IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 安徽博石高科新材料股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7318037単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法
<>
  • 特許-単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法 図1
  • 特許-単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/22 20060101AFI20230724BHJP
   C01G 45/12 20060101ALI20230724BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230724BHJP
【FI】
C30B29/22 Z
C01G45/12
H01M4/505
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031996
(22)【出願日】2022-03-02
(65)【公開番号】P2022146899
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】202110299376.7
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522082816
【氏名又は名称】安徽博石高科新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】馬 岩華
(72)【発明者】
【氏名】趙 春波
(72)【発明者】
【氏名】王 剣鋒
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-529958(JP,A)
【文献】特開2012-234808(JP,A)
【文献】特開2000-243382(JP,A)
【文献】特開2005-216651(JP,A)
【文献】特開2010-212262(JP,A)
【文献】特開2010-137996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
C01G 45/12
H01M 4/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄鉄鉱及びマンガン鉱をそれぞれ粉砕機に入れて粉砕し、次に粉砕された黄鉄鉱及びマンガン鉱をミルに入れて研磨して、黄鉄鉱及びマンガン鉱の粉末を取得し、黄鉄鉱及びマンガン鉱の粉末をミクサーに注入し、ミクサーを始動し、その後、硫酸をゆっくりとミクサーに加えて、反応させ、硫酸マンガン溶液を得る粉砕及び研磨ステップS1と;
前記硫酸マンガン溶液の濃縮溶液を結晶化装置に入れて、硫酸マンガンの結晶化まで待つ結晶化ステップS2と;
添加剤Mを硫酸マンガン固体粉末に添加する1回目の添加ステップS3と;
硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mをボールミルに注ぎ、前記ボールミルを始動して硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mを均一に粉砕及び混合して、均一に混合された材料を得る粉砕ステップS4と;
均一に混合された材料は高温に置いて灼熱し、材料中の硫黄元素を分離させて、四酸化三マンガン材料を形成させる脱硫ステップS5と;
四酸化三マンガン材料に炭酸リチウムを添加する2回目の加ステップS6と;
四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムをミクサーに注ぎ、攪拌して、四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを十分に混合させる混合ステップS7と;
十分に混合された四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを焼結室に入れて焼結し、形成された四酸化三マンガン材料は微量溶融状態を形成する焼結ステップS8と;
四酸化三マンガン材料で形成された微量溶融状態を冷却して部分的な凝集物を得て、単結晶状態のマンガン酸リチウム材料を得る冷却ステップS9を含むことを特徴とする単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項2】
前記ステップS4では、添加材MがAl又はg元素の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項3】
前記ステップS9では、粒度分布D50が3~8μmとなるように粉砕及び分散処理を行い、前記ステップS5では、均一に混合された材料の灼熱温度を1200~1400℃に設定することを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項4】
前記ステップS7では、マンガン元素とリチウム元素のモル比が2:1.07~1.12になるように四酸化三マンガンと炭酸リチウムとを混合することを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項5】
前記ステップS8では、焼結の温度を700~850℃に設定し、焼結時間を5~15hに設定し、前記ステップS7では、ミクサーの回転速度を1000~1200r/minに設定し、攪拌混合時間を5~6minに設定し、前記ステップS2では、前記結晶化装置の温度を500~600℃に設定して、濃縮時間を1.5~2hに設定することを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項6】
前記ステップS2では、前記硫酸マンガン溶液を結晶化する前に、優先的に前記硫酸マンガン溶液を濃縮装置に注ぎ、濃縮環境温度を200~300℃に設定して、前記硫酸マンガン溶液を濃縮することを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項7】
前記ステップS9では、添加剤Mの作用により、微量溶融状態での材料の凝集物は、容易に粉砕及び分散されて、マンガン酸リチウム材料の必要な粒子サイズ分布が得られることを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項8】
前記ステップS5では、脱硫する場合、脱硫溶剤濾過精製装置を用いて、放出された硫黄を濾過及び精製し、前記脱硫溶剤濾過精製装置にはアミン液の脱硫法を使用することを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項9】
前記S1において、黄鉄鉱及びマンガン鉱を粉砕する前に、優先的に硫黄鉱とマンガン鉱を脱イオン水で洗浄し、洗浄後に硫黄鉱とマンガン鉱を熱風機で素早く乾燥させて、硫黄鉱及びマンガン鉱の粉末を脱イオン水で再び洗浄してから乾燥炉に入れて乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は単結晶マンガン酸リチウム材料の調製技術分野に関し、具体的には、単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、クリーンなエネルギー貯蔵部品として、電気自動車、電動自転車、電動工具、デジタル製品、ポータブル電源、蓄電池など、多くの分野で広く使われている。リチウム電池の正極材料は、リチウム電池の重要なコンポーネントであり、マンガン酸リチウムは正極活物質として、徐々に民生用リチウムイオン電池の主流材料の一つになってきている。
【0003】
マンガン酸リチウム正極材料には、高電圧、優れたレート性能、優れた低温性能、優れた安全性能、低コストなど、多くの利点がある。しかし、その高い自己放電率と貧弱な高温サイクル性能は、より多くの応用分野への展開を制限する主な問題になっている。マンガン酸リチウム材料の改良には、主にドープや被覆などの体相および表面改質方法がある。また、マンガン酸リチウム材料は単結晶化されて表面積を減らして、電池の充電および放電中の過度の副反応を防ぎ、それにより製造された電池の高温サイクル性能および自己放電の問題を改善する。
【0004】
より高い電圧で使用できる単結晶マンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウムや単結晶ニッケルコバルトマンガン酸リチウム材料と容易に混合して、より費用対効果の高い正極材料に合成されるという適用経路である。したがって、マンガン酸リチウム材料の単結晶化は、比較的商業的に価値のある正極材料工程経路である。
【0005】
中国特許番号CN111640937Aは、単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法を提供し、原料のマンガン化合物及び硫酸ナトリウムを必要な比率で秤量し、脱イオン水に加え、1~10時間撹拌した後、100~150℃で10~15時間反応させ、冷却後、沈殿物を濾過により収集し、脱イオン水で1~5回洗浄し、乾燥してβ-MnO2前駆体を得る;得られたβ-MnO2前駆体をリチウム源およびブレンド元素Mを一定の割合でドープした化合物混合後、焼結後に完成品が得られ、完成品の分子式はLi1+aMn2-a-bMbO4、0≦a≦0.20である。
【0006】
従来技術では、マンガン酸リチウム材料の単結晶化プロセスは、電解二酸化マンガンを前駆体として炭酸リチウムと混合し、高温固相反応によってマンガン酸リチウム材料を調製している。焼結温度を上げ、保持時間を長くすることにより、焼結過程で形成されたマンガン酸リチウム多結晶は、長時間の物質移動過程で徐々に成長して大きな単結晶を形成し、一次粒径が2μm以上の単結晶マンガン酸リチウム材料が調整される。しかし、この方法はエネルギー消費量が多く、原材料の純度に対する要求が高いと同時に、マンガンとリチウムのモル比は通常2:1.09~1.12であり、リチウム元素材料を大量に消費するため、マンガン酸リチウム材料の低コストの利点が制限されるなどの欠点があるため、マンガン酸リチウム単結晶の調製方法の開発は急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記背景技術で提起された高エネルギー消費、原材料の純度に対する高い要求、およびリチウム元素材料を大量に消費するため、マンガン酸リチウム材料の低コストの利点が制限されるなどの問題を解決するために単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的解決手段は、単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法であって、
黄鉄鉱及びマンガン鉱をそれぞれ粉砕機に入れて粉砕し、次に粉砕された黄鉄鉱及びマンガン鉱をミルに入れて研磨して、黄鉄鉱及びマンガン鉱の粉末を得る粉砕及び研磨ステップS1と;
硫酸マンガン溶液の濃縮溶液を結晶化装置に入れて、硫酸マンガンの結晶化まで待つ結晶化ステップS2と;
添加剤Mを硫酸マンガン固体粉末に添加する1回目の添加ステップS3と;
硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mをボールミルに注ぎ、ボールミルを始動して硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mを均一に粉砕および混合して、均一に混合された材料を得る粉砕ステップS4と;
均一に混合された材料は高温に置いて灼熱し、材料中の硫黄元素を分離させて、四酸化三マンガン材料を形成させる脱硫ステップS5と;
四酸化三マンガン材料に炭酸リチウムを添加する2回の目添加のステップS6と;
四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムをミクサーに注ぎ、攪拌して、四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを十分に混合させる混合ステップS7と;
十分に混合された四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを焼結室に入れて焼結し、形成された四酸化三マンガン材料は微量溶融状態を形成する焼結ステップS8と;
四酸化三マンガン材料で形成された微量溶融状態を冷却して部分的な凝集物を得て、単結晶状態のマンガン酸リチウム材料を得る冷却ステップS9を含む。
【0009】
さらに、前記ステップS4では、添加材MがAl、Mg、Nb、Cr、Ti、Co、Ni、Zr元素の化合物である。
さらに、前記ステップS9では、粒度分布D50が3~8μmとなるように粉砕及び分散処理を行い、前記ステップS5では、均一に混合された材料の灼熱温度を1200~1400℃に設定する。
【0010】
さらに、前記ステップS7では、マンガン元素とリチウム元素のモル比が2:1.07~1.12になるように四酸化三マンガンと炭酸リチウムとを混合する。
【0011】
さらに、前記ステップS8では、焼結の温度を700~850℃に設定し、焼結時間を5~15hに設定し、前記ステップS7では、ミクサーの回転速度を1000~1200r/minに設定し、攪拌混合時間を5~6minに設定し、前記ステップS2では、結晶化装置の温度を500~600℃に設定して、濃縮時間を1.5~2hに設定する。
【0012】
さらに、前記ステップS2では、硫酸マンガン溶液を結晶化する前に、優先的に硫酸マンガン溶液を濃縮装置に注ぎ、濃縮環境温度を200~300℃に設定して、硫酸マンガン溶液を濃縮する。
【0013】
前記ステップS1からステップS2の間に、黄鉄鉱およびマンガン鉱の粉末をミクサーに注入し、ミクサーを始動し、その後、硫酸をゆっくりとミクサーに加えて、反応させ、硫酸マンガン溶液を得る。
【0014】
さらに、前記ステップS9では、添加剤Mの作用により、微量溶融状態での材料の凝集物は、容易に粉砕および分散されて、マンガン酸リチウム材料の必要な粒子サイズ分布が得られる。
【0015】
さらに、前記ステップS5では、脱硫する場合、脱硫溶剤濾過精製装置を用いて、放出された硫黄を濾過及び精製し、脱硫溶剤濾過精製装置にはアミン液の脱硫法を使用する。
【0016】
さらに、前記S1において、黄鉄鉱およびマンガン鉱を粉砕する前に、優先的に硫黄鉱とマンガン鉱を脱イオン水で洗浄し、洗浄後に硫黄鉱とマンガン鉱を熱風機で素早く乾燥させて、硫黄鉱とマンガン鉱の粉末を脱イオン水で再び洗浄してから乾燥炉に入れて乾燥させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、改良することにより単結晶マンガン酸リチウム材料を調製する方法を提供し、従来技術と比較して以下の改良および利点を有する。
【0018】
(1)本発明で使用される硫酸マンガン材料は物理的方法によって溶液から自然に結晶化されて、過剰な電気エネルギーおよび熱エネルギーを消費する必要がなく、環境に優しく、消費量が少ない;添加剤Mと混合および研磨して添加剤を硫酸マンガン粉末に分散させ、次に急速な高温脱硫を行って添加剤をドープされた四酸化三マンガンを得る。添加剤の分布がより均一になり、最終製品の結晶格子に十分に入ることができるだけでなく、そのコストは、多くの電気エネルギーを消費する電解二酸化マンガン材料のコストよりも大幅に低く、通常はコストの半分未満である。
【0019】
(2)本発明は、前駆体として高温脱硫後の酸化マンガンを使用し、その硫黄含有量は通常0.2%未満であり、電解二酸化マンガンの1.2%よりも大幅に低くになり、材料に残留する硫黄元素が最終的なリチウムイオン電池に悪影響を与えることを回避した。
【0020】
(3)本発明は、単結晶および準単結晶の四酸化三マンガン前駆体を使用するので、従来の方法に比べ、リチウム元素材料の消費を4%~6%削減できる。
【0021】
(4)本発明の方法によるマンガン酸リチウム単結晶の製造のための焼成工程は、従来方法では900℃以上、20時間以上の保温が必要なのに対し、850℃以下、10時間以内保温すればよいから、本発明の方法のプロセスコストは、通常の方法の半分以下となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、図面および実施例と併せて、本発明をさらに説明する。
図1】本発明の要約図である。
図2】本発明のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1~2とともに、本発明を詳細に説明し、本発明の実施例における技術的解決策を明確かつ完全に説明するが、明らかに、記載された実施例は、すべてではなく、本発明の実施例の一部にすぎない。本発明の実施形態に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0024】
実施例1
単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法であって、
黄鉄鉱及びマンガン鉱をそれぞれ粉砕機に入れて粉砕し、次に粉砕された黄鉄鉱及びマンガン鉱をミルに入れて研磨して、黄鉄鉱とマンガン鉱の粉末を取得し、黄鉄鉱とマンガン鉱の粉末をミクサーに注ぎ、ミクサーを始動し、次にゆっくりと硫酸をミクサーに加え、反応させて硫酸マンガン溶液を得る粉砕及び研磨ステップS1と;
硫酸マンガン溶液を濃縮装置に注ぎ、硫酸マンガン溶液を濃縮し、濃縮環境温度は300℃に設定し、硫酸マンガン溶液の濃縮溶液を結晶化装置に入れて、晶結化装置の温度を600℃、濃縮時間を2hに設定して、硫酸マンガンの結晶化まで待つ結晶化ステップS2と;
添加剤Mを硫酸マンガン固体粉末に添加する1回目の添加ステップS3と;
硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mをボールミルに注ぎ、ボールミルを始動して硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mを均一に粉砕および混合して、均一に混合された材料が得られ、添加物MはAl2O3、MgCO3である粉砕ステップS4と;
均一に混合された材料は高温に置いて灼熱し、灼熱の温度は1250℃に設定し、材料中の硫黄元素を分離させて、四酸化三マンガン材料を形成する脱硫ステップS5と;
四酸化三マンガン材料に炭酸リチウムを添加する2回の目添加のステップS6と;
四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムをミクサーに注ぎ、それを攪拌し、四酸化三マンガンと炭酸リチウムをマンガンとリチウムのモル比2:1.07で混合し、ミクサーの回転数は1000r/min、攪拌混合時間は5hに設定して、四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを十分に混合させる混合ステップS7と;
十分に混合された四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを焼結室に入れて焼結し、焼結温度を800℃、焼結時間を10hに設定して、形成された四酸化三マンガン材料は微量溶融状態を形成する焼結ステップS8と;
四酸化三マンガン材料で形成された微量溶融状態を冷却して部分的な凝集物を得て、添加剤Mの作用により、微量溶融状態の材料の凝集物は、容易に粉砕及び分散処理されて、粒度分布D50を5~10μmの間にすることで、マンガン酸リチウム材料に求められる粒度分布を実現し、単結晶状態のマンガン酸リチウム材料が得られる冷却ステップS9を含む。
【0025】
実施例2
単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法であって、
黄鉄鉱及びマンガン鉱をそれぞれ粉砕機に入れて粉砕し、次に粉砕された黄鉄鉱及びマンガン鉱をミルに入れて研磨して、黄鉄鉱とマンガン鉱の粉末を取得し、黄鉄鉱とマンガン鉱の粉末をミクサーに注ぎ、ミクサーを始動し、次にゆっくりと硫酸をミクサーに加え、反応させて硫酸マンガン溶液を得る粉砕及び研磨ステップS1と;
硫酸マンガン溶液を濃縮装置に注ぎ、硫酸マンガン溶液を濃縮し、濃縮環境温度は300℃に設定し、硫酸マンガン溶液の濃縮溶液を結晶化装置に入れて、晶結化装置の温度を600℃、濃縮時間を2hに設定して、硫酸マンガンの結晶化まで待つ結晶化ステップS2と;
添加剤Mを硫酸マンガン固体粉末に添加する1回目の添加ステップS3と;
硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mをボールミルに注ぎ、ボールミルを始動して硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mを均一に粉砕および混合して、均一に混合された材料が得られ、添加物MはAl2O3、MgCO3である粉砕ステップS4と;
均一に混合された材料は高温に置いて灼熱し、灼熱の温度は1250℃に設定し、材料中の硫黄元素を分離させて、四酸化三マンガン材料を形成する脱硫ステップS5と;
四酸化三マンガン材料に炭酸リチウムを添加する2回の目添加のステップS6と;
四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムをミクサーに注ぎ、それを攪拌し、四酸化三マンガンと炭酸リチウムをマンガンとリチウムのモル比2:1.10で混合し、ミクサーの回転数は1000r/min、攪拌混合時間は5hに設定して、四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを十分に混合させる混合ステップS7と;
十分に混合された四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを焼結室に入れて焼結し、焼結温度を800℃、焼結時間を10hに設定して、形成された四酸化三マンガン材料は微量溶融状態を形成する焼結ステップS8と;
四酸化三マンガン材料で形成された微量溶融状態を冷却して部分的な凝集物を得て、添加剤Mの作用により、微量溶融状態の材料の凝集物は、容易に粉砕及び分散処理されて、粒度分布D50を5~10μmの間にすることで、マンガン酸リチウム材料に求められる粒度分布を実現し、単結晶状態のマンガン酸リチウム材料が得られる冷却ステップS9を含む。
【0026】
実施例3
単結晶マンガン酸リチウム材料の調製方法であって、
黄鉄鉱及びマンガン鉱をそれぞれ粉砕機に入れて粉砕し、次に粉砕された黄鉄鉱及びマンガン鉱をミルに入れて研磨して、黄鉄鉱とマンガン鉱の粉末を取得し、黄鉄鉱とマンガン鉱の粉末をミクサーに注ぎ、ミクサーを始動し、次にゆっくりと硫酸をミクサーに加え、反応させて硫酸マンガン溶液を得る粉砕及び研磨ステップS1と;
硫酸マンガン溶液を濃縮装置に注ぎ、硫酸マンガン溶液を濃縮し、濃縮環境温度は300℃に設定し、硫酸マンガン溶液の濃縮溶液を結晶化装置に入れて、晶結化装置の温度を600℃、濃縮時間を2hに設定して、硫酸マンガンの結晶化まで待つ結晶化ステップS2と;
添加剤Mを硫酸マンガン固体粉末に添加する1回目の添加ステップS3と;
硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mをボールミルに注ぎ、ボールミルを始動して硫酸マンガン固体粉末及び添加剤Mを均一に粉砕および混合して、均一に混合された材料が得られ、添加物MはAl2O3、MgCO3である粉砕ステップS4と;
均一に混合された材料は高温に置いて灼熱し、灼熱の温度は1250℃に設定し、材料中の硫黄元素を分離させて、四酸化三マンガン材料を形成する脱硫ステップS5と;
四酸化三マンガン材料に炭酸リチウムを添加する2回の目添加のステップS6と;
四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムをミクサーに注ぎ、それを攪拌し、四酸化三マンガンと炭酸リチウムをマンガンとリチウムのモル比2:1.12で混合し、ミクサーの回転数は1000r/min、攪拌混合時間は5hに設定して、四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを十分に混合させる混合ステップS7と;
十分に混合された四酸化三マンガン材料と炭酸リチウムを焼結室に入れて焼結し、焼結温度を800℃、焼結時間を10hに設定して、形成された四酸化三マンガン材料は微量溶融状態を形成する焼結ステップS8と;
四酸化三マンガン材料で形成された微量溶融状態を冷却して部分的な凝集物を得て、添加剤Mの作用により、微量溶融状態の材料の凝集物は、容易に粉砕及び分散処理されて、粒度分布D50を5~10μmの間にすることで、マンガン酸リチウム材料に求められる粒度分布を実現し、単結晶状態のマンガン酸リチウム材料が得られる冷却ステップS9を含む。
【0027】
実施例1、実施例2、実施例3では、マンガンとリチウム元素のモル比により四酸化三マンガンと炭酸リチウムが異なり、残りの条件は同じであり、実験で実施例3の効果はよりよい、実施例3の方法と従来の製造方法との比較表は以下のとおりである。
【0028】
【表1】
【0029】
本発明で使用する硫酸マンガン材料のコストは、電解二酸化マンガン材料のコストよりも明らかに低く、通常はコストの半分以下であり、本発明は、高温脱硫を採用しており、材料に残留する硫黄元素が最終的なリチウムイオン電池に悪影響を与えることを回避し、本発明は、四酸化三マンガンの単結晶および単結晶類似前駆体を用いるため、リチウム元素材料の消費を減少し;本発明の方法で製造した単結晶マンガン酸リチウムのプロセスコストは通常の方法の半分以下となっている。
【0030】
開示された実施例の上記の説明は、当業者が本発明を製造または使用することを可能にする。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で定義された一般原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施例で実施できる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
図1
図2