(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】作業機械およびフロント装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/38 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
E02F3/38 B
E02F3/38 Z
(21)【出願番号】P 2021147007
(22)【出願日】2021-09-09
【審査請求日】2022-04-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 一郎
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040155(JP,A)
【文献】特開2018-71259(JP,A)
【文献】特開2017-14871(JP,A)
【文献】特開2017-14872(JP,A)
【文献】特開2009-293261(JP,A)
【文献】特開2019-143358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有する車両本体と、
前記車両本体に基端部が接続される第1ブームと、
前記第1ブームに接続されるフロント装置と、を備え、
前記フロント装置は、前記第1ブームの先端部に、基端部が接続される第2ブームを有し、
前記第1ブームは、
前記先端部の上部に配置された第1ブーム側上部連結部と、
前記先端部の前記第1ブーム側上部連結部よりも下側に配置された第1ブーム側下部連結部と、を有し、
前記第2ブームは、
前記基端部の上部に配置され、前記第1ブーム側上部連結部に連結される第2ブーム側上部連結部と、
前記基端部の前記第2ブーム側上部連結部よりも下側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に連結される第2ブーム側下部連結部と、
前記第2ブーム側下部連結部の近傍であって前記第2ブーム側下部連結部よりも先端部側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に一時的に連結可能な一時連結用連結部と、を有
し、
前記第1ブーム側下部連結部は、幅方向に沿って伸縮可能な連結ピンを有し、
前記連結ピンは、前記一時連結用連結部と連結可能であり、前記第2ブーム側下部連結部と連結可能である、
作業機械。
【請求項2】
前記第2ブーム側上部連結部は、幅方向に沿って配置されたピン部を有し、
前記第1ブーム側上部連結部は、
前記ピン部が配置される空間を形成し、下方から前記ピン部を支持する受け部と、前記受け部に前記ピン部を配置する際に前記ピン部が通る開口部と、を有し、
前記ピン部が前記開口部を通過して前記受け部に配置されることによって、前記第1ブーム側上部連結部は、前記第2ブーム側上部連結部と連結する、
請求項
1に記載の作業機械。
【請求項3】
運転席を有する車両本体と、
前記車両本体に基端部が接続される第1ブームと、
前記第1ブームに接続されるフロント装置と、を備え、
前記フロント装置は、前記第1ブームの先端部に、基端部が接続される第2ブームを有し、
前記第1ブームは、
前記先端部の上部に配置された第1ブーム側上部連結部と、
前記先端部の前記第1ブーム側上部連結部よりも下側に配置された第1ブーム側下部連結部と、を有し、
前記第2ブームは、
前記基端部の上部に配置され、前記第1ブーム側上部連結部に連結される第2ブーム側上部連結部と、
前記基端部の前記第2ブーム側上部連結部よりも下側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に連結される第2ブーム側下部連結部と、
前記第2ブーム側下部連結部の近傍であって前記第2ブーム側下部連結部よりも先端部側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に一時的に連結可能な一時連結用連結部と、を有し、
前記第2ブームの前記基端部は、幅方向に対向して配置された一対の側板を有し、
前記第2ブーム側下部連結部は、前記一対の側板に前記幅方向に対向して形成された一対の第1貫通孔を有し、
前記第1ブーム側下部連結部は、前記幅方向に伸縮可能な連結ピンを有し、
前記連結ピンが伸びて前記一対の第1貫通孔に挿入されることによって、前記第1ブーム側下部連結部が前記第2ブーム側下部連結部に連結し、
前記一時連結用連結部は、前記一対の側板に前記幅方向に対向して形成された一対の第2貫通孔を有し、
前記連結ピンが伸びて前記一対の第2貫通孔に挿入されることによって、前記第1ブーム側下部連結部が前記一時連結用連結部に連結する、
作業機械。
【請求項4】
運転席を有する車両本体と、
前記車両本体に基端部が接続される第1ブームと、
前記第1ブームに接続されるフロント装置と、を備え、
前記フロント装置は、前記第1ブームの先端部に、基端部が接続される第2ブームを有し、
前記第1ブームは、
前記先端部の上部に配置された第1ブーム側上部連結部と、
前記先端部の前記第1ブーム側上部連結部よりも下側に配置された第1ブーム側下部連結部と、を有し、
前記第2ブームは、
前記基端部の上部に配置され、前記第1ブーム側上部連結部に連結される第2ブーム側上部連結部と、
前記基端部の前記第2ブーム側上部連結部よりも下側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に連結される第2ブーム側下部連結部と、
前記第2ブーム側下部連結部の近傍であって前記第2ブーム側下部連結部よりも先端部側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に一時的に連結可能な一時連結用連結部と、を有し、
前記第2ブーム側上部連結部は、幅方向に沿って配置されたピン部を有し、
前記第1ブーム側上部連結部は、
前記ピン部が配置される空間を形成し、下方から前記ピン部を支持する受け部と、前記受け部に前記ピン部を配置する際に前記ピン部が通る開口部と、を有し、
前記ピン部が前記開口部を通過して前記受け部に配置されることによって、前記第1ブーム側上部連結部は、前記第2ブーム側上部連結部と連結し、
前記フロント装置は、
前記第2ブームの先端部に、基端部で接続されたアームと、
前記アームの先端部に接続されたアタッチメントと、を有し、
前記アームには、背面側に、車輪を有する架台が着脱可能であり、
前記第1ブームおよび前記第2ブームの下側に前記アームが配置される姿勢であって、前記受け部に前記ピン部が配置され、前記第1ブーム側下部連結部が前記第2ブーム側下部連結部および前記一時連結用連結部のいずれとの連結していない状態において、前記第1ブームを上下方向に回動させた際、前記架台は、前記車輪が地面または輸送車の荷台面に接触可能であり、且つ接触した状態で前後方向に移動可能である、
作業機械。
【請求項5】
運転席と、基端部で接続される第1ブームと、を有する車両本体の前記第1ブームに接続されるフロント装置であって、
前記第1ブームの先端部に、基端部で接続される第2ブームを備え、
前記第2ブームは、
前記基端部の上部に配置され、前記第1ブームの先端部の上部に配置された第1ブーム側上部連結部に連結される第2ブーム側上部連結部と、
前記基端部の前記第2ブーム側上部連結部よりも下側に配置され、前記第1ブームの前記先端部の前記第1ブーム側上部連結部よりも下側に配置された第1ブーム側下部連結部に連結される第2ブーム側下部連結部と、
前記第2ブーム側下部連結部の近傍であって前記第2ブーム側下部連結部よりも先端部側に配置され、前記第1ブーム側下部連結部に一時的に連結可能な一時連結用連結部と、を有
し、
前記第1ブーム側下部連結部は、幅方向に沿って伸縮可能な連結ピンを有し、
前記連結ピンは、前記一時連結用連結部と連結可能であり、前記第2ブーム側下部連結部と連結可能である、
フロント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械およびフロント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浚渫工事や解体工事に用いる作業機械では、フロント装置に長尺のものが用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に示す作業機械では、フロント装置を地面に置いて基端側を一定の高さ位置となる姿勢に保持し、車両本体側のブームの先端側が連結される。
【0004】
このような解体ロング等の長尺なフロント装置は、作業機械本体とは別にトラック等の輸送車両で現場に輸送され、クレーンを使用してトラックから下ろされ、作業機械本体に設けられたブームに連結される。しかしながら、クレーンを使用してフロント装置を輸送車両の荷台から下ろす若しくは荷台に積む作業を行うため、輸送の際にクレーン車を現場まで同行させる必要があった。
そこで、ブラケットを用いることによって、クレーンを用いずにフロント装置を輸送車両の荷台から降ろす若しくは荷台に積む技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2では、輸送車両の荷台からフロント装置を降ろす際には、作業機械本体に設けられたブームにブラケットが装着され、装着されたブラケットを介してフロント装置がブームに取り付けられる。そして、作業機本体のブームを上下させることによってフロント装置が輸送車両の荷台から降ろされる。フロント装置を降ろした後、ブラケットがフロント装置およびブームから取り外され、作業機械本体に設けられたブームがフロント装置を取り付けられる。このような作業によって、輸送車両の荷台からフロント装置を降ろして作業機本体のブームにフロント装置が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-227678号公報
【文献】特開2019-143358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現場までブラケットを運搬する必要があり、またブームとフロント装置の間にブラケットを着脱する必要があるため手間がかかっていた。
【0007】
本発明は、フロント装置を輸送車両に容易に積み降ろし可能な作業機械および、輸送車両に容易に積み降ろし可能なフロント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の開示にかかる作業機械は、車両本体と、第1ブームと、フロント装置と、を備える。車両本体は、運転席を有する。第1ブームは、基端部が車両本体に接続される。フロント装置は、第1ブームに接続される。フロント装置は、第2ブームを有する。第2ブームは、基端部が第1ブームの先端部に接続される。第1ブームは、第1ブーム側上部連結部と、第1ブーム側下部連結部と、を有する。第1ブーム側上部連結部は、先端部の上部に配置されている。第1ブーム側下部連結部は、先端部の第1ブーム側上部連結部よりも下側に配置されている。第2ブームは、第2ブーム側上部連結部と、第2ブーム側下部連結部と、一時連結用連結部と、を有する。第2ブーム側上部連結部は、基端部の上部に配置され、第1ブーム側上部連結部に連結される。第2ブーム側下部連結部は、基端部の第2ブーム側上部連結部よりも下側に配置され、第1ブーム側下部連結部に連結される。一時連結用連結部は、第2ブーム側下部連結部の近傍であって第2ブーム側下部連結部よりも先端部側に配置され、第1ブーム側下部連結部に一時的に連結可能である。
【0009】
第2の開示にかかるフロント装置は、運転席を有する車両本体に基端部が接続された第1ブームに接続されるフロント装置であって、第2ブームを備える。第2ブームは、基端部が第1ブームの先端部に接続される。第2ブームは、第2ブーム側上部連結部と、第2ブーム側下部連結部と、一時連結用連結部と、を備える。第2ブーム側上部連結部は、基端部の上部に配置され、第1ブームの先端部の上部に配置された第1ブーム側上部連結部に連結される。第2ブーム側下部連結部は、基端部の第2ブーム側上部連結部よりも下側に配置され、第1ブームの先端部の第1ブーム側上部連結部よりも下側に配置された第1ブーム側下部連結部に連結される。一時連結用連結部は、第2ブーム側下部連結部の近傍であって第2ブーム側下部連結部よりも先端部側に配置され、第1ブーム側下部連結部に一時的に連結可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フロント装置を輸送車両に容易に積み降ろし可能な作業機械および、輸送車両に容易に積み降ろし可能なフロント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示にかかる実施の形態における作業機械を示す斜視図。
【
図2】本開示にかかる実施の形態におけるフロント装置がトラックの荷台に載置されている状態を示す斜視図。
【
図3】(a)本開示にかかる実施の形態におけるフロント装置のトップブームの基端部を示す斜視図、(b)トップブームの基端部近傍を示す断面図。
【
図4】本開示にかかる実施の形態における作業機械の車両本体とベースブームを示す斜視図。
【
図5】(a)本開示にかかる実施の形態におけるベースブームの先端部の斜視図、(b)本開示にかかる実施の形態におけるベースブームの先端部の側面図。
【
図6】(a)本開示にかかる実施の形態における作業機械において油圧ピンが収縮した状態でのベースブームの先端部の下部を示す斜視図、(b)本開示にかかる実施の形態における作業機械において油圧ピンが伸長した状態でのベースブームの先端部の下部を示す斜視図。
【
図7】本開示にかかる実施の形態における作業機械の制御系の構成を示すブロック図。
【
図8】
図7のコントローラの構成を示すブロック図。
【
図9】本開示にかかる実施の形態におけるベースブームにフロント装置を接続する際の動作を示すフロー図。
【
図10】本開示にかかる実施の形態におけるベースブームにフロント装置を接続する際の動作を説明するための側面図。
【
図11】(a)本開示にかかる実施の形態におけるベースブームにフロント装置を接続する際の動作を説明するための側面図、(b)モニタの表示を示す図。
【
図12】本開示にかかる実施の形態におけるベースブームにフロント装置を接続する際の動作を説明するための側面図。
【
図13】(a)(b)トップブームの基端部にベースブームの先端部を近づける動作を説明するための図。
【
図14】(a)(b)トップブームの基端部にベースブームの先端部を近づける動作を説明するための側断面図。
【
図15】(a)トップブームのピン部がベースブームの受け部の内側に配置されている状態を示す斜視図、(b)
図15(a)からブラケットを取り除いた状態を示す図。
【
図16】トップブームのピン部がベースブームの受け部の内側に配置されている状態を示す側面図。
【
図17】(a)
図16(a)のGG間の矢視断面図、(b)
図17(a)から油圧ピンを伸長した状態を示す図。
【
図18】本開示にかかる実施の形態においてトラックで輸送されてきたフロント装置をベースブームに接続する際の動作を説明するための側面図。
【
図19】本開示にかかる実施の形態におけるベースブームにフロント装置を接続する際の動作を説明するための側面図。
【
図20】本開示にかかる実施の形態におけるベースブームにフロント装置を接続する際の動作を説明するための側面図。
【
図22】本開示にかかる実施の形態におけるフロント装置のアームに取り付けられた前架台を示す斜視図。
【
図23】(a)トップブーム側下部連結部の貫通孔を油圧ピンの中心が一致した状態を示す図、(b)
図23(a)のJJ間の矢視断面図。
【
図24】(a)油圧ピンが伸長してトップブーム側下部連結部の貫通孔に挿入した状態の側面図、(b)
図23(a)のII間の矢視断面図。
【
図25】(a)油圧ピンが伸長してトップブーム側下部連結部の貫通孔に挿入した状態の斜視図、(b)
図25(a)からブラケット34を取り除いた状態を示す図。
【
図26】フロント装置のベースブームへの連結が終了した状態を示す作業機械の側面図。
【
図27】フロント装置3のベースブーム2との接続を解除しトラックに積み込む動作を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示にかかる作業機械の一例である作業機械およびフロント装置について説明する。
【0013】
<構成>
(作業機械の概要)
図1は、本実施の形態の作業機械100の外観を示す図である。作業機械100は、例えば浚渫工事を行う。作業機械100は、車両本体1と、ベースブーム2と、フロント装置3と、を有する。
【0014】
車両本体1は、走行体4と、旋回体5とを有する。走行体4は、一対の履帯4aを有しており、エンジンからの駆動力によって履帯4aが駆動されることによって作業機械100が走行する。
【0015】
旋回体5は、走行体4上に設けられている。旋回体5は、旋回フレーム6と、キャブ7と、ブームシリンダ8と、を有する。旋回フレーム6は、走行体4に旋回可能に配置されている。運転室としてのキャブ7は、旋回フレーム6の前部左側位置に設けられている。
【0016】
ベースブーム2は、基端部2aが旋回フレーム6の前部に回動可能に設けられている。ベースブーム2の先端部2bにフロント装置3が着脱可能に取り付けられている。
【0017】
ブームシリンダ8は、ロッドの端がベースブーム2に接続され、シリンダチューブの端が旋回フレーム6に接続されており、伸縮によりベースブーム2を起伏させる。
【0018】
(フロント装置)
フロント装置3は、ベースブーム2に着脱可能に取り付けられる。フロント装置3は、長尺であり、トップブーム11と、アーム12と、バケット13と、アームシリンダ14と、バケットシリンダ15と、を有している。
【0019】
トップブーム11の基端部11aは、ベースブーム2の先端部2bに着脱可能に取り付けられている。
【0020】
アーム12の基端部12aは、トップブーム11の先端部11bに揺動可能に取り付けられている。アームシリンダ14は、ロッドの端がアーム12の基端部12aに接続されており、シリンダチューブの端がトップブーム11に接続されている。
【0021】
バケット13は、アーム12の先端部12bに回動可能に取り付けられている。バケットシリンダ15は、ロッドの端がバケット13に接続されており、シリンダチューブの端がアーム12に接続されている。
【0022】
ブームシリンダ8、アームシリンダ14、およびバケットシリンダ15が伸縮することによって、掘削等の作業を行うことができる。
【0023】
図2は、フロント装置3をトラック200によって搬送している状態を示す図である。長尺のフロント装置3は、トラック200の荷台201に載置された状態で現場まで輸送される。
図2に示す輸送状態では、フロント装置3は折り曲げられている。ここで、トップブーム11の外側の面が、背面11cとして示され、トップブーム11の内側の面が腹面11d(
図1参照)として示されている。なお、背面とは、
図2に示すようにフロント装置3を屈曲させた場合におけるフロント装置3の外周側の面を示す。また、腹面とは、
図2に示すようなフロント装置3を屈曲させた場合におけるフロント装置3の中心側の面を示す(以下同様である)。
【0024】
アーム12は、その腹面12dがトップブーム11の腹面11dに近づくように折り曲げられており、バケット13は、爪13aがアーム12の腹面11dに近づくように折り曲げられている。また、トップブーム11とアーム12の間には、トップブーム11とアーム12を繋ぐガイドバー310が配置されている。
【0025】
アーム12の基端部12a近傍の背面12cには、前架台320が配置されており、前架台320が荷台201に接している。トップブーム11中央よりも後寄りには、後架台330が配置されている。後架台330は、トップブーム11を支持している。また、後架台330にトップブーム11を固定するターンバックル340が配置されている。
【0026】
フロント装置3は、前架台320および後架台330によってトラック200の荷台201に載置されている。なお、輸送の際には、フロント装置3を荷台201に固定するために、セイフティベルトが、フロント装置3と荷台201の間に設けられるが、図では省略する。
【0027】
なお、
図2に示す搬送状態では、フロント装置3は、トップブーム11の背面11cが上方を向き、腹面11dが下方を向いている。
【0028】
(トップブーム)
図3(a)は、トップブーム11の基端部11aを示す斜視図である。
図3(b)は、トップブーム11の基端部11a近傍を示す断面図である。
【0029】
トップブーム11の基端部11aは、フロント装置3の基端部ともいえる。ここで、トップブーム11の長手方向においてアーム12に接続される先端部11b側を先端方向Xとし、ベースブーム2と接続される側を基端方向Yとする。トラック200に積まれた状態では、先端方向Xが前方向を向き、基端方向Yが後方向を向いている。
【0030】
トップブーム11の基端部11aは、トップブーム側上部連結部21と、トップブーム側下部連結部22と、一時連結用連結部23と、を有する。
【0031】
トップブーム側上部連結部21は、後述するベースブーム側上部連結部31と連結する。トップブーム側上部連結部21は、基端部11aにおける上部に配置されている。トップブーム側上部連結部21は、背面11c寄りに配置されている。
【0032】
トップブーム側上部連結部21は、幅方向Wに沿って配置されたピン部21aを有する。ピン部21aは、細長い円柱形状である。ピン部21aは、幅方向Wに沿って配置されている。ピン部21aは、幅方向Wに対向して配置された一対の側板24の間に配置されており、一対の側板24に支持されている。
【0033】
一対の側板24は、
図3(b)に示すように、基端部11aの基端面25から突出している。腹面11dの基端は、背面11cの基端よりも基端方向Y側に配置されている。一対の側板24は、基端面25に対して垂直に配置されている。一対の側板24は基端面25から基端方向Y側に向かって突出している。
【0034】
トップブーム側下部連結部22は、後述するベースブーム側下部連結部32と連結する。トップブーム側下部連結部22は、掘削等の通常の作業を行う場合にベースブーム側下部連結部32と連結する。トップブーム側下部連結部22は、基端部11aにおいて、トップブーム側上部連結部21の下側に配置されている。トップブーム側下部連結部22は、一対の側板24の腹面11d側寄りに配置されている。トップブーム側下部連結部22は、一対の側板24に形成された一対の貫通孔22aを有している。一対の貫通孔22aは、幅方向Wに対向して設けられている。一対の貫通孔22aは、ピン部21aよりも基端方向Y側に設けられている。
【0035】
一時連結用連結部23は、トラック200からフロント装置3を降ろす、若しくはトラック200にフロント装置3を載せる際に、後述するベースブーム側下部連結部32と一時的に連結される。一時連結用連結部23は、トップブーム側下部連結部22の近傍に配置されている。一時連結用連結部23は、基端部11aにおいて、腹面11d寄りに配置されている。一時連結用連結部23は、トップブーム側下部連結部22よりも先端方向X側に設けられている。
【0036】
一時連結用連結部23は、幅方向Wに対向した一対の貫通孔23aを有している。一対の貫通孔23aは、一対の側板24に形成されている。一対の側板24に形成された一対の貫通孔23aは、幅方向Wに対向して設けられている。一対の貫通孔23aは、ピン部21aよりも基端方向Y側に設けられている。一対の貫通孔23aは、一対の貫通孔22aよりも先端方向X側に設けられている。
【0037】
(ベースブームの先端部)
図4は、車両本体1とベースブーム2を示す斜視図である。
図5(a)は、ベースブーム2の先端部2bの斜視図である。
図5(b)は、ベースブーム2の先端部2bの側面図である。
【0038】
ベースブーム2は、
図1に示すように、基端部2aにおいて旋回フレーム6に回転可能に支持される。ベースブーム2が旋回フレーム6に支持される支点部2eが
図1に示されている。ベースブーム2の先端部2bには、フロント装置3のトップブーム11が取り付けられる。
図5(b)に示すように、ベースブーム2の外周側の面を背面2cとし、ベースブーム2の内周側の面を腹面2dと示す。
【0039】
ベースブーム2は、
図4および
図5(a)に示すように、ベースブーム側上部連結部31と、ベースブーム側下部連結部32と、を有する。
【0040】
ベースブーム側上部連結部31は、トップブーム側上部連結部21に連結される。ベースブーム側上部連結部31は、先端部2bの上部に設けられている。詳細には、ベースブーム側上部連結部31は、
図4に示すように、先端部2bのうちベースブーム本体33の先端部33bに設けられている。
【0041】
ここで、ベースブーム2は、ベースブーム本体33と、一対のブラケット34と、を有する。ベースブーム本体33は、旋回フレーム6に回動可能に取り付けられる基端部2a(
図1参照)と、フロント装置3が着脱可能に取り付けられる先端部33bとを有する。ブラケット34は、ベースブーム本体33の幅方向Wの両側の側面33aに設けられている。このように、ベースブーム2の先端部2bは、ベースブーム本体33の先端部33bとブラケット34で構成されている。
【0042】
ベースブーム側上部連結部31は、
図5(a)に示すように、受け部31aと、開口部31bと、を有する。受け部31aは、幅方向Wに沿って切り欠きが形成された円筒形状であって、その内側に、幅方向Wに沿った軸を有する円柱状の空間を形成する。開口部31bは、幅方向に沿って形成された切り欠きによって形成されており、トップブーム11のピン部21aが通過可能な大きさである。
【0043】
ベースブーム2にフロント装置3を取付ける際には、開口部31bを通して、フロント装置3のピン部21a(
図3(a)参照)が受け部31aに配置される。
【0044】
ベースブーム側下部連結部32は、トップブーム側下部連結部22または一時連結用連結部23に連結される。ベースブーム側下部連結部32は、ベースブーム側上部連結部31の下側に配置されている。ベースブーム側下部連結部32は、先端部2bの腹面2d側の端に設けられている。ベースブーム側下部連結部32は、ベースブーム側上部連結部31よりもベースブーム2の基端部2a側に配置されている。先端部33bの先端面33eは、
図5(b)に示すように、ベースブーム側上部連結部31からベースブーム側下部連結部32に向かって傾斜している。
【0045】
図6(a)および
図6(b)は、ベースブーム側下部連結部32を下側から視た図である。
【0046】
ベースブーム側下部連結部32は、上述したブラケット34と、貫通孔35と、ピン支持部37と、油圧ピン38と、を有する。
【0047】
上述したように、一対のブラケット34は、ベースブーム本体33の側面33aに設けられている。ブラケット34は、
図5(a)に示すように、その根元部341で側面33aに固定されている。ブラケット34は、根元部341から先端(基端部2aの反対側)に向かってベースブーム本体33に沿って伸びている。
図6(a)に示すように、ブラケット34の先端部342は、ベースブーム本体33の側面33aから所定の空間Sを空けて配置されている。
【0048】
貫通孔35は、
図6(a)に示すように、一対のブラケット34の各々の先端部342に、幅方向Wに中心軸が沿うように形成されている。ピン支持部37は、円筒状の部材であり、一対の側面33aを通して配置されている。ピン支持部37の内部空間は円柱状であり、その中心は、貫通孔35の中心と一致する。
【0049】
油圧ピン38は、幅方向Wに沿ってピン支持部37の内部空間に配置されている。油圧ピン38は、その両端が幅方向Wに沿って伸縮する。
図6(a)では、油圧ピン38は収縮した状態である。
図6(b)は、
図6(a)の状態から油圧ピン38が伸長した状態を示す図である。
【0050】
油圧ピン38は、
図6(b)に示すように、幅方向Wの両端側に移動体381を有しており、移動体381が幅方向Wに移動することにより、幅方向Wに伸縮する。油圧によって移動体381が幅方向Wの外側に向かって移動すると、移動体381は、空間Sを通過して貫通孔35まで挿入される。
【0051】
空間Sに
図3(a)で示した側板24の貫通孔22aが配置された状態で油圧ピン38を伸ばすことにより、油圧ピン38は、フロント装置3の貫通孔22aを通って、貫通孔35まで挿入される。これにより、ベースブーム側下部連結部32とトップブーム側下部連結部22を連結することができる。
【0052】
また、空間Sに側板24の貫通孔23aが配置された状態で油圧ピン38を伸ばすことにより、油圧ピン38は、フロント装置3の貫通孔23aを通って、貫通孔35まで挿入される。これにより、ベースブーム側下部連結部32と一時連結用連結部23を連結することができる。
【0053】
また、油圧ピン38が伸長すると、
図6(b)に示すように、移動体381をブラケット34の外側より視認することができる。これにより油圧ピン38が貫通孔35に挿入されたことを確認することができる。
【0054】
ベースブーム2には、
図5(b)に示すように、インジケータ部39が付与されている。インジケータ部39は、ベースブーム2をフロント装置3に取り付ける際に、フロント装置3に対してベースブーム2を位置決めする際に用いられる。
【0055】
インジケータ部39は、第1インジケータ391と、第2インジケータ392と、を有する。第1インジケータ391および第2インジケータ392は、デカールやペイント等によってベースブーム2に付与されている。
【0056】
第1インジケータ391は、ベースブーム本体33の側面33aであって、受け部31aよりも基端部2a側に付与されている。第1インジケータ391は、側面33aの背面11c側の縁に沿って直線状に付与されている。なお、本実施の形態ではインジケータ部39(第1インジケータ391、第2インジケータ392)は、ベースブーム本体33の左側の側面33aに付与されている場合を示す。インジケータ部39(第1インジケータ391、第2インジケータ392)は、ベースブーム本体33の右側の側面33aにもあってもよい。後述するように、ベースブーム2とフロント装置3との接続作業において、補助員と作業機械100のオペレータとの間で、指示出しと指示受けを行う必要があるが、作業機械100のキャブ7が左側に配置されるため、補助員とオペレータとの距離を鑑み、インジケータ部39(第1インジケータ391、第2インジケータ392)は、ベースブーム本体33の左側の側面33aに付与されるほうが好ましい。
【0057】
第2インジケータ392は、ベースブーム本体33の側面33aであって、受け部31aよりも基端部2a側に付与されている。第2インジケータ392は、側面33aの受け部31aの外側に受け部31aの外形に沿って円弧状に形成されている。
【0058】
(制御系の構成)
図7は、本実施の形態の作業機械100の制御系の構成を示すブロック図である。
【0059】
作業機械100は、エンジン41と、エンジンコントローラ42と、油圧ポンプ43と、ポンプコントローラ44と、操作弁45と、旋回モータ46と、旋回操作レバー47と、走行モータ48と、走行操作レバー49と、ブーム操作レバー50と、アーム操作レバー51と、バケット操作レバー52と、ピン操作スイッチ53と、角度センサ54と、コントローラ55と、モニタ56と、を備える。
【0060】
エンジン41は、例えば、ディーゼル式のエンジンである。エンジン41は、エンジンコントローラ42の制御に従って駆動する。エンジンコントローラ42は、エンジン41への燃料供給量を調整してエンジン41の出力を制御する。
【0061】
油圧ポンプ43は、エンジン41によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ43は、エンジン41の回転数に応じて作動油の吐出量を変化させる。ポンプコントローラ44は、油圧ポンプ43の出力を制御する。
【0062】
操作弁45は、油圧ポンプ43から供給される作動油を受けて、ブームシリンダ8、アームシリンダ14、バケットシリンダ15、旋回モータ46、走行モータ48、および油圧ピン38に作動油を分配して供給する。
【0063】
旋回モータ46は、旋回フレーム6を左右に回転させる。旋回モータ46は例えば油圧式のモータであり、操作弁45を介して油圧ポンプ43から供給された作動油によって駆動する。
【0064】
旋回操作レバー47は、キャブ7内に配置されている。オペレータが旋回操作レバー47を操作することによって、操作弁45が操作され、作動油が旋回モータ46に供給され、旋回フレーム6が左右に回転する。
【0065】
走行モータ48は、走行体4を駆動する。走行モータ48は、例えば油圧式のモータであり、操作弁45を介して油圧ポンプ43から供給された作動油によって駆動する。
【0066】
走行操作レバー49は、キャブ7内に配置されている。走行操作レバー49は、走行操作ペダルであってもよい。オペレータが走行操作レバー49を操作することによって、操作弁45が操作され、作動油が走行モータ48に供給されて走行体4が走行する。
【0067】
ブーム操作レバー50は、キャブ7内に配置されている。オペレータがブーム操作レバー50を操作することによって、操作弁45が操作され、作動油がブームシリンダ8に供給されてベースブーム2が上下方向に揺動する。
【0068】
アーム操作レバー51は、キャブ7内に配置されている。オペレータがアーム操作レバー51を操作することによって、操作弁45が操作され、作動油がアームシリンダ14に供給されてアーム12がトップブーム11に対して揺動する。
【0069】
バケット操作レバー52は、キャブ7内に配置されている。オペレータがバケット操作レバー52を操作することによって、操作弁45が操作され、作動油がバケットシリンダ15に供給されてバケット13がアーム12に対して揺動する。
【0070】
ピン操作スイッチ53は、キャブ7内に配置されている。オペレータがピン操作スイッチ53を操作すると、操作弁45が操作され、作動油が油圧ピン38に供給若しくは油圧ピン38から排出され、油圧ピン38が伸縮する。
【0071】
角度センサ54は、ベースブーム2の支点部2eに配置されている。角度センサ54は、ベースブーム2の起伏角度を表す回転角度を検出してコントローラ55に送信する。
【0072】
コントローラ55は、角度センサ54からの検出値に基づいてベースブーム2の高さH(後述する
図11参照)を算出する。ベースブーム2の高さとは、地面から受け部31aの中心位置31c(
図5(a)参照)までの高さである。
【0073】
モニタ56は、キャブ7内に配置されている。モニタ56には、コントローラ55で算出されたベースブーム2の高さが表示される。
【0074】
図8は、コントローラ55の構成を示すブロック図である。
【0075】
コントローラ55は、プロセッサおよび記憶装置61を含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサは、角度センサ54の検出値の入力を受けて、プログラムに従って、ベースブーム2の高さをモニタ56に表示する制御のための処理を実行する。記憶装置61は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよび/またはRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。記憶装置61は、ハードディスク、あるいはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでいてもよい。記憶装置61は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置61は、角度センサ54の検出角からベースブーム2の高さを算出するために必要な数値(例えば、ベースブーム2の長さ)を記憶する。
【0076】
コントローラ55は、角度センサデータ入力部62と、ベースブーム高さ演算部63と、ベースブーム高さ表示制御部64と、を有する。
【0077】
角度センサデータ入力部62には、角度センサ54の検出値が入力される。ベースブーム高さ演算部63は、入力された検出値から、記憶装置61に記憶されている数値に基づいてベースブーム2の高さを演算する。
【0078】
ベースブーム高さ表示制御部64は、モニタ56を制御して、演算されたベースブーム2の高さを表示させる。
【0079】
<動作>
フロント装置3とベースブーム2との接続および接続の解除について以下に説明する。
【0080】
(接続動作)
トラック200に輸送されてきたフロント装置3をベースブーム2に接続する際の動作について説明する。
【0081】
図9は、フロント装置3にベースブーム2を接続する動作を示すフロー図である。
【0082】
図10は、トラック200の荷台201に載置されているフロント装置3と、ベースブーム2が配置された車両本体1とを示す側面図である。
【0083】
はじめに、ステップS1において、オペレータが車両本体1にキーを挿し込み、車両本体1の電源をオン状態にする。
【0084】
次に、ステップS2において、コントローラ55が、フロント装置3が接続されずベースブーム2のみが車両本体1に取り付けられている状態であることを示す表示をモニタ56に表示させる。
【0085】
次に、ステップS3において、コントローラ55が、角度センサ54からの検出値に基づいてベースブーム2の高さを演算してモニタ56に表示する。
【0086】
次に、ステップS4において、オペレータが、モニタ56の高さ表示を見ながら、ブーム操作レバー50を操作して、ベースブーム2を所定の高さに設定する。
図11(a)は、ベースブーム2を所定の高さHまで上げた状態を示す側面図である。
図11(b)は、モニタ56の表示を示す図である。モニタ56には、ベースブーム2の高さが表示され、オペレータの操作に基づいて、表示されている高さが変化する。ここで所定の高さHとは、トラック200の種類およびフロント装置3の種類によって予め設定されている。
【0087】
次に、ステップS5において、オペレータが、走行操作レバー49を操作し車両本体1を前進させて、フロント装置3に対して所定の前後位置(接続位置)でベースブーム2を停止させる。なお、油圧ピン38は、縮んだ状態(
図6(a)参照)となっている。
【0088】
図12は、フロント装置3に対して所定の前後位置でベースブーム2を停止させた状態を示す図である。
図13(a)および
図13(b)は、フロント装置3にベースブーム2を近づける動作を説明するための斜視図である。
図14(a)および
図14(b)は、フロント装置3にベースブーム2を近づける動作を説明するための側面図である。
図14(a)および
図14(b)では、トップブーム11の基端部11aは断面を示しており、紙面手前の側板24は図示されていない。また、
図14(b)は、
図12のA部拡大である。
【0089】
ベースブーム2をフロント装置3に近づけると、ベースブーム本体33の先端部33bが、フロント装置3の一対の側板24の間に挿入される。また、側板24は、ベースブーム本体33の側面33aとブラケット34の先端部342の間の空間Sに入り込む。ここで、ベースブーム本体33の先端部33bの一対の側板24の間への挿入に伴って、第1インジケータ391は、側板24に隠れていく。側方から確認する補助員によって第1インジケータ391の半分以上が側板24に隠れたことが確認されると、補助員は、作業機械100のオペレータに指示を出す。補助員から指示を受けたオペレータは車両本体1の前進を停止する。これによって、フロント装置3に対して所定の前後位置でベースブーム2を停止させることができる。なお、ベースブーム2の所定の高さHは、受け部31aがピン部21aに干渉しない状態で、先端部33bが側板24の間に挿入できる高さである。
【0090】
次に、ステップS6において、オペレータが、ブーム操作レバー50を操作してベースブーム2を上方に向かって移動させ、ベースブーム2の受け部31aによって、トップブーム11のピン部21aがすくいあげられる(
図14(b)矢印K参照)。詳細には、トップブーム11のピン部21aが、開口部31bを通って、受け部31aの内側空間に配置される。
【0091】
図15(a)は、ピン部21aが受け部31aの内側に配置されている状態を示す斜視図である。
図15(b)は、
図15(a)からブラケット34を取り除いた状態を示す図である。
図16は、ピン部21aが受け部31aの内側に配置されている状態を示す側面図である。
図16では、トップブーム11の基端部11aは断面を示しており、紙面手前側の側板24が示されていない。
【0092】
図16では、奥側の側板24しか示されていないが、点線で示された側板24よりも第2インジケータ392は内側に配置されている。一対の側板24は同じ大きさであるため、
図16に示すように、ピン部21aが受け部31aに配置された状態では、第2インジケータ392は、側板24によって外側から覆われて、側板24の内側に隠れる。すなわち、補助員は側方から第2インジケータ392が隠れていることを確認することによって、ピン部21aが受け部31aの内側空間に配置された状態であると判断できる。これによって、トップブーム11のトップブーム側上部連結部21に、ベースブーム2のベースブーム側上部連結部31が連結される。
【0093】
上述したように、第1インジケータ391の半分以上が側板24で隠れたときに、車両本体1の前進を停止させている。そのため、第1インジケータ391によって、トップブーム11に対してベースブーム2を所定の前後位置に位置決めすることができる。所定の前後位置は、ベースブーム2を上方に移動ささせることによって、ピン部21aが受け部31aに配置される位置である。
【0094】
また、第2インジケータ392は、トップブーム11に対してベースブーム2を上方に移動させて側板24に隠れると、ピン部21aが受け部31aに嵌っていると判断される。このため、第2インジケータ392によって、トップブーム11に対してベースブーム2を所定の上下位置に位置決めすることができる。
【0095】
次に、ステップS7において、補助員によって、
図16に示すように一時連結用連結部23の貫通孔23aと油圧ピン38の中心が幅方向Wにおいて一致していることが確認されると、オペレータがピン操作スイッチ53を操作して油圧ピン38を伸長させる。
図17(a)は、
図16のGG間の矢視断面図であり、油圧ピン38を伸ばす前の状態を示す図である.
図17(b)は、
図17(a)の状態から油圧ピン38を伸ばした状態を示す図である。図に示すように、油圧ピン38の移動体381が、左右に移動し、貫通孔23aを貫通し、ベースブーム側下部連結部32のブラケット34に形成された貫通孔35に挿入される。なお、一時連結用連結部23の貫通孔23aと油圧ピン38の中心が幅方向Wにおいて一致していない場合には、ベースブーム2を上下に動かして調整することによって一致させることができる。
【0096】
これによって、トップブーム11の一時連結用連結部23に、ベースブーム2のベースブーム側上部連結部31が連結される。
【0097】
次に、ステップS8において、オペレータがブーム操作レバー50を操作してベースブーム2を上方に移動させることによって、
図18に示すようにフロント装置3がトラック200の荷台201から持ち上げられる。フロント装置3とトラック200の荷台201との間に、十分な隙間を設けた状態で、トラック200の運転手はトラック200を動かし、フロント装置3の下方からトラック200を移動する。ここで、トラック200を動かさず、作業機械100のオペレータが、走行操作レバー49あるいは旋回操作レバー47を操作し、フロント装置3を荷台201の上方から移動させてもよい。
【0098】
次に、ステップS9において、
図19に示すように、オペレータがブーム操作レバー50を操作して、フロント装置3に取り付けられている前架台320が接地するまでベースブーム2を下方に移動させる。前架台320が接地した後、ピン操作スイッチ53が操作されて、油圧ピン38が収縮し、
図17(a)に示すように、油圧ピン38の移動体381が一時連結用連結部23の貫通孔23aおよび貫通孔35から抜け出る。
【0099】
次に、ステップS10において、
図20に示すように、オペレータがブーム操作レバー50を操作して、フロント装置3に取り付けられている後架台330が接地するまでベースブーム2を下方に移動させる。下方に移動させた後、後架台330とトップブーム11を接続するターンバックル340が外される。
図21は、
図20のB部拡大図である。
【0100】
ここで、ベースブーム2は、トップブーム11を、そのピン部21aを受け部31aで支持しているだけであるため、
図19から
図20の状態への変化においてベースブーム2を下方に移動すると、ピン部21aを中心にして、一時連結用連結部23の貫通孔23aとベースブーム側下部連結部32の貫通孔35は互いに離れる方向に移動する(
図19の矢印C、D参照)。後架台330を接地させるまでベースブーム2を下方に移動させると、
図20に示すように、ベースブーム側下部連結部32の貫通孔35は、トップブーム側下部連結部22の貫通孔22aよりも後側に移動する。なお、ベースブーム2を下方に移動させる際には、補助員によって第2インジケータ392が隠れている状態が保たれていることが確認される。受け部31aからピン部21aが外れると第2インジケータ392が現れるため、第2インジケータ392が隠れていることを確認することによって、受け部31aにピン部21aが配置された状態でベースブーム2を下げていると判断できる。
【0101】
また、ステップS10における前架台320の移動について説明する。
図22は、前架台320の拡大図である。前架台320は、取付部321と、2つのローラ322と、を有している。取付部321は、アーム12の背面12cに取り付けられる。2つのローラ322は、幅方向Wに沿って回転可能に取付部321に支持されている。ローラ322は、取付部321のアーム12側とは反対側に配置されている。2つのローラ322は、前後方向に並んで配置されている。ステップS10では、フロント装置3は、ベースブーム2に受け部31aで支持されているだけであるため、
図19の状態からベースブーム2が下げられると、トップブーム11の先端側(アーム12の基端側ともいえる)が前架台320のローラ322の回転に伴って前方に移動する(矢印E参照。)。これにより、スムーズにベースブーム2を下方に移動させることができる。
【0102】
次に、ステップS11において、
図21の状態からオペレータがブーム操作レバー50を操作して、
図23(a)に示すようにトップブーム側下部連結部22の貫通孔22aと油圧ピン38の中心が一致するまでベースブーム2を上方(
図21の矢印F参照)に移動させる。
図23(a)は、貫通孔22aと油圧ピン38の中心が一致した状態を示す図である。
図23(a)では、紙面手前側の側板24が省略されている。
図23(b)は、
図23(a)のJJ間の矢視断面図である。このステップS11では、トップブーム11の先端側(アーム12の基端側ともいえる)が前架台320のローラ322の回転に伴って後方に移動する。
【0103】
次に、ステップS12において、オペレータがピン操作スイッチ53を操作することによって、油圧ピン38が伸長し、貫通孔22aおよび貫通孔35に挿入され、トップブーム側下部連結部22とベースブーム側下部連結部32が連結される。
図24(a)は、油圧ピンが伸長してトップブーム側下部連結部22の貫通孔22aに挿入した状態の側面図である。
図24(b)は、
図24(a)のII間の矢視断面図である。また、
図25(a)は、油圧ピン38が伸長してトップブーム側下部連結部22の貫通孔22aに挿入した状態の斜視図である。
図25(b)は、
図25(a)からブラケット34を取り除いた状態を示す図である。
図25(a)および
図25(b)は、上方から視た斜視図であるため、第1インジケータ391と第2インジケータ392は見えているが、側面視では、側板24に隠れている。
【0104】
次に、ステップS13において、車両本体1側のコネクタ接続部に、フロント装置3側のコネクタを接続し、キー電源をオン状態にすることによって、ベースブーム2に取り付けたフロント装置3の種別がモニタ56に表示される。なお、前架台320はアーム12の背面12cから取り外され、トップブーム11とアーム12を繋ぐガイドバー310が取り外される。
図26は、前架台320、後架台330およびガイドバー310を取り外した状態の作業機械100を示す図である。
【0105】
これにより、トップブーム側下部連結部22とベースブーム側下部連結部32が連結される。
【0106】
以上のように、トラック200の荷台201からフロント装置3を降ろし、ベースブーム2にフロント装置3を取り付けることができる。
【0107】
(接続解除動作)
次に、フロント装置3のベースブーム2との接続を解除して、フロント装置3をトラック200に積み込む際の動作について説明する。
【0108】
図27は、フロント装置3のベースブーム2との接続を解除しトラックに積み込む動作を示すフロー図である。接続解除動作は、概ね上述した接続動作の反対の手順で行われるため、接続動作で用いた図面を参照して説明する。
【0109】
はじめに、ステップS21において、キー電源オフの状態で、コネクタが取り外される。また、前架台320がアーム12に取り付けられ、後架台330が地面に設置され、ガイドバー310でトップブーム11とアーム12を繋がれる。
【0110】
次に、ステップS22において、オペレータがピン操作スイッチ53を操作して、油圧ピン38を収縮する(
図23(b)参照)。
【0111】
次に、ステップS23において、オペレータがブーム操作レバー50を操作してベースブーム2を下げて、トップブーム11を後架台330に載せる。そして、後架台330とトップブームがターンバックル340によって固定される(
図20参照)。ベースブーム2を下げる際、第2インジケータ392が隠れた状態を保っていることが側方にいる補助員によって確認される。
【0112】
次に、ステップS24において、一時連結用連結部23の貫通孔23aと油圧ピン38の中心が合うように、オペレータがブーム操作レバー50を操作してベースブーム2を上げる(
図19参照)。そして、オペレータがピン操作スイッチ53を操作して油圧ピン38を伸長することによって、
図17(b)に示すように、油圧ピン38は、貫通孔23aを通って貫通孔35に挿入される。これによって、ベースブーム側下部連結部32と、一時連結用連結部23が連結される。
【0113】
次に、ステップS25において、オペレータがブーム操作レバー50を操作してベースブーム2を上げて、フロント装置3を持ち上げる。そして、フロント装置3と荷台201の間に十分な隙間を開けた状態で、トラックの200の運転手は、トラック200を動かし、荷台201をフロント装置3の下側に移動させる(
図18参照)。ここで、トラック200を動かさず、作業機械100のオペレータが、走行操作レバー49あるいは旋回操作レバー47を操作し、フロント装置3を荷台201の上方に移動させてもよい。
【0114】
次に、ステップS26において、オペレータがブーム操作レバー50を操作してベースブーム2を下げて、荷台201にフロント装置3を載せる(
図12参照)。そして、オペレータがピン操作スイッチ53を操作して、油圧ピン38を収縮することによって、ベースブーム側下部連結部32と一時連結用連結部23の連結が解除される。
【0115】
次に、ステップS27において、オペレータがキー電源をオンにする。
【0116】
次に、ステップS28において、コントローラ55は、フロント装置3が接続されておらずベースブーム2のみが車両本体1に取り付けられている状態であることを示す表示をモニタ56に表示させる。
【0117】
次に、ステップS29において、コントローラ55が、角度センサ54からの検出値に基づいてベースブーム2の高さを演算してモニタ56に表示する。
【0118】
次に、ステップS30において、オペレータが、モニタ56の高さ表示を見ながら、ブーム操作レバー50を操作して、ベースブーム2を下げてベースブーム2の高さを所定の高さに設定する。ここで、ベースブーム2の下方への移動によって、ピン部21aから受け部31aが離間すると、第2インジケータ392が側方から視認できる(
図13(b)および
図14(b)参照)。すなわち、第2インジケータ392を視認することによって、ピン部21aと受け部31aの接続が解除されたことを確認することができる。
【0119】
次に、ステップS31において、オペレータが走行操作レバー49を操作し車両本体1を後進させることによって、フロント装置3のトラック200の荷台201への積み込み作業が完了する(
図11参照)。
【0120】
<特徴等>
(1)
本実施の形態の作業機械100は、車両本体1と、ベースブーム2(第1ブームの一例)と、フロント装置3と、を備える。車両本体1は、キャブ7(運転席の一例)を有する。ベースブーム2は、基端部2aが車両本体1に接続される。フロント装置3は、ベースブーム2に接続される。フロント装置3は、トップブーム11(第2ブームの一例)を有する。トップブーム11は、基端部11aがベースブーム2の先端部2bに接続される。ベースブーム2は、ベースブーム側上部連結部31(第1ブーム側上部連結部の一例)と、ベースブーム側下部連結部32(第1ブーム側下部連結部の一例)と、を有する。ベースブーム側上部連結部31は、先端部2bの上部に配置されている。ベースブーム側下部連結部32は、先端部2bのベースブーム側上部連結部31よりも下側に配置されている。トップブーム11は、トップブーム側上部連結部21(第2ブーム側上部連結部の一例)と、トップブーム側下部連結部22(第2ブーム側下部連結部の一例)と、一時連結用連結部23と、を有する。トップブーム側上部連結部21は、基端部11aの上部に配置され、ベースブーム側上部連結部31に連結される。トップブーム側下部連結部22は、基端部11aのトップブーム側上部連結部21よりも下側に配置され、ベースブーム側下部連結部32に連結される。一時連結用連結部23は、トップブーム側上部連結部21の近傍であってトップブーム側上部連結部21よりも先端部11b側に配置され、ベースブーム側下部連結部32に一時的に連結可能である。
【0121】
フロント装置3がトラック200等の輸送車両に載っている状態では、トップブーム11の基端部11aの位置が地面から高くなるため物理的に干渉し、ベースブーム側上部連結部31とトップブーム側上部連結部21を連結し、ベースブーム側下部連結部32とトップブーム側下部連結部22を連結することができない。
【0122】
しかしながら、フロント装置3がトラック200に載っている状態で、ベースブーム側下部連結部32と連結可能な一時連結用連結部23を設けることによって、フロント装置3がトラック200に載っている状態で、ベースブーム側上部連結部31とトップブーム側上部連結部21を連結し、ベースブーム側下部連結部32と一時連結用連結部23を連結することができる。
【0123】
このように、フロント装置3がトラック200に載っている状態で、ベースブーム2をトップブーム11に連結できるため、ベースブーム2を上方に回動することによって、トラック200の荷台201よりも上方にフロント装置3を持ち上げることができる。
【0124】
このため、フロント装置3をトラック200の荷台201から降ろす動作をベースブーム2が取り付けられた車両本体1によって行うことが可能となる。また、トラック200の荷台201よりも上方にフロント装置3を持ち上げることができるため、フロント装置3をトラック200の荷台201に載せる動作もベースブーム2が取り付けられた車両本体1によって行うことが可能となる。
【0125】
以上のように、フロント装置3をトラック200等の輸送車両に載せる動作および輸送車両から降ろす動作を、ベースブーム2が取り付けられた車両本体1によって行うことができる。そのため、輸送車両へのフロント装置の積み降ろし動作を行うために、クレーンを同行させる必要がなく、輸送コストを低減することができる。また、ブラケットを着脱する必要がなく、積み降ろし作業を容易に行うことができる。
【0126】
また、ベースブーム側下部連結部32の一時連結用連結部23との連結を解除し、ベースブーム側下部連結部32をトップブーム側下部連結部22と連結することによって、フロント装置3を用いた作業を行うことが可能となる。
【0127】
(2)
本実施の形態の作業機械100では、ベースブーム側下部連結部32は、幅方向Wに沿って伸縮可能な油圧ピン38(連結ピンの一例)を有する。油圧ピン38は、一時連結用連結部23と連結可能であり、トップブーム側下部連結部22と連結可能である。
【0128】
これにより、ベースブーム側下部連結部32を、トップブーム側下部連結部22または一時連結用連結部23に連結することができる。
【0129】
(3)
本実施の形態の作業機械100では、トップブーム側上部連結部21は、幅方向Wに沿って配置されたピン部21aを有する。ベースブーム側上部連結部31は、受け部31aと、開口部31bと、を有する。受け部31aは、ピン部21aが配置される空間を形成し、下方からピン部21aを支持する。開口部31bは、受け部31aにピン部21aを配置する際にピン部21aが通過する。ピン部21aが開口部31bを通過して受け部31aに配置されることによって、ベースブーム側上部連結部31は、トップブーム側上部連結部21と連結する。
【0130】
このように、ピン部21aを受け部31aによって支持することによって、ベースブーム側上部連結部31とトップブーム側上部連結部21を連結することができる。
【0131】
(4)
本実施の形態の作業機械100では、トップブーム11の基端部11aは、幅方向Wに対向して配置された一対の側板24を有する。トップブーム側下部連結部22は、一対の側板24に幅方向Wに対向して形成された一対の貫通孔22a(第1貫通孔の一例)を有する。ベースブーム側下部連結部32は、幅方向Wに伸縮可能な油圧ピン38(連結ピンの一例)を有し、油圧ピン38が伸びて一対の貫通孔22aに挿入されることによって、ベースブーム側下部連結部32がトップブーム側下部連結部22に連結する。一時連結用連結部23は、一対の側板24に幅方向Wに対向して形成された一対の貫通孔23a(第2貫通孔の一例)を有する。油圧ピン38が伸びて一対の貫通孔23aに挿入されることによって、ベースブーム側下部連結部32が一時連結用連結部23に連結する。
このように、油圧ピン38を伸び縮みさせることによって、ベースブーム側下部連結部32と一時連結用連結部23との連結および連結の解除を行うことができる。これにより、一時的に、ベースブーム側下部連結部32と一時連結用連結部23を連結させて、ベースブーム2をトップブーム11に連結し、トラック200に載っている状態でフロント装置3を持ち上げることができる。
【0132】
(5)
本実施の形態の作業機械100では、フロント装置3は、アーム12と、バケット13(アタッチメントの一例)と、を更に備える。アーム12は、トップブーム11の先端部11bに、基端部12aで接続されている。バケット13は、アーム12の先端部12bに接続されている。アーム12には、背面12c側に、ローラ322(車輪の一例)を有する前架台320(架台の一例)が着脱可能である。ベースブーム2およびトップブーム11の下側にアーム12が配置される姿勢であって、受け部31aにピン部21aが配置され、ベースブーム側下部連結部32がトップブーム側下部連結部22および一時連結用連結部23のいずれとも連結していない状態において、ベースブーム2を上下方向に回動させた際、前架台320は、ローラ322が地面またはトラック200の荷台201面に接触可能であり、且つ接触した状態で前後方向に移動可能である。
【0133】
ベースブーム側下部連結部32を、トップブーム側下部連結部22と連結する位置と、一時連結用連結部23と連結する位置との間で移動する際にベースブーム2を回動させると、フロント装置3の姿勢も動くことになるが、ローラ322の回転によって前架台320が前後方向に移動するため、スムーズにベースブーム側下部連結部32の位置を移動させることができる。
【0134】
(6)
本実施の形態のフロント装置3は、キャブ7(運転席の一例)と、基端部11aで接続されるベースブーム2(第1ブームの一例)と、を有する車両本体1のベースブーム2に接続されるフロント装置3であって、トップブーム11(第2ブームの一例)を備える。トップブーム11は、ベースブーム2の先端部2bに、基端部11aで接続される。トップブーム11は、トップブーム側上部連結部21と、トップブーム側下部連結部22と、一時連結用連結部23と、を備える。トップブーム側上部連結部21は、基端部11aの上部に配置され、ベースブーム2の先端部2bの上部に配置されたベースブーム側上部連結部31に連結される。トップブーム側下部連結部22は、基端部11aのトップブーム側上部連結部21よりも下側に配置され、ベースブーム2の先端部2bのベースブーム側上部連結部31よりも下側に配置されたベースブーム側下部連結部32に連結される。一時連結用連結部23は、トップブーム側下部連結部22の近傍であってトップブーム側下部連結部22よりも先端部11b側に配置され、ベースブーム側下部連結部32に一時的に連結可能である。
【0135】
これにより、フロント装置3をトラック200等の輸送車両に載せる動作および輸送車両から降ろす動作を、ベースブーム2が取り付けられた車両本体1によって行うことができる。そのため、輸送車両へのフロント装置の積み降ろし動作を行うために、クレーンを同行させる必要がなく、輸送コストを低減することができる。また、ブラケットを着脱する必要がなく、積み降ろし作業を容易に行うことができる
【0136】
また、ベースブーム側下部連結部32の一時連結用連結部23との連結を解除し、ベースブーム側下部連結部32をトップブーム側下部連結部22と連結することによって、フロント装置3を用いた作業を行うことが可能となる。
【0137】
(他の実施形態)
以上、本開示の一実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0138】
(A)
上記実施の形態のフロント装置3の先端にはアタッチメントの一例としてバケット13が取り付けられているが、これに限らなくてもよく、例えば、圧砕具が取り付けられていてもよい。
【0139】
(B)
上記実施の形態では、ベースブーム2の高さを演算してモニタ56に表示させているが、これに限らなくてもよく、音声やLEDランプ等(出力部の一例)でオペレータに報知してもよい。モニタ56に表示されるベースブーム2の高さは、数値で表示されてもよいしインジケータなどのグラフィックなどの図で表示されてもよい。さらに、ベースブーム2の高さを算出せずに、補助員が確認しながら、ベースブーム2をフロント装置に近づけてもよい。
【0140】
(C)
上記実施の形態の作業機械100では、油圧によって伸縮する油圧ピン38が用いられているが、油圧に限らなくてもよく、空圧であってもよいし、モータ等を動力として伸縮するピンが用いられてもよい。
【0141】
(D)
上記実施の形態では、角度センサ54の検出値からベースブーム2の高さを演算しているが、これに限らなくてもよく、例えば、ブームシリンダ8の伸縮長さを検出可能なストロークセンサを姿勢検出センサとして用い、ブームシリンダ8の長さを検出し、ブームシリンダ8の長さからベースブーム2の高さを演算してもよく、ベースブーム2の高さを算出可能な検出値が得られるセンサであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の作業機械によれば、フロント装置を輸送車両に容易に積み降ろし可能な効果を有し、長尺のフロント装置を有する作業機械などに有用である。
【符号の説明】
【0143】
2 :ベースブーム
2b :先端部
11 :トップブーム
11a :基端部
21 :トップブーム側上部連結部
22 :トップブーム側下部連結部
23 :一時連結用連結部
31 :ベースブーム側上部連結部
32 :ベースブーム側下部連結部
100 :作業機械