(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】搬送波感知による共用スペクトルにおけるLTE波形を送信するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20230724BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20230724BHJP
H04W 72/54 20230101ALI20230724BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20230724BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20230724BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W72/0457
H04W72/54
H04W74/08
H04W24/10
(21)【出願番号】P 2022100005
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2019220965の分割
【原出願日】2015-06-05
【審査請求日】2022-07-20
(32)【優先日】2015-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ マティアス ベンドリン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー エデット エクペニョン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール バートランド
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エフ ジョンソン
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500685(JP,A)
【文献】特開2006-014258(JP,A)
【文献】特表2014-508468(JP,A)
【文献】特開2009-194898(JP,A)
【文献】特表2013-535942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ユーザー機器(UE)によってライセンスされている周波数スペクトルで
動作するプライマリサービス提供セル(PCell)に
接続すること
と、
前記UE
によってライセンスされていない周波数スペクトルで動作するセカンダリサービス提供セル(SCell)に
接続すること
と、
前記UEによって前記SCell上で発見信号を受信することと、
前記UEによって発見信号オケージョンの間に前記SCell上でチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)を受信することと、
前記SCellのIDLE状態を判定するため
に前記UEによって前記SCellを
監視すること
と、
前記SCell
のIDLE状態に基づいて前記SCell
上で
データを送信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の方法であって、
衝突回避を備え
る搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)を用いて前記
ライセンスされていない周波数スペクトルにアクセスすることを
更に含む、方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法であって、
前記SCellがIDLE状態でない場合に、前記PCellの物理アップリンク制御チャネル上のアップリンク制御情報パケットにおけるBUSY状態をレポートすることを
更に含む、方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の方法であって、
基地局からの無線リソース制御シグナリングによって準静的に構成される物理アップリンク制御チャネル
(PUCCH)リソース
上で
BUSY状態を送信
する
ことを更に含む、方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の方法であって、
基地局からのダウンリンク制御情報パケットによって動的にシグナリングされる物理アップリンク制御チャネル
(PUCCH)リソース
上で
BUSY状態を送信
する
ことを更に含む、方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法であって、
前記SCellの状態がBUSY
状態であると判定すること
と、
前記SCellのIDLE状態を判定すること
と、
前記PCellの物理アップリンク制御チャネル
上で前記
SCellのアイデンティティを基地局に送信すること
と、
を
更に含む、方法。
【請求項7】
ユーザー機器(UE)であって、
セカンダリサービス提供セル(SCell)のIDLE状態を判定するように構成されるプロセッサと、
トランシーバーであって、
ライセンスされている周波数スペクトルで動作するプライマリサービス提供セル(PCell)に接続し、
ライセンスされていない周波数スペクトルで動作する前記SCellに接続し、
前記SCellを監視し、
前記SCell上で発見信号を受信し、
発見信号オケージョンの間に前記SCell上でチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)を受信し、
前記SCellのIDLE状態に基づいて前記SCell上でデータを送信する、
ように構成される、前記トランシーバーと、
を含む、UE。
【請求項8】
請求項7に記載のUEであって、
前記トランシーバーが、衝突回避を備える搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)を用いて前記ライセンスされていない周波数スペクトルにアクセスするように更に構成される、UE。
【請求項9】
請求項7に記載のUEであって、
前記SCellがIDLE状態でない場合に、前記トランシーバーが、前記PCellの物理アップリンク制御チャネル上のアップリンク制御情報パケットにおけるBUSY状態をレポートするように更に構成される、UE。
【請求項10】
請求項7に記載のUEであって、
前記トランシーバーが、基地局からの無線リソース制御シグナリングによって準静的に構成される物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソース上でBUSY状態を送信するように更に構成される、UE。
【請求項11】
請求項7に記載のUEであって、
前記トランシーバーが、基地局からのダウンリンク制御情報パケットによって動的にシグナリングされる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソース上でBUSY状態を送信するように更に構成される、UE。
【請求項12】
請求項7に記載のUEであって、
前記UEが、
前記SCellの状態がBUSY状態であることを判定し、
前記SCellのIDLE状態を判定し、
前記PCellの物理アップリンク制御チャネルで前記SCellのアイデンティティを基地局に送信する、
ように構成される、UE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
たいていの国では、無線周波数スペクトルへのアクセスは、米国の連邦通信委員会(FCC)、欧州連合の欧州委員会など、政府機関によって厳しく規制されている。任意の他の天然資源と同様、無線スペクトルの周波数はそのユーザ間で共用される必要がある。そのため、無線スペクトルの一部(例えば、帯域)が個々のユーザ(例えば、携帯電話操作者)にライセンスされるか、又は、WiFi又はBluetooth(これらは非ライセンス帯域で動作する)など、多数のユーザ間で共用される。また、或るハイブリッドモデルでは、ライセンスされているスペクトルが、最優先されるプライマリユーザ(例えば、海軍レーダー用途)に付与される。また、セカンダリユーザが、プライマリユーザが対象の帯域の波形を送信しない非活動の期間、ライセンスされている帯域を用いることもできる。これらのセカンダリユーザは異なる優先順位を有し得る。例えば、プライマリユーザにライセンスされている所与の周波数帯域が、ミッションクリティカルな通信については公安組織によって用いられ得る。この場合、商業ユーザはこのような帯域の使用を許可され得るが、これは、プライマリ及び優先順位の高いセカンダリユーザ(例えば公安ユーザ)のいずれもがこの帯域を占有していない場合に限られる。このようなポリシーに基づくスペクトルの使用は、認可共用アクセス(ASA)と称することがある。この観点からは、非ライセンス共用アクセスと認可共用アクセスを区別する必要がない。これは、或る帯域が多数のユーザによって使用される場合は必ず、公正さ及びポリシー遵守を保証するようこれらの同じ技術が用いられ得るからである。
【0002】
認可共用アクセスの上記の例では、スペクトル共用は、LBT(listen-before-talk)方式と称することもある動的方式によって、及び測位データベース(GLDB(geolocation databases))などによる準静的方式によって促進され得る。例えば、このようなデータベースにより、或る帯域の周波数使用が地理的領域又は一日の時間帯にマッピングされ得る。これらのデータベースを更新しすべての関連ユーザに伝達するための期間が必要なので、これらのデータベースは動的に変化し得ない。LBT方式は、その名前が示唆するように、より動的であり、準静的に構成されるデータベースに依存しない。その代わり、セカンダリユーザが、プライマリユーザ又は同等優先順位の他のユーザがセカンダリユーザの送信によって妨害されないことを保証する必要がある。2つの周知の例として、IEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)における、レーダー回避、及び衝突回避を備えた搬送波感知搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)がある。前者は、セカンダリユーザがプライマリユーザに優先権を与えなければならない場合に当てはまる。セカンダリユーザは、軍事、気象、又は自動車用のレーダー波形を検出すると送信を中止しなければならないので、これを動的周波数選択(DFS)と称することがある。従って、セカンダリユーザは、プライマリユーザを検出すると所与の帯域又はチャネル(チャネルは帯域さらに分割したものである)を開放し、異なる帯域又はチャネルで送信しようと試みる。このため、動的周波数選択と呼ばれる。同様に、CSMA/CAの場合、トランスミッタが同じ優先順位の進行中の送信を検出すると、トランスミッタは、後の時点で再度送信を試みるために送信しないことを選択する。このため、衝突回避を備えた搬送波感知多重アクセスという名前になる。従って、DFSとCSMA/CAの主な差異は、感知が生じる時間スケールと、進行中の送信が検出されたときにトランスミッタが取る動作の2つである。例えば、DFSトランスミッタは、常に、現在のチャネル又は帯域をプライマリユーザに開放するためにチャネル/帯域を切り替えなければならないが、CSMA/CAトランスミッタは、チャネルを切り替えても切り替えなくてもよい。これは、CSMA/CAでは、同じ優先順位のユーザ間で無線リソースが共用されるからであり、これは多重アクセス方式とみなされる。しかし、DFSを用いると、プライマリユーザはより高い優先順位を有する。その結果、CSMA/CA方式の競合レイテンシーを保証するために、搬送波感知(CS)及び衝突回避(CA)は数十マイクロ秒(μs)のオーダで生じるが、DFSは数秒かかり得る。
【0003】
CS/CA多重アクセス方式の動作は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、符号分割多重アクセス(CDMA)、又は直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)などの他の一般的な多重アクセス技術とは著しい対照をなす。これは、媒体を共用するための機会主義(opportunistic)ランダムアクセスの性質によるものである。GSMにおけるTDMA及びFDMA、UMTSにおけるCDMA、及び第3世代パートナシッププロジェクト(3GPP)のロングタームエボリューション(LTE)における直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)は、利用可能なリソースを、複数のユーザ間で共用するために直交化しようと試みる。しかし、直交化動作は、予め定義されたルール又は動的スケジューラによる精確な協調を必要とする。動的スケジューラは、特定のユーザに無線周波数スペクトルの所与の部分において所与の期間リソースを割り当て、そのため、衝突が本質的に回避される。この直交化動作により、これらのリソースを、CA/CA多重アクセス方式によって共用される無線リソースにおいて動作させることが特に難しくなる。これは、利用可能な無線リソースについて競合するときに、これらの種類のプロトコル及び手順に従うユーザが、これらのプロトコル及び手順に従って予め定義されたスケジュール又は無線リソース割当てに従うユーザに譲るからである。
【0004】
LTEでは、基地局は、エボルブドNodeB(eNodeB/eNB)として知られており、LTE制御下のセルの無線リソース管理(RRM)を自在に制御する。E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)は概して、多くのeNodeBを含み、各eNodeBはそれ自体のRRM機能を有する。これらのeNodeBのサブセットが、それらのRRMを、2つのeNodeBを接続するX2インターフェース上で定義されるX2アプリケーションプロトコル(X2AP)を介して調整し得る。同様に、各eNodeBは、S1アプリケーションプロトコル(S1AP)が定義されるS1インターフェースを介して、コアネットワーク(CN)におけるMME(Mobility Management Entities)の1つ又は複数に接続される。S1APはRRM調整にも用いられ得る。RRMインターフェースはセルラー通信の必須部分である。これは、RRMインターフェースにより、干渉調整、移動度、さらにはSON(Self-Organizing Network)などの重要な機能が可能になるからである。
【0005】
図1は、従来技術のワイヤレス遠距離通信ネットワークの例である。図示した遠距離通信ネットワークは、プライマリセル(PCell)100内で動作するプライマリeNodeB 110と、セカンダリセル(SCell1~SCell4)102、104、106、及び108内で動作するeNodeB 112、114、116、及び118とを含む。ハンドセット又は他のユーザ機器(UE)120が、PCell 100のeNodeB 110と通信するように示されている。UE120は、セカンダリセルの1つ又は複数のeNodeBとも通信し得る。この例では、SCellは論理的な概念であり、そのため、eNodeB 110は、複数のSCell 102~108を動作させ得る。
【0006】
また、eNodeB 110は、そのセル100内の無線リソースを無線リソース制御(RRC)プロトコルを介して制御し、そのセルに接続されるユーザの多重アクセスも媒体アクセス制御(MAC)プロトコルを介して制御する。例えば、RRCプロトコルは、ユーザ機器(UE)がデータを送受信し得るキャリアを構成し、最大で5つのいわゆるコンポーネントキャリア(CC)がLTEアドバンスト(LTE-A)においてUE毎に構成され得る。同様に、MACプロトコルはRRCプロトコルとともに、構成されたキャリア上のデータを送受信するために利用可能な無線リソースをいつどのようにUEが用い得るかを制御する。LTEリリース10では、キャリアアグリゲーションと呼ばれる特徴が導入される。キャリアアグリゲーションでは、UEは1つのプライマリセル(PCell)及び最大4つのセカンダリセル(SCell)を用いて構成され得る。PCellはハンドオーバーによってのみ変更され得るが、SCellはRRCシグナリングにより構成される。特に、UEが、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)上の物理ブロードキャストチャネル(PBCH)を復号することによってシステム情報を受信するか、又は、SCellの共通サーチ空間をモニタリングしてSI-RNTIによってCRCがスクランブルされる物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を受信してダウンリンク共用チャネル(DL-SCH)上のシステム情報(SI)を受信することは期待されない。また、UEは、すべてのSCC上のシステムフレーム番号(SFN)がプライマリコンポーネントキャリア(PCC)のSFNと整合すると仮定し得る。
【0007】
CAは、SCellの無線リンクモニタリング(RLM:Radio Link Monitoring)は定義されない。従って、UEの物理層(PHY)が無線リンク障害(RLF:Radio Link Failure)をMAC層を介してUEの上部層に示すための手段として特定されたものはない。これは、E-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)では、PCellによって提供される接続性に常に依存し得るからであり、これにより、RLM及び他のファールバック手順によるロバストネスが得られる。或いは、SCellは、UEとのデータ通信に付加的な容量が必要とされる場合にアクティブにされ得る補足的なサービス提供セルとして動作する。この目的のため、MAC層は、構成されたSCellをMAC制御エレメント(CE)を介してアクティブにし得る。SCellをアクティブにするには、UEとそのSCCとの同期状態に応じて8~30ミリ秒が必要とされ得る。SCellのRRC再構成は、これよりかない長い時間を必要とし得、特に、UEが中間周波数測定を実施する必要がある場合はそうである。そのため、eNodeBは、或るキャリア上で或るセルの基準信号受信電力(RSRP)を周期的に測定し、周期的に又は構成可能なオフセット及び閾値によるトリガにより、測定値をレポートするようにUEを構成し得る。3GPPロングタームエボリューションでは、上記は、測定対象及び構成のRRCシグナリングを介して実現される。測定値がeNodeBにおいて容易に入手可能な場合、SCell又はPCellのRRC再構成のレイテンシーが、数秒から数十又は数百ミリ秒まで劇的に小さくされる。eNodeBはすでにSCellとして構成されているセルのみをアクティブにするが、eNodeBは任意のセルにおけるRSRPを測定するようにUEを構成し得る。比較すると、eNodeBは、SCellをアクティブにする場合のように、セルをアクティブにするため、又はSCellを追加/除去するようUEをRRC再構成するため、さらにはPCellを変更するために、任意のセルの測定レポートを用い得る。
【0008】
PCell又はSCellSがアクティブにされた後、eNodeB MACスケジューラは、それぞれ、物理ダウンリンク共用チャネル(PDSCH)及び物理アップリンク共用チャネル(PUSCH)上のダウンリンク及びアップリンク送信のため、UEにダウンリンク(DL)及びアップリンク(UL)付与を割り当てる。ダウンリンク方向では、サブフレームn内のダウンリンク制御情報(DCI)において受信される付与により、同じサブフレーム内の対応するPDSCH送信がスケジュールされる。比較すると、アップリンクでは、この付与により、サブフレームn+k内のPUSCH送信がスケジュールされる。ここで、k>0は、あらかじめ特定されるルールによって決定される。
【0009】
E-UTRAN(特にeNodeB)は、少なくともRRC_CONNECTEDモードのUEについて、すべての無線リソースを自在に制御する。物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を除いて、E-UTRANは、時間、周波数、又はCDMAなどの他の任意の手段によるリソース割当て、並びに、送信のタイミング及び電力制御を含んで、アップリンク及びダウンリンクの両方向ですべての送信を制御する。
【0010】
eNodeBにはRRM機能があるが、これは、RRCを介してすべての無線リソースを制御するものの、セルを発見し関連する測定値をレポートすることに関してはUEに依存する。そのために、LTEリリース8~11では、eNodeBは、各無線フレームにおいて、プライマリ同期信号(PSS)、セカンダリセル同期信号(SSS)、及びセル固有基準信号(CRS)を送信する。PSS及びSSSは各々、半フレーム毎に1つのOFDM記号を占有するが、CRSは無線フレームの各サブレームにおいて送信され、そのためUEは、所与のセルのタイミングが演繹的にわかなくても、6msの測定ウィンドウ内でセルを発見し測定し得る。また、セルのUL/DL構成がUEに未知であり得る場合に時分割二重(TDD)システムにおける周波数間測定をサポートするため、或いは、eICIC(enhanced Inter-cell Interface Coordination)の目的でLTEリリース10において導入される測定制約をサポートするために、UEは、ただ1つのサブフレームにおいて、場合によっては、特別なサブフレームのDwPTS領域において、セルを発見し得る必要がある。省エネルギー及び干渉低減を促進するために、LTEリリース12では、「発見バースト(discovery burst)(PSS、SSS、及びCRS送信を含む)」が導入され、また、構成される場合には、共用セルIDの状況において、送信点(TP)識別のためのチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)が導入される。例えば、複数のTPは、同じ物理セルIDを共用し得、それらのそれぞれのCSI-RSリソースエレメント(RE)構成によってのみ見分けられ得る。PSS、SSS、CRS、及びCSI-RS(構成される場合)は、発見基準信号(DRS(Discovery Reference Signal))を形成し、DRSオケージョン(occasions)の間に送信される。DRSオケージョンは、それらが、構成された又は特定の長さ(例えば、サブフレームの数)及び周期性を有するので、LTEリリース9の位置決め基準信号(PRS)オケージョンに類似している。理想的には、DRSオケージョンの長さは、6msのUE測定ウィンドウより長くなく、1つのサブフレームほど短くし得る。DRSオケージョンの妥当な周期性は数百ミリ秒であり、DRSバーストは他のワイヤレス通信システム(CSMA/CAなど)におけるビーコンとして動作し得る。
【発明の概要】
【0011】
第1の実施形態において、共用周波数スペクトルでロングタームエボリューション(LTE)通信システムを動作させる方法が開示される。基地局(eNB)が、ユーザ機器(UE)をLTE周波数帯域で初期化する。基地局(eNB)は、共用周波数スペクトルをモニタリングして共用周波数スペクトルがBUSYであるかどうか判定する。共用周波数スペクトルがBUSYでない場合、eNBは共用周波数スペクトルでUEに送信する。共用周波数スペクトルがBUSYである場合、eNBは第1の時間待機する。第1の時間後、eNBはUEに共用周波数スペクトルを開放するよう指示する。
【0012】
第2の実施形態において、UEは、共用周波数スペクトルをモニタリングして、共用周波数スペクトルがBUSYであるかどうか判定する。共用周波数スペクトルがBUSYでない場合、UEは共用周波数スペクトルでeNBに送信する。共用周波数スペクトルがBUSYである場合、UEは第1の時間待機する。第1の時間後、UEはBUSY状態をeNBにレポートする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来技術のロングタームエボリューション(LTE)通信システムの図である。
【0014】
【
図2】認可共用アクセス(ASA)周波数スペクトルでのロングタームエボリューション(LTE)通信システムの動作を示すフローチャートである。
【0015】
【
図3】例示実施形態に従ったユーザ機器(UE)と基地局(eNB)の間の通信を示す図である。
【0016】
【
図4A】例示実施形態に従った衝突回避を備えた搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)周波数スペクトルでのロングタームエボリューション(LTE)通信システムのダウンリンク動作を示すフローチャートである。
【0017】
【
図4B】例示実施形態に従った衝突回避を備えた搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)周波数スペクトルでのロングタームエボリューション(LTE)通信システムのアップリンク動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示実施形態は、プライマリトランシーバと共用される無線周波数における3GGPロングタームエボリューション(LTE)などの直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)セルラー通信システムを動作させる装置及び方法を対象とする。プライマリトランシーバは、海軍、自動車無線、又は優先順位が高いその他のトランシーバとし得る。本明細書では特定の術語が用いられるが、これらの用語は一般的かつ説明的な意味においてのみ用いられ、限定するためのものではない。本明細書を通して下記の略語が用いられる。
ASA:認可共用アクセス(Authorized Sahred Access)
eNB:エボルブドノードB(evolved Node B)又は基地局
UE:ユーザ機器
CQI:チャネル品質インジケータ
CRS:セル固有基準信号
CSI:チャネル状態情報
CSI-RS:チャネル状態情報基準信号
CSMA/CA:衝突回避を備えた搬送波感知多重アクセス(Carrier SenseMultiple Access with Collision Avoidance)
DCI:ダウンリンク制御情報
DFS:動的周波数選択(Dynamic Frequency Selection)
DRS:発見基準信号(Discovery Reference Signal)
DL:ダウンリンク
DwPTS:ダウンリンクパイロットタイムスロット
E-UTRAN:エボルブドユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(EvolvedUniversal Terrestrial Radio Access Network)
LBT:Listen Before Talk
LTE:ロングタームエボリューション
MAC:媒体アクセス制御プロトコル
MIMO:多入力多出力
OFDMA:直交周波数分割多重アクセス
OOR:範囲外(Out Of Range)
PBCH:物理ブロードキャストチャネル
PCell:プライマリセル
PCFICH:物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel)
PDCCH:物理ダウンリンク制御チャネル
PDSCH:物理ダウンリンク共用チャネル
PHICH:物理ハイブリッドARQインジケータチャネル
PMCH:物理マルチキャストチャネル
PSS:プライマリ同期信号
PUCCH:物理アップリンク制御チャネル
PUSCH:物理アップリンク共用チャネル
RI:ランクインジケータ
RRC:無線リソース制御
RRM:無線リソース管理(Radio Resource Management)
RSRP:基準信号受信電力(Reference Signal Received Power)
SCell:セカンダリセル
SRS:サウンディング基準信号
SSS:セカンダリ同期信号
TDD:時分割二重
TRS:トラッキング基準信号(Tracking Reference Signal)
UL:アップリンク
【0019】
<動的周波数選択(DFS)>
3GPPロングタームエボリューション(LTE)通信規格を共用アクセススペクトルで用いることは容易ではない。これは、無線リソース管理機能がネットワーク内のeNodeB内に存在し、これらのeNodeBによってのみ無線リソースが制御されるからである。動的周波数選択(DFS)方式では、典型的に、プライマリユーザが検出されてから周波数帯域又はキャリアを変更するために充分な時間(例えば数秒)が得られる。そのため、プライマリユーザに帯域を開放するために、ハンドオーバーベースのRRCシグナリング及びMAC制御下でのSCellのアクティベーション又はディアクティベーションで充分である。3GPP LTE通信規格は、現在、UEがデータ送信するように構成されるキャリア上でプライマリユーザが検出された場合にこのUEに何らかのアクションを取らせるプロトコル、手順、及び測定を欠いている。また、LTEにおける移動度制御がeNodeBによって完全に制御されるが、他のワイヤレスセルラー通信規格では、UEにハンドオーバーを開始させる。ここで、移動度が負荷をバランスさせ、この場合、eNodeBはSCellを追加又は除去するか、静止UEのためにPCellを変更し得る。プライマリユーザを伴うASAベースの方式及びプライマリユーザを伴わないCSMA/CAベースの方式のいずれでも、いわゆる「隠れ端末(hidden station)」が存在し得る。隠れ端末は、プライマリユーザなどのトランスミッタであって、これらによる送信は、ワイヤレス媒体を共用する通信リンクの受信端でのみ検出され得る。例えば、LTEでは、UEのみが「隠れ端末」から送信される波形を検出し得るが、eNodeBは隠れ端末の存在に全く気付かない。
【0020】
図2は、第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。ステップ200でPCellとともにLTE帯域で動作するためUEが初期化される。ASA帯域が、eNodeBによって正規のLTE帯域として構成及び動作され、UEはASA帯域で動作する(202)。UEは、システム情報のブロードキャストによる禁止などの既存の手段によって、ASA帯域において動作するセルに留まることを禁止される。その結果、ASA帯域で接続されるすべてのUEは、RRC_CONNECTEDモードにあり、それによって、eNodeBの完全な制御下に置かれる。eNodeBは、ASA帯域で接続されるすべてのUEを、既存のLTE仕様(例えば、リリース8~12)に従ってRRM測定を実施するように構成する(204)。DFSは、非標準(独自)実装により各UEによってサポートされる。UEが隠れ端末を検出すると(UEの観点から、すべてのプライマリユーザが隠れ端末である)(206)、UEの物理層(PHY)は、そのプロトコルスタックの上部層に、検出された隠れ端末を示して、既存のLTEリリース8/9/10/11/12手順に従ってRRM測定レポートにトリガをかける。仕様(specification)(例えば、「DFSイベント」)により、UEにおける非標準(独自)DFS機能によりトリガがかけられたRRM測定レポートが、RRC情報エレメント(IE)RSRP範囲の特定の値に結びつけられ得る。例えば、DFSイベントが、RRC IE RSRP範囲内の最小値によって示され得、範囲外(OOR)指示として動作し得る。UEは、既存のRRM測定レポート作成手順を用いてDFSイベント(例えば、DFSイベントを知らせるOORインジケータを伴うRSRP測定レポート)をeNodeBにレポートし得る(208)。eNodeBのRRM機能は、標準化されたリンケージに従ってRSRP測定レポートをDFS/OORイベントとして再解釈し得、続いて、プライマリユーザにASA帯域を開放する(210)ために、既存のRRCシグナリングを介してUEを再構成し得る(212)。このようなRRCシグナリングは、PCellの場合のハンドオーバー又はSCellの場合のSCell再構成を含む。或いは、eNodeBにおけるRRM機能がプライマリユーザにASA帯域が一時的に開放されればよいと判定する場合、RRM機能は、単にUEにおけるsCell_Deactivation_Timerを満了させ得るか、又は、MAC制御エレメントにおけるディアクティベーションコマンドを送出してASA帯域で構成されるSCellをディアクティブにし得る。3GPP LTE仕様では、UEが各ASA帯域に対して世界中の規制機関の要件に従ってDFS/OORイベントをレポートするかどうかについてUEをテストするために有用な性能要件が導入され得るが、3GPP LTEをサポートするための仕様では新たな測定は定義されない。
【0021】
別の実施形態において、既存の測定レポートをDFS/OORイベントとして再解釈する代わりに、新たな測定レポート及び関連する手順が、特に、隠れ端末又はプライマリユーザの存在を(E-UTRANに)示すために、定義される。ASA帯域でセルに接続されるUEはいずれも、この新たなDFS測定を行いレポートするように構成され得る。eNodeB RRC層は、周期的又はトリガに応答して或いは周期的にトリガに応答して、DFS測定をレポートするようにUEを構成し得る。eNodeBは、ASA帯域で接続されるUEのDFS測定レポーティングを制御するように、測定イベント並びに関連する閾値及びオフセットを構成し得る。そのため、的確な測定手順が特定によって決定され得る。ただし、ネットワークによって取られるアクションは、先に述べた実施形態におけるアクションに類似し得、UEハンドオーバー、SCell再構成、及びSCellディアクティベーションを含む。(バイナリ情報の代わりに)測定値をレポートすることにより、eNodeB RRM機能に履歴データから学習させ、プライマリユーザの保護を向上させるためeNodeB RRM機能にそれ自体の閾値を適用させ得る。eNodeBは、eNodeBに接続される様々なUEからのDFS測定値を解析し組み合わせることができるので、所与のUEに対して異なるキャリアを選択する決定は、最終的にeNodeBにある。ただし、この決定が各UEにおいてなされる場合、ネットワークは、潜在的なプライマリユーザの保護を保証するためにUEが示すいかなることにも従わなければならなくなる。
【0022】
<衝突回避を備えた搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)>
図3は、例示実施形態に従ったUE300とeNodeB320の間の通信を示す図である。UE300は、携帯電話、コンピュータ、又は他のワイヤレスネットワークデバイスとし得る。UE300は、メモリ304及びトランシーバ310に結合されるプロセッサ306を含む。プロセッサ306は、信号処理並びにチャネル測定及び演算を含めてUEの様々な動作タスクに適合されるいくつかのプロセッサを含み得る。メモリは、ユーザにより指示されるとおりプロセッサが実行し得るアプリケーションソフトウェア302を記憶し、また、UEに対する動作命令を記憶する。プロセッサ306は、マイク、スピーカ、ディスプレイ、及び関連するソフトウェアを含み得る入出力(I/O)回路要素308にも結合される。トランシーバ310は、eNodeB320とのワイヤレス通信に適したレシーバ312及びトランスミッタ314を含む。トランシーバ310は、典型的に、様々な通信チャネルを介してeNB320と通信する。例えば、トランシーバ310は、物理アップリンク制御チャネルPUCCH及び物理アップリンク共用チャネルPUSCHを介してアップリンク情報をeNodeB320に送出する。それに対応して、トランシーバ310は、物理ダウンリンク制御チャネルPDCCH及び物理ダウンリンク共用チャネルPDSCHを介してeNodeB320からダウンリンク情報を受信する。
【0023】
基地局320は、メモリ324、記号処理回路328、及びトランシーバ330にバス336を介して結合されるプロセッサ326を含む。プロセッサ326及び記号処理回路328は、信号処理並びにチャネル測定及び演算を含めて様々な動作タスクに適合されるいくつかのプロセッサを含み得る。メモリは、プロセッサが特定のユーザに対して実行し得るアプリケーションソフトウェア322を記憶し、また、eNodeB320に対する動作命令を記憶する。トランシーバ330は、UE300とのワイヤレス通信に適したレシーバ332及びトランスミッタ334を含む。トランシーバ330は、典型的に、様々な通信チャネルを介してUE300と通信する。例えば、トランシーバ330は、物理ダウンリンク制御チャネルPDCCH及び物理ダウンリンク共用チャネルPDSCHを介してUE300にダウンリンク情報を送出する。また、トランシーバ330は、物理ブロードキャストチャネルPBCH、物理ハイブリッドARQインジケータチャネルPHICH、物理制御フォーマットインジケータチャネルPCFICH、及び物理マルチキャストチャネルPMCHを介してUE300に特殊ダウンリンク情報を送出する。それに対応して、トランシーバ330は、物理アップリンク制御チャネルPUCCH及び物理アップリンク共用チャネルPUSCHを介してUE300からアップリンク情報を受信する。
【0024】
例示実施形態に従って、eNodeB320などのE-UTRANセルは、非ライセンス又はASA帯域で用いられ、この帯域では、LTEユーザ機器が、等しい優先順位の他のユーザであるが衝突回避を備えた搬送波感知多重アクセス(CSMA/CA)手順/プロトコルに厳密に従うユーザと無線リソースを共用する。3GPPロングタームエボリューションは、ライセンスされているスペクトルで動作するように特に設計されているので、基本的な問題が存在する。
【0025】
図4Aを参照すると、ダウンリンク方向の状況は、
図2を参照して説明したDFSに類似している。ここでは、CSMA/CAが、例示実施形態に従った非標準独自機能として実施される。UEがLTE帯域で初期化される(400)。eNodeBがCSMA/CA帯域をモニタリングする(402)。eNodeBは、進行中の送信を感知しても(404)、いかなるダウンリンクチャネルも送信しない。eNodeBは、タイムアウト基準をモニタリングし(408)、CSMA/CA帯域のモニタリングを継続する(402)。進行中の送信がタイムアウト基準408より前に終了する場合、eNodeBは、CSMA/CA帯域でUEに送信する(406)。そうでない場合、タイムアウト基準が過ぎると、RRCシグナリングが、UEにCSMA/CA帯域を開放させ(410)、ハンドオーバーを開始する(412)。
【0026】
ただし、eNodeBは、進行中の送信が検出されるかどうかに関わらず何らかの信号を送信しなければならないことがある。eNodeBは、発見基準信号(DRS)バーストを数百ミリ秒のオーダの周期で送信する。DRSバーストは、1つのサブフレームのみとし得、少なくともPSS、SSS、及びCRSを含み、それによって、UEはセルを発見し測定を実施し得る。共用セルIDの状況では、DRSオケージョンの間にCSI-RSも送信され得る。また、周期的なPSS/SSS送信により、UEは、粗い時間及びこのセルとの周波数同期を得る。ネットワーク側では、DRSに基づくRRM測定レポートは、eNodeBに、所与のUEに対する或る非ライセンス又はASA帯域でセルを構成するかどうか判定させる。DRSに加えて、eNodeBは、5ms又は10msなど、DRSの周期性よりもはるかに短い周期性を有する何らかの種類のトラッキング基準信号(TRS)を周期的に送信する必要がある。TRSの波形により、UEは自動利得制御(AGC)、並びに細かな時間及び周波数同期(トラッキング)を実施する。このようなTRS波形は既存のCRS波形に基づき得る。これにより、CRSベースの送信モードの場合のチャネル状態情報取得に有用であるという付加的な恩恵が得られ得る。さらに、eNodeBは、CSI-RSベースの送信モードでのUEにおけるチャネル状態情報取得を可能にするチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)を周期的に送信し得る。UEは、CSI測定のため、及びeNodeBでのCSI送信に従ってレポートのために構成され得る。
【0027】
再度
図3を参照すると、CSMA/CAとともに何らかのダウンリンクチャネルを用いないことが好ましいことがある。例えば、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)は、非ライセンス又はASA帯域におけるセル内で送信されない。従って、UEはこのようなセルに留まることができない。同様に、システム情報も送信されない。そのため、このようなセルはSCellとしてのみ構成され得、PCellは常に、ライセンスされているスペクトルで構成される。非ライセンス又はASAスペクトルでは物理ハイブリッドARQインジケータチャネル(PHICH)を送信しないことも有益であり得る。或いは、DCIにおいて送信されるUL付与は、前のUL付与の再送信をスケジュールすることによって暗示的なACK/NACK指示として働き得る。物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH)は、非ライセンス又はASAスペクトルにおいて送信されてもされなくてもよい。拡張されたPHICH継続時間が構成される場合、制御フォーマットインジケータ(CFI)は仕様(specification)を通じて既知である。同様に、PCFICHは、強化された物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)によってスケジュールされる送信モード10(TM10)ではPDSCH送信には必要とされない。交差キャリアスケジュールPDSCH送信では、CFIは構成を通じて既知である。比較すると、PCFICHはPDCCHとして同じサブフレーム内で送信されるので、PDCCHが送信されるときは必ずPCFICHが送信され得る。最後に、物理マルチキャストチャネル(PMCH)が、留保されたリソースに対するMBMS協調エンティティ(MCE)によって準静的にスケジュールされるので、非ライセンス又はASAスペクトルではPMCHを送信しないことが有益であり得る。そうでない場合、ユニキャストダウンリンク送信では、eNodeBにおけるCSMA/CA機能が、(E)PDCCH又はPDSCH送信に所与のサブフレームが用いられ得ることを示す場合、eNodeBはLTEリリース12に従って送信する。一実施形態では、eNodeBにおけるCSMA/CA機能はバイナリ指示を返す。所与のセルに対するCSMA/CA機能が所与のキャリアでBUSYを示す場合、eNodeBは(E)PDCCH又はPDSCHをいかなるUEにも送信しない。eNodeBは、上記勧告に従って引き続き他の信号又はチャネルを送信し得る。或いは、所与のセルに対するCSMA/CA機能が所与のキャリアでIDLEを示す場合、eNodeBは(E)PDCCH及び/又はPDSCH送信を送信し得、eNodeBはLTEリリース12に従って送信する。
【0028】
図4Bを参照すると、CSMA/CA帯域におけるアップリンク動作はダウンリンク動作に類似している。UEがLTE帯域で初期化される(400)。UEはCSMA/CA帯域をモニタリングする(420)。UEは、進行中の送信を感知すると(422)、いかなるアップリンクチャネルも送信しない。UEは、タイムアウト基準をモニタリングし(426)、CSMA/CA帯域のモニタリングを継続する(420)。進行中の送信がタイムアウト基準426より前に終了する場合、UEは、CSMA/CA帯域でeNodeBに送信する(424)。そうでない場合、タイムアウト基準が過ぎると、UEはBUSYレポートをeNodeBに送出する(428)。RRCシグナリングが、UEにCSMA/CA帯域を開放させ(430)、ハンドオーバーが開始する(432)。
【0029】
UEにおけるCSMA/CA機能が、所与のサブフレームがアップリンク送信に用いられ得ないことを示す場合、進行中の送信を干渉しないように、いかなる構成されたサウンディング基準信号(SRS)送信も破棄することが有益であり得る。非ライセンス又はASAスペクトルで物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)を送信しないことも有益であり得る。この場合、ライセンスされているスペクトルでのみPCellにPUCCHが送信される。PUCCH送信が非ライセンス又はASAスペクトルにおいて許可される
場合、いくつかのUE挙動が想定される。
【0030】
或るケースでは、UEは、PUCCH送信がスケジュールされるサブフレームについてUEにおけるCSMA/CA機能の指示に拘わらず、PUCCH送信に対する既存のUE手順に従う。概して、進行中の送信との衝突は避けられず、PUCCHはeNodeBで適切に受信されないことがある。
【0031】
或いは、UEは、PUCCH送信がスケジュールされるサブフレームについて、UEにおけるCSMA/CA機能の指示に関して、任意のPUCCH送信に基礎を置き得る。UEにおけるCSMA/CA機能がBUSYを示す場合、UEは対象のサブフレームにおいてPUCCHに送信しない。そうではなく、UEにおけるCSMA/CA機能がIDLEを示す場合、UEはPUCCHをスケジュールどおり送信する。
【0032】
同じ原理が物理アップリンク共用チャネル(PUSCH)に適用され得る。一実施形態では、UEは、PUSCH送信がスケジュールされるサブフレームについて、UEにおけるCSMA/CA機能の指示に拘わらず、PUSCH送信に対する既存のUE手順に従う。概して、進行中の送信との衝突は避けられず、PUSCHはeNodeBで適切に受信されないことがある。
【0033】
或いは、UEは、PUSCH送信がスケジュールされるサブフレームについて、UEにおけるCSMA/CA機能の指示に関して、任意のPUSCH送信の基礎を置き得る。UEにおけるCSMA/CA機能がBUSYを示す場合、UEは対象のサブフレームにおいてPUSCHに送信しない。そうではなく、UEにおけるCSMA/CA機能がIDLEを示す場合、UEはPUSCHをスケジュールどおり送信する。
【0034】
DFSの場合と同様に、隠れ端末が考慮されなければならない。PUSCH及びPUCCH送信に対する上記の解決策は、PUSCH/PUCCH送信がスケジュールされるサブフレームについて、UEにおけるCSMA/CA機能がBUSYを示す場合のUEの挙動に関するものである。eNodeBではなくUEにおいて検出可能な波形を有する隠れ端末の場合、eNodeBはそのUEのスケジューリングを継続し得る。UEが正規のLTEリリース12の動作に従う場合、この結果、eNodeBからUEへのリンクについての性能、並びに隠れ端末へのリンク及び隠れ端末からのリンクついての性能が悪くなり得る。これは、それぞれの送信の衝突が継続し得、それによって、潜在的に過剰な干渉が生じ、そのため、(a)信頼性の高い通信がもはや実現可能ではなくなるか、(b)少なくとも、許容可能なサービス品質(QoS)がもはや提供され得なくなる。UEにおけるCSMA/CA機能がBUSYを示す場合にUEがサブフレームにおいてPUSCH又はPUCCHに送信しないという反対のケースでも、同じように性能が悪くなり得る。これは、BUSYサブフレームにおけるパッケージやHARQ ACK/NACK送信が破棄されるからである。理論的には、先に述べたDFS方式を再利用して、eNodeBのMAC(又はRRC)層が、異なるCCにおいてUEをスケジュールしてさらなる衝突を避けるように、UEがeNodeBにセル又はキャリアのBUSY状態を知らせることができる。従って、DFS機能によってトリガされる「DFSイベント」の代わりに、CSMA/CA機能はBUSYを示し得るが、そうでない場合、これらの手順が再利用され得る。しかし、DFSのための時間スケールは、概して、CSMA/CAの場合と同様に、LBTのための時間スケールよりはるかに長い。そのため、例示実施形態では、CSMA/CAの場合に隠れ端末に対処するための別の手順が提供される。
【0035】
例示実施形態の目的の一つは、UEの上部層がeNodeBの上部層に、UEがアップリンク送信のためにスケジュールされるサブフレームにおけるUEのCSMA/CA機能の指示について知らせることである。UEのCSMA/CA機能がIDLEを示す場合、UEは常に既存のLTEリリース12の仕様に従い得るので、この状態はeNodeBの上部層には通知されない。そのため、幾つかの実施形態では、PUSCH又はPUCCH送信がスケジュールされ、UEのCSMA/CA機能がBUSYを示すサブフレームにおいて、eNodeBの上部層(例えば、eNodeB MACスケジューラ)が取り得るアクションが提供される。
【0036】
全体システム性能及び特にユーザが知覚するUEのスループットが最大化されるので、隠れ端末によって占有されるキャリアでのUEのスケジューリングを避けることによってeNodeBがより早いアクションを取り得るほど、PHY又はMAC層メカニズムを用いることが好ましい。ここで、前者は後者よりレイテンシーが短い。まず、レイテンシーを短くするために、UEが、すでに最大で5つのサービス提供セル(
図1)とともに、対応するコンポーネントキャリア上で構成されていると仮定する。例示実施形態に従って、サービス提供セルを、RRCシグナリングにより構成されるServCellIndexに基づいて、昇順で順序付ける。ただし、他の順序付けやアドレス指定メカニズムを排除するものではない。次いで、PCellを除いた4つのサービス提供セルに、記号{00、01、10、11}を、ServCellIndexが最小のサービス提供セル(SCell)が00に対応し、ServCellIndexが2番目に小さいサービス提供セル(SCell)が01に対応し、以下同様になるように割り当てる。4つ未満のSCellが構成される場合、未使用の記号(例えば、1つのSCellが構成される場合、{01、10、11})は留保される。他のマッピングが除外されるものではない。最短のレイテンシーを保証するために、L1(PHY)シグナリングが導入されて、PUSCH又はPUCCH送信がスケジュールされるサブフレームにおけるUEのCSMA/CA機能からのBUSY指示についてeNodeBの上部層に知らせる。
【0037】
従って、PCellに対して常に送信される新たなPUCCHフォーマットが導入される。この新たなPUCCHフォーマットは、既存のPUCCHフォーマット1bと全く同じである。ただし、ACK/ACK、ACK/NACK、NACK/ACK、及びNACK/NACK/DTXを表す代わりに、QPSK記号が4つのサービス提供セルの指数{00、01、10、11}を符号化する。便宜上、この新たなPUCCHフォーマットをフォーマット1cと称する。eNodeBレシーバは、符号分割多重によってPUCCHフォーマット1bと1cを区別し得、そのため、これら2つのPUCCHフォーマットは同じ時間及び周波数リソースを共用し得る。或いは、この新たなPUCCHフォーマットは、PUCCH領域のそれ自体の時間及び周波数リソースを有し得る。スモールセルの場合のようにPUCCH容量が問題ではない場合、スペクトル効率の改善のためにCDMが好ましい。PUSCH又はPUCCH送信がスケジュールされるサブフレームにおいて、UEにおけるCSMA/CA機能がBUSYを示す場合、UEは、PUSCH又はPUCCHをスケジュールどおり送信しないが、その代わりに、PCellに対するPUCCHフォーマット1c送信を介してBUSY指示を(eNodeBに)示す。幾つかのUEの挙動が想定されるが、いずれもPUCCHフォーマット1cが受信されるときのeNodeBにおける曖昧さを防止するためにeNodeBが一度に1つだけのSCellをスケジュールすると仮定される。
【0038】
一実施形態では、PUCCHフォーマット1cは、どのサービス提供セルにBUSY指示が発生したかを示す。例えば、eNodeBは、サブフレームnで受信したDCI内のUL付与を介して、サブフレームn+k(ここで、k>0である)におけるアップリンク送信をスケジュールし得る。アップリンク送信が生じるようにスケジュールされる直前に、UEにおけるCSMA/CA機能は、媒体の感知を開始し、UEの上部層に媒体がIDLEかBUSYかを示す。IDLEが示される場合、UEは、受信したDCIに従ってスケジュール済み送信で処理を進める。BUSYが示される場合、UEは、対象のアップリンク送信をスケジュールするDCIを無視し、代わりに、衝突が生じたサービス提供セルを(QPSK記号において)符号化するPCellに対してPUCCHフォーマット1cを送出する。
【0039】
eNodeBは特定のサービス提供セルに対するPUSCH又はPUCCH送信を予想していたので、PUCCHフォーマット1c送信はeNodeBの上部層に付加的な情報を実は伝達しない。そのため、異なる実施形態において、UEにおけるCSMA/CA機能は、スケジュールされているアップリンク送信の前に、すべての構成されているサービス提供セルを感知する。送信がスケジュールされるサービス提供セルについてIDLEが示される場合、UEは、受信したDCIに従ってスケジュールされている送信で処理を進める。BUSYが示される場合、UEは、対象のアップリンク送信をスケジュールするDCIを無視し、代わりに、UEにおけるCSMA/CA機能がIDLEを示したサービス提供セルを(QPSK記号において)符号化するPCellにPUCCHフォーマット1cを送出する。これは、対応するサービス提供セルが後のサブフレームn+k2(k2>k)においてIDLEであることを保証しないが、少なくともeNodeBは同じサービス提供セルにアップリンク送信のスケジューリングを継続しない。
【0040】
新たなPUCCHフォーマット1cを導入することは、eNodeBレシーバにこの新たなPUCCHフォーマットをモニタリングさせることを必要とする。従って、前述のPHY手順にわたってMAC層手順が好ましいことがある。しかし、MAC制御エレメントを送出することは、UEに、媒体がBUSYであるためにPUCCH又はPUSCHを送信しないことによって使用されないままとされるアップリンクリソースに加えて、利用可能なアップリンクリソースを入手させる必要がある。また、MAC CEを担持するPUSCH送信を準備するための時間はより長くかかることがあり、そのため、新たなPUCCHフォーマットの場合よりもはるかに早く搬送波感知が生じなければならず、それによって、UEにおけるCSMA/CA機能がIDLEを示す確率が高くなるが、サブフレームn+kの間、媒体はBUSYである。UEがAMC CEを送信するためにスケジューリング要求(SR)を送出しなければならない場合、レイテンシーはさらに長くなり得る。そうではあるが、MAC層手順には依然としてメリットがあり得る。例えば、これにより、一度に1つだけSCellがスケジュールされるという制約を課す必要がなくなり得る。代わりに、MAC CEにおける1オクテット(8ビット)を用いて4つのSCellすべてを同時に符号化し得る。最大4つのサービス提供(SCell)が、ServCellIndexに基づき、{00、01、10、11}によって表されて、昇順に再度順序付けられ、そのため、ServCellIndexが最小のサービス提供セル(SCell)が00に対応し、ServCellIndexが2番目に小さいサービス提供セル(SCell)が01に対応し、以下同様となる。また、MAC CEの1オクテット内の8ビットは、下記のマッピングにより4つのSCellに対応する。最初の2つのビットは、{00}によって表されるサービス提供セルに対応し、3番目と4番目のビットは、{01}によって表されるサービス提供セルに対応し、5番目と6番目のビットは、{10}によって表されるサービス提供セルに対応し、最後の2つのビットは、{11}によって表されるサービス提供セルに対応するが、他のマッピング及び順序付けが除外されるものではない。或る位置のビットがその位置自体に対応する場合、これは、対応するサービス提供セルがIDLEとして示されたことを示す。そうでない場合、この指示はBUSYとなり、これら2つのビットは、eNodeBが切り替えるべきサービス提供セルを示す。従って、オクテット内のビット位置は、その位置のビットが属するサービス提供セルを符号化し、これらのビット自体は、1つのセルに対する上記のPUCCHフォーマット1cで送信された同じ情報を符号化する。例えば、オクテット{00010011}は、第1、第2、及び第4のサービス提供セルがIDLEであったことを意味し、第3のサービス提供セルに対する送信が、第1のサービス提供セルに対して送信されるべきであることを意味する。
【0041】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態において改変が可能であり、他の実施形態が可能である。