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特許7317897低反り射出成形ハウジング部品、およびそのようなハウジング部品を含む電気コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】低反り射出成形ハウジング部品、およびそのようなハウジング部品を含む電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20230724BHJP
   H01R 43/18 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01R13/46 B
H01R43/18
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103694
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2022008215
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10 2020 207 977.3
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール パニッツ
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015208628(DE,A1)
【文献】特開2008-210805(JP,A)
【文献】特開2002-289298(JP,A)
【文献】特表2018-526800(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115363(WO,A1)
【文献】特開2017-130257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 43/18,43/24
B29C 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維(64)で強化されたプラスチック材料から射出成形された、電気コネクタ(2)用のハウジング部品(1)であって、
前記ハウジング部品(1)は、2つの対向配置された平坦面(16)を含むベース部(14)を備え、
ハウジング部(26a、26b)が各平坦面(16)から離れる向きに延び、
それぞれの前記ハウジング部(26a、26b)の前記繊維(64)の配向(66)の平均値に対応する、前記ハウジング部(26a、26b)の主繊維配向(68a、68b)がそれぞれ、前記ベース部(14)から離れた方向を向き、
前記ハウジング部(26a)が前記ハウジング部品(1)の少なくとも1つの嵌合面(28)を形成し、
前記少なくとも1つの嵌合面(28)と反対側に配置された前記ハウジング部(26b)は、周壁(32)を備え、
前記周壁32は、前記ハウジング部品(1)の長手方向(12)に延びる上壁および下壁と、前記長手方向(12)に対向配置された側面(44)を有する側壁とを備え、
前記ハウジング部(26b)は、前記上壁および前記下壁から離れて設けられ、前記ベース部(14)に沿って前記長手方向(12)に延び、前記ハウジング部(26b)の内部で前記側面(44)を一体に接続する少なくとも1つのリブ(40、40b)を備え、
前記少なくとも1つのリブ(40)は、前記ベース部(14)の前記平坦面(16)に平行なリブ断面に、少なくとも1つの凸領域(50)と少なくとも1つの凹領域(52)とを備える、ハウジング部品。
【請求項2】
前記ハウジング部(26a、26b)の前記主繊維配向(68a、68b)は各々、前記ベース部(14)に対して異なる角度(70a、70b)である、
請求項1に記載のハウジング部品(1)。
【請求項3】
前記ハウジング部(26a、26b)は異なる大きさであり、小さいハウジング部(26b)の前記主繊維配向(68b)は、大きいハウジング部(26a)の前記主繊維配向(68a)よりも前記ベース部(14)に対して傾斜している、
請求項1または2に記載のハウジング部品(1)。
【請求項4】
前記ベース部(14)の前記繊維(64)は、少なくとも1つのハウジング部(26b)の前記主繊維配向(68b)を横切る主繊維配向(68)を示す、
請求項1から3のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項5】
前記ハウジング部品(1)は細長に構成され、前記ベース部(14)の最長主寸法(18)が前記ハウジング部品(1)の最長主寸法(6)に平行に延びる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項6】
前記ハウジング部品(1)は、前記ハウジング部品(1)の前記最長主寸法(6)に対して垂直に延びる前記ハウジング部品(1)の外面(56)に、少なくとも1つのスプルーポイント(58)を備える、
請求項5に記載のハウジング部品(1)。
【請求項7】
前記ベース部(14)は、電気コンタクト要素(24)用の開口部(22)を含むベースプレート(20)によって形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのリブ(40)は、少なくとも1つの厚いリブ部(46a)と少なくとも1つの薄いリブ部(46b)とを備える、
請求項1に記載のハウジング部品(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの厚いリブ部(46a)と前記少なくとも1つの薄いリブ部(46b)とは、それらのベースを前記ベース部(14)に有する、
請求項8に記載のハウジング部品(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのリブ(40)は、厚いリブ部(46a)と薄いリブ部(46b)との配列を備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項11】
前記厚いリブ部(46a)と前記薄いリブ部(46b)とは、前記ベース部(14)の前記平坦面(16)に平行に、互いに隣接して配置されている、
請求項10に記載のハウジング部品(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの厚いリブ部(46a)において、前記ハウジング部(26b)の前記主繊維配向(68b)は、前記ベース部(14)から離れた方向を向く、
請求項8又は9に記載のハウジング部品(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの嵌合面(28)を形成する前記ハウジング部(26a)は、複数の嵌合面(28)を形成し、各嵌合面(28)が少なくとも1つの隣接する嵌合面(28)と壁を共有する、
請求項1~12のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項14】
前記ハウジング部(26b)は、前記電気コネクタ(2)のハウジングカバー(38)を取り付けるように構成された周囲接着カラー(34)を備える、
請求項1~13のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項15】
前記ハウジング部(26b)は、前記ベース部(14)に沿って前記長手方向(12)に延びるさらなるリブ(40、40a、40c)を備え、
前記さらなるリブ(40)は、前記上壁および/または前記下壁の一部であるリブ状壁(42)である、
請求項1~14のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のハウジング部品(1)を含む電気コネクタ(2)であって、少なくとも1つの電気コンタクト要素(24)が前記ベース部(14)に配置されている、
電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低反り射出成形ハウジング部品、特に、例えば、限定されないが、電気コネクタ用の、繊維強化プラスチック材料から射出成形されたハウジング部品に関する。さらに、本発明はさらに、そのようなハウジング部品を含む電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
現代技術において、プラスチック射出成形部品が、数えきれないほど多くの適用において、例えば、電気工学において、電気コネクタ用のハウジング部品として使用されている。構成部品の安定性を向上させるために、プラスチック溶融物の製造中にフィラー繊維が添加される。これにより、通常、ハウジング部品の方向依存機械的挙動が生じる。このいわゆる異方性材料挙動は、ハウジング部品の冷却プロセス中に既に顕著であり、例えば、ハウジング部品の望ましくない反りを引き起こす。
【0003】
この反りの程度によっては、ハウジング部品は、所望の幾何学的仕様を満たさないため、本来の目的に対するその適応性を失うことがある。ハウジング部品の適応性は、後続措置(subsequent measures)および対応して増加する努力によってのみ、回復させることができる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低反りハウジング部品を構成できるようにし、反りを修正するための後続措置なしで本来の目的に使用できるようにする解決策を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、繊維で強化されたプラスチック材料から射出成形された、電気コネクタ用のハウジング部品であって、ハウジング部品は、2つの対向配置された平坦面を含むベース部を備え、ハウジング部が各平坦面から離れる向きに延び、それぞれのハウジング部の繊維の配向の平均値に対応する、ハウジング部の主繊維配向(main fiber orientation)が、ハウジング部品の冷却に関連する反りを軽減するために、ベース部から離れた方向を向く、ハウジング部品によって達成される。
【0006】
主繊維配向の平均値は、例えば、算術平均、幾何平均、二乗平均、統計的分布の中央値または平均値として計算され得る。したがって、主繊維配向とは、観察されるハウジング部品の部分において、大部分の繊維がどのように整列しているかを説明しており、ここでは、方向性または方向関連性があると理解すべきではない。ベース部から離れた方向を向く主繊維配向は、例えば、観察される部分の大部分の繊維が、一方の繊維端が他方の繊維端よりもベース部からさらに遠くに配置されるように配向されるときに得られる。
【0007】
ハウジング部品の2つの対向配置された面において、ハウジング部の繊維がベース部から離れた方向を向くことは、主繊維配向に沿った冷却よりも主繊維配向を横切る冷却によって大きい収縮を示すという、繊維強化プラスチック材料の特性を選択的に利用する。特に、冷却に関連する収縮が、ベース部に関して互いに反対側に配置されたそれぞれのハウジング部で生じると、その収縮により、ベース部に平行に延びる方向成分によってそれぞれの反り応力が生じる。そのような収縮は、単独で生じると、ハウジング部品の反りを引き起こす。しかしながら、収縮が一緒に生じると、ハウジング部品の2つの対向配置された面においてそれぞれのハウジング部に反り力が生じ、互いに打ち消し合い、または少なくとも互いに反対に作用し、したがって、反りを修正するための後続措置なしでも、ハウジング部品の全体的な反りを防止する、または少なくとも軽減することができる。
【0008】
言い換えると、本発明によるハウジング部品における複数のハウジング部の繊維の配向を使用して、ハウジング部品全体の反り挙動に選択的に影響を与える。したがって、特に、反りを補償するために、複数のハウジング部のうちの1つのハウジング部における繊維を配向することによって逆反り(counter-warpage)を完全に生じさせることができ、この逆反りは、他のハウジング部の反りを補償するまたは少なくとも軽減する。
【0009】
このことは、2つのハウジング部のうちの一方が、例えば、顧客仕様に準拠しているため、予め定義された幾何形状を有していなければならないが、その幾何形状が本質的に反りを受けやすい場合に特に有利である。そのような場合、それぞれ他方のハウジング部を選択的に使用して、対応する逆反りを生じさせることにより、ハウジング部品全体の反りを防止するまたは少なくとも最小化する。
【0010】
本発明は、それ自体有利であって、互いに任意に組み合わせることのできる以下の実施形態によってさらに改良することができる。
【0011】
可能な実施形態によれば、例えば、ガラス繊維、鉱物繊維、金属繊維、および/または細長金属粒子、ならびに任意の他の種類の短繊維または長繊維を繊維として使用することができる。繊維は、境界面近くの局所的に限定された乱流および偏向を除いて、プラスチック溶融物を鋳造用具に注入するときにプラスチック溶融物の流れの方向に沿って実質的に整列されるため、ハウジング部品の製造プロセス中に、プラスチック溶融物を鋳造用具に選択的に通すまたは鋳造用具を方向転換することにより、主繊維配向を鋳造用具に既に設定することができる。これについては詳細に後述する。
【0012】
あるいはまたは加えて、金属繊維および/または金属粒子の場合、主繊維配向は外部磁場の影響を受けることがあり、特に、ベース部と主繊維配向との間の角度をより正確に設定することができる。
【0013】
それぞれのハウジング部におけるベース部と主繊維配向との間の角度は、予想される反りまたは必要な逆反りに応じて、30°超、特に45°超、好ましくは60°超であってよい。原則として、発生する反り応力が大きいほど、関連するハウジング部におけるベース部と主繊維配向との間の角度が大きくなるという発見的方法が、本発明によるハウジング部品に当てはまる。したがって、ベース部と繊維配向との間の角度を、ハウジング部品の製造プロセス中に、ハウジング部品の冷却に関連する反りを軽減するための調節パラメータとして既に使用することができる。
【0014】
特に好ましい実施形態において、少なくとも1つのハウジング部の主繊維配向は、ベース部を横切っている。そのような配向は、ベース部と主繊維配向との間の角度が90°±20°である場合に得られ、最大の逆反りを生じさせることができる。
【0015】
さらなる可能な実施形態によれば、複数のハウジング部の主繊維配向は各々、ベース部に対して異なる角度であってよい。複数のハウジング部それぞれの繊維を異なる角度で選択的に配向することにより、それぞれのハウジング部の大きさに応じて、ハウジング部品の冷却に関連する反りの軽減をより柔軟に制御することができる。
【0016】
例示的な実施形態によれば、ハウジング部は異なる大きさであってよく、小さいハウジング部の主繊維配向が、大きいハウジング部の主繊維配向よりもベース部に対して傾斜している。異なる大きさのハウジング部は、ハウジング部が異なる体積比、容積比、および/または重量比を有する場合に得られる。例えば、大きいハウジング部の少なくとも1つの主幾何寸法が、小さいハウジング部の対応する主幾何寸法よりも大きくてよい。例えば、ベース部に対して垂直な高さは、小さいハウジング部よりも大きいハウジング部において大きい。
【0017】
前述した発見的方法によれば、本実施形態における冷却に関連する反り応力は、大きいハウジング部よりも小さいハウジング部において強い。同等の大きさの反り力が、それぞれのハウジング部の体積にわたって生じる。ハウジング部はベース部の対向配置された平坦面にそれぞれ位置するため、反り力が互いに反対方向に作用し、したがって、反り力の補償が生じる。これにより、特に、大きいハウジング部の反りを、小さいハウジング部の選択的に生じる逆反りによって補償することができる。
【0018】
3つ以上のハウジング部を含むハウジング部品の場合、小さいハウジング部の主繊維配向は、大きいハウジング部の主繊維配向よりもベース部に対してそれ相応に傾斜していてよい。
【0019】
あるいは、すべてのハウジング部の主繊維配向は、ベース部に対して同じ角度である。このように、同じ大きさのハウジング部により、反り力を特に容易に補償することができる。
【0020】
さらに可能な実施形態によれば、ベース部の繊維は、少なくとも1つのハウジング部の主繊維配向を横切る主繊維配向を示すことができる。そのような主繊維配向では、それぞれ生じる反り応力も互いに横切り、したがって特に累積しないので、ベース部はハウジング部品の反りに寄与しない。
【0021】
さらなる実施形態によれば、ハウジング部品は細長(elongate)に構成されてよく、ベース部の最長主寸法がハウジング部品の最長主寸法に平行に延びていてよい。ハウジング部品の最長空間主寸法、例えば最長外縁部が、例えば、それに対して垂直なハウジング部品の残りのすべての主寸法よりも少なくとも何倍も大きい場合、ハウジング部品は細長である。ここでは、ハウジング部品の最長主寸法の方向は、ハウジング部品の長手方向を定義することができる。
【0022】
本実施形態は、特に反りを受けやすい細長ハウジング部品の場合でも、後続措置なしで全体的な反りを防止するまたは最小化することができるため、有利である。細長ハウジング部品は、例えば、細長ハウジング部品の中央領域の比較的小さい反りが細長ハウジング部品の端部領域の比較的大きい角度ずれにつながることがあるという理由で、特に反りを受けやすい。
【0023】
ハウジング部間の力伝達を向上させるために、ハウジング部を、好ましくはハウジング部品の長手方向に沿って連続して一体になるように、ベース部を介して互いに一体に接続することができる。そのような一体接続は、ハウジング部がベース部にポジティブ材料嵌合により、特に一体構造で接続される場合に得られる。
【0024】
さらなる実施形態によれば、ハウジング部品は、ハウジング部品の最長主寸法に垂直に延びるハウジング部品の外面に、少なくとも1つのスプルーポイント(sprue point)、すなわち同意語としてゲートマーク(gate mark)を備えることができる。特に、スプルーポイントは、ハウジング部品の長手方向に垂直に延びるベース部の外面に位置していてよい。少なくとも1つのスプルーポイントをそのように片面の外側に配置することにより、プラスチック溶融物の合流点のない最適な注入プロセスによってハウジング部品を製造することができる。
【0025】
少なくとも1つのスプルーポイントの位置は、ハウジング部品のスプルーバーまたは欠陥によって認識可能であってよい。欠陥とは、例えば、ハウジング部品の外面の目に見える変色、切欠き、または隆起を指す。そのような欠陥は、例えば、ハウジング部品を冷却した後にスプルーバーが切断されたときに生じることがある。
【0026】
注入プロセスを短縮するため、かつ/または非常に長い主寸法のために、ハウジング部品は2つのスプルーポイントを有していてもよく、スプルーポイントは、ハウジング部品に関して特に互いに反対側に配置された外面、長手方向において互いに反対側に配置された外面に配置される。
【0027】
さらなる可能な実施形態によれば、ベース部は、プレート状、好ましくは連続したプレート状に構成されてよい。特に、ベース部は、電気コンタクト用の開口部を有するベースプレートによって形成される。ここでは、開口部は、ベース部の2つの平坦面を接続し、電気コンタクト要素などの電気コンタクト用の容易に実装できるホルダを表す。
【0028】
あるいは、ベース部を、ハウジング部品の接地プレート(ground plate)、中間プレート、または中央プレートによって形成してもよい。
【0029】
さらなる可能な実施形態によれば、ハウジング部が、ハウジング部品の少なくとも1つの嵌合面を形成することができる。ベース部は、ベース、すなわち、少なくとも1つの嵌合面の最下面、最後面、および/または最深面に隣接することができる。ここでは、嵌合面という用語は、電気コネクタの適合する相手側コネクタとの機械的境界面を記述する。
【0030】
本実施形態は、通常、幾何寸法精度に関する特に高い要件を満たさなければならない嵌合面を含むハウジング部品における、冷却に関連する反りを防止するまたは少なくとも最小化することができるため、有利である。
【0031】
場合により、少なくとも1つの嵌合面を形成するハウジング部は、いくつかの嵌合面を形成し、各嵌合面が少なくとも1つの隣接する嵌合面と壁を共有してもよい。これにより生じる嵌合面には、反りを受けにくい、より安定した形状が与えられる。
【0032】
あるいは、相手側コネクタの形成に必要な場合には、いくつかの嵌合面を互いに距離をおいてベース部に分散させてもよい。
【0033】
他のハウジング部および/またはベース部は、電気コネクタのさらなる、例えば、追加のハウジングカバーを取り付けるために、接着剤を塗布することのできる接着カラーを形成することができる。
【0034】
場合により、他のハウジング部および/またはベース部は、例えば取扱いによって接着カラーが指紋で汚れることを防ぐために、接着カラーから離間した把持面を提供するハンドルを形成してもよい。
【0035】
加えてまたはあるいは、他のハウジング部は、例えば、電気コンタクトを意図しない接触から保護する壁を形成してもよい。
【0036】
ハウジング部品を安定させるために、ハウジング部は、少なくとも1つのリブ、すなわちリブ状壁部を備えることができる。少なくとも1つの嵌合面と反対側に配置されたハウジング部は、少なくとも1つのリブを備えることが好ましい。これにより、少なくとも1つの嵌合面の幾何形状に影響を与えることなく、ハウジング部品を安定させることができる。これにより、顧客仕様および/または標準仕様への準拠が簡単になる。
【0037】
少なくとも1つのリブは、例えば、接着カラーまたは壁の一部であってよい。特に、少なくとも1つのリブは、ベース部に一体に接続され、ベース部に沿ってハウジング部品の長手方向に延びる。場合により、複数のリブが、平行に互いに離間してこのように延びることができる。
【0038】
さらなる可能な実施形態によれば、少なくとも1つのリブは、ベース部の平坦面に平行なリブ断面に、少なくとも1つの凸領域と少なくとも1つの凹領域とを備えることができる。少なくとも1つの凸領域はリブ断面の領域であり、その外側輪郭が外方に湾曲している。これに対応して、少なくとも1つの凹領域におけるリブ断面の外側輪郭は内方に湾曲している。これらの領域間の移行部は、階段状に、スロープ状に、または湾曲して延びることができる。さらに、移行部は、角張っていても丸みがあってもよい。リブ断面は、ベース部に垂直な少なくとも1つのリブの高さにわたって一定であってよい。
【0039】
詳細に後述するように、少なくとも1つの凸領域は、局所的な逆反りを生じさせるのに適しており、少なくとも1つの凹領域は、少なくとも1つの凸領域を壁の残りの部分および/またはさらなる凸領域に力伝達接続(force-transmitting connection)するために使用される。したがって、特に、ハウジング部品の受動的な安定化(passive stabilization)に加えて、そのようなリブ断面を含む、壁の一部としての少なくとも1つのリブを、積極的な反り補償のために使用することもできる。この二重機能により、ハウジング部品に追加の構造的措置が不要になる。
【0040】
さらなる実施形態において、リブ断面の凸領域および凹領域の簡単な実装が可能であり、これにより、少なくとも1つのリブは、少なくとも1つの厚いリブ部と少なくとも1つの薄いリブ部とを備える。ここでは、少なくとも1つの厚いリブ部は、リブ断面の少なくとも1つの凸領域に対応する。少なくとも1つの薄いリブ部は、同様に、リブ断面の少なくとも1つの凹領域に対応する。
【0041】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの厚いリブ部と少なくとも1つの薄いリブ部とは、それらのベースをベース部に有することができる。リブ部は、互いにかつベース部にポジティブ材料嵌合で接続されることが好ましく、各リブ部の中心軸は、ベース部の平坦面に垂直に延びる。したがって、ハウジング部品が鋳造用具で製造されるときに、リブ部、特に少なくとも1つの厚いリブ部に、ベース部の方向からプラスチック溶融物を充填する可能性がある。したがって、プラスチック溶融物の流れの方向に整列するという前述した繊維の傾向により、ベース部から離れる方向を向く主繊維配向が得られる。ベース部の方向から厚いリブ部を充填することを可能にするまたは容易にする正確な状況およびプロセスについては、鋳造用具および鋳造方法の例示的な説明によりさらに後述する。
【0042】
ハウジング部品のさらなる可能な実施形態によれば、少なくとも1つのリブは、厚いリブ部および薄いリブ部の配列を備えることができる。ここでは、リブ部の配列は、ベース部に沿ってハウジング部品の長手方向に延びることができる。特に、配列は、ベース部の主繊維配向に平行に延びることができる。2つのスプルーポイントを含むハウジング部品の場合、配列は、2つのスプルーポイントの接続線に平行に延びることができる。
【0043】
本実施形態により、リブ部をハウジング部品にわたって分散させることができる。リブ部を均一に分散させることにより、生じる逆反りもハウジング部品にわたって均一に分散させることができる。あるいは、リブ部を不均一に、例えば、嵌合面と反対側に配置されたハウジング部品の領域のみに限定して分散させて、これらの領域に逆反りを集中させてもよい。
【0044】
リブの厚いリブ部および薄いリブ部を、ベース部の平坦面に平行に、互いに隣接して配置することができる。薄いリブ部を2つの隣接する厚いリブ部間に配置することができる。厚いリブ部を2つの隣接する薄いリブ部間に配置することができる。特に、厚いリブ部と薄いリブ部とを交互に配置することができる。前述したようにリブ部は互いに接続されているため、ハウジング部品の長手方向に沿ったリブ内の反り補償の枠組内で、例えば、ハウジング部品の全長にわたって、力伝達を行うことができる。
【0045】
前述した基本となる目的を、前述の実施形態のうちの1つによるハウジング部品を含む電気コネクタであって、少なくとも1つの電気コンタクト要素がハウジング部品のベース部に位置する電気コネクタによって達成することもできる。場合により、複数の電気コンタクト要素を、例えば、ベースプレートとして構成されるベース部の開口部に配置することができる。したがって、ベースプレートは、コンタクトキャリアまたはコンタクトホルダとして機能する。前述したハウジング部品の低反り構成と、これにより得られる幾何寸法精度への準拠とにより、本発明による電気コネクタを、反りを修正するいかなる後続措置もなしで、その本来の目的のために有利に使用することもできる。
【0046】
少なくとも1つのリブの形成とプラスチック溶融物の流れの方向との関係を示すために、鋳造用具および鋳造方法の例示的な説明を以下に示す。
【0047】
使用する鋳造用具は、ハウジング部品を射出成形するための少なくとも3つの連通するキャビティを備え、第1のキャビティが、ハウジング部品のベース部のネガティブ形状を形成し、第1のキャビティに隣接する第2のキャビティが、少なくとも1つの嵌合面を含むハウジング部のネガティブ形状を形成し、第2のキャビティと反対側の第1のキャビティの側面における第3のキャビティが、少なくとも1つのリブを含むハウジング部のネガティブ形状を形成することが好ましい。鋳造用具はまた、製造するベース部のスプルーポイントにおいて、第1のキャビティに開くスプルーチャネルを備える。第1のキャビティ、第2のキャビティ、および第3のキャビティは各々、スプルーチャネルに平行に延びる最長主寸法を有することができる。
【0048】
第3のキャビティはまた、少なくとも1対のチャンバを備える。対のチャンバは、少なくとも1つの薄いリブ部を形成するための、第1のキャビティと連通する先細チャンバならびに、少なくとも1つの厚いリブ部を形成するための、第1のキャビティおよび先細チャンバと連通する拡張チャンバとを含む。少なくとも1対のチャンバでは、先細チャンバは拡張チャンバよりもスプルーチャネルに近接している。
【0049】
ハウジング部品を射出成形するときに、繊維と混合されたプラスチック溶融物がスプルーチャネルを介して前記鋳造用具の第1のキャビティに導入される。次いで、プラスチック溶融物は、少なくともスプルーに近接した第1のキャビティの領域からスプルーに近接した第2のキャビティおよび第3のキャビティの領域に送られる。プラスチック溶融物のフローフロントが、少なくともスプルーに近接した第1のキャビティ、第2のキャビティ、および第3のキャビティの領域に同じ速度で広がり、スプルーチャネルから離れるように配向される方向に沿ってそれぞれのキャビティを充填する。特に、プラスチック溶融物は、第3のキャビティの少なくとも1つの先細チャンバの方向に向けられる。
【0050】
第3のキャビティの少なくとも1つの先細チャンバにおいて、プラスチック溶融物は、今度は、より大きい流れ抵抗によって、第3のキャビティの少なくとも1つの拡張チャンバの方向へゆっくりと広がるため、第1のキャビティからのフローフロントが他のすべてのフローフロントより先に少なくとも1つの拡張チャンバに到達する。その結果、少なくとも1つの拡張チャンバは、第1のキャビティからのプラスチック溶融物で充填される。
【0051】
言い換えると、前述したハウジング部品の形成、特に少なくとも1つのリブの形成は、ハウジング部品の製造中にプラスチック溶融物の流れの方向を選択的に方向転換する可能性を示す。とりわけ、第3のキャビティのフローフロントは、先細チャンバによって速度が遅くなるため、第1のキャビティのフローフロントによって追い越される。したがって、第1のキャビティのフローフロントは、拡張チャンバの方向に部分的に方向転換され、比喩的に「角を曲がって(around the corner)」流れる。これにより、少なくとも1つのリブを含むハウジング部に、少なくとも1つの厚いリブ部において、ベース部から離れた方向を向く主繊維配向が生じる。
【0052】
リブ部の配列がある場合、このプロセスを隣接する対のチャンバにおいて再び繰り返す。その結果、リブ部の形成によってプラスチック溶融物の方向転換が繰り返されるため、プラスチック溶融物の流れの方向、およびしたがって厚いリブ部における繊維の配向が発生する。この配向は、厚いリブ部および薄いリブ部を有していないリブを含むハウジング部では、ベース部から離れた方向を向かない、またはあまり向かない。
【0053】
したがって、厚いリブ部、すなわちリブ断面の凸領域では、鋳造プロセス後にそれぞれの選択的な逆反りが誘発されて、薄いリブ部、すなわちリブ断面の凹領域を介して伝達される反り力を生じさせ、ハウジング部品の他の部分、例えば、嵌合面の反りを打ち消す。
【0054】
以下で、図面を参照しながら、いくつかの実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。上記の説明に従って、実施形態の異なる特徴を必要に応じて互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】例示的な実施形態による、本発明のハウジング部品の概略斜視図である。
図2図1の本発明によるハウジング部品の断面を示す概略平面図である。
図3】例示的な実施形態による、本発明の電気コネクタの概略斜視図である。
図4図1の本発明によるハウジング部品を製造するための鋳造用具の概略断面を示す斜視詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
まず、図1および図2を参照しながら、本発明によるハウジング部品1の概略構造について例示的な実施形態で説明する。次に、図3を参照しながら、本発明による電気コネクタ2の概略構造について簡単に説明する。最後に、図4を参照しながら、本発明によるハウジング部品1を製造するための鋳造用具4における局所的なフロープロセスについて説明する。
【0057】
図1に示すように、ハウジング部品1は、繊維で強化されたプラスチック材料から射出成形され、細長であり得る。言い換えると、ハウジング部品1の最長空間主寸法6は、それに垂直なハウジング部品1の残りのすべての主寸法8よりも何倍も大きくてよい。ここでは、ハウジング部品1の最長主寸法6の方向10が長手方向12を定義しており、この方向は、以下の説明をより十分に理解するためだけに使用される。
【0058】
ハウジング部品1は、2つの対向配置された平坦面16を含むベース部14を備え、ベース部14の最長主寸法18がハウジング部品1の最長主寸法6に平行に延びる。したがって、ベース部14はハウジング部品1において長手方向に延びる。
【0059】
図1に示すように、ベース部14は、連続したプレート状であってよく、特に電気コンタクト要素24(図3参照)用の開口部22を含むベースプレート20によって形成されてよい。あるいは、ベース部14を、ハウジング部品1の接地プレート、中間プレート、または中央プレートによって形成してもよい。
【0060】
ハウジング部26a、26bが、ベース部14の各平坦面16から離れる向きに延びることができる。ハウジング部26a、26bを、ベース部14を介して長手方向12に沿って連続して互いに一体に接続することができる。これは図1および図2に示されている。
【0061】
ハウジング部26aは、少なくとも1つの嵌合面28、すなわち、ハウジング部品1と電気コネクタ2の適合する相手側コネクタ(図示せず)との間の機械的境界面を形成することができる。ベース部14は、少なくとも1つの嵌合面28のベース30に隣接する。図1に例として示すように、ハウジング部26aは、複数の均一の嵌合面28aを形成することができ、これらの嵌合面28aは、同じ大きさの少なくとも1つの隣接する嵌合面28bと壁を共有する。必要であれば、嵌合面28a、28bは互いに離間していてもよく、かつ/または異なる形状もしくは大きさを有していてもよい(図3参照)。
【0062】
図1に示すように、他のハウジング部26bは、周壁(circumferential wall)32および周囲接着カラー(circumferential adhesion collar)34を形成することができる。必要であれば、ハウジング部26bは、接着カラー34から離間したハンドル36を形成することもできる。接着カラー34を使用して、接着剤を塗布し、電気コネクタ2の追加のハウジングカバー38(図3参照)を取り付けることができる。
【0063】
さらに、ハウジング部26bは、ベース部14に一体に接続され、かつベース部14に沿って長手方向12に延びる少なくとも1つのリブ40、すなわちリブ状壁部42を備えることができる。図1に示す実施形態において、3つのそのようなリブ40a、40b、40cが例として示されている。図示の2つのリブ40a、40cは壁32の一部である。残りのリブ40bは、長手方向12に対向配置された壁32の側面44を一体に接続する。
【0064】
加えて、図1から、リブ40a、40b、40cが各々、厚いリブ部46aと薄いリブ部46bとの配列を備えることが見て取れる。ここでは、配列は、ベース部14に沿って長手方向12に延び、リブ部46a、46bは、ベース部14の平坦面16に平行に、隣接して配置される。特に、リブ部46a、46bは、均一な嵌合面28と反対側に配置されたハウジング部26bの領域48にわたって均一に分散される。あるいは、リブ部46a、46bは、例えば、不均一な嵌合面(図3参照)の場合に、異なって、特に不規則に分散されていてもよい。
【0065】
薄いリブ部46bは、それぞれ2つの隣接する厚いリブ部46a間に配置され、厚いリブ部46aは、2つの隣接する薄いリブ部46b間に配置される。特に、厚いリブ部46aと薄いリブ部46bとは配列において交互に配置される。
【0066】
リブ部46a、46bの配列により、凸領域50と凹領域52とが、それぞれのリブ40a、40b、40cにおいて、ベース部14の平坦面16に平行なリブ断面に生じる。凸領域50では、リブ断面は外方に湾曲する輪郭を有する。これに対応して、凹領域では、リブ断面の外側輪郭は内方に湾曲している。
【0067】
図1に例として示すように、凸領域50と凹領域52との間の移行部は、角張ったスロープ状である。あるいは、移行部は、階段状であっても、湾曲していても、かつ/または丸みがあってもよい。これにより生じるリブ断面は、ベース部14に垂直なそれぞれのリブ40a、40b、40cの高さにわたって一定であってよい。
【0068】
また、図1に示すように、厚いリブ部46aと薄いリブ部46bとは、互いにかつベース部14にポジティブ材料嵌合で接続されて、リブ部46a、46bがそれらのベースをベース部14に有するようになっている。各リブ部46a、46bの中心軸54が、ベース部14の平坦面16に垂直に延びる。
【0069】
加えて、図1は、ハウジング部品1が、長手方向12に垂直に延びるハウジング部品1の外面56に少なくとも1つのスプルーポイント58を備えることができることを示す。特に、スプルーポイント58は、長手方向12に対して垂直に延びるベース部14の外面60に位置していてよい。少なくとも1つのスプルーポイント58の位置は、ハウジング部品1のスプルーバー(図示せず)または欠陥によって認識可能であってよい。欠陥は、例えば、ハウジング部品1の外面56の目に見える変色、切欠き、または隆起でありうる。
【0070】
他の実施形態(図示せず)において、ハウジング部品1は2つのスプルーポイントを備えることもできる。これらのスプルーポイントは、ハウジング部品1に関して長手方向12において反対側に配置されたハウジング部品1の外面56に配置されることが好ましい。
【0071】
図2は、ハウジング部品1の部分14、26a、26bの繊維64が各々配向66を有することができ、その平均値により、ある主繊維配向68、68a、68bが生じることを点線62で示す。特に、ハウジング部26a、26bの主繊維配向68a、68bは各々、ベース部14から離れた方向を向き、それぞれの主繊維配向68a、68bはベース部14に対して異なる角度70a、70bである。
【0072】
ハウジング部26aの主繊維配向68aは、例えば、顧客仕様および/または標準仕様に準拠している嵌合面28の幾何形状により、ハウジング部品1の製造プロセス中に確実に生じる。
【0073】
より正確には、ハウジング部品1の製造中に、嵌合面28の幾何形状によって鋳造用具4に流路が生じることができ、これにより、鋳造プロセス中にプラスチック溶融物の流れ方向82(図4参照)において繊維64が整列する傾向と相まって、ハウジング部26aの主繊維配向68aがベース部14から離れた方向を向く。繊維強化プラスチック材料は基本的に繊維64の配向66を横切ってより大きく収縮し、これにより生じる反り応力74がハウジング部品1の片側のみに作用するため、ハウジング部26aの支配的な主繊維配向68aは、そのままで、ハウジング部品1の冷却プロセス中に反り力72を生じさせる。ここでは、主繊維配向68aとベース部14との間の角度70aが大きくなるほど、反り応力74がより顕著になる。
【0074】
この反り力72を補償するために、ハウジング部26bの主繊維配向68bは同様にベース部14から離れた方向を向く。したがって、冷却に関連する反り応力74もハウジング部26bに生じ、逆反り力76を引き起こす。逆反り力76は、反り力72と反対の方向に与えられ、反り力72を打ち消すことが好ましいため、冷却プロセス後にハウジング部品1にはほとんど、またはわずかな反りしか生じない。
【0075】
図示の例示的な実施形態において、ハウジング部26a、26bは異なる大きさである。特に、嵌合面28を含むハウジング部26aは、リブ40a、40b、40cを含むハウジング部26bよりも大きい体積を有する。小さいハウジング部26bの主繊維配向68bは、大きいハウジング部26aの主繊維配向68aよりもベース部14に対して傾斜している。これは、角度70bが角度70aよりも大きいことを意味する。したがって、冷却に関連する反り応力74は、大きいハウジング部26aよりも小さいハウジング部26bにおいて大きい。同等の大きさおよび反対の向きの反り力72または逆反り力76が、それぞれのハウジング部26a、26bの体積にわたって生じる。その結果、力補償が生じ、ハウジング部品1を、反りなしで、またはわずかな反りで、反りを修正するための後続措置なく製造することができる。
【0076】
同じ大きさのハウジング部を含むハウジング部品の場合、すべてのハウジング部の主繊維配向がベース部14に対して同じ角度であってもよい。ベース部14の主繊維配向68は、ハウジング部26bの主繊維配向68bを横切っていてもよい。
【0077】
図3は、本発明による電気コネクタ2の可能な実施形態の斜視図である。電気コネクタ2は、前述の実施形態のうちの1つによるハウジング部品1を備え、少なくとも1つの電気コンタクト要素24がハウジング部品1のベース部14に配置される。特に、複数の電気コンタクト要素24が、ベースプレート20として構成されるベース部14の開口部22に配置される。電気コンタクト要素24は、少なくともベース部14の平坦面16においてハウジング部26aの嵌合面28内へ突出する。嵌合面28は各々互いに離間し、部分的に異なる形状または大きさを有する。
【0078】
以下で、図4を参照しながら、ハウジング部品1の射出成形中における、少なくとも1つのリブ40の形成とプラスチック溶融物の流れ方向82との関係について説明する。このために、図4は、本発明によるハウジング部品1を製造するための鋳造用具4の、非常に簡略化した斜視断面図の一部を示す。図示の鋳造用具4の部分は、例えば、図1に破線のボックスで示すハウジング部品1のリブ40bの領域84を形成することができる。図示の詳細において、ハウジング部品1のベース部14を形成するキャビティ86aとハウジング部26bを形成するキャビティ86bとの一部がそれぞれ示されている。
【0079】
キャビティ86bは、互いにかつキャビティ86aと連通するチャンバ90a、90bを特に備える。チャンバ90aは拡張され、ハウジング部品1の少なくとも1つのリブ40の厚いリブ部46aを形成するように機能する。次に、チャンバ90bは先細になり、それに応じて、ハウジング部品1の少なくとも1つのリブ40の薄いリブ部46bを形成するように機能する。
【0080】
加えて、鋳造用具4に送られるプラスチック溶融物のフローフロント92の連続スナップショットが図4に示されている。図1に示すスプルーポイント58を介して鋳造用具4にプラスチック溶融物が充填されると、フローフロント92は、主に左側で図4に示す部分に流入する。プラスチック溶融物は、より強い流れ抵抗によって、先細チャンバ90bにおいてゆっくりと広がるため、キャビティ86aからのフローフロント92は、先細チャンバ90bから到達するフローフロント92より先にそれぞれの拡張チャンバ90aに到達する。したがって、流れ方向82の局所的な方向転換が生じることにより、射出成形中に、特に拡張チャンバ90aに、ベース部14を形成するキャビティ86aの方向からプラスチック溶融物が充填される。
これは、鋳造プロセス中にプラスチック溶融物の流れ方向82において繊維64が整列する傾向と相まって、少なくとも1つのリブ40の厚いリブ部46aの繊維64がベース部14から離れた方向を向いて整列するという結果になる。これにより、十分な数および/または十分な全体積の厚いリブ部46aでは、平均値の計算により、ベース部14から離れた方向を向く、ハウジング部26bの所望の主繊維配向68bが生じる(図2参照)。
【符号の説明】
【0081】
1 ハウジング部品
2 コネクタ
4 鋳造用具
6 主寸法
8 主寸法
10 方向
12 長手方向
14 ベース部
16 平坦面
18 主寸法
20 ベースプレート
22 開口部
24 コンタクト要素
26a、26b ハウジング部
28、28a、28b 嵌合面
30 ベース
32 壁
34 接着カラー
36 ハンドル
38 ハウジングカバー
40、40a、40b、40c リブ
42 リブ状壁部
44 側面
46a、46b リブ部
48 領域
50 領域
52 領域
54 中心軸
56 外面
58 スプルーポイント
60 外面
62 点線
64 繊維
66 配向
68、96a、96b 主繊維配向
70a、70b 角度
72 反り力
74 反り応力
76 逆反り力
82 流れの方向
84 領域
86a、86b キャビティ
90a、90b チャンバ
92 フローフロント
図1
図2
図3
図4