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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】現像カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20230725BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G03G15/08 229
G03G15/08 390A
G03G21/16 176
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2019063300
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166003
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】大岡 一成
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-054828(JP,A)
【文献】特開昭60-125865(JP,A)
【文献】特開2016-161723(JP,A)
【文献】国際公開第2012/130295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像カートリッジであって、
現像剤を収容可能な筐体と、
第1方向に延びる第1軸について回転可能な現像ローラであって、前記第1方向と交差する第2方向における前記筐体の一方側の端部に位置する現像ローラであり、前記第2方向における一方側の現像ローラの周面が前記筐体の外部に露出する現像ローラと、
前記第1方向に延びる第1シャフトであって、前記筐体および前記現像ローラに対して第1位置と第2位置との間で前記第1方向に移動可能であり、前記第2方向において、前記筐体および前記現像ローラと共に移動可能な第1シャフトと、
前記第1方向に対して傾斜する第1傾斜面であって、前記第1シャフトと共に前記第1方向に移動可能であり、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第2方向において前記第1シャフトから離れる第1傾斜面と、
前記第1シャフトよりも前記第1方向の他方側において前記第1方向に延びる第2シャフトであって、前記筐体および前記現像ローラに対して第3位置と第4位置との間で前記第1方向に移動可能であり、前記第2方向において、前記筐体および前記現像ローラと共に移動可能な第2シャフトと、
前記第1方向に対して傾斜する第2傾斜面であって、前記第2シャフトと共に前記第1方向に移動可能であり、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第2方向において前記第2シャフトから離れる第2傾斜面と、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとを接続するリンク機構であって、第1状態と第2状態との間で変化可能なリンク機構と、
を備え、
前記第1シャフトが前記第1位置に位置する場合、前記リンク機構は前記第1状態となり、前記第2シャフトは前記第3位置に位置し、
前記第1シャフトが前記第2位置に位置する場合、前記リンク機構は前記第2状態となり、前記第2シャフトは前記第4位置に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の現像カートリッジであって、
前記第1傾斜面は、前記第1シャフトの前記第1方向の一方側の端部に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現像カートリッジであって、
前記第2傾斜面は、前記第2シャフトの前記第1方向の他方側の端部に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記リンク機構は、
前記第1シャフトの前記第1方向の他方側の端部に一端が接続された第1リンクと、
前記第2シャフトの前記第1方向の一方側の端部に一端が接続された第2リンクと、
前記第1リンクの他端と前記第2リンクの他端とに接続された接続バーと、
を有することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項5】
請求項4に記載の現像カートリッジであって、
前記第1リンクは、前記第2方向に延びる第1回転軸について回動可能であり、
前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2回転軸について回動可能であることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載の現像カートリッジであって、
前記第1シャフトが前記第1位置から前記第2位置に移動する場合、前記第1リンクが前記第1回転軸について回動し、前記接続バーが前記第1方向に移動し、前記第2リンクが前記第2回転軸について回動し、前記第2シャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の現像カートリッジであって、
前記第1方向は、前記第2方向と直交することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第1リンクは、前記第2方向に延びる第1ネジにより前記筐体に固定され、
前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2ネジにより前記筐体に固定されることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項9】
請求項8に記載の現像カートリッジであって、
前記第1リンクは、前記第1ネジを中心に回動し、
前記第2リンクは、前記第2ネジを中心に回動することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項10】
請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記筐体は、前記第2方向に延びる第1ボスと、前記第2方向に延びる第2ボスであって、前記第1方向において前記第1ボスと離れて位置する第2ボスと、を有し、
前記第1リンクは、前記第1ボスを中心に回動し、
前記第2リンクは、前記第2ボスを中心に回動することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項11】
請求項5から請求項10のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記筐体は、前記第2方向に対して交差する方向に広がる外表面を有し、
前記第1リンク、前記第2リンク、および前記接続バーは、前記外表面に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項12】
請求項11に記載の現像カートリッジであって、
前記筐体の前記外表面は、前記第2方向に凹む凹部を有し、
前記第1リンク、前記第2リンク、および前記接続バーの少なくとも一部は、前記凹部内に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第1シャフトを、前記第2位置から前記第1位置へ向けて加圧する弾性部材をさらに備えることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項14】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第2シャフトを、前記第4位置から前記第3位置へ向けて加圧する弾性部材をさらに備えることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記リンク機構を、前記第2状態から前記第1状態へ向けて加圧する弾性部材をさらに備えることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項16】
請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記弾性部材は、ばねであることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項17】
請求項16に記載の現像カートリッジであって、
前記弾性部材は、コイルばねであることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記第1方向に対して鋭角に傾斜することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
感光体ドラムを有するドラムカートリッジに装着可能であり、
前記ドラムカートリッジに前記現像カートリッジが装着された状態において、前記第1シャフトが前記第1位置に位置し、前記第2シャフトが前記第3位置に位置する場合、前記現像ローラは前記感光体ドラムに接触し、
前記ドラムカートリッジに前記現像カートリッジが装着された状態において、前記第1シャフトが前記第2位置に位置し、前記第2シャフトが前記第4位置に位置する場合、前記現像ローラは前記感光体ドラムから離れることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項20】
請求項19に記載の現像カートリッジにおいて、
前記ドラムカートリッジは、前記感光体ドラムを保持するドラムフレームを有し、
前記第1シャフトが前記第1位置に位置し、前記第2シャフトが前記第3位置に位置する場合、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記ドラムフレームと非接触であり、
前記第1シャフトが前記第2位置に位置し、前記第2シャフトが前記第4位置に位置する場合、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記ドラムフレームに接触することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第1シャフト、前記第2シャフトおよび前記リンク機構は、前記第1方向において、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の間に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項22】
現像カートリッジであって、
現像剤を収容可能な筐体と、
第1方向に延びる第1軸について回転可能な現像ローラと、
前記第1方向に延びる第2軸に沿って延びる第1シャフトであって、前記第2軸に沿って移動可能な第1シャフトと、
前記第1シャフトと共に前記第2軸に沿って移動可能な第1カムであって、前記第1方向に対して傾斜する第1傾斜面を有する第1カムと、
前記第1方向に延びる第3軸に沿って延びる第2シャフトであって、前記第3軸に沿って移動可能な第2シャフトと、
前記第2シャフトと共に前記第3軸に沿って移動可能な第2カムであって、前記第1方向に対して傾斜する第2傾斜面を有する第2カムと、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとを接続するリンク機構であって、前記第1シャフトが前記第2軸に沿って移動すると、第1状態から第2状態へ変化するリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構が前記第1状態から前記第2状態へ変化すると、前記第2シャフトおよび前記第2カムは、前記第3軸に沿って移動する、ことを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項23】
請求項22に記載の現像カートリッジであって、
前記第1傾斜面は、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1シャフトから離れることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項24】
請求項22または請求項23に記載の現像カートリッジであって、
前記第2傾斜面は、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第1方向と交差する第2方向において前記第2シャフトから離れることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項25】
請求項22から請求項24のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記リンク機構は、
前記第1シャフトの前記第1方向における他方側の端部に一端が接続された第1リンクと、
前記第2シャフトの前記第1方向における一方側の端部に一端が接続された第2リンクと、
前記第1リンクの他端と前記第2リンクの他端とに接続された接続バーと、
を有することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項26】
請求項25に記載の現像カートリッジであって、
前記第1リンクは、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1回転軸について回動可能であり、
前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2回転軸について回動可能であることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項27】
請求項26に記載の現像カートリッジであって、
前記第1シャフトは、前記筐体および前記現像ローラに対して第1位置と第2位置との間で前記第1方向に移動可能であり、
前記第2シャフトは、前記筐体および前記現像ローラに対して第3位置と第4位置との間で前記第1方向に移動可能であり、
前記第1シャフトが前記第1位置から前記第2位置に移動する場合、前記第1リンクが前記第1回転軸について回動し、前記接続バーが前記第1方向に移動し、前記第2リンクが前記第2回転軸について回動し、前記第2シャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項28】
請求項26または請求項27に記載の現像カートリッジであって、
前記第1方向は、前記第2方向と直交することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項29】
請求項26から請求項28のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第1リンクは、前記第2方向に延びる第1ネジにより前記筐体に固定され、
前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2ネジにより前記筐体に固定されることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項30】
請求項29に記載の現像カートリッジであって、
前記第1リンクは、前記第1ネジを中心に回動し、
前記第2リンクは、前記第2ネジを中心に回動することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項31】
請求項26から請求項30のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記筐体は、前記第2方向に対して交差する方向に広がる外表面を有し、
前記第1リンク、前記第2リンク、および前記接続バーは、前記外表面に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項32】
請求項22から請求項31のいずれか一項に記載の現像カートリッジであって、
前記第1シャフト、前記第2シャフトおよび前記リンク機構は、前記第1方向において前記第1カムと前記第2カムの間に位置することを特徴とする、現像カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープリンタ、LEDプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置が知られている。画像形成装置は、現像カートリッジを有する。現像カートリッジは、現像剤を供給するための現像ローラを有する。従来の画像形成装置については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1の画像形成装置は、ドラムカートリッジを有する。ドラムカートリッジは、感光体ドラムを有する。現像カートリッジは、ドラムカートリッジに対して装着される。ドラムカートリッジに現像カートリッジが装着されると、感光体ドラムと現像ローラとが接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-59510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画像形成装置は、現像ローラと感光体ドラムとが接触した状態と、現像ローラと感光体ドラムとが離間した状態とで、切り替わる。特許文献1では、現像ローラと感光体ドラムとを離間させるために現像カートリッジを移動させる部品が、ドラムユニットの両側に設けられており、両側の部品のそれぞれが、画像形成装置本体からの駆動力を受ける必要がある。
【0005】
本開示の目的は、両側の駆動が必要なく、一方側から受ける駆動力によって現像ローラと感光体ドラムとを離間可能な現像カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の観点によれば、筐体と、現像ローラと、第1シャフトと、第1傾斜面と、第2シャフトと、第2傾斜面と、リンク機構とを備える現像カートリッジが提供される。前記筐体は、現像剤を収容可能である。前記現像ローラは、第1方向に延びる第1軸について回転可能な現像ローラであって、前記第1方向と交差する第2方向における前記筐体の一方側の端部に位置する現像ローラであり、前記第2方向における一方側の現像ローラの周面が前記筐体の外部に露出する。前記第1シャフトは、前記第1方向に延びる第1シャフトであって、前記筐体および前記現像ローラに対して第1位置と第2位置との間で前記第1方向に移動可能であり、前記第2方向において、前記筐体および前記現像ローラと共に移動可能である。前記第1傾斜面は、前記第1方向に対して傾斜する第1傾斜面であって、前記第1シャフトと共に前記第1方向に移動可能であり、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第2方向において前記第1シャフトから離れる。前記第2シャフトは、前記第1シャフトよりも前記第1方向の他方側において前記第1方向に延びる第2シャフトであって、前記筐体および前記現像ローラに対して第3位置と第4位置との間で前記第1方向に移動可能であり、前記第2方向において、前記筐体および前記現像ローラと共に移動可能である。前記第2傾斜面は、前記第1方向に対して傾斜する第2傾斜面であって、前記第2シャフトと共に前記第1方向に移動可能であり、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第2方向において前記第2シャフトから離れる。前記リンク機構は、前記第1シャフトと前記第2シャフトとを接続するリンク機構であって、第1状態と第2状態との間で変化可能である。前記第1シャフトが前記第1位置に位置する場合、前記リンク機構は前記第1状態となり、前記第2シャフトは前記第3位置に位置する。前記第1シャフトが前記第2位置に位置する場合、前記リンク機構は前記第2状態となり、前記第2シャフトは前記第4位置に位置する。
【0007】
本願の第2の観点では、第1の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1傾斜面は、前記第1シャフトの前記第1方向の一方側の端部に位置する。
【0008】
本願の第3の観点では、第1の観点または第2の観点の現像カートリッジにおいて、前記第2傾斜面は、前記第2シャフトの前記第1方向の他方側の端部に位置する。
【0009】
本願の第4の観点では、第1の観点から第3の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記リンク機構は、第1リンクと、第2リンクと、接続バーとを有する。前記第1リンクは、前記第1シャフトの前記第1方向の他方側の端部に一端が接続される。前記第2リンクは、前記第2シャフトの前記第1方向の一方側の端部に一端が接続される。前記接続バーは、前記第1リンクの他端と前記第2リンクの他端とに接続される。
【0010】
本願の第5の観点では、第4の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1リンクは、前記第2方向に延びる第1回転軸について回動可能である。前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2回転軸について回動可能である。
【0011】
本願の第6の観点では、第5の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1シャフトが前記第1位置から前記第2位置に移動する場合、前記第1リンクが前記第1回転軸について回動し、前記接続バーが前記第1方向に移動し、前記第2リンクが前記第2回転軸について回動し、前記第2シャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動する。
【0012】
本願の第7の観点では、第5の観点または第6の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1方向は、前記第2方向と直交する。
【0013】
本願の第8の観点では、第5の観点から第7の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1リンクは、前記第2方向に延びる第1ネジにより前記筐体に固定される。前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2ネジにより前記筐体に固定される。
【0014】
本願の第9の観点では、第8の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1リンクは、前記第1ネジを中心に回動する。前記第2リンクは、前記第2ネジを中心に回動する。
【0015】
本願の第10の観点では、第5の観点から第9の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記筐体は、第1ボスと、第2ボスとを有する。前記第1ボスは、前記第2方向に延びる。前記第2ボスは、前記第2方向に延びる第2ボスであって、前記第1方向において前記第1ボスと離れて位置する。前記第1リンクは、前記第1ボスを中心に回動する。前記第2リンクは、前記第2ボスを中心に回動する。
【0016】
本願の第11の観点では、第5の観点から第10の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記筐体は、前記第2方向に対して交差する方向に広がる外表面を有する。前記第1リンク、前記第2リンク、および前記接続バーは、前記外表面に位置する。
【0017】
本願の第12の観点では、第11の観点の現像カートリッジにおいて、前記筐体の前記外表面は、前記第2方向に凹む凹部を有する。前記第1リンク、前記第2リンク、および前記接続バーの少なくとも一部は、前記凹部内に位置する。
【0018】
本願の第13の観点では、第1の観点から第12の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1シャフトを、前記第2位置から前記第1位置へ向けて加圧する弾性部材をさらに備える。
【0019】
本願の第14の観点では、第1の観点から第12の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第2シャフトを、前記第4位置から前記第3位置へ向けて加圧する弾性部材をさらに備える。
【0020】
本願の第15の観点では、第1の観点から第12の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記リンク機構を、前記第2状態から前記第1状態へ向けて加圧する弾性部材をさらに備える。
【0021】
本願の第16の観点では、第13の観点から第15の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記弾性部材は、ばねである。
【0022】
本願の第17の観点では、第16の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記弾性部材は、コイルばねである。
【0023】
本願の第18の観点では、第1の観点から第17の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記第1方向に対して鋭角に傾斜する。
【0024】
本願の第19の観点では、第1の観点から第18の観点のいずれか1つの現像カートリッジは、感光体ドラムを有するドラムカートリッジに装着可能である。前記ドラムカートリッジに前記現像カートリッジが装着された状態において、前記第1シャフトが前記第1位置に位置し、前記第2シャフトが前記第3位置に位置する場合、前記現像ローラは前記感光体ドラムに接触する。前記ドラムカートリッジに前記現像カートリッジが装着された状態において、前記第1シャフトが前記第2位置に位置し、前記第2シャフトが前記第4位置に位置する場合、前記現像ローラは前記感光体ドラムから離れる。
【0025】
本願の第20の観点では、第19の観点の現像カートリッジにおいて、前記ドラムカートリッジは、前記感光体ドラムを保持するドラムフレームを有する。前記第1シャフトが前記第1位置に位置し、前記第2シャフトが前記第3位置に位置する場合、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記ドラムフレームと非接触である。前記第1シャフトが前記第2位置に位置し、前記第2シャフトが前記第4位置に位置する場合、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記ドラムフレームに接触する。
【0026】
本願の第21の観点では、第1の観点から第20の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1シャフト、前記第2シャフトおよび前記リンク機構は、前記第1方向において、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の間に位置する。
【0027】
本願の第22の観点では、筐体と、現像ローラと、第1シャフトと、第1カムと、第2シャフトと、第2カムと、リンク機構とを備える現像カートリッジが提供される。前記筐体は、現像剤を収容可能である。前記現像ローラは、第1方向に延びる第1軸について回転可能である。前記第1シャフトは、前記第1方向に延びる第2軸に沿って延びる第1シャフトであって、前記第2軸に沿って移動可能である。前記第1カムは、前記第1シャフトと共に前記第2軸に沿って移動可能な第1カムであって、前記第1方向に対して傾斜する第1傾斜面を有する。前記第2シャフトは、前記第1方向に延びる第3軸に沿って延びる第2シャフトであって、前記第3軸に沿って移動可能である。前記第2カムは、前記第2シャフトと共に前記第3軸に沿って移動可能な第2カムであって、前記第1方向に対して傾斜する第2傾斜面を有する。前記リンク機構は、前記第1シャフトと前記第2シャフトとを接続するリンク機構であって、前記第1シャフトが前記第2軸に沿って移動すると、第1状態から第2状態へ変化する。前記リンク機構が前記第1状態から前記第2状態へ変化すると、前記第2シャフトおよび前記第2カムは、前記第3軸に沿って移動する。
【0028】
本願の第23の観点では、第22の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1傾斜面は、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1シャフトから離れる。
【0029】
本願の第24の観点では、第22または第23の観点の現像カートリッジにおいて、前記第2傾斜面は、前記筐体の前記第1方向における他方側から前記筐体の前記第1方向における一方側へ向かうにつれて、前記第1方向と交差する第2方向において前記第2シャフトから離れる。
【0030】
本願の第25の観点では、第22の観点から第24の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記リンク機構は、第1リンクと、第2リンクと、接続バーとを有する。前記第1リンクは、前記第1シャフトの前記第1方向における他方側の端部に一端が接続される。前記第2リンクは、前記第2シャフトの前記第1方向における一方側の端部に一端が接続される。前記接続バーは、前記第1リンクの他端と前記第2リンクの他端とに接続される。
【0031】
本願の第26の観点では、第25の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1リンクは、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1回転軸について回動可能である。前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2回転軸について回動可能である。
【0032】
本願の第27の観点では、第26の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1シャフトが前記第1位置から前記第2位置に移動する場合、前記第1リンクが前記第1回転軸について回動し、前記接続バーが前記第1方向に移動し、前記第2リンクが前記第2回転軸について回動し、前記第2シャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動する。
【0033】
本願の第28の観点では、第26の観点または第27の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1方向は、前記第2方向と直交する。
【0034】
本願の第29の観点では、第26の観点から第28の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1リンクは、前記第2方向に延びる第1ネジにより前記筐体に固定される。前記第2リンクは、前記第2方向に延びる第2ネジにより前記筐体に固定される。
【0035】
本願の第30の観点では、第29の観点の現像カートリッジにおいて、前記第1リンクは、前記第1ネジを中心に回動する。前記第2リンクは、前記第2ネジを中心に回動する。
【0036】
本願の第31の観点では、第26の観点から第30の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記筐体は、前記第2方向に対して交差する方向に広がる外表面を有する。前記第1リンク、前記第2リンク、および前記接続バーは、前記外表面に位置する。
【0037】
本願の第32の観点では、第22の観点から第31の観点のいずれか1つの現像カートリッジにおいて、前記第1シャフト、前記第2シャフトおよび前記リンク機構は、前記第1方向において前記第1カムと前記第2カムの間に位置する。
【発明の効果】
【0038】
本願の第1の観点から第32の観点によれば、一方側から受ける駆動力によって、現像ローラを第2方向に移動可能な、現像カートリッジが提供される。
【0039】
本願の第1の観点によれば、第1シャフトが第1位置から第2位置に移動するとともに第2シャフトが第3位置から第4位置に移動する過程で、第1傾斜面および第2傾斜面が、第2方向の他方側に押される。これに伴い、現像ローラを第2方向の他方側に移動させることができる。
【0040】
本願の第4の観点によれば、第1傾斜面と第2傾斜面とを1本のシャフトにより直接的に接続する場合と比べて、各部材の強度を高めることができる。
【0041】
本願の第の11の観点によれば、現像ローラに対して光を照射して露光する場合に、リンク機構が光を遮ってしまう虞が少ない。
【0042】
本願の第12の観点によれば、第1シャフトが第1位置から第2位置に移動すると共に第2シャフトが第3位置から第4位置に移動した後に、第1シャフトが弾性部材により加圧されることで、第1シャフトを第1位置に戻すと共に第2シャフトを第3位置に戻すことができる。
【0043】
本願の第13の観点によれば、第1シャフトが第1位置から第2位置に移動すると共に第2シャフトが第3位置から第4位置に移動した後に、第2シャフトが弾性部材により加圧されることで、第2シャフトを第3位置に戻すと共に第1シャフトを第1位置に戻すことができる。
【0044】
本願の第14の観点によれば、第1シャフトが第1位置から第2位置に移動すると共に第2シャフトが第3位置から第4位置に移動した後に、リンク機構が第2状態から第1状態へ向けて加圧されることで、第2シャフトを第3位置に戻すと共に第1シャフトを第1位置に戻すことができる。
【0045】
本願の第21の観点によれば、第1シャフトが第2軸に沿って移動するとともに第2シャフトが第3軸に沿って移動する過程で、第1カムの第1傾斜面と、第2カムの第2傾斜面とが、第1方向に交差する方向に押される。これに伴い、現像ローラを第1方向に交差する方向へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】画像形成装置の概略図である。
図2】現像カートリッジの斜視図である。
図3】現像カートリッジを装着した状態のドラムカートリッジを、第3方向の他方側から視た図である。
図4】被接触部の拡大斜視図である。
図5】被接触部の拡大斜視図である。
図6】現像カートリッジの分解斜視図である。
図7】接触状態のときのリンク機構の拡大図である。
図8】接触状態のときの現像カートリッジおよび感光体ドラムを、第2方向の一方側から視た図である。
図9】接触状態のときの現像カートリッジおよび感光体ドラムを、第1方向の一方側から視た図である。
図10】離間状態のときの現像カートリッジおよび感光体ドラムを、第2方向の一方側から視た図である。
図11】離間状態のときの現像カートリッジおよび感光体ドラムを、第1方向の一方側から視た図である。
図12】離間状態のときのリンク機構の拡大図である。
図13】接触状態から離間状態に切り替わるときの動作を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0048】
なお、以下の説明においては、現像ローラの回転軸(第1軸)が延びる方向を「第1方向」と称する。また、現像ローラの周面のうち、外部に露出する周面と、筐体内に収容される周面とが並ぶ方向を「第2方向」と称する。第1方向と第2方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。また、第1方向および第2方向に交差、好ましくは直交する方向を「第3方向」と称する。
【0049】
<1.画像形成装置の概略構成>
図1は、画像形成装置100の概略図である。画像形成装置100は、電子写真方式のプリンタである。画像形成装置100の例としては、レーザープリンタまたはLEDプリンタが挙げられる。図1に示すように、画像形成装置100は、4つの現像カートリッジ1と、ドラムカートリッジ2と、画像形成装置本体9とを備える。
【0050】
<1-1.画像形成装置本体の概略構成>
以下では、画像形成装置本体9の概略構成について説明する。図1に示すように、画像形成装置本体9は、本体フレーム101、転写ベルト(図示省略)、および制御部102を有する。
【0051】
本体フレーム101は、概ね直方体状であり、内部空間を含む。本体フレーム101の内部空間には、現像カートリッジ1を装着した状態のドラムカートリッジ2が装着される。その他に、本体フレーム101には、4つの帯電器(図示省略)、4つの光源(図示省略)、転写ベルト、および制御部102が装着される。
【0052】
転写ベルトは、印刷用紙を搬送するための無端帯状のベルトである。転写ベルトは、現像カートリッジ1を装着したドラムカートリッジ2が本体フレーム101の内部空間に装着された状態で、感光体ドラム21を挟んで現像ローラ30とは反対側に位置する。転写ベルトの外周面は、感光体ドラム21の外周面に接触可能である。
【0053】
制御部102は、CPU等のプロセッサと、本体メモリとを有する。本体メモリは、情報の読み出しおよび書き込みが可能な記録媒体である。本体メモリは、例えばフラッシュROMまたはEEPROMである。本体メモリは、画像形成装置100の動作を制御するためのコンピュータプログラムを記憶している。プロセッサは、本体メモリに記憶されたコンピュータプログラムに従って、種々の処理を実行する。すなわち、プロセッサは、画像形成装置100の印刷処理およびそれに付随する種々の処理を実行する。
【0054】
<1-2.現像カートリッジの概略構成>
以下では、現像カートリッジ1の概略構成について、図1および図2を参照して説明する。図2は、現像カートリッジ1の斜視図である。図1に示すように、現像カートリッジ1は、ドラムカートリッジ2のフレーム200に着脱可能である。図2に示すように、現像カートリッジ1は、現像剤を収容可能な筐体10を有する。筐体10は、容器10Aと、蓋10Bとを有する。容器10Aは、内部空間を有する。蓋10Bは、平面状である。蓋10Bは、筐体10の第2方向における一方側に位置する。蓋10Bは、後述の第3外表面(外表面)13を有する。蓋10Bは、容器10Aの第2方向の一方側の開放部を覆う。ただし、容器10Aは、第3方向の一方側に開口部10Cを有する。開口部10Cには、後述する現像ローラ30が位置する。
【0055】
筐体10は、第1方向における一方側の端部に第1外表面11を有する。また、筐体10は、第1方向における他方側の端部に第2外表面12を有する。さらに筐体10は、第2方向に互いに離れた第3外表面13と、第4外表面14(図9を参照)とを有する。第3外表面13は、筐体10の第2方向における一方側の端部に位置する。第4外表面14は、筐体10の第2方向における他方側の端部に位置する。第3外表面13は、第2方向に対して交差する方向に広がる。
【0056】
4つの現像カートリッジ1は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のトナーを収容する。ただし、複数の現像カートリッジ1は、同じ色の現像剤を収容してもよい。
【0057】
また、現像カートリッジ1は、現像ローラ30を有する。現像ローラ30は、円筒状の部材である。現像ローラ30は、第1方向に延びる回転軸である現像軸を中心に回転可能である。現像ローラ30は、現像軸について回転可能に、筐体10に支持される。
【0058】
現像ローラ30は、現像ローラ本体31と現像ローラシャフト32とを有する。現像ローラ本体31は、第1方向に延びる円筒状の部材である。現像ローラ本体31の材料には、例えば、弾性を有するゴムが用いられる。現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通する円柱状の部材である。現像ローラシャフト32の材料には、金属または導電性を有する樹脂が用いられる。現像ローラ本体31は、現像ローラシャフト32に対して、相対回転不能に固定される。つまり、現像ローラ本体31は、現像ローラシャフト32と共に、現像軸について回転可能である。第2方向における現像ローラ本体31の周方向の一方側が開口部10Cを介して、筐体10の外側に露出する。また、第2方向における現像ローラ本体31の周方向の他方側が、筐体10の内側に位置する。
【0059】
現像ローラシャフト32の第1方向の一方側の端部には、不図示の現像ローラギヤが装着される。現像ローラギヤは、第1外表面11に位置する。現像ローラシャフト32は、現像ローラギヤに対して、相対回転不能に固定される。現像ローラギヤが回転すると、現像ローラシャフト32も現像ローラギヤと同一回転数で回転し、現像ローラシャフト32と共に現像ローラ本体31も回転する。
【0060】
なお、現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通していなくてもよい。例えば、現像ローラシャフト32が、現像ローラ本体31の第1方向の両端から、第1方向にそれぞれ延びていてもよい。
【0061】
図2に示すように、現像カートリッジ1はギヤ部40を有する。ギヤ部40は、筐体10の第1外表面11に位置する。ギヤ部40は、カップリング41、上述の現像ローラギヤ、およびギヤカバー43等を有する。
【0062】
カップリング41は、画像形成装置100から供給される駆動力を受ける回転体である。カップリング41は、第1方向に延びる回転軸について回転することが可能である。カップリング41は、第1方向に凹む締結穴411を有する。現像カートリッジ1が装着された状態のドラムカートリッジ2が、画像形成装置本体9内に装着されると、画像形成装置本体9の伝達シャフトが、締結穴411に挿入される。これにより、伝達シャフトとカップリング41とが、相対回転不能に連結される。したがって、伝達シャフトが回転すると、カップリング41が回転する。カップリング41が回転すると、現像ローラギヤが回転する。そして、現像ローラギヤと共に現像ローラ30も回転する。さらに、カップリングが回転すると、不図示の供給ローラやアジテータも回転する。
【0063】
筐体10の、第3方向の他方側の外表面には、ユーザが把持するためのハンドル38が位置する。
【0064】
<1-3.ドラムカートリッジの概略構成>
以下では、ドラムカートリッジ2の概略構成について、図1および図3を参照して説明する。図3は、ドラムカートリッジ2の斜視図である。図1および図3に示すように、ドラムカートリッジ2は、4つの感光体ドラム21、およびフレーム200を有する。
【0065】
4つの感光体ドラム21は、それぞれ、第1方向に延びる回転軸であるドラム軸を中心とする円筒状の外周面を有する。感光体ドラム21の外周面は、感光材料に覆われている。また、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、ドラム軸を中心として回転可能である。
【0066】
図3に示すフレーム200は、4つの感光体ドラム21を保持する枠体である。フレーム200は、複数の感光体ドラム21を第2方向において互いに間隔をあけた状態で保持する。フレーム200は、第1方向において対向する一対のサイドフレーム(ドラムフレーム)201,202を有する。サイドフレーム202は、サイドフレーム201よりも第1方向における他方側に位置する。サイドフレーム201,202に、感光体ドラム21が回転可能に支持される。
【0067】
画像形成装置100において、印刷処理の実行時に、制御部102は、図示を省略したモータを駆動させる。感光体ドラム21および現像ローラ30は、モータの駆動によって、伝達シャフトおよびカップリング41を介して回転する。また、制御部102は、帯電器に電力を供給することにより、感光体ドラム21の表面を帯電させる。さらに制御部102は、光源を発光させることにより、光源の光を感光体ドラム21の外周面に照射する。これにより、印刷すべき画像の静電潜像が、感光体ドラム21の外周面に形成される。現像カートリッジ1のトナーは、現像ローラ30を介して、感光体ドラム21の静電潜像上に供給される。これにより、トナー像が、感光体ドラム21の外周面に形成される。その後、印刷用紙は、感光体ドラム21と転写ベルトとの間へ搬送される。これにより、感光体ドラム21の外周面から印刷用紙へ、トナー像が転写される。印刷用紙にトナー像が転写された状態で、印刷用紙は、画像形成装置100内の定着ユニットに搬送される。これにより、印刷用紙に転写されたトナー像が、印刷用紙上に熱定着される。その結果、印刷用紙に画像が印刷される。
【0068】
画像形成装置100において、印刷する色の切り替え時や、印字途中の待機時に、現像ローラ30を感光体ドラム21に対して離間させておきたい場合がある。そこで、本実施形態の画像形成装置100は、接触状態と離間状態とを有する。接触状態は、現像カートリッジ1がドラムカートリッジ2に装着された状態において、現像ローラ30と感光体ドラム21とが接触する状態である。また、離間状態は、現像カートリッジ1がドラムカートリッジ2に装着された状態において、現像ローラ30と感光体ドラム21とが互いに離れた状態である。そこで、現像カートリッジ1は、接触および離間に関する部材として、第1シャフト61と、第2シャフト62と、第1カム63と、第2カム64と、リンク機構65と、第1リング66と、第2リング67と、弾性部材69とを有する。また、ドラムカートリッジ2は、接触および離間に関する部材として、第1ガイドローラ(被接触部)24と、第2ガイドローラ(被接触部)25とを有する。また、画像形成装置100は、接触および離間に関する部材として、駆動シャフト103を有する。
【0069】
<2.ドラムカートリッジが有する接触および離間に関する部材>
以下では、ドラムカートリッジ2が有する接触および離間に関する部材について、図3から図5を参照して説明する。
【0070】
ドラムカートリッジ2に現像カートリッジ1が装着された状態において、現像カートリッジ1の第1外表面11は、第1サイドフレーム201の内表面と第1方向に向かい合う。ドラムカートリッジ2に現像カートリッジ1が装着された状態において、現像カートリッジ1の第2外表面12は、第2サイドフレーム202の内表面と第1方向に向かい合う。
【0071】
図3中の拡大図において破線で示したように、第1サイドフレーム201は、第1ガイドローラ24を有する。すなわち、第1ガイドローラ24は、フレーム200の第1方向における一方側の端部に位置する。
【0072】
図4は、第1ガイドローラ24および第1ガイドローラ24を保持する軸受部26の分解斜視図である。図4に示すように、第1ガイドローラ24は、第3方向に延びる円筒状の外周面(被接触面)240を有する。また、第1ガイドローラ24の第3方向の両端部は、軸受部26に、回転可能に保持される。したがって、第1ガイドローラ24は、第3方向に延びる中心軸について回転可能である。
【0073】
図3中の拡大図において破線で示したように、第2サイドフレーム202は、第2ガイドローラ25を有する。すなわち、第2ガイドローラ25は、フレーム200の第1方向における他方側の端部に位置する。
【0074】
図5は、第2ガイドローラ25および第2ガイドローラ25を保持する軸受部27の分解斜視図である。図5に示すように、第2ガイドローラ25は、第3方向に延びる円筒状の外周面(被接触面)250を有する。また、第2ガイドローラ25の第3方向の両端部は、軸受部27に、回転可能に保持される。したがって、第2ガイドローラ25は、第3方向に延びる中心軸について回転可能である。
【0075】
第1ガイドローラ24および第2ガイドローラ25は、第1方向において対をなすように位置している。第1ガイドローラ24の外周面240に、後述する第1カム63の第1傾斜面63aが接触可能である。第2ガイドローラ25の外周面250に、後述する第2カム64の第2傾斜面64aが接触可能である。
【0076】
<3.画像形成装置本体が有する接触および離間に関する部材>
続いて、画像形成装置本体9が有する接触および離間に関する部材について、説明する。画像形成装置本体9は、駆動シャフト103を有する(図8および図10を参照)。駆動シャフト103は、第1方向に延びる円柱または角柱である。駆動シャフト103は、画像形成装置本体9からの駆動力を受けて第1方向に進出または後退する。
【0077】
<4.現像カートリッジが有する接触および離間に関する部材>
以下では、現像カートリッジ1が有する接触および離間に関する部材について、図2図6および図7を参照して説明する。図6は、現像カートリッジ1の分解斜視図である。図7は、接触状態のときのリンク機構65の拡大図である。
【0078】
第1シャフト61は、第1方向に延びる円柱または角柱である。第1シャフト61は、筐体10および現像ローラ30に対して、後述する第1位置と第2位置との間で第1方向に移動可能に、筐体10の第3外表面13に保持される。第1シャフト61は、第2方向において、筐体10および現像ローラ30と共に移動可能に、筐体10の第3外表面13に保持される。
【0079】
詳細には、上述した蓋10Bは、外表面に、第1方向に延びる第2軸に沿って延びる第1ガイド溝10Dを有する。第1ガイド溝10Dの第1方向における一方側の端部には、第1リング66が位置する。第1リング66は、第1方向に延びる円筒状である。本実施形態の第1リング66は、ギヤカバー43に保持される。ただし、これに代えて、第1リング66がギヤカバー43と同一部品であってもよい。第1リング66は、第1方向において第1カム63とリンク機構65との間に位置する。第1シャフト61は、第1リング66に挿入されるとともに、第1ガイド溝10Dにスライド移動可能に保持される。これにより、第1シャフト61は、第2軸に沿って位置する。第1シャフト61は、第2軸に沿って第1方向に移動可能である。
【0080】
第2シャフト62は、第1方向に延びる円柱または角柱である。第2シャフト62は、筐体10および現像ローラ30に対して、後述する第3位置と第4位置との間で第1方向に移動可能に、筐体10の第3外表面13に保持される。第2シャフト62は、第2方向において、筐体10および現像ローラ30と共に移動可能に、筐体10の第3外表面13に保持される。
【0081】
詳細には、上述した蓋10Bは、外表面に、第1方向に延びる第3軸に沿って延びる第2ガイド溝10Eを有する。第2ガイド溝10Eは、第1ガイド溝10Dよりも第1方向の他方側に位置する。第2ガイド溝10Eの第1方向における他方側の端部には、第2リング67が位置する。第2リング67は、第1方向に延びる円筒状である。本実施形態の第2リング67は、第2ガイド溝10Eの第1方向における他方側の端部に保持される。ただし、これに代えて、第2リング67がギヤカバー43と同一部品であってもよい。第2リング67は、第1方向において第2カム64とリンク機構65との間に位置する。第2シャフト62は、第2リング67に挿入されるとともに、第2ガイド溝10Eにスライド移動可能に保持される。このように、第2シャフト62は、第1シャフト61よりも第1方向の他方側の位置において、第3軸に沿って位置する。第2シャフト62は、第3軸に沿って第1方向に移動可能である。
【0082】
第1カム63は、第1シャフト61の第1方向における一方側の端部に接続される。第1カム63は、第1リング66よりも第1方向の一方側に位置する。第1カム63は、第1シャフト61と共に第2軸に沿って第1方向に移動可能である。本実施形態の第1カム63は、円錐状である。第1カム63の外周面は、第1方向に対して鋭角に傾斜する第1傾斜面63aを有する。第1傾斜面63aは、第1シャフト61と共に第1方向に移動可能である。第1傾斜面63aは、第1方向における第1カム63の他方側から第1方向における第1カム63の一方側へ向かうにつれて、第2方向において第1シャフト61から離れる。
【0083】
第2カム64は、第2シャフト62の第1方向における他方側の端部に接続される。第2カム64は、第2リング67よりも第1方向の他方側に位置する。第2カム64は、第2シャフト62と共に第3軸に沿って第1方向に移動可能である。本実施形態の第2カム64は、半円錐形状を有する。第2カム64の外周面は、第1方向に対して鋭角に傾斜する第2傾斜面64aを有する。第2傾斜面64aは、第2シャフト62と共に第1方向に移動可能である。第2傾斜面64aは、第1方向における第2カム64の他方側から第1方向における第2カム64の一方側に向かうにつれて、第2方向において第2シャフト62から離れる。
【0084】
リンク機構65は、第1シャフト61と第2シャフト62とを接続する。リンク機構65は、第1リンク651と、第2リンク652と、接続バー653と、第1ネジ655と、第2ネジ656とを有する。リンク機構65は、第1状態と第2状態との間で変化可能である。
【0085】
図2図6、および図7に示すように、第1リンク651は、第1状態において、第3方向に延びる板状である。第1リンク651は、第2方向に対して交差する方向に広がる平板状である。第1リンク651は、板状部651dと突起651bとを有する。突起651bは、第1リンク651の第3方向における他方側の端部に位置する。第1リンク651の突起651bは、第2方向に視たときに円形である。また、第1リンク651は、突起よりも第3方向の一方側に、くびれ部651cを有する。第1状態のとき、くびれ部651cは、第3方向において、突起651bと板状部651dとの間に位置する。くびれ部651cの第1方向における幅は、突起651bおよび板状部651dの第1方向における幅よりも狭い。
【0086】
図7に示すように、第1シャフト61の第1方向における他方側の端部は、第1ガイド凹部61aを有する。第1ガイド凹部61aは、第1シャフト61の第2方向の一方側から第1シャフト61の第2方向の他方側に向かって凹む。第1ガイド凹部61aは、第1シャフト61の第1方向の他方側の端部を、第3方向に貫通する。第1ガイド凹部61aの第1方向の他方側の内壁面は、第1方向に対して垂直な平面である。第1ガイド凹部61aの第1方向の一方側の内壁面は、第1シャフト61の第3方向の他方側から第1シャフト61の第3方向の一方側に向かうにつれて第1方向において第1ガイド凹部61aの第1方向の他方側の内壁面から離れる第1ガイド傾斜面61bを有する。
【0087】
第1リンク651の突起651bが、第1ガイド凹部61aの第3方向の他方側の開口(端部)に引っ掛けられる。これにより、第1リンク651の第3方向の一端が第1シャフト61の第1方向の他方側の端部に接続される。第1リンク651は、第1リンク651の第3方向の他端に、第2方向の他方側に円柱状に突出する第3ボス(図示省略)を有する。第1リンク651は、第1状態のときの第1リンク651の第3方向の一端と第1リンク651の第3方向の他端との間に、第3貫通孔651aを有する。
【0088】
図2図6、および図7に示すように、第2リンク652は、第1状態において、第3方向に延びる板状である。第2リンク652は、第2方向に対して交差する方向に広がる平板状である。第2リンク652は、板状部652dと突起652bとを有する。突起652bは、第2リンク652の第3方向における他方側の端部に位置する。第2リンク652の突起652bは、第2方向に視たときに円形である。また、第2リンク652は、突起よりも第3方向の一方側に、くびれ部652cを有する。第1状態のとき、くびれ部652cは、第3方向において、突起652bと板状部652dとの間に位置する。くびれ部652cの第1方向における幅は、突起651bおよび板状部651dの第1方向における幅よりも狭い。
【0089】
図7に示すように、第2シャフト62の第1方向における一方側の端部は、第2ガイド凹部62aを有する。第2ガイド凹部62aは、第2シャフト62の第2方向の一方側から第2シャフト62の第2方向の他方側に向かって凹む。第2ガイド凹部62aは、第2シャフト62の第1方向の一方側の端部を、第3方向に貫通する。第2ガイド凹部62aの第1方向の他方側の内壁面は、第1方向に対して垂直な平面である。第2ガイド凹部62aの第1方向の一方側の内壁面は、第2シャフト62の第3方向の他方側から第1シャフト62の第3方向の一方側に向かうにつれて第1方向において第2ガイド凹部62aの第1方向の他方側の内壁面から離れる第2ガイド傾斜面62bを有する。
【0090】
第2リンク652の突起652bが、第2ガイド凹部62aの第3方向の他方側の開口(端部)に引っ掛けられる。これにより、第2リンク652の第3方向の一端が第2シャフト62の第1方向の一方側の端部に接続される。第2リンク652は、第2リンク652の第3方向の他端に、第2方向の他方側に円柱状に突出する第4ボス(図示省略)を有する。第2リンク652は、第1状態のときの第2リンク652の第3方向の一端と第2リンク652の第3方向の他端との間に、第4貫通孔652aを有する。
【0091】
図2および図6に示すように、接続バー653は、第1方向に延びる。接続バー653は、第2方向に対して交差する方向に広がる平板状である。接続バー653は、接続バー653の第1方向の一方側の端部に、第1貫通孔653aを有する。第1貫通孔653aは、接続バー653を第2方向に貫通する。接続バー653は、接続バー653の第1方向の他方側の端部に、第2貫通孔653bを有する。第2貫通孔653bは、接続バー653を第2方向に貫通する。
【0092】
接続バー653の第1貫通孔653aに、第1リンク651の第3ボスが挿入される。接続バー653の第2貫通孔653bに、第2リンク652の第4ボスが挿入される。このように、接続バー653は、第1リンク651の他端と、第2リンク652の他端とに、接続される。
【0093】
蓋10Bは、蓋10Bの第1方向における中央部に、蓋10Bの第2方向の一方側から蓋10Bの第2方向の他方側に向かって凹む凹部10Fを有する。凹部10F内に、第1シャフト61の第1方向の他方側の端部、第2リンク652の第1方向の一方側の端部、第1リンク651、第2リンク652、および接続バー653が位置する。
【0094】
凹部10Fの底部は、第2方向の一方側に円筒状に突出する第1ボス657を有する。第1ボス657は、内周面に雌ネジを有する。また、凹部10Fの底部は、第2方向の一方側に円筒状に突出する第2ボス658を有する。第2ボス658は、内周面に雌ネジを有する。第2ボス658は、第1方向において第1ボス657から離れて位置する。第2ボス658は、第1ボス657よりも、第1方向の他方側に位置する。
【0095】
第1ネジ655は、第2方向に延びる。第1ネジ655は、第2方向の一方側に頭部を有し、第2方向の他方側に軸部を有する。軸部は、外周面に雄ネジを有する。第1ネジ655は、第1リンク651を、回動可能な状態で筐体10に対して固定する。詳細には、第1リンク651の第3方向の他端の第3ボスが接続バー653の第1貫通孔653aに挿入され、かつ、第1リンク651の第3方向の一端の突起651bが第1ガイド凹部61aの第3方向の他方側の開口に引っ掛けられた状態とされる。この状態で、第1ネジ655の軸部が第2方向の一方側から第1ボス657に締結される。これにより、第1リンク651は、第1ネジ655を中心に回動可能である。すなわち、第1リンク651は、第2方向に延びる第1回転軸について回動可能である。
【0096】
第2ネジ656は、第2方向に延びる。第2ネジ656は、第2方向の一方側に頭部を有し、第2方向の他方側に軸部を有する。軸部は、外周面に雄ネジを有する。第2ネジ656は、第2リンク652を、回動可能な状態で筐体10に対して固定する。詳細には、第2リンク652の第3方向の他端の第4ボスが接続バー653の第2貫通孔653bに挿入され、かつ、第2リンク652の第3方向の一端の突起652bが第2ガイド凹部62aの第3方向の他方側の開口に引っ掛けられた状態とされる。この状態で、第2ネジ656の軸部が第2方向の一方側から第2ボス658に締結される。これにより、第2リンク652は、第2ネジ656を中心に回動可能である。すなわち、第2リンク652は、第2方向に延びる第2回転軸について回動可能である。
【0097】
図6に示すように、弾性部材69は、金属線が螺旋状に巻かれたコイルばねである。弾性部材69は、第1方向に伸縮可能である。弾性部材69は、弾性部材69の第1方向の一端がリング66の内周面に接続され、弾性部材69の第1方向の他端が第1シャフト61の外周面に接続された状態で、リング66内に保持される。弾性部材69は、自然長よりも第1方向に圧縮された状態とされる。これにより、弾性部材69は、第1シャフト61を第1方向の一方側へ向かう方向に付勢する。別の言い方をすれば、弾性部材69は、第1シャフト61を、第2位置から第1位置へ向けて加圧する。
【0098】
<5.接触および離間状態の切り替え時の各部の動き>
以下では、画像形成装置100の接触状態と離間状態との切り替え時の、接触および離間に関する部材の動きについて、図7から図13を参照して説明する。図8は、接触状態のときの現像カートリッジ1および感光体ドラム21を、第2方向の一方側から視た図である。図9は、接触状態のときの現像カートリッジ1および感光体ドラム21を、第1方向の一方側から視た図である。図10は、離間状態のときの現像カートリッジ1および感光体ドラム21を、第2方向の一方側から視た図である。図11は、離間状態のときの現像カートリッジ1および感光体ドラム21を、第1方向の一方側から視た図である。図12は、離間状態のときのリンク機構65の拡大図である。図13は、接触状態から離間状態に切り替わるときの動作を示す概略図である。
【0099】
画像形成装置100において、駆動シャフト103が、第1方向における筐体10の一方側から第1方向における筐体の他方側に向けて、駆動(進出)された場合、駆動シャフト103により第1カム63の第1方向の一方側の面が押圧される。すなわち、第1カム63は、筐体10の第1方向の一方側から筐体10の第1方向の他方側に向かう押圧力を受ける。そうすると、第1カム63が受ける押圧力が、弾性部材69によって第1シャフト61および第1カム63が付勢される付勢力よりも強くなって、第1シャフト61が第1カム63と共に、第1位置(図8を参照)から第2位置(図10を参照)へと移動する。そうすると、第1ガイド凹部61aの位置も筐体10の第1方向の一方側から筐体10の第1方向の他方側に向けて移動する。これにより、第2方向の一方側から視たときに、第1リンク651が第1回転軸について反時計回りに回動する。このとき、第1リンク651のくびれ部651cは、図12に示すように、第1ガイド傾斜面61bに沿った位置となる。これに伴い、接続バー653は、第1リンク651の第3方向の他端に引っ張られて、筐体10の第1方向における他方側から筐体10の第1方向における一方側へ移動する。
【0100】
また、これに伴い、第2リンク652の他端が接続バー653に引っ張られて、第2リンク652が回動する。具体的には、第2方向の一方側から視たときに、第2リンク652が第2回転軸について反時計回りに回動する。第2リンク652は、第1リンク651と略平行な状態を保ちながら回動する。このとき、第2リンク652のくびれ部652cは、第2ガイド傾斜面62bに沿った位置となる。そうすると、第2リンク652の先端部により押されて、第2シャフト62が筐体10の第1方向における一方側から筐体10の第1方向における他方側に移動する。これにより、第2シャフト62が第2カム64と共に、第3位置(図8を参照)から第4位置(図10を参照)へと移動する。
【0101】
このように、第1カム63に、駆動シャフト103からの第1方向の押圧力が作用すると、第1シャフト61が第1位置から第2位置に移動し、リンク機構65が図7および図8の第1状態から図10および図12の第2状態に変化し、その結果、第2シャフト62が第3位置から第4位置に移動する。
【0102】
この際、第1カム63の第1傾斜面63aが第1サイドフレーム201の第1ガイドローラ24の外周面240に接触するが、互いの接触位置は、第1傾斜面63a上の第1方向の他方側の端部寄りの位置から、次第に、第1傾斜面63a上の第1方向の一方側の端部寄りの位置へと推移する(図13を参照)。その結果、ドラムカートリッジ2(第1ガイドローラ24)と、筐体10との、第2方向における距離が、徐々に拡大する。こうして、図13に示すように、第1傾斜面63aがドラムカートリッジ2の第1ガイドローラ24の外周面240に押されることにより、筐体10および現像ローラ30が、第1カム63と共に第2方向に移動して、現像ローラ30が感光体ドラム21から離間する。
【0103】
なお、第1カム63が第1位置から第2位置に移動するとき、第2カム64も第3位置から第4位置に移動する。そうすると、図13に示すように、第2傾斜面64aがドラムカートリッジ2の第2ガイドローラ25の外周面250に押されることによっても、筐体10および現像ローラ30が、第2カム64と共に第2方向に移動する。このように、筐体10の第1方向の両側が、ドラムカートリッジ2の一部であるガイドローラ24,25に押されて、筐体10がドラムカートリッジ2に対して第2方向の一方側から他方側に移動するので、接触状態(図8および図9を参照)と離間状態(図10および図11を参照)との切り替え時に筐体10が第1方向に対して傾いてしまう虞を軽減することができる。
【0104】
その後、駆動シャフト103が、第1方向における筐体10の他方側から第1方向における筐体10の一方側に向けて後退された場合、第1シャフト61が、弾性部材69の付勢力に従って、筐体10に対して第1方向の他方側から第1方向の一方側に移動する。これにより、第1シャフト61が第1カム63と共に、第2位置(図10を参照)から第1位置(図8を参照)に移動する。そうすると、第1ガイド凹部61aの位置も筐体10の第1方向の他方側から筐体10の第1方向の一方側に移動する。これにより、第2方向の一方側から視たときに、第1リンク651が第1回転軸について時計回りに回動する。このとき、第1リンク651のくびれ部651cは、第1ガイド凹部61aの第1方向の他方側の内壁面に沿った位置となる(図7を参照)。別の言い方をすれば、第1リンク651のくびれ部651cの移動が、第1ガイド凹部61aの内壁面によって規制されることにより、第1リンク651の時計回りの回動は規制される。この結果、図7に示すように、第1リンク651は、第3方向に延びた位置に保持される。第1リンク651の時計回りの回動に伴い、接続バー653は、第1リンク651の他端により押されて、筐体10の第1方向の一方側から筐体10の第1方向の他方側へ移動する。
【0105】
また、これに伴い、第2リンク652の他端が接続バー653により押されて、第2リンク652が回動する。具体的には、第2方向の一方側から視たときに、第2リンク652が第2回転軸について時計回りに回動する。第2リンク652は、第1リンク651と略平行な状態を保ちながら回動する。このとき、第2リンク652のくびれ部652cは、第2ガイド凹部62aの第1方向の他方側の内壁面に沿った位置となる(図7を参照)。別の言い方をすれば、第2リンク652のくびれ部652cの移動が、第2ガイド凹部62aの内壁面によって規制されることにより、第2リンク652の時計回りの回動は規制される。この結果、図7に示すように、第2リンク652は、第3方向に延びた位置に保持される。そうすると、第2リンク652の突起652bにより引っ張られて、第2シャフト62が、筐体10の第1方向の他方側から筐体10の第1方向の一方側に移動する。これにより、第2シャフト62が第2カム64と共に、第4位置(図10を参照)から第3位置(図8を参照)へと移動する。
【0106】
このように、第1カム63に、駆動シャフト103からの押圧力が作用しなくなると、第1シャフト61が第2位置から第1位置に移動し、リンク機構65が第2状態から第1状態に変化し、その結果、第2シャフト62が第4位置から第3位置に移動する。
【0107】
ここで、ドラムカートリッジ2のフレーム200は、現像カートリッジ1の筐体10を、感光体ドラム21へ近づく方向に押圧する押圧機構(図示省略)を有する。押圧機構により、現像カートリッジ1が第2方向の一方側へと押されて、現像ローラ30と感光体ドラム21とが接触した状態に戻る。このようにして、画像形成装置100の状態が、接触状態(図7および図8を参照)と離間状態(図9および図10を参照)との間で切り替えられる。
【0108】
厳密には、第1シャフト61が第1位置に位置し、第2シャフト62が第3位置に位置する場合、第1傾斜面63aおよび第2傾斜面64aは、サイドフレーム201,202と非接触である。すなわち、第1シャフト61が第1位置から第2位置に向かって移動し始め、第2シャフト62が第3位置から第4位置に向かって移動し始めたときに、第1傾斜面63aおよび第2傾斜面64aが、サイドフレーム201,202と接触する。また、第1シャフト61が第2位置に位置し、第2シャフト62が第4位置に位置する場合、第1傾斜面63aおよび第2傾斜面64aは、サイドフレーム201,202と接触した状態に維持される。この状態のときに、現像ローラ30が感光体ドラム21から離間している。
【0109】
本実施形態の現像カートリッジ1は、筐体10と、現像ローラ30と、第1シャフト61と、第1傾斜面63aと、第2シャフト62と、第2傾斜面64aと、リンク機構65とを備える。第1シャフト61が第1位置に位置する場合、リンク機構は第1状態(図7を参照)となり、第2シャフト62は第3位置に位置する(図8を参照)。第2シャフト62が第2位置に位置する場合、リンク機構は第2状態(図12を参照)となり、第2シャフト62は第4位置に位置する(図10を参照)。これにより、第1シャフト61が第1位置から第2位置に移動するとともに、第2シャフト62が第3位置から第4位置に移動する過程で、第1傾斜面63aおよび第2傾斜面64aが、サイドフレーム201,202のガイドローラ24,25により押される。これに伴い、現像ローラ30を第2方向の他方側に移動させることができる。
【0110】
このように、本実施形態の現像カートリッジ1によれば、両側の駆動が必要なく、第1方向の一方側から受ける駆動力によって現像ローラ30と感光体ドラム21とを離間可能である。
【0111】
また、本実施形態の現像カートリッジ1では、リンク機構65は、第1リンク651と、第2リンク652と、接続バー653とを有する。これにより、第1傾斜面63aと第2傾斜面64aとを1本のシャフトにより直接的に接続する場合と比べて、各部材の強度を高めることができる。
【0112】
また、本実施形態の現像カートリッジ1では、筐体10の外表面13は、凹部10Fを有する。第1リンク651、第2リンク652、および接続バー653は、凹部10F内に位置する。これにより、画像形成装置本体9の光源から現像ローラ30に対して光を照射して露光する場合に、リンク機構65が光を遮ってしまう虞が少ない。
【0113】
さらに、本実施形態の現像カートリッジ1は、弾性部材69を備える。これにより、第1シャフト61が第1位置から第2位置に移動すると共に第2シャフト62が第3位置から第4位置に移動した後に、第1シャフト61が弾性部材69により加圧されることで、第1シャフト61を第1位置に戻すと共に、第2シャフト62を第3位置に戻すことができる。
【0114】
また、本実施形態の現像カートリッジ1は、筐体10と、現像ローラ30と、第1シャフト61と、第1カム63と、第2シャフト62と、第2カム64と、リンク機構65とを備える。リンク機構65は、第1シャフト61が第2軸に沿って移動すると、第1状態から第2状態へ変化する。リンク機構65が第1状態から第2状態へ変化すると、第2シャフト62および第2カム64は、第3軸に沿って移動する。これにより、第1シャフト61が第2軸に沿って移動するとともに第2シャフト62が第3軸に沿って移動する過程で、第1カム63の第1傾斜面63aと、第2カム64の第2傾斜面64aとは、サイドフレーム201,202のガイドローラ24,25により押される。これに伴い、現像ローラ30を第1方向に交差する方向へ移動させることができる。
【0115】
<6.変形例>
以上に本開示の実施形態について説明した。しかしながら、本開示はこれに限るものではなく、上述した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0116】
上述の実施形態では、第1シャフト61を、第2位置から第1位置へ向けて加圧する弾性部材69が備えられていた。しかしながら、これに代えてまたは加えて、第2シャフト62を第4位置から第3位置へ向けて加圧する弾性部材が備えられていてもよい。
【0117】
上述の実施形態では、第1シャフト61を、第2位置から第1位置へ向けて加圧する弾性部材69が備えられていた。しかしながら、これに代えてまたは加えて、リンク機構65を第2状態から第1状態へ向けて加圧する弾性部材が備えられていてもよい。具体的には、弾性部材を、弾性部材の一端が第1リンク651に接続され、弾性部材の他端が筐体10に接続される捩りばねとしてもよい。
【0118】
上述の実施形態では、筐体10の第1方向の中央部に、第1リンク651、第2リンク652、および接続バー653を収容する凹部10Fが位置していたが、これに限らない。上述に代えて、凹部が、筐体10の第1方向の一方側寄り、あるいは筐体10の第1方向の他方側寄りに、位置していてもよい。
【0119】
上述の実施形態では、第1シャフト61の第1ガイド凹部61aの内壁面が、第1リンク651の回動範囲を規制していた。また、第2シャフト62の第2ガイド凹部62aの内壁面が、第2リンク652の回動範囲を規制していた。しかしながら、これに代えて、第1リンク651および/または第2リンク652に接触可能な規制板を凹部10F内に位置させて、規制板との接触により第1リンク651および第2リンク652の回動範囲を規制することにしてもよい。
【0120】
また、現像カートリッジの構成や、細部の形状については、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上述の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 現像カートリッジ
2 ドラムカートリッジ
9 画像形成装置本体
10 筐体
10A 容器
10B 蓋
10C 開口部
10D 第1ガイド溝
10E 第2ガイド溝
10F 凹部
11 第1外表面
12 第2外表面
13 第3外表面(外表面)
14 第4外表面
21 感光体ドラム
24 第1ガイドローラ(被接触部)
25 第2ガイドローラ(被接触部)
30 現像ローラ
31 現像ローラ本体
32 現像ローラシャフト
38 ハンドル
40 ギヤ部
41 カップリング
43 ギヤカバー
61 第1シャフト
61a 第1ガイド凹部
61b 第1ガイド傾斜面
62 第2シャフト
62a 第2ガイド凹部
62b 第2ガイド傾斜面
63 第1カム
63a 第1傾斜面
64 第2カム
64a 第2傾斜面
65 リンク機構
66 リング
67 リング
69 弾性部材
100 画像形成装置
101 本体フレーム
102 制御部
103 駆動シャフト
200 フレーム
201 サイドフレーム
201 第1サイドフレーム
202 第2サイドフレーム
240 外周面(被接触面)
250 外周面(被接触面)
411 締結穴
651 第1リンク
651a 第3貫通孔
652 第2リンク
652a 4貫通孔
653 接続バー
653a 第1貫通孔
653b 第2貫通孔
655 第1ネジ
656 第2ネジ
657 第1ボス
658 第2ボス

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13