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特許7318148浸水深推定装置、浸水深推定方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】浸水深推定装置、浸水深推定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230724BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20230724BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/26
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023019515
(22)【出願日】2023-02-10
【審査請求日】2023-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518167701
【氏名又は名称】MS&ADインターリスク総研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 敏行
(72)【発明者】
【氏名】大門 真
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】大久保 創理
【審査官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132504(JP,A)
【文献】特開2021-124866(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116958(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、前記氾濫領域を氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域にグルーピングするグルーピング部と、
前記複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域ごとに決定された推定方法であって、前記小領域ごとに浸水深が実測された実測地点の数に応じて決定された前記推定方法を用いて推定する浸水深推定部と
を備える浸水深推定装置。
【請求項2】
前記グルーピング部は更に、前記氾濫領域における浸水深が実測された複数の実測地点を前記複数の小領域にグルーピングし、
前記複数の小領域のそれぞれにおける前記実測地点の数に応じて、2以上の異なる前記推定方法の何れかを前記複数の小領域のそれぞれに適用すると決定する推定方法決定部を更に備える、
請求項1に記載の浸水深推定装置。
【請求項3】
前記実測地点の平面座標、および、前記実測地点の浸水深と標高との和である水面高を取得する取得部と、
前記実測地点の前記平面座標を母点としたボロノイ図および前記ボロノイ図に基づくドロネー三角形を生成し、前記ドロネー三角形の各頂点に対応する前記実測地点の前記水面高を用いて、前記ドロネー三角形の三次元の面方程式を決定する面決定部と
を更に備え、
前記推定方法決定部は、前記実測地点が3以上含まれる一の小領域の前記推定方法として、前記一の小領域に属する一の対象点の前記平面座標が前記ドロネー三角形の何れかに属するか否かに基づき2つの異なる推定方法の何れか一方を適用すると決定する、
請求項2に記載の浸水深推定装置。
【請求項4】
前記推定方法決定部は、
前記一の対象点の前記平面座標が前記ドロネー三角形の何れかに属する場合には、前記一の対象点の前記平面座標を前記一の対象点が属する前記ドロネー三角形の前記面方程式に代入して算出される前記水面高から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法を適用すると決定し、
前記一の対象点の前記平面座標が前記ドロネー三角形の何れにも属さない場合には、前記一の対象点から、前記一の対象点の最近傍に位置する前記ドロネー三角形の一辺に引いた仮想的な垂線と、前記一辺との交点を前記一の対象点の前記水面高として推定し、前記水面高から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法を適用すると決定する、
請求項3に記載の浸水深推定装置。
【請求項5】
前記推定方法決定部は、前記実測地点が1つまたは2つ含まれる一の小領域の前記推定方法として、前記一の小領域に属する前記1つまたは2つの前記実測地点の水面高から最小二乗法を用いて算出される代表水面高から、前記一の小領域に属する一の対象点の標高を減算することにより、前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、および、前記1つまたは2つの前記実測地点の前記水面高の平均値または中央値を前記一の対象点の前記水面高として推定し、前記一の対象点の前記水面高から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、の少なくとも何れかを適用すると決定する、
請求項2に記載の浸水深推定装置。
【請求項6】
前記推定方法決定部は、前記実測地点が1つも含まれない一の小領域の前記推定方法として、前記一の小領域の輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて予め定められた割合に位置する代表標高から、前記一の小領域に属する一の対象点の標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、および、前記複数の標高の平均値または中央値から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、の少なくとも何れかを適用すると決定する、
請求項2に記載の浸水深推定装置。
【請求項7】
前記グルーピング部は、前記複数の対象点のそれぞれが、河川の右岸側に位置するか左岸側に位置するか、高地または建造物によって隔てられる2以上の領域の何れに位置するか、および、外水氾濫した領域に位置するか内水氾濫した領域に位置するか、の少なくとも何れかに応じて、前記複数の対象点を前記複数の小領域にグルーピングする、
請求項1から6の何れか一項に記載の浸水深推定装置。
【請求項8】
前記グルーピング部は、前記複数の小領域として、国土地理院によって公開される浸水推定図に示される互いに離間した複数の浸水領域、および、衛星写真または航空写真に示される互いに離間した複数の浸水領域、の少なくとも何れかを用いる、
請求項1から6の何れか一項に記載の浸水深推定装置。
【請求項9】
前記グルーピング部は、前記複数の小領域として、前記氾濫領域における1つまたは複数の河川によって分割される複数の領域を用いる、
請求項1から6の何れか一項に記載の浸水深推定装置。
【請求項10】
コンピュータによって実行される浸水深推定方法であって、
予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、前記氾濫領域を氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域にグルーピングすることと、
前記複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域ごとに決定された推定方法であって、前記小領域ごとに浸水深が実測された実測地点の数に応じて決定された前記推定方法を用いて推定することと
を備える浸水深推定方法。
【請求項11】
コンピュータに、
予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、前記氾濫領域を氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域にグルーピングする手順と、
前記複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域ごとに決定された推定方法であって、前記小領域ごとに浸水深が実測された実測地点の数に応じて決定された前記推定方法を用いて推定する手順と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸水深推定装置、浸水深推定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「比較的少ない数の地点での浸水深さの観測値に基づいて浸水状況情報を出力可能となる」(段落0007)と記載されている。特許文献2および3には、「水害の現地調査によって得られる複数地点における浸水深から、浸水域内の浸水深分布を推定する」(要約)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-132504号公報
[特許文献2] 特開2008-310036号公報
[特許文献3] 特開2008-309632号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、浸水深推定装置を提供する。浸水深推定装置は、予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、前記氾濫領域を氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域にグルーピングするグルーピング部と、前記複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域ごとに決定された推定方法を用いて推定する浸水深推定部とを備える。
【0004】
上記の浸水深推定装置において、前記グルーピング部は更に、前記氾濫領域における浸水深が実測された複数の実測地点を前記複数の小領域へとグルーピングしてもよい。上記の浸水深推定装置は、前記複数の小領域のそれぞれにおける前記実測地点の数に応じて、2以上の異なる前記推定方法の何れかを前記複数の小領域のそれぞれに適用すると決定する推定方法決定部を更に備えてもよい。
【0005】
上記の何れかの浸水深推定装置は、前記実測地点の平面座標、および、前記実測地点の浸水深と標高との和である水面高を取得する取得部を更に備えてもよい。上記の何れかの浸水深推定装置は、前記実測地点の前記平面座標を母点としたボロノイ図および前記ボロノイ図に基づくドロネー三角形を生成し、前記ドロネー三角形の各頂点に対応する前記実測地点の前記水面高を用いて、前記ドロネー三角形の三次元の面方程式を決定する面決定部を更に備えてもよい。上記の何れかの浸水深推定装置において、前記推定方法決定部は、前記実測地点が3以上含まれる一の小領域の前記推定方法として、前記一の小領域に属する一の対象点の前記平面座標が前記ドロネー三角形の何れかに属するか否かに基づき2つの異なる推定方法の何れか一方を適用すると決定してもよい。
【0006】
上記の何れかの浸水深推定装置において、前記推定方法決定部は、前記一の対象点の前記平面座標が前記ドロネー三角形の何れかに属する場合には、前記一の対象点の前記平面座標を前記一の対象点が属する前記ドロネー三角形の前記面方程式に代入して算出される前記水面高から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法を適用すると決定してもよい。上記の何れかの浸水深推定装置において、前記推定方法決定部は、前記一の対象点の前記平面座標が前記ドロネー三角形の何れにも属さない場合には、前記一の対象点から、前記一の対象点の最近傍に位置する前記ドロネー三角形の一辺に引いた仮想的な垂線と、前記一辺との交点を前記一の対象点の前記水面高として推定し、前記水面高から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法を適用すると決定してもよい。
【0007】
上記の何れかの浸水深推定装置において、前記推定方法決定部は、前記実測地点が1つまたは2つ含まれる一の小領域の前記推定方法として、前記一の小領域に属する前記1つまたは2つの前記実測地点の前記水面高から最小二乗法を用いて算出される代表水面高から、前記一の小領域に属する一の対象点の前記標高を減算することにより、前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、および、前記1つまたは2つの前記実測地点の前記水面高の平均値または中央値を前記一の対象点の前記水面高として推定し、前記一の対象点の前記水面高から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、の少なくとも何れかを適用すると決定してもよい。
【0008】
上記の何れかの浸水深推定装置において、前記推定方法決定部は、前記実測地点が1つも含まれない一の小領域の前記推定方法として、前記一の小領域の輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて予め定められた割合に位置する代表標高から、前記一の小領域に属する一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、および、前記複数の標高の平均値または中央値から前記一の対象点の前記標高を減算することにより前記一の対象点の前記浸水深を推定する推定方法、の少なくとも何れかを適用すると決定してもよい。
【0009】
上記の何れかの浸水深推定装置において、前記グルーピング部は、前記複数の対象点のそれぞれが、河川の右岸側に位置するか左岸側に位置するか、高地または建造物によって隔てられる2以上の領域の何れに位置するか、および、外水氾濫した領域に位置するか内水氾濫した領域に位置するか、の少なくとも何れかに応じて、前記複数の対象点を前記複数の小領域にグルーピングしてもよい。
【0010】
上記の何れかの浸水深推定装置において、前記グルーピング部は、前記複数の小領域として、国土地理院によって公開される浸水推定図に示される互いに離間した複数の浸水領域、および、衛星写真または航空写真に示される互いに離間した複数の浸水領域、の少なくとも何れかを用いてもよい。
【0011】
上記の何れかの浸水深推定装置において、前記グルーピング部は、前記複数の小領域として、前記氾濫領域における1つまたは複数の河川によって分割される複数の領域を用いてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、コンピュータによって実行される浸水深推定方法を提供する。浸水深推定方法は、予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、前記氾濫領域を氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域にグルーピングすることと、前記複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域ごとに決定された推定方法を用いて推定することとを備える。
【0013】
本発明の第3の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、コンピュータに、予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、前記氾濫領域を氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域にグルーピングする手順と、前記複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域ごとに決定された推定方法を用いて推定する手順とを実行させる。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】浸水深が実測された複数の実測地点MP1~11と、浸水深を推定する対象となる複数の対象点TP1~4とを含む特定の氾濫領域FAの一例を模式的に示す。
図2】一実施形態による浸水深推定装置100のブロック図である。
図3図1に示す氾濫領域FAにおける複数の実測地点MP1~11を、複数の小領域SA1~5にグルーピングする一例を説明するための図である。
図4】一実施形態による浸水深推定装置100の記憶部160に記憶される、特定の氾濫領域FAに関するグルーピング情報と推定方法との対応関係を示すテーブルの一例である。
図5】一実施形態による浸水深推定装置100が複数の小領域SAのそれぞれについてドロネー三角形または静水面を作成する動作フローの一例を示すフロー図である。
図6図3に示す氾濫領域FAに含まれる小領域SA1およびSA2のそれぞれについて作成される複数のドロネー三角形の一例を示す。
図7】一実施形態による浸水深推定装置100が複数の対象点TP1~4の浸水深を推定する動作フローの一例を示すフロー図である。
図8】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、浸水深が実測された複数の実測地点MP1~11と、浸水深を推定する対象となる複数の対象点TP1~4とを含む特定の氾濫領域FAの一例を模式的に示す。対象点TPは、浸水深が実測されておらず、当該浸水深を本実施形態によって推定しようとする地点である。図1の氾濫領域FAにおいて、11箇所の実測地点MP1~11および4箇所の対象点TP1~4を黒塗りの丸で示す。図1の氾濫領域FAにおいて、河川を実線で示し、等高線を破線で示す。図1の氾濫領域FAの外側には、経度(X)および緯度(Y)の方向をそれぞれ矢印で示す。
【0018】
大雨などにより河川が氾濫すると周辺に洪水が起こり、家屋が浸水する。その場合に、例えば保険会社は、保険金を算出するなどの理由で、河川の氾濫領域における特定の対象点TPの浸水深を正確に把握したいことがある。
【0019】
河川が氾濫する場合、氾濫した領域によって平均的な水面高や領域内の水面高の高低差などの氾濫の形態すなわち氾濫形態が異なり得る。例えば河川のどちらか一方の岸が破堤することで洪水が起こることが多く、河川の右岸側と左岸側で氾濫形態が異なり得る。氾濫形態は、大きな河川によって大まかに隔てられている領域だけでなく、河川の支流や高地や建造物などによって細かく隔てられている領域においても、それらの自然的または人工的な境界を介して異なり得る。氾濫形態はまた、窪地のように水が溜まり易い領域とその周囲との間でも互いに異なり得る。氾濫形態はまた、外水氾濫した領域と内水氾濫した領域との間でも互いに異なり得る。氾濫形態はまた、外水氾濫した領域においても、破堤した領域なのか越水・越流した領域なのかによって異なり得る。
【0020】
河川の氾濫領域における特定の対象点TPの浸水深を把握するために、当該氾濫領域において浸水深が実測された複数の実測地点MPを各頂点とする複数のドロネー(Delaunay)三角形を生成することが想定される。より具体的には、当該ドロネー三角形の各頂点に対応する実測地点MPの高さとして、実測された浸水深に標高を加算した水面高を用いることにより、ドロネー三角形の三次元の面方程式を決定する。特定の対象点TPの平面座標を当該面方程式に代入して得られた高さに基づいて、特定の対象点TPの浸水深を推定する。
【0021】
しかしながら、この推定方法では、上述した氾濫形態の違いは考慮されていない場合がある。例えば、この推定方法では、河川の右岸側と左岸側とを区別してドロネー三角形を生成せずに、河川を横断するドロネー三角形を生成している場合がある。そのため、ドロネー三角形の三次元の面方程式を用いて推定される特定の対象点TPの浸水深は、より正確にする余地が有り得る。また、特定の対象点TPがドロネー三角形の外側に位置する場合には、近くに位置するドロネー三角形の面方程式に外挿することによって特定の対象点TPの浸水深を推定したり、氾濫領域全体について算出した近似水面の浸水深を特定の対象点TPの浸水深と見做したりするため、より一層、正確にする余地が有り得る。なお、対象点TPの近くに位置するドロネー三角形の面方程式に外挿することによって特定の対象点TPの浸水深を推定する場合には、当該ドロネー三角形の外側に向かって急勾配に三角形が描かれた場合に、特定の対象点TPの浸水深が非常に高く、または非常に低くなってしまう虞がある。
【0022】
浸水深が実測される実測地点MPは、住宅が密集している地域や街道沿いなどでは多いが、それ以外の田畑や山間などでは少ない傾向がある。住宅が密集している地域や街道沿いなどにおける氾濫形態は、田畑や山間などにおける氾濫形態とは異なり得る。よって、浸水深が多く実測される領域における氾濫形態は、浸水深が殆ど実測されない又は全く実測されない領域における氾濫形態と異なり得る。また、水は水平になろうとする傾向があるので、互いに近い地点間では、浸水深と標高との和である水面高は互いに近い値になる。また、標高が低いほど家屋等に対する浸水深は大きくなる傾向がある。
【0023】
図2は、一実施形態による浸水深推定装置100のブロック図である。浸水深推定装置100は、例えばコンピュータなどの情報処理装置である。その場合に、浸水深推定装置100は、汎用のコンピュータに後述する各機能を実行させるプログラムをインストールしたものであってよい。
【0024】
図3は、図1に示す氾濫領域FAにおける複数の実測地点MP1~11を、複数の小領域SA1~5にグルーピングする一例を説明するための図である。図3の氾濫領域FAにおいて、5箇所の小領域SA1~5のポリゴンを斜線領域で示す。
【0025】
浸水深推定装置100は、予め定められた氾濫領域FAを氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域SAのうちの対象点TPが位置する小領域SAに対して定められた推定方法に従って、当該対象点TPの浸水深を推定する。予め定められた氾濫領域FAは、例えば、国土地理院によって公開される浸水推定図や、洪水発生後の浸水エリアを撮影した衛星写真や航空写真などに示される、任意範囲の領域であってもよい。本実施形態では、一例として、図3に示す氾濫領域FAを対象とする。
【0026】
浸水深推定装置100は、取得部110と、グルーピング部120と、面決定部130と、推定方法決定部140と、浸水深推定部150と、記憶部160とを備える。
【0027】
取得部110は、予め定められた氾濫領域FAにおける浸水深が実測された実測地点MPの平面座標、および、当該実測地点MPの浸水深と標高との和である水面高を取得する。取得部110は、通信ネットワークを介して、有線通信または無線通信により外部装置から、当該氾濫領域FAを示す地図と共に、氾濫領域FAにおける複数の実測地点MP1~11の平面座標および水面高の情報を受信してもよい。取得部110は、ユーザがキーボード等の入力デバイスを用いて入力したこれらの情報を受け付けてもよい。取得部110は、取得した複数の実測地点MP1~11の平面座標、水面高等を含む実測地点データを、氾濫領域FAを示す地図と共にグルーピング部120に出力する。なお、取得部110は、複数の実測地点MP1~11の水面高に代えて、複数の実測地点MP1~11の浸水深および標高を外部装置から受信してもよい。
【0028】
取得部110はまた、当該氾濫領域FAにおける1つまたは複数の対象点TPの平面座標および標高を取得する。取得部110は、外部装置から、氾濫領域FAにおける複数の対象点TP1~4の平面座標および標高を受信してもよい。取得部110は、取得した対象点TP1~4の平面座標、標高等を含む対象点データをグルーピング部120に出力する。
【0029】
グルーピング部120は、予め定められた氾濫領域FAにおける複数の実測地点MPを、氾濫領域FAを氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域SAにグルーピングする。グルーピング部120は、取得部110から、氾濫領域FAを示す地図と共に、氾濫領域FAにおける複数の実測地点MP1~11の平面座標および水面高を含む実測地点データを入力されたことに応じて、複数の実測地点MP1~11を複数の小領域SA1~5にグルーピングしてもよい。
【0030】
グルーピング部120は、複数の小領域SA1~5のポリゴンデータと、複数の小領域SA1~5のそれぞれに含まれる実測地点MPの数および実測地点データとを含むグルーピング情報を、氾濫領域FAを示す地図と共に、面決定部130および推定方法決定部140のそれぞれに出力する。グルーピング部120は更に、当該グルーピング情報および氾濫領域FAを示す地図を記憶部160に記憶させる。
【0031】
グルーピング部120は、予め定められた氾濫領域FAにおける複数の対象点TPを、氾濫領域FAを氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域SAにグルーピングする。グルーピング部120は、取得部110から、氾濫領域FAにおける複数の対象点TP1~4の平面座標および標高を含む対象点データを入力されたことに応じて、記憶部160に記憶された当該氾濫領域FAに対応するグルーピング情報を読み出し、複数の対象点TP1~4をグルーピング情報に示される複数の小領域SA1~5にグルーピングしてもよい。グルーピング部120は、複数の対象点TP1~4のそれぞれの対象点データおよび所属小領域SAを含む対象点グルーピング結果を浸水深推定部150に出力する。
【0032】
面決定部130は、実測地点MPの平面座標を母点としたボロノイ図および当該ボロノイ図に基づくドロネー三角形を生成し、ドロネー三角形の各頂点に対応する実測地点MPの水面高を用いて、当該ドロネー三角形の三次元の面方程式を決定する。面決定部130は、グルーピング部120からグルーピング情報および氾濫領域FAを示す地図を入力されたことに応じて、グルーピング情報を参照し、実測地点MPが3点以上含まれる、すなわちドロネー三角形を生成可能な、1つまたは複数の小領域SAを特定してもよい。面決定部130は、グルーピング情報を参照し、特定した小領域SAに含まれる実測地点MPの平面座標を母点としたボロノイ図を生成し、当該ボロノイ図に基づき、実測地点MPの水面高を用いてドロネー三角形を生成してもよい。面決定部130は、グルーピング情報を参照し、生成したドロネー三角形の各頂点に対応する実測地点MPの水面高を用いて、当該ドロネー三角形の三次元の面方程式を決定し、決定した三次元の面方程式と各頂点に対応する実測地点MPの実測地点データとを含むドロネー三角形情報を記憶部160に記憶させる。
【0033】
推定方法決定部140は、複数の小領域SAのそれぞれにおける実測地点MPの数に応じて、2以上の異なる推定方法の何れかを複数の小領域SAのそれぞれに適用すると決定する。推定方法決定部140は、グルーピング部120からグルーピング情報および氾濫領域FAを示す地図を入力されたことに応じて、グルーピング情報を参照し、実測地点MPが3点以上含まれない、すなわちドロネー三角形を生成不可能な、1つまたは複数の小領域SAを特定してもよい。推定方法決定部140は、グルーピング情報を参照し、特定した小領域SAに1つまたは2つの実測地点MPが含まれる場合には、1つまたは2つの実測地点MPの水面高との測定誤差が最も小さくなる静水面を作成してもよい。推定方法決定部140は、グルーピング情報を参照し、特定した小領域SAに1つも実測地点MPが含まれない場合には、当該小領域SAの輪郭線上の複数の標高についてパーセンタイル法により代表標高を定め、当該代表標高を水面高とする静水面を作成してもよい。推定方法決定部140は、作成した静水面の水面高を含む静水面情報をグルーピング情報と共に記憶部160に記憶させる。なお、推定方法決定部140は、特定の氾濫領域FAについて、複数の小領域SAに同じ推定方法を適用すると決定してもよく、複数の小領域SAに異なる推定方法を適用すると決定してもよい。
【0034】
浸水深推定部150は、複数の対象点TPの浸水深を、複数の対象点TPのそれぞれが属する小領域SAごとに決定された推定方法を用いて推定する。浸水深推定部150は、グルーピング部120から対象点グルーピング結果を入力されたことに応じて、対象点グルーピング結果に示される、各対象点TPが属する小領域SAを参照し、各対象点TPについて、記憶部160に記憶された当該小領域SAのグルーピング情報、ドロネー三角形情報、静水面情報などを読み出してもよい。浸水深推定部150は、各対象点TPが属する小領域SAに適用される推定方法に従って、各対象点TPの浸水深を推定し、推定した浸水深を各対象点TPの対象点データおよび所属小領域SAと共に記憶部160に記憶させてもよい。
【0035】
記憶部160は、グルーピング部120、面決定部130、推定方法決定部140および浸水深推定部150のそれぞれによって、グルーピング情報や氾濫領域FAを示す地図などの情報を記憶させられてもよい。記憶部160は、グルーピング部120、面決定部130および浸水深推定部150のそれぞれによって、これらの情報を読み出されてもよい。
【0036】
図4は、一実施形態による浸水深推定装置100の記憶部160に記憶される、特定の氾濫領域FAに関するグルーピング情報と推定方法との対応関係を示すテーブルの一例である。記憶部160は、複数の小領域SA1~5のそれぞれについて、ポリゴンデータ、各小領域SAに含まれる実測地点MPの数および実測地点データを対応付けて、図4に示すテーブルに記憶してもよい。記憶部160は、各小領域SAに含まれる実測地点データとして、実測地点MP1、MP2、MP3、…MP11などに対応付けて、X座標としての経度(X)、Y座標としての緯度(Y)、Z座標としての浸水深(Za)、標高(Zb)並びに水面高(Z)、および、異常値であることを示すフラグ「*」、を記憶してもよい。
【0037】
図5は、一実施形態による浸水深推定装置100が複数の小領域SAのそれぞれについてドロネー三角形または静水面を作成する動作フローの一例を示すフロー図である。図5の動作フローは、一例として、浸水深推定装置100のユーザからの指示に基づき動作を開始する。
【0038】
浸水深推定装置100の取得部110は、外部装置から、予め定められた氾濫領域FAを示す地図と共に、氾濫領域FAにおける複数の実測地点MP1~11の平面座標、浸水深および標高を受信し(ステップS101)、複数の実測地点MP1~11のそれぞれについて、浸水深と標高とを加算することにより水面高を算出してもよい(ステップS103)。
【0039】
取得部110は、実測地点MPや対象点TPの平面座標として、緯度と経度とを直接的に外部装置から取得してもよく、住所のみを外部装置から取得し、当該住所を緯度と経度とに変換してもよい。取得部110は、実測地点MPや対象点TPの標高として、例えば国土地理院がインターネット上で公開しているDEMデータを取得してもよい。なお、取得部110は、氾濫領域FAを示す地図として、例えば図3に示すような、等高線、経度(X)および緯度(Y)の他、互いに離間した複数の浸水領域のポリゴンが付与されたものを取得してもよい。
【0040】
浸水深推定装置100のグルーピング部120は、氾濫領域FAにおける複数の実測地点MPを、氾濫領域FAを氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域SAにグルーピングする(ステップS105)。
【0041】
グルーピング部120は、複数の小領域SAとして、例えば、国土地理院によって公開される浸水推定図に示される互いに離間した複数の浸水領域を用いてもよい。グルーピング部120は、複数の小領域SAとして、例えば、衛星写真または航空写真に示される互いに離間した複数の浸水領域を用いてもよい。グルーピング部120は、複数の小領域SAとして、例えば、氾濫領域FAにおける1つまたは複数の河川によって分割される複数の領域を用いてもよい。
【0042】
浸水推定図、衛星写真、航空写真などにおいて互いに離間した浸水領域のそれぞれは、氾濫形態が異なっている可能性があると推測できる。浸水領域が離間するのは、例えば図3に例示するように、大きな河川によって大まかに隔てられていたり、河川の支流や高地や建造物などによって細かく隔てられていたりすることが要因である。これらの要因によって、すなわち自然的または人工的な境界によって互いに離間した浸水領域間では氾濫形態が異なり得る。この観点から、自然的または人工的な境界によって「互いに離間している浸水領域」を小領域SAとすることは、「氾濫形態に応じて細分化」することの一例になっている。
【0043】
自然的または人工的な境界によって互いに離間していない浸水領域間、例えば窪地のように水が溜まり易い領域とその周囲との間や、外水氾濫した領域と内水氾濫した領域との間や、外水氾濫した領域における破堤した領域と越水・越流した領域との間や、これら複数種類の領域のうちの任意の領域間などでも氾濫形態が異なり得る。この観点から、自然的または人工的な境界によって互いに離間していない浸水領域、すなわち「互いに隣接している浸水領域」を小領域SAとすることも、「氾濫形態に応じて細分化」することの一例になっている。
【0044】
グルーピング部120は、複数の実測地点MPのそれぞれが、河川の右岸側に位置するか左岸側に位置するか、高地または建造物によって隔てられる2以上の領域の何れに位置するか、外水氾濫した領域に位置するか内水氾濫した領域に位置するか、等の氾濫形態が異なる要因に応じて、複数の実測地点MPを複数の小領域SAへとグルーピングしてもよい。グルーピング部120は、例えば、図3の氾濫領域FAの地図に示される互いに離間した複数の浸水領域を、複数の小領域SAとしてもよい。具体的には、グルーピング部120は、図3に示す5つの斜線領域を、小領域SA1~5としてもよい。
【0045】
グルーピング部120は、例えば図3の氾濫領域FAの地図に示される複数の小領域SA1~5のポリゴンデータと、複数の実測地点MP1~11の平面座標とを照らし合わせ、各実測地点MPが位置する小領域SAを特定することにより、各実測地点MPを、特定した小領域SAにグルーピングしてもよい。より具体的には、グルーピング部120は、小領域SA1に位置する実測地点MP1~5を小領域SA1に属させ、小領域SA2に位置する実測地点MP6~10を小領域SA2に属させ、小領域SA3に位置する実測地点MP11を小領域SA3に属させてもよい。グルーピング部120は、小領域SA4および小領域SA5については、実測地点MPが位置しないため、実測地点MPを1つも属させなくてもよい。
【0046】
一の小領域SAについて、実測地点MPが3以上含まれる小領域SAの場合(ステップS107:YES)、浸水深推定装置100の面決定部130は、実測地点MPの平面座標を母点としたボロノイ図および当該ボロノイ図に基づくドロネー三角形を生成し、ドロネー三角形の各頂点に対応する実測地点MPの水面高を用いて、当該ドロネー三角形の三次元の面方程式を決定する(ステップS109)。
【0047】
図6は、図3に示す氾濫領域FAに含まれる小領域SA1およびSA2のそれぞれについて作成される複数のドロネー三角形の一例を示す。ステップS109において、面決定部130は、図6に示すように、氾濫領域FAに含まれる小領域SA1について、5箇所の実測地点MP1~5の平面座標を母点としたボロノイ図を生成し、当該ボロノイ図に基づき、実測地点MP1~5の水面高を用いて4つのドロネー三角形を生成してもよい。面決定部130は、図6に示すように、氾濫領域FAに含まれる小領域SA2について、5箇所の実測地点MP6~10の平面座標を母点としたボロノイ図を生成し、当該ボロノイ図に基づき、実測地点MP6~10の水面高を用いて4つのドロネー三角形を生成してもよい。
【0048】
面決定部130によるボロノイ図の生成方法に関して、平面上に分散している複数の点からボロノイ図を生成する方法は数学的な操作であり、既知の方法が用いられてよい。また、生成したドロネー三角形の三次元の面方程式を決定するに当たっては、三角形の各頂点のXYZ座標から、Z=aX+bY+cで表される面方程式の各係数a,b,cを決定する方法も数学的な操作であり、既知の方法が用いられてよい。
【0049】
なお、面決定部130は、実測地点MPが3以上含まれる小領域SA1およびSA2について、ドロネー三角形を生成する際に、予め定められた条件で実測地点MP1~10の水面高が異常値であるか否かを判断し、異常値と判断された水面高を除外してもよい。予め定められた条件の一例は、一の実測地点MPの水面高が、小領域SA1の実測地点MP1~5の水面高を用いて決定される近似水面の水面高から予め定められた高さ以上乖離しているか否かである。例えば、面決定部130は、近似水面の水面高から1.5m以上高いまたは低い水面高を異常値と判断する。面決定部130は、異常値と判断した水面高に対応する実測地点MPについて、異常値であることを示すフラグを、図4に示した記憶部160のテーブルに書き込んでもよい。図4の例では、面決定部130は、実測地点MP4およびMP9のそれぞれの水面高を異常値と判断し、異常値であることを示すフラグを当該テーブルに書き込んでいる。なお、異常値と判断した水面高は、以降の計算において除外してもよく、例えばボロノイ図の母点として用いない。
【0050】
ステップS109に続いて、複数の小領域SAの全てについてドロネー三角形または静水面を作成していない場合は(ステップS117:NO)、ステップS107に戻る。ステップS117において、複数の小領域SAの全てについてドロネー三角形または静水面を作成した場合は(ステップS117:YES)、当該動作フローは終了する。
【0051】
ステップS107において、実測地点MPが3以上含まれる小領域SAではなく(ステップS107:NO)、実測地点MPが1つまたは2つ含まれる小領域SAの場合(ステップS111:YES)、浸水深推定装置100の推定方法決定部140は、最小二乗法を用いて、当該小領域SAに属する1つまたは2つの実測地点MPの水面高から静水面の代表水面高を算出し(ステップS113)、ステップS117へ進む。より具体的には、推定方法決定部140は、1つの実測地点MP11が含まれる小領域SA3について、実測地点MP11の水面高との測定誤差が最も小さくなる静水面を作成してもよい。この場合、推定方法決定部140は、実測地点MP11の水面高を静水面の代表水面高としてもよい。
【0052】
ステップS111において、実測地点MPが1つも含まれない小領域SAの場合(ステップS111:NO)、浸水深推定装置100の推定方法決定部140は、当該小領域SAの輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて予め定められた割合に位置する代表標高を静水面の水面高として算出し(ステップS115)、ステップS117へ進む。より具体的には、推定方法決定部140は、実測地点MPが1つも含まれない小領域SA4について、小領域SA4の輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて例えば75%に位置する代表標高を静水面の水面高として算出してもよい。推定方法決定部140は、実測地点MPが1つも含まれない小領域SA5についても同様に、小領域SA5の輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて例えば75%に位置する代表標高を静水面の水面高として算出してもよい。
【0053】
なお、ステップS113では、推定方法決定部140は、最小二乗法を用いることに代えて、実測地点MPが1つまたは2つ含まれる小領域SAに属する1つまたは2つの実測地点MPの水面高の平均値または中央値を静水面の代表水面高として推定してもよい。ステップS115では、推定方法決定部140は、上記の代表標高に代えて、実測地点MPが1つも含まれない小領域SAの輪郭線上の複数の標高の平均値または中央値を静水面の水面高として推定してもよい。
【0054】
図7は、一実施形態による浸水深推定装置100が複数の対象点TP1~4の浸水深を推定する動作フローの一例を示すフロー図である。図7の動作フローは、一例として、浸水深推定装置100のユーザからの指示に基づき動作を開始する。
【0055】
浸水深推定装置100の取得部110は、外部装置から、予め定められた氾濫領域FAにおける複数の対象点TP1~4の平面座標および標高を含む対象点データを受信する(ステップS201)。
【0056】
浸水深推定装置100のグルーピング部120は、氾濫領域FAにおける複数の対象点TPを、氾濫領域FAを氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域SAにグルーピングする(ステップS203)。
【0057】
グルーピング部120は、複数の対象点TPのそれぞれが、河川の右岸側に位置するか左岸側に位置するか、高地または建造物によって隔てられる2以上の領域の何れに位置するか、および、外水氾濫した領域に位置するか内水氾濫した領域に位置するか、の少なくとも何れかに応じて、複数の対象点TPを複数の小領域SAにグルーピングしてもよい。
【0058】
グルーピング部120は、例えば図6の氾濫領域FAの地図に示される複数の小領域SA1~5のポリゴンデータと、複数の対象点TP1~4の平面座標とを照らし合わせ、各対象点TPが位置する小領域SAを特定することにより、各対象点TPを特定した小領域SAにグルーピングしてもよい。換言すると、グルーピング部120は、予め複数の実測地点MP1~11を分配させた複数の小領域SA1~5の何れかに、複数の対象点TP1~4をそれぞれ属させてもよい。具体的には、グルーピング部120は、対象点TP1およびTP2を小領域SA1に属させ、対象点TP3を小領域SA3に属させ、対象点TP4を小領域SA4に属させてもよい。グルーピング部120は、小領域SA2および小領域SA5については、対象点TPが位置しないため、対象点TPを1つも属させなくてもよい。
【0059】
浸水深推定装置100の推定方法決定部140は、複数の小領域SAのそれぞれにおける実測地点MPの数に応じて、2以上の異なる推定方法の何れかを複数の小領域SAのそれぞれに適用すると決定する。
【0060】
推定方法決定部140は、実測地点MPが3以上含まれる、ドロネー三角形の三次元の面方程式が決定された一の小領域SAに属する一の対象点TPの平面座標が、当該小領域SAに含まれる1つまたは複数のドロネー三角形の何れかに属するか否かに基づき、当該一の小領域SAの推定方法として2つの異なる第1推定方法および第2推定方法の何れか一方を適用すると決定してもよい。
【0061】
より具体的には、推定方法決定部140は、当該一の対象点TPの平面座標が1つまたは複数のドロネー三角形の何れかに属する場合には、当該一の対象点TPの平面座標を当該一の対象点TPが属するドロネー三角形の面方程式に代入して算出される水面高から当該一の対象点TPの標高を減算することにより当該一の対象点TPの浸水深を推定する第1推定方法を適用すると決定してもよい。
【0062】
推定方法決定部140は、当該一の対象点TPの平面座標が1つまたは複数のドロネー三角形の何れにも属さない場合には、当該一の対象点TPから、当該一の対象点TPの最近傍に位置するドロネー三角形の一辺に引いた仮想的な垂線と、当該一辺との交点を、当該一の対象点TPの水面高として推定し、水面高から当該一の対象点TPの標高を減算することにより当該一の対象点TPの浸水深を推定する第2推定方法を適用すると決定してもよい。浸水深推定装置100によれば、対象点TPの近くに位置するドロネー三角形の面方程式に外挿することによって当該対象点TPの浸水深を推定する手法に代えて、上述の第2推定方法を用いることにより、当該対象点TPの浸水深が過大または過小な不適切な値になることを防止できる。
【0063】
推定方法決定部140は、実測地点MPが1つまたは2つ含まれる一の小領域SAの推定方法として、当該小領域SAに属する1つまたは2つの実測地点MPの水面高から最小二乗法を用いて算出される代表水面高から、当該小領域SAに属する一の対象点TPの標高を減算することにより、当該一の対象点TPの浸水深を推定する第3推定方法を適用すると決定してもよい。
【0064】
推定方法決定部140は、上記の第3推定方法に代えて又は加えて、実測地点MPが1つまたは2つ含まれる一の小領域SAに属する1つまたは2つの実測地点MPの水面高の平均値または中央値を当該一の対象点TPの水面高として推定し、当該一の対象点TPの水面高から当該一の対象点TPの標高を減算することにより当該一の対象点TPの浸水深を推定する推定方法を適用すると決定してもよい。
【0065】
推定方法決定部140は、実測地点MPが1つも含まれない一の小領域SAの推定方法として、当該小領域SAの輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて予め定められた割合に位置する代表標高から、当該小領域SAに属する一の対象点TPの標高を減算することにより当該一の対象点TPの浸水深を推定する第4推定方法を適用すると決定してもよい。
【0066】
推定方法決定部140は、上記の第4推定方法に代えて又は加えて、実測地点MPが1つも含まれない小領域SAの輪郭線上の複数の標高の平均値または中央値から、当該小領域SAに属する一の対象点TPの標高を減算することにより当該一の対象点TPの浸水深を推定する方法を適用すると決定してもよい。
【0067】
浸水深推定装置100の浸水深推定部150は、複数の対象点TPの浸水深を、複数の対象点TPのそれぞれが属する小領域SAごとに決定された推定方法を用いて推定する。より具体的には、浸水深推定部150は、一の対象点TPが、実測地点MPが3以上含まれる小領域SAに属し(ステップS205:YES)、当該対象点TPの平面座標が当該小領域SAに含まれる1つまたは複数のドロネー三角形の何れかに属する場合には(ステップS207:YES)、当該対象点TPの浸水深を上述の第1推定方法を用いて推定する(ステップS209)。
【0068】
より具体的には、浸水深推定部150は、図6に示すように、対象点TP1が、実測地点MPが3以上含まれる小領域SA1に属し、且つ、小領域SA1に含まれる一のドロネー三角形に属すると判断して、上述の第1推定方法を用いて対象点TP1の浸水深を推定してもよい。すなわち、浸水深推定部150は、対象点TP1の平面座標を、対象点TP1が属する、実測地点MP2、MP4、MP5を頂点とするドロネー三角形の面方程式に代入して水面高を算出する。当該面方程式は、図5の動作フローで説明したように、面決定部130により予め決定され、記憶部160に記憶されていてもよい。浸水深推定部150は、当該水面高から対象点TP1の標高を減算することにより、対象点TP1の浸水深を推定する。
【0069】
ステップS209に続いて、複数の対象点TPの全てについて浸水深を推定していない場合は(ステップS219:NO)、ステップS205に戻る。ステップS219において、複数の対象点TPの全てについて浸水深を推定した場合は(ステップS219:YES)、当該動作フローは終了する。
【0070】
ステップS207において、一の対象点TPの平面座標が小領域SAに含まれる1つまたは複数のドロネー三角形の何れにも属さない場合には(ステップS207:NO)、当該対象点TPの浸水深を上述の第2推定方法を用いて推定し(ステップS211)、ステップS219に進む。
【0071】
より具体的には、浸水深推定部150は、図6に示すように、対象点TP2が、実測地点MPが3以上含まれる小領域SA1に属し、且つ、小領域SA1に含まれる複数のドロネー三角形の何れにも属さないと判断して、上述の第2推定方法を用いて対象点TP2の浸水深を推定してもよい。すなわち、浸水深推定部150は、対象点TP2から、対象点TP2の最近傍に位置する、実測地点MP2、MP4、MP5を頂点とするドロネー三角形の、実測地点MP4とMP5との間の一辺に仮想的な垂線を引く。浸水深推定部150は、当該垂線と、当該一辺との交点を、対象点TP2の水面高として推定し、当該水面高から対象点TP2の標高を減算することにより対象点TP2の浸水深を推定する。
【0072】
ステップS205において、一の対象点TPが、実測地点MPが3以上含まれる小領域SAに属さず(ステップS205:NO)、実測地点MPが1つまたは2つ含まれる小領域SAに属する場合(ステップS213:YES)、当該対象点TPの浸水深を上述の第3推定方法を用いて推定し(ステップS215)、ステップS219に進む。
【0073】
より具体的には、浸水深推定部150は、図6に示すように、対象点TP3が、1つの実測地点MP11のみが含まれる小領域SA3に属すると判断して、上述の第3推定方法を用いて対象点TP3の浸水深を推定してもよい。すなわち、浸水深推定部150は、図5の動作フローで説明したように、推定方法決定部140によって予め作成された小領域SA3の静水面の代表水面高、すなわち実測地点MP11の水面高から、対象点TP3の標高を減算することにより、対象点TP3の浸水深を推定する。なお、推定した対象点TP3の浸水深が0m以下の場合は、対象点TP3の浸水深を0mとしてもよい。
【0074】
ステップS213において、一の対象点TPが、実測地点MPが1つも含まれない小領域SAに属する場合(ステップS213:NO)、当該対象点TPの浸水深を上述の第4推定方法を用いて推定し(ステップS217)、ステップS219に進む。
【0075】
より具体的には、浸水深推定部150は、図6に示すように、対象点TP4が、実測地点MPが1つも含まれない小領域SA4に属すると判断して、上述の第4推定方法を用いて対象点TP4の浸水深を推定してもよい。すなわち、浸水深推定部150は、図5の動作フローで説明したように、推定方法決定部140によって予め作成された小領域SA4の静水面の水面高、すなわち小領域SA4の輪郭線上の複数の標高のうち高さが下位から数えて例えば75%に位置する代表標高から、対象点TP4の標高を減算することにより、対象点TP4の浸水深を推定する。なお、推定した対象点TP4の浸水深が0m以下の場合は、対象点TP4の浸水深を0mとしてもよい。
【0076】
以上で説明した本実施形態の浸水深推定装置100によれば、予め定められた氾濫領域FAを氾濫形態に応じて細分化した複数の小領域SAのうち対象点TPが位置する小領域SAに対応する推定方法に従って、当該対象点TPの浸水深を推定する。これにより、浸水深推定装置100は、氾濫形態が異なる領域を区別せずに浸水深を推定する場合に比べて、対象点TPの浸水深を推定する精度を高めることができる。
【0077】
以上で説明した実施形態において、実測された浸水深とは、保険会社の社員や行政の職員が予め定められた方法で実際に測った値の他に、衛星写真や航空写真やSNSの画像などからデータとして取得した値を指してもよい。実測された浸水深とは、被保険者や付近住民の協力者から自己申告された値を指してもよく、これらの者から送られてきた画像からユーザが見積もった値を指してもよい。このような観点から、実測地点MPには、浸水深を実際に測った地点のみならず、何らかの方法で浸水深の値を確定させた地点が含まれていてもよい。
【0078】
以上で説明した実施形態において、氾濫領域FAにおける複数の実測地点MPや複数の対象点TPは、規則性を持った間隔で並んだものでもよいし、ランダムに配置されたものであってもよい。複数の実測地点MP同士や複数の対象点TP同士は、例えば数十m程度の間隔毎にあってもよい。複数の実測地点Pや複数の対象点TPは、浸水があったと想定される領域全体、例えば数km四方にわたって分散して配されていてもよい。
【0079】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0080】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0081】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0082】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0083】
図8は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0084】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0085】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0086】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0087】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0088】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0089】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0090】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0091】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0092】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0093】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0094】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0095】
100 浸水深推定装置
110 取得部
120 グルーピング部
130 面決定部
140 推定方法決定部
150 浸水深推定部
160 記憶部
1200 コンピュータ
1201 DVD-ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インターフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入出力チップ
1242 キーボード
【要約】      (修正有)
【課題】浸水深推定装置、浸水深推定方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】浸水深推定装置は、予め定められた氾濫領域における複数の対象点を、氾濫領域が氾濫形態に応じて細分化された複数の小領域にグルーピングするグルーピング部と、複数の対象点の浸水深を、前記複数の対象点のそれぞれが属する小領域毎に決定された推定方法を用いて推定する浸水深推定部と、を備える。グルーピング部は更に、氾濫領域における浸水深が実測された複数の実測地点を複数の小領域へとグルーピングしてもよく、浸水深推定装置は、複数の小領域のそれぞれにおける実測地点の数に応じて、2以上の異なる推定方法の何れかを複数の小領域のそれぞれに適用すると決定する推定方法決定部を更に備えてもよい。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8