(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230725BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/01 401
B41J2/175 503
B41J2/175 301
B41J2/175 501
B41J2/175 121
B41J2/175 143
B41J2/175 171
(21)【出願番号】P 2019119355
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲郎
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30267(JP,A)
【文献】特開2004-203055(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103287111(CN,A)
【文献】特開2020-44726(JP,A)
【文献】特開2014-91257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気開放可能なメインタンクと、
前記メインタンクと第1流路を介して接続するインク注入口と、上下方向、及び前記上下方向に直交する直交方向に延び、可撓性を有するシートが水平方向に対面して形成されたインク収容部と、前記インク収容部のインクを流出させるインク流出口とを備えたサブパウチと、
前記サブパウチに設けられ、前記インク収容部の空気を排出するエア排出口と、
前記インク流出口と第2流路を介して接続され、前記第2流路を介して供給されるインクを吐出可能なヘッドと
を備え、
前記インク流出口は、前記インク注入口よりも下方に位置し、
前記エア排出口は、前記インク注入口よりも上方に位置すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記インク収容部は、前記インク注入口が設けられた位置から前記エア排出口が設けられた位置に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜
面を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インク収容部は、前記上下方向よりも前記直交方向に長く形成され、
前記インク注入口及び前記インク流出口は、前記サブパウチの前記直交方向の一方側に設けられ、
前記エア排出口は、前記サブパウチの前記直交方向の他方側に設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シートの前記水平方向の位置に基づき、前記インク収容部のインク残量を検知する残量検知部を備え、
前記インク注入口及び前記インク流出口は、前記サブパウチの前記直交方向の一方側に設けられ、
前記エア排出口は、前記サブパウチの前記直交方向の他方側に設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記残量検知部は、前記シートの前記直交方向の中心線よりも一方側の前記水平方向の位置に基づき、前記インク収容部の前記インク残量を検知すること
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記残量検知部は、
前記シートの前記上下方向及び前記直交方向の中央における前記水平方向の動きに連動する可動片と、
前記可動片の位置に基づき、前記インク収容部の前記インク残量を検知するセンサと
を備えたこと
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記上下方向に立設され、片面に、前記水平方向に対面する前記シートのうち何れか一方のシートを固定する固定板を備えたこと
を特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記一方のシートにおける前記固定板の前記片面に固定される位置は、前記シートの前記上下方向及び前記直交方向の中央であること
を特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記インク収容部は、前記水平方向に対面する前記シートの夫々の前記上下方向の端部同士、及び夫々の前記直交方向の端部同士が互いに接続されることによって形成されたこと
を特徴とする請求項1から8の何れか一に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記エア排出口は、第三流路を介して前記メインタンクに接続されたこと
を特徴とする請求項1から9の何れか一に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記シートの前記水平方向の位置に基づき、前記インク収容部のインク残量を検知する残量検知部と、
前記第1流路に設けられ、前記メインタンク内のインクを前記サブパウチに供給するポンプと、
前記第三流路に設けられ、当該第三流路を開閉するバルブと、
前記ポンプと前記バルブを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記残量検知部が、前記インク残量が所定量である第1状態を超える第2状態を検知するまで、前記バルブを開放した状態で前記ポンプを駆動し、
前記残量検知部が前記第2状態を検知した場合、前記ポンプを停止し、
前記ポンプの停止後、前記残量検知部が前記第1状態を検知した場合、前記バルブを閉じること
を特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録ヘッドとメインタンクの間にサブタンクを設けたインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。サブタンクは、インク注入口とインク流出口を備える。インク注入口は、メインタンクから流路を介して供給されるインクをサブタンクに注入する。インク流出口は、サブタンク内のインクを、流路を介して記録ヘッドに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水頭差を利用してサブタンクから記録ヘッドにインクを供給する為に、サブタンクは、可撓性を有する素材で形成されたサブパウチが好ましい。サブタンクが剛性のある素材で形成された場合、インク残量によりサブタンク内の液面高さが変わるので、水頭が変わってしまう。これに対し、可撓性を有するサブパウチは、インク残量に応じて水平方向に膨らむことから、液面の位置が変わりづらいので、水頭を一定に保ちやすい。ところが、メインタンクに空気が混入すると、この空気がインクと一緒にサブパウチに混入する可能性がある。インクに混入した空気が記録ヘッドに供給されると、記録ヘッドからインクが吐出されない原因になる。故にサブパウチには、サブパウチ内の空気を外部に排出する為のエア排出口を設けるのが好ましい。しかしながら、サブパウチにおけるインク注入口、インク流出口、エア排出口の相互の位置関係によっては、サブパウチ内の空気がエア排出口に向かう前に、インク流出口に流れ込み、記録ヘッドまで供給される可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、メインタンクとヘッドの間にサブパウチを備え、該サブパウチからヘッドに向けて空気が供給される可能性を低減できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の画像形成装置は、大気開放可能なメインタンクと、前記メインタンクと第1流路を介して接続するインク注入口と、上下方向、及び前記上下方向に直交する直交方向に延び、可撓性を有するシートが水平方向に対面して形成されたインク収容部と、前記インク収容部のインクを流出させるインク流出口とを備えたサブパウチと、前記サブパウチに設けられ、前記インク収容部の空気を排出するエア排出口と、前記インク流出口と第2流路を介して接続され、前記第2流路を介して供給されるインクを吐出可能なヘッドとを備え、前記インク流出口は、前記インク注入口よりも下方に位置し、前記エア排出口は、前記インク注入口よりも上方に位置することを特徴とする。
【0007】
インク注入口からインク収容部に注入された空気、及びインク収容部に事前に収容されていた空気は上昇するので、下方に位置するインク流出口に向かわずに、エア排出口に向かい易い。故に画像形成装置はメインタンクとサブパウチを備えていても、サブパウチからヘッドに空気が供給される可能性を低減できる。また、サブパウチのインク収容部は、上下方向と直交方向に延びるシートが水平方向に対面して形成されるので、サブパウチを縦置きに配置できる。故に画像形成装置は、複数のサブパウチを縦置きにして水平方向に並べて配置することで、横置きにして水平方向に並べて配置した場合に比べ、水平方向のスペースを減らすことができる。
【0008】
また、前記インク収容部は、前記インク注入口が設けられた位置から前記エア排出口が設けられた位置に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面を備えてもよい。
【0009】
インク注入口から空気がインク収容部に流入した場合、インク収容部では、空気が傾斜面に沿って上昇するので、エア排出口に向かい易い。故に画像形成装置は、インク収容部内の空気を、エア排出口から容易に排出させることができる。
【0010】
また、前記インク収容部は、前記上下方向よりも前記直交方向に長く形成され、前記インク注入口及び前記インク流出口は、前記サブパウチの前記直交方向の一方側に設けられ、前記エア排出口は、前記サブパウチの前記直交方向の他方側に設けられてもよい。
【0011】
インク収容部は上下方向よりも直交方向に長く、インク注入口とインク流出口は、サブパウチの直交方向の一方側、エア排出口は他方側に設けられる。故に一方側に位置するインク注入口とインク流出口の上下方向に離間する距離に比べ、一方側に位置するインク注入口と他方側に位置するエア排出口の直交方向に離間する距離の方が長くなる。故にインク注入口から注入されたインクは、インク注入口と同じ側にあるインク流出口から流出し易くなる。一方、インク注入口からエア排出口までの距離が長いことから、インク注入口から注入されたインクは、エア排出口にまで到達し難い。インク残量の減少に伴い、インク収容部内のインクはエア排出口から離れることから、サブパウチは、エア排出口から空気と共に排出されるインクの量を減らすことができる。
【0012】
また、本態様は、前記シートの前記水平方向の位置に基づき、前記インク収容部のインク残量を検知する残量検知部を備え、前記インク注入口及び前記インク流出口は、前記サブパウチの前記直交方向の一方側に設けられ、前記エア排出口は、前記サブパウチの前記直交方向の他方側に設けられてもよい。
【0013】
インク注入口とインク流出口は、サブパウチの直交方向の一方側に設けられるので、インク流出口をサブパウチの直交方向の他方側に設けたものに比べ、インク注入口からインク流出口までの距離を短くできる。仮にインク流出口を他方側に設けると、インク注入口からインク流出口までの距離が長くなり、インク流出口に到達するまでの時間が長くなってしまう。本態様では、インク注入口からインク流出口までの距離が短いので、サブパウチが大きくても、インクをインク流出口に速やかに到達させることができる。更に、インク注入口からインク流出口までの距離が短いので、インク流出口を他方側に設けたものに比べ、シートは水平方向に膨らみ易くなる。故に残量検知部は、シートに生じた皺ではなく、インク残量によって変化する膨らみでインク残量を精度よく検知できる。故に画像形成装置は、残量検知部によるインク残量の検知精度を向上できる。
【0014】
また、前記残量検知部は、前記シートの前記直交方向の中心線よりも一方側の前記水平方向の位置に基づき、前記インク収容部の前記インク残量を検知してもよい。
【0015】
インク注入口から注入されたインクは、インク収容部に一旦収容された後、インク注入口と同じ一方側に位置するインク流出口からヘッドに向けて流出する。残量検知部は、シートの直交方向の中心線よりも一方側の水平方向の位置に基づき、インク収容部のインク残量を間接的に検知する。シートの直交方向の中心線よりも一方側は、他方側に比べ、インク注入口からのインクの流入、及びインク流出口からのインクの流出に応じて速やかに膨らみ、又は萎む部分である。他方側は、インク注入口及びインク流出口から離間するので、一方側に比べ、インク注入口からのインクの流入、及びインク流出口からのインクの流出に対して、形状が変化するのが遅い。残量検知部は、シートの一方側の水平方向の位置に基づき、インク収容部のインク残量を検知するので、他方側の水平位置に基づき、インク残量を検知する場合に比べ、インク収容部内のインク残量が変化した時から、変化後のインク残量を検知する時までの時間差を少なくできる。
【0016】
また、前記残量検知部は、前記シートの前記上下方向及び前記直交方向の中央における前記水平方向の動きに連動する可動片と、前記可動片の位置に基づき、前記インク収容部の前記インク残量を検知するセンサとを備えてもよい。
【0017】
膨らみが大きいシートの中央における水平方向の動きに可動片が連動し、センサが該可動片の位置に基づき、インク収容部内のインク残量を検知する。故に画像形成装置は、残量検知部によるインク残量の検知精度を向上できる。なお、「シートの上下方向及び直交方向の中央」とは、シートの周端部を除く中央の領域であって、シートの上下方向及び直交方向の中心点とその周囲を含む領域を意味する。
【0018】
また、本態様は、前記上下方向に立設され、片面に、前記水平方向に対面する前記シートのうち何れか一方のシートを固定する固定板を備えてもよい。
【0019】
サブパウチは縦置きに配置され、水平方向に対面するシートのうち何れか一方のシートが、固定板の片面に固定されるので、画像形成装置は縦置きに配置されたサブパウチの姿勢を安定化できる。サブパウチの姿勢が安定化するので、インク残量に応じてサブパウチは水平方向において安定して膨らみ、又は萎むことができる。故に画像形成装置は、残留検知部によるインク残量の検知精度を向上できる。なお、縦置きとは、サブパウチを垂直に立てて配置した状態を意味する。
【0020】
また、前記一方のシートにおける前記固定板の前記片面に固定される位置は、前記シートの前記上下方向及び前記直交方向の中央であってもよい。
【0021】
固定板の片面に対して、シートの上下方向及び直交方向の中央が固定されるので、画像形成装置は、サブパウチの姿勢をバランス良く更に安定化できる。故に画像形成装置は、残留検知部によるインク残量の検知精度を更に向上できる。
【0022】
また、前記インク収容部は、前記水平方向に対面する前記シートの夫々の前記上下方向の端部同士、及び夫々の前記直交方向の端部同士が互いに接続されることによって形成されてもよい。
【0023】
インク収容部は、水平方向に対面するシートの夫々の上下方向の端部同士、及び夫々の直交方向の端部同士が互いに接続されることによって形成される。故に画像形成装置は、サブパウチの姿勢を更に安定化できるので、残留検知部によるインク残量の検知精度を更に向上できる。
【0024】
また、前記エア排出口は、第三流路を介して前記メインタンクに接続されてもよい。
【0025】
仮にエア排出口から空気と共にインクが排出されたとしても、画像形成装置は、第三流路を介してメインタンクに回収できる。
【0026】
また、本態様は、前記シートの前記水平方向の位置に基づき、前記インク収容部のインク残量を検知する残量検知部と、前記第1流路に設けられ、前記メインタンク内のインクを前記サブパウチに供給するポンプと、前記第三流路に設けられ、当該第三流路を開閉するバルブと、前記ポンプと前記バルブを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記残量検知部が、前記インク残量が所定量である第1状態を超える第2状態を検知するまで、前記バルブを開放した状態で前記ポンプを駆動し、前記残量検知部が前記第2状態を検知した場合、前記ポンプを停止し、前記ポンプの停止後、前記残量検知部が前記第1状態を検知した場合、前記バルブを閉じてもよい。
【0027】
インク収容部内のインク残量が第1状態を超えた第2状態になるまで、制御部は、バルブを開放した状態でポンプを駆動する。故に画像形成装置は、インクと共にインク収容部に注入される空気、及びインク収容部に事前に収容されている空気を、第三流路を介してメインタンクに回収できる。ポンプの停止後、制御部は、第1状態を検知した場合、バルブを閉じるので、第三流路内の空気がサブパウチに逆流するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】印刷装置1のカラーインクの流路構成を示す図である。
【
図3】左右方向に並ぶサブパウチユニット81~84の斜視図である。
【
図6】サブパウチとカバー部材を省略したサブパウチユニット81の左側面図である。
【
図7】サブパウチユニット81が傾斜して設置された状態を示す左側面図である。
【
図8】サブパウチ8Aが空状態の時のサブパウチユニット81の正面図である。
【
図9】サブパウチ8Aが満状態の時のサブパウチユニット81の正面図である。
【
図10】サブパウチ8Aがエア排出状態の時のサブパウチユニット81の正面図である。
【
図11】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態の印刷装置1について、図面を参照して説明する。
図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、及び左上方が、夫々、印刷装置1の上方、下方、前方、後方、右方、及び左方である。
【0030】
図1を参照し、印刷装置1の概要について説明する。印刷装置1は、Tシャツ等の布帛、紙等の被記録媒体に、インク68(
図2参照)をヘッド部67(
図2参照)のノズル(図示せず)から吐出して印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷装置1は、例えば、互いに異なる5種のインク68(ホワイト(W)、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M))を下方へ向けて吐出することで、被記録媒体にカラー画像を印刷する。以下説明では、5種のインク68のうち、ホワイトのインク68を白インクといい、ブラック、シアン、イエロー、及びマゼンタの4色のインク68を総称する場合はカラーインクという。白インクは、カラーインクよりも沈降性の高いインクである。
【0031】
印刷装置1は、筐体2、プラテン駆動機構6、一対のガイドレール(図示せず)、プラテン5、トレイ4、枠体10、ガイドシャフト9、レール7、キャリッジ20、ヘッドユニット100,200、駆動ベルト101、及び駆動モータ19を備える。筐体2の右側前方の位置には、印刷装置1の操作を行う為の操作部(図示せず)が設けられる。操作部は、作業者が印刷装置1の各種動作に関する指示を入力する際に操作される。なお、操作部における操作は、印刷装置1に接続されたPC等の端末における操作でもよい。
【0032】
枠体10は、平面視略長方形の枠状であり、筐体2の上部に設置される。枠体10は、前方側にガイドシャフト9を、後方側にレール7を夫々支持する。ガイドシャフト9は、枠体10内側において左右方向に延びる。レール7は、ガイドシャフト9に対向して配置され、左右方向に延びる。
【0033】
キャリッジ20は、ガイドシャフト9に沿って左右方向に搬送可能に支持されている。ヘッドユニット100,200は、前後方向に並べられてキャリッジ20に搭載されている。ヘッドユニット100は、ヘッドユニット200よりも後方に位置する。ヘッドユニット100,200は、夫々、ヘッド部67(
図2参照)を下部に備える。ヘッドユニット100のヘッド部67は、白インクを吐出する。ヘッドユニット200のヘッド部67は、カラーインクを吐出する。ヘッド部67は、インク68を下方に吐出可能な微細なノズル(図示せず)を複数有する面を備えている。
【0034】
駆動ベルト101は、枠体10の内側において、左右方向に沿って架け渡される。駆動モータ19は、駆動ベルト101を介して、キャリッジ20と連結されている。駆動モータ19が駆動ベルト101を駆動することにより、ガイドシャフト9に沿ってキャリッジ20が左右方向に往復移動される。
【0035】
プラテン駆動機構6は、一対のガイドレール(図示せず)及びプラテン支持台(図示せず)を備える。一対のガイドレールは、プラテン駆動機構6の内側を前後方向に延び、プラテン支持台を前後方向に移動可能に支持する。プラテン支持台は、上部においてプラテン5を支持する。プラテン5は、被記録媒体を支持する。プラテン5の下方には、トレイ4が設けられる。トレイ4は、作業者がTシャツ等をプラテン5に載置する際に、Tシャツのそで等を受けることで、このそで等が筐体2内部の他の部品に接触しないように保護する。プラテン駆動機構6は、副走査駆動部(図示せず)によって駆動され、プラテン支持台及びプラテン5を、一対のガイドレールに沿って、前後方向に移動する。プラテン5が、被記録媒体を前後方向(副走査方向)に搬送し、左右方向(主走査方向)に往復移動するヘッド部67からインク68が吐出されることで、印刷装置1による被記録媒体への印刷が行われる。
【0036】
図2,
図3を参照し、ヘッドユニット200にカラーインクを供給する為の流路構成について説明する。なお、ヘッドユニット100に白インクを供給する為の流路構成(図示せず)も、
図2と同様の構成でもよい。
図2に示すように、ヘッドユニット200のヘッド部67は、インクジェット式の4つのヘッド671,672,673,及び674を備える。ヘッド671はブラックのインクを吐出し、ヘッド672はイエローのインクを吐出し、ヘッド673はシアンのインクを吐出し、ヘッド674はマゼンタのインクを吐出する。印刷装置1は、ヘッド671~674毎に、インク供給部700とメインタンク30を備える。なお、
図2では、ヘッド671に対応するインク供給部700とメインタンク30のみ図示し、それ以外は省略する。
【0037】
ヘッド671に対応するインク供給部700は、ブラックのインク68をヘッド671に供給する。メインタンク30は、筐体2の左下側の内部に配置される。メインタンク30は、ブラックのインク68をインク供給部700へ供給し、インク供給部700から戻るインク68を収容する。メインタンク30の上部には、補充口31と開口部32が設けられる。補充口31を介して、メインタンク30にインク68が補充される。補充口31には、蓋311が設けられる。開口部32には、後述するタンク側供給流路26の上流側一端部と、後述するタンク側戻し流路28の下流側一端部が挿入される。メインタンク30は、補充口31を通じて大気開放される。
【0038】
インク供給部700は、サブパウチユニット81(
図3,
図4参照)、タンク側供給流路26、ヘッド側供給流路27、タンク側戻し流路28、脱気部60、ポンプ711、減圧ポンプ601、電磁弁57,58及びフィルタ93,94を備える。サブパウチユニット81は支持台(図示せず)に設けられ、袋状のサブパウチ8Aを支持する。支持台は、例えば筐体2(
図1参照)の右側に設けられればよい。なお、サブパウチユニット81の具体的な構造については、後述する。タンク側供給流路26、ヘッド側供給流路27、及びタンク側戻し流路28は、例えば、中空状のチューブによって形成される。タンク側供給流路26は、メインタンク30とサブパウチ8Aとに接続し、メインタンク30からサブパウチ8Aに向けてインク68を供給する。
【0039】
サブパウチ8Aは、メインタンク30からタンク側供給流路26を介して供給されるブラックのインク68を収容する。ヘッド側供給流路27は、サブパウチ8Aとヘッド671とに接続し、サブパウチ8Aからヘッド671に向けてインク68を供給する。タンク側戻し流路28は、サブパウチ8Aとメインタンク30に接続し、サブパウチ8Aからインク68をメインタンク30に戻す。後述するが、補充口31からメインタンク30にインク68を補充する際に混入する空気、または初期設置時にサブパウチ8Aにある空気はタンク側戻し流路28を介してメインタンク30に戻る。よって、空気がヘッド側供給流路27を介してヘッド671に供給される可能性は低減する。
【0040】
脱気部60は、タンク側供給流路26の途中に設けられる。脱気部60には、減圧ポンプ601が接続される。脱気部60は、タンク側供給流路26を流れるインク68を減圧ポンプ601で脱気することにより、インク68に混在する空気を減らす。ポンプ711は、タンク側供給流路26における脱気部60よりも上流側に設けられ、メインタンク30に収容するインク68をサブパウチ8Aに向けて送出する。
【0041】
電磁弁57は、タンク側供給流路26における脱気部60よりも下流側に設けられ、タンク側供給流路26を開閉する。電磁弁58は、タンク側戻し流路28の途中に設けられ、タンク側戻し流路28を開閉する。フィルタ93は、タンク側供給流路26におけるポンプ711よりも上流側に設けられる。フィルタ94は、ヘッド側供給流路27に設けられる。フィルタ93,94は、タンク側供給流路26及びヘッド側供給流路27を流れるインク68に含まれる異物を除去する。
【0042】
図3に示すように、印刷装置1は、支持台(図示せず)に、4つのサブパウチユニット81~84を備える。サブパウチユニット81~84は左右方向に並んで設けられ、ヘッド671~674の夫々に対応して設置される。サブパウチユニット81はサブパウチ8Aを支持する。サブパウチ8Aはブラックのインク68を収容する。サブパウチユニット82はサブパウチ8Bを支持する。サブパウチ8Bはイエローのインク68を収容する。サブパウチユニット83はサブパウチ8Cを支持する。サブパウチ8Cはシアンのインク68を収容する。サブパウチユニット84はサブパウチ8Dを支持する。サブパウチ8Dはマゼンタのインク68を収容する。サブパウチユニット81~84は、サブパウチ8A~8Dを縦置きの状態で支持する。なお、本実施形態において、縦置きとは、サブパウチ8A~8Dを垂直に立てて配置した状態を意味する。
【0043】
図3~
図8を参照し、サブパウチユニット81の構造について説明する。サブパウチユニット81~84は同一構造なので、本実施形態は、サブパウチユニット81の構造のみ説明し、その他のサブパウチユニット82~84の構造の説明は省略する。本実施形態は、説明の便宜上、サブパウチユニット81及びサブパウチ8Aの前後、左右、上下の各方向を、
図3~
図10中に示す方向で定義する。なお、
図1中に示す左右方向および前後方向と、
図3~
図10中に示す左右方向および前後方向は、必ずしも一致しないが、上下方向は一致する
【0044】
図3、
図4に示すように、サブパウチユニット81は、サブパウチ8A、支持板70、パウチ固定板110、カバー部材120、残量検知部900を備える。残量検知部900は、サブパウチ8Aのインク残量を検知するものであり、第1残量センサ95、第2残量センサ96、支持台91、可動片90等を備える。
【0045】
図5に示すように、サブパウチ8Aは、側面視前後方向に長い矩形状に形成される。サブパウチ8Aは、例えば、可撓性を有する矩形状の2枚の第1シート801と第2シート802が左右方向に対面し、夫々の上端部同士、下端部同士、右端部同士、左端部同士が互いに接着されることにより袋状に形成される。第1シート801は左側、第2シート802は右側に位置する(
図8参照)。サブパウチ8Aの内側には、インク68を収容可能な袋状のインク収容部89が形成される。インク収容部89は側面視矩形状で、上下方向よりも前後方向に長く形成される。
【0046】
サブパウチ8Aの前端部の下半分には、垂直端部851が設けられ、前端部の上半分には、傾斜端部852が設けられる。垂直端部851は、上下方向に延びる。傾斜端部852は、垂直端部851の上部から後側に向けて上方に傾斜し、サブパウチ8Aの上端部と接続する。傾斜端部852には、インク注入口86が設けられる。インク注入口86には、タンク側供給流路26(
図1参照)の下流側端部が接続される。垂直端部851には、インク流出口87が設けられる。インク流出口87には、ヘッド側供給流路27(
図1参照)の上流側端部が接続される。サブパウチ8Aは、ヘッド671との水頭差を利用して、インク流出口87及びヘッド側供給流路27を介して、ヘッド671にインク68を供給する。サブパウチ8Aの上端部の後部には、エア排出口88が設けられる。エア排出口88には、タンク側戻し流路28(
図1参照)の上流側端部が接続される。
【0047】
図3、
図4に示すように、支持板70は、後方から見てL字状に形成される。支持板70は、横板71と縦板72を備える。横板71は、前後方向に細長い矩形状に形成される。横板71の前後方向の中央には、前後方向に延びるスリット71Aが設けられる。縦板72は、横板71の右端部から垂直上方に立設され、側面視前後方向に長い矩形状に形成される。縦板72の前端部の上下方向中央には、突出部103が設けられる。突出部103は、前方に向かって側面視矩形状に突出する。突出部103の上端部には、センサ支持板104が設けられる。センサ支持板104は、左方に向かって延びる矩形状に形成される。
【0048】
第1残量センサ95と第2残量センサ96は、センサ支持板104の下面に固定される。支持板70を前方から見たときに、第1残量センサ95は左側、第2残量センサ96は右側に配置される(
図8参照)。第1残量センサ95は、発光部951と受光部952を前後方向に離間して備える(
図4参照)。発光部951は前側、受光部952は後側に配置される。第1残量センサ95は、発光部951から発光された赤外線を受光部952で受光可能な光センサである。第2残量センサ96は、第1残量センサ95と同様に、発光部961と受光部(図示せず)を備える。
【0049】
パウチ固定板110は、支持板70の縦板72の左面に固定される。パウチ固定板110は、支持板70にサブパウチ8Aを固定する。支持板70は、パウチ固定板110を介してサブパウチ8Aを支持する。パウチ固定板110は、サブパウチ8Aよりも大きく、側面視前後方向に長い矩形状に形成される。パウチ固定板110の下端部は、縦板72の下端部に配置され、パウチ固定板110の後端部は、縦板72の後端部に配置され、パウチ固定板110の上端部は、縦板72の上端部よりも下側に配置され、パウチ固定板110の前端部は、縦板72の突出部103の後端部に配置される。
【0050】
サブパウチ8Aは、パウチ固定板110の左面に固定される。パウチ固定板110の左面において、パウチ固定板110の前端部の下側には側面視矩形状の凹部111が設けられ、前端部の上側には側面視矩形状の凹部112が設けられ、上端部分の後側には側面視矩形状の凹部113が設けられる。凹部111~113は、支持板70の縦板72側に凹んで形成される。凹部111、112、及び113は、サブパウチ8Aのインク注入口86、インク流出口87、及びエア排出口88の各位置に対応する。
【0051】
図3、
図6に示すように、パウチ固定板110の左面において、上端部における前後方向の中央には、突出部115が設けられる。突出部115は、左方に向けて突出する側面視前後方向に長い矩形状に形成される。突出部115の前側には固定穴116が設けられ、後側には固定穴117が設けられる。パウチ固定板110の左面において、後端側の上下方向中央には、左方に突出する当接部118が設けられ、前端側における上下方向略中央で、且つ凹部111と凹部112の間には、左方に突出する当接部119が設けられる。当接部118、119は、側面視矩形状に形成される。当接部118,119は、パウチ固定板110に固定されたサブパウチ8Aの第1シート801の外面と当接する。
【0052】
図3、
図4に示すように、カバー部材120は、パウチ固定板110の左面側にネジ(図示せず)で取り付けられる。カバー部材120は、覆い部121、突出部122、及び固定部123を備える。覆い部121は側面視矩形状に形成され、その前端部は側面視逆L字状に形成される。突出部122は、覆い部121の上端部から右方に突出し、前後方向に長い細長矩形状に形成される。固定部123は、突出部122の右端部から垂直上方に突出し、前後方向に長い細長矩形状に形成される。固定部123の前側には、固定穴125が設けられ、固定部123の後側には、固定穴126が設けられる。固定穴125、126は、パウチ固定板110の突出部115に設けた固定穴116、117の各位置に対応する。
【0053】
覆い部121の下端部は、支持板70の横板71に設けたスリット71Aに上方から差し込まれる(
図3参照)。固定部123は、パウチ固定板110の突出部115の左面に当接する。固定部123の固定穴125、126は、突出部115の固定穴116、117に位置決めされる。固定穴125、126、及び固定穴116、117に2本のネジ(図示せず)が締結されることにより、固定部123は、パウチ固定板110の突出部115に固定される。これにより、カバー部材120は、支持板70及びパウチ固定板110に取り付けられる。カバー部材120は、パウチ固定板110に固定されたサブパウチ8Aを左方から覆うことで、サブパウチ8Aを保護する。
【0054】
支持台91は、支持板70の横板71の上面を前後方向に二等分する中心線(図示しない)よりも前側に設けられる。支持台91は、底板911、前板912、後板913、及び揺動軸914を備え、左右方向から見てU字状に形成される。底板911は、横板71の上面に固定され、矩形状に形成される。前板912は、底板911の前端部に垂直上方に立設される。後板913は、底板911の後端部に垂直上方に立設される。揺動軸914は、前板912と後板913の間に渡設される。前板912の左端部の上部には、ストッパ915が設けられる。ストッパ915は、後方に向けて突出し、右方から見て矩形状に形成される。
【0055】
可動片90は側面視L字状に形成され、上方延設部90Aと前方延設部90Bを備える。上方延設部90Aは、下端部901から上方に延び、側面視上下方向に長い矩形状に形成される。前方延設部90Bは、上方延設部90Aの上端部から前方に上り傾斜した後、前方に延び、側面視前後方向に長い矩形状に形成される。前方延設部90Bの先端部902は、支持板70のセンサ支持板104の下方に配置される。上方延設部90Aの右面の上部には、右方に突出する当接部905(
図3,
図4参照)が設けられる。当接部905は側面視左右方向に長い矩形状に形成される。当接部905は、サブパウチ8Aの左側に位置する第1シート801に当接する。
【0056】
可動片90の下端部901は、揺動軸914に揺動可能に軸支される。故に可動片90は、揺動軸914を中心に左右方向に揺動可能である。ストッパ915は、可動片90が左方に揺動した時、上方延設部90Aの左面に当接することで、可動片90の左側への揺動を規制する。なお、可動片90は揺動軸914に軸支された状態では、重心が右方に位置するので、可動片90は常時右方に倒れ込む。故に当接部905は、サブパウチ8Aの膨らみの程度に関係なく、第1シート801に常時当接する。
【0057】
図8に示すように、前方延設部90Bの先端部902の上面には、第1遮光板131及び第2遮光板132が左右方向に離間して立設される。先端部902を正面から見たとき、第1遮光板131は左側、第2遮光板132は右側に配置される。第1遮光板131は正面視矩形状に形成され、第2遮光板132は、第1遮光板131よりも幅の短い正面視矩形状に形成される。第1遮光板131は、可動片90の左右方向の揺動に応じて、第1残量センサ95の発光部951と受光部952の間を左右方向に移動可能に配置される(
図4参照)。第2遮光板132は、可動片90の左右方向の揺動に応じて、第2残量センサ96の発光部961と受光部962の間を左右方向に移動可能に配置される。
【0058】
図3~
図6を参照し、パウチ固定板110へのサブパウチ8Aの固定方法の一例について説明する。サブパウチ8Aは、パウチ固定板110の左面に両面テープ300で固定される(
図6参照)。両面テープ300は矩形状である。
図5に示すように、両面テープ300は、サブパウチ8Aの第2シート802の上下方向及び前後方向の中央であって、より好ましくは、サブパウチ8Aを前後方向において二等分する中心線P(以下、前後方向の中心線Pと呼ぶ)よりも前側の領域である前側部A1に固定するとよい。なお、上下方向及び前後方向の中央とは、第2シート802の前端部、後端部、上端部、及び下端部を除く中央の領域であって、例えば領域Q(
図4,
図5参照)である。
【0059】
作業者は、両面テープ300を、第2シート802の外面における中央の前側部A1に貼着する。作業者は、第2シート802の外面をパウチ固定板110の左面に向けた状態で、インク注入口86、インク流出口87、及びエア排出口88を、凹部111、112、及び113に位置決めする(
図6参照)。次いで、第2シート802の外面を、両面テープ300を介して、パウチ固定板110の左面に固定する。次いで、インク注入口86、インク流出口87、及びエア排出口88を、凹部111、112、及び113に固定する。このようにして、サブパウチ8Aは、パウチ固定板110に固定される(
図3、
図4参照)。パウチ固定板110の左面から突出する当接部118、119は、第2シート802の後端側と前端側に夫々当接する。
【0060】
図7を参照し、サブパウチユニット81の設置角度について説明する。サブパウチユニット81は、例えば筐体2(
図1参照)の右側に設けた支持台(図示せず)に支持される。この時、支持台はサブパウチユニット81の後端側が前端側よりも高くなるように、水平面に対して角度α傾斜してサブパウチユニット81を支持する。傾斜角度αは例えば12°である。サブパウチユニット81を傾斜させることで、サブパウチ8Aも同一角度で傾斜する。これにより、インク収容部89の上端部には、インク注入口86の位置からエア排出口88の位置に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面891が形成される。サブパウチ8Aは、その周端部が接着されていることで、それ以外の中央の領域Qにおいて、インク残量に応じて膨らみ量が多くなるが、サブパウチ8Aは前端側が低く、後端側が高くなるように傾斜するので、インク収容部89内に収容されたインク68は前端側に移動する。これにより、サブパウチ8Aは、領域Qにおいて、前後方向の中心線Pよりも後側の領域である後側部A2よりも、前側部A1の方が膨らみ易い。なお、その他のサブパウチユニット82~84も、サブパウチユニット81と同様に傾斜させるとよい。
【0061】
図4、
図8~
図10を参照し、サブパウチ8Aにおけるインク残量の検出方法について説明する。サブパウチ8Aは、第2シート802がパウチ固定板110に固定されるので、サブパウチ8Aの膨らみに応じて、第1シート801の中央が左右方向に移動する。
図4に示すように、可動片90の当接部905(
図3参照)は、第1シート801の外面における中央の領域Qであって、前側部A1の上下方向及び前後方向の中央に当接する。第1シート801の中央の領域Qは、膨らみ量の大きい領域である。その領域Qの中で、前側部A1は、後側部A2に比べ、インク注入口86からのインクの流入、及びインク流出口87からのインクの流出に応じて速やかに膨らみ、又は萎む部分である。故に可動片90は、インクの流入および流出に基づく第1シート801の前側部A1の中央の移動に連動して左右方向に揺動可能である。
【0062】
印刷装置1は、可動片90の揺動位置に基づき、サブパウチ8Aのインク残量について3つの状態を検出できる。3つの状態とは、空状態、満状態、エア排出状態である。空状態は、サブパウチ8Aにおけるインク残量が第1所定量以下の状態である。満状態は、インク残量が第1所定量よりも多い第2所定量の状態である。エア排出状態は、インク残量が第2所定量よりも更に多い第3所定量の状態である。
【0063】
図8に示すように、サブパウチ8Aが空状態のとき、第1シート801の膨らみは小さいので、可動片90はパウチ固定板110側である右方に大きく傾く。サブパウチユニット81を前方から見たとき、可動片90の第1遮光板131は、第1残量センサ95と第2残量センサ96の間に位置し、第2遮光板132は、第2残量センサ96よりも右方に位置する。このとき、第1残量センサ95及び第2残量センサ96は、第1遮光板131及び第2遮光板132を夫々検出しない。故に印刷装置1は、第1残量センサ95及び第2残量センサ96の夫々の検出結果に基づき、サブパウチ8Aは空状態と判定する。
【0064】
図9に示すように、サブパウチ8Aが満状態のとき、
図8に示す空状態のときに比べ、第1シート801の膨らみは大きい。このことから、可動片90は、パウチ固定板110側とは反対側である左方に少し傾く。サブパウチユニット81を前方から見たとき、可動片90の第1遮光板131は、第1残量センサ95の発光部951と受光部952の間に位置するが、第2遮光板132は、第2残量センサ96よりも右方に位置する。このとき、第1残量センサ95は、第1遮光板131を検出するが、第2残量センサ96は、第2遮光板132を検出しない。故に印刷装置1は、第1残量センサ95及び第2残量センサ96の夫々の検出結果に基づき、サブパウチ8Aは満状態と判定する。
【0065】
図10に示すように、サブパウチ8Aがエア排出状態のとき、満状態のときに比べ、第1シート801の膨らみは更に大きくなる。このことから、可動片90は更に左方に傾き、略垂直に立った状態となる。サブパウチユニット81を前方から見たとき、可動片90の第1遮光板131は、第1残量センサ95の発光部951と受光部952の間に位置し、第2遮光板132も、第2残量センサ96の発光部961と受光部962の間に位置する。このとき、第1残量センサ95及び第2残量センサ96は、第1遮光板131及び第2遮光板132を夫々検出する。故に印刷装置1は、第1残量センサ95及び第2残量センサ96の夫々の検出結果に基づき、サブパウチ8Aはエア排出状態と判定する。
【0066】
図11を参照し、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は、印刷装置1を制御するCPU41を備える。CPU41には、ROM42、RAM43、EEPROM44、ヘッド駆動部61、主走査駆動部62、副走査駆動部63、第1残量センサ95、第2残量センサ96、表示制御部51、操作処理部50、電磁弁駆動部21,22、ポンプ駆動部23,24が、バス55を介して電気的に接続されている。
【0067】
ROM42は、CPU41が印刷装置1の動作を制御する為の制御プログラム及び初期値等を記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ、及び印刷データを一時的に記憶する。EEPROM44は、各種情報を読み書き可能に記憶する。ヘッド駆動部61はインク68を吐出するヘッド部67に電気的に接続されており、ヘッド部67のヘッド671~674の各吐出チャンネルに設けられた圧電素子を駆動し、ノズル(図示せず)からインク68を吐出させる。主走査駆動部62は、駆動モータ19(
図1参照)を含み、キャリッジ20を主走査方向に移動させる。副走査駆動部63は、駆動モータ(図示せず)により、プラテン駆動機構6(
図1参照)を駆動して、プラテン5(
図1参照)を副走査方向に移動させる。
【0068】
CPU41は、表示制御部51を制御し、ディスプレイ511に画像を表示する。操作処理部50は、使用者の操作ボタン501の操作に基づく信号をCPU41に出力する。第1残量センサ95は、第1遮光板131の検出信号をCPU41に出力する。第2残量センサ96は、第2遮光板132の検出信号をCPU41に出力する。CPU41は、電磁弁駆動部21を介して電磁弁57の開閉を制御し、タンク側供給流路26を開閉する。CPU41は、電磁弁駆動部22を介して電磁弁58の開閉を制御し、タンク側戻し流路28を開閉する。CPU41は、ポンプ駆動部23を制御して、ポンプ711を駆動する。CPU41は、ポンプ駆動部24を制御して、減圧ポンプ601を駆動する。
【0069】
図12を参照し、インク注入処理について説明する。印刷装置1は、サブパウチ8A~8Dにカラーインクを注入し、且つサブパウチ8A~8D内の空気を排出することを目的としてインク注入処理を実行する。印刷装置1の電源がオンされた場合、CPU41は、ROM42から印刷装置1の印刷動作等の主制御を行うメイン処理(図示せず)のプログラム、及びインク注入処理のプログラム等を読み出し、RAM43に展開する。CPU41は展開したプログラムに従って、メイン処理、及びインク注入処理を実行する。本実施形態は、サブパウチユニット81のサブパウチ8Aにブラックのインクを注入するインク注入処理を例に説明する。
【0070】
CPU41は、操作ボタン501の操作の有無に基づき、インク初期導入の指示が有るか判断する(S10)。インク初期導入は、使用者がメインタンク30にブラックのインク68を投入し、サブパウチユニット81のサブパウチ8Aにインク68を注入する処理である。操作ボタン501の操作が有るまで(S10:NO)、CPU41はS10に戻って待機する。操作ボタン501が操作され、操作処理部50からインク初期導入の指示を受信した場合(S10:YES)、CPU41は、タンク側供給流路26の電磁弁57と、タンク側戻し流路28の電磁弁58を開き(S11)、タンク側供給流路26のポンプ711を駆動し(S12)、インク68の送液を開始する。
【0071】
メインタンク30に収容されるインク68は、タンク側供給流路26を流れ、サブパウチ8Aのインク注入口86からインク収容部89に注入される。インク収容部89内のインク量が増えるに従い、サブパウチ8Aは左右方向に膨らみ、第1シート801の前側部A1の中央は左方に移動する。第1シート801の移動に連動して、可動片90は左方に揺動する。インク注入口86からインク収容部89内にインク68が注入されるに従い、インク68はインク収容部89の後端側にまで流入し、エア排出口88付近に到達する。インク収容部89内のインク量が増えるに従い、サブパウチ8Aは膨らみ続ける。CPU41は、タンク側戻し流路28の電磁弁58を開放した状態で、ポンプ711を駆動するので、仮にエア排出口88付近のインク68の一部がエア排出口88から漏れて排出されたとしても、タンク側戻し流路28を流れて、メインタンク30に回収される。そして、ポンプ711の駆動により、インク収容部89に注入される空気、及びインク収容部89内に事前に収容されている空気は、エア排出口88からタンク側戻し流路28に排出され、メインタンク30に回収される。
【0072】
CPU41は、第1残量センサ95及び第2残量センサ96の検出結果に基づき、サブパウチ8Aがエア排出状態か判断する(S13)。第1残量センサ95及び第2残量センサ96が、第1遮光板131及び第2遮光板132の夫々を検出しなければ、サブパウチ8Aはエア排出状態でないので(S13:NO)、CPU41はS13に戻り、引き続きサブパウチ8Aへのインク68の注入を継続する。サブパウチ8Aが満状態になっても、ポンプ711の駆動により、インク収容部89にインク68を注入し続けることで、サブパウチ8Aは更に膨らみ続ける。そして、第1残量センサ95及び第2残量センサ96が、第1遮光板131及び第2遮光板132の夫々を検出した場合、サブパウチ8Aはエア排出状態(
図10参照)に達したので(S13:YES)、CPU41はポンプ711を停止し(S14)、インク68の送液を停止する。これにより、インク注入口86からインク収容部89へのインク68の注入が停止する。
【0073】
インク収容部89へのインク68の注入が停止した状態で、引き続き、インク収容部89内の空気は上昇し、傾斜面891(
図7参照)に沿って、エア排出口88に向けて流れる。空気は、エア排出口88から徐々に抜けてタンク側戻し流路28に排出される。エア排出口88から空気が排出された分、サブパウチ8Aの膨らみは減少する。第1シート801は右方に少しずつ移動するので、可動片90も、第1シート801の移動に連動して、右方に少しずつ揺動する。
【0074】
CPU41は、第1残量センサ95及び第2残量センサ96の検出結果に基づき、サブパウチ8Aは満状態になったか判断する(S15)。サブパウチ8Aが満状態になっていない場合(S15:NO)、CPU41はS15に戻り、待機する。空気がエア排出口88から排出されるに従い、可動片90は右方に少しずつ揺動する。第2遮光板132は、第1遮光板131よりも横幅が狭いので、第1遮光板131よりも先に、第2遮光板132が第2残量センサ96の位置から右方にずれる(
図9参照)。第1残量センサ95が第1遮光板131を検出し、第2残量センサ96が第2遮光板132を検出しない場合、サブパウチ8Aは満状態になったので(S13:NO)、CPU41は、タンク側戻し流路28の電磁弁58を閉じ(S16)、タンク側供給流路26の電磁弁57を閉じる。このようにして、サブパウチ8Aへのインク68の注入が完了する。
【0075】
CPU41は、副走査駆動部63により被記録媒体を支持するプラテン5を副走査方向に搬送すると共に、主走査駆動部62によりキャリッジ20を主走査方向に移動させる。CPU41はヘッド駆動部61を制御し、ヘッド部67のヘッド671~674の各吐出チャンネルに設けられた圧電素子を駆動し、ノズル(図示せず)からインク68を吐出させることにより、被記録媒体への印刷を行う。インク68の吐出に伴い、サブパウチ8Aのインク収容部89に収容するインク68が消費される。インク収容部89のインク残量の減少に伴い、サブパウチ8Aの膨らみは減少する。
【0076】
CPU41は、印刷装置1の電源がオフされか判断する(S17)。電源がオフされていない場合(S17:NO)、CPU41は、第1残量センサ95及び第2残量センサ96の検出結果に基づき、サブパウチ8Aは空状態か判断する(S18)。空状態でなければ(S18:NO)、CPU41はS18に戻り、空状態になるまで待機する。サブパウチ8Aが空状態になった場合(S18:YES)、CPU41はS11に戻り、上記処理を繰り返すことで、サブパウチ8Aにインク68を新たに補充する。印刷装置1の電源がオフされた場合(S17:YES)、CPU41は本処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1では、サブパウチ8Aにおいて、インク流出口87は、インク注入口86よりも下方に位置し、エア排出口88は、インク注入口86よりも上方に位置する。故にインク注入口86からインク収容部89に注入された空気、及びインク収容部89に事前に収容されていた空気は上昇するので、下方に位置するインク流出口87に向かわずに、エア排出口88に向かい易い。故に印刷装置1は、メインタンク30とサブパウチ8Aを備えていても、サブパウチ8Aからヘッド671に空気が供給される可能性を低減できる。また、サブパウチ8Aのインク収容部89は、上下方向と前後方向に延びる第1シート801及び第2シート802が左右方向に対面して形成されるので、サブパウチ8Aを縦置きに配置できる。故に印刷装置1は、複数のサブパウチ8A~8Dを縦置きにして左右方向に並べて配置することで、横置きにして左右方向に並べて配置した場合に比べ、左右方向のスペースを減らすことができる。
【0078】
また、インク収容部89は、傾斜面891を備える。傾斜面891は、インク注入口86が設けられた位置からエア排出口88が設けられた位置に向かうにつれて上方に傾斜する。インク注入口86から空気がインク収容部89に流入した場合、インク収容部89において、空気は傾斜面891に沿って上昇するので、エア排出口88に向かい易い。故に印刷装置1は、インク収容部89内の空気をエア排出口88から容易に排出させることができる。
【0079】
また、インク収容部89は、上下方向よりも前後方向に長く形成される。更に、インク注入口86及びインク流出口87は、サブパウチ8Aの前端側に設けられ、エア排出口88は、サブパウチ8Aの後端側に設けられる。故に前端側に位置するインク注入口86とインク流出口87の上下方向に離間する直線の距離L1(
図5参照)に比べ、インク注入口86と後端側に位置するエア排出口88の前後方向に離間する直線の距離L2(
図5参照)の方が長くなる。故にインク注入口86から注入されたインク68は、インク注入口86と同じ側にあるインク流出口87から外部に供給され易くなる。一方、インク注入口86からエア排出口88までの距離L2が長いことから、インク注入口86から注入されたインク68は、エア排出口88にまで到達し難い。インク残量の減少に伴い、インク収容部89内のインク68はエア排出口88から離れることから、サブパウチ8Aは、エア排出口88から空気と共に排出されるインク68の量を減らすことができる。
【0080】
また、印刷装置1では、残量検知部900が、サブパウチ8Aの第1シート801の左右方向の位置に基づき、インク収容部89のインク残量を検知する。インク注入口86とインク流出口87は、サブパウチ8Aの前端側に設けられるので、インク流出口87をサブパウチ8Aの後端側に設けたものに比べ、インク注入口86からインク流出口87までの距離を短くできる。仮にインク流出口87を後端側に設けると、インク注入口86からインク流出口87までの距離が長くなり、インク流出口87に到達するまでの時間が長くなってしまう。本実施形態では、インク注入口86からインク流出口87までの距離が短いので、サブパウチ8Aが大きくても、インク68をインク流出口87に速やかに到達させることができる。更に、インク注入口86からインク流出口87までの距離が短いので、インク流出口87を後端側に設けたものに比べ、第1シート801は左右方向に膨らみ易くなる。故に残量検知部900は、第1シート801に生じた皺ではなく、インク残量によって変化する膨らみでインク残量を検知できる。故に印刷装置1は、残量検知部900によるインク残量の検知精度を向上できる。
【0081】
また、印刷装置1では、インク注入口86から注入されたインク68は、インク収容部89に一旦収容された後、インク注入口86と同じ前端側に位置するインク流出口87からヘッド671に向けて流出する。残量検知部900は、第1シート801の前側部A1の左右方向の位置に基づき、インク収容部89のインク残量を間接的に検知する。
【0082】
サブパウチ8Aは、可撓性を有する第1シート801及び第2シート802で形成されるので、その膨らみ量によってインク残量を検知できるが、第1シート801のどの部分の左右方向における位置を検知するかで、インク残量の検知精度は変わる。第1シート801の前側部A1は、後側部A2に比べ、インク注入口86からのインク68の流入、及びインク流出口87からのインク68の流出に応じて速やかに膨らみ、又は萎む部分である。これに対し、後側部A2は、インク注入口86及びインク流出口87から離間するので、前側部A1に比べ、インク注入口86からのインク68の流入、及びインク流出口87からのインク68の流出に対して、形状が変化するのが遅い。そこで、残量検知部900は、第1シート801の中央のうち前側部A1の水平方向の位置に基づき、インク収容部89のインク残量を検知するので、後側部A2の左右位置に基づき、インク残量を検知する場合に比べ、インク収容部89内のインク残量が変化した時から、変化後のインク残量を検知する時までの時間差を少なくできる。
【0083】
また、印刷装置1では、残量検知部900は、可動片90、第1残量センサ95、及び第2残量センサ96を備える。膨らみ量が大きい第1シート801の中央である領域Qにおける水平方向の動きに可動片90が連動し、第1残量センサ95及び第2残量センサ96がその可動片90の位置に基づき、インク収容部89内のインク残量を検知する。故に印刷装置1は、残量検知部900によるインク残量の検知精度を向上できる。
【0084】
また、印刷装置1では、サブパウチ8Aは縦置きに配置され、左右方向に対面する第1シート801と第2シート802のうち第2シート802が、パウチ固定板110の左面に固定される。故に印刷装置1は、縦置きに配置したサブパウチ8Aの姿勢を安定して支持できる。サブパウチ8Aの姿勢が安定化するので、インク残量に応じてサブパウチ8Aは、左右方向において安定して膨らみ、又は萎むことができる。故に印刷装置1は、残量検知部900によるインク残量の検知精度を更に向上できる。
【0085】
また、印刷装置1では、パウチ固定板110の左面に対して、第2シート802の上下方向及び直交方向の中央が固定されるので、印刷装置1は、サブパウチ8Aの姿勢を縦置きの状態で、バランス良く安定化できる。故に画像形成装置は、残量検知部900によるインク残量の検知精度を更に向上できる。
【0086】
また、印刷装置1では、サブパウチ8Aのインク収容部89は、左右方向に対面する第1シート801及び第2シート802の夫々の上下方向の端部同士、及び夫々の前後方向の端部同士が互いに接続されることによって形成される。故に印刷装置1は、サブパウチ8Aの姿勢を更に安定化できるので、残量検知部900によるインク残量の検知精度を更に向上できる。
【0087】
また、印刷装置1では、サブパウチ8Aのエア排出口88は、タンク側戻し流路28を介してメインタンク30に接続される。故に仮にエア排出口88から空気と共にインク68が排出されたとしても、印刷装置1は、タンク側戻し流路28を介してメインタンク30に回収できる。
【0088】
また、印刷装置1では、CPU41は、サブパウチ8Aのインク収容部89のインク量が満状態を超えたエア排出状態になるまで、タンク側戻し流路28の電磁弁58を開放した状態で、ポンプ711を駆動する。故に印刷装置1は、インク68と共に、インク収容部89に注入される空気、及びインク収容部89に事前に収容されている空気を、タンク側戻し流路28を介してメインタンク30に回収できる。サブパウチ8Aが満状態になっても、インク収容部89にインク68を注入し続けることで、インク収容部89内の空気がエア排出口88から押し出される。CPU41は、エア排出状態を検知してポンプ711を停止すると、インク収容部89内の空気がエア排出口88から抜けて排出されるので、サブパウチ8Aの膨らみは減少する。CPU41は、満状態を検知した場合、電磁弁58を閉じる。故に印刷装置1は、タンク側戻し流路28内の空気がサブパウチ8Aに逆流するのを防止できる。
【0089】
上記実施形態において、印刷装置1は本発明の「画像形成装置」の一例である。第1シート801及び第2シート802は本発明の「シート」の一例である。
タンク側供給流路26は本発明の「第1流路」の一例、ヘッド側供給流路27は本発明の「第2流路」の一例、タンク側戻し流路28は本発明の「第三流路」の一例である。前後方向は本発明の「直交方向」の一例である。サブパウチ8Aの前端側は本発明の「直交方向の一方側」の一例、後端側は「直交方向の他方側」の一例である。第1残量センサ95及び第2残量センサ96は本発明の「センサ」の一例である。パウチ固定板110は本発明の「固定板」の一例である。サブパウチ8Aの第2シート802の前側部A1は、本発明の「シートの直交方向の中心線よりも一方側」の一例である。ポンプ711は本発明の「ポンプ」の一例である。電磁弁58は本発明の「バルブ」の一例である。
図12のS11~S16の各処理を実行するCPU41は本発明の「制御部」の一例である。
【0090】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。サブパウチ8Aは、後端側が前端側よりも高くなるように傾斜して設置するが(
図7参照)、後端側と前端側が互いに同一の高さとなるように設置してもよい。上記実施形態では、サブパウチ8Aを傾斜させ、インク収容部89の前後方向に延びる上端部を傾斜させることで、傾斜面891を形成するが、例えば、
図5に示すインク収容部89の前後方向に延びる上端部を、前端側から後端側に向けて上方に傾斜するように形成してもよい。
【0091】
上記実施形態において、サブパウチ8Aは、可撓性を有する2枚の第1シート801及び第2シート802の夫々の上端部同士、下端部同士、前端部同士、後端部同士を接着することで、袋状のインク収容部89を形成するが、例えば、一枚のシートを中央で折り返し、その周縁部を接着することで、袋状のインク収容部を形成してもよい。
【0092】
上記実施形態において、両面テープ300は、サブパウチ8Aの第2シート802の中央の領域Qのうち、前側部A1の中央に貼着するが(
図5参照)、中央の領域Qであれば、前側部A1から外れていてもよい。上記実施形態の場合、サブパウチ8Aは、後端側が高くなるように傾斜させて設置するので、インク収容部89内のインク68は前端側に偏る。この場合、サブパウチ8Aは中央の領域Qのうち、前側部A1の膨らみ量が後側部A2よりも大きくなるので、前側部A1に対応する位置に、両面テープ300を貼着するのが好ましい。第2シート802の前側部A1の中央が、両面テープ300でパウチ固定板110の左面に固定されるので、第1シート801は、前側部A1の膨らみ量に応じて、第2シート802を基点として左右方向に安定して移動できる。
【0093】
上記実施形態において、残量検知部900の可動片90の当接部905は、サブパウチ8Aの第1シート801の前側部A1の中央に当接するが、第1シート801の中央の領域Qであれば、前側部A1以外の部分に当接してもよい。但し、当接部905は、第1シート801の前側部A1に当接するのが好ましく、より好ましくは前側部A1の中央に当接するのがよい。第1シート801の前側部A1は、第2シート802に貼着された両面テープ300の位置に対応するので、後側部A2に比べ、左右方向に安定して移動できる。さらに、上記実施形態では、サブパウチ8Aの中央の領域Qのうち、前側部A1の膨らみ量が後側部A2よりも大きくなるので、第1シート801の前側部A1に対して当接部905が当接することにより、残量検知部900は、インク収容部89のインク残量を精度良く検知できる。
【0094】
可動片90の下端部を軸支する支持台91において、可動片90をサブパウチ8A側に常時付勢する付勢手段(例えば、バネ等の弾性体)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 印刷装置
8A サブパウチ
26 タンク側供給流路
27 ヘッド側供給流路
28 タンク側戻し流路
30 メインタンク
41 CPU
58 電磁弁
68 インク
86 インク注入口
87 インク流出口
88 エア排出口
89 インク収容部
90 可動片
95 第1残量センサ
96 第2残量センサ
110 パウチ固定板
671 ヘッド
711 ポンプ
801 第1シート
802 第2シート
891 傾斜面
900 残量検知部
A1 前側部