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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】モータ、送風装置、および、掃除機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20230725BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H02K5/10 A
H02K7/14 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019001908
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020114067
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 陽和
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-118702(JP,A)
【文献】特開2009-261149(JP,A)
【文献】特開2004-040926(JP,A)
【文献】特開2011-160583(JP,A)
【文献】特開2018-182908(JP,A)
【文献】特開2004-293787(JP,A)
【文献】特開2004-060514(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068280(WO,A1)
【文献】特開2017-221021(JP,A)
【文献】実開平02-091461(JP,U)
【文献】国際公開第2015/001636(WO,A1)
【文献】実開平07-039263(JP,U)
【文献】特開2016-008579(JP,A)
【文献】実開平02-088444(JP,U)
【文献】特開2002-195281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトを有するロータと、 前記ロータと径方向に対向するステータと、 前記ステータに対して前記ロータを前記中心軸周りに回転可能に支持する軸受と、 前記ステータの少なくとも一部を囲むモータハウジングと、 前記軸受の下方に配置され、前記モータハウジングに固定されるシール部材と、 を有し、 前記シール部材は、 軸方向に延び、径方向内面が前記シャフトの径方向外面と径方向に間隙を介して対向する筒状部と、 前記筒状部の径方向内面から径方向内方に延び、上面が前記シャフトの下面と軸方向に間隙を介して対向するカバー部と、 を有し、 前記カバー部は、前記シャフトの径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔を有し、 前記筒状部の径方向内面と前記シャフトの径方向外面との距離は、前記貫通孔の直径よりも小さく、前記シール部材は、前記筒状部の径方向外面から、径方向外方に広がるベース部を更に有し、前記ベース部材は、前記筒状部の上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置から径方向外方に延びる、モータ。
【請求項2】
前記シール部材は、前記ベース部の径方向外面において軸方向に延び、前記モータハウジングと接続する接続部を更に有する、請求項に記載のモータ。
【請求項3】
前記筒状部の径方向外面が、前記モータハウジングに接続し固定される、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記シール部材と前記モータハウジングのうち一方は、 弾性を有する係止部を有し、 前記シール部材と前記モータハウジングのうち他方は、 前記係止部が固定される被係止部を有する、請求項1からのいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記シャフトの下面には、軸方向上方に凹む凹部が形成されている、請求項1からのいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記軸受は、転がり軸受であって、 前記シール部材は弾性を有し、 前記シール部材の上面は、前記転がり軸受の外輪の下面を支持する、請求項1からのいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記軸受は、転がり軸受であって、 前記シール部材と前記転がり軸受との軸方向間に配置される弾性部材を更に有し、 前記シール部材の上面は、前記弾性部材を介して前記転がり軸受の外輪の下面を支持する、請求項1からのいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載のモータと、 前記モータの上方に配置され、前記シャフトに固定されるインペラと、 を有する、送風装置。
【請求項9】
請求項に記載の送風装置を有する、掃除機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、送風装置、および、掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-230179号公報には、防水および防塵性が向上可能な転がり軸受が開示されている。この転がり軸受は、内外輪間にわたってシールが装着されている。更に、この転がり軸受は、シールの軸方向外側でかつ内外輪の少なくとも一方にシールに隙間をおいて対向してシールを覆った円環形状のシールド板が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-230179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防塵用のシールを有する軸受は高価になりやすい。すなわち、特開平11-230179号公報に開示された転がり軸受をモータのロータを回転可能に支持する軸受に適用すると、モータのコストが増加する可能性があった。モータのコストを増加することなく、軸受に対する防塵性を向上させることが望まれた。
【0005】
本発明は、モータが有する軸受に対する防塵性を安価に向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、ロータと、ステータと、軸受と、モータハウジングと、シール部材とを有する。ロータは、上下に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトを有する。ステータは、ロータと径方向に対向する。軸受は、ステータに対してロータを中心軸周りに回転可能に支持する。モータハウジングは、ステータの少なくとも一部を囲む。シール部材は、軸受の下方に配置され、モータハウジングに固定される。シール部材は、筒状部とカバー部とを有する。筒状部は、軸方向に延び、径方向内面がシャフトの径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部は、筒状部の径方向内面から径方向内方に延び、上面がシャフトの下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部は、シャフトの径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔を有する。
【0007】
本発明の例示的な送風装置は、上記構成のモータと、モータの上方に配置され、シャフトに固定されるインペラとを有する。
【0008】
本発明の例示的な掃除機は、上記構成の送風装置を有する。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、モータが有する軸受に対する防塵性を安価に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係るモータの斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るモータの縦断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るステータコアの斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る上ハウジングの斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る下ハウジングの斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るシール部材の斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るシール部材の縦断面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るモータにおけるシール部材周辺の構造を示す縦断面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るモータの第1変形例を説明するための概略縦断面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係るモータの第2変形例を説明するための概略縦断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るモータの第3変形例を説明するための概略縦断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るモータの第4変形例を説明するための概略縦断面図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係るモータの第5変形例を説明するための概略縦断面図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るモータの第6変形例を説明するための概略縦断面図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係るモータの第7変形例を説明するための概略縦断面図である。
図16図16は、本発明の実施形態に係るモータの第8変形例を説明するための概略縦断面図である。
図17図17は、本発明の実施形態に係る送風装置の縦断面を示す斜視図である。
図18図18は、本発明の実施形態に係る掃除機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書では、モータ1および送風装置100の説明において、モータ1の中心軸Cと平行な方向を「軸方向」、中心軸Cに直交する方向を「径方向」、中心軸Cを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。また、本明細書では、軸方向を上下方向とし、図2における上下方向をモータ1および送風装置100の上下方向として、各部の形状や位置関係を説明する。これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0012】
また、本明細書では、掃除機200の説明に際して、図18の床面F(被清掃面)に近づく方向を「下方」とするとともに床面Fから離れる方向を「上方」として、各部の形状や位置関係を説明する。なお、これらの方向は単に説明のための用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0013】
また、本明細書において、「上流」及び「下流」はインペラ110を回転させた際に発生する気流300の流通方向の上流及び下流をそれぞれ示す。また、本明細書では、軸方向に平行な断面を「縦断面」と称する。また、本明細書で用いる「平行」は、略平行を含む。本明細書で用いる「直交」は、略直交を含む。
【0014】
<1.モータ>
(1-1.モータの概要)
図1は、本発明の実施形態に係るモータ1の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るモータ1の縦断面図である。図1および図2に示すように、モータ1は、ロータ10と、ステータ20と、軸受30と、モータハウジング40と、シール部材70とを有する。モータ1は、回路基板50を更に有する。
【0015】
ロータ10は、シャフト11を有する。ロータ10は、マグネット12を更に有する。シャフト11は、上下に延びる中心軸Cに沿って配置される。シャフト11は、例えば金属で構成される柱状の部材である。マグネット12は、軸方向に延びる筒状である。マグネット12は、シャフト11の径方向外方に配置され、シャフト11に固定される。マグネット12の径方向外面には、N極とS極とが周方向に交互に並ぶ。
【0016】
ステータ20は、駆動電流に応じて磁束を発生させる電機子である。ステータ20は、ロータ10と径方向に対向する。詳細には、ステータ20は、ロータ10の径方向外方に配置される。ステータ20は、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル23とを有する。
【0017】
ステータコア21は、電磁鋼板を軸方向に積層した積層体である。ただし、ステータコア21は、例えば、紛体の焼成鋳造等で構成された単一の部材であってもよい。ステータコア21は、複数のコアピースを接合して構成してもよい。図3は、本発明の実施形態に係るステータコア21の斜視図である。
【0018】
図3に示すように、ステータコア21は、コアバック211と、複数のティース212とを有する。コアバック211は、中心軸Cを中心とする環状である。ティース212は、コアバック211から径方向内方に突出する。複数のティース212は、周方向に配列される。本実施形態では、ティース212の数は3つである。3つのティース212は、周方向に等間隔に配列される。ティース212の数は3つ以外であってもよい。
【0019】
コアバック211には、複数のステータコア孔213が形成されている。ステータコア孔213は、軸方向に貫通する。ステータコア孔213は、ティース212の径方向外側に配置される。ステータコア孔213の数は、ティース212の数と同じである。本実施形態では、ステータコア孔213の数は3つである。ただし、ステータコア孔213の数は3つ以外であってもよい。
【0020】
インシュレータ22は、ステータコア21の少なくとも一部を覆う。インシュレータ22は、樹脂等の絶縁部材で構成される。本実施形態では、インシュレータ22は、上インシュレータ22Uと、下インシュレータ22Lとを有する。上インシュレータ22Uは、ステータコア21を上方から覆う。下インシュレータ22Lは、ステータコア21を下方から覆う。ただし、インシュレータ22は、インサート成型によりステータコア21と一体化された構成であってもよい。
【0021】
なお、本実施形態では、コアバック211の径方向外端面、および、ティース212の径方向内端面は、インシュレータ22に覆われることなく露出する。
【0022】
コイル23は、インシュレータ22を介してステータコア21に導線を巻いて形成される。詳細には、コイル23は、各ティース212の周囲に、インシュレータ22を介してそれぞれ導線を巻き回して構成される。すなわち、ステータ20は複数のコイル23を有する。複数のコイル23は、周方向に等間隔に配列される。本実施形態では、コイル23の数は3つである。ただし、コイル23の数は3つ以外であってよい。
【0023】
軸受30は、ステータ20に対してロータ10を中心軸C周りに回転可能に支持する。本実施形態では、軸受30は、上軸受30Uと下軸受30Lとを有する。上軸受30Uは、少なくとも一部がステータ20よりも上方に配置される。下軸受30Lは、少なくとも一部がステータ20よりも下方に配置される。本実施形態では、上軸受30Uは、ステータ20よりも上方に配置される。下軸受30Lは、ステータ20よりも下方に配置される。
【0024】
本実施形態では、軸受30は転がり軸受である。詳細には、上軸受30Uおよび下軸受30Lは転がり軸受である。上軸受30Uおよび下軸受30Lは、それぞれ、内輪31と外輪32とを有する。内輪31は、シャフト11の径方向外方に配置されてシャフト11に固定される。外輪32は、内輪31より径方向外方に配置され、モータハウジング40に固定される。内輪31と外輪32との径方向間には、ボール等の転がり部材が配置される。内輪31は、外輪32に対して回転可能に設けられる。軸受30の数および種類は、本実施形態の構成から変更されてよい。モータ1は、転がり軸受に替えてスリーブ軸受等を有してよい。
【0025】
モータハウジング40は、ステータ20の少なくとも一部を囲む。モータハウジング40は、例えばアルミニウム等の金属で構成される。ただし、モータハウジング40は、樹脂等の金属以外の素材で構成されてもよい。本実施形態では、モータハウジング40は、上ハウジング40Uと、下ハウジング40Lとを有する。上ハウジング40Uは、ステータ20を上方から覆う。下ハウジング40Lは、ステータ20を下方から覆う。
【0026】
図4は、本発明の実施形態に係る上ハウジング40Uの斜視図である。図2および図4に示すように、上ハウジング40Uは、第1ハウジング部41と、第2ハウジング部42と、リブ43とを有する。本実施形態では、リブ43は複数であり、詳細には、リブ43の数は3つである。3つのリブ43は、周方向に等間隔に配列される。ただし、リブ43の数は3つ以外であってよく、単数であってもよい。また、本実施形態では、第1ハウジング部41と、第2ハウジング部42と、リブ43とは、単一部材である。これにより、複数の部材を組み合わせる場合に比べて強度を向上することができる。
【0027】
第1ハウジング部41は、ステータ20よりも径方向外方に配置される。本実施形態では、第1ハウジング部41は、中心軸Cを中心とし、軸方向に延びる筒状である。第1ハウジング部41は、ステータ20と径方向に対向する。第2ハウジング部42は、第1ハウジング部41よりも径方向内方に配置される。本実施形態では、第2ハウジング部42は円板状である。第2ハウジング部42は、第1ハウジング部41よりも上方に配置される。第2ハウジング部42は、ステータ20と軸方向に対向する。リブ43は、第1ハウジング部41と、第2ハウジング部42とを接続する。詳細には、リブ43は、第1ハウジング部41の径方向内面と、第2ハウジング部42の径方向外面とを接続する。リブ43の下面には、軸方向上方に凹むリブ凹部431が形成されている。
【0028】
第2ハウジング部42には、上面中央部に軸方向下方に凹む上ハウジング凹部421が形成されている。上ハウジング凹部421は、軸方向上方からの平面視において、中心軸Cを中心とする円形状である。上ハウジング凹部421内には、上軸受30Uが挿入される。上ハウジング凹部421の径方向内面は上軸受30Uの外輪32の径方向外面と径方向に接触し、上軸受30Uは上ハウジング40Uに固定される。
【0029】
なお、本実施形態では、図2に示すように、上ハウジング40Uは、上筒部44を更に有する。上筒部44は、第2ハウジング部42の下面から軸方向下方に延びる筒状である。上筒部44は、ステータ20の径方向内方に配置される。上筒部44の上面開口は、上ハウジング凹部421の底壁に形成される開口に繋がる。シャフト11は、上筒部44および上ハウジング凹部421に挿入され、上部が上ハウジング40Uの上面から上方に突出する。
【0030】
図5は、本発明の実施形態に係る下ハウジング40Lの斜視図である。図5に示すように、下ハウジング40Lは、下ハウジング本体部45と、複数の脚部46とを有する。本実施形態では、脚部46の数は3つである。3つの脚部46は、周方向に等間隔に配列される。ただし、脚部46の数は3つ以外であってよい。また、本実施形態では、下ハウジング本体部45と、複数の脚部46とは、単一部材である。これにより、複数の部材を組み合わせる場合に比べて強度を向上することができる。
【0031】
図2および図5に示すように、下ハウジング本体部45は、下環状部451と、第1下筒部452と、第2下筒部453とを有する。下環状部451は、中心軸Cを中心とする環状である。第1下筒部452および第2下筒部453は、中心軸Cを中心として、軸方向に延びる筒状である。
【0032】
第1下筒部452は、下環状部451の径方向内方に配置される。第1下筒部452は、下環状部451と第1下筒部452との径方向間に配置される第1連結部454により下環状部451に接続される。第2下筒部453は、第1下筒部452よりも直径が小さく、第1下筒部452の上方に配置される。第2下筒部453は、第1下筒部452の上端部から径方向内方に延びる第2連結部455により第1下筒部452に接続される。第2下筒部453は、ステータ20の径方向内方に配置される。第1下筒部452および第2下筒部453には、シャフト11が挿入される。第1下筒部452内には、下軸受30Lが挿入される。第1下筒部452の径方向内面は下軸受30Lの外輪32の径方向外面と径方向に接触し、下軸受30Lは下ハウジング40Lに固定される。
【0033】
脚部46は、脚部外壁部461と、一対の脚部側壁部462と、脚部上壁部463とを有する。脚部外壁部461は、下環状部451の径方向外方に配置され、軸方向に延びる。一対の脚部側壁部462は、周方向に対向する。一対の脚部側壁部462のうちの一方は、脚部外壁部461の周方向の一端部と下環状部451とを接続する。一対の脚部側壁部462のうちの他方は、脚部外壁部461の周方向の他端部と下環状部451とを接続する。脚部上壁部463は、脚部外壁部461の上端よりも少し下方から径方向内方に延びる。脚部上壁部463の周方向の両端部は、一対の脚部側壁部462の上端部と接続される。脚部上壁部463には、軸方向に貫通する脚部孔464が形成されている。
【0034】
上ハウジング40Uと下ハウジング40Lとの軸方向間にステータ20が配置され、ステータ20は、固定部材60により上ハウジング40Uおよび下ハウジング40Lに固定される。本実施形態では、固定部材60は螺子である。固定部材60は、下ハウジング40Lの下方から、脚部孔464、ステータコア孔213、および、リブ凹部431に挿入される。固定部材60は、螺子に替えてリベット等としてもよい。本実施形態では、固定部材60の数は3つである。ただし、固定部材60の数は3つ以外であってよい。
【0035】
回路基板50は、下軸受30Lよりも下方に配置される。回路基板50は、下ハウジング40Lに固定される。詳細には、回路基板50は、複数の脚部46に固定される。回路基板50には、例えば電源回路および制御回路等のモータ1を駆動するための回路が形成されている。図1に示すように、回路基板50には、コイル23と電気的に接続される電気接続部51が配置される。電気接続部51は、例えばタブ端子等であってよい。本実施形態では、電気接続部51の数は3つであり、3つの電気接続部51は、周方向に等間隔に配置される。電気接続部51の数は3つ以外であってもよい。
【0036】
シール部材70は、軸受30の下方に配置される。詳細には、シール部材70は、下軸受30Lの下方に配置される。シール部材70は、モータハウジング40に固定される。シール部材70は、例えば樹脂又はゴムにより構成される。シール部材70は、例えば、下軸受30Lに塵埃等の異物が入ること防止するために設けられる。シール部材70の詳細については後述する。
【0037】
電力源から各コイル23に電力が供給されると、各ティース212に磁束が生じる。各ティース212に生じた磁束と、マグネット12によって発生する磁界との作用により、周方向のトルクが生じる。その結果、ロータ10がステータ20に対して回転する。ロータ10は、中心軸Cを中心として回転する。
【0038】
(1-2.シール部材)
図6は、本発明の実施形態に係るシール部材70の斜視図である。図7は、本発明の実施形態に係るシール部材70の縦断面図である。図6および図7に示すように、シール部材70は、筒状部71とカバー部72とを有する。シール部材70は、ベース部73を更に有する。シール部材70は、接続部74を更に有する。
【0039】
筒状部71は、軸方向に延びる。筒状部71は、中心軸Cを中心とする円筒状である。カバー部72は、筒状部71の径方向内面から径方向内方に延びる。カバー部72は、軸方向に貫通する貫通孔721を有する。すなわち、カバー部72は、中心軸Cを中心とする環状である。詳細には、カバー部72は円環状である。本実施形態では、カバー部72は、筒状部71の下端部から径方向内方に延びる。筒状部71の下面と、カバー部72の下面との間には段差はなく、筒状部71とカバー部72とが繋がる部分の下面はフラットである。
【0040】
ベース部73は、筒状部71の径方向外面から径方向外方に広がる。ベース部73は、板状であり、軸方向からの平面視において円形状である。本実施形態では、ベース部73は、筒状部71の上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置から径方向外方に延びる。ベース部73の軸方向の厚みは、径方向において一定でない。ただし、ベース部73の軸方向の厚みは径方向において一定であってもよい。ベース部73が設けられることにより、筒状部71の径方向の厚みを必要以上に厚くすることなく、シール部材70をモータハウジング40に固定することができる。本構成によれば、シール部材70を安価に製造することができる。
【0041】
接続部74は、ベース部73の径方向外面において軸方向に延びる。接続部74の径方向内面と、ベース部73の径方向外面とは繋がっている。本実施形態において、接続部74は円筒状である。接続部74の下面と、ベース部73の下面との間には段差がなく、接続部74とベース部73とが繋がる部分の下面はフラットである。接続部74の上端は、ベース部73の上端よりも軸方向上方に配置される。
【0042】
(1-3.シール部材周辺の構造)
図8は、本発明の実施形態に係るモータ1におけるシール部材70周辺の構造を示す縦断面図である。図8に示すように、シャフト11は、下部が下軸受30Lの下端から軸方向下方に突出する。本実施形態では、シャフト11の下部は円柱状である。
【0043】
図8に示すように、筒状部71は、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72は、上面がシャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72は、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721を有する。すなわち、貫通孔721は、シャフト11の下面と軸方向に重なる。
【0044】
本構成では、シール部材70は、シャフト11と接触しない。すなわち、シール部材70は、シャフト11の中心軸Cを中心とした回転を妨げない。下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71およびカバー部72を有するシール部材70が配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。本構成によれば、防塵用のシールを有する高価な軸受が用いられなくても下軸受30Lに対する防塵性を向上することができる。本構成では、カバー部72が貫通孔721を有するために、モータハウジング40にシール部材70が取り付けられた後においても、モータ1の下方から治具によってシャフト11を支持することができる。このために、例えば、シャフト11の上方にインペラ110等の部材を取り付ける作業の作業性を向上することができる。
【0045】
接続部74は、モータハウジング40と接続する。詳細には、接続部74の径方向外面と、下環状部451の径方向内面とが径方向に接続する。接続部74の径方向外面は、例えば、シール部材70が下ハウジング40Lに圧入、又は軽圧入されることにより、下環状部451の径方向内面と接触してよい。すなわち、接続部74の径方向外面と、下環状部451の径方向内面とが、直接的に接続されてよい。これにより、シール部材70が下ハウジング40Lに固定されてよい。
【0046】
ただし、接続部74の径方向外面は、シール部材70と下環状部451の径方向間に接着剤等の中間部材を介在させて、下環状部451の径方向内面と接続されてもよい。すなわち、接続部74の径方向外面と、下環状部451の径方向内面とが、間接的に接続されてもよい。これにより、シール部材70が下ハウジング40Lに固定されてよい。また、モータ1は、接続部74の径方向外面と下環状部451の径方向内面とが直接的に接続される箇所と、間接的に接続される箇所とを有してよい。
【0047】
シール部材70が接続部74を有することにより、シール部材70と下ハウジング40Lとの接続面積を増やすことができる。このために、シール部材70の下ハウジング40Lへの固定強度を向上することができる。また、接続部74と下ハウジング40Lとが接続されることにより、塵埃の侵入経路を低減することができ、下軸受30Lに対する防塵性を向上することができる。
【0048】
なお、シール部材70は、接続部74を有しなくてもよい。この場合、例えば、ベース部73の径方向外面が下環状部451の径方向内面に直接的又は間接的に接続されてよい。また、シール部材70が接続部74を有する場合においても、筒状部71の径方向外面がモータハウジング40に接続し固定されてよい。この場合、例えば、筒状部71の径方向外面が第1下筒部452の径方向内面に直接的又は間接的に接続されてよい。
【0049】
また、本実施形態では、第1下筒部452の下面が、ベース部73の上面と軸方向に接触、或いは、間隙を介して対向する。また、接続部74の径方向内面と、第1下筒部452の径方向外面とが、径方向に間隙を介して対向する。このために、塵埃が下軸受30Lに向けて侵入することを抑制できる。
【0050】
図8に示すように、モータ1は、弾性部材80を更に有する。弾性部材80は、シール部材70と下軸受30Lとの軸方向間に配置される。上述のように、下軸受30Lは転がり軸受である。すなわち、弾性部材80は、シール部材70と転がり軸受30Lとの軸方向間に配置される。弾性部材80は、例えば、軸方向に貫通する開口部81を有する波ワッシャ等であってよい。
【0051】
弾性部材80の少なくとも一部の下面は、シール部材70の上面に接触する。詳細には、弾性部材80の少なくとも一部の下面は、ベース部73の上面に接触する。弾性部材80の少なくとも一部の上面は、下軸受30Lの外輪32の下面に接触する。すなわち、シール部材70の上面は、弾性部材80を介して転がり軸受30Lの外輪32の下面を支持する。
【0052】
本構成によれば、弾性部材80によって下軸受30Lの外輪32に対して軸方向の予圧を与えることができ、モータ1の駆動時における振動および騒音の発生を抑制することができる。なお、モータ1は、弾性部材80を有しなくてもよい。
【0053】
本実施形態では、シャフト11の下面には、軸方向上方に凹む凹部11aが形成されている。凹部11aは、軸方向からの平面視において、例えば円形状である。ただし、凹部11aの形状は別の形状であってもよい。本構成によれば、モータ1の組み立て時において、シャフト11を受ける受け治具等の位置決めを凹部11aにより行うことができる。すなわち、本構成によれば、工場設備でのシャフト11又はシャフト11を有するモータ1の取り扱い時の自由度を向上させることができる。
【0054】
(1-4.変形例)
「1-4-1.第1変形例」
図9は、本発明の実施形態に係るモータ1の第1変形例を説明するための概略縦断面図である。図9は、シール部材70Aの周辺構造を示す縦断面図である。上述の実施形態と同様に、モータハウジング40Aは、下軸受30Lが配置される第1下筒部452Aを有する。
【0055】
シール部材70Aは、筒状部71Aとカバー部72Aとを有する。筒状部71Aは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Aは、筒状部71Aの下端部において、筒状部71Aの径方向内面から径方向内方に延びる。カバー部72Aの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Aは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Aを有する。
【0056】
本変形例では、シール部材70Aは、上述したベース部73および接続部74に相当する部分を有しない。このような構成においても、下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71Aおよびカバー部72Aを有するシール部材70Aが配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。
【0057】
本変形例では、筒状部71Aの径方向外面が、モータハウジング40Aに接続し固定される。詳細には、筒状部71Aの径方向外面が、第1下筒部452Aの径方向内面に接続し固定される。筒状部71Aの径方向外面は、例えば、シール部材70Aが第1下筒部452Aに圧入、又は軽圧入されることにより、第1下筒部452Aの径方向内面と接触してよい。すなわち、筒状部71Aの径方向外面と、第1下筒部452Aの径方向内面とが、直接的に接続し固定されてよい。
【0058】
ただし、筒状部71Aの径方向外面は、シール部材70Aと第1下筒部452Aとの径方向間に接着剤等の中間部材を介在させて、第1下筒部452Aの径方向内面と接続されてもよい。すなわち、筒状部71Aの径方向外面と、第1下筒部452Aの径方向内面とが、間接的に接続し固定されてよい。
【0059】
本変形例によれば、筒状部71Aの径方向外面を、周方向および軸方向に広がるモータハウジング40Aの内面と広い範囲で接続させることができ、シール部材70Aとシャフト11との径方向間の間隙を適切に保つことができる。
【0060】
「1-4-2.第2変形例」
図10は、本発明の実施形態に係るモータ1の第2変形例を説明するための概略縦断面図である。図10は、シール部材70Bとシャフト11との関係を示す縦断面図である。シール部材70Bは、筒状部71Bとカバー部72Bとを有する。
【0061】
筒状部71Bは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Bは、筒状部71Bの径方向内面から径方向内方に延びる。本変形例では、カバー部72Bは、筒状部71Bの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びる。このために、第1変形例の場合と異なり、筒状部71Bの下面と、カバー部72Bの下面との間には段差が生じている。カバー部72Bの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Aは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Bを有する。
【0062】
本変形例においても、下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71Bおよびカバー部72Bを有するシール部材70Bが配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。
【0063】
なお、本変形例では、シール部材70Bは、第1変形例と同様に、上述したベース部73および接続部74に相当する部分を有しない。ただし、シール部材70Bは、上述したベース部73および接続部74のうち、少なくともベース部73に相当する部分を有してもよい。
【0064】
「1-4-3.第3変形例」
図11は、本発明の実施形態に係るモータ1の第3変形例を説明するための概略縦断面図である。図11は、シール部材70Cとシャフト11との関係を示す縦断面図である。シール部材70Cは、筒状部71Cと、カバー部72Cと、ベース部73Cとを有する。
【0065】
筒状部71Cは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Cは、筒状部71Cの下端部において、筒状部71Cの径方向内面から径方向内方に延びる。ただし、カバー部72Cは、筒状部71Cの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びてもよい。カバー部72Cの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Cは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Cを有する。
【0066】
ベース部73Cは、筒状部71Cの上端部から径方向外方に広がる。筒状部71Cの上面と、ベース部73Cの上面との間には段差はなく、筒状部71Cとベース部73Cとが繋がる部分の上面はフラットである。一方、筒状部71Cの下面と、ベース部73Cの下面との間には段差が生じている。なお、ベース部73Cの径方向外方には、上述の接続部74と同様の部分が配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0067】
本変形例においても、下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71Cおよびカバー部72Cを有するシール部材70Cが配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。ベース部73Cが設けられるために、筒状部71Cの径方向の厚みを必要以上に厚くすることなく、シール部材70Cをモータハウジング40に固定することができる。
【0068】
「1-4-4.第4変形例」
図12は、本発明の実施形態に係るモータ1の第4変形例を説明するための概略縦断面図である。図12は、シール部材70Dとシャフト11との関係を示す縦断面図である。シール部材70Dは、筒状部71Dと、カバー部72Dと、ベース部73Dとを有する。
【0069】
筒状部71Dは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Dは、筒状部71Dの下端部において、筒状部71Dの径方向内面から径方向内方に延びる。ただし、カバー部72Dは、筒状部71Dの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びてもよい。カバー部72Dの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Dは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Dを有する。
【0070】
ベース部73Dは、筒状部71Dの下端部から径方向外方に広がる。筒状部71Dの下面と、ベース部73Dの下面との間には段差はなく、筒状部71Dとベース部73Dとが繋がる部分の下面はフラットである。一方、筒状部71Dの上面と、ベース部73Dの上面との間には段差が生じている。なお、ベース部73Dの径方向外方には、上述の接続部74と同様の部分が配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0071】
本変形例においても、下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71Dおよびカバー部72Dを有するシール部材70Dが配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。外部からシャフト11の径方向外面に向かう塵埃を筒状部71Dに当てることができるために、塵埃を下軸受30Lに到達し難くすることができる。ベース部73Dが設けられるために、筒状部71Dの径方向の厚みを必要以上に厚くすることなく、シール部材70Dをモータハウジング40に固定することができる。
【0072】
「1-4-5.第5変形例」
図13は、本発明の実施形態に係るモータ1の第5変形例を説明するための概略縦断面図である。図13は、シール部材70Eとシャフト11との関係を示す縦断面図である。シール部材70Eは、筒状部71Eと、カバー部72Eと、ベース部73Eと、接続部74Eとを有する。
【0073】
筒状部71Eは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Eは、筒状部71Eの下端部において、筒状部71Eの径方向内面から径方向内方に延びる。ただし、カバー部72Eは、筒状部71Eの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びてもよい。カバー部72Eの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Eは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Eを有する。
【0074】
ベース部73Eは、筒状部71Eの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置から径方向外方に広がる。ただし、ベース部73Eは、筒状部71Eの上端部、或いは、下端部から径方向外方に広がってもよい。接続部74Eは、ベース部73Eの径方向外面において軸方向に延びる。接続部74Eの上面と、ベース部73Eの上面との間には段差がなく、接続部74Eとベース部73Eとが繋がる部分の上面はフラットである。接続部74Eの下端は、ベース部73Eの下端よりも軸方向下方に配置される。接続部74Eは、モータハウジング40に接続される。
【0075】
本変形例においても、下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71Eおよびカバー部72Eを有するシール部材70Eが配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。ベース部73Eが設けられるために、筒状部71Eの径方向の厚みを必要以上に厚くすることなく、シール部材70Eをモータハウジング40に固定することができる。接続部74Eが設けられるために、シール部材70Eとモータハウジング40との接続面積を増やして、シール部材70Eのモータハウジング40への固定強度を向上することができる。また、接続部74Eとモータハウジング40とが接続されることにより、塵埃の侵入経路を低減することができ、下軸受30Lに対する防塵性を向上することができる。
【0076】
「1-4-6.第6変形例」
図14は、本発明の実施形態に係るモータ1の第6変形例を説明するための概略縦断面図である。図14は、シール部材70Fとシャフト11との関係を示す縦断面図である。シール部材70Fは、筒状部71Fと、カバー部72Fと、ベース部73Fと、接続部74Fとを有する。
【0077】
筒状部71Fは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Fは、筒状部71Fの下端部において、筒状部71Fの径方向内面から径方向内方に延びる。ただし、カバー部72Fは、筒状部71Fの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びてもよい。カバー部72Fの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Fは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Fを有する。
【0078】
ベース部73Fは、筒状部71Fの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置から径方向外方に広がる。ただし、ベース部73Fは、筒状部71Fの上端部、或いは、下端部から径方向外方に広がってもよい。接続部74Fは、ベース部73Fの径方向外面において軸方向に延びる。接続部74Fの上端は、ベース部73Fの上端よりも軸方向上方に配置される。接続部74Fの下端は、ベース部73Fの下端よりも軸方向下方に配置される。接続部74Fは、モータハウジング40に接続される。
【0079】
本変形例においても、下軸受30Lの下方において、シャフト11と間隙を介して対向する筒状部71Fおよびカバー部72Fを有するシール部材70Fが配置されるために、下軸受30Lの下方から軸受に向けて塵埃が入ることを抑制することができる。ベース部73Fが設けられるために、筒状部71Fの径方向の厚みを必要以上に厚くすることなく、シール部材70Fをモータハウジング40に固定することができる。接続部74Fが設けられるために、シール部材70Fとモータハウジング40との接続面積を増やして、シール部材70Fのモータハウジング40への固定強度を向上することができる。また、接続部74Fとモータハウジング40とが接続されることにより、塵埃の侵入経路を低減することができ、下軸受30Lに対する防塵性を向上することができる。
【0080】
「1-4-7.第7変形例」
図15は、本発明の実施形態に係るモータ1の第7変形例を説明するための概略縦断面図である。図15は、シール部材70Gの周辺構造を示す縦断面図である。上述の実施形態と同様に、モータハウジング40Gは、下環状部451Gと、第1下筒部452Gとを有する。第1下筒部452Gには、下軸受30Lが配置される。シール部材70Gは、筒状部71Gと、カバー部72Gと、ベース部73Gとを有する。
【0081】
筒状部71Gは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。カバー部72Gは、筒状部71Gの下端部において、筒状部71Gの径方向内面から径方向内方に延びる。ただし、カバー部72Gは、筒状部71Gの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びてもよい。カバー部72Gの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Gは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Gを有する。ベース部73Gは、筒状部71Gの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置から径方向外方に広がる。ただし、ベース部73Gは、筒状部71Gの上端部、或いは、下端部から径方向外方に広がってもよい。
【0082】
シール部材70Gと、モータハウジング40Gのうち一方は、弾性を有する係止部90を有する。シール部材70Gと、モータハウジング40Gのうち他方は、係止部90が固定される被係止部91を有する。これによれば、例えばスナップフィットを利用してシール部材70Gとモータハウジング40Gとを容易に固定することができる。
【0083】
本変形例では、シール部材70Gが係止部90を有する。モータハウジング40Gが被係止部91を有する。係止部90は、ベース部73Gの径方向外面において軸方向に延びる。係止部90は、モータハウジング40Gに接続する接続部74Gを兼ねる。係止部90は、弾性板状部901および爪部902を有する。弾性板状部901は、ベース部73Gの径方向外端に弾性変形可能に接続される。爪部902は、弾性板状部901の上端に配置される。被係止部91は、下環状部451Gの上面である。爪部902が下環状部451Gの上面に引っ掛けられることにより、シール部材70Gは下環状部451Gに固定される。なお、係止部90は、1つでもよいが、周方向に間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
【0084】
シール部材70Gがベース部73Gを有しない構成とする場合には、係止部90は筒状部71Gに設けられてよい。この場合、例えば、筒状部71Gの径方向外面は第1下筒部452Gの径方向内面に接触され、係止部90は、被係止部91として機能する下環状部451Gの上面に固定されてよい。このような構成とした場合、筒状部71Gにねじ止め等を施してシール部材70Gをモータハウジング40Gに固定する場合に比べて、シール部材70Gとシャフト11との間隙を適切に保つことができる。
【0085】
「1-4-8.第8変形例」
図16は、本発明の実施形態に係るモータ1の第8変形例を説明するための概略縦断面図である。図16は、シール部材70Hの周辺構造を示す縦断面図である。上述の実施形態と同様に、モータハウジング40Hは、下軸受30Lが配置される第1下筒部452Hを有する。
【0086】
シール部材70Hは、筒状部71Hとカバー部72Hとを有する。筒状部71Hは、軸方向に延び、径方向内面がシャフト11の径方向外面と径方向に間隙を介して対向する。筒状部71Hは、第1下筒部452Hの径方向内面と直接的又は間接的に接続して、第1下筒部452Hに固定される。カバー部72Hは、筒状部71Hの下端部において、筒状部71Hの径方向内面から径方向内方に延びる。ただし、カバー部72Hは、筒状部71Hの上端よりも下方、且つ、下端よりも上方の位置において、径方向内面から径方向に延びてもよい。カバー部72Hの上面は、シャフト11の下面と軸方向に間隙を介して対向する。カバー部72Hは、シャフト11の径方向外端よりも径方向内方において、軸方向に貫通する貫通孔721Hを有する。
【0087】
なお、シール部材70Hは、上述のベース部73および接続部74に相当する部分のうち、少なくともベース部73に相当する部分を有してよい。
【0088】
本変形例では、シール部材70Hは弾性を有する。シール部材70Hの上面は、下軸受30Lの外輪32の下面を支持する。下軸受30Lは、転がり軸受である。すなわち、シール部材70Hの上面は、転がり軸受30Lの外輪32の下面を支持する。シール部材70Hの上面は、下軸受30Lの外輪32より径方向内方の部分に接触しないことが好ましい。このため、本変形例では、筒状部71Hの上面に上方に突出する突起75が設けられ、突起75が外輪32に接触している。なお、突起75は、中心軸Cを中心とする円環状である。突起75は、周方向に間隔をあけて複数配列されてもよい。
【0089】
本変形例によれば、シール部材70Hによって下軸受30Lの外輪32に対して軸方向の予圧を与えることができ、モータ1の駆動時における振動および騒音の発生を抑制することができる。また、本変形例によれば、シール部材70Hと下軸受30Lとの軸方向間に弾性部材80を配置する必要がなく、モータ1の部品点数を低減することができる。
【0090】
<2.送風装置>
次に、本実施形態のモータ1が適用された送風装置100の実施形態について説明する。図17は、本発明の実施形態に係る送風装置100の縦断面を示す斜視図である。送風装置100は、上記構成のモータ1と、インペラ110とを有する。送風装置100は、ディフューザ120と、インペラカバー130とを更に有する。
【0091】
(2-1.インペラの構成)
インペラ110は、モータ1の上方に配置され、シャフト11に固定される。インペラ110は、ロータ10とともに回転する。インペラ110は、中心軸C回りに回転する。インペラ110は、例えば金属部材で構成される。インペラ110の径方向外縁は、軸方向からの平面視において、円形状である。インペラ110は、ベース板111と、複数の羽根112と、シュラウド113と、ハブ114とを有する。
【0092】
ベース板111は、インペラ110の下部に配置される。ベース板111は、中心軸Cを中心として径方向に広がる。ベース板111は、円板状部材である。ベース板111は、羽根112の下部を支持する。
【0093】
複数の羽根112は、ベース板111の上方に配置される。複数の羽根112は、ベース板111の上面において周方向に配列される。複数の羽根112のそれぞれの下部は、ベース板111に接続される。複数の羽根112のそれぞれの上部は、シュラウド113に接続される。羽根112は、上下に起立する板状部材である。羽根112は、径方向内方から径方向外方に向かって延び、周方向に湾曲する。
【0094】
シュラウド113は、複数の羽根112の上方に配置される。シュラウド113は、軸方向からの平面視において、径方向内端及び径方向外端がそれぞれ中心軸Cを中心とする円環状である。シュラウド113は、環状の板状部材で構成され、詳細には、径方向外端から径方向内方に向かうに従って上方に湾曲する。シュラウド113は、上下に開口するシュラウド吸気口113aを有する。シュラウド吸気口113aは、シュラウド113の中央部に配置される。シュラウド113は、羽根112の上部を支持する。
【0095】
ハブ114は、ベース板111の中心軸C付近であって、ベース板111の中央部に配置される。ハブ114は、軸方向からの平面視において円環状である。シャフト11は、ハブ114の中央部において中心軸Cに沿って上下にハブ114を貫通し、ハブ114に固定される。すなわち、インペラ110は、シャフト11に固定される。
【0096】
(2-2.ディフューザの構成)
ディフューザ120は、第1ディフューザ筒部121と、第2ディフューザ筒部122と、複数の静翼123とを有する。本実施形態では、第1ディフューザ筒部121と、第2ディフューザ筒部122と、複数の静翼123とは、単一部材である。ただし、これらのうちの少なくともいずれか1つの部材は、別部材であってもよい。
【0097】
第1ディフューザ筒部121は、第2ハウジング部42よりも径方向外方に配置される。第1ディフューザ筒部121は、中心軸Cを中心とし、軸方向に延びる筒状である。第1ディフューザ筒部121の径方向内面は、第2ハウジング部42の径方向外面と径方向に接触する。
【0098】
第2ディフューザ筒部122は、第1ディフューザ筒部121よりも径方向外方に配置される。第2ディフューザ筒部122は、中心軸Cを中心とし、軸方向に延びる筒状である。第2ディフューザ筒部122は、第1ハウジング部41の上方に配置される。第2ディフューザ筒部122の下面は、第1ハウジング部41の上面と軸方向に接触する。
【0099】
なお、第1ディフューザ筒部121の上面と、第2ディフューザ筒部122の上面とは、軸方向の位置が同じである。第1ディフューザ筒部121は、第2ディフューザ筒部122よりも軸方向の長さが長い。第1ディフューザ筒部121の下端は、第2ディフューザ筒部122の下端よりも下方に配置される。
【0100】
複数の静翼123は、第1ディフューザ筒部121と第2ディフューザ筒部122との径方向間に周方向に配列される。詳細には、複数の静翼123は、周方向に等間隔に配列される。各静翼123は、軸方向に延びる。各静翼123の径方向内面は、第1ディフューザ筒部121の径方向外面と接続される。各静翼123の径方向外面は、第2ディフューザ筒部122の径方向内面と接続される。第1ディフューザ筒部121と第2ディフューザ筒部122との径方向間において、複数の静翼123が設けられない部分は空気が流れる流路101を構成する。複数の静翼123は、流路101を通過する気流300を整流する。
【0101】
(2-3.インペラカバーの構成)
インペラカバー130は、インペラ110の上方に配置される。インペラカバー130は、インペラ110を内包する。インペラカバー130は、中心軸Cを中心とし、上方に向かって先細りの筒状である。インペラカバー130の径方向内面は、第2ディフューザ筒部122および第1ハウジング部41の径方向外面と接触する。インペラカバー130は、第2ディフューザ筒部122および上ハウジング40Uに固定される。
【0102】
インペラカバー130は、上下に開口するカバー吸気口130aを有する。カバー吸気口130aは、インペラカバー130の上端部であって中央部に配置される。カバー吸気口130aの下部は、シュラウド吸気口113aの上部と軸方向に重なる。カバー吸気口130aの下部の外径は、シュラウド吸気口113aの上部の内径よりも小さい。
【0103】
(2-4.送風装置の作用)
インペラ110がモータ1によって回転駆動されると、インペラカバー130のカバー吸気口130aからインペラ110の内部に空気が吸い込まれる気流300が発生する。インペラ110の内部に吸い込まれた空気は、インペラ110の回転によってインペラ110の径方向外方に吹き出される。インペラ110の径方向外方に吹き出された空気は、インペラカバー130、ディフューザ120、および、上ハウジング40Uによって構成される流路101を通って下方に案内される。上ハウジング40Uの下端から下方に吹き出された気流300の一部が送風装置100の外部へと流れ、他の一部はモータハウジング40の内部および回路基板50に向かって流れる。ステータ20および回路基板50等は、気流300により冷却される。
【0104】
なお、リブ43には、軸方向に貫通するリブ貫通孔が形成されてよい。これにより、リブ43が配置されている場所においても、下方に空気を流すことができ、送風抵抗を低減することができる。
【0105】
本実施形態では、モータハウジング40の内部等に向かって流れる気流の影響により、塵埃が下軸受30Lに入る可能性がある。しかし、送風装置100が有するモータ1に防塵性に優れるシール部材70が配置されているために、下軸受30Lに塵埃が入ることを抑制することができる。また、本実施形態では、防塵用のシールを有する高価な軸受を使用する必要がないために、送風装置100を安価に製造することができる。また、本実施形態では、シール部材70が貫通孔721を有するために、モータ1の下方から治具によってシャフト11を支持することができ、シャフト11にインペラ110を圧入する作業を容易に行うことができる。
【0106】
<3.掃除機>
次に、本実施形態の送風装置100が適用された掃除機200の実施形態について説明する。図18は、本発明の実施形態に係る掃除機200の斜視図である。図18に示すように、掃除機200は送風装置100を有する。掃除機200はいわゆるスティック型の電気掃除機である。なお、送風装置100を有する掃除機200は、いわゆるロボット型、キャニスター型またはハンディ型等の他のタイプの電気掃除機でもよい。
【0107】
掃除機200は、下面及び上面にそれぞれ吸気部202及び排気部203が設けられた筐体201を有する。掃除機200は、充電式のバッテリ(不図示)を有し、当該バッテリから供給される電力によって作動する。ただし、掃除機200は、電源コードを有し、居室の壁面に設けられた電源コンセントに接続された電源コードを介して供給される電力によって作動してもよい。
【0108】
筐体201内には吸気部202と排気部203とを連結する空気通路(不図示)が形成される。空気通路内には、吸気部202(上流)から排気部203(下流)に向かって、集塵部(不図示)、フィルタ(不図示)及び送風装置100が順に配置される。空気通路内を流通する空気に含まれる塵埃等のゴミはフィルタにより捕集され、容器状に形成される集塵部内に集塵される。集塵部及びフィルタは筐体201に対して着脱可能に設けられる。
【0109】
筐体201の上部には把持部204及び操作部205が設けられる。使用者は把持部204を把持して掃除機200を移動させることができる。操作部205は複数のボタン205aを有する。使用者は、ボタン205aの操作によって掃除機200の動作設定を行う。例えば、ボタン205aの操作により、送風装置100の駆動開始、駆動停止、及び回転数の変更等が指示される。吸気部202には棒状の吸引管206が接続される。吸引管206の上流端には吸引ノズル207が吸引管206に対して着脱可能に取り付けられる。なお、吸引管206の上流端は、図18において吸引管206の下端である。
【0110】
本実施形態によれば、掃除機200が有するモータ1に防塵性に優れるシール部材70が配置されているために、下軸受30Lに塵埃が入り難く、掃除機200の耐久性を向上することができる。また、本実施形態では、防塵用のシールを有する高価な軸受を使用する必要がないために、掃除機200を安価に製造することができる。
【0111】
<4.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、例えば掃除機等の送風装置を有する電気機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1・・・モータ
10・・・ロータ
11・・・シャフト
11a・・・凹部
20・・・ステータ
30・・・軸受
32・・・外輪
40・・・モータハウジング
70・・・シール部材
71・・・筒状部
72・・・カバー部
73・・・ベース部
74・・・接続部
80・・・弾性部材
90・・・係止部
91・・・被係止部
100・・・送風装置
110・・・インペラ
200・・・掃除機
721・・・貫通孔
C・・・中心軸
図1
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