(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】車両用休息具
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20230724BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20230724BHJP
A45F 3/22 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
B60N3/06
A45F3/22
(21)【出願番号】P 2021086431
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2022-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】久木田 充子
(72)【発明者】
【氏名】徳田 勝
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-168134(JP,U)
【文献】実開昭58-064322(JP,U)
【文献】特開2000-126250(JP,A)
【文献】実開昭61-031163(JP,U)
【文献】特開2009-241814(JP,A)
【文献】特開2014-073351(JP,A)
【文献】仏国特許発明第02076481(FR,A5)
【文献】米国特許第02601488(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
B60N 3/06
A45F 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも使用者の体の一部を支持する休息具本体と、
前記休息具本体の一端に設けられ、
少なくとも前記一端の幅方向両端部を前記使用者が着座するシートの座部に係止する第1係止部と、
前記休息具本体の他端に設けられ、前記座部よりも高い位置に設けられた車内構造物に係止される第2係止部と、を備え、
前記第2係止部は、取手状の形態を成す2本の係止ベルト
の少なくとも一端を、前記他端の両端に位置させた上で、前記2本の係止ベルトがたすきがけとなるように、その一部を交差させて配置すると共に、前記他端と前記車内構造物との間に隙間を設け
、かつ前記2本の係止ベルトを掛け回す前記車内構造物の幅が前記他端の幅よりも狭くなるようにして係止する構成とされていることを特徴とする車両用休息具。
【請求項2】
前記係止ベルトには、長さ調整手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用休息具。
【請求項3】
少なくとも使用者の体の一部を支持する休息具本体と、
前記休息具本体の一端に設けられ、
少なくとも前記一端の幅方向両端部を前記使用者が着座するシートの座部に係止する第1係止部と、
前記休息具本体の他端に設けられ、前記座部よりも高い位置に設けられた車内構造物に係止される第2係止部と、を備え、
前記第1係止部は、前記座部に係止するバックルと調整ベルト、及び前記調整ベルトの長さ調整を可能とするバックルコキとを有し、
前記第2係止部は、前記他端と前記車内構造物との間に隙間を設けて係止すると共に、
両端を前記他端の両端部に位置させることで取手状の形態を成すように配置された係止ベルトに長さ調整手段を備え
、かつ前記取手状の係止ベルトを掛け回す前記車内構造物の幅が前記他端の幅よりも狭くなるように構成されていることを特徴とする車両用休息具。
【請求項4】
前記係止ベルトには、取手状の形態を開放可能とするバックルが備えられていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用休息具。
【請求項5】
前記休息具本体は、2つのシート座部を跨ぐ幅を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用休息具。
【請求項6】
使用者の前方に配置する第1休息具本体と、
前記使用者の後方に配置する第2休息具本体と、
前記第1休息具本体の一端と、前記第2休息具本体の一端に設けられ、前記使用者が着座するシートの座部に係止する第1係止部と、
前記第1休息具本体の他端に設けられ、前記シートよりも前列に位置するシートの背もたれ部に係止される第1休息具第2係止部と、
前記第2休息具本体の他端に設けられ、前記シートに対応して設けられているアシストグリップに係止される第2休息具第2係止部と、を備えることを特徴とする車両用休息具。
【請求項7】
前記第1休息具本体及び/または前記第2休息具本体は、2つのシート座部を跨ぐ幅を有することを特徴とする請求項6に記載の車両用休息具。
【請求項8】
前記第1係止部には、Isofixアンカーに係止可能なバックルが備えられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用休息具。
【請求項9】
前記一端と前記他端には、それぞれ幅方向に対するタックが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用休息具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車中の車内で休息するための休息具に係り、特にシートの配置等を大きく動かす事無く、足を伸ばしたい場合に好適な車両用休息具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年車両は、単なる移動手段だけでなく、パーソナルスペースを確保する事のできるプライベート空間として利用されることも多くなってきている。このため、停車中の車内で過ごす時間をいかに快適にできるかという点に注目が集まってきている。例えば、各車両メーカーで主力となっているミニバンや軽バンなどでは、様々なシートアレンジを可能とし、車内で足を伸ばしたり、荷室スペースをフルフラットにして横になれるスペースを作る事ができるような工夫が成されている。
【0003】
確かに、こうした車両はその目的に応じてシートアレンジを行う事ができるため、休息時間の快適化を図る事ができる。しかし、車内空間の快適化を求めるシートアレンジは多くの場合、シートを大きく移動させることとなるため、休息するための形態と、移動するための形態とを切り替えるのに時間や労力を要することとなる。また、通常のセダンタイプなどの車では、そうしたシートアレンジができない事が普通である。
【0004】
シートの形態や配置に制約が少なく、休息時の形態と移動時の形態とを素早く切り替える事ができるという観点から車両用の休息具に関する技術としては、特許文献1に開示されているような、いわゆるハンモック型の休息具が提案されている。特許文献1に開示されている休息具は、後列シートの背もたれ部分と前列シートの背もたれ部分にそれぞれ嵌装具を配置し、対を成す嵌装具の間にハンモック本体を掛け渡すという構成とされている。このため、シートの形態や配置に制約が少なく、使用時(休息時)、不使用時(例えば移動時)の切り替えも素早く行う事ができると考えられる。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている休息具は、幼児を対象としたものであり、大人が使用する場合には耐久性が懸念されると共に、体が収まりきらず、リラックス効果を得る事が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、シート形態や配置に制約が少なく、休息時の形態と移動時の形態とを素早く切り替える事を可能とし、大人の使用にも耐え得る車両用休息具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用休息具は、少なくとも使用者の体の一部を支持する休息具本体と、前記休息具本体の一端に設けられ、前記使用者が着座するシートの座部に係止する第1係止部と、前記休息具本体の他端に設けられ、前記座部よりも高い位置に設けられた車内構造物に係止される第2係止部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する車両用休息具において前記休息具本体は、前記使用者の前方に配置する構成とし、前記第2係止部は、車両に固定されたシートの背もたれ部に係止される構成とすると良い。このような構成とすることで、休息具本体は、使用者の下半身を支持することが可能となる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する車両用休息具において前記休息具本体は、前記使用者の後方に配置する構成とし、前記第2係止部は、前記シートに対応して設けられているアシストグリップに係止される構成とすることもできる。このような構成とすることで、休息具本体は、使用者の上半身を支持することが可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する車両用休息具において前記休息具本体は、2つのシート座部を跨ぐ幅を有するようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、複数人での使用や、手足を広げた状態で使用する事が可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明に係る車両用休息具は、使用者の前方に配置する第1休息具本体と、前記使用者の後方に配置する第2休息具本体と、前記第1休息具本体の一端と、前記第2休息具本体の一端に設けられ、前記使用者が着座するシートの座部に係止する第1係止部と、前記第1休息具本体の他端に設けられ、前記シートよりも前列に位置するシートの背もたれ部に係止される第1休息具第2係止部と、前記第2休息具本体の他端に設けられ、前記シートに対応して設けられているアシストグリップに係止される第2休息具第2係止部と、を備えることを特徴とするものであっても良い。
【0013】
また、上記のような特徴を有する車両用休息具において前記第1休息具本体及び/または前記第2休息具本体は、2つのシート座部を跨ぐ幅を有するようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、複数人での使用や、手足を広げた状態で使用する事が可能となる。
【0014】
また、上記のような特徴を有する車両用休息具において前記第1係止部には、Isofixアンカーに係止可能なバックルが備えられているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、第1係止部による係止を強固なものとすることができ、安全性を向上させることができる。
【0015】
さらに、上記のような特徴を有する車両用休息具の前記休息具本体における前記一端と前記他端には、それぞれ幅方向に対するタックが設けられているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、使用時において休息具本体が支持部を包み込むように支持することとなる。よって、支持状態を安定させることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記のような特徴を有する車両用休息具によれば、シート形態や配置に制約が少なく、休息時の形態と移動時の形態とを素早く切り替える事を可能とし、大人の使用にも耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る車両用休息具の基本形態を示す図である。
【
図2】前列シートに対して第2係止部を係止した状態を示す斜視図である。
【
図3】後列シートに対して第1係止部を係止した状態を示す斜視図である。
【
図4】前列シートと後列シートとの間に車両用休息具を設置した状態を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る車両用休息具の使用状態を示す斜視図である。
【
図6】第2係止部にフックを備える場合の例を示す図である。
【
図7】2つのシートを跨ぐ幅を有する車両用休息具の形態を示す図である。
【
図8】実施形態に係る車両用休息具を車両の後方に配置したシートを利用して係止する場合の例を示す斜視図である。
【
図9】車両用休息具の第1係止部を係止ベルトによる輪で構成する例を示す図である。
【
図10】使用者の上半身を支持するための車両用休息具の使用形態を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の車両用休息具に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の一部に過ぎず、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0019】
[基本形態:構成]
まず、
図1を参照して、本発明の車両用休息具10の基本形態の構成について説明する。本実施形態に係る車両用休息具10は、休息具本体12と、第1係止部14、及び第2係止部16を基本として構成されている。休息具本体12は、使用状態において使用者50(
図5参照)の下半身を支持するための要素である。具体的には、長方形の布地であれば良く、その長手方向長さ(
図1におけるY軸方向の長さ)は一例として、後列シート40の座部42から前列シート30の背もたれ部32、特にショルダー部34(いずれも
図4等参照)を繋ぐ程度の長さがあれば良く、幅方向長さ(
図1におけるX軸方向の長さ)は、シート(例えば後列シート40)の座部42の幅と同等程度の長さがあれば良い。
【0020】
また、その構成素材としては、一般的な布地の他、帆布やターポリン、ベルト状部材を編み込んだもの、メッシュ素材、ネット素材等、種々のものを選択する事ができると共に、その部位によって素材を異ならせたり、組み合わせたりするようにしても良い。
【0021】
実施形態に係る休息具本体12は、四辺を折り込んだり、補強部材を当てて縫製することで強度の向上を図るようにしている。また、後列シート40の座部42に係止される側となる一端12aと、前列シート30の背もたれ部32に係止されることとなる他端12bとを構成する辺にはそれぞれ、幅を縮めるようにタック12a1,12b1を設けるようにしている。タック12a1,12b1を設ける事により、休息具本体12に使用者50の下半身を載せた際、その荷重によりタック12a1,12b1が広がり、休息具本体12が下半身を包み込むような形状となる。これにより、支持状態を安定させることができるようになる。
【0022】
なお、
図1に示す形態では、一端12a側に設けるタック12a1の数に比べて他端12b側に設けるタック12b1の数を多くし、脚部先端側に、確実な包み込みが生じるように構成している。このため、平置き状態では、一端12a側の幅に比べて他端12b側の幅が狭くなっている。ここで、本実施形態における係止には、確実な固定、掛け止めのみならず、近接状態で支持されている状態等を含むものとする。
【0023】
第1係止部14は、休息具本体12の一端12a側に設けられ、休息具本体12の一端12aを後列シート40の座部42に係止するための要素である。具体的には、一端12aに接続された調整ベルト14aと、バックル14bとにより構成されている。実施形態に係るバックル14bは、後列シート40の座部42に備えられているIsofixアンカー(不図示)に係止可能なものであれば良い。このような構成とする事により、第1係止部14による係止を強固なものとすることができ、使用時の安全性を向上させることができる。また、バックル14bには、バックルコキが備えられ、調整ベルト14aを係止と長さ調整(係止位置の位置決め)が可能な構成とし、休息具本体12の一端12aとバックル14bとの間の距離を容易に調節する事ができる構成されている。
【0024】
第2係止部16は、休息具本体12の他端12b側に設けられ、休息具本体12の他端12bを前列シート30の背もたれ部32に係止するための要素である。具体的には、他端12bに接続された係止ベルト16aにより構成されている。
図1に示す係止ベルト16aは、ベルトの両端部をそれぞれ、休息具本体12の他端12bにおける幅方向端部に接続し、取手状の形態を成すように構成されている。このように構成された第2係止部16は、取手状の部分に前列シート30におけるヘッドレストポール36を通すことで、背もたれ部32に対する他端12bの係止を成す事ができる。
【0025】
[作用・効果]
上記のような基本構成を有する車両用休息具10は、次のようにして使用することができる。まず、
図2に示すように、第2係止部16を前列シート30のヘッドレストポール36に掛けることで、休息具本体12の他端12bを前列シート30の背もたれ部32に係止する。ここで、休息具本体12における他端12bの高さは、第2係止部16を構成する係止ベルト16aの長さによって定める事ができる。このため、係止ベルト16aには、コキなどの長さ調整手段を設けるようにしても良い。なお、コキに加えてバックルを備え(いずれも不図示)、取手状の第2係止部16を開放可能な構成としても良い。バックルを備えて開放可能な構成とすれば、ヘッドレスト38の投影面が第2係止部16が構成する取手状の投影面より大きい場合でも、ヘッドレスト38を取り外す事無く係止することが可能となる。
【0026】
次に、
図3に示すように、第1係止部14を後列シート40の座部42に設けられたIsofixアンカーに係止し、休息具本体12の一端12aを後列シート40の座部42に係止する。第1係止部14と第2係止部16による係止が完了すると、休息具本体12は
図4に示すように、前列シート30の背もたれ部32と後列シート40の座部42に掛け渡された状態となる。ここで、休息具本体12の張り具合は、第1係止部14における調整ベルト14aの長さを変化させることで調節することができる。なお、本説明では、第2係止部16を係止した後、第1係止部14の係止を行うように説明しているが、第1係止部14を先に係止し、後に第2係止部16を係止するようにしても良く、使用にあたっては、係止の順序を限定するものでは無い。
【0027】
車両用休息具10をこのようにセットすることで、休息具本体12が使用者50の下半身を支持する事が可能となり、使用者50は足を伸ばしてリラックスする事ができるようになる。また、必要に応じて後列シート40の背もたれ部44をリクライニングすることで、
図5に示すように、体全体を伸ばして横になる事も可能となる。
【0028】
このように、本実施形態に係る車両用休息具10によれば、少なくとも前列シート30と後列シート40(前列シート30が1列目であるか、2列目以降であるかは問わない)を有する車両であれば、シート形態や、シートの配置に制約無く使用する事ができる。また、第1係止部14を後列シート40に係止し、第2係止部16を前列シート30に係止するだけで使用する事ができるため、休息時の形態と移動時の形態とを素早く切り替える事も可能となる。さらに、使用者50の体重の大半は、後列シート40の座部42により支え、車両用休息具10自体は使用者50の下半身、特に脚部の重量のみを支えることとなるため、大人の使用にも耐える安全性を確保する事ができる。
【0029】
[変形例]
上記実施形態では、休息具本体12に関して、一端12aと他端12bにタック12a1,12b1を設ける旨記載した。しかしながら、一端12aと他端12bには、タック12a1,12b1に変えてギャザーを設けるようにしても良い。このような構成とした場合であっても、休息具本体12により支持部を包み込むといった作用を得る事ができるからである。
【0030】
また、上記実施形態では、第2係止部16の形態は取手状である旨記載した。しかしながら、前列シート30のヘッドレストポール36に係止することができる形態であれば、これに限定するものでは無い。例えば
図6に示すように、係止ベルト16aとフック16bにより構成されていたり、フック16bに変えてカラビナ(不図示)が備えられているようなものであっても良い。また、第2係止部16の係止先についても、ヘッドレストポール36に限定されるものではない。例えば前列シート30にIsofixアンカーが存在する場合には、第1係止部14と同様に、調整ベルトとバックルにより固定し、前列シート30における背もたれ部32のショルダー部34を経由して、休息具本体12における他端12bの係止を図るようにすれば良い。
【0031】
また、第1係止部14と第2係止部16の係止先に関しては、必ずしも直近の前後関係にあるシートとする必要は無い。例えば、前列シート30を助手席とし、後列シート40を運転席の後方に位置するシートとして、第1係止部14と第2係止部16を係止するようにしても良い。
【0032】
[応用形態1]
また、上記実施形態に係る車両用休息具10は、一人用のサイズとしているが、二人用のサイズとする事もできる。車両用休息具10を二人用とする場合、
図7に示すように、休息具本体12は、2つのシートを跨ぐ幅(
図7におけるX軸方向長さ)を有し、第1係止部14は、各シートに設けられたIsofixアンカーに係止可能な数(例えば4つ)だけ設けるようにする。また、第2係止部16を2つの前列シートそれぞれのヘッドレストポール36(36a,36b)に係止する場合には、
図7に示すように、各シートのヘッドレストポール36a,36bに対して係止ベルト16aの一部が交差する形態、いわゆるたすき掛けとなるようにして係止可能な構成とすると良い。このような係止形態とすることで、休息具本体12の幅方向(X軸方向)中心部の沈み込みを抑える事ができ、支持状態の安定化を図ることができる。
【0033】
[応用形態2]
また、上記実施形態では、車両用休息具10の取付形態として、車両に据付けられている後列シート40の座部42に一端を係止し、同じく前列シート30の背もたれ部32に他端を係止する旨記載した。しかしながら、車両用休息具10の一端の係止は、必ずしも車両に据付けられたシートとしなくても良い。
【0034】
例えば
図8に示すように車両の外部(例えば車両後方)に、使用者50が着座可能なシート46を配置し、この配置したシート46の座部に第1係止部14を介して休息具本体12の一端12aを係止し、他端12bを車両のシート(例えば後部座席にあたるシート(後列シート40))の背もたれ部44に係止されるようにすれば良い。なお、このような使用形態を採る場合、第1係止部14の構成を
図9に示すような係止ベルトにより構成した輪やフック(不図示)などとすると良い。
【0035】
[応用形態3]
上記実施形態ではいずれも、車両用休息具10は、休息具本体12を使用者50の前方に配置することにより、使用者50の下半身を支持する構成とする旨説明した。しかしながら、本発明に係る車両用休息具10は、使用者50の上半身を支持する構成とすることもできる。具体的には
図10に示すように、シート(例えば後列シート40)の座部42に第1係止部14(
図10には不図示)を介して休息具本体12の一端12aを係止可能な構成とする。そして、休息具本体12の他端12bに設けた第2係止部16は、使用者50が着座しているシート(
図10に示す例では後列シート40)に対応して設けられているアシストグリップ48に係止可能な構成とする。
【0036】
アシストグリップ48は主に、車両の内側壁天井側に位置している。このため、休息具本体12の他端12bに設ける第2係止部16は、休息具本体12の幅方向端部近傍に備えるようにすることが望ましい。第2係止部16の基端部の配置幅を広げることで、休息具本体12における使用者50の支持領域の幅を広げることができるからである。
【0037】
このような構成の車両用休息具10を構成する休息具本体12を使用者50が着座するシート(後列シート40)の背もたれ部44側、すなわち使用者50の後方に配置することで、使用者50の上半身を支持することが可能となる。
【0038】
このような構成、及び使用形態の車両用休息具10であっても、使用者50の体重の大半は、使用者50が着座しているシートの座部(後列シート40の座部42)により支え、車両用休息具10自体は使用者50の上半身、特に頭部と胸部の重量のみを支えることとなるため、大人の使用にも耐える安全性を確保する事ができる。
【0039】
[応用形態4]
また、本発明に係る車両用休息具は、上述した使用者50の下半身を支持するための休息具本体12(第1休息具本体)と、使用者50の上半身を支持するための休息具本体12(第2休息具本体)とを組み合わせたものとしても良い。このような構成の車両用休息具では、第1休息具本体の一端と、第2休息具本体の一端をいずれも車両のIsofixアンカーに係止する場合には、両者に共通な第1係止部14を設けるようにすると良い。その他の構成については、それぞれ上述した車両用休息具10の構成に倣えば良い。
【0040】
車両用休息具10をこのような組み合わせによる構成とした場合でも、使用者50の体重の大半は、着座しているシートの座部により支えるため、第2係止部16を係止する車内構造物(例えばヘッドレストポール36や、アシストグリップ48)に過度な負荷がかかる虞がない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る休息具は車両用休息具10として、使用対象を車両としているが、前列シート30と後列シート40が存在すれば、様々なタイプの車両、又は車両以外のシートにも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10………車両用休息具、12………休息具本体、12a………一端、12a1………タック、12b………他端、12b1………タック、14………第1係止部、14a………調整ベルト、14b………バックル、16………第2係止部、16a………係止ベルト、16b………フック、30………前列シート、32………背もたれ部、34………ショルダー部、36(36a,36b)………ヘッドレストポール、38………ヘッドレスト、40………後列シート、42………座部、44………背もたれ部、46………シート、48………アシストグリップ、50………使用者。