(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】複数のワイヤレスワイヤレス送電機を有するワイヤレス給電装置のテストのためのシステム、マスタテスト装置、スレーブテスト装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20230724BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230724BHJP
H02J 50/60 20160101ALI20230724BHJP
H04B 17/00 20150101ALI20230724BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H02J50/60
H04B17/00
(21)【出願番号】P 2022521001
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2021085740
(87)【国際公開番号】W WO2022136027
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319004364
【氏名又は名称】エレクトディス アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ラウレンス スバーンス
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533940(JP,A)
【文献】特表2020-536479(JP,A)
【文献】特開2001-359142(JP,A)
【文献】特開2020-162310(JP,A)
【文献】特開2015-042092(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177905(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0226480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
7/34 - 7/36
50/00 -50/90
H04B 1/60
3/46 - 3/493
17/00 -17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのためのシステム(1)であって、
ローカルデータ通信インターフェース(41)と、
マスタコントローラ(42)と、
出力ユニット(43)と、
を有するマスタテスト装置(40)と、
複数のスレーブテスト装置(30a~n)であって、スレーブテスト装置の各々が、
前記マスタテスト装置(40)とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェース(38a~n)と、
ワイヤレス受電機(32a~n)と、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)のいずれかに対してワイヤレス給電テスト手順(120a~n)を実行するように構成されたローカルコントローラ(37a~n)と、
を有する、複数のスレーブテスト装置(30a~n)と、
を備え、
前記マスタテスト装置(40)は、前記マスタテスト装置(40)のローカルデータ通信インターフェース(41)を介して前記スレーブテスト装置(30a~n)と通信するように構成され、
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々がテスト中に同時に動作する間にテスト手順(120a~n)の各々を実行することを前記スレーブテスト装置(30a~n)に命令し(110a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)によって実行されたテスト手順(120a~n)の各々から結果データ(125a~n)を受信し(140a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々に基づく出力(45)を前記マスタテスト装置(40)の前記出力ユニット(43)によって提供する(170)ように構成された、システム(1)。
【請求項2】
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の全体的なテスト結果を表す結合テスト結果を導き出すように更に構成された、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の特定のワイヤレス送電機(22a)の個別のテスト結果を導き出すように更に構成された、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の第1の特定のワイヤレス送電機(22a)のテスト手順(120a)を、テストパラメータを繰り返し変更して実行するのに対して、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の第2の特定のワイヤレス送電機(22b)のテスト手順(120b)を、そのようなテストパラメータを変更することなく実行するように、前記スレーブテスト装置(30a~n)によってテスト手順(120a~n)の各々を繰り返し実行させ、
前記第1の特定のワイヤレス送電機(22a)のテスト結果と前記第2の特定のワイヤレス送電機(22b)のテスト結果と相関させるために前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
前記相関から、前記第1の特定のワイヤレス電力送信機(22a)を、前記第2の特定のワイヤレス送電機(22b)の前記テスト結果の原因であると特定するように更に構成された、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)の一つ以上のテスト手順(120a~n)の修正を決定し(160)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)の一つ以上によって、修正されたテスト手順(120a~n)を実行させるように更に構成された、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、テスト手順(120a~n)を実行する前記スレーブテスト装置(30a~n)の一つによって検出される前記ワイヤレス送電機(22a~n)の一つによるワイヤレス給電に関連して問題状態が生じたときに、前記ワイヤレス給電装置(20)によって与えられるユーザフィードバック又は表示をテスト又は測定するように更に構成された、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項7】
ワイヤレス受電機(32a')を有し、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の一つに対するワイヤレス給電テスト手順(120a)を実行するために前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)によって直接動作制御されるプローブ装置(31)を更に備える、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記マスタテスト装置(40)は、ネットワーク通信インターフェース(46)を更に備え、前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
リモートコンピューティングリソース(62)と通信を行って、
a)前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を含む又はそれらから導き出される情報を、前記
リモートコンピューティングリソース(62)に送信することと、
b)前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の一つ、一部又は全てを更新する役割を果たす
とともに世界中で実行されている他のテスト及びテストシステムから取得した知識又は経験に関する情報を、前記
リモートコンピューティングリソース(62)から受信することとの一方又は両方を行うように更に構成された、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、ワイヤレス給電セッションを制御するための通信プロトコルに従って、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記スレーブテスト装置(30a~n)と前記ワイヤレス送電機(22a~n)との間の
通信の品質を表すパラメータのテスト及び測定を含む、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の間の磁気強度を表すパラメータのテスト及び測定を含む、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の効率を表すパラメータのテスト及び測定を含む、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の間の温度を表すパラメータのテスト及び測定を含む、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の間の異物の存在を検出する能力のテスト及び測定を含む、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項14】
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのための方法(200)であって、
複数のスレーブテスト装置(30a~n)を設けること(210)と、
前記スレーブテスト装置(30a~n)と通信接続するマスタテスト装置(40)を設けること(220)と、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々からの受電に適した位置に前記スレーブテスト装置(30a~n)の各々を配置すること(230)と、
前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々が同時に動作する間にテスト手順(120a~n)の各々を実行することを前記マスタテスト装置(40)によって前記スレーブテスト装置(30a~n)に命令すること(240;110a~n)と、
前記スレーブテスト装置(30a~n)によって実行されるテスト手順(120a~n)の各々からの結果データ(125a~n)を前記マスタテスト装置(40)によって受信すること(250;140a~n)と、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々に基づく出力(45)を前記マスタテスト装置(40)によって提供すること(260;170)と、
を備える方法(200)。
【請求項15】
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのためのマスタテスト装置(40)であって、
ローカルデータ通信インターフェース(41)と、
マスタコントローラ(42)と、
出力ユニット(43)と、
を備え、
前記マスタテスト装置(40)は、ローカルデータ通信インターフェース(41)を介して複数のスレーブテスト装置(30a~n)と通信するように構成され、
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々がテスト中に同時に動作する間にテスト手順(120a~n)の各々を実行することを前記スレーブテスト装置(30a~n)に命令し(110a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)によって実行されたテスト手順(120a~n)の各々から結果データ(125a~n)を受信し(140a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々に基づく出力(45)を前記マスタテスト装置(40)の前記出力ユニット(43)によって提供する(170)ように構成された、マスタテスト装置(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ワイヤレス給電の分野に関し、更に具体的には、ワイヤレス給電装置のテストに関連する。更に具体的には、本発明は、ワイヤレス給電のために同時に動作するように適合された複数のワイヤレス送電機を有するワイヤレス給電装置のテストのためのシステム及び方法に関する。また、本発明は、使用のためのマスタテスト装置及びスレーブテスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス給電は、例えば、モバイル端末、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、カメラ、オーディオプレーヤー、電動歯ブラシ、ワイヤレスヘッドセット、スマートウォッチのようなモバイル機器並びに他の様々な消費者向け製品及びアプライアンスのワイヤレスバッテリ充電においてますます人気が高まっている。
【0003】
ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium)は、Qiとして知られるワイヤレス給電規格を開発した。他の既知のワイヤレス給電アプローチは、アライアンスフォーワイヤレスパワー(Alliance for Wireless Power)及びパワーマターズアライアンス(Power Matters Alliance)を含む。
【0004】
ワイヤレスパワーコンソーシアムによってQiとして知られているワイヤレス給電規格を、本文書全体を通して、本発明に適用可能な現在好適なワイヤレス給電手法として称するが、それに限定されない。しかしながら、本発明を、一般的には、上記のものを含むがそれに限定されない他のワイヤレス給電規格又はアプローチにも適用してもよい。
【0005】
Qiに準拠するデバイスの動作は、平面コイル間の磁気誘導に依存する。(基地局又はワイヤレス送電機と称する)ワイヤレス給電を行うデバイスと(モバイル機器と称する)ワイヤレス電力を消費するデバイスの2種類のデバイスが関係する。給電は、基地局からモバイル機器に行われる。このために、基地局は、一次コイルを備えるサブシステム(送電機)を有し、モバイル機器は、二次コイルを備えるサブシステム(受電機)を有する。動作中、一次コイル及び二次コイルは、コアレス共振トランスの二つの半部分を構成する。通常、基地局は、平坦な表面を有し、ユーザは、基地局に配置された(一つ以上の)モバイル機器のワイヤレスバッテリ充電又は動作可能な電源を有することができるようにするために一つ以上のモバイル機器を基地局に配置する。
【0006】
これを、モバイル機器10(すなわち、ワイヤレス受電装置)へのワイヤレス給電のためのワイヤレス送電装置20’を示す
図1に示す。モバイル機器10は、例えば、モバイル端末(例えば、スマートフォン)10a、タブレットコンピュータ10b(例えば、サーフパッド)、ラップトップコンピュータ10c、スマートウォッチ10d、カメラ、オーディオプレーヤー、充電式歯ブラシ、ワイヤレスヘッドセット又は他の種類の消費者向け製品又はアプライアンスであってもよい。
【0007】
本文書全体を通して、ワイヤレス給電を、ワイヤレスパワーコンソーシアムによるQi標準に準拠しているものと説明するが、それに限定されない。したがって、ワイヤレス送電装置20は、Qiの用語では基地局である。しかしながら、本発明は、上記のように、他のワイヤレス給電規格又はアプローチにも一般的に適用可能である。
【0008】
ワイヤレス送電装置20'は、ワイヤレス送電機コイル24を有するとともにコントローラ26によって制御されるワイヤレス送電機22を備える。これに対応して、モバイル機器10は、ワイヤレス受電機コイル14を有するワイヤレス受電12を備える。動作中、ワイヤレス送電装置20'は、ワイヤレス送電機コイル24及びワイヤレス受電機コイル14を経た磁気誘導18を介して、モバイル機器10にワイヤレス給電を行う。
【0009】
ワイヤレス受電機コイル14によって受け取られる電力は、モバイル機器10の負荷16を駆動する。通常、負荷16は、リチウムイオン電池のような充電式電池であってもよい。したがって、ワイヤレス送電装置20'は、モバイル機器10のワイヤレス電力充電器として機能する。別の状況では、負荷16は、モバイル機器の電子回路であってもよく、ワイヤレス送電装置20'は、モバイル機器10のためのワイヤレス電源として機能する。
【0010】
本文書全体を通して、ワイヤレス充電を、ワイヤレス給電の例として、すなわち、属の中の種として使用するが、それに限定されない。
【0011】
動作中、様々な要因がワイヤレス充電の品質に影響を及ぼす。例えば、熱は、受電機の2次コイルの磁気誘導及び基地局の送電機から生じる。モバイル機器及び/又は基地局が過度の熱にさらされると、いくつかの望ましくない影響、例えば、モバイル機器の重要なコンポーネントの損傷が発生する可能性がある。さらに、充電効率、したがって、必要な充電期間は、基地局の受電機の向きによって異なる場合がある。
【0012】
したがって、受電機を使用してワイヤレス給電を行うときに基地局及びその動作環境のテスト、測定又は評価を分科会で行う必要がある。そのような分科会は、例えば、モバイル機器の開発者、製造者又はサプライヤ、ワイヤレス送電装置の開発者、製造業者又はサプライヤ、ワイヤレス給電の分野におけるテスト又はコンプライアンスエンティティ及び消費者製品の安全性の分野におけるテスト又はコンプライアンスエンティティのいずれかを含んでもよい
【0013】
図1に示す従来のワイヤレス電力充電装置は、一つのワイヤレス送電装置が一つのワイヤレス受電装置に電力(エネルギー)を提供するという意味で1対1の機能を実行する。市場へのワイヤレス給電の採用の拡大に伴い、ワイヤレス充電を必要とするデバイスがますます利用可能になる。したがって、単一のワイヤレス送電装置が複数のワイヤレス受電装置に電力を供給することができるワイヤレス電力充電装置が出現し始めた。
【0014】
図2は、複数のモバイル機器10a、10a’、10dへのワイヤレス給電のための1対多のワイヤレス送電装置20の概略ブロック図である。ワイヤレス送電装置20は、18a~18nに示すように、ワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機22a~nを備える。ワイヤレス送電機22a~nは、それぞれのワイヤレス送電機コイル24a~nを有するとともに共通のコントローラ26によって制御される。したがって、複数のワイヤレス送電機22a~nは、それぞれのワイヤレス受電装置すなわちモバイル機器10a、10a'、10dのそれぞれへのワイヤレス給電のために同時に動作するように適合される。
【0015】
これまでのところ(現状)、WPCのコンプライアンステストプログラムは、1対1の容量のワイヤレス送電装置のテスト機能のみを実行する。これは、コンプライアンステストがワイヤレス受電装置として機能する単一のテスト装置に電力を供給しながら装置のパフォーマンス及びコンプライアンスのみを検証することを意味する。
【0016】
本発明者は、1対多の充電をサポートするワイヤレス送電装置が同時に複数の装置に電力を供給するときにパフォーマンスが低下する可能性があることに気付いた。(WPCによって制御される)Qiロゴが付いたワイヤレス充電装置があり得る全ての動作条件下で準拠していることが不可欠である。そのような影響の一例は、第2のワイヤレス受電装置によって生成されるクロストーク又はノイズに起因するワイヤレス送電装置又は第1のワイヤレス受電装置が経験する通信チャネルへの干渉である可能性がある。
【0017】
別の例は、ワイヤレス送電装置又は第1のワイヤレス受電装置の一部の加熱である可能性があり、それは、第2のワイヤレス受電装置の動作に影響を及ぼすことがある。
【0018】
図2の19及び19’に示すように、これらの問題は、例えば、隣接するワイヤレス送電機22a~nの間又はワイヤレス受電装置10,10’a,10dの間の距離が限られているために発生する可能性がある。
【0019】
更に別の例は、複数のワイヤレス受電装置が充電されているときにワイヤレス送電装置が必要な電力を提供できないことである可能性がある。それは、平均電力だけでなく電力需要が一時的に急上昇する可能性がある一時的な過渡現象に関連する。
【0020】
WPCコンプライアンステスト用のテスト機器は、高度に技術的で高価な機器である。簡単な解決策は、二つのテスト機器を使用するとともに複数のテストを並行して実行することである。それにより、二つのワイヤレス受電装置に電力を供給できる送電装置のテストが可能になる。しかしながら、これは、特に、二つ以上、例えば、五つ又は十のワイヤレス受電装置を充電できるワイヤレス送電装置を検討するときにコストが高くなるために望ましい又はスケーラブルなアプローチではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、ワイヤレス給電装置のテストの改善を提供するとともに上記で特定された問題の一つ以上を除去又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の発明の態様は、ワイヤレス受電装置の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機を備えるワイヤレス給電装置のテストのためのシステムである。システムは、ローカルデータ通信インターフェースと、マスタコントローラと、出力ユニットと、を有するマスタテスト装置を備える。システムは、複数のスレーブテスト装置を更に備える。スレーブテスト装置の各々は、マスタテスト装置とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェースと、ワイヤレス受電機と、テスト中のワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機のいずれかに対してワイヤレス給電テスト手順を実行するように構成されたローカルコントローラと、を有する。
【0023】
本発明のシステムでは、マスタテスト装置は、マスタテスト装置のローカルデータ通信インターフェースを介してスレーブテスト装置と通信するように構成される。マスタテスト装置のマスタコントローラは、テスト中に同時に動作する間にワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機の各々に対してテスト手順の各々を実行する命令をスレーブテスト装置に対して行い、スレーブテスト装置によって実行されたテスト手順の各々から結果データを受信し、出力をマスタテスト装置の出力ユニットによって提供するように構成される。出力は、スレーブテスト装置から取得した結果データの各々に基づく。
【0024】
第2の本発明の態様は、ワイヤレス受電装置の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機を備えるワイヤレス給電装置のテストのための方法である。方法は、
複数のスレーブテスト装置を設けることと、
スレーブテスト装置と通信接続するマスタテスト装置を設けることと、
テスト中のワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機の各々からの受電に適した位置にスレーブテスト装置の各々を配置することと、
ワイヤレス送電機の各々が同時に動作する間にテスト手順の各々を実行することをマスタテスト装置によってスレーブテスト装置に命令することと、
スレーブテスト装置によって実行されるテスト手順の各々からの結果データをマスタテスト装置によって受信することと、
スレーブテスト装置から取得した結果データの各々に基づく出力をマスタテスト装置によって提供することと、
を有する。
【0025】
第3の発明の態様は、ワイヤレス受電装置の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機を備えるワイヤレス給電装置のテストのためのマスタテスト装置である。マスタテスト装置は、ローカルデータ通信インターフェースと、マスタコントローラと、出力ユニットと、を備える。マスタテスト装置は、ローカルデータ通信インターフェースを介して複数のスレーブテスト装置と通信するように構成される。マスタテスト装置のマスタコントローラは、テスト中に同時に動作する間にワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機の各々に対してそれぞれのテスト手順を実行する命令をスレーブテスト装置に対して行い、スレーブテスト装置によって実行されたテスト手順の各々から結果データを受信し、出力をマスタテスト装置の出力ユニットによって提供するように構成される。出力は、スレーブテスト装置から取得した結果データの各々に基づく。
【0026】
第4の発明の態様は、ワイヤレス受電装置の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機を備えるワイヤレス給電装置のテストのためのスレーブテスト装置である。スレーブテスト装置は、マスタテスト装置とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェースと、ワイヤレス受電機と、テスト中のワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機のいずれかに関連するワイヤレス給電テスト手順を実行するように構成されたローカルコントローラと、を備える。スレーブテスト装置は、スレーブテスト装置のローカルデータ通信インターフェースを介してマスタテスト装置と通信するように構成される。スレーブテスト装置のローカルコントローラは、マスタテスト装置から命令を受信し、ワイヤレス送電機の一つに対してワイヤレス給電テスト手順を実行し、ワイヤレス給電テスト手順の実行から結果データを生成し、結果データをマスタテスト装置に送信するように構成される。
【0027】
本発明で使用されるスレーブテスト装置の数は、単一のスレーブテスト装置のみが使用される場合を含む任意の数のスレーブテスト装置であってもよい。しかしながら、有利には、少なくとも二つのスレーブテスト装置が使用され、そのような場合、「スレーブテスト装置の数」という用語は、「複数のスレーブテスト装置」を意味する。単一のスレーブテスト装置のみが使用される場合、テスト中のワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機の一つでワイヤレス給電テスト手順が実行される。複数のスレーブテスト装置を使用する場合、スレーブテスト装置は、テスト中のワイヤレス給電装置のワイヤレス送電機の各々でワイヤレス給電テスト手順の各々を実行する。
【0028】
出力がスレーブテスト装置から取得した結果データの各々に基づくという事実は、マスタテスト装置自体によって取得したテスト結果データを含む他の情報から出力に影響が及ぼされる又は派生することを妨げるものではない。開示した実施形態のいくつかは、このためにマスタテスト装置によって直接使用するためのメインプローブ装置を有する。
【0029】
上記から理解されるように、本発明者による独創的な洞察は、複数のワイヤレス送電機を有するワイヤレス給電装置でコンプライアンステストを実行するときに高度なコンプライアンステスト機器(マスタテスト装置)及び一つ以上の追加の装置(スレーブテスト装置)の両方を監視及び制御できることから得られる利点である。これは、特に、タイムクリティカルなイベントが監視されるとともに個別のワイヤレス送電機のイベントの間の相関関係を証明する必要がある場合に当てはまる。これは、本発明の形式がある場合である。本発明は、高度なコンプライアンステストツール(マスタテスト装置)及び高度なコンプライアンステストツールに接続できる複数のそれほど高度でないスレーブテスト装置の両方を利用する全体的なテストシステムを備える。マスタテスト装置は、全ての機器の観測(又は観測に関する受信情報)に基づいて、接続されている全ての機器に対する制御(又は制御のための情報の送信)を行うシステムの集中型インテリジェンスである。スレーブテスト装置は、マスタテスト装置と通信することができ、測定結果を報告しながら当該装置からの命令に基づいて動作する。そのような構成は、スタンドアロンの補助テスト装置を完全なマルチデバイステストセットアップのアドオンに変えることができ、テストセットアップでホストとして機能するマスタテスト装置と通信を行うことによってスレーブテスト装置として機能できる(APIのような)通信インターフェースがあれば十分である。
【0030】
一例として、マスタテスト装置は、例えば、誤り率又はビット誤り率を使用することによって、通信チャネルの品質を非常に高い精度で監視することができる。マスタテスト装置は、一つの充電インターフェースでこのパラメータを監視する間に、スレーブテスト装置の通信パラメータを調整することによって、干渉のレベルを操作することができる。テストシステムは、考えられる問題領域を見つけるために、DUT(送電機製品)でアクティブな全ての受電装置に関する知識を使用して、例えば、摂動及び観測アルゴリズムによって特定の最悪の場合の使用を探すことができる。そのようなソリューションは、製品メーカーが製品の弱点を見つけて改善するのに役立ち、標準化団体が更に良いテスト機器を使用することによってテスト効率と有効性の両方を改善する最悪の場合の条件を見つけるために自動化するのに役立つ。
【0031】
測定することができ、観察することができ、かつ、影響が及ぼされることがあるパラメータの範囲は、通信に限定されるものではなく、パワーエレクトロニクス及び電磁気学からユーザーエクスペリエンス及び安全性までの全ての分野をカバーする。これは、電力測定及び磁場強度だけでなくワイヤレス電力製品の安全性能を評価するために使用されるデバイスそれ自体又は異物の温度も含む。
【0032】
そのような機能の組み合わせにより、ワイヤレス給電の製品設計及び研究を改善するために機械学習及び人工知能技術を利用するための扉が開かれる。システムの一部が残りの部分に及ぼす影響を監視することは、ワイヤレス給電製品の設計者及び製造者に大きな価値をもたらす。
【0033】
システムの一つの目的は、ワイヤレス充電システムの様々なパフォーマンスの側面で問題のある領域を検索できる完全に自律的なソリューションを提供することである。重要なのは、システムそれ自体が関連する全ての装置(スレーブテスト装置を含む)を監視するとともに観察結果に基づいてその動作を変更できることである。これにより、DUTへの影響を評価するために多数の条件及びテスト状況を体系的に評価することができる。これを(オペレータの介入を必要とせずに)自動化された方法で行うことによって、著しく高速な応答時間及び著しく高い解像度が可能になる。さらに、システムは、静的な動作条件に加えて動的パターン(過渡応答の調査)を観察及び比較することができる。
【0034】
開示した実施形態の他の態様、目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、添付の従属請求項及び図面から明らかになる。一般的には、特許請求の範囲で使用される全ての用語を、ここに別段の定めがない限り、技術分野におけるその通常の意味に従って解釈すべきである。
【0035】
[要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等]への全ての言及は、特に明記されていない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等の少なくとも一つの例を指すものとして公然と解釈される。ここに開示した方法のステップは、明示的に述べられていない限り、開示した正確な順序で実行する必要はない。
【0036】
本発明の実施形態の目的、特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】単一のモバイル機器へのワイヤレス給電のための1対1のワイヤレス送電装置の概略ブロック図である。
【
図2】複数のモバイル機器へのワイヤレス給電のための1対多のワイヤレス送電装置の概略ブロック図である。
【
図3】
図2に示すような1対多のワイヤレス送電装置のようなワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機を有するワイヤレス給電装置のテストのためのシステムの構成の概略図である。
【
図4】1対多のワイヤレス送電装置のテストのためのシステムの第1の実施形態の詳細なブロック図である。
【
図5】1対多のワイヤレス送電装置のテストのためのシステムの第2の実施形態の詳細なブロック図である。
【
図6】1対多のワイヤレス送電装置のテストのためのシステムの第3の実施形態の詳細なブロック図である。
【
図7】
図4、
図5又は
図6による1対多のワイヤレス送電装置のテストのためのシステムの動作を示す概略フローチャートである。
【
図8】
図4、
図5又は
図6による1対多のワイヤレス送電装置のテストのためのシステムの動作を示す代替の概略フローチャートである。
【
図9】1対多のワイヤレス給電装置をテストするための方法の概略フローチャートである。
【
図10A】例示的な使用事例の概略フローチャートを一緒に構成する二つの部分である。
【
図10B】例示的な使用事例の概略フローチャートを一緒に構成する二つの部分である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、ここに記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面に示す特定の実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面では、同様の数字は同様の要素を指す。ハッチングされたボックスとして示す要素を、通常、それが表示される特定の図面ではオプションとして表示する。
【0039】
図3は、ワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機を有するワイヤレス給電装置20すなわち1対多のワイヤレス給電装置のテストのためのシステム1の全体的な構成を示す。したがって、システム1を、例えば、
図2のモバイル機器10a,10a’,10dのようなワイヤレス受電装置に対する同時(並列)のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機22a~nを有する
図2に示すような1対多のワイヤレス送電装置20のテストに使用してもよい。誤解を避けるために、例えば、
図2のワイヤレス受電装置がテストのためのシステム1の一部でないことに留意すべきである。代わりに、システム1は、通常の(非テスト)動作においてそのようなワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を同時に提供することを意味するワイヤレス電力を提供する能力に関して、複数のワイヤレス送電機を有するワイヤレス給電装置20をテストする。したがって、テストは、例えば、WPCによるQiのようなワイヤレス給電規格に準拠するために、複数のワイヤレス送電機22a~nを有するワイヤレス送電装置20の能力を評価又は検証しようとしてもよい。
【0040】
代替的には、システム1を、例えば、スタンドアロンの1対1のワイヤレス送電装置が互いに近接して動作するときに対応するワイヤレス送電機22a~nを有する複数のスタンドアロンの1対1のワイヤレス送電装置の同様のテストに使用してもよい(別名共存テスト)。
【0041】
システム1の更なる使用は、五つの1対2のワイヤレス送電装置又は二つの1対5のワイヤレス送電装置のような一緒に動作する複数の1対nのワイヤレス送電装置をテストすることである。
【0042】
システム1は、階層構成の二つのタイプの主要なコンポーネント:マスタテスト装置40及び複数のスレーブテスト装置30a~nを有する。スレーブテスト装置30a~nは、テスト中の同時(並列)動作の間にワイヤレス給電装置20のワイヤレス送電機の各々に対してテストの各々を実行するとともにテスト結果をマスタテスト装置40に報告するためにマスタテスト装置40によって制御される。マスタテスト装置40は、全体的な及び/又は詳細なテスト結果を結論付けるときにスレーブテスト装置30a~nから報告されたテスト結果データを使用してもよい。
【0043】
図4は、ワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機22a~nを有する1対多のワイヤレス送電装置20の形態のワイヤレス給電装置のテストのためのシステム1の第1の実施形態の詳細なブロック図である。
図3に関連して既に説明したように、システム1は、マスタテスト装置40及び複数のスレーブテスト装置30a~nを備える。ワイヤレス送電装置20は、例えば、
図2について巣瀬に説明したものと同様であってもよい。
【0044】
マスタテスト装置40は、ローカルデータ通信インターフェース41と、関連するメモリ44を有するマスタコントローラ42と、出力ユニット43と、を有する。
【0045】
スレーブテスト装置30a~nの各々は、マスタテスト装置40とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェース38a~nを有する。
図4の46a~nに示すように、マスタテスト装置40は、ローカルデータ通信インターフェース41を介してスレーブテスト装置30a~nと通信を行うように構成され、スレーブテスト装置30a~nは、この通信のためにローカルデータ通信インターフェース38a~nの各々を使用する。
【0046】
スレーブテスト装置30a~nの各々は、ワイヤレス受電機コイル34a~nを有するワイヤレス受電機32a~nと、ローカルコントローラ37a~nと、適切な負荷36a~nと、を更に有する。負荷36a~nは、ワイヤレス受電機コイル34a~nによって受電した過剰な電力を処理するために設けられてもよい。例えば、適切な寸法の抵抗器を使用してもよい。負荷36a~nは、いくつかの実施形態において制御可能であってもよい。
【0047】
1対多のワイヤレス送電装置20のテストのためのシステム1の動作を示す概略フローチャートである
図7も参照されたい。スレーブテスト装置30a~nの各々のローカルコントローラ37a~nは、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nのいずれかに対してワイヤレス給電テスト手順120a~nを実行するように構成される。二つ以上のスレーブテスト装置30a~nが存在する典型的な状況では、スレーブテスト装置30a~nは、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nの各々に対してワイヤレス給電テスト手順120a~nの各々を実行するように構成される。これは、第1のスレーブテスト装置30aが第1のワイヤレス送電機22aに対してワイヤレス給電テスト手順120aを実行すること、第2のスレーブテスト装置30bが第2のワイヤレス送電機22bに対してワイヤレス給電テスト手順120bを実行すること等を含んでもよい。
【0048】
図7に示すように、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、ワイヤレス送電機22a~nが同時動作する間にワイヤレス送電機22a~nの各々に対してワイヤレス給電テスト手順120a~nの各々を実行するようにスレーブテスト装置30a~nに命令110a~nを行うために通信46a~nによって構成される。マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、スレーブテスト装置30a~nによって実行されるテスト手順120a~nの各々からの結果データ125a~nの受信140a~nを行うとともにマスタテスト装置40の出力ユニット43による出力45の提供170を行うように更に構成される。出力45は、スレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々に少なくとも部分的に基づく。
図5を参照して更に説明するように、マスタテスト装置40は、出力45を生成するときに考慮してもよい追加の結果データを生成するために、それ自体のメインプローブ装置31を有してもよい。
【0049】
ローカルデータ通信インターフェース41及び38a~nは、単純な配線、BSのようなシリアルインターフェース、WiFi(登録商標)のブルートゥース(登録商標)のようなワイヤレスインターフェース及びその組合せを含む任意の適切なタイプのものであってもよい。当然、スレーブ装置30a~nの一つが、例えば、USBによってマスタテスト装置40に接続するのに対して、スレーブ装置30a~nの他の一つが、例えば、ブルートゥース(登録商標)によってマスタテスト装置40に接続するように、互いに異なるスレーブ装置30a~nは、マスタテスト装置40と通信するために互いに異なるタイプのローカルデータ通信インターフェース38a~nを使用してもよい。
【0050】
マスタテスト装置40のマスタコントローラ42と同様に、スレーブテスト装置30a~nのローカルコントローラ37a~nは、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)又は適切なソフトウェア及び/又はファームウェアを備えたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような専用ハードウェアのようなプログラマブル装置を備えてもよい。マスタコントローラ42の関連するメモリ44と同様に、ローカルコントローラ37a~nの関連するメモリを、ROM、RAM、SRAM、DRAM、FLASH、DDR、SDRAA又は他のメモリ技術のようなコンピュータ可読メモリのための任意の周知技術を使用して実装してもよい。メモリを、テスト手順に関連するデータを格納するように構成してもよい。メモリを、本文書で説明するように、テスト手順及び装置40及び30a~nの各々によって実行される他の機能を定義するプログラムコード(ソフトウェア又はファームウェア)を格納するように構成してもよい。
【0051】
マスタテスト装置40の出力装置43は、ローカルユーザインターフェース(例えば、ディスプレイ)、ローカルデータ通信インターフェース、ネットワーク通信インターフェース又はその任意の組合せを含んでもよい又はその一部であってもよい。出力45は、情報の提示、アラーム又は確認のような視覚的及び/又は聴覚的フィードバックの生成又は外部ローカル又はリモート装置への情報の通信を含んでもよい。
【0052】
システム1を、多くの異なる状況で使用してもよい。システム1の一つ以上の実施形態では、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、スレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々の分析150(
図8を参照)を行うとともにテスト中のワイヤレス送電装置20の全体的なテスト結果を表す結合テスト結果を導き出すように更に構成される。結合テスト結果を、出力45として提供してもよい。結合テスト結果は、システム1のユーザ(例えば、オペレータ)にとって有益である。その理由は、結合テスト結果がテスト中の装置、すなわち、ワイヤレス送電装置20の合格又は不合格のテスト状態の全体的な指標を与えるからである。
【0053】
システム1のこれらの実施形態又は他の実施形態では、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、スレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々の分析150を行うとともにテスト中のワイヤレス送電装置20の特定のワイヤレス送電機22aの個別のテスト結果を導き出すように更に構成される。個別のテスト結果を、出力45として提供してもよい。個別のテスト結果は、システム1のユーザに有用な情報として役立つ。その理由は、例えば、ワイヤレス送電機装置20の適合性テストに供されるときに個別のテスト結果がワイヤレス送電装置20の個別のワイヤレス送電機がどの程度うまく機能するかを詳細に示すからである。
【0054】
追加的に又は代替的に、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、スレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々の分析150を行うとともにテスト中のワイヤレス送電機装置20の第1の特定のワイヤレス電力送信機22aをテスト中の第2の特定のワイヤレス送電機22bの個別のテスト結果の原因であると特定するように更に構成される。
【0055】
これを、体系的なパフォーマンス分析のプロセスによって実行してもよい。例えば、一連の実験を実行することができ、全ての反復において、同一のテストが第2の送信機22bに適用され、一方、いくつかのパラメータ変更(例えば、信号レベルの増加)が第1の送信機22aに繰り返し適用される。第2の送信機22bでのテストの結果を第1の送信機22aについて変更されたパラメータと相関させることにより、第1の送信機22aを、第2の送信機22bの個別のテスト結果の原因であると特定することができる。このプロセスは、完全に自動化されているために段々複雑になる可能性があり、そのようなテストシステムなしでは不可能な相関関係の特定を可能にするために、可能な限り多くのスレーブ装置を追加してもよい。
【0056】
したがって、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42を、テスト中のワイヤレス給電装置20の第1の特定のワイヤレス送電機22aのテスト手順120aを、テストパラメータを繰り返し変更して実行するのに対して、テスト中のワイヤレス給電装置20の第2の特定のワイヤレス送電機22bのテスト手順120bを、そのようなテストパラメータを変更することなく実行するように、スレーブテスト装置30a~nによってテスト手順120a~nの各々を繰り返し実行させるように構成してもよい。マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、第1の特定のワイヤレス送電機22aのテスト結果と第2の特定のワイヤレス送電機22bのテスト結果と相関させるためにスレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々の分析150を行うとともに相関から、第1の特定のワイヤレス電力送信機22aを、第2の特定のワイヤレス送電機22bのテスト結果の原因であると特定するように更に構成してもよい。
【0057】
これは、ワイヤレス送電装置20が適合性テストに合格するための誤動作又は失敗の原因を理解するのに役立つためにシステム1のユーザにとって有益である。
【0058】
図8に示すように、いくつかの有益な実施形態は以下を含む。マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、スレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々の分析150を行うように更に構成される。次に、マスタコントローラ42は、取得した結果データ125a~nを考慮して一つ以上のスレーブテスト装置30a~nの(一つ以上の)テスト手順120a~nの修正又は適合の決定160を行う。マスタコントローラ42は、
図8の162で、例えば、次回マスタテスト装置40のマスタコントローラ42がテスト手順120a~nの各々を実行することをスレーブテスト装置30a~nに命令するときにこれらのスレーブテスト装置に改訂された命令を提供することによって、それらの修正又は適合されたテスト手順120a~nを一つ以上のスレーブテスト装置30a~nに実行させる。これにより、適応型又は学習ベースのテストが容易になり、テストの精度が向上し、新しい又は修正した機器又はテストケースへのテストの適応も可能になる。
【0059】
更に別の有益な実施形態は、以下を含む。マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、テスト手順120a~nを実行するスレーブテスト装置30a~nの一つによって検出されるワイヤレス送電機22a~nの一つによるワイヤレス給電に関連して問題状態が生じたときに、ワイヤレス送電装置20によって与えられるユーザフィードバック又は表示をテスト又は測定するように更に構成される。これは、そのような実施形態のために可能になるテストする重要な能力である。
【0060】
ここで、1対多のワイヤレス送電装置20をテストするためのシステム1の第2の実施形態の詳細なブロック図である
図5を参照する。
図4の第1の実施形態との違いは、
図5において、ワイヤレス受電機32a'を有し、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nの一つに対するワイヤレス給電テスト手順120aを実行するためにマスタテスト装置40のマスタコントローラ42によって直接動作制御されるプローブ装置31が設けられている。これにより、マスタテスト装置40が、テストセットアップの集中インテリジェンス及びコントローラとして機能することが容易になる。代替的には、プローブ装置31の負荷36’を、36a”に示すように、マスタテスト装置40又はそのマスタコントローラ42に配置してもよい。
【0061】
本発明で使用されるスレーブテスト装置30a~nの数は、単一のスレーブテスト装置のみが使用される場合を含む任意の数のスレーブテスト装置であってもよいことを想起されたい。しかしながら、有利には、少なくとも二つのスレーブテスト装置が使用され、そのような場合、「スレーブテスト装置の数」という用語は、「複数のスレーブテスト装置」を意味する。しかしながら、特に
図6のようなメインプローブ装置31を有する実施形態では、メインプローブ装置31に加えて単一のスレーブテスト装置30aのみを有することで十分となりうる。
【0062】
図6は、1対多のワイヤレス送電装置20をテストするためのシステム1の第3の実施形態の詳細なブロック図である。マスタテスト装置40のためのネットワーク通信インターフェース46を設ける点で、
図4の第1の実施形態及び
図5の第2の実施形態とは異なる。これのために、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、リモート人工知能、機械学習又はセントラルナレッジ機能60と通信を行って、情報を、リモート人工知能、機械学習又はセントラルナレッジ機能60に送信するように更に構成され、リモート人工知能、機械学習又はセントラルナレッジ機能60は、リモートコンピューティングリソース62を含む。送信される情報は、適用できるときにメインプローブ装置31を含むスレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nを含又はそれらから導き出される。これにより、製品開発及び製品又は一連の製品全体のトラブルシューティングが促進される。その理由は、これにより、まれにしか発生しない及び/又は製品サンプルのごく一部の場合にのみ発生するエラー、異常又は誤動作の検出及び結論付けを容易にすることができるからである。
【0063】
追加的に又は代替的に、マスタテスト装置40のマスタコントローラ42を、リモート人工知能、機械学習又はセントラルナレッジ機能60と通信を行って、リモート人工知能、機械学習又はセントラルナレッジ機能60から情報を受信するように更に構成してもよい。受信した情報は、スレーブテスト装置30a~nのテスト手順120a~nの一つ、一部又は全てを更新する役割を果たす。これにより、システム1のテスト手順を更に改善することができ、特に、世界中で実行されている他のテスト及びテストシステムから取得した知識又は経験から得ることができる。
【0064】
マスタテスト装置40がネットワーク通信インターフェース46を備える
図6のような実施形態では、そのようなネットワーク通信インターフェース46は、上記の出力ユニット43を表すこともできる。したがって、適用できるときにスレーブテスト装置30a~n及びメインプローブ装置31から取得した結果データ125a~nの各々に基づく出力45を、ネットワーク通信インターフェース46を介して出力45をネットワークリソースに通信することによって作成することができる。
【0065】
次に、スレーブテスト装置によって実行可能なテスト手順に関するいくつかの異なる例について説明する。
【0066】
第1の例は、ワイヤレス給電中の通信の品質のテストである。したがって、スレーブテスト装置30a~nのテスト手順120a~nの少なくとも一つは、ワイヤレス給電セッションを制御するための(例えば、Qiに準拠する)通信プロトコルに従って、スレーブテスト装置30a~nとテスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nとの間の誘導通信の品質を表すパラメータをテスト又は測定することを含む。
【0067】
第2の例は磁気強度のテストである。この場合、スレーブテスト装置30a~nのテスト手順120a~nの少なくとも一つは、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nによるワイヤレス給電の間の磁気強度度を表すパラメータをテスト又は測定することを含む。
【0068】
第3の例は、給電の効率のテストである。ここで、スレーブテスト装置30a~nのテスト手順120a~nの少なくとも一つは、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nによるワイヤレス給電の効率を表すパラメータをテスト又は測定することを含む。
【0069】
第4の例は温度のテストである。したがって、スレーブテスト装置30a~nのテスト手順120a~nの少なくとも一つは、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nによるワイヤレス給電の間の温度を表すパラメータをテスト又は測定することを含む。
【0070】
第5の例は、異物を検出する機能のテストである。このために、スレーブテスト装置30a~nのテスト手順120a~nの少なくとも一つは、テスト中のワイヤレス送電装置20のワイヤレス送電機22a~nによるワイヤレス給電の間の異物の存在を検出する能力をテスト又は測定することを含む。
【0071】
第6の例は、ワイヤレス送電機22a~nのいずれかに対して一つ以上のスレーブテスト装置30a~nの物理的位置を動かすとともにそのような物理的な動きの影響を様々な性能指標で検証することである。
【0072】
当業者が理解するように、これらは、本発明によるシステムのスレーブテスト装置によって実行可能なテスト手順の単なる非限定的な例である。
【0073】
図9は、上記のようなワイヤレス送電装置20のような1対多のワイヤレス給電装置のテストのための方法200の概略フローチャートである。方法は、本質的に、システム1及び本文書に記載した実施形態のいずれか又は全てによって実行される機能と同等の手順である。
【0074】
第1のステップ210は、複数のスレーブテスト装置30a~nを設けることを含む。
【0075】
第2のステップ220は、スレーブテスト装置30a~nと通信接続するマスタテスト装置40を設けることを含む。
【0076】
第3のステップ230は、テスト中のワイヤレス給電装置20の複数のワイヤレス送電装置22a~nのうちのいずれかからの受電に適した位置にスレーブテスト装置30a~nの各々を配置することを含む。
【0077】
第4のステップ240は、ワイヤレス送電装置22a~nに対するテスト手順120a~nの各々を実行することをマスタテスト装置40によってスレーブテスト装置30a~nに命令する(
図7及び
図8の110a~nも参照)。
【0078】
第5のステップ250は、スレーブテスト装置30a~nによって実行される各テスト手順120a~nの各々からの結果データ125a~nをマスタテスト装置40によって受信することを含む(
図7及び
図8の140a~nも参照)。
【0079】
次に、第6のステップ260は、スレーブテスト装置30a~nから取得した各結果データ125a~n
の各々に基づく出力45をマスタテスト装置40によって提供することを含む(
図7及び
図8の170も参照)。
【0080】
上記のステップ以外に、方法200は、本文書全体で説明するように、システム1、マスタテスト装置40、スレーブテスト装置30a~n及びメインプローブ装置31の機能に対応する任意の機能ステップを備えてもよい。
【0081】
テスト中のワイヤレス送電装置20(DUT)が三つのデバイス充電器を備える二つの使用事例を以下に説明する。これらの例の特定のテストの概念は次のとおりである。
【0082】
A.DUTが帯域内通信チャネルの最小品質レベルを維持できるか否かを確認する。特に興味深いのは、様々な充電スポットの動作点の変更及び変調深度の変更が通信の品質にどのように影響するかである。
【0083】
B.スレーブテスト装置が動作条件でDUTにストレスをかけている間にDUTが異物検出の観点から安全要件を維持できるか否かを確認する。
【0084】
この状況では、マスタテスト装置40は、必要な機能及び測定が組み込まれた高精度の適合性テスト機器を有する。この場合、DUTの三つの充電スポット全てを同時に有効にするために使用される二つのスレーブテスト装置が存在する。スレーブテスト装置は、データ接続を介した命令を通じてマスタテスト装置40によって制御することができる次の特徴/機能を有する。
1.実際の動作点(整流された電圧及び電流)の報告。
2.受電量の報告。
3.(ワイヤレス電力チャネルでの)着信呼のビット誤り率の提供。すなわち、通信の品質を表す一つ以上のパラメータを測定することができる。
4.負荷抵抗(すなわち、消費する電力量)の制御。
5.目標動作点(整流された電圧及び電流)の調整。
【0085】
マスタテスト装置40は、コンプライアンステスト装置に必要とされる全ての機能及び特徴を実行することができる。マスタテスト装置40は、様々なワイヤレス受電装置の基準設計をエミュレートすることができ、かつ、異なる動作点MOP-1~MOP-nを移動することによってこれを行うことができる。動作点は、受信機のDC電圧とDC電流の組合せと見なすことができる。動作点を変更する一つの方法は、負荷抵抗を変更することである。別の方法は、DC電圧を変更することである。特定の基準受信機が動作できる全ての動作点の集合を、その受信機の動作空間と称する。
【0086】
テスト概念Aを、以下で更に詳しく説明する
図10A~Bに更に示す。テスト概念Bは、マスタテスト装置40がBERを測定せずに代わりにFOD性能を測定するとともにFODテストに関連する設定を調整するように命令することができる点を除いて略同一である。
【0087】
したがって、
図10A~Bは、Qi標準の要件に従って、帯域内通信チャネルの最小品質レベルを維持するためにテスト中のワイヤレス送電装置20(DUT)の能力を評価することに関係する例示的な使用事例Aを示す。この特定の使用事例では、ワイヤレス送電装置20は、三つのワイヤレス送電機22a~nを有する。このために、システム1は、ワイヤレス送電装置20及びその三つのワイヤレス送電機22a~nのテストのために(スレーブテスト装置1及び2と称する)二つのスレーブテスト装置30a~n及び一つのメインプローブ装置31を使用する。
【0088】
310に示すように、オペレータ(すなわち、ユーザ)は、スレーブテスト装置1及び2をマスタテスト装置40に接続する。マスタテスト装置40は、装置又は異物がDUTに配置されていないことを確認するように、320でオペレータに通知する。
【0089】
330で、マスタテスト装置40は、(DUTに配置された後の)動作点MOP-1、AOP-1及びAOP-2の各々で給電段階に進むようにメインプローブ装置、スレーブテスト装置1及びスレーブテスト装置2を構成する。
【0090】
次に、マスタテスト装置40は、340で、メインプローブ装置をDUTの充電面に配置するとともに給電に進むまで待機するようにオペレータに命令する。さらに、350において、マスタテスト装置40は、DUTの充電面にスレーブテスト装置1及び2を配置するとともに給電に進むまでスレーブテスト装置1及び2がプロトコルに進むようにオペレータに指示する。
【0091】
360に示すように、マスタテスト装置40は、メインプローブ装置の通信チャネルのビット誤り率(BER)を継続的に測定及び報告するようにメインプローブ装置を設定する。
【0092】
次に、370で、マスタテスト装置40は、エミュレートしている基準受信機に対して定義されているように動作空間全体を通して動作点MOP-1を調整するようにメインプローブ装置に指示する。
【0093】
380において、スレーブテスト装置1に更に動作点があるか否かをチェックする。動作点がある場合、390において、マスタテスト装置40は、次の動作点AOP-nに制御するようにスレーブテスト装置1に指示する。動作点がない場合、400において、スレーブテスト装置2に更に動作点があるか否かの別のチェックを行う。更に動作点がある場合、410において、マスタテスト装置40は、次の動作点AOP-nに制御するようにスレーブテスト装置2に指示する。
【0094】
スレーブテスト装置1及び2の全ての動作点が完了すると、420において、測定を停止し、DUTの全ての動作範囲に亘るBERを調べることによって結果を分析する。
【0095】
読者がすでに理解しているように、本発明は、マスタテスト装置及びスレーブテスト装置の各々の形態の追加の発明の態様も包含する。マスタテスト装置40は、ワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機22a~nを有するタイプのワイヤレス送電装置20のテストのためのものであり、ローカルデータ通信インターフェース41と、マスタコントローラ42と、出力ユニット43と、を備える。
【0096】
マスタテスト装置40は、ローカルデータ通信インターフェース41を介して複数のスレーブテスト装置30a~nと通信するように構成される。マスタテスト装置40のマスタコントローラ42は、テスト中に同時に動作する間にワイヤレス給電装置20のワイヤレス送電機22a~nの各々に対してそれぞれのテスト手順120a~nを実行する命令をスレーブテスト装置30a~nに対して行い(110a~n)、スレーブテスト装置30a~nによって実行されたテスト手順120a~nの各々から結果データ125a~nを受信し(140a~n)、スレーブテスト装置30a~nから取得した結果データ125a~nの各々に基づく出力45をマスタテスト装置40の出力ユニット43によって提供する(170)ように構成される。
【0097】
スレーブテスト装置30bも、ワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機22a~nを有するタイプのワイヤレス送電装置20のテストのためのものである。スレーブテスト装置30bは、マスタテスト装置40とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェース38bと、ワイヤレス受電機32bと、テスト中のワイヤレス給電装置20のワイヤレス送電機22a~nのいずれかに関連するワイヤレス給電テスト手順120bを実行するように構成されたローカルコントローラ37bと、を備える。
【0098】
スレーブテスト装置30bは、そのローカルデータ通信インターフェース38bを介してマスタテスト装置40と通信するように構成される。スレーブテスト装置30bのコントローラ37bは、マスタテスト装置40から命令110bを受信し、ワイヤレス送電機22a~nの一つに対してワイヤレス給電テスト手順120bを実行し、ワイヤレス給電テスト手順120bの実行から結果データ125bを生成し、結果データ125bをマスタテスト装置40に送信する130bように構成される。
【0099】
当然、マスタテスト装置40及びスレーブテスト装置30bを、上記のようにシステム1に含めることができる。
【0100】
本発明を、主に、いくつかの実施形態を参照して上述した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記に開示されたもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内で等しく可能である。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのためのシステム(1)であって、
ローカルデータ通信インターフェース(41)と、
マスタコントローラ(42)と、
出力ユニット(43)と、
を有するマスタテスト装置(40)と、
複数のスレーブテスト装置(30a~n)であって、スレーブテスト装置の各々が、
前記マスタテスト装置(40)とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェース(38a~n)と、
ワイヤレス受電機(32a~n)と、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)のいずれかに対してワイヤレス給電テスト手順(120a~n)を実行するように構成されたローカルコントローラ(37a~n)と、
を有する、複数のスレーブテスト装置(30a~n)と、
を備え、
前記マスタテスト装置(40)は、前記マスタテスト装置(40)のローカルデータ通信インターフェース(41)を介して前記スレーブテスト装置(30a~n)と通信するように構成され、
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
テスト中に同時に動作する間に前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々に対してテスト手順(120a~n)の各々を実行する命令を前記スレーブテスト装置(30a~n)に対して行い(110a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)によって実行されたテスト手順(120a~n)の各々から結果データ(125a~n)を受信し(140a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々に基づく出力(45)を前記マスタテスト装置(40)の前記出力ユニット(43)によって提供する(170)ように構成された、システム(1)。
[態様2]
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の全体的なテスト結果を表す結合テスト結果を導き出すように更に構成された、態様1に記載のシステム(1)。
[態様3]
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の特定のワイヤレス送電機(22a)の個別のテスト結果を導き出すように更に構成された、態様1又は2に記載のシステム(1)。
[態様4]
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の第1の特定のワイヤレス送電機(22a)のテスト手順(120a)を、テストパラメータを繰り返し変更して実行するのに対して、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の第2の特定のワイヤレス送電機(22b)のテスト手順(120b)を、そのようなテストパラメータを変更することなく実行するように、前記スレーブテスト装置(30a~n)によってテスト手順(120a~n)の各々を繰り返し実行させ、
前記第1の特定のワイヤレス送電機(22a)のテスト結果と前記第2の特定のワイヤレス送電機(22b)のテスト結果と相関させるために前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
前記相関から、前記第1の特定のワイヤレス電力送信機(22a)を、前記第2の特定のワイヤレス送電機(22b)の前記テスト結果の原因であると特定するように更に構成された、態様1~3のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様5]
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を分析し(150)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)の一つ以上のテスト手順(120a~n)の修正を決定し(160)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)の一つ以上によって、修正されたテスト手順(120a~n)を実行させるように更に構成された、態様1~4のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様6]
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、テスト手順(120a~n)を実行する前記スレーブテスト装置(30a~n)の一つによって検出される前記ワイヤレス送電機(22a~n)の一つによるワイヤレス給電に関連して問題状態が生じたときに、前記ワイヤレス給電装置(20)によって与えられるユーザフィードバック又は表示をテスト又は測定するように更に構成された、態様1~5のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様7]
ワイヤレス受電機(32a')を有し、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の一つに対するワイヤレス給電テスト手順(120a)を実行するために前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)によって直接動作制御されるプローブ装置(31)を更に備える、態様1~6のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様8]
前記マスタテスト装置(40)は、ネットワーク通信インターフェース(46)を更に備え、前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、リモート人工知能、機械学習又はセントラルナレッジ機能(60)と通信を行って、
a)前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々を含む又はそれらから導き出される情報を、前記リモート人工知能、前記機械学習又は前記セントラルナレッジ機能(60)に送信することと、
b)前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の一つ、一部又は全てを更新する役割を果たす情報を、前記リモート人工知能、前記機械学習又は前記セントラルナレッジ機能(60)から受信することとの一方又は両方を行うように更に構成された、態様1~7のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様9]
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、ワイヤレス給電セッションを制御するための通信プロトコルに従って、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記スレーブテスト装置(30a~n)と前記ワイヤレス送電機(22a~n)との間の誘導通信の品質を表すパラメータのテスト及び測定を含む、態様1~8のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様10]
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の間の磁気強度を表すパラメータのテスト及び測定を含む、態様1~9のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様11]
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の効率を表すパラメータのテスト及び測定を含む、態様1~10のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様12]
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の間の温度を表すパラメータのテスト及び測定を含む、態様1~11のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様13]
前記スレーブテスト装置(30a~n)のテスト手順(120a~n)の少なくとも一つが、テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)によるワイヤレス給電の間の異物の存在を検出する能力のテスト及び測定を含む、態様1~12のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[態様14]
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのための方法(200)であって、
複数のスレーブテスト装置(30a~n)を設けること(210)と、
前記スレーブテスト装置(30a~n)と通信接続するマスタテスト装置(40)を設けること(220)と、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々からの受電に適した位置に前記スレーブテスト装置(30a~n)の各々を配置すること(230)と、
前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々が同時に動作する間にテスト手順(120a~n)の各々を実行することを前記マスタテスト装置(40)によって前記スレーブテスト装置(30a~n)に命令すること(240;110a~n)と、
前記スレーブテスト装置(30a~n)によって実行されるテスト手順(120a~n)の各々からの結果データ(125a~n)を前記マスタテスト装置(40)によって受信すること(250;140a~n)と、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々に基づく出力(45)を前記マスタテスト装置(40)によって提供すること(260;170)と、
を備える方法(200)。
[態様15]
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのためのマスタテスト装置(40)であって、
ローカルデータ通信インターフェース(41)と、
マスタコントローラ(42)と、
出力ユニット(43)と、
を備え、
前記マスタテスト装置(40)は、ローカルデータ通信インターフェース(41)を介して複数のスレーブテスト装置(30a~n)と通信するように構成され、
前記マスタテスト装置(40)の前記マスタコントローラ(42)は、
テスト中に同時に動作する間に前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)の各々に対してそれぞれのテスト手順(120a~n)を実行する命令を前記スレーブテスト装置(30a~n)に対して行い(110a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)によって実行されたテスト手順(120a~n)の各々から結果データ(125a~n)を受信し(140a~n)、
前記スレーブテスト装置(30a~n)から取得した前記結果データ(125a~n)の各々に基づく出力(45)を前記マスタテスト装置(40)の前記出力ユニット(43)によって提供する(170)ように構成された、マスタテスト装置(40)。
[態様16]
ワイヤレス受電装置(10a,10a',10d)の各々への同時のワイヤレス給電に適合した複数のワイヤレス送電機(22a~n)を備えるワイヤレス給電装置(20)のテストのためのスレーブテスト装置(30b)であって、
マスタテスト装置(40)とのデータ通信に適合したローカルデータ通信インターフェース(38b)と、
ワイヤレス受電機(32b)と、
テスト中の前記ワイヤレス給電装置(20)の前記ワイヤレス送電機(22a~n)のいずれかに関連するワイヤレス給電テスト手順(120b)を実行するように構成されたローカルコントローラ(37b)と、
を備え、
前記スレーブテスト装置(30b)は、前記スレーブテスト装置(30b)のローカルデータ通信インターフェース(38b)を介して前記マスタテスト装置(40)と通信するように構成され、
前記スレーブテスト装置(30b)の前記ローカルコントローラ(37b)は、
前記マスタテスト装置(40)から命令(110b)を受信し、
前記ワイヤレス送電機(22a~n)の一つに対してワイヤレス給電テスト手順(120b)を実行し、
前記ワイヤレス給電テスト手順(120b)の実行から結果データ(125b)を生成し、
前記結果データ(125b)を前記マスタテスト装置(40)に送信する(130b)ように構成された、スレーブテスト装置(30b)。