(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】家畜舎用床とその利用方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A01K1/015 Z
A01K1/015 B
(21)【出願番号】P 2023017360
(22)【出願日】2023-02-08
【審査請求日】2023-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508015276
【氏名又は名称】北ノ坊 純一
(73)【特許権者】
【識別番号】523044529
【氏名又は名称】稲吉 一臣
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(74)【代理人】
【識別番号】100076576
【氏名又は名称】佐藤 公博
(72)【発明者】
【氏名】北ノ坊 純一
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 一臣
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7134533(JP,B1)
【文献】特開2014-051411(JP,A)
【文献】特開2003-199452(JP,A)
【文献】特開平02-104225(JP,A)
【文献】米国特許第04845907(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上に施した止水層の上に、細長く設置された細長のコンクリート層からなる第1の層と、第1の層の長手方向の側面に隣接する細長の第2の層とがストライプ模様状に各層交互に複数設置されており、
第2の層の上面は第1の層の上面より低くなっており、第2の層は透水性アスファルト舗装層と更にその上に透水性レジンモルタル加工層を施した層であり、
餌場に隣接する床の層は第1の層であるコンクリート層からなるが、その上面から見た幅が他の第1の層より幅が広く、家畜がエサを食べに来るときに前足が餌場に隣接する床の第1の層の上に乗る幅を有するコンクリート層であり、餌場に隣接していないこれ以外の第1の層の各層の上面から見た幅は、餌場に隣接する床の第1の層の幅より狭く、前記第2の層の幅は、糞尿で汚れた敷料を回収するために使用する家畜用ホイールローダーのバケットの横幅より狭い透水性層からなり、
餌場に隣接する第1の層以外の第1の層の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプが各第1層において少なくとも1つ設けられており、
かつ、前記第1と第2の層の下部は、隣接方向に傾斜勾配が付され、また、前記止水層においても、前記第1の層と第2の層の下部を横切って透過してきた水分が集められるよう、前記止水層上面も同様の傾斜勾配が付され排水孔を設けて浄化槽に連絡する構造を有することを特徴とする家畜舎の床。
【請求項2】
前記餌場に隣接する第1の層であるコンクリート層の上面から見た幅が60~80cmであり、餌場に隣接していない第1の層であるコンクリート層の各層の上面から見た幅は、それぞれ15~30cmであり、前記第2の層の各層の上面から見た幅が150~200cmである請求項1に記載の家畜舎の床。
【請求項3】
第2の層の上面は第1の層の上面より1~2cm低くなっていることを特徴とする請求項1に記載の家畜舎の床。
【請求項4】
第1の層の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプがこれらの各第1層において長さ6~10mに付き1個設けられている請求項1に記載の家畜舎の床。
【請求項5】
第1の層の上側長手方向の縁が、面取りされている請求項1に記載の家畜舎の床。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の家畜舎の床の上に、敷料として、土壌1g中に休眠状態の発酵微生物菌を12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を用い、
前記敷料である低密度熟成土壌が糞で汚れ及び/または尿などで湿ってきた汚物含有低密度熟成土壌を家畜舎用ホイールローダーで回収し、密閉可能な発酵槽に装入するか、又は、前記ホイールローダーで回収した前記汚物含有低密度熟成土壌に紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して前記発酵槽に装入する再生第一工程、
前記再生第一工程で装入された汚物含有低密度熟成土壌の入った発酵槽を密閉し、外気と遮断して空気を発酵槽下部から当該空気がほぼ均一に前記汚物含有低密度熟成土壌の層を通過するように循環させて、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵させ、該発酵に伴って前記汚物含有低密度熟成土壌層の上部に発生した発酵蒸気を空気と液体とに分離して液体を除去し、該分離された空気を前記発酵槽内に戻し、前記汚物含有低密度熟成土壌層を通して前記密閉発酵槽内を循環させるようにして、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵熟成させたのち、前記循環空気を冷却して循環させ、発酵を止め、休眠状態の発酵微生物菌を12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を再生する再生第二工程、
とを含む見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌の再生方法により再生された休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の家畜舎の床の上に、敷料として用いることを特徴とする家畜舎の床の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜舎用の床及びその利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家畜舎の床に敷かれる敷料は、例えば、藁、もみ殻、おが粉、干し草など家畜の糞や尿の水分を吸収する有機材料が使用されているが、汚れた敷料と糞尿は、日本においては家畜排せつ物法により、建造物である堆肥舎に搬入し堆積(野積みは禁止されている)され、その中に、自然界の有機物分解微生物(好気性菌、嫌気性菌、等々)を取り込んで、攪拌移動しながら発酵させて堆肥にすることが義務づけられている。
【0003】
前記堆積物の中心部では嫌気性菌によりゆっくり分解が進むが、好気性菌を取り込むために攪拌移動する作業が必要になる。この攪拌移動作業は重労働であり、およそ1~3日おきに堆肥完成までに120日ほど作業しなければならないし、製造した堆肥は、肥料として使用してもらわないと堆肥がたまることになるが、堆肥が売れないでたまるという問題もある。しかもかかる堆肥化のために長期間悪臭環境下での作業が必要になり、人手不足の主因にもなっている。このような糞尿で汚れた敷料は日本では、家畜排せつ物発生量として年間8千万トンと推計されている。かかる問題で畜産業は困難な問題に直面している。
【0004】
これらの問題を緩和するため本発明者は、先に、特許第7134533号(下記特許文献1)において、休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を家畜舎の床の上に敷料として用いること、用いた敷料が家畜の糞尿で汚れた場合、当該敷料を回収し、再生処理することにより、再度、敷料として使用できること、当該家畜舎の床として、地盤上に施した止水層の上に、透水性アスファルト舗装層、更にその上に透水性レジンモルタル加工層を施した床材構成であって、前記止水層が、透水性レジンモルタル加工層と透水性アスファルト舗装層を透過してきた水分が集められるよう、傾斜勾配が付され、排水孔を設けて浄化槽に連絡する構造を有する家畜舎の床を提案し、かかる床材を用いた上で、上記敷料を使用することにより、透水性の良い、休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有する見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌の透水性と畜舎の床の透水性とで、糞と尿の水分を分離して敷料が湿るのを遅らせることができ、家畜の居住環境として快適なものとし得るとともに、この床材構成では、水分透過性があるので糞尿で汚れた低密度熟成土壌の水分を少なく保つことができ、それ故、糞尿で汚れた低密度熟成土壌を、元のような休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有する見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生するのに、家畜舎の床材が透水性層を有さない場合のように糞や尿の水分がほとんど残った低密度熟成土壌に比べ、再生リサイクルするための発酵処理が阻害されずに短期間での再生リサイクルができることを提案した。
【0005】
具体的な上記敷料の再生方法として、敷料として休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有する見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌が家畜の糞尿などにより汚れてきた場合に糞尿で汚れた敷料すなわち汚物含有低密度熟成土壌を回収し、これを密閉可能な発酵槽に装入するか、又は、前記汚物含有低密度熟成土壌に紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して前記発酵槽に装入する再生第一工程、
前記再生第一工程で装入された汚物含有低密度熟成土壌の入った発酵槽を密閉し、外気と遮断して空気を発酵槽下部から当該空気がほぼ均一に前記汚物含有低密度熟成土壌の層を通過するように循環させて、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵させ、該発酵に伴って前記汚物含有低密度熟成土壌層の上部に発生した発酵蒸気を空気と液体とに分離して液体を除去し、該分離された空気を前記発酵槽内に戻し、前記汚物含有低密度熟成土壌層を通して前記密閉発酵槽内を循環させるようにして、前記汚物含有低密度熟成土壌を150~170時間程度発酵熟成させたのち、前記循環空気を冷却して循環させ、発酵を止め、休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有する見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を再生する再生第二工程、
とを含む休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有する見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生、リサイクルする場合に、汚物含有低密度熟成土壌の水分含有率を低めに保ちやすく、従って、元のような低密度熟成土壌に再生するのに有利な状態の汚物含有低密度熟成土壌に保つことが容易な家畜舎の床材として好適な床材であることを提案した。前記敷料のリサイクルにより下記特許文献1に記載の発明は、かかる畜産ゴミの大量の蓄積と長期間にわたる悪臭環境が改善されることを見出した。しかも家畜舎の敷料として使用した場合に、見かけ比重が0.40~0.43の低密度土壌なので水分の透過性が優れ、家畜の飼育環境としても優れている。
【0006】
なお、初めて用いる場合の休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌の製造方法は前記特許文献1において詳細に説明されているので、本発明では、詳細説明を省略している。
下記特許文献2には、透水性コンクリートにより、上面が水平となり、下面が傾斜するように形成されたコンクリートと、前記コンクリート床の傾斜した下面と接合するように設けられた防水コンクリート層とからなる家畜舎の床が提案されている。
更に、下記特許文献3には、透水性の家畜舎の床として、上記特許文献1と類似の構成からなる、改良地盤9の上に樹脂防水層10、その上に転炉スラグと川砂とを混合した透水濾過層11、その上に粒径の大きな転炉スラグからなる透水路盤層12、最上層が珪砂をエポキシ樹脂などの高分子系接着剤により結合させた透水表層13からなり、透水表層13が透水路盤層12に接着された透水舗装部3である家畜舎の床が提案されている。
【0007】
しかして、近年の畜産業においては、家畜舎は生産性の点から一般に広い畜舎で家畜頭数を増やせるようにして、経営される傾向にあり、家畜舎の床は、糞尿で汚れた敷料を回収するのに近年は家畜用ホイールローダーで、床上に敷かれていた糞尿で汚れた使用済みの敷料を回収するが、それにより床面が破損されるのを、防止した構成とすることも要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第7134533号公報
【文献】特開2003-199452号公報
【文献】特公平4-48406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に提案された家畜舎の床は、上面側に透水性レジンモルタル化工を施した透水性アスファルト舗装層からなるが、その上に家畜が立ったり、歩いたリすることは問題なかったが、その後の検討で、牛の体重は600~800Kgにもなるので、餌場に向かって、エサを食べる場合に、仕切り柵の下側に頭をくぐらせて、やや前のめりになり、前足を踏ん張って食事をするので、前足に体重が多くかかり、足がついいた場所の前記の透水性レジンモルタル化工を施した透水性アスファルト舗装層に穴が開いてしまうという問題があることが分かった。また、近年は、畜産業においては、糞尿などで汚れた敷料を回収するのに、家畜舎用ホイールローダーを用いそのバケット(バケットの横幅は通常210から230cm)で家畜舎の床に接して汚れた敷料をすくい上げるのに使用されているが、ホイールローダーを用いそのバケットで床面がこすられるため、前記透水性レジンモルタル化工を施した透水性アスファルト舗装層が削られてしまうと言う問題点もあることがわかった。
【0010】
特許文献2に記載の床は、表層が透水性コンクリートからなるので、透水性コンクリートは骨材である砕石を結合している接着成分であるモルタルやセメントが透水性を持たせるため、いわゆる透水性でないコンクリートに比べて少なく、家畜用ホイールローダーのバケットで汚れた敷料を回収する場合に、透水性アスファルト舗装層と同様に、透水性コンクリートが削られてしまい骨材が散乱して牛などの家畜がけがをすると言う問題がある。
【0011】
特許文献3に提案された家畜舎の床も特許文献1とほぼ同様、粒径の大きな転炉スラグの上に透水性レジン加工層である珪砂をエポキシ樹脂等の高分子系樹脂接着剤により結合させて透水表層を形成したものであり、餌場近傍で餌を食べる場合に牛の前足にかかる体重の重みにより床に穴が開いてしまったり、家畜用ホイールローダーのバケットで汚れた敷料を回収する場合に、透水性アスファルト舗装層と同様に、透水表層が削られてしまうと言う問題がある。
【0012】
本発明は、家畜の居住環境として快適なものとし得、例えば、休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有する見かけ比重が0.40~0.43の低密度土壌などを家畜舎の敷料として使用する場合などの場合に、当該低密度土壌が家畜の糞尿により汚物含有の前記低密度熟成土壌となった場合に、それを元のような低密度熟成土壌に再生する場合の汚物含有低密度熟成土壌の水分含有率を低めに保ちやすく、従って、例えば、前記特許文献1に記載されている様に、元のような低密度熟成土壌に再生するのに有利な汚物含有低密度熟成土壌の条件に保つことなども容易で、透水性を有する家畜舎用床であってしかも親牛のような体重の大きな家畜が餌を食べるために餌場方向に寄ってきて前のめりになることにより前足に体重がかかっても、床面に孔などの損傷が生じにくく、糞尿で汚れた敷料を再生するために回収するのに使用される家畜用ホイールローダー等で、床上に敷かれていた糞尿で汚れた使用済みの低密度熟成土壌を回収したり、再生するために回収する際に、ホイールローダーのバケット(バケットの横方向の幅は通常210~230cm)により床面が削られたり破損するのを、防止できるとともに、居住させる家畜の居住性を全面コンクリート床に比べて良好に保持しやすい家畜舎の透水性の床を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)前記課題を解決するため、本発明の家畜舎の床は、地盤上に施した止水層の上に、細長く設置された細長のコンクリート層からなる第1の層と、第1の層の長手方向の側面に隣接する細長の第2の層とがストライプ模様状に各層交互に複数設置されており、
第2の層の上面は第1の層の上面より低くなっており、第2の層は透水性アスファルト舗装層と更にその上に透水性レジンモルタル加工層を施した層であり、
餌場に隣接する床の層は第1の層であるコンクリート層からなるが、その上面から見た幅が他の第1の層より幅が広く、家畜がエサを食べに来た際にふんばる前足が餌場に隣接する床の第1の層の上に乗る幅のコンクリート層であり、餌場に隣接していないこれ以外の第1の層の各層の上面から見た幅は、餌場に隣接する床の第1の層の幅より狭く、前記第2の層の幅は、糞尿で汚れた敷料を回収するために使用する家畜用ホイールローダーのバケットの横幅より狭い透水性層からなり、
餌場に隣接する第1の層以外の第1の層の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプが各第1層において少なくとも1つ設けられており、
かつ、前記第1と第2の層の下部は、隣接方向に傾斜勾配が付され、また、前記止水層においても、前記第1の層と第2の層の下部を横切って透過してきた水分が集められるよう、前記止水層上面も同様の傾斜勾配が付され排水孔を設けて浄化槽に連絡する構造を有することを特徴とする。
【0014】
(2)前記餌場に隣接する第1の層であるコンクリート層の上面から見た幅が60~80cmであり、餌場に隣接していない第1の層であるコンクリート層の各層の上面から見た幅は、15~30cmであり、前記第2の層の各層の上面から見た幅が150~200cmであることが好ましい。
【0015】
(3)前記家畜舎の床においては、第2の層の上面は第1の層の上面より1~2cm低くなっていることが好ましい。
【0016】
(4)前記家畜舎の床において、第1の層の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプがこれらの各第1層において長さ6~10mに付き1個設けられていることが好ましい。
【0017】
(5)前記家畜舎の床においては、第1の層の上側長手方向の縁が、面取りされていることが好ましい。
【0018】
(6)本発明の家畜舎用床の利用方法は、前記(1)~(5)項のいずれか1項に記載の家畜舎の床の上に、敷料として、休眠状態の発酵微生物菌を12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を用い、前記敷料である低密度熟成土壌が糞で汚れ及び/または尿などで湿ってきた汚物含有低密度熟成土壌を家畜舎用ホイールローダーで回収し、密閉可能な発酵槽に装入するか、又は、前記ホイールローダーで回収した前記汚物含有低密度熟成土壌に紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して前記発酵槽に装入する再生第一工程、
前記再生第一工程で装入された汚物含有低密度熟成土壌の入った発酵槽を密閉し、外気と遮断して空気を発酵槽下部から当該空気がほぼ均一に前記汚物含有低密度熟成土壌の層を通過するように循環させて、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵させ、該発酵に伴って前記汚物含有低密度熟成土壌層の上部に発生した発酵蒸気を空気と液体とに分離して液体を除去し、該分離された空気を前記発酵槽内に戻し、前記汚物含有低密度熟成土壌層を通して前記密閉発酵槽内を循環させるようにして、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵熟成させたのち、前記循環空気を冷却して循環させ、発酵を止め、休眠状態の発酵微生物菌を12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を再生する再生第二工程、
とを含む見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌の再生方法により再生された休眠状態の発酵微生物菌を12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を、前記(1)~(5)項のいずれか1項に記載の家畜舎の床の上に、敷料として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
(1)本発明の家畜舎の床は、地盤上に施した止水層の上に、細長く設置された細長のコンクリート層からなる第1の層と、第1の層の長手方向の側面に隣接する細長の第2の層とがストライプ模様状に各層交互に複数設置されており、
第2の層の上面は第1の層の上面より低くなっており、第2の層は透水性アスファルト舗装層と更にその上に透水性レジンモルタル加工層を施した層であり、
餌場に隣接する床の層は第1の層であるコンクリート層からなるが、その上面から見た幅が他の第1の層より幅が広く、家畜がエサを食べに来るときに前足が餌場に隣接する床の第1の層の上になる幅のコンクリート層からなるので、体重の大きい親牛などが、餌場方向に寄ってきて逃亡防止用の柵の下に首を突っ込み、前のめりになることにより前足に体重がかかっても、床面に孔などの損傷が生じることがない。
【0020】
しかも、餌場に隣接していないこれ以外のコンクリートからなる第1の層の各層の上面から見た幅は、餌場に隣接する床の第1の層の幅より狭く、透水性の第2の層とストライブ模様状に各層交互に複数設置されているので、透水性を保つことができ、家畜の居住環境を良好にすることができる。また、前記第2の層の幅(第1の層、第2層の幅とは、それぞれの長手方向に対し直角方向の幅)は、糞尿で汚れた敷料を回収するために使用する家畜用ホイールローダーのバケットの横幅より狭い透水性層からなり、且つ、第2の層の上面は第1の層の上面より低くなってので、ホイールローダーで、糞尿で汚れた敷料を当該各層の長手方向に移動させながら回収する場合に、ホイールローダーのバケットが強度の強い第1のコンクリート層に当たり、前記第2の層である透水性の層には、接しないので、前記第2の層である透水性の層を削り取ることがない。
【0021】
また、餌場に隣接する第1の層以外の第1の層の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプが各第1層において少なくとも1つ設けられており、かつ、前記第1と第2の層の下部は、隣接方向に傾斜勾配が付され、前記止水層においても、前記第1の層と第2の層の下部を横切って透過してきた水分が集められるよう、前記止水層上面も同様の傾斜勾配が付され排水孔を設けて浄化槽に連絡する構造を有するので、尿及び/又は糞からの水分が、床下にたまり、床表面上に染み出ることを防止することができる。
【0022】
(2)また、前記餌場に隣接する第1の層であるコンクリート層の上面から見た幅が60~80cmであり、餌場に隣接していない第1の層であるコンクリート層の各層の上面から見た幅は、15~30cmであり、前記第2の層の各層の上面から見た幅が150~200cmである好ましい態様とすることにより、前記(1)項で説明した強度を十分発揮できるとともに、前記第2の層である透水性の層の各層の上面から見た幅が150~200cmであるので透水性も十分保持できるので好ましい。また、前記第2の層の各層の上面から見た幅が150cmより小さいと、舗装機械による施工ができなくなるので、手作業で舗装が必要になる。それ故、前記第2の層の各層の上面から見た幅が150cmより大きいことが好ましい。その上限としては200cmとすることが、ホイールローダーのバケット(バケットの横方向の幅は通常210~230cm)が前記第2の層の上面に接触せず当該第2層表面を削り取らないので好ましい。
【0023】
(3)また、前記家畜舎の床において、第2の層の上面は第1の層の上面より1~2cm低くなっている好ましい態様とすることにより、糞尿で汚れた敷料を当該各層の長手方向にホイールローダーを移動させながら回収する場合に、ホイールローダーのバケットが前記第2の層である透水性の層には、一層当たりにくくなるので、前記第2の層である透水性の層を削り取ることが十分防止される。
【0024】
(4)また、前記家畜舎の床において、第1の層の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプがこれらの各第1層において長さ6~10mに付き1個設けられている態様とすることにより、十分な水分の排水を行うことができ、前記孔やパイプの一部が詰まってしまった場合も排水を行うことができ好ましい。
【0025】
(5)また、前記家畜舎の床において、第1の層の上側長手方向の縁が、面取りされていることにより、家畜の怪我を十分防止でき好ましい。
【0026】
(6)本発明の家畜舎用床の利用方法は、前記に記載の家畜舎の床の上に、敷料として、休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を用い、前記敷料である低密度熟成土壌が糞で汚れ及び/または尿などで湿ってきた汚物含有低密度熟成土壌を家畜舎用ホイールローダーで回収し、元の休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生することにより、繰り返しリサイクルし使用できる敷料のリサイクル工程において良好に使用できる家畜舎用床の利用ができ好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の家畜舎の床を示す概念簡略部分斜視図。
【
図2】本発明の家畜舎の床を上から見た場合の概念簡略部分平面図。
【
図3】本発明の家畜舎の床の第1の層であるコンクリート層と、透水性アスファルト層の上に透水性レジンモルタル加工層が施された第2の層の長さ方向に直角方向の断面の一部に相当する別の態様の部分断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、前記した課題を解決するための手段の欄、並びに発明の効果の欄でかなり詳細に説明した部分があるので、重複する部分の説明は、一部省略するが、ここに記載のない部分は、課題を解決するための手段の欄、並びに発明の効果の欄を参照いただきたい。
なお、敷料として用いる休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌の製造法や、当該敷料が糞や尿で汚れたものを回収し元の休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生する方法や、それに用いる装置などは、先の特許文献1に明記されているので、必要なら参照できる。
【0029】
次に、本発明の理解を容易にするために、図面を参照しながら本発明を説明するが、本発明は図示されたもののみに限定されるものではない。なお、各図面の寸法の割合は、本願明細書中で記載した数値の割合と必ずしも一致した割合で記載されていないが、各図面は本発明の構想を理解するための簡略化した図面である。
【0030】
図1及び
図2において、本発明の家畜舎の床1は、地盤上に施した止水層2の上に、細長く設置された細長のコンクリート層からなる第1の層3と、第1の層3の長手方向の側面に隣接する細長の第2の層4とがストライプ模様状に各層交互に複数設置されている。何層積層するかは、飼育する家畜の頭数や、家畜舎の広さにより適宜選択すればよい。
第2の層4の上面は第1の層3の上面より低くなっており、第2の層4は透水性アスファルト舗装層と更にその上に透水性レジンモルタル加工層を施した層である。なお、透水性アスファルト舗装層には、比較的表面に凹凸があるので、透水性レジンモルタル加工は、一般的にその凹凸を埋めて、平坦な床面にするために透水性アスファルト舗装層の表面側の凹部に透水性レジンモルタル加工層を施すのが通常の透水性レジンモルタル加工であり、かかる透水性レジンモルタル加工により、床面が比較的平坦になり、家畜用ホイールローダー等で、床上に敷かれていた糞尿で汚れた使用済みの低密度熟成土壌を再生するために回収する際に、ホイールローダーのバケットなどが床の凸部に突っかかったり、それにより床面が破損するのを、透水性レジンモルタル加工層で凹凸面を平坦化することにより、防止できるとともに、居住させる家畜の怪我を防止でき好ましい。
【0031】
透水性アスファルト舗装層としては特に限定するものではないが、砕石やクラッシャランを骨材として、それをアスファルトに使われるコールタールなどで結合させ例えば空隙率15~20体積%としたポーラスアスファルト舗装の層などであり、透水性レジンモルタル加工層も特に限定するものではないが、骨材として樹脂骨材やセラミックスなどを例えばエポキシ樹脂やポリウレタン樹脂、その他の合成樹脂などで結合させ空隙率をほぼ15~20体積%としたポーラスな層などである。
【0032】
餌場に隣接する第1の層(3A)以外の第1の層3の下部に、隣接する第2層4から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔7又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプ7が各第1層3において少なくとも1つ設けられており、かつ、前記第1と第2の層の下部は、隣接方向に傾斜勾配が付され、また、前記止水層3においても、前記第1の層と第2の層の下部を横切って透過してきた水分が集められるよう、前記止水層上面も同様の傾斜勾配(この例では矢印A方向に下がる傾斜勾配)が付され、排水孔(図示省略)を設けて浄化槽(図示省略)に連絡する構造を有する。
【0033】
かかる構成とすることにより、尿及び/又は糞からの水分が、床下にたまり、床表面上に染み出ることを防止することができ好ましい。また、浄化槽に導かれた尿及び/又は糞からの水分は、浄化槽内にいる多くの種類の微生物が、汚水に含まれている有機物を食べて分解することにより、悪臭がなくなり、浄化処理された尿及び/又は糞からの水分を、肥料として使用できる。
【0034】
第1の層3と3(3A)はコンクリート(透水性コンクリートではない、通常のコンクリート仕上げ)からなる。特に限定するものではないが、例えば、レディミクスコンクリート(いわゆる生コン)で例えばJIS A 5308等のコンクリート標準設計強度で規定された24-8-20のものなど通常の最も一般的に使用されているコンクリートなどを用いてもよい。ここで24は強度を示す数値記号であり、8はスランプという試験で円錐台形の容器に、生コンを入れて、容器の広い出口を下にして容器から生コンを出したときに上側が崩れて何cm崩れるかの指標(JIS A 1101)であり、20は粗骨材である砕石のおおよその最大寸法(mm)を示す指標であり、上記の指標のものが最も一般的であり、価格も安いが、何らこれのみに限定されるものではない。あくまで、透水性コンクリートではないことを説明したまでである。
【0035】
前記餌場6(図示せずゾーンの幅で示した)に隣接する第1の層(3A)であるコンクリート層の上面から見た幅は、例えば60~80cmが好ましく、より好ましくはその仕上げ面をノンスリップ加工を施しておくことが、家畜のスリップを防止でき好ましい。ノンスリップ加工は、例えばコンクリート打設時にその表面を刷毛やブラシでこするなどして小さな凹凸を付与する加工である。餌場に隣接していない第1の層3であるコンクリート層の各層の上面から見た幅は、15~30cmが好ましい。また、前記第2の層4の各層の上面から見た幅は150~200cmであることが好ましい。
【0036】
かかる範囲とすることにより、家畜がエサを食べに餌場6方向によってきて柵(横柵9と縦柵11)の間から首を突っ込んで前足を踏ん張って前足に体重がかかっても、前足は
前記餌場に隣接する第1の層(3A)であるコンクリート層の上面に存在することになるので、踏ん張った前足の力により、前足当接面下部の床(3A)が破損する恐れがない。
【0037】
しかも、透水層である前記第2の層4の各層の上面から見た幅が150~200cmもあるし、第2の層4の上面は第1の層3の上面より低くなっているので、家畜の尿や糞からの水分を十分排除できる。また、第2の層4の上に家畜の前足及び/又は後脚が乗っても、餌を食べるときのように体重をかけてふんばることはないので、第2の層に穴が開いたりする問題はない。
【0038】
そして第2の層4の上面は第1の層の上面より1~2cm低くなっている(例えば
図3でF-F’の距離)ことが好ましく、ホイールローダーで、糞尿で汚れた敷料を当該各層の長手方向に移動させながら回収する場合に、ホイールローダーのバケットの幅は通常210cm~230cmであるので、バケットで汚物含有敷料を抄い上げるのに、ホイールローダーのバケット床面に接しながら各層の長手方向にホイールローダーを
図2に示した矢印B方向に移動させて、汚物含有敷料を抄い入れたときの幅がX
1程度(ホイールローダーのバケットの幅に等しい)になり、次に同様の操作で矢印C方向にホイールローダーを移動させて、汚物含有敷料を抄い入れたときの幅がX
2程度の幅(ホイールローダーのバケットの幅に等しい)になり、次にまた逆方向のB方向に同様にして汚物含有敷料をX
3程度の幅(ホイールローダーのバケットの幅に等しい)で抄い入れるなどこのような操作の繰り返しで家畜舎の床面全面の汚物含有敷料を回収するが、ホイールローダーのバケットは、必ずコンクリートからなる層である強度の強い第1の層3ないし(3A)に接することになり、その結果、ホイールローダーのバケットで第2の層4である透水性の層を削り取らずに、第2の層4である透水性の層を保護できる。ただ、あまりに第2の層4の上面が第1の層3、(3A)の上面より低すぎると、第2の層上の汚物含有敷料を十分取り切れなくなるので、第2の層4の上面は第1の層3、(3A)の上面より1~2cm程度、低くなっていることが好ましい。
【0039】
かつ、前記第1と第2の層の下部は、隣接方向に傾斜勾配が付され、また、前記止水層においても、前記第1の層と第2の層の下部を横切って透過してきた水分が集められるよう、前記止水層上面も同様の傾斜勾配が付され、排水孔(図示省略)を設けて浄化槽(図示省略)に連絡する構造を有する。この例では、
図1、
図2において矢印A方向に下がる勾配が設けられている。尚、排水孔とそれに連結する浄化槽は、周知のものが採用できるので図示と説明を省略している。
【0040】
また、前記家畜舎の床において、餌場6に隣接している第1の層(3A)を除く第1の層3の下部に、隣接する第2層から流れてくる尿などの水分を流すための第1の層3の幅方向に横切って開けられた孔7又は第1の層の幅方向に横切って設けられた筒状のパイプ7の数は餌場6に隣接している第1の層(3A)を除く各第1の層3において最低1つ設けられていればよいが、孔やパイプが詰まったり、スムーズに水分が除去しにくくなることを避けるためこれらの各第1層においてその長手方向の長さ6~10mに付き1個設けられている態様とすることが好ましい。
【0041】
かかる孔やパイプの径は特に限定するものではないが最も長い部分の径と最も短い部分の径の算術平均で3~5cm程度が好ましく、孔やパイプの断面形状も詰まりやすい形状を避ければ特に限定はないが、円形、楕円形、正方形、長方形、その他の多角形などが挙げられる。
【0042】
第1の層の厚みも特に限定するものではないが5~7cm程度が好ましく、第2の層の厚みはこれより1~2cm程度短くすることが好ましい。
そして第1のコンクリート層は、例えば
図3の第1の層と第2の層の長さ方向に直角方向の断面の一部を示す別態様例の部分断面説明図に示したように、第1の層の上側長手方向の縁は、
図3に示すように角が面取りされていることが家畜のけがを防ぐ上でより好ましく、特に限定するものではないが、例えば
図3で一例を示せば面取り部12のD-D‘の長さが2cm程度、E-E’の長さが2cm程度になるような面取りが挙げられる。
【0043】
第2の層に使用される透水性レジンモルタル加工(PRMS工法)は、透水性レジンモルタルシステム工法協議会(PRMS協議会)に加盟している企業などが提供している周知の工法である。例えば、施工業者としては、オサダ技研株式会社、中外商工株式会社、大林道路株式会社、鹿島道路株式会社、日本道路株式会社等々が例示される。
【0044】
本発明の家畜舎の床は、第2の層4である透水性層を有していて、且つ、第1の層3の下部にその幅方向に横切って設けられた孔7又は筒状のパイプ7を有することにより、尿及び/又は糞からの水分が、床下にたまり、床表面上に染み出ることを防止することができ好ましい。また、浄化槽に導かれた尿及び/又は糞からの水分は、浄化槽内にいる多くの種類の微生物が、汚水に含まれている有機物を食べて分解することにより、悪臭がなくなり、浄化処理された尿及び/又は糞からの水分を、肥料として使用できる。
【0045】
本発明の家畜舎用床の利用方法は、前記に記載の家畜舎の床の上に、敷料として、休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を用い、前記敷料である低密度熟成土壌が糞で汚れ及び/または尿などで湿ってきた汚物含有低密度熟成土壌を家畜舎用ホイールローダーで回収し、元の休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生することにより、繰り返しリサイクルし使用できる敷料のリサイクル工程において良好に使用できる家畜舎用床として利用ができ好ましい。
休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌をまず製造するには、特許第7134533号(前記特許文献1)に詳細に記載されており、それが参照できる。
【0046】
略述すると密閉可能な発酵槽内に家畜廃棄物を装入し、該発酵槽を密閉し、外気と遮断して空気を前記発酵槽下部から当該空気がほぼ均一に前記家畜廃棄物の層を通過するように循環させて、前記家畜廃棄物を発酵させ、該発酵に伴って前記家畜廃棄物の層の上部に発生した発酵蒸気を空気と液体とに分離して前記液体を除去し、該分離された前記空気を前記発酵槽内に戻し、前記家畜廃棄物の層を通して密閉された前記発酵槽内を循環させるようにして得られる熟成土壌に、紅色非硫黄型光合成細菌群か、又は、前記家畜廃棄物と紅色非硫黄型光合成細菌群を、混合して、粉砕する製造第一工程、
製造第一工程で得られた混合物を、密閉可能な発酵槽内に装入し、該発酵槽を密閉し、外気と遮断して空気を前記発酵槽下部から当該空気がほぼ均一に前記混合物の層を通過するように循環させて、前記混合物を発酵させ、該発酵に伴って該混合物の層の上部に発生した発酵蒸気を空気と液体とに分離して前記液体を除去し、該分離された前記空気を前記発酵槽内に戻し、前記混合物の層を通して密閉された前記発酵槽内を循環させるようにして、前記混合物を発酵熟成させたのち、循環させた前記空気を冷却して循環させ、発酵を止める製造第二工程、
とを含む、休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌の製造方法である。
【0047】
家畜廃棄物とはワラやオガコなどの有機物由来の敷料に家畜の糞尿が混入した堆肥原料である。家畜廃棄物としては含水率が50質量%以下のものが好ましい。
【0048】
微生物菌体数は、測定対象となる熟成土壌1g中の微生物菌体数である(以下同様)。ちなみに微生物菌体数は、例えば京都微生物研究所、株式会社日吉、株式会社テクノサイエンスやその他大学研究機関や微生物研究所、その他微生物菌体を扱う企業に依頼して測定できる。
【0049】
また、見かけ比重について言及すると、表面や内部に空隙を持つ物質のその空隙を含めた単位容積の質量を見掛け密度や嵩(かさ)密度といい、単位は通常g/cm3である。一方、これを水の密度との比で表したものが見掛け比重(単位なし)であり、嵩(かさ)比重ともいう。
【0050】
かくして得られた休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌は、糞や尿の水分の透水性もよく、家畜舎の敷料として、きわめて有効に使用でき、しかも、本発明の家畜舎の床に敷料として使用することにより、糞尿で汚れてしまった前記低密度熟成土壌を、約1週間単位程度で再生処理することにより、当初のような休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生可能であるという利点を有する。
【0051】
上述した方法で得られた見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を敷料として使用した結果、糞尿で汚れた前記低密度熟成土壌を、元のような土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生する方法は、前記特許文献1(特許第7134533号公報)に記載した方法であり、当該特許文献の記載が参照できる。
【0052】
即ち、休眠状態の発酵微生物菌群を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43であった低密度熟成土壌が糞で汚れ及び/または尿などで湿ってきた汚物含有低密度熟成土壌を密閉可能な発酵槽に装入するか、又は、前記汚物含有低密度熟成土壌に紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して前記発酵槽に装入する再生第一工程、
前記再生第一工程で装入された汚物含有低密度熟成土壌の入った発酵槽を密閉し、外気と遮断して空気を発酵槽下部から当該空気がほぼ均一に前記汚物含有低密度熟成土壌の層を通過するように循環させて、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵させ、該発酵に伴って前記汚物含有低密度熟成土壌層の上部に発生した発酵蒸気を空気と液体とに分離して液体を除去し、該分離された空気を前記発酵槽内に戻し、前記汚物含有低密度熟成土壌層を通して前記密閉発酵槽内を循環させるようにして、前記汚物含有低密度熟成土壌を発酵熟成させたのち、前記循環空気を冷却して循環させ、発酵を止め、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を再生する再生第二工程
とを含む工程で、休眠状態の発酵微生物菌を土壌1g中に12億~20億菌体含有し、見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌を再生することができる。
【0053】
なお、糞尿などで汚れた汚物含有低密度熟成土壌を発酵槽に装入して発酵させる場合に必要に応じ紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して発酵させるが、これを添加することにより、発酵に関与する微生物の活動を向上させたり、菌体数やその種類などを増やしたりする作用により、糞尿で汚れた低密度熟成土壌を何度も繰り返して、元のような見かけ比重が0.40~0.43の低密度熟成土壌に再生する際に、発酵に関与する微生物菌が少なくなってきた場合、活動が低下してきた場合などに紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して発酵させるのが有効である。発酵には、発酵に関与する微生物菌数が1g当たり12億個~20億個、平均的に16億個前後存在することが好ましいので、微生物菌数が少ない場合に光合成細菌類の紅色非硫黄型光合成細菌群を散布して発酵に関与する微生物菌数を増やすことが好ましい。紅色非硫黄型光合成細菌群を散布する量は、特に限定するものではないが、目安として糞尿で汚れた低密度熟成土壌10m3当たり500~1000ミリリットル程度混合して用いることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、畜産業における家畜舎の床に有効に使用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 家畜舎の床
2 止水層
3 コンクリート層からなる第1の層
3A 餌場に隣接するコンクリート層からなる第1の層
4 第2の層(透水性層)
6 餌場(図示せずゾーンの幅で示した)
7 第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は筒状のパイプ
9 横柵
11 縦柵
12 面取り部
【要約】 (修正有)
【課題】家畜が餌場方向に寄ってきて前のめりになることにより前足に体重がかかっても、床面に孔などの損傷が生じずしかも透水性に優れた家畜舎用床を提供する。
【解決手段】止水層の上に、細長く設置された細長のコンクリート層の第1の層と、第1の層の長手方向の側面に隣接する細長の第2の層とがストライプ模様状に各層交互に複数設置されており、第2の層の上面は第1の層の上面より低くなっており、第2の層は透水性アスファルト舗装層と更にその上に透水性レジンモルタル加工層を施した層であり、餌場に隣接する床の第1の層であるコンクリート層の上面の幅が他の第1の層より幅が広く、前記他の第1の層の下部に、尿などの水分を流すための第1の層の幅方向に横切って開けられた孔又は筒状のパイプが各第1層において設けられており、第1と第2の層の下部は、隣接方向に傾斜勾配が付され、止水層上面も同様の傾斜勾配が付されている家畜舎の床。
【選択図】
図1