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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20230725BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20230725BHJP
【FI】
A01G7/00 603
G06Q50/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019072198
(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2020167967
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】下須賀 涼
(72)【発明者】
【氏名】柳川 敏治
(72)【発明者】
【氏名】江木 和泉
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-184673(JP,A)
【文献】特開2012-090557(JP,A)
【文献】特開2018-161058(JP,A)
【文献】特開平10-323127(JP,A)
【文献】実開平05-017505(JP,U)
【文献】特開2017-046639(JP,A)
【文献】特開平09-224481(JP,A)
【文献】特開2019-037225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の育成状況を診断する診断装置であって、
所定の位置から所定の時間ごとに前記植物の植生場所をそれぞれ撮像した、複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
取得された複数の撮像画像ごとに緑視率を算出する緑視率算出部と、
算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える変化を検出する緑視率変化検出部と、
所定のしきい値を超える変化の検出を外部に報知する報知部と、
前記植物の培養液槽の電気伝導率の、0.7から0.9mS/cmの範囲に設定される電気伝導率変化値を超える変化を検出する子葉変化検出部と、
を備え、
前記報知部は、培養液槽の電気伝導率が設定された前記電気伝導率変化値を超える変化をしたことを外部に報知し、
前記電気伝導率変化値は、前記植物の葉色が薄い場合には、前記植物の葉色が濃い場合よりも、小さい値に設定される、
診断装置。
【請求項2】
前記緑視率変化検出部は、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える減少を検出する請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
算出された緑視率の変化に基づいて、予め定められた緑視率の変化モデルから、将来的な緑視率の変化を予想する緑視率予想部をさらに備え、
前記報知部は、予想された緑視率の変化を外部に報知する請求項1又は2に記載の診断装置。
【請求項4】
取得された複数の撮像画像ごとに、緑領域の位置を抽出する領域抽出部と、
抽出された緑領域のそれぞれにおける、所定のしきい値を超える経時的な縮小量を検出する領域変化検出部と、
をさらに備え、
前記報知部は、所定のしきい値を超える経時的な縮小の検出を外部に報知する請求項1から3のいずれかに記載の診断装置。
【請求項5】
取得された複数の撮像画像ごとに、予め選択された子葉の変化の所定のしきい値を超える経時的な変化を検出する子葉変化検出部をさらに備え、
前記報知部は、所定のしきい値を超える子葉の変化を外部に報知する請求項1から4のいずれかに記載の診断装置。
【請求項6】
子葉の変化に基づいて、予め定められた子葉の変化モデルから、将来的な子葉の変化を予想する子葉変化予測部をさらに備え、
前記報知部は、予想された子葉の変化を外部に報知する請求項5に記載の診断装置。
【請求項7】
複数の前記撮像画像に含まれる経時変化しない被写体の画素に基づいて、複数の前記撮像画像の色補正を実行する補正実行部をさらに備える請求項1から6のいずれかに記載の診断装置。
【請求項8】
コンピュータを、緑化植物の育成状況を診断する診断装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
所定の位置から所定の時間ごとに前記緑化植物を含む景観をそれぞれ撮像した、複数の撮像画像を取得する画像取得部、
取得された複数の撮像画像ごとに緑視率を算出する緑視率算出部、
算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える変化を検出する緑視率変化検出部、
所定のしきい値を超える変化の検出を外部に報知する報知部、
前記緑化植物の培養液槽の電気伝導率の、0.7から0.9mS/cmの範囲に設定される電気伝導率変化値を超える変化を検出する子葉変化検出部、
として機能させ、
前記報知部は、培養液槽の電気伝導率が設定された前記電気伝導率変化値を超える変化をしたことを外部に報知し、
前記電気伝導率変化値は、前記緑化植物の葉色が薄い場合には、前記緑化植物の葉色が濃い場合よりも、小さい値に設定される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、都市緑化等を目的として植物の植栽や配置が行われている。このような植物の育成状態は、現状、農業や園芸業の熟練者による視認、触診等によって管理されるのが一般的である。熟練者が植栽の全てを確認することから、植物の育成管理には非常に手間がかかっている。
【0003】
そこで、手間を軽減するための手法が試みられている。例えば、植物を撮像した画像から、植物の育成状態を自動的に判断することが試みられている。一例として、植物を撮像した画像に基づいて、植物の情報を取得するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-125705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、植物を撮像した画像データから、植物の葉の色に基づいて植物の情報を取得している。これにより、植物の育成状況を容易に把握することができる。一方で、植物の育成状況には、植物の若さや個体ごとの差によってばらつきが生じることがあり得る。そのため、特許文献1に記載のシステムのように、単に葉の色を用いるのみでは、育成状況が悪いとまでは言えないことがある。そこで、植物ごとのばらつきに影響を受けにくいシステムが提供されることが好適である。
【0006】
本発明は、植物ごとのばらつきに影響を受けにくい診断装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、植物の育成状況を診断する診断装置であって、所定の位置から所定の時間ごとに前記植物の植生場所をそれぞれ撮像した、複数の撮像画像を取得する画像取得部と、取得された複数の撮像画像ごとに緑視率を算出する緑視率算出部と、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える変化を検出する緑視率変化検出部と、所定のしきい値を超える変化の検出を外部に報知する報知部と、を備える診断装置に関する。
【0008】
また、前記緑視率変化検出部は、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える減少を検出するのが好ましい。
【0009】
また、診断装置は、算出された緑視率の変化に基づいて、予め定められた緑視率の変化モデルから、将来的な緑視率の変化を予想する緑視率予想部をさらに備え、前記報知部は、予想された緑視率の変化を外部に報知するのが好ましい。
【0010】
また、診断装置は、取得された複数の撮像画像ごとに、緑領域の位置を抽出する領域抽出部と、抽出された緑領域のそれぞれにおける、所定のしきい値を超える経時的な縮小量を検出する領域変化検出部と、をさらに備え、前記報知部は、所定のしきい値を超える経時的な縮小の検出を外部に報知するのが好ましい。
【0011】
また、診断装置は、取得された複数の撮像画像ごとに、予め選択された子葉の変化の所定のしきい値を超える経時的な変化を検出する子葉変化検出部をさらに備え、前記報知部は、所定のしきい値を超える子葉の変化を外部に報知するのが好ましい。
【0012】
また、診断装置は、子葉の変化に基づいて、予め定められた子葉の変化モデルから、将来的な子葉の変化を予想する子葉変化予測部をさらに備え、前記報知部は、予想された子葉の変化を外部に報知するのが好ましい。
【0013】
また、診断装置は、複数の前記撮像画像に含まれる経時変化しない被写体の画素に基づいて、複数の前記撮像画像の色補正を実行する補正実行部をさらに備えるのが好ましい。
【0014】
また、本発明は、コンピュータを、緑化植物の育成状況を診断する診断装置として機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、所定の位置から所定の時間ごとに前記緑化植物を含む景観をそれぞれ撮像した、複数の撮像画像を取得する画像取得部、取得された複数の撮像画像ごとに緑視率を算出する緑視率算出部、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える変化を検出する緑視率変化検出部、所定のしきい値を超える変化の検出を外部に報知する報知部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、植物ごとのばらつきに影響を受けにくい診断装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る診断装置を示す概略図である。
図2】一実施形態の診断装置の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態の診断装置において、緑化植物を診断する流れを示すフローチャートである。
図4】一実施形態の診断装置において、緑視率の変化を検出する流れを示すフローチャートである。
図5】一実施形態の診断装置において、緑化植物の領域の変化を検出する流れを示すフローチャートである。
図6】一実施形態の診断装置において、子葉の変化を検出する流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る診断装置1及びプログラムについて、図1から図6を参照して説明する。
まず、診断装置1を説明する前に、診断装置1の診断対象である植物について説明する。
【0018】
植物は、一例として、都市開発等で街中に植栽される緑化植物、ビルの壁面に植栽される緑化植物、屋内に配置される観葉植物等である。植物は、成長に応じて様々に変化する。植物は、例えば、発育に応じて濃い緑に子葉の色を変えたり、子葉の大きさを変えたりする。これにより、植物は、植生領域を徐々に増やしながら成長する。一方、植物の植生状況に好ましくない変化がある場合、植物は、植生領域を徐々に減らしていく。本実施形態に係る診断装置1は、このような植物の変化に基づいて、植物の育成状況を判断する装置である。
【0019】
特に、本実施形態に係る診断装置1は、図1に示すように、撮像装置100によって、所定の位置から所定の時間ごとに撮像された撮像画像に含まれる緑視率の経時的な変化(減少)に基づいて、植物の育成状況を診断する。ここで、「緑視率」とは、撮像画像に含まれる自然の緑の割合をいう。また、本実施形態に係る診断装置1は、撮像画像に含まれる緑領域の経時的な変化(減少)に基づいて、植物の育成状況を診断する。また、本実施形態に係る診断装置1は、植物の予め選択された子葉の経時的な変化に基づいて、植物の育成状況を診断する。
【0020】
診断装置1は、例えば、所定の位置に設置され、所定の位置から植物の植生場所Gを撮像する撮像装置100に接続される。診断装置1は、撮像装置100によって、所定の時間ごとに撮像された複数の撮像画像から、植物の状況を判断する装置である。また、診断装置1は、判断の結果、報知する必要(異常がある)場合に、外部に報知する装置である。診断装置1は、図2に示すように、画像取得部11と、画像格納部12と、補正実行部13と、緑視率算出部14と、しきい値格納部15と、緑視率変化検出部16と、緑視率予想部17と、を備える。また、診断装置1は、領域抽出部18と、領域変化検出部19と、を備える。また、診断装置1は、子葉変化検出部20と、子葉変化予測部21と、報知部22と、表示部23と、を備える。
【0021】
画像取得部11は、例えば、CPUが動作することで実現される。画像取得部11は、例えば、撮像装置100によって取得された撮像画像を取得する。具体的には、画像取得部11は、所定の位置から所定の時間ごとに植物の植生場所Gをそれぞれ撮像した、複数の撮像画像を取得する。
【0022】
画像格納部12は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。画像格納部12は、画像取得部11によって取得された撮像画像を格納する。
【0023】
補正実行部13は、例えば、CPUが動作することによって実現される。補正実行部13は、複数の撮像画像に含まれる経時変化しない被写体の画素に基づいて、複数の撮像画像の色補正を実行する。補正実行部13は、例えば、1つの撮像画像に含まれる人工物を示す画素の色に、他の撮像画像に含まれる、経時的に変化しない人工物を示す画素の色を補正する。具体的には、補正実行部13は、太陽光の照射量の変化、屋内の照明の交換による色味の変化等を補正する。補正実行部13は、補正後の撮像画像を画像格納部12に格納する。
【0024】
緑視率算出部14は、例えば、CPUが動作することにより実現される。緑視率算出部14は、取得された複数の撮像画像ごとに緑視率を算出する。緑視率算出部14は、例えば、画像格納部12に格納された複数の撮像画像を読み出す。緑視率算出部14は、複数の撮像画像のそれぞれの緑視率を算出する。
【0025】
しきい値格納部15は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。しきい値格納部15は、経時的な緑視率の変化量に対して、許容することができる許容量を示すしきい値を格納する。また、しきい値格納部15は、緑の画素で構成される領域に対して、許容することができるその減少量を示すしきい値を格納する。また、しきい値格納部15は、子葉の変化量について、許容することができるしきい値を格納する。
【0026】
緑視率変化検出部16は、例えば、CPUが動作することにより実現される。緑視率変化検出部16は、しきい値格納部15に格納されているしきい値を読み出す。緑視率変化検出部16は、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える変化を検出する。本実施形態において、緑視率変化検出部16は、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える減少を検出する。即ち、緑視率変化検出部16は、所定のしきい値を超える植物の減少を検出する。
【0027】
緑視率予想部17は、例えば、CPUが動作することにより実現される。緑視率予想部17は、算出された緑視率の変化に基づいて、予め定められた緑汁の変化モデルから、将来的な緑視率の変化を予想する。緑視率予想部17は、例えば、緑視率の変化に基づいたその後の推移を学習モデルにより機械学習することで、将来的な緑視率の変化を予想する。
【0028】
領域抽出部18は、例えば、CPUが動作することにより実現される。領域抽出部18は、取得された複数の撮像画像ごとに、緑領域の位置を抽出する。領域抽出部18は、例えば、取得された複数の撮像画像ごとに、緑の画素で構成される領域を複数抽出する。
【0029】
領域変化検出部19は、例えば、CPUが動作することにより実現される、領域変化検出部19は、抽出された緑領域のそれぞれにおける、所定のしきい値を超える経時的な縮小を検出する。即ち、領域変化検出部19は、部分的な領域の植物に関する、所定のしきい値以上の減少を検出する。
【0030】
子葉変化検出部20は、例えば、CPUが動作することにより実現される。子葉変化検出部20は、取得された複数の撮像画像ごとに、予め選択された子葉の変化の所定のしきい値を超える経時的な変化を検出する。子葉変化検出部20は、例えば、1つの植物の上部、中部、下部のそれぞれの部分から一枚ずつ子葉を選択する。子葉変化検出部20は、選択された子葉の経時的な緑の色濃度、葉の艶、及び葉の大きさの少なくとも1つの所定のしきい値を超える変化を検出する。
【0031】
子葉変化予測部21は、例えば、CPUが動作することにより実現される。子葉変化予測部21は、子葉の変化に基づいて、予め定められた子葉の変化のモデルから、将来的な子葉の変化を予想する。子葉変化予測部21は、変化のモデルとして、例えば、葉の色合い(濃、やや濃、普通、やや薄、薄)と斑の量(なし、少ない、やや少ない、普通、やや多い、多い)とをクラス分けして、それぞれのクラスの標本データを機械学習した結果を用いて、将来的な子葉の変化を予測する。具体的には、子葉変化予測部21は、現在の状態に基づいてクラス分けされた子葉について、それぞれのクラスの結果に基づいて、将来的な子葉の変化を予想する。
【0032】
報知部22は、例えば、CPUが動作することにより実現される。報知部22は、所定のしきい値を超える変化の検出を外部に報知する。報知部22は、例えば、所定のしきい値を超える緑視率の減少の検出を外部に報知する。本実施形態において、報知部22は、例えば、表示部23に所定のしきい値を超える緑視率の減少を表示させる。また、報知部22は、予想された緑視率の変化を外部に報知する。本実施形態において、報知部22は、例えば、表示部23に予想された緑視率の変化を表示させる。また、報知部22は、所定のしきい値を超える経時的な縮小の検出を外部に報知する。本実施形態において、報知部22は、例えば、表示部23に所定のしきい値を超える経時的な縮小の検出を表示させる。また、報知部22は、所定のしきい値を超える子葉の変化を外部に報知する。本実施形態において、報知部22は、例えば、表示部23に所定のしきい値を超える子葉の変化を表示させる。
【0033】
次に、診断装置1の動作の流れについて、図3から図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、図3に示すように、画像取得部11は、撮像装置100から画像を取得する(ステップS1)。画像取得部11は、取得した画像を画像格納部12に格納する。画像取得部11が1枚目の画像を取得した場合(ステップS2 NO)、処理は、ステップS1に戻る。一方、画像取得部11が2枚目以降の画像を取得した場合(ステップS2 YES)、処理は、ステップS3に進む。
【0034】
ステップS3において、補正実行部13は、経時変化しない被写体の画素に基づいて、複数の撮像画像の色補正を実行する。補正実行部13は、既に格納されている撮像画像に代えて、色補正した撮像画像を画像格納部12に格納する。
【0035】
次いで、ステップS4において、緑視率の変化が検出される。次いで、ステップS5において、領域の変化が検出される。次いで、ステップS6において、子葉の変化が検出される。緑視率の変化、領域の変化、及び子葉の変化の流れについては、後述する。
【0036】
次いで、緑視率予想部17は、将来的な緑視率の変化を予想する(ステップS7)。次いで、子葉変化予測部21は、将来的な子葉の変化を予想する(ステップS8)。次いで、報知部22は、将来的な緑視率の変化及び使用の変化について、表示部23を用いて報知する(ステップS9)。
【0037】
次に、緑視率の変化を検出する流れについて、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、緑視率算出部14は、それぞれの撮像画像の緑視率を算出する(ステップS41)。次いで、緑視率変化検出部16は、緑視率に関するしきい値をしきい値格納部15から読み出す。緑視率変化検出部16は、緑視率の変化(減少)がしきい値を超える場合を検出する(ステップS42)。
【0038】
緑視率の変化がしきい値を超える場合(ステップS42 YES)、報知部22は、しきい値を超える緑視率の変化があることを報知する(ステップS43)。一方、緑視率の変化がしきい値を超えない場合(ステップS42 NO)、報知部22は、報知しない。
【0039】
次に、緑領域の変化を検出する流れについて、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、領域抽出部18は、それぞれの撮像画像の緑領域を抽出する(ステップS51)。次いで、領域抽出部18は、緑領域に関するしきい値をしきい値格納部15から読み出す。領域変化検出部19は、緑領域の変化(減少)がしきい値を超える場合を検出する(ステップS52)。
【0040】
緑領域の変化がしきい値を超える場合(ステップS52 YES)、報知部22は、しきい値を超える緑領域の変化があることを報知する(ステップS53)。一方、緑領域の変化がしきい値を超えない場合(ステップS52 NO)、報知部22は、報知しない。
【0041】
次に、子葉の変化を検出する流れについて、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、子葉変化検出部20は、それぞれの撮像画像に含まれる共通の植物の子葉を選択する(ステップS61)。子葉変化検出部20は、例えば、入力部(図示せず)からの入力に基づいて、子葉を選択する。次いで、子葉変化検出部20は、子葉の変化に関するしきい値をしきい値格納部15から読み出す。子葉変化検出部20は、子葉の変化がしきい値を超える場合(ステップS62 YES)、報知部22は、しきい値を超える緑領域の変化があることを報知する(ステップS63)。一方、子葉の変化がしきい値を超えない場合(ステップS62 NO)、報知部22は、報知しない。
【0042】
以上の本実施形態の診断装置1によれば、以下の効果を奏する。
(1)植物の育成状況を診断する診断装置1であって、所定の位置から所定の時間ごとに植物の植生場所Gをそれぞれ撮像した、複数の撮像画像を取得する画像取得部11と、取得された複数の撮像画像ごとに緑視率を算出する緑視率算出部14と、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える変化を検出する緑視率変化検出部16と、所定のしきい値を超える変化の検出を外部に報知する報知部22と、を備えるようにした。これにより、撮像画像の全体の緑視率に基づいて植物の育成状況を判断することができるので、植物ごとのばらつきに影響されず、全体の育成状況を判断することができる。したがって、育成状況の判断の精度をより高めることができる。
【0043】
(2)緑視率変化検出部16を、算出された緑視率の経時的な変化量において、所定のしきい値を超える減少を検出するように構成した。これにより、緑視率の減少を検出することができるので、植物の育成状況について、改善を促すことができる。
【0044】
(3)診断装置1は、算出された緑視率の変化に基づいて、予め定められた緑視率の変化モデルから、将来的な緑視率の変化を予想する緑視率予想部17をさらに備え、報知部22を、予想された緑視率の変化を外部に報知するようにした。これにより、過去の緑視率だけでなく、将来的な緑視率についても報知することができる。
【0045】
(4)診断装置1は、取得された複数の撮像画像ごとに、緑領域の位置を抽出する領域抽出部18と、抽出された緑領域のそれぞれにおける、所定のしきい値を超える経時的な縮小量を検出する領域変化検出部19と、をさらに備え、報知部22を、所定のしきい値を超える経時的な縮小の検出を外部に報知するようにした。これにより、緑視率に変化が無い又は増えている場合であっても、部分的な植物の育成状況を改善する必要性を報知することができる。
【0046】
(5)診断装置1は、取得された複数の撮像画像ごとに、予め選択された子葉の変化の所定のしきい値を超える経時的な変化を検出する子葉変化検出部20をさらに備え、報知部22を、所定のしきい値を超える子葉の変化を外部に報知するようにした。これにより、植物個々の大きな変化を検出することができるので、より精度よく育成状況を診断することができる。
【0047】
(6)診断装置1は、子葉の変化に基づいて、予め定められた子葉の変化モデルから、将来的な子葉の変化を予想する子葉変化予測部21をさらに備え、報知部22を、予想された子葉の変化を外部に報知するようにした。これにより、過去の子葉の変化だけでなく、将来的な子葉の変化についても報知することができる。
【0048】
以上、本発明の診断装置1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、緑視率の変化、緑領域の変化、及び子葉の変化を検出するようにしたが、緑視率の変化以外は、選択的に変化を検出してもよい。これにより、必要な変化のみを報知させることができる。したがって、報知の内容をシンプルにすることができる。
【0049】
また、上記実施形態において、緑視率、緑領域、及び子葉の変化について、時間的に隣り合う撮像画像間の変化だけでなく、様々なバリエーションを考えることができる。例えば、最初の撮像画像からの変化が所定のしきい値を超える場合に、報知するようにしてもよい。また、最も高い(良い)値からの変化が所定のしきい値を超える場合に、報知するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態において、子葉変化検出部20は、植物の培地の水分量に基づいて、所定のしきい値を超える変化を検出してもよい。例えば、子葉変化検出部20は、pF値で表される土壌水分が所定のしきい値を超える変化(土壌の乾燥)を検出してもよい。一例として、子葉変化検出部20は、pF値が2.0を超える変化を検出してもよい。報知部22は、土壌水部が所定のしきい値を超えたことを外部に報知してもよい。なお、最適なpF値は、植物によって異なる。そこで、子葉変化検出部20は、所定のしきい値を超える変化の検出について、植物によって異なるしきい値で検出してもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、子葉変化検出部20は、植物の培養液槽の養分濃度に基づいて、所定のしきい値を超える変化を検出してもよい。例えば、子葉変化検出部20は、培養液槽のEC(電気伝導率)について、所定のしきい値を超える変化を検出してもよい。一例として、子葉変化検出部20は、ECについて、0.7から0.9mS/cmの範囲を超える変化(又は0.4から2.0mS/cmの範囲を超える変化)を検出してもよい。報知部22は、養分濃度が所定のしきい値を超えたことを外部に報知してもよい。なお、最適な養分濃度は、気温等の環境や植物の様子(伸び具合や葉色)によっても異なる。そこで、最適な養分濃度は、状況に応じて変化されてもよい。例えば、植物が良く生育している場合には、養分濃度(肥料濃度)のしきい値を高く設定してもよい。また、例えば、植物の生育が止まっている場合には、養分濃度(肥料濃度)のしきい値を低く設定してもよい。また、例えば、植物の葉色が薄い場合には、養分濃度(肥料濃度)のしきい値を高く設定してもよい。
【0052】
以上説明した実施形態の診断装置1の機能の全部又は一部は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、プロセッサがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。ハードウェアで構成する場合、診断装置1の機能の一部又は全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0053】
診断装置1の機能の全部又は一部をソフトウェアで構成する場合、診断装置1の動作の全部又は一部を記述したプログラムを記憶した、ハードディスク、ROM等の記憶部、演算に必要なデータを記憶するDRAM、CPU、及び各部を接続するバスで構成されたコンピュータにおいて、演算に必要な情報をDRAMに記憶し、CPUで当該プログラムを動作させることで実現することができる。
【0054】
これらのプログラムは、様々なタイプのコンピュータ可読媒体(computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。コンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。コンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory))を含む。
また、これらのプログラムは、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい
【符号の説明】
【0055】
1 診断装置
11 画像取得部
13 補正実行部
14 緑視率算出部
16 緑視率変化検出部
17 緑視率予想部
18 領域抽出部
19 領域変化検出部
20 子葉変化検出部
21 子葉変化予測部
22 報知部
G 植生場所
図1
図2
図3
図4
図5
図6