(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】衝撃検出および関連するデータ伝送のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20230724BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G01L5/00 F
G01P15/00 C
(21)【出願番号】P 2022542275
(86)(22)【出願日】2021-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021012873
(87)【国際公開番号】W WO2021142398
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-30
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520004410
【氏名又は名称】セレバン、アダム ジョーダン
【氏名又は名称原語表記】SELEVAN,Adam Jordan
(73)【特許権者】
【識別番号】517168037
【氏名又は名称】セレバン、ジェームズ アール.
【氏名又は名称原語表記】SELEVAN,James R.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】セレバン、アダム ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】セレバン、ジェームズ アール.
(72)【発明者】
【氏名】セレバン、ダニエル ジェイ.
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182655(JP,A)
【文献】特開2008-219526(JP,A)
【文献】特開2019-187044(JP,A)
【文献】特開2016-092908(JP,A)
【文献】特開2012-251841(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101667342(CN,A)
【文献】特開2017-181287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0298603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01P 15/00
E01F 1/00
E01F 9/00-15/14
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突減衰器、衝突クッション、またはケーブルバリアを含む固定された安全資産への取り付けまたはその近傍への配置によって、前記固定された安全資産に印加される力を検出するように構成された装置であって、複数の装置がアレイを構成し、前記アレイおよびゲートウェイがローカルネットワークを構成する、前記装置において、
各装置が、
前記固定された安全資産に配置され、前記固定された安全資産に対する衝撃を検知する少なくとも1つの衝撃センサであって、前記衝撃の指示を送信するように構成された前記少なくとも1つの衝撃センサと、
送信回路と、
プロセッサおよびメモリであって、前記メモリは、実行された場合に、前記少なくとも1つの衝撃センサから、前記衝撃の前記指示を受信し、前記送信回路を介して、受信した前記衝撃の前記指示に応じた少なくとも事象データを含むメッセージを1つまたは複数の遠隔位置に送信することを前記プロセッサに行わせる実行可能命令を記憶する、前記プロセッサおよびメモリと、
を備え、
前記送信回路が、前記複数の装置のアレイの各装置が送受信時間間隔を同期させ、前記複数の装置のアレイの少なくとも1つの隣接装置
と電力接続を確立して、ステータスを前記アレイを介して前記ゲートウェイが受信するように、共通基準信号を参照することなく、前記複数の装置のアレイのある装置から1つまたは複数の隣接装置に無線周波数信号を自動的に送信するように動作可能であ
り、
前記電力接続を確立することが、
メッシュ技術を用いることにより、予め設定されたデューティサイクル送受信期間で実行して、クロック信号を調整するとともに前記送受信期間を同期させること、ここで、各装置が、送受信せずに電力消費を最小化する場合、休止スリープモードであり、
衝撃に際して、前記メッセージを受信して転送するように構成されたウェイク状態の隣接装置に通知を送信すること、を含む、装置。
【請求項2】
前記ゲートウェイが、
検知回路と、クラウドネットワークへのセルラーまたは光ファイバ接続と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ゲートウェイが、
衝撃センサと、セルラーまたは光ファイバ接続と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、
前記
休止スリープモードにおいて前記衝撃センサ
から衝撃の割り込み通知
を受信すると、衝撃の瞬間の加速度データをサンプリングして、サンプリングした前記加速度データを当該装置上でローカルに処理するか、または、クラウドサーバに送信して事象後処理を行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記クラウドサーバまたは当該装置が、サンプリングされた前記加速度データを収集し、収集した前記加速度データに基づいて、加速度の時間・大きさ曲線下面積を計算する、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記クラウドサーバまたは当該装置が、前記加速度の時間・大きさ曲線下面積を第1の調整可能閾値と比較し、加速度の最大値を第2の調整可能閾値と比較することによって、真の衝撃を決定する、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
メッシュネットワークが前記複数の装置のアレイを備え、前記メッシュネットワークが、ゲートウェイをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ゲートウェイが、複数の光ファイバを用いて、前記メッシュネットワークをクラウドサーバに接続するように構成されている、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
固定された安全資産に対する衝撃を検出するシステムであって、
アレイを構成する複数の装置であって、前記複数の装置のアレイの各装置が、衝突減衰器、衝突クッション、またはケーブルバリアを含む固定された安全資産への取り付けまたはその近傍への配置によって、前記固定された安全資産に印加される力を検出するように構成され、各装置が、前記固定された安全資産に配置され、前記固定された安全資産に対する衝撃を検知し、前記衝撃の指示を送信するように構成された少なくとも1つの衝撃センサと、送信回路と、プロセッサおよびメモリであって、前記メモリは、実行された場合に、前記少なくとも1つの衝撃センサから、前記衝撃の前記指示を受信し、前記送信回路を介して、受信した前記衝撃の前記指示に応じた少なくとも事象データを含むメッセージを1つまたは複数の遠隔位置に送信することをプロセッサに行わせる実行可能命令を記憶する、前記プロセッサおよびメモリと、を備える、前記複数の装置と、
前記複数の装置のアレイから無線周波数信号を受信し、前記メッセージをクラウドサーバに伝達するように構成されたゲートウェイと、
を備え、
前記送信回路が、前記複数の装置のアレイの各装置が送受信時間間隔を同期させ、前記複数の装置のアレイの少なくとも1つの隣接装置
と電力接続を確立して、ステータスを前記アレイを介して前記ゲートウェイが受信するように、共通基準信号を参照することなく、前記複数の装置のアレイのある装置から1つまたは複数の隣接装置に前記無線周波数信号を自動的に送信するように動作可能であ
り、
前記電力接続を確立することが、
メッシュ技術を用いることにより、予め設定されたデューティサイクル送受信期間で実行して、クロック信号を調整するとともに前記送受信期間を同期させること、ここで、各装置が、送受信せずに電力消費を最小化する場合、休止スリープモードであり、
衝撃に際して、前記メッセージを受信して転送するように構成されたウェイク状態の隣接装置に通知を送信すること、を含む、システム。
【請求項10】
前記ゲートウェイおよび前記複数の装置のアレイが、ローカルネットワークを構成する、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記クラウドサーバが、前記事象データを解析するように構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、
前記
休止スリープモードにおいて前記衝撃センサ
から衝撃の割り込み通知
を受信すると、衝撃の瞬間の加速度データをサンプリングして、サンプリングした前記加速度データを当該装置上でローカルに処理するか、または、クラウドサーバに送信して事象後処理を行うように構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項13】
前記クラウドサーバまたは前記装置が、サンプリングされた前記加速度データを収集し、収集した前記加速度データに基づいて、加速度の時間・大きさ曲線下面積を計算する、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記クラウドサーバまたは前記装置が、前記加速度の時間・大きさ曲線下面積を第1の調整可能閾値と比較し、加速度の最大値を第2の調整可能閾値と比較することによって、真の衝撃を決定する、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
メッシュネットワークが前記複数の装置のアレイを備え、前記メッシュネットワークが、ゲートウェイをさらに備える、請求項
9に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの衝撃センサが、加速度計を備える、請求項
9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子工学、交通工学、および公共安全の分野に関し、より詳細には、物体が(たとえば、車両による)衝撃を受けたタイミングを検出するとともに、このような衝撃に関するデータおよび装置自体に関するデータ、またはそのいずれかのデータを1つまたは複数の遠隔配置の受信位置に送信する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許法施行規則第1.71条(e)項に従って、本特許文書は、著作権保護の対象となる資料を含んでおり、本特許文書の所有者は、どのようなものであれすべての著作権を保有している。
【0003】
物体が車両等の移動体による衝撃を受けたタイミングを検出するとともに、このような衝撃事象の発生時には、適当な機関に通知することが望ましい場合もある。たとえば、道路建設エリアにおいては、仮設コンクリートバリア(たとえば、「ジャージーレール(Jersey rails)」とも称するKレール)が道路沿いの位置に配置される場合があり、衝撃減衰装置(たとえば、砂入り容器、折り畳み式構造、衝突クッション、または他の衝撃減衰器)がコンクリートバリアに隣接して配置されることにより、コンクリートバリアに衝突した車両の衝撃または減速率を低減させる。このような衝撃減衰装置に車両がぶつかった場合は、警察および他の緊急サービス機関、道路保守機関等または、警察もしくはそのような機関にこのような事象を通知することが望ましい。衝撃検出の必要性は、建設エリアに限らない。コンクリートバリアは、高速道路の出口を指定すること、または、橋台、標識、ケーブルバリア等の他の構造物を保護することが多い。固定構造物が道路に置かれている場合は常に、偶発的な衝撃から運転者および車両を保護するため、保護装置、減衰器、または衝突クッションを具備する必要がある。
【0004】
不法妨害衝撃の頻度もかなり高い。たとえば、エリアに精通していない運転者、運転に支障のある運転者、または注意散漫な運転者が交通から離脱しようとすると、誤って衝突クッションにぶつかる場合がある。小さな衝撃であれば、車両は無傷で、バックして走り去ることも可能となり得る。このシナリオでは、衝撃が誰にも通知されない一方、衝突クッションが損傷を受け、二度目の衝撃には安全でない可能性もある。この安全装置は、小さな衝撃のたびに検査すべきであるが、保守員に通知される仕組みが存在しない。ここで、低コストの加速度計および無線技術を導入すれば、低コストでの迅速な通知が可能となる。
【0005】
従来技術としては、車両が高速道路の衝突バリアに衝突したタイミングを検出し、センサが衝突を検出した場合に無線周波数信号を1つまたは複数の遠隔位置に送信する衝突センサを記載した特許文献1(ゲーリー(Geary)ら)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
特許請求の範囲に記載の技術革新はそれぞれ、複数の態様を有しており、そのうちの1つだけが望ましい属性を担うわけではない。以下、特許請求の範囲を限定することなく、本開示のいくつかの顕著な特徴について簡単に説明する。
【0008】
国道および州道は、最大限の実現可能な効率および安全のために設計されている。そして、衝撃を含む事故が発生し得る場所には安全装置が配置されている。技術者は、設計段階において、特定の装置が特定の位置に配置される必要がある旨を指定する。当該装置が仕様通りに機能しないのであれば、それはそこに存在しないのと同じである。そのような中、2018年3月に、コンクリートバリアの端部に置かれた衝突クッションに車両が激突することがあった。この減衰器は、衝突クッションと称するが、サンフランシスコのベイエリアに置かれたものである。残念ながら、この保護装置は、11日前にぶつけられ、「不法妨害(nuisance)」衝撃として知られる衝撃を受けていた。不法妨害衝撃は小規模なもので、車両は走り去ることができる。車両が走行不能になるような大きな衝撃では、法執行官、保守員、および救急医療対応者のすべてが現場に招集されるため、十分な記録が残される。不法妨害衝撃は、その事象が報告されないでいる可能性があるという点で悪質である。変形または自壊によって運転者を保護するように設計された衝突クッションに対する小さな衝撃は、安全装置に損傷を与えて、次にぶつかる車両を保護できなくなる可能性がある。そういう訳で、サンフランシスコの件は、死亡事故に至ってしまった。
【0009】
小さな不法妨害衝撃に関する報告は、ひいき目に見ても場当たり的である。法執行官、保守員、または運転中の市民は、資産がぶつけられたことを認識する可能性もある。ただし、そのタイミングは不確かである。報告も不確かである。そのため、運転者を保護するように設計技術者が指定した装置が機能しないこともある。この装置の設置には何千ドルもが費やされ、人命が危険にさらされ、コストおよび債務が発生する可能性もある。
【0010】
道路安全資産をモニタリングする必要性と相反するのは、それをするための複雑さおよびコストである。本明細書に記載の発明は、この問題に対処するための低コストで設置が容易な装置、システム、および方法を表す。
【0011】
本発明によれば、物体が衝撃を受けたタイミングを検出するとともに、このような衝撃事象に関するデータおよび他のデータ、またはそのいずれかのデータを1つまたは複数の遠隔位置に送信する装置および方法が提供される。
【0012】
本発明の一態様は、衝突減衰器への取り付けまたはその近傍への配置によって、衝突減衰器に印加される力を検出するように構成された装置であって、複数の装置がアレイを構成し、アレイおよびゲートウェイがローカルネットワークを構成する、装置において、各装置が、衝突減衰器に対する衝撃を検知する少なくとも1つの衝撃センサであって、衝撃の複数の指示(indication)を送信するように構成された少なくとも1つの衝撃センサと、送信回路と、プロセッサおよびメモリであって、前記メモリは、実行された場合に、少なくとも1つの衝撃センサから、衝撃の指示を受信し、送信回路を介して、受信した衝撃の指示に応じた少なくとも事象データを含むメッセージを1つまたは複数の遠隔位置に送信することをプロセッサに行わせる実行可能命令を記憶する、プロセッサおよびメモリと、を備え、送信回路が、複数の装置のアレイの各装置が送受信時間間隔を同期させ、複数の装置のアレイの少なくとも1つの隣接装置と低電力接続を確立して、ステータスをアレイを介してゲートウェイが受信するように、共通基準信号を参照することなく、複数の装置のアレイのある装置から1つまたは複数の隣接装置に無線周波数信号を自動的に送信するように動作可能である、装置を対象とする。
【0013】
ゲートウェイは、検知回路と、クラウドネットワークへのセルラーまたは光ファイバ接続と、を備える。ゲートウェイは、衝撃センサと、セルラーまたは光ファイバ接続と、を備える。低電力接続を確立することは、メッシュ技術を用いることにより、低デューティサイクル送受信期間で実行して、クロック信号を調整するとともに送受信期間を同期させることを含み、各装置は、送受信せずに電力消費を最小化する場合、休止低電力スリープモードである。低電力接続を確立することは、衝撃に際して、メッセージを受信して転送するように構成されたウェイク状態の隣接装置(awake neighbor device)に通知を送信することをさらに含む。プロセッサは、衝撃センサによる衝撃の割り込み通知に際して、秒当たり多数回の頻度で数秒にわたり、衝撃の瞬間の加速度データをサンプリングして、サンプリングした加速度データを当該装置上でローカルに処理するか、または、クラウドサーバに送信して事象後処理を行うように構成されている。
【0014】
クラウドサーバまたはこの装置は、サンプリングされた加速度データを収集し、収集した加速度データに基づいて、加速度の時間・大きさ曲線下面積(area-under-the-curve of time and magnitude of acceleration)を計算する。クラウドサーバまたはこの装置は、加速度の時間・大きさ曲線下面積を第1の調整可能閾値と比較し、加速度の最大値を第2の調整可能閾値と比較することによって、真の衝撃を決定する。メッシュネットワークが複数の装置のアレイを備え、メッシュネットワークは、ゲートウェイをさらに備える。ゲートウェイは、光ファイバを用いて、メッシュネットワークをクラウドサーバに接続するように構成されている。
【0015】
本開示の態様は、衝突クッションに対する衝撃を検出するシステムであって、アレイを構成する複数の装置であって、複数の装置のアレイの各装置が、衝突減衰器への取り付けまたはその近傍への配置によって、衝突減衰器に印加される力を検出するように構成され、各装置が、衝突減衰器に対する衝撃を検知し、衝撃の複数の指示を送信するように構成された少なくとも1つの衝撃センサと、送信回路と、プロセッサおよびメモリであって、メモリは、実行された場合に、少なくとも1つの衝撃センサから、衝撃の指示を受信し、送信回路を介して、受信した衝撃の指示に応じた少なくとも事象データを含むメッセージを1つまたは複数の遠隔位置に送信することをプロセッサに行わせる実行可能命令を記憶する、プロセッサおよびメモリと、を備える、複数の装置と、複数の装置のアレイから無線周波数信号を受信し、メッセージをクラウドサーバに伝達するように構成されたゲートウェイ装置と、を備え、送信回路が、複数の装置のアレイの各装置が送受信時間間隔を同期させ、複数の装置のアレイの少なくとも1つの隣接装置と低電力接続を確立して、ステータスをアレイを介してゲートウェイが受信するように、共通基準信号を参照することなく、複数の装置のアレイのある装置から1つまたは複数の隣接装置に無線周波数信号を自動的に送信するように動作可能である、システムを対象とする。
【0016】
ゲートウェイおよび複数の装置のアレイは、ローカルネットワークを構成する。クラウドサーバは、事象データを解析するように構成されている。低電力接続を確立することは、メッシュ技術を用いることにより、低デューティサイクル送受信期間で実行して、クロック信号を調整するとともに送受信期間を同期させることを含み、各装置は、送受信せずに電力消費を最小化する場合、休止低電力スリープモードである。低電力接続を確立することは、衝撃に際して、メッセージを受信して転送するように構成されたウェイク状態の隣接装置に通知を送信することをさらに含む。
【0017】
プロセッサは、衝撃センサによる衝撃の割り込み通知に際して、秒当たり多数回の頻度で数秒にわたり、衝撃の瞬間の加速度データをサンプリングして、サンプリングした加速度データを当該装置上でローカルに処理するか、または、クラウドサーバに送信して事象後処理を行うように構成されている。クラウドサーバまたは装置は、サンプリングされた加速度データを収集し、収集した加速度データに基づいて、加速度の時間・大きさ曲線下面積を計算する。クラウドサーバまたは装置は、加速度の時間・大きさ曲線下面積を第1の調整可能閾値と比較し、加速度の最大値を第2の調整可能閾値と比較することによって、真の衝撃を決定する。メッシュネットワークが複数の装置のアレイを備え、メッシュネットワークは、ゲートウェイをさらに備える。少なくとも1つの衝撃センサは、加速度計を備える。
【0018】
本発明のさらに別の態様および詳細については、以下に示す詳細な説明および例を読むことにより理解されるであろう。
以下の詳細な説明および例は、本発明のいくつかの、必ずしもすべてではない、例または実施形態を非網羅的に説明する目的で提供するものであり、本発明の範囲を何ら限定しないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】コンクリートバリアを保護する衝突クッションに取り付けられた本発明の装置(ノードとも称する)の一実施形態の模式図の一例である。
【
図2】センサノードがクッションに搭載されるとともに、ゲートウェイがクッションとは別に搭載された代替実施形態の一例である。ランプ等の代替的な筐体に付加的なセンサが配置されている。カメラをメッシュネットワークに含めて、事象の映像を取り込み可能である。
【
図3】筐体300ならびに筐体300内の回路基板100(100/300)およびゲートウェイ(回路基板200)(200/300)を備えたノードがモニタリングする衝突クッションの俯瞰図の一例を示している。カメラをメッシュネットワークに含めることができる。
【
図4】特定の実施形態に係る、単一のゲートウェイがモニタリングする複数の衝突クッションの模式描写である。
【
図5】
図1~
図4の装置を含むさまざまな装置において使用し得る例示的なゲートウェイ型の回路基板の図である。
【
図6】
図5に一例を示すゲートウェイ型の回路基板を組み込み得る例示的なハウジング装置の側方断面図である。
【
図7】本開示の多くの装置を使用するための安全な高速道路作業ゾーン・衝撃センサシステムおよび報告方法の非限定的な一例を示した図である。
【
図8】本開示の装置において使用し得る例示的な高周波エンジンコンポーネントの電気図である。
【
図9】本開示の装置において使用し得る例示的な高周波エクステンダーコンポーネントの電気図である。
【
図10】本開示の装置に用いられる例示的なI/O拡張器および外部RAMメモリデバイスの電気図である。
【
図11】特定の実施形態に係る、本開示の装置に用いられる加速度計および温度/湿度センサの電気図である。
【
図12】本開示の装置に用いられる例示的なGPS GNSSコンポーネントおよびその関連する電圧調整器および変換器の電気図である。
【
図13】本開示の装置において使用し得る例示的なソーラー発電機コンポーネントの電気図である。
【
図14】本開示の装置に用いられるSPIフォーマットデータをUART装置に受け渡す例示的な変換器の電気図である。
【
図15】本開示の装置に使用されるセルラーモデムおよび他のコンポーネントを制御する例示的な接続、電圧調整器、およびスイッチの電気図を含む。
【
図16】本開示の装置において使用し得るコンポーネントのテストおよび生産組み立て中に使用される例示的なスイッチおよびLEDインジケータの電気図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明およびそれが参照する添付の図面は、本発明のいくつかの、必ずしもすべてではない、例または実施形態を説明することを意図したものである。記載の実施形態は、すべての点において例示的であり、何ら限定的とは考えられない。この詳細な説明および添付の図面の内容は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。センサは、装置またはネットワークノードとして特徴付け可能な電子機器を内蔵しており、いずれかにより参照される。
【0021】
図1は、本発明の装置(ノード)100/300の非限定的な一実施形態を模式的に示している。
図1に示す装置100/300は通常、電源、衝撃を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのプロセッサ、任意選択としてのカメラ、少なくとも1つの送信機、および少なくとも1つの任意選択としての信号発信機を表面または内部に有する少なくとも1つのハウジング300を備える。いくつかの実施形態において、装置100/300は、衝撃を受ける可能性がある物体380または他の支持構造物への当該装置100/300の取り付けに使用可能なコネクタを具備していてもよい。本装置のこれらの構成要素は、当技術分野において十分に理解された様態で有線または無線回路により相互接続される。
【0022】
通常、ハウジング300は、装置の構成要素および関連する回路/配線が搭載または内蔵され得る少なくとも1つの好適なハウジング、筐体、フレーム、ケース、本体、プレート、パネル、ボード、部材、バッグ、接続格子、または他の構造物もしくは物品を含んでいてもよい。このシステムは、振動、運動、傾斜、加速/減速、温度、湿度等を検出可能なノードセンサ100を具備することになる。また、ゲートウェイ200と称する第2のセンサは、ノード100に見られる前述の機能を含む一方、セルラーまたは光ファイバのいずれかのネットワークを介してクラウドシステムひいてはインターネットに接続可能という付加的な機能を含むことになる。たとえば、
図2に示すように、装置100/300の代替実施形態では、第1の部分100/300および第2の部分200/300を含む。第1の部分100/300は、少なくともプロセッサおよび送信機を具備し得る。第2の部分200/300は、センサおよびセルラーモデムを具備し得る。この第2のセンサ200/300は、衝突クッション(crash cushion)に直接搭載することも可能であるし、衝突クッションから離れた位置に搭載することも可能で、より保護される可能性が高いが、装置100/300の無線範囲(たとえば、300メートル)内とする。両装置とも、「グラウンド・トゥルース(Ground Truth)」すなわち局所的な状況、位置、および事象をモニタリング可能である。これらの装置は、衝撃および風雨から保護された別個の筐体に収められている。装置200/300は、衝撃によって損傷したり動作不能となったりしないように、衝撃を受ける物体380から間隔を空けて配置された別個の支持部材上に配置されていてもよい。車両または他の移動体が衝撃を受ける物体380に激突した場合、センサ100/300が有線または無線接続によって信号をゲートウェイ200/300に送信すると、プロセッサが信号を処理し、送信機がセルラーまたは光ファイバケーブルを介して情報を所望の遠隔位置に送信する。代替装置340は、カメラと、メッシュネットワークに接続する100/300に類似の回路と、を備えていてもよい。装置340が任意選択としてのカメラを具備する場合、このようなカメラは、センサ100/300または200/300上または内部に配置されていてもよいし、別個の筐体内に配置されていてもよい。
【0023】
あるいは、センサ100/300は、無線信号が1つまたは2つ以上の装置により受信されるように、ある距離のケーブルバリア(cable barrier)に搭載されていてもよい。このように、メッシュネットワークを用いて、何千メートルものケーブルバリアを低コストでモニタリングすることにより、ネットワークに沿って信号を受け渡す別の装置に各装置を接続するか、または、ゲートウェイに直接接続して、情報を直接セルラークラウドおよびネットワークに受け渡すようにしてもよい。
【0024】
通常、電源は、別個の電源またはバッテリへの有線接続を含んでいてもよい。電源には、「商用」電源、ソーラー、風力プロペラ、圧電結晶音響エネルギー発電機、またはバッテリを含み得る。使用可能な特定種類のバッテリとしては、3.7~7.4ボルトのリチウムイオン、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウム、アルカリ、または他の化学(タイプ)バッテリがある。
【0025】
通常、装置100/300は、速度、カウント、位置(GNSS、GPS、無線RSSI、レーダ、LIDAR、超音波)、交通渋滞等、衝撃または他の車両パラメータに関するデータを検知または測定可能な任意のデバイスまたはセンサを備えていてもよい。たとえば、装置100は、任意の軸方向の動きを検出可能な加速度計、傾斜センサ、反射光源、音センサ、電気、超音波、レーザ、LIDAR、GNSS、GPS、または磁気近接センサ等の運動検知デバイスを備えていてもよい。この目的に使用できる加速度計の一例は、STマイクロ社(STMicro)のLIS2DH12として市販されている。いくつかの実施形態において、装置100/300およびプロセッサ、または装置100/300もしくはプロセッサは、衝撃事象の大きさの定量化または大きさが異なる(たとえば、小さな振動から大きな衝撃までの範囲の可能性がある)衝撃事象間の識別を行うように構成されていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、装置100/300は、衝撃の程度の測定または定量的決定によって、傷害の可能性がある大きな衝撃事象と即時治療の必要性を生じさせる可能性が低い小さな衝撃事象とを当該装置100/300が区別できるように構成された加速度計を備えていてもよい。衝撃が発生した場合、装置100/300およびそのプロセッサまたはそのいずれかは、その衝撃事象が所定の閾値を上回るか下回るかを判定することになる。この閾値は、衝撃が大きいか小さいかを判定することにもなる。あるいは、調整可能閾値を超える衝撃によって、プロセッサが、たとえば10ミリ秒間隔で加速度のサンプリングを開始する可能性もある。これらのデータは、メッシュネットワークを介してセルラー「ゲートウェイ」(
図1、
図2、
図3、
図4、
図7における200/300)接続に送信された後、後処理するとともに、加速度曲線の積分によって、最初の衝撃の速度およびセンサが移動した距離ひいてはバリアが移動したかを決定することも可能である。
【0026】
任意選択として、装置100/300は、高周波または他の通信システムを組み込んでいてもよく、米国特許第8,564,456号の発明の名称「Sequenced vehicular traffic guiding system」、第8,154,424号の発明の名称「Sequenced Vehicular Traffic Guiding System」、第9,288,088号の発明の名称「Synchronizing the Behavior of Discrete Digital Devices」、第9,847,037号の発明の名称「Sequenced Guiding Systems for Vehicles and Pedestrians」、第9,835,319号の発明の名称「Sequential and Coordinated Flashing of Electronic Roadside Flares with Active Energy Conservation」、第10,443,828号の発明の名称「Sequential and Coordinated Flashing of Electronic Roadside Flares with Active Energy Conservation」、および第10,536,519号(2020年1月14日発行の同時係属出願第15/018,506号)の発明の名称「Synchronizing the Behavior of Discrete Digital Devices」(これらのすべての内容を本明細書に援用する)のいずれかに開示のフロッキングプロトコル(flocking protocol)、メッシュネットワークもしくはその他任意の回路、装置、機能、フォーマット、シーケンス、点滅プログラム、または他の操作による制御ならびに相互の通信および/または自己同期を行うように構成されていてもよい。
【0027】
衝撃をモニタリングする上での悩ましい態様として、「誤検出」通知の発生、すなわち、起こってもいない衝撃の表示および通知がある。このため、ぶつけられていない減衰器の検査に保守員の派遣が必要となって効率が悪い。さらに、誤通知があると、担当者は検査および修理のための迅速な行動に消極的となるため、システムの有効性が損なわれることになる。誤報の発生を抑えるため、本発明では、加速度データの大きさおよび継続時間の形態の冗長性を利用する。真の衝撃と考えられるように、一態様によれば、10ミリ秒のサンプリングレートによって、たとえば閾値を超える加速度(運動)および500ミリ秒の継続時間が明らかとなる。真の衝撃を表すのは、時間に対してプロットされた大きさの曲線下面積(area-under-the-curve)である。この方法では、加速度プロファイルを数学的に時間積分する。この2変数手法は、センサの運動の継続時間および加速度の瞬間最大値という2つの変数を「調節」する柔軟性および機会を与えることにより、衝撃事象を最もよく特徴付けることで誤報の発生を抑える。あるいは、メッシュネットワークならびにセルラーモデムもクラウドネットワークへの接続も持たない低コストのセンサを使用することにより、複数のセンサを同じ衝突クッションに設置可能である。2つのセンサが衝撃を報告する場合は、誤報を表している可能性が低い。この手法は、各センサがクラウド接続のためにセルラーモデムを利用する場合、コスト高になる。
【0028】
センサは、マイクロ波伝送、超音波測深、車両速度を決定するための飛行時間測距、GNSS、GPS位置情報回路、カウント、および車両のクラス(すなわち、トラック、バイク、または自動車のいずれか)を含み得る。センサは、回路基板上に直接配置された「チップ」アンテナを備えていてもよいし、より長い無線範囲を可能にする外部アンテナを組み込んでいてもよい。
【0029】
通常、プロセッサは、装置100/300から信号を受信し、少なくとも装置100/300から受信した信号に応答して送信機に情報を送信させるか、または送信させないようにプログラムされたマイクロプロセッサを備えていてもよい。この目的に使用できるマイクロプロセッサの一例は、テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のCC2530F256として市販されている。
【0030】
通常、任意選択としてのカメラ340は、ビデオカメラまたはシーケンシャルカメラを含み得る。この目的に使用できるカメラの一例は、セレア・カメラ(Selea Camera)(セレア社(Selea)、イタリア、ヴィアダーナ)として市販されている。
【0031】
メッシュ技術の費用対効果
通常、送信機は、装置100/300から1つまたは複数の遠隔装置または位置にデータを送信可能な無線周波数、光ファイバ、またはセルラー送信装置を備えていてもよい。あるいは、複数の装置100/300が使用される場合は、各装置100/300の送信機が信号を1つまたは複数の隣接装置100/300に送信し、最終的には、グループ全体に情報を提供する(service)セルラーモデムまたは光ファイバ接続等の送信機(本明細書においては、ゲートウェイ200/300と称する)に送信するようにしてもよい。その後、ゲートウェイ送信機200/300は、セルラー接続または光ファイバケーブルを介して、所望のデータをクラウドネットワークひいては1つまたは複数の遠隔位置に送信することになる。このように、複数の装置100/300を配置することによって、複数の物体が関与する衝撃事象または単一の物体上の複数の位置における衝撃事象を検知することも可能である。この種のメッシュネットワークまたはフロッキングプロトコルを介して単一の二次セルラー送信機(ゲートウェイ200/300)にリンクされた複数の装置100/300を利用することによって、装置100/300それぞれがその他の装置100/300のうちの少なくとも1つの信号伝送範囲内にあり、装置100/300のうちの少なくとも1つがゲートウェイ200/300の範囲内にある限りは、複数あるいは多数(たとえば、数百)の個別の装置100/300が単一のセルラーアカウントを介して所望の遠隔位置につながるとともにデータを送信可能な低コストのシステムを提供可能である。
【0032】
セルラーモデムのコストは、ローカルエリアネットワーク(1000メートル)の900MHz~2.4GHz送受信機のコストよりも実質的に高い。また、セルラー接続には月額費用が掛かり、より大きなバッテリおよびソーラーパネルが必要であるため、サイズおよび重量も大きくなる可能性がある。そこで、低コストの複数のセンサをメッシュトポロジにて接続し、それぞれに低コストのバッテリおよび回路を備えて使用することによって、モニタリングする道路資産(road assets)の数を増やすことができる。この多数のセンサは、単一または複数のゲートウェイを介してクラウドサーバおよびインターネットにつながることになる。ゲートウェイは、それ自体はその他の装置と同一のセンサであるが、セルラーモデムまたは光ファイバコネクタを具備する。各州の運輸省はコストに敏感であり、低コストのセンサを利用できれば、より安全かつ広範囲の配備につながることになる。
【0033】
本明細書においては、メッシュネットワークおよびフロッキングプロトコルの例を説明する。
メッシュネットワークの運用
道路に置かれたセンサは、配備および保守に危険を伴う。保守員は、装置のサービスが必要となるたびに高速の交通に曝される。したがって、バッテリまたはソーラー動作が長寿命であるものとし、電子機器にトラブルがないものとする。また、ファームウェアの更新が遠隔実行されるものとする。長年にわたる低電力を実現するため、バッテリの保管期間と同等のバッテリ寿命を提供するメッシュプロトコルが組み込まれている。コスト高で複雑さが増すものの、ソーラーパワーは任意選択である。低電力は、低デューティサイクルによって実現される。この装置は、99%以上の時間にわたって休止「スリープ」モードである。ただし、各装置は、ネットワークに接続されているため、衝撃が発生すると、マイクロ秒でウェイク状態となって(awake)、メッセージを送信し、別の装置がウェイク状態となってメッセージを受信できるようにする。多くの配備状態では、WWV、GPS、GNSSタイミング信号等の低コストの外部タイミング信号を利用できない。メッシュネットワークを利用することの新たな利点としては、外部タイミング信号が必要でもなければ、使用されることもないことである。各装置は、ファームウェアの技術革新によって、約1秒間隔で約1~5ミリ秒間ウェイク状態となって、ネットワークと再同期する。あるいは、15秒ごとにノード/ゲートウェイ同期が発生することで、電力消費がさらに抑えられる可能性もある。後者の15秒という時間は、プロセッサが休止スリープモードの間、極めて安定かつ低ドリフトのタイミング信号を与える低コストの32.768KHzの腕時計用水晶の追加によって実現されることになる。休止スリープモードにおいては、「ウォッチドッグタイマー(Watch Dog Timer)」がナノアンペアの電力で内部クロックレートを維持する。他の態様においては、他の時間および間隔を使用可能である。各装置は設定された時間ウィンドウ内でランダムにウェイク状態となるため、2つの装置が同時に送信することはなく、多くの装置が通信時間ウィンドウの全体を通して「待ち受け(listening)」となる。このように、衝撃を示す割り込み生成信号をある装置が送信可能であり、別の装置がそのメッセージを受信することになる一方、各装置は、ほんの一瞬の間しか電力を消費せず、それ以外は最小限の電力だけを消費する休止モードで「スリープ状態」となる。また、メッセージの受信の確認がネットワーク上で送信され、これを装置(ノード)が受信する。このメッシュ技術の新規態様によって、メッシュネットワークのメンバー間の衝撃(割り込み)駆動通信が可能となり、必要なエネルギーはごくわずかである。また、これらの構成要素は、安価である。以下、多くの低コストのローカルエリアネットワーク検知ノードが多数の重要な道路安全資産(road safety assets)をモニタリングし、単一の高価なモデムならびにセルラーもしくはファイバ接続を介してリアルタイムに通知を送達可能なシステムを説明する。
【0034】
1対多
無線通信の使用により、無線受信機が備わった装置100/300は、任意好適な種類の遠隔制御装置によって遠隔でモニタリングまたは制御されるようになっていてもよく、このような遠隔制御装置としては、装置100/300を制御するようにプログラムされた携帯電話、タブレットコンピュータ、もしくは他のコンピュータ装置、ならびに/または手持ち遠隔コントローラとしての専用遠隔コントローラ、ケース上または内部に実装された遠隔コントローラ、緊急車両に配置された遠隔コントローラ等が挙げられるが、これらに限定されない。携帯電話、タブレット等におけるソフトウェアアプリケーションの使用により、セルラーネットワークを介して、修正および新機能または修正もしくは新機能を含む更新をオペレータにプッシュする(勧める : push)方法が提供される。いくつかの実施形態においては、携帯電話またはデスクトップPCによって、ファームウェアの改良を装置100および200に適用可能である。
【0035】
場合により、遠隔制御装置およびソフトウェアは、州運輸省(DOT : Department of Transportation)交通管理システムに直接組み込み可能である。これにより、専用の制御装置でローカルに制御された場合に、300メートル以上の距離から装置100/300または200/300のさまざまな動作パラメータを操作可能な遠隔制御システムが利用可能となる。各装置100/300にセルラーモジュールを配置するのではなく、単一のセルラー通信装置を装置200/300に配置することによって、インターネットの可用性の制限のみを受ける位置からメッシュネットワークを介して無制限に多くの装置100/200と通信可能になる。これにより、インターネットに接続された携帯電話がセンサネットワーク全体を制御し、ネットワークからのアラートを受信可能となるため、ローカル制御(たとえば、300メートル)のための専用ハードウェアデバイスは不要となる。ネットワークは、何百ものセンサを採用しているにも関わらず、使用するセルラーモデムは1つだけである。
【0036】
チェックイン失敗の通知
衝撃に際して装置100/300が破壊された場合、この装置による送信の欠如は、近接する他の装置によって迅速に認識され、この失われた信号は、識別子、位置、タイムスタンプとともに、ネットワークに沿ってゲートウェイ200/300およびクラウドネットワークに受け渡され、後処理されることになる。この欠如は、複数の送信期間にわたって確認されると、アラートになった後、検査のため担当者に通知されることになる。
【0037】
いくつかの実施形態において、センサおよびプロセッサは、衝撃事象に関連するデータ(たとえば、衝撃の重大性または大きさ、衝撃の時間等)のみならず、装置のバッテリステータス、温度、衝撃履歴等の装置自体に関するデータを送信機に送信させるように構成されていてもよく、これは、スマートフォン、PCダッシュボードソフトウェアアプリケーション、または他の好適な手段を介して、装置100/300の責任を負う運輸省施設または契約者等の遠隔位置へ送信されるようになっていてもよい。また、マイクロコントローラおよび組み込み制御ソフトウェアによれば、PCまたはスマートフォンを介した遠隔位置からの加速度計感度の「調節」が可能となる。加速度計感度および継続時間閾値の調整によって、オペレータは、たとえば橋梁の振動またはトラックの起こす風による誤トリガー(false trigger)を最小限に抑えることができる。この調節は、道路上の単一のセルラー接続を通じたアクセスによって、ある距離から行うとともに、多くのセンサのいずれか1つに適用可能である。各センサは、ローカル道路網上の一意の「アドレス(address)」を有し得る。このように、ネットワーク通信は、ノードセンサからネットワークひいてはセルラークラウドまでと、ファームウェアのアップグレード、感度の調節、または他の機能のため、コントローラのデスクトップからセルラーネットワーク、ゲートウェイ、そして最終的には1つまたは複数のノードまでと、の両者について双方向である。
【0038】
誤トリガーまたは検出漏れを防止する任意選択としての複数のセンサ
装置100/300のいくつかの実施形態においては、長尺の減衰器(long attenuator.)に複数のセンサが適用されていてもよい。人工知能(Al)ソフトウェアまたは標準的なアルゴリズムによって、各ユニットから送信された振動データを比較することにより、振動が通常の道路活動(たとえば、トラックの通過、強風、地震)と関連するのか、実際の衝撃を表すのか、をより確実に判定可能である。減衰器が何メートルもの長さを有し得るため、ある部分に車両が衝突しても、別の部分には衝撃加速度が発生しない可能性もある。複数のセンサによれば、冗長性およびより広い検知範囲の両者が可能となる。本発明の新規の一態様には、非常に低いコストでバッテリ寿命の長いセンサの使用により、メッシュネットワークに沿って単一のセルラーまたは光ファイバ接続点にデータを受け渡し可能となる利点を含む。たとえば、衝突クッションに沿った複数の位置に5つの低コストセンサ100/300を配置して、それぞれのデータを単一のセルラーモデムに受け渡すことができる。振動データが中央サーバに送られると、AIソフトウェアまたは他の標準アルゴリズムは、そのパターンがバックグラウンドノイズに対する実際の事象を表すかを判定可能である。また、真の衝撃を確認するための決定因子として、運動の継続時間を調整することができる。センサは、ローカルメッシュまたは他の無線ネットワークの一部である。
【0039】
図2を参照して、セルラー接続を有する1つまたは複数のゲートウェイ200/300は、装置100/300のネットワークおよび当該ネットワークを共有する他の装置の1つまたは複数のセンサから信号を受信可能である。ゲートウェイ200/300は、
図2に示すバリケード式警告ランプ(barricade-style warning lamp)250、速度センサ、トラフィックコーン(traffic cone)、バレル(barrel)、または別の視線誘導標等の衝撃センサ内に含まれていてもよいし、道路上の取り付け装置に取り付けられていてもよい。ノード100/300についても同様に、接着テープによって、高速道路上の任意の資産に取り付けられていてもよい。
【0040】
図2に示すセンサ100/300としては、装置100/300がバッテリレベル、動作状態、衝撃履歴、温度、他のパラメータ、または衝撃事象等の正常性ステータスを範囲内のネットワークの他の装置に送信できるようにするローカルメッシュまたは他の種類の無線ネットワークの一部が可能である。これら他の装置のうちの1つがセルラーまたは光ファイバネットワークに接続された後、クラウドおよびインターネットに接続されて、PCダッシュボードまたはモバイルスマートフォン上の表示が行われるようになっていてもよい。道路上に配置された他の装置(たとえば、
図2に示すランプ250または速度モニタ)は、同じネットワーク内で動作し、回路基板100に見られるのと同じ構成要素を回路基板に組み込んでいる場合、ネットワークにつながり、ネットワークを介してデータを他のノード100/300に受け渡し、その正常性ステータスまたは収集データをゲートウェイ装置200/300によって同様にクラウドへと送信させるように要求することができる。別の態様において、装置100/300は、ゲートウェイ200/300を用いて、そのデータをクラウドに送信するようにしてもよい。このように、多くのセンサすなわち高速道路上の装置(ランプ、速度センサ、加速度計、(ランプの点滅ステータスをモニタリングする)ランプ光検出器のいずれを問わず)が単一のセルラーモデムを介してそれぞれの正常性ステータスおよび事象ステータスを送信することを目的に、共有状態でネットワークにつながることができる。制御情報も同様にランプまたはセンサに送られ、装置のオンまたはオフの調節、ランプの輝度、運動センサの感度、または車両計数装置の範囲の調整がなされるようになっていてもよい。これらの装置は、セルラーゲートウェイ200/300の範囲内である必要はない。これらは、ネットワーク中の別の装置(センサ100/300またはゲートウェイ200/300)の範囲内となることで通信する。加速度センサが備わった複数の点滅ランプを含み、視覚的なガイダンスを提供するのみならず、衝撃も報告するような配備も考えられる。これらのランプは、ローカルメッシュネットワークの一部として、それぞれのステータス(衝撃事象を含む)をセルラーゲートウェイに送信し、適当な担当者にアラートとして配信することができる。
【0041】
図3は、衝突クッション380が道路に据え付けられた様子ならびにノードセンサ、カメラ、およびゲートウェイの配備の一例である。道路分離の境界設定のためにコンクリートバリア310が使用される。コンクリートバリアの端部との衝撃から車両および運転者を保護するため、衝突クッション380が採用されている。ノード100/300は、加速度計と、クラウド1への事象の送信およびクラウド1からの指示の受信のための無線通信コンポーネントと、を備える。衝突クッション380が衝撃を受けた場合は、ノード100/300がその移動を検出して、アラートをゲートウェイ200/300に送信する。ゲートウェイ200/300は、周期的にクラウド1につながって、システムの正常性ステータスを定型的にチェックするが、いずれかのノード100/300からの割り込み信号があれば、直ちにクラウド1につながる。カメラ340もまた、ノード100/300およびゲートウェイ200/300を含むメッシュネットワークのメンバーである。ノード100/300が衝撃を記録し、アラートを送信した場合、カメラ340は、過去3秒間の200ミリ秒ごとに取り込まれた静止画を保存して送信することになる。これらの画像は、ノード100/300により取り込まれた加速度データと併せてゲートウェイ200/300に送信され、これらのデータがセルラーまたは光ファイバ接続を介してクラウド1に転送されることになる。その後、クラウド1は、インターネットを介して、保守施設の適当な担当者のほか、国もしくは州の交通管理システムならびに適当な法執行官にアラートを転送する。その州では、州DOT交通管理システムへの低コストの高速通信を可能にする光ファイバインフラを導入している可能性がある。ゲートウェイ200/300は、接続箱360に配置されていてもよく、アラート、正常性ステータスを送信し、コマンドを受信するためのクラウド1へのセルラー接続を要するのではなく、月額コストなしで光ファイバを介して送受信可能である。
【0042】
図4は、単一のゲートウェイを介してクラウドサーバにつながった複数のセンサを示している。西行きおよび東行き交通の出口はそれぞれ、衝突クッション380により保護されている。東行き衝突クッション380にはノードセンサ100/300が備わる一方、西行きクッション380にはゲートウェイ200/300が備わっている。両装置100/300および200/300とも、同一または同様のセンサを備え、衝撃を検出可能である。装置200/300は、セルラーモデムをさらに備え、セルラー接続または光ファイバ接続を利用する。東行きクッション380の衝撃に際して、センサノード100/300は、衝撃を検出するとともに、西行き出口に配置されたゲートウェイ200/300にアラートを送ることになる。ゲートウェイ200/300は直ちに、クラウド1につながって、アラートを適当な担当者に送信する。カメラ340をネットワークに含めることも可能である。クラウド1サーバでの衝撃通知の受信に際しては、クラウド2を利用するDOT等の他の機関にアラートが送信されることになる。
【0043】
図5は、ゲートウェイ型の回路基板の一例を示している。ノード回路基板100(図示せず)およびゲートウェイ200(
図5に示す)に実装されるコンポーネントには、GPSアンテナ104(GGBLA.125.A、タオグラスユーエスエイ社(Taoglas USA)、カリフォルニア州、サンディエゴ)、GPS CNSS受信器106(GGBLA.125.A、タオグラスユーエスエイ社(Taoglas USA)、カリフォルニア州、サンディエゴ)、MCU送受信機108(CC2530F256RHAR、テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)、テキサス州、ダラス)、加速度計118(LIS2DH12TR、STマイクロ社(ST Micro)、スイス、ジュネーブ)、電圧調整器112(UM1460S-33、ユニオンセミコンダクター社(Union Semiconductor)、中国、香港)、LEDドライバ114(BCR421、ダイオーズインコーポレイテッド社(Diodes Incorporated)、テキサス州、プレイノ)、および温度/湿度センサ116(HTS221TR、STマイクロ社(ST Micro)、スイス、ジュネーブ)のうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。任意の温度/湿度センサ116が装置100/300のエリアの温度および湿度、または温度もしくは湿度を正確に検知できるように、風雨保護フィルタ付きの通気口をキャビティの壁に形成することによって、キャビティへの周囲空気の循環を可能にするようにしてもよい。上掲のコンポーネントは、存在する場合、少なくとも以下の機能を実行するようにしてもよい。
【0044】
- GPSアンテナ104およびGPS CNSS受信器106によれば、ノードまたはゲートウェイ装置は、グラウンド・トゥルースデータ(Ground Truth data)およびGPSによる他の情報の両方またはそのいずれかを送受信可能となる。GPSアンテナ202およびGPS CNSS受信機を使用して受信および送信可能、または受信もしくは送信可能な情報の種類の例としては、装置の正確な位置(たとえば、経度/緯度)のほか、正確なタイミングが挙げられる。衛星に基づくGPS GNSS信号には、正確なタイミング情報が含まれるが、これを使用することにより、低デューティサイクル同期よりも少ない電力でメッシュネットワークの無線送受信タイミングを同期させることができる。正確なGPS GNSSタイミング情報がない場合、メッシュネットワークのノードは、周期的に(たとえば、約100ミリ秒間隔で)「ウェイク状態」となり、他のノードとつながってそれぞれのクロックをリセットする必要がある。そうしなければ、内部MCUクロックがドリフトする可能性がある。GPS GNSSで利用可能な外部クロック基準により、再同期に使用されるデューティサイクルをはるかに低くすることができる。ノードは、たとえば約30秒間隔でウェイク状態となり得る。他の態様において、ノードは、約30秒以外の間隔でウェイク状態となり得る。このため、GPS GNSS回路は、位置情報のみならず、タイミングおよびメッシュ同期も提供する。
【0045】
- MCU送受信機108は、それが配置されたノードまたはゲートウェイ装置に対する無線高周波伝送を可能にする。MCU送受信機108を使用して受信および送信可能、または受信もしくは送信可能な情報の種類の例としては、上記で言及し、本明細書に明示的に援用するさまざまな米国特許および米国特許出願公開に記載の通り、ネットワーク化装置の動作を順序付けまたは制御するための情報のほか、個々のネットワーク化ノード装置のステータスおよび機能の両方またはいずれかに関する情報をゲートウェイ装置との間で送り合い、そのゲートウェイ装置が結果として送受信可能となる情報(たとえば、GPS GNSS位置、加速度計で検知された重力に対する動きおよび向き、検知温度、検知湿度、LED動作モード/パターン/ステータス、ソフトウェア/ファームウェア更新、または電話、光ファイバケーブル(利用可能な場合)、インターネット、クラウドベース、セルラー、車両直接通信、もしくは他の手段等を介した1つまたは複数の遠隔位置(たとえば、コントロールセンター)への伝達情報)が挙げられる。
【0046】
- 加速度計118は、それが配置された任意の装置の動きを検知し、動きに関する情報(装置が車両による衝撃を受けたこと、風で転倒したこと、あるいは意図した位置または場所から移動したことの通知等)を可能にする。
【0047】
- 電圧調整器112は、電圧調整を提供する。
- LEDドライバ114は、駆動および制御を行う。
- 温度/湿度センサ116は、周囲温度および湿度を検知する。
【0048】
回路基板200は、以下に記載のセルラーモデムおよび関連するコンポーネントを当該200が具備する点を除いて、回路100と同一である。
ゲートウェイ回路基板200(
図5)に実装されるコンポーネントには、ノード回路基板100上に示すコンポーネントのうちの1つまたは複数のほか、セルラーアンテナ202(FXUB63070150C、タオグラス社(Taoglas)、カリフォルニア州、サンディエゴ)、セルラーモデム204(B402、パーティクル社(Particle)、カリフォルニア州、サンフランシスコ)、ソーラー発電/充電回路206(SVT1040、STマイクロ社(ST Micro)、スイス、ジュネーブまたはBQ25505、テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)、テキサス州、ダラス)といった付加的なコンポーネントのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。これらの付加的なコンポーネントは、存在する場合、少なくとも以下の機能のうち1つまたは複数を実行するようにしてもよい。
【0049】
- セルラーアンテナ202およびセルラーモデム204は、ゲートウェイ回路基板202が内在するゲートウェイ装置とのセルラー通信を可能にする。セルラーアンテナ202およびセルラーモデム204を使用して受信および送信可能、または受信もしくは送信可能な情報の種類の例としては、セルラー等の通信を介して(電話通信、インターネット、クラウドベース、または他の手段等を介して)情報を1つまたは複数の遠隔位置(たとえば、コントロールセンター)に送信/受信することが挙げられる。光ファイバ通信網があれば利用可能であって、今日では一般的に、各州の運輸省等のインフラ提供者が提供している。これらは、高速道路沿いの接続箱に配置されるが、作業ゾーンの範囲内では、ゲートウェイ200の回路基板を光ファイバケーブルシステムに直接差し込むように構成することで、セルラーモデムのハードウェアコストならびに毎月の経常的な接続料金およびサーバ料金を回避することも可能である。ノード300/100は、ゲートウェイ300/200と通信し続けることになる。ただし、光ファイバ通信を利用可能な配備において、ゲートウェイ300/200は、セルラーではなく、光ファイバネットワークを使用してクラウド1につながることになる。
【0050】
- ソーラー発電/充電回路206は、適正に接続された任意のソーラーパネル(後述の305)から電力を抽出し、このようなエネルギーを使用して1つまたは複数のバッテリを充電することにより、統合されたエネルギー管理を提供する。
【0051】
図6は、ノード回路基板100またはゲートウェイ回路基板200を内蔵可能なハウジング装置300の非限定的な一例を示している。そして、このハウジング300は、任意好適な種類の交通案内装置(たとえば、コーン、視線誘導標、バレル、フェンス、フレア(flare)、警告灯、標識、電子路側表示等)またはその他任意の物体(車両、建設機械、路上落下物等)に取り付けられていてもよいし、配置されていてもよい。図示の例において、このハウジング300は、回路基板100または200が内蔵された内側キャビティ304を有する筐体を備える。バッテリBがハウジング装置300に内蔵されて装置に給電し得るように、バッテリ端子306が設けられている。また、回路基板100または200がソーラー発電/充電回路206を具備する実施形態において、このハウジング装置300は、ソーラーエネルギーを収集・使用して装置への給電およびバッテリBの充電の両方またはそのいずれかを行うソーラーパネル305および関連する回路を具備していてもよい。回路基板100または200が温度センサ116および湿度センサ116の両方またはそのいずれかを具備する実施形態においては、任意の温度センサ116がハウジング装置300のエリアの温度および湿度、または温度もしくは湿度を正確に検知できるように、風雨保護フィルタおよび関連するダクトの両方またはいずれかを含み得る通気口308を設けることによって、キャビティ304への周囲空気の循環を可能にするようにしてもよい。
【0052】
図7は、複数の衝突クッションおよび他の物体が道路上に存在する高速道路スマート作業ゾーンの非限定的な一例を示している。本開示に記載の衝撃センサは、モニタリングが必要な高速道路上の任意の資産に搭載可能である。これには、標識、バレル、衝突クッション、トラフィックコーン等を含む。図示のように、これらのコーン、バレル、または標識等の他の物体が路面上で一列に配置されることにより、車線の一部閉鎖等、交通が狭まるエリアを区切っている。コーン搭載装置10aにはそれぞれ、ノード回路基板100が備わっているが、これは(300ではない)代替的な筐体中であってもよい。また、このスマート作業ゾーンでは、
- 複数のひし形の携帯型警告標識310であり、それぞれに上述のようなノード回路基板100が備わったハウジング300が取り付けられた、携帯型警告標識310と、
- 矩形のポスト搭載標識320であり、上述のようなノード回路基板100が備わったハウジング300が取り付けられた点滅警告灯326を有する、ポスト搭載標識320と、
- 交通を左側へ誘導する発光矢印を示すようにプログラムされた一連の電子表示322であり、上述のようなノード回路基板100が備わったハウジング300が取り付けられた、電子表示322と、
- 反射交通バレル324であり、ゲートウェイ回路基板200が備わったハウジング300が取り付けられた点滅警告灯326が搭載された、反射交通バレル324と、
を含む多くの付加的な物品が道路の片側に沿って配置されている。
【0053】
図7の例において、これらの物体のいずれかがぶつけられた場合は、アラート信号がメッシュネットワークに沿って送信され、最終的にはゲートウェイに到達することになる。レイテンシすなわち時間遅延は、ミリ秒単位で測定される。アラートの受信に際して、ゲートウェイ200/300は、クラウド1につながって、適当な担当者への通知を行うことになる。各装置がGPS GNSS位置およびタイムスタンプを有することから、担当者は、装置の位置および装置がぶつけられたタイミングを把握することになる。
【0054】
図7は、単一のセルラーまたは光ファイバ接続を使用することにより低コストで、複数の低コストのセンサが道路の車両-物体間衝撃をほぼリアルタイムに通知可能であることを示す。本発明は、定置衝突クッションに限定されず、仮設交通制御装置にも使用可能である。(300/100を付した)センサノードが備わった視線誘導標(たとえば、トラフィックコーン、バレル、バリケード)のいずれかが衝撃を受けた場合は、メッセージがゲートウェイ300/200により受信されるまで、アラートが送信され、ネットワークに沿って通過することになる。
【0055】
また、制御信号は、クラウド1を介して、バレル324に搭載されたゲートウェイ装置300/200に送られ、このゲートウェイ装置が高周波伝送によって、このような制御信号をネットワーク中のすべてのノード装置に送信するようにしてもよい。このように、コントロールセンターがノード装置に対して、任意所望の設定変更(たとえば、LEDの点滅頻度、パターン、順序、または色の変更)、ソフトウェア/ファームウェアの更新等を遠隔送信するようにしてもよい。
図8~
図16は、遠隔の装置をモニタリングして制御するように設計された電子回路を示している。
【0056】
図8は、「RFエンジン」と称して、単一のシステムオンチップ(SoC)におけるテキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のCC2530マイクロコントローラ(U1)および2.4GHz無線送受信機を記載する。この装置は、8051シリーズのマイクロコントローラを内蔵する。MCUは、10ピンコネクタを使用することにより、J1ヘッダを介してプログラムされている。2つの水晶が利用されており、X1は、無線通信のタイミングをとるための32メガヘルツ水晶である。一方、X2は、低電力スリープモードでのウォッチドッグタイムを制御するための32.768キロヘルツ水晶である。
【0057】
図9は、無線周波数レンジエクステンダー(radio frequency range extender)(U2)の設計を示している。
図8に記載のCC2530 MCUは、逆Fトレースアンテナ(inverted-F trace antenna)を直接駆動することができる。ただし、無線範囲を広げるため、CC2592(テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のレンジエクステンダーを追加すると、CC2530の無線周波数出力信号が増幅される。これは、ANT出力にコンデンサおよびインダクタにより示されるPiネットワークを使用して、50Ωのインピーダンス、2.45GHzの共振周波数で逆Fトレースアンテナを駆動する。
【0058】
図10は、U3およびU4の回路を規定する。U3は、より多くの制御機能を提供するように組み込まれた入出力拡張器(I/O拡張器)である。CC2530 MCU SoCは、入出力が21個に限られていた。温度検知、GPS NGSS、加速度計、セルラー通信等の追加により、付加的なI/Oが使用される。このMCP23S17(マイクロチップコーポレーション社(Microchip Corporation))は、16個の付加的な外部制御を提供する。部品番号23K640(マイクロチップコーポレーション社(Microchip Corporation))のU4は、データの収集、送信、および格納のための付加的なメモリを提供する。また、このコンポーネント(外部RAM)は、CC2530および関連するコンポーネントに対するOTA(Over the Air)更新を行うためのメモリを提供する。コンポーネントU3およびU4への伝達には、SPIバスが用いられる。
【0059】
図11に示すコンポーネントU17およびU5を利用することにより、温度、湿度、および加速度(衝撃)が検知される。また、これらは、SPI通信バスを介して、MCU U1への伝達も行う。温度および湿度を検知するU17(STマイクロエレクトロニクス社(ST Microelectronic))は、封止筐体の外側の大気に通じた風雨保護通気口を使用する。加速度計(LIS2DH12)U5(STマイクロエレクトロニクス社(ST Microelectronics))は、遠隔調整によって、感度を調整することができる。生産時の検証およびテストには、低電力インジケータLED、LED1、およびLED2が用いられる。
【0060】
U9(
図12に示すGPS GNSSシステム(LC79DA、クエクテル社(Quectel))は、UARTプロトコルを介した通信を行う。これは、別個の電力調整器U6(SGM2019)を1.8ボルトで使用する。MCUが3.3ボルトで動作することから、I/Oにはレベル変換が使用され、U7およびU8(テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のTXS104)で実現される。
【0061】
バッテリの充電を利用する装置には、ソーラー発電機BQ25505 U12が利用される。
図13に示すこのテキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のコンポーネントは、ソーラーパネル(太陽光発電パネルSP1およびSP2(任意選択))からの低電力入力を変換して、リチウムイオンまたはリチウムイオンバッテリを充電する。U10およびU11は、バッテリが放電した場合に負荷を切り離し、太陽光を数時間利用して再充電するためのスイッチである。これにより、負荷が電力を消費することなく、より高速に再充電可能となる。
【0062】
図14では、GPS GNSSおよびパーティクル社(Particle)のモデムがUARTプロトコルを用いてMCUと通信するため、シリアル変換器(UA13)がSPIをUARTに変換する。U13(SC16IS760IBS)は、NXPインク社(NXP Inc.)により製造されたものである。
【0063】
このメッシュネットワークにおける通信は多対1であるが、セルラー経由でクラウドとつながる装置は、
図15に示すセルラーモデムを利用する。U16は、パーティクル社(Particle)モデムのプラグインヘッダ(plug-in header)である。U14(テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のTPS61023)は、4ボルトをパーティクル社(Particle)モデムに供給するブースト電圧調整器である。また、このモデムは、(使用しない場合にオフかつ低電力消費に)切り替え可能な3.3ボルトを使用する。U15(ユニオンセミコンダクター社(Union Semiconductor)の低損失調整器(LDO-UM1460))は、3.3ボルトをパーティクル社(Particle)モデムに供給して、モデム上のロジックを制御する。
【0064】
図16は、触覚スイッチ、インジケータLED、および光検知回路(Q3)を記載する。これらのコンポーネントは、生産および封止筐体への挿入に先立って、回路基板の組み立ておよび最終テスト時に使用される。
【0065】
付加的な実施形態
衝撃事象の発生の識別に使用可能な任意選択としてのカメラ:任意選択としてのカメラを組み込んだ装置340のいくつかの実施形態において、このカメラは、衝撃事象の車両または他の原因のビデオテープまたは連続静止画を提供するように構成されていてもよい。いくつかの用途においては、連続静止画の方が電力消費および伝送データを抑えられるため、ビデオカメラよりも連続静止画を取得するカメラの方が望ましい場合もある。物体OBに激突した車両VのナンバープレートLPおよび運転者の両方またはそのいずれかの画像を得るように構成された任意選択としてのカメラが装置340に備わっている場合は、車両Vの所有者または運転者に金銭的または法的責任を課す目的で、このような情報を使用することも可能である。この特徴は、インフラの交換または修理に関して金銭的責任を負うエンティティに対して、大きな経済的誘因を与える。いくつかの実施形態において、装置340の任意選択としてのカメラは、ビデオループまたは連続ビデオを取り込むのではなく、たとえば約200ミリ秒間隔で、クッションへの接近の静止スナップショットを取得するようにしてもよい。他の実施形態において、カメラは、200ミリ秒よりも長い間隔または200ミリ秒よりも短い間隔で画像を取り込むことができる。200ミリ秒の時間に、たとえば5枚の画像が保存され、新しい画像はそれぞれ、1000ミリ秒前に取得された画像を「押し出す(push out)」ことになる。本実施形態においては、5枚の画像が保存される。他の実施形態においては、6枚以上または4枚以下の画像が保存される。プロセッサは、たとえばメモリカード等の非一時的メモリをさらに備えていてもよいし、非一時的メモリにアクセスするようにしてもよく、また、衝撃事象に先立ってカメラにより取得されたある数(たとえば、5枚、5枚以上、または4枚以下)のスナップショットを格納することにより、ナンバープレートおよび運転者の両方またはそのいずれかの画像を取り込むようにプログラムされていてもよい。これらの画像はその後、装置340からダウンロードされるようになっていてもよいし、送信機によってクラウドベースの遠隔位置に送信され、PCダッシュボードまたはスマートフォン、ソフトウェアアプリケーションまたは他の好適なアプリケーションに送達されるようになっていてもよい。センサが衝撃で破壊され、セルラーシステムにつながらなくなった場合でも、非一時的メモリ(たとえば、メモリカード)は、衝撃で破壊されず、格納画像を依然として復元・使用できるように、遮蔽、密閉、あるいは保護されていてもよい。
【0066】
賠償:運転者の衝突クッションへの激突による損傷のコストに対応する賠償は、州および自治体にとって大きな関心事である。車両の識別を必要とする賠償の代替手法には、運転手のBluetooth(登録商標)電話、車両の一意のBluetoothアドレス、または車両の電子料金徴収装置とのペアリングを含み得る。衝撃に際して、衝撃センサ装置は、たとえば3秒より長く範囲内にあったBluetooth装置の一意のアドレスを記録可能である。スピードを出して走行する自動車がBluetoothの範囲内となるのは、数ミリ秒または1秒もしくは2秒の間である。車両が衝突クッションにぶつかって一時的に停止した場合は、Bluetooth識別が数秒間にわたって接続確認されることになる。これは、Bluetoothアドレスが減衰器にぶつかった車両と関連することを示している可能性もある。同様に、将来の車両は、パーキングメータ、有料道路(たとえば、ファストラック(Fasttrack))用の一意の電子(無線周波数)識別子を有することになる。
【0067】
運転者識別の代替:センサは、Bluetoothプロトコルを使用して、車両のBluetoothアドレスまたは運転者のスマートフォンのBluetoothアドレスの一意の識別子を取り込むことができる。車両の場合は、車両製造業者によって、型式を表すように車両のメーカおよび型式が一意にプログラムされているため、そのメーカおよび型式が提供されることになる。運転者の携帯電話のBluetoothアドレスは、(体系化されていないために)検索機能は提供しないものの、運転者が後で他の手段により識別され、センサが取り込んだBluetoothアドレスによって衝撃を確認できる場合に使用可能である。たとえば、車両がクッションに激突し、バックして走り去った場合、車両および電話のBluetoothアドレスは、標準的な走行を超える時間にわたって、センサに近接したことになる。衝撃が発生し、数秒間にわたってBluetoothアドレスが識別される場合は、これらがリンクし合っているものと確定可能である。
【0068】
ファストラック(Fast-Track)識別:所要の許可または法的権限があれば、警察は、一意の電子料金徴収またはファストラックアドレスを通じて、車両を識別することも可能である。衝突クッションセンサは、ファストラックセンサをモニタリングして、衝撃時に自動車を識別することも可能である。
【0069】
将来の自律走行車:将来の自律走行車は、多様な理由で一意の識別子を送信することになる。クッション上または高速道路上のいずれかの場所に配置されたセンサは、車両のIDをモニタリングし、情報をクラウドベースのネットワークおよびサーバダッシュボードに送信するか、または、車両に直接送信して位置を処理するとともに、回避すべき潜在的物体のアラートを提供可能である。高速道路上のセンサノードは、車両直接リンクまたはセンサ(ノード)-ゲートウェイ/クラウド-車両/クラウドを介してGNSS位置を車両に戻すことにより、道路資産および障害物の正確なマッピングデータを提供する。
【0070】
運輸省:センサは、それぞれの「正常性ステータス」(たとえば、バッテリ電圧、温度、位置)を送信するほか、無線等の電磁スペクトル信号を放出して、潜在的な危険の存在を自律走行車に注意喚起することができる。将来の自律走行車がインフラ-車両間の無線または電磁信号情報を受信するようにしてもよいし、センサが資産に関するそれぞれの情報をゲートウェイ200/300およびクラウドに送信することも可能である。そして、この情報は、セルラー-クラウド-車両を介して自律走行車に送達可能である。たとえば、道路上の物体または構造物と周囲温度との熱の差を示す短波長赤外線スペクトルにて注意喚起することができる。自律走行車は現在、前方監視型赤外線装置(Forward Looking Infrared : FLIR)を使用して物体を識別しており、将来的にもそれを継続することになりそうである。センサならびに他の視線誘導標もしくは作業ゾーンの資産には、車両に使用される車載センサの波長の熱源または赤外線発生器をタグ付け可能である。同様に、仮配備の可視LEDフレアが適正なスペクトルの赤外線源を具備することにより、可視光のみならず、熱を示す赤外線エネルギーを放出可能である。
【0071】
品質モニタリングおよび検査:衝突クッションは、衝撃を受けた後および衝撃履歴がない場合でも定期的に検査するものとする。検査者と関連付けられたスマートフォンおよびこのシステムに結び付けられた適当なアプリケーションは、ジオフェンシング(geo-fencing)の概念を用いて、時刻、日付、および位置の記録を残すことにより、スマートフォンが装置10から指定の距離(たとえば、約10メートル)内となるように、検査者がクッションに十分近づいて目視検査を行った旨を記録することも可能である。これによって、紙による記録およびデータ入力が不要となる。
【0072】
州運輸省交通管理システムとの統合:各州DOTは、主要道路の道路状況、事故、交通等をモニタリングするため、交通管理システム(traffic management system : TMS)を維持する。各州は、本明細書に記載の装置にリンクされたダッシュボードを使用して安全装置をモニタリングする必要はなく、本発明により生成されたデータをゲートウェイからセルラーネットワークに転送し、アプリケーションプログラムインターフェース(API)を用いて既存のTMSに送達可能である。これは、州の交通モニタリングを一本化して担当者が観測するのに役立つ。
【0073】
専門用語
以上、本発明の特定の例または実施形態を参照して本発明を説明したが、当然のことながら、本発明の意図する思想および範囲から逸脱することなく、上記説明した例および実施形態に対するさまざまな追加、削除、変更、および修正が可能である。たとえば、ある実施形態または例の如何なる要素、ステップ、部材、構成要素、組成物、反応物、部品、または部分も、別段の指定のない限り、あるいは、そうすることによって当該実施形態または例がその意図する用途に不適とならない限り、別の実施形態または例に組み込むことも可能であるし、別の実施形態または例と併用することも可能である。また、方法またはプロセスのステップが特定の順序で記載または列挙されている場合、別段の指定のない限り、あるいは、そうすることによって当該方法またはプロセスがその意図する目的に不適とならない限りは、このようなステップの順序を変更可能である。さらに、本明細書に記載の如何なる発明または例の要素、ステップ、部材、構成要素、組成物、反応物、部品、または部分も、別段の断りのない限り、その他任意の要素、ステップ、部材、構成要素、組成物、反応物、部品、または部分が存在しない状態または実質的に存在しない状態で、任意選択的に存在することも可能であるし、利用することも可能である。すべての合理的な追加、削除、修正、および変更は、記載の例および実施形態の同等物と考えられ、以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0074】
特許請求の範囲の記載内容
以下の特許請求の範囲の記載内容は、一般的に特許請求の範囲の形式で、本発明のいくつかの、すべてではない、潜在的に請求可能な態様をさらに開示、指定、および規定するために示すものである。