(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/50 20060101AFI20230724BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C23C14/50 K
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021143009
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000227294
【氏名又は名称】キヤノンアネルバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143395
【氏名又は名称】岩田 今日文
(72)【発明者】
【氏名】畦原 吉史
(72)【発明者】
【氏名】石村 徹
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特公平4-080734(JP,B2)
【文献】特開平7-188914(JP,A)
【文献】特開2011-124348(JP,A)
【文献】特開2015-012283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 -14/58
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を保持可能な基板固定治具を収納可能なカセットを有するロードロック室と、
前記基板固定治具を載置可能な回転ホルダを有する処理室と、
前記ロードロック室と前記処理室との間で、前記基板固定治具を垂直状態につり下げた状態で、水平搬送可能な搬送機構と、
を有する真空処理装置において、
前記カセットは、その上部両端部に、前記基板固定治具を載置可能なカセットフックを有し、
前記基板固定治具は、その上部両端部に、前記カセットフックを挿入可能な貫通穴が形成されており、
前記回転ホルダは、垂直状態の回転軸を有し、
前記搬送機構は、その上部両端部に、前記貫通穴に挿入可能な、搬送フックを有し、
前記搬送機構は、その下端部に、前記基板固定治具の下端部を載置可能な下フックを有し、
前記基板固定治具は、前記搬送機構の前記搬送フックと前記下フックで載置され、垂直状態につり下げた状態で、前記ロードロック室と前記処理室との間で水平搬送されることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記カセットフックの上部には、前記基板固定治具の位置が定まるようV字型の溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記貫通穴が、丸型、弾丸形状又は三角形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記搬送フックは、コの字型形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記下フックは、Lの字型形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記カセットフックの縦断面形状は、コの字型、丸形又はU字型であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記搬送機構として水平多関節ロボットアームを利用したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜の形成に用いられる真空蒸着装置やスパッタリング装置等のような真空処理装置に関する
【背景技術】
【0002】
複数の基板を外周面に保持した多角形又は円筒形のドラム型基板ホルダを地面に垂直な円筒中心軸上で回転させながら、ドラム型基板ホルダの外周に対向して設置されたターゲットをスパッタリングして各基板上に薄膜を成膜する、いわゆるカルーセル型スパッタ装置が知られている。いわゆるカルーセル型スパッタ装置の第1例として特許文献1に示す真空処理装置について、
図10、
図11を用いて説明する。
図10は、特許文献1に示す真空処理装置の概略断面図、
図11は
図10の装置の一部の具体例を示す部分断面図である。
図10、
図11に示す真空処理装置は、処理室内101に、処理すべき基板の装着される回転ドラム治具102を固定配置し、処理室内101の上記回転ドラム治具102に対して処理すべき基板・ホルダ組立体1012を着脱するための基板・ホルダ組立体着脱機構1014を設け、処理室101に対して基板・ホルダ組立体1012を垂直状態(回転軸に対して平行状態)で、基板仕込み室104・基板取り出し室105との間で、
図11に示す搬送機構1013により、基板・ホルダ組立体1012を水平搬入、水平搬出できるように構成したことを特徴とする。
図10、
図11に示す真空処理装置によれば、回転ドラム治具102を処理室内101に固定配置し、着脱機構1014を用いて基板・ホルダ組立体1012だけを回転軸に対して平行状態で、搬入装着、取外し搬出するように構成しているので、ドラム治具自体102に必要な装置、例えば冷却機構やバイアス印加手段を組込むことができ、また各室(基板仕込み室104,処理室101,基板取り出し室105)の仕切バルブ108,10109、1010、1011も小型化でき、デットスペースの縮小と共に装置自体を小型化でき、そして排気系の負荷も軽減させることができる。
なお、
図10、
図11において、カソード103、回転ドラム治具102の各基板装着面102A、案内ローラ1013Aと駆動ローラ1013B、回転ドラム治具102を所定の位置(すなわち基板・ホルダ組立体1012の着脱位置)で停止させる停止案内装置1016を示す。
このように、
図10、
図11に示す真空処理装置は、真空中で基板の載せ替えをすることで、成膜室を高真空度に保ったまま成膜処理をすることができる。しかし、上記特許文献1に示す装置は以下のような問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、
図10、11に示す真空処理装置の場合、基板・ホルダ組立体1012の基板仕込み室104から処理室102への搬入動作においては、基板・ホルダ組立体1012の両側部が、搬送装置1013の案内ローラ1013Aにより滑動案内されながら、
図10に示す→A、→Bの順で(
図11に示す→Bの順で)搬送装置1013の駆動ローラ1013Bにより基板仕込み室104から処理室102へ搬入される。
また、
図10、11に示す真空処理装置の場合、処理室102から基板取出し室105への搬入動作においても、基板・ホルダ組立体1012の両側部を、搬送装置1013の案内ローラ1013Aと駆動ローラ1013Bにより滑動案内しながら、
図10に示す→C、→Dの順で(
図11に示す→Cの順で)基板・ホルダ組立体1012を垂直状態(回転軸に対して平行状態)で保持することになる。
そのため、基板・ホルダ組立体1012は、つり下げた状態で基板仕込み室104や基板取出し室105に、
図11に示す搬送機構の案内ローラ1013Aと駆動ローラ1013Bにより、接触した状態で水平搬入、水平搬出(回転軸に対して平行状態)で搬送されることになるので、基板・ホルダ組立体1012よりパーティクルが発生し、製品の不良を出しやすいという問題を発生する可能性がある。
さらに、
図10に示す真空処理装置の場合、基板仕込み室104や基板取出し室105には、複数の基板・ホルダ組立体1012を搭載可能であるが、搭載可能な具体的な構造が開示されていない。
そのため、基板仕込み室104や基板取出し室105へ複数の基板・ホルダ組立体1012を収納する際に、搬送機構の複雑さから基板仕込み室104から処理室102での成膜後、基板取出し室105までの基板回収時間にやや時間がかかる可能性があり、生産量の向上が期待できない。
【0005】
そこで、本発明は、前記特許文献1記載の発明の問題を解決することを目的とするものであり、
ロードロック室と、処理室と、前記ロードロック室と前記処理室との間で、複数の基板を保持可能な基板トレイを垂直状態のつり下げた状態で、水平搬送可能な搬送機構とを有する真空処理装置において、前記ロードロック室や処理室に前記基板トレイを設置する際に、装置を複雑化、大型化することなく、パーティクルが発生し製品の不良を出すことがない真空処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
複数の基板を保持可能な基板固定治具を収納可能なカセットを有するロードロック室と、
前記基板固定治具を載置可能な回転ホルダを有する処理室と、
前記ロードロックロック室と前記処理室との間で、前記基板固定治具を垂直状態のつり下げて状態で、水平搬送可能な搬送機構と、
を有する真空処理装置において、
前記カセットは、その上部両端部に、前記基板固定治具を載置可能なカセットフックを有し、
前記基板固定治具は、その上部両端部に、前記カセットフックを挿入可能な貫通穴が形成されており、
前記回転ホルダは、垂直状態の回転軸を有し、
前記搬送機構は、その上部両端部に、前記貫通穴に挿入可能な、搬送フックを有し、
前記搬送機構は、その下端部に、前記基板固定治具の下端部を載置可能な下フックを有し、
前記基板固定治具は、前記搬送機構の前記搬送フックと前記下フックで載置され、垂直状態のつり下げて状態で、前記ロードロック室と前記処理室との間で水平搬送されることを特徴とする真空処理装置としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る真空処理装置によれば、基板固定治具は、搬送機構の搬送フックと下フックで載置され、垂直状態のつり下げた状態で、ロードロック室と処理室との間で水平搬送されるので、基板固定治具の高さと回転ホルダの高さを同じレベルに保ったまま、ロードロック室と処理室との間で、搬入・搬出をすることができる。
さらに、基板固定治具には、その上部両端部に、カセットフックを挿入可能な貫通穴が形成されているので、基板固定治具のカセットへの搬入・搬出が容易になり、パーティクル抑制においても有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例、いわゆるカルーセル型の真空処理装置の断面図である。
【
図2】本発明の実施例、いわゆるカルーセル型の真空処理装置の上から見た図である。
【
図3】本発明の実施例、基板固定治具を収納するカセットの図である。
【
図4】本発明の実施例、基板固定治具を収納するカセットの基板面方向から見た図である。
【
図5】本発明の実施例、カセットフックに吊るされた基板固定治具の図である。
【
図6】本発明の実施例、(A)基板固定治具貫通穴の図、(B)カセットフックの縦断面図である。
【
図7】本発明の実施例、搬送ロボットアーム部と基板固定治具の図である。
【
図8】本発明の実施例、基板カセットフックに吊るされた基板固定治具の動作を示す図である。
【
図9】本発明の実施例、基板カセットフックに吊るされた基板固定治具の動作を示す図である。
【
図10】特許文献1に示す真空処理装置の概略断面図である。
【
図11】特許文献1に示す装置の一部の具体例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施例であり、いわゆるカルーセル型の真空処理装置の断面図である。
図1の真空処理装置は、複数の基板を保持可能な基板固定治具13を収納可能なカセット11を有するロードロック室2と、基板固定治具13を載置可能な回転ホルダ7を有する処理室1と、ロードロック室2と処理室1との間で、基板固定治具13を垂直状態のつり下げた状態で、水平搬送可能な搬送機構4と、ローロック室2内のカセット11を隣接する冷却室や加熱室に搬送させる機構(不図示)から構成される。 処理室1には、複数の基板固定治具13を外周面に保持した多角形のドラム型の回転ホルダ7を地面に垂直な回転軸8上で駆動機構25を用いて回転させながら、ドラム型の回転ホルダ7の外周に対向して設置された複数の成膜機構5(例えばターゲット)をスパッタリングして各基板固定治具13の基板上に薄膜を成膜する、いわゆるカルーセル型スパッタ室が設置される。
処理室1に隣接してロードロック室2がスリットバルブ6を介して接続されていて、スリットバルブ6を閉めた状態で排気やベントをすることでロードロック室2だけを大気や真空にすることができ、また、ロードロック室2の中に基板固定治具13を複数枚保管できるカセット11を設置することができる。
【0010】
図2はカルーセル型の真空処理装置の上から見た図である。
図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。ロードロック室2の両隣に接続された冷却室9、加熱室10がスリットバルブ6を介して接続されている。ロードロック室2に設置したカセット11は床部に敷かれたレール21(
図1参照)上を走り、冷却室9、加熱室10へ移動させることができる。処理前の基板固定治具13の入ったカセット11を加熱室10に備わった加熱機構(不図示)で基板固定治具13上の基板を加熱することや、処理の終わった基板固定治具13の入ったカセット11を冷却室9で冷却することができる。また、基板固定治具13の処理室1への搬送の際には、搬送機構4の搬送位置まで搬送して、搬送機構4によりドラム型の回転ホルダ7へ基板固定治具13を搬送する。成膜機構(例えばターゲット)5は回転ホルダ7の外周に、回転ホルダ7と対向して配置されており、成膜機構(例えば、ターゲット)5は電源と電気的に接続されており、ガスを導入した処理室1で成膜機構(例えばターゲット)5にDCまたは高周波電力を印加することで、成膜機構(例えばターゲット)5がスパッタされ成膜することができる。異なる複数の成膜機構(例えばターゲット)5を設置し積層膜を形成することができ、また、同種類の成膜機構(例えばターゲット)5を複数設置して成膜速度を大きくするといった使い方ができる。また、成膜機構(例えばターゲット)5の代わりに成膜機構(例えばイオンガン)5を設置して成膜前の基板表面にイオンビーム照射して表面を清浄にすることもできる。また、基板を加熱するための加熱機構(不図示)を設置することもできる。
【0011】
図3は本実施形態における カセット11と基板固定治具13の外観になる。
図1及び
図2と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
長方形の板状である基板固定治具13は上端部両端2カ所に貫通穴14が空いている。基板固定治具13内に基板を固定する機構(不図示)があり、人手により基板を基板固定治具13に固定できる。コの字型のカセットフック10により基板固定治具13の貫通穴14を支点として複数枚基板固定治具13が、間隔を開けてぶら下げられている。
カセットフック10はカセット11に固定されており、基板固定治具13の重量を支える。カセット11に基板固定治具13を搭載した状態でロードロック室2に入れ真空排気することができ、真空中で成膜室1のドラム型の回転ホルダ7に自動で移載することができる。ロードロック室2に設置したカセット11は床部に敷かれたレール21上(
図1参照)を走ることが可能である。
なお、ここでいうカセットフック10の縦断面形状はコの字型に限らず、丸形でも良く、上部に開口部があり搬送フック15が通る形状であればよい。
図3において、基板固定治具13は、搬送機構4の搬送フック15を基板固定治具13の貫通穴14に挿入し、搬送機構4の下フック20で基板固定治具13の下端部を載置し、垂直状態につり下げた状態にある。
なお、カセットフック10には、基板固定治具13をカセットフック10で受けたときに、特定の位置で収まるように、溝(例えばV字型の溝)16を加工して設けておくことが好ましい。
【0012】
図4は搬送機構4の基板面方向から見た図で、基板固定治具13を搬送フック15により吊り下げる様子である。
図1から
図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。基板固定治具13には丸形の貫通穴14が2か所上部両端部に設けられてあり、搬送フック15で吊り上げているところの図になる。丸形の貫通穴14の奥にカセットフックが上を開けたコの字に見ることができる。また、
図5にあるように、カセットフック10を横から見ると、基板固定治具13をカセットフック10で受けたときに、特定の位置で収まるように、V字型の溝16が一定間隔をあけて加工されており、その部分に基板固定治具13がはまり、一定間隔で並ぶようになっている。当発明により基板固定治具の揺れが小さく収まることからこの間隔を揺れが大きい場合よりも狭くすることができる。基板固定治具13は、搬送機構4の搬送フック15に吊り下げられた状態で、カセットフック10の位置まで搬送される。搬送機構4の搬送アーム4Aを、
図4の二点鎖線で示す位置から
図4の実線で示す位置まで下降することにより、基板固定治具13はカセットフック10に引き渡される
【0013】
図6の(A)は基板貫通穴14の図、
図6(B)はカセットフックの縦断面図である。
図6の(A)の基板貫通穴14の形状は丸型に限らず、弾丸形状や三角形でも、搬送フック15又はカセットフック10が通せて、上部が狭まっている形状であれば良い。
図6(B)のカセットフック10の縦断面形状は、コの字型、丸形、U字型であることが好ましい。
【0014】
図7は、本発明の実施例の搬送機構4のロボットアーム部と基板固定治具の図である。
図1から
図6と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。搬送機構4のロボットアーム先端部には搬送フック15が取り付けられ、搬送フック15より下側に基板固定治具13の下端を抑えられるように下フック20が連結されている。上部の搬送フック15を貫通穴2カ所14に通し、搬送機構4のアームを上方へ動作させると、搬送フック15が基板固定治具13の貫通穴14を支持すると同時に、基板固定治具13の下端を下フック20で支えることができる。このように保持した状態で、持ち上げ、搬送することで、基板固定治具の揺れを抑えて安定した搬送をすることができる。
【0015】
図8及び
図9は、本発明の実施例のカセットフック10に吊るされた基板固定治具13の動作を示す図である。
図1から
図7と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。基板固定治具13をカセットフック10に搬送する場合には、
図3,
図7,
図8、
図9に示す→A、→Bの順に搬送する。基板固定治具13をカセットフック10から取り出す場合には、
図3,
図7,
図8、
図9に示す、→C、→Dの順に搬送する。基板固定治具13の上端部の2か所に貫通穴14(不図示)を設け、搬送機構4である水平多関節型ロボットのアーム先端部には2本のフック状の搬送フック15が設けられ、基板貫通穴14に通し引っ掛け持ち上げて搬送する。なお、
図3,
図7,
図8、
図9において、「→A」は搬送機構4がカセットフック10に向かって水平搬送される方向を示し、「→B」は搬送機構4が下降する方向を示し、「→C」搬送機構4が上昇する方向を示し、「→D」は搬送機構4がカセットフック10から離れるように水平搬送される方向を示す。
【0016】
図3又は
図7に示すように、搬送機構4のロボットアーム先端部には基板固定治具13の上端部から基板固定治具13の下端まで延びる板状物があり、板状物の先端部に下フック20が結合される。前記二本の搬送フック15を基板貫通穴14に通し、基板固定治具13を吊り上げたときに基板固定治具13の下端を下フック20で引っ掛けるようになっている。搬送フック15の2か所と下フック20の1か所の合計三か所で基板固定治具13を支持し、基板固定治具13の揺れを抑制して安定して搬送することができる。カセット11は、複数の基板固定治具13を支持できる二本の棒状の支持体であるカセットフック10を有し、カセットフック10は、基板固定治具13に対して上方向に開口部のあるコの字形状断面である。カセット11に設置してある基板固定治具13の貫通穴14とカセットフック10内側の空間に搬送フック15を差し込み、搬送フック15を上方へ動作して基板固定治具13を吊り上げ、搬送機構4により搬送することができる。また、搬送フック15で吊り上げた基板固定治具13をカセットフック10の上方まで搬送機構4により搬送し、搬送フック15をカセットフック10の基板固定治具支持面13より下方へ移動させて、基板固定治具13をカセットフック10上へ載せる。次に、基板固定治具13の貫通穴部14とコの字形状カセットフック10の内側の空間から搬送フック15を引き抜くことで、基板固定治具13を搬送フック15上へ載せたまま、抜き取ることができる。
【0017】
本実施例の装置は、カセットフック10と搬送フック15による基板固定治具13の支持を同じ貫通穴14を使用して行う。よって、基板固定治具13の上端部の両端2か所に貫通穴14を設置することで、カセット11で保管する際にも、搬送機構4で搬送する際にも両端2か所を保持して安定して搬送することができる。また仮に、上端部に4か所、貫通穴14を設ければ、外側2か所をカセットフック10用に、内側に箇所を搬送フック用15にそれぞれに用いることができるが、基板固定治具本体の強度が弱くなり変形のリスクが大きくなるなどの問題がある。貫通穴14をカセットフック10用と搬送フック15用で兼用できる構造とすることでこういった課題を解決した。また、ここでいう基板固定治具13は、基板であってもよい。当該装置は、水平多関節型ロボット(スカラー型)を使用することで、基板固定治具13を高速で搬送させ回転ドラムホルダーの基板設置面前方から搬送する装置である。基板カセットの基板を水平多関節型ロボットにより回転ドラムホルダー基板設置部に搬送する際に、前記搬送フックと下フックにより基板を支持し吊りあげた状態で水平搬送する。よって、基板は垂直に立った状態で基板ホルダに安定した姿勢かつ高速で搬送し載せることができ、生産量も向上できた。
【符号の説明】
【0018】
1 処理室
2 ロードロック室
4 搬送機構
5 成膜機構
7 回転ホルダ
8 回転軸
10 カセットフック
11 カセット
13 基板固定治具
14 貫通穴
15 搬送フック
20 下フック