によって組み立てられた複数の部分によって構成されており、ソールに装着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の意図は、円形靴下類編機を用いて、2倍の厚さのインシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などのタイプの製品を製造するための中間製品を製造可能な方法を考案することである。
【0007】
この意図の範囲内で、本発明の目的は、低い製造コストで軽量の靴を製造するために使用され得る中間製品を製造可能な方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、完成品を作製するために実行が簡単な限られた数の動作を必要とする中間製品を作製可能な方法を考案することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、既知のタイプの円形靴下類編機で行われ得る、中間製品を製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、インシューズ、ショートソックス、ノーショウソックスなどとして、又は軽量の靴として使用され得る完成品を作製可能な方法を更に考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、その軸芯が垂直であるように配置された針シリンダを備えた円形靴下類編機を用いて、2倍の厚さのインシューズ、ショートソックス、ノーショウソックス、靴などの製品を製造するための中間製品を作製する方法であって、
前記針シリンダは、針を夫々収容している複数の軸スロットを前記針シリンダの側面に有しており、少なくとも1つのドロップ又はフィードが前記針シリンダの周りに配置されており、編成品を形成すべく前記針によって係合可能な少なくとも1本の糸が前記少なくとも1つのドロップ又はフィードで供給され、前記少なくとも1つのフィードで糸を把持して編成ループを形成するために対応する軸スロットに沿って前記針を作動させる手段が設けられており、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針を選択する選択装置が設けられており、前記針シリンダは、前記少なくとも1つのフィードで供給される少なくとも1本の糸を使用して前記針の少なくとも一部により編成品を形成するために、両方の回転方向への前記少なくとも1つのフィードに対する自軸回りの回転運動で作動可能であり、
前記方法は、少なくとも
- 前記針シリンダを一回転方向に自軸回りの連続的な回転運動で作動させることにより、編地の第1の管状部分を作製する工程と、
- 前記少なくとも1つのフィードで一群の隣り合う針を編成のために移動させて、前記針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させて、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に減らし、予め設定された順序に応じて前記一群の針の横方向端部に位置する針を除外して、第1の部分編成列を形成するために編成から除外された前記針によって、最後に形成された編成ループを保持することにより、編地の一部を作製する目減らし工程と、
- 前記少なくとも1つのフィードで一群の隣り合う針を編成のために移動させて、前記針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させて、前記少なくとも1つのフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に増やし、前記第1の部分編成列と結合された第2の部分編成列を形成するために、前記目減らし工程の順序と逆の予め設定された順序に応じて前記目減らし工程で編成から以前に除外された針を編成のために戻すことにより、編地の一部を作製する目増やし工程と、
- 前記針シリンダを一回転方向に自軸回りの連続的な回転運動で作動させることにより、編地の第2の管状部分を作製する工程と
を有し、
前記目減らし工程及び前記目増やし工程で、編成すべく移動する前記一群の針の内の針の数が、まず減少して、その後増加する夫々の予め設定された順序は、前記第1の管状部分及び前記第2の管状部分の軸芯が前記第1の管状部分及び前記第2の管状部分の間に実質的に90°より小さい角度を形成する状態で、前記目減らし工程で編成から以前に除外されて、次に前記目増やし工程で編成のために戻される針によって形成された前記第1の部分編成列及び前記第2の部分編成列の端部にある編成ループで前記第1の管状部分及び前記第2の管状部分を、前記第1の管状部分及び前記第2の管状部分の側方部分を用いて結合するような順序であることを特徴とする方法によって達成される。
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例で示した本発明に係る方法及びこの方法で得ることができる製品の好ましいが排他的でない実施形態の説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】目減らし工程、その後の目増やし工程の実行を示す図である。
【
図2】
図1に示された編成パターンをたどることによって得られた製品部分を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る中間製品を製造する際の本発明に係る方法の実行を示す図である。
【
図4】平面に配置されて一側から見た、
図3に示された方法を実行することにより得られた中間製品を示す概略図である。
【
図5】反対側から見た、
図4の同一の中間製品を示す概略図である。
【
図6】本方法で得られた中間製品の一部の、残部内への挿入及び内側への折り畳みを示す斜視図である。
【
図7】本方法で得られた中間製品の一部の、残部内への挿入及び内側への折り畳みを示す斜視図である。
【
図8】本方法で得られた中間製品の一部の、残部内への挿入及び内側への折り畳みを示す斜視図である。
【
図9】
図6~8に示された挿入及び内側への折り畳みの終了の際に得られた中間製品を示す斜視図である。
【
図10】
図9の中間製品の一部を示す側面図である。
【
図11】本発明に係る方法によって作製される中間製品を用いて得ることができるインシューズを示す斜視図である。
【
図12】本発明に係る方法によって作製される中間製品を用いて得ることができる軽量の靴を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
針シリンダの軸芯が垂直であるように配置されて針が夫々内部に配置されている複数の軸スロットを針シリンダの側面に有する針シリンダを備えた既知のタイプの円形靴下類編機を用いて、本発明に係る方法を行うことができる。少なくとも1つのドロップ又はフィードが針シリンダの周りに配置されており、編成品を形成すべく針によって係合され得る少なくとも1本の糸が少なくとも1つのドロップ又はフィードで供給される。編機は、上述したドロップ又はフィードで糸を把持して編成ループを形成するために針を対応する軸スロットに沿って作動させるための手段を備えている。更に編機は、対象のフィードで編成すべく移動する針を選択するために選択装置を備えている。針シリンダは、フィードで供給される少なくとも1本の糸を使用して複数本の針の内の少なくとも一部により編成品を形成するために、両方の回転方向へのフィードに対する自軸回りの回転運動で作動可能である。
【0015】
以下により詳細に記載されるように、
図3を参照すると、本発明に係る方法は、少なくとも
- 針シリンダを一回転方向に自軸回りの連続的な回転運動で作動させることにより、編地の第1の管状部分2 を作製する工程A、
- 対象のフィードで編成すべく一群の隣り合う針を移動させて、針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させて、対象のフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に減らし、予め設定された順序に応じて一群の針の横方向端部に位置する針を除外して、第1の部分編成列を形成するために編成から除外された針によって、最後に形成された編成ループを保持することにより、編地の一部3 を作製する目減らし工程B、
- 対象のフィードで編成すべく一群の隣り合う針を移動させて、針シリンダを自軸回りの交互の回転運動で作動させて、対象のフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に増やし、目減らし工程Bで形成された第1の部分編成列と端部で結合された第2の部分編成列を形成するために、目減らし工程Bの順序と逆の予め設定された順序に応じて、目減らし工程B中に編成から以前に除外された針を編成のために戻すことにより、編地の一部4 を作製する目増やし工程C、及び
- 針シリンダを一回転方向に自軸回りの連続的な回転運動で作動させることにより、編地の第2の管状部分5 を作製する工程D
を有する。
【0016】
目減らし工程B中及び目増やし工程C中、編成すべく移動する一群の針の内の針の数が、まず減少して、その後増加する夫々の予め設定された順序は、2つの管状部分2, 5の軸芯2a, 5aが2つの管状部分2, 5間に実質的に90°より小さい角度を形成する状態で、目減らし工程Bで編成から以前に除外されて、次に目増やし工程Cで編成のために戻される針によって形成された第1の部分編成列及び第2の部分編成列の端部にある編成ループで第1の管状部分2 及び第2の管状部分5 をそれらの側方部分を用いて編地の一部3, 4によって結合するような順序である。
【0017】
目減らし工程B及び目増やし工程Cの実行を更に説明するために、
図1は、目減らし工程B、その後の目増やし工程Cのみで作製された1つの製品を示す編成図である。垂直に配置された黒色の矩形は夫々針及び2つの編成列(前方回転及び後方回転)を示す。
【0018】
従って、針の目減らし順序は2つの編成列毎に生じる。
【0019】
一又は複数本の針の目減らしは、
- 各列の初めに
- 各列の終わりに
- 各列の初め及び終わりに
生じるように行われ得る。
【0020】
上記に列挙された全ての可能性を具体化することができ、これらの可能性は機能的であり、成形された編成品/アイレットの外観のみで区別される(
図2)。
【0021】
図1では、簡略化のために、これらの工程で編成すべく移動する一群の隣り合う針の端部に配置された針に対応する矩形のみが示されている。同一の垂直線上に配置された矩形は同一の針に関連する。
【0022】
図1から分かるように、目減らし工程B中、一又は複数の糸(以下「糸」のみと述べることとする。要件に応じてそれ自体公知なように2以上の糸を同時的に針に供給することも可能であることが理解される)を捕捉するために移動する針の数は、この編成工程に対応する図面の部分の逆等脚台形から明らかなように徐々に減少する。
【0023】
目減らし工程Bでは、この工程の初め(パターンの上端部又は逆台形のより長い平行辺)から終わり(逆台形のより短い平行辺)まで対象のフィードで編成すべく移動する針の数は徐々に減少するが、この数は必ずしも列毎に、つまり針シリンダの回転の各反転で減少するとは限らないことに注目すべきである。実際、
図1から分かるように、第1の針が2列(前方回転及び後方回転)の各々の初めに除外される台形の第1の上側列又はより長い平行辺(第1の部分編成列B1の形成)から始めて、(針シリンダの回転方向の反転で)第2の部分編成列B2の形成に進むと、先の部分編成列B1を形成する際に使用された一群の針の横方向端部に位置する2本の針が、一対の部分編成列B1の形成中に除外された針に加えて編成から除外される。第3の部分編成列B3の形成に進むと、同様のことが生じる。しかしながら、第4の部分編成列B4の形成を開始するとき(針シリンダの自軸回りの回転方向の新たな反転で)、第3の部分編成列B3の形成中に編成から除外された2本の針を編成のために戻す。第5の部分編成列B5を形成する際、及び第6の部分編成列B6を形成する際、先の2つの部分編成列を形成するために使用された一群の針の横方向端部に位置する2本の針を再度、編成から除外する。第7の部分編成列B7を形成する際、針を目増やし状態にし、第6の部分編成列B6の形成中に除外された2本針を編成のために戻し、以降、同様に進む。
【0024】
これらの対の列は、一例に対して異なる数とすることができる。
【0025】
先の部分編成列の形成中に編成から除外された針を編成のために戻すことにより、針が編成から除外される前に編成すべく移動した最後に形成された編成ループと、針が編成のために戻されたときに形成された編成ループとの間に結合部分が作製されることに注目すべきである。このようにして、目減らし工程B中、いわゆる「中間結合部分」6 が、第1の部分編成列の横方向端部に位置する編成ループ間に作製される。
【0026】
この処理の工程に対応する
図1の一部の等脚台形の形状から明らかなように、目増やし工程C中、対象のフィードで編成すべく移動する針の数を徐々に増やし、目減らし工程B中に編成から徐々に除外された針を編成のために戻すことにより続行する。
【0027】
目減らし工程Bでたどる順序に対応するが、逆の順序をたどることにより、以前に除外された針を編成のために戻す。
【0028】
これは、(台形の平行辺がより短い)目増やし工程Cの初めから(台形の平行辺がより長い)目増やし工程Cの終わりまで、3つの部分編成列毎に直前の部分編成列の形成中に編成に戻された2本の針が編成から除外されるが、目減らし工程B中にたどる順序と逆の順序の後、対象のフィードで編成すべく移動する針が全体として増えることを意味する。この順序によって、目増やし工程Cでも、第2の部分編成列の横方向端部に位置する編成ループ間に中間結合部分6 が作製される。
【0029】
目減らし工程B中に形成される部分編成列の端部(同一の側に位置する、つまり同一の針によって編成された等脚台形の傾いた側)が、いわゆる「閉鎖結合部分」7 によって互いに連結される、更に厳密に言えば結合される。閉鎖結合部分7 及び中間結合部分6 は、図面に楕円によって概略的に示されている孔が交互に形成される1列の編目を製品に形成する。
【0030】
実際、目減らし工程B中に編成から以前に除外された針を目増やし工程Cで編成のために徐々に戻すことにより、靴下類のかかと及びつま先の典型的ないわゆる「かかと編成」と類似している一種の編成が行われる。
【0031】
しかしながら、目増やし工程C及び目減らし工程B中にたどる特定の順序により、これらの工程で作製された製品の2つの部分3, 4が並んで結合されるが、2つの部分3, 4の軸芯(又は2つの部分3, 4の中心線)が、
図2から分かるように実質的に90°より小さい角度を形成する。
【0032】
目減らし工程B中及び目増やし工程C中に針を除外して編成のために戻す順序を変更することにより、この角度の大きさを製品の所望の形状に応じて変え得ることに注目すべきである。上述した概略的な実行例では、目減らし工程B中、針の数は、3つの部分編成列毎に針シリンダの回転方向の各反転で減少し、目増やし工程Cで動作中の針の数を対応して増やすが、目減らし工程Bでは、所定数の部分編成列毎に針シリンダの回転方向の2又は3の反転で動作中の針の数を減らす(対応して目増やし工程Cで増やす)ことが可能である。
【0033】
既に述べたように、
図1は、2つの目減らし工程B及び目増やし工程C中に形成される部分編成列から構成された製品の2つの部分3, 4がどのように互いに結合されるかの理解を単に可能にすべく、これら2つの目減らし工程B及び目増やし工程Cのみで製品を仮定で製造する際の目減らし工程B及び目増やし工程Cを示す単なる概略図である。
【0034】
実際には、本発明に係る方法は他の工程を有する。
図3は、本発明に係る方法の実行を示す図である。
図3は、本発明に係る方法で得られて水平線、垂直線及び斜線に沿って理想的に切断された、参照番号1 で一般的に示されている中間製品の平面投影図として解釈され得る。
- 垂直線は、中間製品の2つの管状部分2, 5の縦断面を示す。
- 水平線は、同一の編成列に沿った中間製品の断面を示す。
- 斜線は、いわゆる「かかと」タイプの編成又はより一般的には目減らし及びその後の目増やしでの結合線又は成形された編成部分若しくは結合部分における中間製品の断面を示す。実際の中間製品では、
図3の同一の側に位置して同一の数字で示されている斜線は、編成から徐々に除外されて、その後、編成のために徐々に戻される針によって形成される編成ループを指すので、結合されて相互に重ね合わされ、実際には、針が編成から除外される前に形成された最後の編成ループと針が編成のために戻されるときに形成された第1の編成ループとの結合部分が作製される。
【0035】
図3では、斜線は、対象のフィードで針の作動指令に夫々対応する陰影を付けた矩形によって形成されている。簡略化のために、
図3を示すべく中間製品を理想的に区分している線を構成する様々な領域の横方向端部に対応する矩形のみが示されている。同一の垂直理想線に沿って位置する矩形は同一の針に関連する。目減らし工程B及び目増やし工程Cに関して、前記要素を特定するために
図1及び
図2で既に使用されている同一の参照番号が維持されている。
【0036】
本発明に係る方法で得られる中間製品1 が、
図4及び
図5に概略的に示されている。
図4及び
図5の中間製品の線及び部分に
図3で対応する中間製品の線及び部分は同一の参照番号で示されている。
【0037】
上述したように、本発明に係る方法は、編地の第1の管状部分2 を作製する工程Aを有する。
【0038】
対象のフィードに対して自軸回りの連続的な回転運動で針シリンダを作動させることにより、この工程Aをそれ自体公知なように行う。
【0039】
この編成は、従来の靴下類製品のかかとと先端との間の足の4分の1又は一部を作製する方法と完全に同様であるので、更に説明しない。
【0040】
その後、目減らし工程Bを上述したように行い、製造する編地又は中間製品の一部3 を作製する。
【0041】
目増やし工程Cの実行に進む前に、目減らし工程B中に編成された一群の針の一部が、いわゆる「かかと」タイプの少なくとも2つの編成処理E,Fを順に行い、参照番号8, 9で示されている中間製品の2つの部分を作製する。
【0042】
参照番号10, 11で示されている、いわゆる「成形された編成線」によって相互に結合される製品部分を作製するように、これら2つのかかと編成処理E,Fを、目減らし工程及びその後の目増やし工程と共にそれ自体公知なように行う。基本的に、これらの「かかと」編成処理E,Fでは、針シリンダが自軸回りの交互の運動で作動し、予め設定された一群の隣り合う針の内の動作中の針の数を徐々に減らし、その後、その数を徐々に増やして、編成から以前に除外された針を編成のために戻す。どの場合にも一群の針の端部に位置する針の一部で編成を中断して再開することにより、
図4~
図12から分かるように、孔が交互に形成された編目を有する「成形された編成線」又は「目減らし線」と称される線を製品に形成する。
【0043】
これら2つのかかと編成処理E,F間に、目減らし工程Bに使用される一群の針の一部を作動し、針シリンダを自軸回りの交互の運動で作動することにより、更なるかかと編成処理Gを行うことが好ましい。
【0044】
それ自体公知なように行われる、この更なるかかと編成処理Gにより、成形された編成線13によって画定されて参照番号12で示されている中間製品の部分が作製される。
【0045】
この更なるかかと編成処理の直前及び直後に、順に行う2つのかかと編成処理E,Fで得られた2つの部分8, 9の間に位置する中間製品1 の2つの部分14, 15に相当する中間製品1 の形作られた領域を作製する一種の目減らし工程Bの継続及び目増やし工程Cの先行を含む編成処理Hを行う。編成処理Hは更なるかかと編成処理Gを更に含む。
【0046】
この形作られた領域は、目減らし工程B及び目増やし工程Cで作製された中間製品の一部3, 4の閉鎖結合部分7 の延長部分を構成する中間製品の一部14, 15の結合線16を有する。
【0047】
2つのかかと編成処理E,F及び更なるかかと編成処理Gを、目減らし工程B及び目増やし工程Cで使用される複数本の針の内の一部を用いて行う。
【0048】
好都合なことに、対称性が目減らし工程B及び目増やし工程C、並びに2つのかかと編成処理E,Fを順に行う工程及び更なるかかと編成処理Gで作製される中間製品の領域に必要であるため、2つのかかと編成処理E,F及び更なるかかと編成処理Gに使用される一群の針の一部は、目減らし工程B及び目増やし工程Cに使用される一群の針に対して中央に位置する。
【0049】
第2の管状部分5 の作製を、あたかも靴下類製品の足であるように、それ自体公知なように更に行う。
【0050】
好都合なことに、第2の管状部分5 を、縫製又はルーピングする状態にある靴下類のつま先編成部分としてそれ自体公知なように終えることができる。完成品の第2の管状部分5 のつま先を閉じるための縫製線又はルーピング線がユーザのつま先の下に位置することが好ましい。
【0051】
好都合なことに、第2の管状部分5 の実行の前に、目減らし工程B及び目増やし工程Cを実行するために使用される一群の針に属さず、実際には針シリンダにこれらの一群の針に対向して配置されている一群の針を使用して別のかかと編成処理Iを行って、下げられた編成線18によって画定された部分17を作製することができる。
【0052】
図4及び
図5から分かるように、中間製品1 は、編機の出口で中間製品1 の2つの側部で実質的に同一に見える。これらの図面から分かるように、中間製品1 は2つの管状部分2, 5によって実質的に構成されており、2つの管状部分2, 5は、管状部分2, 5の側方部分と、製品の一端部に位置して一又は複数のかかと編成処理によって作製される曲線状部分19とによって結合されており、2つの管状部分2, 5の軸芯2a, 5aは、2つの管状部分2, 5間に実質的に90°より小さい角度を形成する。
【0053】
中間製品1 を製造機から外すと、完成品を製造するために中間製品1 に一連の動作を行う。
【0054】
より具体的には、
図6に示されているように、目減らし工程B中に作製された中間製品の一部3 及び目増やし工程C中に作製された中間製品1 の一部4 の結合線、つまり閉鎖結合部分7 に沿って中間製品1 を折り畳むことにより、中間製品1 の一部4 を中間製品の一部3 の内部に押し込む。一種の後方舌状部を構成するように更なるかかと編成処理Gで作製された部分12を中心線で折り畳むことにより、かかと編成処理Fの1つで作製された部分9 も、かかと編成処理Eの1つで作製された部分8 の内部に押し付ける。
【0055】
その後、目増やし工程Cで作製された中間製品の一部4 と目減らし工程Bで作製された中間製品の一部3 との結合線、つまり閉鎖結合部分7 が2倍の厚さの靴又は靴下の足挿入開口部20を横方向に画定する2倍の厚さの一種の靴又は靴下を得るように、第2の管状部分5 を第1の管状部分2 の内部に内側に折り畳む。
【0056】
より具体的には、第1の管状部分2 は外側に位置し、かかと編成処理Eで作製された、第1の管状部分2 に連結された部分8 も同様に外側に位置する。他のかかと編成処理Fで作製された他の部分9 は内側に位置して、部分8 に重ねられる。部分12は跨っており、つまり、部分的に外側に且つ部分的に内側に延びて部分8 及び部分9 を相互に連結する。目減らし工程B及び目増やし工程Cで作製された部分3, 4は、足挿入開口部20が形成された領域の内側及び外側に夫々位置し、前記足挿入開口部20に対して側部領域及び下部領域を構成する。針シリンダの一方向への回転運動中に編成すべく移動する針を反対方向への直前の運動中に選択する、既知のタイプの円形靴下類編機を用いて、これらの領域の特に大きな延長部分が望まれる場合、同一出願人による、まだ公開されていない特許出願第102018000002290 号に記載されているタイプの方法を使用することが可能である。
【0057】
目減らし工程B及び目増やし工程Cで使用される一群の針と反対側にある一群の針に属する針によってかかと編成処理Iで作製された部分17も、靴下類製品又は靴の部分的に内側且つ部分的に外側に延びて前方舌状部を構成する。
【0058】
有利には、靴下類製品又は靴を構成する2つの部分、つまり内側部分及び外側部分を安定して相互に連結するために、このようにして得られた靴下類製品若しくは靴の内側部分及び外側部分の間、又は靴下類製品若しくは靴を製造するために使用される糸に、接着剤、例えば熱によって再活性化することができる接着剤を設けることが可能である。
【0059】
つま先、つまり、第2の管状部分5 の自由端部をそれ自体公知なように閉じて、第1の管状部分2 の自由端部を切断し、例えば縫製又は他の公知の方法により閉じることにより、靴下類製品又は靴を仕上げる。
【0060】
中間製品が下側で、つまり足挿入開口部20に対して反対側である製品の側で靴を製造するためのものである場合、例えば接着又は成形によってソール21に装着することができる。この場合、第1の管状部分2 の自由端部を閉じるための動作は、ソール21に装着する動作と一体化され得る。
【0061】
実際、完成品を得るために必要な動作の数、ひいてはコストを減らし、円形靴下類編機を用いて2倍の厚さのインシューズ、ショートソックス、ノーショウソックスなどの製品を製造するための中間製品を作製することが可能であるので、本発明に係る方法が意図した目的を完全に達成することが分かった。
【0062】
本発明に係る方法の更なる利点は、軽量の靴を低コストで製造するために使用され得る中間製品を製造するために使用することができるということである。
【0063】
このように考案された方法及びこの方法を用いて得ることができる中間製品は、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの調整及び変更を加えることができ、また細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えられてもよい。
【0064】
実際には、用いられる材料及び寸法は、要件及び技術水準に応じて如何なるものであってもよい。
【0065】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第102018000007798 号明細書における開示内容は、参照として本明細書に盛り込まれる。
【0066】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照符号が続いているが、これらの参照符号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、このような参照符号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。