(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】多層共押出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B29C 48/31 20190101AFI20230724BHJP
B29C 48/21 20190101ALI20230724BHJP
B29C 48/255 20190101ALI20230724BHJP
B29C 48/365 20190101ALI20230724BHJP
B29C 48/385 20190101ALI20230724BHJP
B29C 48/49 20190101ALI20230724BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
B29C48/31
B29C48/21
B29C48/255
B29C48/365
B29C48/385
B29C48/49
B29K23:00
(21)【出願番号】P 2022522967
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 IB2020059655
(87)【国際公開番号】W WO2021074819
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】102019000019013
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509238432
【氏名又は名称】サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ プッチ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ バルディセリ
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-36427(JP,A)
【文献】特開平2-18024(JP,A)
【文献】特開平2-45121(JP,A)
【文献】特開平2-286217(JP,A)
【文献】特開平8-112848(JP,A)
【文献】特開2015-80933(JP,A)
【文献】特開2018-47700(JP,A)
【文献】国際公開第2016/43117(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品に対する複数の送込部(11,12,13,14,15)と、
前記送込部の下流側に配置され、それぞれの送達ダクト(110,120,130,140,150)により前記送込部と連通して、前記製品の流れが内部接合空間(16,17)に収束することを可能にする、少なくとも1つの前記内部接合空間(16,17)と、
前記内部接合空間(16,17)の下流側に配置される、最終多層製品に対する送出部(18)と、を備える共押出ヘッド(1)であって、
前記共押出ヘッド(1)には、製品の第1の流れを受け入れるように設けられる中央送達ダクト(110)と、製品の第2の流れ及び製品の第3の流れをそれぞれ受け入れるように設けられる少なくとも2つの横方向送達ダクト(120,130
,140,150)と、があり、
前記共押出ヘッド(1)は、調整可能な狭窄手段(31,32)と、調整可能な厚さ変動手段(41,42,43,44)と、を備え、
前記調整可能な狭窄手段(31,32)は、少なくとも前記中央送達ダクト(110)において作用し、前記中央送達ダクトの関連する開口部を変動させるのに適しており、前記
内部接合空間(16)における前記第1の流れ、第2の流れ及び第3の流れの接合によって画定される複合二次流れに対する前記第1の流れの相対位置の調整を可能にし、
前記調整可能な厚さ変動手段(41,42,43,44)は、前記横方向送達ダクト(120,130,140,150)において作用するのに適しており、また製品の第2の流れ及び/又は第3の流
れの前記厚さを調整するのに適しており、
前記変動手段は、少なくともそれぞれの成形要素(41,42,43,44)を備え、前記成形要素の各々には、関連するダクトに選択的に配置可能な寸法の異なる複数の作動部材が設けられ、
前記共押出ヘッドは、前記狭窄手段の遮断要素(311,312,321,322)が、前記厚さ変動手段の前記成形要素(41,42,43,44)の前記作動部材が配置さ
れる同一平面に対して横断方向にある、同一平面内に配置さ
れることを特徴とする、ヘッド(1)。
【請求項2】
前記狭窄手段が少なくとも2つの対向する遮断要素(311,312,321,322)を含み、前記遮断要素が独立して移動可能である、請求項1に記載のヘッド(1)。
【請求項3】
各遮断要素が、前記ダクトの外側に配置される後退位置と、前記ダクトを貫通する複数の前進位置との間で、それぞれのダクト(110,171)内を移動するのに適した成形ヘッド(311,312,321,322)を有する、請求項2に記載のヘッド(1)。
【請求項4】
前記遮断要素の前記成形ヘッド(311,312,321,322)には、前記関連するダクト(110,171)内に面し、前記ダクトの中央軸線に対して角度が付けられた壁が設けられ、下流方向に向かうテーパを画定する、請求項3に記載のヘッド(1)。
【請求項5】
前記
内部接合空間(16,17)と前記送出部(18)との間に画定される少なくとも1つの引抜ダクト(181)を備え、
前記中央送達ダクト(110)と、前記
内部接合空間(16,17)と、前記引抜ダクト(181)と、が整列され、前記送出部(18)に向かう中央連続経路を画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッド(1)。
【請求項6】
前記中央送達ダクト(110
)及び4つの横方向送達ダクト(120,130,140,150)にそれぞれ入るそれぞれの流体製品の受け取りに対して設けられる、1つが中央送込部(11)であり、さらに4つの横方向送込部(12,13,14,15)である少なくとも5つの送込部(11,12,13,14,15)を備え、
接合ダクト(171)を介して連通する第1の内部
接合空間及び第2の内部
接合空間(16,17)をさらに備えるヘッド(1)であって、
前記
中央送達ダクト(110)の両側にある第2の横方向送達ダクト及び第3の横方向送達ダクト(120,130)は第1の内部
接合空間(16)に開口し、
前記中央
送達ダクト(110)の両側にある第4の横方向送達ダクト及び第5の横方向送達ダクト(140,150)は第2の
内部接合空間(17)に開口し、
第1の狭窄手段及び第2の狭窄手段(31,32)は、前記第1の
内部接合空間(16)の上流側にある前記中央送達ダクト(110)及び前記第2の
内部接合空間(17)の上流側にある前記接合ダクト(171)にそれぞれ作用するようにさらに設けられ、
前記第2の狭窄手段(32)は、前記接合ダクト(171)の前記開口部を変動させるのに適しており、前記第2の
内部接合空間(17)に画定される、第4の送達ダクト及び第5の送達ダクト(140,150)をそれぞれ通過する製品の第4の流れ及び第5の流れを含む接合複合流れにおける前記複合二次流れの前記相対位置の調整を可能にする、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘッド(1)。
【請求項7】
前記狭窄手段(31,32)が、前記製品の流れの前方移動方向にテーパが設けられるそれぞれのダクト(110,171)の延伸部に作用する、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッド(1)。
【請求項8】
前記接合ダクト(171)及び前記第2の
内部接合空間(17)が、前記中央送達ダクト(110)と、前記第1の
内部接合空間(16)と、引抜ダクト(181)と、に整列され、
前記引抜ダクトが前記第2の
内部接合空間(17)の下流側に配置され、
同じ中央連続経路が画定される、請求項6に記載のヘッド(1)。
【請求項9】
前記送出部(18)が長方形状である、請求項1~8のいずれか一項に記載のヘッド(1)。
【請求項10】
前記
内部接合空間(16,17)は、断面が長方形状であり、
前記狭窄手段(31,32)は、前記断面の長手方向ラインに平行なラインに沿って作用し、
それによって、自己の狭窄手段によって影響される前記流れの前記断面の短辺からの距離を調整する、請求項1~9のいずれか一項に記載のヘッド(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のヘッド(1)を備え、
前記送込部(11,12,13,14,15)に接続される複数の供給ライン(21,22,23,24)をさらに備え、
前記供給ラインが各々、押出流体製品を供給するのに適した押出機(211,221,231,241)と、押出製品の流れを前記送込部(11,12,13,14,15)の少なくとも1つに供給し、流量が調整可能なポンプ(212,222,232,242)と、を備える、共押出プラント。
【請求項12】
請求項6
又は8に記載のヘッド(1)を備え、
供給ライン(24)の1つが前記中央送達ダクト(110)に接続され、
2つの別個のライン(211,221)が前記第4の送達ダクト及び第5の送達ダクト(140,150)に接続されて、
前記第4の流れ及び第5の流れの流量を変動させ、前記第4の流れ及び第5の流れに対して接合される前記第1の流れ、第2の流れ及び第3の流れの前記相対位置を変化させることを可能にする、プラント。
【請求項13】
押出製品の少なくとも第1の流れ、第2の流れ及び第3の流れを利用可能にするステップと、
前記第1の流れが前記第2の流れ及び前記第3の流れの間に介在するように3つの流れを接合し、それによって断面が長方形の複合二次流れを得るステップと、
前記複合二次流れの断面の少なくとも長手方向ラインに沿って、前記第2の流れ及び/又は前記第3の流れに対する前記第1の流れの位置を調整するステップと、
製品の第
4の流れ及び第
5の流れを提供するステップと、
前記第1の流れ、前記第2の流れ及び前記第3の流れを接合させて得られる前記複合二次流れを前記第
4の流れ及び前記第
5の流れに接合して、前記複合二次流れが前記第
4の流れ及び前記第
5の流れの間に介在するようにし、それによって複合接合流れを得るステップと、
前記複合接合流れの断面の少なくとも長手方向ラインに沿って、前記第
4の流れ及び/又は第
5の流れに対する前記二次流れの位置を調整するステップと、
を含む、共押出して多層製品を製造する方法。
【請求項14】
前記第1の流れの前記位置を調整するステップは、前記第2の流れ及び第3の流れと接合するステップの前に、前記第1の流れの断面を調整することによって行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記二次流れの前記位置を調整するステップは、前記第4の流れ及び第5の流れと接合するステップの前に、前記二次流れの断面を調整することによって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の流れが酸素不透過材料からなり、
前記第2の流れ及び前記第3の流れが接着材料からなり、
前記第4の流れ及び第5の流れがポリプロピレンからなり、
前記第1の流れの相対位置が前記複合二次流れに対して調整され、前記複合二次流れの相対位置が前記複合接合流れに対して調整される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層共押出ヘッドに関する。
【0002】
特に、本発明は、限定されるものではないが、例えば食品の包装に使用することができる共押出材料を製造するためにとりわけ設計されている。当該共押出材料はとりわけ「バリア層」、すなわち酸素不透過層を含む。
【背景技術】
【0003】
プラスチック製の多層フィルムを製造する従来技術の共押出ヘッドがある。
【0004】
より詳細には、特に、例えば単回投用量のコーヒーカプセルのような食品を包装する分野において、従来技術は、ポリプロピレン又は別のポリオレフィンの外層と、適切な接着層によって前の層に接合された中央バリア層と、を含むフィルムの共押出による製造を教示している。
【0005】
バリア層は、エチレンビニルアルコール(「EVOH」)又は異なるタイプの酸素不透過ポリマーとすることができる。
【0006】
用途の種類によっては、バリア層は、フィルムの横断方向の延伸方向の1つ以上に沿ってフィルム内の中央から外れていることが望ましい場合があり、いずれにしても、より一般的には、中央決めが適切に調整されることが望ましい。
【0007】
現在、市場では、食品分野における多くの応用から始まり、農業、生物医学又は包装分野などに至るまでの、多層フィルムが有し得る様々な用途に対して、多層フィルムを分割して、上記の必要性を正確かつ汎用的な方法で満たすことを可能にする共押出ヘッドを提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の基礎となる技術的目的は、従来技術の欠点を克服することができる共押出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に従って製造される共押出ヘッドを使用することで達成され、請求項16に従って作動する共押出方法を使用することで達成される。
【0010】
本発明による共押出ヘッドは、流体製品に対する複数の送込部と、当該送込部の下流側に位置し、それぞれの送達ダクトによって送込部と連通して、当該製品の流れが内部接合空間に流れることを可能にする内部接合空間と、を備える。
【0011】
さらに、本発明によるヘッドは、内部接合空間の下流側にある送出部と、製品の第1の流れを受け入れるように設けられる中央送達ダクトと、製品の第2の流れ及び製品の第3の流れをそれぞれ受け入れるように設けられる2つ以上の横方向送達ダクトと、を含む。
【0012】
次いで、ヘッドは調整可能な狭窄手段を備え、調整可能な狭窄手段は、少なくとも中央送達ダクトに作用し、それぞれの開口部を変動させるように設計され、内部接合空間内に形成される複合流れに対する第1の流れの相対位置の調整を可能にする。
【0013】
第1の流れのダクトの開口部の構成は、第1の流れが内部接合空間において会う別の2つの流れと接合する前に調整可能な態様で変化させることができ、したがって第1の流れと他の2つの流れとの間の相対位置が、それらによって形成される二次流れ内において決定するため、本発明により、1つ以上の内層の相対位置をユーザの所望に応じて確立した最終的な多層製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による共押出ヘッドを使用するプラントの概略図である。
【
図2】本発明による共押出ヘッドの垂直面における長手方向断面図である。
【
図3】
図3の長手方向断面に垂直な垂直面におけるヘッドの長手方向断面図である。
【
図4】ユーザが行うことができる様々な調整による、本発明により得ることができる多層製品の横断面の概略図である。
【
図5】ユーザが行うことができる様々な調整による、本発明により得ることができる多層製品の横断面の概略図である。
【
図6】ユーザが行うことができる様々な調整による、本発明により得ることができる多層製品の横断面の概略図である。
【
図7】ユーザが行うことができる様々な調整による、本発明により得ることができる多層製品の横断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記で使用した意味でのバリア層を備えるリボン状多層製品の場合、本発明は、リボンの長方形断面の短辺からどれだけ近く又はどれだけ遠くなければならないかを正確に確立することができるとともに、添付の図面に示すように、本発明による共押出ヘッドの好ましい非限定的な実施形態の以下の記述で詳細に説明するいくつかの有利な結果を提供するものである。
【0016】
添付の図面を参照すると、符号1は、本発明に従って製造される共押出ヘッドを示す。
【0017】
本発明によるヘッド1は、特に、
図1に概略的に示す共押出システム10で使用されるように設計されている。共押出システム10は、ヘッド1の送込部11、12、13、14、15(
図2に示す)に接続される複数の供給ライン21、22、23、24を含む。ラインは各々、押出流体製品を提供するように設計される押出機211、221、231、241と、押出製品の流れを送出部11、12、13、14、15の1つ以上に供給し、流量が調整可能なポンプ212、222、232、242と、を備える。
【0018】
より具体的には、各ライン21、22、23、24は、上述のポンプ212、222、232、242の上流側に押出機211、221、231、241を含むことができ、その下流側で静的ミキサー213、223、233、243がヘッド1の1つ以上の送込部11、12、13、14、15に接続されている。
【0019】
図示の例では、共押出ヘッド1は、4つの供給ライン21、22、23、24に接続される5つの送込部11、12、13、14、15を有する。
【0020】
その好ましい用途では、本発明は、ヘッド1の中央送込部11に接続され、エチレンビニルアルコールのような酸素不透過性の押出材料の流れを供給する第1のライン24と、分岐して2つの横方向送込部12、13に接続され、接着材料を供給する第2のライン24と、次いで第4の横方向送込部14及び第5の横方向送込部25に接続され、ポリプロピレン又は他の同様のポリマーのようなプラスチック材料を供給する第3のライン21及び第4のライン22と、を備える。
【0021】
基本的に、本発明は、限定されるものではないが、特に断面が長方形である(
図4~7においてTとラベル付けされている)多層製品、すなわち、いわゆる「リボン」を製造するように設計されている。リボンは、酸素バリアEを有する中央層と、プロピレンPの1つ以上の外層と、バリア層E及びポリプロピレンPの間に介在し、これらの相互接着を可能にする接着剤Cの1つ以上の内層と、を含む。
【0022】
本発明によるヘッド1から出る連続多層製品は、例えば使い捨てコーヒーカプセルを製造するために、又は食品産業等の他の用途のために分割されてもよい。
【0023】
以下の記述でより明らかになるように、上述の好ましい用途の場合、本発明は、有利には、バリア層Eの横断方向位置をリボン内でその横断方向区画Tの長手方向に沿って調整すること、すなわちその区画自体の短辺L1に対する距離a、bの調整を可能にする。
【0024】
なお、いくつかの好ましいが拘束されない構成を使用して、本発明はまた、上記に示した区画Tの長手方向Kに直交する方向における、バリア層Eの位置の調整、及び層の厚さの調整も可能にする。
【0025】
既に部分的に述べたように、
図1、2及び3に示す本発明による共押出ヘッドは、押出流体製品に対する複数の送出部11、12、13、14、15と、送出部11、12、13、14、15の下流側に配置され、それぞれの別個の送達ダクト110、120、130、140、150を使用してそれらと連通し、当該製品の流れがそこに収束することを可能にする、製品の流れの少なくとも1つの内部接合空間16、17と、内部接合空間16、17の下流側に位置し、最終多層製品に対する送出部18と、を備える。
【0026】
好ましくは、ヘッド1は金属製であり、2つの鏡面半体からなる本体100によって画定されてもよく、その接合部は、押出材料の流れが流れる内部ダクトを画定する。
【0027】
本体100はまた、以下に記載される調整手段を収容するダクトへのアクセス部を有する。
【0028】
ヘッド1には、中央送達ダクト110と、複数の横方向送達ダクト120、130、140、150と、があり、例えば、中央送達ダクト110に対向する第2の横方向ダクト120及び第3の横方向ダクト130と、再び中央送達ダクト110に対向し、他のダクトに対してより外側に位置する第4の横方向送達ダクト140及び第5の横方向送達ダクト150と、がある。
【0029】
第1の送込部11でアクセスされる中央送達ダクト110はバリア材料の流れを運び、第2のダクト及び第3のダクト120、130は第2の送込部12及び第3の送込部13から受け取った接着剤を運び、第4のダクト140及び第5のダクト150は、第4の送込部14及び第5の送込部15を介してアクセスされるポリプロピレンを運ぶ。
【0030】
ヘッド1は、好ましくは送込部11、12、13、14、15を頂部に、送出部18を底部に配向され、したがって、材料の流れの供給方向は下向きである。
【0031】
中央送達ダクト110、第2のダクト120及び第3のダクト130は第1の内部接合空間16に合流し、第1の内部接合空間16は接合ダクト171によって第2の内部接合空間17と連通し、また、第2の内部接合空間17と送出部18との間には引抜ダクト181がある。
【0032】
送出部18は四角形であってもよく、好ましくは長方形であり、断面が長方形であるリボン状多層構造の最終製品を製造する。
【0033】
また、上述したヘッド1内の様々なダクトは、少なくともその長さの主要部分にわたって、断面が略長方形であってもよい。
【0034】
好ましくは、中央送達ダクト110と、第1の内部接合空間16と、接合ダクト171と、引抜ダクト181と、送出部18と、は整列され、連続した中央流体動的経路を画定する。
【0035】
さらに、全てのダクトは、共押出ヘッド1の同じ中央平面上に画定されてもよい。
【0036】
本発明の重要な態様によれば、ヘッド1は、調整可能な狭窄手段31、32を備える。調整可能な狭窄手段31、32は、少なくとも中央送達ダクト110に作用し、それぞれの開口部を変動させるように設計されて、第1の内部接合空間16、第2の内部接合空間17において第1の流れ、第2の流れ、第3の流れを接合させることによって生成される複合二次流れに対する第1の流れの相対位置の調整を可能にする。
【0037】
基本的に、狭窄手段31、32は、ユーザによって調整可能に制御され、中央送達ダクト110の開口部の形状及び寸法、すなわちその横断面の形状及び寸法を変動させることができ、好ましくは第1の内部接合空間16の出口の直前に位置する、中央送達ダクト110の断面111に作用する。
【0038】
この調整により、好ましくはバリア材料を含む、第1の流れが、ヘッド1の本体に形成されるキャビティに画定される第1の内部接合空間16に入る位置が変化する。
【0039】
さらに詳細には、狭窄手段31が動作する中央送達ダクト110の断面又は延伸部111には、実際には垂直方向である第1の流れの供給方向において、テーパ、すなわち横断方向寸法の狭窄が設けられている。テーパは、中央送達ダクトの長方形断面の長さ方向において、第1の内部接合空間16の長方形断面の長さ方向に平行に画定される。
【0040】
狭窄手段31は、第1の内部接合空間16の長方形断面の長さ(又は長手方向中央軸線)に平行である第1の流れの供給方向に対して横断方向に作用するので、第1の内部接合空間16の断面の短辺に対する第1の流れの位置を調整することができる。
【0041】
第1の内部接合空間16の寸法は、第1の流れによって占有されない空間が第2の流れ及び第3の流れによって占有されるように選択される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、狭窄手段31、32は、中央送達ダクト110の横断面を変化させるように独立して移動可能な、少なくとも2つの対向する、すなわち互いに対向する遮断要素311、312、321、322を含む。
【0043】
遮断要素311、312、321、322は、中央送達ダクト110の上記区画111の長手方向に沿って直線移動で案内され、例えば、それぞれのネジ313、314、323、324によって動作可能である。ネジのヘッドは外部からアクセス可能である。
【0044】
好ましくは、各遮断要素は、ダクト110の外側に配置される後退位置と、ダクトを貫通して開口部を変更する複数の前進位置との間で中央送達ダクト110内を移動するように設計される成形ヘッド311、312、321、322を有する。
【0045】
さらに詳細には、遮断要素の成形ヘッド311、312、321、322には、それが作用するダクトの内側に面する壁を備え付けてもよく、この壁は、ダクト自体の中央軸線、すなわち流れを供給する垂直軸線に対して傾斜しており、下向きの又はいずれの場合も供給方向と同じ方向のテーパを画定する。
【0046】
上述したように、第1の内部接合空間16及び第2の内部接合空間17は、接合ダクト171を介して互いに連通しており、この接合ダクトにはバリア層及び接着剤層によって形成される二次流れが流れ、第4の送達ダクト14及び第5の送達ダクト15も第2の内部接合空間17に通じている。
【0047】
また、第2の内部接合空間17の上流側の接合ダクト171に作用する、好ましくは上述の第1の手段31に等しい、第2の狭窄手段32がある。
【0048】
基本的に、第1の狭窄手段31、それらが作用する中央送達ダクト110の断面111、及び第1の内部接合空間16の、形状及び機能に関して述べたことは、第2の狭窄手段31、それらが作用する接合ダクト171のそれぞれの断面(接合ダクト171と実質的に一致しても一致しなくてもよい)及び第2の内部接合空間17に同様に適用され得る。ただし、第2の狭窄手段32は、好ましくはポリプロピレンからなる、製品の第4の流れ及び第5の流れと共に第2の内部接合空間17に形成される、接合複合流れ内の、上記の二次流れの相対位置の調整を可能にする。
【0049】
第2の狭窄手段32のために、内部3層コア、接着剤-バリア-接着剤と、リボンの断面Tの短辺L1との間の距離c、dを決定することができる。
【0050】
さらに、本発明によるヘッド1は、調整可能な厚さを変動させる手段41、42、43、44を含むことができる。調整可能な厚さ変動手段は、横方向ダクト120、130、140、150に作用するように設計され、製品の第2の流れ及び/又は第3の流れ及び/又は第4の流れ及び/又は第5の流れの厚さを調整するように設計される。
【0051】
より正確には、変動手段は、成形要素41、42、43、44を備えていてもよい。成形要素は、個別に動作可能であり、それぞれの横方向ダクトに選択的に配置できる寸法の異なる複数の作動部材を備え付けることができる。
【0052】
例えば成形要素は、角度間隔をおいて配置され、寸法の異なる複数の横方向表面が設けられた成形ピン41、42、43、44からなり、ピンを回転させることによって選択することができる。
【0053】
好ましくは、上述の狭窄手段31、32の遮断要素311、312、321、322は、厚さ変動手段の成形要素41、42、43、44の作動部材が配置され作用する平面に対して横断方向にある、平面内に配置され作用する。
【0054】
このため、上記表面の寸法、又は厚さ変動手段41、42、43、44の他の作動部材を変動させることで、接着剤又はポリプロピレンの流れを運ぶ横方向ダクト120、130、140、150の横断方向寸法が変動し、それによってリボンの長方形断面Tの幅Z方向の厚さを決定する。
【0055】
以下、本発明の動作について記載する。
【0056】
多層製品の具体的な用途に応じて、オペレータは、狭窄手段31、32の4つのネジ313、314、323、324を調整し(又はこれらの手段を自動的に調整する命令を実行し)、厚さ変動手段を調整する成形ピン41、42、43、44を適切に配置し、特にポリプロピレンを供給するライン21、22のポンプ212、222の流量を参照して、ポンプの流量を選択する。
【0057】
その後プラントは、多層製品を製造するために、押出材料の流れをヘッド1の送込部11、12、13、14、15に送り始める。
【0058】
バリア層の流れは中央送達ダクト110を通って落下し、第1の調整手段31に接触する。ネジ313、314がどのように配置されるかに基づいて、遮断要素311、312は、中央送達ダクト110の開口部の具体的な構成を画定する。これにより、バリア材料の第1の流れが第1の内部接合空間16に入る方法、ひいては二次流れにおける接着剤の流れに対して、二次流れの区画の長さ方向に対してどのように配置されるかを決定する。
【0059】
一方、第1の厚さ調整手段のピン41、42がどのように配向されているかに基づいて、2つの接着剤の流れは、それぞれのダクト12、13の異なる開口部にたどり着く。複合二次流れにおいて、それぞれの層は、その区画Tの幅Z方向に特定の厚さを採用し、これによってバリア層Eの厚さも自動的に確立される。
【0060】
この時点で、複合流れは、接合ダクト171に沿って落下し、そこで第2の内部接合空間17に入るモードを決定する第2の調整手段32に出会い、それによってポリプロピレン流れとの合流によって形成される接合流れの横断面Kの長さJ方向における位置を決定する。
【0061】
リボンにおける内層の位置を調整する方法をさらに明確に理解するために、
図4~
図7を具体的に参照することができる。
【0062】
ユーザが、例えば上述のネジ313、314、323、324に作用することによって、遮断要素311、312、321、322のいずれもそれぞれの
中央送達ダクト110、
接合ダクト171に供給されず、したがって狭窄手段31、32が非作動であるとき、層はヘッド1から出てくる製品に
図7に示すように配置される。
【0063】
実際、その場合、バリア層Eは2つの遮断要素311、312それぞれのヘッドによって横方向に拘束されず、したがって、横断方向Zにおいて接着剤層Cと同じ長さを採用する。第2の狭窄手段32の遮断要素321、322が非作動のままである場合、ポリプロピレンPに対する接着剤-バリア-接着剤の3つの中央層コアにも同じことが当てはまる。
【0064】
第1の狭窄手段31のみがオンである場合、
図4の構成が得られ、次いで第2の手段32のみが作動している場合、リボンの横断面は
図6に示すようになり、最後に全ての狭窄手段31、32が作動している場合、
図5の構成に至る。
【0065】
その間に、ポリプロピレンは2つの調整を受ける。1つは、その厚さに関連し、数回にわたって記載した具体的な手段のピン43、44を使用する調整である。もう1つは、複合流れの横断面Tの幅Z方向、すなわち狭窄手段31、32の調整方向に垂直な方向におけるバリアE層及び接着剤C層の相対位置に影響を及ぼす、それぞれのポンプ212、222の流量差に関連する調整である。
【0066】
実際には、2つの流量差の勾配及び符号に基づいて、バリアE層及び接着剤C層によって形成される内部コアに対する、ポリプロピレンによる一方向又は他方向へのより大きな又はより小さな推力が存在する。
【0067】
このようにして、特に、多層又はリボン製品の横断面Tのバリア層Eと長辺L2との間の距離x、yを所望に応じて決定することができる。
【0068】
この時点で、ユーザが望む構成を正確に有する多層リボンが、長方形の送出部18から出る。
【0069】
本発明はまた、本発明による共押出ヘッド1によって作動させることができる、多層製品を製造する共押出方法に関する。
【0070】
本方法は、以下のステップを含む。
-押出製品の少なくとも第1の流れ、第2の流れ及び第3の流れを提供するステップと、
-第1の流れが第2の流れ及び第3の流れの間に介在するように3つの流れを接合し、それによって断面が長方形の複合二次流れを得るステップと、
-当該複合二次流れの断面の少なくとも長手方向ラインに沿って、第2の流れ及び/又は第3の流れに対する第1の流れの位置を調整するステップ。
【0071】
好ましくは、第1の流れの位置を調整するステップは、第2の流れ及び第3の流れと接合するステップの前に横断面を調整することによって行われる。
【0072】
製品の第4の流れ及び第5の流れも利用可能にすることができ、この場合、本方法は、以下のステップを含む。
-第1の流れ、第2の流れ及び第3の流れを接合することによって得られる複合二次流れを、第4の流れ及び第5の流れに接合して、二次流れが第4の流れ及び第5の流れの間に介在するようにし、それによって複合接合流れを得るステップと、
-当該複合接合流れの断面の少なくとも長手方向ラインに沿って、第4の流れ及び/又は第5の流れに対する二次流れの位置を調整するステップ。
【0073】
好ましくは、二次流れの位置を調整するステップは、第4の流れ及び第5の流れと接合するステップの前に横断面を調整することによって行われる。
【0074】
上述のプラントによっても実施される方法の実施形態では、第1の流れは酸素不透過材料からなり、第2の流れ及び第3の流れは接着材料からなり、第4の流れ及び第5の流れはポリマーから、好ましくはポリプロピレンからなる。
【0075】
好ましくは、本発明は、接着剤Cの層及び/又はポリプロピレンPの層(すなわち、より一般的には第2の層及び/又は第3の層及び/又は第4の層及び/又は第5の層)の厚さを調整するステップを含み、それぞれの流れの横断面は、接合して当該第2の複合流れ及び/又は第3の複合流れを画定する前に、位置を調整する上記のステップによって影響を受ける方向に対して横断方向に調整される。
【0076】
基本的に、接着剤がバリア層の流れに接合する前、及び/又はポリプロピレンが接着剤-バリア-接着剤の三層の流れに接合する前に、関連する流れがそれぞれの流れの横断方向寸法に変動を受ける。これによって、最終製品において、リボンの断面Tの短辺L1に平行な方向Zに、ユーザが望むような層の寸法が確立される。
【0077】
さらに、多層製品の横断面Tの短辺L1に平行な方向Zにおける、内部接着剤層-バリア層-接着剤層の相対位置は、本発明による共押出ヘッド1の動作の説明中に既に例示した原理に基づいて、ポリプロピレンの流れ(又は第4の流れ及び第5の流れに使用される他の材料)の流量差を変動させることによって調整することができる。
【0078】
最後に、本発明によるプラントの好ましい構成を以下に記載する。
【0079】
プラントを始動又は停止させるステップ、及び2つの異なるタイプの多層製品の共押出間の過渡的なステップにおいて、プラント10は、ダクトを清掃するステップ、又は当業者に知られているように「パージ」するステップのために作動する。
【0080】
このステップ中、ヘッド1から出る材料は廃棄物であると考えられ、ノズル19ではなく廃棄物容器に向かって送られなければならない。他方、プラントの通常運転が再開するとき、ヘッド1から出る多層製品は分注ノズル19に、又はいずれにせよその製造目的地に送られなければならない。
【0081】
バイパスとして定義されるルーティング装置5は、ヘッド1からノズル19又は容器への、送出部における製品の選択的なルーティングを可能にするように設計されている。この装置には、多層製品の通過を可能にする2つのルーティングコネクタ52、53が形成された可動本体51を備える「引出し」が設けられている。
【0082】
第1のコネクタ52は、直線状であり、ヘッド1からの送出部18におけるリボンの供給方向と同軸線であるため、実際には垂直である。
【0083】
第2のコネクタ53は、第1のコネクタと並んで位置しており、また直線状であってもよく、第1のコネクタ52の長手方向軸線に対して斜めである長手方向軸線を有する。
【0084】
引出し51は、例えば油圧若しくは空気圧アクチュエータのような並進手段54又は同様の移動手段の作動により、第1のダクト52がヘッド1の送出部18及びノズル19の送込部と整列する動作位置、並びに第2のダクト53の送込部がヘッド1の送出部18に直接的に面して不合格製品を回収容器に向けることを可能にする準備位置、のうちの少なくとも2つの位置間で移動可能である。