(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20230725BHJP
【FI】
H05B47/155
(21)【出願番号】P 2019111342
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 耕一
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-147014(JP,A)
【文献】特開2009-295399(JP,A)
【文献】特開2011-070875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明コントローラと、
人が存在する状態または人が不在の状態を検知できる複数の人感センサと、
前記照明コントローラからの、点灯、消灯、及び、調光点灯の何れかの指令に応じて、点灯、消灯、及び、調光点灯する複数の照明器具と、
を備え、
前記照明コントローラには、
前記複数の人感センサそれぞれに対応付けられて、
平面視で、人感センサの検知範囲のそれぞれに対応する対応領域内に設置された前記照明器具のグループである第1グループと、
平面視で、前記対応領域のそれぞれに隣接する一定の範囲内に設置された前記照明器具のグループである第2グループと、
が設定登録され、
前記照明コントローラは、
前記複数の人感センサのうちいずれか1以上の人感センサが、前記検知範囲内に人が存在する状態を検知した場合、
人が存在する状態を検知した前記人感センサの前記第1グループに属する前記照明器具に、第1調光率で調光点灯する第1調光点灯指令を送信し、
人が存在する状態を検知した前記人感センサの前記第2グループに属する前記照明器具に、第1調光率
より低い第2調光率で調光点灯する第2調光点灯指令を送信する、
ように構成され
、
前記第2調光点灯指令を複数受信した照明器具は、調光率を前記第1調光率より低い範囲で、前記第2調光率より高い調光率に上げるように制御する、
照明システム。
【請求項2】
前記照明コントローラは、
前記複数の人感センサのうちいずれか1以上の人感センサが、前記検知範囲内に人が存在する状態を検知した後、人が不在の状態を検知した場合、
人が不在の状態を検知した前記人感センサの、前記第1グループに属する照明器具を消灯させる第1消灯指令を送信し、
人が不在の状態を検知した前記人感センサの、前記第2グループに属する照明器具を消灯させる第2消灯指令を送信し、
人が存在する状態を検知した前記人感センサの、前記第2グループに属する照明器具に、前記第2調光点灯指令を再送信する、
ように構成されている請求項
1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記第1消灯指令または前記第2消灯指令を受信した照明器具は、現在の調光率を維持する一定の保持時間経過後に、現在の調光率より減光した状態に移行し、減光された状態で一定の遅延時間維持された後に消灯する、
ように構成されている請求項
2に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人感センサを用いて人の存在または不在(以下「在/不在」とも称する)を検知して照明を制御する照明システムが知られている。これに関し、例えば特許文献1には、所定の領域を小領域に分けて、小領域ごとに人の動きを検知する人感センサと照明器具とを設置した照明システムが記載されている。この照明システムでは、人の在/不在の状態の検出精度を向上するべく、ある小領域に設置された人感センサの出力と、その小領域に隣接する小領域に設置された人感センサの出力との両方を用いて、その小領域の人の在/不在の状態の判断をする構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明システムでは、判断対象の小領域に人が不在であると判断された場合、隣接する他の小領域の人の在/不在に関わらず、照明器具は消灯状態にされる。しかし、一般に人の目は視野内の明暗の差が大きくなると疲労しやすくなる。この点で、従来の照明システムにおける照明制御には改善の余地が残る。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、人感センサを用いた照明の点灯及び消灯の制御に際し、視野内の明暗の差を小さく抑制できるように改良された照明システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明システムは、複数の照明器具と、照明コントローラと、人が存在する状態または人が不在の状態を検知できる複数の人感センサと、照明器具とを有する。照明器具は、照明コントローラからの、点灯、消灯、及び、調光点灯の何れかの指令に応じて、点灯、消灯、及び、調光点灯する。照明コントローラには、第1グループと第2グループとが設定登録されている。第1グループは、複数の人感センサそれぞれに対応付けられて、平面視で、人感センサそれぞれの検知範囲内に設置された照明器具のグループである。第2グループは、平面視で、人感センサそれぞれの検知範囲に隣接する一定の範囲内に設置された照明器具のグループである。照明コントローラは、複数の人感センサのうちいずれか1以上の人感センサが、検知範囲内に人が存在する状態を検知した場合、人が存在する状態を検知した人感センサの第1グループに属する照明器具に、第1調光率で調光点灯する第1調光点灯指令を送信し、人が存在する状態を検知した人感センサの第2グループに属する照明器具に、第1調光率より低い第2調光率で調光点灯する第2調光点灯指令を送信するように構成され、第2調光点灯指令を複数受信した照明器具は、調光率を第1調光率より低い範囲で、第2調光率より高い調光率に上げるように制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明システムによれば、ある人感センサによって人の存在が検知された場合、その人感センサの検知範囲にある第1グループの照明器具が点灯されると共に、それに隣接する一定の範囲内にある第2グループの照明器具が、第1グループの照明器具より低い調光率で点灯るか、あるいは間引き点灯される。これにより、人の存在を中心とするなだらかな照度分布を形成することができ、人の目の視環境を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1における照明システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態1の照明システムの各機器の配置例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態1の照明システムの照明器具の第1グループの設定登録例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態1の照明システムの照明器具の第2グループの設定登録例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態1の照明システムにおける、人感センサ連動制御の動作を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態1の照明システムでの人感センサ連動制御中の各照明器具の点灯状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態1の照明システムでの人感センサ連動制御中の各照明器具の点灯状態を示す図である。
【
図8】従来の照明システムの照明器具のグループ設定例を示す図である。
【
図9】従来の照明システムの照明器具のグループ設定例を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態2の照明システムにおける、人感センサ連動制御の動作を示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態2の照明システムでの人感センサ連動制御中の各照明器具の点灯状態を示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態3の照明システムにおける、人感センサ連動制御の動作を示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態3の照明システムでの人感センサ連動制御中の各照明器具の点灯状態を示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態3の照明システムでの人感センサ連動制御中の各照明器具の点灯状態を示す図である。
【
図15】本発明の実施の形態3の照明システムにおける消灯の制御の変形例を示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態3の照明システムにおける消灯の制御の変形例を示す図である。
【
図17】本発明の実施の形態1~3の照明システムの変形例を示す図である。
【
図18】本発明の実施の形態1~3の照明システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る照明システムについて図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の照明システム10の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示されるように、照明システム10は、照明コントローラ2を備える。照明コントローラ2には、人感センサ3、照度センサ4、複数の照明器具5、及び、壁スイッチ6が接続されている。
【0011】
人感センサ3は、その検知可能な範囲における人が居る状態と居ない状態(以下「在/不在」と称する)とを検知する。人感センサ3により、在から不在、不在から在への状態変化が検知されると、照明コントローラ2に状態変化が送信される。また人感センサ3は、照明コントローラ2から人感状態モニタ要求を受信した場合に、照明コントローラ2に、在/不在の人感状態モニタ応答を送信する。
【0012】
人感センサ3は、その検知エリア内に人の在/不在の状態または在/不在の状態変化を検知して、検知結果を照明コントローラに出力できるものであればよい。例えば、人感センサ3として、検知エリア内の温度変化を感知することで、人の動きを検知する赤外線センサを利用することができる。照度センサ4は、照度センサ4の検知エリア内の明るさを検知する。
【0013】
照明器具5は、LED及び白熱灯等の光源を搭載し、明るさを調節する調光点灯の機能を備えた照明装置である。壁スイッチ6は、照明器具5の点灯、消灯、及び、調光点灯を行うために人が操作するスイッチであり、例えば、部屋の壁などに埋め込まれている。
【0014】
照明器具5は、照明コントローラ2、壁スイッチ6、または赤外線リモコン等から、点灯指令、消灯指令、または、調光点灯指令を受信すると、それに従って、点灯、消灯、または、調光点灯の状態に切り替えられる。調光点灯は、例えば「明るく・暗く」といった2段階の設定でもよいし、「50%・70%・100%」といった複数段階の比率で設定されるものでもよいし、「1・2・3」といったレベル表示で設定されるものでもよい。
【0015】
照明システム10は、以上のような、人感センサ3、照度センサ4、複数の照明器具5、及び、壁スイッチ6で構成されるセットを複数備えており、増幅器7を介して照明コントローラ2に接続されている。照明システム10の照明コントローラ2と、これに接続される機器のそれぞれは、通信線9によって接続され、通信線9を介して通信するように構成されている。なお、照明システム10は、増幅器7を有さない構成であってもよい。即ち、接続された各機器が正常に動作する場合には、人感センサ3、照度センサ4、複数の照明器具5、及び、壁スイッチ6等で構成される接続機器のセットが複数、増幅器7を介さずに、照明コントローラ2に接続された構成であってもよい。
【0016】
照明コントローラ2には、接続機器それぞれのアドレス(例えば端末番号)や後述するグループを設定登録することができる。設定登録には、例えば、赤外線リモコンである設定器8や照明コントローラ2に接続されるパーソナルコンピュータ(図示省略)を用いる構成とすることができる。照明コントローラ2に人感センサ3を設定登録することにより、照明コントローラ2は、各人感センサ3から送信された人の在/不在の情報を受信することができる。照明コントローラ2に各照明器具5を設定登録することにより、照明コントローラ2は、照明器具5を、個別にあるいはグループごとに点灯、消灯、または、調光点灯させることができる。
【0017】
図2は、照明システム10の各機器の配置例を示す平面図である。
図2は、照明システム10の照明対象領域11の天井面を表している。
図2に示されるように、照明対象領域11は、仮想的に、各人感センサ3を中心とする9つの同一サイズの正方形の検知範囲12に分けられている。各検知範囲12は、照明対象領域11の床面における人感センサ3の検知可能な領域13を、天井面に正射した範囲を基に設定されている。各検知範囲12には、その中心に設置された人感センサ3を囲むようにして、4台ずつの照明器具5が設置されている。つまり照明対象領域11の天井面には、合計9台の人感センサ3と、合計36台の照明器具5とが設置されている。
【0018】
なお、
図2に示されるように、実際の人感センサ3の検知可能な領域13は略円形である。本実施の形態では検知範囲12を、隣接する2つの人感センサ3の床面における検知可能な領域13の境界線(
図2の破線の円)の交点を結ぶ直線で分けた範囲とする。ただし、検知範囲12は正方形に限られない。要するに、照明対象領域11内全体が人感センサ3によって検知可能となるように、適切な数の人感センサ3が設定されていればよく、設置された人感センサ3の実際の検知可能な領域13に応じて、検知範囲12を設定すればよい。設定された人感センサ3それぞれの検知可能な領域13は、照明対象領域11の床面からある程度の高さまでの部分において重複していてもよい。また、逆に、床面付近においては、いずれの人感センサ3の検知可能な領域13にも含まれていないエリアが多少存在していてもよい。また、検知可能な領域が、検知範囲12と一致する形である人感センサを用いてもよい。
【0019】
本実施の形態では、照明器具5は、人感センサ3と対応付けられて、照明コントローラ2にグループ設定登録される。より具体的には、ある人感センサ3の検知範囲12に配置された4台の照明器具5は、その人感センサ3の第1グループの照明器具5として設定登録される。また、その人感センサ3の検知範囲12の外側であって、かつ一定の範囲内にある照明器具5は、その人感センサ3の第2グループの照明器具5として設定登録される。
【0020】
図3は、実施の形態1における照明システムの第1グループの設定登録例を示す図であり、
図4は、第2グループの設定登録例を示す図である。
図3及び
図4において、照明器具5に付したグループ番号#A~#Iまたは#a~#iと同じアルファベットを、そのグループが対応付けられている人感センサ3及び検知範囲12の符号の最後に大文字で付してその関係性を表している。また、照明器具5については、第1グループの番号を大文字、第2グループの番号を小文字のアルファベットで表している。
【0021】
まず、第1グループの設定について詳述する。
図3に示されるように、例えば、人感センサ3Aの検知範囲12A内に配置された4つの照明器具5は、人感センサ3Aに対応付けられ人感センサ3Aの第1グループ#Aに属する照明器具5として登録される。同様に、人感センサ3B~3Iそれぞれの検知範囲12B~12I内にある4つずつの照明器具5が、人感センサ3B~3Iそれぞれに対応付けられて、人感センサ3B~3Iそれぞれの第1グループ#B~#Iそれぞれに属する照明器具5として登録される。
【0022】
次に第2グループの設定について詳述する。
図4に小文字のアルファベットで示したように、第2グループ#a~#eには、1つの人感センサ3と、その人感センサ3の検知範囲12の外側に隣接する一定の範囲内に配置された照明器具5とが、それぞれ登録される。例えば、中央の人感センサ3Eの場合を例にとって説明すると、
図4の破線14Eの領域内であり、かつ、検知範囲12Eの外側の領域が、人感センサ3Eの検知範囲12Eの外側に隣接する一定の範囲である。そして、この一定の範囲に配置された12台の照明器具5が、人感センサ3Eの第2グループ#eに属する照明器具5として登録される。
【0023】
同様に、例えば、人感センサ3Gの場合を例にとって説明すると、
図4の破線14Gの領域内であり、かつ、検知範囲12Gの外側の領域が、人感センサ3Gの検知範囲12Gの外側に隣接する一定の範囲である。そして、この一定の範囲に配置された5台の照明器具5が、人感センサ3Gの第2グループ#gに属する照明器具5として登録される。
【0024】
ここで検知範囲12の外側に隣接する一定の範囲は、適宜設定することができるが、この実施の形態では、検知範囲12の外側の照明器具5が一列だけ含まれる範囲とする。この一定の範囲は、例えば、ある人感センサ3に対して、隣に配置された人感センサ3の中心を結ぶ領域としてもよい。
【0025】
各照明器具5は、
図3に示されるように、#A~#Iのいずれか1つの第1グループに登録されるが、1つの第2グループに登録されるとは限らない。
図4に示されるように、第2グループの登録がない照明器具5もあり、また、3つの第2グループに登録される照明器具5も存在する。
【0026】
本実施の形態において照明コントローラ2は、人感センサ3がその検知範囲12内に人が存在する状態を検知した場合に、その人感センサ3の第1グループとして登録された照明器具5に、第1調光率で点灯する第1調光点灯指令を送信する。また、その人感センサ3の第2グループとして登録された照明器具5に、第1調光率より低い第2調光率で点灯する第2調光点灯指令を送信する。以下、この照明システム10が実行する人感センサ連動制御の動作の一例を、
図5を用いて説明する。
【0027】
照明システム10は、
図1~
図4に示す構成を有し、人感センサ3及び照明器具5は、検知範囲12A~12Iに配置されているものとする。また、
図5は、検知範囲12Eにおいて、人が不在の状態から人が存在する状態となり、その後、検知範囲12Gにおいて、人が不在の状態から人が存在する状態になった場合の制御例である。なお、
図5では、調光点灯指令に対する照明器具5の応答を省略するものとする。
【0028】
図5の例では、まず、ステップS1において、検知範囲12Eに人が入ったことが人感センサ3Eによって検知され、人感センサ3Eから照明コントローラ2に在検知が送信される。次に、ステップS2に進み、在検知を受信した照明コントローラ2は、照明コントローラ2のメモリ内の人感センサテーブル21に保存された在/不在の情報を更新する。
図5に示す人感センサテーブル21に保存されるデータ「000010000」は、検知範囲12A~12Iの順に、在を「1」、不在を「0」で示すデータである。
【0029】
ステップS3に進み、照明コントローラ2は、在検知を送信した人感センサ3Eの第1グループ#Eに属する照明器具5に、第1調光率で調光点灯する第1調光点灯指令を送信する。ここで、人の存在する検知範囲12の照明器具5に送信される第1調光率は、予め定められた調光率であり、例えば100%とする。次に、ステップS4に進み、照明コントローラ2は、人感センサ3Eの第2グループ#eに属する照明器具5に、第2調光率で調光点灯する第2調光点灯指令を送信する。ここで第2調光率は、第1調光率より低い調光率に予め設定された値であり、例えば、第1調光率である100%の半分である50%とする。
【0030】
ステップS4直後の照明器具5の点灯状態を
図6に示す。なお、
図7、
図11、
図13、及び、
図14にも同様に、人感センサ連動制御中の各段階における照明器具5の点灯状態を示すが、これらの
図6、
図7、
図11、
図13、及び、
図14において、実線で区切られた各区画は
図3及び
図4の検知範囲12A~12Iに対応し、検知範囲12A~12I内の破線で区切られた各区画は、その位置の照明器具5に対応して、各照明器具5の調光率を示している。
【0031】
図6に示される通り、ステップS3及びS4の処理により、検知範囲12E内の照明器具5は、第1調光率100%で点灯され、検知範囲12Eに隣接する一定の範囲内の照明器具5、即ち、第2グループ#eに属する照明器具5は第2調光率50%で点灯されている。
【0032】
再び、
図5を参照して、続くステップS5では、人感センサ3Gによって、検知範囲12Gに人が入ったことが検知され、人感センサ3Gから照明コントローラ2に在検知が送信される。次に、ステップS6に進み、在検知を受信した照明コントローラ2は、照明コントローラ2のメモリ内の人感センサテーブル21に保存された在/不在情報を更新する。この段階では、検知範囲12Eと12Gとにおいて在検知されているので、更新後のデータは「000010100」である。
【0033】
次に、ステップS7に進み、照明コントローラ2は、第1グループ#Gに属する照明器具5に、第1調光率100%で調光点灯する第1調光点灯指令を送信する。ステップS8に進み、照明コントローラ2は、第2グループ#gに属する照明器具5に、第2調光率50%で点灯する第2調光点灯指令を送信する。
【0034】
ステップS8の処理直後の照明器具5の点灯状態を
図7に示す。上述の処理で、照明器具5は、受信した最新の指令に従い調光制御される第1調光点灯指令は、第2調光点灯指令に優先される。従って、ステップS8の処理時には、
図7に示される通り、第1グループ#Eまたは#Gに属する検知範囲12Eまたは12G内の照明器具5は、第1調光率100%で点灯し、第1グループ#Eまたは#Gに属さず、かつ、第2グループ#eまたは#gに属する照明器具5が第2調光率50%で点灯している。
【0035】
以上の処理により、照明システム10では、人感センサ3が人の存在を検出すると、その人感センサ3に第1グループとして対応付けられた照明器具5と、その人感センサ3に第2グループとして対応付けられた照明器具5とが連動して制御される。これにより、人が存在するエリアを適切な照度で照らすことができる。
【0036】
また、第1グループの照明器具5には、予め定められた第1調光率の第1調光点灯指令が送信され、第2グループの照明器具5には、予め定められた第1調光率より低い第2調光率の第2調光点灯指令が送信される。これにより、人が存在するエリアの周囲をなだらかな照度の分布で照らすことができる。また、第2グループの照明器具5を、第1調光率よりも減光して調光することにより、消費電力の増大化を抑制することができる。
【0037】
ここで、本実施の形態の照明システム10と、
図8及び
図9に示す従来の照明システムとを比較する。例えば、
図8の従来の照明システムでは、照明コントローラには、各人感センサ103と、その検知範囲112内の照明器具105とが対応付けて登録されている。この従来のシステムの
図8に示す例では、斜線付きの丸で示された2つの検知範囲112の人感センサ103E及び103Gが在検知し、白丸で表現された残り7つの人感センサ103が不在検知する。この場合、照明コントローラ2は在検知した人感センサ103E及び103Gの検知範囲112E及び112G(即ち、
図8の太実線の枠内)の、4×2台の照明器具105に点灯指令を出し、他の検知範囲112にある4×7台の照明器具105に点灯を指令しない。
【0038】
図8に示すように、在検知された検知範囲112内の照明器具105のみを点灯する従来の照明システムによれば、人感センサ103の在/不在の検知に連動して、その検知範囲112内の照明器具105を点灯/消灯させることはできる。しかし、このような照明システムでは、在検知した検知範囲に隣接する照明エリア内の照明器具105は消灯しているため、人の真上だけが明るくなり、視野内の明暗の差が大きくなっている。
【0039】
また、
図9の照明システムは、人感センサ103と対応付ける照明器具105の範囲を、その人感センサ103の検知範囲112よりも広くとった構成例である。この例では、例えば、
図9に示されるように、人感センサ103Eと103Gとが在検知すると、その検知範囲112E及び112Gより広い領域114E及び114G(即ち、
図9の太実線の枠内)にある照明器具105が点灯される。このように、人感センサ3に対応付けて登録される照明器具105の範囲を広くすることで、人の視界の明るさ感を向上させることができる。しかしながら、在検知により照明器具105を点灯させるエリアが大きくなるため、消費電力が大きくなる。また、検知範囲112の周辺の照明器具5まで広く点灯させたとしても、照明器具105の点灯エリアと消灯エリアとの境界では、以前として視野内の明暗の差が大きいままであり、視環境が改善されないこととなる。
【0040】
これに対し、上述したように、本実施の形態の人感センサ連動制御による照明方法であれば、照明器具5の点灯による消費電力の増大化を抑えつつ、人が居るエリアを中心とするなだらかな調光度分布での照明を行うことができ、快適な視環境を実現することができる。
【0041】
<実施の形態1の変形例>
本実施の形態の照明システム10は、在検知した人感センサ3の第1グループに属する照明器具を第1調光率100%で点灯し、第2グループに属する照明器具5を、第2調光率50%で点灯させる場合について説明した。しかし、第1調光率は100%に限られず、他の値であってもよい。また、第2調光率は50%に限られず、他の値であってもよい。第2調光率を、第1調光率より低い調光率とすることで、人が居るエリアを中心とするなだらかな調光度分布を形成することができる。
【0042】
また、第2調光率は第1調光率より低い場合に限られず、第2調光率を第1調光率より高い調光率としてもよい。第1調光率より、第2調光率を高くすることで、人が居るエリアを暗く点灯し、そのエリアの周囲をより明るくすることができる。この調光により、街路や廊下の進行方向をより明るく照らすことができる。また、プレゼンテーションに際し、手元をやや暗く点灯し、その周囲を明るく照らすことができる。
【0043】
なお、第1調光率及び第2調光率は、予め設定され照明コントローラ2に登録されている。この第1調光率及び第2調光率の登録は、例えば、設定器8やパーソナルコンピュータにより変更できる構成としてもよい。
【0044】
実施の形態1では、在検知した人感センサ3の第1グループの照明器具5を第1調光率で点灯させ、第2グループの照明器具5を、第1調光率よりも低い第2調光率で点灯させる場合について説明した。しかし、このような第1又は第2調光率を付した第1又は第2調光点灯指令に替えて、第1グループの全ての照明器具5には点灯指令、即ち100%の調光率で点灯する指令を送信し、第2グループの照明器具5には点灯パターン情報を付した点灯指令を送信する構成としてもよい。ここで、点灯パターン情報は、例えば、1つおきに点灯する間引き点灯パターン情報を付した間引き点灯指令である。
【0045】
このような構成によっても、消費電力の増大化を抑えつつ、在検知エリアの周囲をなだらかな照度の分布で照らすことができる。またこの構成例によれば、調光点灯の機能を持たず、点灯又は消灯のみができる照明器具を有する照明システムの場合にも、検知範囲の外側に隣接する一定の範囲である第2グループの範囲全体の明るさを、検知範囲に比べて減光することができる。これにより在検知エリアを中心になだらかな照度分布を形成することができる。
【0046】
また、この構成は、
図5で説明した調光率を付した調光点灯の指令を送信する構成に組み合わせてもよい。即ち、在検知した人感センサ3の第1グループの照明器具5には第1調光率の第1調光点灯指令を送信すると共に、第2グループの照明器具5には、第2調光率と間引き点灯等の点灯パターン情報とを付した第2調光点灯指令を送信する構成とすることができる。これにより、例えば50%といった調光率に下限があるような調光率の幅が狭い照明器具5を用いる場合にも、間引き点灯により、第2グループ全体での調光率の幅を広く確保することができる。
【0047】
実施の形態2.
実施の形態2の照明システム10の構成は、
図1~
図4に説明した構成と同一である。実施の形態2において照明システム10が実行する人感センサ連動制御は、第2調光点灯指令を複数受信した照明器具5の調光率を調整する制御を行なう点を除いて、実施の形態1で説明した人感センサ連動制御と同一である。
【0048】
より具体的に、本実施の形態の照明システム10により人感センサ連動制御において、照明器具5は、複数の第2調光点灯指令を受信した場合、第2調光率より一定量だけ高い第3調光率となるように調光率を調整する。ここで第3調光率が第2調光率より高く第1調光率以下となるように、一定量は、少なくとも第1調光率と第2調光率との差分以下の値とする。具体的な一定量の値は予め適切な値に設定され照明器具5に登録される。
【0049】
図10は、本実施の形態の人感センサ連動制御の動作の一例を示す図である。
図10ではステップS10において、照明器具5はそれぞれ、第2調光点灯指令の受信数を確認する。より具体的には、照明器具5ごとに、第2調光点灯指令が複数受信されているか否かが判別される。次に、ステップS11において、複数の第2調光点灯指令を受信したと判別した照明器具5は、一定量だけ調光率を上げる。本実施の形態では、例えば、第1調光率を100%、第2調光率を50%とし、一定量を20%に設定する。
【0050】
図11に、ステップS11の処理直後の点灯状態を示す。ここでは、
図10の処理が、
図5の例におけるステップS8の処理の後に続けて実行された場合を例にとって示す。上述したように、
図5の制御では、人感センサ3Eと3Gとが在検知し、従って、人感センサ3Eと3Gの第2グループ#eと#gとに第2調光点灯指令が送信されている。そして、
図11に斜線で示された位置の2つの照明器具5が第2グループ#e及び#gの両方に属する照明器具5であり、複数の第2調光点灯指令を受信している。従って、
図11に示されるように、この斜線で示された位置の照明器具5の調光率が、70%に上げられている。
【0051】
以上説明したように、在検知された複数の検知範囲12に隣接する照明器具5の調光率を、在検知された1つの検知範囲12に隣接する照明器具5の調光率よりも高くすることにより、存検知された領域に挟まれる領域をより明るく点灯させつつ、なだらかな照度の分布で照らすことができる。
【0052】
<実施の形態2の変形例>
実施の形態2では、複数の第2調光点灯指令を受信した照明器具5の調光率を一定量上昇させる場合の例について説明した。しかし、これに限らず、例えば、複数の第2調光点灯指令を受信した場合、その照明器具5の調光率を、第1調光率とするように制御する構成としてもよい。この構成によって、在検知された領域に挟まれる領域を明るく点灯し、なだらかな照度の分布を形成することができる。
【0053】
また、実施の形態2では、第1調光率が第2調光率より高い場合について説明した。しかし、これに限られず、第1調光率が第2調光率より低いものであってもよい。この場合、第2調光点灯指令を複数受信した照明器具5は、第2調光率と第1調光率と間の調光率である第3調光率になるように調光率を一定量低下させる処理を行うようにする。なお、ここで第2調光率と第1調光率との間の調光率とは、第1調光率と第2調光率との中間値を意味するものではなく、第1調光率と第2調光率との範囲内にある調光率を意味する。
【0054】
また、実施の形態2のように複数の第2調光点灯指令を受信した照明器具5の調光率を上げるように調整する制御は、実施の形態1の変形例で説明した点灯パターン情報を付した点灯制御と組み合わせることもできる。
【0055】
具体的に、例えば、在検知された人感センサ3の第1グループに、100%の調光率で点灯する第1指令が送信され、第2グループには1つおきに点灯する間引き点灯パターン情報を付した第2指令が送信される場合の処理について説明する。この場合、複数の第2指令を受信した照明器具5は、点灯パターン情報の内容がその照明器具5を間引く対象とするか点灯させる対象とするかに関わらず、点灯する。一方、第2指令を1つだけ受信した照明器具5は、点灯パターン情報の内容に従い、その照明器具5が間引かれる対象である場合には消灯し、点灯する対象である場合には点灯する。この構成により、照明器具5が調光率を調整する機能を有しない場合であっても、在検知エリアの周囲になだらかな照度の分布を形成することができる。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態3の照明システム10の構成は、
図1~
図4に説明した照明システム10と同一である。実施の形態3の照明システム10は、人が在から不在となったことを検知したときの人感センサ連動制御を行なう点を除き、実施の形態1のシステムと同一の制御を実行する。なお、人感センサ3が、人が存在する状態から不在の状態となったことを検知した場合、その検知を「不在検知」とも称することとする。
【0057】
実施の形態3の照明システム10では、人感センサ3が不在検知した場合に、照明コントローラ2は、不在検知した人感センサ3の第1グループ又は第2グループに属する照明器具5に、消灯指令を送信する。消灯指令を受信した照明器具5は、それに従い消灯する。更に、照明コントローラ2は、現在の人感センサテーブル21の情報から、照明対象領域11内の在/不在の情報を取得する。そして、在検知されている検知範囲12の第2グループに属する照明器具5に、第2調光点灯指令を再送信する。これによって、不在検知した人感センサ3の第1グループ又は第2グループに属するために消灯される照明器具5のうち、在検知されている他の検知範囲12の第2グループに属する照明器具5については、点灯を継続させることができる。
【0058】
図12は、本実施の形態の照明システム10が実行する人感センサ連動制御の一例を示す図である。
図12の制御は、
図5の制御の後に実行される例として説明する。
図12では、検知範囲12Gが、人が居る状態から居ない状態に変化した場合の例を示している。
【0059】
ステップS20において、人感センサ3Gが不在検知すると、その情報が照明コントローラ2に送信される。次に、ステップS21に進み、不在検知を受信した照明コントローラ2は、照明コントローラ2のメモリ内の人感センサテーブル21に保存された在/不在情報を更新する。ここでの更新後のデータは「000010000」である。
【0060】
次に、ステップS22に進み、照明コントローラ2は、第1グループ#Gに属する照明器具5に0%の調光点灯指令、即ち、第1消灯指令を送信する。次に、ステップS23に進み、照明コントローラ2は、第2グループ#gに属する照明器具5に、0%の調光率の調光点灯指令、即ち、第2消灯指令を送信する。
【0061】
図13は、ステップS23の処理直後の各照明器具5の調光率を示す。ステップ22及びS23の処理により消灯した照明器具5を斜線で示している。
図13に示されるように、ステップS22及びS23の処理によって第1グループ#G及び第2グループ#gに属する照明器具5は消灯する。ただし、第1グループに対する指令は、第2グループに対する指令より優先される。即ち、第1調光点灯指令は、第2消灯指令よりも優先される。従って、人感センサ3Gの第2グループ#gに属し第2消灯指令を受信した照明器具5のうち、第1グループ#Eに属する照明器具は消灯されず、100%の第1調光率の点灯状態で維持される。
【0062】
再び、
図12を参照して、ステップS24において、照明コントローラ2は、第1及び第2消灯指令を送信した場合のリフレッシュ送信を実行する。より具体的に、照明コントローラ2は、第1及び第2消灯指令を送信したか否かを判別し、第1及び第2消灯指令を送信したと判別された場合に、リフレッシュ送信を実行する。リフレッシュ送信を実行する場合、ステップS25において、ステップS21で更新された人感センサテーブル21に基づき、在検知されている検知範囲12Eの第2グループ#eに属する照明器具5に、第2調光率の第2調光点灯指令が送信される。
【0063】
図14に、ステップS25の処理直後の各照明器具5の調光率を示す。
図14では、リフレッシュ送信により再点灯された照明器具5を斜線で示している。
図14に示されるように、ステップS25のリフレッシュ送信により、第1グループ#G又は第2グループ#gに属する照明器具5のうち、第2グループ#eにも属する3つの照明器具5が、再び第2調光率50%で点灯される。
【0064】
以上の消灯の処理により、人が不在となったエリアの消灯を適切に行うことができ、消費電力の増大を抑えると共に、更新された最新の在/不在情報に基づいて、人が存在するエリアを中心とするなだらかな照度分布を再形成することができる。
【0065】
<実施の形態3の変形例>
なお、実施の形態3では、実施の形態1の人感センサ連動制御と組み合わせて、不在検知された場合の消灯の制御を実施する場合について説明した。しかし、実施の形態3の消灯の制御は、実施の形態2に説明した人感センサ連動制御と組み合わせて実行してもよい。この場合、
図5及び
図10の調光点灯の制御の制御と並行して、
図12の制御を実行する構成とすればよい。
【0066】
また、実施の形態3では、ステップS22またはS23において、第1グループ#Gまたは第2グループ#gに属する照明器具5を一旦消灯してから、第2グループ#eに属する照明器具5を再点灯する場合について説明した。しかし、消灯の制御はこれに限られない。例えば、照明器具5は、第1または第2消灯指令を受信しても直ぐには消灯せず、これを保留とし、ステップS25のリフレッシュ送信を待って、第1又は第2消灯指令と第2調光点灯指令とを比較して、調光率が高い方の指令を選択して点灯又は消灯する構成としてもよい。つまり、第1又は第2消灯指令と第2調光点灯指令とを受信した場合には、第2調光率で調光点灯し、第1又は第2消灯指令だけを受信した場合には、消灯する。これにより、一旦消灯した後、直ぐに再点灯するという不自然な点灯動作を回避することができる。
【0067】
また、
図15及び
図16に、消灯指令を受信した場合の消灯の制御の他の変形例を示す。
図15は、第1調光点灯指令により100%の調光率で点灯していた照明器具5を消灯する場合の例であり、
図16は、第2調光点灯指令により50%の調光率で点灯していた照明器具5を消灯する場合の例である。
【0068】
図15及び
図16に示される例では、第1消灯指令または第2消灯指令を受信した照明器具5は、直ちに消灯せず、段階的に消灯に移行する。この例では、照明器具5には、保持時間、フェード時間、及び、OFF遅延時間の、3段階の消灯への移行時間が設定されている。消灯指令を受信した照明器具5は、まず、保持時間の間、現在の調光率で維持される。保持時間経過後、フェード時間の間に、例えば、所定の省エネ点灯に移行する。ここでの省エネ点灯は、例えば、第1消灯指令を受信した場合には調光率20%、第2消灯指令を受信した場合には調光率10%での点灯とする。ただし、省エネ点灯における調光率はこれに限られず、第1消灯指令の場合には第1調光率より低い調光率であればよく、第2消灯指令の場合には第2調光率より低い調光率であればよい。また、省エネ点灯は、第1消灯指令の場合でも第2消灯指令の場合でも、同一の低い調光率としてもよい。そして、省エネ点灯の調光率に移行された後、OFF遅延時間の経過を待って、完全消灯とされる。この構成により、不在検知した人感センサ3の第1グループの照明器具5と、当該人感センサ3の第2グループの照明器具5とを連動して、減光または消灯させることができ、不自然な点灯または消灯の動作を回避することができる。
【0069】
<その他>
実施の形態1~3では、人感センサ3が配置され9つの検知範囲12に分けられた照明対象領域11を照明する場合の例について説明した。しかし、人感センサの設置数やこれに伴う検知範囲の区分けは、これに限られない。照明システム10によって人感センサ連動制御を行なう照明対象領域の大きさと、人感センサ3の検知可能な範囲とに応じて、適切な数の人感センサ3が設置されればよく、また、設置された各人感センサ3の検知可能な範囲に応じて適切な検知範囲を設定し、この検知範囲に適切な数の照明器具5を設置すればよい。
【0070】
また、実施の形態1~3では、人感センサ3の検知範囲12に配置された照明器具5を第1グループに属する照明器具5として登録する場合について説明した。しかし、これに限られず、人感センサ3それぞれの検知範囲12のそれぞれに対応する対応領域内に設置された照明器具5のグループを第1グループとし、その対応領域のそれぞれに隣接する一定の範囲内に設置された照明器具5のグループを第2グループとして、人感センサ3それぞれに対応付けて登録した構成としてもよい。
【0071】
このような構成は、例えば、人感センサ3の検知範囲12と照明器具5の設置範囲とがずれている場合に適用できる。具体的に、この場合、人感センサ3の第1グループの範囲である対応領域を、照明器具の設置範囲と一致するように設定し、それに隣接する一定の範囲を第2グループの設定範囲とすればよい。また、例えば、人感センサ3が入り口に配置され、部屋中央に配置された照明器具を点灯するような場合、部屋中央付近を対応範囲とし、それに隣接する一定の範囲を、第2グループの設定範囲とすることができる。このような構成により、人感センサ3の在検知により照明したいエリアを対応づけることができ、照明したいエリアを中心とするなだらかな照度分布を形成することができる。
【0072】
また、第2グループの設定範囲である検知範囲(又は対応領域)の外側に接する一定の範囲についても、実施の形態1~3に説明した配置に限られない。
図17に、第2グループの設定例を示す。
図17に示される例では、人感センサの対応領域30に配置された4つの照明器具31は、当該人感センサの第1グループに属する照明器具として登録される。そして、この対応領域30の外側の2列分の照明器具32及び33が、第2グループに属する照明器具として登録される。
【0073】
更に、
図17の例では、第2グループの照明器具32及び33のうち、対応領域30(又は検知範囲)に近い範囲34に属する照明器具32は、対象領域30に遠い範囲35に属する照明器具33は、異なる調光率で調光する構成とすることができる。例えば、対応領域30の第1グループの照明器具31が第1調光率で点灯される場合、第2グループのうち照明器具のうち、第1グループに近い範囲34にある照明器具32は第2調光率で点灯され、更に外側の範囲35にある照明器具33は第3調光率で調光される。このとき、第2調光率は、第1調光率と第3調光率との間の値に設定される。より具体的に例えば、第1調光率を100%、第2調光率を50%、第3調光率を20%とする。これにより、対応領域30(又は検知範囲)を中心として、より細かな照度分布を実現することができる。
【0074】
また、第2のグループを2列以上に配列した構成の場合、第2グループの中で、格子状に第2調光率とする照明と、第3調光率とする照明とを配置させてもよい。あるいは、第2グループのなかで、点灯する照明と点灯しない照明とを格子状に配置した構成としてもよい。なお、格子状とは、ある照明器具と、その左右及び上下の照明器具とが、異なる調光率(調光率ゼロの場合も含む)に設定されることを意味する。
【0075】
また、この例では、逆に、第1調光率を低く、第2調光率、第3調光率となるにつれて高くなるように設定してもよい。より具体的に、例えば、第1調光率を20%、第2調光率を50%、第3調光率を100%とする。このように設定することにより、例えば、在検知されたエリアである足元側を暗く、在検知されたエリアから離れるに連れて明るくなるような照度分布を形成することができる。これにより、廊下や通路等を照明するような場合に、進行方向を徐々に明るくすることができ、人が進む方向を案内することができる。また、作業スペースや休息スペースを照明する場合、人がいるエリアの照明を抑えることでストレスを低減しつつ、周囲の必要な場所に向けて徐々に明るくするような設定を行うことができる。
【0076】
また、第2グループに設定される一定の範囲は、2列に限られず、3列以上の複数列に設定し、より細かく段階的に調光率を変化させる構成としてもよい。また、第2のグループに間引き点灯指令を出して制御する場合、対応領域30により近い内側の範囲と、遠い範囲とで、間引き率を異なるものとすればよい。より具体的に、第1グループの照明器具が100%で点灯される場合、第2グループのうち対応領域30に近い内側の照明器具は1つおきに点灯する間引き点灯とし、その外側の照明器具は、2つおきに点灯する間引き点灯とするようにしてもよい。
【0077】
図18に、間引き点灯を行う場合の第2グループの点灯パターンの例について説明する。
図18の例では、対応領域40内に配置された4つの照明器具41が第1のグループに属し、対応領域40の外側の一列分の範囲42内の照明器具43及び44が、第2グループに属する。更に、第2グループの照明器具43及び44は、2つのグループに分けられている。一方のグループ#xの照明器具43と他方のグループ#yの照明器具44とは1つおきに配置されている。そして、グループ#xの照明器具43は、第2の調光率で点灯され、グループ#yの照明器具44は、第2の調光率より暗い第3の調光率で点灯される。これにより、消費電力の低減を図りつつ、第2グループ内の照度の差を小さくすることができ、グレアを低減することができる。
【符号の説明】
【0078】
2 照明コントローラ、 3、3A~3I 人感センサ、 4 照度センサ、 5 照明器具、 6 壁スイッチ、 7 増幅器、 8 設定器、 9 通信線、 10 照明システム、 11 照明対象領域、 12、12A~12I 検知範囲、 21 人感センサテーブル