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特許7317927コンピュータシステムを冷却するための冷却回路およびその流量制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】コンピュータシステムを冷却するための冷却回路およびその流量制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230724BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/20 M
H05K7/20 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021185096
(22)【出願日】2021-11-12
(65)【公開番号】P2022171537
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】63/182,360
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/380,845
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
【住所又は居所原語表記】No.188,Wenhua 2nd Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳 逸傑
(72)【発明者】
【氏名】呉 岳璋
(72)【発明者】
【氏名】王 得權
(72)【発明者】
【氏名】徐 子軒
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-246649(JP,A)
【文献】特開2009-216346(JP,A)
【文献】特表2010-528486(JP,A)
【文献】特開2005-274062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/20
F24H1/00;1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムを冷却するための冷却回路であって、前記冷却回路は、
並列に配置された複数の冷却モジュールであって、各冷却モジュールは、冷却導管が通過する冷却板と、前記冷却導管に流体的に結合されたポンプとを含む、冷却モジュールと、
1つまたは複数のバルブであって、前記1つまたは複数のバルブの各々は、オンにされると、任意の2つの隣接する冷却モジュールの冷却導管同士を流体的に接続する、バルブと、
を含み、
前記1つまたは複数のバルブが、(i)四路式作動ボールバルブ、(ii)3つの二路式ソレノイドバルブによって形成される四路式バルブ、または(iii)それらの任意の組み合わせであることを特徴とする、冷却回路。
【請求項2】
各冷却モジュールはさらに、
第1のクイックコネクタに結合された第1の端部と、前記冷却導管の入口に結合された第2の端部とを有する入口管と、
前記冷却導管の出口に結合された第1の端部と、第2のクイックコネクタに結合された第2の端部とを有する出口管と、
を含み、
前記複数の冷却モジュールの各々は、前記コンピュータシステムの発熱部品の上方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の冷却回路。
【請求項3】
サーバのラックのための冷却システムであって、
複数の冷却回路を含み、各冷却回路は、前記ラックのサーバに結合され、各冷却回路は、
並列に配置された複数の冷却モジュールであって、各冷却モジュールは、冷却導管が通過する冷却板と、前記冷却導管に流体的に結合されたポンプとを含む、冷却モジュールと、
1つまたは複数のバルブであって、前記1つまたは複数のバルブの各々は、オンにされると、任意の2つの隣接する冷却モジュールの冷却導管同士を流体的に接続する、バルブと、
を含み、
前記冷却システムはまた、
入口パイプを介して複数のサーバの各々における前記冷却回路に流体的に接続された第1の冷却分配マニホールドと、
出口パイプを介して複数のサーバの各々における前記冷却回路に流体的に接続された第2の冷却分配マニホールドと、
を含み、
前記1つまたは複数のバルブが、(i)四路式作動ボールバルブ、(ii)3つの二路式ソレノイドバルブによって形成される四路式バルブ、または(iii)それらの任意の組み合わせであることを特徴とする、冷却システム。
【請求項4】
各冷却モジュールはさらに、
第1のクイックコネクタに結合された第1の端部と、前記冷却導管の入口に結合された第2の端部とを有する入口管と、
前記冷却導管の出口に結合された第1の端部と、第2のクイックコネクタに結合された第2の端部とを有する出口管と、
を含み、
前記複数の冷却モジュールの各々は、対応するサーバの発熱部品の上方に配置されることを特徴とする、請求項に記載の冷却システム。
【請求項5】
冷却システムはさらに、
前記サーバのラック上に配置され、前記第1の冷却分配マニホールドに冷却流体を分配し、前記第2の冷却分配マニホールドから前記冷却流体を受け取る冷却分配ユニットを含み、前記冷却分配ユニットは、
前記冷却流体の1つまたは複数の流量パラメータを検出するように構成された1つまたは複数のセンサと、
前記冷却流体を制御可能に分配するように構成された冷却分配ポンプと、
前記冷却流体の前記1つまたは複数の流量パラメータについて受領されたデータに基づいて、前記冷却分配ポンプからの前記冷却流体の流速を制御するように構成されたプログラマブルロジックコントローラと、
を含むことを特徴とする、請求項に記載の冷却システム。
【請求項6】
各冷却回路は、対応するサーバ内のコントローラに通信可能に結合され、前記コントローラは、
前記複数の冷却モジュール内の前記ポンプのうちの1つまたは複数が故障したかどうかを検出し、
そのような検出に応じて、1つまたは複数の故障したポンプの各々を有する冷却モジュールの冷却導管を、隣接する冷却モジュールの冷却導管と流体的に接続する、前記1つまたは複数のバルブをオンにする
ように構成されることを特徴とする、請求項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記コントローラはさらに、
前記冷却板に熱的に接続された発熱部品の温度情報を、対応するサーバ内の温度センサから受領し、
前記複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つまたは複数が故障したことを検出したことに応じて、前記発熱部品による電力負荷を調整する
ように構成されることを特徴とする、請求項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記コントローラはさらに、
1つまたは複数の前記ポンプの毎分回転数(RPM)に関する情報を受領し、
1つまたは複数の前記ポンプのいずれかのもののRPMが所定の値の範囲外であるかどうかを判定する
ことによって、
1つまたは複数の前記ポンプが故障したかどうかを検出するように構成されることを特徴とする、請求項に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、コンピュータシステムを冷却するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、コンピュータシステムを冷却するための冷却回路およびその流量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置(サーバなど)は、典型的には中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)などの1つまたは複数の発熱部品(熱を発生する構成要素)を含む。これらの発熱部品の冷却を補助するために、冷却流体を駆動し、発熱部品から熱を移動させるためのポンプを収容する冷却モジュールが使用されてもよい。しかしながら、冷却モジュールのいずれか1つのポンプが故障した場合、少なくとも故障したポンプを有する冷却モジュールはそれに熱的に結合された発熱部品を冷却することができなくなり、直列に接続された任意の冷却モジュールに影響を及ぼすこともある。
【0003】
米国特許第7,310,737号は、コンピュータシステム用の冷却システムを開示している。コンピュータシステムを冷却するための冷却システムは、コンピュータシステムによって放散される熱を検出する。コンピュータシステムによって放散される熱が閾値を超える場合、コンピュータシステムの少なくとも1つの構成要素は、熱放散(放熱)を低減するために低電力状態に置かれる。
【0004】
したがって、コンピュータ装置の全ての部分の発熱部品からの熱を効果的に除去し続けることができるように、動作中にポンプの冗長性を確保できる、より良い冷却策を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
実施形態および、例えば実施態様、構成、態様、実施例、および選択肢などの同様の用語は、本発明の主題および以下の特許請求の範囲のすべてを広く指すことが意図される。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するものではなく、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本明細書に含まれる本開示の実施形態は、この概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この概要は本開示の様々な態様の高レベルの概要であり、以下の詳細な説明セクションでさらに説明される概念のいくつかを紹介する。この概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を識別することを意図していない。この概要は、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。主題は、本開示の明細書全体、任意のまたはすべての図面、および各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本開示の特定の態様によれば、コンピュータシステムを冷却するための冷却回路が開示される。冷却回路は、並列に配置された複数の冷却モジュールを含む。各冷却モジュールは、冷却導管が通過する冷却板と、冷却導管に流体的に結合されたポンプとを含む。冷却回路はさらに、複数の冷却モジュールを流体的に相互接続する1つまたは複数のバルブをさらに含む。1つ以上のバルブの各々は、オンにされると、任意の2つの隣接する冷却モジュールの冷却導管同士を流体的に接続する。
【0007】
本開示の特定の態様によれば、サーバのラックのための冷却システムが開示される。冷却システムは複数の冷却回路を含み、各冷却回路はラックのサーバに結合されている。各冷却回路は、並列に配置された複数の冷却モジュールを含む。各冷却モジュールは、冷却導管が通過する冷却板と、冷却導管に流体的に結合されたポンプとを含む。冷却回路はさらに、複数の冷却モジュールを流体的に相互接続する1つまたは複数のバルブを含む。1つ以上のバルブの各々は、オンにされると、任意の2つの隣接する冷却モジュールの冷却導管同士を流体的に接続する。冷却システムはさらに、入口管を介して複数のサーバの各々における冷却回路に流体的に接続された第1の冷却分配マニホールドと、出口管を介して複数のサーバの各々における冷却回路に流体的に接続された第2の冷却分配マニホールドとを含む。
【0008】
本開示の特定の態様によれば、各冷却モジュールはさらに、入口管および出口管を含む。入口管は、第1のクイックコネクタに結合された第1の端部と、冷却導管の入口に結合された第2の端部とを有する。出口管は、冷却導管の出口に結合された第1の端部と、第2のクイックコネクタに結合された第2の端部とを有する。
【0009】
本開示の特定の態様によれば、1つまたは複数のバルブは、四路式作動ボールバルブ、または3つの二路式ソレノイドバルブによって形成される四路式バルブである。
【0010】
本開示の特定の態様によれば、冷却回路は、1つのバルブによって相互接続された2つの冷却モジュールを含む。
【0011】
本開示の特定の態様によれば、複数の冷却モジュールの各々は、対応するサーバの発熱部品の上方に配置される。
【0012】
本開示の特定の態様によれば、冷却システムはさらに、サーバのラック上に配置され、第1の冷却分配マニホールドに冷却流体を分配し、第2の冷却分配マニホールドから冷却流体を受け取る冷却分配ユニットを含む。
【0013】
本開示の特定の態様によれば、冷却分配ユニットはさらに、1つまたは複数のセンサと、冷却分配ポンプと、プログラマブルロジックコントローラとを含む。センサは、冷却流体の1つまたは複数の流量パラメータを検出するように構成される。冷却分配ポンプは、冷却流体を制御可能に分配するように構成される。プログラマブルロジックコントローラは、冷却流体の1つまたは複数の流量パラメータについて受領されたデータに基づいて、冷却分配ポンプからの冷却流体の流速を制御するように構成される。
【0014】
本開示の特定の態様によれば、各冷却回路は、対応するサーバ内のコントローラに通信可能に結合される。コントローラは、複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つまたは複数が故障したかどうかを検出するように構成される。コントローラはさらに、そのような検出に応じて、1つまたは複数の故障したポンプの各々を有する冷却モジュールの冷却導管を、隣接する冷却モジュールの冷却導管と流体的に接続する、1つまたは複数のバルブをオンにするように構成される。
【0015】
本開示の特定の態様によれば、コントローラはさらに、対応するサーバ内の温度センサから、冷却板と熱的に接続された発熱部品の温度情報を受信するように構成される。コントローラはさらに、複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つまたは複数が故障したことを検出したことに応じて、発熱部品による電力負荷を調整するように構成される。
【0016】
本開示の特定の態様によれば、コントローラはさらに、少なくとも、複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つを除く全てが故障したことを検出することに応じて、操作者に警報を送信するように構成される。
【0017】
本開示の特定の態様によれば、コントローラはさらに、1つまたは複数のポンプの毎分回転数(RPM)に関する情報を受領し、1つまたは複数のポンプのいずれかのもののRPMが所定の値の範囲外であるかどうかを判定することによって、1つまたは複数のポンプが故障したかどうかを検出するように構成される。
【0018】
本開示の特定の態様によれば、コンピュータシステムの冷却回路のための流量制御方法が開示される。本方法は、複数の冷却モジュールを介してコンピュータシステムを冷却するステップを含み、各冷却モジュールは、冷却モジュールの冷却板を通過する冷却導管に流体的に接続されたポンプを有する。この方法はさらに、複数の冷却モジュールのうちの1つまたは複数の冷却モジュール内のポンプの故障を検出するステップを含む。この方法はさらに、故障を検出することに応じて、故障したポンプの各々に流体的に接続された冷却導管と、隣接する冷却モジュールの冷却導管との間に、冷却剤を流すためにバルブをオンにするステップを含む。
【0019】
本開示の特定の態様によれば、本方法はさらに、故障の検出に応じて、冷却回路に熱的に結合された発熱部品による電力負荷を調整するステップを含む。
【0020】
本開示の特定の態様によれば、本方法はさらに、少なくとも、複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つを除く全てが故障したことを検出することに応じて、操作者に警報を送信するステップを含む。
【0021】
本開示の特定の態様によれば、本方法は、1つまたは複数のポンプの毎分回転数(RPM)に関する情報を受領し、1つまたは複数のポンプのいずれかのもののRPMが所定の値の範囲外であるかどうかを判定することによって、複数の冷却モジュールのうちの1つまたは複数におけるポンプの故障を検出する。
【0022】
上記の概要は、本開示の各実施形態またはすべての態様を表すことを意図するものではない。むしろ、前述の概要は、本明細書に記載される新規な態様および特徴のいくつかの例を単に提供するに過ぎない。本発明の上記の特徴および利点、ならびに他の特徴および利点は、添付の図面および添付の特許請求の範囲に関連して、本発明を実施するための代表的な実施形態およびモードの以下の詳細な記載から容易に明らかになるであろう。本開示のさらなる態様は、以下に簡単な説明が提供される図面を参照してなされる様々な実施形態の詳細な説明を考慮して、当業者には明らかであろう。
【0023】
本開示、ならびにその利点および図面は、添付の図面を参照しながら、代表的な実施形態の以下の説明からより良く理解されるであろう。これらの図面は代表的な実施形態のみを示し、したがって、様々な実施形態または特許請求の範囲に対する限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の特定の態様による、複数の冷却回路を有する冷却システムを備えたサーバのラックの模式図の側面図を示す。
図2A】本開示の特定の態様による、図1の複数の冷却回路のそれぞれに配置された冷却モジュールの第1の実施形態の側面図を示す。
図2B】本開示の特定の態様による、図1の複数の冷却回路のそれぞれに配置された冷却モジュールの第2の実施形態の側面図を示す。
図3A】本開示の特定の態様による、オフになっている1つのバルブによって相互接続された2つの隣接する冷却回路の模式図の上面図を示す。
図3B】本開示の特定の態様による、冷却回路間に冷却流体を流すことを可能にするためにオンになっている1つのバルブによって相互接続された2つの隣接する冷却回路の模式図の上面図を示す。
図4A】本開示の特定の態様による、オフになっている2つのバルブによって相互接続された3つの隣接する冷却回路の模式図の上面図を示す。
図4B】本開示の特定の態様による、隣接する冷却回路の間で冷却流体を流すことを可能にするためにオンになっている2つのバルブによって相互接続された3つの隣接する冷却回路の模式図の上面図を示す。
図5A】本開示の特定の態様による、隣接する冷却回路を相互接続するために使用されるバルブの第1の実施形態の斜視図を示す。
図5B】本開示の特定の態様による、図5Aのバルブの上面図を示す。
図5C】本開示の特定の態様による、図5Aのバルブの「オン」および「オフ」状態の概略構成を示す。
図6A】本開示の特定の態様による、隣接する冷却回路を相互接続するために使用されるバルブの第2の実施形態の斜視図を示す。
図6B】本開示の特定の態様による、図6Aのバルブの模式図を示す。
図7】本開示の特定の態様による、サーバの冷却回路を制御するための、図1のサーバのラックのそれぞれのサーバ内のコントローラの動作の模式図を示す。
図8】本開示の特定の態様による、図7のコントローラによって実行される流量制御方法のフロー図を示す。
図9】本開示の特定の態様による、図1の各サーバの冷却回路を冷却するための流量制御方法のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明はさまざまな修正および代替形態が可能であり、いくつかの典型的な実施形態が実施例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図していないことが理解されるべきである。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内にあるすべての修正、均等物、および代替物を網羅するものである。
【0026】
本開示の実施形態は、コンピュータシステムを冷却するための冷却回路およびその流量制御方法を対象とする。冷却回路は、並列に配置されて1つまたは複数のバルブによって相互接続された複数の冷却モジュールを含んでおり、この1つまたは複数のバルブは、オンにされると、隣接する冷却モジュール同士を流体的に接続する。これにより、複数の冷却モジュールのいずれかにおいて冷却流体を駆動するためのポンプが故障した場合に、冷却流体が複数の冷却モジュールを横切って流れることができるようになる。冷却回路の流量制御方法は、故障したポンプを検出し、冷却流体が流れることができるように、隣接する冷却モジュール間のバルブをオンにする、コントローラによって実行される。このような検出に応じて、コントローラは、故障したポンプを有する冷却モジュールに熱的に結合された発熱部品の電力負荷を調整することもできる。コントローラはまた、複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つを除く全てが故障した場合に、操作者に警報を送信するように構成される。
【0027】
様々な実施形態が、添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号が同様のまたは同等の要素を指定するために、図面全体にわたって使用される。図面は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、単に本開示の態様および特徴を例示するために提供されているに過ぎない。多数の特定の詳細、関係、および方法が本開示の特定の態様および特徴の完全な理解を提供するために記載されるが、当業者は、これらの態様および特徴が、特定の詳細のうちの1つまたは複数なしで、他の関係で、または他の方法で実施され得ることを認識するであろう。いくつかの例では、周知の構造または動作が例示目的のために詳細に示されていない。いくつかの動作が異なる順序で、および/または他の動作または事象と同時に起こり得るので、本明細書で開示される様々な実施形態は、動作または事象の図示された順序によって必ずしも限定されない。さらに、本開示の特定の態様および特徴を実装するために、必ずしもすべての例示された動作または事象が必要とされるわけではない。
【0028】
本発明の詳細な説明の目的のために、特に断りのない限り、また適切な場合には、単数は複数を含み、逆もまた同様である。「含む」語は、「含むが限定しない」を意味する。さらに、「約」、「ほぼ」、「実質的に」などの概算の語は、「ちょうど」、「ほぼ」、「ほぼちょうど」、「3~5%以内の」、「許容可能な製造公差以内の」、またはそれらの任意の論理的組み合わせを意味するように本明細書で使用することができる。同様に、「垂直」または「水平」という語は、それぞれ垂直または水平方向の「3~5%以内」をさらに含むことを意図する。さらに、「上」、「下」、「下」、「左」、「右」、「上」および「下」などの方向の語は、参照図に示されるような、または、参照される物体または要素から、例えば物体または要素のための一般的に使用される位置から、文脈的に理解されるような、または、そうでなければ、本明細書に記載されたような、同等の方向に関連することを意図する。
【0029】
図1は、「n」個のサーバ105a、105b、…、105nのラック(棚)100の模式図の側面図を示す。文字「n」は、複数の構成要素を示すために本明細書全体を通して使用され、2より大きい整数を表す。ラック100は、複数の冷却回路120a、120b、…、120nを備えた冷却システム110を有する。各冷却回路120nは、ラック100の各サーバ105nに結合されて各サーバ105nの中に配置される。複数の冷却回路120a、120b、…、120nの各々は、それぞれのサーバ105a、105b、…、105n内の対応するコントローラ(制御部、制御装置)106a、106b、…、106nに通信可能に結合される。各コントローラ106nは、対応する冷却回路120nを通る冷却流体(cooling fluid)の流れを制御して、それによって実行される冷却の連続性および有効性を保証するための行動をとるように構成される。
【0030】
冷却システム110は、冷却回路120a、120b、…、120nの各々に冷却流体を分配するための入口管124a、124b、…、124nを介して、それぞれのサーバ105a、105b、…、105nの冷却回路120a、120b、…、120nに流体的に接続された第1の冷却分配マニホールド122を含む。冷却システム110はさらに、冷却回路120a、120b、…、120nの各々から冷却流体を除去するための出口管128a、128b、…、128nを介して、それぞれのサーバ105a、105b、…、105nの冷却回路120a、120b、…、120nに流体的に接続された第2の冷却分配マニホールド126を含む。いくつかの実施形態では、第1の冷却分配マニホールド122および第2の冷却分配マニホールド126は、アルミニウム、ステンレス鋼などから作製されてもよい。各サーバ105a、105b、…、105nの中の出口管128a、128b、…、128nに隣接して、温度センサ108a、108b、…、108nが配置される。
【0031】
冷却システム110は、ラック100上に配置された冷却分配ユニット190を含む。冷却分配ユニット190は、第1の冷却分配マニホールド122に冷却流体を分配し、第2の冷却分配マニホールド126から冷却流体が供給される。冷却分配ユニット190は、1つまたは複数のセンサ198と、冷却分配ポンプ196と、プログラマブルロジックコントローラ195とを含む。センサ198は、冷却流体の1つまたは複数の流量パラメータを検出するように構成される。非限定的な例として、流量パラメータは、圧力、流速(流量)などであってもよい。冷却分配ポンプ196は、冷却流体を制御可能に分配するように構成される。プログラマブルロジックコントローラ195は、センサ198からの冷却流体の流量パラメータについて受領されたデータに基づいて、冷却分配ポンプ196からの冷却流体の流速を制御するように構成される。
【0032】
図2A図2Bは、複数の冷却回路120a、120b、…、120n(図1)のそれぞれに配置された冷却モジュール230の第1の実施形態および第2の実施形態の側面図を示す。冷却モジュール230は、サーバ105nの発熱部品235(例えばプロセッサ、メモリカード等)に熱的に結合されるように、配置(例えば上方に配置、下方に配置等)される。冷却モジュール230は、冷却板232を通過する冷却導管234を有する冷却板232を含む。冷却導管234は、入口238aと出口238bとを有する。冷却流体は、入口238aを通って冷却モジュール230に入り、出口238bを通って冷却モジュール230から出る。冷却モジュール230へおよびそこから冷却流体を分配するために、ポンプ236が、冷却導管234に流体的に結合されている。ポンプ236は、図2Aの第1の実施形態に示すように、冷却板232と流体接触していてもよい。また、ポンプ236は、図2Bの第2の実施形態に示されるように、冷却導管234と流体接触していてもよい。
【0033】
各冷却回路120n内の複数の冷却モジュール230は、図3A図3Bおよび図4A図4Bにさらに詳細に示されている。複数の冷却モジュール230は、1つまたは複数のバルブ(例えば図3A図3Bのバルブ340)によって相互接続され、この1つまたは複数のバルブは、オンにされると、隣接する冷却モジュール230の冷却導管234同士を流体的に接続する。図3A図3Bは、並列に配置されて1つのバルブ340によって相互接続された2つの隣接する冷却モジュール230、230の実施例配置の模式図の上面図を示し、この1つのバルブ340は、最初はオフにされ(図3A)、次いでオンにされて、隣接する冷却モジュール230、230の間を冷却流体が流れることを可能にする(図3B)。冷却モジュール230は、発熱部品(図示せず)に熱的に結合される。図3Aに示されるように、冷却モジュール230は、入口238aと出口238bとを備えた冷却導管234に流体的に接続されたポンプ236を含む。第1の端部352と第2の端部354とを有する入口管350は、冷却モジュール230に冷却流体を搬送する。入口管350の第1の端部352は第1のクイックコネクタ370aに結合され、入口管350の第2の端部354は冷却導管234の入口238aに結合される。第1の端部362と第2の端部364とを有する出口管360は、冷却モジュール230から冷却流体を搬送する。出口管360の第1の端部362は冷却導管234の出口238bに結合され、第2の端部364は第2のクイックコネクタ370bに結合される。いくつかの実施形態では、第1のクイックコネクタ370aおよび第2のクイックコネクタ370bは、アルミニウム、ステンレススチール、銅、ニッケルなどから作られたプラグ・アンド・ソケット構造である。入口管350、冷却導管234、および出口管360を通る矢印は、冷却モジュール230を通る冷却流体の流れの方向を示す。
【0034】
同様に、冷却モジュール230は、発熱部品(図示せず)に熱的に結合される。図3Aに示されるように、冷却モジュール230は、入口238aと出口238bとを備えた冷却導管234に流体的に接続されたポンプ236を含む。第1の端部352と第2の端部354とを有する入口管350は、冷却モジュール230に冷却流体を搬送する。入口管350の第1の端部352は第1のクイックコネクタ370aに結合され、入口管350の第2の端部354は冷却導管234の入口238aに結合される。第1の端部362と第2の端部364とを有する出口管360は、冷却モジュール230から冷却流体を搬送する。出口管360の第1の端部362は冷却導管234の出口238bに結合され、第2の端部364は第2のクイックコネクタ370bに結合される。いくつかの実施形態では、第1のクイックコネクタ370a2および第2のクイックコネクタ370bは、アルミニウム、ステンレススチール、銅、ニッケルなどから作られたプラグ・アンド・ソケット構造である。入口管350、冷却導管234、および出口管360を通る矢印は、冷却モジュール230を通る冷却流体の流れの方向を示す。
【0035】
図3A図3Bの実施例配置では、冷却モジュール230、230は、4つのポート342、344、346、および348を有する単一のバルブ340によって相互接続されている。以下に示され説明されるように、バルブ340は、四路式作動ボールバルブ、3つの二路式ソレノイドバルブ(図6A図6B参照)によって形成される四路式バルブなどであってもよい。2つのポート342、346は、冷却モジュール230の出口管360に流体的に結合され、2つのポート344、348は、冷却モジュール230の入口管350に流体的に結合される。図3Aに示すように、バルブ340は最初はオフにされ、冷却流体は、冷却モジュール230、230の各々を通って独立して流れる。以下に説明するように、ある事象(例えばポンプ236または236のうちの1つが故障した)によってトリガされて、図3Bに示すようにバルブ340がオンにされると、冷却モジュール230の出口管360からの冷却流体が、バルブ340のポート342および344を通って、隣接する冷却モジュール230の入口管350に案内される。これにより、冷却モジュール230、230に熱的に結合された発熱部品からの熱を効果的に除去し続けることができる。
【0036】
図4A図4Bは、並列に配置されて2つのバルブ340、340によって相互接続された3つの隣接する冷却モジュール230、230、230の別の実施例配置の模式図の上面図を示す。バルブ340、340は、最初はオフにされ(図4A)、次いで、両方がオンにされ(ただし、必要に応じてバルブの一方のみがオンにされてもよい)、冷却流体が、隣接する冷却モジュール230、230、230を通って流れる(図4B)ことを可能にする。冷却モジュール230、230は、図3A図3Bに関して上述したように、構造および機能において類似している。冷却モジュール230は、発熱部品(図示せず)に熱的に結合される。図4Aに示されるように、冷却モジュール230は、入口238aと出口238bとを備えた冷却導管234に流体的に接続されたポンプ236を含む。第1の端部352と第2の端部354とを有する入口管350は、冷却モジュール230に冷却流体を搬送する。入口管350の第1の端部352は第1のクイックコネクタ370aに結合され、入口管350の第2の端部354は冷却導管234の入口238aに結合される。第1の端部362と第2の端部364とを有する出口管360は、冷却モジュール230から冷却流体を搬送する。出口管360の第1の端部362は冷却導管234の出口238bに結合され、第2の端部364は第2のクイックコネクタ370bに結合される。いくつかの実施形態では、第1のクイックコネクタ370aおよび第2のクイックコネクタ370bは、アルミニウム、ステンレススチール、銅、ニッケルなどから作られたプラグ・アンド・ソケット構造である。入口管350、冷却導管234、および出口管360を通る矢印は、冷却モジュール230を通る冷却流体の流れの方向を示す。
【0037】
図4A図4Bの実施例配置では、冷却モジュール230、230、230は、バルブ340と同様に、2つのバルブ340、340によって相互接続されている。バルブ340は、4つのポート342、344、346、348を有する。2つのポート342、346は、冷却モジュール230の出口管360に流体的に結合され、2つのポート344、348は、冷却モジュール230の入口管350に流体的に結合される。同様に、バルブ340は、4つのポート342、344、346、348を有する。2つのポート342、346は、冷却モジュール230の出口管360に流体的に結合され、2つのポート344、348は、冷却モジュール230の入口管350に流体的に結合される。
【0038】
図4Aに示されるように、バルブ340、340は、最初はオフにされ、冷却流体は、冷却モジュール230、230、230の各々を通って独立して流れる。以下に説明するように、ある事象(例えばポンプ236、236、または236のうちの1つが故障した)によってトリガされて、図4Bに示すようにバルブ340、340がオンにされると、冷却モジュール230の出口管360からの冷却流体が、バルブ340のポート342および344を通って、冷却モジュール230の入口管350に案内される。同様に、冷却モジュール230の出口管360からの冷却流体が、バルブ340のポート342および344を通って、冷却モジュール230の入口管350に案内される。これにより、冷却モジュール230、230、2303に熱的に結合された発熱部品からの熱を効果的に除去し続けることができる。図3A図3Bおよび図4A図4Bを通して図示するように、冷却回路120nにおけるポンプ冗長性を達成するために、複数の冷却モジュール230を1つまたは複数のバルブ340を介して相互接続することができ、これにより、サーバ105nの各々の冷却の連続性および有効性が確保される。
【0039】
図5A図5Bは、隣接する冷却回路を相互接続するために使用されるバルブ340の第1の実施形態の斜視図および上面図をそれぞれ示す。図5Aに示されるように、バルブ340は、四路式作動ボールバルブである。バルブ340は、4チャネル構造580と、コネクタ582を介して4チャネル構造580に結合された制御ユニット585とを有する。4チャネル構造580は、図5Bに示すように、4つのポート342、344、346、および348を有する(図3A図3Bも参照)。いくつかの実施態様において、4チャネル構造580は、ステンレス鋼から構成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、制御ユニット585は、ポリカーボネート材料から作製される。制御ユニット585は、コントローラ(例えば各サーバ105nのコントローラ106n)からの入力信号を受領して、ポート342、344、346、348の位置を調整し、バルブ340を通って流れる流体(例えば各サーバ105nの冷却回路120nにおける冷却流体)の方向を変更するように構成される。したがって、一例として、バルブ340は、冷却流体を、図3Bの冷却モジュール230から冷却モジュール230に案内するように構成される。
【0041】
図5Cは、図5A図5Bのバルブ340の「オン」および「オフ」状態の概略構成を示す。図5Cの表においてそれぞれ「1」、「2」、「3」、および「4」として表されるポート342、344、346、および348の位置を調整するために、制御ユニット585によって、4チャネル構造580(図5A)の中心における図示しないボールが回転されてもよい。したがって、図5Cに示すように、第1および第3のカラム(列)におけるポート1、2、3、4の構成はバルブ340の「オフ」状態を表し、第2および第4のカラムにおけるポート1、2、3、4の構成はバルブ340の「オン」状態を表す。
【0042】
図6A~6Bは、隣接する冷却回路を相互接続するために使用されるバルブ640の第2の実施形態の斜視図および概略図をそれぞれ示す。図6Aに示されるように、バルブ640は、2チャネル構造680と、コネクタ682を介して2チャネル構造680に結合された制御ユニット685とを有する二路式ソレノイドバルブである。図6Bに示すように、3つの二路式ソレノイドバルブ684、686、688は、四路式バルブ340が4つのポート342、344、346、および348を有するように、コネクタを介して四路式バルブ340(図3A~3Bも参照)を形成する。二路式ソレノイドバルブ684が閉じられて二路式ソレノイドバルブ686、688が開いているときに、バルブ340はオフ状態になり、それによって、ポート342がポート346に接続され、ポート344がポート348に接続されるようになる。ソレノイドバルブ684が開いていてソレノイドバルブ686、688が閉じているときに、バルブ340はオンになり、それによって、ポート342がポート344に接続するようになる。
【0043】
図7は、ラック100(図1)のそれぞれのサーバ105nにおけるコントローラ106nの動作の模式図を示す。コントローラ106nは、各サーバ105nのマザーボードに組み込まれた特殊なマイクロコントローラであるベースボード管理コントローラ(BMC)(baseboard management controller)である。コントローラ106nには独自のファームウェアとランダムアクセスメモリ(RAM)がある。コントローラ106nはサーバ105nのシステム管理ソフトウェアとプラットフォームハードウェアとのインターフェースを管理し、図7に示されるようにサーバ105n内の多くの機能を実行する。コントローラ106nは、センサ(例えば、温度センサ、冷却ファン速度センサ、冷却ポンプ速度センサ等)からのデータを受領し、対応するシステムパラメータ(例えば、温度、冷却ファン速度、冷却ポンプ速度)が所定の範囲内で動作しているか否かを判定する。コントローラ106nは、システムパラメータが所定の範囲外であると判定すると、是正(改善)措置(remedial action)をとる。是正措置は、操作者に通知することを含むことができ、操作者は、次いで、コントローラ106nと遠隔通信して修正措置をとることができる。
【0044】
一例として、コントローラ106nは、受領した情報から、1つ以上のポンプ236、236(例えば、図3A~3Bの冷却モジュール230、230それぞれのポンプ236、236)の1分当たりの回転数(RPM)が所定の値の範囲外であると判定した場合、ポンプ236、236のうちの対応するものが故障したと判定する。その結果、ポンプ236、236のいずれか1つが故障したことを検出したことに応じて、コントローラ106nは、故障したポンプを有する冷却導管(例えば、図3A図3Bの冷却モジュール230の冷却導管234)を、隣接する冷却モジュールの冷却導管(例えば、図3A図3Bの冷却モジュール230の冷却導管234)に接続するバルブ340をオン状態にする。いくつかの実施形態では、コントローラ106nはまた、少なくとも、複数の冷却モジュール230内のポンプ236のうちの1つを除く全てが故障したことを検出することに応じて、警報または警告を操作者に送信するようにも構成される。
【0045】
別の実施例として、コントローラ106nは、対応するサーバ105n内の温度センサ108n(図1)から、冷却板232(図2A図2B)と熱的に接続された発熱部品235(図2A図2B)の温度情報を受領することができる。発熱部品235の温度が所定の範囲を超えていること、または、ポンプ236、2362のうちの1つが故障していることを検出することに応じて、コントローラ106nは、発熱部品235による電力負荷を調整することができる。
【0046】
図8は、サーバ105n(図1)内のコントローラ106nによって実行される流量制御方法800のフロー図を示す。流量制御方法800はステップ810で開始し、ここで、ポート342がポート346に接続され(図3Aに示される)、ポート344がポート348に接続される(図3Aに示される)ように、バルブ340をオフにする。流量制御方法800は判断ポイント820に移動し、ポンプ236図3Bに示す)が故障したかどうかを検出する。判断ポイント820でポンプ236が故障したと判定されなかった場合、ポンプ236が故障したかどうかを検出するために、流量制御方法800は判断ポイント830に移動する。判断ポイント830でポンプ236が故障したと判定されなかった場合、流量制御方法800はステップ810に戻り、バルブ340をオフにしたままにする。判断ポイント830でポンプ236が故障したと判定された場合、流量制御方法800はステップ850に移動し、バルブ340をオンにして、ポート342がポート346から切断され、ポート344がポート348から切断され、ポート342がポート344に接続されるようにする。
【0047】
ポンプ236が判断ポイント820で故障したと判定された場合、ポンプ236が故障したかどうかを検出するために、流量制御方法800は判断ポイント840に移動する。判断ポイント840でポンプ236が故障していないと判定された場合、流量制御方法800はステップ850に移動し、バルブ340をオンにして、ポート342がポート346から切断され、ポート344がポート348から切断され、ポート342がポート344に接続されるようにする。判断ポイント840でポンプ236が故障したと判定された場合、流量制御方法800はステップ860に移動し、操作者に警報を送信し、是正措置を講じる。いくつかの実施形態では、警報はまた、バルブ340をオンにした後にステップ850から送信されて、ポンプ236、236のうちの1つが故障したことを操作者に通知してもよい。
【0048】
図9は、冷却回路(例えば、図1の各サーバ105a、105b、…、105nの冷却回路120a、120b、…、120n)の流量制御方法のブロック図900を示す。ブロック910において、本方法は、複数の冷却モジュールを介してコンピュータシステムを冷却し、ここで、各冷却モジュールは、冷却モジュールの冷却板を通過する冷却導管に流体的に接続されたポンプを有する。
【0049】
ブロック920において、本方法は、複数の冷却モジュールのうちの1つまたは複数の冷却モジュールにおけるポンプの故障を検出する。いくつかの実施態様では、故障を検出することは、1つまたは複数のポンプの毎分回転数(RPM)に関する情報を受領し、その1つまたは複数のポンプのいずれかのRPMが所定の値の範囲外であるかどうかを判定することに基づくことができる。
【0050】
ブロック930では、故障の検出に応じて、バルブがオンにされて、故障した各ポンプに流体的に接続された冷却導管と、隣接する冷却モジュールの冷却導管との間に、冷却剤(冷却液)(coolant)を流す。いくつかの実施態様では、故障の検出に応じて、冷却回路に熱的に結合された発熱部品による電力負荷が調整される。いくつかの実施態様では、少なくとも、複数の冷却モジュール内のポンプのうちの1つを除く全てが故障したことを検出したことに応じて、操作者に警報を送信することができる。
【0051】
有利には、本明細書に記載される冷却機構は、動作中にポンプの冗長性を提供し、その結果、冷却流体を不必要に加熱することなく、コンピュータ装置のすべての部分の発熱部品からの熱を効果的に除去し続けることができる。冷却モジュール内の冷却流体を駆動するように構成された1つまたは複数のポンプの故障を検出すると、隣接する冷却モジュールを相互接続するバルブを開くことによって、冷却流体の流れが自動的に調整される。冷却モジュールが発熱部品から熱を継続的に除去する能力に影響を及ぼす可能性のある重大なポンプ故障が発生した場合には、操作者に警報も送信される。
【0052】
開示された実施形態は1つまたは複数の実施態様に関して図示され、説明されてきたが、他の当業者には、本明細書および添付の図面を読み、理解すると、同等の変更および修正が想起されるか、または知られるであろう。さらに、本発明の特定の特徴はいくつかの実施態様のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定のアプリケーションに対して所望され、有利であり得るように、他の実施態様の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0053】
本発明の様々な実施形態が上述されたが、それらは限定ではなく、単なる実施例として提示されたことが理解されるべきである。開示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従って、開示された実施形態に対する多数の変更を行うことができる。したがって、本開示の幅および範囲は、上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従って定義されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9