(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】変電所自動化システムにおける装置に関するケーブル配線問題を検出及び軽減するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0873 20220101AFI20230724BHJP
H04L 43/0811 20220101ALI20230724BHJP
H04L 41/12 20220101ALI20230724BHJP
H04L 45/243 20220101ALI20230724BHJP
【FI】
H04L41/0873
H04L43/0811
H04L41/12
H04L45/243
(21)【出願番号】P 2021575371
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2019055014
(87)【国際公開番号】W WO2020254852
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】コザヤ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】シバンティ、サニケサバン
(72)【発明者】
【氏名】ピニョレ、イボンヌ-アンヌ
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0110904(US,A1)
【文献】特開2012-235335(JP,A)
【文献】特開2006-279404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
H04L 43/0811
H04L 45/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所自動化システムの冗長化通信ネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題を検出及び軽減するための方法において、各装置は、ノード又はスイッチであり、前記方法は、
各装置から、対応する前記装置において受信されたトラフィックに関連付けられた情報を、周期的な瞬間において受信すること(802)と、
ここにおいて、ノードから受信された前記情報は、各ポートについて受信されたトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)と、各ポートにおいて受信された前記トラフィックの誤り率(ErrA、ErrB)と、を備え、前記インジケータ及び前記誤り率は、各ポートにおいて受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)と、各ポートにおいて誤ったネットワーク識別子とともに受信されたフレームの総数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)とから決定され、
スイッチから受信された前記情報は、前記スイッチの各ポートについて収集された1つ又は複数の装置識別子から決定される、ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つを備え、
各装置から受信された前記情報に基づいて、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関する問題を決定すること(804)と、
ここにおいて、少なくとも1つのスイッチから受信された前記情報が前記誤設定情報を含む場合、スイッチの誤設定が決定され、
各ノードから受信された前記情報(ErrA、ErrB;StValA、StValB)と基準値との比較に基づいて、1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて誤ったケーブル配線が決定され(WrongA、WrongB)、
前記1つ又は複数の装置における前記1つ又は複数のケーブル接続に関して決定された前記問題を軽減すること(806)と、
ここにおいて、前記少なくとも1つのスイッチについて決定された前記スイッチの誤設定は、誤設定されているとして検出された、前記少なくとも1つのスイッチの対応する前記ポートをシャットダウンするための信号を送ることによって軽減され、
前記1つ又は複数のノードの前記1つ又は複数のポートについて決定された前記誤ったケーブル配線は、
誤設定されているとして検出された、前記少なくとも1つのノードの対応する前記ポートをシャットダウンするための信号を送ることと、
前記誤ったケーブル配線を軽減するために実行されるべき一連のステップを有する通信を送ることと、
のうちの1つによって軽減される、
を備える、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のケーブル接続に関する前記問題を決定することは、
前記少なくとも1つのスイッチについて前記スイッチの誤設定を決定することと、
前記少なくとも1つのスイッチについて前記スイッチの誤設定を軽減することと、
前記1つ又は複数のノードの前記1つ又は複数のポートについて前記誤ったケーブル配線を決定することと、
前記1つ又は複数のノードの前記1つ又は複数のポートについて前記誤ったケーブル配線を軽減することと、
を順次実行することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スイッチについての前記ステータス情報及び前記誤設定情報のうちの少なくとも1つは、前記スイッチの各ポートについてリンク層発見プロトコル(LLDP)情報を収集することによって決定され、前記LLDP情報は、前記スイッチに接続されている1つ又は複数の装置の一意の識別子を備え、前記LLDP情報は、前記ステータス情報及び前記誤設定情報のうちの少なくとも1つを決定するために、前記スイッチで利用可能なネットワーク情報と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数のノードの前記1つ又は複数のポートについて前記誤ったケーブル配線を決定することは、
2つのペアリングされたノードのうちの1つのノードの1つのポートが、前記誤ったケーブル配線を有していること、
前記ペアリングされたノードのうちの1つのノードの2つのポートが、前記誤ったケーブル配線を有していること、
両方の前記ペアリングされたノードの1つのポートが、前記誤ったケーブル配線を有していること、及び
両方の前記ペアリングされたノードの両方の前記ポートが、前記誤ったケーブル配線を有していること、
のうちの少なくとも1つを決定するために、前記ペアリングされたノードの各ノードから受信された前記情報を前記基準値と比較することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記冗長化通信ネットワークは、並列冗長化プロトコル(PRP)及び高可用性シームレス冗長化(HSR)のうちの少なくとも1つをサポートする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記冗長化通信ネットワークにおいて接続されている各装置から前記情報を受信するように構成された産業用装置を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
変電所自動化システムの冗長化通信ネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題を検出及び軽減するためのシステム(100)において、各装置は、ノード又はスイッチのうちの1つであり、前記システムは、
対応する前記装置におけるトラフィックに関連付けられた情報を周期的に生成及び送信するように構成された、各装置上で実行されているエージェント(D1、D2...;S1、S2...)と、
ここにおいて、ノード上の前記エージェント(D1、D2...)は、各ポートについて受信されたトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)と、各ポートにおいて受信された前記トラフィックの誤り率(ErrA、ErrB)とを生成するように構成されており、前記エージェントは、各ポートにおいて受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)と、各ポートにおいて誤ったネットワーク識別子とともに受信されたフレームの総数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)とを、周期的な瞬間において決定するために、前記ノードにおいてフレームを監視することから前記情報を生成し、
スイッチ上の前記エージェント(S1、S2...)は、前記スイッチの各ポートについて、周期的な瞬間において収集された1つ又は複数の装置識別子を監視することから、ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つの情報を生成するように構成されており、
産業用装置上で実行されているネットワークマネージャ(NM)であって、
前記冗長化通信ネットワークにおいて接続されている各装置上で実行されている各エージェントによって送信された前記情報を受信することと、
各装置から受信された前記情報に基づいて、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関する問題(IC1、IC2、IC3、IC4)を決定することと、ここにおいて、少なくとも1つのスイッチから受信された前記情報が前記誤設定情報を含む場合、スイッチの誤設定が決定され、各ノードから受信された前記情報(ErrA、ErrB;StValA、StValB)と基準値との比較に基づいて、1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて誤ったケーブル配線(WrongA、WrongB)が決定され、
前記1つ又は複数の装置における前記1つ又は複数のケーブル接続に関して決定された前記問題を軽減することと、ここにおいて、少なくとも1つのスイッチについて決定された前記スイッチの誤設定は、誤設定されているとして検出された、前記少なくとも1つのスイッチの対応する前記ポートをシャットダウンするための信号を送ることによって軽減され、前記1つ又は複数のノードの前記1つ又は複数のポートについて決定された前記誤ったケーブル配線は、誤設定されているとして検出された、前記少なくとも1つのノードの対応する前記ポートをシャットダウンするための信号を送ることと、前記誤ったケーブル配線を軽減するために実行されるべき一連のステップを有する通信を送ることと、のうちの1つによって軽減される、
を行うように構成されたネットワークマネージャ(NM)と、
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、一般に、変電所自動化システムにおける冗長化通信ネットワークに関する。より具体的には、本発明は、そのような冗長化通信ネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題を検出及び軽減することに関する。
【背景技術】
【0002】
[002]産業用システムは、多くの場合、ある特定の重要な産業用プロセスを監視及び制御するために必要である高可用性を提供する通信ネットワークを含む。このような高可用性の欠如は、制御された産業用プロセスのダウンタイム又はシャットダウンにつながり得る。
【0003】
[003]高可用性を確保するために、変電所自動化システム等の産業用制御システムは、多くの場合、シームレス冗長化プロトコルに依拠する。これらは、IEC 62439に記載されているような並列冗長化プロトコル(PRP)及び高可用性シームレス冗長化(HSR)を含む。これらのプロトコルによって達成される高可用性は、ネットワーク装置(即ち、ノード及び/又はスイッチ)の正しいケーブル配線に依拠する。
【0004】
[004]PRPでは、ケーブル配線問題は、ノードのポート又はスイッチのポートにおいて存在し得る。例えば、ポートは、誤ったローカルエリアネットワークに接続され得、又は、ある特定のポートにおいて欠落しているケーブル(missing cables)が存在し得る(例えば、設置後のケーブル故障又は試運転中の欠落)。HSRでは、ケーブル配線問題は、ノードのポートにおいて存在し得る。例えば、ある特定のポートにおいて欠落しているケーブルが存在し得る。
【0005】
[005]既存の方法は、第一に誤ったケーブル配線を有することを防止する方法、又はネットワークにおけるその存在を検出する方法を研究してきた。
【0006】
[006]1つの手法は、点検を通じて、誤ったケーブル配線を視覚的に識別することを目的とする。この手法は、ケーブル及びプラグに対してカラーコードを使用することに依拠し、これは、いくらかの技術的努力を必要とするか、又は既製部品を使用するときは実現不可能でさえあり得る。
【0007】
[007]米国特許出願公開第20100110904号に記載されている別の手法が、ネットワークにおける誤ったケーブル配線を検出することを目的とする。この方法は、ネットワーク装置のポートが、冗長化通信ネットワークに誤って接続されているケースを検出する。この方法は、二重接続されたノード/装置(エンド装置)のレベルでの誤ったケーブル配線の検出のみを可能にし、それはまた、欠落しているケーブルも検出する。
【0008】
[008]従って、既存の方法は、手動の点検に依拠するか、又はある特定のタイプのネットワーク装置に限定される。これらの方法は、特に、どのポート又はどの装置(ノード又はスイッチ)が誤設定されているかを正確に識別する際に、PRP及び/又はHSRをサポートする冗長化通信ネットワークに対してうまく機能しない場合がある。加えて、これらの方法は、このような誤設定の存在下で予防措置を講じることができない。
【0009】
[009]従って、冗長化通信ネットワークにおけるこのような誤設定を正確に識別し、このような誤設定の影響を軽減することを支援する方法及びシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明は、変電所自動化システムの冗長化通信ネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題を検出及び軽減するための方法及びシステムを開示する。いくつかの実施形態では、冗長化通信ネットワークは、並列冗長化プロトコル(PRP)及び高可用性シームレス冗長化(HSR)のうちの1つ又は複数をサポートする。
【0011】
[0011]冗長化通信ネットワークに接続されている各装置は、ノード又はスイッチであり得る。変電所自動化システム内にはいくつかのタイプの装置又は機器が存在し得ることが留意されるべきであり、これは、当業者には容易に明らかとなるであろう。本発明は、冗長化通信ネットワークにおいて接続されている通信装置(ノード又はスイッチ)に関するケーブル配線問題を識別する。ノードは、有線通信装置であり得、冗長化ネットワークのケースでは、ノードは、典型的に、二重接続されたノード(DAN:doubly attached node)である。換言すれば、ノードは、2つの別個のネットワークに接続されており、同じ情報が、別個のポート(例えば、ポートA及びポートB)を通じて、2つの別個のネットワーク(例えば、LAN A及びLAN B)において通信される。スイッチは、ネットワークへの物理的接続性を提供するイーサネット(登録商標)スイッチ又はネットワークスイッチであり得る。
【0012】
[0012]本方法は、分散して実装され得、ここで、いくつかの情報は、冗長化通信ネットワークに接続されている各装置によって生成される。この情報は、ケーブル配線問題を決定する監視装置(例えば、中央/分散)に通信される。従って、本方法は、各装置から、対応する装置において受信されたトラフィックに関連付けられた情報を、周期的な瞬間において受信することを備える。
【0013】
[0013]ノード又はスイッチにおいて等、各装置において、ある特定の情報を決定するためにフレームが監視される。
【0014】
[0014]ノードの場合、各ポートにおいて受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)と、各ポートにおいて誤ったネットワーク識別子とともに受信されたフレームの総数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)とが監視される。これは、各ポートについて受信されたトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)と、各ポートにおいて受信されたトラフィックの誤り率(ErrA、ErrB)とを生成するために使用される。
【0015】
[0015]各ポートについてのトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)は、各ポートにおいて受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)を使用して計算され得る。例えば:
CntReceivedA = 0の場合、StValA = 0;それ以外の場合、StValA = 1
【0016】
[0016]各ポートにおいて受信されたトラフィックの誤り率は、各ポートにおいて受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)と、各ポートにおいて誤ったネットワーク識別子とともに受信されたフレームの総数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)とから計算され得る。例えば:
CntReceivedAが0でない場合、ErrA = CntWrongLanA/CntReceivedA * 100;
それ以外の場合、ErrA = 0
【0017】
[0017]スイッチの場合、各ポートについて収集された1つ又は複数の装置識別子(例えば、MACアドレス)が監視される。例えば、リンク層発見プロトコル(LLDP)等のレイヤ2発見プロトコルが、スイッチにおいて利用され得る。LLDP情報は、スイッチのポートに接続されている1つ又は複数の装置の一意の識別子(MACアドレス)を含む。このような情報は、スイッチがそれに接続されるべきでない、スイッチが接続されている任意の装置があるかどうかを決定するために、(例えば、ネットワーク構成ファイル内の)スイッチで既に利用可能なネットワーク情報と比較され得る。換言すれば、スイッチが通信すべきでない相手である、スイッチがそれと通信している任意の近隣装置があるかどうかである。
【0018】
[0018]従って、スイッチの各ポートについて収集された装置識別子は、ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つを生成するために使用され得る。例えば、全ての近隣装置が所望のとおりに接続されている場合、健全なステータスを示すメッセージが通信され得る。別の例を挙げると、いくつかの誤ったネイバーが検出された場合(例えば、冗長化ネットワークの別のスイッチに接続されているスイッチ)には、このような情報が通信され得る。
【0019】
[0019]従って、各装置(ノード又はスイッチ)は、対応する装置におけるトラフィックに基づいて、情報を周期的に生成する。
【0020】
[0020]本方法によれば、ノードから受信された情報は、各ポートについて受信されたトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)と、各ポートにおいて受信されたトラフィックの誤り率(ErrA、ErrB)と、を備える。前述のとおり、インジケータ及び誤り率は、各ポートにおいて受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)と、各ポートにおいて誤ったネットワーク識別子とともに受信されたフレームの総数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)とから決定される。更に、スイッチから受信された情報は、ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つを備える。前述のとおり、ステータス情報及び誤設定情報は、スイッチの各ポートについて収集された1つ又は複数の装置識別子から決定される。
【0021】
[0021]本方法は、各装置から受信された情報に基づいて、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関する問題を決定することを更に備える。各装置(ノード/スイッチ)から受信された情報は、任意のスイッチの誤設定があるかどうか、又は任意の誤ったケーブル配線があるかどうかをチェックするために利用される。少なくとも1つのスイッチから受信された情報が誤設定情報を含む場合、スイッチの誤設定が決定される。
【0022】
[0022]各ノードから受信された情報に基づいて、1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて誤ったケーブル配線が決定される(WrongA、WrongB)。例えば、装置についてのStValA、StValB、ErrA及びErrBは、装置のポートが正しいネットワークに接続されているかどうか、それらが別のネットワークのトラフィックを受信しているかどうか、誤ったネットワーク識別子を有する多数のフレームがあるかどうか等を確認するために、基準値と比較され得る。基準値は、インジケータ及び誤り率に対して利用可能である(例えば、装置のメモリ内に、又は表として格納され、これは、エンジニアリング中に設定され得る)。一例として、ErrAは、「0」、「50」、「100」のうちの1つであり得、StValAは、「0」及び「1」のうちの1つであり得、これは事前に定義され得る。従って、ポートA及びポートBについてのWrongA、WrongBは、ErrA、ErrB及びStValA、StValBから決定され得る。例えば、ノードにおいて:
ErrA = 0、ErrB = 100、StValA = 1、及びStValB = 1の場合、WrongA = 0、WrongB = 1
【0023】
[0023]基準値との比較は、ノード又はどのノードのペアが問題に直面しているかどうか、問題に直面している場合、影響を受けている装置のどのポート又はどの複数のポートが問題に直面しているか等を識別する。例えば、ネットワークにおけるペアリングされたノードのセットにおける1つのノードの1つのポートが、誤ったケーブル配線を有し得るか、ペアリングされたノードのセットにおける1つのノードの2つのポートが、誤ったケーブル配線を有し得るか、ペアリングされたノードのセットにおける両方のノードの1つのポートが、誤ったケーブル配線を有し得るか、又は両方のノードの両方のポートが、誤ったケーブル配線を有し得る。
【0024】
[0024]一旦ケーブル接続に関する問題を有する装置の識別情報が決定されると、軽減が実行され得る。従って、本方法は、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関して決定された問題を軽減することを含む。少なくとも1つのスイッチについて決定されたスイッチの誤設定は、誤設定されているとして検出された、少なくとも1つのスイッチの対応するポートをシャットダウンするための信号を送ることによって軽減される。1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて決定された誤ったケーブル配線は、2つのオプションのうちの1つによって軽減される。1つのオプションでは、可能な場合、誤設定されているとして検出された、ノードのポートをシャットダウンするために、信号がノードに送られる。別のオプションでは、誤ったケーブル配線を軽減するために実行されるべき一連のステップを有する通信が送られる(例えば、産業作業員が通信に従うことよって問題を解決し得るように、作業員を伴う(with)装置に送られる)。
【0025】
[0025]一実施形態ではノードにおける誤ったケーブル配線を検出及び軽減する前に、スイッチの誤設定が検出及び軽減される。この実施形態によれば、1つ又は複数のケーブル接続に関する問題を決定することは、以下を順次実行することを含む:
・少なくとも1つのスイッチについてスイッチの誤設定を決定すること、
・少なくとも1つのスイッチについてスイッチの誤設定を軽減すること、
・1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて誤ったケーブル配線を決定すること、及び
・1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて誤ったケーブル配線を軽減すること。
【0026】
[0026]従って、本方法は、冗長化通信ネットワークに接続されている異なる装置から情報を周期的に受信することを含む。情報は、任意のスイッチ又はノードが誤設定を有しているかどうかを決定するために分析され、誤設定に依存して、対応する軽減処置(例えば、影響を受けているポートをシャットダウンすること)が、軽減処置を対応する装置に通信することによって実行され得る。
【0027】
[0027]本方法は、分散型制御システム等を有する産業用装置を用いて、又は制御装置(コントローラ又はIED)を用いて実行され得、これらは、冗長化ネットワークにおける他の装置に(例えば、物理的に)接続されている。産業用装置はまた、冗長化ネットワークのノードのうちの1つであり得、これは、他のノード及びスイッチに接続されて、それらから情報を受信する。
【0028】
[0028]ケーブル配線問題の検出及び軽減を可能にするために、本発明のシステムが開示される。前述のとおり、本方法は、装置(例えば、ノード、スイッチ等)からの情報と、ケーブル配線問題を決定するための情報の分析と、ケーブル配線問題を軽減するための通信と、を必要とする。
【0029】
[0029]従って、ケーブル配線問題を検出及び軽減するためのシステムは、各装置上で実行されているエージェントを有する。これらのエージェントは、対応する装置におけるトラフィックに関連付けられた情報を周期的に生成及び送信するように構成されている。
【0030】
[0030]ノード上のエージェントは、各ポートについて受信されたトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)と、各ポートにおいて受信されたトラフィックの誤り率(ErrA、ErrB)との情報を生成するように構成されている。
【0031】
[0031]スイッチ上のエージェントは、スイッチの各ポートについて収集された1つ又は複数の装置識別子を監視することから、ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つの情報を生成するように構成されている。
【0032】
[0032]システムはまた、産業用装置上で実行されているネットワークマネージャを有する。例えば、ネットワークマネージャは、DCSサーバ、制御装置(コントローラ又はIED)上又はノード上に設けられ得る。
【0033】
[0033]産業用装置は、各エージェントによって送信された情報を受信するように構成されている。産業用装置はまた、各装置から受信された情報に基づいて、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関する問題を決定するように構成されている。産業用装置はまた、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関して決定された問題を軽減するように構成されている。
【0034】
[0034]エージェント及びネットワークマネージャは、対応する装置上でコンテナとして設けられ得る。一実施形態では、ノード上のエージェントは、ネットワークスタックからインジケータ及び誤り率の統計値(the statistics)を生成するために必要なロジックを実装するコンテナ化されたモジュールである。この実施形態によれば、スイッチ上のエージェントは、(例えば、スイッチのLLDP表エントリに基づいて)ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つを生成するために必要なロジックを実装するコンテナ化されたモジュールである。エージェントは、例えば、HTTPを使用して、それらの情報をネットワークマネージャに通信し得る。本実施形態によれば、ネットワークマネージャは、例えば、SNMPを使用して、軽減処置(mitigating actions)についてエージェントと通信し得る。
【0035】
[0035]本発明の主題は、添付の図面において例示される例示的な実施形態を参照して、以下本文でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】[0036]
図1は、本発明の一実施形態による、冗長化通信ネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題を検出及び軽減するためのシステムを簡略化して表したものである。
【
図2】[0037]
図2は、並列冗長化プロトコル(PRP)に従って、ネットワークにおいて接続されている装置を簡略化して表したものである。
【
図3a】[0038]
図3aは、PRPネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題の例を示す。
【
図3b】
図3bは、PRPネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題の例を示す。
【
図4】[0039]
図4は、高可用性シームレス冗長化(HSR)に従って、ネットワークにおいて接続されている装置を簡略化して表したものである。
【
図5】[0040]
図5は、HSRネットワークにおいて接続されている装置に関するケーブル配線問題を示す。
【
図6】[0041]
図6は、本発明の一実施形態による、PRPネットワークにおける一対の装置の様々な状況を示す表である。
【
図8】[0043]
図8は、本発明の一実施形態による、ケーブル配線問題を検出及び軽減するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0044]冗長化通信ネットワークにおける誤ったケーブル配線は、その上に構築された産業用自動化システムの可用性を制限し得、時にそれらの性能を妨げることさえある。例えば、冗長化ネットワークのうちの1つでの誤ったケーブル配線は、存在する誤ったケーブル配線に起因して、今度は(now)ある装置を到達不能にし得る。誤ったケーブル配線の影響の別の例が、特に、誤ったケーブル配線がトラフィック固有のインタークロス(traffic specific intercross)を引き起こす場合のネットワーク輻輳であり、即ち、全てのLANが正常な場合に送るべきトラフィックの2倍多くを送っている。
【0038】
[0045]本発明は、PRP及びHSR等の産業冗長化ネットワークにおける物理的接続のステータスを推測し得る分散型ソリューションを提供するために、産業用自動化システムにおける装置上の既存の処理能力を利用する。本発明は、このようなネットワークにおける誤ったケーブル配線を検出し、どこで及びどのようにネットワーク装置(ノード又はスイッチ)が誤ってケーブル配線されているかをより正確に識別する。誤ったケーブル配線を識別することに加えて、本発明は、修正(軽減)処置を自動的に行い、例えば、トラフィックインタークロス等の誤ったケーブル配線の有害な影響を軽減するために、ある特定の装置上のポートを無効にする。
【0039】
[0046]本発明は、ネットワーク装置上に配備された分散型エージェントからの情報に依拠して、第1に、誤ったケーブル配線を識別するためのデータを収集し、第2に、発見された誤設定に対する自動軽減を適用する。
【0040】
[0047]
図1を参照すると、これは、本発明の一実施形態による、ケーブル配線問題を検出及び軽減するためのシステム(100)を簡略化して表したものを例示する。
【0041】
[0048]
図1に示される実施形態は、二重接続されたノード(DAN、PRP用のDANPとも呼ばれる)及びスイッチ(例えば、イーサネットスイッチ)である装置を示し、これは、PRPのケースである。
図1に示されるように、装置1等の装置(DAN)は、有線通信装置であり、これは、ペアリングされた装置(装置2)に別個のネットワーク上で冗長化通信を送るために物理的に接続されている。換言すれば、装置1は、ネットワークA(スイッチA)及びネットワークB(スイッチB)を介して、同じ通信を装置2に送る。従って、装置1はソースノード、及び、装置2は宛先ノードと見なされ得る。スイッチ(スイッチA又はスイッチB)は、ネットワークへの物理的接続性を提供するイーサネットスイッチ又はネットワークスイッチであり得る。
【0042】
[0049]
図2に示されるように、いくつかのスイッチ(スイッチA
1、A
2...A
n;B
1、B
2...B
n)によって接続された、接続された装置のいくつかのペア(例えば、D1
1、D2
1;D1
2、D2
2;...D1
n、D2
n)が存在し得、このような構成及びその変形例は、当業者には明らかであると予期されることに留意されたい。
【0043】
[0050]PRPのケースでは、ノード又はスイッチにおいて、ケーブル接続に関する問題が存在し得る。ケーブル配線問題(IC1)の例が
図3aに示されており、ここで、ノード(装置1)のポート(A及びB)の両方が、同じスイッチ(スイッチA)に接続されている。
図3bに示されるように、別の例(IC2)を挙げると、スイッチAは、それが明らかに接続されるべきでないスイッチBに接続されている。これは、試運転又はメンテナンス段階中に、作業員によって誤った接続が生じたときに起こり得る。
【0044】
[0051]HSRでは、
図4に示されるように、二重接続されたノード(DAN、HSR用のDANHとも呼ばれる)は、典型的に、それらが通信リングを形成するように互いに接続されており、通常スイッチは意図されない。ここで、DANHの両方のポート(
図4には図示せず)が、通信リングの異なる方向に同じ通信を送る。従って、通信を送るDANHは、ソースノードとして機能し、一方、受信者として意図されたDANHは、宛先ノードである。
【0045】
[0052]
図4に示されるネットワークでは、IC3及びIC4等のケーブル配線問題が発生し得る。HSRにおける誤ったケーブル配線は、
図5にIC3又はIC4によって示されるように、1つの装置の少なくとも1つのポートが何にも接続されていないときに発生する。これは、試運転又はメンテナンス段階中に、そのような接続が誤って確立されていないときに起こり得る。任意の単一の装置上のケーブルを反転させること(例えば、装置1における接続を接続交換すること(connecting swapping))は、トラフィック伝播(traffic dissemination)に影響を及ぼさないことに留意されたい。従って、それはネットワークエラーとは見なされない。
【0046】
[0053]本発明によれば、このようなケーブル配線問題を決定するために、システムは、冗長化ネットワークの一部である全ての装置上で実行されているエージェントと、これらのエージェントに(例えば、物理的に)接続されているネットワークマネージャと、を含む。
【0047】
[0054]エージェント及びネットワークマネージャは、対応する装置上でコンテナとして設けられ得る。一実施形態では、ノード上のエージェントは、以下で説明されるように、ネットワークスタックからインジケータ及び誤り率の統計値を生成するために必要なロジックを実装するコンテナ化されたモジュールである。実施形態によれば、スイッチ上のエージェントは、ステータス情報及び誤設定情報のうちの少なくとも1つを生成するために必要なロジックを実装するコンテナ化されたモジュールである。エージェントは、例えば、HTTPを使用して、それらの情報をネットワークマネージャに通信し得る。本実施形態によれば、ネットワークマネージャは、ケーブル配線問題を決定するために必要なロジックを実装し、例えば、(以下で説明されるような)SNMPを使用して、軽減処置についてエージェントと通信するための、(1つ又は複数の)コンテナ化モジュールである。
【0048】
[0055]DAN上で実行されているエージェントは、D_エージェントと呼ばれ(
図1のD1、D2によって示される)、一方、スイッチ上で実行されているエージェントは、S_エージェントと呼ばれる(
図1のS1、S2によって示される)。示されるように、両方のエージェントが、ネットワークマネージャ(NMによって示される)に対して報告する。HSR設定ではスイッチは必要とされないので、そのようなケースでは、DAN上に配備されたD_エージェントのみが存在する。
【0049】
[0056]ネットワークマネージャは、分散型又は集中型のいずれかであり得、ネットワーク上の様々な装置への物理的接続性を有する。
【0050】
[0057]
図1では、ネットワークマネージャは、例えば、ノード及びスイッチに接続されたDCSサーバとして、又は制御装置(コントローラ又はIED)として、産業用装置上に集中して設けられている。制御装置はまた、冗長化通信ネットワークにおける他の装置に接続されたノードであり得る。分散型実装のケースでは、ネットワークマネージャ機能は、異なる産業用装置にわたって分割され得、ここで、各産業用装置は、ネットワークの一部(例えば、いくつかのノード/スイッチ)を監視する。
【0051】
[0058]前述のとおり、ネットワークマネージャは、ネットワークにおける全ての装置及び全てのスイッチから情報を受信するように構成されている。
【0052】
[0059]PRP及びHSRの両方において、ネットワーク装置(DAN)は、周期的に(例えば、2秒毎に)監視フレームをマルチキャストすることが予期される。PRP及びHSRをサポートするDANは、各ポート上で受信されたトラフィックに関する統計値、例えば、特に、受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)、誤ったネットワークタグ(識別子)とともに受信されたフレームの数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)等を集める。
【0053】
[0060]これらの統計値が与えられると、D_エージェント(例えば、D1、D2)は、ネットワークにおける全てのDANP MACアドレスについて、(下記表1で示されるような)ステータス表を構築する。ここで、DANPは、PRPノードを表す。表は、典型的に、監視フレームが送られる期間の倍数である持続時間の時間窓内で交換されるフレームに対する値で埋められている。このような表は、経時的に更新される。
【0054】
【0055】
[0061]ローカルに維持されるステータス表からの情報に基づいて、D_エージェントは、統計表(表2を参照)を構築し、ここで:
1. CntReceivedAが0でない場合、ErrA = CntWrongLanA/CntReceivedA * 100;
それ以外の場合、ErrA = 0
2. CntReceivedBが0でない場合、ErrB = CntWrongLanB/CntReceivedB * 100;
それ以外の場合、ErrB = 0
3. CntReceivedA = 0の場合、StValA = 0;それ以外の場合、StValA =1
4. CntReceivedB = 0の場合、StValB = 0;それ以外の場合、StValB = 1
【0056】
【0057】
[0062]上記において、ErrA及びErrBは、CntWrongLanB/CntReceivedBの比率に基づいて、固定値(0、50、及び100)を与えられ得る。
【0058】
[0063]従って、D_エージェントは、各ポートにおいて受信されたトラフィックの誤り率(ErrA、ErrB)と、各ポートについて受信されたトラフィックのインジケータ(StValA、StValB)との情報を生成する。
【0059】
[0064]次いで、D_エージェントは、統計表をネットワークマネージャに送り、全ての作成された表を廃域回収(garbage collects)する。代替として、D_エージェントは、ステータス表、即ち、受信されたフレームの総数(CntReceivedA、CntReceivedB)と、誤ったネットワークタグ(識別子)とともに受信されたフレームの数(CntWrongLanA、CntWrongLanB)とを送り得、ネットワークマネージャは、それを使用して統計値を取得し得る。
【0060】
[0065]スイッチに関する情報は、S_エージェントを用いて集められる。スイッチは、単一のネットワーク(LAN A又はLAN Bのいずれか)に接続されるものとする。このようなスイッチ(通常スイッチと呼ばれる)は、冗長化ネットワークに関連するタグ付きトラフィックを、DANPが行うように解釈することができない。このようなスイッチは、一般に、リンク層発見プロトコル(LLDP)等のレイヤ2スニッフィングプロトコル(Layer 2 sniffing protocols)をサポートする。
【0061】
[0066]スイッチ上のS_エージェントは、全てのポートについて、LLDP情報を収集する。即ち、全てのポートについて、それは、近隣装置が存在する場合には、そのような装置のMACアドレスを収集する。次いで、S_エージェントは、それと利用可能なネットワーク情報(例えば、構成中にアップロードされたネットワーク構成ファイルとして、メモリに格納されている情報)をスクリーニングすることによって、この近隣MACアドレスのうちの任意のものが、他のLANスイッチに属するかどうかをチェックする。検出された場合、そのような違反の情報は、バッチでネットワークマネージャに送られ、そうでない場合、誤設定がないことを示すメッセージ(例えば、ALL GOOD())が送られる。
【0062】
[0067]ネットワークマネージャは、タイムアウトが期限切れになるまで、全てのDAN及び全てのスイッチから返答があるまで待機する。いくつかのノードからメッセージを受信していない状態での、期限切れのタイムアウトは、それらのノードが故障している可能性が最も高いことを意味する。(例えば、構成中に提供される)ネットワークにおいて存在する装置と、それらが属すべきLANとに関するその知識を与えられると、一実装形態では、ネットワークマネージャは、最初にスイッチの誤設定をチェックする。任意のそのような誤設定が検出された場合、ネットワークマネージャは、任意のDANの誤設定が存在するかどうかをチェックしようと試みることなく、問題を解決することを提案する。ここでの軽減処置は、ネットワークマネージャが、S_エージェントのうちの1つに、他のスイッチに接続しているポートを無効にするように直接命令するか、又はオペレータ(又はネットワーク管理者)に、この軽減処置を実行するように通知することであり得る。
【0063】
[0068]この実装形態によれば、ネットワークマネージャがスイッチ間のいかなる誤設定も検出しなかった場合、その時初めて、それは、DANの誤設定の存在をチェックすることに移る。ネットワークマネージャが、スイッチのレベルにおいて及びDANのレベルで誤設定が存在しないことを宣言したとき、完全なネットワーク診断が完了したと言える。
【0064】
[0069]以下では、どのようにネットワークマネージャが通常スイッチの誤設定及びノードの誤設定を検出するかについて説明する。
【0065】
[0070]<通常スイッチの誤設定の検出>
【0066】
[0071]前述のとおり、ネットワークマネージャは、各通常スイッチから、誤設定がないことを示すメッセージ(情報)(ALL GOOD()メッセージ)、又はネットワーク情報との比較(例えば、構成ファイルとの比較)に従って、どのスイッチ(ポート)が誤って接続されているかのインジケーションを受信することになる。この実装形態によれば、ネットワークマネージャは、受信された全ての違反を単純に集約し、誤ってケーブル配線されているスイッチポートの全てのペアについてオペレータに通知する。検出された誤設定の影響を軽減するためのリモートソリューションが、オペレータの要求に基づいて実施され得る。例えば、ネットワークマネージャは、対応する(該当する)ポートを無効にするために、影響を受けているスイッチのための通信を開始し得る。
【0067】
[0072]<PRPノードの誤設定の検出>
【0068】
[0073]通常スイッチのレベルでは誤設定が存在しないことを識別した後、この実装形態によれば、ネットワークマネージャは、PRPにおけるDANについての誤設定をチェックすることに進む。ネットワークマネージャは、それが誤設定を検出するために使用し得る、インジケータ及び誤り率に関する情報を有する。例えば、ネットワークマネージャは、表として又はメモリに格納されている情報を有し、これは、誤設定を決定するために参照され得る。この情報は、インジケータ及び誤り率についての基準値、並びに誤ったケーブル配線とのそれらの関係を含む。このような情報は、DANにおいて存在し得る異なるケーブル配線問題の分析に基づいて、事前に格納されている。
【0069】
[0074]誤設定を決定するために、ネットワークマネージャは、最初に、各DANについて集められた統計値を調べ、欠落しているケーブルを識別するように試みる。欠落しているケーブルは、ポートにおいて受信されているトラフィックがない(StValA又はStValBが「0」である)場合に検出され得る。その後、それは、ネットワーク内の誤ったケーブル配線の存在を検出及び識別するように試みる。
【0070】
[0075]誤ったケーブル配線を決定するために、ネットワークマネージャはまた、誤ったネットワークに接続されているポートのインジケータの値を計算し得る。各ノードから受信された情報に基づいて、1つ又は複数のノードの1つ又は複数のポートについて誤ったケーブル配線が決定される(WrongA、WrongB)。例えば、装置についてのStValA、StValB、ErrA及びErrBは、装置のポートが正しいネットワークに接続されているかどうか、それらが別のネットワークのトラフィックを受信しているかどうか、誤ったネットワーク識別子を有する多数のフレームがあるかどうか等を確認するために、基準値と比較され得る。基準値は、インジケータ及び誤り率に対して利用可能である(例えば、装置のメモリ内に、又は表として格納され、これは、エンジニアリング中に設定され得る)。一例として、ErrAは、「0」、「50」、「100」のうちの1つであり得、StValAは、「0」及び「1」のうちの1つであり得、これは事前に定義され得る。従って、ポートA及びポートBについてのWrongA、WrongBは、ErrA、ErrB及びStValA、StValBから決定され得る。例えば、ノードにおいて:
ErrA = 0、ErrB = 100、StValA = 1、及びStValB = 1の場合、WrongA = 0、WrongB = 1
【0071】
[0076]ここで、WrongA = 0は、ポートが正しいLAN(即ち、LAN A)に接続されていることを意味し、1は、ポートが誤ったLAN(即ち、LAN B)に接続されていることを意味する。閾値は、ノイズを除去するために、「0」又は最小値であり得る。
【0072】
[0077]一実装形態では、DANの全ての別個のペアについて、ネットワークマネージャは、DANPから得られた統計値(ErrA、ErrB;及びStValA、StValB)に基づいて、それらが
図6に示される表内のどこに適合するかを比較する。これはまた、ErrA、ErrB並びにStValA及びStValBに基づいて、WrongA及びWrongBの値を計算することを含み得る。従って、インジケータ及び誤り率の実際の値、並びにそれらの基準値に基づいて、装置がどの状況にあるかが識別され得る。
【0073】
[0078]従って、この実装形態によれば、ネットワークマネージャは、調査されているDANPのペアが、9つの状況のうちのいずれか1つに属するものとして分類されるかどうかを確認するために(
図6の表の最後の列を参照)、統計値(インジケータ及び誤り率)を比較し得る。各状況について、ネットワークマネージャは、以下のように結論付け、軽減が推奨される。
【0074】
[0079]<
図7A及び
図7Bに示される状況0>:ここでは、ネットワークマネージャは、誤設定がなく、誤設定アラートはトリガされないと結論付ける。
【0075】
[0080]<
図7C、
図7D及び
図7Eに示される状況4、7、8、及び9>:このケースでは、ネットワークマネージャは誤設定を検出し、誤設定アラートがトリガされ、正確な誤ったケーブル配線が識別される。例えば、状況4では、ネットワークマネージャは、DAN1のポートBが、LAN_Aに誤ってケーブル配線されていることを識別し得、従って、誤設定を修正するための正確なスキームを提案し得る。その場合(オペレータが望むならば)、SNMP等のネットワーク管理プロトコルが、システムの動作を中断させることなく、ケーブル配線が直るまで、LAN間のトラフィックインタークロスを無効にするために、DAN2のポートBをリモートで無効にし得る。
【0076】
[0081]<
図7Fに示される状況5>:このケースでは、ネットワークマネージャは誤設定を検出し、誤設定アラートがトリガされ、ネットワークマネージャは、DAN1及びDAN2の両方のポートが、同じLANに接続されていることを(それがどのLANかは識別できない状態で)オペレータに通知し得る。オペレータが、これら装置が接続されている(接続されていない)正確なLANを知りたい場合、ネットワークマネージャは、DAN1と、このネットワーク上で存在する他のDANとの間で同じ比較を実行し得る。ネットワークマネージャが、DAN1とペアリングされたときに、状況4、7、8、又は9のいずれかに適合する別のDANを見つけた場合には、正確なLANが識別及び報告され得る。そうでない場合、LANは識別されることができない。LANが識別された場合、この状況は、オペレータが望むならば、両方のDAN上の誤って接続されたポートをシャットダウンすることによって、リモートで調整(rectified)され得る。
【0077】
[0082]<
図7Gに示される状況6>:このケースでは、ネットワークマネージャは誤設定を検出し、誤設定アラートがトリガされ、ネットワークマネージャは、DAN1の両方のポートが、単一のLANに接続されていること、及び、DAN2の両方のポートが、他のLANに接続されていることを(どれがどのLANに接続されているかは識別できない状態で)オペレータに通知し得る。オペレータが、これら装置が接続されている(接続されていない)正確なLANを知りたい場合、ネットワークマネージャは、DAN1と、このネットワーク上で存在する他のDANとの間で同じ比較を実行し得る。DAN1とペアリングされたときに状況4、7、8、又は9のいずれかに適合する別のDANを見つけた場合には、正確なLANが識別及び報告され得る。そうでない場合、LANは識別されることができない。LANが識別された場合、この状況は、オペレータが望むならば、両方のDAN上の誤って接続されたポートをシャットダウンすることによって、リモートで部分的に調整され得る。しかしながら、この調整は、これら該当するDANが同じ単一のLANの一部ではないので、それらの間の通信を復元せず=>従って、人間の介入が回復のために必要とされる。
【0078】
[0083]<
図7Hに示される状況3>:このケースでは、ネットワークマネージャは誤設定を検出し、誤設定アラートがトリガされ、ネットワークマネージャは、DAN1又はDAN2のいずれかが、それらのポートが逆に接続されていること、即ち、ポートAがLAN Bに、及び、ポートBがLAN Aに接続されていることをオペレータに通知し得る。しかしながら、どのDANが誤設定を被っているかはまだ識別できない。オペレータがこれら2つのうちのどちらのDANPが誤設定されているかを知りたい場合、ネットワークマネージャは、DAN1と、このネットワーク上で存在する他のDANとの間で同じ比較を実行し得る。ネットワークマネージャが、DAN1とペアリングされたときに状況0に適合する別のDANを見つけた場合には、正確な誤設定されたDANが識別及び報告され得る。この状況を調整するには、人間の介入が必要であり、DANPの両方のポートが正しいLANに再接続されなければならないので、リモートで行うことができない。
【0079】
[0084]<状況1及び2(
図6の表を参照)>:状況3と同様の方法で識別され得る。
【0080】
[0085]システムが、通常スイッチのレベルであれ、PRP装置のレベルであれ、ネットワークにおいてどの誤設定シナリオが存在するかを区別し得る場合には、既存の誤設定シナリオに依存して、それは、トラフィックインタークロッシングを防止する自動一時的修正(automatic temporary fixes)を提案し得る。ソリューションは、装置(スイッチ又はPRP装置)上のある特定のポートを一時的に無効にすることで構成される。ポートをシャットダウンすること(ポートの無効化)は、PRP仕様に従って、PRPドライバでサポートされるSNMPを介して行われ得る。
【0081】
[0086]ポートを無効にするためのチェックが行われ得る。ポートを無効にすることは、そのような無効化の後に、いかなるネットワーク装置も完全には両方のLANから切り離されていないケースでのみ行われるべきである。
【0082】
[0087]HSRのケースでは、ネットワークマネージャは、単に全ての装置のStVal値(StValA、StValB)を調べることによって、HSRネットワークにおける誤った/欠落しているケーブルを検出する。
【0083】
[0088]例えば、
図5に示される誤ったケーブル配線の例では、ネットワークマネージャは、ある装置2のStValAが、ある持続時間の間(例えば、2秒毎に)0に等しいことを検出することになる。その持続時間がいくつかのHSR監視期間(HSRは、周期的に監視フレームを送る)に等しい場合には、ネットワークマネージャは、装置2のポートAが接続されていないと結論付ける。
【0084】
[0089]従って、本発明のシステムは、装置におけるフレーム又は接続の監視に基づいて、統計値(情報)を生成し、統計値をネットワークマネージャに通信する、装置上で実行されているエージェントを有する。ネットワークマネージャにおいて、装置から受信された情報は、誤設定を検出し、軽減を提案するために分析される。
【0085】
[0090]上記で説明された実装形態では、ネットワークマネージャは、最初にスイッチの誤設定を検出及び修正し、次いで、DANの誤設定を検出及び軽減することに進み、ここで、それは、最初に、欠落しているケーブルをチェックし、次いで、誤ったケーブル配線(即ち、ポートAがLAN Bに接続されている、両方のポートがLAN Aに接続されている等)をチェックすることが述べられた。スイッチ間の相互接続を有効にすることは、統計値をより解釈的でないものにし得る、ノードの統計値がそれらの誤設定に影響されることを回避するために必要とされる。
【0086】
[0091]本発明は、上記順序(即ち、最初にスイッチの誤設定をチェックし、次いでのみ、ノードにおける誤ったケーブル配線をチェックすること)に限定されず、誤設定は他の方法で検出され得ることに留意されたい。一例として、DAN及びスイッチからの情報は、並列に処理され得る。
【0087】
[0092]以上に説明されたようなシステムの構成要素は、ケーブル配線問題を検出及び軽減するために、ステップ方法を個々に又は組み合わせて実行する。
【0088】
[0093]
図8を参照すると、これは、本発明の一実施形態による、ケーブル配線問題を検出及び軽減するための方法のフローチャートである。これは、エージェントからの入力に基づいて、ネットワークマネージャを用いて実行され得る。
【0089】
[0094]802において、本方法は、各装置から、対応する装置において受信されたトラフィックに関連付けられた情報を、周期的な瞬間において受信することを含む。例えば、ネットワークマネージャは、DAN及び/又はスイッチから統計値を周期的に受信する。これらの統計値は、ノードについての様々なインジケータ及び誤り率(StValA、StValB;ErrA、ErrB)を含み、スイッチについてのステータス情報又は誤ったネイバーの情報を含む。
【0090】
[0095]804において、本方法は、各装置から受信された情報に基づいて、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関する問題を決定することを含む。上記で説明されたように、ネットワークマネージャは、ケーブル問題を検出し、軽減処置を提案するために、スイッチの誤設定及びDANの誤設定をチェックする。
【0091】
[0096]従って、806において、方法は、1つ又は複数の装置における1つ又は複数のケーブル接続に関して決定された問題を軽減することを含む。上記で説明されたように、スイッチの誤設定は、誤設定されているとして検出された、スイッチの対応するポートをシャットダウンするための信号を送ることによって軽減される。更に、DANポートのケースでの誤ったケーブル配線は、2つのオプションのうちの1つによって軽減される。1つのオプションでは、可能な場合、誤設定されているとして検出された、ノードのポートをシャットダウンするために、信号がノードに送られる。別のオプションでは、誤ったケーブル配線を軽減するために実行されるべき一連のステップを有する通信が送られる。例えば、オペレータが一連のステップに従うことによって問題を解決し得るように、通信がオペレータ装置に送られる。このような順序は、ケーブル配線問題に依存し、検出された問題に従って提供され得る。
【0092】
[0097]ここでは、上記で説明されたように、一実装形態では、ノードにおける誤ったケーブル配線を検出及び軽減する前に、スイッチの誤設定が検出及び軽減される。従って、ここでは、ケーブル接続に関する問題を決定することは、以下を順次実行することを含む:
・スイッチの誤設定を決定すること、
・スイッチの誤設定を軽減すること、
・ノードについて誤ったケーブル配線を決定すること、及び
・ノードの対応するポートについて誤ったケーブル配線を軽減すること。
【0093】
[0098]従って、本方法は、冗長化通信ネットワークにおいて接続されている異なる装置から情報を周期的に受信することを含む。情報は、任意のスイッチ又はノードが誤設定を有しているかどうかを決定するために分析され、誤設定に依存して、対応する軽減処置が、対応する装置への通信で実行され得る。
【0094】
[0099]従って、全てのノードペア間の知識交換を利用し、それによって、ネットワーキング装置(例えば、スイッチ)間の潜在的な誤ったケーブル配線を識別する分散型の方法を展開することによって、本発明は、誤ったケーブル配線のシナリオを識別することの精度を高め、ネットワーク状態をより正確に把握することを可能にする。加えて、本発明は、自動化された方法で、誤ったケーブル配線の望ましくない影響を(実現可能である限り)軽減する。