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特許7317931選定装置、選定方法および選定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】選定装置、選定方法および選定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021206383
(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公開番号】P2023091578
(43)【公開日】2023-06-30
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】島田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 知範
(72)【発明者】
【氏名】木村 大地
(72)【発明者】
【氏名】小山 和輝
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220105(JP,A)
【文献】特開2020-166421(JP,A)
【文献】特開2002-091561(JP,A)
【文献】国際公開第2020/217434(WO,A1)
【文献】特許第6865901(JP,B1)
【文献】特開2018-109876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0283723(US,A1)
【文献】特開2021-092925(JP,A)
【文献】特開2017-016335(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235252(WO,A1)
【文献】特許第6956913(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作履歴データをリアルタイムに表示する画面に表示された該操作履歴データの収集停止の指示に基づいて、リアルタイムでデータの取得と取得停止とを切り替えることで、機械学習モデルの学習対象とする運転員の操作を含む該操作履歴データを取得する取得部と、
前記操作履歴データに、前記操作履歴データを表示する画面の表示に基づいて入力された指定に応じ複数種類の所定のフラグとして、前記機械学習モデルの学習対象か否かを示す対象のフラグまたは対象外のフラグと、機械学習の教師データにおける重みと、および所定のコメントとを付与する付与部と、
前記対象のフラグまたは前記対象外のフラグと、前記重みと、前記所定のコメントとが付与された前記操作履歴データごとに、前記対象のフラグまたは前記対象外のフラグと、前記重みとに基づいて前記機械学習の教師データとして選定する選定部と、
を有することを特徴とする選定装置。
【請求項2】
選定された前記教師データを用いて、機械学習のモデルを学習する学習部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の選定装置。
【請求項3】
選定装置が実行する選定方法であって、
操作履歴データをリアルタイムに表示する画面に表示された該操作履歴データの収集停止の指示に基づいて、リアルタイムでデータの取得と取得停止とを切り替えることで、機械学習モデルの学習対象とする運転員の操作を含む該操作履歴データを取得する取得工程と、
前記操作履歴データに、前記操作履歴データを表示する画面の表示に基づいて入力された指定に応じ複数種類の所定のフラグとして、前記機械学習モデルの学習対象か否かを示す対象のフラグまたは対象外のフラグと、機械学習の教師データにおける重みと、および所定のコメントとを付与する付与工程と、
前記対象のフラグまたは前記対象外のフラグと、前記重みと、前記所定のコメントとが付与された前記操作履歴データごとに、前記対象のフラグまたは前記対象外のフラグと、前記重みとに基づいて前記機械学習の教師データとして選定する選定工程と、
を含むことを特徴とする選定方法。
【請求項4】
操作履歴データをリアルタイムに表示する画面に表示された該操作履歴データの収集停止の指示に基づいて、リアルタイムでデータの取得と取得停止とを切り替えることで、機械学習モデルの学習対象とする運転員の操作を含む該操作履歴データを取得する取得ステップと、
前記操作履歴データに、前記操作履歴データを表示する画面の表示に基づいて入力された指定に応じ複数種類の所定のフラグとして、前記機械学習モデルの学習対象か否かを示す対象のフラグまたは対象外のフラグと、機械学習の教師データにおける重みと、および所定のコメントとを付与する付与ステップと、
前記対象のフラグまたは前記対象外のフラグと、前記重みと、前記所定のコメントとが付与された前記操作履歴データごとに、前記対象のフラグまたは前記対象外のフラグと、前記重みとに基づいて前記機械学習の教師データとして選定する選定ステップと、
をコンピュータに実行させるための選定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選定装置、選定方法および選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントの運転員の操作を機械学習により再現してプラントの運転支援を行う技術が知られている。また、プラントの運転には、通常モードの他に、突発的な雨の際や保守の際等の非通常モードが存在する。そのため、通常モードの運転支援を行う場合には、非通常モードでの操作のデータを取り除く必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6649112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により再現することは困難である。例えば、機械学習モデルの開発者は、通常モードでの操作か非通常モードでの操作かを判断することができず、非通常モードでの操作を取り除くことが困難である。また、実際の運転での操作の中に混在する、システムに学んでほしい正しい操作と学んでほしくない誤った操作とを区別せずに学習すると、精度の低下が懸念される。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により再現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る選定装置は、操作履歴データを取得する取得部と、前記操作履歴データに、入力された指定に応じて所定のフラグを付与する付与部と、前記所定のフラグが付与された前記操作履歴データを、機械学習の教師データとして選定する選定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により再現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、選定装置の概略構成を例示する模式図である。
図2図2は、操作履歴データのデータ構成を例示する図である。
図3図3は、付与部の処理を説明するための図である。
図4図4は、付与部の処理を説明するための図である。
図5図5は、選定処理手順を例示するフローチャートである。
図6図6は、選定処理手順を例示するフローチャートである。
図7図7は、選定プログラムを実行するコンピュータを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0010】
[選定装置の構成]
図1は、選定装置の概略構成を例示する模式図である。図1に例示するように、本実施形態の選定装置10は、パソコン等の汎用コンピュータで実現され、入力部11、出力部12、通信制御部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0011】
入力部11は、キーボードやマウス等の入力デバイスを用いて実現され、操作者による入力操作に対応して、制御部15に対して処理開始などの各種指示情報を入力する。出力部12は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンター等の印刷装置等によって実現される。
【0012】
通信制御部13は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、ネットワークを介した外部の装置と制御部15との通信を制御する。例えば、通信制御部13は、後述する選定処理の処理対象の操作履歴データを出力する操作端末や、操作履歴データを管理する管理装置等と制御部15との通信を制御する。
【0013】
記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部14には、選定装置10を動作させる処理プログラムや、処理プログラムの実行中に使用されるデータなどが予め記憶され、あるいは処理の都度一時的に記憶される。
【0014】
本実施形態において、記憶部14は、操作履歴データ14aを記憶する。また、記憶部14には、後述する選定処理で生成されるモデルやモデルのパラメータ等が記憶される。なお、記憶部14は、通信制御部13を介して制御部15と通信する構成でもよい。
【0015】
図2は、操作履歴データのデータ構成を例示する図である、図2に例示するように、操作履歴データ14aは、運転員の操作の時刻と操作履歴を含む。操作履歴には、後述する学習部15dが学習するモデルの説明変数および目的変数の値が含まれる。また操作履歴データ14aは、後述する選定処理で付与されるフラグと重みとを含む。重みとは、後述する学習部15dが操作履歴データを教師データとして用いてモデルを学習する場合の教師データにおける重みである。また、操作履歴データ14aは、後述するように、運転員のコメントを含んでもよい。
【0016】
なお、図2に示す例では、フラグとして学習の「対象外フラグ」が付与されているが、これに限定されない。例えば、後述するように、フラグは学習の「対象フラグ」であってもよいし、「対象外フラグ」、「対象フラグ」、またはその他のフラグを含む複数のフラグが付与されてもよい。
【0017】
図1の説明に戻る。制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。これにより、制御部15は、図1に例示するように、取得部15a、付与部15b、選定部15cおよび学習部15dとして機能する。なお、これらの機能部は、それぞれあるいは一部が、異なるハードウェアに実装されてもよい。例えば、学習部15dは、他の機能部とは別の装置に実装されてもよい。また、制御部15は、その他の機能部を備えてもよい。
【0018】
取得部15aは、操作履歴データを取得する。例えば、取得部15aは、後述する選定処理の対象とする、運転員による操作端末での操作履歴を示す操作履歴データを、入力部11を介して、あるいは、操作端末から、または操作端末での操作履歴を管理する管理装置等から、通信制御部13を介して取得する。取得部15aは、操作履歴データを予め取得して記憶部14に記憶させる。なお、取得部15aは、取得した操作履歴データを記憶部14に記憶させずに、リアルタイムに以下に説明する付与部15bに転送してもよい。
【0019】
付与部15bは、取得された操作履歴データに、入力された指定に応じて所定のフラグを付与する。具体的には、付与部15bは、所定のフラグの付与を指示する入力を受け付けて、該所定のフラグを付与する。
【0020】
ここで、図3および図4は、付与部の処理を説明するための図である。例えば、付与部15bは、図3に例示するように、操作履歴データを運転員に提示して、フラグの付与を指示する入力を受け付ける。そして、付与部15bは、図2に例示したように、操作履歴データ14aのうち、指定された箇所に対応するデータにフラグを付与する。
【0021】
図3には、下段(b)に操作履歴の原材料、圧力、温度等の各説明変数の値が時系列に表示されている。また、上段(a)に、操作履歴の目的変数の値が時系列に表示されている。
【0022】
また、付与部15bは、図3の上段(a)に縦線の網掛けで示すように、操作履歴データのうち、学習の対象フラグの付与箇所として、学習の対象とする箇所の運転員による指定を受け付ける。例えば、運転員は、うまくいった操作や機械学習のモデルに積極的に学んでほしい操作を指定する。
【0023】
また、付与部15bは、図3の上段(a)に横線の網掛けで示すように、操作履歴データのうち学習の対象外フラグの付与箇所として、学習の対象から除外する対象外の箇所の運転員による指定を受け付ける。例えば、運転員は、失敗した操作を認識した場合に、その時点でその箇所を明示的に対象外の操作として指定する。
【0024】
また、図3の上段(a)に示すように、運転員は、フラグの付与箇所として指定した箇所について、コメントを付加することも可能である。この場合には、例えば、図2に示した操作履歴データ14aにコメントの項目が付加される。
【0025】
例えば、学習の対象フラグを付与する箇所に、操作がうまくいった要因をコメントとして残すことができる。図3に示す例では、「原材料の品質変化に応じて細かく操作することにより品質の安定化に成功」等のコメントが付加されている。
【0026】
あるいは、学習の対象外フラグを付与する箇所に、対象外とする理由をコメントとして残すことができる。図3に示す例では、「雷雨による温度低下を予想したが、雷雨が来なかったため、学習対象外」等のコメントが付加されている。これにより、学習データの対象/対象外を複数人で入力する際に、他のオペレータとの目線を併せることが可能となり、また、後の精度向上を行う際に参考となる。
【0027】
また、図3には、「収集停止」ボタンが表示されている。運転員がこのボタンをクリックすることにより、例えば保守点検時等、非通常の状態で操作履歴データを学習の教師データとして収集したくない場合に、UI上でデータの収集を停止することができる。このように、運転員は、学習除外期間を指定することが可能となる。
【0028】
付与部15bは、操作履歴データに、入力された指定に応じて教師データにおける重みをさらに付与することが可能である。具体的には、付与部15bは、重みを指定する入力をさらに受け付けて、図2に例示したように、操作履歴データに重みを付与する。例えば、運転員は、「対象フラグ」の付与を指定した複数の箇所の中でも、特に重要と考える箇所ほど大きい重み付けを指定する。これにより、現場の操作員の判断をより精密に反映することができるので、より高精度に通常モードでの操作を再現するモデルの学習が可能となる。
【0029】
なお、図3に示した例では、取得部15aが取得した操作履歴データを付与部15bがリアルタイムに提示する場合が例示されている。この場合には、操作履歴データにフラグや重みを付与した後に記憶部14の操作履歴データ14aに記憶する。
【0030】
一方、付与部15bは、記憶部14に予め記憶されている操作履歴データ14aを提示して、フラグを付与して操作履歴データ14aを更新することも可能である。図4には、操作履歴データ14aが更新される場合が例示されている。この場合にも、図3に示した例と同様に、運転員がフラグの付与箇所を指定することが可能である。図4に示した例においても、斜線の網掛けで例示するように、学習除外期間を指定することも可能である。
【0031】
図1の説明に戻る。選定部15cが、所定のフラグが付与された操作履歴データを、機械学習の教師データとして選定する。例えば、選定部15cは、操作履歴データ14aから、学習の「対象フラグ」が付与された操作履歴データを抽出して教師データとする。
【0032】
なお、図2に示した例では、「対象外フラグ」が付与されているが、例えば、「重み」を「対象フラグ」と解することも可能である。その場合には、選定部15cは、所定の閾値を超えるもののみを教師データとして選定することも可能である。また、選定部15cは、重みの値を直接、機械学習のパラメータとして用いてもよい。
【0033】
これにより、例えば、学習対象としたい操作履歴データに学習対象を示すフラグを付与して、現場の操作員が教師データとして用いる操作履歴データを指定することが可能となる。そのため、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により再現することが可能となる。したがって、プラントの通常モードの運転において、精度高く操作支援を行うことが可能となる。
【0034】
なお、選定部15cは、操作履歴データ14aから、現場の操作員が非定常な操作と判断した学習の「対象外フラグ」が付与された操作履歴データを除外することにより、教師データを選定してもよい。このように、学習対象外の操作履歴データを明示して機械学習の教師データから除外することにより、精度高く通常モードでの操作を再現することが可能となる。
【0035】
また、付与部15bは、操作履歴データに、入力された指定に応じて複数種類の所定のフラグを付与することも可能である。この場合には、選定部15cは、所定のフラグごとに操作履歴データを選定する。
【0036】
例えば、操作履歴データ14aに、学習の「対象フラグ」の他に、学習の「対象外フラグ」や、その他のフラグが付与された場合には、選定部15cは、操作履歴データ14aをフラグごとに集約する。その場合には、選定部15cは、「対象フラグ」が付与された操作履歴データを教師データとしてもよいし、「対象外フラグ」が付与された操作履歴データを除外して教師データとしてもよい。
【0037】
学習部15dは、選定された教師データを用いて、機械学習のモデルを学習する。これにより、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により精度高く再現することが可能となる。
【0038】
[選定処理手順]
次に、図5および図6を参照して、本実施形態に係る選定装置10による選定処理の一例について説明する。図5および図6は、選定処理手順を例示するフローチャートである。まず、図5のフローチャートは、例えば、選定処理の開始を指示する入力があったタイミングで開始される。
【0039】
まず、取得部15aが、操作履歴データを取得する(ステップS1)。例えば、取得部15aは、選定処理の対象とする、運転員による操作端末での操作履歴を示す操作履歴データを、入力部11を介して、あるいは、操作端末から、または操作端末での操作履歴を管理する管理装置等から通信制御部13を介して取得する。
【0040】
次に、付与部15bは、操作履歴データを運転員に提示して、フラグの付与を指定する入力を受け付けた場合に(ステップS2、Yes)、操作履歴データ14aのうち、指定された箇所に対応するデータにフラグを付与する(ステップS3)。
【0041】
また、付与部15bは、フラグの付与を指示する入力がない場合には(ステップS2、No)、ステップS4に処理を進める。
【0042】
同様に、付与部15bは、運転員から、教師データにおける重みを指定する入力を受け付けた場合に(ステップS4、Yes)、操作履歴データ14aに重みを付与する(ステップS5)。これにより一連の処理が終了する。
【0043】
また、付与部15bは、教師データにおける重みを指定する入力がない場合には(ステップS4、No)、一連の処理を終了する。
【0044】
次に、図6のフローチャートは、例えば、処理の開始を指示する入力があったタイミングで開始される。なお、図5に示したステップS5の処理に引き続き、ステップS11の処理が開始されてもよい。
【0045】
まず、選定部15cが、所定のフラグが付与された操作履歴データ14aを、機械学習の教師データとして選定する(ステップS11)。例えば、選定部15cは、操作履歴データ14aから、学習の「対象フラグ」が付与された操作履歴データを抽出して教師データとする。あるいは、選定部15cは、操作履歴データ14aから、「対象外フラグ」が付与された操作履歴データを除外することにより、教師データを選定してもよい。
【0046】
次に、学習部15dが、選定された教師データを用いて、機械学習のモデルを学習する(ステップS12)ことにより、学習により生成したモデルを出力する(ステップS13)。例えば、学習部15dは、プラントの運転員の操作を再現する現場にモデルを適用する。これにより、一連の選定処理が終了する。
【0047】
[効果]
以上、説明したように、上記実施形態の選定装置10では、取得部15aが、操作履歴データを取得する。付与部15bが、操作履歴データに、入力された指定に応じて所定のフラグを付与する。選定部15cが、所定のフラグが付与された操作履歴データを、機械学習の教師データとして選定する。
【0048】
これにより、例えば、学習対象としたい操作履歴データに学習対象を示すフラグを付与して、現場の操作員が教師データとして用いる操作履歴データを指定することが可能となる。そのため、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により再現することが可能となる。したがって、プラントの通常モードの運転において、精度高く操作支援を行うことが可能となる。
【0049】
また、付与部15bは、操作履歴データに、入力された指定に応じて教師データにおける重みをさらに付与する。これにより、現場の操作員の判断をより精密に反映することができるので、より高精度に通常モードでの操作を再現することが可能となる。
【0050】
また、付与部15bは、操作履歴データに、入力された指定に応じて複数の所定のフラグを付与し、選定部15cは、所定のフラグごとに操作履歴データを選定する。これにより、例えば、現場の操作員が非通常の操作と判断した操作履歴データに、学習対象外を示すフラグを付与することが可能となる。したがって、学習対象外の操作履歴データを明示して機械学習の教師データから除外して、精度高く通常モードでの操作を再現することが可能となる。
【0051】
また、学習部15dが、選定された教師データを用いて、機械学習のモデルを学習する。これにより、プラントの運転員の通常モードでの操作を機械学習により再現することが可能となる。
【0052】
[システム構成等]
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPUおよび当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0053】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0054】
[プログラム]
上記実施形態において説明した選定装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態に係る選定装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0055】
図7は、選定プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0056】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1041に接続される。ディスクドライブ1041には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1051およびキーボード1052が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1061が接続される。
【0057】
ここで、ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。上記実施形態で説明した各情報は、例えばハードディスクドライブ1031やメモリ1010に記憶される。
【0058】
また、選定プログラムは、例えば、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュール1093として、ハードディスクドライブ1031に記憶される。具体的には、上記実施形態で説明した選定装置10が実行する各処理が記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
【0059】
また、選定プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータ1094として、例えば、ハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0060】
なお、選定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1041等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、選定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 選定装置
11 入力部
12 出力部
13 通信制御部
14 記憶部
14a 操作履歴データ
15 制御部
15a 取得部
15b 付与部
15c 選定部
15d 学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7