(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】組換えコラーゲンの局所製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/65 20060101AFI20230724BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230724BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20230724BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230724BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230724BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230724BHJP
C07K 14/78 20060101ALN20230724BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
A61K8/65
A61Q19/00
A61K38/39
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/10
C07K14/78 ZNA
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2021531127
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020025934
(87)【国際公開番号】W WO2020205848
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518346812
【氏名又は名称】ジェルター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブライトマン, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ロレスタニ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウズノフ, ニコライ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/071938(WO,A1)
【文献】特開2003-137807(JP,A)
【文献】特開2006-151847(JP,A)
【文献】特開2016-124798(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0024916(KR,A)
【文献】特表2020-535812(JP,A)
【文献】特開2003-277399(JP,A)
【文献】Journal of Cosmetic Dermatology,2018年,Vol.17,Page20-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99、
38/00-38/58
A61Q 1/00-90/00
A61P 17/00-17/18
C07K 1/00-19/00
BIOSIS/MEDLINE(STN)
CAplus(STN)
KOSMET(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚に対して化粧品の利点を提供する方法であって、天然に存在しない短縮型コラーゲンを前記皮膚に局所的に塗布することを含み、前記天然に存在しない短縮型コラーゲンがC末端およびN末端を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、前記アミノ酸配列が天然に存在するヒト21型コラーゲンのアミノ酸配列と比べて短縮されたアミノ酸配列であり、ここで、前記アミノ酸配列が配列番号16を含み、前記化粧品の利点が(i)皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャー、視覚テクスチャー、コラーゲン含有量、および/またはエラスチン含有量の増加;(ii)皮膚に存在する皮膚損傷、線、および/または皺、ならびに/あるいは、皮膚の紅斑または赤みの低減;(iii)皮膚の紫外線による損傷の予防または処置;(iv)損傷した皮膚の修復の促進;(v)都市部の粉塵への曝露の影響からの皮膚細胞の保護;(vi)皮膚におけるコラーゲン産生および/またはエラスチン産生の刺激;(vii)上記(i)~(vi)の2つ以上の任意の組み合わせ、からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、前記天然に存在するヒト21型コラーゲンと比べて、C末端、N末端で短縮されるか、内部で短縮されるか、または前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、前記天然に存在するヒト21型コラーゲンと比べて、前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、前記天然に存在するヒト21型コラーゲンと比べて、前記C末端で10アミノ酸から
212アミノ酸短縮され、および/または前記N末端で10アミノ酸から
558アミノ酸短縮される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、
187アミノ酸から900アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から800アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から700アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から600アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から500アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から400アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から300アミノ酸の長さ、
または187アミノ酸から200アミノ酸の長
さである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記皮膚の前記堅さが、キュートメーターを使用して測定した場合に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%増加する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚の前記弾力性が、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%増加する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記皮膚の前記弾力性が、1週間局所塗布した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも8%増加する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚の前記弾力性が、2週間局所塗布した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも25%増加する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚の前記弾力性が、2週間局所塗布した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも30%増加する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記皮膚の前記弾力性が、4週間局所塗布した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも100%増加する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記天然に存在しない短縮型コラーゲンが、前記皮膚に対して、0.1%w/wの前記天然に存在しない短縮型コラーゲンを含むフェイシャルセラムとして塗布される、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記皮膚の前記水分保持が、コルネオメーターで測定した場合に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%増加する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚の前記堅さが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記皮膚の前記弾力性が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記皮膚の前記明るさが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が、SIAscopeで測定した場合に、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、または少なくとも15%増加する、請求項1から請求項16に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が、2週間局所適用した後に少なくとも5%増加する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が、2週間局所適用した後に少なくとも7%増加する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が、4週間局所適用した後に少なくとも9%増加する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記皮膚の前記触覚テクスチャーが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚の前記視覚テクスチャーが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
皮膚に存在する前記線または皺が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に減少する、請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
皮膚に存在する前記線または皺が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に少なくとも10%減少する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記皮膚の前記紅斑が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に減少する、請求項1から請求項24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記皮膚の前記紅斑が、2週間局所塗布した後、専門の臨床的評点者によって判定される場合に、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも45%減少する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記皮膚の前記紅斑が、4週間局所塗布した後、専門の臨床的評点者によって判定される場合に、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも55%減少する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
皮膚細胞におけるコラーゲン産生を刺激する方法であって、天然に存在しない短縮型コラーゲンを前記皮膚細胞に局所的に塗布することを含み、前記天然に存在しない短縮型コラーゲンが、天然に存在するヒト21型コラーゲンのアミノ酸配列と比べて短縮されたアミノ酸配列であるか、またはそれを含むアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、ここで、前記アミノ酸配列が配列番号16を含み、前記ポリペプチドがC末端およびN末端を含み、前記天然に存在しない短縮型コラーゲンが短縮型ヒト21型コラーゲンである、方法。
【請求項29】
前記ポリペプチドが、前記天然に存在するヒト21型コラーゲンと比べて、C末端、N末端で短縮されるか、内部で短縮されるか、または前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリペプチドが、前記天然に存在するヒト21型コラーゲンと比べて、前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリペプチドが、前記天然に存在するヒト21型コラーゲンと比べて、前記C末端で10アミノ酸から
212アミノ酸短縮され、および/または前記N末端で10アミノ酸から
558アミノ酸短縮される、請求項28から請求項30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記短縮型コラーゲンが、
187アミノ酸から900アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から800アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から700アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から600アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から500アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から400アミノ酸の長さ、
187アミノ酸から300アミノ酸の長さ、
または187アミノ酸から200アミノ酸の長
さである、請求項28から請求項31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリペプチドが配列番号16によるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項
1から請求項32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記皮膚中の前記コラーゲンが、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%増加する、請求項28から請求項33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ポリペプチドと、水、油グリセレス-8エステルズ、グリセリン、ココナッツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、およびフェノキシエタノールからなる群から選択される1つまたは複数の追加の成分とを含む局所製剤であって、前記ポリペプチドが、天然に存在するヒト21型コラーゲンのアミノ酸配列と比べて短縮されたアミノ酸配列であるか、またはそれを含むアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、または、配列番号16のアミノ酸配列からなる、局所製剤。
【請求項36】
前記油が植物油である、請求項35に記載の局所製剤。
【請求項37】
前記短縮型ヒト21型コラーゲンが、海洋コラーゲンがヒト初代線維芽細胞に塗布された場合よりも、ヒト初代線維芽細胞に塗布された場合にエラスチン発現を高いレベルに上方制御する、請求項35から請求項36のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項38】
前記植物油がオリーブ油である、請求項36に記載の局所製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年4月1日に出願した米国仮出願第62/827,662号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
コラーゲンタンパク質および類似タンパク質は、生物圏において最も豊富なタンパク質である。コラーゲンは、動物および他の組織の皮膚、結合組織、および骨で見つかった構造タンパク質である。ヒトの場合、身体に存在するコラーゲンの量は総タンパク質の約3分の1であり、皮膚の乾燥重量の約4分の3を占める。
【0003】
天然コラーゲンの構造は、3つのポリペプチド鎖が一緒になってらせん状コイルを形成する三重らせんであり得る。個々のポリペプチド鎖は、GLY-X-Yとして示される反復トリプレットアミノ酸配列で構成されている。XおよびYは任意のアミノ酸であり得るが、最初のアミノ酸はグリシンである。アミノ酸のプロリンおよびヒドロキシプロリンがコラーゲン中に高濃度で確認されている。最も一般的なトリプレットは、コラーゲン中のトリプレットの約10.5%を占めている、グリシン-プロリン-ヒドロキシプロリン(Gly-Pro-Hyp)である。
【0004】
ゼラチンは、ある特定の(例えば天然の)コラーゲンを部分的に加水分解することによって得られる生成物である。典型的には、ゼラチンは、酸加水分解、アルカリ加水分解、および酵素加水分解によって、またはコラーゲンを水溶液中で熱に暴露することによって(例えば、動物の骨および皮膚を煮沸させること、魚のうろこを煮沸させることなどによって)生成される。
【0005】
ゼラチンは、化粧品、食品、医薬品、医療用デバイス、写真フィルム、接着剤、結合剤、および他の多くのものを含む、多数の製品で使用されている。ゼラチンの物理的性質および化学的性質は、特定の用途に合わせて調整される。これらの物理的/化学的性質としては、ゲル強度、融点温度、粘度、色、濁度、pH、等電点などが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
ある特定の実施形態では、様々なポリペプチド、そのようなポリペプチドを含む組成物、ならびにそのようなポリペプチドおよび/またはその組成物を使用する方法がある。ある特定の実施形態では、そのようなポリペプチドは、天然コラーゲン、例えば本明細書に記載されているような天然コラーゲンに比べて短縮された1つまたは複数のアミノ酸配列を含むような、天然には存在しないポリペプチドおよび/または組換えポリペプチドを含む。ある特定の事例では、そのようなポリペプチドは、本明細書では「短縮型コラーゲン」として記載されている。特定の実施形態では、ポリペプチドは、天然ヒトコラーゲンの1つまたは複数の(例えば、2つまたはそれより多くの)短縮型アミノ酸配列を含む。他の特定の実施形態では、ポリペプチドは、天然クラゲコラーゲンの1つまたは複数の(例えば2つまたはそれより多くの)短縮型アミノ酸配列を含む。一態様では、皮膚(例えば、個体、例えばヒトの皮膚)に利点を提供する(例えば、皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持(hydration)、触覚テクスチャー、または視覚テクスチャーを増加させる)方法が提供される。いくつかの実施形態での方法は、本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、本明細書に記載されているような、天然に存在しない短縮型コラーゲン)または製剤(例えば、これは天然に存在しない短縮型コラーゲンのようなポリペプチドを含む)を皮膚に局所的に塗布することを含む。
【0007】
ある特定の態様では、皮膚に存在する線もしくは皺を減少させるか、または皮膚の紅斑を減少させる方法が提供される。いくつかの実施形態での方法は、本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、本明細書に記載されているような、天然に存在しない短縮型コラーゲン)、またはその製剤を皮膚に局所的に塗布することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリペプチド、例えば、天然に存在しない短縮型コラーゲンを含む製剤もまた本明細書で提供される。
【0008】
ある特定の事例では、本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、短縮型コラーゲン)は、皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャー、および/または視覚テクスチャーを増加させることにおいて、またはそれらを増加させるために有用である。いくつかの事例では、本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、短縮型コラーゲン)は、皮膚に存在する線もしくは皺を減少させるか、または皮膚の紅斑を減少させることにおいて、またはそれらを減少させるために有用である。特定の実施形態では、ポリペプチド(例えば、短縮型コラーゲン)は、短縮型クラゲコラーゲン(例えば、天然に存在するクラゲコラーゲンの短縮型アミノ酸配列)であるか、またはそれを含む。他の特定の実施形態では、ポリペプチド(例えば短縮型コラーゲン)は、短縮型ヒトコラーゲン(例えば、天然に存在するヒトコラーゲンの短縮型アミノ酸配列)であるか、またはそれを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に開示されている方法において有用な)ポリペプチド(例えば、短縮型コラーゲン)は、天然(例えば、ヒトまたはクラゲ(ヒドロ虫))コラーゲンと比べて短縮型アミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの事例では、そのようなポリペプチドは、本明細書では、天然に存在しないコラーゲンと呼ばれる。特定の実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号25、配列番号27、および/または配列番号29のアミノ酸配列、またはそれらの相同体(例えば、それらに対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有する相同体)であるか、またはそれらを含む。より特定の実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号25、配列番号27、または配列番号29のアミノ酸配列、またはそれらの相同体(例えば、それらに対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有する相同体)である。
【0010】
ある特定の実施形態では、本明細書では組成物が提供される。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、本明細書に記載されている任意のポリペプチド(例えば、短縮型コラーゲンまたは天然に存在しないコラーゲン)を含む。一態様では、本明細書で提供されている任意のポリペプチド(例えば、短縮型コラーゲンまたは天然に存在しないコラーゲン)の任意の適切な量、例えば、0.005%~30%w/wを含む組成物が提供される。組成物は、賦形剤、局所用担体、または防腐剤を含む少なくとも1つの追加の成分をさらに含むことができる。
【0011】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されている組成物は、局所組成物、例えば、局所投与または局所使用のために製剤化される、および/または適切である組成物である。一態様では、本明細書では、個体の皮膚に(例えば、本明細書に記載されている)利点を提供するような方法であって、局所組成物を皮膚に局所投与することを含む、方法が提供される。特定の実施形態では、局所組成物は、皮膚損傷を減少させる、損傷を受けた皮膚の修復を促進する、または皮膚細胞によるコラーゲンの産生を刺激するための方法において使用される。ある特定の実施形態では、局所組成物は、皮膚におけるエラスチン産生を増加、促進、刺激、またはその他の形で増加させるための方法において使用される。
【0012】
一態様は、コラーゲンまたはコラーゲンを含む組成物を対象の皮膚に塗布する方法を提供する。
【0013】
本明細書で論じられているように、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されているポリペプチドは、天然(例えば、ヒトまたはクラゲ(ヒドロ虫))コラーゲンと比べて短縮型アミノ酸配列であるか、またはそれを含む。特定の実施形態では、そのようなポリペプチドは、短縮型コラーゲンである(例えば、天然コラーゲンと比べて1つまたは複数の短縮型アミノ酸配列を含む)。いくつかの実施形態では、短縮型コラーゲンは、クラゲコラーゲンまたはヒトコラーゲンである。様々な実施形態では、コラーゲンは、(例えば、天然コラーゲンに比べて)C末端、N末端で短縮されるか、内部で短縮されるか、またはC末端およびN末端の両方で短縮される。一実施形態では、コラーゲンは、C末端およびN末端の両方で(例えば、天然コラーゲンに比べて)短縮されている。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されているポリペプチドは、C末端、N末端での短縮化、および/または1つもしくは複数の内部短縮化を含むような、任意の適切な短縮化の短縮型コラーゲンであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲンの短縮化は、有利な結果(例えば、天然コラーゲンと比べて改善された結果、および/または天然コラーゲンと比べて追加された利点)を達成するため、ならびに/あるいはコラーゲンの1つまたは複数の有利な態様を保持しながら、コラーゲンの長さを短くするために適切である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されているポリペプチドは、コラーゲンの1つまたは複数の局所的な利点を保持するような方法で短縮されたコラーゲンであるか、またはそれを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、短縮型コラーゲン(そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書で提供されているポリペプチドの)は、C末端で、任意の適切な数のアミノ酸残基、例えば最大10、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400などのアミノ酸残基が短縮される。ある特定の実施形態では、短縮型コラーゲン(そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書で提供されているポリペプチドの)は、N末端で、任意の適切な数のアミノ酸残基、例えば最大10、10~900、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400などのアミノ酸残基が短縮される。いくつかの実施形態では、短縮型コラーゲン(そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書で提供されているポリペプチドの)は、任意の適切な数のアミノ酸残基、例えば最大10、10~900、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400などのアミノ酸残基が内部で短縮される。特定の実施形態では、短縮型コラーゲン(そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書で提供されているポリペプチドの)は、C末端で、10アミノ酸から800アミノ酸が短縮され、および/またはN末端で、10アミノ酸から800アミノ酸が短縮される。別の実施形態では、短縮型コラーゲン(そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書で提供されているポリペプチドの)は、10アミノ酸から900アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から800アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から700アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から600アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から500アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から400アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から300アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から200アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から100アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から50アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から800アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から700アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から600アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から500アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から400アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から300アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から200アミノ酸の間の長さ、または50アミノ酸から100アミノ酸の間の長さである。
【0015】
ある特定の実施形態では、本明細書では、ヒト(例えば、ヒト21型)コラーゲンのアミノ酸配列であるか、またはそれを含むポリペプチドが提供される。特定の実施形態では、短縮型ヒトコラーゲンは、短縮型ヒト21型コラーゲンである。様々な実施形態では、短縮化は、本明細書で提供されている任意の開示によるものである。特定の実施形態では、開示されている短縮型ヒト21型コラーゲンは、配列番号16(または、例えば、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、または本明細書で提供されている他の配列同一性を有するような、その相同体)である。様々な実施形態では、そのようなポリペプチドは、本明細書で提供されている任意の組成物、製剤、または方法で提供される。
【0016】
ある特定の実施形態では、本明細書では、クラゲ(ヒドロ虫)コラーゲンのアミノ酸配列であるか、またはそれを含むポリペプチドが提供される。様々な実施形態では、短縮化は、本明細書で提供されている任意の開示によるものである。特定の実施形態では、開示されている短縮型クラゲコラーゲンは、配列番号5(または、例えば、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、または本明細書で提供されている他の配列同一性を有するような、その相同体)である。様々な実施形態では、そのようなポリペプチドは、本明細書で提供されている任意の組成物、製剤、または方法で提供される。
【0017】
ある特定の実施形態では、本明細書では、ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されている短縮型コラーゲンであるか、またはそれを含むポリペプチド)を個体の皮膚に投与して、例えば、個体に、またはその皮膚に利点を提供することを含む方法が提供される。いくつかの事例では、皮膚に提供される利点は、皮膚の堅さの改善、皮膚の弾力性の改善、皮膚の水分保持の改善、皮膚のテクスチャーの改善、皮膚の明るさの改善、皮膚の皺の低減、皮膚の紅斑の低減、皮膚におけるコラーゲン産生の改善、皮膚におけるエラスチン産生の改善または増加、皮膚に対する抗酸化保護、皮膚の赤みの低減、もしくは他の利点、または本明細書で記載されているような利点の組合せである。様々な事例では、皮膚特性の改善、または本明細書で提供されている方法によって提供される利点は、任意の適切な方法で、例えば、計測手段の使用によって、または臨床医による評価によって決定される。一態様では、皮膚の堅さを増加させる方法が提供され、皮膚の堅さが少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、または75%増加される。一実施形態では、皮膚の堅さは、キュートメーター(cutometer)を使用して測定される。
【0018】
別の態様は、皮膚の弾力性を増加させる方法であって、皮膚の堅さが少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、または75%増加される、方法を提供する。一実施形態では、皮膚の弾力性は、キュートメーターを使用して測定される。
【0019】
別の態様では、皮膚の水分保持を増加させる方法であって、皮膚の水分保持が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、または75%増加する、方法が提供される。一実施形態では、皮膚の水分保持はコルネオメーター(corneometer)で測定される。
【0020】
一態様では、皮膚の堅さが増加される、皮膚の堅さを増加させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚の堅さは、専門の臨床的評点者によって判定される。
【0021】
一態様では、皮膚の弾力性が増加される、皮膚の弾力性を増加させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚の弾力性は、専門の臨床的評点者によって決定される。
【0022】
一態様では、皮膚の明るさが増加される、皮膚の明るさを増加させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚の明るさは、専門の臨床的評点者によって決定される。
【0023】
別の態様では、皮膚の触覚テクスチャーが増加される、皮膚の触覚テクスチャーを増加させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚の触覚テクスチャーは、専門の臨床的評点者によって決定される。
【0024】
一態様では、皮膚の視覚テクスチャーが増加される、皮膚の視覚テクスチャーを増加させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚の視覚テクスチャーは、専門の臨床的評点者によって決定される。
【0025】
一態様では、皮膚上に存在する線または皺が低減される、皮膚上に存在する線または皺を減少させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚上に存在する線または皺の量は、専門の臨床的評点者によって決定される。
【0026】
一態様では、皮膚の紅斑が低減される、皮膚の紅斑を減少させる方法が提供される。一実施形態では、皮膚の紅斑は専門の臨床的評点者によって決定される。
【0027】
別の態様は、皮膚細胞のコラーゲン産生を刺激する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、天然に存在しない短縮型コラーゲン、または天然に存在しない短縮型コラーゲンを含む製剤を皮膚に塗布することを含む。一実施形態では、短縮型クラゲコラーゲンまたは短縮型ヒトコラーゲンは、コラーゲン産生を刺激する。特定の実施形態では、短縮型ヒトコラーゲンは、配列番号16の短縮型ヒト21型コラーゲンである。別の特定の実施形態では、短縮型クラゲコラーゲンは、配列番号5の短縮型クラゲコラーゲンである。
【0028】
さらに別の態様は、皮膚のコラーゲンが、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%増加する、皮膚細胞におけるコラーゲン産生を刺激する方法を提供する。
【0029】
短縮型コラーゲンと、水、油グリセレス-8エステルズ、グリセリン、ココナッツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、EDTA二ナトリウム、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、およびフェノキシエタノールからなる群から選択される1つまたは複数の追加の成分とを含む局所製剤が開示されている。一実施形態では、短縮型コラーゲンは、短縮型クラゲコラーゲンまたは短縮型ヒトコラーゲンである。別の実施形態では、短縮型コラーゲンは、短縮型ヒト21型コラーゲンである。本明細書で開示されているさらに別の実施形態は、コラーゲンを含み、さらに植物油を含む局所製剤である。一実施形態では、植物油はオリーブ油である。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャー、コラーゲン含有量、エラスチン含有量を増加させ、赤みまたは視覚テクスチャーを低減する方法であって、天然に存在しない短縮型コラーゲンを前記皮膚に局所的に塗布することを含む(例えば、前記短縮型コラーゲンが、天然に存在するコラーゲン、例えば天然に存在するヒトまたはクラゲコラーゲンのアミノ酸配列と比べて短縮されたアミノ酸配列であるか、またはそれを含むアミノ酸配列を含むポリペプチドである)、方法。
(項目2)
皮膚に存在する線もしくは皺を減少させるか、または皮膚の紅斑を減少させる方法であって、天然に存在しない短縮型コラーゲンを前記皮膚に局所的に塗布することを含む(例えば、前記短縮型コラーゲンが、天然に存在するコラーゲン、例えば天然に存在するヒトまたはクラゲコラーゲンのアミノ酸配列と比べて短縮されたアミノ酸配列であるか、またはそれを含むアミノ酸配列を含むポリペプチドである)、方法。
(項目3)
前記天然に存在しない短縮型コラーゲンがヒトコラーゲンまたはクラゲコラーゲンである、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記短縮型コラーゲンがヒトコラーゲンである、項目1または3に記載の方法。
(項目5)
前記ヒトコラーゲンが、C末端、N末端で短縮されるか、内部で短縮されるか、または前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記ヒトコラーゲンが前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記コラーゲンが、前記C末端で10アミノ酸から800アミノ酸の間で短縮され、および/または前記N末端で10アミノ酸から800アミノ酸の間で短縮される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記短縮型コラーゲンが、10アミノ酸から900アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から800アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から700アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から600アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から500アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から400アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から300アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から200アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から100アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から50アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から800アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から700アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から600アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から500アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から400アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から300アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から200アミノ酸の間の長さ、または50アミノ酸から100アミノ酸の間の長さである、項目3から項目7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記コラーゲンが短縮型ヒト21型コラーゲンである、項目1から項目8のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記短縮型ヒト21型コラーゲンが配列番号16である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記皮膚の前記堅さが、キュートメーターを使用して測定した場合に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、または75%増加する、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記皮膚の前記弾力性が、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、または75%増加する、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記皮膚の前記弾力性が、1週間処置した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも8%増加する、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記皮膚の前記弾力性が、2週間処置した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも25%増加する、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記皮膚の前記弾力性が、2週間処置した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも30%増加する、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記皮膚の前記弾力性が、4週間処置した後、キュートメーターで測定した場合に、少なくとも100%増加する、項目12に記載の方法。
(項目17)
前記天然に存在しない短縮型コラーゲンが、前記皮膚に対して、0.1%w/wの前記天然に存在しない短縮型コラーゲンを含むフェイシャルセラムとして塗布される、項目13または16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記皮膚の前記水分保持が、コルネオメーターで測定した場合に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、または75%増加する、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目19)
前記皮膚の前記堅さが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目20)
前記皮膚の前記弾力性が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目21)
前記皮膚の前記明るさが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が、SIAscopeで測定した場合に、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%増加する、項目1から項目10に記載のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が2週間後に少なくとも5%増加する、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が2週間後に少なくとも7%増加する、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記皮膚の前記コラーゲン含有量が4週間後に少なくとも9%増加する、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記皮膚の前記触覚テクスチャーが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目27)
前記皮膚の前記視覚テクスチャーが、専門の臨床的評点者によって判定される場合に改善される、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目28)
皮膚に存在する前記線または皺が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に減少する、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目29)
皮膚に存在する前記線または皺が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に少なくとも10%減少する、項目28に記載の方法。前記皮膚の前記紅斑が、専門の臨床的評点者によって判定される場合に減少する、項目1から項目10のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記皮膚の前記紅斑が、2週間局所塗布した後、専門の臨床的評点者によって判定される場合に、少なくとも10%、20%、30%、40%、または45%減少する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記皮膚の前記紅斑が、4週間局所塗布した後、専門の臨床的評点者によって判定される場合に、少なくとも10%、20%、30%、40%、45%、50%、または55%減少する、項目29に記載の方法。
(項目32)
皮膚細胞におけるコラーゲン産生を刺激する方法であって、天然に存在しない短縮型コラーゲンを前記皮膚に局所的に塗布することを含む、方法。
(項目33)
前記天然に存在しない短縮型コラーゲンがヒトコラーゲンである、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記ヒトコラーゲンが、C末端、N末端で短縮されるか、内部で短縮されるか、または前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記ヒトコラーゲンが前記C末端と前記N末端の両方で短縮される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記コラーゲンが、前記C末端で10アミノ酸から800アミノ酸の間で短縮され、および/または前記N末端で10アミノ酸から800アミノ酸の間で短縮される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記短縮型コラーゲンが、10アミノ酸から900アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から800アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から700アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から600アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から500アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から400アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から300アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から200アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から100アミノ酸の間の長さ、10アミノ酸から50アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から800アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から700アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から600アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から500アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から400アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から300アミノ酸の間の長さ、50アミノ酸から200アミノ酸の間の長さ、または50アミノ酸から100アミノ酸の間の長さである、項目33から項目36のいずれかに記載の方法。
(項目38)
前記コラーゲンが短縮型ヒト21型コラーゲンである、項目32から項目37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
前記短縮型ヒト21型コラーゲンが配列番号16である、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記皮膚中の前記コラーゲンが、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%増加する、項目32から項目39のいずれかに記載の方法。
(項目41)
前記皮膚中の前記コラーゲンが、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%増加する、項目32から項目39のいずれかに記載の方法。
(項目42)
短縮型ヒト21型コラーゲンと、水、油グリセレス-8エステルズ、グリセリン、ココナッツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、EDTA二ナトリウム、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、およびフェノキシエタノールからなる群から選択される1つまたは複数の追加の成分とを含む局所製剤。
(項目43)
前記短縮型ヒト21型コラーゲンが配列番号16である、項目42に記載の局所製剤。
(項目44)
前記油が植物油、好ましくはオリーブ油である、項目42または項目43に記載の局所製剤。
(項目45)
前記短縮型ヒト21型コラーゲンが、海洋コラーゲンがヒト初代線維芽細胞に塗布された場合よりも、ヒト初代線維芽細胞に塗布された場合にエラスチン発現を高いレベルに上方制御する、項目43または項目44に記載の局所製剤。
(項目46)
短縮型クラゲコラーゲンと、水、油グリセレス-8エステルズ、グリセリン、ココナッツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、EDTA二ナトリウム、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、およびフェノキシエタノールからなる群から選択される1つまたは複数の追加の成分とを含む局所製剤。
(項目47)
前記短縮型クラゲコラーゲンが配列番号5である、項目46に記載の局所製剤。
(項目48)
前記油が植物油、好ましくはオリーブ油である、項目46または項目47に記載の局所製剤。
【0030】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および長所についてのより良い理解は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を説明する下記の詳細な説明、およびその添付図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)の線維芽細胞におけるコラーゲン1型タンパク質分泌に対する効果を示す図である。
【0032】
【
図2A】
図2Aは、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置された線維芽細胞におけるコラーゲン1型mRNAの発現を示す図である。
【0033】
【
図2B】
図2Bは、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置された線維芽細胞におけるエラスチンmRNAの発現を示す図である。
【0034】
【
図2C】
図2Cは、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置された線維芽細胞におけるフィブロネクチンmRNAの発現を示す図である。
【0035】
【
図3】
図3は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置されたヒト初代ケラチノサイトにおけるIL-1aの発現を示す図である。
【0036】
【
図4】
図4は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)の抗酸化能を示す図である。
【0037】
【
図5】
図5は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置されたUVB照射ケラチノサイトの生存率を示す図である。
【0038】
【
図6】
図6は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後の皮膚の弾力性を示す図である。
【0039】
【
図7】
図7は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後の皮膚コラーゲン含有量を示す図である。
【0040】
【
図8】
図8は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後の皮膚の赤みの定量化を示す図である。
【0041】
【
図9】
図9は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型ヒトコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後の皮膚の皺の定量化を示す図である。
【0042】
【
図10】
図10は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置したヒト皮膚組織モデルによるコラーゲン1型タンパク質の分泌を示す図である。
【0043】
【
図11】
図11は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置したケラチノサイトにおけるUVB誘導性TT二量体を示す図である。
【0044】
【
図12】
図12は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した、UVB照射後のケラチノサイト生存率を示す図である。
【0045】
【
図13】
図13は、都市部の粉塵と本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した場合の細胞生存率を示す図である。
【0046】
【
図14】
図14は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後にUVBにより誘導されるIL-1aの相対的発現を示す図である。
【0047】
【
図15】
図15は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)の抗酸化能を示す図である。
【0048】
【
図16】
図16は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後の皮膚の水分保持を示す図である。
【0049】
【
図17】
図17は、本明細書で提供されている例示的なポリペプチド(短縮型クラゲコラーゲンアミノ酸配列を含む)で処置した後の皮膚の弾力性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
説明
以下の説明において、ある特定の具体的な詳細が、本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために示されている。しかし、当業者には、この開示がこれらの詳細を介さずに実施され得ることは理解されよう。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語の「約」とは、一般に、±10%を意味する。
【0052】
用語の「からなる」とは、「を含み、限定される」ことを意味する。一般に、「含む」の開示には、「からなる」の開示が含まれる。
【0053】
用語の「から本質的になる」とは、追加の成分、ステップ、および/または部分が、特許請求の範囲の組成物、方法、または構造の基本特性および新規特性を実質的に変えない場合に限って、組成物、方法、または構造が追加の成分、ステップ、および/または部分を含み得ることを意味する。一般に、「含む」の開示には、「から本質的になる」の開示が含まれる。
【0054】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」には、文脈が明白に他のことを示さない限り、複数の言及が含まれる。例えば、用語の「化合物」または「少なくとも1つの化合物」とは、それらの混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
【0055】
この文書全体にわたって、本開示の様々な実施形態は、範囲形式で示すことができる。範囲形式での説明は、単に便宜上および簡潔性のためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されないものとすることについて理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての考えられるサブ範囲を詳細に開示していると考えるものとする。例えば、1から6のような範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などのサブ範囲と、その範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、および6などが詳細に開示されていると考えるものとする。これは、範囲の幅に関係なく塗布される。
【0056】
数値の範囲が本明細書で示される場合は、常に、示された範囲内の任意の引用された数字(分数または整数)を含むことを意味する。第1の表示数値と第2の表示数値「の間に及ぶ/の間を範囲とする」という句と、第1の表示数値「から」第2の表示数値「まで及ぶ/までを範囲とする」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1の表示数値および第2の表示数値、ならびにその間のすべての分数および整数を含むことを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合の用語「コラーゲン」または「コラーゲン様」とは、いくつかの事例では、1つまたは複数のコラーゲンまたはコラーゲン様ポリペプチドと結合して四次構造を形成することができる(例えば単量体の)ポリペプチドを意味する。コラーゲンの非限定的な例には、ヒト21型アルファ1コラーゲン(例えば配列番号31)、ヒト1型、アルファ2コラーゲン(例えば配列番号32)、およびクラゲ(ヒドロ虫)コラーゲン(例えば配列番号33)が含まれる。いくつかの事例では、コラーゲンは、酸、塩基、または熱で処理してゼラチンを調製することができる。天然コラーゲンの四次構造は、典型的には3つのポリペプチドから構成される、三重らせんであるが、本明細書で提供されている「短縮型コラーゲン」または「短縮型コラーゲン」を含むポリペプチドはそのような四次構造を有していても、有していなくてもよく、また必ずしもそのような四次構造を有しているわけではないことに留意されたい。ある特定の例では、天然コラーゲンを形成する3つのポリペプチドのうち、2つは通常同一であり、アルファ鎖と呼ばれる。第3のポリペプチドは、ベータ鎖と呼ばれる。ある特定の事例では、典型的な天然コラーゲンは、AABとして呼ぶことができ、コラーゲンは、2つのアルファ(「A」)鎖および1つのベータ(「B」)鎖から構成されている。ある特定の事例では、本明細書で提供されている「短縮型コラーゲン」を含むポリペプチドは、そのような構造エレメントを有していてもよく、有していなくてもよい。用語「コラーゲン」または「コラーゲン様」とは、アルファ鎖ポリペプチド、ベータ鎖ポリペプチド、またはアルファ鎖ポリペプチドとベータ鎖ポリペプチドの両方を意味し得る。本明細書で使用される場合の用語「プロコラーゲン」とは、一般に、天然に存在するコラーゲンにプロセシングすることができる細胞によって産生されるポリペプチドを意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合の用語「発現ベクター」または「ベクター」とは、一般に、外因性遺伝子の発現を方向づけることが可能な核酸アセンブリを意味する。発現ベクターは、外因性遺伝子に作動可能に連結されているプロモーター、制限エンドヌクレアーゼ部位、1つまたは複数の選択マーカーをコードする核酸、および組換え技術の実施に有用である他の核酸を含み得る。
【0059】
本明細書で使用される場合の用語「線維芽細胞」とは、一般に、プロコラーゲンおよび他の構造タンパク質を合成する細胞を意味する。線維芽細胞は、体内に広く分布しており、皮膚、結合組織、および他の組織で確認されている。
【0060】
用語「蛍光タンパク質」とは、一般に、外因性ポリヌクレオチドの発現のレポーターとして使用される遺伝子工学技術において使用することができるタンパク質を意味する。このタンパク質は、紫外線または青色光に暴露された場合に蛍光を発し、明るい可視光を放出する。緑色光を放出するタンパク質には緑色蛍光タンパク質(GFP)が含まれ、赤色光を放出するタンパク質には赤色蛍光タンパク質(RFP)が含まれる。
【0061】
本明細書で使用される場合の用語「ゼラチン」とは、一般に、酸、塩基、または熱に曝露することによってさらに処理されたコラーゲンを意味する。いくつかの事例では、ゼラチン溶液は、食品、化粧品、医薬品、工業製品、医療品、実験室用増殖培地、および他の多くの用途において使用される可逆ゲルを形成する。
【0062】
本明細書で使用される場合の用語「遺伝子」とは、一般に、特定のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを意味し、またそれはコード領域単独を意味していてもよく、コード配列の前の制御配列(5’非コード配列)および後の制御配列(3’非コード配列)を含んでいてもよい。
【0063】
用語「ヒスチジンタグ」とは、一般に、組換えポリペプチド上の2~30個の連続する一連のヒスチジン残基を意味する。
【0064】
用語「宿主細胞」とは、一般に、導入された外因性ポリヌクレオチドを発現するように操作された細胞を意味する。
【0065】
用語「ケラチノサイト」とは、一般に、皮膚の表皮層で確認されるケラチンを産生する細胞を意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合の用語「ラクタマーゼ」とは、一般に、ラクタム(環状アミド)部分を含む抗生物質を加水分解する酵素を意味する。「ベータ-ラクタマーゼ」または「β-ラクタマーゼ」は、β-ラクタム部分を含む抗生物質を加水分解する酵素である。
【0067】
本明細書で使用される場合の用語「天然に存在しない」とは、通常は自然界では見つからない、遺伝子、ポリペプチド、またはタンパク質、例えばコラーゲンを意味する。天然に存在しないコラーゲンは、組換え的に調製することができる。天然に存在しないコラーゲンは、組換えコラーゲンであり得る。天然に存在しないコラーゲンは、一実施形態では、短縮型コラーゲンである。他の天然に存在しないコラーゲンポリペプチドには、キメラコラーゲンが含まれる。キメラコラーゲンは、コラーゲンポリペプチドの一部が第2のコラーゲンポリペプチドの一部に隣接するポリペプチドである。例えば、ヒトコラーゲンの一部に隣接するクラゲコラーゲンの一部を含むコラーゲン分子は、キメラコラーゲンである。別の実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、分泌タグ、ヒスチジンタグ、緑色蛍光タンパク質、プロテアーゼ切断部位、GEKリピート、GDKリピート、および/またはベータ-ラクタマーゼなどの追加のアミノ酸を含む融合ポリペプチドを含む。
【0068】
一般に、例えば特定のアミノ酸配列を有する、本明細書で提供されているコラーゲンまたは短縮型コラーゲンの開示は、正確なアミノ酸配列およびそれらの相同体を有しているかまたは含んでいるポリペプチドを含む。いくつかの事例では、本明細書で提供されているアミノ酸配列の相同体は、より長い配列またはより短い配列を有していてもよく、またそのようなアミノ酸配列の1つもしくは複数のアミノ酸残基の置換を有していてもよい。そのような相同体は、例えば本明細書で提供されている量で、列挙した配列に対して特定の配列同一性を有する。同一性パーセントを評価する目的などにおける配列同一性は、限定するものではないが、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで入手可能なEMBOSS Needle aligner、必要に応じてデフォルト設定、を参照)、BLASTアルゴリズム(例えば、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで入手可能なBLASTアラインメントツール、必要に応じてデフォルト設定、を参照)、またはSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlで利用可能なEMBOSS Waterアライナー、必要に応じてデフォルト設定、を参照)を含む、任意の適切なアラインメントアルゴリズムによって測定することができる。最適なアラインメントは、デフォルトパラメーターを含む、選択したアルゴリズムの任意の適切なパラメーターを使用して評価することができる。いくつかの場合には、天然に存在しないコラーゲンは、本明細書に開示されている配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し得る。
【0069】
用語「プロテアーゼ切断部位」とは、一般に、特定のプロテアーゼによって切断されるアミノ酸配列を意味する。
【0070】
用語「分泌タグ」または「シグナルペプチド」とは、一般に、宿主細胞の細胞機構を動員して、発現タンパク質を宿主細胞の特定の位置または細胞オフガネラに輸送するアミノ酸配列を意味する。
【0071】
用語「短縮型コラーゲン」とは、一般に、完全長コラーゲンの1つまたは複数の部分が存在しない、完全長コラーゲンよりも小さい単量体ポリペプチドを意味する。コラーゲンポリペプチドは、C末端、N末端で短縮されるか、完全長コラーゲンポリペプチドの内部部分(単数または複数)の除去によって短縮されるか(例えば、内部短縮化)、またはC末端とN末端の両方で短縮される。非限定的な実施形態では、短縮型ヒトコラーゲンは、配列番号16に記載のアミノ酸配列、またはその相同体を含み得る。別の非限定的な例では、短縮型クラゲコラーゲンは、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその相同体を含み得る。一般に、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、天然コラーゲンもしくは完全長コラーゲンの機能と類似もしくは実質的に類似した機能を有し、および/または天然コラーゲンもしくは完全長コラーゲンの機能と類似もしくは実質的に類似した利点(例えば、本明細書で提供されているような)を提供し得る。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、天然コラーゲンまたは完全長コラーゲンと比較して、機能および/または利点(例えば、本明細書で提供されているような)を改善する、または増加させることができる。
【0072】
アミノ酸位置に関して使用される場合、「短縮化」とは、前記アミノ酸位置を包含する。例えば、完全長タンパク質のアミノ酸100位でのN末端短縮化は、完全長タンパク質のN末端からの100アミノ酸の短縮化を意味する(すなわち、短縮型タンパク質は、完全長タンパク質のアミノ酸1位から100位が欠失している)。同様に、完全長タンパク質(1000アミノ酸完全長タンパク質を想定)のアミノ酸901位でのC末端短縮化は、C末端からの100アミノ酸の短縮化を意味する(すなわち、短縮化タンパク質は、完全長タンパク質のアミノ酸901位から1000位が欠失している)。同様に、アミノ酸101位および200位での内部短縮化は、完全長タンパク質の100アミノ酸の内部短縮化を意味する(すなわち、短縮型タンパク質は、完全長タンパク質のアミノ酸101位から200位が欠失している)。
【0073】
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、アミノ酸、硫酸鉄(II)、硫酸マグネシウム、ペプトン、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、および酵母抽出物のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0074】
宿主細菌細胞は、バッチプロセス、フェッドバッチプロセス、または反復型フェッドバッチプロセスで、連続的にまたは非連続的に培養することができる。
【0075】
一般に、シグナル配列は、発現ベクターの構成要素であってもよく、またはベクターに挿入される外因性遺伝子の一部であってもよい。選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識およびプロセシングされる(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであり得る。外因性遺伝子の天然シグナル配列を認識およびプロセシングしない細菌宿主細胞については、シグナル配列は、一般的に公知の任意の細菌シグナル配列で置換され得る。いくつかの実施形態では、組換え的に産生されたポリペプチドは、DsbAシグナル配列を使用して、ペリプラズム空間に標的化され得る。Dinh and Bernhardt, J Bacteriol, Sept. 2011, 4984-4987。
【0076】
一態様では、宿主細胞によって産生される天然に存在しないコラーゲンが提供される。天然に存在しないコラーゲンは、クラゲコラーゲンまたはヒトコラーゲンであり得る。天然に存在しないコラーゲンは、短縮型コラーゲンであり得る。短縮化は、内部短縮化(例えば、内部部分の短縮化)、コラーゲンのN末端部分での短縮化、コラーゲンのC末端部分での短縮化、またはC末端とN末端の両方での短縮化であり得る。コラーゲンは、50アミノ酸から1000アミノ酸の間、50アミノ酸から950アミノ酸の間、50アミノ酸から900アミノ酸の間、50アミノ酸から850アミノ酸の間、50アミノ酸から800アミノ酸の間、50アミノ酸から850アミノ酸の間、50アミノ酸から800アミノ酸の間、50アミノ酸から750アミノ酸の間、50アミノ酸から700アミノ酸の間、50アミノ酸から650アミノ酸の間、50アミノ酸から600アミノ酸の間、50アミノ酸から650アミノ酸の間、50アミノ酸から500アミノ酸の間、50アミノ酸から450アミノ酸の間、50アミノ酸から400アミノ酸の間、50アミノ酸から350アミノ酸の間、50アミノ酸から300アミノ酸の間、50アミノ酸から250アミノ酸の間、50アミノ酸から200アミノ酸の間、50アミノ酸から150アミノ酸の間、または50アミノ酸から100アミノ酸の間の短縮化によって短縮化され得る。別の実施形態では、コラーゲンは、約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、650、700、750、800、850、900、950または1000アミノ酸が短縮化され得る。天然に存在しないコラーゲンは、本明細書に開示されているポリヌクレオチド配列の一部またはポリヌクレオチド配列全体によってコードされ得る。
【0077】
本明細書で開示されている短縮型コラーゲンは、完全長コラーゲンに対する短縮化を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている短縮型コラーゲンは、完全長ヒト21型アルファ1コラーゲンに対する短縮化を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている短縮型コラーゲンは、完全長ヒト1型アルファ2コラーゲンに対する短縮化を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている短縮型コラーゲンは、完全長クラゲ(ヒドロ虫)コラーゲンに対する短縮化を含む。完全長コラーゲンの非限定的な例を下記の表1で提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【0078】
いくつかの場合には、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、配列番号31のアミノ酸1位から548位の間、アミノ酸1位から553位の間;アミノ酸1位から558位の間;アミノ酸1位から563位の間;アミノ酸1位から568位の間;またはアミノ酸1位から573位の間の任意のアミノ酸位置でのN末端短縮化を含み得る。いくつかの場合には、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、配列番号31のアミノ酸726位から957位の間;アミノ酸731位から957位の間;アミノ酸736位から957位の間;アミノ酸741位から957位の間;アミノ酸746位から957位の間;アミノ酸751位から957位の間;またはアミノ酸756位から957位の間の任意のアミノ酸位置でのC末端短縮化を含み得る。いくつかの場合には、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、N末端短縮化とC末端短縮化の両方を含み得る。例えば、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、配列番号31のアミノ酸1位から548の間;アミノ酸1位から553位の間;アミノ酸1位から558位の間;アミノ酸1位から563位の間;アミノ酸1位から568位の間;またはアミノ酸1位から573位の間の任意のアミノ酸位置でのN末端短縮化と;アミノ酸726位から957位の間;アミノ酸731位から957位の間;アミノ酸736位から957位の間;アミノ酸741位から957位の間;アミノ酸746位から957位の間;アミノ酸751位から957位の間;またはアミノ酸756位から957位の間の任意のアミノ酸位置でのC末端短縮化を含み得る。特定の実施形態では、本明細書で開示されている短縮型コラーゲンは、配列番号31のアミノ酸558位でのN末端短縮化と、配列番号31のアミノ酸746位でのC末端短縮化を含み得る。
【0079】
いくつかの場合には、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸1位から401位の間;アミノ酸1位から406位の間;アミノ酸1位から411位の間;アミノ酸1位から416位の間;アミノ酸1位から421位の間;アミノ酸1位から426位の間;またはアミノ酸1位から431位の間の任意のアミノ酸位置でのN末端短縮化を含み得る。いくつかの場合には、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸585位から1366位の間;アミノ酸590位から1366位の間;アミノ酸595位から1366位の間;アミノ酸600位から1366位の間;アミノ酸605位から1366位の間;アミノ酸610位から1366位の間;アミノ酸615位から1366位の間;またはアミノ酸620位から1366位の間の任意のアミノ酸位置でのC末端短縮化を含み得る。いくつかの場合には、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、N末端短縮化とC末端短縮化の両方を含み得る。例えば、本明細書で記載されているような短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸1位から401位の間;アミノ酸1位から406位の間;アミノ酸1位から411位の間;アミノ酸1位から416位の間;アミノ酸1位から421位の間;アミノ酸1位から426位の間;またはアミノ酸1位から431位の間の任意のアミノ酸位置でのN末端短縮化と;配列番号32のアミノ酸585位から1366位の間;アミノ酸590位から1366位の間;アミノ酸595位から1366位の間;アミノ酸600位から1366位の間;アミノ酸605位から1366位の間;アミノ酸610位から1366位の間;アミノ酸615位から1366位の間;またはアミノ酸620位から1366位の間の任意のアミノ酸位置でのC末端短縮化を含み得る。特定の実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸416位でのN末端短縮化と;配列番号32のアミノ酸605位でのC末端短縮化を含み得る。
【0080】
いくつかの場合には、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸1位から101位の間;アミノ酸1位から106位の間;アミノ酸1位から111位の間;アミノ酸1位から116位の間;アミノ酸1位から121位の間;またはアミノ酸1位から126位の間の任意のアミノ酸位置でのN末端短縮化を含み得る。いくつかの場合には、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸276位から1366位の間;アミノ酸281位から1366位の間;アミノ酸286位から1366位の間;アミノ酸291位から1366位の間;アミノ酸296位から1366位の間;アミノ酸301位から1366位の間;またはアミノ酸306位から1366位の間の任意のアミノ酸位置でのC末端短縮化を含み得る。いくつかの場合には、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、N末端短縮化とC末端短縮化の両方を含み得る。例えば、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸1位から101位の間;アミノ酸1位から106位の間;アミノ酸1位から111位の間;アミノ酸1位から116位の間;アミノ酸1位から121位の間;またはアミノ酸1位から126位の間の任意のアミノ酸位置でのN末端短縮化と;配列番号32のアミノ酸276位から1366位の間;アミノ酸281位から1366位の間;アミノ酸286位から1366位の間;アミノ酸291位から1366位の間;アミノ酸296位から1366位の間;アミノ酸301位から1366位の間;またはアミノ酸306位から1366位の間の任意のアミノ酸位置でのC末端短縮化を含み得る。特定の実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、配列番号32のアミノ酸111位でのN末端短縮化と;配列番号32のアミノ酸291位でのC末端短縮化を含み得る。
【0081】
いくつかの場合には、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、配列番号33のアミノ酸16位から240位の間;アミノ酸16位から245位の間;アミノ酸16位から250位の間;アミノ酸16位から255位の間;アミノ酸16位から260位の間;アミノ酸16位から265位の間;アミノ酸6位から255位の間;アミノ酸11位から255位の間;アミノ酸21位から255位の間;アミノ酸26位から255位の間;アミノ酸31位から255位の間;アミノ酸21位から250位の間;アミノ酸21位から245位の間;アミノ酸26位から250位の間;アミノ酸26位から245位の間;アミノ酸31位から250位の間;またはアミノ酸31位から245位の間の任意のアミノ酸位置での内部短縮化を含み得る。特定の実施形態では、本明細書で記載されている短縮型コラーゲンは、配列番号33のアミノ酸16位と255位での内部短縮化を含み得る。
【0082】
いくつかの場合には、短縮型コラーゲンは、下記の表2で提供されている任意のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合には、短縮型コラーゲンは、下記の表2で提供されている任意のアミノ酸配列からなり得る。場合によっては、切断されたコラーゲンは、本質的に、以下の表2に提供される任意のアミノ酸配列からなり得る。特定の実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号25、配列番号27、および配列番号29のいずれか1つのアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、短縮型コラーゲンは、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号25、配列番号27、および配列番号29のいずれか1つに対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0083】
いくつかの場合には、短縮型コラーゲンは、100アミノ酸から300アミノ酸の間、150アミノ酸から250アミノ酸の間、160アミノ酸から250アミノ酸の間、160アミノ酸から220アミノ酸の間、170アミノ酸から200アミノ酸の間、180アミノ酸から190アミノ酸の間、または185アミノ酸から190アミノ酸の間の長さであり得る。
【0084】
天然に存在しないコラーゲンは、いくつかの実施形態では、分泌タグを含むアミノ酸配列をさらに含むことができる。分泌タグは、コラーゲンを宿主細胞のペリプラズム空間に方向づけることができる。特定の実施形態では、シグナルペプチドは、DsbA、PelB、OmpA、TolB、MalE、lpp、TorA、Hy1A、DegP、または第2の分泌タグの一部に融合されている1つの分泌タグの一部を含むハイブリッド分泌タグに由来する。一態様では、分泌タグは、天然に存在しないコラーゲンに結合し得る。別の態様では、分泌タグは、天然に存在しないコラーゲンから切断され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、ヒスチジン(またはポリヒスチジン)タグを含む。特定の実施形態では、ヒスチジンタグまたはポリヒスチジンタグは、コラーゲンに結合されている2ヒスチジン残基から20ヒスチジン残基の配列であるか、またはそれを含む。様々な実施形態では、ヒスチジンタグは、2ヒスチジン残基から20ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から15ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から18ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から16ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から15ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から14ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から13ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から12ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から11ヒスチジン残基、5ヒスチジン残基から10ヒスチジン残基、6ヒスチジン残基から12ヒスチジン残基、6ヒスチジン残基から11ヒスチジン残基、または7ヒスチジン残基から10ヒスチジン残基を含む。ヒスチジンタグは、ニッケルベースのクロマトグラフィー媒体を利用するクロマトグラフィー法によるタンパク質の精製において有用であり得る。例示的な蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)または赤色蛍光タンパク質(RFP)を含む。蛍光タンパク質は、当技術分野では周知である。一実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、GFPおよび/またはRFPを含む。一実施形態では、スーパーフォルダーGFP(superfolder GFP)は、天然に存在しないコラーゲンに融合される。スーパーフォルダーGFPは、折り畳みが不十分なポリペプチドに融合されている場合であっても適切に折り畳まれるGFPであり得る。一態様では、ヒスチジンタグは、天然に存在しないコラーゲンに結合させることができる。別の態様では、ヒスチジンタグは、天然に存在しないコラーゲンから切断され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、プロテアーゼ切断部位をさらに含む。プロテアーゼ切断部位は、組換えにより産生されたコラーゲンを切断してポリペプチドの1つまたは複数の部分を除去するのに有用であり得る。除去され得るポリペプチドの部分には、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質タグ、および/またはベータ-ラクタマーゼが含まれる。プロテアーゼは、エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、およびメタロプロテアーゼを含み得る。例示的なプロテアーゼ切断部位には、トロンビン、TEVプロテアーゼ、第Xa因子、エンテロペプチダーゼ、およびライノウイルス3Cプロテアーゼによって切断されるアミノ酸が含まれる。一態様では、切断タグは、天然に存在しないコラーゲンに結合されている。別の態様では、切断タグは、天然に存在しないコラーゲンから適切なプロテアーゼによって除去される。
【0087】
いくつかの実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、ベータ-ラクタマーゼである酵素をさらに含む。ベータ-ラクタマーゼは、選択マーカーとして有用であり得る。一態様では、ベータ-ラクタマーゼは、天然に存在しないコラーゲンに結合される。別の態様では、ベータ-ラクタマーゼは、天然に存在しないコラーゲンから切断される。
【0088】
本明細書の特定の実施形態では、本明細書で提供されている1つまたは複数のポリペプチドを含む(例えば、局所用の)組成物または製剤が提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、任意の適切な量(例えば、個体または細胞に投薬または投与された場合に利点を提供するのに適した量)などの、任意の適切な量の本明細書で提供されるポリペプチドを提供する。いくつかの特定の実施形態では、組成物は、個体の皮膚に(例えば、局所的に)投与された場合に、個体の皮膚に有利な効果を提供するのに適した量を含む。特定の実施形態では、組成物は、0.001%から30%w/wの間の本明細書で提供されているようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)を含む。より特定の実施形態では、組成物は、0.001%から20%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)、0.001%から10%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)、0.001%から5%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)、0.001%から2%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)、0.001%から1%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)、0.001%から0.5%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)、および0.001%から0.2%w/wの間の本明細書で提供されるようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)を含む。
【0089】
一態様では、天然に存在しないコラーゲンを含む組成物は、パーソナルケア製品(例えば化粧品)であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所投与用に製剤化される。組成物は、ヒトが使用するのに適した他の化粧品成分を含むことが可能である。パーソナルケア製品は、ヒトの皮膚または毛髪への紫外線による損傷を予防または処置するのに有用であり得る。パーソナルケア製品は、皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャーもしくは視覚テクスチャーを増加させ、および/またはコラーゲン産生を刺激するのに有用であり得る。パーソナルケア製品は、皮膚の赤みを軽減するのに有用であり得る。パーソナルケア製品は、皮膚または毛髪に塗布され得る。組成物には、例えば、マスク、皮膚洗浄剤、例えば石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングローション、顔用洗浄剤(facial cleanser)、クレンジング乳液、クレンジングパッド、洗顔料(facial wash)、フェイシャルクリームおよびボディクリームならびに保湿剤、フェイシャルセラム、フェイシャルマスクおよびボディマスク、フェイシャルトナーおよびミスト、アイクリームおよびアイトリートメント、角質除去剤(exfoliator formula)、リップバームおよびリップスティック、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナーおよびボディシャンプー、ヘアセラムおよびスカルプセラム、ヘアミストおよびヘアスプレー、アイシャドー、コンシーラー、マスカラ、ならびに他のカラー化粧品が含まれる。
【0090】
天然に存在しないコラーゲンを含む組成物は、局所用担体または防腐剤を含む少なくとも1つの追加の成分をさらに含むことができる。局所用担体は、リポソーム、生分解性マイクロカプセル、ローション、スプレー、エアロゾル、ダスティングパウダー、生分解性ポリマー、鉱油、トリグリセリド油、シリコーン油、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、アルコール、乳化剤、液化石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、シクロメチコン、シクロペンタシロキサンおよび水からなる群から選択される局所用担体を含み得る。防腐剤は、トコフェロール、ジヨードメチル-p-トリルスルホン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、シス異性体1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロリド、グルタルアルデヒド、4,4-ジメチルオキサゾリジン、7-エチルビシクロオキサゾリジン、フェノキシエタノール、ブチレングリコール、1,2ヘキサンジオール、メチルパラベン、ソルビン酸、ゲルマベンII、ローズマリー抽出物、およびEDTAからなる群から選択される防腐剤を含み得る。
【0091】
また本明細書のある特定の実施形態では、皮膚損傷を低減し、損傷した皮膚の修復を促進し、UV損傷に対して皮膚を保護し、および/または都市部の粉塵への曝露の影響に対して皮膚細胞を保護する方法が提供される。別の実施形態では、皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャー、または視覚テクスチャーを増加させる、および/またはコラーゲン産生を刺激する方法が提供される。本方法は、天然に存在しないコラーゲンを含む組成物を対象の皮膚に塗布するステップを含み得る。特定の理論またはメカニズムに拘束されるものではないが、組成物中のコラーゲンは、UV損傷に対して保護することによって皮膚損傷を軽減することができる。いくつかの場合には、組成物中のコラーゲンは、細胞の生存率を増加させることによって、損傷した皮膚の修復を促進することができる。いくつかの場合には、組成物中のコラーゲンは、皮膚に塗布された場合にプロコラーゲン合成を増加させることによって、および/または皮膚細胞の生存率を促進することによって、皮膚損傷を軽減し、および/または細胞の修復を促進することができる。いくつかの場合には、コラーゲンは、チミン-チミン(TT)二量体の形成を減少させる。
【0092】
本明細書で提供されている方法は、例えば本明細書で提供されているステップによって、本方法で示されている処置のための組成物の使用を包含する。実施形態では、本開示は、(例えば対象の皮膚に本明細書で提供されている組成物を投与することによって、)皮膚損傷を軽減し、損傷した皮膚の修復を促進し、UV損傷に対して皮膚を保護し、および/または、都市部の粉塵への曝露の影響から皮膚細胞を保護する方法における、本明細書で提供されている組成物(例えば、短縮型コラーゲンまたは短縮型コラーゲンを含む製剤)の使用を提供する。実施形態では、本開示は、皮膚の堅さ、弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャー、もしくは視覚的テクスチャーを増加させる、および/またはコラーゲン産生を刺激する方法における、本明細書で提供されている組成物(例えば、短縮型コラーゲンまたは短縮型コラーゲンを含む製剤)の使用を提供する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、I型コラーゲンの線維芽細胞および/またはケラチノサイト産生を刺激することができる(例えば、実施例4および実施例6を参照)。いくつかの場合には、プロコラーゲンI型Cペプチド(コラーゲン産生に関する読み出し情報)のレベルが測定され得る。いくつかの場合には、in vitroでのMatTek完全厚さヒト皮膚組織モデルを使用して(例えば実施例6を参照)、プロコラーゲンI型Cペプチドのレベルを評価することができる。いくつかの場合には、コラーゲンI型のレベルは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定または決定され得る。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、未処置の細胞、レチノールで処置した細胞、および/またはビタミンB3で処置した細胞よりも高いレベルでコラーゲンI型の産生を刺激し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、細胞外マトリックス遺伝子の線維芽細胞過剰発現を刺激し得る(例えば、実施例4を参照)。いくつかの場合には、細胞外マトリックス遺伝子のレベルは、RNAシーケンシングによって測定することができる。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、コラーゲンI型遺伝子(COL1A)、エラスチン遺伝子(ELN)、およびフィブロネクチン遺伝子(FN1)のうちの1つまたは複数の線維芽細胞過剰発現を刺激し得る。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンで処置された線維芽細胞によって産生される細胞外マトリックス遺伝子のレベルは、未処置の線維芽細胞、またはレチノールで処置した線維芽細胞よりも高くなり得る。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンで処置された線維芽細胞によって産生される細胞外マトリックス遺伝子のレベルは、ビタミンCで処置された線維芽細胞と類似し得るか、またはそれよりも高くなり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、UVB光で照射されたケラチノサイトの炎症を軽減することができる(例えば、実施例4および実施例6を参照)。いくつかの場合には、ケラチノサイトにUVB光を照射し、次いで、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンで処置することができる。いくつかの場合には、炎症は、UVBを照射したケラチノサイトによって産生されるIL-1αのレベルを測定することによって(例えばELISAによって)測定することができる。いくつかの場合には、UVB照射したケラチノサイトは、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンで処置した場合、未処置のケラチノサイトよりも低レベルのIL-1αを産生し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、UVB光で照射されたケラチノサイトの生存率を増加させ得る(例えば実施例4を参照)。いくつかの場合には、ケラチノサイトは、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンを用いて前処理(UVB照射の前)および後処理(UVB照射の後)することができる。いくつかの場合には、細胞の生存率は、MTT代謝比色測定法を使用して測定され得る。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンで処置されたケラチノサイトは、未処置のケラチノサイトよりもUVB照射後の高い細胞生存率を示し得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、UVB光へ曝露した後のケラチノサイトにおけるDNA損傷を軽減し得る(例えば実施例6を参照)。いくつかの場合には、DNA損傷は、チミン二量体(TT二量体)のレベルを測定することによって評価することができる。非限定的な例では、OxiSelect UV誘発性DNA損傷ELISAキットを使用してTT二量体レベルを測定することができる。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンを用いて処置されたUVB照射ケラチノサイトは、未処置のケラチノサイトよりもTT二量体のレベルが低いことを示し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、抗酸化能力を有し得る(例えば実施例4および実施例6を参照)。いくつかの場合には、酸素ラジカル吸収能(ORAC)アッセイを使用して短縮型コラーゲンの酸化能力を測定することができる。非限定的な例では、0.1%溶液の形態の短縮型コラーゲンは、少なくとも10μMのトロロクス(ビタミンE)当量(TE)、少なくとも50μMのTE、少なくとも100μMのTE、少なくとも150μMのTE、少なくとも160μMのTE、少なくとも170μMのTE、少なくとも180μMのTE、少なくとも190μMのTE、または少なくとも200μMのTEの抗酸化特性を有し得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンは、未処置の細胞と比較して、都市部の粉塵汚染に曝露されたケラチノサイトの細胞生存率を増加させ得る(例えば実施例6を参照)。いくつかの場合には、細胞生存率は、MTT代謝比色測定法によって測定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンの対象の顔への局所投与は、ベースラインと比較して、処置後1週間、2週間、4週間、8週間で、またはそれより長い期間で、顔の皮膚の弾力性を増加させることができる(例えば実施例5および実施例7を参照)。いくつかの場合には、顔の皮膚の弾力性は、キュートメーターで測定することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンの対象の顔への局所投与は、ベースラインと比較して、処置後1週間、2週間、4週間、8週間で、またはそれより長い期間で、顔の皮膚コラーゲン含有量を増加させることができる(例えば実施例5を参照)。いくつかの場合には、顔の皮膚コラーゲン含有量は、SIAscopeによって測定することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンの局所投与は、ベースラインと比較して、処置後1週間、2週間、4週間、8週間で、またはそれより長い期間で、顔面の皮膚の赤み(紅斑)を軽減することができる(例えば実施例5を参照)。いくつかの場合には、顔の皮膚の赤み(紅斑)は、盲検の臨床的評点者によって、(例えば表4で提供されている5点順序尺度を使用して)スコア化され得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンの局所投与は、ベースラインと比較して、処置後1週間、2週間、4週間、8週間で、またはそれより長い期間で、顔の皺を減少させることができる(例えば実施例5を参照)。いくつかの場合には、顔の皺は、盲目化された臨床的評点者によってスコア化され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンの局所投与は、ベースラインと比較して、処置後1週間、2週間、4週間、8週間で、またはそれより長い期間で、顔の皮膚の水分を増加させることができる(例えば、実施例7を参照)。いくつかの場合には、本明細書で提供されている短縮型コラーゲンの局所投与は、海洋コラーゲンの局所投与と比較して、顔の皮膚の水分を増加させることができる。いくつかの場合には、皮膚の水分保持は、コルネオメーターで測定することができる。
【0105】
本開示の一態様は、天然に存在しないコラーゲンをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、クラゲまたはヒト由来のコラーゲンをコードし得る。ポリヌクレオチドは、完全長または短縮型のコラーゲンをコードし得る。様々な実施形態では、ポリヌクレオチドは配列番号1、配列番号3、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号26、配列番号28、または配列番号30のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、または(例えば、それらに対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有する)それらの相同体を含み得る。いくつかの場合には、ポリヌクレオチドは、(例えば、宿主細胞における発現のために)コドン最適化され得る。
【0106】
別の態様では、本開示は、コラーゲン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。コラーゲン融合タンパク質は、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質タグ、プロテアーゼ切断部位、ベータ-ラクタマーゼおよび/またはGEKアミノ酸トリマーリピートおよび/またはGDKアミノ酸トリマーリピートをコラーゲンと一緒に含み得る。
【0107】
一態様では、ポリヌクレオチドをコードするコラーゲンを含むベクターを使用して宿主細胞を形質転換し、ポリヌクレオチドを発現させることができる。ポリヌクレオチドは、宿主生物が選択剤の存在下で増殖することを許可する酵素をコードする核酸をさらに含み得る。選択剤は、ガラクトースを含有する糖を含むある特定の糖、またはアンピシリン、ハイグロマイシン、G418などを含む抗生物質を含み得る。選択剤に対する耐性を付与するために使用することができる酵素には、β-ガラクトシダーゼまたはβ-ラクタマーゼが含まれる。
【0108】
一態様では、本発明のポリヌクレオチドを発現する宿主細胞が提供される。宿主細胞は、グラム陰性菌細胞、グラム陽性菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、または外因性ポリヌクレオチドを発現するために使用される任意の他の細胞を含む任意の宿主細胞であり得る。例示的なグラム陰性宿主細胞は、E.coliである。
【0109】
炭素源、窒素源、および無機リン酸塩源以外の任意の望ましいまたは必要な補充物もまた、単独で、または別の補充物もしくは培地、例えば複合窒素源との混合物として導入される適切な濃度で含まれ得る。ある特定の実施形態では、培地は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、カザミノ酸、硫酸鉄(II)、硫酸マグネシウム、ペプトン、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、および酵母抽出物から選択される1つまたは複数の成分をさらに含む。
【0110】
ベータ-ラクタマーゼは、原核細胞においてラクタム系抗生物質に対する耐性を付与する酵素である。典型的には、ベータ-ラクタマーゼが細菌宿主細胞で発現される場合、発現されたベータ-ラクタマーゼタンパク質には、ベータ-ラクタマーゼタンパク質をペリプラズム空間に方向づける標的配列(分泌タグ)も含まれる。ベータ-ラクタマーゼは、ペリプラズム空間に輸送されなければ機能しない。酵素をペリプラズム空間に標的化する独立した分泌タグを使用することなくペリプラズム空間に標的化されるベータ-ラクタマーゼが提供される。ペリプラズム分泌タグがGFP、コラーゲンまたはGFP/コラーゲンキメラなどのタンパク質のN末端に付加される融合タンパク質を作製することによって、天然の分泌タグを欠失するベータ-ラクタマーゼの機能性を使用して、N末端融合タンパク質の完全な翻訳および分泌を選択することができる。このアプローチを使用すると、DsbA-GFP-コラーゲン-ベータ-ラクタマーゼ融合を使用して、翻訳および分泌を促進する標的コラーゲンの短縮化産物を選択することができる。
【0111】
別の実施形態は、本明細書で提供されているようなポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)を生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリペプチドまたは「コラーゲン」をコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を培養培地に接種するステップと、宿主細胞を培養するステップと、ポリペプチド(または天然に存在しないコラーゲン)を宿主細胞から単離するステップを含む。
【0112】
ポリペプチド(またはタンパク質)の発酵調製のためのプロセスが提供される。このプロセスは、
(a)マグネシウム塩を含む培地中で組換えグラム陰性細菌細胞を培養するステップであって、培地中のマグネシウムイオンの濃度が少なくとも約6mMであり、細菌細胞がタンパク質をコードする外因性遺伝子を含む、ステップと;
(b)タンパク質を培地から回収するステップ
を含む。
【0113】
細菌は、標的タンパク質を生成する目的における任意の適切な方法で、例えば、連続的に-例えばWO05/021772に記載されているように-、またはバッチプロセス(バッチ培養)で、またはフェッドバッチプロセスまたは反復型フェッドバッチプロセスで、培養することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質の生成はラージスケールで行われる。組換えタンパク質を生成するための様々なラージスケールの発酵手順が利用可能である。ラージスケールの発酵は、少なくとも1,000リットルの能力、好ましくは約1,000~100,000リットルの能力を有する。いくつかの場合には、発酵槽は攪拌機羽根車を使用して酸素および栄養素、特にグルコース(好ましいのは炭素/エネルギー源)を分散させる。スモールスケールの発酵とは、一般に、容量的能力が約20リットル以下の発酵槽での発酵を意味する。
【0114】
標的タンパク質の蓄積については、宿主細胞を、標的タンパク質の蓄積に十分な条件下で培養することができる。そのような条件には、例えば、タンパク質の発現および細胞による蓄積を可能にする、温度、栄養素、および細胞密度の条件が含まれる。さらに、そのような条件は、当業者には公知であるように、分泌されたタンパク質について、転写、翻訳、およびある細胞区画から別の細胞区画へのタンパク質の通過の基本的な細胞機能を細胞が実施することができるものであり得る。
【0115】
任意の適切な細菌細胞が、必要に応じて、本明細書で提供されている方法で利用される。細菌細胞は、任意の適切な温度で培養され得る。特定の実施形態では、細菌細胞はE.coli細胞である。E.coliの増殖については、例えば、典型的な温度は、約20℃~約39℃の範囲である。一実施形態では、温度は、約20℃~約37℃である。別の実施形態では、温度は約30℃である。一実施形態では、宿主細胞は、スイッチされていない状態またはスチッチされた状態において、ある温度で培養され、異なる温度に切り替えてタンパク質の生成が誘導され得る。宿主細胞を、最初に、ある温度で培養して細胞を増殖させ、次いで、タンパク質の生成を誘導するために、細胞をより低い温度で培養することができる。第1の温度は、約23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃であり得る。第2の温度は、約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃または36℃であり得る。第2の温度での培養は、1時間から100時間の間、5時間から90時間の間、5時間から80時間の間、5時間から80時間の間、5時間から70時間の間、10時間から70時間の間、15時間から70時間の間、15時間から65時間の間、15時間から60時間の間、20時間から60時間の間、20時間から55時間の間、20時間および50時間の間、24時間から50時間の間、24時間から48時間の間、30時間から50時間の間、30時間から45時間の間、または30時間から40時間の間で行われ得る。
【0116】
培養培地のpHは、主として宿主生物に応じて、約5~9の任意のpHであり得る。E.coliについては、pHは、約6.0~約7.4、約6.2~約7.2、約6.2~約7.0、約6.2~約6.8、約6.2~約6.6、約6.4または約6.5であり得る。
【0117】
遺伝子発現の誘導については、典型的には、細胞は、ある特定の光学密度が達成されるまで、例えば、約1.1のOD600まで培養することができ、その時点で、(例えば、誘導物質の添加により、リプレッサー、サプレッサーまたは培地成分などの枯渇により)誘導が開始され、標的タンパク質をコードする外因性遺伝子の発現が誘導される。いくつかの実施形態では、外因性遺伝子の発現は、例えば、イソプロピル-β-d-1-チオガラクトピラノシド、ラクトース、アラビノース、マルトース、テトラサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、バブリシン、キシロース、銅、亜鉛などから選択される誘導物質によって誘導され得る。遺伝子発現の誘導はまた、発酵中の溶存酸素レベルを低下させることによって達成することができる。細胞増殖中の発酵の溶存酸素レベルは、10%から30%の間であり得る。遺伝子発現を誘導するために、溶存酸素レベルは、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%未満、または0%に低下され得る。宿主細胞では、生理学的状態またはスイッチされた状態のいずれかにおいて、タンパク質の生成は、本明細書に開示されているように発酵温度を低下させることによって誘導され得る。
【実施例】
【0118】
(実施例1)
短縮型コラーゲンの生成
E.coliでの発現のために最適化され、240内部アミノ酸が(完全長クラゲコラーゲン(配列番号33)と比べて)短縮化されたクラゲコラーゲンをコードするコドン最適化DNA配列が合成され、発現された。DNA配列を下記の配列番号1に示す。配列番号1では、DsbA分泌タグがヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号2のアミノ酸1~24をコードする。9ヒスチジン残基を含むヒスチジンタグは、配列番号1のヌクレオチド73~99によってコードされており、配列番号2のアミノ酸25~33をコードする。リンカーは、配列番号1のヌクレオチド100~111によってコードされており、配列番号2のアミノ酸34~37をコードする。トロンビン切断部位は、配列番号1のヌクレオチド112~135によってコードされており、配列番号2のアミノ酸38~45をコードする。切断されたコラーゲンは、配列番号1のヌクレオチド136~822によってコードされており、配列番号2のアミノ酸46~274をコードする。
【0119】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATCACCATCACCACCACCACCATCACCACTCTGGCTCGAGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGGTCCGCAGGGTGTTGTTGGTGCAGATGGTAAAGACGGTACCCCGGGTGAAAAAGGAGAACAGGGACGTACAGGTGCAGCAGGTAAACAGGGCAGCCCGGGTGCCGATGGTGCCCGTGGCCCGCTGGGTAGCATTGGTCAGCAGGGTGCAAGAGGCGAACCGGGCGATCCGGGTAGTCCGGGCCTGCGTGGTGATACGGGTCTGGCCGGTGTTAAAGGCGTTGCAGGTCCTTCAGGTCGTCCAGGTCAACCGGGTGCAAATGGTCTGCCGGGTGTTAATGGTCGTGGCGGTCTGGAACGTGGTCTGGCAGGACCGCCGGGTCCTGATGGTCGCCGCGGTGAAACGGGTTCACCGGGTATTGCCGGTGCCCTGGGTAAACCAGGTCTGGAAGGTCCGAAAGGTTATCCTGGTCTGCGCGGTCGTGATGGTACCAATGGCAAACGTGGCGAACAGGGCGAAACCGGTCCAGATGGTGTTCGTGGTATTCCGGGTAACGATGGTCAGAGCGGTAAACCGGGCATTGATGGTATTGATGGCACCAATGGTCAGCCTGGCGAAGCAGGTTATCAGGGTGGTCGCGGTACCCGTGGTCAGCTGGGTGAAACAGGTGATGTTGGTCAGAATGGTGATCGCGGCGCACCGGGTCCGGATGGTAGCAAAGGTAGCGCCGGTCGTCCGGGTTTACGTTAA(配列番号1)
【0120】
短縮型コラーゲンは、完全長クラゲコラーゲン(配列番号33)の約54%であり、下記の配列番号2に開示されている。
【0121】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDHHHHHHHHHSGSSLVPRGSHMGPQGVVGADGKDGTPGEKGEQGRTGAAGKQGSPGADGARGPLGSIGQQGARGEPGDPGSPGLRGDTGLAGVKGVAGPSGRPGQPGANGLPGVNGRGGLERGLAGPPGPDGRRGETGSPGIAGALGKPGLEGPKGYPGLRGRDGTNGKRGEQGETGPDGVRGIPGNDGQSGKPGIDGIDGTNGQPGEAGYQGGRGTRGQLGETGDVGQNGDRGAPGPDGSKGSAGRPGLR(配列番号2)
【0122】
DsbA分泌タグ、ヒスチジンタグ、リンカーおよびトロンビン切断部位を有していない短縮型クラゲコラーゲンをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3に開示されている。
【0123】
GTCCGCAGGGTGTTGTTGGTGCAGATGGTAAAGACGGTACCCCGGGTGAAAAAGGAGAACAGGGACGTACAGGTGCAGCAGGTAAACAGGGCAGCCCGGGTGCCGATGGTGCCCGTGGCCCGCTGGGTAGCATTGGTCAGCAGGGTGCAAGAGGCGAACCGGGCGATCCGGGTAGTCCGGGCCTGCGTGGTGATACGGGTCTGGCCGGTGTTAAAGGCGTTGCAGGTCCTTCAGGTCGTCCAGGTCAACCGGGTGCAAATGGTCTGCCGGGTGTTAATGGTCGTGGCGGTCTGGAACGTGGTCTGGCAGGACCGCCGGGTCCTGATGGTCGCCGCGGTGAAACGGGTTCACCGGGTATTGCCGGTGCCCTGGGTAAACCAGGTCTGGAAGGTCCGAAAGGTTATCCTGGTCTGCGCGGTCGTGATGGTACCAATGGCAAACGTGGCGAACAGGGCGAAACCGGTCCAGATGGTGTTCGTGGTATTCCGGGTAACGATGGTCAGAGCGGTAAACCGGGCATTGATGGTATTGATGGCACCAATGGTCAGCCTGGCGAAGCAGGTTATCAGGGTGGTCGCGGTACCCGTGGTCAGCTGGGTGAAACAGGTGATGTTGGTCAGAATGGTGATCGCGGCGCACCGGGTCCGGATGGTAGCAAAGGTAGCGCCGGTCGTCCGGGTTTACGTTAA(配列番号3)
【0124】
DsbA分泌タグ、ヒスチジンタグ、リンカーおよびトロンビン切断部位を有していない短縮型クラゲコラーゲンのアミノ酸配列は、配列番号4に開示されている。
【0125】
GPQGVVGADGKDGTPGEKGEQGRTGAAGKQGSPGADGARGPLGSIGQQGARGEPGDPGSPGLRGDTGLAGVKGVAGPSGRPGQPGANGLPGVNGRGGLERGLAGPPGPDGRRGETGSPGIAGALGKPGLEGPKGYPGLRGRDGTNGKRGEQGETGPDGVRGIPGNDGQSGKPGIDGIDGTNGQPGEAGYQGGRGTRGQLGETGDVGQNGDRGAPGPDGSKGSAGRPGLR(配列番号4)
【0126】
配列番号1のポリヌクレオチドをコドン最適化し、Gen9 DNA(現Ginkgo Bioworks)内部合成によって合成した。pET28ベクターと配列番号1の間のオーバーラップを30~40bpの長さになるように設計し、酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ(www.clontech.com/US/Products/PCR/GC_Rich /PrimeSTAR_GXL_DNA_Polymerase?sitex=10020:22372:US)によるPCRを使用して付加した。次いで、開環されたpET28aベクターとインサートDNA(配列番号1)を、SGI GibsonAssembly(登録商標)(us.vwr.com/store/product/17613857/gibson-assembly-hifi-1-step-kit-synthetic-genomics-inc)を使用して最終プラスミドに共にアセンブルした。次いで、プラスミド配列を、Eurofins Genomics(www.eurofinsgenomics.com)によりサンガーシーケンシングによって検証した。
【0127】
形質転換された細胞を最小培地で培養し、細胞のグリセロールに対する比が50:50でグリセロールを含む1.5mlのアリコート中で凍結した。この凍結培養物の1つのバイアルを50mlの最小培地中で、37℃、200rpmにて一晩復活させた。細胞を300mlの最小培地に移し、6~9時間増殖させ、OD600を5~10に到達させた。
【0128】
バイオリアクターを2.7Lの最小培地+グルコースを用いて調製し、OD600が5~10の培養物300mlを加え、開始容量を3Lにした。細胞を28℃、pH7で、攪拌、空気、および酸素を含むカスケードを使用して溶存酸素を20%飽和に維持しながら増殖させた。pHは、28%w/wの水酸化アンモニウム溶液を使用して調節した。発酵は、40g/Lの初期ボーラスが約13時間枯渇されたなら、DO-statをベースとした供給アルゴリズムを使用して、フェッドバッチモードで実行した。初期増殖の24~26時間後、OD600は100を超えた。この時点で、500g/Lのスクロース300mLを加え、温度を25℃に低下させた。タンパク質生成のために高密度培養は1mMのIPTGを使用して誘導した。発酵をさらに20~24時間継続し、ベンチトップ遠心分離機を使用し、9000rcf、15℃で60分間、細胞を回収した。遠心分離機から回収した細胞ペレットをpH8の0.5M NaClおよび0.1M KH2PО4を含むバッファー中に、2×バッファーを1×細胞に対する重量比で再懸濁した。
【0129】
回収した細胞は、ホモジナイザーで圧力14,000psiにて2回破砕した。得られたスラリーは、コラーゲンタンパク質を他のタンパク質と一緒に含んでいた。
【0130】
発酵は、25℃~28℃の様々な温度の範囲で実施した。いくつかの発酵については、発酵の温度を一定温度に維持し、発酵が完了したら(OD600が5~10)直ちにコラーゲンを精製した。他の発酵については、発酵の温度を所望の期間維持し、細胞密度が5~10のOD600に達した場合、温度を低下させてタンパク質の生成を誘導した。典型的には、温度は、28℃から25℃に低下させた。25℃での発酵を40~60時間継続した後、コラーゲンを単離した。
【0131】
コラーゲンは、ホモジナイズした細胞ブロスを酸処理することによって精製した。さらに、酸処理はまた、遠心分離および上記のバッファーへの再懸濁の後にバイオリアクターから回収されたハモジナイズされていない全細胞に対しても実施した。ホモジナイズされたスラリーまたは再懸濁された全細胞のいずれかのpHは、6Mの塩酸を使用してpH3まで低下させた。酸性化した細胞スラリーは、混合しながら一晩4℃でインキュベートし、続いて遠心分離を行った。酸性化されたスラリーの上清をポリアクリルアミドゲルで試験し、出発ペレットと比較して、比較的多量の豊富なコラーゲンが含まれていることを確認した。このようにして得られたコラーゲンスラリーは、塩が高かった。体積および塩を減らすため、0.1m2の限外濾過カセットをそれぞれ備えたEMD Millipore Tangential Flow Filtrationシステムを使用して、濃縮ステップとダイアフィルトレーションステップを実施した。2つのカセットを並行して使用した濾過の総面積は、0.2m2であった。5×の体積低下と19×の塩の低下は、TFF段階において達成された。最終のコラーゲンスラリーをSDS-PAGEゲルで泳動させ、コラーゲンの存在を確認した。このスラリーは、多重トレイ凍結乾燥装置を使用して3日間乾燥させ、白色のふかふかしたコラーゲン粉末を得た。
【0132】
ホモジナイズした細胞ブロスまたはホモジナイズされていない細胞から得られた、精製短縮型コラーゲンをSDS-PAGEゲルで分析し、太くて透明なバンドが27キロダルトンの予想されたサイズで観察された。精製コラーゲンはまた質量分析によって分析し、27キロダルトンのタンパク質がクラゲコラーゲンであったことを確認した。
【0133】
完全長コラーゲンおよび短縮型コラーゲンの代替の精製方法を以下に提供する。
【0134】
発酵ブロスを0.3~0.5%w/vのポリエチルイミン(PEI)と混合した。PEIと15分間インキュベーションした後、発酵ブロスを9000rcfで15分間遠心分離を行い、上清を回収したが、これはコラーゲンタンパク質を含んでいた。細胞を含むペレットを廃棄し、PEI処理したコラーゲン含有上清をベントナイトナトリウム(最終0.2%w/v)(Wyopure(登録商標)、Wyoming Bentonite)と混合し、遠心分離を行った。ベントナイト含有ペレットを廃棄し、上清を回収した。
【0135】
ベントナイト処理した上清は、5kDaカセットを使用し、タンジェンシャルフロー濾過システム(TFF)(EMD Millipore)で3~6倍に濃縮した。コラーゲンは、透過流でほとんど損失することなく保持された。塩を除去するため、濃縮ステップからの保持液を同じTFFの設定を使用し、ダイアフィルトレーションを行った。タンパク質溶液の最終導電率は、<10ミリシーメンスであった。典型的な導電率は、400マイクロシーメンスから1.5ミリシーメンスの間であった。高濃度のコラーゲン溶液は、4ミリシーメンスに近い高導電率を有していた。当業者には、10ミリシーメンスよりも高い導電率はコラーゲンの濃度に応じて観察され得ることが理解されよう。次に、脱塩および濃縮したタンパク質を、W-L9000 10×40粒状樹脂(Carbon Activated Corporation)を使用して活性炭で処理した。5%w/vの炭素樹脂をコラーゲン含有タンパク質供給材料と混合し、穏やかに攪拌しながら45~50℃で混合した。炭素処理したスラリーは、濾過助剤、例えば珪藻土(Sigma Aldrich)の存在下または非存在下で、Ertel Filter Press Pad M-953(Ertel Alsop)を敷いたブフナー漏斗を使用して濾過した。濾過した後、コラーゲン溶液を、0.2ミクロンフィルターを通して濾過し、続いてベントナイトナトリウム(最終0.2%w/v)(Wyopure(登録商標)、Wyoming Bentonite)を用いて1時間~数時間処理し、9000rcf、15~30分間で遠心分離を行い、高純度で透明な、粒子を含まないコラーゲン溶液を得た。エンドトキシンタンパク質の除去が望ましい場合、タンパク質を、Sartobind-Q(Sartorius-Stedim)のようなクロマトグラフィーフィルターを通過させてエンドトキシンタンパク質を特異的に除去する。
【0136】
精製したコラーゲンはSDS-PAGEゲルで分析し、太く透明なバンドが30キロダルトンで観察され。サイズのシフトアップは、コラーゲン分子の構造およびグリシン/プロリンアミノ酸の高含有量による。精製したコラーゲンはまた、質量分析によって分析し、30キロダルトンのタンパク質が短縮型コラーゲンであることを確認した。
【0137】
短縮型コラーゲンは、Agilent1100シリーズのHPLCを使用するHPLCによってさらに分析した。カラムは、50mmのAgilent PLRP-S逆相カラムであり、内径4.6mm、粒子サイズμM、細孔径1000オングストロームであった。
【0138】
試料は、HPLCグレード水の0.04%アジ化ナトリウム溶液で1:1に希釈することにより調製した。希釈後、得られた混合物を、0.45μmフィルターを通過させて濾過し、HPLCカラムを詰まらせ得るすべての大きな粒子を除去した。分析のため、試料を、pH約4.5のHPLCグレード水の20mM酢酸アンモニウムバッファーで適切に希釈する。試料を混合した後、それを300μLのマイクロバイアルに移し、次いでオートサンプラーに置いた。HPLCを操作するソフトウェアのChemStationを使用し、分析パラメーター、例えば、試料流量、カラム温度、移動相流速、移動相組成などを変更することができる。一例ではあるが非限定的な分析では、パラメーターは、1mL/分の試料流速、80℃のカラム温度、60~70barのカラム圧力、97.9%水/1.9%アセトニトリルと0.2%トリフルオロ酢酸の移動相組成;214.4nmの分析用UV波長、10μLの注入量、および10分の試料分析時間であった。
【0139】
これらの条件下で、配列番号5の短縮型クラゲの照合は、約5.4分の溶出時間を有する。ChemStationは、溶出ピークのピーク面積を定量化し、ピーク面積をタンパク質濃度に直接的に関連づける検量線を使用して、タンパク質濃度を計算する。検量線は、0.06mg/mL~1.00mg/mLのコラーゲン濃度範囲を含むように段階希釈される公知のコラーゲン溶液を使用して作製される。
【0140】
Hisタグ-リンカー-トロンビン切断部位を有していない短縮型コラーゲン
Hisタグ、リンカー、およびトロンビン切断部位を有していない短縮型クラゲコラーゲンを下記に開示する。このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号6に提供されている。アミノ酸配列は、配列番号7に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号6のヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号7のアミノ酸1~24をコードする。短縮型コラーゲン配列は、配列番号6のヌクレオチド73~639によってコードされており、配列番号7のアミノ酸25~213をコードする。
【0141】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATGGTCCGCAGGGTGTTGTTGGTGCAGATGGTAAAGACGGTACCCCGGGTAATGCAGGTCAGAAAGGTCCGTCAGGTGAACCTGGCAGCCCTGGTAAAGCAGGTAGTGCCGGTGAGCAGGGTCCGCCGGGCAAAGATGGTAGTAATGGTGAGCCGGGTAGCCCTGGCAAAGAAGGTGAACGTGGTCTGGCAGGACCGCCGGGTCCTGATGGTCGCCGCGGTGAAACGGGTTCACCGGGTATTGCCGGTGCCCTGGGTAAACCAGGTCTGGAAGGTCCGAAAGGTTATCCTGGTCTGCGCGGTCGTGATGGTACCAATGGCAAACGTGGCGAACAGGGCGAAACCGGTCCAGATGGTGTTCGTGGTATTCCGGGTAACGATGGTCAGAGCGGTAAACCGGGCATTGATGGTATTGATGGCACCAATGGTCAGCCTGGCGAAGCAGGTTATCAGGGTGGTCGCGGTACCCGTGGTCAGCTGGGTGAAACAGGTGATGTTGGTCAGAATGGTGATCGCGGCGCACCGGGTCCGGATGGTAGCAAAGGTAGCGCCGGTCGTCCGGGTTTACGTTAA(配列番号6)
【0142】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDGPQGVVGADGKDGTPGNAGQKGPSGEPGSPGKAGSAGEQGPPGKDGSNGEPGSPGKEGERGLAGPPGPDGRRGETGSPGIAGALGKPGLEGPKGYPGLRGRDGTNGKRGEQGETGPDGVRGIPGNDGQSGKPGIDGIDGTNGQPGEAGYQGGRGTRGQLGETGDVGQNGDRGAPGPDGSKGSAGRPGLR(配列番号7)
【0143】
Hisタグ、リンカー、およびトロンビン切断部位を有していない短縮型クラゲコラーゲンをコードするポリヌクレオチドは、配列番号8に開示されている。
【0144】
GGTCCGCAGGGTGTTGTTGGTGCAGATGGTAAAGACGGTACCCCGGGTAATGCAGGTCAGAAAGGTCCGTCAGGTGAACCTGGCAGCCCTGGTAAAGCAGGTAGTGCCGGTGAGCAGGGTCCGCCGGGCAAAGATGGTAGTAATGGTGAGCCGGGTAGCCCTGGCAAAGAAGGTGAACGTGGTCTGGCAGGACCGCCGGGTCCTGATGGTCGCCGCGGTGAAACGGGTTCACCGGGTATTGCCGGTGCCCTGGGTAAACCAGGTCTGGAAGGTCCGAAAGGTTATCCTGGTCTGCGCGGTCGTGATGGTACCAATGGCAAACGTGGCGAACAGGGCGAAACCGGTCCAGATGGTGTTCGTGGTATTCCGGGTAACGATGGTCAGAGCGGTAAACCGGGCATTGATGGTATTGATGGCACCAATGGTCAGCCTGGCGAAGCAGGTTATCAGGGTGGTCGCGGTACCCGTGGTCAGCTGGGTGAAACAGGTGATGTTGGTCAGAATGGTGATCGCGGCGCACCGGGTCCGGATGGTAGCAAAGGTAGCGCCGGTCGTCCGGGTTTACGTTAA(配列番号8)
【0145】
Hisタグ、リンカー、およびトロンビン切断部位を有していない短縮型クラゲコラーゲンは、配列番号5に開示されている。
【0146】
GPQGVVGADGKDGTPGNAGQKGPSGEPGSPGKAGSAGEQGPPGKDGSNGEPGSPGKEGERGLAGPPGPDGRRGETGSPGIAGALGKPGLEGPKGYPGLRGRDGTNGKRGEQGETGPDGVRGIPGNDGQSGKPGIDGIDGTNGQPGEAGYQGGRGTRGQLGETGDVGQNGDRGAPGPDGSKGSAGRPGLR(配列番号5)
【0147】
DsbA分泌タグ-Hisタグ-リンカー-トロンビン切断部位を有する短縮型コラーゲンとGFPベータ-ラクタマーゼの融合(バージョン1):
DsbA分泌タグ-Hisタグ-リンカー-トロンビン切断部位を有するクラゲコラーゲンとGFPベータラクタマーゼの融合を下記に開示する。このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号9に提供されている。アミノ酸配列は、配列番号10に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号9のヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号10のアミノ酸1~24をコードする。Hisタグは、配列番号9のヌクレオチド73~99によってコードされており、配列番号10のアミノ酸25~33の9ヒスチジンタグをコードする。リンカーは、配列番号9のヌクレオチド100~111によってコードされており、配列番号10のアミノ酸34~37をコードする。トロンビン切断部位は、配列番号9のヌクレオチド112~135によってコードされており、配列番号10のアミノ酸38~45をコードする。リンカーを有する緑色蛍光タンパク質(GFP)は、配列番号9のヌクレオチド136~873によってコードされており、配列番号10のアミノ酸46~291をコードする。短縮型コラーゲン配列は、配列番号9のヌクレオチド874~1440によってコードされており、配列番号10のアミノ酸292~480をコードする。リンカーを有するベータ-ラクタマーゼは、配列番号9のヌクレオチド1441~2232によってコードされており、配列番号10のアミノ酸481~744をコードする。ベータ-ラクタマーゼは、ポリペプチドが独立の分泌タグを有していなかったとしても、ペリプラズム空間を適切に標的にした。DsbA分泌タグは、転写物全体(DsbA分泌タグ-Hisタグ-リンカー-トロンビン切断部位を有する短縮型コラーゲンとGFPベータラクタマーゼの融合タンパク質)をペリプラズム空間に方向づけ、ベータ-ラクタマーゼは適切に機能した。
【0148】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATCACCATCACCACCACCACCATCACCACTCTGGCTCGAGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGTCTGGCTCGAGCAGTAAAGGTGAAGAACTGTTCACCGGTGTTGTTCCGATCCTGGTTGAACTGGATGGTGATGTTAACGGCCACAAATTCTCTGTTCGTGGTGAAGGTGAAGGTGATGCAACCAACGGTAAACTGACCCTGAAATTCATCTGCACTACCGGTAAACTGCCGGTTCCATGGCCGACTCTGGTGACTACCCTGACCTATGGTGTTCAGTGTTTTTCTCGTTACCCGGATCACATGAAGCAGCATGATTTCTTCAAATCTGCAATGCCGGAAGGTTATGTACAGGAGCGCACCATTTCTTTCAAAGACGATGGCACCTACAAAACCCGTGCAGAGGTTAAATTTGAAGGTGATACTCTGGTGAACCGTATTGAACTGAAAGGCATTGATTTCAAAGAGGACGGCAACATCCTGGGCCACAAACTGGAATATAACTTCAACTCCCATAACGTTTACATCACCGCAGACAAACAGAAGAACGGTATCAAAGCTAACTTCAAAATTCGCCATAACGTTGAAGACGGTAGCGTACAGCTGGCGGACCACTACCAGCAGAACACTCCGATCGGTGATGGTCCGGTTCTGCTGCCGGATAACCACTACCTGTCCACCCAGTCTAAACTGTCCAAAGACCCGAACGAAAAGCGCGACCACATGGTGCTGCTGGAGTTCGTTACTGCAGCAGGTATCACGCACGGCATGGATGAACTCTACAAATCTGGCGCGCCGGGCGGTCCGCAGGGTGTTGTTGGTGCAGATGGTAAAGACGGTACCCCGGGTAATGCAGGTCAGAAAGGTCCGTCAGGTGAACCTGGCAGCCCTGGTAAAGCAGGTAGTGCCGGTGAGCAGGGTCCGCCGGGCAAAGATGGTAGTAATGGTGAGCCGGGTAGCCCTGGCAAAGAAGGTGAACGTGGTCTGGCAGGACCGCCGGGTCCTGATGGTCGCCGCGGTGAAACGGGTTCACCGGGTATTGCCGGTGCCCTGGGTAAACCAGGTCTGGAAGGTCCGAAAGGTTATCCTGGTCTGCGCGGTCGTGATGGTACCAATGGCAAACGTGGCGAACAGGGCGAAACCGGTCCAGATGGTGTTCGTGGTATTCCGGGTAACGATGGTCAGAGCGGTAAACCGGGCATTGATGGTATTGATGGCACCAATGGTCAGCCTGGCGAAGCAGGTTATCAGGGTGGTCGCGGTACCCGTGGTCAGCTGGGTGAAACAGGTGATGTTGGTCAGAATGGTGATCGCGGCGCACCGGGTCCGGATGGTAGCAAAGGTAGCGCCGGTCGTCCGGGTTTACGTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCGGTAAGATCCTTGAGAGTTTTCGCCCCGAAGAACGTTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTGCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTATTGACGCCGGGCAAGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTCAGAATGACTTGGTTGAGTACTCACCAGTCACAGAAAAGCATCTTACGGATGGCATGACAGTAAGAGAATTATGCAGTGCTGCCATAACCATGAGTGATAACACTGCGGCCAACTTACTTCTGACAACGATCGGAGGACCGAAGGAGCTAACCGCTTTTTTGCACAACATGGGGGATCATGTAACTCGCCTTGATCGTTGGGAACCGGAGCTGAATGAAGCCATACCAAACGACGAGCGTGACACCACGATGCCTGTAGCAATGGCAACAACGTTGCGCAAACTATTAACTGGCGAACTACTTACTCTAGCTTCCCGGCAACAATTAATAGACTGGATGGAGGCGGATAAAGTTGCAGGACCACTTCTGCGCTCGGCCCTTCCGGCTGGCTGGTTTATTGCTGATAAATCTGGAGCCGGTGAGCGTGGGTCTCGCGGTATCATTGCAGCACTGGGGCCAGATGGTAAGCCCTCCCGTATCGTAGTTATCTACACGACGGGGAGTCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGCTGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAA(配列番号9)
【0149】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDHHHHHHHHHSGSSLVPRGSHMSGSSSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVRGEGEGDATNGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTISFKDDGTYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNFNSHNVYITADKQKNGIKANFKIRHNVEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSKLSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITHGMDELYKSGAPGGPQGVVGADGKDGTPGNAGQKGPSGEPGSPGKAGSAGEQGPPGKDGSNGEPGSPGKEGERGLAGPPGPDGRRGETGSPGIAGALGKPGLEGPKGYPGLRGRDGTNGKRGEQGETGPDGVRGIPGNDGQSGKPGIDGIDGTNGQPGEAGYQGGRGTRGQLGETGDVGQNGDRGAPGPDGSKGSAGRPGLRHPETLVKVKDAEDQLGARVGYIELDLNSGKILESFRPEERFPMMSTFKVLLCGAVLSRIDAGQEQLGRRIHYSQNDLVEYSPVTEKHLTDGMTVRELCSAAITMSDNTAANLLLTTIGGPKELTAFLHNMGDHVTRLDRWEPELNEAIPNDERDTTMPVAMATTLRKLLTGELLTLASRQQLIDWMEADKVAGPLLRSALPAGWFIADKSGAGERGSRGIIAALGPDGKPSRIVVIYTTGSQATMDERNRQIAEIGASLIKHW(配列番号10)
【0150】
配列番号9のポリヌクレオチドは、いくつかのDNA断片をアセンブルすることによって構築された。コラーゲン含有配列は、Gen9 DNA(現Ginkgo Bioworks)内部合成によってコドン最適化および合成された。GFPもまた、Gen9によって合成された。ベータ-ラクタマーゼは、プラスミドpKD46(cgsc2.biology.yale.edu/Strain.php?ID=68099)から酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ(www.clontech.com/US/Products/PCR/GC_Rich/PrimeSTAR_GXL_DNA_Polymerase?sitex=10020:22372:US)を用いるPCRを使用することによりクローニングした。pET28ベクター、GFP、コラーゲン、およびベータ-ラクタマーゼの間のオーバーラップは、30~40bpの長さになるように設計され、酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼを用いるPCRを使用して付加した。次いで、開環されたpET28aベクターおよび挿入物を、SGI GibsonAssembly(登録商標)(us.vwr.com/store/product/17613857/gibson-assembly-hifi-l-step-kit-synthetic-genomics-inc)を使用して、最終プラスミドへ一緒にアセンブルした。次いで、プラスミド配列を、Eurofins Genomics(www.eurofinsgenomics.com)によるサンガーシーケンシングによって検証した。
【0151】
形質転換された細胞を最小培地で培養し、細胞のグリセロールに対する比が50:50でグリセロールを含む1.5mlのアリコート中で凍結した。この凍結培養物の1つのバイアルを50mlの最小培地中で、37℃、200rpmにて一晩復活させた。細胞を300mlの最小培地に移し、6~9時間増殖させ、OD600を5~10に到達させた。
【0152】
バイオリアクターを2.7Lの最小培地+グルコースを用いて調製し、OD600が5~10の培養物300mlを加え、開始容量を3Lにした。細胞を28℃、pH7で、攪拌、空気、および酸素を含むカスケードを使用して溶存酸素を20%飽和に維持しながら増殖させた。pHは、28%w/wの水酸化アンモニウム溶液を使用して調節した。発酵は、40g/Lの初期ボーラスが約13時間枯渇されたなら、DO-statをベースとした供給アルゴリズムを使用して、フェッドバッチモードで実行した。初期増殖の24~26時間後、OD600は100を超えた。この時点で、500g/Lのスクロース300mLを加え、温度を25℃に低下させた。タンパク質生成のために高密度培養は1mMのIPTGを使用して誘導した。発酵をさらに20~24時間継続し、ベンチトップ遠心分離機を使用し9000rcf、15℃で60分間、細胞を回収した。遠心分離機から回収した細胞ペレットをpH8の0.5M NaClおよび0.1M KH2PО4を含むバッファー中に、2×バッファーを1×細胞に対する重量比で再懸濁した。
【0153】
回収した細胞は、ホモジナイザーで圧力14,000psiで2回破砕した。得られたスラリーは、コラーゲンタンパク質を他のタンパク質と一緒に含んでいた。
【0154】
コラーゲンは、遠心分離および上記のバッファーへの再懸濁の後にバイオリアクターから回収された、ホモジナイズされていない全細胞を酸処理することによって精製した。再懸濁した懸濁液のpHは、6Mの塩酸を使用して3まで下げた。酸性化した細胞スラリーは、混合しながら一晩4℃でインキュベートし、続いて遠心分離を行った。次いで、10NのNaOHを使用してpHを9まで上げ、スラリーの上清をポリアクリルアミドゲルで試験し、出発ペレットと比較して、比較的多量の豊富なコラーゲンが含まれていることを確認した。このようにして得られたコラーゲンスラリーは、塩が高かった。体積および塩を減らすため、0.1m2の限外濾過カセットをそれぞれ備えたEMD Millipore Tangential Flow Filtrationシステムを使用して、濃縮ステップとダイアフィルトレーションステップを実施した。2つのカセットを並行して使用した濾過の総面積は、0.2m2であった。5×の体積低下と19×の塩の低下は、TFF段階において達成された。最終のコラーゲンスラリーをSDS-PAGEゲルで泳動させ、コラーゲンの存在を確認した。このスラリーは、多重トレイ凍結乾燥装置を使用して3日間乾燥させ、白色のふかふかしたコラーゲン粉末を得た。
【0155】
精製コラーゲン-GFP-ベータ-ラクタマーゼ融合タンパク質をSDS-PAGEゲルで分析し、90キロダルトンの見かけの分子量で泳動することが観察された。融合タンパク質の予想されるサイズは、85kDaである。90kDaのバンドは、質量分析により、正確なコラーゲン融合タンパク質であることが確認された。
【0156】
DsbA分泌タグ-Hisタグ-リンカー-トロンビン切断部位を有する短縮型コラーゲンとGFPベータ-ラクタマーゼの融合(バージョン2):
DsbA分泌タグ-Hisタグ-リンカー-トロンビン切断部位を有するクラゲコラーゲンとGFPベータ-ラクタマーゼの融合を下記に開示する。このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号11に提供されている。アミノ酸配列は、配列番号12に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号11のヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号12のアミノ酸1~24をコードする。Hisタグは、配列番号11のヌクレオチド73~99によってコードされており、配列番号12のアミノ酸25~33の9ヒスチジンタグをコードする。リンカーは、配列番号11のヌクレオチド100~111によってコードされており、配列番号12のアミノ酸34~37をコードする。トロンビン切断部位は、配列番号11の112~135のヌクレオチドによってコードされており、配列番号12のアミノ酸38~45をコードする。リンカーを有する緑色蛍光タンパク質(GFP)は、配列番号11のヌクレオチド136~873によってコードされており、配列番号12のアミノ酸46~291をコードする。短縮型コラーゲンの配列は、配列番号11のヌクレオチド874~1440によってコードされており、配列番号12のアミノ酸292~480をコードする。リンカーを有するベータ-ラクタマーゼは、配列番号11のヌクレオチド1441~2232によってコードされており、配列番号12のアミノ酸481~744をコードする。
【0157】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATCACCATCACCACCACCACCATCACCACTCTGGCTCGAGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGTCTGGCTCGAGCAGTAAAGGTGAAGAACTGTTCACCGGTGTTGTTCCGATCCTGGTTGAACTGGATGGTGATGTTAACGGCCACAAATTCTCTGTTCGTGGTGAAGGTGAAGGTGATGCAACCAACGGTAAACTGACCCTGAAATTCATCTGCACTACCGGTAAACTGCCGGTTCCATGGCCGACTCTGGTGACTACCCTGACCTATGGTGTTCAGTGTTTTTCTCGTTACCCGGATCACATGAAGCAGCATGATTTCTTCAAATCTGCAATGCCGGAAGGTTATGTACAGGAGCGCACCATTTCTTTCAAAGACGATGGCACCTACAAAACCCGTGCAGAGGTTAAATTTGAAGGTGATACTCTGGTGAACCGTATTGAACTGAAAGGCATTGATTTCAAAGAGGACGGCAACATCCTGGGCCACAAACTGGAATATAACTTCAACTCCCATAACGTTTACATCACCGCAGACAAACAGAAGAACGGTATCAAAGCTAACTTCAAAATTCGCCATAACGTTGAAGACGGTAGCGTACAGCTGGCGGACCACTACCAGCAGAACACTCCGATCGGTGATGGTCCGGTTCTGCTGCCGGATAACCACTACCTGTCCACCCAGTCTaaaCTGTCCAAAGACCCGAACGAAAAGCGCGACCACATGGTGCTGCTGGAGTTCGTTACTGCAGCAGGTATCACGCACGGCATGGATGAACTCTACAAATCTGGCGCGCCGGGCGGTCCGCAGGGTGTTGTTGGTGCAGATGGTAAAGACGGTACCCCGGGTAATGCAGGTCAGAAAGGTCCGTCAGGTGAACCTGGCAGCCCTGGTAAAGCAGGTAGTGCCGGTGAGCAGGGTCCGCCGGGCAAAGATGGTAGTAATGGTGAGCCGGGTAGCCCTGGCAAAGAAGGTGAACGTGGTCTGGCAGGACCGCCGGGTCCTGATGGTCGCCGCGGTGAAACGGGTTCACCGGGTATTGCCGGTGCCCTGGGTAAACCAGGTCTGGAAGGTCCGAAAGGTTATCCTGGTCTGCGCGGTCGTGATGGTACCAATGGCAAACGTGGCGAACAGGGCGAAACCGGTCCAGATGGTGTTCGTGGTATTCCGGGTAACGATGGTCAGAGCGGTAAACCGGGCATTGATGGTATTGATGGCACCAATGGTCAGCCTGGCGAAGCAGGTTATCAGGGTGGTCGCGGTACCCGTGGTCAGCTGGGTGAAACAGGTGATGTTGGTCAGAATGGTGATCGCGGCGCACCGGGTCCGGATGGTAGCAAAGGTAGCGCCGGTCGTCCGGGTTTACGTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCGGTAAGATCCTTGAGAGTTTTCGCCCCGAAGAACGTTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTGCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTATTGACGCCGGGCAAGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTCAGAATGACTTGGTTGAGTACTCACCAGTCACAGAAAAGCATCTTACGGATGGCATGACAGTAAGAGAATTATGCAGTGCTGCCATAACCATGAGTGATAACACTGCGGCCAACTTACTTCTGACAACGATCGGAGGACCGAAGGAGCTAACCGCTTTTTTGCACAACATGGGGGATCATGTAACTCGCCTTGATCGTTGGGAACCGGAGCTGAATGAAGCCATACCAAACGACGAGCGTGACACCACGATGCCTGTAGCAATGGCAACAACGTTGCGCAAACTATTAACTGGCGAACTACTTACTCTAGCTTCCCGGCAACAATTAATAGACTGGATGGAGGCGGATAAAGTTGCAGGACCACTTCTGCGCTCGGCCCTTCCGGCTGGCTGGTTTATTGCTGATAAATCTGGAGCCGGTGAGCGTGGGTCTCGCGGTATCATTGCAGCACTGGGGCCAGATGGTAAGCCCTCCCGTATCGTAGTTATCTACACGACGGGGAGTCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGCTGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAA(配列番号11)
【0158】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDHHHHHHHHHSGSSLVPRGSHMSGSSSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVRGEGEGDATNGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTISFKDDGTYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNFNSHNVYITADKQKNGIKANFKIRHNVEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSKLSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITHGMDELYKSGAPGGPQGVVGADGKDGTPGNAGQKGPSGEPGSPGKAGSAGEQGPPGKDGSNGEPGSPGKEGERGLAGPPGPDGRRGETGSPGIAGALGKPGLEGPKGYPGLRGRDGTNGKRGEQGETGPDGVRGIPGNDGQSGKPGIDGIDGTNGQPGEAGYQGGRGTRGQLGETGDVGQNGDRGAPGPDGSKGSAGRPGLRHPETLVKVKDAEDQLGARVGYIELDLNSGKILESFRPEERFPMMSTFKVLLCGAVLSRIDAGQEQLGRRIHYSQNDLVEYSPVTEKHLTDGMTVRELCSAAITMSDNTAANLLLTTIGGPKELTAFLHNMGDHVTRLDRWEPELNEAIPNDERDTTMPVAMATTLRKLLTGELLTLASRQQLIDWMEADKVAGPLLRSALPAGWFIADKSGAGERGSRGIIAALGPDGKPSRIVVIYTTGSQATMDERNRQIAEIGASLIKHW(配列番号12)
【0159】
(実施例2)
ヒトコラーゲン
短縮型ヒトコラーゲン21型アルファ1
Hisタグ、リンカー、およびトロンビン切断部位を有していない、短縮型ヒトコラーゲン21型アルファ1(完全長ヒト21型アルファ1コラーゲン(配列番号31)と比べた短縮型)を下記に開示する。このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を下記に開示する。DsbA分泌タグは、配列番号13のヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号14のアミノ酸1~24をコードする。短縮型コラーゲン配列は、配列番号13のヌクレオチド73~633によってコードされており、配列番号14のアミノ酸25~211をコードする。
【0160】
このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号13に提供されている。
【0161】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATGCAGGTTTTCCGGGTCTGCCTGGTCCGGCAGGCGAACCGGGTCGTCATGGTAAAGATGGTCTGATGGGTAGTCCGGGTTTTAAAGGTGAAGCAGGTTCACCGGGTGCACCTGGTCAGGATGGCACCCGTGGTGAACCGGGTATTCCGGGATTTCCGGGTAATCGTGGCCTGATGGGTCAGAAAGGTGAAATTGGTCCGCCTGGTCAGCAGGGTAAAAAAGGCGCACCGGGTATGCCAGGACTGATGGGTTCAAATGGCAGTCCGGGTCAGCCAGGCACACCGGGTTCAAAAGGTAGCAAAGGCGAACCTGGTATTCAGGGTATGCCTGGTGCAAGCGGTCTGAAAGGCGAGCCAGGTGCCACCGGTTCTCCGGGTGAACCAGGTTATATGGGTCTGCCAGGTATCCAAGGCAAAAAAGGTGATAAAGGTAATCAGGGCGAAAAAGGCATTCAGGGCCAGAAAGGCGAAAATGGCCGTCAGGGTATTCCAGGCCAGCAGGGCATCCAGGGTCATCATGGTGCAAAAGGTGAACGTGGTGAAAAGGGCGAACCAGGTGTTCGTTTA(配列番号13)
【0162】
アミノ酸配列は、配列番号14に開示されている。
【0163】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDAGFPGLPGPAGEPGRHGKDGLMGSPGFKGEAGSPGAPGQDGTRGEPGIPGFPGNRGLMGQKGEIGPPGQQGKKGAPGMPGLMGSNGSPGQPGTPGSKGSKGEPGIQGMPGASGLKGEPGATGSPGEPGYMGLPGIQGKKGDKGNQGEKGIQGQKGENGRQGIPGQQGIQGHHGAKGERGEKGEPGVR(配列番号14)
【0164】
DsbA分泌タグを有していない短縮型ヒトコラーゲン21型アルファ1をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号15に提供されている。
【0165】
TGCAGGTTTTCCGGGTCTGCCTGGTCCGGCAGGCGAACCGGGTCGTCATGGTAAAGATGGTCTGATGGGTAGTCCGGGTTTTAAAGGTGAAGCAGGTTCACCGGGTGCACCTGGTCAGGATGGCACCCGTGGTGAACCGGGTATTCCGGGATTTCCGGGTAATCGTGGCCTGATGGGTCAGAAAGGTGAAATTGGTCCGCCTGGTCAGCAGGGTAAAAAAGGCGCACCGGGTATGCCAGGACTGATGGGTTCAAATGGCAGTCCGGGTCAGCCAGGCACACCGGGTTCAAAAGGTAGCAAAGGCGAACCTGGTATTCAGGGTATGCCTGGTGCAAGCGGTCTGAAAGGCGAGCCAGGTGCCACCGGTTCTCCGGGTGAACCAGGTTATATGGGTCTGCCAGGTATCCAAGGCAAAAAAGGTGATAAAGGTAATCAGGGCGAAAAAGGCATTCAGGGCCAGAAAGGCGAAAATGGCCGTCAGGGTATTCCAGGCCAGCAGGGCATCCAGGGTCATCATGGTGCAAAAGGTGAACGTGGTGAAAAGGGCGAACCAGGTGTTCGTtaa(配列番号15)
【0166】
DsbA分泌タグを有していない短縮型ヒトコラーゲン21型アルファ1のアミノ酸配列は、配列番号16に開示されている。
【0167】
AGFPGLPGPAGEPGRHGKDGLMGSPGFKGEAGSPGAPGQDGTRGEPGIPGFPGNRGLMGQKGEIGPPGQQGKKGAPGMPGLMGSNGSPGQPGTPGSKGSKGEPGIQGMPGASGLKGEPGATGSPGEPGYMGLPGIQGKKGDKGNQGEKGIQGQKGENGRQGIPGQQGIQGHHGAKGERGEKGEPGVR(配列番号16)
【0168】
配列番号13のポリヌクレオチドは、Twist Bioscienceによって合成された。pET28ベクターと配列番号15および配列番号16の間のオーバーラップは、20~30bpの長さになるように設計し、酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ(www.takarabio.com/products/pcr/gc-rich-pcr/primestar-gxl-dna-polymerase)によるPCRを使用して付加した。次いで、開環されたpET28aベクターとインサートDNA(配列番号13)を、In-Fusion Cloning(www.takarabio.com/products/cloning/in-fusion-cloning)を使用して最終プラスミドに共にアセンブルした。次に、プラスミド配列を、Genewiz(www.genewiz.com/en)によりサンガーシーケンシングによって検証した。
【0169】
形質転換された細胞を最小培地で培養し、細胞のグリセリンに対する比が50:50で植物性グリセリンを含む1.5mlアリコート中で凍結した。この凍結培養物の1つのバイアルを50mlの最小培地中で、37℃、200rpmにて一晩復活させた。細胞を300mlの最小培地に移し、OD600が5~10に到達するように6~9時間増殖させた。
【0170】
この実施例で、および本出願を通して使用されている最小培地は、以下のように調製する:
1)DI水中の濃度550g/kgのグルコースシロップのオートクレーブ5L。(VWR、製品番号97061-170)。
2)3946mLのDI水中のオートクレーブ:
20gの(NH
4)
2HPO
4。(VWR、製品番号97061-932);
66.5gのKH
2PO
4。(VWR、製品番号97062-348);
22.5gのH
3C
6H
5O
7。(VWR、製品番号BDH9228-2.5KG);
8.85gのMgSO
4.7H
2O。(VWR、製品番号97062-134);
1000×微量金属配合物(表3)の10mL。
オートクレーブ後に、(2)に(1)の118gを添加;
25mg/mLの硫酸カナマイシン(VWR-V0408)の5mL;
28%のNH
4OH(VWR、製品番号BDH3022)を使用してpHを6.1に調整。
【表3】
【0171】
発酵は、25℃~28℃の範囲の様々な温度で実施した。いくつかの発酵については、発酵の温度を一定の温度に維持し、発酵が完了したら直ちにコラーゲンを精製した。他の発酵については、発酵の温度を所望の期間維持し、OD600の細胞密度が10~20に達した場合、温度を下げてタンパク質の生成を誘導した。典型的には、温度は、28℃から25℃に下げた。25℃での発酵後、40~60時間継続した。
【0172】
コラーゲンは以下のように精製した:発酵ブロスのpHを、5~50%硫酸を使用して3~3.5の間に下げた。次いで、遠心分離を使用して細胞を分離した。酸性化されたブロスの上清をポリアクリルアミドゲルで試験し、出発ペレットと比較して、比較的多量の豊富なコラーゲンが含まれていることを確認した。このようにして得られたコラーゲンスラリーは、塩が高かった。体積および塩を減らすため、0.1m2の限外濾過カセットをそれぞれ備えたEMD Millipore Tangential Flow Filtrationシステムを使用して、濃縮ステップとダイアフィルトレーションステップを実施した。2つのカセットを並行して使用した濾過の総面積は、0.2m2であった。5×の体積低下と19×の塩の低下は、TFF段階において達成された。最終のコラーゲンスラリーをSDS-PAGEゲルで泳動させ、コラーゲンの存在を確認した。
【0173】
精製コラーゲンをSDS-PAGEゲルで分析し、太くて透明なバンドが25キロダルトンの予想されたサイズで観察された。コラーゲンの力価および純度の定量化は、逆相およびサイズ排除HPLCクロマトグラフィーを使用して実施した。力価は、通常、1リットル当たり3~8グラムである。精製コラーゲンはまた質量分析によってさらに分析し、公表されたヒト21型コラーゲンの配列と一致することが確認された。
【0174】
短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(1)
Hisタグ、リンカー、およびトロンビン切断部位を有していない短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(完全長ヒトコラーゲン1型アルファ2(配列番号32)と比べた短縮型)を下記に開示している。コドン最適化ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を下記に開示している。DsbA分泌タグは、配列番号17のヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号18のアミノ酸1~24をコードする。短縮型コラーゲン配列は、配列番号17のヌクレオチド73~636によってコードされており、配列番号18のアミノ酸25~212をコードする。
【0175】
このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号17に提供されている。
【0176】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATATGGGTCCGCCTGGTAGCCGTGGTGCAAGTGGTCCGGCAGGCGTTCGTGGTCCGAATGGTGATGCAGGTCGTCCGGGTGAACCGGGTCTGATGGGTCCTCGTGGTCTGCCTGGTTCACCGGGTAATATTGGTCCTGCAGGTAAAGAAGGTCCGGTTGGTCTGCCAGGTATTGATGGCCGTCCGGGTCCGATTGGTCCAGCCGGTGCACGTGGTGAACCTGGCAATATTGGTTTTCCGGGTCCTAAAGGTCCGACCGGTGATCCGGGTAAAAATGGTGATAAAGGTCATGCAGGTCTGGCAGGCGCACGCGGTGCACCTGGTCCGGATGGTAATAATGGTGCACAGGGTCCACCGGGTCCGCAGGGTGTTCAAGGTGGTAAAGGCGAACAGGGTCCTGCCGGTCCTCCGGGTTTTCAGGGACTGCCTGGTCCGAGCGGTCCTGCGGGTGAAGTTGGTAAACCTGGTGAACGCGGTCTGCATGGTGAATTTGGCCTGCCTGGGCCTGCAGGTCCGCGTGGCGAACGTGGTCCGCCAGGTGAAAGCGGTGCAGCAGGTCCGACAGGTTAA(配列番号17)
【0177】
アミノ酸配列は、配列番号18に開示されている。
【0178】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDMGPPGSRGASGPAGVRGPNGDAGRPGEPGLMGPRGLPGSPGNIGPAGKEGPVGLPGIDGRPGPIGPAGARGEPGNIGFPGPKGPTGDPGKNGDKGHAGLAGARGAPGPDGNNGAQGPPGPQGVQGGKGEQGPAGPPGFQGLPGPSGPAGEVGKPGERGLHGEFGLPGPAGPRGERGPPGESGAAGPTG(配列番号18)
【0179】
DsbA分泌タグを有していない短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(1)の核酸配列は、配列番号19に開示されている。
【0180】
ATGGGTCCGCCTGGTAGCCGTGGTGCAAGTGGTCCGGCAGGCGTTCGTGGTCCGAATGGTGATGCAGGTCGTCCGGGTGAACCGGGTCTGATGGGTCCTCGTGGTCTGCCTGGTTCACCGGGTAATATTGGTCCTGCAGGTAAAGAAGGTCCGGTTGGTCTGCCAGGTATTGATGGCCGTCCGGGTCCGATTGGTCCAGCCGGTGCACGTGGTGAACCTGGCAATATTGGTTTTCCGGGTCCTAAAGGTCCGACCGGTGATCCGGGTAAAAATGGTGATAAAGGTCATGCAGGTCTGGCAGGCGCACGCGGTGCACCTGGTCCGGATGGTAATAATGGTGCACAGGGTCCACCGGGTCCGCAGGGTGTTCAAGGTGGTAAAGGCGAACAGGGTCCTGCCGGTCCTCCGGGTTTTCAGGGACTGCCTGGTCCGAGCGGTCCTGCGGGTGAAGTTGGTAAACCTGGTGAACGCGGTCTGCATGGTGAATTTGGCCTGCCTGGGCCTGCAGGTCCGCGTGGCGAACGTGGTCCGCCAGGTGAAAGCGGTGCAGCAGGTCCGACAGGTTAA(配列番号19)
【0181】
DsbA分泌タグを有していない短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(1)のアミノ酸配列は、配列番号20に開示されている。
【0182】
MGPPGSRGASGPAGVRGPNGDAGRPGEPGLMGPRGLPGSPGNIGPAGKEGPVGLPGIDGRPGPIGPAGARGEPGNIGFPGPKGPTGDPGKNGDKGHAGLAGARGAPGPDGNNGAQGPPGPQGVQGGKGEQGPAGPPGFQGLPGPSGPAGEVGKPGERGLHGEFGLPGPAGPRGERGPPGESGAAGPTG(配列番号20)
【0183】
短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(2)
Hisタグ、リンカー、およびトロンビン切断部位を有していない短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(完全長ヒトコラーゲン1型アルファ2(配列番号32)と比べた短縮型)は下記に開示されている。コドン最適化ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は下記に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号21のヌクレオチド1~72によってコードされており、配列番号22のアミノ酸1~24をコードする。短縮型コラーゲン配列は、配列番号21のヌクレオチド73~609によってコードされており、配列番号22のアミノ酸25~203をコードする。
【0184】
このコラーゲンをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号21に提供されている。
【0185】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGCGCAGTATGAAGATGGTTTTCAGGGTCCTGCCGGTGAACCGGGTGAACCTGGTCAGACAGGTCCGGCAGGCGCACGTGGTCCTGCAGGTCCTCCTGGTAAAGCCGGTGAAGATGGTCATCCGGGTAAACCGGGTCGTCCTGGTGAACGTGGTGTTGTTGGTCCGCAGGGTGCCCGTGGTTTTCCGGGTACTCCGGGTCTGCCAGGTTTTAAAGGTATTCGTGGTCATAATGGTCTGGATGGTCTGAAAGGTCAGCCTGGTGCACCGGGTGTTAAAGGTGAACCAGGTGCTCCGGGTGAAAATGGCACACCGGGTCAGACCGGTGCGCGTGGTCTGCCTGGCGAACGCGGTCGTGTTGGTGCACCTGGTCCAGCCGGTGCACGCGGTAGTGATGGTAGCGTTGGTCCGGTTGGTCCAGCGGGTCCGATTGGTAGCGCAGGTCCACCGGGTTTTCCAGGCGCACCGGGTCCGAAAGGTGAAATTGGTGCAGTTGGTAATGCAGGCCCTGCCGGTCCAGCAGGACCGCGTGGTGAAGTTGGCCTGCCTGGTCTGTAA(配列番号21)
【0186】
アミノ酸配列は、配列番号22に開示されている。
【0187】
MKKIWLALAGLVLAFSASAAQYEDGFQGPAGEPGEPGQTGPAGARGPAGPPGKAGEDGHPGKPGRPGERGVVGPQGARGFPGTPGLPGFKGIRGHNGLDGLKGQPGAPGVKGEPGAPGENGTPGQTGARGLPGERGRVGAPGPAGARGSDGSVGPVGPAGPIGSAGPPGFPGAPGPKGEIGAVGNAGPAGPAGPRGEVGLPGL(配列番号22)
【0188】
DsbA分泌タグを有していない短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(2)の核酸配列は、配列番号23に開示されている。
【0189】
GGTTTTCAGGGTCCTGCCGGTGAACCGGGTGAACCTGGTCAGACAGGTCCGGCAGGCGCACGTGGTCCTGCAGGTCCTCCTGGTAAAGCCGGTGAAGATGGTCATCCGGGTAAACCGGGTCGTCCTGGTGAACGTGGTGTTGTTGGTCCGCAGGGTGCCCGTGGTTTTCCGGGTACTCCGGGTCTGCCAGGTTTTAAAGGTATTCGTGGTCATAATGGTCTGGATGGTCTGAAAGGTCAGCCTGGTGCACCGGGTGTTAAAGGTGAACCAGGTGCTCCGGGTGAAAATGGCACACCGGGTCAGACCGGTGCGCGTGGTCTGCCTGGCGAACGCGGTCGTGTTGGTGCACCTGGTCCAGCCGGTGCACGCGGTAGTGATGGTAGCGTTGGTCCGGTTGGTCCAGCGGGTCCGATTGGTAGCGCAGGTCCACCGGGTTTTCCAGGCGCACCGGGTCCGAAAGGTGAAATTGGTGCAGTTGGTAATGCAGGCCCTGCCGGTCCAGCAGGACCGCGTGGTGAAGTTGGCCTGCCTGGTCTGTAA(配列番号23)
【0190】
DsbA分泌タグを有していない短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2(2)のアミノ酸配列は、配列番号24に開示されている。
【0191】
GFQGPAGEPGEPGQTGPAGARGPAGPPGKAGEDGHPGKPGRPGERGVVGPQGARGFPGTPGLPGFKGIRGHNGLDGLKGQPGAPGVKGEPGAPGENGTPGQTGARGLPGERGRVGAPGPAGARGSDGSVGPVGPAGPIGSAGPPGFPGAPGPKGEIGAVGNAGPAGPAGPRGEVGLPGL(配列番号24)
【0192】
配列番号13、17、または21のポリヌクレオチドを、本明細書に記載されているようにベクターpET28aにサブクローニングし、形質転換ベクターを調製した。宿主細胞をベクターで形質転換し、ポリヌクレオチドを実施例1に記載されているように発現させた。
【0193】
発酵が完了した後、短縮型ヒトコラーゲンを、実施例2に開示されている手順を使用し、発酵ブロスから精製した。精製した短縮型ヒトコラーゲンを、実施例2に開示されているようにSDS-PAGEおよびHPLCを使用して分析した。
【0194】
3つの短縮型ヒトコラーゲンすべてを、SDS-PAGE分析において予想される分子量で実行した。HPLCを使用する短縮型ヒトコラーゲンの分析において、実施例1のクラゲコラーゲンを使用した標準曲線を利用した。ヒトコラーゲンの保持時間は、クラゲコラーゲンとはわずかに異なっていた。配列番号16の保持時間は5.645分であり、配列番号20の保持時間は5.631分であり、配列番号24は2つのピークで実行され、保持時間は5.531分および5.7分であった。
【0195】
DsbA分泌およびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化5
DsbA分泌およびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化5のアミノ酸配列は、配列番号25に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号26のヌクレオチド1~57によってコードされており、アミノ酸配列は、配列番号25のアミノ酸1~19である。コラーゲンヌクレオチド配列は、配列番号26のヌクレオチド58~657であり、アミノ酸配列は、配列番号25のアミノ酸20~219である。FLAGヌクレオチド配列は、配列番号26のヌクレオチド658~684であり、アミノ酸配列は、配列番号25のアミノ酸220~228である。
【0196】
MKKIWLALAGLVLAFSASAGDQGPVGRTGEVGAVGPPGFAGEKGPSGEAGTAGPPGTPGPQGLLGAPGILGLPGSRGERGLPGVAGAVGEPGPLGIAGPPGARGPPGAVGSPGVNGAPGEAGRDGNPGNDGPPGRDGQPGHKGERGYPGNIGPVGAAGAPGPHGPVGPAGKHGNRGETGPSGPVGPAGAVGPRGPSGPQGIRGDKGEPGEKGPRGLPGLGDYKDDDDK(配列番号25)
【0197】
DsbA分泌およびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化5の核酸配列は、配列番号26に開示されている。
【0198】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGGGTGATCAGGGTCCGGTTGGTCGTACCGGTGAAGTTGGTGCAGTCGGGCCGCCGGGTTTTGCGGGTGAAAAAGGCCCGTCAGGTGAAGCAGGCACCGCTGGCCCTCCTGGCACGCCTGGCCCACAGGGTTTACTGGGCGCACCTGGAATTCTGGGACTGCCGGGCAGCCGTGGAGAACGCGGTTTACCAGGTGTTGCCGGTGCCGTTGGTGAACCTGGTCCACTGGGCATTGCAGGGCCGCCTGGCGCACGGGGACCGCCTGGTGCTGTTGGTAGTCCGGGTGTGAATGGTGCTCCGGGTGAAGCCGGTCGTGACGGTAATCCGGGAAATGACGGCCCGCCAGGCCGCGATGGTCAGCCGGGTCATAAAGGTGAGCGTGGTTACCCAGGTAATATTGGTCCAGTCGGTGCCGCCGGTGCGCCGGGTCCTCATGGCCCTGTCGGTCCAGCCGGTAAACATGGTAATCGCGGTGAGACAGGTCCGTCAGGACCAGTGGGCCCTGCTGGCGCAGTCGGTCCGCGCGGGCCGAGTGGCCCTCAGGGTATTCGTGGCGATAAAGGGGAACCGGGCGAAAAAGGGCCGCGGGGTCTGCCAGGCCTGGGTGACTACAAAGACGACGACGACAAATAA(配列番号26)
【0199】
配列番号26のポリヌクレオチドをベクターpET28aにサブクローニングし、宿主のE.coli細胞において発現させ、短縮型コラーゲンを本明細書に記載されているように精製した。精製したコラーゲンはSDS-PAGEでクリアなバンドを生じ、抗FLAGウエスタンは約100キロダルトンで観察された。ゲル上のその位置に出現する既存のバンドは、このタンパク質の発現が存在しない場合にはなかった。
【0200】
DsbA分泌タグおよびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化6
DsbA分泌タグおよびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化6のアミノ酸配列は、配列番号27に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号28のヌクレオチド1~57によってコードされており、アミノ酸配列は、配列番号27のアミノ酸1~19である。コラーゲンヌクレオチド配列は、配列番号28のヌクレオチド58~657であり、アミノ酸配列は、配列番号27のアミノ酸20~219である。FLAGヌクレオチド配列は、配列番号28のヌクレオチド658~684であり、アミノ酸配列は、配列番号27のアミノ酸220~228である。
【0201】
MKKIWLALAGLVLAFSASAKGHNGLQGLPGIAGHHGDQGAPGSVGPAGPRGPAGPSGPAGKDGRTGHPGTVGPAGIRGPQGHQGPAGPPGPPGPPGPPGVSGGGYDFGYDGDFYRADQPRSAPSLRPKDYEVDATLKSLNNQIETLLTPEGSRKNPARTCRDLRLSHPEWSSGYYWIDPNQGCTMDAIKVYCDFSTGETCIRAQPENIPAKNWYRSSKDGDYKDDDDK(配列番号27)
【0202】
DsbA分泌タグおよびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化6の核酸配列は、配列番号28に開示されている。
【0203】
ATGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGAAAGGTCACAATGGACTGCAAGGCCTGCCAGGTATTGCAGGTCATCATGGTGATCAAGGTGCCCCGGGAAGCGTTGGTCCGGCGGGGCCGAGAGGCCCTGCGGGACCTTCAGGTCCGGCAGGCAAAGATGGTCGGACAGGCCATCCGGGCACCGTTGGCCCTGCAGGAATTCGTGGACCGCAGGGTCATCAGGGACCTGCTGGTCCGCCAGGTCCCCCGGGCCCTCCGGGACCACCGGGTGTTAGTGGTGGTGGTTATGATTTTGGCTATGATGGTGATTTTTATCGTGCAGATCAGCCGCGTAGCGCACCGAGCCTGCGTCCTAAAGATTATGAAGTTGATGCAACCCTGAAAAGCCTGAATAATCAGATTGAAACACTGCTGACACCGGAAGGTAGCCGTAAAAATCCGGCCCGTACCTGTCGTGATCTGCGTCTGAGCCACCCGGAATGGAGCAGCGGTTATTATTGGATTGATCCGAATCAAGGTTGTACCATGGATGCAATTAAAGTTTATTGTGATTTTAGCACAGGTGAAACATGTATCCGTGCACAGCCGGAAAATATTCCGGCCAAAAATTGGTATCGTAGTAGCAAAGATGGTGACTACAAAGACGACGACGACAAATAA(配列番号28)
【0204】
配列番号28のポリヌクレオチドをベクターpET28aにサブクローニングし、宿主のE.coli細胞において発現させ、短縮型コラーゲンを本明細書に記載されているように精製した。精製したコラーゲンはSDS-PAGEでクリアなバンドを生じ、抗FLAGウエスタンは約25キロダルトンで観察された。ゲル上のその位置に出現する既存のバンドは、このタンパク質の発現が存在しない場合にはなかった。
【0205】
DsbA分泌タグおよびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化7
DsbA分泌タグおよびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化7のアミノ酸配列は、配列番号29に開示されている。DsbA分泌タグは、配列番号30のヌクレオチド1~57によってコードされており、アミノ酸配列は、配列番号29のアミノ酸1~19である。コラーゲンヌクレオチド配列は、配列番号30のヌクレオチド58~759であり、アミノ酸配列は、配列番号29のアミノ酸20~253である。FLAGヌクレオチド配列は、配列番号30のヌクレオチド760~786であり、アミノ酸配列は、配列番号29のアミノ酸254~262である。
【0206】
MKKIWLALAGLVLAFSASAYEVDATLKSLNNQIETLLTPEGSRKNPARTCRDLRLSHPEWSSGYYWIDPNQGCTMDAIKVYCDFSTGETCIRAQPENIPAKNWYRSSKDKKHVWLGETINAGSQFEYNVEGVTSKEMATQLAFMRLLANYASQNITYHCKNSIAYMDEETGNLKKAVILQGSNDVELVAEGNSRFTYTVLVDGCSKKTNEWGKTIIEYKTNKPSRLPFLDIAPLDIGGADQEFFVDIGPVCFKGDYKDDDDK(配列番号29)
【0207】
DsbA分泌タグおよびFLAGタグを有する短縮型ヒトコラーゲン1型アルファ2短縮化7の核酸配列は、配列番号30に開示されている。
【0208】
TGAAAAAGATTTGGCTGGCGCTGGCTGGTTTAGTTTTAGCGTTTAGCGCATCGGCGTATGAAGTTGATGCAACCCTGAAAAGCCTGAATAATCAGATTGAAACACTGCTGACACCGGAAGGTAGCCGTAAAAATCCGGCCCGTACCTGTCGTGATCTGCGTCTGAGCCACCCGGAATGGAGCAGCGGTTATTATTGGATTGATCCGAATCAAGGTTGTACCATGGATGCAATTAAAGTTTATTGTGATTTTAGCACAGGTGAAACATGTATCCGTGCACAGCCGGAAAATATTCCGGCCAAAAATTGGTATCGTAGTAGCAAAGATAAAAAACATGTGTGGCTGGGTGAAACCATTAATGCAGGTAGCCAGTTTGAATACAATGTTGAAGGTGTTACCAGCAAAGAAATGGCAACACAGCTGGCATTTATGCGTCTGCTGGCAAATTATGCAAGCCAGAATATTACATATCATTGTAAAAATAGCATTGCATATATGGATGAAGAAACCGGTAATCTGAAAAAAGCAGTTATTCTGCAGGGTAGCAATGATGTTGAACTGGTTGCCGAAGGTAATAGCCGTTTTACATATACCGTTCTGGTTGATGGTTGTAGCAAAAAAACCAATGAATGGGGTAAAACCATCATTGAATATAAAACCAACAAACCGAGCCGTCTGCCGTTTCTGGATATCGCTCCGCTGGATATTGGTGGTGCCGATCAGGAATTTTTTGTCGATATCGGTCCTGTGTGTTTTAAAGGTGACTACAAAGACGACGACGACAAATAA(配列番号30)
【0209】
配列番号30のポリヌクレオチドをベクターpET28aにサブクローニングし、宿主のE.coli細胞において発現させ、短縮型コラーゲンを本明細書に記載されているように精製した。精製したコラーゲンはSDS-PAGEでクリアなバンドを生じ、抗FLAGウエスタンは約30キロダルトンで観察された。ゲル上のその位置に出現する既存のバンドは、このタンパク質の発現が存在しない場合にはなかった。
【0210】
(実施例3)
短縮型ヒト21型コラーゲンのヒト臨床試験
短縮型ヒト21型コラーゲン(配列番号16)を含む局所スキンケア製品の効果を判定するためにヒト対象を使用する臨床試験を実施する。本研究は、米国および国際的な臨床試験の実施に関する基準(FDAおよびICHガイドライン)ならびに塗布される政府規制に従って実施される。
【0211】
水、オリーブ油グリセレス-8エステルズ、グリセリン、ココナッツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー、ペンチレングリコール、EDTA二ナトリウム、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、フェノキシエタノールから作られる基本製剤(対照製剤)を調製する。短縮型ヒト21型コラーゲンを含む製剤は、0.1%w/wコラーゲンを含む局所製剤の調製に十分なコラーゲンを添加することによって調製される。
【0212】
検証および有効性に関する専門評点評価
視覚的評価尺度(Visual Analog Scales)(VAS)は、臨床研究において、直接測定できない様々な症状、主観的な特性、または態度の強度または頻度を測定するために一般的に用いられている。VASは信頼性の高い尺度であり、単純な順序尺度よりも小さな変化に敏感である。(A. Paul-Dauphin, F. Guillemin, J. Virion and S. Briancon, "Bias and precision in visual analog scales: A randomized controlled trial," American Journal of Epidemiology, vol. 150, no. 10, pp. 1117-27, 1999)。VAS項目に回答する場合、専門評点者は、2つの評価項目回答またはアンカー回答の間の線(10cm)に沿った位置を示すことによって、提示に対する同意のレベルを指定する。シンプルなVASが、10cmの水平線の両端が、左(最良)から右(最悪)に向かう極限として定義される有効性パラメーターを評価するために使用される。光老化の兆候は以下のように分類することができる:軽度=1~3.9cm、中程度=4~6.9cm、重度=7~10cm。
【0213】
【0214】
順序尺度により、所定の属性の品質に直接的にかつ客観的に数値を付けることが可能になる。順序尺度の項目に回答する場合、専門評点者は、設定された評点またはレベルを選択することによって、提示への同意のレベルを明示する。
【0215】
各対象の顔の皮膚の赤み(紅斑)の外観は、専門評点者によって、ベースラインでの検証のために以下の5点順序尺度を使用して評価する(表4)。検証される場合、各対象は、2週目、4週目、6週目、および8週目にさらに紅斑の評価を受ける。
【表4】
【0216】
コルネオメーターCM820(Courage+Khazaka、Germany)は、間隔の狭い一対の電極で皮膚に交流電流を流し、静電容量を測定することによって皮膚表面の相対的な水分保持の程度を測定する。皮膚の水分含有量に変化があると、電気容量性回路のコンダクタンスが変化する。
【0217】
コルネオメーターは、水分保持レベルのわずかな変化をほんの約1秒の測定時間で再現性よく検出することができる。測定の深さは浅く(角質層の約10~20μm)、より深い皮膚層の影響を評価が受けないことを確実にする。
【0218】
すべての対象は、ベースライン時、最初の塗布の直後、ならびに2週目、4週目、および8週目に顔のコルネオメーターによる測定を受ける。測定は3回に分けて行われ、各時点での平均値を得る。測定位置はフェイスマップに記録され、各時点での評価の一貫性が保たれる。
【0219】
キュートメーターMPA580(Courage+Khazaka、Germany)は、皮膚表面に吸引を加え、プローブの開口部に皮膚を引き込み、光学測定システムを使用して浸透深さを判定することによって、皮膚の粘弾性特性を測定する。
【0220】
負圧によって吸い上げられる皮膚の抵抗(堅さ)と、元の位置に戻るその能力(弾力性)が計算され、曲線として示される。キュートメーターの出力には、R0(Uf、堅さ)、R2(Ua/Uf、総弾力性)、R5(Ur/Ue、正味の弾力性)、R7(Ur/Uf、弾力性部分)およびR9(R3[最後の最大アンプ]-R0[Uf]、疲労)など、測定曲線の様々な部分の多くのパラメーターが含まれている。
【0221】
すべての対象は、ベースライン時、最初の塗布の直後、ならびに2週目、4週目、および8週目に、左頬または右頬で(用意した無作為化コードに従って)キュートメーター測定を受ける。皮膚の弾力性は、R5(Ur/Ue)およびR2(Ua/Uf)パラメーターを使用して報告される。肌がより弾力性を増してくると、この値は大きくなる。肌の堅さは、R0(Uf)パラメーターを使用して報告される。肌が堅くなるにつれて、この値は小さくなる。評価の位置は、各対象のフェイスマップに記録され、訪問時の測定の一貫性が保たれる。
【0222】
COSMETRICS(商標) SIAScope(Astron Clinica、Toft、UK)は、分光光度皮内分析(Spectrophotometric Intracutaneous Analysis)(SIA)、または発色団マッピングを使用した非侵襲的な光学式皮膚画像診断機器である。この技術は、皮膚鏡検査法と接触型レミタンス分光光度法の独自の組合せに基づいている。ハードウェアは、ラップトップコンピューターに取り付けられたハンドヘルドの撮像プローブで構成されている。ユニットを皮膚表面に接触させて配置し、高輝度LEDが400~1000nmの可視スペクトルと近赤外スペクトルの狭い範囲にまたがる控えめな波長として皮膚を照射する。デジタル画像が波長ごとに取り込まれる。以下のパラメーター:表皮メラニン、真皮ヘモグロビン、真皮コラーゲンのそれぞれごとに、深さ2mm、円周11mmまでの3つのパラメトリック発色団マップが取得される。
【0223】
この試験の目的において、皮膚コラーゲンは、ベースライン時、ならびに2週目、4週目、および8週目に、左頬または右頬で、用意した無作為化コードに従って測定が行われる。評価の位置は、各対象のフェイスマップに記録され、訪問時の測定の一貫性が保たれる。
【0224】
DermaScan C USB(Cortex Technology ApS、Hadsund、Denmark)は、コンパクトな高解像度の超音波スキャナーである。20MHz、高解像度60×150μm、13mmのペネトレーションプローブを使用し、リニアスキャン、高精度操作、および画像の鮮明さと鮮明度のための真の位置検出を提供する。
【0225】
この機器は、cyberDERM,Inc.(Broomall、PA、USA)によって提供されている。すべての対象は、ベースライン時、ならびに2週目、4週目、および8週目に、顔の超音波評価を受ける。評価の位置は各訪問時で同じであり、フェイスマップに記録される。超音波スキャンの取得後、真皮の厚さ(密度)を分析するためにcyberDERM,Inc.に送られる。
【0226】
すべての臨床写真は、試験期間を通じて、高品質な画像の再現性を確保するために、IRSIのSOPに従って実施される。撮影は、マットな黒い壁で、すべての自然光を遮断した指定の撮影室で行われる。対象の臨床写真撮影に向けた準備のために、対象はイヤリング、ネックレス、およびあらゆる顔のアクセサリーを含むすべてのジュエリーを外すように求められる。訓練を受けた技術者が、明るい拡大ループの下で対象を検査し、顔、目、または唇に残留しているカラー化粧品またはスキンケア製品が見られないことを確認する。対象には黒いケープと黒いヘッドバンドが提供され、すべての髪が後ろできちんとまとめられ、カバーされていることが確実なように配置を指示される。
【0227】
Clarity(商標) 2D Research System Ti(Clarity)(BrighTex Bio-Photonics (BTBP)、San Jose CA、USA)は、高品質な顔全体の正面、左側面および右側面の画像を取り込む。システム内の3台のカメラは、18メガピクセルのSLR画像を16ビットで同時に取り込み、ライブフィードディスプレイを使用して、再現性のためにベースライン画像に対する自動顔合わせチェックすることができる。
【0228】
マルチスペクトル照明(拡散白色光、交差偏光、青色光、平行偏光)は、皮膚の表層の上方と下方の皮膚状態を明白にする。このシステムを使用して、皮膚の特徴を認識し、自動で皮膚のセグメンテーションとゾーンマッピングに塗布し、その後の皮膚の分析を可能にする。画像は、色素沈着、表面下の色素沈着、輝き、肌の色、赤み、皺、肌テクスチャー、毛穴、にきび、および/または唇に関連する属性について分析する。
【0229】
すべての対象は、ベースライン時、ならびに2週目、4週目、および8週目に、標準光および平行偏光で取り込まれた正面、左、および右の顔画像を有する。
【0230】
主観的な質問票により、スポンサーは、対象の皮膚、テスト製品、およびその効果に対する意見を評価することができる。質問は、5点尺度の提示に対する対象の同意ならびに自由形式回答を求める。
【0231】
14名の女性の対象が登録されている。組み入れ基準は、フィッツパトリック・スキンタイプIIIの白人女性対象であり、全身健康状態が良好で、組み入れ登録時に35から65歳の年齢である。また組み入れ基準には、以下のベースラインで専門評点者によって判定される顔の老化の兆候も含まれる:a)線/皺について10cmスケールで≧2cm≦6のスコア;b)顔の赤み(紅斑)について5点順序尺度で≧1≦3のスコア。表5は、試験参加者の人口統計を記載している。
【表5】
【0232】
2週間の処置後の線/皺、堅さ(視覚)、弾力性(触覚)、明るさ、テクスチャー/柔らかさ(触覚)、テクスチャー/滑らかさ(視覚)および紅斑に対する専門の臨床的評点者による評価結果を表6に示す。試験したすべての特性が改善された。明るさ、テクスチャー/柔らかさ(触覚)、テクスチャー/滑らかさ(視覚)、紅斑についてのスコアは、統計的に有意に改善された。
【表6】
【0233】
コルネオメーターおよびキュートメーターを使用した機器による評価の水分保持、堅さ、弾力性を表7に示す。皮膚の水分保持、堅さ、弾力性の改善は統計的に有意であった。さらに、表7は、分光光度皮内分析(SIA)によって示される皮膚細胞によるコラーゲン産生の刺激を示す。
【表7】
【0234】
結果は、短縮型ヒト21型コラーゲンが、皮膚の弾力性、明るさ、水分保持、触覚テクスチャー、または視覚テクスチャーにおいて、統計的に有意な改善を示すことを実証している。さらに、結果は、短縮型ヒト21型コラーゲンが目に見える線または皺を統計的に有意に減少させ、また紅斑を有意に減少させることを示している。
【0235】
(実施例4)
皮膚細胞に対する短縮型ヒト21型コラーゲンのin vitro試験
短縮型ヒト21型アルファ1コラーゲンは、コラーゲンI型の線維芽細胞産生を刺激する
一連のin vitro実験を実施して、短縮型ヒト21型コラーゲンのヒト皮膚線維芽細胞およびケラチノサイトに対する効果を評価した。第1の実験では、ヒト初代線維芽細胞のコラーゲンI型タンパク質の分泌について評価した。線維芽細胞を、0.03%の配列番号16に記載のポリペプチドと48時間培養した。培養上清を酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって、分泌された総コラーゲンI型タンパク質の指標である、プロコラーゲンI型C-ペプチドを分析した。
図1に示したように、配列番号16のポリペプチドで処置した細胞は、未処置の細胞(
図1;「A」)またはレチノールで処置した細胞(
図1;「C」)よりも高いレベルのコラーゲンI型(
図1;「B」)を分泌した。
【0236】
短縮型ヒト21型アルファ1コラーゲンは、細胞外マトリックスタンパク質の遺伝子の線維芽細胞産生を刺激する
グローバルな遺伝子発現を分析するために、RNAシーケンシングを実施した。48時間曝露した後、線維芽細胞を0.03%の配列番号16に記載のポリペプチドとインキュベートした。これらの線維芽細胞は、培地単独でインキュベートした細胞よりも高いレベルのいくつかの細胞外マトリックス遺伝子を発現した。
図2Aに示したように、配列番号16のポリペプチドで処置した線維芽細胞(
図2A;「C」)は、未処置の細胞(
図2A;「A」)またはレチノールで処置した線維芽細胞(
図2A;「B」)と比べて、コラーゲンI型遺伝子(COL1A)を上方制御した。この応答は、ビタミンCで処置した線維芽細胞と同様であった(
図2A;「D」)。
図2Bに示したように、配列番号16のポリペプチドで処置した線維芽細胞(
図2B;「B」)は、未処置の細胞(
図2B;「A」)および様々な海洋コラーゲン(
図2B;「C」、「D」、「E」、および「F」)と比べて、エラスチン遺伝子(ELN)を上方制御した。
図2Cに示したように、配列番号16のポリペプチドで処置した線維芽細胞(
図2C;「B」)は、未処置の細胞(
図2C;「A」)、レチノール(
図2C;「C」)、およびビタミンC(
図2C;「D」)と比べて、フィブロネクチン遺伝子(FN1)を上方制御した。
【0237】
短縮型ヒト21型アルファ1コラーゲンは、UVB光を照射したケラチノサイトの炎症を軽減する
ヒト初代ケラチノサイトに、40mJ/cm
2のUVB光を照射した後、0.1%の配列番号16のポリペプチドで24時間処置した。炎症誘発性サイトカインIL-1aのレベルは、ELISAにより判定した。
図3に示したように、配列番号16のポリペプチドで処置したUVB照射ケラチノサイト(
図3;「B」)は、未処置のUVB照射ケラチノサイト(
図3;「A」)と比べて低レベルのIL-1αを発現した。
【0238】
短縮型ヒト21型アルファ1コラーゲンは、抗酸化能力を有する。
配列番号16のポリペプチドの抗酸化能は、酸素フリーラジカル吸収能(ORAC)アッセイを使用して評価した。ОRACアッセイは、蛍光読み出し情報を使用して製品の抗酸化能を測定する無細胞アッセイである。データは、トロロックス(ビタミンE)相当量で報告されている。
図4で示したように、配列番号16のポリペプチドの0.1%溶液は、190μMのトロロックスと同等の抗酸化特性を有していた。
【0239】
短縮型ヒト21型アルファ1コラーゲンは、UVB光を照射したケラチノサイトの細胞生存率を増加させる。
配列番号16のポリペプチドによる処置のUVB照射ケラチノサイトに対する効果をさらに評価するために、実験を照射前および照射後の処置により実施した。ヒト初代ケラチノサイトを0.1%の配列番号16のポリペプチドで24時間前処置し、40mJ/cm
2のUVB光を照射し、次いで、0.1%の配列番号16のポリペプチドでさらに24時間、再度処置した。細胞生存率は、MTT代謝比色測定法を使用して評価した。
図5に示したように、配列番号16のポリペプチドで処置したUVB照射ケラチノサイト(
図5;「B」)は、そのような処置なしのUVB照射ケラチノサイト(
図5;「A」)よりも高い細胞生存率を示した。
【0240】
(実施例5)
短縮型ヒト21型コラーゲンのヒト臨床試験。
短縮型ヒト21型アルファ1コラーゲンの局所塗布は、顔の皮膚の弾力性増加に関連する
臨床試験(n=15名の対象)において、対象は、タンパク質を含まないベースのフェイシャルセラムを1週間のウォッシュアウト期間使用した後、0.1%の配列番号16のポリペプチドを含む局所フェイシャルセラムを8週間使用した。配列番号16のポリペプチドの局所塗布は、キュートメーターを使用して測定した場合に、皮膚の弾力性の増加と関連していた。
図6に示したように、対象の100%は、ベースライン(
図6;「A」)と比較した場合、2週間(
図6;「B」)および4週間(
図6;「C」)で、皮膚の弾力性が増加する改善を示した。
【0241】
ヒト21型アルファ1コラーゲンの局所塗布は、顔の皮膚のコラーゲン含有量の増加に関連する
臨床試験(n=15名の対象)において、対象は、タンパク質を含まないベースのフェイシャルセラムを1週間のウォッシュアウト期間使用した後、0.1%の配列番号16のポリペプチドを含む局所フェイシャルセラムを8週間使用した。配列番号16のポリペプチドの局所塗布は、SIAscopeによって測定した場合に、皮膚コラーゲンの含有量の増加と関連していた。
図7に示したように、皮膚のコラーゲン含有量は、ベースライン(
図7;「A」)と比較した場合、2週間(
図7;「B」)および8週間(
図7;「C」)で増加した。
【0242】
ヒト21型アルファコラーゲンの局所塗布は、顔の皮膚の赤みの低減に関連する
臨床試験(n=15名の対象)において、対象は、タンパク質を含まないベースのフェイシャルセラムを1週間のウォッシュアウト期間使用した後、0.1%の配列番号16のポリペプチドを含む局所フェイシャルセラムを8週間使用した。
図8に示したように、配列番号16のポリペプチドの局所塗布は、ベースライン(
図8;「A」)と比較した場合、4週間(
図8;「B」)および8週間(
図8;「C」)での皮膚の赤みの減少と関連していた。
【0243】
ヒト21型アルファ1コラーゲンの局所塗布は、顔の皺の減少と関連する
臨床試験(n=15名の対象)において、対象は、タンパク質を含まないベースのフェイシャルセラムを1週間のウォッシュアウト期間使用した後、0.1%の配列番号16のポリペプチドを含む局所フェイシャルセラムを8週間使用した。
図9に示したように、配列番号16のポリペプチドの局所塗布は、ベースライン(
図9;「A」)と比較した場合、4週間(
図9;「B」)および8週間(
図9;「C」)での顔の皺の減少と関連していた。
【0244】
(実施例6)
皮膚細胞に対する短縮型クラゲコラーゲンのin vitro試験
短縮型クラゲコラーゲンは、コラーゲンI型タンパク質の皮膚細胞産生を刺激する
一連のin vitro実験を実施して、短縮型クラゲコラーゲンのヒトの皮膚線維芽細胞およびケラチノサイトに対する効果を評価した。線維芽細胞およびケラチノサイトを含むin vitro完全厚さヒト皮膚組織モデル(MatTek)を、配列番号5のポリペプチドで48時間処置した後のコラーゲンI型の分泌について評価した。次いで、組織モデルをすすぎ、新しい培地でさらに48時間(96時間時点)インキュベートした。培養上清を、プロコラーゲンI型C-ペプチド(総分泌コラーゲンI型タンパク質の読み出し情報)についてELISAにより分析した。
図10に示したように、配列番号5のポリペプチドで処置した組織モデル(
図10;「A」)は、未処置の組織モデル(
図10;「B」)または陽性対照のビタミンB3(
図10;「C」)で処置した組織モデルよりも高レベルのI型コラーゲンを分泌した。
【0245】
短縮型クラゲコラーゲンは、UVB光への曝露後のケラチノサイトにおけるDNA損傷を軽減する
さらなる試験において、ヒト初代ケラチノサイトに25mJ/cm
2のUVB光を照射し、次いで、0.03%の配列番号5のポリペプチドを含む培地で一晩インキュベートした。DNAを細胞から抽出し、OxiSelect UV-Induced DNA Damage ELISAキットを使用して、チミンダイマー(DNA損傷の指標)のレベルを分析した。
図11に示したように、配列番号5のポリペプチドで処置した細胞(
図11;「B」)は、未処置の細胞(
図11;「A」)よりも、低レベルのチミン二量体を示し、したがってDNA損傷がより少ないことを示した。
【0246】
短縮型クラゲコラーゲンは、UVB光を照射したケラチノサイトの細胞生存率を増加させる
ヒト初代ケラチノサイトに40mJ/cm2のUVB光を照射し、次いで、0.03%の配列番号5のポリペプチドを含む培地で48時間インキュベートした。細胞生存率は、MTT代謝比色測定法を使用して評価した。
図12に示したように、配列番号5のポリペプチドで処置したUVB照射ケラチノサイト(
図12;「B」)は、未処置のUVB照射ケラチノサイト(
図12;「A」)よりも高い細胞生存率を示した。
【0247】
短縮型クラゲコラーゲンは、都市部の粉塵汚染に暴露されたケラチノサイトの細胞生存率を増加させる
都市部粉塵からの保護について試験するため、ヒト初代ケラチノサイトを、0.03%の配列番号5のポリペプチドで24時間前処置し、次に2mg/mlの都市部粉塵(NIST 1649B)に24時間曝露した。細胞生存率は、MTT代謝比色測定法を使用して評価した。
図13に示したように、配列番号5のポリペプチドで前処置したケラチノサイト(
図13;「B」)は、都市部粉塵に曝露された未処置のケラチノサイト(
図13;「A」)よりも、都市部粉塵の曝露後に高い細胞生存率を示した。
【0248】
短縮型クラゲコラーゲンは、UVB光を照射したケラチノサイトの炎症を軽減する
in vitro完全厚さヒト皮膚組織モデル(MatTek)によるさらなる試験において、MatTek組織モデルに300mJ/cm
2のUVB光を照射し、次いで、0.01%の配列番号5のポリペプチドで24時間処置した。炎症誘発性サイトカインIL-1αのレベルは、ELISAにより判定した。
図14で示したように、配列番号5のポリペプチドで処置した組織モデル(
図14;「A」)は、未処置のUVB照射(
図14;「B」)対照組織モデルと比較して、より低いレベルのIL-1αを示した。
【0249】
短縮型クラゲコラーゲンは、抗酸化能を有する
配列番号5のポリペプチドもまた、ORACアッセイにおいて評価した。
図15に示したように、配列番号5のポリペプチドの0.1%溶液は、193μMのトロロックスと同等の抗酸化特性を有していた。
【0250】
(実施例7)
短縮型クラゲコラーゲンのヒト臨床試験
短縮型クラゲコラーゲンの局所塗布は、顔の皮膚の水分増加に関連する
臨床試験(n=18名の対象)において、対象は、0.05%の配列番号5のポリペプチドを含む局所フェイシャルクリームを2週間使用した。
図16に示したように、配列番号5のポリペプチドの局所塗布は、ベースライン(
図16;「A1」)と比較した場合、1週間(
図16;「A2」)および2週間(
図16;「A3」)での皮膚の水分保持の増加と関連していた。配列番号5のポリペプチドの局所塗布はまた、ベースライン(
図16;「B1」)、1週間(
図16;「B2」)、および2週間(
図16;「B3」)での海洋コラーゲンの局所塗布と比べて、皮膚の水分保持の増加を示した。
短縮型クラゲコラーゲンの局所塗布は、顔の皮膚の弾力性の増加に関連する
臨床試験(n=18名の対象)において、対象は、0.05%の配列番号5のポリペプチドを含む局所フェイシャルクリームを2週間使用した。
図17に示したように、配列番号5のポリペプチドの局所塗布は、ベースライン(
図17;「A」)と比較した場合、1週間(
図17;「B」)および2週間(
図17;「C」)で、キュートメーターを使用して測定した皮膚の弾力性の増加と関連していた。
【0251】
本明細書で開示された実施形態は、本明細書に広く記載され、以下に特許請求されているような構造、方法、または他の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化することができる。説明された実施形態は、すべての点で単なる例示として考慮されるものとし、限定的なものではないと考慮されるものとする。請求項と同等の意味および範囲内にあるすべての変更は、それらの範囲内に含まれるものとする。
【配列表】