(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】複合膜、及び複合膜パターンの製造方法並びに製造装置
(51)【国際特許分類】
C08L 1/00 20060101AFI20230725BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20230725BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20230725BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20230725BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20230725BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20230725BHJP
C08L 25/18 20060101ALI20230725BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20230725BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20230725BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20230725BHJP
B05D 5/12 20060101ALI20230725BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20230725BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230725BHJP
B05B 5/025 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C08L1/00
H01L21/288 Z
H01L21/90 B
H01L21/90 Q
H05K3/10 D
C08L65/00
C08L25/18
C08K3/00
B05D1/02 Z
B05D1/36 Z
B05D5/12 B
B05D5/12 D
B05D7/00 H
B05D7/24 302C
B05D7/24 302E
B05B5/025 A
(21)【出願番号】P 2019052575
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雅博
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227551(JP,A)
【文献】特開2018-161769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01
B41J 2/165-2/20
B41J 2/21-2/215
B05B 5/00-5/16
H01L 21/64-21/66
H05K 3/10-3/26
H01G 4/12
H01G 4/224
H01G 4/30
H01G 4/00-4/10
H01L 21/88-21/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路素子の電気回路が含むパターンとしての複合膜であって、
ホスト材料とゲスト材料から形成されてな
り、
ホスト材料が
セルロースからなり、
ゲスト材料が
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)からなり、
前記複合膜中にホスト材料とゲスト材料の分離界面が存在することを特徴とする複合膜。
【請求項2】
前記ホスト材料中に、前記ゲスト材料が連続的または断続的に配されていることを特徴とする請求項1に記載の複合膜。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の複合膜からなるパターンを含み、前記パターンが電気回路を成すことを特徴とする電気回路素子。
【請求項4】
請求項
3に記載の電気回路素子を基板上に形成してなることを特徴とする電気回路基板。
【請求項5】
請求項1
または2に記載の複合膜、または請求項
3に記載の電気回路素子、あるいは請求項
4に記載の電気回路基板を製造するための製造方法であって、
ホスト材料
としてのセルロースおよびゲスト材料
としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)をそれぞれミスト液滴化し、
基板を走査して移動させながら、基板上に前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互あるいは同時に堆積させて、
ホスト材料とゲスト材料からなる複合膜パターンを形成することを特徴とする、複合膜パターンの製造方法。
【請求項6】
前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互に堆積させることと、同時に堆積させることを組み合わせて行うことを特徴とする、請求項
5に記載の複合膜パターンの製造方法。
【請求項7】
前記ゲスト材料のミスト液滴供給量を連続的に変化させること、またはこのミスト液滴への印加電圧を変化させることにより、
ゲスト材料のパターンの濃淡を調節することを特徴とする、請求項
5または6に記載の複合膜パターンの製造方法。
【請求項8】
前記ミスト液滴化したホスト材料またはゲスト材料を加熱する工程を有し、
加熱量を調節することにより、ミスト液滴に含まれる溶媒量を調節することを特徴とする、請求項
5~7のいずれか1項に記載の複合膜パターンの製造方法。
【請求項9】
前記ミスト液滴化したホスト材料またはゲスト材料を堆積する際に、
ミスト液滴の供給量と、印加電圧と、噴出ノズルと基板との間の距離をそれぞれ調節することにより、ミスト液滴サイズおよび堆積範囲を調節することを特徴とする、請求項
5~8のいずれか1項に記載の複合膜パターンの製造方法。
【請求項10】
請求項
5~9のいずれかに記載の複合膜パターンの製造方法に用いるための製造装置であって、
ホスト材料としてのセルロースをミスト液滴化してなるホストミストを生成し供給するホストミスト生成供給部と、
ゲスト材料としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)をゲスト液滴化してなるゲストミストを生成し供給するゲストミスト生成供給部と、
前記ホストミスト生成供給部から供給されるホストミストと、前記ゲストミスト生成供給部から供給されるゲストミストを、基板に向けて交互に又は同時に噴出可能な複合膜形成ヘッドと、
基板と対向電極を載置して移動可能な可動ステージと、を少なくとも備え、
前記複合膜形成ヘッドから、ホストミストは無帯電で基板上に搬送され、かつ、
ゲストミストはエレクトロスプレーヘッドにより帯電して基板上に搬送されることを特徴とする複合膜パターンの製造装置。
【請求項11】
前記複合膜形成ヘッドが複数のエレクトロスプレーヘッドを備えており、
各エレクトロスプレーヘッドはそれぞれ、ミスト供給用スプレーノズルを1本備えていることを特徴とする請求項
10に記載の複合膜パターンの製造装置。
【請求項12】
前記複合膜形成ヘッドが1つのエレクトロスプレーヘッドを備えており、
該エレクトロスプレーヘッドには、複数のミスト供給用スプレーノズルが集約して配されていることを特徴とする、請求項
10に記載の複合膜パターンの製造装置。
【請求項13】
ホスト材料およびゲスト材料をそれぞれミスト液滴化し、基板を走査して移動させながら、基板上に前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互あるいは同時に堆積させて、ホスト材料とゲスト材料からなり、複合膜中にホスト材料とゲスト材料の分離界面が存在する複合膜パターンを形成する複合膜パターンの製造方法に用いるための製造装置であって、
ホスト材料としてのセルロースをミスト液滴化してなるホストミストを生成し供給するホストミスト生成供給部と、
ゲスト材料としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)をゲスト液滴化してなるゲストミストを生成し供給するゲストミスト生成供給部と、
前記ホストミスト生成供給部から供給されるホストミストと、前記ゲストミスト生成供給部から供給されるゲストミストを、基板に向けて交互に又は同時に噴出可能な複合膜形成ヘッドと、
基板と対向電極を載置して移動可能な可動ステージと、を少なくとも備え、
前記複合膜形成ヘッドから、ホストミストは無帯電で基板上に搬送され、かつ、
ゲストミストはエレクトロスプレーヘッドにより帯電して基板上に搬送され、
前記複合膜形成ヘッドが1つのエレクトロスプレーヘッドを備えており、
該エレクトロスプレーヘッドには、複数のミスト供給用スプレーノズルが集約して配されていることを特徴とする、複合膜パターンの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料をミスト液滴化して形成される複合膜、及び複合膜パターンの製造方法並びに製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のネットワークの拡充や生活スタイルの多様化に伴い、フレキシブル性や大面積化といった、従来のSi半導体デバイスでは実現困難な付加価値が電子デバイスに求められており、その目的に有望な、フィルム上に成膜可能な塗布型エレクトロニクスデバイスが注目されている。
【0003】
塗布型デバイスにおいて、性能向上のためには、機能の異なる材料を目的の機能に適するように複合した構成とすることが重要である。
しかし、例えばホスト材料Aとゲスト材料Bからなる複合膜の塗布膜を形成する場合、ホスト材料Aとゲスト材料Bの相溶性が高いと、成膜した際に混ざり合いが生じることになり、ホスト材料A中にゲスト材料Bが分離した複合膜を形成することは困難である。
【0004】
このような課題に対して、従来のウエットプロセスでは、予めホスト材料中にゲスト材料を、例えばマイクロカプセル化して分離分散している塗料を準備して塗布することで、複合膜の形成を可能としている。
また、ドライプロセスであれば、ウエットプロセスのような混ざり合いが生じにくいため、ホスト材料とゲスト材料からなる複合膜を混ざることなく形成できる。(特許文献1)
【0005】
また印刷技術を用いた場合では、例えば非特許文献1によれば、マイクロコンタクトプリント法でPDMS(ポリジメチルシロキサン)からなる印刷版を用いてホスト材料とゲスト材料を順次印刷することで、複合膜を形成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-331810号公報
【文献】特許第3091326号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】八瀬 清志、有機分子デバイスの製膜技術II 印刷法、応用物理 第77巻 第2号 p.173(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のウエットプロセスの手法では、ゲスト材料をマイクロカプセル化する手間が必要になり、マイクロカプセル材料に阻害を受けて、ゲスト材料自体の機能が低下する問題があった。
また、ドライプロセスの手法では、成膜する際に高エネルギーを印加するため、熱的に不安定な材料は適用できず、且つ基材もガラスなどの耐熱性のある材料に限定されてしまうため、材料および基材に制約がある。また、多くが真空プロセスであることから、生産性が悪いという問題があった。
【0009】
印刷技術を用いた手法では、印刷速度が遅く、印刷版を必要とするためコスト高になる
問題がある。また、ホストまたはゲスト材料をインク化するために、ホスト材料、ゲスト材料以外の材料が混入してしまう問題がある。
【0010】
本発明では、このような問題に鑑みて、容易に混ざり合う相溶性の高い材料同士であってもホスト材料・ゲスト材料の機能を損なわず、かつ安価に作製可能な、ホスト材料とゲスト材料からなる複合膜、及び複合膜パターンの製造方法、製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明は、電気回路素子の電気回路が含むパターンとしての複合膜であって、
ホスト材料とゲスト材料から形成されてなり、
ホスト材料がセルロースからなり、
ゲスト材料がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)からなり、
前記複合膜中にホスト材料とゲスト材料の分離界面が存在することを特徴とする複合膜である。
【0012】
また、請求項2の発明は、
前記ホスト材料中に、前記ゲスト材料が連続的または断続的に配されていることを特徴とする請求項1に記載の複合膜である。
【0014】
請求項3の発明は、
請求項1または2に記載の複合膜からなるパターンを含み、前記パターンが電気回路を成すことを特徴とする電気回路素子である。
【0015】
請求項4の発明は、
請求項3に記載の電気回路素子を基板上に形成してなることを特徴とする電気回路基板である。
【0016】
請求項5の発明は、
請求項1または2に記載の複合膜、または請求項3に記載の電気回路素子、あるいは請求項4に記載の電気回路基板を製造するための製造方法であって、
ホスト材料としてのセルロースおよびゲスト材料としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)をそれぞれミスト液滴化し、
基板を走査して移動させながら、基板上に前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互あるいは同時に堆積させて、
ホスト材料とゲスト材料からなる複合膜パターンを形成することを特徴とする、複合膜パターンの製造方法である。
【0017】
請求項6の発明は、
前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互に堆積させることと、同時に堆積させることを組み合わせて行うことを特徴とする、請求項5に記載の複合膜パターンの製造方法である。
【0018】
請求項7の発明は、
前記ゲスト材料のミスト液滴供給量を連続的に変化させること、またはこのミスト液滴への印加電圧を変化させることにより、
ゲスト材料のパターンの濃淡を調節することを特徴とする、請求項5または6に記載の複合膜パターンの製造方法である。
【0019】
請求項8の発明は、
前記ミスト液滴化したホスト材料またはゲスト材料を加熱する工程を有し、
加熱量を調節することにより、ミスト液滴に含まれる溶媒量を調節することを特徴とする、請求項5~7のいずれか1項に記載の複合膜パターンの製造方法である。
【0020】
請求項9の発明は、
前記ミスト液滴化したホスト材料またはゲスト材料を堆積する際に、
ミスト液滴の供給量と、印加電圧と、噴出ノズルと基板との間の距離をそれぞれ調節することにより、ミスト液滴サイズおよび堆積範囲を調節することを特徴とする、請求項5~8のいずれか1項に記載の複合膜パターンの製造方法である。
【0021】
請求項10の発明は、
請求項5~9のいずれかに記載の複合膜パターンの製造方法に用いるための製造装置であって、
ホスト材料としてのセルロースをミスト液滴化してなるホストミストを生成し供給するホストミスト生成供給部と、
ゲスト材料としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)をゲスト液滴化してなるゲストミストを生成し供給するゲストミスト生成供給部と、
前記ホストミスト生成供給部から供給されるホストミストと、前記ゲストミスト生成供給部から供給されるゲストミストを、基板に向けて交互に又は同時に噴出可能な複合膜形成ヘッドと、
基板と対向電極を載置して移動可能な可動ステージと、を少なくとも備え、
前記複合膜形成ヘッドから、ホストミストは無帯電で基板上に搬送され、かつ、
ゲストミストはエレクトロスプレーヘッドにより帯電して基板上に搬送されることを特徴とする複合膜パターンの製造装置である。
【0022】
請求項11の発明は、
前記複合膜形成ヘッドが複数のエレクトロスプレーヘッドを備えており、
各エレクトロスプレーヘッドはそれぞれ、ミスト供給用スプレーノズルを1本備えていることを特徴とする請求項10に記載の複合膜パターンの製造装置である。
【0023】
請求項12の発明は、
前記複合膜形成ヘッドが1つのエレクトロスプレーヘッドを備えており、
該エレクトロスプレーヘッドには、複数のミスト供給用スプレーノズルが集約して配されていることを特徴とする、請求項10に記載の複合膜パターンの製造装置である。
請求項13の発明は、
ホスト材料およびゲスト材料をそれぞれミスト液滴化し、基板を走査して移動させながら、基板上に前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互あるいは同時に堆積させて、ホスト材料とゲスト材料からなり、複合膜中にホスト材料とゲスト材料の分離界面が存在する複合膜パターンを形成する複合膜パターンの製造方法に用いるための製造装置であって、
ホスト材料としてのセルロースをミスト液滴化してなるホストミストを生成し供給するホストミスト生成供給部と、
ゲスト材料としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)をゲスト液滴化してなるゲストミストを生成し供給するゲストミスト生成供給部と、
前記ホストミスト生成供給部から供給されるホストミストと、前記ゲストミスト生成供給部から供給されるゲストミストを、基板に向けて交互に又は同時に噴出可能な複合膜形成ヘッドと、
基板と対向電極を載置して移動可能な可動ステージと、を少なくとも備え、
前記複合膜形成ヘッドから、ホストミストは無帯電で基板上に搬送され、かつ、
ゲストミストはエレクトロスプレーヘッドにより帯電して基板上に搬送され、
前記複合膜形成ヘッドが1つのエレクトロスプレーヘッドを備えており、
該エレクトロスプレーヘッドには、複数のミスト供給用スプレーノズルが集約して配されていることを特徴とする、複合膜パターンの製造装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、安価な作製プロセスで、ホスト材料とゲスト材料が機能的に混ざり合うことなく所望の複合膜、および複合膜パターンの製造方法、製造装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の複合膜の一実施形態における膜構成を示す断面模式図である。
【
図2】本発明の複合膜パターン製造装置の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の複合膜パターン製造方法における工程フロー図である。
【
図4】本発明で形成する複合膜による配線構造の断面模式図である。
【
図5】本発明で形成する複合膜によるコンデンサ構造の断面模式図である。
【
図6】本発明で形成した複合膜の透過電子顕微鏡(TEM)断面観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明について説明する。
本発明の複合膜に用いるホスト材料は、印刷媒体としての物理的な安定、保持を受け持つ材料であって、例えば印刷インクに用いるバインダー樹脂などが挙げられる。
またゲスト材料は、媒体形成時にホスト材料に含有され、その媒体を特徴づける機能性を有する材料である。
本発明の複合膜において主たる機能としては、ホスト材料が絶縁性で、ゲスト材料が導電性である。
【0027】
図1を用いて説明する。
本発明の複合膜1は、
図1(a)のように、基材4に対してホスト材料2とゲスト材料3が、水平に順次積層された膜構成をしている。また、
図1(b)は、ホスト材料2に対してゲスト材料3が垂直に配されている膜構成をしている。さらに、
図1(c)は、ホスト材料2に包含された状態でゲスト材料3のパターンが存在している。
なお、上記のように3例を挙げて説明をしたが、本発明ではゲスト材料とホスト材料が、それぞれの材料としての機能を損なわれない状態で配されていれば、とくに配置パターンに拘るものではない。
【0028】
また、本発明では用いるホスト材料とゲスト材料として同系溶媒に溶解または分散した材料を用いることを特徴としている。ここで同系溶媒とは、印刷インクで例えると水系インクであれば水系インク同士、溶剤系インクであれば溶剤系インク同士を指している。
【0029】
一般的な印刷で同系溶媒のインクで積層を行なうと、先に印刷してあった材料が後に印刷した材料に含まれる乾燥前の溶媒により再溶解され、材料同士の混ざり合いが生じる。
このような問題に対して従来技術では、先に印刷した材料を硬化処理して再溶解を防止するか、あるいは溶媒種を変更して相互が不溶な溶媒同士にして、積層時の混ざり合いを防止している。
【0030】
しかし、本発明では、そのような処理をせずとも材料の混ざり合いのない媒体形成が可能である。このことを、後述する工程フローで詳細に説明する。
【0031】
なお、本発明で形成する膜(薄膜)を複合膜と称する。また、本発明で複合膜中に分離界面を設けることを、パターニングする、あるいはパターンを有する、と称することがある。ここで分離界面とは、2つの層が接しており、且つ各層の組成が混ざっておらず分離した状態の2層の界面を示す。
【0032】
一般的な印刷インクでは、印刷工程での機能を達成するために分散、流動、硬化などの添加材料をインク中に必要とし、これらの添加材料は媒体形成後も材料パターンに残留する。このような添加材料の残留物は、機能性パターンとしては不純物にあたり、媒体に持たせたい機能の低下を招くことが多い。
【0033】
本発明の複合膜パターンの製造方法においては、ホスト材料およびゲスト材料をそれぞれミスト液滴化して、それを基材上に堆積させて薄膜を形成する技術、いわゆるミスト成膜技術を用いる。
ミスト成膜に係る材料であるミスト原料は、物理的に変形させてミスト液滴にするだけで良いので、材料と分散または溶解する溶媒以外の工程用の補助材料を添加する必要はない。従って、パターン形成時に溶媒を乾燥してしまえば、各機能材料のみでのパターン形成が可能である。
また 、ホスト材料、ゲスト材料ともに後述する材料を使用できるが、もともと材料に含まれるもの、その分解物、生成物についても、ホスト材料、ゲスト材料に含まれるものとする。
【0034】
例えば、ゲスト材料の一つであるPEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)は、水に分散されており、使用の際に分解したり、重合したりする可能性があり、最終的に得られる膜中に含有される可能性があるが、これらの物質もゲスト材料に含めている。
【0035】
また、ゲスト材料として利用可能性のある銀ナノ粒子の場合、分散性を高めるために銀表面に化学物質を結合させておくことがある。この化学物質もゲスト物質として扱う。
同様にホスト材料の一つである樹脂やセルロースに、可撓性を向上させるために滑剤が含まれていたり、ホスト材料の分解物や、ホスト材料に元々含まれる物質があるとき、その滑剤等も含めて、ホスト材料として扱う。
【0036】
<ホスト材料の役割・機能>
本発明の実施形態において、ホスト材料は主に膜の物理的な特性や構造を保持する役割を担い、具体的にはフィラーの分散媒体や付着性、浸透性、保護性、防食性、機械的物性、耐久性、絶縁特性、耐摩擦・磨耗特性、防汚性、防腐・防カビ性、保湿・湿潤性などの機能を少なくとも一つ以上有する。
具体的なホスト材料としては、例えば、各種樹脂、セルロースなどの生体高分子(植物、動物、微生物等由来)等の高分子物質、溶媒に溶解あるいは分散可能な顔料などが挙げられる。
【0037】
<ゲスト材料の機能と材料種類>
本発明の実施形態において、ゲスト材料の機能や、利用可能な導電材料、半導体物質、圧電体として、以下に示すように分類されるが、これに限定されるものではない。
導電性付与:銀ナノ粒子、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属粉、金属繊維、金属箔、
磁性付与:各種磁性材料、各種フェライト系、磁性酸化鉄、サマリウムコバルト(Sm-Co)、Nd-Fe-B、
圧電体:チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、
電磁波吸収:フェライト、黒鉛、木炭粉、カーボンマイクロコイル(CMC)、カーボンナノチューブ(CNT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、
半導体物質:単結晶、多結晶、アモルファスなどの結晶形態のシリコン、CMOS、半導体の特性を有する有機物や高分子物質、半導体の特性を有する化合物、
などが挙げられる。
【0038】
<ゲスト材料の特徴>
ゲスト材料は、主に機能を付与するフィラーのような役割を担い、機械的性質などの物性を変えたり、機能性を付与する。プラスチック材料・バインダー材料・樹脂材料・ゴム材料などの高分子材料の機械的強度や耐熱性の向上は、ゲスト材料によっても改善可能である。また、導電性を与えたり、磁性、圧電性、半導体の特性を与えたりといったことが可能となる。
【0039】
本発明の装置構成の一実施形態について、
図2を用いて説明する。
図2(a)は、本発明に係る複合膜の製造装置10の概略構成を示す。
この製造装置10は、ホストミスト生成チャンバ12及びホストミスト供給路13を含むホストミスト生成供給部と、ゲスト原料供給路14及びエレクトロスプレーヘッド17を含むゲストミスト生成供給部と、複合膜形成ヘッド11と、基板4及び対向電極18を載置した可動ステージ19と、を少なくとも備えている。
【0040】
まずホスト材料のミスト原料液が収納されたホストミスト生成チャンバ12においてホ
ストミストが生成され、供給される。このホストミストは搬送エアを用いてホストミスト供給路13を通って、複合膜形成ヘッド11に供給される。
【0041】
複合膜形成ヘッド11には、ゲスト原料供給路14からゲスト原料液が供給され、エレクトロスプレーヘッド17により帯電したミスト液滴が生成され、エレクトロスプレーヘッド17と対向電極18に印加される電界により帯電したゲストミスト16が、基材4上に電界駆動により供給される。このとき複合膜形成ヘッド11からホストミスト15も供給されることで、基板4上にはホストミストとゲストミストの複合膜が形成される。
【0042】
基材4は対向電極18上に設けられ、対向電極18は可動ステージ19上に設置されている。可動ステージ19はステージ移動制御機構(図示せず)と繋がっており、可動ステージ19を制御して移動させることで、任意の複合膜のパターンが形成できる。
【0043】
本実施形態でホストミスト生成チャンバ12に用いる装置には、ミスト原料液に超音波を当ててキャピラリー原理により原料液から微細液滴を発生させる手法や、ベンチュリ―効果を用いてミスト液滴を形成する手法がとられる。
ただし、本発明は原料液から物理的作用により微細液滴を発生させる手法であれば何でもよく、ホストミスト生成チャンバ12でミストを発生させる方法に拘るものではない。
【0044】
また、ゲストミスト16の生成では、原料液をノズルから噴出させノズルと基材間に高電圧を印加して、ノズルから噴出した液滴を電圧印加により液滴が荷電され、クーロン力の斥力により液滴が細分化して基材に堆積させて、薄膜を形成するエレクトロスプレー法が用いられている。
【0045】
この複合膜形成ヘッド11は、搬送エアで供給されるため無帯電のホストミスト15と、電界搬送とする帯電したゲストミストとを、同時に基材へ供給できる構成となっている。
図示していないが、ホストミスト供給路13では、供給経路に加熱装置を設け、この経路でミスト液滴を加熱することで、ミスト液滴に含まれる溶媒量を調整することが可能である。
【0046】
また、ゲスト原料供給路14から供給されるゲストミスト16は、エレクトロスプレーヘッド17と基板4及び対向電極18との距離を調整することで、ミスト液滴のサイズを変更することが可能である。具体的には、上記距離を近くすればミスト液滴径が大きく、距離を離すことで液滴径を小さく調整可能である。
【0047】
上記手段によりミスト液滴の乾燥状態と液滴サイズを適宜調整することで、基材4に着弾した際のミスト液滴の溶媒含有量を調整することが可能である。究極的には、溶媒をほぼすべて乾燥させ、ホスト材料、またはゲスト材料のみで基板4に堆積させる調整も可能としている。
【0048】
上記のように基材堆積前に液滴の溶媒分を減少させ、且つ、ミスト生成供給量を調整することで、堆積持にほぼ溶媒分のない材料堆積を可能とし、堆積材料が流動を起こさず成膜されていくため、ホスト材料とゲスト材料を堆積した場合にも、材料の混ざり合いが生じず界面が現れる。
【0049】
複合膜ヘッド11は、
図2(b)に示すマルチヘッド20のように、エレクトロスプレーヘッド17を複数本配したマルチヘッド構造としてもよい。各エレクトロスプレーヘッド17には、それぞれミスト供給用のスプレーノズルが備えられている。
【0050】
また、
図2(c)に示す集約マルチヘッド21のように、エレクトロスプレーヘッド17は1本で、このエレクトロスプレーヘッドに複数本のノズルを集約したマルチヘッド構造としてもよい。
【0051】
図3には、製造装置10を用いて本発明の複合膜を形成する工程フローを示している。なお、
図3(a)、(b)、(c)の構成は、それぞれ
図1(a)、(b)、(c)に対応している。
【0052】
図1(a)の複合膜1を構成するには、
図3(a)構成のフローに示すように、まず基板4の目的の位置に可動ステージ19を用いて移動させ、ホストミスト供給路13でホスト材料を必要な膜厚だけ形成して供給を止め、次にゲストミスト16をエレクトロスプレーヘッド17から供給して、先に形成したホスト材料上にゲスト材料を形成してから供給を止め、さらに再度ホストミスト供給路13からホスト材料を必要な膜厚だけ形成する。このとき必要に応じて可動ステージ19で位置を変更して同じ作業を繰り返すことにより、ホスト材料中にゲスト材料膜が積層された複合膜のパターンが形成される。
すなわち、ホスト材料およびゲスト材料の供給量を調節することで任意の膜厚が得られ、さらに可動ステージを制御して任意の位置に動かすことで、任意の複合膜パターンが得られる。
【0053】
図1(b)を構成するには、
図3(b)構成のフローに示すように、まず基板4の目的の位置に可動ステージ19を用いて移動し、ホストミスト供給路13からホスト材料を必要な量だけ供給しつつ、ゲストミスト16をエレクトロスプレーヘッド17から供給することでゲスト材料を同時に供給する。
【0054】
ゲスト材料の供給は、ゲスト材料送液量と印加電圧とヘッド基板間距離を調整することで、基板4上へのスプレーによる堆積範囲を目的の大きさになるように供給を行う。これにより、
図1(b)に示すゲスト材料3のドットを形成することができる。
ドットとは、ホスト材料中に分離界面を有してドット状に配置されたゲスト材料を指し、前述したように、ホスト材料中にゲスト材料が垂直に配置された形状ができる。
【0055】
このようにしてホスト材料とゲスト材料がそれぞれ目的の厚さになるまで供給し、必要な膜厚を形成する。このとき、必要に応じて可動ステージ19で位置を変更して同じ作業を繰り返すことにより、
図1(b)のようにホスト材料中にゲスト材料がビアホール状に形成された複合膜が形成される。
【0056】
図1(c)を構成するには、
図3(c)構成のフローに示すように、まず基板4の目的の位置に可動ステージ19を用いて移動し、ホストミスト供給路13からホスト材料を必要な膜厚だけ形成して供給を止め、次にホストミスト供給路13からホスト材料を必要な量を供給しつつ、ゲストミスト16をエレクトロスプレーヘッド17から供給し、ゲスト材料を同時に供給する。
【0057】
ゲスト材料パターンが必要膜厚になったところで、ゲストミスト16の供給を止め、再度ホストミスト供給路13でホスト材料を必要な膜厚形成する。このとき、必要に応じて可動ステージ19で位置を変更して同じ作業を繰り返すことにより、
図1(c)のようにホスト材料中にゲスト材料がビア形状のパッチに形成した複合膜が形成される。
この方法で、前述したようにホスト材料に内包されたゲスト材料のパターンが存在している形状ができる。
【0058】
図4に、本発明の複合膜で形成された配線パターンの構成の例を示す。
図4では、
図1(a)の積層で基板4上に形成したホスト材料2とゲスト材料3からなる
配線パターンを、
図1(b)で形成したゲスト材料3の貫通パターンで接続した構成を示した。ホスト材料2を絶縁材料、ゲスト材料3を導電材料とすれば、ホスト材料2中にゲスト材料3からなる導電配線パターンが配された、配線複合膜30の構造になっている。
【0059】
図5は、本発明の複合膜で形成するコンデンサ構造の例である。
図5(a)では、
図1(c)の構成でゲスト材料3のパターン形成工程を2回繰り返すことで、ゲスト材料3により対向する導電材料のパッチパターンを形成し、コンデンサ複合膜40を形成している。
図5(b)では、
図1(c)の構成でゲスト材料3のパターン形成工程を左右に位置をずらしながら4回繰り返すことで対向電極を形成し、交互に形成された積層膜左右の端面を
図1(b)の構成で形成したゲスト材料3の貫通パターンで接続することで、3セットのコンデンサ積層構造を持つ多層コンデンサ複合膜41を形成している。
【0060】
図4と
図5は本発明の実施形態の一例であって、本発明によれば、構成パターンをいろいろ組み合わせることで、ホスト材料とゲスト材料からなる多様なパターン構成を有する複合膜を供給することができる。
【実施例】
【0061】
ホスト材料として、水系の絶縁材料であるセルロースナノファイバー(セレンピア TTC-01A 日本製紙社)を用いた。ゲスト材料として、水系のPEDOT/PSS(SV-3、ヘレウス社)を用いた。
ホストミスト生成チャンバ12の超音波振動子は、2.4MHz駆動の振動子(HM-2412、本多電子社製)を用いて、電圧24Vで駆動した。このホストミスト生成チャンバ12で発生したミスト液滴を0.8kg/cm
2の空気により搬送した。ゲストミスト16は、エレクトロスプレーヘッドとして、ノズル内径200μmを用い、液送り量0.05cc/min、印加電圧11kV、ノズル―基板間距離30mmの条件で供給した。
基材に0.7mm厚のガラス基材(EGLE-XG、コーニング社)を用いて、
図3(a)に示す手順で、ホスト材料膜厚100nm及びゲスト材料膜厚300nmの2層からなる複合膜を形成した。
【0062】
形成した複合膜について、ゲスト材料であるPEDOT/PSS層側に易接着層(両面テープ)を貼り付け、ゆっくりとガラス基板上から剥がし、PET基材上に転写して樹脂包埋を行い、EDX(エネルギー分散型X線分析装置)分析のためにセルロース表面に白金を蒸着した。
【0063】
TEM(透過電子顕微鏡)でゲスト材料とホスト材料の界面の断面を観察した結果を
図6に示す。PEDOT/PSSにだけ含有する硫黄(S)についてEDXによる計測を行ったところ、PEDOT/PSS層のみに硫黄のピークが計測された。すなわち、ホスト材料層にはゲスト材料のPEDOT/PSS成分は混ざっていないことを示していた。
【0064】
また、この膜の抵抗値を四探針抵抗測定装置(MCP-T610、三菱ケミカル)にて測定したところ、表面抵抗値160[Ω/□]となり、PEDOT/PSS膜のみを用いてミストを基板上に堆積して膜形成した場合と同等の抵抗値であった。すなわち、ホスト材料膜にゲスト材料膜を積層した状態であっても、それらの材料が混合して導電性が劣化することがないゲスト材料膜が得られた。
【0065】
なお、PEDOT/PSS膜を、インクとして調製して塗布、膜形成をした場合には、表面抵抗値は160[Ω/□]までは低下せず、もっと高い抵抗値となることが知られてい
る。
【0066】
上記のように元素分析と抵抗値の測定結果から、本発明によれば、ゲストとホスト材料の混ざり合いがなく、ゲスト材料の物性値がインク調製して作成したときよりも良く、ゲスト材料とホスト材料が分離した複合膜が形成されていることが確認された。
このため、本発明で作成された複合膜の導電性部分に配線をつなげることで、複合膜を外部回路と接続し、回路素子、回路基板として利用することが可能である。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
ホスト材料とゲスト材料から形成されてなる複合膜において、
ホスト材料が絶縁性物質であり、
ゲスト材料が導電性物質、半導体物質、圧電体の少なくともいずれかから選ばれる物質であり、
前記複合膜中にホスト材料とゲスト材料の分離界面が存在することを特徴とする複合膜。
[2]
前記ホスト材料中に、前記ゲスト材料が連続的または断続的に配されていることを特徴とする項1に記載の複合膜。
[3]
前記ホスト材料がセルロースからなり、前記ゲスト材料がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)からなることを特徴とする項1または2に記載の複合膜。
[4]
項1~3のいずれか1項に記載の複合膜からなるパターンを含み、前記パターンが電気回路を成すことを特徴とする電気回路素子。
[5]
項4に記載の電気回路素子を基板上に形成してなることを特徴とする電気回路基板。
[6]
項1から3のいずれか1項に記載の複合膜、または項4に記載の電気回路素子、あるいは項5に記載の電気回路基板を製造するための製造方法であって、
ホスト材料およびゲスト材料をそれぞれミスト液滴化し、
基板を走査して移動させながら、基板上に前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互あるいは同時に堆積させて、
ホスト材料とゲスト材料からなる複合膜パターンを形成することを特徴とする、複合膜パターンの製造方法。
[7]
前記ミスト液滴化されたホスト材料とゲスト材料とを交互に堆積させることと、同時に堆積させることを組み合わせて行うことを特徴とする、項6に記載の複合膜パターンの製造方法。
[8]
前記ゲスト材料のミスト液滴供給量を連続的に変化させること、またはこのミスト液滴への印加電圧を変化させることにより、
ゲスト材料のパターンの濃淡を調節することを特徴とする、項6または7に記載の複合膜パターンの製造方法。
[9]
前記ミスト液滴化したホスト材料またはゲスト材料を加熱する工程を有し、
加熱量を調節することにより、ミスト液滴に含まれる溶媒量を調節することを特徴とする、項6~8のいずれか1項に記載の複合膜パターンの製造方法。
[10]
前記ミスト液滴化したホスト材料またはゲスト材料を堆積する際に、
ミスト液滴の供給量と、印加電圧と、噴出ノズルと基板との間の距離をそれぞれ調節することにより、ミスト液滴サイズおよび堆積範囲を調節することを特徴とする、項6~9のいずれか1項に記載の複合膜パターンの製造方法。
[11]
項6~10のいずれかに記載の複合膜パターンの製造方法に用いるための製造装置であって、
ホストミストを生成し供給するホストミスト生成供給部と、
ゲストミストを生成し供給するゲストミスト生成供給部と、
前記ホストミスト生成供給部から供給されるホストミストと、前記ゲストミスト生成供給部から供給されるゲストミストを、基板に向けて交互に又は同時に噴出可能な複合膜形成ヘッドと、
基板と対向電極を載置して移動可能な可動ステージと、を少なくとも備え、
前記複合膜形成ヘッドから、ホストミストは無帯電で基板上に搬送され、かつ、
ゲストミストはエレクトロスプレーヘッドにより帯電して基板上に搬送されることを特徴とする複合膜パターンの製造装置。
[12]
前記複合膜形成ヘッドが複数のエレクトロスプレーヘッドを備えており、
各エレクトロスプレーヘッドはそれぞれ、ミスト供給用スプレーノズルを1本備えていることを特徴とする項11に記載の複合膜パターンの製造装置。
[13]
前記複合膜形成ヘッドが1つのエレクトロスプレーヘッドを備えており、
該エレクトロスプレーヘッドには、複数のミスト供給用スプレーノズルが集約して配されていることを特徴とする、項11に記載の複合膜パターンの製造装置。
【符号の説明】
【0067】
1 複合膜
2 ホスト材料
3 ゲスト材料
4 基板
10 製造装置
11 複合膜形成ヘッド
12 ホストミスト生成チャンバ
13 ホストミスト供給路
14 ゲスト原料供給路
15 ホストミスト
16 ゲストミスト
17 エレクトロスプレーヘッド
18 対向電極
19 可動ステージ
20 マルチヘッド構成
21 集約マルチヘッド構成
30 配線複合膜
40 コンデンサ複合膜
41 多層コンデンサ複合膜