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特許7317952ユニポーラ荷電平衡半導体パワー・デバイスのためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ユニポーラ荷電平衡半導体パワー・デバイスのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230724BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230724BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230724BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20230724BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 653C
H01L29/86 301F
H01L29/86 301D
H01L29/86 301P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021517605
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2019052474
(87)【国際公開番号】W WO2020068690
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】16/147,210
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】アーサー,スティーブン・ダリー
(72)【発明者】
【氏名】ボロトニコフ,アレクサンドル・ビクトロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ガンディ,レザ
(72)【発明者】
【氏名】リリエンフィールド,デビッド・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ロゼー,ピーター・アルメーン
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-294437(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0278924(US,A1)
【文献】特開2004-134547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264477(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166531(US,A1)
【文献】特開2004-335697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 29/872
H01L 21/329
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電平衡(CB)垂直チャネル・ジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)デバイスであって、
第1導電型を有する第1エピタキシャル(エピ)層内に定められた第1CB層であって、前記第1CB層は第2導電型を有する第1複数のCB領域を含み、前記第1複数のCB領域の各々が前記第1エピ層の厚さよりも小さいそれぞれの深さを有する、第1CB層と、
前記第1CB層上に直接配置され前記第1導電型を有する第2エピタキシャル(エピ)層内に定められた第2CB層であって、前記第2CB層は第2導電型を有する第2複数のCB領域を含み、前記第2複数のCB領域の各々が前記第2エピ層の厚さよりも小さいそれぞれの深さを有する、第2CB層と、
前記第2CB層上に直接配置されたデバイス・エピ層内に定められたデバイス層であって、前記デバイス層が前記第2導電型を有する高ドープゲート領域を含み、前記デバイス・エピ層が前記第1導電型を有する、デバイス層と、
前記デバイス層、前記第1CB層、および前記第2CB層に配置され前記第2導電型を有するCBバス領域であって、前記CBバス領域は、前記第1CB層の前記第1複数のCB領域の第1CB領域、前記第2CB層の前記第2複数のCB領域の第2CB領域、および前記デバイス層の前記高ドープゲート領域の間を延び電気的に結合するCBバス領域と、
を備える、荷電平衡(CB)垂直チャネル・ジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のCB 垂直チャネルJFETデバイスであって、前記高ドープゲート領域上に配置されたゲート端子を備え、前記CBバス領域が、前記複数のCB領域のうちの前記1つのCB領域を前記ゲート端子に電気的に結合する、CB 垂直チャネルJFETデバイス。
【請求項3】
請求項1記載のCB 垂直チャネルJFETデバイスであって、基板層を備え、前記基板層が炭化硅素(SiC)を含む、CB 垂直チャネルJFETデバイス。
【請求項4】
請求項1記載のCB 垂直チャネルJFETデバイスにおいて、前記高ドープゲート領域が、前記デバイス・エピ層の上面の一部に配置される、CB 垂直チャネルJFETデバイス。
【請求項5】
荷電平衡(CB)垂直チャネル・ジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)デバイスであって、
第1導電型を有する第1エピタキシャル(エピ)層に定められ、前記第1導電型を有する広バンドギャップ基板層上に配置された第1CB層であって、前記第1CB層は第2導電型を有する第1複数のCB領域を含み、前記第1複数のCB領域の各々が前記第1エピ層の厚さよりも小さいそれぞれの深さを有する、第1CB層と、
前記第1CB層上に直接配置され前記第1導電型を有する第2エピタキシャル(エピ)層内に定められた第2CB層であって、前記第2CB層は第2導電型を有する第2複数のCB領域を含み、前記第2複数のCB領域の各々が前記第2エピ層の厚さよりも小さいそれぞれの深さを有する、第2CB層と、
前記第2CB層上に配置されたデバイス・エピ層内に定められたデバイス層であって、前記デバイス・エピ層が前記第1導電型を有し、前記デバイス層が、
前記第2導電型を有し、前記デバイス・エピ層の上面に配置された高ドープゲート領域であって、第1コンタクトが高ドープゲート領域上に直接配置される、高ドープゲート領域と、
前記第1導電型を有し、前記デバイス・エピ層の上面に、前記高ドープゲート領域に近接して配置されたソース領域であって、ソース・コンタクトが前記ソース領域の少なくとも一部の上に直接配置される、ソース領域と、
を含む、デバイス層と、
前記デバイス層、前記第1CB層、および前記第2CB層に配置され前記第2導電型を有するCBバス領域であって、前記CBバス領域は、前記第1CB層の前記第1複数のCB領域の第1CB領域、前記第2CB層の前記第2複数のCB領域の第2CB領域、および前記デバイス層の前記高ドープゲート領域の間を延び電気的に結合するCBバス領域と、
を備える、荷電平衡(CB)垂直チャネル・ジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)デバイス。
【請求項6】
請求項5記載のCB 垂直チャネルJFETデバイスにおいて、前記第1CB領域および前記第2CB領域が、平方センチメートル(cm)あたり約2×1013に等しい集積電荷を含む、CB 垂直チャネルJFETデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書において開示する主題は、半導体パワー・デバイスに関し、更に特定すれば、ユニポーラ荷電平衡(CB:charge balanced)半導体パワー・デバイスに関する。
【従来技術】
【0002】
[0002] 半導体パワー・デバイスでは、荷電平衡設計が様々な利点を提供する。例えば、CB FETデバイスは、従前からのユニポーラ・デバイス設計と比較して、これらよりも高い電圧阻止、および小さい抵抗を明確に示す。しかしながら、浮遊CB領域を使用するCB FETデバイスのスイッチング速度は、半導体材料におけるキャリアの再結合-生成率(recombination-generation rates)に左右される。広バンドギャップ材料のように、半導体材料の中には、再結合-生成率が比較的低く、その結果スイッチング速度が比較的低くなるものもある。このようなCB FETデバイスの再結合-生成率およびスイッチング速度を高めるために、点欠陥を半導体材料に導入する場合がある。しかしながら、点欠陥はデバイスの漏れ電流を増大させるおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] 一実施形態では、荷電平衡(CB)電界効果トランジスタ(FET)デバイスは、第1導電型を有する第1エピタキシャル(エピ)層内に定められたCB層を含む。このCB層は、第2導電型を有する複数のCB領域を含む。更に、このCB FETデバイスは、荷電平衡層上に配置され第1導電型を有するデバイス・エピ層内に定められたデバイス層を含む。デバイス層は、第2導電型を有する高ドープ領域(highly-doped region)を含む。更に、CB FETデバイスは、第2導電型を有するCBバス領域を含む。CBバス領域は、CB層の複数の荷電平衡領域間を延び、そのCB領域をデバイス層の高ドープ領域に電気的に結合する。
【0004】
[0004] 他の実施形態では、CB FETデバイスの製造方法は、第1導電型を有する第1エピ層を下地層上に形成するステップを含む。下地層は、広バンドギャップ材料で形成してもよい。更に、この方法は、第2導電型を有する第1複数のCB領域を、第1エピ層に注入して、CB層を生成するステップを含む。更に、この方法は、第1導電型を有するデバイス・エピ層をCB層上に形成するステップを含む。また、この方法は、第2導電型を有する高ドープ領域をデバイス・エピ層内に形成し、デバイス層を生成するステップを含んでもよい。また、この方法は、第2導電型を有するCBバス領域を注入するステップを含み、CBバス領域は、CB層の複数のCB領域間を延び、CB領域をデバイス層の高ドープ領域に電気的に結合する。
【0005】
[0005] 他の実施形態では、CB FETデバイスは、第1エピ層内に定められたCB層を含む。第1エピ層は、第1導電型を有し、第1導電型を有する広バンドギャップ基板層上に配置される。CB層は、第2導電型を有する複数のCB領域を含む。更に、CB FETデバイスは、第1導電型を有しCB平衡層上に配置されたデバイス・エピ層内に定められたデバイス層も含む。デバイス層は、デバイス・エピ層の上面上に配置され第2導電型を有する高ドープ領域を含む。高ドープ領域上に第1コンタクトが直接配置されている。また、デバイス層は、第1導電型を有するソース領域も含む。ソース領域は、デバイス・エピ層の上面上に、高ドープ領域に近接して配置される。ソース領域の少なくとも一部の上方にソース・コンタクトが直接配置される。更に、CB FETデバイスは、第2導電型を有するCBバス領域を含む。CBバス領域は、CB層の複数の荷電平衡領域間を延び、そのCB領域をデバイス層の高ドープ領域に電気的に結合する。
【0006】
[0006] 本発明のこれらおよびその他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の詳細な説明を添付図面を参照しながら読解すれば、一層深く理解されて来るであろう。添付図面において、同様の記号は図面全体を通じて同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】各々1組のCB領域を有する複数の(a number of)荷電平衡(CB)層を含み、CBバスがCB領域の少なくとも一部を、半導体デバイスのデバイス層内にある同様の導電型の領域に電気的に結合する、実施形態による半導体デバイスの断面図である。
図2】実施形態による、CBバスを含む垂直チャネル・ジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)デバイスの断面図である。
図3A】実施形態による、CBバスを含む水平チャネルJFETデバイスの第1実施形態の断面図である。
図3B】実施形態による、CBバスを含む水平チャネルJFETデバイスの第2実施形態の断面図である。
図4】実施形態による、CBバスを含む垂直チャネル金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)デバイスの断面図である。
図5】実施形態にしたがってCB電界効果トランジスタ(FET)デバイスを製造するプロセスのフロー・チャートである。
図6】実施形態にしたがってCB FETデバイスを製造する他のプロセスのフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0014] 以下に、1つ以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態について簡潔な説明を行うために、この明細書には実際の実施態様の特徴全ては記載されていない。尚、あらゆる工学または設計プロジェクトにおけると同様、このような実際の実施態様のいずれの開発においても、開発者の具体的な目標を達成するためには、実施態様に特定的な多数の判断を行わなければならず、実施態様毎に異なるシステム関連の制約または業務関連の制約を順守しなければならないことは、認められてしかるべきである。更に、このような開発努力は、複雑で時間がかかることもあるが、他方において、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、および製造といった日常業務であることも認められてしかるべきである。
【0009】
[0015] 冠詞「a」、「an」、および「the」は、そのエレメントが1つ以上あるという意味を表すことを意図している。「備える」(comprising)、「含む」(including)、および「有する」(having)という用語は、包含的であり、列挙されるエレメント以外にも追加のエレメントがあってもよいという意味を表すことを意図している。 更に、以下の論述における数値例はいずれも、限定ではないことを意図しており、したがって、追加の数値、範囲、および割合も、開示する実施形態の範囲内に該当する。
【0010】
[0016] 本明細書において使用する場合、「層」(layer)という用語は、下地表面の少なくとも一部の上に、連続的にまたは不連続的に配置された材料を指す。更に、「層」という用語は、必ずしも、均一な厚さで配置された材料を意味するとは限らず、配置される材料は均一な厚さまたは可変厚さを有してもよい。更に、「層」という用語は、本明細書において使用する場合、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、1つの層または複数の層を指す。更に、本明細書において使用する場合、「上に配置される」(disposed on)という表現は、特に具体的に指示されていないならば、互いに直接接触して配置された層、または間に介在層を有することによって間接的に配置された層を指す。したがって、「上に直接配置された」(disposed directly on)という表現は、本明細書において使用する場合、2つの層が互いに直接接触しており、それらの間に介在層がないことを意味する。「隣接する」(adjacent)という用語は、本明細書において使用する場合、2つの層および/または構造(例えば、注入領域)が連続的に配置され、互いに直接接触することを意味する。
【0011】
[0017] 本開示において、層/領域が他の層または基板「上」(on)にあるというように記載されているとき、これらの層/領域は、互いに直接接触する、またはこれらの層および領域間に1つ(以上の)層または構造を有することができると理解するものとする。更に、「上に」(on)という用語は、層/領域の互いに対する相対的な位置を記述し、必ずしも「直接上に」(on top of)を意味する訳ではない。何故なら、上または下の相対的な位置は、見る人に対するデバイスの向きによって異なるからである。更に、「最上位」(top)、「最下位」(bottom)、「上方に」(above)、「の下に」(below)、「上側」(upper)、およびこれらの用語の変形の使用は、便宜的に行われ、特に明記されていなければ、決してコンポーネントの特定の向きを要求するのではない。このことを念頭に入れて、本明細書において使用する場合、「直接上方」(directly above)および「直接下方」(directly below)という表現は、間に介在する層がなく、互いに直接接触する層/領域の相対的な位置を記述する。更に、本明細書において使用する場合、「下側」(lower)、「中間「(middle)、または「最下位」(bottom)という用語は、基板層に相対的に近い側の(nearer)構造(例えば、エピタキシャル層)を指し、一方「最上位」(top)または「上側」(upper)という用語は、基板層から相対的に離れた特定の構造(例えば、エピタキシャル層)を指す。
【0012】
[0018] 本実施形態は、ユニポーラ半導体荷電平衡(CB)デバイスの設計、およびその製造方法を対象とする。開示する設計および方法は、垂直チャネル接合電界効果トランジスタ(JFET)、水平チャネルJFET、垂直チャネル金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)というような、CB電界効果トランジスタ(FET)デバイス、ならびに 中間電圧(例えば、2キロボルト(kV)~10kV)および高電圧(例えば、10kV以上、または10kV~20kV)パワー変換関連用途に利用できる他のデバイスの製造に有用である。更に、開示する設計および方法は、炭化硅素(SiC)デバイス、窒化ガリウムデバイス、ダイアモンド・デバイス、窒化アルミニウム・デバイス、窒化硼素デバイスというような、広バンドギャップCB FETデバイス、および1つ以上の広バンドギャップ半導体材料を使用して製造される他のCB FETデバイスの製造において有用である。
【0013】
[0019] 以下で論ずるように、開示するCB FETデバイスは、反復エピタキシャル成長およびドーパント注入ステップを使用して実施される多層ドリフト領域を含む。本明細書において使用する場合、「多層」(multi-layered)という用語、および特定数の層(例えば、「二層」、「三層」、「四層」)に言及する場合、CB FETデバイスのエピタキシャル(エピ)層の数を指す。開示する多層ドリフト領域設計は、第1導電型を有する荷電平衡(CB)層(例えば、n-型CB層)を含む。更に、これらのCB層の各々は、第2導電型の1組の荷電平衡(CB)領域を含む。荷電平衡(CB)領域は、CB FETデバイスのアクティブ・エリアにおける電界を再整形する、別個の、埋め込み(buried)、注入(implanted)領域である。本明細書では、これらのCB領域が、CB FETデバイスの下側のエピ層内(例えば、上側/デバイス・エピ層と基板層との間に配置されたCB層内)に配置されるという意味で、これらのCB領域を「埋め込み」(buried)と記述する。開示するCB FETデバイスの実施形態では、以下で論ずるように、これらのCB層の設計が、比較的単純な製作プロセスを維持しつつも、低い導通損失および高い阻止電圧を可能にする。
【0014】
[0020] 更に、以下で論ずるように、開示するCB FETデバイスは、CB領域と同じ導通型のCBバス(例えば、CBバス領域)を含み、概して言えば、CBバスは、CB層の内1つ以上のCB領域の1つ以上と、同じ導電型(CB領域に対して)の高ドープ領域(例えば、ゲート領域または阻止接合の一部)との間に電気接続(例えば、垂直接続)を設ける。高ドープ領域は、デバイスのデバイス・エピ層内に配置される(例えば、基板層から比較的離れて)。したがって、CB FETデバイスがオフ状態からオン状態に遷移するとき、キャリアは高ドープ領域からCB領域に、CBバスを通って直接流れることができる。逆に、オン状態からオフ状態への遷移の間、キャリアはCB領域から高ドープ領域に、CBバスを通って直接流れることができる。その結果、開示するCB FETデバイスのスイッチング性能は、キャリアの再結合-生成率には無関係となり、これによって、スイッチング速度の上昇、ならびにスイッチングおよびダイナミック・オン抵抗損失の低減をもたらす(offer)。更に、CB FETデバイスによって生成される高い阻止電圧は維持または改善される。
【0015】
[0021] 図1は、荷電平衡(CB)電界効果トランジスタ(FET)デバイス10のような半導体デバイス8の実施形態の断面図であり、複数の荷電平衡(CB)層16上に配置されたデバイス層14を含むドリフト領域12を有する。尚、CB FETデバイス10の特定のコンポーネントおよび以下で論ずる他のデバイスを明確化して図示するために、一般に理解されている特定の設計エレメント(例えば、最上位メタライゼーション、パシベーション、エッジ終端等)を省略する場合もあることは認めることができよう。
【0016】
[0022] 以下で論ずるように、CB FETデバイス10のドリフト領域12は、第1導電型(例えば、n-型エピ層18)を有する複数のエピタキシャル(エピ)層18を含み、これらのエピタキシャル(エピ)層18は、CB FETデバイス10のデバイス層14およびCB層16を形成する。加えて、エピ層18は、各々、特定の実施形態では同じでも異なってもよいドーパント濃度を有する。図示する実施形態は3つのエピ層18(例えば、18A、18B、および18Z)を含むが、CB FETデバイス10は、特定の所望の電圧定格を有するCB FETデバイス10を生成するために、任意の適した数のエピ層18(例えば、2、4、5、6、またはそれ以上)を含んでもよい。ある実施形態では、エピ層18は、通常、炭化硅素、窒化ガリウム、ダイアモンド、窒化アルミニウムおよび/または窒化硼素のような、1つ以上の広バンドギャップ半導体材料で形成される。エピ層18は、エピタキシャル成長の反復サイクルを使用して、製作することができる。図示のように、第1エピ層18Aは、基板層20の上方に、これに隣接して配置され、第2エピ層18Bは、第1エピ層18Aの上方にこれに隣接して配置され、第3エピ層18Z(例えば、デバイス・エピ層)は、第2エピ層18Bの上方にこれに隣接して配置されている。他の実施形態では、CB FETデバイス10は、第1エピ層18Aと第2エピ層18Bとの間、および/または第2エピ層18Bとデバイス・エピ層18Zとの間に介在する追加のエピ層18(例えば、18C、18D等)を含んでもよい。
【0017】
[0023] オン状態抵抗(Rds(on))および結果的に生ずるオン状態導通損失を低減するために、CB FETデバイス10は、エピ層18Aおよび18Bにそれぞれ注入された2つのCB層16Aおよび16Bを含み、これらの各々は、それぞれ1組のCB領域22(例えば、それぞれ、22Aおよび22B)を含む。加えて、CB FETデバイス10は、CB領域22の少なくとも一部に電気的に結合された荷電平衡(CB)バス24を含む。CB層16内において、CB領域22は、エピ層18の残り26に対して逆極性にドープされている。言い換えると、n-型CB層16(例えば、n-型SiCエピタキシャル層18)を有するCB FETデバイス10では、CB領域22はP-型であり、p-型エピ層18を有するCB FETデバイス10では、CB領域22はn-型である。更に、特定の実施形態では、CB層16Aの1組のCB領域22Aにおけるドーパント濃度は、CB層16Bの1組のCB領域22Bにおけるドーパント濃度と同じでも異なってもよい。更にまた、エピ層18Aおよび18BのCB領域22ならびに残り26は、各々、逆バイアスの下で実質的に枯渇し、概略的に同様の量(例えば、実質的に等しい量)の有効電荷(例えば、cmあたり、デバイスのアクティブ・エリアに基づいて決められる)をイオン化ドーパントから供給するように設計されるのが一般的である。図示する荷電平衡構造は、CB FETデバイス10が高ブレークダウン電圧および低オン状態抵抗を達成することを可能にする。何故なら、p-型半導体部分およびn-型半導体部分は、双方共、規準阻止条件の下で、完全に枯渇するからである。
【0018】
[0024] 図示のように、CB FETデバイス10のCB領域22は、エピ層18Aおよび18Bによって分離され(例えば、垂直方向に接続されていない)、エピ層18Aおよび18Bの厚さ全体を貫通しない。具体的には、エピ層18A、18B、および18Zは、それぞれ、厚さ28A、28B、および28Zを有し、特定の実施形態では、これらは同じでも異なってもよい。ある実施形態では、エピ層18A、18B、および18Zの厚さ28A、28B、および28Zは、それぞれ、10μmと12μmとの間でもよい。加えて、図示するCB FETデバイス10のCB層16Aおよび16BにおけるCB領域22Aおよび22Bは、それぞれ、特定の厚さ30Aおよび30Bを有する。尚、ある実施形態では、CB領域22Aおよび22Bのそれぞれの厚さ30Aおよび30Bは、同じでも異なってもよい(different the same or different)。図示のように、第2CB層16Bにおける1組のCB領域22Bの厚さ30Bは、エピ層18Bの厚さ28Bよりも小さく、したがって、第1組のCB領域22Aおよび第2組のCB領域22Bは、エピ層18Bを貫通して垂直方向に接続されない(例えば、それぞれの厚さ28B全体を貫通しない)。
【0019】
[0025] 加えて、寸法に関して、CB領域22の各々を、特定の幅32および特定の間隔34を有すると記述してもよい。特定の実施形態では、CB領域22の寸法(例えば、厚さ30、幅32、および/または間隔34)は、異なるCB層16毎に異なってもよい。異なる実施形態では、CB領域22は異なる断面形状を有してもよい(例えば、注入マスクおよび/または注入エネルギ/投与量によって定められる)。ある実施形態では、CB領域22の形状は、実質的にY軸に沿って変化しなくてもよい。
【0020】
[0026] 更に、エピ層18のドーピング、CB領域22のドーピング、エピ層18の厚さ28、CB領域22の厚さ30、CB領域22の厚さ32、およびCB領域22間の間隔34は、CB FETデバイス10の所望の電気的性能(例えば、所望の阻止電圧)を可能にするために、異なる実施形態毎に変化させてもよいことは認められてしかるべきである。例えば、ある実施形態では、約1キロボルト(kV)と10kVとの間、1kVと5kVとの間、または任意の他の適した範囲である、CB FETデバイス10の阻止電圧を提供するために、特定のデバイス・パラメータ(例えば、エピ層18の厚さ28およびドーピング)を選択することができる。
【0021】
[0027] 更に、ある実施形態では、2015年6月26日に出願され“ACTIVE AREA DESIGNS FOR SILICON CARBIDE SUPER-JUNCTION POWER DEVICES”(炭化硅素スーパージャンクション・パワー・デバイスのためのアクティブ・エリアの設計)と題する米国特許第9,735,237号において、浮遊荷電平衡領域について記載されているように、開示するCB領域22およびCB層17は、1つ以上の特性(例えば、ドーピング、幅32、深さ、間隔34等)を有することもできる。この特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。例えば、ある実施形態では、エピ層18Aおよび18Bの各々の厚さ28Aおよび28Bは、5μmと20μmとの間である。CB領域22の厚さ30Aおよび30Bは、0.5μmから1.0μmの範囲であり、CB領域22の幅32は、0.1μmと2μmとの間であり、CB領域22間の間隔34は、1μmと6μmとの間である。このような実施形態では、CB領域22のドーパント濃度は、立方センチメートル(cm)あたり2×1016と立方センチメートル(cm)あたり1×1018との間にしてもよい。更に具体的には、ある実施形態では、CB領域22には可変分布のドーパント濃度を注入することができるので、CB領域22は、平方センチメートル(cm)あたり約(例えば、±20%および/または±50%)2×1013の集積電荷(integrated charge)(例えば、投与量)を有すると記述することができる。集積電荷は、部分的に、CB領域22が注入される深さ、および/またはCB領域22を注入するために使用される注入加速エネルギに基づいて、決定および/または調節することができる。このような実施形態では、エピ層18のエピ・ドーピングは、立方センチメートル(cm)あたり5×1015以上であってもよく、これによって特定のオン抵抗(例えば、平方センチメートルあたり7メガΩ(mOhm/cm)未満および特定のブレークダウン電圧(例えば、3kVよりも高い、4.5kVよりも高い)を有するデバイスを生成することができる。ある実施形態では、1組のCB領域22Aのドーピング濃度をCB領域22Aのそれぞれの厚さ(例えば、30Aまたは30B)で除算した値は、平方センチメートル(cm)あたり5×1012以上および平方センチメートル(cm)あたり約1×1014以下としてもよい。したがって、このような実施形態では、1組のCB領域22Aおよび/または1組のCB領域22Bは、立方センチメートル(cm)あたり5×1016と立方センチメートル(cm)あたり2×1018との間のドーピング濃度を有するとよい。更にまた、ある実施形態では、CB FETデバイス10は、例えば、所望の電圧定格を達成するために、もっと少ないCB層12または余分なCB層12(例えば、1つのCB層16、3つのCB層16、4つのCB層16等)を含むこともできる。
【0022】
[0028] 先に注記したように、CB FETデバイス10は、スイッチング損失を低減しスイッチング速度を高めるために、CBバス24も含む。CBバス24は、CB領域22と同じ導電型を有し、これはエピ層18の残り26の導電型の逆である。したがって、n-型エピ層18を有するCB FETデバイス10では、CBバス24およびCB領域22はp-型であり、p-型エピ層18を有するCB FETデバイス10では、CBバス24およびCB領域22はn-型である。更に、CBバス24のドーピング濃度は、CB層16Aの1組のCB領域22Aおよび/またはCB層16BのCB領域22Bと同じでもまたは異なってもよい。更にまた、図示のように、CBバス24は、CBバス24およびCB領域22と同じ導電型を有するデバイス層14の高ドープ領域36と接触し、電気的に結合されている。更に具体的には、CBバス24は高ドープ領域36に電気的に結合されている。高ドープ領域36は、デバイス層14におけるゲート領域、高ドープ領域のような阻止接合の一部、防御領域等でもよい。本明細書において使用する場合、「高ドープ」(highly-doped)という表現は、立方センチメートル(cm)あたり約1×1019以上のドーピング濃度を意味する。更に、CBバス24をエピ層18の1つ以上に注入することもできる。具体的には、開示するCBバス24は、デバイス層14内に配置された高ドープ領域36をCB領域22の少なくとも一部に接続する(たとえば、電気的結合する)ことができる。具体的には、開示するCBバス24は、1つ以上の高ドープ領域36から(例えば、デバイス層14の上面38に近い1つ以上の構造から)CB領域22の少なくとも一部に垂直に(例えば、Y軸に沿って)延びてもよい。
【0023】
[0029] ある実施形態では、CBバス24は、最も深いCB領域22(例えば、基板層20に最も近く、デバイス層14から最も遠いCB領域22)に達するために、深さ40(例えば、Y軸に沿った垂直方向寸法、厚さ)を有してもよい。更に、CBバス24の深さ40は、CBバス24が最も深いCB領域22まで達し、これと接触する(例えば、隣接して配置される)ように、最も深いCB領域22の厚さ30の一部を貫通する(例えば、重なり合う)ように、または最も深いCB領域22の厚さ30全体を貫通する(例えば、重なり合う)ようにしてもよい。
【0024】
[0030] 具体的には、図示する実施形態では、CBバス24は、高ドープ領域36から(例えば、高ドープ領域36に隣接して配置され、これと接触する)、デバイス・エピ層18Zを貫通し(例えば、デバイス・エピ層18Zの厚さ28Zを貫通し)、第2エピ層18Bを貫通し(例えば、第2エピ層18Bの厚さ28Bを貫通し)、更に第1エピ層18Aの厚さ28Aの一部を貫通する(例えば、第1CB層16Aにおける1組のCB領域22Aの厚さ30Aの一部を貫通する)。したがって、CBバス24は、高ドープ領域36を1つ以上のそれぞれのCB層16(例えば、Y軸を横切って垂直に分離される)における1つ以上のCB領域22に電気的に結合することができる。更にまた、CBバス24は、同じCB層16内にあるCB領域22(例えば、Z軸を横切って水平方向に分離される)および/または異なるCB層16内にあるCB領域22(例えば、Y軸を横切って垂直方向に分離される)を互いに電気的に結合することができる。しかしながら、認められてしかるべきは、他の実施形態では、深さ40は、CBバス24がデバイス・エピ層18Zの厚さ28Zおよびエピ層18Bの厚さ28Bの少なくとも一部だけを貫通するように(例えば、CBバス24は最下位CB層16Aにおける1組のCB領域22Aと接触しない)、またはCBバス24が最下位CB層16Aにおける1組のCB領域22Aの厚さ30A全体を貫通するようにしてもよいということである。
【0025】
[0031] また、CBバス24は幅42も含む。図示のように、CB領域22の部分集合がCBバス24の幅42以内に定められている(例えば、Z軸に沿って)。しかしながら、他の実施形態では、余分なCB領域22またはもっと少ないCB領域22をCBバス24内に配置する、または部分的に接触する(例えば、部分的に配置されるだけ)のでもよいことは、認められてしかるべきである。更にまた、CBバス24がZ軸に沿って任意の適した位置に配置されてもよい。更に、CBバス24の深さ40、幅42、およびドーパント濃度は、CB領域22を有するCB層16(例えば、下側のエピ層18Aおよび18B)内部に荷電平衡を維持するように、そしてCB FETデバイス10の所望の電気的性能(例えば、所望の阻止電圧)を可能にするように選択することができる。
【0026】
[0032] 図示する実施形態は1つのCBバス24を含むが、他の実施形態では、CB FETデバイス10は、Z軸および/またはX軸に沿って1つ以上の追加のCBバス24を含むこともできる。即ち、例えば、CB FETデバイス10は、連続的な垂直ピラーまたは連続的な垂直ブロックの形態で、任意の適した数のCBバス24を含むことができ、これらの各々はエピ層18A~18Zの1つ以上の部分に注入される。尚、このような実施形態では、追加のCBバス24の各々は、図示するCBバス24と同じ導電型を有し、同じまたは異なる高ドープ領域36と接触することは注記してしかるべきである。したがって、ある実施形態では、少なくとも1つのCBバス24が、エピ層18の厚さ28の少なくとも一部を貫通して、CB領域22の各々を少なくとも1つの高ドープ領域36に接触させ、電気的に結合することもできる。更にまた、CBバス24の各々の寸法(例えば、幅42、深さ40)は、異なる実施形態では、互いに同じでも異なってもよい。
【0027】
[0033] 更に、図1の断面図に対して垂直な断面図を示す図2図4の各々に示すように、CBバス24は長さ50も含む。一般に、CBバス24が狭い程(例えば、長さが短い程)、デバイスの阻止電圧に重大な影響を及ぼすことなく、スイッチング速度の上昇を、CB FETデバイス10が可能にするのに役立つ。しかしながら、長さ50は、CB層16内部にける荷電平衡を維持するように、そしてCB FETデバイス10の望ましい電気的性能(例えば、所望の阻止電圧)を可能にするように選択してもよい。更に図2図4の各々に示すように、CB領域22は長さ52を含む。図示のように、CBバス24の長さ50の少なくとも一部は、CB領域22の長さ52以内に定められ、またはCB領域22の長さ52と重なり合ってもよい(例えば、X軸に沿って)。更にまた、CBバス24の長さ50およびCB領域22の長さ52は、各々、X軸の任意の適した部分に沿って定められてもよい。
【0028】
[0034] CBバス24は、高エネルギのイオン注入を使用して、ドーパント(例えば、硼素、アルミニウム、窒素、燐)をCB FETデバイス10のエピ層18に導入することによって製作することができる。1つのCBバス24が、1つの注入領域または複数の重複する注入領域を含む場合がある。ある実施形態では、ドーパントは、20μmというような、所望の深さ40を達成するために、約500keVと約60MeVとの間の注入加速エネルギで注入してもよい。加えて、特定の実施形態では、CBバス24は、高エネルギ・イオン注入を、適した高エネルギ・マスキング材料(例えば、絶縁物上シリコン(SOI)、ポリシリコン、厚い酸化硅素、プラチナ、モリブデン、または金のような高Z金属)と共に使用して形成することもできる。具体的には、高エネルギ注入マスクを、エピタキシャル成長の後に、デバイス・エピ層18Zの上面54上に置くとよい(例えば、形成する、成長させる、堆積する)。すると、高エネルギ注入マスクはデバイス・エピ層18Zの上面54の第1部分を隠すことができ、更に上面54の第2部分を選択的に露出させることができる。したがって、デバイス・エピ層18Zの上面54の露出した第2部分に、CBバス24を注入することができる。更に、ある実施形態では、適した深さを達成するために使用するエネルギ注入を低くすることができるように、CBバス24を少なくとも部分的にエピ成長ステップの間に注入することもできる(例えば、CB領域22をエピ層18Aに形成する前または後に、そして次のエピ層18Bのエピ成長の前に注入する)。加えて、異なる実施形態では、高ドープ領域36の前または後にCBバス24を形成することもできる。
【0029】
[0035] 一例として、図2は、図1の断面図に対して垂直な、CB FETデバイス10の実施形態の断面図である。CB FETデバイス10は、CBバス24を含み、CBバス24は、CB層16のCB領域22をCB FETデバイス10の高ドープ領域36に電気的に結合する。更に具体的には、図2は垂直チャネルJFETデバイス60の実施形態を示す。図示する垂直チャネルJFETデバイス60のデバイス層14は、第2導電型を有するゲート領域62(例えば、p-ゲート領域)を含む。ゲート・コンタクト64(例えば、ゲート電極および/またはゲート端子)が、ゲート領域62上に配置されている。更に、デバイス・エピ層18Zは、垂直方向に(例えば、Y軸に沿って)突出または延出して、チャネル領域68およびゲート領域62の部分を含む隆起メサ構造(elevated mesa feature)66を形成する。加えて、図示のように、メサ構造66内部のチャネル領域68の上方に、ソース領域70が配置されている。ソース領域70は、基板層20およびソース領域70が一致する導電型を有するように、第1導電型を有する(例えば、n-ゲート領域)。ソース領域70の上方に、ソース・コンタクト72(例えば、ソース電極および/またはソース端子)が直接配置されている。
【0030】
[0036] 動作において、ゲート・バイアスがゼロの間、ゲート領域62およびソース療育70はゼロの接合部電位(junction potential)を有するのはもっともである。即ち、例えば、ゲート領域62は、チャネル領域68がこの電位において形成されない(例えば、開放する)ように、メサ構造66内におけるチャネル領域68を枯渇させることができる。更に具体的には、ゲート領域62は、ソース領域70からドレイン・コンタクト76への電子の流れを消失させる(pinch off)ことができる。しかしながら、オン状態動作の間、適切なゲート電圧(例えば、垂直チャネルJFETデバイス60の閾値電圧(VTH)以上)が、導通路を形成するチャネル領域68におけるキャリアの蓄積をし易くし、電流がドレイン・コンタクト76(例えば、ドレイン電極、ドレイン端子)からソース・コンタクト72(例えば、ソース電極、ソース端子)に流れることを可能にする。
【0031】
[0037] これより図3Aに移ると、CBバス24を含む水平チャネルJFETデバイス80A(例えば、CB FETデバイス10)の第1実施形態の断面図が示されている。図示する水平チャネルJFETデバイス80Aのデバイス層14は、第2導電型を有し、デバイス・エピ層18Z内に配置された第1ゲート領域62A(例えば、p-ゲート領域)を含む。第1ゲート領域62Aの一部の上に、ゲート・コンタクト64(例えば、ゲート電極および/またはゲート端子)が配置されている。更に、ゲート・コンタクト64と接触する部分から離れた、第1ゲート領域62Aの他の部分の上方に、チャネル領域68が直接配置されている。図示のように、チャネル領域68は第1導電型を有する。更に、チャネル領域68の上方にソース領域70が直接配置されており、第1導電型を有する。加えて、チャネル領域68の上方に、第2導電型を有する第2ゲート領域62Bが直接配置され、第2ゲート領域62Bはソース領域70から離れている。ソース・コンタクト72(例えば、ソース電極および/またはソース端子)が、ソース領域70および第2ゲート領域62B双方の上方に直接配置され、これらと接触する。ある実施形態では、ソース・コンタクト72は、加えて、チャネル領域68と接触してもよい。ソース・コンタクト72は第2ゲート領域62Bの上方に配置されているので、ソース・コンタクト72を追加ゲート・コンタクト64と呼んでもよい。
【0032】
[0038] 図3Bは、CBバス24を含む水平チャネルJFETデバイス80B(例えば、CB FETデバイス10)の第2実施形態の断面図である。水平チャネルJFETデバイス80Aの第1実施形態を参照して先に説明したように、水平チャネルJFETデバイス80Bの第2実施形態は、第1ゲート領域62A、第2ゲート領域62B、チャネル領域68、およびソース領域70をデバイス層14内に含む。加えて、水平チャネルJFETデバイス80Bの第2実施形態は、ゲート・コンタクト64とソース・コンタクト72とを含む。しかしながら、これらの構造のレイアウトは、水平チャネルJFETデバイス80Aの第1実施形態と、水平チャネルJFETデバイス80Bの第2実施形態との間で異なる。このため、図示する水平チャネルJFETデバイス80Bの第2実施形態のデバイス層14は、デバイス・エピ層18Z内に配置されたチャネル領域68を含む。更に、第2導電型を有する第1ゲート領域62A(例えば、p-ゲート領域)は、チャネル領域68の上方に直接配置されている。ゲート・コンタクト64(例えば、ゲート電極および/またはゲート端子)は、第1ゲート領域62A上に配置されている。更に、デバイス層14は、デバイス層14Z内のチャネル領域68の下に配置された第2ゲート領域62Bを含み、一方ソース領域70はチャネル領域68の上側部分に配置されている。加えて、ソース・コンタクト72(例えば、ソース電極および/またはソース端子)が、ソース領域70および第2ゲート領域62Bの上方に直接配置されている。したがって、ソース・コンタクト72は、第2ゲート領域62B、ソース領域70、およびチャネル領域68の各々と直接接触する。
【0033】
[0039] 水平チャネルJFETデバイス80Aの第1実施形態のレイアウトは、水平チャネルJFETデバイス80Bの第2実施形態とは異なるが、2つのデバイスの動作は実質的に同様である。例えば、ゼロ・ゲート・バイアスにおいて、各デバイス(例えば、80Aおよび80B)の第1ゲート領域62Aおよび第2ゲート領域62Bは、ゼロ・バイアスp/n接合部枯渇によって、チャネル領域68を枯渇させ、チャネル領域68を消失させる。即ち、例えば、チャネル領域68は、ゲート・バイアスが印加されないと電流がチャネル領域68を流れないように、ゼロの接合部電位を有するのでもよい。しかしながら、オン状態動作の間、第1ゲート領域62Aおよび第2ゲート領域62Bの各々において適したゲート電圧があると、チャネル領域68を横切るキャリアの蓄積および横方向(例えば、X軸に沿った)の流れを促進することができる。更にまた、チャネル領域68におけるキャリアの流れは、ドレイン・コンタクト76からソース・コンタクト72に電流が流れることを可能にする導通路を形成する。更に、ソース・コンタクト72は第2ゲート領域62Bと直接接触するので、第1ゲート領域62および第2ゲート領域62には異なるバイアスをかけられること、そしてオン状態動作状態を作り出すために、第1ゲート領域62と第2ゲート領域62との間で、それぞれの適切なゲート電圧は異なっても同じでもよいことは認められてしかるべきである。
【0034】
[0040] 図4は、CBバス24を含む垂直チャネル金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)デバイス90(例えば、CB FETデバイス10)の実施形態の断面図である。CBバス24は、CB層16のCB領域22を阻止接合部92の一部(例えば、高ドープ領域36)に電気的に結合する。図示のように、阻止接合部92は、高ドープ領域36とデバイス・エピ層18Zとの間の界面(例えば、交差面)であってもよい(例えば、第2導電型を有する領域と第1導電型を有する領域との間)。阻止接合部92は、デバイス・エピ層18Z内におけるトレンチ構造94の底部に配置されている。ゲート金属98と高ドープ領域36との間に、オーム・コンタクト96(例えば、オーム接続)が形成される。更に具体的には、ゲート金属98の側壁およびチャネル領域68の側壁が、トレンチ構造94の間に配置されたメサ構造93内に、ショットキ・コンタクト100(例えば、ショットキ・バリア)を形成する。更に、ソース領域70がチャネル領域68の上方に直接配置されている。ソース・コンタクト72は、ソース領域70の上方に直接配置されている。
【0035】
[0041] 図示するデバイス90の動作中、ゲート・バイアスが印加されないと、ゲート領域62およびソース領域70はゼロの接合部電位を有する。即ち、例えば、ゲート領域62、更に具体的には、ショットキ・コンタクト100は、ゼロ・バイアスp/n接合部枯渇によって、チャネル領域68を枯渇させ、チャネル領域68を消失させ、チャネル領域68において電子の流れを阻止または防止する。更に具体的には、ショットキ・コンタクト100は、通常状態では、ソース領域70からドレイン・コンタクト76への電子の流れを消失させる。しかしながら、オン状態動作の間、適切なゲート電圧(例えば、垂直チャネルJFETデバイス60の閾値電圧(VTH)以上)があれば、チャネル領域68におけるキャリアの蓄積を促進し、ドレイン・コンタクト76(例えば、ドレイン電極、ドレイン端子)からソース・コンタクト72(例えば、ソース電極、ソース端子)に電流が流れることを可能にする導通路を形成する。
【0036】
[0042] 更に、図2図4に示したCB FETデバイス10の実施形態(例えば、60、80A、80B、および/または90)の各々において、CBバス24は、CB領域22の少なくとも一部を高ドープ領域36(例えば、ゲート領域62および/または阻止接合部92の一部)に電気的に接続し、高ドープ領域36は、端子(例えば、ゲート・コンタクト64、ソース・コンタクト72、本体コンタクト等)に電気的に結合されている。このために、CB領域22のその部分が、CBバス24を通じて、デバイス端子に電気的に結合されている。したがって、動作の間、CBバス24は、総じて、スイッチング損失を低減させ、CB FETデバイス10の最大スイッチング速度を高める。具体的には、ゲート領域62および/または阻止接合部92の一部からのキャリアは、オフ状態(例えば、阻止状態)からオン状態(例えば、導通状態)へのCB FETデバイス10の遷移の間に、CBバス24を通じてCB領域22に直接流れることができ、同様に、CB領域22からのキャリアは、オン状態からオフ状態へのCB FETデバイス10の遷移の間、CBバス24を通じて、ゲート領域62および/または阻止接合部92の部分に直接流れることができる。したがって、オフ状態からオン状態へのCB FETデバイス10の遷移の間には、導通経路を一層急速に形成することができ、オン状態からオフ状態へのCB FETデバイス10の遷移の間には、導通経路を一層急速に消失させる(例えば、閉鎖する)ことができる。
【0037】
[0043] 図5は、本明細書において説明した実施形態にしたがって、垂直JFETデバイス60、水平チャネルJFETデバイス80(例えば、80Aおよび/または80B)、および/またはその垂直チャネルMESFETデバイス90のような、CBバス24を有するCB FETデバイス10の実施形態を製造するプロセス110のフロー・チャートである。以下のプロセス110の説明は、特定の実施形態を表す特定の順序で記載されるが、プロセス110は任意の適した順序で実行できることは注記してしかるべきである。更に、特定のステップを繰り返すこと、または纏めて飛ばすこともでき、更に追加のステップをプロセス110に含めることもできる。図1図4に示したCB FETデバイス10の実施形態を参照しながら、以下のプロセス110の説明を記載する。
【0038】
[0044] 図示するプロセス110は、下地層上にエピ層18を形成する(ブロック112)ことから開始する。ある実施形態では、下地層は半導体基板層18を含んでもよい。先に説明したように、基板層18は、シリコン、炭化硅素(SiC)、窒化ガリウム、ダイアモンド、窒化アルミニウム、および/または窒化硼素で作ることができる。あるいは、エピ層は、他のエピ層18および/またはCB層16上に形成されてもよい。これについては以下で更に詳しく説明する。
【0039】
[0045] 下地層上に第1エピ層18Aを形成するために、化学蒸着法(CVD)を使用して、エピ層18Aを成長させることができる。しかしながら、ある実施形態では、任意の適した技法を使用して、下地層上にエピ層18Aを成長させてもよい。エピ層18Aは、炭化硅素、窒化ガリウム、ダイアモンド、窒化アルミニウム、および/または窒化硼素のような、1つ以上の広バンドギャップ半導体材料で形成することができる。更に、先に論じたように、エピ層18Aは第1導電型(例えば、n-型)を有し、更にCB FETデバイス10の他の領域(例えば、CB領域22、ゲート領域62、ソース領域70等)に対して低いドーパント濃度を有してもよい。
【0040】
[0046] エピ層18を下地層上に形成した後、図示するプロセス110は先に進んで、CB層16Aをエピ層18A内に注入する(ブロック114)。更に具体的には、エピ層18Aに対して逆極性にドープされた1組みのCB領域22Aを、エピ層18A内に注入して、第1CB層16Aを形成する。先に説明したように、1組のCB領域22Aの各々は、立方センチメートル(cm)あたり1×1018以下および/または立方センチメートル(cm)あたり2×1016以上のドーピング濃度を有してもよい。更に具体的には、ある実施形態では、1組のCB領域22Aの各々にはドーパント濃度の可変分布で注入を行うことができるので、CB領域22は、平方センチメートル(cm)あたり約(例えば、±20%および/または±50%の)2×1013の集積電荷(例えば、投与量)を有すると記述してもよい。集積電荷は、部分的に、1組のCB領域22Aが注入される深さ、および/または1組のCB領域22Aを注入するために使用される注入加速エネルギに基づいて、決定および/または調節することができる。更に、1組のCB領域22Aは、任意の適した手段(例えば、高エネルギ注入、もっと低いエネルギ注入)にしたがって注入してもよい。例えば、ある実施形態では、1組のCB領域22Aを注入する前に、エピ層18Aの少なくとも一部の上にマスクを形成することができる。マスクは、酸化硅素、窒化硅素、多結晶シリコン、シリコン、金属層、レジスト層、またはこれらの適した組み合わせで形成することができる。更にまた、任意の適した手段を使用してマスクを形成してもよい。即ち、例えば、マスクはエピ層18Aの一部の上に直接堆積、成長、および/またはコーティングしてもよい。更に、一旦マスク材料をエピ層18Aの表面上に堆積した後、マスク材料をパターニングし(例えば、リソグラフによるパターニング)エピ層18Aの一部を露出または表出させることによって、マスクを形成することができる。次いで、エピ層18Aの露出された部分を通して、1組のCB領域22Aを選択的に注入することができ、次いでマスクを除去してもよい。
【0041】
[0047] ある実施形態では、標準的な低エネルギ注入技法によって、1組のCB領域22Aを注入してもよい。例えば、1μm以下の深さまで1組のCB領域22Aを注入するのでもよい。したがって、500keV未満の注入エネルギを使用して、CB領域22Aの各々を注入することもできる。しかしながら、ある実施形態では、適した高エネルギ・イオン注入技法にしたがって、1組のCB領域22Aを注入してもよい。したがって、CB領域22Aの各々は、エピ層18A内に、約5μmよりも大きい深さおよび/または約15μmよりも小さい深さまで、注入してもよい。更にまた、500keVよりも大きい注入エネルギおよび/または50MeVよりも小さい注入エネルギを使用して、CB領域22Aの各々を注入してもよい。したがって、以上で説明したマスクは、高エネルギ・イオン注入と併せて使用される高エネルギ注入マスク(例えば、絶縁物上シリコン(SOI)、ポリシリコン、厚い酸化硅素、プラチナ、モリブデン、金のような高Z金属)にしてもよい。
【0042】
[0048] CB層16Aをエピ層18Aに注入した後、CB FETデバイス10に追加のCB層16(例えば、16B)を構築する(construct)ため(判断ブロック116)、図示するプロセス110の第1部分(例えば、ブロック112およびブロック114)を、任意の適した回数だけ繰り返すことができる。例えば、図1図4のCB FETデバイス10の図示する実施形態は、2つのCB層16(例えば、16Aおよび16B)を含む。したがって、このような実施形態では、注入されたCB層16A上に追加のエピ層18Bを形成する(ブロック112)ができ、追加のエピ層18Bに追加のCB層16Bを注入する(ブロック114)ことができる。
【0043】
[0049] CB FETデバイス10に含ませるCB層16の各々が形成されたと判定した(ブロック116)後、プロセス110は先に進んで、最上位CB層16B(例えば、最後に注入されたCB層16B)上にデバイス・エピ層18Zを形成する(ブロック118)。ブロック112を参照して先に説明したように、任意の適した技法(例えば、CVD)にしたがってデバイス・エピ層18Zを形成することができる。デバイス・エピ層18Zは、炭化硅素、窒化ガリウム、ダイアモンド、窒化アルミニウム、および/または窒化硼素のような、1つ以上の広バンドギャップ半導体材料で形成することができる。更に、先に論じたように、デバイス・エピ層18Zは、第1導電型を有し、更にCB FETデバイス10の他の領域(例えば、CB領域22、ゲート領域62、ソース領域70等)に対して特定の低いドーパント濃度を有することができる。ある実施形態では、デバイス・エピ層18Zは、以前に形成された1つ以上のエピ層18(例えば、18Aおよび/または18B)と同じドーパント濃度を有してもよい。
【0044】
[0050] プロセス110の図示する実施形態では、次に、CBバス24をデバイス・エピ層18に注入する(ブロック120)ことができる。CBバス24は、高エネルギ注入技法を使用して、注入することができる。即ち、例えば、所望の深さ40を達成するために、約500keVと約60MeVとの間の注入加速エネルギによって、CBバス24を注入するのでもよい。したがって、ある実施形態では、CBバス24を注入するために、先に説明したように、高エネルギ注入マスクを使用してもよい(例えば、絶縁物上シリコン(SOI)、ポリシリコン、厚い酸化硅素、プラチナ、モリブデン、金のような高Z金属)。
【0045】
[0051] ある実施形態では、CBバス24が1つ以上のCB領域22に接続し、これらと電気的に結合するように、CBバス24を注入してもよい。したがって、CBバス24がCB領域22の少なくとも一部をデバイス層14の高ドープ領域36に電気的に結合するように、CBバス24がデバイス・エピ層18Zの少なくとも厚さ全体を貫通するように、CBバス24を注入してもよい。例えば、ある実施形態では、CBバス24がCB層16(例えば、16Aおよび16B)の各々の厚さ30の少なくとも一部を貫通するように、CBバス24を深さ40まで注入してもよい。代わりに、CBバス24がCB層16の部分集合の厚さの少なくとも一部を貫通するような深さまで、CBバス24を注入するのでもよいことは、注記してしかるべきである。即ち、例えば、CBバス24は、注入されたCB層16の各々を貫通しなくても、またはこれと接触しなくてもよい。更に、先に説明したように、CBバス24の幅42によっては、CBバス24は、C Bバス24が接触するそれぞれのCB層16(例えば、それぞれ、16Aおよび/または16B)内でCB領域22(例えば、22Aおよび/または22B)の各々と接触しても、または接触しなくてもよい。
【0046】
[0052] CBバス24を注入した(ブロック120)後、プロセス110の図示する実施形態は、先に進んで、デバイス層14の残り部分を形成する(ブロック122)。先に説明したように、デバイス・エピ層18Zに加えて、デバイス層14は、図2および図3のゲート領域62および/または図4の阻止接合部92の一部のような、高ドープ領域36、図2図4のソース領域70、図2および図3のゲート領域62、および/またはCB FETデバイス10のあらゆる他の適した構造を含む。ある実施形態では、高ドープ領域36は、第2導電型(例えば、p-型)を有し、更にデバイス・エピ層18Zと比較して相対的に高いドーパント濃度を有してもよい。更に、高ドープ領域36は、任意の適した技法を使用して、デバイス層14内に形成されてもよい。したがって、高エネルギ・イオン注入技法および/または任意の適した注入技法を使用して、高ドープ領域36をデバイス・エピ層18Zに注入してもよい。
【0047】
[0053] 更にまた、デバイス層14の高ドープ領域36は、CBバス24に接触し、これに電気的に結合する。したがって、高ドープ領域36が注入される実施形態では、高ドープ領域36は、CBバス24の少なくとも一部と接触するように注入することができる。更に、ある実施形態では、CBバス24を注入する(ブロック120)前に、高ドープ領域36をデバイス・エピ層18Zに注入することもできる。したがって、CBバス24は、CB領域22の少なくとも一部と接触することに加えて、高ドープ領域36と接触するように注入することができる。ある実施形態では、本開示にしたがって、CB FETデバイス10の他の構造(例えば、ゲート領域62、ゲート・コンタクト64、ソース領域、ソース・コンタクト72、ドレイン・コンタクト76)を形成するために、他の処理ステップを続いて実行し、機能デバイスを形成することができる。
【0048】
[0054] プロセス110では、1つのステップでCBバス24を注入するように説明したが、代わりに、CBバス24を一連のステップで注入することもできる。即ち、例えば、図6におけるCB FETデバイス10の実施形態を製造するプロセス130のフロー・チャートに示すように、CBバス24の2つ以上の部分を、それぞれ、CB FETデバイス10を製作することに伴う異なるステップにおいて注入することもできる。プロセス130についての以下の説明は、特定の実施形態を表す特定の順序で記載するが、プロセス130は任意の適した順序で実行してもよいことは注記してしかるべきである。更に、特定のステップを繰り返すこと、または纏めて飛ばすこともでき、更に追加のステップをプロセス130に含めることもできる。
【0049】
[0055] プロセス130の図示する実施形態では、下地層上にエピ層18Aを形成し(ブロック132)、エピ層18AにCB層16Aを注入する(ブロック134)ことから開始する。これらについては、プロセス110を参照して先に説明した(例えば、それぞれ、ブロック112およびブロック122)。次いで、CBバス24の第1部分を、注入したCB層16Aの1組のCB領域22の内の少なくとも1つの厚さ30Aの少なくとも一部分に注入することができる(ブロック136)。ある実施形態では、CBバス24の第1部分は、高エネルギ注入技法にしたがって注入することができる。したがって、約500keVと約60MeVとの間の注入加速エネルギを採用してもよい。更に、プロセス110のブロック120を参照して先に説明したように、高エネルギ注入マスクを使用してもよい(例えば、絶縁物上シリコン(SOI)、ポリシリコン、厚い酸化硅素、プラチナ、モリブデン、金のような高Z金属)。しかしながら、CBバス24の一部のみを注入するので、ある実施形態では、図5の図示したプロセス110にしたがって1つのステップで注入されたCBバス24よりも狭い深さ(例えば、もっと低い注入加速エネルギを用いて)に、CBバス24を注入してもよい。
【0050】
[0056] 適した数のCB層16を形成するために、プロセス130の一部(例えば、ブロック132、ブロック134、およびブロック136)を1回以上繰り返すことができる。したがって、追加のCB層16Bを追加することを決定した(判断ブロック138)後、既に注入したCB層16Aの上に、第2エピ層18Bを形成することができ(ブロック132)、第2CB層16Bを注入することができる(ブロック134)。更に、図示のように、CBバス24の第2部分を注入することができる(ブロック136)。更に具体的には、ある実施形態では、CBバス24が第2CB層16Bの1組のCB領域22Bの少なくとも1つ、および第2エピ層18Bの厚さ28Bを貫通するように、CBバス24の第2部分を注入することができる。更にまた、CBバス24の第2部分が、既に注入したCBバス24の第1部分の少なくとも一部と接触するように、および/またはこれを貫通するように、第2部分を注入することができる。したがって、CBバス24の全厚さが、CBバス24の部分の各々の厚さの和以下となる場合もある。
【0051】
[0057] ある実施形態では、CBバス24の後続部分(例えば、第2部分、第3部分等)は、第2エピ層18Bの厚さ28B全体およびCBバス24の第1部分の厚さの一部を貫通するために、CBバス24の第1部分よりも大きな深さまで注入してもよい。したがって、CBバス24の第2部分を注入するために使用する注入加速エネルギは、CBバス24の第1部分を注入するために使用する注入エネルギよりも大きくてもよい。更に、CBバス24の第2部分の厚さは、CBバス24の第1部分の厚さよりも大きくてもよい。しかしながら、他の実施形態では、CBバス24の第2部分の厚さは、CBバス24の第1部分の厚さ以下でもよい。
【0052】
[0058] プロセス130に示すように、CB FETデバイス10の製作中に追加のCB層16を追加しないと決定した(判断ブロック138)後、デバイス・エピ層18Zを形成する(ブロック140)。プロセス110を参照して先に説明したように、デバイス・エピ層18Zは、CVDのような、任意の適した技法にしたがって形成することができる。更にまた、デバイス・エピ層18Zは、炭化硅素、窒化ガリウム、ダイアモンド、窒化アルミニウム、および/または窒化硼素のような、1つ以上の広バンドギャップ半導体材料で形成することができる。
【0053】
[0059] デバイス・エピ層18Zを形成した後、プロセス130は先に進んで、CBバス24の最終部分を注入することができる(ブロック142)。CBバス24の最終部分は、デバイス・エピ層18Zの厚さの少なくとも一部、および最上位のCB層16Bの厚さの少なくとも一部を貫通して、CBバス24の既に注入した部分(例えば、第2部分)の少なくとも一部と接触するように、CBバス24の最終部分を注入することができる。したがって、CBバス24の総厚さは、CBバス24の既に注入した部分(例えば、第1部分および第2部分)の各々の厚さおよびCBバス24の最終部分の厚さの和以下となる場合もある。
【0054】
[0060] ある実施形態では、次に、デバイス層14(例えば、デバイス層14の残り部分)を形成することができる(ブロック144)。先に説明したように、デバイス層14の形成は、CBバス24に電気的に結合されるように、高ドープ領域36を形成することを伴う。したがって、高ドープ領域36は、CBバス24の少なくとも一部(例えば、最終部分)と接触するように注入してもよい。続いて、CB FETデバイス10の他の構造(例えば、ゲート領域62、ゲート・コンタクト64、ソース領域、ソース・コンタクト72、ドレイン・コンタクト76)を形成するために、本開示にしたがって他の処理ステップを実行し、機能デバイスを形成することができる。
【0055】
[0061] 尚、ある実施形態では、CBバス24の一部を注入する(ブロック136)のは、CB層16の形成中に選択的に実行してもよいことは注記してしかるべきである。更に具体的には、ある実施形態では、CBバス24の第1部分を注入する前に、任意の適した数のCB層16を形成することもできる(例えば、ブロック132およびブロック134を適した回数だけ繰り返せばよい)。このような実施形態では、CBバス24は、形成したCB層16の各々の厚さ全体を貫通しなくてもよい。即ち、例えば、CBバス24は、最上位のCB層16Bの厚さの少なくとも一部を貫通するのでもよく、最下位のCB層16Aと接触しなくてもよい。任意の適した1つ以上のCB層16へのCBバス24の第1部分の注入に続いて、しかしながら、後続の各CB層16(例えば、16B)を形成した後、連続的な垂直CBバス24を生成または製作するように、CBバス24のそれぞれの追加部分を注入してもよい。あるいは、ある実施形態では、CBバス24のそれぞれの追加部分は、1組のCB層16を続いて形成した後に、注入してもよい。即ち、例えば、CBバス24の複数の部分を注入する回数を減らすまたは増やすことができるように、CBバス24の各注入部分の厚さを調節することもできる。
【0056】
[0062] 本発明の技術的効果は、CB FETデバイスの高い阻止電圧を維持しつつ、抵抗を低減し、CB FETデバイスのスイッチング速度を高めるCB FETデバイスの設計およびその製造方法を含む。具体的には、開示するCB FETデバイスは、CB FETデバイスの1つ以上のCB領域を、ゲート領域または阻止接合部の一部のような、1つ以上のCB領域と同じ導電型を有する高ドープ領域に電気的に結合するCBバスを含む。CBバスは、高エネルギ・イオン注入を使用して、注入することができる。したがって、結果的に得られるCB FETデバイスは、高い阻止電圧を維持しつつ、スイッチング速度を高め、スイッチング損失を低減することができる。
【0057】
[0063] この書面による説明は、本発明を開示するため、そして当業者が、任意のデバイスまたはシステムを製造するおよび使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含んで、本発明を実践することを可能にするために、最良の態様を含む例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定められ、当業者に想起される他の例も含むこともできる。このような他の例は、請求項の一語一句(literal language)違わない構造的エレメントを有する場合、または請求項の一語一句と実質的に違わない均等な構造的エレメントを含む場合、特許請求の範囲に該当することを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6