(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】画像処理装置、情報処理装置、時刻適用方法、時刻適用プログラム、情報処理方法、情報処理プログラムおよび画像処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230725BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230725BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230725BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G06F3/12 373
B41J29/38 301
G03G21/00 388
H04N1/00 127A
H04N1/00 C
G06F3/12 303
G06F3/12 385
B41J29/38 801
H04N1/00 J
H04N1/00 L
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2019065012
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】大口 智也
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-026244(JP,A)
【文献】特開2009-116595(JP,A)
【文献】特開2003-260851(JP,A)
【文献】特開2018-202842(JP,A)
【文献】特開2010-271916(JP,A)
【文献】特開2007-278873(JP,A)
【文献】特開2004-255744(JP,A)
【文献】特開2001-325083(JP,A)
【文献】特開2013-006381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を印刷する印刷部及びシートから画像を読み取る読取部の少なくとも一つを含む画像処理部と、
外部装置と通信する通信部と、
時刻情報を生成する時計部と、
制御部と、を備え、
前記通信部は、ネットワークに接続されており、
前記制御部は、
前記外部装置から送信されるジョブを前記通信部に受信したことに応じて、前記画像処理部を制御して前記ジョブに係る画像処理を実行し、
前記外部装置から前記ジョブの送信に先行して送信される先行コマンドを前記通信部に受信したことに応じて、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し、
前記時計部が生成する時刻情報に係る時刻と時刻サーバから前記ネットワークを通して前記通信部に受信する時刻情報に係る時刻とが同期しているか否かを判断する同期判断処理を実行し、
前記同期判断処理にて同期していないと判断した場合、時刻を使用する時刻使用機能に前記先行コマンドから取得した前記時刻情報に基づく時刻を適用する時刻適用処理を実行し、
前記同期判断処理にて同期していると判断した場合、前記時刻適用処理を実行しない、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記先行コマンドには、前記先行コマンドに含まれる時刻情報に係る時刻と時刻サーバから前記外部装置に送信される時刻情報に係る時刻とが同期しているか否かを表す同期状態情報が含まれており、
前記制御部は、
前記先行コマンドを前記通信部に受信したことに応じて、前記先行コマンドに含まれる前記同期状態情報を取得して、取得した前記同期状態情報が同期していることを表す同期情報であるか同期していないことを表す非同期情報であるかを判断し、
前記同期状態情報が前記同期情報であると判断した場合、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し、
前記同期状態情報が前記非同期情報であると判断した場合、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得しない、画像処理装置。
【請求項3】
シートに画像を印刷する印刷部及びシートから画像を読み取る読取部の少なくとも一つを含む画像処理部と、
外部装置と通信する通信部と、
制御部と、を備え、
前記通信部は、前記外部装置から送信されるジョブと、前記外部装置から前記ジョブの送信に先行して送信される先行コマンドとを受信し、
前記先行コマンドには、前記先行コマンドに含まれる時刻情報に係る時刻と時刻サーバから前記外部装置に送信される時刻情報に係る時刻とが同期しているか否かを表す同期状態情報が含まれており、
前記制御部は、
前記外部装置から送信されるジョブを前記通信部に受信したことに応じて、前記画像処理部を制御して前記ジョブに係る画像処理を実行し、
前記外部装置から
前記先行コマンドを前記通信部に受信したことに応じて、前記先行コマンドに含まれる前記同期状態情報を取得して、取得した前記同期状態情報が同期していることを表す同期情報であるか同期していないことを表す非同期情報であるかを判断し、
前記同期状態情報が前記同期情報であると判断した場合、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得して、
時刻を使用する時刻使用機能に前記先行コマンドから取得した前記時刻情報に基づく時刻を適用する時刻適用処理を実行し、
前記同期状態情報が前記非同期情報であると判断した場合、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得しない、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記ジョブに係るログを生成するログ生成処理、をさらに実行し、
前記時刻使用機能は、前記時刻情報に基づく時刻を前記ログに付加する機能である、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
時刻情報を生成する時計部と、
時計部に電力を供給するバッテリと、をさらに備え、
前記制御部は、
前記時計部が生成する時刻情報を取得可能か取得不可能かを判断する取得判断処理を実行し、
前記取得判断処理にて取得不可能と判断した場合、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し、
前記取得判断処理にて取得可能と判断した場合、前記先行コマンドに含まれる時刻情報を取得しない、画像処理装置。
【請求項6】
画像処理を実行する画像処理装置と通信する通信部と、
前記画像処理装置における画像処理に係るジョブの送信指示を受け付ける受付部と、
時刻情報を生成する時計部と、
制御部と、を備え、
前記通信部は、ネットワークに接続されており、
前記制御部は、前記受付部が前記ジョブの送信指示を受け付けたことに応じて、
前記時計部が生成する時刻情報に係る時刻と時刻サーバから前記ネットワークを通して前記通信部に受信する時刻情報に係る時刻とが同期しているか否かを判断する同期判断処理を実行し、
前記ジョブに係る先行コマンドであって時刻情報を含む前記先行コマンドを生成する先行コマンド生成処理を実行し、
前記同期判断処理にて同期していると判断した場合、前記先行コマンドを前記通信部を介して前記画像処理装置に送信する先行コマンド送信処理を実行し、
前記先行コマンドの送信後に、前記ジョブを前記通信部を介して前記画像処理装置に送信するジョブ送信処理を実行し、
前記同期判断処理にて同期していないと判断した場合、前記先行コマンド送信処理を実行しない、情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記同期判断処理にて同期していないと判断した場合、
前記ジョブに係る非同期先行コマンドであって前記時刻情報を含まない前記非同期先行コマンドを生成する非同期先行コマンド生成処理と、
前記ジョブ送信処理に先行して、前記非同期先行コマンドを前記通信部を介して前記画像処理装置に送信する非同期先行コマンド送信処理と、をさらに実行する、情報処理装置。
【請求項8】
画像処理を実行する画像処理装置と通信する通信部と、
前記画像処理装置における画像処理に係るジョブの送信指示を受け付ける受付部と、
時刻情報を生成する時計部と、
制御部と、を備え、
前記通信部は、ネットワークに接続されており、
前記制御部は、前記受付部が前記ジョブの送信指示を受け付けたことに応じて、
前記時計部が生成する時刻情報に係る時刻と時刻サーバから前記ネットワークを通して前記通信部に受信する時刻情報に係る時刻とが同期しているか否かを判断する同期判断処理と、
前記ジョブに係る先行コマンドであって時刻情報を含む前記先行コマンドを生成する先行コマンド生成処理と、
前記先行コマンドを前記通信部を介して前記画像処理装置に送信する先行コマンド送信処理と、
前記先行コマンドの送信後に、前記ジョブを前記通信部を介して前記画像処理装置に送信するジョブ送信処理と、を実行し、
前記先行コマンド生成処理において、前記同期判断処理の判断結果の情報をさらに含む前記先行コマンドを生成する、情報処理装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記画像処理装置が前記通信部を介して通信可能に接続されているか否かを判断する接続判断処理、をさらに実行し、
前記接続判断処理にて通信可能に接続されていると判断した場合、前記先行コマンド送信処理を実行し、
前記接続判断処理にて通信可能に接続されていないと判断した場合、前記先行コマンド送信処理を実行しない、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、情報処理装置、画像処理装置における時刻適用方法、画像処理装置のコンピュータにインストールされる時刻適用プログラム、情報処理装置における情報処理方法、情報処理装置のコンピュータにインストールされる情報処理プログラム、および、画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷処理を実行するプリンタなどの画像処理装置がLAN(Local Area Network)に接続された環境では、たとえば、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)からLAN経由で画像処理装置に印刷ジョブが送信される。印刷ジョブが画像処理装置に受け付けられると、画像処理装置では、その印刷ジョブに係る印刷処理が実行されて、印刷ジョブに係る画像が用紙に印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像処理装置の機能には、印刷ジョブの実行日時やその印刷ジョブに係る画像のファイル名などを関連づけたログをメモリに保存する機能、クリーニング動作を定期的に実行する機能などがある。それらの機能のためには、正確な時刻の情報が必要とされる。しかし、画像処理装置において、RTC(Real Time Clock)を備えていなかったり、RTCを備えているがバックアップ用の電池の残量がなくなったりした場合、正確な時刻の情報が生成されず、時刻を使用する各種の機能を実行できないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、正確な時刻の情報が生成されない場合にも、時刻を使用する機能を実行できる、画像処理装置、情報処理装置、時刻適用方法、時刻適用プログラム、情報処理方法および画像処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る画像処理装置は、シートに画像を印刷する印刷部及びシートから画像を読み取る読取部の少なくとも一つを含む画像処理部と、外部装置と通信する通信部と、制御部と、を備え、制御部は、外部装置から送信されるジョブを通信部に受信したことに応じて、画像処理部を制御してジョブに係る画像処理を実行し、外部装置からジョブの送信に先行して送信される先行コマンドを通信部に受信したことに応じて、先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し、時刻を使用する時刻使用機能に先行コマンドから取得した時刻情報に基づく時刻を適用する時刻適用処理を実行する。
【0007】
この構成によれば、外部装置から画像処理装置へのジョブの送信に先行して、時刻情報を含む先行コマンドが外部装置から画像処理装置に送信される。画像処理装置では、先行コマンドを通信部に受信すると、制御部により、その先行コマンドに含まれる時刻情報が取得されて、その時刻情報に基づく時刻が時刻を使用する機能に適用される。これにより、正確な時刻の情報が生成されない場合にも、時刻を使用する時刻使用機能を実行することができる。
【0008】
この発明の他の局面に係る情報処理装置は、画像処理を実行する画像処理装置と通信する通信部と、画像処理装置における画像処理に係るジョブの送信指示を受け付ける受付部と、制御部と、を備え、制御部は、受付部がジョブの送信指示を受け付けたことに応じて、ジョブに係る先行コマンドであって時刻情報を含む先行コマンドを生成する先行コマンド生成処理と、先行コマンドを通信部を介して画像処理装置に送信する先行コマンド送信処理と、先行コマンドの送信後に、ジョブを通信部を介して画像処理装置に送信するジョブ送信処理と、を実行する。
【0009】
この情報処理装置と画像処理装置とを組み合わせることにより、次の画像処理システムを得ることができる。画像処理システムは、画像処理装置と、情報処理装置と、を含む画像処理システムであって、画像処理装置は、シートに画像を印刷する印刷部及びシートから画像を読み取る読取部の少なくとも一つを含む画像処理部と、第1通信部と、第1制御部と、を備え、情報処理装置は、画像処理装置における画像処理に係るジョブの送信指示を受け付ける受付部と、第1通信部と相互に通信可能に接続される第2通信部と、第2制御部と、を備え、第2制御部は、受付部がジョブの送信指示を受け付けたことに応じて、ジョブに係る先行コマンドであって時刻情報を含む先行コマンドを生成する先行コマンド生成処理と、先行コマンドを第2通信部を介して画像処理装置に向けて送信する先行コマンド送信処理と、先行コマンドの送信後に、ジョブを第2通信部を介して送信するジョブ送信処理と、を実行し、第1制御部は、情報処理装置から送信されるジョブを第1通信部に受信したことに応じて、画像処理部を制御してジョブに係る画像処理を実行し、情報処理装置からジョブの送信に先行して送信される先行コマンドを第1通信部に受信したことに応じて、先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し、時刻を使用する機能に先行コマンドから取得した時刻情報に基づく時刻を適用する。
【0010】
なお、本発明は、画像処理装置の形態で実現できるだけでなく、たとえば、画像処理装置で実行される時刻適用方法、および画像処理装置のコンピュータにインストールされるプログラムの形態で実現することもできる。
【0011】
また、本発明は、情報処理装置の形態で実施できるだけでなく、たとえば、情報処理装置で実行される情報処理方法、および情報処理装置のコンピュータにインストールされるプログラムの形態で実現することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正確な時刻の情報が生成されない場合にも、時刻を使用する機能を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】PCで実行されるジョブ送信時処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】PCからMFPに送信される先行コマンドおよび印刷データの内容を示す図である。
【
図4】MFPで実行されるログ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】他の実施形態に係るジョブ送信時処理を説明するためのフローチャートであり、ジョブ送信時処理の流れの一部を示す。
【
図6】他の実施形態に係るログ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
<画像処理システム>
図1に示される画像処理システム1は、MFP(Multi-Function Peripheral)2、PC(Personal Computer)3およびSNTP(Simple Network Time Protocol)サーバ4を含む。
【0016】
<MFP>
MFP2は、画像処理装置の一例であり、読取エンジン11(画像処理部、読取部の一例)、印刷エンジン12(画像処理部、印刷部の一例)、操作パネル13およびネットワークインターフェース(I/F)14を備えている。
【0017】
読取エンジン11は、原稿をイメージセンサで読み取って、原稿の画像データを生成する機構である。読取の方式は、コンタクトガラス上を通過する原稿を読み取る方式であってもよいし、コンタクトガラス上で静止した原稿を読み取る方式であってもよい。イメージセンサとしては、CCD(Charge Coupled Devices)、CIS(Contact Image Sensor)などを例示することができる。
【0018】
印刷エンジン12は、画像データに係る画像を用紙に形成する機構である。印刷の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよいし、サーマル方式であってもよい。
【0019】
操作パネル13は、ユーザが操作および視認可能に設けられている。操作パネル13には、ユーザにより操作される操作部および情報を表示する表示部を備えており、たとえば、タッチパネルで構成される。操作部の操作により各種の設定を行うことができ、その設定内容を表示部に表示することができる。
【0020】
ネットワークインターフェース14(通信部、第2通信部の一例)は、コンピュータネットワークを経由する通信のためのインターフェースである。
【0021】
また、MFP2は、CPU(Central Processing Unit)15、メモリ16およびRTC(Real Time Clock)17を備えている。読取エンジン11、印刷エンジン12、操作パネル13、ネットワークインターフェース14、CPU15、メモリ16およびRTC17は、バス18を介して、データ通信可能に接続されている。
【0022】
メモリ16には、フラッシュメモリやE2PROMなどのデータの書き換えが可能な不揮発性メモリおよびSDRAMなどの揮発性メモリが含まれる。不揮発性メモリには、各種の制御のための制御プログラムが記憶されており、CPU15(制御部、第1制御部の一例)により、その制御プログラムが実行される。揮発性メモリは、CPU15が制御プログラムを実行する際のワークエリアとして使用され、また、各種のデータを記憶するデータ記憶領域を提供する。
【0023】
RTC17は、時計機能のための集積回路であり、時刻情報を生成する時計部の一例である。RTC17には、バッテリ19が付随しており、RTC17は、MFP2の電源がオフである間もバッテリ19の電力でバックアップされて動作し続ける。
【0024】
<PC>
PC3は、ユーザにより操作される端末であり、MFP2から見て外部装置となる。PC3は、本体21(受付部の一例)と、本体21に接続されるディスプレイ22およびキーボード23などの周辺機器とを含む。本体21には、CPU24、メモリ25、RTC26およびネットワークインターフェース27が内蔵されている。
【0025】
メモリ25には、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびSDRAMなどの揮発性メモリが含まれる。不揮発性メモリには、OS(Operating System)および各種の制御のための制御プログラムなどが記憶されており、CPU24(制御部、第2制御部の一例)により、OSおよび制御プログラムが実行される。揮発性メモリには、PCの起動時に、不揮発性メモリから読み出されたOSが書き込まれる。また、揮発性メモリは、CPU24が制御プログラムを実行する際のワークエリアとして使用され、また、各種のデータを記憶するデータ記憶領域を提供する。
【0026】
RTC26は、時計機能のための集積回路であり、時刻情報を生成する時計部の一例である。RTC26には、バッテリ28が付随しており、RTC26は、PC3の電源がオフである間もバッテリ28の電力でバックアップされて動作し続ける。
【0027】
ネットワークインターフェース27(通信部、第2通信部の一例)は、コンピュータネットワークを経由する通信のためのインターフェースである。
【0028】
ユーザがPC3を操作することにより、PC3からコンピュータネットワークを経由してMFP2に、印刷ジョブなどのジョブを送信することができる。印刷ジョブは、MFP2において画像データに係る画像を用紙に印刷するジョブである。
【0029】
<サーバ>
SNTPサーバ4は、コンピュータネットワークに接続されているMFP2およびPC3などの各機器の時刻を合わせるプロトコルの下において、それらの機器に時刻情報を提供するサーバである。SNTPサーバ4に代えて、NTP(Network Time Protocol)サーバが画像処理システム1に含まれてもよい。
【0030】
<ジョブ送信時処理>
PC3では、CPU24により、
図2に示されるジョブ送信時処理が実行される。
【0031】
ジョブ送信時処理では、CPU24は、本体21が印刷指示を受け付けたか否かを判断する(S11)。印刷指示は、たとえば、ユーザがキーボード23やマウスを操作することにより入力され、本体21に受け付けられる。印刷指示の入力があるまで、CPU24は、ジョブ送信時処理を先に進めない(S11:NO)。
【0032】
CPU24は、本体21が印刷指示を受け付けたと判断すると(S11:YES)、先行コマンドに準備動作コマンドを付加する(S12)。先行コマンドは、MFP2へのジョブの送信に先行して送信されるコマンドである。準備動作コマンドは、MFP2にジョブに対する準備の開始を指示するコマンドである。
【0033】
また、CPU24は、RTC26が生成する時刻情報に係る時刻と、SNTPサーバ4からコンピュータネットワークを介してネットワークインターフェース27に受信する時刻情報に係る時刻とが同期している時計同期状態であるか否かを判断する(S13:同期判断処理の一例)。そして、CPU24は、時刻同期状態であると判断した場合(S13:YES)、先行コマンドに時刻情報を付加する(S14:先行コマンド生成処理の一例)。一方、CPU24は、時刻同期状態ではないと判断した場合(S13:NO)、つまりRTC26が生成する時刻情報に係る時刻とSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期していない場合、時刻情報を先行コマンドに付加しない。先行コマンドに時刻情報が付加される場合、
図3に示されるように、先行コマンドには、準備動作コマンドと時刻情報とが含まれる。
【0034】
その後、CPU24は、
図2に示されるように、メモリ25のデータ記憶領域に他のジョブが記憶されていないかどうかを確認する(S15)。CPU24は、メモリ25のデータ記憶領域に他のジョブが記憶されていないことを確認した場合(S15:YES)、MFP2とPC3との間が通信可能であるか否かを判断する(S16:接続判断処理の一例)。そして、CPU24は、MFP2とPC3との間での通信が可能であると判断した場合(S16:YES)、準備動作コマンドを含むが時刻情報を含まない先行コマンド(非同期先行コマンドの一例)、または、準備動作コマンドと時刻情報とを含む先行コマンドをネットワークインターフェース27からMFP2に向けて送信する(S17:先行コマンド送信処理の一例)。先行コマンドの送信後、CPU24は、印刷指示に係る印刷データを生成し(S18)、その生成した印刷データを含むジョブをネットワークインターフェース27からMFP2に向けて送信して(S19:ジョブ送信処理の一例)、ジョブ送信時処理を終了する。印刷データには、
図3に示されるように、印刷対象の画像データのデータ形式、画像データが印刷される用紙のサイズおよび種類、ならびに、画像データの圧縮形式などの情報が含まれる。
【0035】
一方、
図2に示されるように、メモリ25のデータ記憶領域に他のジョブが記憶されている場合(S15:NO)、準備動作コマンドを含む先行コマンド、または、準備動作コマンドと時刻情報とを含む先行コマンドを削除する(S20)。この場合、先行コマンドの削除により、先行コマンドが存在しないので、CPU24は、先行コマンドを送信せずに、印刷指示に係る印刷データを生成し(S18)、その生成した印刷データを含むジョブをネットワークインターフェース27からMFP2に向けて送信して(S19)、ジョブ送信時処理を終了する。
【0036】
<ログ生成処理>
MFP2では、CPU15により、
図4に示されるログ生成処理が実行される。
【0037】
ログ生成処理では、CPU15は、先行コマンドをネットワークインターフェース14に受信したか否かを判断する(S31)。CPU15が先行コマンドを受信したと判断するまで、CPU15は、ログ生成処理を先に進めない。
【0038】
PC3から送信される先行コマンドがネットワークを介してネットワークインターフェース14に受信され、CPU15は、先行コマンドをネットワークインターフェース14に受信したと判断すると(S31:YES)、RTC17が生成する時刻情報に係る時刻と、SNTPサーバ4からコンピュータネットワークを介してネットワークインターフェース14に受信する時刻情報に係る時刻とが同期している時計同期状態であるか否かを判断する(S32:同期判断処理の一例)。
【0039】
CPU15は、時刻同期状態であると判断した場合(S32:YES)、RTC17が生成する時刻情報を付加したログを生成して(S33:ログ生成処理の一例)、ログ生成処理を終了する。
【0040】
一方、CPU15は、時刻同期状態ではないと判断した場合(S33:NO)、つまりRTC17が生成する時刻情報に係る時刻とSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期していない場合、先行コマンドに時刻情報が含まれているか否かを判断する(S34)。先行コマンドに時刻情報が含まれている場合(S43:YES)、CPU15は、その先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し(S35)、CPU15は、その取得した時刻情報をログの生成に適用することを決定する(S36:時刻適用処理の一例)。そして、CPU15は、先行コマンドから取得した時刻情報を付加したログを生成して(S33)、ログ生成処理を終了する。生成されたログは、メモリ16に記憶される。
【0041】
<作用効果>
以上のように、PC3のRTC17が生成する時刻情報に係る時刻とPC3がSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期している時計同期状態では、PC3からMFP2へのジョブの送信に先行して、時刻情報を含む先行コマンドがPC3からMFP2に送信される。MFP2では、時刻情報を含む先行コマンドをネットワークインターフェース14に受信すると、CPU15により、その先行コマンドに含まれる時刻情報が取得されて、その時刻情報に基づく時刻が時刻を使用する時刻使用機能の一例であるログの生成に適用される。これにより、正確な時刻の情報が生成されない場合にも、時刻を付加したログの生成など、時刻を使用する時刻使用機能を実行することができる。
【0042】
<他の実施形態>
前述の実施形態では、RTC26が生成する時刻情報に係る時刻とSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期している時計同期状態である場合(
図2のS13:YES)、先行コマンドに時刻情報が付加され(S14)、時刻同期状態ではない場合(S13:NO)、時刻情報が先行コマンドに付加されないとした。
【0043】
これらのステップS13,S14の処理に代えて、
図5に示されるステップS101~S104の処理が実行されてもよい。すなわち、CPU24は、先行コマンドに準備動作コマンドを付加し(S12)、さらに、RTC26が生成する時刻情報を先行コマンドに付加する(S101)。その後、CPU24は、RTC26が生成する時刻情報に係る時刻とSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期している時計同期状態であるか否かを判断する(S102)。そして、CPU24は、時刻同期状態であると判断した場合(S102:YES)、時刻同期状態であることを表す同期情報を同期状態情報として先行コマンドに付加する(S103)。一方、CPU24は、時刻同期状態でないと判断した場合(S102:NO)、時刻同期状態でないことを表す非同期情報を同期状態情報として先行コマンドに付加する(S104)。ステップS101~S104の処理が実行される場合、PC3からMFP2に送信される先行コマンドには、準備動作コマンド、時刻情報および同期状態情報が含まれる。
【0044】
ステップS101~S104の処理が実行される場合、MFP2におけるログ生成処理では、CPU15は、RTC17が生成する時刻情報に係る時刻とSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期していないと判断した場合に(S33:NO)、先行コマンドに時刻情報が含まれているか否かを判断(S34)するのではなく、
図6に示されるように、先行コマンドに含まれる同期状態情報が同期情報であるか否かを判断する(S301)。そして、先行コマンドに含まれる同期状態情報が同期情報である場合(S301:YES)、先行コマンドに含まれる時刻情報を取得し(S35)、CPU15は、その取得した時刻情報をログの生成に適用することを決定する(S36)。
【0045】
図5に示されるジョブ送信時処理がPC3で実行され、
図6に示されるログ生成処理がMFP2で実行される場合にも、前述の実施形態の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0047】
たとえば、
図4に示されるログ生成処理では、RTC17が生成する時刻情報に係る時刻とSNTPサーバ4から受信する時刻情報に係る時刻とが同期していない場合(S33:NO)、先行コマンドに時刻情報が含まれているか否かが判断されるとしたが、RTC17から時刻情報が取得可能か取得不可能かが判断されて(取得判断処理の一例)、RTC17から時刻情報を取得可能な場合には、先行コマンドに時刻情報が含まれているか否かが判断されず、RTC17の故障などが原因で、RTC17から時刻情報を取得不可能な場合に、先行コマンドに時刻情報が含まれているか否かが判断される構成が採用されてもよい。
【0048】
また、時刻を使用する時刻使用機能は、ログの生成に限らず、時刻を使用する機能であればよく、たとえば、一定の時期が到来すると予め定められた部位をクリーニングする定期クリーニングの機能であってもよい。
【0049】
画像処理装置の一例として、MFP2を取り上げたが、画像処理装置は、画像データに係る画像を用紙に印刷する印刷機能を単機能で有する印刷装置、原稿を読み取って画像データを生成する読取機能を単機能で有する読取装置であってもよい。
【0050】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:画像処理システム
2:MFP
4:SNTPサーバ
11:読取エンジン
12:印刷エンジン
14,27:ネットワークインターフェース
15,24:CPU
19,28:バッテリ
21:本体