(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】雌コネクタ及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/193 20060101AFI20230725BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H01R13/193
H01R13/42 F
(21)【出願番号】P 2019100111
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-310111(JP,A)
【文献】特開2002-367701(JP,A)
【文献】特開2002-280133(JP,A)
【文献】特開2004-178931(JP,A)
【文献】特開2014-072168(JP,A)
【文献】特開2011-108595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/193
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子金具と接続する雌端子金具と、
前記雌端子金具を収容する雌側ハウジングと、
前記雌端子金具を変形させる端子変形位置と、前記雌端子金具から解離する解除位置との間で変位可能な作動部材とを備えており、
前記雌端子金具は、前記雄端子金具と弾性的に接触する弾性接触片を有し、
前記作動部材は、前記端子変形位置において、前記弾性接触片を前記雄端子金具から遠ざかるように弾性変形させ、
前記作動部材が前記端子変形位置にある状態では、前記弾性接触片が前記作動部材を前記解除位置へ変位させる方向へ弾性的に押すようになっており、
前記雌側ハウジングには、前記作動部材を前記端子変形位置に保持する保持位置と、前記作動部材から解離する保持解除位置との間で変位可能なストッパが設けられ、
前記ストッパの前記保持位置から前記保持解除位置への変位方向は、前記作動部材の前記端子変形位置から前記解除位置への変位方向と交差する方向である雌コネクタ。
【請求項2】
前記雌側ハウジングは仮係止部を有し、
前記作動部材は、前記仮係止部に係止されることで、前記雌側ハウジングに対する前記雌端子金具の挿抜を許容する仮係止位置に保持されるものであり、
前記作動部材は、前記仮係止位置において、前記ストッパに接触し前記ストッパが前記雌側ハウジングから離脱することを規制する請求項1に記載の雌コネクタ。
【請求項3】
前記作動部材は、前記解除位置へ変位したときに、前記雌側ハウジングに挿入された前記雌端子金具を抜止めする解除位置抜止部を有する請求項
1又は請求項2に記載の雌コネクタ。
【請求項4】
前記作動部材は、前記端子変形位置へ変位したときに、前記雌側ハウジングに挿入した前記雌端子金具を抜止めする端子変形位置抜止部を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の雌コネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の雌コネクタと、
前記雄端子金具を収容し、前記雌側ハウジングと嵌合する雄側ハウジングとを備え、
前記雄側ハウジングは、前記雄側ハウジングと前記雌側ハウジングとの嵌合過程において、前記ストッパを前記保持位置から前記保持解除位置へ押し動かす保持解除部を有しているコネクタ。
【請求項6】
前記雄側ハウジングは、前記雌側ハウジングを包囲するフード部を有し、
前記作動部材は、前記フード部の内面に突き当たることで前記解除位置に保持される請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記フード部の内面には段差状の離脱規制部が形成されており、
前記解除位置の前記作動部材が前記離脱規制部に引っ掛かることにより、前記雌側ハウジングが前記フード部から離脱することを規制される請求項6に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雌コネクタ及びコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、雌ハウジングに取り付けた雌端子と、雄ハウジングに取り付けた雄端子とを有するコネクタが開示されている。雌側端子の箱部内には、弾性変形可能な接点バネが収容され、雄端子はタブを有している。雌ハウジングと雄ハウジングを嵌合すると、タブが、箱部内に挿入されて接点バネを弾性変形させるので、接点バネの弾性復元力に起因する弾力により、雌端子と雄端子が所定の接触圧を持って接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雄端子のタブが接点バネを弾性変形させるときには、接点バネの弾性復元力に起因する摩擦抵抗が生じ、この摩擦抵抗は、雌ハウジングと雄ハウジングの嵌合抵抗となる。嵌合抵抗は、雌端子と雄端子の極数が多くなるほど増大する。この対策として、多極のコネクタでは、回動タイプのレバーを用いた倍力機構が採用されている。しかし、回動タイプのレバーを用いると、レバーの分だけコネクタが大型化するという問題を生じる。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、雌側ハウジングと雄側ハウジングの嵌合抵抗を減少させる構造の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示の雌コネクタは、
雄端子金具と接続する雌端子金具と、
前記雌端子金具を収容する雌側ハウジングと、
前記雌端子金具を変形させる端子変形位置と、前記雌端子金具から解離する解除位置との間で変位可能な作動部材とを備えており、
前記雌端子金具は、前記雄端子金具と弾性的に接触する弾性接触片を有し、
前記作動部材は、前記端子変形位置において、前記弾性接触片を前記雄端子金具から遠ざかるように弾性変形させる。
第2の開示のコネクタは、
第1の開示の雌コネクタと、
前記雄端子金具を収容し、前記雌側ハウジングと嵌合する雄側ハウジングとを備え、
前記雄側ハウジングは、前記雄側ハウジングと前記雌側ハウジングとの嵌合過程において、ストッパを保持位置から保持解除位置へ押し動かす保持解除部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】雌側ハウジングに取り付けたリテーナがストッパによって端子変形位置に保持されている状態をあらわす正断面図である。
【
図3】雌側ハウジングにストッパを取り付けた状態をあらわす側断面図である。
【
図4】リテーナによってストッパを保持解除位置に保持した状態をあらわす側断面図である。
【
図5】リテーナを仮係止位置に保持し、雌側ハウジングに雌端子金具を挿入した状態をあらわす側断面図である。
【
図6】リテーナを端子変形位置に変位させた状態をあらわす側断面図である。
【
図7】ストッパを保持位置へ変位させ、リテーナを端子変形位置に保持した状態をあらわす側断面図である。
【
図8】雌コネクタと雄コネクタが嵌合し、ストッパが保持解除位置へ変位した状態をあらわす側断面図である。
【
図9】雌コネクタと雄コネクタが嵌合し、リテーナが解除位置へ変位した状態をあらわす側断面図である。
【
図10】雌コネクタと雄コネクタが嵌合し、リテーナが解除位置から端子変形位置側へ変位して離脱規制部から外れた状態をあらわす側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
第1の開示の雌コネクタは、
(1)雄端子金具と接続する雌端子金具と、
前記雌端子金具を収容する雌側ハウジングと、
前記雌端子金具を変形させる端子変形位置と、前記雌端子金具から解離する解除位置との間で変位可能な作動部材とを備えており、
前記雌端子金具は、前記雄端子金具と弾性的に接触する弾性接触片を有し、
前記作動部材は、前記端子変形位置において、前記弾性接触片を前記雄端子金具から遠ざかるように弾性変形させる。
【0010】
第1の開示の構成によれば、雌端子金具と雄端子金具を接続する際には、作動部材を端子変形位置へ変位させ、弾性接触片を雄端子金具から遠ざかるように弾性変形させておく。このようにすると、雌端子金具と雄端子金具の接続過程で、雄端子金具と弾性接触片との間における摺動抵抗の発生を回避でき、若しくは雄端子金具と弾性接触片との間に生じる摺動抵抗を低減できる。雌端子金具と雄端子金具を接続した後は、作動部材を解除位置へ変位させ、弾性接触片を弾性変形状態から解放すると、弾性接触片が雄端子金具に対して弾性的に接触する。第1の開示の雌コネクタは、雌端子金具と雄端子金具の極数が多くても、レバーによる倍力機構を用いることなく小さい操作力で雌端子金具と雄端子金具の接続を行うことができる。第1の開示の雌コネクタによれば、レバーが不要となるため、小型化を実現できる。
【0011】
(2)前記作動部材が前記端子変形位置にある状態では、前記弾性接触片が前記作動部材を前記解除位置へ変位させる方向へ弾性的に押すようになっており、前記雌側ハウジングには、前記作動部材を前記端子変形位置に保持する保持位置と、前記作動部材から解離する保持解除位置との間で変位可能なストッパが設けられ、前記ストッパの前記保持位置から前記保持解除位置への変位方向は、前記作動部材の前記端子変形位置から前記解除位置への変位方向と交差する方向であることが好ましい。
作動部材を端子変形位置に保持しているストッパの変位方向は、作動部材が端子変形位置から解除位置へ変位する方向に対して交差する方向である。したがって、ストッパが、弾性接触片の押す力に負けて作動部材を解除位置へ変位させてしまうおそれはない。
【0012】
(3)(2)において、前記雌側ハウジングは仮係止部を有し、前記作動部材は、前記仮係止部に係止されることで、前記雌側ハウジングに対する前記雌端子金具の挿抜を許容する仮係止位置に保持されるものであり、前記作動部材は、前記仮係止位置において、前記ストッパに接触し前記ストッパが前記雌側ハウジングから離脱することを規制する。
この構成によれば、雌側ハウジングにストッパと作動部材を取り付けた状態に保持することができる。
【0013】
(4)前記作動部材は、前記解除位置へ変位したときに、前記雌側ハウジングに挿入された前記雌端子金具を抜止めする解除位置抜止部を有していることが好ましい。
本開示の雌コネクタは、作動部材が、弾性接触片を雄端子金具から遠ざかるように弾性変形させる機能と、雌端子金具を抜止めする機能とを兼ね備えている。したがって、弾性接触片を雄端子金具から遠ざけるための部材と、雌端子金具を抜止めするための部材を別々に用意する場合に比べると、本開示のコネクタは部品点数が少なくて済む。
【0014】
(5)前記作動部材は、前記端子変形位置へ変位したときに、前記雌側ハウジングに挿入した前記雌端子金具を抜止めする端子変形位置抜止部を有することが好ましい。
この構成によれば、雌端子金具と雄端子金具を接続する過程で、雌端子金具が雌側ハウジングから抜ける方向へ移動することを防止できる。これにより、雄端子金具と雌端子金具を適正な位置関係で接続させることができる。
【0015】
第2の開示のコネクタは、
(6)第1の開示の雌コネクタと、
前記雄端子金具を収容し、前記雌側ハウジングと嵌合する雄側ハウジングとを備え、
前記雄側ハウジングは、前記雄側ハウジングと前記雌側ハウジングとの嵌合過程において、前記ストッパを前記保持位置から前記保持解除位置へ押し動かす保持解除部を有していることが好ましい。
この構成によれば、両ハウジングの嵌合過程では、ストッパが保持解除部に押されて保持解除位置へ移動し、ストッパが保持解除位置へ変位すると、作動部材は弾性接触片で押されることによって解除位置へ変位する。したがって、両ハウジングの嵌合作業とは別に作動部材を解除位置へ移動させる作業を行う必要がない。
【0016】
(7)前記雄側ハウジングは、前記雌側ハウジングを包囲するフード部を有し、前記作動部材は、前記フード部の内面に突き当たることで前記解除位置に保持されることが好ましい。
雌側ハウジングには、作動部材を解除位置に保持するための部位を形成する必要がないので、雌側ハウジングの形状が複雑になることを回避できる。
【0017】
(8)(7)において、前記フード部の内面には段差状の離脱規制部が形成されており、前記解除位置の前記作動部材が前記離脱規制部に引っ掛かることにより、前記雌側ハウジングが前記フード部から離脱することを規制されることが好ましい。
この構成によれば、作動部材と離脱規制部との引っ掛かりによって雌側ハウジングがフード部から離脱することを規制できるので、大掛かりなロック構造を設けなくても、雌側ハウジングと雄側ハウジングを嵌合状態に保持することができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のコネクタを具体化した実施例1を、
図1~
図10を参照して説明する。本実施例1において、前後の方向については、
図3~9における左方を前方と定義する。上下の方向については、
図1~10にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、
図2,10にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0019】
本実施例1のコネクタは、
図1に示すように、互いに嵌合・離脱が可能な雌コネクタFと雄コネクタMとを備えている。雌コネクタFは、雌側ハウジング10と、複数の雌端子金具20と、左右一対のストッパ31と、リテーナ33(請求項に記載の作動部材)とを備えて構成されている。
【0020】
雌側ハウジング10は合成樹脂製である。
図2に示すように、雌側ハウジング10は、雌端子金具20を収容するための複数の端子収容室11を有する。端子収容室11は、雌側ハウジング10を前後方向に貫通した形態である。雌側ハウジング10は、リテーナ33を収容するための収容空間12を有する。収容空間12は、複数の端子収容室11と連通しているとともに、雌側ハウジング10の下面(外面)において左右方向に長いスリット状に開口している。
図3に示すように、収容空間12の左右両端部には、前後方向に間隔を空けた二対の仮係止部13が形成されている。
【0021】
図1,2に示すように、雌側ハウジング10は左右対称な一対のガイド孔14を有する。
図3,4に示すように、ガイド孔14は前後方向に延びた形態であり、収容空間12の上端部と連通している。ガイド孔14の前端は雌側ハウジング10の前面に開口している。ガイド孔14の後端部は雌側ハウジング10の後壁部15により閉塞されている。雌側ハウジング10は左右一対の第1治具挿通孔16を有する。第1治具挿通孔16は、雌側ハウジング10の後壁部15を後面からガイド孔14まで前後方向に貫通した形態である。
図2に示すように、雌側ハウジング10は左右一対の第2治具挿通孔17を有する。第2治具挿通孔17は、雌側ハウジング10の左右両外側壁部を雌側ハウジング10の外側面から収容空間12まで左右方向に貫通した形態である。
【0022】
図5に示すように、雌コネクタFは、複数の雌端子金具20を有する。雌端子金具20は、全体として前後方向に細長い形状をなす。雌端子金具20の前端部には角筒状の箱部21が形成され、雌端子金具20の後端部には電線53の前端部に固着されるオープンバレル状の圧着部22が形成されている。箱部21の後端と圧着部22の前端部は連結部23を介して連なっている。箱部21の後端部は、連結部23の下縁部に対して段差状に下方へ突出した形態の引っ掛かり部24となっている。
【0023】
雌端子金具20は弾性接触片25を有する。弾性接触片25は、箱部21を構成する基板部26(上板部)の前端から弧を描いて後方へ折り返し、後方へ延出した形態である。弾性接触片25は、基板部26に繋がる折返部27(前端部)を支点として上下方向(基板部26に対して接近・離間する方向)へ弾性変位し得るようになっている。弾性接触片25は湾曲部28を有する。湾曲部28は、基板部26から遠ざかるように下向きに突出した形状である。湾曲部28の下端部は接点部29となっている。折返部27と湾曲部28は、箱部21内に収容されている。
【0024】
弾性接触片25は受圧部30を有する。受圧部30は、湾曲部28の後端から斜め下後方へ片持ち状に延出した形態であり、弾性接触片25の後端部に配されている。受圧部30の後端部は、箱部21の後端(引っ掛かり部24)から後方へ突出している。弾性接触片25が弾性変形していない自由状態にあるときに、受圧部30は連結部23よりも下方に位置している。受圧部30が上方へ押されると、弾性接触片25が折返部27を支点として上方へ弾性変位する。
【0025】
ストッパ31は、合成樹脂製である。
図3,4に示すように、ストッパ31は、雌側ハウジング10の前方からガイド孔14に挿入されるようになっている。ガイド孔14内では、ストッパ31が前後方向にスライド可能となっている。ストッパ31の移動方向は、雌側ハウジング10と雄側ハウジング40の嵌合方向と平行な方向である。ストッパ31には、保持凹部32が形成されている。
図2に示すように、保持凹部32は、ストッパ31の前面においてT字形に開口し、ストッパ31の下面においてI字形に開口している。
【0026】
リテーナ33は、合成樹脂製である。
図1に示すように、リテーナ33は、全体として左右方向に長い直方形をなす。
図5に示すように、リテーナ33には、リテーナ33を前後方向に貫通した形態の複数の端子挿通孔34が形成されている。リテーナ33の上縁部と各端子挿通孔34の下縁部には、各端子収容室11と対応する複数の抜止め部35(請求項に記載の解除位置抜止部お及び端子変形位置抜止部)が形成されている。
図1に示すように、リテーナ33は二対の仮係止用爪部36を有する。二対の仮係止用爪部36は、リテーナ33の左右両端部に配されている。二対の仮係止用爪部36は、平面視において保持凸部37を前後に挟むように配されている。
【0027】
図2に示すように、リテーナ33は左右対称な一対の保持凸部37を有する。一対の保持凸部37は、リテーナ33の左右両端部に配されている。保持凸部37は、リテーナ33の上端部から後方へ突出した形態である。保持凸部37の背面視形状はT字形である。
図1,2に示すように、リテーナ33は左右一対の規制凸部38を有する。一対の規制凸部38は、リテーナ33の外面(下面)から下方へ段差状に僅かに突出した形態である。リテーナ33は、左右一対の治具用凹部39を有する。治具用凹部39は、リテーナ33の左右両外側面を凹ませた形態である。
【0028】
雄コネクタMは、
図1に示すように、雄側ハウジング40と、複数の雄端子金具47とを備えて構成されている。雄コネクタMは、回路基板(図示省略)に取り付けられる基板用コネクタとしての機能を有するものである。
雄側ハウジング40は、合成樹脂製である。
図8,9に示すように、雄側ハウジング40は、端子保持部41とフード部42とを有する。端子保持部41は、正面視形状が方形の板状をなす。フード部42は、端子保持部41の外周縁から前方へ角筒状に突出した形態である。
【0029】
雄側ハウジング40は、左右対称な一対の保持解除部43を有する。一対の保持解除部43は、端子保持部41の前面(フード部42の奥面)の左右両端部から前方へ突出した形態である。保持解除部43の突出方向は、雌側ハウジング10に対する雄側ハウジング40の嵌合方向と同じ方向である。雄側ハウジング40は、左右一対の離脱規制部44を有する。一対の離脱規制部44は、フード部42を構成する下板部45の内面を段差状に浅く凹ませた形態であり、左右方間隔を空けて配されている。雄側ハウジング40は、左右一対の第3治具挿通孔46を有する。一対の第3治具挿通孔46は、フード部42を構成する左右両側壁部を左右方向に貫通した形態である。
【0030】
図8,9に示すように、雄端子金具47は、金属棒材を側面視形状がL字形をなすように屈曲した形状である。雄端子金具47は、屈曲部48から下向きに延出した基板接続部49と、屈曲部48から前方へ延出したタブ50とを有している。雄端子金具47は、タブ50を
雄側ハウジング40の後方から端子保持部41に貫通させた形態で、雄側ハウジング40に取り付けられている。基板接続部49は、雄側ハウジング40の後方に露出され、回路基板(図示省略)に接続される。タブ50は、フード部42内に収容されている。
【0031】
次に、雌コネクタFの組み付け手順を説明する。まず、一対のストッパ31を、雌側ハウジング10の前方から一対のガイド孔14内に挿入する(
図3を参照)。ストッパ31をガイド孔14の最奥端(最後端)まで挿入したら、
図4に示すように、雌側ハウジング10の下方から収容空間12内にリテーナ33を組み付ける。取り付けたリテーナ33は、仮係止位置(
図4,5を参照)に保持される。リテーナ33の仮係止用爪部36が収容空間12内の仮係止部13に対して上方から引っ掛かることにより、リテーナ33は雌側ハウジング10から離脱することを規制される。
【0032】
リテーナ33が仮係止位置に保持されている状態では、保持凹部32と保持凸部37が上下に位置ずれしているので、ストッパ31の下端部がリテーナ33の上端部に対して後方から突き当たる。この突き当たりにより、ストッパ31は、ガイド孔14の最奥端の位置(以下、保持解除位置という)に保持される。リテーナ33の下端部は、雌側ハウジング10の下面(外面)から下方へ突出している。リテーナ33が仮係止位置に保持されている状態では、
図5に示すように、端子挿通孔34が端子収容室11と対応し、抜止め部35が端子収容室11に対する雌端子金具20の挿入経路から下方へ退避している。この状態で、雌側ハウジング10の後方から雌端子金具20を端子収容室11内に挿入する。
【0033】
全ての雌端子金具20を端子収容室11に挿入したら、仮係止位置のリテーナ33を上方へ押し上げ、端子変形位置(本係止位置)へ変位させる。リテーナ33が端子変形位置に変位すると、
図6に示すように、リテーナ33の抜止め部35が雌端子金具20の箱部21(引っ掛かり部24)に対し後方から接近して対向する状態となる。したがって、雌端子金具20に後方への引張力が作用しても、引っ掛かり部24が抜止め部35に引っ掛かることにより、雌端子金具20が端子収容室11から後方へ抜けることを防止できる。
【0034】
リテーナ33が端子変形位置へ変位すると、リテーナ33の抜止め部35が雌端子金具20の受圧部30を上へ押す。これにより、弾性接触片25は、端子収容室11内におけるタブ50の挿入経路から上方へ退避するように弾性変形する(
図6を参照)。このときの弾性接触片25の変位方向は、箱部21内へのタブ50の挿入方向と直角に交差する方向であり、リテーナ33の仮係止位置から端子変形位置への移動方向と同じ方向である。
【0035】
尚、いずれかの雌端子金具20の挿入が不完全(半挿入状態)である場合には、半挿入状態の雌端子金具20の箱部21が、収容空間12内に進出する。したがって、仮係止位置のリテーナ33を上方へ変位させようとすると、リテーナ33の抜止め部35が半挿入状態の箱部21の後端部(引っ掛かり部24)と干渉するので、リテーナ33を端子変形位置へ押し上げることができない。このようにリテーナ33の移動が規制されることにより、半挿入状態の雌端子金具20が存在することを検知できる。
【0036】
リテーナ33が端子変形位置へ変位した状態では、リテーナ33の保持凸部37がストッパ31の保持凹部32に対して前後方向に正対する。リテーナ33を端子変形位置へ変位させた後は、
図7に示すように、保持用治具55を、雌側ハウジング10の後方から第1治具挿通孔16に差し込み、保持用治具55によってストッパ31を後方から押す。保持用治具55で押されたストッパ31は、保持解除位置から前方の保持位置へスライドし、これに伴って保持凹部32が保持凸部37に嵌合する。T字形をなす保持凹部32と保持凸部37の嵌合により、リテーナ33は、仮係止位置側への移動を規制され、端子変形位置に保持される。リテーナ33が端子変形位置に保持されている状態では、リテーナ33の全体が収容空間12内に収容され、リテーナ33の下端部が雌側ハウジング10の外面から突出することはない。
【0037】
ストッパ31によってリテーナ33を移動規制した状態では、複数の弾性接触片25の弾性復元力に起因する下向きの押圧力が、保持凸部37の外面から保持凹部32の内面に作用する。この押圧力が作用する向きは、ストッパ31が保持位置から保持解除位置へスライドする方向と直交する方向である。したがって、ストッパ31が保持位置から後方の保持解除位置へスライドしようとしても、上記押圧力によって生じる摩擦抵抗により、ストッパ31の保持解除位置への移動が規制される。これにより、リテーナ33が端子変形位置に確実に保持される。以上により、雌コネクタFの組付けが完了する。
【0038】
次に、雌コネクタFと雄コネクタMの嵌合工程及び離脱の工程を説明する。嵌合の際には、雌側ハウジング10をフード部42内に嵌入する。嵌合過程では、タブ50が端子収容室11内の箱部21に挿入されるのであるが、箱部21内におけるタブ50の挿入経路には、弾性接触片25(接点部29)が存在しない。したがって、両コネクタF,Mが正規の嵌合状態に至るまでの間、タブ50と弾性接触片25が非接触の状態に保たれるので、タブ50と弾性接触片25(接点部29)との摺接に起因する摩擦抵抗(両コネクタF,Mの嵌合に抗する嵌合抵抗)は発生しない。
【0039】
両コネクタF,Mの嵌合過程では、
図8に示すように、保持解除部43材が雌側ハウジング10のガイド孔14内に進入し、保持位置のストッパ31を保持解除位置側へ押し動かす。この間、ストッパ31(保持凹部32の内面)とリテーナ33(保持凸部37の外面)との間には、弾性接触片25の弾性復元力に起因する摩擦抵抗が生じ、この摩擦抵抗は両コネクタF,Mの嵌合を進めるための嵌合力に対する抵抗力(嵌合抵抗)となる。しかし、ストッパ31とリテーナ33はいずれも合成樹脂材料からなるので、ストッパ31とリテーナ33との間の嵌合抵抗は、タブ50と弾性接触片25との間における金属同士の摺接による摩擦抵抗(嵌合抵抗)に比べると小さい。
【0040】
両コネクタF,Mが正規嵌合状態に至ると、保持解除部43で押されているストッパ31が、保持解除位置に到達する(
図8を参照)。ストッパ31が保持解除位置に至ると、保持凹部32が保持凸部37から解離するので、リテーナ33は、弾性接触片25の弾性復元力に起因する押圧力により下方(仮係止位置へ向かう方向)へ押し動かされる。リテーナ33の下面がフード部42の下板部45に突き当たると、リテーナ33の下方への変位が停止する。
【0041】
リテーナ33がフード部42に突き当たった位置(
図9を参照)を、解除位置と定義する。解除位置は、端子変形位置と仮係止位置との間に設定される。リテーナ33が解除位置へ変位した状態では、リテーナ33の抜止め部35が上下方向において箱部21と重なるように位置する。つまり、抜止め部35と雌端子金具20の引っ掛かり部24が、前後方向に接近して正対する状態となる。これにより、雌端子金具20に対して後方への引張り力が作用しても、引っ掛かり部24が抜止め部35に対して前方から引っ掛かることにより、雌端子金具20が雌側ハウジング10から離脱することを規制される。
【0042】
リテーナ33の解除位置に向かう方向へ変位する方向は、受圧部30(弾性接触片25)に対する抜止め部35(リテーナ33)の押圧方向とは逆方向である。したがって、リテーナ33が解除位置へ変位する過程で、弾性接触片25の弾性変形量が減少する。リテーナ33が解除位置に到達した状態では、抜止め部35が受圧部30から完全に解離するので、弾性接触片25の弾性復元力により接点部29がタブ50に対して弾性的に押圧するように接触する。これにより、雌端子金具20と雄端子金具47が所定の接触圧で導通可能に接続された状態となる。以上により、両コネクタF,Mの嵌合が完了する。
【0043】
両コネクタF,Mが正規嵌合した状態では、弾性接触片25とタブ50との間に、弾性接触片25の弾性復元力に起因する静摩擦力が生じている。したがって、両コネクタF,Mに離脱方向に引張力が作用しても、タブ50と弾性接触片25との間の静摩擦力により両コネクタF,Mが嵌合状態に保持される。したがって、雌側ハウジング10と雄側ハウジング40を離脱規制するためのロックアームが不要となっている。
【0044】
また、リテーナ33が解除位置へ変位した状態では、リテーナ33の規制凸部38がフード部42の離脱規制部44に嵌入し、規制凸部38の後面が離脱規制部44の内面に対して前後方向に対向する状態となる。したがって、両コネクタF,Mに離脱方向に引張力が作用したときに、両ハウジング10,40が離脱方向へ相対変位したとしても、僅かに相対変位したところで、規制凸部38が離脱規制部44に引っ掛かるので、両コネクタF,Mの離脱が規制される。
【0045】
嵌合状態の両コネクタF,Mを離脱する際には、
図10に示すように、離脱用治具56を、雄コネクタMの左右両側方から第3治具挿通孔46と第2治具挿通孔17を貫通させ、リテーナ33の治具用凹部39に差し込む。そして、離脱用治具56を上方へ移動させることにより、リテーナ33を、弾性接触片25の弾力に抗して解除位置から端子変形位置へ押し上げる。この状態で、両コネクタF,Mを離脱するように僅かに相対変位させ、リテーナ33の規制凸部38の後端部を、フード部42の下板部45のうち離脱規制部44よりもフード部42の開口部側の位置に載置させる。
【0046】
この後、離脱用治具56を治具用凹部39、第2治具挿通孔17及び第3治具挿通孔46から抜き取り、両コネクタF,Mを離脱させる。両コネクタF,Mを離脱させる過程では、規制凸部38と下壁部との間の摺動摩擦が発生するが、規制凸部38も下板部45も合成樹脂製なので、離脱に抗する摩擦抵抗は過大にならない。
【0047】
本実施例1の雌コネクタFは、雄端子金具47と接続する雌端子金具20と、雌端子金具20を収容する雌側ハウジング10と、リテーナ33とを備えている。リテーナ33は、雌端子金具20を変形させる端子変形位置と、雌端子金具20から解離する解除位置との間で変位可能である。雌端子金具20は、雄端子金具47と弾性的に接触する弾性接触片25を有する。
【0048】
リテーナ33は、端子変形位置において、弾性接触片25の受圧部30を押し、弾性接触片25を雄端子金具47のタブ50から遠ざかるように弾性変形させる。リテーナ33が解除位置にある状態では、リテーナ33が弾性接触片25から解離して、弾性接触片25はタブ50の挿入経路側へ弾性復帰する。
【0049】
この構成によれば、両ハウジング10,40を嵌合して雌端子金具20と雄端子金具47を接続する際には、リテーナ33を端子変形位置へ変位させ、弾性接触片25を雄端子金具47(タブ50)から遠ざかるように弾性変形させておく。このようにすると、雌端子金具20と雄端子金具47の接続過程で、雄端子金具47(タブ50)と弾性接触片25との間における摺動抵抗の発生を回避でき、若しくは雄端子金具47(タブ50)と弾性接触片25との間に生じる摺動抵抗を低減できる。雌端子金具20と雄端子金具47を接続した後は、リテーナ33を解除位置へ変位させ、弾性接触片25を弾性変形状態から解放すると、弾性接触片25がタブ50に対して弾性的に接触する。
【0050】
本実施例1のコネクタは、雌端子金具20と雄端子金具47の極数が多いのであるが、雌端子金具20と雄端子金具47を接続する際には、予め、弾性接触片25を雄端子金具47(タブ50)の挿入経路から退避するように弾性変形させておくようになっている。したがって、レバーによる倍力機構を用いなくても、小さい操作力で雌端子金具20と雄端子金具47の接続(雌コネクタFと雄コネクタMの嵌合)を行うことができる。本実施例1のコネクタによれば、レバーの設置スペースや回動スペース等が不要なので、省スペース化を実現できる。
【0051】
リテーナ33は、解除位置へ変位したときに、雌側ハウジング10に挿入した雌端子金具20を抜止めする抜止部35(解除位置抜止部)を有している。即ち、リテーナ33は、弾性接触片25をタブ50から遠ざかるように弾性変形させる機能と、雌端子金具20を抜止めする機能とを兼ね備えている。したがって、弾性接触片25をタブ50から遠ざけるための部材と、雌端子金具20を抜止めするための部材を別々に用意する場合に比べると、本実施例1のコネクタは部品点数が少なくて済む。
【0052】
リテーナ33は、端子変形位置へ変位したときに、雌側ハウジング10に挿入した雌端子金具20を抜止めする抜止部35(端子変形位置抜止部)を有している。この構成によれば、両ハウジング10,40を嵌合する過程で、雌端子金具20が雌側ハウジング10から抜ける方向へ移動することを防止できる。これにより、タブ50と雌端子金具20を適正な位置関係で接続させることができる。
【0053】
リテーナ33が端子変形位置にある状態では、弾性接触片25の弾性復元力により、リテーナ33が解除位置へ変位させる方向へ弾性的に押されるようになっている。そこで、リテーナ33が解除位置へ変位するのを規制するために、雌側ハウジング10にはストッパ31を設けている。ストッパ31は、リテーナ33を端子変形位置に保持する保持位置と、リテーナ33から解離する保持解除位置との間で変位可能である。ストッパ31の保持位置から保持解除位置への変位方向は、リテーナ33の端子変形位置から解除位置への変位方向に対して直角に交差する方向である。したがって、ストッパ31が、弾性接触片25の押す力に負けてリテーナ33を解除位置へ変位させてしまうおそれはない。
【0054】
雌側ハウジング10は仮係止部13を有し、リテーナ33は、仮係止部13に係止されることで、雌側ハウジング10に対する雌端子金具20の挿抜を許容する仮係止位置に保持されるものである。リテーナ33は、仮係止位置において、ストッパ31に接触しストッパ31が雌側ハウジング10から離脱する。この構成によれば、雌側ハウジング10にストッパ31とリテーナ33を取り付けた状態に保持することができるので、取り扱いが便利である。
【0055】
本実施例1のコネクタは、雌コネクタFと、雄端子金具47を収容し、雌側ハウジング10と嵌合する雄側ハウジング40とを備えている。雄側ハウジング40は、雄側ハウジング40と雌側ハウジング10との嵌合過程において、ストッパ31を保持位置から保持解除位置へ押し動かす保持解除部43を有している。この構成によれば、両ハウジング10,40の嵌合過程では、ストッパ31が保持解除部43に押されて保持解除位置へ移動し、ストッパ31が保持解除位置へ変位すると、リテーナ33は弾性接触片25で押されることによって解除位置へ変位する。したがって、両ハウジング10,40の嵌合作業とは別にリテーナ33を解除位置へ移動させる作業を行う必要がない。
【0056】
雄側ハウジング40は、両コネクタF,Mを嵌合した状態で雌側ハウジング10を包囲するフード部42を有している。リテーナ33は、フード部42の内面に突き当たることで解除位置に保持されるようになっている。この構成によれば、雌側ハウジング10には、リテーナ33を解除位置に保持するための部位を形成する必要がないので、雌側ハウジング10の形状が複雑になることを回避できる。
【0057】
フード部42の内面には段差状の離脱規制部44が形成されている。解除位置のリテーナ33が離脱規制部44に引っ掛かることにより、雌側ハウジング10がフード部42から離脱することを規制される。この構成によれば、リテーナ33と離脱規制部44との引っ掛かりによって雌側ハウジング10がフード部42から離脱することを規制できるので、大掛かりなロック構造を設けなくても、雌側ハウジング10と雄側ハウジング40を嵌合状態に保持することができる。
【0058】
[実施例2]
本開示を具体化した実施例2を、
図11を参照して説明する。本実施例2は、雌端子金具60を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0059】
本実施例2の雌端子金具60に形成された弾性接触片61は、前後方向に直線状に延びる基部62と、基部62の前端に連なる接点部63と、基部62の後端に連なる受圧部64とを有している。弾性接触片61は、基部62の前後方向中間部の支点部65において箱部66に支持されている。即ち、基部62の左右両側縁のうち一方の側縁部は、支点部65を介して箱部66を構成する一方の側板部67に連なっている。
【0060】
接点部63は、基部62よりも上方(タブの挿入経路に進出する方向)へ膨らむように湾曲した形状をなす。受圧部64の後端部は、箱部66の後端(引っ掛かり部68)から後方へ突出している。弾性接触片61が弾性変形していない自由状態にあるときに、受圧部64は、箱部66と圧着部69を連結する連結部70よりも下方に位置している。受圧部64が上方へ押されると、
図11に想像線で示すように、弾性接触片61が、支点部65を支点としてシーソー状に弾性変形し、接点部63が下方、即ちタブ50(
図11では省略)の挿入経路から遠ざかるように退避する方向)へ変位する。
【0061】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、作動部材(リテーナ)が弾性接触片を弾性変形させた状態では、タブが弾性接触片に対して非接触となるようにしたが、これに限らず、作動部材が弾性接触片を弾性変形させた状態では、タブが弾性接触片と軽く接触することでワイピング効果を得るようにしてもよい。
上記実施例1では、作動部材(リテーナ)が、弾性接触片をタブから遠ざける形態へ弾性変形させる機能と、雌端子金具を抜止めする機能とを兼ね備えているが、弾性接触片をタブから遠ざけるための部材と、雌端子金具を抜止めするための部材を別々に用意してもよい。
上記実施例1では、作動部材(リテーナ)が弾性接触片を弾性変形させている状態では、雌端子金具が作動部材(抜止め部)によって抜け止めされるようになっているが、作動部材が弾性接触片を弾性変形させている状態では、作動部材とは別の部材によって雌端子金具を抜止めするようにしてもよい。
上記実施例1では、仮係止位置の作動部材により、ストッパが雌側ハウジングから離脱することを防止したが、ストッパは、雌側ハウジングに引っ掛かることによって雌側ハウジングからの離脱が規制されるようにしてもよい。
上記実施例1では、雌側ハウジングと雄側ハウジングが嵌合すると、雄側ハウジングの保持解除部がストッパを保持解除位置へ押し動かすようになっているが、両ハウジングが嵌合した後、手動の操作によってストッパを保持解除位置へ移動させることにしてもよい。
上記実施例1では、作動部材(リテーナ)は、フード部の内面に突き当たることで解除位置に保持されるが、これに替えて、雌側ハウジングに、作動部材を解除位置に保持するための部位を形成してもよい。
上記実施例1では、フード部の内面に、解除位置の作動部材が引っ掛かる離脱規制部を形成したが、フード部の内面は離脱規制部を有しない形状であってもよい。
上記実施例1では、雌側ハウジングとは別部品のストッパによって、作動部材を端子変形位置に保持したが、作動部材は、雌側ハウジングに直接引っ掛かることによって端子変形位置に保持されるようにしてもよい。
上記実施例1では、リテーナが解除位置と端子変形位置のいずれにあるときも、1つの抜止部が雌端子金具を抜止めするが、リテーナが解除位置にあるときに雌端子金具を抜止めする部位と、リテーナが端子変形位置にあるときに雌端子金具を抜止めする部位が、別々に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 :雌側ハウジング
11 :端子収容室
12 :収容空間
13 :仮係止部
14 :ガイド孔
15 :後壁部
16 :第1治具挿通孔
17 :第2治具挿通孔
20 :雌端子金具
21 :箱部
22 :圧着部
23 :連結部
24 :引っ掛かり部
25 :弾性接触片
26 :基板部
27 :折返部
28 :湾曲部
29 :接点部
30 :受圧部
31 :ストッパ
32 :保持凹部
33 :リテーナ(リテーナ)
34 :端子挿通孔
35 :抜止め部(解除位置抜止部、端子変形位置抜止部)
36 :仮係止用爪部
37 :保持凸部
38 :規制凸部
39 :治具用凹部
40 :雄側ハウジング
41 :端子保持部
42 :フード部
43 :保持解除部
44 :離脱規制部
45 :下板部
46 :第3治具挿通孔
47 :雄端子金具
48 :屈曲部
49 :基板接続部
50 :タブ
53 :電線
55 :保持用治具
56 :離脱用治具
60 :雌端子金具
61 :弾性接触片
62 :基部
63 :接点部
64 :受圧部
65 :支点部
66 :箱部
67 :側板部
68 :引っ掛かり部
69 :圧着部
70 :連結部
F :雌コネクタ
M :雄コネクタ