(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】電気外科システムのエネルギー評価
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2021566238
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 US2020031857
(87)【国際公開番号】W WO2020227519
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バチェラー ケスター ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】モエ リヤド
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-319684(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0114351(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0272657(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0250063(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280071(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0350548(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0320481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
療法信号を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、
電気エネルギー源と通信する制御回路を備え、前記電気エネルギー源が、前記機器に電気的に結合され、前記療法信号を生成するように構成されており、前記制御回路が、
前記生物組織の電気特性を得る呼掛け段階および
前記生物組織を乾燥または脱水させる第1の乾燥段階のうちの少なくとも1つ中に前記生物組織へ提供される前記療法信号のエネルギー
を送
達し、
少なくとも前記第1の乾燥段階の完了後、前記呼掛け段階および前記第1の乾燥段階のうちの前記少なくとも1つ中に前記生物組織へ送達されたエネルギーの量と閾値エネルギー値とを比較し、
前記比較に基づいて、前記療法信号の送達を調整するように構成され
、
前記比較に基づいて前記療法信号の送達を調整するように構成された前記制御回路が、
前記呼掛け段階および前記第1の乾燥段階の少なくとも一つ中に前記送達されたエネルギーの量が前記閾値エネルギー値を超過した場合、第2の乾燥段階を実行するために、前記生物組織へ提供される前記療法信号の前記エネルギーを送達し、
前記第2の乾燥段階の電力傾斜率は、前記第1の乾燥段階の電力傾斜率よりも小さい、
ことを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項2】
請求項1に記載の外科ジェネレータであって、前記制御回路が、
前記生物組織へ提供される前記療法信号の電力を制御するように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項3】
請求項1に記載の外科ジェネレータであって、前記制御回路が、
前記生物組織へ提供される前記療法信号の電圧を制御するように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の外科ジェネレータであって、前記比較に基づいて前記療法信号の送達を調整するように構成された前記制御回路が、
前記呼掛け段階および前記第1の乾燥段階の少なくとも一つ中に前記送達されたエネルギーの量が前記閾値エネルギー値より小さい場合、
前記生物組織を凝固させる段階である終了段階
を実行するために、前記生物組織へ提供される前記療法信号の前記エネルギー
を送達
する、
ように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の外科ジェネレータであって、
前記制御回路に結合され、前記生物組織のインピーダンスを測定するように構成された測定回路を備え、
前記制御回路が、前記測定されたインピーダンスに基づいて、前記療法信号の送達のための電力傾斜率を判定するように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項6】
請求項
5に記載の外科ジェネレータであって、前記制御回路が、
第1の測定されたインピーダンスと第2の測定されたインピーダンスとの間の差を判定し、
前記判定された差が所定のデルタインピーダンス値より小さいことに応答して、前記電力傾斜率を調整するように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項7】
請求項
6に記載の外科ジェネレータであって、前記判定された差が前記所定のデルタインピーダンス値より小さいことに応答して前記電力傾斜率を調整するように構成された前記制御回路が、
前記判定された差が前記所定のデルタインピーダンス値以上になるまで、または前記送達されたエネルギーの量が前記閾値エネルギー値以上になるまで、前記電力傾斜率を増大させるように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の外科ジェネレータであって、
前記制御回路に結合され、前記生物組織のインピーダンスを測定するように構成された測定回路を備え、
前記制御回路が、
前記生物組織を凝固させる段階である終了段階中に、
タイマを始動し、
測定されたインピーダンス間の差を判定し、前記判定された差と所定のデルタインピーダンス値とを比較し、
前記判定された差が前記所定のデルタインピーダンス値以上であり、前記タイマが閾値時間限界より大きいことに応答して、エラー信号を生成するように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の外科ジェネレータであって、前記比較に基づいて前記療法信号の送達を調整するように構成された前記制御回路が、
前記生物組織を乾燥または脱水させる乾燥段階を繰り返すように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項10】
療法信号を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、
電気エネルギー源と通信する制御回路を備え、前記電気エネルギー源が、前記機器に電気的に結合され、前記療法信号を生成するように構成されており、前記制御回路が、
前記生物組織の電気特性を得る呼掛け段階および
前記生物組織を乾燥または脱水させる第1の乾燥段階のうちの少なくとも1つ中に前記生物組織へ提供される前記療法信号のエネルギー
を送
達し、
少なくとも前記第1の乾燥段階の完了後、前記呼掛け段階および前記第1の乾燥段階のうちの前記少なくとも1つ中に前記生物組織へ送達された電荷の量と閾値電荷値とを比較し、
前記比較に基づいて、前記療法信号の送達を調整するように構成され
、
前記比較に基づいて前記療法信号の送達を調整するように構成された前記制御回路が、
前記呼掛け段階および前記第1の乾燥段階の少なくとも一つ中に前記送達された電荷の量が前記閾値電荷値を超過した場合、第2の乾燥段階を実行するために、前記生物組織へ提供される前記療法信号の前記エネルギーを送達し、
前記第2の乾燥段階の電力傾斜率は、前記第1の乾燥段階の電力傾斜率よりも小さい、
ことを特徴とする外科ジェネレータ。
【請求項11】
請求項
10に記載の外科ジェネレータであって、前記比較に基づいて前記療法信号の送達を調整するように構成された前記制御回路が、
前記呼掛け段階および前記第1の乾燥段階の少なくとも一つ中に前記送達された電荷の量が前記閾値電荷値より小さい場合、
前記生物組織を凝固させる段階である終了段階
を実行するために、前記生物組織へ提供される前記療法信号の前記エネルギー
を送達
する、
ように構成されることを特徴とする外科ジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、(1)2019年5月9日出願のケスター ジェイ バチェラー(Kester J.Batchelor)らによる「ELECTROSURGICALLY SEALING BIOLOGICAL TISSUE BY CONTROLLING POWER PROVIDED THERETO」という名称の米国仮特許出願第62/845,647号、および(2)2019年9月24日出願のケスター ジェイ バチェラー(Kester J.Batchelor)らによる「ELECTROSURGICALLY SEALING BIOLOGICAL TISSUE BY CONTROLLING POWER PROVIDED THERETO」という名称の米国仮特許出願第62/905,318号、および(3)2019年9月24日出願のホイスン ワン(Huisun Wang)らによる「CORRECTING TISSUE RESISTANCE MEASUREMENTS USING TEMPORAL DATA」という名称の米国仮特許出願第62/905,366号、および(4)2019年9月24日出願のホイスン ワン(Huisun Wang)らによる「PREDICTIVE PHASE CONTROL OF AN ELECTROTHERAPEUTIC PROCEDURE」という名称の米国仮特許出願第62/905,337号、および(5)2019年9月24日出願のホイスン ワン(Huisun Wang)らによる「PULSED ELECTRICAL POWER PROVIDED TO SEALED TISSUE TO REDUCE TISSUE STICKING」という名称の米国仮特許出願第62/905,345号、および(6)2019年9月24日出願のウェイン ウィリアムズ(Wayne Williams)らによる「IMPEDANCE PHASE DETECTION FOR SHORT CIRCUIT PREDICTION」という名称の米国仮特許出願第62/905,360号に関係し、これらの内容全体の各々を全体として本願に引用して援用し、各々の優先権の利益を本明細書に主張するものとする。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術は、電気信号(電気療法信号)を印加して、何らかの方法で外科患者の生物組織に変化を生じさせることである。生物組織の切開、凝固、脱水、または高周波治療のために、様々な電気外科技法が使用される。これらの電気外科技法などは、たとえば腹腔鏡手術などの様々な医療処置中に実行することができる。これらの医療処置には、虫垂切除術、胆嚢摘出術、結腸切除術、膀胱切除術、胃バンディング、胃バイパス、ヘルニア治療、腎摘出術、Nissen噴門形成術、前立腺切除術、スリーブ状胃切除術などが含まれる。これらの医療処置の各々は、たとえば呼掛け段階、加熱段階、乾燥段階、焼灼段階など、1つ以上の電気療法段階を有することができる。
【0003】
そのような医療処置で使用される電気療法信号は、電気外科ジェネレータによって生成することができ、次いで電気外科ジェネレータに電気的に接続することができる電気外科機器を介して生物組織へ提供することができる。電気外科機器は、電気療法信号が提供された生物組織に機械的および電気的に係合するように構成することができる。たとえば様々なタイプの鉗子、伝導性スパチュラ、電気パッドなどを含めて、様々なタイプのそのような電気外科機器を用いることができる。
【0004】
異なる医療処置は、異なる電気療法信号を実施して、これらの異なる医療処置に特有の結果を実現することができる。係合された生物組織に提供される電気療法信号の様々な電気メトリックを使用して、これらの電気療法信号を特徴付けることができる。これらの電気メトリックには、極性(単極、双極)、ACおよび/またはDC、周波数、信号振幅、アタックおよびディケイプロファイルなどが含まれる。これらの様々な電気療法信号を生成する電気外科ジェネレータは、電気外科機器によって係合された生物組織に有効な結果をもたらす電気療法信号を提供するように、これらの電気メトリックのうちの1つ以上を制御することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
装置および関連する方法は、生物組織に制御された電力を提供するシステムに関する。電気外科システムは、開閉するように構成された対置可能な顎部材を有する鉗子を含む。鉗子はまた、対置可能な顎部材を開閉させるように構成された把持レバーを有するハンドピースを有する。対置可能な顎部材は、閉じているとき、対置可能な顎部材間に生物組織を締め付けて、締め付けられた生物組織を介して対置可能な顎部材間に電気通信を提供するように構成される。電気外科システムはまた、鉗子に電気的に結合可能な電気外科ジェネレータを含む。電気外科ジェネレータは、電気外科ジェネレータが鉗子に電気的に結合されたときに対置可能な顎部材と電気的に通信する電気エネルギー源を含む。電気エネルギー源は、電気療法信号を生成するように構成される。電気外科ジェネレータは、電気療法段階中、電気エネルギー源に、締め付けられた生物組織へ電気療法信号を提供させるように構成された制御回路を含む。提供される電気療法信号の電力は、電気療法スケジュールに従って制御される。
【0006】
いくつかの例は、電気外科機器によって係合された生物組織に制御された電力を提供するための電気外科ジェネレータに関する。電気外科ジェネレータは、電気外科機器を電気外科ジェネレータに電気的に結合して、電気外科ジェネレータと係合された生物組織との間に電気通信を提供するように構成された電気コネクタを含む。電気外科ジェネレータは、電気コネクタに電気的に結合されて電気療法信号を生成するように構成された電気エネルギー源を含む。電気外科ジェネレータはまた、電気療法段階中、電気エネルギー源に、係合された生物組織へ電気療法信号を提供させるように構成された制御回路を含む。電気療法信号の電力は、電気療法スケジュールに従って制御される係合された生物組織に従って提供される。
【0007】
いくつかの例は、電気外科機器によって係合された生物組織に制御された電力を提供する方法に関する。この方法は、電気外科機器を介して生物組織に係合し、電気外科機器と係合された生物組織との間に電気通信を提供するステップを含む。この方法は、電気療法段階中、電気外科機器と電気的に通信する電気エネルギー源を介して、係合された生物組織に電気療法信号を提供するステップへ進む。この方法はまた、電気療法スケジュールに従って提供された電気療法信号の電力を制御するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】外科患者の生物組織に電気療法を提供する電気外科システムの斜視図である。
【
図2】電気外科機器によって係合された生物組織を封止する電気外科システムのブロック図である。
【
図3A】電気外科機器によって係合された生物組織を封止する方法の流れ図である。
【
図3B】電気外科機器によって係合された生物組織を封止する方法の流れ図である。
【
図4】封止されている生物組織へ提供される電力を制御するために使用される電力スケジュールの例を示すグラフである。
【
図5】外科システムで使用することができる開回路確認技法の一例を示す流れ図である。
【
図6】電気外科機器によって係合された生物組織のサイズに対応する電力スケジュールを使用する生物組織封止方法の流れ図である。
【
図7A】測定された組織抵抗を鉗子の顎部温度の関数として示すグラフである。
【
図7B】顎部温度と電力印加の終了後の時間との関係を示すグラフである。
【
図8】抵抗補償と電力印加後の時間との関係を示すグラフである。
【
図9】電力印加後の時間の関数として組織抵抗の測定を補償する方法の流れ図である。
【
図10A】パルス化粘着低減部分を有する電気療法の電気療法信号の電気パラメータのグラフである。
【
図10B】パルス化粘着低減部分を有する電気療法の電気療法信号の電気パラメータのグラフである。
【
図10C】パルス化粘着低減部分を有する電気療法の電気療法信号の電気パラメータのグラフである。
【
図10D】パルス化粘着低減部分を有する電気療法の電気療法信号の電気パラメータのグラフである。
【
図11】生物組織と電気外科機器との間の粘着を低減させる方法の流れ図である。
【
図12】金属物体ありおよび金属物体なしの生物組織のインピーダンス角/時間関係の例を示すグラフである。
【
図13】電気外科機器によって係合された生物組織内の金属物体の有無を判定する方法の流れ図である。
【
図14】外科システムで使用することができる2境界技法の一例を示す流れ図である。
【
図15】外科システムで使用することができる開回路確認技法の一例を示す流れ図である。
【
図16】外科システムで使用することができる開回路確認技法の別の例を示す流れ図である。
【
図17】外科システムで使用することができる電力補正技法の一例を示す流れ図である。
【
図18】本開示の様々な技法を実施することができる超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムの一例の簡略化されたブロック図である。
【
図19】超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムで使用することができる熱マージン低減技法の一例を示す流れ図である。
【
図20】電気外科システムで使用することができる熱マージン制御技法の一例を示す流れ図である。
【
図21】電気外科システムで使用することができる熱マージン制御技法の別の例を示す流れ図である。
【
図22A】とりわけ意思決定プロセスで生物組織へ送達されるエネルギーの量を使用することができるエネルギー送達技法の一例の流れ図である。
【
図22B】とりわけ意思決定プロセスで生物組織へ送達されるエネルギーの量を使用することができるエネルギー送達技法の一例の流れ図である。
【
図22C】とりわけ意思決定プロセスで生物組織へ送達されるエネルギーの量を使用することができるエネルギー送達技法の一例の流れ図である。
【
図22D】とりわけ意思決定プロセスで生物組織へ送達されるエネルギーの量を使用することができるエネルギー送達技法の一例の流れ図である。
【
図23】測定された電気パラメータの値の変化と電力の変化との間の関係の一例を示すグラフである。
【
図24】外科システムで使用することができる電力補正技法の別の例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
装置および関連する方法は、電気外科機器によって係合された生物組織に電気療法信号を印加することに関する。これらの電気療法信号の様々な電気メトリックの制御が、そのような制御を実行する特有の電気外科技法として、以下に開示される。本明細書は、i)電気療法信号の電力制御(
図1~
図4)、ii)電気療法信号の予測段階制御(
図5~
図6)、iii)係合された生物組織の測定された電気抵抗の補正(
図7A~
図7Bおよび
図9)、iv)初期インピーダンスの修正(
図9)、v)電気療法信号の電力のパルス化による電気外科機器への生物組織の粘着の低減(
図10A~
図10Dおよび
図11)、vi)電気外科機器によって係合された生物組織内の伝導性異物の有無の判定(
図12および
図13)、vii)トリガ値とエスケープ値との間のバンドによる短絡エラートラッピング(
図14)、viii)インピーダンス限界終点波形に対する開回路確認(
図15および
図16)、ix)低精度ハードウェアシステムにおける代替電力補正出力(
図17)、x)熱マージンが低減された複合エネルギーデバイス(
図18および
図19)、xi)低速CPUを有するシステムにおける熱マージンを制御するための段階的インピーダンス値(
図20および
図21)、xii)消費エネルギー監視および開回路評価(
図22A~
図22D)、xiii)パルス間のドエルタイム、ならびにxiv)監視される変数の関数としての制御パラメータの増分調整という名称の項目に構成される。これらの技法は、説明のみを目的として別個の項目に記載されている。逆の内容を明示的に記載しない限り、これらの技法の各々は、本開示に記載する他の技法のうちの1つ以上と組み合わせて使用することができる。
【0010】
電気療法信号の電力制御(
図1~
図4)
電気外科機器によって係合された生物組織の電気外科的な封止または凝固は、様々な医療処置で使用される電気外科技法である。係合された生物組織は、係合された生物組織を制御下で加熱することによって、電気外科的に封止することができる。いくつかの医療処置では、封止されている生物組織は血管である。血管を加熱することで、血管壁に見られるコラーゲンが変性する。この変性コラーゲンが、血管壁間の接着剤として作用するゲル状の物質を形成する。ともに押し付けられて冷却中にともに維持されると、血管の対向する壁が封止を形成する。
【0011】
血管の加熱は、血管へ提供されるエネルギーが少なすぎたり多すぎたりしないように、注意深く制御される。血管へ提供されるエネルギーが多すぎた場合、血管壁の炭化および/または焼損が生じる可能性がある。血管へ提供されるエネルギーが少なすぎた場合、血管の封止品質が不十分になる可能性がある。封止品質の1つの尺度は、封止された血管が破裂しないで耐えることができる差圧である。低品質の封止は、印加される圧力がある程度の値を超過すると損なわれる可能性がある。
【0012】
血管へエネルギーが提供される速度もまた、電気外科処置の急速な実施が容易になるように、注意深く制御することができる。電気外科処置の急速な実施は、これらの処置の時間および困難さを低減させる。しかし、加熱速度は、生物組織内の流体の無制御の沸騰を引き起こすほど急速に行うべきではない。無制御の沸騰は、係合された生物組織もしくは近隣の生物組織の破断、および/または封止の品質の低下を招く可能性がある。
【0013】
係合された生物組織の加熱は、係合された生物組織へ提供されて係合された生物組織によって放散される電気療法信号の電力を制御することによって制御することができる。そのような電力は、封止スケジュールに従って制御することができる。たとえば、封止スケジュールは、係合された生物組織の電圧差と係合された生物組織によって伝導される電流との積を示すことができる。したがって、封止スケジュールは電力スケジュールである。いくつかの例では、電気療法信号は、終了基準が満たされたことに応答して低減または終了させることができる。いくつかの例では、終了基準は、たとえば係合された生物組織によって伝導される電流の減少などの電流特性である。いくつかの例では、終了基準は、たとえば係合された生物組織の電気抵抗の増大などの抵抗特性である。電気抵抗が所定のデルタ抵抗値を超えるそのような増大は、たとえば終了基準として使用することができ、所定のデルタ抵抗値は、測定された抵抗(またはインピーダンス)とそのパルス内で測定された抵抗(またはインピーダンス)の最低値との間の差である。いくつかの例では、終了基準は、たとえば何らかの条件に基づいて事前決定または計算される持続時間などの時間条件である。
【0014】
電気インピーダンスは複素インピーダンスであり、したがって実成分(抵抗)および虚数成分(リアクタンス)を含む。本明細書は、インピーダンスまたは抵抗を使用する技法について説明する。複素インピーダンス値も利用可能であり、そのような値を抵抗値の代わりに使用することもできることを理解されたい。逆に、複素インピーダンス値が利用可能でない場合、別途記載がない限り、抵抗値を代わりに使用することができる。
【0015】
加えて、以下の技法の多くは、電気外科エネルギーを生物組織へ送達することについて説明する。逆の内容を示さない限り、これらの技法の各々は、電力制御式または電圧制御式の技法を使用して、電気外科エネルギーを送達することができる。電力制御式の実装では、制御回路は、たとえば計画またはスケジュールに従って、係合された生物組織に印加される電圧と電流との積を使用して、電気外科エネルギーの送達を制御することができる。たとえば、制御回路は、特定の段階、たとえば乾燥段階中に、一定の電力または単調に増大する電力の送達を制御することができる。
【0016】
本明細書は、とりわけ治療または他の計画に従って提供することができる電気療法を提供するための1つ以上の技法について説明する。計画は、レシピ、処方、レジメン、方法論などを含むことができる。計画は、スケジュールなどの1つ以上の時間態様を含むことができ、たとえば発生または再発(または抑制もしくは抑止)タイミング、周波数、タイプ、相対的な組合せ(たとえば、切開と凝固)などを含むことができる。計画は、電気療法波形情報を含むことができ、たとえばパルス幅、デューティーサイクル、オン持続時間、オフ持続時間、繰返し率、振幅、段階などを含むことができる。計画は、本質的に静的または演繹的である必要はなく、1つ以上の動的態様を含むことができ、たとえば電気療法送達インスタンス中、またはそのような電気療法送達インスタンス間に、閉ループまたは他のフィードバックなどにおいて得られる診断情報、動作情報、または他の情報などによって、修正または決定することができる。計画の1つ以上の態様は、特有の患者、1つ以上の指定の特性を共有する人たちなどの患者の部分母集団、または患者の母集団などに合わせて調整することができ、たとえば記憶されている患者データに基づいて調整することができ、または患者もしくは介護人によって提供することができるものなどのユーザ入力によって調整することができる。計画は、1つ以上の条件態様を含むことができ、たとえば1つ以上の分岐条件を含むことができ、たとえば患者特性、診断方策、有効性判定、またはデバイスもしくはその環境の動作特性を使用して判定することができる。そのような分岐条件は、デバイスによって、たとえばユーザ入力を必要とすることなく、自動的に判定することができ、またはユーザ入力を必要とすることができ、たとえば電気療法デバイスの動作の1つ以上の部分の前、途中、もしくは後に、計画に従って提供することができる。計画は、入力、出力、もしくは命令、動作パラメータ、または測定データのうちの1つまたは任意の組合せを受信または提供するために、別のデバイスと通信すること、または別のデバイスを使用することを必要とすることができる。計画の1つ以上の態様は、コンピュータまたは他の機械可読媒体などの媒体に記録または符号化することができ、そのような媒体は、有形の媒体とすることができる。
【0017】
電圧制御式の実装では、制御回路は、たとえば計画、レジメン、またはスケジュールに従って送達される電気外科エネルギーの電圧を制御することができる。たとえば、制御回路は、特定の段階、たとえば乾燥段階中に、一定の電圧または単調に増大する電圧の送達を制御することができる。
【0018】
図1は、外科患者の生物組織に電気療法を提供する電気外科システムの斜視図である。
図1で、電気外科システム10は、電気外科ジェネレータ12および鉗子14を含み、鉗子14は、生物組織16に係合している状態で示されている。電気外科ジェネレータ12は、電気療法信号を生成しており、電気療法信号は、鉗子14を介して係合された生物組織16へ提供される。
図1は、生物組織16に係合して生物組織16へ電気療法信号を送達する鉗子14を示しているが、そのような目的で、上記で開示したものなどの様々なタイプの電気外科機器を使用することができる。
【0019】
生物組織16へ電気療法信号を送達するために、様々なタイプの鉗子を同様に使用することができる。たとえば、鉗子14は、医療用鉗子、切開用鉗子、または電気外科用鉗子(たとえば、単極または双極鉗子)とすることができる。いくつかの例では、鉗子14は、血管、生物組織、静脈、動脈、または他の解剖学的特徴もしくは物体に操作、係合、把持、切開、焼灼、封止、または他の方法で影響を与えるために、開放および/または腹腔鏡医療処置などの医療関連処置に使用することができる。
【0020】
図1に示すように、鉗子14は、ハンドピース18、シャフトアセンブリ20、ナイフブレードアセンブリ22、および把持アセンブリ24を含む。
図1に示す例など、いくつかの例では、鉗子14は、電気外科ジェネレータ12に電気的に接続されており、電気外科ジェネレータ12は、電気療法信号を生成し、生成した電気療法信号を鉗子14へ提供する。次いで、鉗子14は、その電気療法信号を、焼灼、封止、または他のそのような電気外科技法などの様々な電気外科技法に用いることができる把持アセンブリ24および/または遠隔パッドへ電気的に通信する。
【0021】
ハンドピース18は、ハンドル26、把持レバー28、ナイフトリガ30、電気療法作動ボタン32、および回転ホイール34を含む。把持アセンブリ24は、第1の顎部材36および第2の顎部材38を含む。シャフトアセンブリ20は、近位端でハンドピース18に接続され、遠位端で把持アセンブリ24に接続される。シャフトアセンブリ20は、ハンドピース18から把持アセンブリ24へ長手方向40に遠位に延びる。
【0022】
シャフトアセンブリ20は、鉗子14の一部分(たとえば、把持アセンブリ24およびシャフトアセンブリ20の遠位部分)を患者または他の解剖体に挿入しながら、鉗子14の残り部分(たとえば、ハンドピース18およびシャフトアセンブリ20の残りの近位部分)は患者または他の解剖体の外側に残すことを可能にするように機能する。シャフトアセンブリ20は、
図1には実質的にまっすぐなものとして示されているが、他の例では、1つ以上の角度、曲げ、および/または円弧を含むことができる。シャフトアセンブリ20は、円形、長円形、もしくは他の断面プロファイルを有する円筒、またはハンドピース18から把持アセンブリ24まで延びる他の細長い部材とすることができる。いくつかの例では、シャフトは、曲げることができ、操縦でき、または他の形で撓ませることができるものとすることができる。
【0023】
図1の例などのいくつかの例では、シャフトアセンブリ20は、ナイフブレードアセンブリ22を囲む細長い中空部材(たとえば、管状の外側シャフト)と、ナイフブレードアセンブリ22をナイフトリガ30に結合するための機械的リンク機構とを含むことができる。概して、シャフトアセンブリは、長手方向40に沿って力を伝達するのに十分な剛性を有する任意の細長い部材とすることができる。シャフトアセンブリ20はまた、ハンドピース18と把持アセンブリ24との間に電気通信を提供し、それによって電気療法信号を通信するために、伝導性要素(たとえば、ワイア、伝導性外側シャフト、および/または伝導性内側シャフトなど)を含むことができる。
【0024】
ハンドピース18の把持レバー28、ナイフトリガ30、電気療法作動ボタン32、および回転ホイール34は各々、通常は遠位端で、シャフトアセンブリ20の様々な作動を引き起こすように構成される。たとえば、把持レバー28の作動は、シャフトアセンブリ20の遠位端にある把持アセンブリ24の動作を制御するように構成される。把持レバー28は、開構成位置(
図1に示す)と把持レバー28がハンドル26の方へ近位に動かされた閉構成位置との間で可動の把持アクチュエータである。把持レバー28をハンドル26の方へ閉構成位置まで近位に動かすことで、把持アセンブリ24が開構成から閉構成へ遷移する。把持レバー28を開構成位置へ遠位に動かすことで(たとえば、把持レバー28の解放)、把持アセンブリ24は閉構成から開構成へ遷移する。
【0025】
把持アセンブリ24の開構成と閉構成との間のそのような遷移は、第1の顎部材36および第2の顎部材38のうちの1つ以上が、第1の顎部材36および第2の顎部材38が隔置された開構成(
図1に示す)と、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間の間隙が低減または除去された閉構成との間で動くことによって実現される。様々な電気外科機器が、様々な方法で生物組織16に係合する。
図1に示すものなどのいくつかの電気外科機器では、第1の顎部材36および第2の顎部材38は、互いに対置可能である。図示の例では、第1の顎部材36および第2の顎部材38は、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間に生物組織16を締め付けて、締め付けられた生物組織16を介して対置可能な顎部材36および38間に電気通信を提供するように構成される。他の電気外科機器が、他の方法で生物組織に係合することもできる。
【0026】
シャフトアセンブリ20内の機械的リンク機構は、把持レバー28の作動に応答して、第1の顎部材36および第2の顎部材38のうちの1つ以上を開構成と閉構成との間で動かすように構成することができる。把持アセンブリを開構成と閉構成との間で動かすための1つの例示的な機構は、内容全体を本願に引用して援用する、2017年1月10日出願のバチェラー(Batchelor)らによる「FORCEPS JAW MECHANISM」という名称の米国特許公開第2017/0196579号に見ることができる。
【0027】
ナイフトリガ30の作動は、シャフトアセンブリ20の遠位端に位置するナイフブレードアセンブリ22の動作を制御するように構成される。ナイフブレードアセンブリ22は、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間に締め付けられた生物組織または他の物体に切開、切除、または他の方法で影響を与えるように構成される。ナイフトリガ30は、後退構成位置(
図1に示す)と配備または延長構成位置との間で可動のナイフブレードアクチュエータであり、配備構成位置では、ナイフトリガ30がハンドル26の方へ近位に動かされて、ナイフブレードアセンブリ22が、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間に締め付けられた生物組織16を切開する。ナイフトリガ30をハンドル26の方へ配備構成位置まで近位に動かすことで、ナイフブレードアセンブリ22の刃が生物組織16に係合し、それによって生物組織16を切開する。ナイフトリガ30を遠位に動かすことで(たとえば、ナイフトリガ30の解放)、ナイフブレードは締め付けられた生物組織16から後退する。たとえばシャフトアセンブリ20内の機械的リンク機構は、ナイフブレードを生物組織16に係合させ、係合された生物組織16から後退させるように構成することができる。
【0028】
回転ホイール34は、シャフトアセンブリ20の遠位端にあるナイフブレードアセンブリ22および把持アセンブリ24のうちの1つ以上の回転構成、ならびに/またはシャフトアセンブリ20の回転構成を制御するように構成される。回転ホイール34の動き(たとえば、回転)は、長手方向40に延びる軸の周りで、シャフトアセンブリ20、ナイフブレードアセンブリ22、および把持アセンブリ24のうちの1つ以上を回転させる。そのような回転制御は、把持アセンブリおよび/またはナイフブレードアセンブリを、締め付けられた生物組織16に位置合わせすることを容易にすることができる。
【0029】
療法作動ボタン32は、電気療法信号の生成および/または係合された生物組織16への送達を制御するように構成される。療法作動ボタン32を作動することで、たとえば電気外科ジェネレータ12から引き込まれた電気療法信号を、第1の顎部材36および第2の顎部材38、遠隔パッド(図示せず)、または鉗子14の他の部分のうちの1つ以上に印加して、患者または他の解剖体に焼灼、封止、または他の方法で電気的に影響を与える。把持レバー、ナイフトリガ、回転ホイール、および療法作動ボタンを利用するハンドピースの一例は、内容全体を本願に引用して援用する、2017年6月20日に発行されたウィンドガッセン(Windgassen)らによる「FORCEPS WITH A ROTATION ASSEMBLY」という名称の米国特許第9,681,883号に見ることができる。
【0030】
図2は、電気外科機器によって係合された生物組織を封止する電気外科システムのブロック図である。
図2で、電気外科システム10は、電気外科ジェネレータ12および電気外科機器14’を含む。電気外科機器14’は、生物組織に係合して生物組織に電気療法信号を送達するように構成された任意の電気外科機器とすることができる。電気外科ジェネレータ12は、高周波(AC)電気信号などの電気療法信号を生成するように構成され、電気外科機器14’は、その電気信号を、係合された生物組織16へ送達する。
【0031】
いくつかの例では、電気外科機器14’は、
図1に示す鉗子14など、シャフトアセンブリを介して対置可能な顎部材に結合されたハンドピースを有する鉗子である。他の例では、電気外科機器14’は、伝導性スパチュラ、伝導性パッド、または他の電気外科デバイスである。これらの様々なタイプの電気外科機器は、生物組織に係合する様々な方法(たとえば、締め付ける、触れる、取り囲む、貫入する、放射するなど)を有する。
【0032】
電気外科ジェネレータ12は、機器インターフェース42、電気エネルギー源44、測定回路46、制御回路48、およびユーザインターフェース50を含む。機器インターフェース42は、たとえば信号ドライバ、バッファ、増幅器、ESD保護デバイス、および電気コネクタ52を含むことができる。電気コネクタ52は、電気外科機器14’を電気外科ジェネレータ12に電気的に結合して、電気外科ジェネレータ12と電気外科機器14’との間に電気通信を提供するように構成される。そのような電気通信を使用して、電気外科ジェネレータ12と電気外科機器14’との間で動作電力および/または電気信号を伝送することができる。それによって、電気外科機器14’は、電気コネクタ52と係合された生物組織との間に電気通信を提供することができる。
【0033】
電気エネルギー源44は、電気的に接続された電気外科機器14’を介して係合された生物組織へ送達される電気療法信号を生成するように構成される。生成された電気療法信号は、特有の電気外科処置に対する所望の結果が得られるように制御することができる。一例では、たとえば、電気療法信号は、係合された生物組織を抵抗加熱して、係合された生物組織を封止するなど、係合された生物組織に外科的に影響を与えるように構成される。電気療法信号のそのような制御は、以下でさらに開示する。
【0034】
測定回路46は、接続された電気外科機器14’によって係合された生物組織の1つ以上の電気パラメータを測定するように構成される。測定回路46は、電気外科ジェネレータ12が電気コネクタ52を介して電気外科機器14’に電気的に接続されたとき、接続された電気外科機器14’と電気的に通信する。測定回路46の様々な例は、様々な電気パラメータを測定するように構成される。たとえば、測定回路46は、係合された生物組織に送達される電圧差および/または係合された生物組織によって伝導される電流を測定するように構成することができる。いくつかの例では、測定回路46は、係合された生物組織に送達される電圧差と係合された生物組織によって伝導される電流との間の位相角を測定するように構成することができる。いくつかの例では、測定回路46は、係合された生物組織のDCおよび/またはAC電気パラメータを測定するように構成される。
【0035】
係合された生物組織に送達される電圧差および/または係合された生物組織によって伝導される電流などの測定されたパラメータは、他の電気メトリックを判定するために使用することもできる。たとえば、係合された生物組織に送達される電圧差および/または係合された生物組織によって伝導される電流の測定を使用して、係合された生物組織の電気抵抗を判定することができる。係合された生物組織に送達される電圧差および係合された生物組織によって伝導される電流、ならびにこれらの間の位相角の測定を使用して、係合された生物組織の複素インピーダンスを判定することができる。また、係合された生物組織に送達される電圧差および係合された生物組織によって伝導される電流、ならびにこれらの間の位相角の測定を使用して、係合された生物組織へ提供される皮相電力(VA)および/または有効電力(W)を判定することもできる。
【0036】
電気パラメータのそのような測定は、係合された生物組織への送達中に電気療法信号を制御するために使用することができる。たとえば、係合された生物組織に送達される電圧差の測定および係合された生物組織によって伝導される電流の測定を使用して、係合された組織へ提供される有効電力を判定および/または制御することができる。次いで、こうして判定された有効電力と、電気療法スケジュールとを比較することができる。そのような比較を使用して、エラー信号を生成することができる。電気パラメータの測定はまた、電気療法の段階を制御するための段階制御基準を判定するために使用することができる。段階制御基準は、段階の開始および終了のための基準、ならびに段階内制御のための基準を含むことができる。
【0037】
制御回路48は、電気エネルギー源44および/または測定回路46の動作を制御するように構成される。制御回路48は、電気エネルギー源44および測定回路46に電気的に接続される。制御回路48は、電気エネルギー源に、電気的に接続された電気外科機器14’によって係合された生物組織へ電気療法信号を提供させる。制御回路48は、電気エネルギー源44に、電気療法スケジュールに従って電気療法信号を生成させ、生成された電気療法信号は、特有の電気外科処置に合わせて制御される。
【0038】
様々な電気療法スケジュールは、様々なタイプの電気療法を実現するために使用することができる。たとえば、いくつかの例では、係合された生物組織へ提供される電気療法信号の有効電力(W)は、電力スケジュールに従って制御される。他の例では、係合された生物組織に送達される電気療法信号の電圧差(V)は、電圧スケジュールに従って制御される。他の例では、係合された生物組織によって伝導される電気療法信号の電流(A)は、電流スケジュールに従って制御される。さらに他の例では、係合された生物組織へ提供される電気療法信号の皮相電力(VA)を、電圧-アンペア数スケジュールに従って制御することができる。
【0039】
たとえば、制御回路48は、電気エネルギー源44に、係合された生物組織へエネルギーを提供させることができ、係合された生物組織の電圧差と係合された生物組織によって伝導される電流との積が、電気療法スケジュールに従って制御される。制御回路48は、判定された有効電力と電気療法スケジュールとの比較を使用して、エラー信号を生成することができる。そのようなエラー信号は、電気エネルギー源44を含む閉ループフィードバックシステムにおいて、電気療法スケジュールに従って電気療法信号を生成するために使用することができる。
【0040】
図2に示すように、制御回路48は、プロセッサ54およびメモリ56を含む。制御回路48は、タイマおよび/またはクロックを含むことができる。いくつかの例では、タイマおよび/またはクロックは、プロセッサ54の一部である。他の例では、タイマおよび/またはクロックは、プロセッサ54とは別個である。一例では、プロセッサ54は、電気外科システム10内での実行のために、機能の実施および/または命令の処理を行うように構成される。たとえば、プロセッサ54は、プログラムメモリ56P内に記憶されている命令を受信および/または処理することが可能である。次いで、プロセッサ54は、電気エネルギー源44に所定の電気療法スケジュールに従って電気療法信号を生成させるためのプログラム命令を実行することができる。所定の電気療法スケジュールは、たとえばデータメモリ56Dから取り出すことができる。プロセッサ54は、測定回路46によって測定された電気パラメータと、取り出された所定の電気療法スケジュールとを比較することができる。プロセッサ54は、電気エネルギー源44および/または測定回路46へコマンドを送信することができる。プロセッサ54はまた、ユーザインターフェース50からの情報を送信または受信することができる。
【0041】
様々な例では、電気外科ジェネレータ12は、
図2に示す要素または様々な他の要素を使用して実現することができる。たとえば、プロセッサ54は、マイクロプロセッサ、制御回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他の同等の離散もしくは集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
【0042】
メモリ56は、動作中に電気外科システム10内に情報を記憶するように構成することができる。いくつかの例では、メモリ56について、コンピュータ可読記憶媒体として説明する。いくつかの例では、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的な媒体を含むことができる。「非一時的」という用語は、記憶媒体がキャリア波または伝播信号として実施されたものではないことを示すことができる。特定の例では、非一時的記憶媒体は、経時変化しうるデータを記憶することができる(たとえば、RAMまたはキャッシュ内)。いくつかの例では、メモリ56は、一時的なメモリであり、これはメモリ56の主目的が長期記憶ではないことを意味する。いくつかの例では、メモリ56について、揮発性メモリとして説明しており、これは、電気外科システム10への電力が遮断されたときに、メモリ56が記憶された内容を維持しないことを意味する。揮発性メモリの例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、および他の形態の揮発性メモリを含むことができる。いくつかの例では、メモリ56は、プロセッサ54による実行のためのプログラム命令を記憶するために使用される。一例では、メモリ56は、電気外科システム10で動作するソフトウェアまたはアプリケーション(たとえば、電気外科機器によって係合された生物組織へ提供される電気療法信号の電気制御を実施するソフトウェアプログラム)によって、プログラム実行中にたとえばデータメモリ56D内などに情報を一時的に記憶するために使用される。
【0043】
いくつかの例では、メモリ56はまた、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。メモリ56は、揮発性メモリより大量の情報を記憶するように構成することができる。メモリ56は、情報の長期記憶向けにさらに構成することができる。いくつかの例では、メモリ56は、不揮発性記憶要素を含む。そのような不揮発性記憶要素の例は、磁気ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、または電気的プログラマブルメモリ(EPROM)もしくは電気的に消去可能なプログラマブルメモリ(EEPROM)の形態を含むことができる。
【0044】
ユーザインターフェース50は、電気外科システム10とユーザ(たとえば、外科医または技術者)との間で情報を通信するために使用することができる。ユーザインターフェース50は、通信モジュールを含むことができる。ユーザインターフェース50は、様々なユーザ入出力デバイスを含むことができる。たとえば、ユーザインターフェースは、様々なディスプレイ、可聴信号ジェネレータ、ならびにスイッチ、ボタン、タッチスクリーン、マウス、キーボードなどを含むことができる。
【0045】
一例では、ユーザインターフェース50は、通信モジュールを利用して、1つ以上の無線もしくは有線ネットワークまたはその両方などの1つ以上のネットワークを介して外部デバイスと通信する。通信モジュールは、イーサネットカードなどのネットワークインターフェースカード、光トランシーバ、無線周波トランシーバ、または情報を送信および受信することができる任意の他のタイプのデバイスを含むことができる。そのようなネットワークインターフェースの他の例は、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、およびWi-Fi無線コンピューティングデバイス、ならびにユニバーサルシリアルバス(USB)デバイスを含むことができる。
【0046】
図3A~
図3Bは、電気外科機器によって係合された生物組織を封止するための電気療法信号を生成する方法の非限定的な例の流れ図である。
図3A~
図3Bに示す方法100は、
図1~
図2に示す電気外科システム10などの電気外科システムとともに使用することができる。後述する様々な技法を使用して、電気外科ジェネレータは、生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数としてのエネルギー送達の増分変化に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができる。いくつかの例では、制御回路は、組織修正を提供する段階中に電力を制御することなどによって、療法計画に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御することができる。
【0047】
たとえば、制御回路は、電流の関数として電力を増分的に修正することができる。いくつかの例では、電流の関数は、電流の変化の関数である。電流の変化は、パルス中の電流の変化とすることができ、したがってむしろ電流値のように見える可能性がある。いくつかの例では、電流の関数は、測定された電流の瞬時変化の関数であり、したがってむしろ電流関数の勾配のように見える可能性がある。制御回路は、これらの電流の変化または電流の瞬時変化のいずれかに基づいて、電力を修正することができる。いくつかの例では、測定された電流の瞬時変化の関数は、線形関数である。他の例では、制御回路は、電圧制御式の技法を使用するときなどに、抵抗の関数として電力を増分的に修正することができる。
【0048】
図4に見られるように、いくつかの例では、システムは、事前定義された電力曲線を使用して、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御することができる。いくつかの例では、事前定義された電力曲線は、2つ以上の線形部分を含むことができる。
【0049】
図3Aおよび
図3Bならびに
図4は、説明の目的で使用される非限定的な特有の例であることに留意されたい。
【0050】
いくつかの例では、この方法は、電力制御式の技法の使用から電圧制御式の技法の使用へ切り換えることができる。電圧制御式の技法では、電流の上限を定めることができるが、電流は、応答インピーダンスに従って自由に動くことが可能であり、それにより可変電力送達を可能にすることができる。たとえば、制御回路は、電力制御式の技法を使用してパルスを送達することができ、抵抗が増大すると、沸騰条件に接近し、または閾値に到達し、システムは、電圧制御式の技法に切り換わることができる。このようにして、初めに、システムは、電力制御式の技法を利用して、エネルギーをより速く送達することができるが、沸騰に近づくと、システムは、より応答が速い電圧制御式の技法に切り換わることができる。電圧制御式の技法を使用するいくつかの実装では、システムは、事前定義された電圧曲線を使用して、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御することができる。いくつかの例では、事前定義された電圧曲線は、2つ以上の線形部分を含むことができる。
【0051】
図3Aで、方法100はステップ102から始まり、電気外科システム10(
図1~
図2に示す)に電力が投入される。次いで、ステップ104で、呼掛け段階が始まり、制御回路48(
図2に示す)が、電気エネルギー源44(
図2に示す)に、呼掛け段階中に、係合された生物組織へ呼掛けパルスなどの呼掛け信号を提供させる。提供された呼掛け信号の電力(W)は、呼掛けスケジュールに従って制御される。いくつかの例では、呼掛け段階中に係合された生物組織へ提供される電力レベルは、組織作用をほとんどまたはまったく引き起こさないほど低くすることができる。そのような低い電力レベルは、係合された生物組織の電気特性の測定値を得る目的で提供することができる。そのような測定値は、場合により、電気療法前測定値を得るために、電気療法が提供される前に得られる。いくつかの例では、呼掛けスケジュールは、呼掛け段階中に一定の電力を提供することを示す。そのようなスケジュールを、一定電力スケジュールと呼ぶことができる。いくつかの例では、制御回路48は、所定の持続時間後に呼掛け段階を終了させる。
【0052】
ステップ106で、コントローラ48は、測定回路46(
図2に示す)に、呼掛け段階中に、係合された生物組織の第1の電気抵抗を測定させる。ステップ106が初めて実行されるとき、この測定された電気抵抗が基準抵抗になる。次いで、ステップ108で、制御回路48は、測定された電気抵抗と、以前に測定された最小の抵抗(もしあれば)とを比較する。ステップ108で、測定された電気抵抗が最小の抵抗より小さい場合、この方法はステップ110へ進み、測定された電気抵抗が、新しい最小値として記録され、次いでこの方法はステップ116へ進む(乾燥または脱水段階の第1の区間が始まる)。しかし、ステップ108で、測定された電気抵抗が最小の抵抗より大きい場合、この方法はステップ112へ進み、制御回路48は、測定された電気抵抗と、最小の抵抗および所定の抵抗デルタの和とを比較する。ステップ112で、測定された電気抵抗が、最小の抵抗および所定の抵抗デルタの和より小さい場合、この方法はステップ114へ進み、測定された電気抵抗は無視される。しかし、ステップ112で、測定された電気抵抗が、最小の抵抗および所定の抵抗デルタの和より大きい場合、この方法は、
図3Bに示すステップ146へ進む。
【0053】
ステップ116で、組織修正が行われるなど、乾燥または脱水段階の第1の区間が始まり、制御回路48は、電気エネルギー源44に、乾燥段階の第1の乾燥区間中に、係合された生物組織へ第1の乾燥パルスなどの第1の乾燥信号を提供させる。提供された第1の乾燥信号の電力(W)は、線形傾斜率を有するなど、事前定義された電力曲線などを使用して、第1の乾燥スケジュールまたは計画に従って制御される。いくつかの例では、第1の乾燥スケジュールまたは計画は、
図4の下のグラフで時間t
1およびt
2間に示すように、単調に増大する電力スケジュールである。
【0054】
次いで、ステップ118で、制御回路48は、提供された電力と、第1の所定の最大電力などの第1の閾値とを比較する。ステップ118で、提供された電力が第1の所定の最大電力より大きい場合、この方法は、
図4の下のグラフで時間t
2およびt
3間に示すように、
図3Bに示すステップ130へ進み、これは乾燥段階の第2の乾燥区間を示す。第2の乾燥区間を含むいくつかの例では、制御回路48は、ブロック130で、
図4の下のグラフで時間t
2およびt
3間に示すように、傾斜率を低減させることができる。このようにして、制御回路48は、係合された生物組織のたとえば断続的に測定された第1の電気パラメータが第1の閾値を満たすことに応答して、第1の乾燥パルスなどの第1のパルス中に、エネルギー送達を修正することができる。
【0055】
システムは、電流などの第1の電気パラメータを、たとえば断続的に測定することができ、係合された生物組織の測定された電流が所定の値などの第1の閾値を満たすことに応答して、療法段階中にエネルギー送達を低減または終了させる。いくつかの例では、所定の値は、絶対電流閾値である。いくつかの例では、所定の値は、パルス計数に応じて変化することができる閾値である。いくつかの例では、所定の値は、初期電流測定値に対する電流の変化である。いくつかの例では、所定の値は、療法信号のパルス中の最大電流測定値に対する電流の変化である。
【0056】
しかし、ステップ118で、提供された電力が第1の所定の最大電力より小さい場合、この方法はステップ120へ進み、制御回路48は、測定回路46に、係合された生物組織によって伝導されるインピーダンスまたは電流などの第1の電気パラメータを測定させる。
【0057】
ステップ122で、制御回路48は、このパルスに対する測定された電流(またはインピーダンス)、たとえば第1の電気パラメータと、以前に測定された最大電流(もしあれば)、たとえば閾値とを比較する。ステップ122で、測定された電流が最大電流より大きい場合、この方法はステップ124へ進み、測定された電流は、新しい最大値として記録され、次いでこの方法はステップ116へ戻り、第1のパルス中のエネルギー送達を修正することによって、乾燥段階の第1の乾燥区間を継続する。しかし、ステップ122で、測定された電流が最大電流より小さい場合、この方法はステップ126へ進み、制御回路48は、測定された電流と、最大電流の所定の割合とを比較する。
【0058】
ステップ126で、測定された電流、たとえば測定された第1の電流が、所定の電流閾値、たとえば測定された第2の電流より大きい場合、この方法はステップ116へ戻り、乾燥段階の第1の乾燥区間を継続する。いくつかの例では、所定の電流閾値は、たとえば0.9、0.8、0.66、0.5、および0.4など、最大電流の比または割合とすることができる。言い換えれば、制御回路48は、測定された第1の電流と測定された第2の電流との比が、係合された生物組織内の液体の相変化が生じていないことを示す所定の係数を超過したことに応答して、乾燥信号またはパルスを継続することができる。他の例では、所定の電流閾値を比ではなく差とすることができる。
【0059】
しかし、ステップ126で、測定された電流が最大電流の所定の割合より小さい場合、この方法はステップ128へ進み、乾燥段階の第1の乾燥区間の第1の乾燥パルスが終了される。次いで、この方法はステップ104へ戻り、呼掛け段階を繰り返し、その後、乾燥段階を繰り返すことができ、または封止段階が始まることができる。言い換えれば、システムは、療法段階中に電流を監視して、その療法段階がいつ終了するべきかを判定することができる。
【0060】
いくつかの例では、ステップ126で、測定された電流が最大電流の所定の割合より小さいかどうかを判定することとは対照的に、制御回路48は、測定された電流が、パルスの始動後に所定の時間間隔で測定された電流値の所定の割合(またはオフセット)より小さいかどうかを判定することができる。インピーダンス監視システムの場合、制御回路48は、測定されたインピーダンスが、パルスの始動後に所定の時間間隔で測定された抵抗値の所定の割合(またはオフセット)より大きいかどうかを判定することができる。
【0061】
ステップ130(
図3Bに示す)で、乾燥段階の第2の区間が始まり、制御回路48は、電気エネルギー源44に、乾燥段階の第2の乾燥区間中に、係合された生物組織へ第2の乾燥パルスなどの第2の乾燥信号を提供させる。乾燥段階の第1および第2の乾燥区間を
図3Aおよび
図3Bに示すが、乾燥段階の第2の乾燥区間はなくてもよいことに留意されたい。逆に、いくつかの例では、乾燥段階が第1の乾燥区間中に終了することができる。第2の乾燥パルスなどの提供された第2の乾燥信号の電力(W)は、事前定義された電力曲線などを使用して、第2の乾燥スケジュールまたは計画に従って制御される。電力制御式(または電圧制御式もしくは電流制御式)の技法では、システムは、作動エネルギーレベルの設定を制御することができる。電力(または電圧もしくは電流)の制約は、制御される電流が交差しない上限または閾値を指し、これを超えるとエラー状態が生じる。
【0062】
他の例では、係合された生物組織の電圧(V)は、第2の乾燥区間中に制御される。電圧制御式の技法では、システムは、作動エネルギーレベルの設定を制御することができる。電圧の制約は、制御される電圧が交差しない上限または閾値を指し、これを超えるとエラー状態が生じる。電圧制御式の実装では、制御回路は、療法信号の電圧を監視することができ、閾値または上限が満たされたとき、制御回路は、電圧をその閾値で維持することができる。いくつかの電圧制御式の実装では、電圧は上限で制限することができる。他の電圧制御式の実装では、電圧は、時間で変化することができる。
【0063】
図示の例では、第2の乾燥区間は、単調に増大する電力スケジュールである第2の乾燥スケジュールまたは計画を使用する。いくつかの例では、たとえば、第2の乾燥スケジュールまたは計画は、線形に増大する電力スケジュールである。次いで、ステップ132で、制御回路48は、提供された電力と第2の所定の最大電力とを比較する。ステップ132で、提供された電力が第2の所定の最大電力より大きい場合、この方法はステップ134へ進み、制御回路48は、電気エネルギー源44に、第2の所定の最大電力、たとえば電力上限に等しい電力を提供させ、次いで方法100はステップ136へ進む。しかし、ステップ132で、提供された電力が第2の所定の最大電力より小さい場合、この方法はステップ136へ進み、制御回路48は、測定回路46に、係合された生物組織によって伝導される電流を測定させる。
【0064】
ステップ138で、制御回路48は、測定された電流と以前に測定された最大電流とを比較する。ステップ138で、測定された電流が最大電流より大きい場合、この方法はステップ140へ進み、測定された電流は、新しい最大値として記録され、次いでこの方法はステップ130へ戻り、第2の乾燥段階を継続する。しかし、ステップ138で、測定された電流が最大電流より小さい場合、この方法はステップ142へ進み、制御回路48は、測定された電流と最大電流の所定の割合とを比較する。ステップ142で、測定された電流が最大電流の所定の比または割合より大きい場合、この方法はステップ130へ戻り、乾燥段階の第2の乾燥区間を継続する。言い換えれば、制御回路48は、測定された第1の電流と測定された第2の電流との比が、係合された生物組織内の液体の相変化を示す所定の係数を超過したことに応答して、乾燥信号またはパルスを低減させることができる。他の例では、所定の電流閾値を差とすることができる。しかし、ステップ142で、測定された電流が最大電流の所定の割合より小さい場合、この方法は、乾燥段階の第2の区間を出て、ステップ104へ戻り、呼掛け段階を繰り返すことができ、その後、乾燥段階を繰り返すことができ、または封止段階が始まることができる。言い換えれば、システムは、療法段階中に電流を監視して、その療法段階がいつ終了するべきかを判定することができる。
【0065】
ステップ146で、封止または凝固段階が始まり、制御回路48は、電気エネルギー源44に、
図4の下のグラフで時間t
7およびt
8間に示すように、封止段階中に、係合された生物組織へ封止パルス、たとえば第2のパルスなどの封止信号を提供させる。封止パルスなどの提供された封止信号の電力(W)は、封止スケジュールまたは計画に従って制御される。いくつかの例では、封止スケジュールまたは計画は、単調に増大する電力スケジュールである。次いで、ステップ148で、制御回路48は、提供された電力と第3の所定の最大電力とを比較する。これは所定の電力曲線の一例であり、偶然に一定の電力ドメインを有することに留意されたい。ステップ148で、提供された電力が第3の所定の最大電力より大きい場合、この方法はステップ150へ進み、制御回路48は、電気エネルギー源44に、第3の所定の最大電力に等しい電力を提供させ、次いで方法100はステップ152へ進み、組織の抵抗など、係合された生物組織の第2のパラメータを、たとえば断続的に測定する。しかし、ステップ148で、提供された電力が第3の所定の最大電力より小さい場合、この方法はステップ152へ進み、制御回路48は、測定回路46に、係合された生物組織の電気抵抗を測定させる。
【0066】
ステップ154で、制御回路48は、測定された電気抵抗と、計算された終了抵抗値などの第2の閾値とを比較する。いくつかの例では、計算された終了抵抗値の抵抗は、ステップ106で測定された基準抵抗、たとえば第1の抵抗に基づいて計算される。たとえば、終了抵抗値は、所定の係数に測定された基準抵抗を掛けた値とすることができる。いくつかの例では、終了抵抗値は、所定の抵抗デルタと、測定された基準抵抗、またはその段階もしくは以前の段階中に測定された抵抗の最小値のいずれかとの和とすることができる。いくつかの例では、標的抵抗は、所定のデルタ抵抗であり、所定のデルタ抵抗は、療法信号のパルス中の最小の抵抗測定値に対する抵抗の変化である。
【0067】
ステップ154で、測定された電気抵抗が計算された終了抵抗より小さい場合、この方法はステップ146へ戻り、封止段階を継続する。しかし、ステップ154で、測定された電気抵抗が計算された終了抵抗より大きい場合、封止段階が終了され、この方法は終了する。言い換えれば、たとえば断続的に測定されたインピーダンスが、たとえば所定のデルタインピーダンス値だけ変化するなど、第2の閾値を満たすことに応答して、この方法は、封止段階などのこの療法段階中にエネルギー送達を低減または終了させることなどによって、第2のパルスのエネルギー送達を修正することができる。
【0068】
いくつかの非限定的な例では、
図3Aおよび
図3Bに示す方法は、制御回路が、乾燥段階などの第1の療法段階で電流などの第1の電気パラメータを監視し、第1の電気パラメータに基づいて第1のパルスを低減または終了させ、封止段階などの第2の療法段階でインピーダンスなどの第2の電気パラメータを監視し、第2の電気パラメータに基づいて第2のパルスを低減または終了させることができように、システムによって実施することができる。
【0069】
図4は、封止されている生物組織へ提供される電力を制御するために使用される電気療法スケジュールまたは計画の非限定的な例を示すグラフである。
図4で、グラフ200は、水平軸202、垂直軸204A~204C、および関数関係206A~206Cを有する。水平軸202は、時間(秒)を示す。水平軸は、時間t
0~t
8を有し、これは、電気外科機器によって係合された生物組織を治療するための電気療法信号を生成する方法100に関する議論で開示される呼掛け段階、乾燥段階、および封止段階間の遷移時間を意味する。これらの段階(呼掛け段階、第1の乾燥段階、および封止段階)もまた、グラフ200の様々な場所に示されている。
図4のグラフは、説明の目的のみを意味することに留意されたい。
図4のグラフは応答の一例を示し、異なる組織は異なる形で反応する可能性がある。
【0070】
垂直軸204Aは、電気外科機器によって係合された生物組織へ提供される電力(W)を示す。関数関係206Aは、
図3A~
図3Bに示す方法100の非限定的な例に基づいて生成される電気療法信号に対応する電力/時間関係の非限定的な例を示す。垂直軸204Bは、係合された生物組織によって伝導される電流を示す。関数関係206Bは、方法100を介して生成された電気療法信号が提供される係合された生物組織によって伝導される電流に関する電流/時間関係を示す。垂直軸204Cは、係合された生物組織の電気抵抗を示す。関数関係206Cは、方法100を介して生成された電気療法信号が提供される係合された生物組織の電気抵抗に対応する電気抵抗/時間関係を示す。
【0071】
いくつかの例では、関数関係206Aは、呼掛け段階、乾燥段階、および封止段階を含む事前定義された電力曲線とすることができる。
図4に示す特有の非限定的な例では、乾燥段階は、第1および第2の乾燥区間を示す。時間t
0~t
1で、電力/時間関係206Aは呼掛け段階を示す。いくつかの例では、呼掛け段階の持続時間は、係合された生物組織の基準測定値を得るために必要とされる長さである。たとえば、呼掛け段階の持続時間は、1.0、0.5、0.25、または0.1秒より小さくすることができる。グラフ200に示すように、呼掛け段階は、電力P1(W)を有する一定電力スケジュールまたは計画である。時間t
0~t
1で、電流/時間関係206Bは、係合された生物組織によって伝導される呼掛けの電流が急速に上昇し、それに続いて電流が横ばい状態になり、次いで電流がわずかに減少することを示す。電力はこの呼掛け段階全体にわたって一定になるように制御されるため、係合された生物組織に印加される電圧は、電流/時間関係に反比例する(加法の意味ではなく乗法の意味)。組織内の流体の温度が上昇すると、係合された生物組織の抵抗は最初に減少することがある。このとき呼掛け段階は初めて実行されるため、測定された電気抵抗は、以前に測定された最小の抵抗以上であり、したがってこの方法は第1の乾燥段階へ進む。
【0072】
時間t1~t2で、電力/時間関係206Aは、乾燥段階の第1の区間を示す。グラフ200に示すように、乾燥段階の第1の乾燥区間は、電力P1からP2(W)へ単調に増大する電力スケジュールまたは計画である。時間t1~t2で、電流/時間関係206Bは、乾燥段階の第1の区間全体にわたって、係合された生物組織によって伝導される電流が増大することを示す。電力は、乾燥スケジュールまたは計画に従って、乾燥段階のこの第1の区間全体にわたって制御されるため、係合された生物組織に印加される電圧と電流/時間関係との積は、電力/時間関係206Aをもたらすはずである。図示しないが、いくつかの例では、電気抵抗/時間関係206Cは、係合された生物組織の電気抵抗は、組織が温まるにつれて、最初に減少する可能性があるが、次いで乾燥段階の第1の区間中に組織が乾燥し始めると、増大することができることを示すことができる。そのように増大する電気抵抗は、係合された生物組織の乾燥を示すことができる。電力/時間関係206Aが所定の閾値まで上昇する前に、電流が以前に測定された最大電流の割合を下回るため、この方法は乾燥段階の第2の区間へ進む。乾燥段階のこの第1の区間中に電流が以前に測定された最大電流の割合を下回った場合、乾燥段階の次の第2の区間は必要ないはずである(たとえば、迂回することができる)。
【0073】
時間t
2~t
3で、電力/時間関係206Aは、乾燥段階の第2の区間を示す。グラフ200に示すように、乾燥段階の第2の区間は、電力P2からP3(W)へ単調に増大する電力スケジュールまたは計画である。
図3Aおよび
図3Bに関して上述した技法を使用して、
図2の制御回路48などの制御回路は、生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数としてのエネルギー送達の増分変化に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができる。たとえば、制御回路は、電流の関数として電力を増分的に修正することができる。いくつかの例では、電流の関数は、測定された電流の瞬時変化の関数である。いくつかの例では、測定された電流の瞬時変化の関数は、線形関数である。他の例では、制御回路は、抵抗の関数として電力を増分的に修正することができる。
【0074】
時間t2~t3で、電流/時間関係206Bは、係合された生物組織によって伝導される電流が、乾燥段階の第2の区間の始めに増大するが、ピークに達し、次いで第2の乾燥段階の終わりには減少することを示す。乾燥段階の第2の区間は必要とされないことに留意されたい。いくつかの例では、電力は、乾燥段階のこの第2の区間全体にわたって、係合された生物組織に印加される電圧と電流/時間関係との積が特定の電力/時間関係206Aをもたらすことができるように制御することができる。
【0075】
いくつかの例では、乾燥段階の第2の区間は単調に増大するが、乾燥段階の第1の区間より遅い速度で増大する。他の例では、乾燥段階の第2の区間は、提供された電力が所定の最大レベルに等しくなるまで線形に増大し、その後、提供された電力は一定に保持される。電流の減少ΔI1、たとえば測定された電流の変化(
図3Aのブロック126など)の結果、測定された最大電流の所定の割合より小さい電流が生じるため、この方法は呼掛け段階へ戻り、これは時間t
3に示されている。言い換えれば、電流の変化ΔI1により、この方法は時間t
3で呼掛け段階に入る。
図4に示す非限定的な例では、方法を呼掛け段階に入れる電流の変化ΔI1は、時間t
2の後であることに留意されたい。しかし、他の例では、方法を呼掛け段階に入れる電流の変化ΔI1は、時間t
1後、乾燥段階の第1の区間中とすることができ、乾燥段階の第2の区間は必要とされない。しかし、代わりに電流の減少ΔI1が、測定された最大電流の所定の割合より小さい場合、この方法は乾燥段階に残るはずである。
【0076】
図4に見られるように、いくつかの例では、事前定義された電力曲線206Aは、t
1~t
2およびt
2~t
3に示すように、2つ以上の線形部分を含むことができる。
【0077】
時間t3~t4で、電力/時間関係206Aは、再び呼掛け段階を示す。グラフ200に示すように、呼掛け段階は、電力P1(W)の一定電力スケジュールである。電力はこの呼掛け段階全体にわたって一定になるように制御されるため、係合された生物組織に印加される電圧は、電流/時間関係に反比例する(加法の意味ではなく乗法の意味)。電気抵抗/時間関係206Cは、呼掛け段階のこの実行全体にわたって、係合された生物組織の電気抵抗が減少していることを示す。電気抵抗が減少する結果、組織内の流体の凝縮または組織への流体の移動が生じる可能性がある。測定された電気抵抗は、基準抵抗と所定のデルタ抵抗との和以下であるため、この方法は再び第1の乾燥段階へ進む。
【0078】
時間t4~t5で、電力/時間関係206Aは、乾燥段階の別の第1の区間を示す。時間t4~t5の電力/時間関係は、時間t1~t2の電力/時間関係206Aに類似しており、簡潔にする目的で、再び詳細には説明しない。
【0079】
時間t
5~t
6で、電力/時間関係206Aは、乾燥段階の別の第2の区間を示す。時間t
5~t
6の電力/時間関係は、時間t
2~t
3の電力/時間関係206Aに類似しており、簡潔にする目的で、再び詳細には説明しない。電力は乾燥段階のこの第2の区間全体にわたって一定になるように制御されるため、係合された生物組織に印加される電圧と電流/時間関係との積は、電力/時間関係206Aをもたらすはずである。電流の減少ΔI2、たとえば測定された電流の変化(
図3Bのブロック142など)が、測定された最大電流の所定の割合より小さい場合、この方法は呼掛け段階へ戻る。
【0080】
時間t6~t7で、電力/時間関係206Aは、別の呼掛け段階を示す。時間t6~t7の電力/時間関係は、時間t3~t4の電力/時間関係206Aに類似しており、簡潔にする目的で、再び詳細には説明しない。ここで、測定された電気抵抗は基準抵抗と所定のデルタ抵抗との和より大きいため、この方法は封止段階へ進む。
【0081】
時間t7~t8で、電力/時間関係206Aは、封止段階を示す。グラフ200に示すように、封止段階は、電力P1から電力P3(W)へ単調に増大する電力スケジュールまたは計画である。時間t7~t8で、電流/時間関係206Bは、封止段階全体にわたって、係合された生物組織によって伝導される電流が増大することを示す。電気抵抗/時間関係206Cは、係合された生物組織の電気抵抗が、封止段階のこの性能を増大させていることを示す。電気抵抗が増大する結果、係合された生物組織の乾燥をもたらし、それによって封止をもたらすことができる。ここで、測定された電気抵抗は所定の終了抵抗より大きいため、封止段階が終了され、この方法は終了する。
【0082】
電気療法信号の予測段階制御(
図5~
図6)
電気外科処置は、1つ以上の電気療法段階を有することができる。たとえば、電気外科的組織封止技法は、呼掛け段階、乾燥段階、および/または封止段階を有することができる。これらの各電気療法段階中に、たとえば呼掛け信号、加熱信号、乾燥信号、焼灼信号などの対応する電気療法信号を、電気外科機器によって係合された生物組織へ提供することができる。係合された生物組織へ提供された電気療法信号は、実行されている技法および/または特有の組織に合わせて調整することができる。したがって、各電気外科信号は、異なる処置、異なる組織タイプおよび数量、ならびに異なる電気療法段階に対して異なることができる。異なる電気療法信号のこれらの違いは、異なる電気療法スケジュールおよび/または異なる段階制御基準を使用して得ることができる。異なる電気療法スケジュール間の違いは、制御される電気パラメータの違い、および/または段階制御基準の違いに由来することができる。上述したように、制御される電気パラメータの違いは、電気療法信号の皮相電力(VA)、有効電力(W)、電圧(V)、および/または電流(A)を含む。段階制御基準は、段階の開始および終了のための基準、ならびに段階内制御のための基準を含む。そのような段階制御基準は、同時段階制御基準および予測段階制御基準を含む。
【0083】
同時段階制御は、実時間測定を使用して段階を制御することによって実行される。予測段階制御は、基準時間に得られた基準測定値を使用して将来の段階制御基準を生成することによって実行される。たとえば、乾燥段階前または乾燥段階中に得られた組織抵抗測定値を使用して、乾燥段階を継続するための持続時間を生成することができる。いくつかの例では、組織抵抗測定値は、複数の所定の電気療法スケジュールのうちの1つを選択するために使用することができる。複数の所定の電気療法スケジュールのうち、選択された電気療法スケジュールは、次の電気療法段階で使用することができる。
【0084】
組織抵抗の基準測定値は、たとえば血管サイズを示すことができる。異なる電気療法スケジュールもしくは計画、および/または異なる段階制御基準を使用して、異なるサイズの血管を加熱することができる。血管サイズに合わせてカスタマイズされた適当な電気療法スケジュールまたは計画は、封止をより確実にし、近隣組織への外傷をより少なくすることができる。係合された血管の適切な封止を確実にするために、封止すべき血管のサイズに従って、電気療法スケジュールを調整することができる。血管サイズは、係合された血管の測定された基準抵抗に基づいて推定することができる。次いで、血管封止は、係合された血管の測定された基準抵抗に基づいて決定された電気療法スケジュールに従って進行することができる。
【0085】
とりわけ、検出された組織のサイズに基づいてエネルギーを予測および送達する技法について、
図6に関して後述する。
図2の電気外科ジェネレータ12などの電気外科ジェネレータが、電気外科デバイスを介してエネルギーの初期印加を生物組織へ送達した後、
図2の制御回路48などの制御回路、および
図2の測定回路46などの測定回路が、ある時点の組織インピーダンスを測定または計算することができる。次いで、制御回路は、電気外科デバイスの顎部間などで電気外科デバイスに接触している組織のタイプ、たとえば小さい血管かまたは大きい血管かを判定し、次いで検出された組織のタイプに合わせてエネルギーを送達することができる。
【0086】
図6は、電気外科機器によって係合された生物血管のサイズに対応する電力スケジュールを使用する生物学的血管封止方法の流れ図である。
図6の方法は、3つの療法段階を使用しており、段階1は呼掛け段階、段階2は脱水または乾燥段階、段階3は血管接合段階である。段階1で、
図1の電気外科システム10などの電気外科システムは、エラー検査を実行し、呼掛けスケジュールなどに従って呼掛け信号を生成して、係合された組織へ呼掛け信号を送達することができる。
図6には電圧制御として説明するが、制御回路は、電力制御式の技法または電圧制御式の技法を使用してエネルギーを送達することができる。電圧制御式の技法では、電流の上限を定めることができるが、電流は、応答インピーダンスに従って自由に動くことが可能であり、それにより可変電力送達を可能にすることができる。
【0087】
本開示の技法を使用することで、この方法は、制御回路が段階を終了させるためにどの基準を使用するかを判定することなく、段階2などの段階を始めることができる。たとえば、以下でより詳細に説明するように、この方法は段階2を開始し、制御回路および測定回路は、組織のインピーダンス測定値を判定することができる。これに応答して、制御回路は、段階2を時間測定値に基づいて終了させるか、または反復インピーダンス測定値に基づいて終了させるかを判定することができる。このようにして、制御回路は、段階2をどのように終了させるかに関して2つの別個の基準を有するが、2つの基準のうちのどちらを使用するかを事前に選択することなく、段階2に入る。
【0088】
ブロック1900で、段階1が開始し、ブロック1901で、制御回路および測定回路は、時間T0で初期インピーダンス値R0を測定および/または計算することができる。ブロック1902で、制御回路は、段階2に対する電圧の傾斜率または勾配を設定することができる。電圧設定は、一定の電圧、増大する電圧、または減少する電圧とすることができる。電力制御式の実装の場合も、制御回路は、段階2に対して電力の傾斜率または勾配を設定することができる。電力は、一定の電力、増大する電力、または減少する電力とすることができる。段階1の出力は、初期インピーダンス値R0である。
【0089】
ブロック1904で、段階2が始まる。ブロック1906で、設定された期間後、制御回路および測定回路は、基準インピーダンスR1を測定または計算することができる。組織のインピーダンスは、初期インピーダンスR0からインピーダンスR1へ変化している可能性がある。インピーダンスR1を測定して、段階2が開ループ段階である(タイマが切れることなどによって、時間基準に基づいて終了した)か、または閉ループ段階である(たとえばインピーダンス基準に基づいて終了した)かを判定する。より乾燥した組織の場合、段階2を開ループとして実行することが望ましく、より湿った組織の場合、段階2を閉ループとして実行することが望ましい。
【0090】
ブロック1908で、制御回路は、インピーダンスR1が閾値インピーダンス値Ra以上であるかどうかを判定することができる。いくつかの例では、インピーダンスRaは、絶対インピーダンスとすることができる。他の例では、インピーダンスRaは、測定された初期インピーダンスR0からの所定の上昇など、デルタ値とすることができる。いくつかの例では、インピーダンスRaは、約90オームとすることができる。
【0091】
いくつかの例では、測定されたインピーダンスR1と閾値インピーダンスRaとを比較することに加えて、またはその代わりに、制御回路は、何らかの他の測定されたパラメータと閾値パラメータとを比較することができる。たとえば、制御回路は、測定された位相角と閾値位相角とを比較することができる。使用することができる他のパラメータの例には、それだけに限定されるものではないが、ある期間にわたって送達されるエネルギー、電流の引込み、組織温度などが含まれる。
【0092】
制御回路が、インピーダンスR1がインピーダンスRa以上であると判定した場合(ブロック1908の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1910で段階2を開ループとして実行することができ、時間T2でタイマが切れるまで、電力の送達を継続することができる。ブロック1912で、段階2は、時間間隔などによって、時間基準に基づいて終了する。
【0093】
しかし、制御回路が、インピーダンスR1がインピーダンスRa以下であると判定した場合(ブロック1908の「いいえ」の分岐)、制御回路は、段階2を、ブロック1914で開始する閉ループとして実行することができる。ブロック1916で、制御回路は、設定された時間間隔で、インピーダンスR2Nを測定することができる。ブロック1918で、制御回路は、現在のインピーダンス測定値R2Nがインピーダンス閾値R2X以上であるかどうかを判定することができる。
【0094】
制御回路が、インピーダンスR2NがインピーダンスR2X以下であると判定した場合(ブロック1918の「いいえ」の分岐)、この方法は、電力の印加を継続することができ、ブロック1914へ戻ることができる。この方法は、ブロック1916で、ある時間間隔でインピーダンス測定を繰り返すことができ、ブロック1918で、新しいインピーダンス測定値が閾値以上であるかどうかを判定することができる。このようにして、この方法は、電力の印加を継続することができ、インピーダンス測定値と閾値インピーダンス値とを反復的に比較することができる。
【0095】
制御回路が、インピーダンスR2N(または必要な場合、後のインピーダンス測定値のいずれか)がインピーダンスR2X以上であると判定した場合(ブロック1918の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1920で、インピーダンス基準(開ループプロセスに関して上述した時間基準とは対照的)に基づいて、段階2を終了させることができる。
【0096】
制御回路が段階2を終了させた後、段階2が時間に基づいて終了したか、またはインピーダンス測定値に基づいて終了したかにかかわらず、制御回路は、ブロック1922で、インピーダンス測定値R3を計算および記憶することができる。次に、ブロック1924で、制御回路は、現在のインピーダンス測定値R3がインピーダンス閾値RX以下であるかどうかを判定することができる。
【0097】
制御回路が、インピーダンスR3がインピーダンスRX以上であると判定した場合(ブロック1924の「はい」の分岐)、組織は小さい血管であり、この方法は、ブロック1926で、段階3を開始することができる。ブロック1928で、制御回路は、段階3を開ループとして実行することができ、時間T3でタイマが切れるまで、電力の送達を継続することができる。ブロック1930で、段階3は、時間間隔に基づいて終了する。
【0098】
しかし、制御回路が、インピーダンスR3がインピーダンスRX以下であると判定した場合(ブロック1924の「いいえ」の分岐)、組織は大きい血管であり、この方法は、ブロック1932で段階3を開始することができ、制御回路は、段階3を閉ループとして実行することができる。ブロック1934で、制御回路は、設定された時間間隔で、インピーダンスR3Nを測定することができる。ブロック1936で、制御回路は、現在のインピーダンス測定値R3Nがインピーダンス閾値R3X以上であるかどうかを判定することができる。
【0099】
制御回路が、インピーダンスR3NがインピーダンスR3X以下であると判定した場合(ブロック1936の「いいえ」の分岐)、ブロック1938で、制御回路は、最大時間限界に到達したかどうかを判定することができる。制御回路が、最大時間限界に到達したと判定した場合(ブロック1938の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1940で、段階3を終了させることができる。いくつかの例では、時間限界は、段階1の開始からの経過時間とすることができる。
【0100】
しかし、制御回路が、最大時間限界に到達していないと判定した場合(ブロック1938の「いいえ」の分岐)、制御回路は、電力の印加を継続することができ、ブロック1934へ戻ることができる。この方法は、ブロック1934で、ある時間間隔でインピーダンス測定を繰り返すことができ、ブロック1936で、新しいインピーダンス測定値が閾値インピーダンス値R3X以上であるかどうかを判定することができる。このようにして、この方法は、電力の印加を継続することができ、インピーダンス測定値と閾値インピーダンス値R3Xとを反復的に比較することができる。
【0101】
制御回路が、インピーダンスR3NがインピーダンスR3Xより大きいと判定した場合(ブロック1936の「はい」の分岐)、ブロック1942で、制御回路は、インピーダンス測定値(段階の開ループプロセスに関して上述した時間基準とは対照的)に基づいて、段階3を終了させることができる。
【0102】
係合された生物組織の測定された電気抵抗の補正(
図7A~
図7Bおよび
図9)
上述した様々な電気測定値は、電気療法スケジュールの判定および/または段階制御基準の判定で使用することができる。したがって、正確な測定値は、その療法目的でうまくいく電気療法信号の生成を容易にする。電気外科機器および電気外科機器によって係合された生物組織の温度は、係合された生物組織の電気測定値に影響を与える。そのような温度/測定値の関係は、電気療法スケジュールおよび/または段階制御基準を判定するとき、そのような電気測定値の使用に不特定性および/または複雑さをもたらす可能性がある。たとえば、係合された組織および/または電気外科機器が異なる温度であるときに得られる係合された組織の2つの電気測定値の比較は、複雑になる可能性がある。
【0103】
いくつかの例は、電気外科機器および/または生物組織の温度を相殺するように、係合された組織の電気測定値を補正する。たとえば、生物組織の測定された電気抵抗は、電気外科機器の実際の温度測定値に基づいて補正することができる。いくつかの例では、電気外科機器は、生物組織に係合する遠位端と熱的に連通する温度センサを装備する。他の例では、生物組織の測定された電気抵抗はまた、様々な間接的測定に基づく組織および/または電気外科機器の予測温度に基づいて補正することもできる。たとえば、電力が生物組織へ送達された基準時間と測定時間との間の時間間隔に基づいて、測定された組織抵抗を補正することができる。いくつかの例では、測定された組織抵抗は、電気測定前に係合された組織へ提供されたエネルギーの計算に基づいて補正することができる。
【0104】
図7Aは、測定された組織抵抗を鉗子の顎部温度の関数として示すグラフである。
図7Aで、グラフ400は、水平軸402、垂直軸404、および電気抵抗/温度関係406を含む。水平軸402は、鉗子の顎部温度を示す。垂直軸404は、
図1に示す鉗子14などの鉗子の対置可能な顎部材間に締め付けられた組織の測定された電気抵抗を示す。電気抵抗/温度関係406は、様々な温度まで加熱された対置可能な顎部材によって締め付けられた特有の生物組織の測定値を示す。電気抵抗/温度関係406は、単調に減少する関数を示し、顎部温度が上昇するにつれて、測定された電気抵抗は減少する。測定された電気抵抗のそのような変動は、組織温度に対する電気抵抗依存性、組織-液体段階、顎部-組織インターフェース、顎部温度などを含む多くの要因に由来することができる。
【0105】
測定された組織抵抗のそのような変動は、そのような測定された電気抵抗を使用して電気療法スケジュールおよび/または段階制御基準を判定するとき、不特定性および/または複雑さをもたらす可能性がある。電気抵抗依存性のいくつかは、生物組織に対する療法効果を示さないため、望ましくない。したがって、これらの望ましくない依存性の補償は、そのような電気抵抗測定値の品質を改善することができる。生物組織の電気測定値を補償する様々な方法を実行して、電気療法治療の療法作用をより良好に示す測定を提供することができる。
【0106】
図7Bは、顎部温度と電力印加の終了後の時間との関係を示すグラフである。
図7Bで、グラフ410は、水平軸412、垂直軸414、および温度-時間関係416を含む。水平軸412は、電気療法信号の印加が生物組織へ提供された後の時間を示す。この治療後の時間中、電力は生物組織へ送達されない。垂直軸414は、電気療法信号を組織へ提供するために使用される鉗子の対置可能な顎部材の測定された温度を示す。温度-時間関係416は、様々な治療後時間における顎部温度の測定値を示す。温度-時間関係416は、漸近的に室温に接近する時間の単調に減少する関数である。そのような温度-時間関係は、減衰速度を示す時定数を特徴とすることができる。
【0107】
グラフ400および410に示す関係は、電力印加および電力印加後の持続時間の関数として顎部温度をモデル化するときに使用することができる。たとえば、電気外科機器によって係合された生物組織によって放散される電力を使用して、その生物組織の温度、ならびに電気外科機器の係合部分(たとえば、
図1に示す対置可能な顎部材36および38)の温度を予測することができる。そのような顎部温度-電力印加関係は、理論的(たとえば、対置可能な顎部材の係合範囲内の組織体積を使用)ならびに実験的(たとえば、機器を特徴付けることによる)に判定することができる。いくつかの例では、たとえば顎部材の係合範囲内の組織体積を判定するときに、係合された顎部材の位置を使用することができる。いくつかの例では、理論的および実験的な特徴付けの組合せを使用して、顎部温度と電力印加との間の関係をモデル化することができる。顎部温度-治療後時間も同様に、実験的および/または理論的に特徴付けることができる。
【0108】
さらに、生物組織に対する療法作用を示さないことから望ましくない電気抵抗依存性も、実験的および/または理論的に特徴付けることができる。次いで、これらの様々な特徴付けまたはモデルを組み合わせて、測定された抵抗値に基づいて、補償された抵抗値を判定することができる。たとえば、生物組織への電気療法信号の印加中に得られた組織抵抗の測定は、電気療法スケジュールに基づいて計算された顎部温度を補償のために使用することができる。生物組織への電気療法信号の印加後、治療後持続時間を使用して、組織抵抗の測定値を補償することができる。
【0109】
図8は、電気抵抗補償と電力印加後の時間との関係を示すグラフである。
図8で、グラフ420は、水平軸422、垂直軸424、およびデルタ抵抗/時間関係426を含む。水平軸422は、電気療法信号の印加が生物組織へ提供された後の時間を示す。この治療後時間中、電力は生物組織へ送達されない。垂直軸424は、測定された組織抵抗を補償するために必要とされるデルタ抵抗を示す。いくつかの例では、加算デルタ抵抗補正を使用する代わりに、乗法因子を使用することができる。デルタ抵抗/時間関係426は、様々な治療後時間に顎部温度を補償するために必要とされるデルタ抵抗補正係数を示す。デルタ抵抗/時間関係426は、漸近的にゼロに接近する時間の単調に減少する関数である。
【0110】
一例では、電気外科機器が所定の閾値より低温であるときではなく、電気外科機器が所定の閾値より高温であるとき、測定された組織抵抗を補償することができる。
図8は、これら2つの補償方式(たとえば、高温および低温機器方式)を区切る動作区間428および430を示す。動作区間428は、生物組織への電気療法信号の印加直後の時間から、生物組織への電気療法信号の印加後の所定の時間まで及ぶ。この高温機器方式中、測定された組織抵抗値に所定のデルタ抵抗値を加算することによって、組織抵抗の測定値が補償される。
図8に示す例では、高温機器方式から低温機器方式への遷移を区切る時間は、治療後約30秒である。低温機器方式では、組織抵抗の測定値の補償は実行されない。
【0111】
初期インピーダンスの修正(
図9)
図2の電気外科ジェネレータ12の制御回路48などの電気外科ジェネレータの制御回路は、予測アルゴリズムを使用して、電気療法信号を生成し、
図1の鉗子14の顎部間などで電気外科デバイスに係合された生物組織へ送達することができる。予測アルゴリズムは、複数の段階を含むことができる。たとえば、段階1は、低電力エネルギーを使用して、血管インピーダンスおよび様々なエネルギー送達パラメータに最初にアクセスすることができる。段階1で判定された初期インピーダンスに基づいて、システムは、封止すべき血管のサイズを判定し、段階2で血管組織を乾燥させるためのパラメータを設定し、段階3で血管を封止するための適切なエネルギーレベルおよび持続時間を提供することができる。
【0112】
しかし、血管サイズを正確に予測することは困難な可能性がある。たとえば、血管サイズを判定するために使用することができる初期血管インピーダンスは、電気外科デバイスの顎部温度による影響を受ける可能性がある。顎部は、ユーザが第1の血管を封止した直後に第2の血管を封止しようとした場合、高い温度を有する可能性がある。高い温度は、初期血管インピーダンス測定値に影響を与える可能性がある。
【0113】
本発明者らは、初期インピーダンス測定値の温度作用を低減させて血管サイズ予測を改善する必要を認識した。以下でより詳細に説明するように、本発明者らは、いくつかの例では、顎部に結合された温度センサを使用して、顎部の温度を判定することができ、次いで顎部温度に基づく補正係数を使用して、測定されたインピーダンスを修正することができることを認識した。他の例では、本発明者らは、以前の起動からの経過時間または以前の起動の電気特性のうちの一方または両方に基づく補正係数を使用して、測定されたインピーダンスを修正することができることを認識した。修正されたインピーダンス値を使用して、電気外科システムは、血管のサイズをより正確に予測することができ、これを使用して、電気外科ジェネレータに対する設定を判定することができる。
【0114】
図9は、電力印加後に組織インピーダンスの測定値を補償することができる生物学的血管封止方法の流れ図である。ブロック2000で、制御回路48および測定回路46(どちらも
図2)などの制御回路および測定回路が、段階1で、
図1の鉗子14などの電気外科デバイスに係合された生物組織の初期インピーダンスR0を測定することができる。ブロック2002で、制御回路および測定回路は、段階1で、電気外科デバイスの顎部の温度を、顎部に結合された温度センサを使用して測定することができる。
【0115】
ブロック2004で、測定されたインピーダンスおよび測定された顎部温度を使用して、制御回路は、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータログまたはセットに照会し、顎部の温度を相殺するための初期インピーダンスR0の修正である調整または補正されたインピーダンスを判定または選択することができる。
【0116】
ブロック2006で、制御回路は、判定された調整済みインピーダンスを使用して、血管サイズを判定することができる。たとえば、アルゴリズムまたは別の記憶されているデータセットを使用して、制御回路は、調整済みインピーダンスを使用して、血管サイズを判定することができる。
【0117】
次いで、ブロック2008で、制御回路は、判定された血管サイズを使用して、電気外科ジェネレータが生成して血管の生物組織へ送達する電気外科信号を定義する様々な電気パラメータを判定することができる。いくつかの例では、血管サイズは、小さい血管または大きい血管になるように判定することができ、それら2つの血管サイズに対応する2つの電気外科信号設定が存在することができる。他の例では、一連の血管サイズおよびそれらの血管サイズに対応する電気外科設定が存在することができる。
【0118】
ブロック2010で、制御回路は、判定された信号設定を使用して、封止を実行するように、血管への電気外科信号の送達を制御することができ、この方法は、ブロック2012で終了することができる。
【0119】
ブロック2014に示すように、顎部温度を使用する代わりに、いくつかの例は、最終起動からの経過時間を記憶することができる。経過時間が長ければ長いほど、顎部がさらに冷めている。このようにして、最終起動からの経過時間は、顎部温度の代わりに使用することができる。
【0120】
ブロック2004で、制御回路は、測定された初期インピーダンスR0および最終起動からの経過時間を使用して、調整済みインピーダンスを判定することができる。いくつかの例では、制御回路は、経過時間と時間T、たとえば20秒とを比較することができ、経過時間がT以上である場合、制御回路は、初期インピーダンスを調整済みインピーダンスとして使用することができる。しかし、経過時間がT以下である場合、制御回路は、初期インピーダンスR0に補償値を加算して、調整済みインピーダンスを判定することができる。一例として、補償値は、約80~90オームとすることができる。補償値および時間Tは、顎部の設計に依存しうることに留意されたい。
【0121】
いくつかの例では、補償値を加算して調整済みインピーダンスを判定するのではなく、制御回路は、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータログまたはセットに照会し、以前の起動からの経過時間を相殺するための初期インピーダンスR0の修正である調整済みインピーダンスを判定または選択することができる。
【0122】
制御回路が調整済みインピーダンスを判定した後、この方法は、上述したように、ブロック2006以降へ進み、血管サイズ、信号設定を判定し、血管封止を実行することができる。
【0123】
ブロック2014で、いくつかの例では、最終起動からの経過時間に加えて、以前の起動からの1つ以上の電気特性を使用することができる。たとえば、制御回路は、以前の起動からのエネルギーまたは電流の量を使用して、以前の起動が顎部に対して大量の熱を生成したかどうかを判定することができる。起動が偶発的であった場合、または迅速に終了した場合、エネルギーまたは電流はほとんど組織へ送達されていないはずであり、顎部はそれほど加熱されていないはずである。
【0124】
いくつかの例では、制御回路は、以前の起動の電力曲線を積分することによって、以前の起動からのエネルギーの量を判定することができる。他の例では、制御回路は、記憶されているデータセットから印加時間および平均送達電力を取り出し、この時間と平均送達電力とを掛けることによって、以前の起動からのエネルギーの量を判定することができる。経過時間情報と以前の起動からのエネルギーまたは電流情報とを組み合わせることで、初期インピーダンスR0測定の精度を改善することができ、血管サイズを判定するシステムの能力を増大させることができる。経過時間、温度、ならびにエネルギーおよび電流などの電気特性は、より概略的に「封止パラメータ」と呼ぶことができる。
【0125】
経過時間および電気特性の両方を使用するいくつかの例では、制御回路は、エネルギーまたは電流などの電気特性が閾値を下回る場合、初期インピーダンスR0を調整済みインピーダンスとして使用することができる。電気特性が閾値を下回らない場合、この方法は、経過時間を使用して、調整済みインピーダンスを判定することができる。
【0126】
経過時間が閾値より大きい場合、これは顎部が十分に冷めたことを示すはずであり、制御回路は、初期インピーダンスR0を調整済みインピーダンスとして使用することができる。しかし、経過時間が閾値以下である場合、制御回路は、約80~90オームの補償値を初期インピーダンスR0に追加して、調整済みインピーダンスを判定することができる。
【0127】
いくつかの例では、補償値を加算して調整済みインピーダンスを判定するのではなく、制御回路は、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータログまたはセットに照会し、以前の起動からの経過時間および以前の起動からのエネルギーまたは電流などの電気特性を相殺するための初期インピーダンスR0の修正である調整済みインピーダンスを判定または選択することができる。
【0128】
制御回路が調整済みインピーダンスを判定した後、この方法は、上述したように、ブロック2006以降へ進み、血管サイズ、信号設定を判定し、血管封止を実行することができる。
【0129】
上述した例では、制御システムが経過時間(および、使用される場合、エネルギーまたは電流などの電気特性)を決定的に判定することができなかった場合、制御回路は、大きい血管に対応する調整済みインピーダンスを判定することができる。大きい血管の設定をデフォルトにすることで、血管封止の安全性を高めることができる。
【0130】
上述した技法を使用することによって、制御回路は、電気外科デバイスに係合された生物組織へ電気療法信号を送達し、係合された生物組織のインピーダンスを測定し、電気外科デバイスの封止パラメータを測定し、電気外科デバイスの封止パラメータと測定されたインピーダンスとの間の関係に基づいて、調整済みインピーダンスを判定することができる。
【0131】
電気療法信号の電力のパルス化による電気外科機器への生物組織の粘着の低減(
図10A~
図10Dおよび
図11)
図10A~
図10Dは、パルス化粘着低減部分を有する電気療法の電気療法信号の電気パラメータのグラフである。
図10Aで、グラフ500は、水平軸502、垂直軸504、および電圧/時間関係506を含む。水平軸502は、時間を示す。垂直軸504は、電気外科機器によって係合された組織へ提供された電気療法信号の電圧を示す。電圧/時間関係506は、水平軸502によって示す時間に得られた電圧差の測定値を示す。電圧差は、電気外科機器によって係合された組織に印加される。グラフ500に示すように、電圧/時間関係は、4つの段階508A~508Dを有する。第1の段階508Aは、呼掛け段階であり、中程度の電圧が係合された組織へ提供され、組織抵抗の初期測定値が得られる。
【0132】
呼掛け段階508Aの後に、乾燥段階である第2の段階508Bが続く。乾燥段階508B中、係合された組織に提供される電圧差は単調に増大する。図示の例では、係合された組織に提供される電圧差は線形に増大する。いくつかの例では、乾燥段階508Bは、最終勾配より大きい初期勾配を有する。いくつかの例では、乾燥段階中に係合された組織に印加される電圧差を制御する代わりに、別の電気パラメータが制御される。たとえば、いくつかの例では、係合された組織によって伝導される電流または係合された組織へ提供される電力(有効電力または皮相電力)が制御される。
【0133】
これらの制御されるパラメータの各々は、他の制御されるパラメータと比較して、様々な利点および欠点を提供する。たとえば、係合された組織の電圧差を制御するには、係合された組織に提供される電圧差のみの測定値が必要である。しかし、組織が加熱されると、組織抵抗は概して増大し、それによって組織を通って流れる電流は低減する。したがって、組織抵抗の増大に応答して、組織へ提供される電力が減少するにつれて、加熱速度が遅くなる。
【0134】
係合された組織によって伝導される電流を制御するには、係合された組織によって伝導される電流のみの測定値が必要であり、これは、たとえば小さい直列抵抗器を通る電圧を測定することによって、容易に実行することができる。上記で開示したように、概して組織を加熱することで、組織抵抗が増大し、それによって組織の電圧差が増大する。したがって、組織抵抗の増大に応答して、組織へ提供される電力が増大するにつれて、加熱速度が加速する。
【0135】
しかし、係合された組織へ提供される有効電力を制御するには、係合された組織の電圧差および係合された組織によって伝導される電流の両方の測定値が必要である。組織が加熱され、組織抵抗が変化すると、係合された組織に印加される電圧および係合された組織によって伝導される電流はどちらも、電気療法スケジュールに従って電力を維持するように調整される。加熱速度は、たとえば有効電力(W)または電流(I)などの係合された組織へ提供される電力に比例し、したがって制御される。
【0136】
乾燥段階508Bの後に、封止段階である第3の段階508Cが続く。封止段階508C中、係合された組織に提供される電圧差は一定である。いくつかの例では、封止段階508Cは一定でない。いくつかの例では、封止段階中に係合された組織に印加される電圧差を制御する代わりに、別の電気パラメータが制御される。
【0137】
封止段階508Cの後に、粘着低減段階である第4の段階508Dが続く。粘着低減段階中、電圧最大値と電圧最小値との間で電圧がパルス化される。そのようなパルス化は、係合された組織を交互に加熱し、組織の冷却を可能にする。粘着低減計画は、交互の電力最小値および最大値を有することができ、電力最小値の各々は、締め付けられた生物組織の温度が液相/気相変化閾値を下回ることを可能にし、締め付けられた生物組織内に液体が存在することを可能にするように構成された所定の閾値を下回る。いくつかの例では、粘着低減計画の電力最小値の各々は、第1の所定の持続時間にわたって維持される。いくつかの例では、第1の所定の持続時間は、5ミリ秒以上である。いくつかの例では、第1の所定の持続時間は、10ミリ秒以上である。いくつかの例では、第1の所定の持続時間は、50ミリ秒以上である。
【0138】
パルス波形の冷却部分中に、係合された組織から以前に追い出された液体が、係合された組織へ戻ることができる。図示の例では、パルス波形は周期的であり、各サイクルは、それに先行するサイクルと同一である。いくつかの例では、パルス波形は周期的でない。たとえば、各パルス最大値を、先行するパルス最大値より小さくすることができる。
【0139】
粘着低減段階508Dは、様々な方法で始動することができる。粘着低減段階は、係合された組織の適切な封止が完了した後に開始する。いくつかの例では、予測段階制御を使用して、粘着低減段階508Dを始動または開始することができる。たとえば、呼掛け段階508A、乾燥段階508B、または封止段階508C中の基準時間に、組織抵抗を測定することができる。封止段階の持続時間は、基準時間で測定された組織抵抗に基づいて予測することができる。粘着低減段階508Dは、封止段階の予測された持続時間が経過したことに応答して開始することができる。いくつかの例では、粘着低減段階中に組織療法が継続することができる。
【0140】
図10Bで、グラフ510は、水平軸512、垂直軸514、および組織抵抗/時間関係516を含む。水平軸512は、時間を示す。垂直軸514は、電気外科機器によって係合された組織の電気抵抗を示す。組織抵抗/時間関係516は、水平軸512によって示す時間に得られた組織抵抗の測定値を示す。グラフ510に示すように、呼掛け段階508A中の組織抵抗は低く、乾燥段階508B中に増大し、封止段階508C全体にわたって高い状態を維持する。粘着低減段階508D中に、組織抵抗は、低い値と高い値との間を交番する。パルス波形の最小値中に得られる組織抵抗の低い測定値は、液体が係合された組織へ戻っていることを示す。
【0141】
図10Cで、グラフ520は、水平軸522、垂直軸524、および電流/時間関係526を含む。水平軸522は、時間を示す。垂直軸524は、電気外科機器によって係合された組織によって伝導される電流を示す。電流/時間関係526は、水平軸522によって示す時間に得られた電流の測定値を示す。グラフ520に示すように、電流は乾燥段階508Bの始めに増大するが、次いで組織抵抗が増大するにつれて、乾燥段階508Bの終わりに減少する。次いで、電流は、封止段階508C全体にわたって低い状態を維持する。粘着低減段階508D中、電流は実質的に周期的であり、最大値は、封止段階508C中に得られる電流値より大きい。
【0142】
図10Dで、グラフ530は、水平軸532、垂直軸534、および電力/時間関係536を含む。水平軸532は、時間を示す。垂直軸534は、電気外科機器によって係合された組織の有効電力を示す。電力/時間関係536は、水平軸532によって示す時間に係合された組織へ提供された電力の測定値を示す。グラフ530に示すように、電力は乾燥段階508Bの始めに増大するが、次いで組織抵抗が増大するにつれて、乾燥段階508Bの終わりに減少する。粘着低減段階508D中、電力は実質的に周期的であり、最大値は、封止段階508C中に得られる電力値より大きい。電力は、最大値の始めにピークを有する。これらの電力のピークは、液体が係合された組織から追い出される前に生じる電流のピークに対応する。
【0143】
図11は、生物組織と電気外科機器との間の粘着を低減させる方法の流れ図である。
図11で、方法540はステップ542から始まり、生物組織が電気外科機器によって係合される。次いで、ステップ544で、制御回路48(
図2に示す)は、電気エネルギー源44(
図2に示す)に、呼掛け段階中に、係合された生物組織へ呼掛け信号を提供させる。次いで、ステップ546で、制御回路48は、測定回路46(
図2に示す)に、基準組織抵抗R
REFを測定させる。次いで、ステップ548で、測定された基準抵抗R
REFに基づいて、療法持続時間T
THERAPYが判定される。
【0144】
ステップ550で、制御回路48は、電気エネルギー源44に、電気療法段階中に、係合された生物組織へ電気療法信号を提供させる。次いで、ステップ552で、経過療法時間TELAPSEDが、ステップ548で判定された療法持続時間TTHERAPYと比較される。ステップ552で、経過療法時間TELAPSEDが、判定された療法持続時間TTHERAPYより小さい場合、この方法はステップ550へ戻り、電気療法信号が、係合された生物組織へ提供される。しかし、ステップ552で、経過療法時間TELAPSEDが、判定された療法持続時間TTHERAPYより大きい場合、方法540はステップ554へ進み、制御回路48は、電気エネルギー源44に、粘着低減段階中に、係合された生物組織へパルス化された粘着低減信号を提供させる。粘着低減段階後、この方法は終了する。パルス化された粘着低減信号は、粘着低減スケジュールに従って判定することができる。粘着低減スケジュールは、粘着を低減させ、いくつかの例では同時に追加の組織療法を提供するように構成することができる。
【0145】
電気外科機器によって係合された生物組織内の伝導性異物の有無の判定(
図12および
図13)
様々な外科処置では、人工のデバイスが患者に移植される。たとえば、ねじ、ボルト、シム、および他の機械部材によって、折れた骨を固定することができる。手術中に治療された組織の所望の配置を維持するために、ステープルを使用することができる。様々な目的で、ペースメーカーおよび他の電子デバイスを患者に移植することができる。これらの人工デバイスの多くは、導電性要素であり、または導電性要素を収容する。導電性の物体は、電気外科機器によって係合された組織内に見られた場合、電気外科処置に干渉する可能性がある。
【0146】
係合された組織へ電気療法信号を提供する前に、係合された組織内の伝導性異物の有無などの電気外科機器の環境条件を判定することで、望ましくない組織修正を防止することができる。電気外科機器によって係合された生物組織内の伝導性異物の有無は、係合された生物組織のインピーダンス角測定値に基づいて判定することができる。したがって、電気療法段階前の組織インピーダンス角の呼掛けにより、そのような望ましくない組織修正を防止することができる。
【0147】
図12は、金属物体ありおよび金属物体なしの生物組織のインピーダンス角/時間関係の例を示すグラフである。
図12で、グラフ600は、水平軸602、垂直軸604、およびインピーダンス角/時間関係606A~606Bを含む。水平軸602は、時間を示す。垂直軸604は、電気外科機器によって係合された生物組織のインピーダンス角を示す。インピーダンス角/時間関係606A~606Bは、電気療法段階中に水平軸602によって示す時間に得られたインピーダンス角の測定値を示す。生物組織のインピーダンス角は、組織インピーダンスの反応成分と組織インピーダンスの抵抗成分との比を示す。たとえば、-90°のインピーダンス角は、純粋に容量性の組織インピーダンスを示し、+90°のインピーダンス角は、純粋に誘導性の組織インピーダンスを示し、0°のインピーダンス角は、純粋に抵抗性の組織インピーダンスを示す。いくつかの例では、測定された基準インピーダンス角は、測定回路によって測定される係合された生物組織の電圧と係合された生物組織によって伝導される電流との間の角度差に実質的に等しい。
【0148】
インピーダンス角/時間関係606Aは、伝導性異物が存在しない組織に対応する。インピーダンス角/時間関係606Bは、伝導性異物が存在する組織に対応する。グラフ600に示すように、インピーダンス角/時間関係606Aおよび606Bはどちらも、電気療法段階の初期部分または過渡部分中にインピーダンス角の変化を示し、次いで電気療法段階の最終部分または定常状態部分中は実質的に一定の状態を維持する。しかし、インピーダンス角/時間関係606Aおよび606Bのインピーダンス角の定常状態値は互いに異なる。インピーダンス角/時間関係606Aは、インピーダンス角θAの定常状態値を示し、これはインピーダンス角/時間関係606Bによって示すインピーダンス角θBの定常状態値より小さい。
【0149】
インピーダンス角θ
Aおよびθ
Bのそのような差は、電気外科機器によって係合された組織内の伝導性異物の有無を判定するために使用することができる。たとえば、所定のインピーダンス角閾値θ
THRESHと、生物組織の測定されたインピーダンス角とを比較することができる。インピーダンス角/時間関係606Aのように、測定された定常状態のインピーダンス角が所定の角度閾値θ
THRESHより小さい場合、伝導性異物が存在しないと判定することができる。しかし、インピーダンス角/時間関係606Bのように、測定された定常状態のインピーダンス角が所定の角度閾値θ
THRESHより大きい場合、伝導性異物が存在すると判定することができる。これに応答して、
図2の制御回路48などの制御回路は、係合された生物組織内の伝導性異物の存在を示すエラー通知を生成し、療法信号の送達を低減または終了させることができる。しかし、定常状態のインピーダンス角が所定の閾値より大きい状態で、類似のインピーダンスが識別された場合、制御回路は、療法信号の送達を引き続き可能にすることができる。沸騰が検出されるまで、エネルギーを印加して増大させることができる。この状態で抵抗が低いとき、電流は、沸騰が開始するまで、その典型的な値の上端にあるはずである。
【0150】
いくつかの例では、係合された生物組織のインピーダンスまたは抵抗は、呼掛け段階中に測定される。係合された生物組織の測定されたインピーダンスまたは抵抗の大きさが所定の抵抗値より小さい場合、インピーダンスの位相角が判定され、所定の閾値θTHRESHと比較される。
【0151】
いくつかの例では、インピーダンス角/時間関係606Aのように、測定された定常状態のインピーダンス角が所定の角度閾値θTHRESHより小さい場合、開回路であると判定することができる。これに応答して、制御回路は、開回路を示すエラー通知を生成することができ、療法信号の送達を低減または終了させることができる。いくつかの例では、測定された基準インピーダンス角が第1の角度、たとえば角度θAより大きく、かつ第2の角度、たとえば角度θBより小さいことに応答して、制御回路は、療法信号の電力レベルを低減させることができる。いくつかの例では、第1の角度を約70度とすることができ、これはデバイス依存とすることができる。
【0152】
このようにして、システムは、測定された基準インピーダンス角と所定の角度閾値θTHRESHとを比較し、測定された基準インピーダンス角と角度閾値との比較に基づいて、機器の環境条件を示す応答を生成することができる。応答は、電力の低減を含むことができ、および/または環境条件を示す信号を生じさせることができる。応答は、条件をユーザに示すことなどのために、通知信号を含むことができる。
【0153】
図13は、電気外科機器によって係合された生物組織内の金属物体の有無を判定する方法の流れ図である。
図13で、方法620はステップ622から始まり、生物組織が電気外科機器によって係合される。次いで、ステップ624で、制御回路48(
図2に示す)は、電気エネルギー源44(
図2に示す)に、電気療法段階中に、係合された生物組織へ電気療法信号を提供させる。次いで、ステップ626で、経過療法時間Tが、定常状態の組織インピーダンスに到達した所定の時間閾値T
MEASUREと比較される。ステップ626で、経過療法時間Tが時間閾値T
MEASUREより小さい場合、方法620はステップ624へ戻り、電気療法スケジュールが継続する。
【0154】
しかし、ステップ626で、経過療法時間Tが時間閾値T
MEASUREより大きい場合、方法620はステップ628へ進み、制御回路48は、測定回路46(
図2に示す)に、係合された生物組織のインピーダンス角θ
MEASを測定させる。次いで、ステップ630で、係合された生物組織の測定されたインピーダンス角θ
MEASが、所定の基準角度θ
REFと比較される。ステップ630で、測定されたインピーダンス角θ
MEASが所定の基準角度θ
REFより大きい場合、制御回路は、エラー通知を生成することができ、方法620はステップ632へ進み、療法が終了される。たとえば、制御回路は、係合された生物組織内の伝導性異物の存在を示すエラー通知を生成することができる。
【0155】
いくつかの例では、基準角度の所定の範囲(たとえば、θMIN<θMEAS<θMAX)を使用して、伝導性異物が電気外科機器によって係合されたかどうかを判定することができる。しかし、ステップ630で、測定されたインピーダンス角θMEASが所定の基準角度θREFより小さい場合、方法620はステップ634へ進み、療法が継続される。
【0156】
伝導性異物の存在および不在を分離する境界を画定する所定のインピーダンス角は、特定の電気外科機器、特定の電気外科信号の電気パラメータ、生物組織のタイプなどに応じて変動しうる。たとえば、電気外科信号の周波数が、存在/不在閾値を画定するインピーダンス角に関係しうる。
【0157】
トリガ値とエスケープ値との間のバンドによる短絡エラートラッピング(
図14)
上述したように、電気外科ジェネレータ、たとえば
図2の電気外科ジェネレータ12は、電気療法信号を介して電気エネルギーを印加することによって、血管を凝固もしくは封止することができ、または他の方法で組織を修正することができる。そのようなエネルギーの印加に伴う問題のうちの1つは、電気外科機器に結合または一体化された電極が短絡した場合、電気エネルギーが、短絡区域を取り囲む組織ではなく、主に短絡区域を通過することである。そのような場合、組織は電気エネルギーの印加による影響をあまり受けない。
【0158】
1つの手法では、隔離絶縁器を使用して、対向する電極が互いに接触し、エネルギーが組織ではなく接触点にそらされることを防止することができる。しかし、導電性要素は、手術において、電気外科機器によって把持されたとき、類似の望ましくないエネルギーのチャネリングをもたらす可能性があることが見て取れる。そのような要素の例には、他の外科ツール、金属クリップ、およびステープルが含まれる。
【0159】
いくつかのシステムでは、電気外科ジェネレータは、特有の(低い)電気インピーダンス(集合的に、インピーダンスと呼ぶ)を監視することができ、そのような望ましくないエネルギーのチャネリングが現在生じていることを、ユーザ、たとえば外科医または技術者に知らせることができる。電気外科ジェネレータが、そのような低い電気インピーダンスが存在すると判定した場合、電気外科ジェネレータは、タイマを開始し、たとえば可聴および/または視覚通知を介して問題をユーザに警告することができる。
【0160】
電気外科ジェネレータは、類似の低いインピーダンスの他の発生が「真の短絡」の発生を誤って信号送信することを防止するために、低いインピーダンスの発生のあらゆる通知の前に、遅延を含むことができる。低いインピーダンスの他の発生は、特に表面電気接触面積の大きい電極とともに使用されるとき、たとえば手術部位への塩水の添加、導電性の高い分泌物(胆嚢胆汁など)、または腎臓を取り囲む腹膜などの薄く湿った組織によって生じる可能性がある。
【0161】
そのような環境に遭遇したとき、エネルギーの印加を延ばすことで、流体を追い出すことによって、または相変化によって流体を気体に変換することによって、電気インピーダンスを上昇させることができる。これは通常、設定された期間内に実現され、またはユーザは、たとえば電気外科機器の先端を乾燥させ、および/もしくは代替区域で組織を把持するように助言を受ける。したがって、原因が組織由来であり、異物ではないとき、初期短絡条件中にエネルギーの印加を継続することによって、意図される修正された組織を獲得することが好ましい。
【0162】
組織由来の初期短絡条件中のエネルギーの印加中、インピーダンスの変動が生じることがあり、インピーダンスは、短絡トリガ値を超過するのに十分に増大するが、印加された電力によって低インピーダンス環境に打ち勝つことはできない状況のままである。この状況で、約3秒などのかなり急速な短絡エラーの代わりに、組織作用がないまたは最大起動時間エラーが満たされたなど、他の時間に到達するまで、エネルギーを印加することができる。しかし、これは処置を延ばす可能性があり、ユーザを失望させ、負のユーザ体験をもたらす可能性がある。この状況にフィルタを適用することには限りがあり、低インピーダンス環境を除去するというより明確な指示がより有用である。
【0163】
本発明者らは、低インピーダンス環境の短絡に打ち勝ったかどうか、または環境インピーダンスのわずかな増大(減少が続く)が実現されたかどうかに関して、改善された指示を有するシステムを提供することが望ましいことを認識している。これらの改善は、インピーダンスフィードバックを測定してそれに作用する能力があまり正確でないシステムなど、いくつかのシステムで特に望ましい。たとえば、システムは、不正確さを有する可能性があり、その結果、低インピーダンス状況中に印加される電圧が低いため、正確なインピーダンスの読取りを実現できず、その結果、システムの固有の誘導性によって引き起こされる位相角シフト、ならびにデバイスの顎部間の材料によってもたらされるインダクタンスを検出することがより困難になる可能性がある。
【0164】
本発明者らは、低インピーダンス環境の短絡に打ち勝ったかどうか、またはインピーダンスのわずかな増大(減少が続く)が実現されたかどうかに関して、改善された指示を提供するために、2境界閾値を使用することができることを認識している。以下でより詳細に説明するように、システムは、トリガ値およびエスケープ値という2つのインピーダンス値を監視することができる。システムは、第1のインピーダンス値(「トリガ」値)を使用して、短絡をトリガすることができ、システムは、第1のインピーダンス値より大きい第2のインピーダンス値(「エスケープ」値)を使用して、エラークロックタイミングルーチンを出ることができる。
【0165】
本発明者らは、臨床医が流体を局所的に沸騰させることがあり、それによりインピーダンスを有する気泡が生じる可能性があることを認識している。この時点で、インピーダンスが明らかに増大し、第1のインピーダンス値を超えてインピーダンスの読取りを押し上げる可能性があるが、必ずしも短絡条件の範囲外ではない。本発明者らは、システムが待機時間中に組織を乾燥させることを確実にすることから、第2のインピーダンス値が重要であることを認識している。本開示の2境界閾値技法を使用することによって、短絡条件をユーザへ迅速に通信することができ、それによって他の技法を使用した場合より迅速に処置を継続することが可能になる。
【0166】
上述した
図2は、本開示の2境界閾値技法の様々な態様を実施するために使用することができる外科システムの一例を示す。
図1に示すように、
図1の外科システムは、鉗子14などの電気外科デバイスを含むことができる。鉗子14は、2つの顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38を含むことができる。いくつかの例では、2つの顎部のうちの一方を可動とすることができ、他方の顎部を静止状態にすることができる。他の例では、両方の顎部を可動とすることができる。
【0167】
本開示の2境界閾値技法は、顎部を含む電気外科デバイスに限定されるものではないことに留意されたい。逆に、2境界閾値技法は、スパチュラおよびスネアなどのデバイスを使用して実施することができる。
【0168】
電気外科デバイス、たとえば鉗子14は、生物組織、たとえば
図1の組織16へ電気療法信号を送達するようなサイズ、形状、および/または他の形の構成の2つ以上の電極を含むことができる。いくつかの例では、電極は、
図1のように、顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38と一体化することができる。他の例では、電極を顎部に結合することができる。
【0169】
図2の電源44などを含む出力回路は、患者への送達のために、電気外科エネルギーを生成して出力端子、たとえば
図2の機器インターフェース42へ送達するように構成することができる。出力端子は、
図1の鉗子14などの電気外科デバイスに結合し、電気療法信号を介して、RFエネルギーなどのたとえば高周波の電気外科エネルギーを生物組織へ送達するように構成することができる。
【0170】
外科システムの制御回路、たとえば
図1の外科システムの制御回路48は、出力回路に結合することができ、制御回路は、2境界閾値技法の様々な態様を実行するように構成することができる。たとえば、外科医または臨床医などのユーザは、電気外科デバイスの2つの顎部間に位置決めされた組織などの患者の生物組織への電気外科エネルギーの現行の送達を始動することができる。いくつかの例では、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、電気外科デバイス、たとえば
図1の鉗子14の2つの電極と伝導通信する組織の第1のインピーダンス値を測定するように、測定回路、たとえば
図2の測定回路46を制御することができる。いくつかの例では、組織は、電気外科デバイスの2つの電極の間に位置決めすることができる。
【0171】
プロセッサは、組織の第1の測定されたインピーダンス値と第1の閾値、たとえばトリガ値とを比較することができる。非限定的な例では、例示を目的として、トリガ値を約5オームとすることができる。第1の測定されたインピーダンス値が第1の閾値以下であるとき、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、プロセッサなどに含まれる短絡タイマを始動することができる。非限定的な例では、例示を目的として、タイマの時間限界を約3,000ミリ秒(ms)~約6,000msとすることができる。
【0172】
プロセッサは、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされた組織の第2のインピーダンス値を測定するように、測定回路を制御することができる。次いで、プロセッサは、組織の第2の測定されたインピーダンス値と第2の閾値、たとえばエスケープ値とを比較することができ、第2の閾値(エスケープ値)は、第1の閾値(トリガ値)より大きい。非限定的な例では、例示を目的として、エスケープ値を約10オームとすることができる。
【0173】
トリガ値およびエスケープ値は、絶対ではなく典型的な値を表し、とりわけ、デバイス内のインピーダンス、露出接触面積、プロセッサがフィードバックからインピーダンス値を測定する能力、および付属デバイスのケーブルの長さなどの多くの要因に依存することができる。トリガ値およびエスケープ値は、様々なシステムに合わせて調節または調整することができる。加えて、タイマ限界の値も調節または調整することができ、これは、短絡エラーが示されるか、またはより長い周期の電力印加(待機)が好ましいか、様子を見守りたいという外科医の見解および意向に関する製造者の理解に依存することができる。
【0174】
第2の測定されたインピーダンス値が第2の閾値より小さく、タイマが時間限界を満たしていないとき、外科システムは、電気外科エネルギーの送達を継続することができる。しかし、第2の測定されたインピーダンス値が第2の閾値より小さく、タイマが時間限界を満たしているとき、制御回路は、電気外科エネルギーの送達を低減または終了させるように、出力回路を制御することができる。いくつかの例では、制御回路は、エネルギーの送達を継続して湿った環境に打ち勝つために、短期間にわたって電力もしくは電流の限界または両方を増大させることができる。いくつかの例では、タイマが時間限界を満たしているとき、外科システムは、ユーザへの指示を生成することができる。たとえば、ユーザインターフェース、たとえば
図2の外科システムのユーザインターフェース50が、電気外科エネルギーの送達が低減または終了されたことを示すために、ユーザへの可聴指示および視覚指示のうちの一方または両方を生成することができる。
【0175】
エネルギーの送達は、送達されるエネルギーの量がゼロではないが低い呼掛け段階中に行うことができる。たとえば、呼掛け段階中、送達されるエネルギーは、組織に影響するには十分でない。
【0176】
いくつかの例では、制御回路は、電気外科デバイスの少なくとも1つの特性に基づいて、第1の閾値(トリガ値)、第2の閾値(エスケープ値)、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整するように構成することができる。たとえば、電流密度は、送達される電気療法信号の電力の量に影響を与えることができ、これは、システムが生物組織へ送達するエネルギーの量に影響を与えることができる。一例として、電気外科デバイスの電極の表面積は、電流密度に影響を与えることができる。たとえば、表面積が大きく低電力の電気外科ジェネレータを有する電気外科デバイスの場合、組織内の液体を消散にさせるのに十分な電流がない可能性がある。したがって、システムは、組織へのエネルギーの送達を低減または終了させる前に、より長い期間にわたって待機することが望ましい。その目的で、制御回路は、電極の表面積を使用して、第1の閾値(トリガ値)、第2の閾値(エスケープ値)、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整することができる。たとえば、制御回路は、メモリデバイスに記憶されている電気外科デバイスの様々な1つ以上のパラメータを取り出すことができ、1つ以上のパラメータは、電気外科デバイスに付随する電極の表面積を含むことができる。
【0177】
加えて、電気外科デバイスの顎部力が、電流密度に影響を与えることができる。たとえば、より強い顎部力は、組織が電極に接触する量を増大させることができ、それにより組織の沸点に影響を与えることができる。したがって、制御回路は、より大きい顎部力を有する電気外科デバイスに対して、第1の閾値(トリガ値)、第2の閾値(エスケープ値)、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整することができる。
図1の鉗子14などの電気外科デバイスは、顎部力を感知するように構成された顎部力センサを含むことができ、顎部力センサは、
図2の制御回路48などの制御回路と通信している。
【0178】
電気外科デバイスの特性に加えて、第1の閾値(トリガ値)、第2の閾値(エスケープ値)、および時間限界のうちの少なくとも1つは、処置に依存することができる。たとえば、処置および/または組織の中には、他の処置および/または組織より湿っているものがある。一例として、肝臓処置は、肝臓からの多量の血液を伴うことがある。いくつかの処置では、臨床医は、組織を清浄にするために、多量の流体を導入することがある。したがって、いくつかの処置中、システムは、組織へのエネルギーの送達を終了させる前に、より長い期間にわたって待機することが望ましい。その目的で、いくつかの例では、制御回路は、必要な場合、電気外科ジェネレータに余分の流体を消散させるための追加の時間を与えるために、第1の閾値(トリガ値)、第2の閾値(エスケープ値)、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整することができる。
【0179】
別法として、または加えて、電気外科デバイスの特性を使用して、閾値または時間限界を調整することができる。たとえば、電気外科ジェネレータの出力電流は、送達される電気療法信号の電力の量に影響を与えることができ、これは、システムが生物組織へ送達するエネルギーの量に影響を与えることができる。いくつかの例では、たとえば出力電流に基づいて、制御回路は、必要な場合、電気外科ジェネレータに余分の流体を消散させるための追加の時間を与えるために、第1の閾値(トリガ値)、第2の閾値(エスケープ値)、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整することができる。
【0180】
いくつかの例では、本開示の2境界閾値技法は、処置の始めの初期組織呼掛け段階中に使用することができる。他の例では、これらの技法は、加熱または乾燥段階中などの処置の途中で使用することができる。
【0181】
説明の目的で、エスケープ値ありおよびエスケープ値なしのシステムの非限定的な例について、次に説明する。最初に、臨床医は、起動ボタンを押下することができ、電気外科デバイス、たとえば顎部へのエネルギーの送達が試行される。しかし、電気外科デバイスを流れる塩水および血液の伝導性が非常に高いため、電気外科ジェネレータは、インピーダンスが4オームであることを識別し、短絡タイマが始まる。
【0182】
エスケープ値のないシステムの場合、電気外科ジェネレータはエネルギーを提供することができ、短絡タイマによって1,000msの印加エネルギー時間で、たとえばデバイスの顎部に気泡が生じ、インピーダンスを6オームに増大させる。気泡は過渡的であるが、インピーダンスはここで5オームの閾値を上回るため、短絡タイマがリセットされ、電気外科ジェネレータは、その3,000msのカウントダウンを再び開始する。
【0183】
過渡的な気泡は、複数回現れる可能性があるが、何度も顎部から衝突され、約12,000ms~約30,000msなど、最終的に起動時間延長の警報などの別の警報がトリガされるまで、短絡タイマを毎回リセットする。臨床医は、この経験によっていら立つ可能性があり、良好な封止を実現するには、周囲の塩水の一部を抽出し、または別の方法で組織を把持しなければならないことに気付く可能性がある。
【0184】
上述したように、エスケープ値のないシステムの場合、電気外科ジェネレータはエネルギーを提供することができ、短絡タイマによって1,000msの印加エネルギー時間で、たとえばデバイスの顎部に、気泡が生じ、インピーダンスを6オームに増大させることができる。しかし、短絡ループを出るには、たとえば10オームのエスケープ値が必要とされるため、短絡タイマは継続する。別の気泡が生じ、この場合も、インピーダンスを6オームに増大させる可能性があり、インピーダンスがエスケープ値または上限要件を満たさないため、この場合もこれは短絡タイマによって無視される。3,000msで、短絡警報が臨床医に提示され、臨床医はここで、流体を除去しなければならないこと、または組織を異なる方法で把持しなければならないことを知る。この反応は、上限「エスケープ」値が10オームであることからより迅速であり、処置がより迅速に継続することを可能にする。
【0185】
上述した2境界閾値技法はまた、短絡トリガを利用する他のシステムに組み込むことができる。たとえば、トリガ値が満たされた場合、システムは、短絡タイマまたはエスケープ値が最初に満たされるかどうかの様子を見守りながら、フィードバックに呼び掛けて、その時点での位相角を判定および解釈することができる。位相角が特定の閾値を上回る場合、システムは、位相角の周波数が低いインピーダンスと結合されることで、金属物体が電気外科デバイスによって間違って(または他の形で)把持されたことを示すと判定することができる。システムは、上限エスケープ値が満たされるまたは短絡タイマ、たとえば3,000msが満たされるまで、位相角の監視を継続することができる。
【0186】
図14は、上述した2境界技法の一例を示す流れ図である。ブロック1000で、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、短絡フラグが設定されているかどうかを判定することができる。短絡フラグが設定されていない場合(ブロック1000の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、決定ブロック1002で、測定されたインピーダンスと、第1のインピーダンス閾値、たとえば5オームの閾値とを比較することができる。
【0187】
プロセッサが、インピーダンスが第1の閾値より小さいと判定した場合(ブロック1002の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1004で、短絡タイマをリセットして短絡フラグを設定し、ブロック1006で、封止が再開することができる。プロセッサが、インピーダンスが第1の閾値以上であると判定した場合(ブロック1002の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、ブロック1008で、短絡タイマをリセットして短絡フラグを除去し、ブロック1006で、封止が再開することができる。
【0188】
しかし、短絡フラグが設定されている場合(ブロック1000の「はい」の分岐)、プロセッサは、決定ブロック1010で、測定されたインピーダンスと、第2のインピーダンス閾値、たとえば7オームの閾値とを比較することができる。プロセッサが、インピーダンスが第2の閾値以上であると判定した場合(ブロック1010の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、ブロック1008で、短絡タイマをリセットして短絡フラグを除去し、ブロック1006で、封止が再開することができる。プロセッサが、インピーダンスが第2の閾値より小さいと判定した場合(ブロック1010の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1012で、短絡タイマとタイマ限界、たとえば3000msとを比較することができる。
【0189】
プロセッサが、短絡タイマがタイマ限界より大きいと判定した場合(ブロック1012の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1014で、短絡警告、たとえば可聴および/または視覚の通知を生成して、ユーザに通知することができる。プロセッサが、短絡タイマがタイマ限界以下であると判定した場合(ブロック1012の「いいえ」の分岐)、ブロック1006で、封止が再開することができる。
【0190】
このようにして、インピーダンスが、少なくとも短絡タイマによって画定される持続時間、たとえば3000msにわたって一貫して、第1のインピーダンス閾値、たとえば5オームより小さい場合、短絡警告を生成することができ、電気療法信号は低減または終了される。第1のインピーダンス閾値と第2のインピーダンス閾値との間、たとえば5オームと7オームとの間に、ヒステリシスが生じることがあり、したがってたとえば3000msのタイマ限界を有するタイマは、インピーダンスが第1の閾値、たとえば5オームを下回ると開始され、測定されたインピーダンスが第2の閾値、たとえば7オームを上回るとリセットされる。
【0191】
インピーダンス限界終点波形のための開回路確認(
図15および
図16)
RF血管封止デバイスは、多くの場合、組織が適当に影響を受けていることなどを示すために、固定の最大インピーダンス値を使用し、または組織が十分に影響を受けたことを検出するために、インピーダンスデルタを使用する。インピーダンスを使用して、デバイスの顎部が起動中に開いたかどうかを識別することもできる。たとえば、システムは、顎部が開いたことを示す「開回路」を識別するために、設定点を上回ったインピーダンスの検出を試行することができる。
【0192】
しかし、いくつかの場合、起動中に顎部を開く結果、「偽の正」をもたらす可能性があり、ジェネレータは、良好な封止を信号送信するが、実際には、ユーザがデバイスの顎部を開いたばかりである。たとえば、システムが、たとえば350オームの「良好な封止」の終点、およびたとえば2000オームの「開回路」エラー値を監視しているとき、システムは、起動中に、この偽の正で反応する可能性がある。ユーザは、組織へのエネルギーの印加を制御し、システムは、終点および開回路を監視することができる。正しい起動では、エネルギーの印加により、最初にインピーダンスを、たとえば30オームから15オームに下げることができ、次いでエネルギーが組織を乾燥させるにつれて、組織のインピーダンスを上昇させることができる。エネルギーの上昇は、350オームの終点値を満たすことができ、ジェネレータは、電力の印加を停止して、封止が完了したことを示す信号をユーザへ送信することができる。
【0193】
別の例では、ユーザは、組織へのエネルギーの印加を制御し、エネルギーの印加により、最初に組織のインピーダンスを、たとえば30オームから15オームに下げることができ、次いでインピーダンスが上昇し始める。この上昇期間中、ユーザは、ゆっくりと(または素早く)顎部を開く。インピーダンス値は、急速に増大し、まず必要とされる350オーム境界を通過し、この時点で、システムは電力を遮断し、良好な封止を報告する。エネルギーが遮断され(組織が350オームより大きい状況が生じた場合、エネルギーの印加を継続すると、「組織が顎部に粘着する」状況が生じる可能性がある)、インピーダンスが2000オームの「開回路」エラー値に到達しないため、システムは良好な封止を誤って報告する。
【0194】
本発明者らは、ユーザが生物組織への電気外科エネルギーの現行の送達を始動するときにタイマを始動することによって始まる開回路確認を含む必要があることを認識している。タイマがタイマ限界に到達(または「タイムアウト」)したとき、システムは、インピーダンス値を判定し、インピーダンス値が開回路を表すかどうかを判定することができる。インピーダンス値が開回路を表す場合、システムは、エネルギーの送達を低減または終了させることができ、そうでない場合、システムは、インピーダンスが終点値を満たすまで、エネルギーの印加の継続を可能にすることができる。
【0195】
提案されたタイマ技法を使用して、電気外科ジェネレータ、たとえば
図2の電気外科ジェネレータ12は、システムにエネルギーを印加し、
図1の鉗子14の顎部間で電気外科デバイスに接触している生物組織にエネルギーを印加することができる。制御回路が、組織が最終的なインピーダンス終点値またはインピーダンスデルタ値まで駆動される準備ができていると判定したとき、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、タイマを、たとえば50~100msに設定することができる。
【0196】
タイマが「タイムアウト」したとき、測定回路、たとえば
図2の測定回路46は、インピーダンス値を測定する。プロセッサは、測定されたインピーダンスが開回路を表し、エネルギー送達を低減もしくは終了させるべきであるかどうか、または測定されたインピーダンスが開回路値を下回り、インピーダンスが必要とされる終点値を満たすまで、エネルギー送達が継続することができるかどうかを判定することができる。これらの技法を使用することによって、終点値も開回路値も実現することができないわずかな期間が存在するが、この周期の終わりに測定されたインピーダンスに応じて、プロセッサは、「開回路」エラーのフラグを立てて、エネルギーの送達を低減もしくは終了させるか、または完全な封止サイクル終点インピーダンス値までエネルギーの送達を継続するかを決定することができる。
【0197】
開回路確認技法を使用して行うことができるいくつかの可能なシナリオについて、次に説明する。第1のシナリオでは、ユーザは、たとえば電気外科デバイスの顎部間の組織にエネルギーを印加し、組織のインピーダンスが減少し、次いで増大する。プロセッサは、組織が好適に影響を受けたことを認識することができ、次いでタイマを開始することができる。時間限界、たとえば50ms後、インピーダンスは、「開回路」値、たとえば2000オームの絶対値、またはインピーダンスデルタ値を下回るが、標的組織終点値(またはインピーダンスデルタ値)も下回る。したがって、プロセッサは、標的終点値が実現されるまで、電力の印加の制御を継続する。プロセッサは、電力の印加を終了させ、良好な封止が実現されたことをユーザに示す。
【0198】
いくつかの例では、インピーダンスの変化率をトリガ変数とすることができる。たとえば、インピーダンス変化率が事前設定された値を超過した場合、ジェネレータは、開回路を報告し、次いでエネルギー出力を修正する(または終了もしくは大幅に低減させる)ことができる。
【0199】
第2のシナリオでは、ユーザは、たとえば電気外科デバイスの顎部間の組織にエネルギーを印加し、組織のインピーダンスが減少し、次いで増大する。プロセッサは、組織が好適に影響を受けたことを認識することができ、タイマを開始することができる。時間限界、たとえば50ms後、インピーダンスは、「開回路」値、たとえば2000オームの絶対値、またはインピーダンスデルタ値を下回るが、組織は組織終点値、たとえば350オーム以上である。プロセッサは、電力の印加を終了させ、良好な封止が実現されたことをユーザに示す。
【0200】
第3のシナリオでは、ユーザは、たとえば電気外科デバイスの顎部間の組織にエネルギーを印加し、組織のインピーダンスが減少し、次いで増大する。
【0201】
プロセッサは、組織が好適に影響を受けたことを認識することができ、次いでタイマを開始することができる。ユーザは、たとえばデバイスの顎部を開くことによって、組織を早すぎる段階で解放し、インピーダンスは、終点値を超えて、次いで開回路値、たとえば2000オームの絶対値、またはインピーダンスデルタ値を超えて急速に増大する。たとえば50ms後、プロセッサは、インピーダンスが開回路値を超えたことを判定することができ、電力の印加を終了させ、不完全封止「開回路」エラーメッセージをユーザに示す。
【0202】
タイマの持続時間は、開回路および良好な封止の正確な識別の成功にとって重要である。持続時間が長すぎる場合、ユーザが骨盤腔の内壁の筋膜物質に影響を与えようとしたときなど、少量の組織が、開回路値より大きいインピーダンス値に急速に到達する可能性がある。そのような組織は典型的に、最初は非常に導電性が高いが、流体の内容物は急速に沸騰することがあり、たとえばデバイスの顎部内のそのように薄い物質の一部分のインピーダンスは、インピーダンスの急速な上昇をもたらす。たとえば、タイマ持続時間が200msである場合、骨盤腔の内壁の薄い筋膜物質の良好な封止または組織修正は、適当な良好な封止トーンではなく、エラーメッセージをもたらすはずである。
【0203】
タイマが短すぎる場合、偽の正の可能性がある。たとえば、タイマが10msに設定された場合、以下のシナリオが生じる可能性がある。ユーザは、組織にエネルギーを印加し、インピーダンスが減少し、次いで増大する。インピーダンスが増大すると、プロセッサは、組織が終点まで駆動される準備ができていると判定し、タイマを開始する。顎部がゆっくりと開かれた場合、顎部のインピーダンス傾斜率は、10ms以内に開回路値を満たさず、したがって制御回路はエネルギーの印加を継続する。インピーダンスが2000オームの開回路値の方へ進み続けると、たとえばインピーダンス値は、350オームの終点値を通過して電力の印加を停止し、最後には良好な封止トーンを誤って与える。
【0204】
タイマの値、終点インピーダンス、および開回路インピーダンスは、1)その時間に組織に印加される電力(ならびに設定電力、またはその電力を考慮し、それに応じてタイマおよび/もしくはインピーダンス値を調整する電力とすることができる)の量、2)標的組織(以前の電力フィードバックが、顎部間の組織のタイプの指示を提供し、可能性が高いまたは予期されるインピーダンス傾斜率を予測し、それに応じてタイマおよび/またはインピーダンス値を調整することができる)、および3)電極の表面積および/または電極の顎部が完全に閉じた位置で印加する力など、複数の要因(単独または組合せ)に依存することができる。
【0205】
以下でより詳細に説明する開回路確認技法を使用して、電気外科システム、たとえば
図2のシステム10は、組織が終点値(封止)まで駆動される準備ができているとき、タイマをたとえば50ms~100msに設定することができる。タイマが限界および「タイムアウト」に到達すると、システムは、インピーダンス(またはインピーダンスの時間に対する変化率)を測定し、その値が開回路条件を表すかどうか、またはインピーダンスが良好な封止を示す終点値を満たすまで、エネルギーの印加の継続を可能にするかどうかを判定することができる。このようにして、終点値も開回路値も実現することができないわずかな期間が存在する。しかし、タイマの終わりに判定されたインピーダンスに応じて、システムは、完全な封止サイクル終点値まで継続するか、または開回路が存在することを示すかを判定することができる。
【0206】
図15は、外科システムで使用することができる上述した開回路確認技法の一例を示す流れ図である。
図1に示すように、
図1の外科システムは、鉗子14などの電気外科デバイスを含むことができる。鉗子14は、2つの顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38を含むことができる。いくつかの例では、2つの顎部のうちの一方を可動とすることができ、他方の顎部を静止状態にすることができる。他の例では、両方の顎部を可動とすることができる。
【0207】
本開示の開回路確認技法は、顎部を含む電気外科デバイスに限定されるものではないことに留意されたい。逆に、開回路技法は、スパチュラおよびスネアなどのデバイスを使用して実施することができる。
【0208】
電気外科デバイス、たとえば鉗子14は、生物組織、たとえば
図1の組織16へ電気療法信号を送達するようなサイズ、形状、および/または他の形の構成の2つ以上の電極を含むことができる。いくつかの例では、電極は、
図1のように、顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38と一体化することができる。他の例では、電極を顎部に結合することができる。
【0209】
図2の電源44などを含む出力回路は、患者への送達のために、電気外科エネルギーを生成して出力端子、たとえば
図2の機器インターフェース42へ送達するように構成することができる。出力端子は、
図1の鉗子14などの電気外科デバイスに結合し、電気療法信号を介して、RFエネルギーなどのたとえば高周波の電気外科エネルギーを生物組織へ送達するように構成することができる。外科システムの制御回路、たとえば
図1の外科システムの制御回路48は、出力回路に結合することができ、制御回路は、開回路確認技法の様々な態様を実行するように構成することができる。
【0210】
図15を次に参照すると、ブロック1100で、制御回路は、外科医または臨床医などのユーザが、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされた生物組織への電気外科エネルギーの現行の送達を始動したとき、タイマを始動することができる。いくつかの例では、タイマは、
図2のプロセッサ54などのプロセッサ内に含むことができる。いくつかの例では、制御回路は、制御回路が、組織が最終的なインピーダンス終点値(またはインピーダンスデルタ値)まで駆動される準備ができていると判定したとき、タイマを設定することができる。いくつかの例では、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、電気外科デバイス、たとえば
図1の鉗子14の2つの電極間に位置決めされた組織のインピーダンス値を測定するように、測定回路、たとえば
図2の測定回路46を制御することができる。
【0211】
ブロック1102で、プロセッサは、タイマがタイマ限界、たとえば50ms~100msより大きいかどうかを判定することができる。タイマが時間限界を超過していない場合(ブロック1102の「いいえ」の分岐)、システムは、ブロック1104で、電気外科エネルギーの送達を継続することができる。タイマが時間限界を満たしている場合(ブロック1102の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1106で、測定されたインピーダンスの表現と、第1の閾値(終点値)、たとえば250~350オームとを比較することができる。第1の閾値は、
図2のメモリ56などのメモリに記憶することができる。
【0212】
ブロック1108で、プロセッサが、測定されたインピーダンスの表現が第1の閾値より小さいと判定した場合(ブロック1108の「はい」の分岐)(終点値)、プロセッサは、電気外科エネルギーの送達を継続することができる。プロセッサが、測定されたインピーダンスの表現が第1の閾値以上であると判定した場合(ブロック1108の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、ブロック1110で、測定されたインピーダンスの表現と、第2の閾値(開回路値)、たとえば2000オームとを比較することができる。第2の閾値は、
図2のメモリ56などのメモリに記憶することができる。
【0213】
プロセッサが、測定されたインピーダンスの表現が第2の閾値より小さいと判定した場合(ブロック1110の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1112で、電気外科エネルギーの送達を低減または終了させることができる。ここで、測定されたインピーダンスは、第1の閾値(終点値)より大きく、かつ第2の閾値(開回路値)より小さく、これは、良好な封止が実現されたことを示す。いくつかの例では、制御回路は、良好な封止を示すためのユーザへの通知を生成することができる。
【0214】
プロセッサが、測定されたインピーダンスの表現が第2の閾値以上であると判定した場合(ブロック1110の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、ブロック1114で、電気外科エネルギーの送達を低減または終了させることができる。ここで、測定されたインピーダンスは、第1の閾値(終点値)より大きく、かつ第2の閾値(開回路値)以上であり、これは、開回路が存在することを示す。いくつかの例では、外科システムは、開回路を示すためのユーザへの指示を生成することができる。たとえば、ユーザインターフェース、たとえば
図2の外科システムのユーザインターフェース50は、電気外科エネルギーの送達が低減または終了され、開回路が検出されたことを示すために、ユーザへの可聴指示および視覚指示のうちの一方または両方を生成することができる。
【0215】
上述したように、いくつかの例では、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、組織のインピーダンス値を測定するように、測定回路、たとえば
図2の測定回路46を制御することができ、プロセッサは、測定されたインピーダンスの表現が閾値を超過するかどうかを判定することができる。いくつかの例では、インピーダンスの表現は、インピーダンスの絶対値などのインピーダンスの値を含む。他の例では、インピーダンスの表現は、時間に対するインピーダンスの第1の導関数など、インピーダンスの値の時間に対する変化(または「デルタ」)を含む。
【0216】
図5は、外科システムで使用することができる上述した開回路確認技法の別の例を示す流れ図である。方法300において、ブロック302で、制御回路は、段階3の始めにタイマを始動することができる。ブロック304で、制御回路は、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされた生物組織に電気外科エネルギーを印加することができる。ブロック306で、制御回路は、終点が満たされたかどうかを判定することができる。制御回路が、終点が満たされていないと判定した場合(ブロック306の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック304へ戻り、生物組織への電気外科エネルギーの印加を継続することができる。しかし、制御回路が、終点が満たされたと判定した場合(ブロック306の「はい」の分岐)、この方法はブロック308へ進む。
【0217】
ブロック308で、制御回路は、経過時間がタイマ限界以下であるかどうかを判定することができる。制御回路が、経過時間がタイマ限界以下であると判定した場合(ブロック308の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック310で、電気外科エネルギーの送達を低減させ、開回路を示すことができる。制御回路が、経過時間がタイマ限界以上であると判定した場合(ブロック308の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック312で、電気外科エネルギーの送達を低減させ、良好な封止が存在することを示すことができる。
【0218】
図16は、外科システムで使用することができる上述した開回路確認技法の別の例を示す流れ図である。
図16では、制御回路が、生物組織の時間に対するインピーダンスの変化率、たとえば1秒当たり40キロオームと、閾値とを比較することができることを除いて、
図16は
図15に類似している。
【0219】
図16を次に参照すると、ブロック1200で、制御回路は、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされた生物組織への電気外科エネルギーの送達に応答して、タイマを始動することができる。いくつかの例では、タイマは、
図2のプロセッサ54などのプロセッサ内に含むことができる。いくつかの例では、制御回路は、制御回路が、組織が最終的なインピーダンス終点値(またはインピーダンスデルタ値)まで駆動される準備ができていると判定したとき、タイマを設定することができる。いくつかの例では、プロセッサ、たとえば
図2の制御回路48のプロセッサ54は、電気外科デバイス、たとえば
図1の鉗子14の2つの電極間に位置決めされた組織のインピーダンス値を測定するように、測定回路、たとえば
図2の測定回路46を制御することができる。
【0220】
ブロック1202で、プロセッサは、タイマがタイマ限界、たとえば50ms~100msより大きいかどうかを判定することができる。タイマが時間限界を超過していない場合(ブロック1202の「いいえ」の分岐)、システムは、ブロック1204で、電気外科エネルギーの送達を継続することができる。タイマが時間限界を満たしている場合(ブロック1202の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1206で、測定されたインピーダンスの時間に対する変化率と、第1の閾値(終点値)とを比較することができる。第1の閾値は、
図2のメモリ56などのメモリに記憶することができる。変化率の非限定的な例は、50msの期間で2000オーム、すなわち40,000オーム/秒とすることができる。
【0221】
ブロック1208で、プロセッサが、測定されたインピーダンスの変化率が第1の閾値より小さいと判定した場合(ブロック1208の「はい」の分岐)(終点値)、プロセッサは、ブロック1204で、電気外科エネルギーの送達を継続することができる。プロセッサが、測定されたインピーダンスの変化率が第1の閾値以上であると判定した場合(ブロック1208の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、ブロック1210で、測定されたインピーダンスの変化率と、第2の閾値(開回路値)とを比較することができる。第2の閾値は、
図2のメモリ56などのメモリに記憶することができる。
【0222】
プロセッサが、測定されたインピーダンスの変化率が第2の閾値より小さいと判定した場合(ブロック1210の「はい」の分岐)、プロセッサは、ブロック1212で、電気外科エネルギーの送達を低減または終了させることができる。ここで、変化率は、第1の閾値(終点値)より大きく、かつ第2の閾値(開回路値)より小さく、これは、良好な封止が実現されたことを示す。いくつかの例では、制御回路は、良好な封止を示すためのユーザへの通知を生成することができる。
【0223】
プロセッサが、測定されたインピーダンスの変化率が第2の閾値以上であると判定した場合(ブロック1210の「いいえ」の分岐)、プロセッサは、ブロック1214で、電気外科エネルギーの送達を低減または終了させることができる。ここで、変化率は、第1の閾値(終点値)より大きく、かつ第2の閾値(開回路値)以上であり、これは、開回路が存在することを示す。いくつかの例では、外科システムは、開回路を示すためのユーザへの指示を生成することができる。たとえば、ユーザインターフェース、たとえば
図2の外科システムのユーザインターフェース50は、電気外科エネルギーの送達が終了され、開回路が検出されたことを示すために、ユーザへの可聴指示および視覚指示のうちの一方または両方を生成することができる。
【0224】
上述した開回路確認技法を使用することによって、システムが提供する誤った良好な封止の指示をより少なくすることができる。
【0225】
低精度ハードウェアシステムにおける代替電力補正出力(
図17)
電気外科ジェネレータは、ジェネレータをさらに正確にし、修正を意図する組織からのフィードバックに応答することを可能にする新しい「現況技術」のハードウェアによって、常に発展し続けている。ハードウェアアーキテクチャの改善は、データの収集、分析、および反応においてより高速の応答を可能にすることができるより速いCPU速度、ならびに電力送達、インピーダンスなどのフィードバックに基づいて導出されたデータのより正確な指示を提供することができるたとえば位相角の計算を可能にする新しい機能などを提供することなど、あまり高度でないまたは従来の同等物に比べて、多くの利益を提供することができる。
【0226】
多くの場合、病院内にすでに設置されている既存のハードウェアによって、新しい「現況技術」のハードウェアの性能を獲得し、新しい資本設備に更新する必要なく、この旧式の設置済みの資本設備によって、ユーザに同じ性能を提供することが望ましい。そのような性能の改善は、いくつかの電気外科の応用例において、患者にとって可能な限り最善の組織修正性能を確実にするために重要となりうる。
【0227】
たとえば、血管封止において最適の組織性能を提供するとき、適当な電力送達が重要となりうる。多すぎるエネルギーが速く送達されすぎると、組織内の蒸気ポケットから組織が損傷する可能性がある。エネルギーの印加が遅いと、処置時間が大幅に延びる可能性があり、その結果、患者が麻酔下におかれる期間がより長くなり、手術結果の利益が低減し、患者の回復問題のリスクがより高くなる可能性がある。競争的観点から、結果として得られる適正な組織作用の高い信用レベルでの迅速な組織修正は、市場で許容できるデバイスを有するのに重要となりうる。
【0228】
多くの旧式の電気外科システムは、RF出力の位相角を正確に測定する能力を有していない可能性がある。封止プロセス中、顎部間で把持された組織の変動、ならびに出力回路内の固有のインダクタンスおよびキャパシタンスとの相互作用により、RF波形において位相角の変化が生じる可能性がある。この位相角を考慮しない場合、電力および負荷抵抗の計算が不正確になる可能性があり、したがってこのパラメータを測定することで、システムの精度を増大させることができる。
【0229】
電圧(「E」)が電流(「I」)を導くとき(ニーモニック「ELI」で覚えると役立つ)、負荷は誘導性であると考えられる。電流(「I」)が電圧(「E」)を導くとき(ニーモニック「ICE」で覚えると役立つ)、負荷は容量性であると考えられる。「ELI」または「ICE」のシナリオでは、位相角オフセットの結果、電流および電圧のピークの位置ずれのため、電気外科ジェネレータが提供していると考える皮相電力送達と比較すると、実際の電力送達は低減される。
【0230】
印加される電圧の精度は、この問題をさらに複雑化する可能性がある。電圧が減少するとき、特に電圧が、単極出力、たとえば4000V以上に意図される高い速度を制御するように生み出され、次いで数十ボルト以下の低さになりうる双極出力に印加されるとき、旧式のシステムの電圧印加の精度は困難になる可能性がある。この結果、ハードウェア製造者は、予期の位相シフトでデバイスが典型的に機能する必要がある特定のインピーダンスおよび電圧範囲内の精度に合わせて同調された「同調ハードウェア」を作り出すことがある。より低い範囲のインピーダンスでは、電圧レベルが非常に低いため、計算される電力送達の精度が非常に困難になる可能性がある。
【0231】
一例として、特有の電力、たとえば100Wを供給するために、システムは、電力要件を満たすように、電圧(V)で電流(I)を供給する。インピーダンスは、必要とされる電力を送達するための電圧および電流の構成を決定する。たとえば、インピーダンスが5オームである場合、電気外科ジェネレータは、22.22Vで4.5Aの出力を提供することができる。
【0232】
別の例として、同じシステムが、30W(31.25W)を5オームのインピーダンスに送達しようとした場合、電気外科ジェネレータは、12.5Vで約2.5Aの出力を提供することができる。いくつかの場合、4000Vと同程度を提供するように設定されたシステムで、この12.5Vの出力を考慮されたい。旧式の電気外科システムが不正確になる典型的なインピーダンス範囲は、約0~50オームである。そのようなインピーダンス範囲の場合、旧式の電気外科システムは、電気外科ジェネレータの電力出力が十分に正確ではないため、良好な封止を提供するために組織内の流体を消散させるのに十分な電流を印加するのに苦労する可能性がある。
【0233】
本発明者らは、従来の電気外科システムの電力制御を改善する必要があることを認識している。この必要を解決するために、本発明者らは、より低いインピーダンス値に電力補正を適用することで、従来の電気外科システムの電力制御を改善し、この精度不足に打ち勝つことができることを認識している。
【0234】
図1に示すように、
図1の外科システムは、鉗子14などの電気外科デバイスを含むことができる。鉗子14は、2つの顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38を含むことができる。いくつかの例では、2つの顎部のうちの一方を可動とすることができ、他方の顎部を静止状態にすることができる。他の例では、両方の顎部を可動とすることができる。
【0235】
本開示の電力補正技法は、顎部を含む電気外科デバイスに限定されるものではないことに留意されたい。逆に、電力補正技法は、スパチュラおよびスネアなどのデバイスを使用して実施することができる。
【0236】
電気外科デバイス、たとえば鉗子14は、生物組織、たとえば
図1の組織16へ電気療法信号を送達するようなサイズ、形状、および/または他の形の構成の2つ以上の電極を含むことができる。いくつかの例では、電極は、
図1のように、顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38と一体化することができる。他の例では、電極を顎部に結合することができる。
【0237】
図2の電源44などを含む出力回路は、患者への送達のために、電気外科エネルギーを生成して出力端子、たとえば
図2の機器インターフェース42へ送達するように構成することができる。出力端子は、
図1の鉗子14などの電気外科デバイスに結合し、電気療法信号を介して、RFエネルギーなどのたとえば高周波の電気外科エネルギーを生物組織へ送達するように構成することができる。外科システムの制御回路、たとえば
図1の外科システムの制御回路48は、出力回路に結合することができ、制御回路は、電力補正技法の様々な態様を実行するように構成することができる。
【0238】
図17は、外科システムで使用することができる電力補正技法の一例を示す流れ図である。ブロック1300で、測定回路、たとえば
図2の測定回路46は、電気外科デバイス、たとえば
図1の鉗子14の2つの電極間に位置決めされた組織のインピーダンスの表現を測定する。いくつかの例では、制御回路は、出力の最後の50ms中などの出力の一部分中に、平均値、中央値、最頻値などの中心傾向、または他の中心傾向を測定し、
図2のメモリ56内などにこれらの値を記憶することができる。
【0239】
ブロック1302で、制御回路は、測定されたインピーダンス表現と、
図2のメモリ56などのメモリ内に記憶されている第1の閾値、たとえば約50オームとを比較することができる。第1の閾値、たとえば50オームは、それを下回ると電気外科システムに電力補正が必要とされるインピーダンス値に基づくものとすることができる。第1の閾値は、電気外科システムに基づいて調整することができる。
【0240】
インピーダンスが第1の閾値以上である場合(ブロック1302の「いいえ」の分岐)、ブロック1304に示すように、インピーダンスは、制御回路が電気外科ジェネレータの電力制御に電力補正を適用する必要がないほど十分に高い。電気外科システムは、通常動作を介して電力を印加することができる。
【0241】
しかし、インピーダンスが第1の閾値より小さい場合(ブロック1302の「はい」の分岐)、制御回路は、電気外科ジェネレータの電力制御に電力補正を適用することができる。たとえば、ブロック1306に示すように、制御回路は、測定されたインピーダンスが第1のインピーダンス範囲内、たとえば0~100オームであるかどうかを判定することができる。測定されたインピーダンスが第1のインピーダンス範囲内である場合(ブロック1306の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1308で、第1のインピーダンス範囲に関連付けられた第1の電力補正を選択し、選択された第1の電力補正を印加することができる。
【0242】
測定されたインピーダンスが第1のインピーダンス範囲内にない場合(ブロック1306の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック1310で、インピーダンスの表現が第2の範囲内、たとえば20~100オームであるとき、第2のインピーダンス範囲、たとえば20~100オームに関連付けられた第2の電力補正を選択し、選択された第2の電力補正を印加することができる。一例として、「所望の電力」を100Wとすることができるが、システムは、実際にはわずか50Wとすることができる。適正な補償が出力に適用されることを確実にするために、測定値に補正係数を印加することができる。
【0243】
電気外科システムは、以下の等式などの線形計算を使用して、電力補正を適用することができる。
補正電力=(((Zload×A)+B)×MeasuredPower)/1000 等式(1)
上式で、Zloadは、測定された組織のインピーダンスであり、AおよびBは、異なる可能な電力補正軌道を提供するために選択することができる特有の電力補正値またはパラメータであり、MeasuredPowerは、電気外科システムが組織に提供していると考える電力(V×I)である。プロセッサ、たとえば
図2のプロセッサ54は、AおよびBのパラメータをメモリ、たとえば
図2のメモリ56から取り出し、上記の等式(1)を使用して、補正電力設定を計算することができる。第1の非限定的な例では、説明のみを目的として、10オームの場合の電力補正の第1の計算は、Aに対して11、Bに対して548の値を使用することができる。第2の非限定的な例では、説明のみを目的として、50オームの場合の電力補正の第1の計算は、Aに対して11、Bに対して419の値を使用することができる。
【0244】
補正電力設定を使用して、制御回路は、電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達することができる。いくつかの例では、制御回路は、インピーダンスの表現が閾値を満たしまたは超過するとき、電力設定への選択された電力補正の適用を低減または終了させることができる。上述した例を引き続き参照すると、制御回路は、50オームを下回り、0~20オームの第1の範囲内である15オームの測定されたインピーダンスに対する電力補正を最初に適用し、測定されたインピーダンスが、第1の範囲の上限を上回る20オームを超過したとき、その電力補正の適用を低減または終了させることができる。いくつかの例では、制御回路は、インピーダンスの変化に基づいて、新しい電力補正の適用を始めることができる。上述した例を引き続き参照すると、50オームを下回り、20~50オームの第2の範囲内である21オームの測定されたインピーダンスに対して、制御回路は、電力設定に新しい電力補正を適用することができる。
【0245】
いくつかの例では、単一のインピーダンス値、たとえば20オームを、第1の範囲、たとえば0~20オームと、第2の範囲、たとえば20~50オームとの間の差にするのではなく、システムが2つの電力補正間で変動するのを防止するために、制御回路がヒステリシスを使用することが望ましい。実施されたとき、ヒステリシスは、システムの現在の「状態」に応じて、閾値限界を動的に変化させることができ、これにより、測定されたパラメータが閾値付近であるとき、少なくとも2つの閾値間での意図しない変動を防止することができる。これは、閾値の上限および下限のうちの一方または両方に影響を与えることができる。このようにして、制御回路は、インピーダンスの表現が第1の範囲の上限または下限の所定の百分率または値の範囲内であるとき、上限および下限のうちの少なくとも一方を動的に調整することができる。
【0246】
たとえば、これらの範囲の境界で、指定の百分率を使用することができる。一例として、第1の範囲の20オームの上限の20%の範囲内の測定されたインピーダンスに対して、制御回路は、第1の範囲に関連付けられた上限および下限のうちの一方または両方を動的に調整し、たとえば増大させることができる。
【0247】
別の例では、ヒステリシスに対する百分率を使用するのではなく、制御回路は、これらの範囲の境界で、指定のインピーダンス値を使用することができる。一例として、第1の範囲の20オームの上限の4オームの範囲内の測定されたインピーダンスに対して、制御回路は、第1の範囲に関連付けられた上限および下限のうちの一方または両方を動的に調整し、たとえば増大させることができる。
【0248】
範囲の2つの非限定的な例について、2つの対応する電力補正によって説明したが、いくつかの例では、1つの範囲のみで十分な電力補正を提供することもできることに留意されたい。他の例では、対応する電力補正とともに3つ以上の範囲を使用することもできる。
【0249】
上述した電力補正技法は、精度不足に人為的に打ち勝つために、電気外科システムの電力制御を大幅に改善することができる。しかし、いくつかの例では、2次パラメータを使用して、さらなる精度を提供することができる。たとえば、電力補正は、「組織サンプリング」段階中の出力に基づいて行うことができる。組織が1つの特性を有する場合、第1の電力補正を使用することができる。組織が別の特性を有する場合、第2の電力補正を使用することができる。電力補正を判定するために使用することができる特性の例には、それだけに限定されるものではないが、ある期間にわたって送達されるエネルギー、計算されたインピーダンス、電流の引込み、電圧位相角、組織温度などが含まれる。プロセッサは、これらの特性を単独または組合せで使用して、電力補正を選択することができる。たとえば、プロセッサは、組織温度および計算されたインピーダンスの両方を使用して、電力補正を選択することができる。
【0250】
電力補正を判定するために1つ以上の2次パラメータを利用する例では、測定回路は、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされた組織のインピーダンスの表現を測定し、
図17に関して上述したように、測定されたインピーダンス表現と第1の閾値とを比較し、インピーダンスが第1の閾値、たとえば50オームより小さい場合、2つ以上の電力補正から第1の電力補正を選択することができる。次いで、制御回路は、1つ以上の2次パラメータの表現と1つ以上の閾値とを比較することができる。1つ(またはそれ以上)の2次パラメータの表現が1つ(またはそれ以上)の閾値より小さいとき、制御回路は、以前に選択された第1の電力補正と1つ以上の他の電力補正との間で選択することができる。制御回路は、以前に選択された第1の電力補正が十分であると判定することができ、または2次パラメータ、たとえば電力ジェネレータの出力電流、組織温度、および電圧位相角に基づいて、電力設定に適用するために異なる電力補正が望ましいはずであると判定することができる。
【0251】
いくつかの例では、インピーダンスが第1の閾値、たとえば50オームより小さい場合、制御回路は、2次電力補正を選択することができる。インピーダンスが増大すると、制御回路は、第1の電力補正を選択することができる。インピーダンスの増大が継続すると、同調電力設定は、電力補正を使わずに、標準的なジェネレータ制御を利用することができる。
【0252】
いくつかの例では、たとえば組織フィードバックを使用して、特有の期間にわたって電力補正を使用することができる。たとえば、補正電力設定を使用して、制御回路は、インピーダンス値の範囲の期間中に、もしくはある量のエネルギーが印加されるまで、または両方の組合せで、電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達することができる。加えて、期間またはユーザ設定などの外部メトリックを適用することもできる。
【0253】
図24は、外科システムで使用することができる電力補正技法の別の例を示す流れ図である。
図24は、どの電力補正を適用するかを決定するためにインピーダンスを使用することができる2つの決定を含む流れ図を示す。加えて、この流れ図はまた、電力補正をいつ適用するか、および電力補正の適用をいつ停止するかに関する決定点として、インピーダンスを使用することができる。
【0254】
ブロック2400で、ステージ1Aを完了することができ、ジェネレータ出力が安定することができる。ブロック2402で、ステージ1Bが始まることができ、制御回路は、ステージ1Bの最後の50ms中に、組織の平均インピーダンスを判定することができる。ブロック2404で、制御回路は、平均インピーダンスが0~20オームであるかどうかを判定することができる。平均インピーダンスが0~20オームである場合(ブロック2404の「はい」の分岐)、ブロック2406で、制御回路は、ステージ2に対して第1の電力補正値「X」を使用することができる。
【0255】
平均インピーダンスが0~20オームでない場合(ブロック2404の「いいえ」の分岐)、ブロック2408で、制御回路は、平均インピーダンスが20.01~50オームであるかどうかを判定することができる。平均インピーダンスが20.01~50オームである場合(ブロック2408の「はい」の分岐)、ブロック2410で、制御回路は、ステージ2に対して第2の電力補正値「Y」を使用することができる。平均インピーダンスが20.01~50オームでない場合(ブロック2408の「いいえ」の分岐)、ブロック2412で、制御回路は、ステージ2に対して電力補正が必要ないと判定することができる。
【0256】
熱マージンが低減された複合エネルギーデバイス(
図18および
図19)
超音波エネルギーおよび高周波エネルギーなどの電気外科エネルギーという2つのタイプのエネルギーを送達することができる外科システムが存在する。超音波エネルギーは、組織の急速および精密な切開を提供することができ、電気外科エネルギーは、確実な血管封止を提供することができる。システムは、2つのタイプのエネルギーを同時に送達することができ、またはシステムは、2つのタイプのエネルギーが別個に送達されるように、送達を制御することができる。
【0257】
図18は、本開示の様々な技法を実施することができる超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムの一例の簡略化されたブロック図である。システム1400は、外科デバイス1402を含むことができ、外科デバイス1402は、超音波駆動ユニット1404および電気外科駆動ユニット1406に結合される。そのような超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムに関する追加の情報は、開示全体が本願に引用して援用される、オカダ(Okada)らによる「ULTRASOUND TREATMENT SYSTEM」という名称の同一出願人による米国特許第8,574,228号に見ることができる。外科デバイス1402は、超音波トランスデューサ1408およびプローブ1410を含むことができる。超音波駆動ユニット1404は、第1の出力回路1412を含むことができ、第1の出力回路1412は、プローブ1410を介して生物組織へ伝達される超音波振動を生成するために超音波トランスデューサ1408に印加される駆動信号を生成するように構成される。
【0258】
システム1400は、超音波駆動ユニット1404および電気外科駆動ユニット1406の動作の様々な態様を制御するように構成された制御回路を含むことができる。たとえば、制御回路1414は、超音波駆動ユニット1404の第1の出力回路1412への信号を生成および印加するように構成することができ、電気外科駆動ユニット1406の第2の出力回路1416への信号を生成および印加するように構成することができる。いくつかの例示的な構成では、制御回路1414は、
図2の制御回路48に類似しており、
図2の制御回路48と同様に動作する構成要素を含むことができる。いくつかの例示的な構成では、電気外科駆動ユニット1406は、
図2の電気外科ジェネレータ12に類似しており、
図2の電気外科ジェネレータ12と同様に動作する構成要素を含むことができる。第2の出力回路1416は、プローブ1410を介して生物組織へ送達されるべき高周波電気療法信号を生成することができる。第1の出力回路1412および第2の出力回路1416は、制御回路1414に結合されており、患者への送達のために、エネルギーを生成してシステムの出力端子へ送達するように構成される。いくつかの例では、システムは、警報または他の可聴通知および/もしくは視覚通知をユーザへ提供するために、スピーカ1418および/またはディスプレイ1422を含むことができる。
【0259】
いくつかの例では、外科デバイス1402は、開示全体が本願に引用して援用される、ヤチ(Yachi)らによる「OPERATION DEVICE AND SURGICAL APPARATUS」という名称の同一出願人による米国特許出願公開第20120010539号の
図1の外科デバイスに類似のものとすることができる。米国特許出願公開第20120010539号の
図1の外科デバイスは、高周波の印加とともに超音波を利用することによって、生体組織の切開、切除などの治療を実行することができる。加えて、超音波を利用することによって、生体組織の凝固治療を実行することも可能である。
【0260】
いくつかの例では、電気外科駆動ユニット1406は、測定回路1420を含むことができる。測定回路1420は、
図2の測定回路46に類似のものとすることができ、外科デバイス1402に結合された生物組織の1つ以上の電気パラメータを測定するように構成することができる。
【0261】
適当な電力送達は、血管封止において最適の組織性能を獲得するための重要な要因となりうる。多すぎるエネルギーが速く送達されすぎると、蒸気ポケットが組織内に形成され、外科デバイスの周辺の組織を損傷する可能性がある。この現象は、「熱マージン」と呼ばれることが多い。超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムは、多くの場合、超音波エネルギーとともに、高周波エネルギー、たとえばRFエネルギーの一定のパルス繰返し数または傾斜出力などの波形を使用し、これらを互いに積み重ねる。この結果、外科デバイス先端が熱くなる、熱マージンが増大するなど、望ましくない結果が生じる可能性がある。
【0262】
本発明者らは、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムにおいて、組織からのフィードバックを監視して、望ましい蒸気ポケットが生じたかどうかを判定する必要があることを認識している。後述する様々な技法を使用して、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムは、電流の引込みの変化、インピーダンス値の変化、またはインピーダンスの経時的な変化などの組織からのフィードバックを監視して、望ましい蒸気ポケットが生じたという指示を提供することができる。この時点で、組織へのエネルギーの印加を継続する代わりに、高周波エネルギー、たとえばRFエネルギーおよび超音波エネルギーのうちの一方または両方を低減または停止することができる。
【0263】
本開示の様々な技法を使用して生物組織を修正するために超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システム、たとえば
図18のシステム1400を使用する非限定的な特有の例について、次に説明する。超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムは、超音波エネルギーを含む第1のモードおよび双極エネルギーを含む第2のモードという少なくとも2つのエネルギーモードを送達することができる。制御回路、たとえば
図18の制御回路1414は、組織のインピーダンスの表現を測定するように、測定回路、たとえば
図18の測定回路1420を制御することによって、外科デバイスに接触している組織からのフィードバックを監視することができる。たとえば、制御回路は、インピーダンス値の変化を監視することができ、これは、好ましい最大量の蒸気が組織内に生じており、さらなる蒸気が生じると熱マージンが過剰になるはずであることを示すことができる。他の例示的な実装では、制御回路は、電流の引込みおよび/またはインピーダンス値、たとえば絶対インピーダンス値の変化を監視することができる。
【0264】
インピーダンス値の変化が閾値を満たしまたは超過した後、制御回路は、超音波出力を停止するように、超音波駆動ユニット、たとえば
図18の超音波駆動ユニット1404を制御することができる。加えて、制御回路は、電気外科駆動ユニット1406の第2の出力回路1416によって生成される高周波電気療法信号の出力を低減させるように、電気外科駆動ユニット、たとえば
図18の電気外科駆動ユニット1406を制御することができる。たとえば、高周波出力は、組織内の生成された蒸気が部分的または全体的に液体に戻ることができる程度まで低減させることができる。設定時間、フィードバック制御、または両方を使用して制御回路によって判定されるこの液体状態が実現された後、たとえばユーザ決定またはフィードバック制御によって、蒸気生産限界が満たされるまで、またはエネルギー印加サイクルの終了が満たされるまで、システム1400は再び電力を印加することができる。
【0265】
図19は、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムで使用することができる熱マージン低減技法の一例を示す流れ図である。ブロック1500で、制御回路は、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされた生物組織へのエネルギーの送達を制御することができ、送達されるエネルギーは、少なくともある程度の超音波エネルギーを含む。たとえば、
図18の制御回路1414は、
図18の外科デバイス1402に接触している組織へ、超音波エネルギーを送達するように第1の出力回路1412を制御し、高周波エネルギー、たとえばRFエネルギーを送達するように第2の出力回路1416を制御することができる。一例として、外科デバイスは、顎部にHF電極を有する超音波鉗子を含むことができる。
【0266】
ブロック1502で、測定回路は、生物組織のインピーダンスなどの組織パラメータの表現を測定することができる。たとえば、
図18の測定回路1420は、電流の引込みおよび/もしくは絶対インピーダンス値などのインピーダンス値の変化、またはインピーダンスの変化(相対値)を測定する。
【0267】
ブロック1504で、制御回路は、生物組織の組織パラメータの測定された表現の特性に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させることができる。例示的な特性には、それだけに限定されるものではないが、抵抗、インピーダンス、電流、位相角、消費電流、および/または必要な電圧、ならびにこれらの特性のうちの1つ以上の変化(デルタ)、およびこれらの特性の組合せを含むことができる。たとえば、
図18の制御回路1420は、超音波エネルギーのレベルを低減させるように、
図18の第1の出力回路1412を制御することができる。いくつかの例では、制御回路1420は、超音波エネルギーの送達を終了または低減させるように、第1の出力回路1412を制御することができる。終了は、超音波エネルギーの送達の低減の一例である。
【0268】
いくつかの例では、送達されるエネルギーは、エネルギーを増大させること、またはエネルギーを一時的に低減させるが、短い期間後に以前のレベルに戻ることを可能にすることなどによって、修正することができる。エネルギーを一時的に低減させるということは、エネルギー送達のない状態またはその付近まで一時的に低減させること、たとえば中断することを意味することができる。
【0269】
いくつかの例では、制御回路は、起動に対する終点としてのエネルギーの休止とは対照的に、蒸気の凝結を可能にするためにエネルギーの送達を休止することができる。エネルギーの送達を休止することによって、システムは、流体凝結ドエルタイムを確立することができる。システムは、複合高周波/超音波療法パルスの終点を識別するために、組織パラメータを監視する必要がない。
【0270】
他の例では、制御回路1420は、電気外科エネルギーのレベルを低減させるように、第1の出力回路1412を制御することができる。いくつかの例では、制御回路1420は、電気外科エネルギーの送達を終了させるように、第1の出力回路1412を制御することができる。
【0271】
電気外科エネルギーは、上述したように、たとえば電力制御式または電圧制御式とすることができる。電力制御式の実装では、制御回路1420は、たとえば計画、レジメン、またはスケジュールに従って、係合された生物組織に印加される電圧および第2の出力回路1416による電流出力の積を使用して、電気外科エネルギーを送達するように、第2の出力回路1416を制御することができる。たとえば、制御回路は、特定の段階、たとえば乾燥段階中に、一定の電力または単調に増大する電力を送達するように、第2の出力回路1416を制御することができる。
【0272】
電圧制御式の実装では、制御回路は、たとえば計画、レジメン、またはスケジュールに従って、第2の出力回路1416によって送達される電気外科エネルギーの電圧を制御することができる。たとえば、制御回路は、特定の段階、たとえば乾燥段階中に、一定の電圧または単調に増大する電圧を送達するように、第2の出力回路1416を制御することができる。
【0273】
上述したように、制御回路は、生物組織の測定されたインピーダンス表現の特性に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させることができる。いくつかの例では、測定されたインピーダンス表現の特性は、インピーダンスの絶対値または相対値などのインピーダンス値である。いくつかのそのような例では、制御回路は、測定されたインピーダンス値と閾値とを比較し、この比較に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させるように構成することができる。たとえば、制御回路は、この比較に基づいて、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギーのうちの一方または両方の送達のレベルを低減させ、その送達のレベルを周期的に低減させ、またはその送達を終了させることができる。レベルを周期的に低減させることによって、システムは、単一の出力中に様々なステージで電力を低減させることができ、出力は完全な起動の途中である。
【0274】
他の例では、測定されたインピーダンス表現の特性は、インピーダンス値の変化である。いくつかのそのような例では、制御回路は、インピーダンス値の変化と閾値とを比較し、この比較に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させるように構成することができる。たとえば、制御回路は、この比較に基づいて、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギーのうちの一方または両方の送達のレベルを低減させ、またはその送達を終了させることができる。
【0275】
超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムに上述した技法を使用して、蒸気ポケットが生じたとき、システムの全体的な電力出力を低減させることができ、それにより望ましくない熱マージンを低減させることができる。
【0276】
低速CPUを有するシステムにおける熱マージンを制御するための段階的インピーダンス値(
図20および
図21)
多くの場合、システムに対する処理の負担を増大させることなく、高い性能を得ることが望ましい。より遅いシステムは、安価に購入または維持することができ、処理が低く維持された場合はより良好に実行することができる。
【0277】
典型的には、血管封止に使用されるデバイスの蒸気制御および熱マージン制御は、1つ以上のフィードバックシステムを監視することによって実現することができる。これは、1つもしくは複数の事象に基づく計算、または決定木タイプの構造による計算など、単一の真のフィードバック要素、または相互依存する複数のフィードバック要素とすることができる。
【0278】
そのようなシステムの一例は、遭遇した計算された最低のインピーダンスとローリング上限インピーダンスとの間の差(またはデルタ)を監視することができる。他の例では、時間に対するインピーダンス上昇率、位相角の変化、電流の引込みの変化、および電圧の変化を、組織内の蒸気生成の指標として使用することができる。
【0279】
たとえば、遭遇した計算された最低のインピーダンスとローリング上限インピーダンスとの間の差(またはデルタ)を監視するとき、より新しい反応が速いハードウェアは、特有の境界または決定点を使用して、予期の蒸気ポケットが生じたかどうかを判定し、予期の蒸気ポケットが生じた場合、そのポケットが、電力を低減させ、瞬間的に停止させ、または完全に停止させるべきであるようなサイズであるかどうかを判定することができる。旧式の反応がより遅いシステムでは、蒸気ポケットが生じる速度は同じであるが、電力を低減または停止させるための反応時間がより遅く、その結果、「蒸気ポケットのオーバーシュート」が生じる可能性があり、これはより大きい熱マージンを引き起こす可能性がある。
【0280】
例として、インピーダンス閾値が55オームに設定された場合、旧式の反応がより遅いシステムは、55オームの閾値を超過して、70オームで停止する可能性がある。対照的に、より新しい電気外科システムは、1秒当たり数百万個のサンプルのサンプリングを可能にすることができるより高速のアナログデジタル変換器、プロセッサ、および他のハードウェアを含むことができる。そのようなシステムでは、インピーダンス閾値が55オームに設定された場合、より新しいシステムは、所望の約55オームで停止させることができる。
【0281】
本発明者らは、従来の電気外科システムにおける熱マージン制御を改善する必要があることを認識している。組織作用の広範な観察によって、本発明者らは、典型的に電気外科波形の早期パルス段階によってオーバーシュートが生じ、流体の排除によって組織が脱水されるため、波形全体にわたって蒸気生成率が低下することを認識している。したがって、オーバーシュートの問題を解決し、熱マージン制御を改善するために、本発明者らは、出力内に知能を組み込むことが望ましいことを認識している。特に、本発明者らは、電気外科システムが、電気外科信号のパルスを計数することができ、パルス数に基づいて、トリガまたは閾値、たとえばインピーダンス値またはインピーダンスデルタの異なる値を割り当てることができることを認識している。このようにして、初期電気外科エネルギーパルスのうちの1つ以上の閾値を下げることができ、これにより、オーバーシュートを可能にし、したがって従来の電気外科システムの熱マージンを低減させることができる。
【0282】
上述した
図2は、本開示の熱マージン制御技法の様々な態様を実施するために使用することができる外科システムの一例を示す。
図1に示すように、
図1の外科システムは、鉗子14などの電気外科デバイスを含むことができる。鉗子14は、2つの顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38を含むことができる。いくつかの例では、2つの顎部のうちの一方を可動とすることができ、他方の顎部を静止状態とすることができる。他の例では、両方の顎部を可動とすることができる。
【0283】
本開示の熱マージン制御技法は、顎部を含む電気外科デバイスに限定されるものではないことに留意されたい。逆に、熱マージン制御技法は、スパチュラおよびスネアなどのデバイスを使用して実施することができる。
【0284】
電気外科デバイス、たとえば鉗子14は、生物組織、たとえば
図1の組織16へ電気療法信号を送達するようなサイズ、形状、および/または他の形の構成の2つ以上の電極を含むことができる。いくつかの例では、電極は、
図1のように、顎部、たとえば第1の顎部材36および第2の顎部材38と一体化することができる。他の例では、電極を顎部に結合することができる。
【0285】
図2の電源44などを含む出力回路は、患者への送達のために、電気外科エネルギーを生成して出力端子、たとえば
図2の機器インターフェース42へ送達するように構成することができる。出力端子は、
図1の鉗子14などの電気外科デバイスに結合し、電気療法信号を介して、RFエネルギーなどのたとえば高周波の電気外科エネルギーを生物組織へ送達するように構成することができる。外科システムの制御回路、たとえば
図1の外科システムの制御回路48は、出力回路に結合することができ、制御回路は、熱マージン制御技法の様々な態様を実行するように構成することができる。
【0286】
図20は、電気外科システムで使用することができる熱マージン制御技法の一例を示す流れ図である。ブロック1600で、外科医または臨床医などのユーザは、電気外科デバイスの2つの顎部間に位置決めされた組織などの患者の生物組織への電気外科エネルギーの送達を始動することができる。ブロック1602で、制御回路、たとえば
図2のシステム10の制御回路48は、送達された電気外科パルスの数を計数することができる。
【0287】
ブロック1604で、制御回路は、パラメータと閾値とを比較することができる。いくつかの例では、パラメータは、生物組織のインピーダンス、生物組織のインピーダンスの変化(またはデルタ)、生物組織のインピーダンスの変化率、送達される電気外科エネルギーパルスの電流の変化、送達される電気外科エネルギーパルスの出力電圧の変化、または位相角、たとえば生物組織に送達される電圧差と生物組織によって伝導される電流との間の位相角の変化とすることができる。いくつかの例では、測定回路、たとえば
図2の測定回路46は、パラメータを測定し、またはパラメータを計算するために制御ユニット、たとえば
図2のプロセッサ54によって使用することができる電気特性を測定する。いくつかの例では、制御回路は、測定されたインピーダンス表現が終点値、たとえば約100~600オームの終点値を満たしまたは超過するとき、複数の電気外科エネルギーパルスの送達を低減させることができる。
【0288】
ブロック1606で、制御回路は、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて、閾値を調整することができる。すなわち、閾値は、パルスごとに変化させることができる。たとえば、第2のパルスに対して、制御回路は、インピーダンスデルタをたとえば40オームから45オームに調整することができる。このようにして、制御回路は、パルスの計数に基づいて、閾値または境界を設定することができる。パルスの計数に基づいて初期電気外科パルスのうちの1つ以上の閾値を調整することで、旧式の反応がより遅い電気外科ジェネレータシステムで遅延によって引き起こされるあらゆるオーバーシュートを相殺するのを助けることができる。
【0289】
非限定的な例として、生物組織内に約55オームのインピーダンスの変化(またはインピーダンスデルタ)を生じさせるエネルギーパルスを送達することが望ましい。ユーザが電気外科エネルギーの第1のパルスの送達を始動したとき、制御回路、たとえば
図2の制御回路48は、たとえば
図2のプロセッサ54内のカウンタをリセットし、パラメータ、たとえばインピーダンスの変化の閾値を第1の値に設定することができる。たとえば、制御回路は、メモリデバイス、たとえば
図2のメモリ56から、第1のパルスに対する閾値を表すデータを取り出し、第1のパルスに対するインピーダンスデルタの閾値を、たとえば40オームを表す取り出されたデータに設定することができる。
【0290】
システムは、第1のエネルギーパルスを送達することができ、制御回路は、測定されたパラメータ、たとえばインピーダンスデルタと、40オームの閾値とを比較することができる。測定されたパラメータが40オームに到達した後、制御回路は、第1のパルスの送達を停止させることができる。旧式の反応がより遅い電気外科ジェネレータシステムにおける遅延のため、システムは、40オームの閾値を超過する可能性があり、実際にはインピーダンスデルタが約55オームに到達した後に停止する可能性がある。第1のパルスに対する閾値を下げることで、オーバーシュートによって第1のパルスの急速な上昇を可能にし、システムの反応が遅いため、55オームの実際のインピーダンスを提供することができる。上述したように、いくつかの例では、55オームのインピーダンスデルタが望ましい。
【0291】
次に、第2のパルスの送達に備えて、制御回路は、電気外科パルスの計数に基づいて、閾値を調整することができる。ここで、計数は2であり、制御回路は、第2のパルスに対する閾値を表すデータをメモリデバイスから取り出し、第2のパルスに対するインピーダンスデルタの閾値を、たとえば45オームを表す取り出されたデータに設定することができる。
【0292】
システムは、第2のエネルギーパルスを送達することができ、制御回路は、測定されたパラメータと45オームの調整された閾値とを比較することができる。測定されたパラメータが45オームに到達した後、制御回路は、第2のパルスの送達を停止させることができる。遅延のため、システムは、45オームの閾値を超過する可能性があり、実際にはインピーダンスデルタが約55オームに到達した後に停止する可能性がある。第2のパルスに対する調整された閾値は、第2のパルスのわずかに遅い傾斜率を可能にし、システムの反応が遅いため、55オームの実際のインピーダンスを提供することができる。
【0293】
次に、第3のパルスの送達に備えて、制御回路は、電気外科パルスの計数に基づいて、閾値を調整することができる。ここで、計数は3であり、制御回路は、第3のパルスに対する閾値を表すデータをメモリデバイスから取り出し(または以前に取り出されたデータを使用し)、第3のパルスに対するインピーダンスデルタの閾値を、たとえば55オームを表す取り出されたデータに設定することができる。
【0294】
システムは、第3のエネルギーパルスを送達することができ、制御回路は、測定されたパラメータと、55オームの調整された閾値とを比較することができる。測定されたパラメータが55オームに到達した後、制御回路は、第3のパルスの送達を停止させることができる。第3のパルスによって、システムが、インピーダンスデルタが55オームに到達した後に時間内に反応して停止することができるように、傾斜率を十分に遅くすることができる。
【0295】
このようにして、40オーム、45オームなどの調整にかかわらず、たとえば55オームの所望の閾値が同じまま維持されるため、初期電気外科エネルギーパルスのうちの1つ以上の閾値を人為的に下げることができる。こうして閾値を人為的に下げることで、オーバーシュートを可能にし、したがって従来の電気外科システムの熱マージンを低減させることができる。第4、第5、およびそれ以上のパルスなどの追加のパルスに対する閾値は、調整する必要がない可能性がある。たとえば、第4、第5、およびそれ以上のパルスは、たとえば55オームに設定することができる。他の例では、第3、第4、第5、およびそれ以上のパルスを調整することもできる。
【0296】
上述した階層化パルス能力に加えて、制御回路は、予測子を使用して、使用する1組のパルス比を判定または選択することができる。たとえば、比は、調整された閾値の各々と所望の閾値との間とすることができる。非限定的な例によって、例示のみを目的として、所望の閾値が55オームであり、第1、第2、および第3のパルス閾値がそれぞれ40、45、50である場合、比は、40/55、45/50、および50/55とすることができる。
【0297】
予測子は、インピーダンス上昇の可能性を識別し、調整された閾値の計算においてそれを可能にすることができる。たとえば、初期インピーダンスが高く、第1のパルス内で低いインピーダンスまで降下する組織は、探索されているインピーダンスデルタの急速な上昇、したがって百分率の低減を示すことができる。これは、初期インピーダンスがより高く、突然降下する組織が、多くの流体を有し、したがって急速な蒸気上昇が生じる組織を示すことができるからである。しかし、インピーダンスデルタが低い状態から開始し、さらに低くなる組織は、異なる比の選択子または1組の閾値を有することができる。
【0298】
予測子として使用することができる様々なパラメータは、生物組織のインピーダンス、生物組織のインピーダンスの変化(またはデルタ)、生物組織のインピーダンスの変化率、送達される電気外科エネルギーパルスの電流の変化、送達される電気外科エネルギーパルスの出力電圧の変化、または位相角、たとえば生物組織に送達される電圧差と生物組織によって伝導される電流との間の位相角の変化を含むことができる。
【0299】
いくつかの例では、制御回路、たとえば
図2の制御回路48は、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較し、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の差に基づいて、閾値を調整することができる。たとえば、測定回路、たとえば
図2の測定回路46は、たとえば第1のパルスが送達される前に、第1のインピーダンスデルタを測定し、たとえば第1のパルスが送達された後に、第2のインピーダンスデルタを測定することができる。第1のインピーダンスデルタと第2のインピーダンスデルタとの間の差に基づいて、制御回路は、特定の1組の調整済みインピーダンスを選択することができる。
【0300】
非限定的な例として、制御回路は、第1、第2、および第3のパルスに対して、それぞれ40オーム、45オーム、および55オームなどの第1の組の調整済みインピーダンスデルタ閾値を最初に選択しておくことができる。しかし、第1のインピーダンスデルタと第2のインピーダンスデルタとの間の差に基づいて、制御回路は、第1、第2、および第3のパルスに対して、それぞれ45オーム、50オーム、および55オームなどの第2の組の調整済みインピーダンスデルタ閾値を選択することができる。
【0301】
いくつかの例では、制御回路は、第1の測定されたパラメータが第2の測定されたパラメータより大きいことに基づいて、閾値を調整することができる。他の例では、制御回路は、第1の測定されたパラメータが第2の測定されたパラメータより小さいことに基づいて、閾値を調整することができる。いくつかの例では、制御回路は、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の変化率に基づいて、閾値を調整することができる。
【0302】
使用する適正な比を予測するために、他の要因を使用されることもできる。たとえば、初期インピーダンスの時間に対する減少率を使用して、上昇率、したがって適正な閾値またはトリガを示すことができる。加えて、初期インピーダンス、またはさらには以前の組織起動を予測子として使用することができる。以前の組織起動は、たとえば最後に外科医が組織を把持して起動ボタンを押したときとすることができる。
【0303】
図21は、電気外科システムで使用することができる熱マージン制御技法の別の例を示す流れ図である。制御回路、たとえば
図2のシステム10の制御回路48は、送達される電気外科パルスの数を計数することができる。いくつかの例では、制御回路は、
図2のメモリ56などのメモリデバイスから、第1(およびそれ以上)の閾値を表すデータを取り出すことができる。ブロック1700で、外科医または臨床医などのユーザは、電気外科デバイスの2つの顎部間に位置決めされた組織などの患者の生物組織への第1の電気外科エネルギーパルスの送達を始動することができる。
【0304】
ブロック1702で、制御回路は、生物組織の第1の測定されたインピーダンス表現、たとえばインピーダンスデルタと、第1の閾値、たとえば40オームとを比較することができる。いくつかの例では、測定されたインピーダンス表現は、生物組織のインピーダンス、生物組織のインピーダンスの変化(またはデルタ)、生物組織のインピーダンスの変化率、または送達される電気外科エネルギーパルスの電流の変化とすることができる。いくつかの例では、測定回路、たとえば
図2の測定回路46は、インピーダンスの表現を測定し、またはインピーダンスの表現を計算するために制御ユニット、たとえば
図2のプロセッサ54によって使用することができる電気特性を測定する。いくつかの例では、制御回路は、測定されたインピーダンス表現が終点値、たとえば約250~350オームの終点値を満たしまたは超過するとき、複数の電気外科エネルギーパルスの送達を低減させることができる。
【0305】
ブロック1704で、制御回路は、第1の測定されたインピーダンス表現が第1の閾値を満たしまたは超過するとき、第1の電気外科エネルギーパルスの送達を低減または終了させることができる。たとえば、制御回路は、測定されたインピーダンスデルタが、第1のパルスに関連付けられた40オームの閾値を満たしまたは超過するとき、第1のパルスの送達を低減または終了させることができる。
【0306】
ブロック1706で、制御回路は、パルスの計数に基づいて、第1の閾値を第2の閾値に増大させることができる。たとえば、計数が2であることに基づいて、制御回路は、第1のパルスに関連付けられた40オームのインピーダンスデルタ閾値を、第2のパルスに関連付けられた45オームの閾値インピーダンスデルタ値に増大させることができる。
【0307】
ブロック1708で、制御回路は、第2の電気外科エネルギーパルスを組織へ送達するように、電気外科ジェネレータ、たとえば
図2の電気外科ジェネレータ12を制御することができる。ブロック1710で、制御回路は、生物組織の第2の測定されたインピーダンス表現、たとえばインピーダンスデルタと、第2の閾値、たとえば45オームとを比較することができる。
【0308】
ブロック1712で、制御回路は、第2の測定されたインピーダンス表現が第2の閾値を満たしまたは超過するとき、第2の電気外科エネルギーパルスの送達を低減または終了させることができる。たとえば、制御回路は、測定されたインピーダンスデルタが、第2のパルスの調整された45オームの閾値を満たしまたは超過するとき、第2のパルスの送達を低減または終了させることができる。
【0309】
いくつかの例では、第3のパルスの送達に備えて、制御回路は、電気外科パルスの計数に基づいて、閾値を調整することができる。ここで、計数は3であり、制御回路は、第3のパルスに対する閾値を表すデータをメモリデバイスから取り出し(または以前に取り出されたデータを使用し)、第3のパルスに対するインピーダンスデルタの閾値を、たとえば55オームを表す取り出されたデータに設定することができる。
【0310】
図20に関して上述したように、予測子を使用して、使用する1組のパルス比を判定または選択することができる。たとえば、制御回路、たとえば
図2の制御回路48は、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較し、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の差に基づいて、閾値を調整することができる。たとえば、測定回路、たとえば
図2の測定回路46は、たとえば第1のパルスが送達される前に、第1のインピーダンスデルタを測定し、たとえば第1のパルスが送達された後に、第2のインピーダンスデルタを測定することができる。第1のインピーダンスデルタと第2のインピーダンスデルタとの間の差に基づいて、制御回路は、特定の1組の調整済みインピーダンスを選択することができる。
【0311】
たとえば
図20および
図21に関して上述した熱マージン制御技法を使用することによって、初期電気外科エネルギーパルスのうちの1つ以上の閾値を人為的に下げることができる。こうして閾値を人為的に下げることで、オーバーシュートを可能にし、したがって従来の電気外科システムの熱マージンを低減させることができる。
【0312】
別個に説明したが、上述した2境界閾値技法、開回路確認技法、電力補正技法、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムに対する熱マージン低減技法、ならびに熱マージン制御技法は、所望される場合、個々に、または本開示に記載する技法の2つ以上の組合せで、実施することができる。
【0313】
たとえば、2境界閾値技法を実施するシステムはまた、上述した電力補正技法、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムに対する熱マージン低減技法、ならびに熱マージン制御技法のうちの1つ以上を実施することもできる。非限定的な例によって、例示のみを目的として、2境界閾値技法を実施するシステムはまた、閾値を人為的に下げることができる熱マージン制御技法を実施することもできる。
【0314】
別の非限定的な例では、例示のみを目的として、生物組織の測定されたインピーダンス表現の特性に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させることによって、熱マージン低減技法を実施する超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムはまた、測定されたインピーダンスがインピーダンスの範囲内、たとえば0~20オームであるかどうかに基づいて、電気外科ジェネレータの電力制御に電力補正を適用することができる電力補正技法を実施することもできる。
【0315】
消費エネルギー監視および開回路評価(
図22A~
図22D)
追加の組織乾燥段階を継続するかどうかの判定を支援するために、本発明者らは、以下で詳細に説明するように、乾燥段階の終わりに、ちょうど完了した乾燥段階(またはちょうど完了した呼掛け段階および乾燥段階)中に組織へ送達されたエネルギー(および/または電荷)の量を評価することができることを認識した。印加されたエネルギー(および/または電荷)の量が、エネルギー(および/または電荷)閾値を下回り、十分なインピーダンスデルタ値を生じている場合、組織は十分に乾燥しており、プロセスは次のステージへ進むことができる。しかし、印加されたエネルギー(および/または電荷)の量が、エネルギー(および/または電荷)閾値を上回り、十分なインピーダンスデルタ値が生じている場合、組織は湿りすぎており、別の乾燥段階を必要とする。
【0316】
図22A~
図22Dは、その意思決定プロセスにおいて、とりわけ生物組織へ送達されるエネルギーの量を使用することができるエネルギー送達技法の一例の流れ図を示す。
図22A~
図22Dの流れ図に示す技法は、電力制御式として説明されているが、いくつかの例では、この技法は、電圧制御式とすることもできる。
【0317】
図22A~
図22Dの流れ図に3つのステップを示し、以下で詳細に説明する。流れ図のうち、呼掛け段階または他の低エネルギー段階とすることができるステップ1で示す部分は、電力制御ステップ(または、他の例では電圧制御ステップ)とすることができ、
図2の電気外科ジェネレータ12などの電気外科ジェネレータが、生物組織への10Wなどの低電力の電気療法信号の送達を制御することができる。いくつかの例では、ステップ1は、熱マージンを防止するために、ステップ2中に生成された組織内の蒸気が放散することが可能になる蒸気放散段階であると考えることができる。
【0318】
いくつかの例では、ステップ1は、250msなどの特有の持続時間にわたって動作するように設定することができ、その時間中、電気外科ジェネレータは、一貫した送達レベルを確実にするように、可能な限り密接に電力を制御することができる。ステップ1中、
図2の制御回路48などの制御回路は、
図2の測定回路46などの測定回路と組み合わせて、様々なパラメータを追跡することができる。たとえば、制御回路および測定回路は、特定の送達されたパルス(パルスRMaxおよびパルスRMin)(ステップ2でも追跡される)に関連付けられた最大および最小インピーダンスの測定および記憶を始めることができる。加えて、ステップ1および2での電力の印加中、制御回路および測定回路は、組織へ送達されるエネルギー(および/または電荷)の量の値を記憶することができる。
【0319】
組織へ送達されるエネルギーの量は、ジュール単位で測定することができ、ワット単位の送達される電力量の積分である。組織へ送達される電荷の量は、クーロン単位で測定することができ、アンペア単位の電流の量の積分である。組織へ送達されるエネルギーの量に関して以下に概略的に図示および説明するが、
図22A~
図22Dの技法は、追加または別法として、組織へ送達される電荷の量を使用することもできる。
【0320】
図22Aに示す方法は、ブロック1800から始まり、
図2の電気外科ジェネレータ12などの電気外科ジェネレータの電力がONにされる。ブロック1802で、この方法はステップ1に入り、電気外科ジェネレータは、一定の電力出力「A」を持続時間「B」にわたって送達することができる。ブロック1804で、測定回路および制御回路は、組織のインピーダンス値を読み取りまたは計算することができ、次いで制御回路は、それらの値を平均することができる。いくつかの例では、ステップ1中に判定される平均インピーダンスは、ステップ2の次の電力制御段階でエネルギーを印加するために選択される傾斜率に影響を与えることができる。
【0321】
図22Bにおいて、ブロック1806で、この方法はステップ2に入り、ステップ2は乾燥段階とすることができる。ブロック1806で、制御回路は、ステップ1で判定されたインピーダンス値に基づいて、電力傾斜率を自動的に選択することができる。インピーダンス値の異なる帯域または範囲は、異なる出力電力傾斜率をもたらすことができる。たとえば、1オーム~15オームなどのより低いインピーダンス範囲の場合、制御回路は、傾斜率「E」(ブロック1808)(0.05W/msなど)を選択することができ、15オーム~75オームなどの中程度のインピーダンス範囲の場合、制御回路は、傾斜率「D」(ブロック1810)(0.035W/msなど)を選択することができ、75オーム~400オームなどの高いインピーダンス範囲の場合、制御回路は、電力傾斜率「F」(ブロック1812)(0.035W/msなど)を選択することができる。いくつかの例では、
図4にt
1-t
2およびt
2-t
3で示すように、速い第1の傾斜率およびより遅い第2の傾斜率など、2つの傾斜率のみが存在することができる。ブロック1814で、電力傾斜率が選択された後、制御回路は、累積パルスエネルギー(および/または電荷)値を0に設定し、ブロック1816で、電気療法信号を介して組織に電力を印加するすることができる。
【0322】
次に、この方法は、ブロック1818での制御回路による組織のインピーダンスの読取りまたは計算、およびブロック1820でのこの特定のパス中に印加されるエネルギー(および/または電荷)の読取りまたは計算を含む動作を、並行して実行することができる。いくつかの例では、並行して実行されるのではなく、これらの動作を混ぜ合わせて単一のプロセスにすることができる。
【0323】
ブロック1820で、制御回路は、生物組織へのこのパス中に印加されるエネルギー(たとえばジュール単位)(および/または電荷、たとえばクーロン単位)を読み取って計算することができる。次いで、ブロック1822で、制御回路は、このパス中に印加されるエネルギー(および/または電荷)を、パルスエネルギー(および/または電荷)値に加算して、印加された累積エネルギー(および/または電荷)値を生成することができる。
【0324】
図22Aに示す例では、印加されるエネルギーの計算と並行して、ブロック1818でインピーダンスを計算した後、
図2の制御回路48は、ブロック1824で、インピーダンスが以前のインピーダンスRminより低いかどうかを判定することができる。いくつかの例では、最小インピーダンスRminを判定するとき、制御回路は、1000オームなどのデフォルト初期インピーダンスで開始することができる。たとえば、次の測定または計算されたインピーダンスが20オームである場合、20オームが新しい最小インピーダンスRminになる。同様に、次の測定または計算されるインピーダンスが15オームである場合、15オームが新しい最小インピーダンスRminになる。最小インピーダンスRminは、ステップ1または現在のインピーダンスの読取りから得ることができる。
【0325】
現在のインピーダンスの読取りが、以前のインピーダンスRminより低い場合(ブロック1824の「はい」の分岐)、ブロック1826で、制御回路は、現在のインピーダンスの読取りを、新しい最小抵抗値Rminとして記憶することができる。次いで、ブロック1828で、制御回路は、特有の電力傾斜率軌道などに沿って、電力を増大させることができる(電力は時間に対して増大される)。
【0326】
ブロック1830で、制御回路は、電力がステップ2に対する最大電力レベル(電力「H」)より大きいかどうかを判定することができる。電力が最大電力レベル以下である場合(ブロック1830の「いいえ」の分岐)、プロセスはブロック1816へ戻り、別のパスが開始される。しかし、電力が最大電力レベルより大きい場合(ブロック1830の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1832で、電力傾斜率を調整することができ、または第2の傾斜率に変化させることができる。いくつかの例では、第2の傾斜率は第1の傾斜率より遅い。
【0327】
ブロック1834で、制御回路は、印加された電力が最大電力レベルより大きいかどうかを判定することができる。電力が最大電力レベル以下である場合(ブロック1834の「いいえ」の分岐)、プロセスはブロック1816へ戻り、別のパスが開始される。しかし、電力が最大電力レベルより大きい場合(ブロック1834の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1836で、電力傾斜率を最大電力レベルの設定に変化させることができ、次いでプロセスはブロック1816へ戻り、別のパスが開始される。
【0328】
決定ブロック1824を再び参照すると、現在のインピーダンスの読取りが最小インピーダンスRmin以上である場合(ブロック1824の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック1838で、現在のインピーダンスの読取りが、最小インピーダンスRminにインピーダンスデルタを足した値より大きいかどうかを判定することができる。現在のインピーダンスの読取りが、最小インピーダンスRminにインピーダンスデルタを足した値以下である場合(ブロック1838の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック1828へ進むことができ、この方法は、上述したように継続することができる。
【0329】
いくつかの例では、測定された電流が最大電流の所定の割合より小さいかどうかを判定することとは対照的に、ステップ1824で、制御回路48は、測定された電流が、パルスの始動後に所定の時間間隔で測定された電流値の所定の割合(またはオフセット)より小さいかどうかを判定することができる。インピーダンス監視システムの場合、制御回路48は、測定されたインピーダンスが、パルスの始動後に所定の時間間隔で測定された抵抗値の所定の割合(またはオフセット)より大きいかどうかを判定することができる。
【0330】
しかし、現在のインピーダンスの読取りが、最小インピーダンスRminにインピーダンスデルタを足した値より大きい場合(ブロック1838の「はい」の分岐)、制御回路は、決定ブロック1840へ進むことができる。非限定的な例によって、インピーダンスデルタを55オームとすることができ、現在のインピーダンスの読取りを75オームとすることができ、最小インピーダンスRminを15オームとすることができる。この非限定的な例では、現在のインピーダンスの読取り、たとえば75オームが、最小インピーダンスRmin、たとえば15オームに、インピーダンスデルタ、たとえば55オームを足した値より大きい場合(ブロック1838の「はい」の分岐)、制御回路は、決定ブロック1840へ進むことができる。
【0331】
上述したように、制御回路は、現在のインピーダンスの読取りと最小インピーダンスRminとの間に設定された差が存在したかどうかを判定した。差が設定量、たとえば55オームより大きかった場合、制御回路はここで、以前のステップ1および現在のステップ2のこの時点の段階中に、どれだけのエネルギーが送達されたかを確認することができる。ブロック1840で、制御回路は、印加されるエネルギー(または電荷)の量が、20ジュール(または2クーロンの電荷)などのエネルギー閾値(または電荷閾値)より小さいかどうかを判定することができる。印加されるエネルギーの量が、エネルギー閾値以上である場合(ブロック1840の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック1842で、最小インピーダンスRminをリセットし、ステップ1へ戻ることができる。最終的に、システムは、ステップ2の第2の乾燥サイクルへ戻る。このようにして、制御回路は、送達されたエネルギーの量が閾値エネルギー値を超過した場合、第2の乾燥段階中に、係合された生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができる。
【0332】
しかし、印加されたエネルギーの量(または印加された電荷)がエネルギー閾値(または電荷閾値)より小さい場合(ブロック1840の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1844に示すように、パルスを終了し、ステップ3へ進むことができる。このようにして、制御回路は、送達されたエネルギーの量が閾値エネルギー値より小さい場合、終了段階中に、係合された生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができる。
【0333】
ステップ3は、終了段階とすることができ、
図22Cのブロック1846で始まる。ブロック1846で、制御回路は、標的最終インピーダンスを記憶または記録することができる。いくつかの例では、標的最終インピーダンスは、設定された最後の数とすることができる。いくつかの例では、標的最終インピーダンスは、このステップで読み取られまたは計算された最低インピーダンス値からのデルタ計算に、所定の百分率またはデルタ値を足した値とすることができる。たとえば、このステップに対する最小インピーダンスRminが20オームである場合、最終標的インピーダンスに280オームの所定のデルタを加算して、標的最終インピーダンスの値を300オームに設定することができる。いくつかの例では、標的最終インピーダンスは、パルスの始動後の所定の時間間隔後に得られたインピーダンス測定値からのデルタ計算に、所定の百分率またはデルタ値を足した値とすることができる。
【0334】
いくつかの例では、標的最終インピーダンスは、乾燥パルスなどのパルスの数に依存することができる。たとえば、終点がパルス数に依存し、かつ2つのパルスが組織へ送達される場合、最終インピーダンス値は320オームになりうる。しかし、5つのパルスが組織へ送達される場合、最終インピーダンスは280オームになりうる。終点が2秒などの所定の時間量内に実現されなかった場合、この方法は、組織から流体をさらに駆動して満足のいく終点インピーダンスに到達しようとして、ステップ1へ戻ることができる。
【0335】
ブロック1848で、制御回路は、電気外科デバイスの2つの顎部間の位置決めされ、または1つ以上の電極に接触しているものなど、生物組織への電気外科エネルギーの送達などに応答して、タイマをリセットおよび始動することができる。時間間隔に到達する前に、現在のインピーダンスの読取りとこのパルスに対する最小インピーダンスRminとの間の所定のインピーダンスデルタが満たされなかった場合、出力は第1のステップへ戻り、これは、組織がなお多すぎる水を含有していることを示すことができる。
【0336】
ブロック1850で、制御回路は、電力出力を電力レベル「I」に設定することができる。いくつかの例では、制御回路は、一定の電力傾斜率を使用して、組織への電気療法信号の送達を制御することができる。いくつかの例では、ステップ3の一定の電力傾斜率は、ステップ2などの以前の傾斜率より遅くすることができる。制御回路は、非限定的な例の320オームなどの最終インピーダンス値に到達するまで、一定の電力傾斜率を使用して、送達を継続することができる。
【0337】
ブロック1852で、制御回路は、組織のインピーダンスの監視を始めることができる。以下で説明するように、制御回路は、ブロック1862および1872などで、生物組織のインピーダンスの表現と閾値とをたとえば断続的に比較し、閾値が満たされるまで、電気外科エネルギーの送達を継続することができる。ブロック1854で、制御回路は、電力を一定の電力傾斜率「J」へ増大させることができる。いくつかの例では、電気外科エネルギーを一定の電力傾斜率で送達する前に、制御回路は、電気外科エネルギーを一定の電力で送達することができる。
【0338】
ブロック1856で、制御回路は、電力がステップ3の最大電力レベルより大きいかどうかを判定することができる。電力がステップ3の最大電力レベルより大きい場合(ブロック1856の「はい」の分岐)、制御回路は、
図22Dのブロック1858で、電力をステップ3の最大電力レベルに設定することができる。ブロック1858で電力をステップ3の最大電力レベルに設定した後、または電力がステップ3の最大電力レベル以下である場合(ブロック1856の「いいえ」の分岐)、制御回路は、決定ブロック1860で、タイマ値と時間間隔「R」とを比較することができる。
【0339】
タイマ値が時間間隔「R」以下である場合(ブロック1860の「いいえ」の分岐)、この方法はブロック1854へ戻ることができ、制御回路は電力を増大させることができる。しかし、タイマ値が時間間隔「R」以上である場合(ブロック1860の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1862で、インピーダンスが、このパルス内の最小値に所定のデルタインピーダンスを足した値より大きいかどうかを判定することができ、所定のデルタインピーダンスは、測定されたインピーダンスと、このパルス内で測定されたインピーダンスの最低値との間の差である。
【0340】
制御回路が、インピーダンスが、標的インピーダンスから所定のデルタインピーダンスを引いた値以下であると判定した場合(ブロック1862の「いいえ」の分岐)、この方法は、ブロック1864に示すように、ステップ1へ戻ることができる。このようにして、制御回路は、たとえば断続的に測定されたインピーダンスが所定のデルタインピーダンス値だけ変化したことに応答して、療法段階中、エネルギー送達を低減または終了させることができる。
【0341】
しかし、制御回路が、インピーダンスが、標的インピーダンスから所定のデルタインピーダンスを引いた値より大きいと判定した場合(ブロック1862の「はい」の分岐)、この方法は、ブロック1866へ進み、電力を電力傾斜率「J」へ増大させることができる。
【0342】
決定ブロック1868で、制御回路は、現在の電力がステップ3の最大電力レベルより大きいかどうかを判定することができる。現在の電力がステップ3の最大電力レベルより大きい場合(ブロック1868の「はい」の分岐)、制御回路は、ブロック1870で、電力をステップ3の最大電力レベル「Q」にリセットすることができる。
【0343】
ブロック1870で電力をステップ3の最大電力レベルに設定した後、または電力がステップ3の最大電力レベル以下である場合(ブロック1868の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック1872で、インピーダンスが標的最終インピーダンス「P」より大きいかどうかを判定することができる。制御回路が、インピーダンスが標的最終インピーダンスより大きいと判定した場合(ブロック1872の「はい」の分岐)、封止は完全であり、制御回路は、ブロック1874で、電気外科ジェネレータをOFFにすることができる。しかし、制御回路が、インピーダンスが標的最終インピーダンス以下であると判定した場合(ブロック1872の「いいえ」の分岐)、制御回路は、ブロック1876で、タイマがステップ3の最大出力タイマより大きいかどうかを判定することができる。
【0344】
タイマがステップ3の最大出力タイマより大きい場合(ブロック1876の「はい」の分岐)、この方法は、ブロック1878に示すように、ステップ1へ戻ることができる。たとえば、タイマがタイムアウトした場合、これは、以前のステップ中に組織が十分に脱水されなかったことを示すことができる。しかし、タイマがステップ3の最大出力タイマ以下である場合(ブロック1876の「いいえ」の分岐)、この方法は、ブロック1866へ戻り、電力傾斜率を増大させることができる。
【0345】
いくつかの例では、ブロック1860のタイマを使用して、潜在的な開回路条件を検出することができる。たとえば、
図1の鉗子14などの電気外科デバイスの顎部が、封止処置中に開いた場合、電気外科ジェネレータは、それに付随するインピーダンスの上昇が、組織が乾燥した結果であると誤って判定する可能性がある。
【0346】
図22A~
図22DのパラメータA~Sに対する非限定的な値が、以下の表1に示されている。
【0347】
【0348】
本開示によれば、ステップ3中、ブロック1860のタイマを開始することができる。標的最終インピーダンス(または閾値)に到達したとき、制御回路は、経過時間を記録することができる。閾値時間限界の前など、非常に短い期間で標的最終インピーダンス(または閾値)に到達したとき、制御回路は、封止の完了ではなく、開回路が生じたと判定し、エラー状態を宣言することができる。言い換えれば、制御回路は、経過時間が時間限界より小さい場合、エラー状態を宣言することができる。時間限界は、50ms、100ms、または別の期間とすることができる。
【0349】
たとえば、制御回路は、最小の測定されたインピーダンスRminと、現在のまたは最大の測定されたインピーダンスとの間の差を判定し、判定された差と、所定のデルタインピーダンス値とを比較することができる。いくつかの例では、制御回路は、この比較に応答して、電気外科エネルギーの電力傾斜率を増大させることができる。制御回路は、ブロック1862などで、判定された差が所定のデルタインピーダンス値を満たしまたは超過するまで、またはブロック1858などで、電力限界に到達するまで、ブロック1854などで、電力傾斜率の増大を継続することができる。
【0350】
しかし、いくつかの例では、判定された差が所定のデルタインピーダンス値以上であり、かつタイマが閾値時間限界より大きい場合、制御回路は、エラー状態を宣言し、エラー信号を生成することができる。いくつかの例では、開回路エラー信号は、制御回路に、
図2のユーザインターフェース50などを使用して、エラーメッセージをユーザへ通信させ、電気外科デバイスへの電力を迅速に終了させることができる。
【0351】
いくつかの例では、制御回路は、タイムマークで電力を終了させない。代わりに、電力は、最終インピーダンスに到達するまで継続することができる。この時点で、制御回路は、時間間隔を評価して、緩和動作が必要かどうかを確認することができる。たとえば、設定された時間間隔または閾値が長すぎると、特に迅速に封止する薄い組織において、誤った負(たとえば、良好な封止が形成されたが、システムは開回路が存在すると判定している)が生じる可能性がある。設定された時間間隔または閾値が短すぎると、偽の正(たとえば、良好な封止が形成されなかったが、システムはエラーを検出しない)が生じる可能性があり、これは、たとえばユーザが顎部をゆっくりと開いたときに生じる可能性がある。
【0352】
パルス間のドエルタイム
パルス波形を使用して、電気療法信号を送達することが望ましい。電気外科信号のパルス化により、デバイスの顎部間の組織を加熱することができる。パルス化がない場合も、組織を加熱することができ、ますます多くのエネルギーが印加されるにつれて、典型的には増大する異なる温度範囲を組織が通過すると、組織内の流体は沸点に到達することができる。沸点は、沸騰している流体の組成、および顎部が組織を締め付ける圧力(圧力を変化させると沸点が変わる)に依存しうる。この結果、蒸気の生成が生じる。
【0353】
蒸気が生じると、組織インピーダンスを増大させることができ、その結果、組織を流れる加熱電流が少なくなり、より多くの電圧が組織内へ駆動される。蒸気は蒸気ポケットに成長し、蒸気は蒸発すると相変化するため、ここでポケットの体積がはるかに大きくなる。この新しい体積がより大きくなることで、インピーダンスがさらに増大し、したがって同じ電力入力を実現するためにより多くの電圧が必要とされる。しばらくして、蒸気は次に、顎部間の以前の場所から遷移して、周辺組織へ延びる。
【0354】
これらの蒸気ポケットを通る電力により高い電圧が必要とされる結果、顎部などのエネルギー印加面への組織の粘着性が増大し、印加部位から周辺組織へしみ出している蒸気は、熱マージンと呼ばれる障害になる。熱マージンは、構造を損傷する可能性があり、これは組織修正のために意図したものではなく、最終的に、術後の組織の壊死、および生命維持に不可欠の器官または器官構造の穿孔を招く可能性がある。周辺組織への蒸気ポケットの伝播、およびより高い駆動電圧の必要に打ち勝つために、現在利用されている1つの制御方法はパルス化である。
【0355】
パルス化は、組織を修正することができるレベルで組織へ送達されるエネルギーの印加に休止が存在することである。いくつかの例では、エネルギー送達は、ある期間にわたって停止される。他の例では、エネルギーが顕著な組織作用を有しないレベルまで、エネルギーレベルを低減させることができる。制御回路への組織状態の連続フィードバックまたはほぼ瞬時のフィードバックを可能にするために、送達を完全に停止させるのではなく、少なくともある程度のエネルギーを組織に印加することが望ましい。
【0356】
いくつかの手法では、250msの固定の周期を、休止周期または「ドエルタイム」として使用することができ、これにより、エネルギーが再印加される前に組織の蒸気ポケットが大幅に凝縮されることを確実にすることができる。ドエルタイムは、第1のパルスに続いて第2のパルスに先行する時間間隔である。250msより小さいドエルタイムが使用された場合、蒸気ポケットは十分になくならない可能性があり、次のエネルギー印加により、蒸気ポケットが急速に元の状態に戻る可能性がある。
【0357】
典型的には、250msより短い休止を有する第1のパルスに当てはまるが、後続のパルスでは不明確になる。第2のパルスの場合、どのような体積の組織およびそれに関連する水分が顎部間に存在するかに応じて、200msなどのドエルタイムが適当となりうる。その後のパルスは、この時点ではるかに低減されているデバイスの顎部間の流体含有物の再凝結を可能にするために、さらに少ない時間を必要としうる(たとえば、第5のパルスは50ms以下を必要としうる)。
【0358】
これらの「ドエルタイム」中、流体は標的組織へ戻る可能性がある。ドエルタイム中、ジェネレータは、組織作用を引き起こさないように十分に低い低電力信号を、組織へ提供することができる。典型的には、組織厚さのわずかな減少が血管封止の結果として留意され、押し出された組織は流体を含む。また、蒸気が高い圧力を有し、デバイス印加板間の区域から、細胞外流体などのより可動の要素を押し出すことによって、流体を追い出すこともできる。
【0359】
しかし残念ながら、すべての組織が同じ流体レベルまたは組織流体移動度を有するわけではなく、同じ量の組織の厚さまたは幅が、各封止に対してデバイスの顎部間に把持されているわけでもない。したがって、パルス間の休止周期の固定の標準的な低減は、効果的または正確な休止時間コントローラを提供しない可能性がある。
【0360】
加えて、全体的な起動を可能な限り短くするために、製品圧力が存在することがある。長いドエルタイムを推定し、そのような長い時間必要としないドエル周期に対してもそれを適用するという控えめな選択は、全体的な起動を不必要に延ばす可能性がある。全体的な起動の不必要な延長は、手術時間を長くする可能性があり、とりわけユーザの疲労を増大させる可能性がある。
【0361】
上述した問題に打ち勝つために、本発明者らは、制御回路が、顎部間の組織に関して分かっている特性を利用して、最も適当な低減された休止周期を正確に予測することができることを認識している。たとえば、制御回路は、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータセットに照会することができ、組織に関する1つ以上の既知の特性を使用して、低減された休止周期または「ドエルタイム」を判定することができる。低減されたドエルタイムは、低い熱マージンに影響することなく、封止サイクルの全体的な起動時間を低減させながら、それでもなお確実な封止に高い信用性を提供することができる。
【0362】
いくつかの例では、
図2の制御回路48などの制御回路は、外科デバイスの2つの電極と電気的に通信し、たとえば2つの電極に物理的に係合され、2つの電極間に位置決めされ、または他の方法で2つの電極に結合された生物組織へ、第1および第2の電気外科エネルギーパルスを送達することができ、第1および第2の電気外科エネルギーパルスは、対応するドエルタイムによって互いから分離される。次いで、制御回路は、第1の電気外科エネルギーパルスに続いて、電気外科エネルギーパルスのうちの少なくとも1つに対応するドエルタイムを判定することができる。
【0363】
いくつかの例では、
図2の制御回路48などの制御回路は、組織に印加されるエネルギーの量を判定および使用して、最適化されたドエルタイムを判定することができる。デバイスの顎部間の流体の量は、既知のエネルギー印加率で沸騰するために、特定の量のエネルギーを必要とする。制御回路は、組織に熱力学的変化を生じさせるためにどれだけのエネルギーが顎部へ送達されたかを判定することによって、どれだけの流体が存在するかを推定することができる。制御回路は、送達されたエネルギーの判定された量を使用して、記憶されているデータセットに照会し、適当な対応するドエルタイムを識別することができる。大量のエネルギーを使用して、大きい蒸気生成パルスサイクルが生じた場合、制御回路は、凝縮のためにより長いドエルタイムを提供することができ、より少量のエネルギーを使用して、より小さい蒸気生成パルスサイクルが生じた場合、制御回路は、凝縮のためにより短いドエルタイムを提供することができる。
【0364】
他の例では、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータセットを使用するのではなく、制御回路は、顎部に印加された判定されたエネルギーの比として、ドエルタイムを判定することができる。他の例では、制御回路は、顎部に印加された判定されたエネルギーの係数として、ドエルタイムを判定することができる。非限定的な例として、顎部に印加されたエネルギーが20ジュールであった場合、待機時間は200ms(X*10ms)とすることができる。したがって、30ジュールは300msに対応することができる。等式X*10は一例であり、限定することを意図したものではない。これはまた、対数スケールまたは他の数学的な比の項の一部とすることができる。
【0365】
加えて、顎部間の組織を(設定されたまたは既知の可変電力で)沸騰させるために要する期間は、次の組織修正レベルのエネルギーを組織に印加する前に十分な凝結機構が生じたことを確実にするために十分に長いドエルタイムを判定する別の方法である。いくつかの例では、制御回路は、沸騰の手前で、または可能な限りわずかな沸騰で、電力を遮断しようとすることがある。制御回路は、組織を沸騰させるためにより長い期間を要する場合、より多くのエネルギーが組織へ送達されているはずであるため、より長いドエルタイムが必要であると判定することができる。たとえば、制御回路は、パルスを送達するときにタイマを始動し、組織が沸騰したまたは沸騰に近接しているかどうかを判定することができ、そのような場合、タイマを停止させ、タイマと対応するドエルタイムに関連付けられた1つ以上の値とを比較し、この比較に基づいて、ドエルタイムを判定または選択することができる。タイマ値が増大すると、ドエルタイムを増大させることができる。非限定的な例として、例示のみを目的として、組織を沸騰またはほぼ沸騰させるために30ジュールを要する場合、250msのドエルを使用することができ、組織を沸騰またはほぼ沸騰させるために18ジュールを要する場合、150msのドエルを使用することができる。これらの値は、使用されているデバイスの顎部の表面積、または他の要因に依存することができる。
【0366】
組織に印加されるエネルギーは、生じた蒸気の量の強い指標となりうるが、組織のインピーダンスもまた、設定の精度に影響することができる。たとえば、組織がより高い電気インピーダンスを有する場合(脂肪など)、組織を沸騰させるにはより多くの電圧およびより少ない電流を要する可能性があり、組織の伝導性が非常に高い場合、電流がその仕事をし、同じ量のエネルギーでより大きい蒸気ポケットを生じさせる。したがって、エネルギー印加を使用して、ドエルタイムを判定し、沸騰作用を生じさせるために使用された組織インピーダンスおよびエネルギーをさらに判定および使用するシステムが望ましい。
【0367】
制御回路は、信号を確認または改善するために、電流、リアクタンス、インダクタンス、インピーダンス、抵抗、電力、位相角、およびエネルギーのうちの1つ以上を含む他の電気特性を使用して、ドエルタイムを判定することができる。
【0368】
蒸気は、送達された電流の結果であり、それにより組織内の分子が励起され、加熱が引き起こされる。組織を加熱するためにより多くの電流が必要とされるとき、より多くの流体が組織内に存在することが示唆され、組織構造自体が流体含有物より非常に抵抗率が高いことが理解される。したがって、電気療法信号の機能、たとえば信号がエネルギーをどのように印加するかに応じて、制御回路は、以前のパルス内で印加されたピーク電流、または時間の関数として送達された電流、またはその以前のパルス内で送達された電流の総量を判定することが望ましい。制御回路は、判定された電流を使用して、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータセットに照会し、比較に基づいてドエルタイムを判定または選択する。
【0369】
たとえば、
図2の制御回路48などの制御回路は、組織への電力を制御および印加することができ、電流および電圧は、組織インピーダンスに応じて流動することが可能である(これは、概略的な理解のための簡略的な説明である)。制御回路は、送達された電流の量を積分することなどによって、以前のパルス内で印加された電流の総量を判定することができ、これは、エネルギー印加中にどれだけの蒸気が生じた可能性があるかを理解するのを支援することができる。電流(I)は、時間に対する電荷(Q)の変化率に等しい(I=dQ/dt)。したがって、ある期間における電流Iの積分は、その期間中の電荷(Q)の総量に等しい。
【0370】
組織へ送達されたエネルギーの総量を使用する代わりに、本発明者らは、送達された電荷の総量を使用して、ドエルタイムを判定することができると判定した。いくつかの例では、制御回路は、電荷の総量の比として、または電荷の総量の係数として、ドエルタイムを判定することができる。他の例では、制御回路は、ルックアップテーブルなどの記憶されているデータセットを使用して、電荷の総量を使用してドエルタイムを判定することができ、または何らかの他の数学的に導出された計算を使用することによって、すべてのエネルギーパルスに対して同じである必要のない適当なドエルタイムを提供することができる。
【0371】
ドエルタイムは、上述した他の係数または除外を含むことによって、さらに改良することができる。そのような除外の一例としては、300msより大きい期間にわたって電流が送達された場合に、顎部内の組織の量が顕著な衝撃を与える可能性があるため、制御回路がドエルタイムを低減させることができることを挙げることができる。したがって、制御回路は、タイマを始動し、タイマと300msなどの閾値とを比較し、この比較に基づいてドエルタイムを判定することができる。別法として、位相角などの1つ以上のフィードバック信号を使用して、エネルギー伝導要素間の組織の組成を予測することができる。次いで、制御回路は、適当なドエルタイムを判定するための指標として、これらのフィードバック信号を計算に入れることができる。
【0372】
監視される変数の関数としての制御パラメータの増分調整
コラーゲンの初期遷移は、コラーゲン原繊維に共形変化が生じる摂氏約58(±10)度(℃)で生じる。主な遷移は、約65(±10)℃で生じることができ、これは、水和環境でのコラーゲンのゲル化プロセスに対応し、内部架橋の破壊によって引き起こされる。他の重要および顕著な温度は、組織修正を制限する。約90~100℃の一般的な組織温度で、組織内で追加の相変化が生じ始め、水から蒸気への変換が最も顕著である。この変化は、蒸気が抵抗性を有し、これは組織から流体を奪うエネルギーを駆動するが、隣接構造への移動を介して、周辺組織を損傷することもあることから望ましくない。この変化は、そのような損傷を制御することができず、顎部専有面積の外側の組織に影響を与える可能性があることから望ましくない。
【0373】
臨床の観点から、これは、外科医がデバイスを使用して繊細な隣接構造付近で起動するとき、あらゆる潜在的な「熱拡散」に注意しなければならないことを意味する。これは望ましくなく、穿孔および壊死などの偶発的な組織の損傷を招く可能性がある。これらはどちらも、すぐに発生しうるが、なお悪いことには、エネルギーの印加から何日もたった後に発生することもある。
【0374】
蒸気を含有する組織はまた、液体状態の水を含む同じ組織より電気抵抗が強い。これは、組織の状態変化を駆動するエネルギーのより多くが、電流から電圧に変換されることを意味する。電流は典型的に、分子の励起を介して加熱する働きをするため、良好な血管封止のために蒸気段階の時間を制限することが有利である。
【0375】
本発明者らは、制御が失われて気泡領域の生成が生じる前に、有利なコラーゲン遷移状態で電力出力をより長く維持しようとする電力制御式(または電圧制御式)の改善された技法が必要であると認識している。以下で詳細に説明する様々な技法を使用して、
図2の電気外科ジェネレータ12などの電気外科ジェネレータは、生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数としてのエネルギー送達の増分変化に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができる。
【0376】
組織にエネルギーを印加することで、蒸気を生成することができる。蒸気の量が増大するにつれて、インピーダンスも増大する。インピーダンスの増大は、蒸気の生成を示すことができる。インピーダンスが増大するにつれて、送達される電力と同じ量で、電流は減少し、電圧は増大する(P=V*I)。制御回路が、蒸気が生成されていると判定した後に、制御回路が、同じ量の電力の印加を継続した場合、蒸気生成が望ましくなく増大する可能性があり、隣接組織に悪影響を与えるおそれがある。しかし、本開示の様々な技法を使用することによって、制御回路は、電流またはインピーダンスなどの電気パラメータの変化を監視することができ、たとえば蒸気が大量に生成された状態ではなく、蒸気がちょうど生成され始めた状態で組織を維持するように、電力を低減させることができ、これは、望ましくなく熱マージンを生じさせることなく、コラーゲンに影響を与えるために望ましい。
【0377】
図2の制御回路48および測定回路46などの制御回路および測定回路は、ジェネレータの電流出力を監視することができ、電流の増大または減少を、対応する出力電力の増大または減少に変換することができる。いくつかの例では、電流の増大または電流の減少と、後に電力を増大させまたは電力を減少させる制御との間の相関関係は、正比例とすることができる。
【0378】
いくつかの例では、制御回路は、電流またはインピーダンスなどの測定された電気パラメータの変化に応じて異なる電力を提供するように、電力印加をスケーリングすることができる。スケーリングは、生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数とすることができる。いくつかの例では、この関数は曲線を画定することができる。他の例では、この関数は、電流またはインピーダンスなどの測定された電気パラメータの値の変化から、1秒当たりのワットまたはボルトなどの単位の電力または電圧の変化への線形変換など、線形方程式とすることができる。電力(または電圧)は、電流が変化するにつれて増大または減少することができる。いくつかの例では、線形方程式は単調とすることができる。いくつかの例では、最小値および最大値のうちの一方または両方は、制御回路が電力または電圧の変化を制限することができるように定義することができる。
【0379】
図23は、測定された電気パラメータの値の変化と電力の変化との間の関係の一例を示すグラフである。単位時間当たりの電流の変化と、単位時間当たりのワット単位の電力の変化との間の関係として具体的に示されているが、記載する技法は、電流または電力に限定されるものではない。
図23に示す例では、グラフ2100のy軸は、ワット/秒を表すことができ、x軸は、電流の変化/秒を表すことができる。
【0380】
一例では、線2102を画定する線形方程式は、電流の変化またはデルタ電流値がゼロのとき、電力の変化が正になるように、この線が原点を通過しないようなオフセットを含むことができる。たとえば、電力の変化と電流の変化との関係を示すグラフ2100では、線2102は、正の勾配を有することができ、4半分I、II、およびIIIを通って延びることができる。別の例として、電圧の変化と電流の変化との関係を示すグラフでは、線は、負の勾配を有することができ、4半分I、II、およびIVを通って延びることができる。
図23に示す例では、最大傾斜率2104および最小傾斜率2106のうちの一方または両方を、制御回路がたとえば電力の変化率を制限することができるように定義することができる。
【0381】
一例では、測定された電気パラメータの変化と、エネルギーの増分変化との間の関係は、ルックアップテーブルなどのデータセット内に記憶することができる。制御回路は、記憶されているデータセットに照会し、生物組織の測定された電気パラメータの変化と、記憶されているデータセットとを比較し、この比較に基づいて、エネルギー送達の増分変化を判定することができる。
【0382】
関数、たとえば線形関数を使用するか、または記憶されているデータセットを使用するかにかかわらず、制御回路は、電流の変化などの電気パラメータを監視することができ、したがって制御回路は、電力または電圧などの制御パラメータに対して実時間(または「オンザフライ」)の調整を行って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができる。このようにして、制御回路は、生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数として、生物組織へ提供される療法信号の電力または電圧を制御することができる。たとえば、制御回路は、電流の関数として、電力または電圧を増分的に修正することができる。
【0383】
非限定的な例によって、わずかな正の電流率変化が、中程度の電力率変化をもたらすことができる。別の例として、ゼロの電流率変化が、負の電力率変化をもたらすことができる。別の例として、負の電流率変化が、大きい負の電力率変化をもたらすことができる。別の例として、大きい電流率変化が、大きい電力率変化をもたらすことができる。電流デルタ(電流の変化とも呼ばれる)を監視することによって、異なる組織結果を駆動することができる異なる電力制御を適用することができ、または異なる印加デバイスに対応するように異なる電力制御を修正することができる。
【0384】
電力を印加するとき、組織はまだ沸騰していないため、電流は増大することができ、組織が加熱されるにつれて、組織の導電性はより高くなる。したがって、電力を増大させるには、より電流が必要とあれる。本開示の様々な技法を使用して、
図2の制御回路48などの制御回路は、電流がなお増大しているため、電力が増大することを可能にすることができ、それにより、コラーゲンが変性するのに要する時間を速めることができることが望ましい。最終的に、組織の破裂が生じることなく電力を組織にそれ以上速く印加することができない状態に到達する。組織の破裂を避けるために、制御回路は、組織に印加される電力(または電圧)を制限するための電力(または電圧)の最大値を定義することができる。
【0385】
蒸気の量が増大するにつれて、インピーダンスも増大する。インピーダンスが増大するにつれて、送達される電力と同じ量だけ、電流は減少し、電圧は増大する(P=V*I)。制御回路が、蒸気が生成されていると判定した場合、制御回路は、電力を急速に降下させることができるが、蒸気の生成を停止させるほど急速ではない。インピーダンスが引き続き増大すると、制御回路は、インピーダンスの変化から送達されたエネルギーの量を判定することができる。送達されたエネルギーの判定された量を使用して、制御回路は、電力の印加を停止させて瞬間的に休止し、蒸気がしぼむことを可能にすることができる。
【0386】
生物組織は塩を含み、組織にエネルギーが印加されたとき、ナトリウムが燃焼する可能性がある。燃焼しているナトリウムは、非常に高い伝導性を有することができ、これは電力または電圧を増大させるかまたは減少させるかを判定するために使用される測定値をゆがめる可能性がある。ナトリウムの燃焼などのわずかな急速な変化に基づく実時間決定を避けるために、
図2の電気外科ジェネレータ12などの電気外科ジェネレータは、様々なフィルタを含むことができ、またはそのようなフィルタを実施することができる。一例として、電流デルタの変化を考慮するとき、ジェネレータ出力を平滑にするために、電流サンプリングにフィルタを追加することができる。フィルタリングの周波数は、ジェネレータ制御CPUの処理速度に依存することができる。
【0387】
いくつかの例では、制御回路は、提案された電力(または電圧)の増大が生じるべきか、または減少が生じるべきかをさらに判定することができる。たとえば、制御回路は、電力(または電圧)の最近の増大または減少をサンプリングし、増大(または減少)の継続が継続されるべきかどうか、または電力傾斜(または電圧傾斜)の最近の変化がノイズであるか、または予期の限度内であるかを判定することができる。たとえば、過去2つ(またはそれ以上)の電力傾斜値(または電圧傾斜値)は正でありかつ大きかったが、最近の値は電力の顕著な負(減少)を示す場合、制御回路は、この決定を覆し、後の電流デルタ計算が評価されるまで、電力(または電圧)を減少させることができる。
【0388】
いくつかの例では、制御回路は、許容できる最大の変化および/または許容できる最大の出力もしくは傾斜率に対する境界を含むことができ、それによってジェネレータがハードウェアのみによって制限されること、または組織にエネルギーを迅速に印加しすぎることを防止する。これは、ステージ中の最大電力を制限すること、最大の電力変化を制限すること(たとえば、1秒当たりの最大ワット傾斜率を制限すること)などによって実現することができる。
【0389】
生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数としてのエネルギー送達の増分変化に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御することができるこれらの電力(または電圧)制御技法は、単一の傾斜波形出力またはパルス波形出力で使用することができる。パルス波形出力の利点は、所望される場合、電力が迅速に増大することである。たとえば、特定の条件下で、蒸気が凝縮し、次に所望の組織作用の「終点」に到達するまで電力を再び傾斜的に印加することが可能になるように、電力を大幅に低減させる(または一時的停止させる)ことができる。
【0390】
態様
上述した電気外科技法についてさらに例示するために、様々な態様の非限定的な一覧について以下に説明する。非限定的な態様の各々は、単独で成立することができ、または他の態様のうちの1つ以上との様々な順列もしくは組合せで組み合わせることができる。
【0391】
A.トリガ値とエスケープ値との間のバンドによる短絡エラートラッピング
態様A1は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へ電気外科エネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、2つの電極を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織の第1の測定されたインピーダンス値と、第1の閾値とを比較し、第1の測定されたインピーダンス値が第1の閾値以下であるとき、タイマを始動し、2つの電極間の組織の第2の測定されたインピーダンス値と、第1の閾値より大きい第2の閾値とを比較し、第2の測定されたインピーダンス値が第2の閾値より小さく、タイマが時間限界を満たしていないとき、電気外科エネルギーの送達を継続するように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0392】
態様A2は、態様A1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第2の測定されたインピーダンス値が第2の閾値より小さく、タイマが時間限界を満たしているとき、電気外科エネルギーの送達を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0393】
態様A3は、態様A1またはA2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、タイマが時間限界を満たしているとき、指示を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0394】
態様A4は、態様A1からA3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、タイマが6秒より小さいことを含みまたは使用することができる。
【0395】
態様A5は、態様A1からA4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、電気外科デバイスの少なくとも1つの特性に基づいて、または電気外科デバイスに結合されるように構成された電気外科ジェネレータの少なくとも1つの特性に基づいて、第1の閾値、第2の閾値、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0396】
態様A6は、態様A1からA5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、少なくとも1つの特性が、電極のうちの少なくとも1つの表面積を含むことを含みまたは使用することができる。
【0397】
態様A7は、態様A1からA6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電極が、電気外科デバイスの顎部に位置決めされ、少なくとも1つの特性が、電気外科デバイスの顎部力を含むことを含みまたは使用することができる。
【0398】
態様A8は、態様A1からA7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、少なくとも1つの特性が、電気外科ジェネレータの出力電流を含むことを含みまたは使用することができる。
【0399】
態様A9は、態様A1からA8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電極が、電気外科デバイスの顎部に位置決めされ、生物組織が、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされることを含みまたは使用することができる。
【0400】
態様A10は、電気外科デバイスへ電気エネルギーを送達する方法であって、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織への電気外科エネルギーの現行の送達を始動することと、組織の第1の測定されたインピーダンス値と第1の閾値とを比較することと、第1の測定されたインピーダンス値が第1の閾値以下であるとき、タイマを始動することと、組織の第2の測定されたインピーダンス値と、第1の閾値より大きい第2の閾値とを比較することと、第2の測定されたインピーダンス値が第2の閾値より小さく、タイマが時間限界を満たしていないとき、電気外科エネルギーの送達を継続することとを含む方法を含みまたは使用することができる。
【0401】
態様A11は、態様A10の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第2の測定されたインピーダンス値が第2の閾値より小さく、タイマが時間限界を満たしているとき、電気外科エネルギーの送達を低減させることを含みまたは使用することができる。
【0402】
態様A12は、態様A10またはA11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、タイマが時間限界を満たしているとき、指示を生成することを含みまたは使用することができる。
【0403】
態様A13は、態様A10からA12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電極が、電気外科デバイスの顎部に位置決めされ、生物組織が、電気外科デバイスの2つの電極間に位置決めされることを含みまたは使用することができる。
【0404】
態様A14は、態様A10からA13のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、タイマが6秒より小さいことを含みまたは使用することができる。
【0405】
態様A15は、態様A10からA14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科デバイスの少なくとも1つの特性に基づいて、または電気外科デバイスに結合されるように構成された電気外科ジェネレータの少なくとも1つの特性に基づいて、第1の閾値、第2の閾値、および時間限界のうちの少なくとも1つを調整することを含みまたは使用することができる。
【0406】
態様A16は、態様A10からA15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科デバイスの少なくとも1つの特性が、電極のうちの少なくとも1つの表面積を含むことを含みまたは使用することができる。
【0407】
態様A17は、態様A10からA16のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電極が、電気外科デバイスの顎部に位置決めされ、電気外科デバイスの少なくとも1つの特性が、電気外科デバイスの顎部力を含むことを含みまたは使用することができる。
【0408】
態様A18は、態様A10からA17のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科ジェネレータの少なくとも1つの特性が、電気外科ジェネレータの出力電流を含むことを含みまたは使用することができる。
【0409】
B.抵抗限界終点RF波形のための開回路確認および終了段階における開回路時間の評価
態様B1は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へ電気外科エネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、対応する電極を含む2つの顎部を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織への電気外科エネルギーの送達に応答して、タイマを始動し、タイマが時間限界を満たした後、インピーダンスの表現と第1の閾値とを比較し、インピーダンスの表現が第1の閾値より小さいとき、電気外科エネルギーの送達を継続するように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0410】
態様B2は、態様B1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、インピーダンスの表現が第1の閾値以上であり、第2の閾値より小さいとき、電気外科エネルギーの送達を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0411】
態様B3は、態様B1またはB2の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、インピーダンスの表現が第2の閾値以上であるとき、電気外科エネルギーの送達を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0412】
態様B4は、態様B1からB3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、インピーダンスの表現が第2の閾値以上であるとき、指示を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0413】
態様B5は、態様B1からB4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、インピーダンスの表現が第2の閾値以上であるときに指示を生成するように構成された制御回路が、可聴指示を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0414】
態様B6は、態様B1からB5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、インピーダンスの表現が第2の閾値以上であるときに指示を生成するように構成された制御回路が、視覚指示を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0415】
態様B7は、態様B1からB6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、インピーダンスの表現が、インピーダンスの値を含むことを含みまたは使用することができる。
【0416】
態様B8は、態様B1からB7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、インピーダンスの表現が、インピーダンスの値の変化を含むことを含みまたは使用することができる。
【0417】
態様B9は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へ電気外科エネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、対応する電極を含む2つの顎部を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織への電気外科エネルギーの送達に応答して、タイマを始動し、タイマが時間限界を満たした後、生物組織のインピーダンスの変化率と第1の閾値とを比較し、インピーダンスの変化率が第1の閾値より小さいとき、電気外科エネルギーの送達を継続するように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0418】
態様B10は、態様B9の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、インピーダンスの変化率が第1の閾値以上であるとき、エネルギーの送達を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0419】
態様B11は、態様B9またはB10のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、インピーダンスの変化率が第1の閾値以上であるとき、指示を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0420】
態様B12は、態様B9からB11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、インピーダンスの変化率が第1の閾値以上であるときに指示を生成するように構成された制御回路が、指示を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0421】
態様B13は、電気外科デバイスへ電気エネルギーを送達する方法であって、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織への電気外科エネルギーの送達に応答して、タイマを始動することと、生物組織のインピーダンスの表現と閾値とを比較することと、閾値が満たされるまで、電気外科エネルギーの送達を継続することと、閾値に到達したとき、経過時間を記録することと、経過時間が時間限界より小さい場合、エラー状態を宣言することとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0422】
態様B14は、態様B13の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の測定されたインピーダンスと第2の測定されたインピーダンスとの間の差を判定し、判定された差と所定のデルタインピーダンス値とを比較することと、判定された差が所定のデルタインピーダンス値以上であり、タイマが閾値時間限界より小さいことに応答して、エラー信号を生成することとを含みまたは使用することができる。
【0423】
態様B15は、態様B13またはB14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の測定されたインピーダンスと第2の測定されたインピーダンスとの間の差を判定し、判定された差と所定のデルタインピーダンス値とを比較することと、比較に応答して、電気外科エネルギーの電力傾斜率を増大させることとを含みまたは使用することができる。
【0424】
態様B16は、態様B13からB15のいずれか1つまたはそれ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、判定された差が所定のデルタインピーダンス値を満たしもしくは超過するまで、または電力限定に到達するまで、電力傾斜率の増大を継続することを含みまたは使用することができる。
【0425】
態様B17は、態様B13からB16のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電力傾斜率が第1の電力傾斜率であり、電力限界に到達したことに応答して、第1の電力傾斜率から、第1の傾斜率より遅い第2の電力傾斜率へ、電力傾斜率を調整することを含みまたは使用することができる。
【0426】
態様B18は、態様B13からB17のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、閾値が第1の閾値であり、終了段階中、生物組織のインピーダンスの表現と第2の閾値とを比較することと、インピーダンスの表現が第2の閾値を満たしまたは超過するまで、電気外科エネルギーを一定の電力傾斜率で送達することとを含みまたは使用することができる。
【0427】
態様B19は、態様B13からB18のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科エネルギーを一定の電力傾斜率で送達する前に、電気外科エネルギーを一定の電力で送達することを含みまたは使用することができる。
【0428】
C.低精度ハードウェアシステムにおける代替電力補正出力
態様C1は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へ電気外科エネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、対応する電極を含む2つの顎部を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織のインピーダンスの表現と第1の閾値とを比較し、インピーダンスの表現が第1の範囲内であるとき、少なくとも2つの電力補正から第1の電力補正を選択し、電気外科デバイスに結合された電力ジェネレータの電力設定に、選択された第1の電力補正を適用するように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0429】
態様C2は、態様C1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、インピーダンスの表現が第2の範囲内であるとき、少なくとも2つの電力補正から第2の電力補正を選択するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0430】
態様C3は、態様C1またはC2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、少なくとも1つの2次パラメータの表現と少なくとも1つの閾値とを比較し、少なくとも1つの2次パラメータの表現が少なくとも1つの閾値より小さいとき、少なくとも2つの電力補正から第3の電力補正を選択するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0431】
態様C4は、態様C1からC3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、少なくとも1つの2次パラメータが、電力ジェネレータの出力電流、組織温度、および位相角のうちの1つ以上を含むことを含みまたは使用することができる。
【0432】
態様C5は、態様C1からC4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、補正電力設定を使用して、期間中に電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0433】
態様C6は、態様C1からC5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、期間が、少なくともインピーダンス値の範囲に基づくことを含みまたは使用することができる。
【0434】
態様C7は、態様C1からC6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、期間が、少なくとも送達された電気外科エネルギーの量に基づくことを含みまたは使用することができる。
【0435】
態様C8は、態様C1からC7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、補正電力設定を使用して、電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達し、インピーダンスの表現が第2の閾値を満たしまたは超過するとき、選択された第1の電力補正の印加を電力設定まで低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0436】
態様C9は、態様C1からC8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、補正電力設定を使用して、電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達することと、インピーダンスの表現が第1の範囲の上限または下限の所定の百分率または値の範囲内にあるとき、上限および下限のうちの少なくとも1つを動的に調整することとを含みまたは使用することができる。
【0437】
態様C10は、電気外科デバイスへ電気エネルギーを送達する方法であって、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織のインピーダンスの表現と第1の閾値とを比較することと、インピーダンスの表現が第1の範囲内であるとき、少なくとも2つの電力補正から第1の電力補正を選択することと、電気外科デバイスに結合された電力ジェネレータの電力設定に、選択された第1の電力補正を適用することとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0438】
態様C11は、態様C10の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、インピーダンスの表現が第2の範囲内であるとき、少なくとも2つの電力補正から第2の電力補正を選択することを含みまたは使用することができる。
【0439】
態様C12は、態様C10またはC11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、少なくとも1つの2次パラメータの表現と少なくとも1つの閾値とを比較することと、少なくとも1つの2次パラメータの表現が少なくとも1つの閾値より小さいとき、少なくとも2つの電力補正から第3の電力補正を選択することとを含みまたは使用することができる。
【0440】
態様C13は、態様C10からC12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、少なくとも1つの2次パラメータが、電力ジェネレータの出力電流、組織温度、および位相角のうちの1つ以上を含むことを含みまたは使用することができる。
【0441】
態様C14は、態様C10からC13のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、補正電力設定を使用して、期間中に電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達することを含みまたは使用することができる。
【0442】
態様C15は、態様C10からC14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、期間が、少なくともインピーダンス値の範囲に基づくことを含みまたは使用することができる。
【0443】
態様C16は、態様C10からC15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、期間が、少なくとも送達された電気外科エネルギーの量に基づくことを含みまたは使用することができる。
【0444】
態様C17は、態様C10からC16のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、補正電力設定を使用して、電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達することと、インピーダンスの表現が第2の閾値を満たしまたは超過するとき、選択された第1の電力補正の印加を電力設定まで低減させることとを含みまたは使用することができる。
【0445】
態様C18は、態様C10からC17のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、補正電力設定を使用して、電気外科デバイスの電極を介して電気外科エネルギーを送達することと、インピーダンスの表現が、第1の範囲の上限を上回る指定の百分率であるとき、第2の電力補正を電力設定に適用することとを含みまたは使用することができる。
【0446】
D.熱マージンが低減された複合エネルギーデバイス
態様D1は、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合システムであって、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へエネルギーを送達するように構成された出力回路とを備え、出力端子が、対応する電極を含む2つの顎部を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、送達されるエネルギーが、少なくともいくらかの超音波エネルギーを含み、制御回路が、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織へのエネルギーの送達を制御し、生物組織の組織パラメータの表現を測定し、生物組織の組織パラメータの測定された表現の特性に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させるように構成され、送達されるエネルギーが、電気外科エネルギーおよび超音波エネルギーの組合せであり、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させるように構成された制御回路が、超音波エネルギーのレベルを低減させるように構成される、システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0447】
態様D2は、態様D1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、超音波エネルギーのレベルを低減させるように構成された制御回路が、超音波エネルギーの送達を終了させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0448】
態様D3は、態様D1またはD2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、電気外科エネルギーのレベルを低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0449】
態様D4は、態様D1からD3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科エネルギーのレベルを低減させるように構成された制御回路が、電気外科エネルギーの送達を終了させるようにさらに構成されることを含みまたは使用することができる。
【0450】
態様D5は、態様D1からD4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、送達されるエネルギーが、電気外科エネルギーおよび超音波エネルギーの組合せであり、電気外科エネルギーが電力制御式であることを含みまたは使用することができる。
【0451】
態様D6は、態様D1からD5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、送達されるエネルギーが、電気外科エネルギーおよび超音波エネルギーの組合せであり、電気外科エネルギーが電圧制御式であることを含みまたは使用することができる。
【0452】
態様D7は、態様D1からD6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、組織パラメータの測定された表現が、インピーダンス値であり、制御回路が、インピーダンス値と閾値とを比較し、比較に基づいて超音波エネルギーのレベルを低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0453】
態様D8は、態様D1からD7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、組織パラメータの測定された表現が、インピーダンスの変化であり、この方法が、インピーダンスの変化と閾値とを比較することと、比較に基づいて超音波エネルギーのレベルを低減させることとを含むことを含みまたは使用することができる。
【0454】
態様D9は、超音波エネルギーおよび電気外科エネルギー複合デバイスへエネルギーを送達する方法であって、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織へエネルギーを送達することであり、送達されるエネルギーが少なくともいくらかの超音波エネルギーを含む、送達することと、生物組織の組織パラメータの表現を測定することと、組織パラメータの測定された表現の特性に基づいて、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させることとを含み、送達されるエネルギーが、電気外科エネルギーおよび超音波エネルギーの組合せであり、エネルギーの送達のレベルを低減させ、またはエネルギーの送達を終了させることが、超音波エネルギーのレベルを低減させることを含む、方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0455】
態様D10は、態様D9の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、超音波エネルギーのレベルを低減させることが、超音波エネルギーの送達を終了させることを含むことを含みまたは使用することができる。
【0456】
態様D11は、態様D9またはD10のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科エネルギーのレベルを低減させることを含みまたは使用することができる。
【0457】
態様D12は、態様D9からD11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科エネルギーのレベルを低減させることが、電気外科エネルギーの送達を終了させることを含むことを含みまたは使用することができる。
【0458】
態様D13は、態様D9からD12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、送達されるエネルギーが、電気外科エネルギーおよび超音波エネルギーの組合せであり、電気外科エネルギーが電力制御式であることを含みまたは使用することができる。
【0459】
態様D14は、態様D9からD13のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、送達されるエネルギーが、電気外科エネルギーおよび超音波エネルギーの組合せであり、電気外科エネルギーが電圧制御式であることを含みまたは使用することができる。
【0460】
態様D15は、態様D9からD14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、組織パラメータの測定された表現が、インピーダンス値であり、この方法が、インピーダンス値と閾値とを比較することと、比較に基づいて超音波エネルギーのレベルを低減させることとを含むことを含みまたは使用することができる。
【0461】
態様D16は、態様D9からD15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、組織パラメータの測定された表現が、インピーダンスの変化であり、この方法が、インピーダンスの変化と閾値とを比較することと、比較に基づいて超音波エネルギーのレベルを低減させることとを含むことを含みまたは使用することができる。
【0462】
E.低速CPUを有するシステムにおける熱マージンを制御するための段階的抵抗値
態様E1は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へエネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、少なくとも1つの電極を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、少なくとも1つの電極と通信する生物組織への電気外科エネルギーパルスを計数および送達し、複数の電気外科エネルギーパルスに対して、パラメータと閾値とを比較し、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて、閾値を調整するように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0463】
態様E2は、態様E1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、パラメータが、生物組織のインピーダンス、生物組織のインピーダンスの変化、生物組織のインピーダンスの変化率、位相角の変化、送達される電気外科エネルギーパルスの電流の変化、および送達される電気外科エネルギーパルスの出力電圧の変化からなる群から選択されることを含みまたは使用することができる。
【0464】
態様E3は、態様E1またはE2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、閾値を表すデータをメモリデバイスから取り出すように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0465】
態様E4は、態様E1からE3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較するように構成され、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整するように構成された制御回路が、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の差に基づいて、閾値を調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0466】
態様E5は、態様E1からE4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較するように構成され、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整するように構成された制御回路が、第1の測定されたパラメータが第2の測定されたパラメータより大きいことに基づいて、閾値を調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0467】
態様E6は、態様E1からE5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較するように構成され、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整するように構成された制御回路が、第1の測定されたパラメータが第2の測定されたパラメータより小さいことに基づいて、閾値を調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0468】
態様E7は、態様E1からE6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の変化率を判定するように構成され、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整するように構成された制御回路が、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の変化率に基づいて、閾値を調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0469】
態様E8は、態様E1からE7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、パラメータに基づいて閾値を調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0470】
態様E9は、態様E1からE8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、測定されたインピーダンス表現が終点値を満たしまたは超過するとき、複数の電気外科エネルギーパルスの送達を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0471】
態様E10は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へエネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、対応する電極を含む2つの顎部を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織への電気外科エネルギーパルスを計数および送達し、複数の電気外科エネルギーパルスに対して、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織へ第1の電気外科エネルギーパルスを送達し、生物組織の第1の測定されたインピーダンス表現と第1の閾値とを比較し、第1の測定されたインピーダンス表現が第1の閾値を満たしまたは超過するとき、第1の電気外科エネルギーパルスの送達を低減させ、パルスの計数に基づいて、第1の閾値を第2の閾値へ増大させ、第2の電気外科エネルギーパルスを組織へ送達し、組織の第2の測定されたインピーダンス表現と第2の閾値とを比較し、第2の測定されたインピーダンス表現が第2の閾値を満たしまたは超過するとき、第2の電気外科エネルギーパルスの送達を低減させるように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0472】
態様E11は、態様E10の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1および第2の閾値を表すデータをメモリデバイスから取り出すように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0473】
態様E12は、態様E10またはE11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたインピーダンス表現と第2の測定されたインピーダンス表現とを比較し、第1の測定されたインピーダンス表現と第2の測定されたインピーダンス表現との間の差に基づいて、第2の閾値を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0474】
態様E13は、態様E10からE12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたインピーダンス表現と第2の測定されたインピーダンス表現とを比較し、第1の測定されたインピーダンス表現が第2の測定されたインピーダンス表現より大きいことに基づいて、第2の閾値を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0475】
態様E14は、態様E10からE13のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたインピーダンス表現と第2の測定されたインピーダンス表現とを比較し、第1の測定されたインピーダンス表現が第2の測定されたインピーダンス表現より小さいことに基づいて、第2の閾値を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0476】
態様E15は、態様E10からE14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたインピーダンス表現と第2の測定されたインピーダンス表現との間の変化率を判定し、変化率に基づいて第2の閾値を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0477】
態様E16は、態様E10からE15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたインピーダンス表現に基づいて、第2の閾値を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0478】
態様E17は、電気外科デバイスへ電気エネルギーを送達する方法であって、電気外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織への複数の電気外科エネルギーパルスを計数および送達することと、複数の電気外科エネルギーパルスに対して、パラメータと閾値とを比較することと、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて、閾値を調整することとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0479】
態様E18は、態様E17の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、パラメータが、生物組織のインピーダンス、生物組織のインピーダンスの変化、生物組織のインピーダンスの変化率、位相角の変化、送達される電気外科エネルギーパルスの電流の変化、および送達される電気外科エネルギーパルスの出力電圧の変化からなる群から選択されることを含みまたは使用することができる。
【0480】
態様E19は、態様E17またはE18のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、閾値を表すデータをメモリデバイスから取り出すことを含みまたは使用することができる。
【0481】
態様E20は、態様E17からE19のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較することを含み、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整することが、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の差に基づいて、閾値を調整することを含むことを含みまたは使用することができる。
【0482】
態様E21は、態様E17からE20のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較することを含み、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整することが、第1の測定されたパラメータが第2の測定されたパラメータより大きいことに基づいて、閾値を調整することを含むことを含みまたは使用することができる。
【0483】
態様E22は、態様E17からE21のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとを比較することを含み、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整することが、第1の測定されたパラメータが第2の測定されたパラメータより小さいことに基づいて、閾値を調整することを含むことを含みまたは使用することができる。
【0484】
態様E23は、態様E17からE22のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の変化率を判定することを含み、電気外科エネルギーパルスの計数に基づいて閾値を調整することが、第1の測定されたパラメータと第2の測定されたパラメータとの間の変化率に基づいて、閾値を調整することを含むことを含みまたは使用することができる。
【0485】
態様E24は、態様E17からE23のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、パラメータに基づいて閾値を調整することを含みまたは使用することができる。
【0486】
態様E25は、態様E17からE24のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定されたインピーダンス表現が終点値を満たしまたは超過するとき、複数の電気外科エネルギーパルスの送達を低減させることを含みまたは使用することができる。
【0487】
F.電力制御式の波形
態様F1は、療法信号の制御された電力を生成し、機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、電気エネルギー源と通信する制御回路を備え、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、療法計画に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0488】
態様F2は、態様F1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、療法計画に従って、乾燥段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0489】
態様F3は、態様F1またはF2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、療法信号の電圧を監視し、電圧が電圧閾値を満たすとき、電圧を維持するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0490】
態様F4は、態様F1からF3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、事前定義された電力曲線を使用して、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0491】
態様F5は、態様F1からF4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、事前定義された電力曲線が、線形部分を含むことを含みまたは使用することができる。
【0492】
態様F6は、態様F1からF5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、事前定義された電力曲線が、2つ以上の線形部分を含むことを含みまたは使用することができる。
【0493】
態様F7は、態様F1からF6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成された制御回路が、電流の関数として電力を増分的に修正するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0494】
態様F8は、態様F1からF7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電流の関数が、測定された電流の瞬時変化の関数であることを含みまたは使用することができる。
【0495】
態様F9は、態様F1からF8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成された制御回路が、抵抗の関数として電力を増分的に修正するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0496】
態様F10は、療法信号の制御された電力を機器と電気的に通信する生物組織へ送達する方法であって、機器に電気的に結合された電気エネルギー源を使用して療法信号を生成することと、療法計画に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御することとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0497】
態様F11は、態様F10の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法計画に従って、乾燥段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御することを含みまたは使用することができる。
【0498】
態様F12は、態様F10またはF11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法信号の電圧を監視することと、電圧が電圧閾値を満たすとき、電圧を維持することとを含みまたは使用することができる。
【0499】
態様F13は、態様F10からF12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、事前定義された電力曲線を使用して、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号の電力を制御することを含みまたは使用することができる。
【0500】
態様F14は、態様F10からF13のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、事前定義された電力曲線が、線形部分を含むことを含みまたは使用することができる。
【0501】
態様F15は、態様F10からF14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、事前定義された電力曲線が、2つ以上の線形部分を含むことを含みまたは使用することができる。
【0502】
態様F16は、態様F10からF15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電流の関数として電力を増分的に修正することを含みまたは使用することができる。
【0503】
態様F17は、態様F10からF16のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電流の関数が、測定された電流の瞬時変化の関数であることを含みまたは使用することができる。
【0504】
態様F18は、態様F10からF17のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定された電流の瞬時変化が、線形関数であることを含みまたは使用することができる。
【0505】
態様F19は、態様F10からF18のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、抵抗の関数として電力を増分的に修正することを含みまたは使用することができる。
【0506】
G.監視された変数の関数としての制御パラメータの増分調整
態様G1は、療法信号の制御された電力を生成し、機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、電気エネルギー源と通信する制御回路を備え、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、生物組織の測定された電気パラメータの変化の関数としてのエネルギー送達の増分変化に従って、療法段階の一部分中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御するように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0507】
態様G2は、態様G1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法信号のエネルギー送達を制御するように構成された制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0508】
態様G3は、態様G1またはG2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成された制御回路が、電流の関数として電力を増分的に修正するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0509】
態様G4は、態様G1からG3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法信号のエネルギー送達を制御するように構成された制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0510】
態様G5は、態様G1からG4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成された制御回路が、電流の関数として電圧を増分的に修正するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0511】
態様G6は、態様G1からG5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定された電気パラメータが、インピーダンスの変化を含むことを含みまたは使用することができる。
【0512】
態様G7は、態様G1からG6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定された電気パラメータが、電流の変化を含むことを含みまたは使用することができる。
【0513】
態様G8は、態様G1からG7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織の測定された電気パラメータの変化と、記憶されているデータセットとを比較し、比較に基づいて、エネルギー送達の増分変化を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0514】
H.インピーダンスの監視による乾燥サイクルの終了
態様H1は、療法信号の制御された電力を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、制御回路に結合され、療法段階中に生物組織のインピーダンスを測定するように構成された測定回路を備え、制御回路が、電気エネルギー源と通信しており、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、療法段階中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御し、測定されたインピーダンスが所定のデルタインピーダンス値だけ変化したことに応答して、療法段階中にエネルギー送達を低減させるように構成され、所定のデルタインピーダンスが、療法信号のパルス中の最小インピーダンス測定値に対するインピーダンスの変化である、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0515】
態様H2は、態様H1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0516】
態様H3は、態様H1またはH2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0517】
態様H4は、態様H1からH3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、療法信号の電圧を監視し、電圧が電圧閾値を満たすとき、電圧を維持するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0518】
態様H5は、態様H1からH4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法段階が、乾燥段階であることを含みまたは使用することができる。
【0519】
態様H6は、態様H1からH5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定回路が、乾燥段階中に生物組織によって伝導される第1のインピーダンスを測定し、生物組織によって伝導される第2のインピーダンスを測定するように構成され、制御回路が、電気エネルギー源を制御して、乾燥段階中に生物組織へ乾燥信号を提供し、第1のインピーダンスと第2のインピーダンスとの間の比較が、生物組織内の液体の相変化を示すことに応答して、乾燥段階を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0520】
態様H7は、態様H1からH6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、乾燥スケジュールに従って乾燥信号を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0521】
態様H8は、態様H1からH7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定回路が、乾燥段階中に生物組織によって伝導されるインピーダンスを測定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0522】
態様H9は、態様H1からH8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、測定されたインピーダンスと最小インピーダンス測定値とを比較し、測定されたインピーダンスが最小インピーダンス測定値より小さいとき、測定されたインピーダンスを最小インピーダンス測定値として記憶するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0523】
態様H10は、療法信号の制御された電力を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、制御回路に結合され、療法段階中に生物組織のインピーダンスを測定するように構成された測定回路を備え、制御回路が、電気エネルギー源と通信しており、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、療法段階中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御し、測定されたインピーダンスが所定のデルタインピーダンス値だけ変化したことに応答して、療法段階中にエネルギー送達を低減させるように構成され、所定のデルタインピーダンスが、療法段階が始まった後に設定された時間間隔で得られたインピーダンス測定値に対するインピーダンスの変化である、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0524】
I.電流ならびに1つの段階における電流および1つの段階におけるインピーダンスの監視による乾燥サイクルの終了
態様I1は、療法信号の制御された電力を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、制御回路に結合され、療法段階中に生物組織へ提供される電流を測定するように構成された測定回路を備え、制御回路が、電気エネルギー源と通信しており、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、療法段階中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御し、生物組織の測定された電流が所定の値を満たすことに応答して、療法段階中にエネルギー送達を低減させるように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0525】
態様I2は、態様I1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、所定の値が、絶対電流閾値であることを含みまたは使用することができる。
【0526】
態様I3は、態様I1またはI2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、所定の値が、初期電流測定値に対する電流の変化であることを含みまたは使用することができる。
【0527】
態様I4は、態様I1からI3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、所定の値が、療法信号のパルス中の最大電流測定値に対する電流の変化であることを含みまたは使用することができる。
【0528】
態様I5は、態様I1からI4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0529】
態様I6は、態様I1からI5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0530】
態様I7は、態様I1からI6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法段階が、乾燥段階であることを含みまたは使用することができる。
【0531】
態様I8は、態様I1からI7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定回路が、乾燥段階中に生物組織によって伝導される第1の電流を測定し、生物組織によって伝導される第2の電流を測定するように構成され、制御回路が、電気エネルギー源を制御して、乾燥段階中に生物組織へ乾燥信号を提供し、測定された第1の電流と測定された第2の電流との比が所定の係数を超過して、生物組織内の液体の相変化を示すことに応答して、乾燥信号を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0532】
態様I9は、態様I1からI8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、乾燥スケジュールに従って乾燥信号を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0533】
態様I10は、態様I1からI9のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、乾燥スケジュールが、単調に増大する電力スケジュールであることを含みまたは使用することができる。
【0534】
態様I11は、態様I1からI10のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定回路が、乾燥段階中に生物組織によって伝導される電流を測定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0535】
態様I12は、療法信号の制御された電力を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、制御回路に結合され、複数の療法パルスのそれぞれ第1および第2のパルス中に生物組織の第1および第2の電気パラメータを測定するように構成された測定回路を備え、制御回路が、電気エネルギー源と通信しており、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、複数の療法パルス中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御し、生物組織の測定された第1の電気パラメータが第1の閾値を満たすことに応答して、第1のパルス中にエネルギー送達を修正し、生物組織の測定された第2のパラメータが第2の閾値を満たすことに応答して、第2のパルス中にエネルギー送達を修正するように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0536】
態様I13は、態様I12の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の段階が、乾燥段階中であることを含みまたは使用することができる。
【0537】
態様I14は、態様I12またはI13のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1のパラメータが電流であり、第1の閾値が、初期電流測定値に対する電流の変化であることを含みまたは使用することができる。
【0538】
態様I15は、態様I12からI14のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1のパラメータが電流であり、第1の閾値が、第1のパルス中の最大電流測定値に対する電流の変化であることを含みまたは使用することができる。
【0539】
態様I16は、態様I12からI15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第2の段階が、封止段階であることを含みまたは使用することができる。
【0540】
態様I17は、態様I12からI16のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第2のパラメータがインピーダンスであることを含みまたは使用することができる。
【0541】
態様I18は、態様I12からI17のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0542】
態様I19は、態様I12からI18のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0543】
J.消費エネルギーの評価
態様J1は、療法信号を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、電気エネルギー源と通信する制御回路を備え、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、呼掛け段階および第1の乾燥段階のうちの少なくとも1つ中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御し、少なくとも第1の乾燥段階の完了後、呼掛け段階および第1の乾燥段階のうちの少なくとも1つ中に生物組織へ送達されたエネルギーの量と閾値エネルギー値とを比較し、比較に基づいて、療法信号の送達を調整するように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0544】
態様J2は、態様J1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電力を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0545】
態様J3は、態様J1またはJ2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の電圧を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0546】
態様J4は、態様J1からJ3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、比較に基づいて療法信号の送達を調整するように構成された制御回路が、送達されたエネルギーの量が閾値エネルギー値を超過した場合、第2の乾燥段階中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0547】
態様J5は、態様J1からJ4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、比較に基づいて療法信号の送達を調整するように構成された制御回路が、送達されたエネルギーの量が閾値エネルギー値より小さい場合、終了段階中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0548】
態様J6は、態様J1からJ5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路に結合され、生物組織のインピーダンスを測定するように構成された測定回路を備え、制御回路が、測定されたインピーダンスに基づいて、療法信号の送達のための電力傾斜率を判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0549】
態様J7は、態様J1からJ6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路が、第1の測定されたインピーダンスと第2の測定されたインピーダンスとの間の差を判定し、判定された差が所定のデルタインピーダンス値より小さいことに応答して、電力傾斜率を調整するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0550】
態様J8は、態様J1からJ7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、判定された差が所定のデルタインピーダンス値より小さいことに応答して電力傾斜率を調整するように構成された制御回路が、判定された差が所定のデルタインピーダンス値以上になるまで、または送達されたエネルギーの量が閾値エネルギー値以上になるまで、電力傾斜率を増大させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0551】
態様J9は、態様J1からJ8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、制御回路に結合され、生物組織のインピーダンスを測定するように構成された測定回路であって、制御回路が、終了段階中に、タイマを始動し、測定されたインピーダンス間の差を判定し、判定された差と所定のデルタインピーダンス値とを比較し、判定された差が所定のデルタインピーダンス値以上であり、タイマが閾値時間限界より大きいことに応答して、エラー信号を生成するように構成される、測定回路を含みまたは使用することができる。
【0552】
態様J10は、態様J1からJ9のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、エラー信号が、開回路エラー信号であることを含みまたは使用することができる。
【0553】
態様J11は、態様J1からJ10のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、比較に基づいて療法信号の送達を調整するように構成された制御回路が、乾燥段階を繰り返すように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0554】
態様J12は、療法信号を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された外科ジェネレータであって、電気エネルギー源と通信する制御回路を備え、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、呼掛け段階および第1の乾燥段階のうちの少なくとも1つ中に生物組織へ提供される療法信号のエネルギー送達を制御し、少なくとも第1の乾燥段階の完了後、呼掛け段階および第1の乾燥段階のうちの少なくとも1つ中に生物組織へ送達された電流の量と閾値エネルギー値とを比較し、比較に基づいて、療法信号の送達を調整するように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0555】
K.位相角測定
態様K1は、療法信号を生成し、外科機器と電気的に通信する生物組織へ提供するように構成された電気外科ジェネレータであって、制御回路に結合され、呼掛け段階中に生物組織の基準インピーダンス角を測定するように構成された測定回路を備え、制御回路が、電気エネルギー源と通信しており、電気エネルギー源が、機器に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、生物組織へ提供される療法信号の送達を制御し、測定された基準インピーダンス角と角度閾値とを比較し、測定された基準インピーダンス角と角度閾値との比較に基づいて、機器の環境条件を示す応答を生成するように構成される、外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0556】
態様K2は、態様K1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定された基準インピーダンス角が、測定回路によって測定される生物組織の電圧と生物組織によって伝導される電流との間の角度差に実質的に等しいことを含みまたは使用することができる。
【0557】
態様K3は、態様K1またはK2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、角度閾値が第1の角度閾値であり、機器の環境条件を示す応答を生成するように構成された制御回路が、測定された基準インピーダンス角が第1の角度閾値より大きいことに応答して、療法信号の送達を低減させ、通知信号を生成するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0558】
態様K4は、態様K1からK3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、エラー通知が、生物組織内の伝導性異物の存在を示すことを含みまたは使用することができる。
【0559】
態様K5は、態様K1からK4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、角度閾値が第1の角度閾値であり、機器の環境条件を示す応答を生成するように構成された制御回路が、測定された基準インピーダンス角が第1の角度より大きく、第2の角度より小さいことに応答して、療法信号の電力レベルを低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0560】
態様K6は、態様K1からK5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、角度閾値が第1の角度閾値であり、制御回路が、測定された基準インピーダンス角が第1の角度閾値より小さいことに応答して、療法信号の送達を低減させるように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0561】
態様K7は、態様K1からK6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、エラー通知が、開回路を示すことを含みまたは使用することができる。
【0562】
態様K8は、態様K1からK7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、経過療法時間を測定するためのタイマであって、制御回路が、経過療法時間と時定数とを比較するように構成され、測定回路が、経過療法時間が時定数を超過することに応答して、生物組織の基準インピーダンス角を測定するように構成される、タイマを含みまたは使用することができる。
【0563】
L.電極温度を相殺するための測定された組織抵抗の補正
態様L1は、電気外科デバイスへ電気エネルギーを送達する方法であって、電気外科デバイスに係合された生物組織へ電気療法信号を送達することと、生物組織のインピーダンスを測定することと、電気外科デバイス封止パラメータを測定することと、電気外科デバイス封止パラメータと測定されたインピーダンスとの間の関係に基づいて、調整済みインピーダンスを判定することとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0564】
態様L2は、態様L1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科デバイス封止パラメータが温度を含むことを含みまたは使用することができる。
【0565】
態様L3は、態様L1またはL2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科デバイスが顎部を含み、温度が顎部の温度であることを含みまたは使用することができる。
【0566】
態様L4は、態様L1からL3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科デバイス封止パラメータと測定されたインピーダンスとの間の関係に基づいて調整済みインピーダンスを判定することが、電気外科デバイス封止パラメータおよび測定されたインピーダンスと、記憶されているデータセットを比較することと、比較に基づいて、調整済みインピーダンスを判定することとを含むことを含みまたは使用することができる。
【0567】
態様L5は、態様L1からL4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、判定された調整済みインピーダンスを使用して、血管サイズを判定することを含みまたは使用することができる。
【0568】
態様L6は、態様L1からL5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、生物組織への送達のために電気外科信号の少なくとも1つの電気パラメータを判定することを含みまたは使用することができる。
【0569】
態様L7は、態様L1からL6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気外科デバイス封止パラメータが、電気療法信号の送達後の経過時間を含むことを含みまたは使用することができる。
【0570】
M.パルス間のドエルタイム
態様M1は、制御回路と、制御回路に結合され、患者への送達のために出力端子へエネルギーを送達するように構成された出力回路とを備える外科システムであって、出力端子が、対応する電極を含む2つの顎部を有する電気外科デバイスに結合するように構成され、制御回路が、ドエルタイムによって互いから分離された第1および第2の電気外科エネルギーパルスを、外科デバイスの2つの電極と電気的に通信する生物組織へ送達し、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成される、外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0571】
態様M2は、態様M1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、顎部へ送達されたエネルギーの量を判定し、判定されたエネルギーの量に基づいて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0572】
態様M3は、態様M1またはM2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、判定されたエネルギーの量に基づいて第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、判定されたエネルギーの量と、記憶されているデータセットとを比較し、比較に基づいて、ドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0573】
態様M4は、態様M1からM3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、電気外科エネルギーパルスのうちの1つを送達したときにタイマを始動し、生物組織が沸騰したと判定してタイマを停止させ、タイマと1つ以上の値とを比較し、比較に基づいてドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0574】
態様M5は、態様M1からM4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、顎部へ送達されたエネルギーの量を判定し、組織の電気特性を判定し、判定されたエネルギーの量および判定された電気特性に基づいて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0575】
態様M6は、態様M1からM5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、判定された電気特性が、インピーダンスであることを含みまたは使用することができる。
【0576】
態様M7は、態様M1からM6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、判定された電気特性が、位相角であることを含みまたは使用することができる。
【0577】
態様M8は、態様M1からM7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、以前の電気外科エネルギーパルス中に送達された電流の量を判定し、判定された電流の量に基づいて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0578】
態様M9は、態様M1からM8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、以前の電気外科エネルギーパルス中に送達された電荷の量を判定し、判定された電荷の量に基づいて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0579】
態様M10は、態様M1からM9のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の電気外科エネルギーパルス後のドエルタイムを判定するように構成された制御回路が、電気外科エネルギーパルスのうちの1つの電流を送達したときにタイマを始動し、電流が送達された後にタイマを停止させ、タイマを1つ以上の値とを比較し、比較に基づいてドエルタイムを判定するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0580】
N.乾燥サイクルの終了時のパルス化
態様N1は、生物組織へ電気療法信号を提供する電気外科システムであって、開閉するように構成された対置可能な顎部材を含む鉗子であり、対置可能な顎部材が、閉じているとき、対置可能な顎部材間に生物組織を締め付けて、締め付けられた生物組織を介して、対置可能な顎部材間に電気通信を提供するように構成される、鉗子と、電気エネルギー源と通信する制御回路とを備え、電気エネルギー源が、電極に電気的に結合され、療法信号を生成するように構成されており、制御回路が、電気療法段階中、電気エネルギー源に、電気療法計画に従って提供された電気療法信号を生物組織へ提供させ、電気療法段階に続く粘着低減段階中、電気エネルギー源に、生物組織へ提供される電気療法信号をパルス化させるように構成され、粘着低減計画に従ってパルス化された電気療法信号が、流体が、締め付けられた生物組織へ戻り、それによって鉗子への生物組織の粘着を低減させることを可能にするように構成される、電気外科システムを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0581】
態様N2は、態様N1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気エネルギー源が鉗子に電気的に結合されたときに対置可能な顎部材と電気的に通信する測定回路であって、測定回路が、生物組織の基準インピーダンスを含む、締め付けられた生物組織の電気パラメータを測定するように構成され、制御回路が、測定された基準インピーダンスに基づいて、療法持続時間を判定し、判定された療法持続時間が切れた後に、電気療法段階を低減させ、療法持続時間が切れた後に、粘着低減段階を開始するようにさらに構成される、測定回路を含みまたは使用することができる。
【0582】
態様N3は、態様N1またはN2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、基準インピーダンスが、呼掛け段階中に測定されることを含みまたは使用することができる。
【0583】
態様N4は、態様N1からN3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、基準インピーダンスが、電気療法段階中に測定されることを含みまたは使用することができる。
【0584】
態様N5は、態様N1からN4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、粘着低減計画が、交互の電力最小値および最大値を有し、電力最小値の各々が、所定の閾値を下回ることを含みまたは使用することができる。
【0585】
態様N6は、態様N1からN5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、粘着低減計画の電力最小値の各々が、第1の所定の持続時間にわたって維持されることを含みまたは使用することができる。
【0586】
態様N7は、態様N1からN6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第1の所定の持続時間が、10ミリ秒より大きいことを含みまたは使用することができる。
【0587】
態様N8は、態様N1からN7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、粘着低減計画の電力最大値の各々が、第2の所定の持続時間にわたって維持されることを含みまたは使用することができる。
【0588】
態様N9は、態様N1からN8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第2の所定の持続時間が、50ミリ秒より大きいことを含みまたは使用することができる。
【0589】
態様N10は、態様N1からN9のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、粘着低減計画が、第3の所定の持続時間後に低減されることを含みまたは使用することができる。
【0590】
態様N11は、態様N1からN10のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第3の所定の持続時間が、200ミリ秒より大きいことを含みまたは使用することができる。
【0591】
態様N12は、態様N1からN11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気療法信号をパルス化するように構成された制御回路が、電力制御計画に従って電気療法信号をパルス化するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0592】
態様N13は、態様N1からN12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気療法信号をパルス化するように構成された制御回路が、電圧制御計画に従って電気療法信号をパルス化するように構成されることを含みまたは使用することができる。
【0593】
態様N14は、電気外科機器と電気的に通信する生物組織へ電気療法信号を提供する電気外科ジェネレータであって、電気外科機器を電気外科ジェネレータに電気的に結合して、電気外科ジェネレータと生物組織との間に電気通信を提供するように構成された電気コネクタと、電気コネクタに結合され、電気療法信号を生成するように構成された電気エネルギー源と、制御回路とを含み、制御回路が、電気療法段階中、電気エネルギー源に、電気療法計画に従って提供された電気療法信号を生物組織へ提供させ、電気療法段階に続く粘着低減段階中、電気エネルギー源に、生物組織へ提供される電気療法信号をパルス化させるように構成され、粘着低減計画に従ってパルス化された電気療法信号が、流体が生物組織へ戻り、それによって電気外科機器への生物組織の粘着を低減させることを可能にするように構成される、電気外科ジェネレータを含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0594】
態様N15は、態様N14の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、電気コネクタに電気的に結合され、生物組織の基準インピーダンスを含む生物組織の電気パラメータを測定するように構成された測定回路であって、制御回路が、測定された基準インピーダンスに基づいて、療法持続時間を判定し、判定された療法持続時間が切れた後、電気療法段階を低減させ、療法持続時間が切れた後、粘着低減段階を開始するようにさらに構成される、測定回路を含みまたは使用することができる。
【0595】
態様N16は、態様N14またはN15のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、粘着低減計画が、交互の電力最小値および最大値を有し、粘着低減計画の電力最小値の各々が、50ミリ秒より大きい第1の所定の持続時間にわたって維持されることを含みまたは使用することができる。
【0596】
態様N17は、態様N14からN16のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、粘着低減計画の電力最大値の各々が、50ミリ秒より大きい第2の所定の持続時間にわたって維持されることを含みまたは使用することができる。
【0597】
態様N18は、電気外科機器と電気的に通信する生物組織へ電気療法信号を送達する方法であって、電気外科機器が、対置可能な顎部材を有する鉗子を含み、この方法が、電気療法段階中、電気エネルギー源を介して電気療法信号を生物組織へ提供することであり、電気療法信号が電気療法計画に従って提供される、提供することと、電気療法段階に続く粘着低減段階中、電気エネルギー源を介して、生物組織へ提供される電気療法信号をパルス化することであり、粘着低減計画に従ってパルス化される電気療法信号が、流体が生物組織へ戻り、それによって電気外科機器への生物組織の粘着を低減させることを可能にするように構成される、パルス化することと、粘着化低減段階後、鉗子の対置可能な顎部材から生物組織を解放することとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0598】
態様N19は、態様N18の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定回路を介して生物組織の基準インピーダンスを測定することと、測定された基準インピーダンスに基づいて、療法持続時間を判定することと、判定された療法持続時間が切れた後、電気療法段階を低減させることと、療法持続時間が切れた後、粘着低減段階を開始することとを含みまたは使用することができる。
【0599】
O.パルス中に得られる測定に基づくパルスの終了
態様O1は、電気外科機器と電気的に通信する生物組織へ電気療法信号を送達する方法であって、療法段階の開始後の時間間隔後に生物組織の基準インピーダンスを測定することと、療法段階の開始後に測定された基準インピーダンスに基づいて、療法段階に対する終了基準を判定することと、療法段階中に電気療法信号を生物組織へ送達することであり、送達される電気療法信号が電気療法計画に従って制御される、送達することと、終了基準が満たされたことに応答して、療法段階を終了させることとを含む方法を含みまたは使用することができる主題(たとえば、システム、装置、方法、物品など)を含みまたは使用することができる。
【0600】
態様O2は、態様O1の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、終了基準が時間基準であることを含みまたは使用することができる。
【0601】
態様O3は、態様O1またはO2のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、終了基準がインピーダンス基準であることを含みまたは使用することができる。
【0602】
態様O4は、態様O1からO3のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法段階の開始後に測定された基準インピーダンスに基づいて、療法段階に対する終了基準を判定することが、測定された基準インピーダンスに基づいて、時間基準とインピーダンス基準との間で選択することを含むことを含みまたは使用することができる。
【0603】
態様O5は、態様O1からO4のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、送達される電気療法信号が、電力制御式の療法計画に従って制御されることを含みまたは使用することができる。
【0604】
態様O6は、態様O1からO5のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、送達される電気療法信号が、電圧制御式の療法計画に従って制御されることを含みまたは使用することができる。
【0605】
態様O7は、態様O1からO6のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、療法段階が脱水段階であることを含みまたは使用することができる。
【0606】
態様O8は、態様O1からO7のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定された基準インピーダンスに基づいて、電気療法段階に対する終了基準を判定することが、測定された基準インピーダンスと閾値インピーダンス値とを比較することを含み、閾値インピーダンス値が絶対インピーダンス値であることを含みまたは使用することができる。
【0607】
態様O9は、態様O1からO8のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、測定された基準インピーダンスに基づいて、電気療法段階に対する終了基準を判定することが、測定された基準インピーダンスと閾値インピーダンス値とを比較することを含み、閾値インピーダンス値がデルタインピーダンス値であることを含みまたは使用することができる。
【0608】
態様O10は、態様O1からO9のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、終了基準が第1の終了基準であり、電気療法信号が第1の電気療法信号であり、療法段階が脱水段階であり、基準インピーダンスが第1の基準インピーダンスであり、この方法が、脱水段階の終了後、生物組織の第2の基準インピーダンスを測定することと、血管接合段階の開始前に、測定された第2の基準インピーダンスに基づいて、血管接合段階のための第2の終了基準を判定することと、血管接合段階中に第2の電気療法信号を生物組織へ送達することと、第2の終了基準が満たされたことに応答して、血管接合段階を終了させることとを含むことを含みまたは使用することができる。
【0609】
態様O11は、態様O1からO10のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第2の終了基準が時間基準であることを含みまたは使用することができる。
【0610】
態様O12は、態様O1からO11のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、第2の終了基準がインピーダンス基準であることを含みまたは使用することができる。
【0611】
態様O13は、態様O1からO12のいずれか1つ以上の少なくともいくつかの特徴を含みもしくは使用し、または任意選択でそのような特徴と組み合わせて、血管接合段階の開始前に、測定された第2の基準インピーダンスに基づいて、血管接合段階に対する第2の終了基準を判定することが、測定された基準インピーダンスに基づいて、時間基準とインピーダンス基準との間で選択することを含むことを含みまたは使用することができる。
【0612】
注記
本明細書に記載する非限定的な態様または例の各々は、単独で成立することができ、または他の例のうちの1つ以上との様々な順列もしくは組合せで組み合わせることができる。
【0613】
上記の詳細な説明は、添付の図面への参照を含み、添付の図面は、詳細な説明の一部を形成する。これらの図面は、例示として、本発明が実施することができる特有の例を示す。これらの例はまた、本明細書で「実施例」とも呼ばれる。そのような例は、図示または説明したもの以外の要素を含むことができる。しかし、本発明者らはまた、図示または説明した要素のみが提供される例も企図する。さらに、本発明者らはまた、特定の例(またはその1つ以上の態様)に対して、または本明細書に図示もしくは説明する他の例(またはその1つ以上の態様)に対して、図示または説明する要素の任意の組合せまたは順列を使用する例(またはその1つ以上の態様)も企図する。
【0614】
本明細書と本願に引用して援用する文献との間で用途が一貫しない場合、本明細書の要素が優先する。
【0615】
本明細書では、「a」または「an」という用語は、特許文献でよく見られるように、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という他の事例または使用に依存することなく、1つまたは1つ以上を含むために使用される。本明細書では、「または(or)」という用語は、別途指示されない限り、非排他的なorを指すために使用され、したがって「AまたはB」は「BではなくA」、「AではなくB」、および「AおよびB」を含む。本明細書では、「含む(including)」および「in which」という用語は、「備える(comprising)」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む」および「備える」という用語はオープンエンドであり、すなわち、ある請求項でそのような用語の後に列挙されるもの以外の要素を含むシステム、デバイス、物品、組成、構成、またはプロセスも、その請求項の範囲内に入ると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、その対象に数値要件を課すことを意図したものではない。
【0616】
本明細書に記載する方法の例は、少なくとも部分的に、機械またはコンピュータで実施することができる。いくつかの例は、上記の例に記載する方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令によって符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高レベル言語コードなどのコードを含むことができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部分を形成することができる。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時間などに、1つ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に記憶することができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例には、それだけに限定されるものではないが、ハードディスク、取外し可能な磁気ディスク、取外し可能光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)などを含むことができる。
【0617】
上記の説明は、制限的ではなく例示的であることを意図したものである。たとえば、上述した例(またはその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。当業者などであれば、上記の説明を再検討することによって、他の例を使用することもできる。要約書は、特許法施行規則§1.72(b)に準拠して、読み手が技術的開示の性質を迅速に確かめることを可能にするために提供される。要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するために使用されるものではないことを理解した上で提出される。また、上記の発明を実施するための形態では、本開示を簡素化するために、様々な特徴がまとめられていることがある。これは、特許請求されていない開示の特徴が何らかの請求項にとって不可欠であることを意図すると解釈されるべきではない。逆に、本発明の主題は、特定の開示する例のすべての特徴より小さい範囲にある可能性がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって、発明を実施するための形態に例または実施例として組み込まれており、各請求項は、別個の例として単独で成立し、そのような例は、様々な組合せまたは順列で互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が与えられる均等物の完全な範囲とともに決定されるべきである。