IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7317985筐体と、回転および軸方向にシフトすることができるように筐体に取り付けられた回転要素とを備えるデバイス
<>
  • 特許-筐体と、回転および軸方向にシフトすることができるように筐体に取り付けられた回転要素とを備えるデバイス 図1
  • 特許-筐体と、回転および軸方向にシフトすることができるように筐体に取り付けられた回転要素とを備えるデバイス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】筐体と、回転および軸方向にシフトすることができるように筐体に取り付けられた回転要素とを備えるデバイス
(51)【国際特許分類】
   B21B 39/14 20060101AFI20230724BHJP
   B21C 47/34 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
B21B39/14 E
B21B39/14 D
B21C47/34 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021556596
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020057118
(87)【国際公開番号】W WO2020187837
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】19164296.6
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター・グラーブナー
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ・モーザー
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-082115(JP,U)
【文献】実開昭54-082032(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02853315(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0033757(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00 - 41/12
B21C 45/00 - 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(2)と、回転および軸方向にシフトすることができる(14)ように前記筐体(2)に取り付けられた回転要素(4)とを有するデバイスであって、
前記回転要素(4)の端面(8)上の少なくとも1つの第1の支持面(6)と、前記筐体(2)上の前記第1の支持面(6)と軸方向に対向する(40)の第2の支持面(10)と
によって特徴付けられ、
前記回転要素(4)に対する軸方向の力(12)の影響下で、前記回転要素(4)の軸方向の移動可能性(14)が前記第2の支持面(10)への前記第1の支持面(6)の接触(16)によって制限されるように、前記回転要素(4)が前記筐体(2)に取り付けられ、
金属ストリップを横方向に誘導するための摩耗要素(22)が前記回転要素(4)上に配置され、前記回転要素(4)が、
ギア機構に接続される、および/または、
機械式ギア(18)の歯車の構成要素である、および/または、
機械式ギア(18)の歯車である、デバイス。
【請求項2】
前記機械式ギア(18)が形状嵌めまたは圧力嵌めまたは摩擦嵌めまたは電気式ギア(18)であることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回転要素(4)がウォームホイールであることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記回転要素(4)が少なくとも1つの軸受ブッシュ(20)によって前記筐体(2)に取り付けられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記摩耗要素(22)が、前記回転要素(4)上に配置された、または前記回転要素(4)と一体に形成された、摩耗ディスク(22)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記摩耗要素(22)が、前記回転要素(4)に固定された摩耗ディスク(22)であることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の支持面(6)が略環状または略円形となるように形成されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の支持面(6)と前記第2の支持面(10)の間の支持接触(16)で平面接触が形成されるように、前記回転要素(4)が前記筐体(2)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイスによって特徴付けられる、金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置。
【請求項10】
前記装置は、圧延機(28)のローラテーブル部(26)のための装置である、請求項9に記載の金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置。
【請求項11】
上に前記デバイスが取り付けられているギアビーム(56)によって特徴付けられる、請求項9または10に記載の金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置。
【請求項12】
前記回転要素(4)と少なくとも圧力嵌め接続された(32)調整手段(30)によって特徴付けられ、前記調整手段(30)の動作時に、前記回転要素(4)が回転可能である、請求項9~11のいずれか一項に記載の金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置。
【請求項13】
複数の回転要素(4)と少なくとも圧力嵌め接続された(32)調整手段(30)によって特徴付けられ、前記調整手段(30)の動作時に、前記複数の回転要素(5)が同時におよび/または同期して回転可能である、請求項9~11のいずれか一項に記載の金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置。
【請求項14】
前記調整手段(30)がウォームであり、前記回転要素(4)がウォームホイールであることを特徴とする、請求項12または13に記載の金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置。
【請求項15】
属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための、請求項9から14のいずれか一項に記載の装置の使用法。
【請求項16】
ール製品(24)を移送するロール(36)を有する、圧延機(28)のローラテーブル部(26)であって、前記ロール(36)によって移送されるロール製品(24)の横方向の誘導(38)のための、請求項9から14のいずれか一項に記載の金属ストリップ(24)の横方向の誘導(38)のための装置によって特徴付けられる、ローラテーブル部(26)。
【請求項17】
ホットストリップミルのコイラ入口にある、請求項16に記載のローラテーブル部(26)。
【請求項18】
前記ロール製品(24)がホットストリップである、請求項16または17に記載のローラテーブル部(26)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体と、回転および軸方向にシフトすることができるように筐体に取り付けられた回転要素とを有するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
金属ストリップの製造において、金属ストリップは、たとえばローラテーブルといった金属ストリップ搬送デバイスによってたとえばコイラデバイスといった処理機械に導かれ、そこで金属ストリップが巻きとられる。
【0003】
ここで、金属ストリップに横方向の誘導を受けさせる必要がある。
【0004】
このことは、特に巻きとりの開始前に、巻きコイルの平らな側面が実現されるように、巻きコイル上の個々の巻きとりのオフセットをできるだけ小さく保つために必要である。
【0005】
横方向の誘導のためのデバイスは、たとえば、ガイドルールまたはギブである。
【0006】
筐体と回転要素を有する上で言及したデバイスは、たとえば、ロール製品またはホットストリップの確実な横方向の誘導のために、圧延機のローラテーブル部の中の、特にホットストリップミル中のコイラデバイスのコイラ入口における、そのようなサイドガイドまたはガイドルール/ギブの部分として使用することができる。
【0007】
そこで回転要素に、または回転要素上に、たとえば摩耗要素、ここでは摩耗ディスクが配置される。回転要素および摩耗ディスクは、ローラテーブル部のサイドガイド中に、またはガイドルール/ギブ中に回転可能に配置され、それによって、ロール製品またはホットストリップを、ローラテーブル部のロール上を移送する期間に、摩耗ディスクによって(横方向に)誘導することができる。
【0008】
ホットストリップミルのコイラ入口におけるホットストリップのサイドガイド中の、そのような摩耗ディスクは、たとえばPrimetals Technologies社製の「エコスライドディスク(Eco Slide Disc)」として知られている。
【0009】
そのような「エコスライドディスク」を装備したホットストリップミル、またはそこで知られているローラテーブルでは、コイラ入口で、ホットワイドストリップミルのコイラギブに、保守不要の堅牢なギアビームに取り付けられた回転可能な「エコスライドディスク」が設置されている。
【0010】
回転可能に取り付けられた回転要素上に配置されるため、これらの摩耗ディスクは、ローラテーブルのロールの側面に垂直に各々が配置されるが、指定できる数のストリップを誘導した後に、所望の角度まで自動的に同期して回転することができる、または回転する。
【0011】
他の場合に通常使用され、ストリップカットが摩耗板の同じ点で常に発生する、「固定」摩耗板とは対照的に、摩耗は、エコスライドディスクの全円環面にわたって均一に分散される。これによって、摩耗部品の使用期間、したがってギブの連続動作時間を、以前の数日から最高数カ月に伸ばす(特許文献1も参照)。
【0012】
摩耗ディスクまたはエコスライドディスクが循環的に回転しているため、ストリップエッジの摩耗によって局所的に小さい付着が発生するだけであり、これは後続のストリップによって再び研磨される。
【0013】
摩耗ディスクまたはエコスライドディスクのこうした自己クリーニング効果により、特定のストリップの品質を得るため、付着しているストリップエッジの溶解物が落下することによるストリップ面の欠陥を回避するための、摩耗ストリップで必要な手動クリーニングプロセスを省略することができる。
【0014】
計画された修復用運転停止の部分として、平均して4から16週間の保守不要動作後に、摩耗ディスクもしくはエコスライドディスクを回転すること、または摩耗ディスクもしくはエコスライドディスクを新しい摩耗ディスクもしくはエコスライドディスクと交換することで十分であることを、以前の結果が示している。さもなければ、費用がかかる摩耗板/ストリップ上の、補修なし溶接および研削加工が必要となる。
【0015】
そのような摩耗ディスクまたはエコスライドディスクの動作期間に、すなわち、(ホット)ストリップの誘導において、高離心の(すなわち、摩耗ディスク/エコスライドディスクの回転軸から径方向に距離がある)(誘導されるストリップからの)軸方向の力が、摩耗ディスクまたはエコスライドディスクに働くことがさらに見出された。
【0016】
これらの軸方向の力が偏心して導入される場合、力によって軸方向の荷重/力と同時に傾斜モーメントも発生し、それによって、(回転可能に取り付けられる)摩耗ディスクもしくはエコスライドディスク上の軸受の軸受間隔がそれに応じて大きくなり、または受け取ることができる軸方向の荷重が物理的に制限される。また、摩耗ディスク/エコスライドディスクの軸受において、摩耗の増加が生じる場合がある。
【0017】
そのような摩耗ディスク/エコスライドディスク用の従来の軸受の概念は、この場合には制限をもってのみ使用することができ、または、特に摩耗ディスクで一般的な制限された空間条件の下で、前記欠点を生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】EP3049198B1
【文献】EP2853315A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来技術の欠点を回避する、特に、偏心して働く軸方向の力の場合に不利益が特に少ない、回転可能に取り付けられる回転要素を有するデバイスを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、独立請求項の特徴を有する、筐体と、回転および軸方向にシフトすることができるように筐体に取り付けられる回転要素とを有するデバイスによって達成される。本発明の有利な改善形態が、従属請求項および以下の記載の主題である。
【0021】
「軸方向」または「径方向」などといった用語は、回転および軸方向にシフトすることができるように取り付けられる回転要素の回転軸に関係して理解されるべきである。「水平」または「垂直」などといった用語は、通常の意味を有する。
【0022】
筐体と、回転して軸方向およびシフトすることができるように筐体に取り付けられる回転要素とを有するデバイスは、回転要素の端面上の少なくとも1つの第1の支持面と、筐体上の前記第1の支持面に軸方向に反対側の第2の支持面とを備える。
【0023】
回転要素、たとえばシャフトは、ここで筐体に取り付けられ、その結果、ストリップの誘導についての誘導力などといった回転要素へ軸方向の力が作動する下で、回転要素の軸方向の移動可能性は、第2の支持面への第1の支持面の接触によって制限される。
【0024】
筐体は、取付け要素であってもよく、および/または取付け要素を備えてもよく、ここで、回転要素は、前記取付け要素に取り付けられる。こうして筐体は、たとえば、回転要素が取り付けられるガイドキャリアであってもよく、および/またはガイドキャリアを備えてもよい。
【0025】
「支持面」とは、別の(対応して好適に設けられる)「支持面」と支持接触するのに好適にやはり設けられる面を意味する。
【0026】
(回転要素の)「端面」とは、ここでは、回転要素の回転軸にほぼ垂直に向けられる回転要素の面、たとえばシャフトの側面を意味することができる。
【0027】
言い換えると、デバイス中で、回転要素の軸方向の移動可能性が筐体に対する回転要素の軸方向の遊びであること、または軸方向の遊びによって制限されることが規定される。これは、回転要素上の第1の端部側支持面と、筐体上の第2の軸方向反対側の支持面との間の軸方向の距離としてデバイス中で実現される、または可能にされる(「遊び」は、すなわち、製造および使用によって作られる運動の自由度であり、ここでは、機械構成要素が、構成要素グループまたは機能ユニットの別のものに対して、または別の構成要素と一緒に、設置期間または設置後に自由に動くことが可能である)。
【0028】
デバイス内部の「構成要素における他の可能な遊び」、たとえば、回転要素の軸受の遊び、または、回転要素と係合する別の構成要素と回転要素の係合の遊びなどは、筐体に対する回転要素の軸方向の移動可能性/軸方向の遊びに応じて整合される、または軸方向の移動可能性/軸方向の遊びより大きい。その結果、回転要素の軸方向の移動可能性は、筐体に対する回転要素の軸方向の遊びであり、または軸方向の遊びによって制限される。これは、回転要素上の第1の端部側支持面と、筐体上の第2の軸方向反対側の支持面との間の軸方向の距離としてデバイス中で実現される、または可能にされる。
【0029】
軸方向荷重が回転要素に働く場合、回転要素は、回転要素上の第1の支持面が筐体上の第2の支持面と接触するまで軸方向にシフトすることができる、または、シフトする。したがって、回転要素上の第1の支持面は、筐体上の第2の支持面上で支持される。こうして、回転要素は、特に軸方向の支持および/または傾斜に対する支持で支持される。
【0030】
別の表現でより簡単/より明瞭に言い換えると、筐体(第2の支持面)による回転要素(第1の支持面)の軸方向の移動可能性の制限のために、回転要素は、第2の軸方向に反対側の筐体側支持面上の、回転要素の第1の端部側支持面によって(軸方向荷重および軸方向の移動の下で)支持することができる。
【0031】
支持面を介した回転要素のこうした直接的支持は、軸方向荷重に関して、たとえばスラスト軸受といった回転要素の(実際の)軸受上に負荷を逃がし、力およびモーメントが支持によって吸収される。
【0032】
特に、回転要素上で偏心して働く荷重の場合、軸方向荷重と同様に、これは、回転要素に傾斜モーメントをやはりもたらし(また、これは通常では、回転要素の軸受によって吸収される必要があり)、したがって、回転要素の軸受中の軸受荷重の増加をもたらし、したがって、デバイス中で、軸受の力および/または軸受モーメントが制限されるまたは減らされる可能性がある(デバイス中で、力が、直接的支持面接触によって受けられ/吸収され/放散される)。
【0033】
この方法で、デバイスは、特に、より小さい構造の軸受および/またはより小さい軸受支持間隔を有する、従来の軸受の概念を実装することをやはり可能にする。
【0034】
回転要素が、機械式ギア、特に形状嵌め(または圧力嵌め/摩擦嵌め、または電気式)ギアの歯車(または、シャフトとシャフト上に配置される歯車の組合せ、適用可能な場合には、一体型で構成され、もしくはシャフト上に別個の構成要素として置かれる)であり、および/または、ギア機構に接続される、および/または機械式ギアの歯車の構成要素であることが規定される。
【0035】
たとえば、ウォームギアの場合、回転要素は、ウォームホイールであってよい。この場合、筐体は、ウォーム筐体となる。回転要素またはウォームホイールは、この場合には、ウォームと係合する(また、それによって回転することができる)。第1の支持面は、シャフトおよび/またはウォームホイールの、たとえば、ウォームホイールの径方向外側領域(ギアのリム)の側面であってよい。第2の支持面は、ウォームギア筐体のギアベースとなる。
【0036】
少なくとも1つの軸受ブッシュ(適用可能な場合には、ここで回転要素の片側搭載で)またはいくつかの軸受ブッシュによって、筐体に回転要素を取り付けることがまたさらに好適である。1つまたは複数の軸受ブッシュ中の軸方向の軸受の遊びは、2つの支持面の軸間隔から筐体に対する回転要素の軸方向移動可能性/軸方向の遊びに従って一致するべきである、または軸方向移動可能性/軸方向の遊びより大きく設定するべきである。その結果、回転要素の軸方向の移動可能性は、筐体に対する回転要素の軸方向の遊びである、または軸方向の遊びによって制限される。遊びは、回転要素上の第1の端部側支持面と筐体上の第2の軸方向に反対側の支持面との間の軸方向距離としてデバイス中で実現される、またはデバイス中で許容される。
【0037】
そのような1つまたは複数の軸受ブッシュは、ここで、軸方向の力を受けることが可能な接合部をやはり有することができる。これらの接合部は、ここで、デバイスによる/デバイス中の軸方向荷重がほぼない場合があり、または軸方向荷重をほぼなくすことができる。
【0038】
摩耗要素、たとえばディスク、特に摩耗ディスク、たとえばエコスライドディスクなどが回転要素上に配置されることが規定される。摩耗要素は、金属ストリップの横方向の誘導に好適であり、たとえば、金属ストリップの横方向の誘導のための装置で好適である。
【0039】
そのような摩耗要素またはディスクは、たとえば中心台座を介してボルト留めされる、別個のしたがって交換可能な構成要素として回転要素にやはり取り付けることができ、また、そのようなディスクは、回転要素と一体に構成することができる。手短にいえば、回転要素、たとえばシャフト、もしくは歯車、もしくは歯車付きシャフト、およびディスクは、2つの部品である、または1つの部片から作られる。
【0040】
好適には、回転要素が筐体の中に取り付けられること、および/または、第1の支持面と第2の支持面の間の支持接触で平面接触が形成され、それによって支持を改善することができるような形状を回転要素が有することを規定することができる。たとえば、回転要素の取付けは、第1の支持面と第2の支持面が相互に平行な平面を形成するように構成することができる。
【0041】
第1の支持面が、たとえば、回転要素を形成するギアのリムの径方向外側領域で、ほぼ環状であるように形成されることもさらに規定することができる。第1の支持面と第2の支持面の間の円形平面接触はそれによって可能になるが、さらに支持を改善することができる。
【0042】
また、第1の支持面は、いくつかの場合に回転要素の片側搭載で、ほぼ円形となるように形成することができ、または異なる表面形状を有することができる。
【0043】
好ましい改善形態では、デバイスがギア装置の部分であることが規定される。
【0044】
次いで、たとえば、回転要素は、シャフトと歯車の両方、すなわち一体化していてよく、そこにたとえばエコスライドディスクといった摩耗ディスクが、特に心出し台座を介して取り付けられる。
【0045】
次いで、運動伝達用にさらなる歯車を回転要素または歯車に接続することができる。
【0046】
デバイスを有するそのようなギア装置は、たとえば、ウォームギア機構などといった歯付きギアとして実装することができる。
【0047】
改善形態では、本デバイスは、圧延機中のローラテーブル部用、特にホットストリップミルのコイラ入口におけるローラテーブル部用の、金属ストリップの横方向の誘導のための装置、または簡単にはサイドガイドとしての知られている、ギブ/ガイドルールなど、特にコイラギブに設置されることが規定される。
【0048】
言い換えると、本デバイスおよび/または本デバイスが設置される装置は、特に金属ストリップの横方向の誘導のため、特に圧延機のローラテーブル部用にやはり使用することができる。
【0049】
このために、たとえば、サイドガイドは、本デバイスが取り付けられるギアビームを備えることができる。
【0050】
特に、いくつかのデバイスがそのようなサイドガイドまたはそのようなギアビームにはめ込まれる場合、ギアビームが好適である。
【0051】
本発明に従ったデバイスは、こうして、たとえば金属ストリップ搬送デバイスの上を移動する金属ストリップのたとえば横方向の誘導のための装置の部分、たとえば圧延機のローラテーブル部である。
【0052】
こうして、金属ストリップの横方向の誘導のための装置は、筐体(2)と、回転および軸方向にシフトすることができる(14)ように筐体(2)に取り付けられる回転要素(4)とを有する少なくとも1つのデバイスを有し、筐体(2)と、回転および軸方向にシフトすることができる(14)ように筐体(2)に取り付けられる回転要素(4)とを有するデバイスが、本記載または請求項1から7に説明されるように構成されて規定される。
【0053】
本発明に従ったデバイスは、こうして、金属ストリップ搬送デバイスの上を移動する金属ストリップの横方向の誘導のための装置たとえば圧延機のローラテーブル部への設置またははめ込みに好適である。
【0054】
金属ストリップの横方向の誘導のための装置では、通常、利用可能な空間は非常に制限される。したがって、回転要素では、可能な軸受支持間隔がやはり制限される。というのは、筐体のための設置空間が、制限された幅を有するにすぎないためである。したがって、たとえば特許文献2に示されるように、金属ストリップの誘導において摩耗要素上に加えられる力が筐体内へ導入されると、たとえば60~80kNの大きい誘導力、および適用可能な場合には、結果として得られた大きい傾斜モーメントが、上で記載したように、回転要素の軸受に不要な影響を及ぼすという問題が発生する。本発明に従った構成では、力は、軸受だけを介するのではなく、主に直接筐体に、したがって筐体を担持するギアビームに導入され、したがって、軸受と小さい軸受支持間隔の力-荷重に関係する問題を緩和または回避することができる。したがって、本発明に従った解決策によって、制限された空間条件の下で、回転要素を介して力を伝達しこれらの問題を克服することが可能になる。
【0055】
回転要素の回転、特にいくつかの(規定された)回転位置への制御した回転を実施することを可能とするために、ここで、回転要素、特に(いくつかのはめ込みデバイスの場合)すべての回転要素と少なくとも圧力嵌め接続する調整手段をやはり設けることが好適である。それによって、調整手段を作動させると、回転要素、特にすべての回転要素が同時におよび/または同期して、特に規定された回転位置へと制御されて回転可能である。
【0056】
たとえば、1つまたは複数のデバイスがウォームギアの各部である、すなわち、(それぞれの)回転要素がここでウォームホイールである場合、調整手段は、1つまたは複数のウォームホイール(回転要素)と係合する(共通)ウォームであってよい。特に、いくつかのデバイス/ウォームギアの場合に、そのまたはこの1つのウォームを作動することによって、すべてのウォームホイールを、同時に/同期して作動させることができる。
【0057】
さらに、やはり、圧延機のローラテーブル部は、特にホットストリップミルのコイラ入口において、ロール製品特にホットストリップを移送するロールを備えることができ、ここで、この/これらの上述のサイドガイドが、ロールによって移送されるロール製品特にホットストリップの横方向の誘導のためにはめ込まれる。
【0058】
たとえば対応する材料を厚くすることによって、第1の支持面の領域中で回転要素を補強するのが、さらに好適な場合がある。
【0059】
たとえば、硬化、被覆、または同様のことによって、第1および/または第2の支持面を処理することも規定することができる。
【0060】
上で与えられた本発明の有利な実施形態の記載は、グループに組み合わされることが多い、個別の従属請求項中で示される多数の特徴を含む。しかし好適には、これらの特徴は、やはり個別に考えて、さらなる好適な組合せへとグループ化することもできる。特に、これらの特徴は、各々を個別に使用して、本発明に従ったロールスタンドとともに任意の好適な組合せへとグループ化することができる。
【0061】
本明細書または請求項では、いくつかの概念が単数形または数と一緒に使用されるが、これらの用語を有する本発明の範囲は、与えられる単数形または数に限られない。さらに、「1つ(one)」または「a」という言葉は、数と見なされるべきでなく、不定冠詞と見なされるべきである。
【0062】
上で記載した本発明の特性、特徴、および利点、ならびにこれらが達成される方法は、図面に関してより詳細に説明される、本発明の例示的な実施形態の以下の記載に関して、より明瞭になり、より容易に理解される。例示的な実施形態は、本発明を説明する役割を果たし、本発明をそこに与えられる特徴の組合せに、また機能的な特徴に関して限定しない。加えて、各例示的な実施形態の好適な特徴は、例示的な実施形態から別個に切り離して明示的に見ること、または、これを補完するために別の例示的な実施形態に導入すること、および請求項のうちのいずれかと組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】ホットストリップミルのコイラ入口における回転可能な摩耗ディスク(エコスライドディスク)を有するサイドガイドを示す図である。
図2】摩耗ディスク(エコスライドディスク)の作動/回転のためのウォームギアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、ホットストリップミル28中のコイラデバイスのコイラ入口34における、サイドガイド38またはガイドルール/ギブ38の一部を示す。
【0065】
ホットストリップ24は、コイラ入口34において、(ほぼ水平に向けられる)ローラテーブル26の上で移送方向42にコイラへ供給される。
【0066】
図1が示すように、コイラ入口34のサイドガイド38またはガイドルール/ギブ38(下では簡単にコイラギブ38と呼ばれる)の中で、回転可能な(丸い)摩耗ディスク22の形でいくつかの摩耗要素22が、コイラ入口34のローラテーブル/部分26に沿って一列に配置され、そのそれぞれの端/基部面44(図1に見られる)が、それぞれの摩耗要素22または摩耗ディスク22の摩耗面44を形成する。
【0067】
摩耗ディスク22は、図1にやはり示されるように、コイラギブ38のほとんど丸い凹部46の中に垂直に、コイラギブ38にほぼ平行に、またはローラテーブル26に面するその側面48に平行に配置される。
【0068】
こうして、コイラギブ38に沿って、(摩耗状態に依存して)ほぼ平坦で垂直に向けられる誘導面50が、ローラテーブル/部分26上に移送されて誘導されるホットストリップ24のためのコイラギブ38に設けられ、ローラテーブル/部分26は、誘導面に垂直に、ほぼ水平に配向されている。
【0069】
ほぼ垂直に向けられる(誘導面50に平行な)摩耗ディスク22の各々は、中心回転軸52を有し、その中心回転軸52の周りで、それぞれの摩耗ディスク22がウォームギア18による制御下で(規定される回転位置に)回転可能であり(図2参照)、それによって、誘導面50が摩耗ディスク22のすべての回転位置で保持されることも保証される。
【0070】
ローラテーブル26のロール36の上を水平に移送されるホットストリップ24は、こうして常にこれらの摩耗ディスクによって確実に(横方向に)誘導される。
【0071】
図2は、コイラギブ38のウォームギア18によって回転可能であるいくつかの摩耗ディスク22のうちの1つの例として、コイラギブ38の中の回転可能な摩耗ディスク22の配置を詳細に示す。
【0072】
図2が示すように、摩耗ディスク22は、「そのウォームギア」18のウォームホイール4上に、心出し台座54を介して心出しされて位置する。ここで、前記ウォームホイール4は、コイラギブ38の部分をやはり形成し、それ自体がギアビーム56の部分であるウォーム筐体2に受け入れられ/取り付けられる。
【0073】
ウォームホイール4を取り付けるため、シャフト58がウォームホイール4の中に組み込まれ(ウォームホイール4と一体化され)、そのシャフト58またはウォームホイール4が、シャフト延長部60上に位置する2つの(軸受)ブッシュ20によって、ウォーム筐体2またはギアビーム56の中に取り付けられる。
【0074】
ウォームホイール4の外周部62上には、ウォーム30またはその歯66と係合(32)する歯64がある。
【0075】
こうして、そのようなウォームギア18またはこのウォーム30によって、ウォームホイール4は、規定された回転位置へと制御されて回転することができる。
【0076】
ここで、ウォーム30は、ウォームの歯66を備えてコイラギブ38にほぼ平行に配置され、たとえば、その長さに沿って延びるように向けられる「長い」主軸として構成されており、いくつかのウォームギア18のウォーム筐体2を「通過」し、それによって、図示されるウォームギア18の示されるウォームホイール4と係合(32)するだけでなく、コイラギブ38に沿って一列に配置されるいくつかのウォームホイール4と係合(32)する。
【0077】
こうして、(1つの)ウォーム30が動作する際に、いくつかのウォームホイール4が、同期して/同時に、規定された所望の回転位置へと回転することができる。
【0078】
図2がさらに示すように、ローラテーブル26から離れる方向に向くその端面8で、ウォームホイール4は、ウォームホイール4の回転軸52に垂直に向けられる、径方向に外側で、環状で、平坦な第1の支持面6を形成する。
【0079】
ウォームホイール4上のこの環状支持面6と軸方向に反対(40)に、それと平行に向けられた対応する第2の支持面10が、ウォーム筐体2のウォーム筐体壁68上に形成される。
【0080】
ローラテーブル26に面するその端面70において、ウォームホイール4は、さらなる端面72を形成する。端面72は、この場合にたとえば、平坦であって、ウォームホイール4の回転軸52に垂直に向けられ、その反対側には、それと平行に向けられた、対応するさらなるウォーム筐体壁/面74がある。
【0081】
ウォームホイール4は、この場合、ウォーム筐体2に受け入れられ、明瞭に表現すると、第1にその第1の端部側支持面6と第2にそのさらなる支持面72が、片側でウォーム筐体2の第2の支持面10と、他の側のウォーム筐体2上のさらなるウォーム筐体壁面74との間で「ペンチ状」係合をし、その結果、規定可能な軸方向の遊び74が、「ペンチ」の中または「その間」に形成される。
【0082】
言い換えると、ウォームホイール4は、ウォーム筐体2の第2の支持面10による制限(ここでは、ウォームホイール4上の第1の支持面6の軸方向の移動14が制限される)とウォーム筐体2のさらなるウォーム筐体壁面74による制限(ここでは、ウォームホイール4上のさらなる端面72の軸方向の移動14が制限される)のために、「ペンチ」内部で規定される最大に軸方向にシフトすることが可能である。
【0083】
ウォームギア18内の他の遊び、すなわち、ウォームホイール取付け部の遊び78およびウォーム30/ウォームホイール4の遊び80は、これに正確に合致する、またはこれより大きい。
【0084】
したがって、摩耗ディスク22上の軸方向荷重12の下で、ウォームホイール4の軸方向の(ローラテーブル26から離れる向きの)移動可能性14は、ウォーム筐体2に対するウォームホイール4の軸方向の遊び76によって制限され、これは、回転要素4上の第1の端部側支持面6とウォーム筐体2上の第2の軸方向に反対側(40)の支持面10との間の軸方向距離として、ウォームギア18中で実現される、または可能にされる。
【0085】
ここで、図2に図示されるように、偏心した軸方向荷重12が摩耗ディスク22に従ってウォームホイール4に働く場合、ウォームホイール4は、ウォームホイール4上の第1の支持面6がウォーム筐体2上の第2の支持面10に接触する(16)まで、軸方向に(14)(ローラテーブル26から離れる方向に)シフトすることができ、または、シフトし、こうして、ウォームホイール4上の第1の支持面6およびウォーム筐体上の第2の支持面10が相互に支持する(16)。ウォームホイール4は、こうして、軸方向の支持16およびやはり傾斜に対する支持16を受ける。
【0086】
言い換えると、ウォームホイール4の第1の端部側支持面6は、第2の軸方向に反対側(40)のウォーム筐体支持面10上で(軸方向荷重12および軸方向の移動14の下で)支持される(16)。
【0087】
ウォーム筐体2の中の支持面6、10を介したウォームホイール4のこの直接支持は、ウォームホイール4の(実際の)軸受、すなわち、軸受ブッシュ20上の荷重を緩和する。
【0088】
特に、荷重12が摩耗ディスク22に、したがってウォームホイール4に偏心して働く場合(軸方向の力82および傾斜モーメント84の両方を示す図2参照)、ウォームホイール4の中で、軸方向荷重82だけでなく傾斜モーメント84ももたらされ、ウォームギア18において軸受ブッシュ20への軸受の力および/または軸受モーメントが制限されるまたは減らされる(力が、直接的支持面接触16を通して受けられ/吸収され/放散される)。
【0089】
本発明は、好ましい例示的な実施形態によって詳細に図示され、記載されているが、本発明は、開示された例によって限定されず、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、他の変形形態をそこから導くことができる。
【符号の説明】
【0090】
2 筐体、ウォーム筐体
4 回転要素、歯車、ウォームホイール
6 第1の支持面
8 端面
10 第2の支持面
12 軸方向の力/荷重
14 軸方向の移動可能性/移動
16 支持、支持接触
18 (ウォーム)ギア
20 軸受ブッシュ
22 摩耗要素、摩耗ディスク
24 ロール製品、金属ストリップ、ホットストリップ
26 ローラテーブル/部分
28 圧延機、ホットストリップミル
30 調整手段、ウォーム
32 圧力嵌め接続、(歯車式)係合
34 コイラ入口
36 ロール
38 横方向の誘導、サイドガイド、ガイドルール、(コイラ)ギブ
40 軸方向に反対側
42 移送方向
44 端/基部面、摩耗面
46 凹部
48 側面
50 誘導面
52 回転軸
54 心出し台座
56 ギアビーム
58 シャフト
60 シャフト延長部
62 外周部
64 歯(ウォームホイール)
66 歯(ウォーム)
68 ウォーム筐体壁
70 端面
72 さらなる端面
74 さらなるウォーム筐体壁/面
76 軸方向の遊び
78 ウォームホイール取付け部の遊び
80 ウォーム/ウォームホイールまたは歯車式係合の遊び
82 軸方向の力、軸方向荷重
84 傾斜モーメント
図1
図2