(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンの高温ガス経路構成部品を形成する方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20230724BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20230724BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230724BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230724BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D25/00 X
B33Y10/00
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2021507495
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018049274
(87)【国際公開番号】W WO2020046396
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ダイソン、トーマス、アール
(72)【発明者】
【氏名】ブロック、ジョセフ、アイ.
(72)【発明者】
【氏名】リーリー、ブレンドン、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】キブラー、リンドセー、マリー
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080973(JP,A)
【文献】米国特許第8475121(US,B1)
【文献】特開2006-183529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F02C 7/18
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(10)の高温ガス経路構成部品(36)を形成する方法であって、当該方法が、
1つ以上の
支持構造物(
58,60)が前記高温ガス経路構成部品(36)の少なくとも1つの
冷却孔(72)と整列するように、形成すべき前記高温ガス経路構成部品(36)の配向を選択することと、
前記高温ガス経路構成部品(36)及び前記1つ以上の
支持構造物(
58,60)を、前記少なくとも1つの
冷却孔(72)上に配置された前記1つ以上の
支持構造物(
58,60)と共に形成することと、
1つ以上の台座(58A、60A、84、86)が残るように前記1つ以上の支持構造物(58,60)の少なくとも一部分を除去することと、
前記高温ガス経路構成部品(36)及び前記1つ以上の
台座(58A、60A、84、86)をコーティングすることと、
前記高温ガス経路構成部品(36)の少なくとも1つの表面を、前記1つ以上の
台座(58A、60A、84、86)の少なくとも1つの表面と融合することと
を含んでおり、
前記少なくとも1つの
冷却孔(72)が、前記高温ガス経路構成部品(36)内に少なくとも部分的に配置されているとともに、前記1つ以上の
台座(58A、60A、84、86)内にも少なくとも部分的に配置されており、
前記1つ以上の
支持構造物が、形成中に、前記高温ガス経路構成部品を支持するために使用され
る、方法。
【請求項2】
前記高温ガス経路構成部品を形成することが、付加製造プロセスを介して前記高温ガス経路構成部品を形成することを含み、当該方法が、
前記1つ以上の
支持構造物が、形成中に、前記高温ガス経路構成部品に対して支持
支持構造物として作用するように、付加製造構築方向に対して前記1つ以上の
支持構造物の配向を選択することを更に含み、
前記高温ガス経路構成部品及び前記1つ以上の
支持構造物を形成することが、前記高温ガス経路構成部品を形成する前に、前記1つ以上の
支持構造物を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの
冷却孔が、少なくとも1つのフィルム冷却孔
を備え
る、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの
冷却孔が、前記高温ガス経路構成部品の外部に露出されるように、コーティング前に、前記少なくとも1つの
冷却孔を露出させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記高温ガス経路構成部品を形成することが、粉末を利用する付加製造プロセスを介して前記高温ガス経路構成部品を形成することを含み、当該方法が、前記高温ガス経路構成部品をコーティングする前に、前記少なくとも1つの
冷却孔を介して前記高温ガス経路構成部品から過剰の粉末を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記高温ガス経路構成部品をコーティングする前に、前記高温ガス経路構成部品を熱処理することと、
前記高温ガス経路構成部品の少なくとも1つの表面を融合した後に、前記高温ガス経路構成部品を熱処理することとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
当該方法が、
前記少なくとも1つの
冷却孔が、前記高温ガス経路構成部品の前記外部に露出されるように、前記少なくとも1つの
冷却孔を露出させることと、
前記少なくとも1つの
冷却孔を露出させた後に、前記少なくとも1つの
冷却孔を介して前記高温ガス経路構成部品から粉末を除去することと、
前記高温ガス経路構成部品のバリ取り、前記高温ガス経路構成部品の研磨、前記高温ガス経路構成部品の平滑化、及び前記高温ガス経路構成部品の熱処理のうちの少なくとも1つを行うことと
を更に含み
、前記少なくとも1つの
冷却孔が、少なくとも1つのフィルム冷却孔
を備える、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本実施形態は、タービン翼に関し、より具体的には、タービン翼及び他の構成部品を製造する方法に関する。
【0002】
ガスタービンエンジンの高温ガス経路構成部品のような高温用途向けに製造された構成部品は、多くの場合、使用中に、構成部品が溶融する、動作温度を超える、及び/又は過度の熱勾配を経験することがないように、様々な冷却及び熱管理技術を使用する。これらの高温ガス経路構成部品としては、タービン翼、タービンノズル又はタービン羽根、タービンシュラウド、ストラット、流路内側バンド、流路外側バンド、及び他の構成部品を挙げることができる。このような構成部品を冷却するために採用されることが多い、いくつかの冷却技術としては、フィルム冷却、タービュレーション、衝突冷却、並びに高流路温度から構成部品を絶縁するための遮熱コーティング(thermal barrier coating、TBC)などのコーティングの使用が挙げられる。
【0003】
付加製造は、高温用途で使用される構成部品を形成するために使用されてもよい。支持構造物は、付加製造中に使用されることが多く、構成部品が構築されている間に構造的に支持されることを保証する。冷却特徴部付近の高温構成部品上への支持体の配設は、冷却孔又は特徴部が支持構造物によって損傷を受けるか、又は支持構造物の除去中に損傷を受けるため、追加の機械加工工程を必要とする。フィルム冷却孔はまた、「洗浄」動作中に、コーティングの充填及び/又は公称形状からの変化による性能損失を被る場合もある。
【発明の概要】
【0004】
本実施形態の別の態様によれば、製造物品は、物品本体部分(36)と、物品本体部分(36)と一体的に形成され、(52)の外周に配置され、物品本体部分(36)に構造的に結合された少なくとも1つの台座(58A、60A、84、86)と、物品本体部分(36)内に少なくとも部分的に配置され、台座(58A、60A、84、86)内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つの内部特徴部(72)と、を含む。内部特徴部(72)の少なくとも一部分は、中空である。
【0005】
本実施形態の別の態様によれば、翼は、前縁(44)から後縁(46)まで延在し、圧力側(50)から吸引側(52)まで延在し、根元部分(48)から先端部分(42)まで延在する翼本体(36)と、翼本体(36)内に配置された少なくとも1つの内部空洞(54)と、翼本体(36)と一体的に形成され、翼本体(36)の外周(52)から突出している少なくとも1つの台座(58A、60A、84、86)であって、少なくとも1つの台座(58A、60A、84、86)が、翼本体(36)に構造的に結合されている、少なくとも1つの台座(58A、60A、84、86)と、翼本体(36)内に少なくとも部分的に配置され、台座(58A、60A、84、86)内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つのフィルム冷却孔(72)と、を含む。フィルム冷却孔(72)は、少なくとも1つの内部空洞(54)と流体連通している。
【0006】
本実施形態の別の態様によれば、構成部品を形成する方法は、1つ以上の構造物(58A、60A、84、86)が構成部品(36)の少なくとも1つの特徴部(72)と整列するように形成されている構成部品(36)の構成部品(36)の配向を選択すること(1002)と、構成部品(72)及び構造物(58A、60A、84、86)を、特徴部(72)上に配置された構造物(58A、60A、84、86)と共に形成すること(1004)と、構成部品(72)及び構造物(58A、60A、84、86)をコーティングすること(1010)と、構成部品(72)の少なくとも1つの表面を、構造物(58A、60A、84、86)の少なくとも1つの表面と融合すること(1012)と、を含む。少なくとも1つの特徴部(72)は、構成部品(36)内に少なくとも部分的に配置され、構造物(58A、60A、84、86)内に少なくとも部分的に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本実施形態のこれらの及び他の特徴、態様、並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より良好に理解されるであろう。
【0008】
【
図1】産業用途におけるガスタービンエンジンの概略図である。
【0009】
【0010】
【0011】
【
図4】付加製造を介して印刷されている翼の径方向内向きの断面図である。
【0012】
【0013】
【
図6】付加製造を介した印刷に続いて、翼の径方向内向きの断面図である。
【0014】
【
図7】コーティングプロセスに続いて、翼の径方向内向きの断面図である。
【0015】
【
図8】融合プロセスに続いて、翼の径方向内向きの断面図である。
【0016】
【0017】
【
図10】本開示の態様による、翼又は構成部品を形成する方法を示す。
【0018】
別途記載のない限り、本明細書に提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を示すことを意味する。これらの特徴は、本開示の1つ以上の実施形態を含む多種多様なシステムに適用可能であると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、図面は、本明細書に開示される実施形態の実施に必要とされる、当業者に既知の全ての従来の特徴を含むことを意図するものではない。
【0020】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、以下の意味を有するように定義され複数の用語を参照する。
【0021】
単数形の「a」、「an」、及び「the」には、文脈上明確に指示されない限り、複数形の参照も含む。
【0022】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」とは、その後に記載される事象又は状況が発生しても、発生しなくてもよいことを意味し、この説明は、事象が発生する事例及び発生しない事例を含むことを意味する。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲を通して本明細書で使用するとき、近似言語は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく、許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」及び「実質的に」などの用語(1つ又は複数)によって修飾された値は、指定される正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの事例では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲制限が組み合わされ、及び/又は交換されてもよく、そのような範囲は、文脈又は言語が別様に指示されない限り、特定され、その範囲内に含まれる全ての部分範囲を含む。
【0024】
本明細書で使用するとき、「軸方向」という用語は、ガスタービンエンジンの中心軸若しくはシャフト、又は、推進エンジン及び/若しくは内燃機関の中心軸と整列した方向を指す。ガスタービンエンジンの軸方向前方端部は、空気がガスタービンエンジンに入るファン及び/又は圧縮機入口に近接する端部である。ガスタービンエンジンの軸方向後方端部は、低圧(low pressure、LP)タービンを介して低圧燃焼ガスがエンジンから出るエンジン排気に近接するガスタービンの端部である。非タービンエンジンでは、軸方向後方は、排気に向かっており、軸方向前方は、入口に向かっている。
【0025】
本明細書で使用するとき、「周方向」という用語は、燃焼器の環状体の円周の周りの(及び接線方向の)方向若しくは方向(複数)、又は、例えば、タービンブレードの掃引領域によって画定される円を指す。本明細書で使用するとき、「周方向」及び「接線方向」という用語は、同義である。
【0026】
本明細書で使用するとき、「径方向」という用語は、ガスタービンの中心軸から離れて外向きに移動する方向、又は代替的に推進エンジンの中心軸を指す。「径方向内向きの」方向は、半径の減少に向かって移動する中心軸に向かって整列される。「径方向外向きの」方向は、半径の増加に向かって移動する中心軸から離れて整列される。
【0027】
本明細書で使用するとき、「モダリティ」という用語は、結合剤噴射、指向エネルギー堆積、材料押出、選択的レーザ溶融(selective laser melting、SLM)、材料噴射、粉末床融合、シート積層、溶接、ろう付け、バット光重合、ステレオリソグラフィ(stereolithography、SLA)、直接金属レーザ溶融(direct metal laser melting、DMLM)、熱溶解積層法(fused deposition modeling、FDM)、直接金属レーザ焼結(direct metal laser sintering、DMLS)、及び電子ビーム溶融(electron beam melting、EBM)を含むがこれらに限定されない、任意の付加製造構築方法及び処理を指す。粉末を利用しない付加モダリティもある。付加製造は、生成構築プロセスとも称される。
【0028】
本明細書で使用するとき、「粉末」という用語は、金属、セラミック、及びポリマー粉末を含むがこれらに限定されない、様々な材料であってもよい。サイズ、材料、密度、及び他の特性などの粉末特性は、採用されるモダリティに依存し得る。
【0029】
本明細書で使用するとき、「脱粉末」及び「粉末除去」という用語は、構築段階の後又はその間に部品から過剰な粉末を除去するプロセスを指す。
【0030】
ここで、図面を参照すると、同様の数字は、同様の構成部品を指し、
図1は、本実施形態の様々な態様を組み込んでもよいガスタービン10の一例を示す。ガスタービン10は、図示のように、一般に、ガスタービン10の上流端に配置された入口14を有する圧縮機部12と、圧縮機部12を少なくとも部分的に包囲するケーシング16と、を含む。ガスタービン10は、圧縮機部12の下流側に少なくとも1つの燃焼器20を有する燃焼部18と、燃焼部18の下流側のタービン部22と、を更に含む。図示のように、燃焼部18は、複数の燃焼器20を含んでもよい。シャフト24は、ガスタービン10を通って軸方向に延在している。
図1は、径方向94、軸方向92、及び周方向90を示す。
【0031】
動作中、空気26は、圧縮機部12の入口14に引き込まれ、圧縮空気28を燃焼部18に提供するために漸進的に圧縮される。圧縮空気28は、燃焼部18に流入し、燃焼器20内の燃料と混合されて可燃混合気を形成する。可燃混合気は、燃焼器20で燃焼し、それによって、燃焼器20からタービンノズル34の第一段32を横切ってタービン部22に流入する高温ガス30を生成する。タービン部は、一般に、タービンノズル34の隣接する列によって軸方向に分離されている1列以上のロータブレード36を含む。ロータブレード36は、ロータディスクを介してロータシャフト24に結合されている。ロータシャフト24は、エンジン中心線CLを中心に回転する。タービンケーシング38は、ロータブレード36及びタービンノズル34を少なくとも部分的に収納している。ロータブレード36の各列又は一部は、タービンケーシング38内に配置されたシュラウドブロックアセンブリ40によって同心円状に包囲されてもよい。高温ガス30は、タービン部22を通って流れるにつれて膨張する。熱エネルギー及び/又は運動エネルギーは、高温ガス30からロータブレード36の各段階に伝達され、それによって、シャフト24を回転させ、機械的な仕事を生み出す。シャフト24は、電力を生成するように、発電機(図示せず)などの負荷に結合されていてもよい。加えて、又は代替的に、シャフト24は、ガスタービンの圧縮機部12を駆動するために使用されてもよい。
【0032】
図2は、軸方向前方前縁44から軸方向後方後縁46まで延在し、径方向内向きの根元48から径方向外側先端42まで延在する、例示的なタービンロータブレード又は翼36の拡大断面側面図を提供する。翼36は、高温ガス経路の径方向内側境界線を画定するプラットフォーム50を含む。
【0033】
ニッケル基超合金及び他の金属超合金などの超合金材から成る翼は、インベストメント鋳造、付加製造、及びガスタービンエンジン10のタービン部22内の動作のために、所望の材料特性を生成する他の技術を使用して形成されてもよい。しかしながら、超合金材であっても、タービン翼は、多くの場合、依然として冷却される必要がある。内部空冷式通路は、多くの場合、翼に十分な冷却を行うために翼と共に形成される。例えば、翼36の内部冷却チャネル及び流れ回路は、インベストメント鋳造、付加製造を使用して、及び/又は放電加工(electrical discharge machining、EDM)などの機械加工プロセスを介して形成されてもよい。
【0034】
図3は、
図2に示す線A-Aに沿って取られた翼36の断面の上面(径方向内向きの)図を示す。翼は、前縁44から後縁46まで、かつ、圧力側50から吸引側52まで延在し、翼本体部分37を通って径方向に延在する少なくとも1つの中心空洞64を含んでもよい。前縁供給空洞62は、翼36を通って径方向に延在し、翼根元部分48(図示せず)から冷却空気を受容する。冷却空気は、前縁供給空洞62から、前縁シャワーヘッド68内へと少なくとも1つのクロスオーバー孔66を通って移動し、複数の冷却通路(図示せず)を介して、前縁44において翼36の外部に冷却空気を分配する。翼36はまた、少なくとも1つの後縁供給空洞70を含む。翼はまた、翼36の吸引側52に沿って整列された複数の周長大径方向冷却通路54、並びに翼36の吸引側52に沿って整列された複数の周長小径方向冷却通路56を含んでもよい。翼はまた、異なる形状の断面を備えた冷却通路を含み、軸方向及び周方向を含む異なる配向で整列された冷却通路を含む、他の数の冷却通路及び配列を含んでもよい。翼36はまた、
図3に示されるもの以外の他の翼冷却、熱管理、及び/又は構造アーキテクチャを含んでもよい。フィルム冷却孔(図示せず)は、多くの場合、翼の外周の周りに配設される。例えば、フィルム冷却孔(図示せず)は、多くの場合、前縁、後縁、吸引側、及び圧力側に沿って配設される。冷却空気は、1つ以上の内部翼通路54、56、62、64、66、68、70から、翼36の外部に、フィルム冷却孔(図示せず)を通って流れる。
【0035】
図4は、付加製造を介して印刷されている翼36の径方向内向きの断面図を示す。翼36は、前縁44から後縁46まで、かつ、圧力側50から吸引側52まで延在している。また、
図4には、翼吸引側52に沿って離間している複数の大きな冷却通路54、並びに翼圧力側50に沿って離間している複数のより小さな冷却通路56も含まれる。構築プロセス中、第1の支持構造物58及び第2の支持構造物60を使用して、翼36を支持することができる。第1及び第2の支持構造物58、60は、翼36の吸引側52に機械的に結合されている。本実施形態の他の配列では、支持構造物の他の構成及び数が使用されてもよい。例えば、第3、第4、第5、及び更には他の数の支持構造物が、第1の支持構造物58と第2の支持構造物60との間の、第1の支持構造物58の右側、及び/又は第2の支持構造物60の左側に存在してもよい。加えて、本実施形態の構築プロセスは、翼36を他の配向で構築することを含んでもよい。例えば、翼吸引側52に構造的に接続する代わりに、第1及び第2の支持構造物58、60は、圧力側50に、後縁46、前縁44、前縁44、又は後縁46に近い圧力側52の他の部分、並びに/又は前縁44及び/若しくは後縁46に近い圧力側の他の部分を接続してもよい。支持構造物58、60は、構築プロセス中に翼36の底部又は下位に配置されてもよい。別の言い方をすれば、支持構造物58、60は、最初に構築されている翼36の部分の下方に位置する。
【0036】
更に
図4を参照すると、構築方向57が
図4に示されており、構築プロセス中、例えば、
図4に示される実施形態では、支持構造物58、60が最初に形成され、次いで、支持構造物58、60に隣接する吸引側52上の翼36の一部分、次に、翼の本体、及び最終的に後縁部分46が形成されることを示している。翼36の異なる部分は、異なる翼の配向を使用する構築プロセスを用いて、第1、第2、第3、最後になど構築される。加えて、翼は、径方向内側又は外側部分及び翼が、第1又は最後に構築されるように(すなわち、翼根48から先端42へ、又は翼先端42から根元48へと構築される)ように回転されてもよい。支持構造物58、60と接触している翼吸引側52の一部分は、フィルム孔及び他の種類の冷却孔などの冷却特徴部を含んでもよい。
【0037】
引き続き
図4を参照すると、付加構築プロセスは、第1及び第2の支持構造物58、60、並びに使用されている(上で論じたような)他の支持構造物が浅い張り出しを回避するように、配設されるように画定されてもよい。付加モダリティ、構築材料、及び使用されている部品の幾何学的形状は、付加プロセス(タービンノズル、羽根、燃料ノズル、並びに他の部品及びガスタービン構成部品など)を介して翼36又は構築されている他の部品が変形及び/又は破砕する危険性がなく、達成可能な張り出し角度を画定し得る。例えば、いくつかの付加モダリティでは、(すなわち、水平面からの)60°以上の張り出し角度が達成可能である。他の付加モダリティでは、45°以上の張り出し角度が達成可能であり得る。他の付加モダリティでは、40°以上の張り出し角度が達成可能であり得る。他の付加モダリティでは、35°以上の張り出し角度が達成可能であり得る。他の付加モダリティでは、30°以上の張り出し角度が達成可能であり得る。他の付加モダリティでは、20°以上の張り出し角度が達成可能であり得る。部品の幾何学的形状、モダリティ、及び構築材料によって画定されるような、許容可能な張り出しを超える部品の一部分は、構築プロセス中に、1つ以上の支持構造物(例えば、支持構造物58、60)を必要とする可能性が高い。
図4の実施形態では、60°を超える角度で後縁46に近い部分は、支持構造物を必要としなくてもよく、一方で、前縁44及び吸引側54上の中間弦における、あまり急峻でない部分は、支持構造物を必要とし得る。
【0038】
更に
図4を参照すると、支持構造物58、60は、部分的に中空及び/又は中実であってもよい。例えば、支持構造物58、60は、翼36の外面上に任意の内部特徴部、冷却孔、及び/又は流れ調整構造物をカプセル化及び/又は封止するために、翼36に隣接する部分及び/又は翼36に当接する部分内で中実であってもよい。例えば、支持構造物58、60が構築プラットフォーム(図示せず)に接触し得る、及び/又はその上に載置され得る底部に近い他の部分では、支持構造物58、60は、必要とされる構築材料の量を低減するために、構築時間を短縮するために、及び/又は構築されている構成部品(すなわち、翼36)から支持構造物58、60を除去するプロセスを容易にするために、少なくとも部分的に中空であってもよい。同様に、必要な構造的堅牢性を提供するために、他の部分よりも厚い支持構造物58、60の一部分を構築することが必要であり得る。
【0039】
図5は、
図4の領域Bで強調された、翼36の一部分の拡大図である。
図5は、計量部分74及び拡散器部分76を含むフィルム冷却孔72を含む、構築されている間の翼36を示す。フィルム冷却孔72は、大きな冷却通路54から現れる。翼36内の動作中、冷却空気は、計量部分74を通って流れ、これは、フィルム冷却孔72を通る冷却空気の質量流量を調節するのに役立つ。次いで、冷却空気は、冷却空気がフィルム冷却孔72を出る前に、冷却空気を拡散させる役割を果たす拡散器部分76に流入する。次に、拡散器部分76を出た後、冷却空気は、翼36の外周又は表面にわたって広がり、それによって、高温ガス経路温度と翼36との間に断熱空気バッファが形成される。しかしながら、
図5は、第1の支持構造物58が、構築プロセスのこの段階中に依然として翼36に取り付けられており、冷却空気が、フィルム冷却孔72を通って流れることがない、翼36の構築プロセス工程を示す。
【0040】
図5では、フィルム冷却孔の幾何学形状は、第1の支持構造物58の部分的に内側にあり、翼36の部分的に内側にある。例えば、計量部74全体は、翼36内に位置するが、拡散器部76の第1の上流側部分は、翼36内に位置し、拡散器の第2の下流側部分(すなわち、拡散器の上流側部分の下流側)は、第1の支持構造物58内に位置する。動作中、冷却空気は、大きな冷却通路54をフィルム冷却孔72に流体接続する冷却孔入口88においてフィルム冷却孔72に入る。冷却孔出口78は、フィルム冷却孔72の下流端に配置されており、動作中、フィルム冷却孔72を翼36の外部に流体連結する。
【0041】
引き続き
図5を参照すると、フィルム冷却孔72の幾何学的形状は、付加製造を介して構築プロセス中に形成される。したがって、
図5に示される構築プロセスの段階におけるフィルム冷却孔72の幾何学的形状は、完全に、翼36及び第1の支持構造物58の内部にある。対照的に、従来のプロセスを介して製造された翼及び構成部品では、フィルム冷却孔72は、例えば、インベストメント鋳造を介して翼が形成された後に、翼36にドリル穿孔する必要があり得、この場合、ドリルは、翼の外部に入り、フィルム冷却孔72は、翼36の外部に開口されて流体接続される。
図5はまた、第1の支持構造物58と翼吸引側52との間の接合面に両方が配置された第1の基材部分80A及び第2の基材部分80Bを示す。本実施形態の態様によれば、第1の支持構造物58及び吸引側58で接合する翼36は、2つの接合構造物ではなく、一体構造物として形成されてもよい。したがって、
図5に示される第1の基材部分80A及び第2の基材部分80Bは、第1の支持構造物58と翼36との間の境界を画定する物理的な壁又は同等の構造物として存在しても、存在しなくてもよい。代わりに、翼36及び第1の支持構造物58は、構築プロセス中に、一体型のモノリシック構造物として形成及び/又は融合されてもよい。
図5の実施形態は、第1の支持構造物58及び翼部吸引側52に関して説明されている。ただし、この説明は、他の支持構造物、他の構成部品の種類、及び他の構成部品の構築位置にも等しく適用される。
【0042】
図6は、付加製造を介した形成に続いて、翼36の径方向内向きの断面図を示す。翼36は、前縁44から後縁46まで、かつ、圧力側50から吸引側52まで延在している。
図6は、第1及び第2の支持構造物(図示せず)が、所望のコーティング厚さよりわずかに高い高さまで除去された後の翼36を示す。第1及び第2の支持構造物(図示せず)の除去に続いて、第1の台座58A及び第2の台座60Aは、適所に留まる。第1及び第2の支持構造物(図示せず)は、任意の好適なプロセスを介して除去されてもよい。例えば、第1及び第2の支持構造物(図示せず)は、第1の高さから機械的に破断されるか、又は第1の高さで除去され、次いで、第2の所望の高さまで機械加工されてもよい。
図6の実施形態は、フィルム冷却孔72(図示せず)の幾何学的形状を示していない。しかしながら、フィルム冷却孔(複数可)72は、依然として、翼36内に部分的に配置され、第1の台座60A及び/又は第2の台座60B.内に部分的に配置されている。
図6の実施形態では、フィルム冷却孔(複数可)72は、依然として「見えない状態」(すなわち、完全に翼及び台座の内部)である。
【0043】
図7は、コーティングプロセスに続いて、翼36の径方向内向きの断面図を示す。翼36は、前縁44から後縁46まで、かつ、圧力側50から吸引側52まで延在している。
図7に示されるように、コーティング82は、翼36の外部全体の周りに配置されている。コーティングは、ほぼ一定の厚さで、翼36の周辺に塗布されてもよい。例えば、吸引側の第1のコーティング厚さCは、第1の台座58Aに隣接する第2の厚さD、並びに翼後縁46における第3のコーティング厚さEの両方にほぼ等しくてもよい。
図7はまた、後縁46に近接して翼圧力側50上に配置された第3の台座84、並びに翼前縁44付近の翼圧力側50上に配置された第4の台座86を示す。第3及び第4の台座84、86は、支持構造物が有益ではない(
図7の印刷中の翼36の配向の場合)翼の部分に位置しているので、台座として(すなわち、支持構造物としてではなく)翼上に直接印刷されてもよい。第3及び第4の台座84、86は、コーティングプロセス中、コーティングがフィルム冷却孔72に入らないことを確実にし、フィルム冷却孔72の内部の幾何学的形状を保護するために、その下にあるフィルム冷却孔72を見えなくする(すなわち、フィルム冷却孔72を被覆することで、フィルム冷却孔72が翼36の外部に露出しないようにする)という目的を果たす。台座58A、60A、84、86は、フィルム冷却孔72とコーティング82との間に障壁を形成し、それによって、コーティング82がフィルム冷却孔72内に配置されることを防止する。
図7のコーティング82は、任意の熱障壁コーティング(thermal barrier coating、TBC)、環境障壁コーティング(environmental barrier coating、EBD)、ボンドコーティング、及び/又は他の種類のコーティングであってもよい。
【0044】
図8は、融合プロセスに続いて、翼36の径方向内向きの断面図を示す。翼36は、前縁44から後縁46まで、圧力側50から吸引側52まで、かつ、根元部分48から先端部分42まで延在している。
図8に示されるように、翼36の表面は、所望の空気力学的翼外形に融合される。翼吸引面52から突出する第1の台座58A近くのコーティング厚さDの付近では、
図7の翼外形と比較して、
図8の第1の台座58Aにおけるコーティングは、第1の台座58Aのすぐ前方及び後方のコーティングと平滑に融合される。融合した後、翼36の表面52と第1の台座58Aの表面との間の移行は、約5mil未満の突出部及び他の不規則部を含むのに十分に平滑である。他の実施形態では、翼36の表面52と第1の台座58Aの表面との間の移行は、約3mil未満の突出部及び他の不規則部を含むのに十分平滑である。他の実施形態では、翼36の表面52と第1の台座58Aの表面との間の移行は、約1mil未満の突出部及び他の不規則部を含むのに十分平滑である。コーティングを平滑化するために、研削、掻き取り、平滑化、研磨、サンディング、手動加工、ミル加工、EDM、ワイヤEDM、レーザアブレーション、並びに他の同等のプロセスを含む、任意の融合プロセスを使用してもよい。
【0045】
図9は、
図8の円Fの部分の拡大図であり、翼36の外部に露出され、そのままの印刷された鋭利な縁部を保持しているフィルム冷却孔72を示す。フィルム冷却孔72は、
図9に示されるように、もはや「見えない状態」ではなく、翼36の外部に開口しており、したがって、動作中に冷却空気を流すことができる。加えて、フィルム冷却孔72は、翼36の内部と外部との間に導管を提供する。したがって、開口したフィルム冷却孔72は、翼の内部から粉末(すなわち、付加構築プロセスで使用された可能性のある金属、セラミック、及び/又はポリマー粉末)を除去するための導管として使用されてもよい。
図9に示されるように、コーティング82は、第1の台座58Aと平滑に融合され、その外側部分には、コーティング82は配置されない。複数の理由から、フィルム冷却孔72内又はその近くのコーティング82を回避することが望ましい場合がある。第1に、フィルム冷却孔72内に配置されたコーティングは、孔を通る冷却空気の流れを制限し、それによって、関連するフィルム冷却の有効性を低減することができる。第2に、構成部品の様々な部分内の熱勾配(すなわち、温度差)を低減することは、構成部品の寿命を延ばすことに関連する。したがって、構成部品の一部がフィルム冷却される場合、普通は、その部分は、コーティングされているがフィルム冷却されていない周囲部分よりも冷却されるため、コーティングされる必要もない場合もある。最後に、フィルム冷却孔72内に不注意に又は不均一に配置されたコーティングを除去又は平滑化するプロセスは、フィルム冷却孔72の幾何学的形状を損傷する可能性がある。洗浄作業を行う必要がないことにより、フィルム冷却孔72に損傷を与える危険性は、低減及び/又は排除される。本特許請求される実施形態では、冷却孔をドリル穿孔する必要性、並びにフィルム冷却孔72からコーティングを除去する必要性の両方を排除するプロセスを記載しているが、その一方で、冷却孔は、依然として、付加製造構築プロセスによって可能になる微細な特徴部の詳細を含み、冷却効率の向上をもたらすことができる。
【0046】
図10は、本実施形態による、翼36又は構成部品を形成する方法1000を示す。方法1000は、詳細な特徴部を有する翼及び他の構成部品を形成するために使用され得る。工程1002において、方法1000は、支持構造物58、60(並びに台座84、86及び他の構造物)を含み得る構造物が、構築プロセス中に構成部品の内部特徴部と整列するように、構成部品の配向を選択することを含む。支持構造物58、60は、構築されている間に構成部品を構造的に支持するために使用されてもよく、また、内部特徴部を被覆するために使用されてもよいが、台座84、86は、内部特徴部を被覆するためにのみ使用される。支持構造物58、60及び台座84、86以外の幾何学的形状を有する構造物もまた、方法1000及び工程1002で使用されてもよい。構成部品は、上記及び下記に記載されるように、翼36、並びに他の構成部品を含んでもよい。形成は、3D印刷及び/又は付加製造を含んでもよいが、インベストメント鋳造、鍛造、射出成形、急速プロトタイピング、並びに他の形成方法など、他のプロセスを含んでもよい。内部特徴部は、フィルム冷却孔72、他の種類の冷却孔及び特徴部、並びにくぼみ、溝、隆起、深溝、流れ調整構造物などの空気力学的特徴部を含んでもよい。内部特徴部は、冷却以外の目的で使用される通路、空洞、及び/又はチャネルを含んでもよい。
【0047】
引き続き
図10を参照すると、方法1000は、工程1004において、内部特徴部(複数可)が、初期形成プロセスが完了した後に構成部品(すなわち、翼36)の外部に露出しないように、内部特徴部(複数可)(すなわち、フィルム冷却孔(複数可)72)の上方に配置された構造物を用いて、物品又は構成部品を形成することを含む。工程1006において、方法1000は、構造物の一部分を除去することを含む。例えば、支持構造物58、60の一部分は、内部特徴部を依然として被覆している他の幾何学的形状を有する台座及び/又は構造物を残して、工程1006で除去されてもよい。支持体58、60は、機械加工又は他の手段を介して、所望のコーティング厚さよりもわずかに高い高さまで除去される。支持構造物58、60を含まず、代わりに台座84、86のみを含む構成部品については、工程1006が必要とされない場合がある。工程1008において、方法1000は、構成部品を熱処理することを含む。工程1010において、方法1000は、物品又は構成部品(すなわち、翼36)をコーティングすることを含む。コーティングとしては、熱障壁コーティング(TBC)、環境障壁コーティング(EBC)、ボンドコーティング、クラッディング、及び他の種類のコーティングを挙げることができる。コーティングは、ほぼ一定の厚さで、物品(すなわち、翼36)の外部全体の周りに塗布される。コーティングの厚さは、約0~約0.2インチ(すなわち、mil)、又は約5mil~約100mil、又は約10mil~約80mil、又は約20mil~約60mil、又は約30mil~約50mil、並びにそれらの間の他の部分範囲であってもよい。工程1012において、方法1000は、物品又は構成部品(すなわち、翼36)の表面の周りに配置されたコーティングを、構造物(すなわち、支持構造物58A、60A及び/又は台座84、86の残りの部分)と融合することを含む。コーティングは、フィルム冷却孔72を見えない状態している支持体の一部分の除去を含めて、正しい外形に融合される。別の言い方をすれば、工程1012の後、物品の外部は、コーティングなしで、かつ、台座84、86及び/又は支持構造物58A、60Aの残りの部分なしで、物品に適合する形状因子又は外形を有する。したがって、工程1012に続いて、台座84、86及び/又は支持構造物58A、60Aの残りの部分上に配置されたコーティングは、物品又は構成部品の他の表面若しくは領域上に配置されたコーティングよりも薄くなる可能性が高い。コーティングは、工程1012に続いて、台座84、86及び/又は支持構造物58A、60Aの残りの部分から完全に除去されてもよい。融合には、研削、掻き取り、平滑化、研磨、サンディング、手動加工、ミル加工、EDM、ワイヤEDM、レーザアブレーション、並びに他のプロセスを含む、コーティングを平滑化するための任意の融合プロセスを含んでもよい。
【0048】
引き続き
図10を参照すると、工程1014において、方法1000は、内部特徴部がまだ露出されていない場合には、ここで、フィルム冷却孔72を介して、翼36の内部が翼36の外部と流体連通するように、内部特徴部(すなわち、フィルム冷却孔72)を露出させることを含む。フィルム冷却孔72は、コーティングプロセス、及び/又はレガシーシステムにおいてフィルム冷却孔を形成するために使用されてきたであろう外部ドリル穿孔プロセスによって影響を受けることなく、付加製造プロセスから元の特徴部の詳細及び鋭利な縁部を保持する。工程1016において、方法1000は、平滑化、バリ取り、研磨、熱処理、焼結、機械加工、コーティング、及び/又は他のプロセスなどの後処理工程を含んでもよい。
【0049】
図11は、本実施形態による、翼36又は他の構成部品を形成する方法1100を示す。
図11の実施形態は、
図10の実施形態と同じ工程の多くを含む。例えば、方法1000の工程1002、1004、及び1006は、方法1100の工程1102、1104、及び1106と同じである。
図11の実施形態では、工程1108において、構成部品の内部特徴部が露出される。工程1110において、方法1100は、構築プロセス中に、構成部品(又は翼36)の内部に蓄積されてきた過剰な粉末(すなわち、付加製造構築プロセスで使用される金属、セラミック、及び/又はポリマー粉末)を除去することを含んでもよい。粉末は、露出したフィルム冷却孔(複数可)72を介して、又は他の通路を介して除去されてもよい。工程1112において、方法1100は、構成部品を熱処理することを含む。工程1114、1116、及び1118において、方法1100は、方法1000の工程1010、1012、及び1016と同様のコーティング、融合、及び後処理工程を含む。
【0050】
図12は、本実施形態による、翼36又は他の構成部品を形成する方法1200を示す。
図12の実施形態は、
図10及び
図11の実施形態と同じ工程の多くを含む。
図12の実施形態では、工程1208において、方法1200は、翼36又は構成部品の内部から粉末を除去することを含む。粉末の除去は、1つ以上の内部通路(例えば、
図3に示される通路54、56、64、66、68、及び70のうちの少なくとも1つなど)を介して生じ得る。工程1210において、方法1200は、内部特徴部を露出させることを含む。工程1212において、方法1200は、構成部品を熱処理することを含む。工程1214、1216、及び1218において、方法1200は、方法1000の工程1010、1012、及び1016と同様のコーティング、融合、及び後処理工程を含む。
図10~
図12に示される方法1000、1100、及び1200の各々は、2つの熱処理プロセス、コーティング前の第1の熱処理プロセス、及び処理後の第2の熱処理を含んでもよい。
図10~
図12に示される方法1000、1100、及び1200の各々では、工程は、図示されるものとは異なる順序で行われてもよく、いくつかの実施形態では、全ての工程及び/又は補助工程が行われない場合がある。
図10~
図12に示される方法1000、1100、及び1200の各々は、他の工程(すなわち、図示されるもの以外)を含んでもよい。
【0051】
冷却設計の様々な特徴部、フィルム冷却孔72、及び/又は他の熱管理特徴部に当接、被覆、及び/又は重なり合うように支持構造物58、60を配設することにより、フィルム孔の配設に必要とされる機械加工はもはや必要とされず、支持構造物除去のより単純な工程に置き換えられる。追加的に、フィルム形状が付加製造印刷プロセスを介して完全に又は部分的に形成されたとき、それらは、コーティング中に保護され得る。これにより、被覆された形状に対して20~50%の冷却効果を提供することができる、より鋭利なフィルム孔特徴部の作製を可能にする。代替的に、フィルム冷却孔72は、翼壁52、50内に完全に包囲されてもよい。対照的に、レガシープロセスを使用して、支持構造物58、60及び/又は台座84、86を除去すると、翼外形に融合されたときに、フィルム冷却孔72を露呈及び/又は露出させる。レガシープロセスでは、その後、翼はコーティングされ、孔はコーティングされ、別個の洗浄作業又はコーティングの充填を考慮する形状の設計を必要とする。本実施形態では、高価なフィルム孔の機械加工作業、並びにコーティング後のフィルム冷却孔72の洗浄作業を置き換える及び/又は低減する。
【0052】
本実施形態の台座84、86は、フィルム形状を含まず、フィルム冷却孔72の一部のみを含んでいてもよい。これにより、従来の機械加工プロセスを介したコーティング前又はコーティング後の冷却通路の接続が可能になる。コーティングを融合することにより、依然として、鋭利なフィルム縁部の保持を可能にし得る。代替的に、フィルム台座84、86はまた、付加支持体58、60と直接接触しないフィルム列のために構築されてもよい。台座84、86は、コーティング後の開口孔上への洗浄作業を使用して、又は孔の鋭利な画定が保持されるようにコーティング前の別個のマスキングプロセスを使用して、コーティング後の融合を介して、孔72を露出させるための選好に応じて、開いた、又は閉じた状態で印刷することができる。
【0053】
翼36及び他の構成部品(タービンノズル、タービン羽根、シュラウド、ストラット、燃焼器ライン、燃料ノズル、他のガスタービン構成部品、部品アセンブリ、及び他の製造物品の構成部品など)の印刷を強化するには、翼の流路表面を含む、張り出し表面の重量を支持するための準備を必要とする。本明細書に提示される実施形態は、完成構成部品を生産するために必要とされる動作数を低減するために、フィルム冷却チャネル及び/又は孔を支持体に組み込むための方法を提供する。支持体は、所望のフィルム位置と整列される。支持体は、コーティング中に保護されるフィルムの幾何学的形状の少なくとも一部分を含んでもよい。翼表面が標的外形に融合されたとき、フィルム形状が露呈され、更なる機械加工又は洗浄は必要とされない。別の実施形態では、コーティング前に従来の方法を使用して支持体が除去されるか、又は台座にドリル穿孔されるときに、形状が露出される。これらの台座は、コーティング中にマスクされ、後から露出されてもよい。
【0054】
フィルムの機械加工作業を低減することにより、翼構成部品のコストを1/3まで低減することができる。鋭形なフィルム孔は、コーティング効果のある孔よりも20~50%良好に機能する。したがって、フィルム冷却流の低減により、複合サイクル効率を改善することができる。印刷されたフィルム孔は、従来の機械加工された形状よりも50~100%良好な性能を有する新たなフィルム形状の採用を可能にし、機械加工が困難な特徴部からの関連するコストの増加を招くこともない。先進的な形状は、より良好な均一性をもたらし、スポールリスクを低減し、スポール後の部品寿命を改善することができる。本明細書に提示される実施形態は、主に翼に関して記載されてきた。しかしながら、本明細書に提示される方法、構成部品、及びシステムは、ドリル穿孔又は鋳造ではなく印刷することができる内部及び/又は近表面の詳細の特徴部を有する他の構成部品に等しく適用することができ、コーティングプロセス(又は印刷後の他のプロセス)への露出が制限されることが所望される。このような構成部品としては、燃焼器ライナ、タービンノズル、及び/又はタービン羽根、タービンブレード、タービンシュラウド、ストラット、ディスク、及びガスタービンの高温部内の他の構成部品、ガスタービンの他の場所にある他の構成部品、並びに他の製造物品の部品及び構成要素を挙げることができる。翼としては、回転タービンブレード、回転圧縮機ブレード、回転ファンブレード、静止タービンノズル、ストラット、静止圧縮機羽根、調節入口誘導羽根、及び他の種類の翼を挙げることができる。静止タービンノズル又は羽根の根元部分は、流路内側バンドに隣接する翼の径方向内側部分に対応することができ、一方、静止タービンノズル又は羽根の先端部分は、流路外側バンドに隣接する翼の径方向外側部分に対応することができる。
【0055】
本発明の特定の特徴のみが本明細書に例示及び記載されているが、当業者には、多くの修正及び変更が生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本実施形態の真の趣旨に含まれるような全てのそのような修正及び変更を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0056】
本明細書では、本実施形態を最良の形態を含めて開示すると共に、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本実施形態を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本開示の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、又は、請求項の文言とわずかな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。