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特許7317978パーソナルカラーのグループを決定するための方法およびドレープセット
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  • 特許-パーソナルカラーのグループを決定するための方法およびドレープセット 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】パーソナルカラーのグループを決定するための方法およびドレープセット
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/52 20060101AFI20230724BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G01J3/52
G01J3/46 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021548299
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038352
(87)【国際公開番号】W WO2021059528
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開示の種類:その他:研修 開示の日付:平成30年10月2日 開示の名称: パーソナルBカラー診断 開示の場所: 株式会社資生堂札幌オフィス
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷地田 直美
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0070293(KR,A)
【文献】米国特許第5924426(US,A)
【文献】特開2018-13409(JP,A)
【文献】登録実用新案第3143551(JP,U)
【文献】特開2007-232576(JP,A)
【文献】特開平8-62201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
A61K 8/00-A61K 8/99
A61Q 1/00-A61Q 90/00
A45D 44/00-A45D 44/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
春グループと夏グループと秋グループと冬グループの4つのグループのなかからパーソナルカラーのグループを決定する方法であって、
ユーザの肌の色相とドレープAまたはBとの調和に基づいて前記肌の色相を分類し、かつ、前記ユーザの虹彩の明度とドレープCまたはDとの調和に基づいて前記虹彩の明度を分類し、前記肌の色相の分類および前記虹彩の明度の分類に基づいて前記ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する、第一段階と、
前記ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度とドレープEまたはFまたはGまたはHとの調和に基づいて、前記ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する、第二段階と、を含み、
前記第一段階で選定されたグループと、前記第二段階で選定されたグループとが一致する場合に、一致したグループが前記ユーザのパーソナルカラーのグループであると決定し、
前記ドレープAの色はマンセル表色系の5RP5/14であり、前記ドレープBの色はマンセル表色系の5YR7/14であり、前記ドレープCの色はマンセル表色系のN9.5であり、前記ドレープDの色はマンセル表色系の5PB2/2であり、
前記ドレープE、F、G、Hの各色は、前記春グループと前記夏グループと前記秋グループと前記冬グループの4つのグループに属する色のなかから選択され、
前記ドレープEの色は前記春グループに属する色であり、前記ドレープFの色は前記夏グループに属する色であり、前記ドレープGの色は前記秋グループに属する色であり、前記ドレープHの色は前記冬グループに属する色である、方法。
【請求項2】
前記ドレープEの色はマンセル表色系の10R4/12であり、前記ドレープFの色はマンセル表色系の5R4/12であり、前記ドレープGの色はマンセル表色系の10R2/6であり、前記ドレープHの色はマンセル表色系の5R3/8である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一段階において、
前記ユーザの肌の色相が前記ドレープAに調和する場合には前記ユーザの肌の色相を(1)ブルーベースに分類し、前記ユーザの肌の色相が前記ドレープBに調和する場合には前記ユーザの肌の色相を(2)イエローベースに分類し、
前記ユーザの虹彩の明度が前記ドレープCに調和する場合には前記ユーザの虹彩の明度を(1)明るいに分類し、前記ユーザの虹彩の明度が前記ドレープDに調和する場合には前記ユーザの虹彩の明度を(2)暗いに分類し、前記ユーザの虹彩の明度が前記ドレープCにも前記ドレープDにも調和しない場合には前記ユーザの虹彩の明度を(3)中間に分類する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一段階の前に、前記ユーザの肌の色相および虹彩の明度を分類する前段階をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記前段階において、
前記ユーザの肌の色相を(1)ブルーベース、(2)イエローベース、(3)不明に分類し、前記ユーザの虹彩の明度を(1)明るい、(2)暗い、(3)中間に分類する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パーソナルカラーのグループは4つのグループからなり、各グループは複数の色を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ドレープは、布製または紙製である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ドレープAとドレープBとドレープCとドレープDとドレープEとドレープFとドレープGとドレープHとからなる、春グループと夏グループと秋グループと冬グループの4つのグループのなかからパーソナルカラーのグループを決定するためのドレープセットであって、
前記ドレープAの色はマンセル表色系の5RP5/14であり、前記ドレープBの色はマンセル表色系の5YR7/14であり、前記ドレープCの色はマンセル表色系のN9.5であり、前記ドレープDの色はマンセル表色系の5PB2/2であり、
前記ドレープE、F、G、Hの各色は、前記春グループと前記夏グループと前記秋グループと前記冬グループの4つのグループに属する色のなかから選択され、
前記ドレープEの色は前記春グループに属する色であり、前記ドレープFの色は前記夏グループに属する色であり、前記ドレープGの色は前記秋グループに属する色であり、前記ドレープHの色は前記冬グループに属する色である、ドレープセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルカラーのグループを決定するための方法およびドレープセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルカラー診断とも呼ばれる、人間の持って生まれた要素の色(例えば、肌の色、瞳の色、髪の色など)と調和する色のグループを決定する手法が知られている(例えば、特許文献1)。人間の持って生まれた要素の色と調和する色は、パーソナルカラーとも呼ばれている。
【0003】
パーソナルカラー診断では、色を春(スプリング)・夏(サマー)・秋(オータム)・冬(ウインター)という4つのグループに分け、パーソナルカラー診断を受ける者(以下、ユーザともいう)の持って生まれた要素の色と最も調和するグループを4つのグループの中から決定するフォーシーズン分類法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6146754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフォーシーズン分類法では、パーソナルカラー診断を行う者は、例えば120色分の布(ドレープとも呼ばれる)をユーザにあててユーザの顔色が良く見えるか否かを判断しなければならず、パーソナルカラーのグループを最終的に決定するまでに時間がかかっていた。
【0006】
具体的には、パーソナルカラー診断を行う者は、例えば、4種類の赤色(フォーシーズン分類法において"春"グループに分けられる赤色、"夏"グループに分けられる赤色、"秋"グループに分けられる赤色、"冬"グループに分けられる赤色)の中からユーザの顔色が良く見える1種類の赤色を選び、4種類の黄色(フォーシーズン分類法において"春"グループに分けられる黄色、"夏"グループに分けられる黄色、"秋"グループに分けられる黄色、"冬"グループに分けられる黄色)の中からユーザの顔色が良く見える1種類の黄色を選び・・・を複数の色で実施し、最も選ばれたグループをパーソナルカラーのグループとして決定していた。
【0007】
短時間でパーソナルカラー診断を行うためにユーザにあてるドレープの色数を少なくすると、パーソナルカラー診断の結果がパーソナルカラー診断を行う者によって大きく異なってしまうという問題があった。そのため、短時間で、かつ、パーソナルカラー診断の結果がパーソナルカラー診断を行う者によって大きく異なることがないように、パーソナルカラーのグループを決定できることが求められていた。
【0008】
そこで、本発明の一実施形態では、パーソナルカラーのグループの決定を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、ユーザの肌の色相とドレープAまたはBとの調和に基づいて前記肌の色相を分類し、かつ、前記ユーザの虹彩の明度とドレープCまたはDとの調和に基づいて前記虹彩の明度を分類し、前記肌の色相の分類および前記虹彩の明度の分類に基づいて前記ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する、第一段階と、前記ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度とドレープEまたはFまたはGまたはHとの調和に基づいて、前記ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する、第二段階と、を含み、前記第一段階で選定されたグループと、前記第二段階で選定されたグループとが一致する場合に、一致したグループが前記ユーザのパーソナルカラーのグループであると決定し、前記ドレープAの色はマンセル表色系の5RP5/14であり、前記ドレープBの色はマンセル表色系の5YR7/14であり、前記ドレープCの色はマンセル表色系のN9.5であり、前記ドレープDの色はマンセル表色系の5PB2/2であり、前記ドレープEとFとGとHの各色は各グループに属する色である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パーソナルカラーのグループの決定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定するための三段階の処理を説明するための図である。
図1B】本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定するための三段階の処理を説明するための図である。
図2】本発明の一実施形態に係る<前段階>おけるユーザの要素の分類に基づくパーソナルカラーのグループの選定を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定するための方法に用いるドレープセットの色を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る<第一段階>おけるユーザの要素の分類に基づくパーソナルカラーのグループの選定を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定する処理のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る第一段階の処理のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る第二段階の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。本明細書では、美容部員等が店頭等でユーザ(例えば、化粧品を購入しようとしている顧客)のフォーシーズン分類法でのパーソナルカラーのグループ(具体的には、フォーシーズン分類法の春(スプリング)・夏(サマー)・秋(オータム)・冬(ウインター)の4つのグループうちのいずれかのグループ)を決定する場合を想定して説明するが、本発明は、任意の者が任意の者のフォーシーズン分類法でのパーソナルカラーのグループを決定する場合に適用することができる。
【0013】
最初に、フォーシーズン分類法について説明する。フォーシーズン分類法では、色の色彩、明度、彩度に基づいて、色を春(スプリング)・夏(サマー)・秋(オータム)・冬(ウインター)という4つのグループに分類している。
【0014】
以下、具体的に説明する。
<春(スプリング)>
・黄みよりの色である。
・明度が高い色の割合が多い。
・彩度は低彩度~高彩度まで含まれるが、春(スプリング)グループに属する者は、クリアで鮮やかな色が得意である(似合う)。
<夏(サマー)>
・青みよりの色である。
・明度が中~高い色の割合が多い。
・彩度はあまり高くない。夏(サマー)グループに属する者は、モデレートで濁りがある色が得意である(似合う)。
<秋(オータム)>
・黄みよりの色である。
・明度が中~低い色の割合が多い。
・彩度は低彩度~高彩度まで多岐にわたる。秋(オータム)グループに属する者は、モデレートで濁りがある色が得意である(似合う)。
<冬(ウインター)>
・青みよりの色である。
・明度が低い色もしくは高い色が多い。
・彩度が低彩度もしくは高彩度。冬(ウインター)グループに属する者は、コントラストのはっきりした色が得意である(似合う)。
【0015】
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定するための三段階の処理を説明するための図である。本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定するための処理は、前段階と、第一段階と、第二段階との三段階の処理に分けられうる。
【0016】
<概要>
まず、前段階、第一段階、第二段階の概要を説明する。
【0017】
前段階において、美容部員等(つまり、パーソナルカラーのグループの決定を行う者)は、ドレープを用いず、ユーザの要素(具体的には、肌の色相および虹彩の明度)の分類を目視により確認して、ユーザの要素の分類に基づいてユーザのパーソナルカラーのグループ(つまり、フォーシーズン分類法の春(スプリング)・夏(サマー)・秋(オータム)・冬(ウインター)の4つのグループうちのいずれかのグループ)を選定する。なお、前段階では、ユーザの肌の色相を分類することができないときには不明のままとしておく。このように、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループを絞り込んだうえで、第一段階および第二段階の処理へ進むことができる。
【0018】
次に、第一段階において、美容部員等は、ドレープA、Bをユーザにあててユーザの要素(具体的には、肌の色相)とドレープとの調和に基づいてユーザの要素の分類を確定し、ドレープC、Dをユーザにあててユーザの要素(具体的には、虹彩の明度)とドレープとの調和に基づいてユーザの要素の分類を確定し、ユーザの要素の分類に基づいてユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。このように、第一段階では、前段階でユーザの肌の色相の分類が不明であったとしても分類を確定することができる。なお、前段階での分類の結果と第一段階での分類の結果とが相違する場合、ドレープが指標となることから第一段階での分類の結果を優先する。
【0019】
次に、第二段階において、美容部員等は、ドレープE、F、G、Hをユーザにあてて、ユーザの要素(具体的には、肌および虹彩の色相、明度、彩度)とドレープとの調和に基づいてユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。第一段階で選定されたパーソナルカラーのグループと第二段階で選定されたパーソナルカラーのグループとが一致する場合に、美容部員等は、一致したグループがユーザのパーソナルカラーのグループであると決定する。このように、第二段階では、第一段階での選定との整合性を確認することができる。
【0020】
なお、第一段階と第二段階とが逆の順序で実施されてもよい。
【0021】
以下、それぞれの段階の処理について詳細に説明する。
【0022】
<前段階>
前段階では、美容部員等は、ユーザの肌(例えば、手のひら、腕の内側、指先など)を見て、ユーザの肌の色相を(1)ブルーベース(ピンクオークル系の肌色。紫っぽい赤みである。血管が青く見える)、(2)イエローベース(ベージュオークル系の肌色。コーラルっぽい赤みである。血管が緑に見える)、(3)不明の3つのうちのいずれかに分類する。また、美容部員等は、ユーザの虹彩を見て、ユーザの虹彩の明度を(1)明るい、(2)暗い、(3)中間の3つのうちのいずれかに分類する。
【0023】
上述したように、前段階では、ユーザの肌の色相を分類することができないときには不明のままとしておくことができる。黄色人種の肌の色相の判断は難しく、ユーザの肌のみを見て肌の色相を分類することは難しいため、(3)不明というカテゴリを設けている。
【0024】
次に、図2を参照しながら、<前段階>におけるユーザの要素の分類に基づくパーソナルカラーのグループの選定を説明する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る<前段階>におけるユーザの要素の分類に基づくパーソナルカラーのグループの選定を説明するための図である。美容部員等は、ユーザの肌の色相の分類および虹彩の明度の分類に基づいて、ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。図2に示されるように、美容部員等は、肌の色相がブルーベースで虹彩の明度が明るいユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がブルーベースで虹彩の明度が中間であるユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がブルーベースで虹彩の明度が暗いユーザのパーソナルカラーのグループとして"冬"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がイエローベースで虹彩の明度が明るいユーザのパーソナルカラーのグループとして"春"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がイエローベースで虹彩の明度が中間であるユーザのパーソナルカラーのグループとして"秋"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がイエローベースで虹彩の明度が暗いユーザのパーソナルカラーのグループとして"秋"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相が不明であり虹彩の明るさが明るいユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏または春"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相が不明であり虹彩の明るさが中間であるユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏または秋"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相が不明であり虹彩の明るさが暗いユーザのパーソナルカラーのグループとして"冬または秋"グループを選定する。このように、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループを絞り込んだうえで、第一段階および第二段階の処理へ進むことができる。
【0026】
上述したように、"春"グループは明度が高い色の割合が多く、"夏"グループは明度が中~高い色の割合が多く、"秋"グループは明度が中~低い色の割合が多く、"冬"グループは明度が低い色もしくは高い色が多い。図2に示されるように、虹彩の明度と、各グループの明度とが連動している。ただし、日本人に多い瞳の色である茶色の明度が上がるとイエローベースが強い茶色になるため、"冬"グループの高明度と虹彩の明度とは連動させず、"冬"グループの低明度と虹彩の明度とのみを連動させている。
【0027】
<第一段階>および<第二段階>について詳細に説明する前に、<第一段階>および<第二段階>で用いられる8つのドレープ(ドレープA、B、C、D、E、F、G、H)からなるドレープセットについて、図3を参照しながら説明する。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定するための方法に用いるドレープセットの色を説明するための図である。ドレープA、Bは、<第一段階>において、ユーザの肌の色相とドレープとの調和を判断するために用いられる。また、ドレープC、Dは、<第一段階>において、ユーザの虹彩の明度とドレープとの調和を判断するために用いられる。また、ドレープE、F、G、Hは、<第二段階>において、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度とドレープとの調和を判断するために用いられる。
【0029】
ドレープAの色は、マンセル表色系の5RP5/14である。また、ドレープBの色は、マンセル表色系の5YR7/14である。また、ドレープCの色は、マンセル表色系のN9.5である。また、ドレープDの色は、マンセル表色系の5PB2/2である。また、ドレープEの色は、マンセル表色系の10R4/12である。また、ドレープFの色は、マンセル表色系の5R4/12である。また、ドレープGの色は、マンセル表色系の10R2/6である。また、ドレープHの色は、マンセル表色系の5R3/8である。
【0030】
あるいは、ドレープAの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:フューシャである。また、ドレープBの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:マンゴーオレンジである。また、ドレープCの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:マシュマロである。また、ドレープDの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:ブルーブラックである。また、ドレープEの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:ポピーレッドである。また、ドレープFの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:ストロベリーである。また、ドレープGの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:アゲートである。また、ドレープHの色は、国際カラーデザイン協会が規定する色名:ディープラズベリーである。
【0031】
各ドレープは、上記のそれぞれの色が着色された、例えば、布製であってもよいし、紙製であってもよい。すなわち、美容部員等が各色を識別することができれば形状を問わない。
【0032】
<第一段階>
次に、第一段階について説明する。
【0033】
<<肌の色相>>
美容部員等は、ドレープA(5RP5/14、フューシャ)をユーザにあてて(例えば、ユーザの上半身にあてて)、ユーザの肌の色相がドレープAに調和する(つまり、同じ色相で調和する)場合にはユーザの肌の色相を(1)ブルーベースに分類する。また、美容部員等は、ドレープB(5YR7/14、マンゴーオレンジ)をユーザにあてて(例えば、ユーザの上半身にあてて)、ユーザの肌の色相がドレープBに調和する(つまり、同じ色相で調和する)場合にはユーザの肌の色相を(2)イエローベースに分類する。
【0034】
黄色人種の肌の色相の判断は難しく、4種類の色(フォーシーズン分類法において"春"グループに分けられる色、"夏"グループに分けられる色、"秋"グループに分けられる色、"冬"グループに分けられる色)の中からユーザの顔色が良く見える1種類の色を選ぶことは難しい。そのため、本発明では、ブルーベースであるユーザの肌の色相と同じ色相であるドレープA(5RP5/14、フューシャ)を用いることで、ユーザの肌の色相がブルーベースであるか否かを容易に判断することができるようにしている。また、イエローベースであるユーザの肌の色相と同じ色相であるドレープB(5YR7/14、マンゴーオレンジ)を用いることで、ユーザの肌の色相がイエローベースであるか否かを容易に判断することができるようにしている。
【0035】
<<虹彩の明度>>
美容部員等は、ドレープC(N9.5、マシュマロ)をユーザにあてて(例えば、ユーザの上半身にあてて)、ユーザの虹彩の明度がドレープCに調和する(つまり、明度が合っている)場合にはユーザの虹彩の明度を(1)明るいに分類する。また、美容部員等は、ドレープD(5PB2/2、ブルーブラック)をユーザにあてて(例えば、ユーザの上半身にあてて)、ユーザの虹彩の明度がドレープDに調和する(つまり、明度が合っている)場合にはユーザの虹彩の明度を(2)暗いに分類する。また、美容部員等は、ユーザの虹彩の明度がドレープCにもドレープDにも調和しない場合にはユーザの虹彩の明度を(3)中間に分類する。
【0036】
例えば、日本人のようにほとんどの者の瞳の色が茶色であると各々の者の瞳の色相の違いを判断しづらく、4種類の色(フォーシーズン分類法において"春"グループに分けられる色、"夏"グループに分けられる色、"秋"グループに分けられる色、"冬"グループに分けられる色)の中からユーザの顔色が良く見える1種類の色を選ぶことは難しい。そのため、本発明では、虹彩の明度が明るいユーザの虹彩と明度が合っているドレープC(N9.5、マシュマロ)を用いることで、ユーザの虹彩の明度が明るいか否かを容易に判断することができるようにしている。また、虹彩の明度が暗いユーザの虹彩と明度が合っているドレープD(5PB2/2、ブルーブラック)を用いることで、ユーザの虹彩の明度が暗いか否かを容易に判断することができるようにしている。
【0037】
なお、前段階において、ユーザの肌の色相をブルーベースにもイエローベースにも分類できなかったとしても、ドレープA(5RP5/14、フューシャ)およびドレープB(5YR7/14、マンゴーオレンジ)を用いることによって、ユーザの肌の色相をブルーベースまたはイエローベースのいずれかに分類できるようになる。このように、第一段階では、前段階でユーザの肌の色相の分類が不明であったとしても分類を確定することができる。
【0038】
次に、図4を参照しながら、<第一段階>におけるユーザの要素の分類に基づくパーソナルカラーのグループの選定を説明する。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係る<第一段階>におけるユーザの要素の分類に基づくパーソナルカラーのグループの選定を説明するための図である。美容部員等は、ユーザの肌の色相の分類および虹彩の明度の分類に基づいて、ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。図4に示されるように、美容部員等は、肌の色相がブルーベースで虹彩の明度が明るいユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がブルーベースで虹彩の明度が中間であるユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がブルーベースで虹彩の明度が暗いユーザのパーソナルカラーのグループとして"冬"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がイエローベースで虹彩の明度が明るいユーザのパーソナルカラーのグループとして"春"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がイエローベースで虹彩の明度が中間であるユーザのパーソナルカラーのグループとして"秋"グループを選定する。また、美容部員等は、肌の色相がイエローベースで虹彩の明度が暗いユーザのパーソナルカラーのグループとして"秋"グループを選定する。
【0040】
<第二段階>
次に、第二段階について説明する。
【0041】
美容部員等は、ドレープE(10R4/12、ポピーレッド)、ドレープF(5R4/12、ストロベリー)、ドレープG(10R2/6、アゲート)、ドレープH(5R3/8、ディープラズベリー)をユーザにあてて(例えば、ユーザの上半身にあてて)、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度と調和する2つのドレープを選び、選んだドレープに対応する2つのグループをユーザのパーソナルカラーの候補のグループとして選定する。具体的には、美容部員等は、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度がドレープE(10R4/12、ポピーレッド)に調和する場合にはユーザのパーソナルカラーのグループとして"春"グループを選定する。美容部員等は、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度がドレープF(5R4/12、ストロベリー)に調和する場合にはユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏"グループを選定する。美容部員等は、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度がドレープG(10R2/6、アゲート)に調和する場合にはユーザのパーソナルカラーのグループとして"秋"グループを選定する。美容部員等は、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度がドレープH(5R3/8、ディープラズベリー)に調和する場合にはユーザのパーソナルカラーのグループとして"冬"グループを選定する。
【0042】
このように、本発明では、パーソナルカラーのグループが"春"グループであるユーザに調和するドレープE(10R4/12、ポピーレッド)、パーソナルカラーのグループが"夏"グループであるユーザに調和するドレープF(5R4/12、ストロベリー)、パーソナルカラーのグループが"秋"グループであるユーザに調和するドレープG(10R2/6、アゲート)、パーソナルカラーのグループが"冬"グループであるユーザに調和するドレープH(5R3/8、ディープラズベリー)を用いてユーザのパーソナルカラーのグループの2つの候補を選定して、第一段階での選定の正誤を確認するようにしている。
【0043】
なお、ドレープE(10R4/12、ポピーレッド)、ドレープF(5R4/12、ストロベリー)、ドレープG(10R2/6、アゲート)、ドレープH(5R3/8、ディープラズベリー)は、4種類の赤色(フォーシーズン分類法において"春"グループに分けられる赤色、"夏"グループに分けられる赤色、"秋"グループに分けられる赤色、"冬"グループに分けられる赤色)であるが、ドレープE(10R4/12、ポピーレッド)、ドレープF(5R4/12、ストロベリー)、ドレープG(10R2/6、アゲート)、ドレープH(5R3/8、ディープラズベリー)の代わりに、他の4種類の色(フォーシーズン分類法において"春"グループに分けられる色、"夏"グループに分けられる色、"秋"グループに分けられる色、"冬"グループに分けられる色)を用いるようにしてもよい。すなわち、ドレープEとFとGとHの各色は、各グループに属する色であればよい。
【0044】
<<整合性の確認>>
美容部員等は、第一段階で選定されたグループと、第二段階で選定された2つのグループのうちのどちらかのグループとが一致する場合に、一致したグループをユーザのパーソナルカラーのグループであると決定する。このように、第二段階では、第一段階での選定との整合性を確認することができる。
【0045】
なお、美容部員等は、万が一、第一段階で選定されたグループと、第二段階で選定された2つのグループのうちのどちらのグループともが一致しない場合、第一段階からやり直す。例えば、所定の回数だけやり直してもパーソナルカラーのグループを決定できなかった場合には、第一段階でのグループの選定の結果を優先する。
【0046】
以下、各処理のフローを説明する。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態に係るパーソナルカラーのグループを決定する処理のフローチャートである。
【0048】
ステップ11(S11)において、美容部員等は、ユーザの肌の色相および虹彩の明度の分類を目視により確認する。そして、美容部員等は、ユーザの肌の色相の分類および虹彩の明度の分類に基づいて、ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。
【0049】
ステップ12(S12)において、美容部員等は、ドレープA、Bをユーザにあてて、ユーザの肌の色相とドレープとの調和に基づいてユーザの肌の色相の分類を確定する。また、美容部員等は、ドレープC、Dをユーザにあてて、ユーザの虹彩の明度とドレープとの調和に基づいてユーザの虹彩の明度の分類を確定する。そして、美容部員等は、ユーザの肌の色相の分類および虹彩の明度の分類に基づいて、ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。
【0050】
ステップ13(S13)において、美容部員等は、ドレープE、F、G、Hをユーザにあてて、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度とドレープとの調和に基づいてユーザのパーソナルカラーの2つのグループを選定する。
【0051】
ステップ14(S14)において、美容部員等は、S12で選定されたパーソナルカラーのグループと、S13で選定されたパーソナルカラーの2つのグループのうちのどちらかのグループとが一致するか否かを判断する。一致する場合はステップ15へ進み、一致しない場合はステップ12へ戻る。
【0052】
ステップ15(S15)において、美容部員等は、S14で一致したグループがユーザのパーソナルカラーのグループであると決定する。
【0053】
図6は、本発明の一実施形態に係る第一段階の処理のフローチャートである。
【0054】
ステップ21(S21)において、美容部員等は、ドレープA、Bをユーザにあてて、ユーザの肌の色相とドレープとの調和に基づいてユーザの肌の色相の分類を確定する。具体的には、ドレープAに調和する場合にはステップ22へ進み、ドレープBに調和する場合にはステップ23へ進む。
【0055】
ステップ22(S22)において、美容部員等は、ユーザの肌の色相を"ブルーベース"に分類すると判断する。
【0056】
ステップ23(S23)において、美容部員等は、ユーザの肌の色相を"イエローベース"に分類すると判断する。
【0057】
ステップ24(S24)において、美容部員等は、ドレープC、Dをユーザにあてて、ユーザの虹彩の明度とドレープとの調和に基づいてユーザの虹彩の明度の分類を確定する。具体的には、ドレープCに調和する場合にはステップ25へ進み、ドレープCにもドレープDにも調和しない場合にはステップ26へ進み、ドレープDに調和する場合にはステップ27へ進む。
【0058】
ステップ25(S25)において、美容部員等は、ユーザの虹彩の明度を"明るい"に分類すると判断する。
【0059】
ステップ26(S26)において、美容部員等は、ユーザの虹彩の明度を"中間"に分類すると判断する。
【0060】
ステップ27(S27)において、美容部員等は、ユーザの虹彩の明度を"暗い"に分類すると判断する。
【0061】
ステップ28(S28)において、美容部員等は、S22またはS23で判断したユーザの肌の色相の分類、および、S25~S27のいずれかで判断した虹彩の明度の分類に基づいて、ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。
【0062】
図7は、本発明の一実施形態に係る第二段階の処理のフローチャートである。
【0063】
ステップ31(S31)において、美容部員等は、ドレープE、F、G、Hをユーザにあてて、ユーザの肌および虹彩の色相、明度、彩度とドレープとの調和に基づいて、ユーザのパーソナルカラーのグループを選定する。具体的には、ドレープEに調和する場合にはステップ32へ進み、ドレープFに調和する場合にはステップ33へ進み、ドレープGに調和する場合にはステップ34へ進み、ドレープHに調和する場合にはステップ35へ進む。
【0064】
ステップ32(S32)において、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループとして"春"グループを選定する。
【0065】
ステップ33(S33)において、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループとして"夏"グループを選定する。
【0066】
ステップ34(S34)において、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループとして"秋"グループを選定する。
【0067】
ステップ35(S35)において、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループとして"冬"グループを選定する。
【0068】
<化粧品の推奨>
例えば、ユーザのパーソナルカラーのグループを決定した美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループをもとにユーザに化粧品を推奨することができる。例えば、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループに属する色の化粧品を選ぶことによって、ユーザを引き立てるナチュラルな仕上がりとなる化粧品を推奨することができる。あるいは、美容部員等は、ユーザのパーソナルカラーのグループとは違うグループに属する色の化粧品を選ぶことによって、化粧品の色が際立つ仕上がりとなる化粧品を推奨することができる。
【0069】
<効果>
このように、本発明の一実施形態では、ユーザにあてるドレープが8枚だけなので、短時間(おおよそ5分)でユーザのパーソナルカラーのグループを決定することができる。また、肌(肌の色相)と瞳(虹彩の明度)とをそれぞれ分類し、肌の分類(ブルーベース・イエローベース)と瞳の分類(明るい・中間・暗い)とに基づいてパーソナルカラーのグループを決定するようにしたので、どの美容部員等によってもパーソナルカラーのグループの決定にばらつきが出にくい。また、本発明の一実施形態では、人間の持って生まれた要素の中で一番変化の少ない瞳(虹彩の明度)の分類をもとにパーソナルカラーのグループを決定するので、正確にパーソナルカラーのグループを決定することができる。また、本発明の一実施形態では、パーソナルカラーのグループの選定を3段階で行うことにより、正確にパーソナルカラーのグループを決定することができる。
【0070】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7