(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ケーブル敷設方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20230725BHJP
H02G 1/12 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G1/12 002
(21)【出願番号】P 2019060467
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】山根 光喜
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-045900(JP,A)
【文献】特開2010-267585(JP,A)
【文献】特開2006-032233(JP,A)
【文献】特開2017-152182(JP,A)
【文献】特開2004-215494(JP,A)
【文献】特開2013-162728(JP,A)
【文献】特開2007-213949(JP,A)
【文献】特表平11-508119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H02G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と当該導体を覆う被覆とからなる単心と、当該単心を覆う外装被覆と、から構成されるケーブルを、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であって、
前記所定の敷設経路において、前記ケーブルを所定の曲率半径以下で屈曲させる際に、前記単心または当該単心を覆うシールドが前記外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆の一部を除去する除去加工を施し、
前記除去加
工が施された範囲のいずれかの位置を支点として、前記ケーブルを屈曲させ、
前記除去加工は、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該長手方向の所定の間隔ごとに、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿って除去するものであることを特徴とするケーブル敷設方法。
【請求項2】
導体と当該導体を覆う被覆とからなる単心と、当該単心を覆う外装被覆と、から構成されるケーブルを、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であって、
前記所定の敷設経路において、前記ケーブルを所定の曲率半径以下で屈曲させる際に、前記単心または当該単心を覆うシールドが前記外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆の一部を除去する除去加工を施し、
前記除去加
工が施された範囲のいずれかの位置を支点として、前記ケーブルを屈曲させ、
前記除去加工は、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿って、らせん状に除去するものであることを特徴とするケーブル敷設方法。
【請求項3】
導体と当該導体を覆う被覆とからなる単心と、当該単心を覆う外装被覆と、から構成されるケーブルを、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であって、
前記所定の敷設経路において、前記ケーブルを所定の曲率半径以下で屈曲させる際に、前記単心または当該単心を覆うシールドが前記外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆の一部を除去する除去加工を施し、
前記除去加
工が施された範囲のいずれかの位置を支点として、前記ケーブルを屈曲させ、
前記除去加工は、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿って長手方向に除去するものであることを特徴とするケーブル敷設方法。
【請求項4】
導体と当該導体を覆う被覆とからなる単心と、当該単心を覆う外装被覆と、から構成されるケーブルを、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であって、
前記所定の敷設経路において、前記ケーブルを所定の曲率半径以下で屈曲させる際に、前記単心または当該単心を覆うシールドが前記外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆の一部を除去する除去加工、および、当該単心または当該シールドが当該外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆に切り込みを入れる切り込み加工を施し、
前記除去加工または前記切り込み加工が施された範囲のいずれかの位置を支点として、前記ケーブルを屈曲させ、
前記除去加工は、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該ケーブルが屈曲された際の内側となる部分のみを除去するものであり、
前記切り込み加工は、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該ケーブルが屈曲された際の外側となる前記外装被覆の部分のみに切り込みを入れるものであることを特徴とするケーブル敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多芯(多心)制御ケーブルなどのケーブルを敷設するケーブル敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多芯制御ケーブルなどのケーブルを狭隘な敷設経路に敷設する場合に、ケーブルを立ち上げる部分の許容曲率半径を考慮する必要がある。
【0003】
関連する技術として、具体的には、第1回転体と第2回転体との間に電力ケーブルを通し、第1回転体と第2回転体とを互いに独立して駆動させることで、第1回転体および第2回転体と電力ケーブルとの接点を起点として電力ケーブルの進行方向を変化させ、電力ケーブルを曲線状に移動させるので、制限された空間しか有さない狭隘路内であっても電力ケーブルの引き入れや立ち上げが容易となる電力ケーブルの布設方法に関する技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケーブルの敷設経路が狭隘な場合に、ケーブル立上げ部分の許容曲げ半径を考慮すると敷設することができない場合がある。その場合に、敷設経路部のサイズアップをする、あるいは、別ルートの確保が必要となり、敷設工事のコストが上がってしまうという問題点があった。したがって、敷設経路が狭隘なところであっても、コストアップをせずに、多芯制御ケーブルを敷設したいという要求があった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、狭隘な敷設経路においてもケーブル敷設を確実にかつ効率よくおこなうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるケーブル敷設方法は、導体と当該導体を覆う被覆とからなる単心と、当該単心を覆う外装被覆と、から構成されるケーブルを、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であって、前記所定の敷設経路において、前記ケーブルを所定の曲率半径以下で屈曲させる際に、前記単心または当該単心を覆うシールドが前記外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆の一部を除去する除去加工、および、当該単心または当該シールドが当該外装被覆から露出するように、屈曲させる当該ケーブルの当該外装被覆に切り込みを入れる切り込み加工の少なくともいずれかを施し、前記除去加工または前記切り込み加工が施された範囲のいずれかの位置を支点として、前記ケーブルを屈曲させることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該範囲の前記外装被覆のすべてを除去するものであることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、所定の間隔ごとに、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿って除去するものであることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿って、らせん状に除去するものであることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿って長手方向に除去するものであることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該ケーブルが屈曲された際の内側となる部分のみを除去するものであることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該ケーブルが屈曲された際の外側となる部分のみを除去するものであることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記除去加工が、前記所定の範囲において、所定の間隔ごとに、所定の幅の前記外装被覆を当該外装被覆の外周に沿ってその一部を除去するものであることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記切り込み加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、所定の間隔で前記外装被覆の外周面に沿って切り込みを入れるものであることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるケーブル敷設方法は、上記の発明において、前記切り込み加工が、前記ケーブルの長手方向の所定の範囲において、当該ケーブルが屈曲された際の外側となる前記外装被覆の部分のみに切り込みを入れるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明にかかるケーブル敷設方法によれば、狭隘な敷設経路においてもケーブル敷設を確実にかつ効率よくおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法に用いるケーブルの外観の一例を示す説明図である。
【
図2】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法に用いるケーブルの断面の一例を示す説明図である。
【
図3】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その1)の内容の一例を示す説明図である。
【
図4】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その2)の内容の一例を示す説明図である。
【
図5A】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その3)の内容の一例を示す説明図である。
【
図5B】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その3の変形例)の内容の一例を示す説明図である。
【
図6A】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その4)の内容の一例を示す説明図である。
【
図6B】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その4の変形例)の内容の一例を示す説明図である。
【
図7A】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その5)の内容の一例を示す説明図である。
【
図7B】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工(その5の変形例)の内容の一例を示す説明図である。
【
図8】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における切り込み加工(その1)の内容の一例を示す説明図である。
【
図9】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における切り込み加工(その2)の内容の一例を示す説明図である。
【
図10】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工および切り込み加工の内容の一例を示す説明図である。
【
図11】この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法によって設置された設置状況の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるケーブル敷設方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(ケーブル敷設方法の概要)
まず、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法に用いるケーブルの概要について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法に用いるケーブルの外観の一例を示す説明図である。また、
図2は、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法に用いるケーブルの断面の一例を示す説明図である。
【0021】
図1および
図2において、多芯制御ケーブル100は、複数本の単心101と、複数本の単心101を覆う外装被覆102とから構成されるケーブルである。複数本の単心101は、たとえば、導体103と、導体103を覆う被覆104とからなる。したがって、単心101自体も絶縁加工がなされている。
【0022】
多心制御ケーブル100には、
図1に示すようなシールド105付きのケーブルと、図示を省略する、シールド105が無いケーブルとがある。シールド105付のケーブルにおいては、複数本の単心101が、たとえば、図示を省略するテープなどで束ねられて、シールド105によって覆われる。シールド105は、銅テープなどを単心101に巻き付けることにより被せることができる。シールド105には、異常電圧の発生を防ぐ効果がある。さらに、複数本の単心101は、複数本の単心101を覆ったシールド105ごと、外装被覆によって覆われ、これにより、多芯制御ケーブル100が形成される。
【0023】
ここで、この多芯制御ケーブル100を、所定の敷設経路に沿って敷設するにあたり、所定の敷設経路において、この多芯制御ケーブル100を所定の曲率半径以下に屈曲させる際に、多芯制御ケーブル100に除去加工を施す。あるいは、多芯制御ケーブル100に除去加工を施す代わりに、切り込み加工を施す。あるいは、多芯制御ケーブル100に除去加工と切り込み加工の両方を施すようにしてもよい。
【0024】
(除去加工の内容)
つぎに、除去加工の内容について説明する。除去加工は、単心101(あるいは単心101を束ねるテープ)または単心101を覆うシールド105が外装被覆102から露出するように、屈曲させる多芯制御ケーブル100の当該外装被覆102の一部を除去する加工である。除去加工は、具体的には、たとえば、ナイフなどを用いて作業員がおこなうようにしてもよく、また、被覆を除去する専用の用具や装置を用いておこなうようにしてもよい。
【0025】
除去加工は、まず、敷設の対象となる多芯制御ケーブル100において、除去加工を施す範囲を決める。除去加工の範囲は、敷設経路において、多芯制御ケーブル100を屈曲させる位置を中心に、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の長さに渡っておこなう。除去加工は、外装被覆102を除去するという簡易な作業であり、その後処理もほとんど必要ないため、多芯制御ケーブル100の敷設の直前に、敷設経路の現場で、除去加工の範囲を決めて、決められた範囲において作業員によっておこなわれるようにしてもよい。あるいは、敷設前の多芯制御ケーブル100において、あらかじめ除去加工範囲を決めて、除去加工をおこなった後、敷設作業をおこなうようにしてもよい。
【0026】
以下、除去加工の具体的な内容(5つの具体例、除去加工(その1)~(その5))について、
図3~
図7Bを用いて説明する。
図3~
図7Bは、それぞれ、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工の内容の一例を示す説明図である。
図3~
図7Bの各図面においては、単心101を束ねるテープおよび単心101を覆うシールド105について、その記載を省略する。
【0027】
(除去加工(その1))
図3は、除去加工(その1)の内容について示している。除去加工(その1)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該範囲の外装被覆102のすべてを除去するものである。
【0028】
図3において、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、外装被覆102を(すべて)剥ぎ取る。これにより、このYの部分において、単心101が外装被覆102から露出する。あるいは、図示を省略するが、単心101を束ねるテープまたは単心101を覆うシールド105が露出する。この
図3におけるY部分が、除去加工の範囲である。
【0029】
したがって、外装被覆102を残した部分(X1)と(X2)の間に、外装被覆102を剥ぎ取った部分(Y)が形成される。このように除去加工をおこなった状態において、除去加工が施された範囲、すなわち、外装被覆102を剥ぎ取った部分(Y)の範囲のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、除去加工をせずに多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合と比較して、外装被覆102がなくなった分だけ、多芯制御ケーブル100を屈曲させ易くなる。
【0030】
それは、多芯制御ケーブル100を屈曲させた際に、外装被覆102による、屈曲していない状態に復帰しようとする反発力が発生するが、除去加工によって、外装被覆102がなくなった分だけ、その反発力が弱まるからである。これにより、敷設経路が狭い場合であっても、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲させて敷設することができる。
【0031】
除去加工(その1)によって加工が施された多芯制御ケーブル100は、除去加工が施された長手方向の所定の範囲(Y)において、いずれの方向であっても屈曲し易いので、多芯制御ケーブル100を敷設する方向・角度の自由度が大きくなり、敷設の際に、作業員がその屈曲調整を自由にかつ容易におこなうことができる。
【0032】
(除去加工(その2))
図4は、除去加工(その2)の内容について示している。除去加工(その2)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の間隔ごとに、所定の幅の外装被覆102をその外装被覆102の外周に沿って除去するものである。
【0033】
図4において、除去加工(その2)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、外装被覆102を剥ぎ取る。ただし、外装被覆102を剥ぎ取るのは、y1の部分とy2の部分とy3の部分のみである。そして、y1の部分とy2の部分の間のx1の部分と、y2の部分とy3の部分の間のx2の部分は、外装被覆102を剥ぎ取らずに、外装被覆102を残す。したがって、残った外装被覆x1、x2は、それぞれ、略円環(リング)形状となる。
【0034】
このように、外装被覆102を残した部分(X1)と(X2)の間に、外装被覆102を除去加工した部分(Y)が形成される。そして、X1とx1の間に、外装被覆102が剥ぎ取られた部分(y1)が形成され、x1とx2の間に、外装被覆102が剥ぎ取られた部分(y2)が形成され、x2とX2の間に、外装被覆102が剥ぎ取られた部分(y3)が形成される。
【0035】
そして、y1、y2、y3の部分において、単心101が外装被覆102から露出する。あるいは、図示を省略するが、y1、y2、y3の部分において、単心101を束ねるテープまたは単心101を覆うシールド105が露出する。これにより、
図3に示した除去加工(その1)と同様に、除去加工(その2)をおこなった状態において、除去加工が施された範囲(Y)のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、除去加工をせずに多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合と比較して、多芯制御ケーブル100を屈曲させ易くなる。したがって、敷設経路が狭い場合であっても、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲させて敷設することが可能となる。
【0036】
また、
図4に示す除去加工(その2)を施した場合に、狭い搬送経路、特に、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場所において、外装被覆102を残した部分(x1、x2)があるために、搬送経路の壁面には、単心101(あるいはテープまたは単心101を覆うシールド105)が直接、当接しづらい。
【0037】
したがって、除去加工(その2)を施すことによって、多芯制御ケーブル100の屈曲性(可撓性)を十分に確保しつつ、単心101の敷設経路への当接や敷設経路からの圧迫による単心101の破損や劣化の発生を防止することができる。
【0038】
外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1、y2、y3、・・・)の個数、外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1、y2、y3、・・・)の(多芯制御ケーブル100の長手方向における)幅、外装被覆102を残す部分(x1、x2、・・・)の(多芯制御ケーブル100の長手方向における)間隔については、多芯制御ケーブル100の種類(太さ、単心101の数、材質など)や、敷設の状況(搬送経路の狭さ、同じ場所に敷設される他のケーブル状況など)を考慮して任意に設定することができる。
【0039】
また、外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1、y2、y3、・・・)ごとに、その幅を異なるものとするようにしてもよい。また、外装被覆102を残す部分(x1、x2、・・・)の間隔についても、その間隔ごとに異なるものとするようにしてもよい。
【0040】
(除去加工(その3))
図5Aは、除去加工(その3)の内容について示している。除去加工(その3)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の幅の外装被覆102を当該外装被覆102の外周に沿って「らせん状」に除去するものである。
【0041】
除去加工(その2)では、多芯制御ケーブル100の長手方向に対して、同心円状に外装被覆102を除去したが、
図5Aに示すように、この除去加工(その3)では、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲を除去加工の範囲(Y)として、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の幅(y)で、らせん状に外装被覆102を剥ぎ取る。
【0042】
所定の幅(y)、または、多芯制御ケーブル100の長手方向におけるらせんの角度を変えることによって、除去加工の範囲において、外装被覆102が除去される表面積が変わる。所定の幅(y)を長く(太く)することによって、外装被覆102が除去される表面積が大きくなる。また、多芯制御ケーブル100の長手方向におけるらせんの角度を小さくすることによって、らせんの巻き数が多くなり、それによって、外装被覆102が除去される表面積が大きくなる。したがって、多芯制御ケーブル100の種類や敷設の状況に応じて、この幅(y)、および、このらせんの角度の少なくともいずれかを任意に調整することができる。
【0043】
このように、除去加工(その3)を施すことによって、多芯制御ケーブル100の屈曲性(可撓性)を十分に確保しつつ、単心101の敷設経路への当接や敷設経路からの圧迫による単心101の破損や劣化の発生を防止することができる。また、らせん状に外装被覆102を剥ぎ取っていけばよく、効率よく、除去加工の処理をおこなうことができる。
【0044】
また、
図5Bは、
図5Aに示した除去加工(その3)の変形例である。
図5Bにおいて、除去加工(その3の変形例)は、
図5Aに示した除去加工(その3)と同様に、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の幅の外装被覆102を当該外装被覆102の外周に沿って「らせん状」に除去する。
【0045】
ただし、所定の幅の外装被覆102を当該外装被覆102の外周に沿って「らせん状」に、すべて除去するのではなく、らせん方向において、所定間隔で、除去する(剥ぎ取る)ものである。この剥ぎ取る幅(y)と残す間隔(x)は、任意に設定することができる。また、剥ぎ取る間隔(y)と残す間隔(x)は、常に一定であってもよく、それぞれ、可変にしてもよい。その他は、
図5Aに示した除去加工(その3)と同じである。
【0046】
(除去加工(その4))
図6Aは、除去加工(その4)の内容について示している。除去加工(その4)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の幅の外装被覆102を当該外装被覆102の外周に沿って長手方向に除去するものである。
【0047】
図6Aにおいて、除去加工(その4)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、外装被覆102を剥ぎ取る。ただし、外装被覆102を剥ぎ取るのは、y1の部分とy2の部分とy3の部分のみである。そして、y1の部分とy2の部分の間のx1の部分と、y2の部分とy3の部分の間のx2の部分は、外装被覆102を剥ぎ取らずに、外装被覆102を残す。これは、
図4に示した除去加工(その2)とは、除去する部分(y1、y2、y3)の長手方向が90度異なる。
【0048】
このように、外装被覆102を残した部分(X1)と(X2)の間に、外装被覆102を除去加工した部分(Y)が形成される。そして、x1とx2の間に、外装被覆102が剥ぎ取られた部分(y2)が形成される。y1、y3についても、同様にx間に形成される。
【0049】
そして、y1、y2、y3の部分において、単心101が外装被覆102から露出する。あるいは、図示を省略するが、y1、y2、y3の部分において、単心101を束ねるテープまたは単心101を覆うシールド105が露出する。これにより、
図4に示した除去加工(その2)と同様に、除去加工(その4)をおこなった状態において、除去加工が施された範囲(Y)のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、除去加工をせずに多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合と比較して、多芯制御ケーブル100を屈曲させ易くなる。したがって、敷設経路が狭い場合であっても、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲させて敷設することが可能となる。
【0050】
また、
図6Aに示す除去加工(その4)を施した場合に、狭い搬送経路、特に、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場所において、外装被覆102を残した部分(x1、x2)があるために、搬送経路の壁面には、単心101(あるいはテープまたは単心101を覆うシールド105)が直接、当接しづらい。
【0051】
したがって、除去加工(その4)を施すことによって、多芯制御ケーブル100の屈曲性(可撓性)を十分に確保しつつ、単心101の敷設経路への当接や敷設経路からの圧迫による単心101の破損や劣化の発生を防止することができる。さらに、除去加工(その4)を施すことによって、多芯制御ケーブル100の長手方向に対する張力に対して、外装被覆102が残っている部分(x1、x2、・・・)があるために、耐性を有することができ、多芯制御ケーブル100の長手方向に対する張力がかかることによる単心101の破損、劣化の発生を防止することもできる。
【0052】
外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1、y2、y3、・・・)の個数、すなわち外周状にいくつ設けるか、外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1、y2、y3、・・・)の(多芯制御ケーブル100の長手方向における)幅、外装被覆102を残す部分(x1、x2、・・・)の(多芯制御ケーブル100の長手方向における)間隔については、多芯制御ケーブル100の種類(太さ、単心101の数、材質など)や、敷設の状況(搬送経路の狭さ、同じ場所に敷設される他のケーブル状況など)を考慮して任意に設定することができる。
【0053】
また、外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1、y2、y3、・・・)ごとに、その幅を異なるものとするようにしてもよい。また、外装被覆102を残す部分(x1、x2、・・・)の間隔についても、その間隔ごとに異なるものとするようにしてもよい。
【0054】
また、
図6Bは、
図6Aに示した除去加工(その4)の変形例である。
図6Bにおいて、除去加工(その4の変形例)は、
図6Aに示した除去加工(その4)と同様に、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の幅の外装被覆102を当該外装被覆102の外周に沿って長手方向に除去する。
【0055】
ただし、所定の幅の外装被覆102を当該外装被覆102の外周に沿って長手方向に、すべて除去するのではなく、長手方向において、所定間隔で、除去する(剥ぎ取る)ものである。この剥ぎ取る幅(x)と残す間隔(y)は、任意に設定することができる。また、剥ぎ取る間隔(x)と残す間隔(y)は、常に一定であってもよく、それぞれ、可変にしてもよい。その他は、
図6Aに示した除去加工(その4)と同じである。
【0056】
(除去加工(その5))
図7Aは、除去加工(その5)の内容について示している。除去加工(その5)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の内側となる部分のみを除去するものである。あるいは、除去加工(その5)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる部分のみを除去するものである。
【0057】
図7Aにおいて、除去加工(その5)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、外装被覆102を剥ぎ取る。ただし、外装被覆102を剥ぎ取るのは、yの部分のみである。そして、その他の部分(x)については、外装被覆102を残す。
【0058】
そして、yの部分において、単心101が外装被覆102から露出する。あるいは、図示を省略するが、yの部分において、単心101を束ねるテープまたは単心101を覆うシールド105が露出する。これにより、
図3に示した除去加工(その1)と同様に、除去加工(その2)をおこなった状態において、除去加工が施された範囲(Y)のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、除去加工をせずに多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合と比較して、多芯制御ケーブル100を屈曲させ易くなる。したがって、敷設経路が狭い場合であっても、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲させて敷設することが可能となる。また、除去する面積が少なくて済むので、作業時間を短縮することができ、作業効率を向上させることができる。
【0059】
外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1)の面積、剥ぎ取る形状については、多芯制御ケーブル100の種類(太さ、単心101の数、材質など)や、敷設の状況(搬送経路の狭さ、同じ場所に敷設される他のケーブル状況など)を考慮して任意に設定することができる。また、外装被覆102を剥ぎ取る部分(y1)が、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の内側になるようにしてもよく、また、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側になるようにしてもよい。
【0060】
また、
図7Bは、
図7Aに示した除去加工(その5)の変形例である。
図7Bにおいて、除去加工(その5の変形例)は、
図7Aに示した除去加工(その5)と同様に、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の内側となる部分のみを除去するものである。あるいは、除去加工(その5)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる部分のみを除去する。
【0061】
ただし、
図7Bに示すように、除去加工の範囲(Y)において、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の内側となる部分、あるいは、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる部分をすべて除去するのではなく、その一部(y1、y2、y3、・・・)についてのみ除去する(剥ぎ取る)ものである。したがって、除去加工の範囲(Y)において、x1、x2、・・・の部分は、外装被覆102が残ったままである。その他は、
図7Aに示した除去加工(その5)と同じである。
【0062】
(切り込み加工の内容)
つぎに、切り込み加工の内容について説明する。切り込み加工は、単心101(あるいは単心101を束ねるテープ)または単心101を覆うシールド105が外装被覆102から露出するように、屈曲させる多芯制御ケーブル100の当該外装被覆102に切り込みを入れる加工である。切り込み加工は、具体的には、たとえば、ナイフなどを用いて作業員がおこなうようにしてもよく、また、被覆に切り込みを入れる専用の用具や装置を用いておこなうようにしてもよい。
【0063】
切り込み加工は、まず、敷設の対象となる多芯制御ケーブル100において、切り込み加工を施す範囲を決める。切り込み加工の範囲は、敷設経路において、多芯制御ケーブル100を屈曲させる位置を中心に、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の長さに渡っておこなう。切り込み加工は、外装被覆102に切り込みを入れるという簡易な作業であり、その後処理もほとんど必要ないため、多芯制御ケーブル100の敷設の直前に、敷設経路の現場で、切り込み加工の範囲を決めて、決められた範囲において作業員によっておこなわれるようにしてもよい。あるいは、敷設前の多芯制御ケーブル100において、あらかじめ切り込み加工範囲を決めて、切り込み加工をおこなった後、敷設作業をおこなうようにしてもよい。
【0064】
以下、除去加工の具体的な内容(2つの具体例、切り込み加工(その1)、(その2))について、
図8、
図9を用いて説明する。
図8、
図9は、それぞれ、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における切り込み加工の内容の一例を示す説明図である。
図8、
図9の各図面においては、単心101を束ねるテープおよび単心101を覆うシールド105について、その記載を省略する。
【0065】
(切り込み加工(その1))
図8は、切り込み加工(その1)の内容について示している。切り込み加工(その1)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の間隔で当該範囲の外装被覆102の外周面に沿って切り込みを入れるものである。
【0066】
図8において、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、外装被覆102の外周面に所定の間隔で、切り込み801~803を入れる。これにより、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、切り込み801~803の部分において、単心101が外装被覆102から露出する。あるいは、図示を省略するが、単心101を束ねるテープまたは単心101を覆うシールド105が露出する。この
図8におけるY部分が、除去加工の範囲である。
【0067】
このように切り込み加工をおこなった状態において、切り込み加工が施された範囲、すなわち、Yの範囲のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、切り込み加工をせずに多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合と比較して、切り込み801~803の部分が開く分だけ、多芯制御ケーブル100を屈曲させ易くなる。したがって、敷設経路が狭い場合であっても、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲させて敷設することが可能となる。
【0068】
また、
図8に示す切り込み加工(その1)を施した場合に、狭い搬送経路、特に、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場所において、外装被覆102を残したままなので、搬送経路の壁面には、単心101(あるいはテープまたは単心101を覆うシールド105)が直接、当接しづらい。
【0069】
したがって、切り込み加工(その1)を施すことによって、多芯制御ケーブル100の屈曲性(可撓性)を十分に確保しつつ、単心101の敷設経路への当接や敷設経路からの圧迫による単心101の破損や劣化の発生を防止することができる。また、外装被覆102を除去していないので、切り込み部分を修繕する(接着剤で接着したり、テープで補修するなど)ことによって、多芯制御ケーブル100を現状の状況に戻すことができる。
【0070】
切り込み加工(その1)において、多芯制御ケーブル100の長手方向における切り込みの間隔や切り込みの数については、多芯制御ケーブル100の種類や敷設の状況に応じて、任意に調整することができる。
【0071】
(切り込み加工(その2))
図9は、切り込み加工(その2)の内容について示している。切り込み加工(その2)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる外装被覆102の部分のみに切り込みを入れるものである。
【0072】
図9において、切り込み加工(その2)は、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、所定の間隔で当該範囲の外装被覆102の外周面に沿って切り込みを入れるものである。ただし、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる外装被覆102の部分のみに切り込みを入れる。
【0073】
図9において、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲(Y)について、外装被覆102の外周の一部、より具体的には、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側の外周面に所定の間隔で、切り込み901~903を入れる。これにより、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、切り込み901~903の部分において、単心101が外装被覆102から露出する。あるいは、図示を省略するが、単心101を束ねるテープまたは単心101を覆うシールド105が露出する。この
図8におけるY部分が、除去加工の範囲である。
【0074】
このように切り込み加工をおこなった状態において、切り込み加工が施された範囲、すなわち、Yの範囲のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合に、切り込み加工をせずに多芯制御ケーブル100を屈曲させた場合と比較して、切り込み901~903の部分が開く分だけ、多芯制御ケーブル100を屈曲させ易くなる。したがって、敷設経路が狭い場合であっても、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲させて敷設することが可能となる。その他の作用効果については、
図8に示した切り込み加工(その1)と同じである。
【0075】
切り込み加工(その1)において、外装被覆の外周面においてどのくらいの切り込みを入れるかということや、多芯制御ケーブル100の長手方向における切り込みの間隔や切り込みの数については、多芯制御ケーブル100の種類や敷設の状況に応じて、任意に調整することができる。
【0076】
(その他の加工)
図10は、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法における除去加工および切り込み加工の内容の一例を示す説明図である。
図10は、
図7Bに示した除去加工(その5の変形例)と
図9に示した切り込み加工(その2)を組み合わせた加工を施したものである。
【0077】
図10において、折り曲げ内側には、除去加工(その5の変形例)で示した除去加工を施し、折り曲げ外側には、切り込み加工(その2)で示した切り込み加工を施す。その結果、外装被覆102には、除去部分y1、y2、・・・と、切り込み1001、1002、1003、・・・が形成される。これにより、除去加工(その4の変形例)の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
(敷設経路の一例)
図11は、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法によって設置された設置状況の一例を示す説明図である。
図11において、多芯制御ケーブル100を、チャネルベース1101を通して、配電盤1102へ敷設する。チャネルベース1101は、高さが50mm程度のものが多く、そこに多芯制御ケーブル100を敷設する。そして、配電盤1102の付近において、略垂直に多芯制御ケーブル100を立ち上げることになる。
【0079】
そのため、より小さな曲率半径によって多芯制御ケーブル100を屈曲させる必要がある。したがって、上述のような多芯制御ケーブル100の除去加工あるいは切り込み加工が必要となる。多芯制御ケーブル100に、除去加工あるいは切り込み加工を施さない場合は、多芯制御ケーブル100が曲がりきらず、多芯制御ケーブル100を確実に収納することができない。あるいは、チャネルベース1101または配電盤1102の形状を改良しなければならない。そのためには、多大な労力が必要となる。
【0080】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、導体103と導体103を覆う被覆104とからなる単心101と、単心101を覆う外装被覆102と、から構成される多芯制御ケーブル100を、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であって、所定の敷設経路において、多芯制御ケーブル100を所定の曲率半径以下で屈曲させる際に、単心101または単心101を覆うシールド105が外装被覆102から露出するように、屈曲させる多芯制御ケーブル100の外装被覆102の一部を除去する除去加工、および、単心101またはシールド105が外装被覆102から露出するように、屈曲させる多芯制御ケーブル100の外装被覆102に切り込みを入れる切り込み加工の少なくともいずれかを施し、除去加工または切り込み加工が施された範囲のいずれかの位置を支点として、多芯制御ケーブル100を屈曲させることができる。
【0081】
これにより、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、多芯制御ケーブル100を容易に屈曲することができるようになるので、狭隘な敷設経路においてもケーブル敷設を確実にかつ効率よくおこなうことができる。
【0082】
また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、当該範囲の外装被覆102のすべてを除去するので、いずれの方向であっても屈曲し易いので、多芯制御ケーブル100を敷設する方向・角度の自由度が大きくなり、敷設の際に、作業員がその屈曲調整を自由にかつ容易におこなうことができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の間隔ごとに、所定の幅の外装被覆102を外装被覆102の外周に沿って除去するので、多芯制御ケーブル100の屈曲性(可撓性)を十分に確保しつつ、単心101の敷設経路への当接や敷設経路からの圧迫による単心101の破損や劣化の発生を防止することができる。
【0084】
また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の幅の外装被覆102を外装被覆102の外周に沿って、らせん状に除去するので、効率よく、除去加工の処理をおこなうことができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の幅の外装被覆102を外装被覆102の外周に沿って長手方向に除去するので、多芯制御ケーブル100の長手方向に対する張力がかかることによる単心101の破損、劣化の発生を防止することもできる。
【0086】
また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の内側となる部分のみを除去する。また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる部分のみを除去する。また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、除去加工が、所定の範囲において、所定の間隔ごとに、所定の幅の外装被覆102を外装被覆102の外周に沿ってその一部を除去する。これにより、除去する面積が少なくて済む。したがって、作業時間を短縮することができ、作業効率を向上させることができる。
【0087】
また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、切り込み加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、所定の間隔で外装被覆102の外周面に沿って切り込みを入れる。また、この発明にかかる実施の形態のケーブル敷設方法は、切り込み加工が、多芯制御ケーブル100の長手方向の所定の範囲において、多芯制御ケーブル100が屈曲された際の外側となる外装被覆102の部分のみに切り込みを入れる。これにより、外装被覆102を除去していないので、切り込み部分を修繕することによって、多芯制御ケーブル100を現状の状況に戻すことができる。
【0088】
この発明にかかる実施の形態においては、多芯制御ケーブルについて説明したが、ケーブルは多芯制御ケーブルには限定されず、具体的には、たとえば、多芯制御ケーブルのほか、電力ケーブル、通信ケーブルなどのケーブルであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、この発明にかかるケーブル敷設方法は、導体と当該導体を覆う被覆とからなる単心と、当該単心を覆う外装被覆と、から構成されるケーブルを、所定の敷設経路に沿って敷設するケーブル敷設方法であり、特に、狭隘な敷設経路においてもケーブル敷設を確実にかつ効率よくおこなうことができるケーブル敷設方法に適している。
【符号の説明】
【0090】
100 多芯制御ケーブル
101 単心
102 外装被覆
103 導体
104 (単心の)被覆
105 シールド
801~803、901~903、1001~1003 切り込み
1101 チャネルベース
1102 配電盤