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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20230725BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019148799
(22)【出願日】2019-08-14
(65)【公開番号】P2021031062
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159912(JP,A)
【文献】特開2019-055785(JP,A)
【文献】特開2009-291954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 33/00-38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも延伸フィルムからなる基材とシーラント層を有する積層フィルムを表裏のフィルムとして、シーラント層同士を対向させて該表裏の積層フィルムを貼り合わせて袋状とし、内容物を収納して電子レンジでの加熱調理に供するための包装袋であって、
電子レンジで加熱調理されたときに発生する水蒸気により包装袋の内圧が高くなったときに自然に開口して水蒸気を放出する通蒸部と、
前記表裏の積層フィルムの略対向する位置にそれぞれ設けられた易開封線と、
該易開封線に沿って設けられた、少なくとも導電性有機化合物を含む発熱インキ層からなり、切り裂きが前記易開封線に沿って進行しやすくなるように前記フィルムを脆化させる開封補助層と、を有することを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記発熱インキ層の幅は0.5~10mmであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記発熱インキ層の厚さは0.5~4μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記易開封線は、キズ加工線、ハーフカット線、レーザー加工線または直線カットフィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱による自動通蒸機能を有する包装袋に関するものであり、特に自動通蒸機能と易開封性を両立できる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチックフィルムの積層体を貼り合わせて袋状とし、食品類を収納して電子レンジで加熱調理できるようにした包装袋が知られている。食品類に含まれる水分が電子レンジのマイクロ波により加熱され、沸騰するなどして食品類が調理される。水分が加熱され、また沸騰すると、水蒸気となって体積が膨張して包装袋が膨らみ、さらには包装袋が破裂して内容物が飛び散るなどするため、通常は包装袋が破裂する前に開口して水蒸気を外部に放出するための通蒸部が設けられている。
【0003】
この様な通蒸部の構造や設ける位置については種々の提案がなされ、実用化されている。例えば特許文献1には、包装袋の一部に、室温以下の温度環境では所定の接着強度を有し、高温の温度環境では強度が低下する樹脂層の領域を通蒸部として設けた包装袋が提案され、電子レンジで加熱されたときに樹脂層が破壊されて内圧を低下させることができるとしている。
【0004】
また特許文献2には、包装袋の周縁シール部から内側に張り出した張り出しシール部で区画された領域内にマイクロウェーブ吸収層が発熱部として設けられた包装袋が提案され、電子レンジでの加熱時に発熱部が発熱して包装袋を溶融させて通気口を形成し、また包装袋の内圧により張り出しシール部が剥離後退して張り出しシール部で区画された領域が他の領域と連通して、加熱により生じた蒸気を通気口から放出し、内圧を低下させることができるとしている。またマイクロウェーブ吸収層の構成により蒸らし効果も得られるとしている。
【0005】
上述の各文献では電子レンジのマイクロ波を通蒸部の形成に利用したものであるが、通蒸部は単純に蒸気を排出する構造のほか、内圧に応じて開閉の度合いを調整するなどして発生した水蒸気を包装袋内に保持できるようにしたものもある。水蒸気を保持することで、特許文献2にもある様にいわゆる蒸らし調理が可能になり、より多様な調理が可能となる。そしてこの様な包装袋は、加熱調理終了後も水蒸気が包装袋内に留まり、膨らんだままの状態で電子レンジから取り出されることが多い。
【0006】
一方、調理後の包装袋から内容物を取り出すために、包装袋を切り裂くガイドとなる切込みや易開封線が所定の位置に設けられるのが一般的である。易開封線を切り裂いて包装袋を開口させ、加熱調理された内容物を皿などの容器に移して提供するが、上記の様に包装袋が膨らんだ状態のままの場合、包装袋の表裏のフィルムが離れた状態であるため、易開封線などが設けられていたとしても、開封する際に袋の破断が易開封線に沿って進行せず、破断が表裏のフィルムで異なる方向に進行したり、不規則な方向に進行したりしてしまい、開口の形状が不規則なものとなって内容物がこぼれる、周囲を汚してしまう、加熱された内容物が手にかかってやけどをする、などといった問題が生じていたが、解決する有効な提案はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4501019号公報
【文献】特許第5482159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記の様に通蒸部から水蒸気を放出しつつ内圧を保って電子レンジで加熱調理され、加熱後、水蒸気を保持して膨らんだ状態のままの包装袋を電子レンジから取り出して開封する場合でも、包装袋を易開封線に沿って容易に直線的に切り裂いて開封を行うことができ、内容物の取り出しを容易に、安全に行うことができる包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも延伸フィルムからなる基材とシーラント層を有する積層フィルムを表裏のフィルムとして、シーラント層同士を対向させて該表裏の積層フィルムを貼り合わせて袋状とし、内容物を収納して電子レンジでの加熱調理に供するための包装袋であって、
電子レンジで加熱調理されたときに発生する水蒸気により包装袋の内圧が高くなったときに自然に開口して水蒸気を放出する通蒸部と、
前記表裏の積層フィルムの略対向する位置にそれぞれ設けられた易開封線と、
該易開封線に沿って設けられた、少なくとも導電性有機化合物を含む発熱インキ層からなる開封補助層と、を有することを特徴とする包装袋を提供する。
【0010】
この発明によれば、電子レンジで加熱調理したときに、発熱インキ層が、電子レンジが発生するマイクロ波により発熱することで、開封補助層の部位で表裏の積層フィルムを脆化させ、易開封線のみの場合よりもさらに破断されやすくなるため、包装袋が膨らんだ状態であっても開封時の破断が表裏の積層フィルム共に易開封線に沿って進行しやすく、容易に直線的に開封することができる。
【0011】
上記の包装袋において、前記発熱インキ層の幅は0.5~10mmであると好ましい。0.5mmより狭いと電子レンジでの加熱時の脆化の効果が薄れ、10mmよりも広いと易開封線に沿って切り裂く時の破断の直進性が低下する恐れ、および、発熱量が大きくなりすぎ、電子レンジでの加熱条件によっては加熱時に破断が起きる恐れがある。
【0012】
上記の包装袋において、前記発熱インキ層の厚さは0.5~4μmであると好ましい。0.5μmよりも薄いと電子レンジでの加熱時の脆化の効果が薄れ、4μmよりも厚いと発熱量が大きくなりすぎ、電子レンジでの加熱条件によっては加熱時に破断が起きる恐れがある。
【0013】
上記の包装袋において、前記易開封線は、キズ加工線、ハーフカット線、レーザー加工線または直線カットフィルムのいずれかであると好ましい。加工が容易であり、易開封の効果が大きい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子レンジでの加熱調理後、膨らんだ状態のままの包装袋を開封する場合のように、袋の表裏の積層フィルムが離れた状態でも包装袋を易開封線に沿って容易に直線的に切り裂いて開封を行うことができ、内容物の取り出しを容易に、安全に行うことができる包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の包装袋の一形態の外観図。
図2図1の包装袋の線分AA´の部位の断面図。
図3】本発明の包装袋の別形態の外観図。
図4】本発明の包装袋の他の形態の外観図。
図5】本発明の包装袋の実施例の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお以下において同等の部材等には同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0017】
図1は、本発明の包装袋の一形態の外観図である。本実施形態の包装袋1は、いわゆる四方シール形状の包装袋(パウチ)であり、表面フィルム11と裏面フィルム12を構成する積層フィルムを三辺の端縁シール部13で貼り合わせ、一辺を開口部19として袋状としたものである。開口部19は内容物を充填するために開口しているもので、充填後は他の三辺同様にシールされて包装袋1を密封する。表面フィルム11には、内容物を封入して電子レンジで加熱調理したときに、内圧により他の部位に先立って破断して開口する通蒸部14が、ここではキズ加工で設けられている。通蒸部14はキズ加工に限らず、ハーフカット加工、レーザー加工、弱接着加工など、通蒸部の形成に適用される公知の加工方法を適用して設けることができる。
【0018】
また加熱調理終了後に電子レンジから取り出した包装袋1から内容物を取り出すために包装袋を開封する部位に、左右の端縁シール部にノッチ15が、左右のノッチ15を結んで易開封線16が、表面フィルム11と裏面フィルム12に設けられている。ノッチ15の部分から易開封線16に沿って包装袋1を直線的に切り裂き、開口部を形成して加熱調理済みの内容物を取り出すことができる。易開封線16を設ける方法は特に限定されず、公知の方法をいずれも好適に適用でき、例えばキズ加工線、ハーフカット線、レーザー加工線などを設ける、または直線カットフィルムの適用などが例示できる。
【0019】
通蒸部14と易開封線16は同一の方法で設けられても、異なる方法で設けられても良い。同一の方法で設ける場合、通蒸部14は加熱調理中に内圧により自然に破断されるのに対し、易開封線16は加熱調理中に破断しないため、加工の程度等を適宜変えて破断強度が異なる様に加工を行う必要がある。
【0020】
易開封線16に沿って、開封補助層として発熱インキ層17が表面フィルム11と裏面フィルム12に形成されている。発熱インキ層17は、電子レンジで加熱調理したときに電子レンジが発生するマイクロ波を吸収して発熱し、発熱インキ層17の部位で表面フィルム11と裏面フィルム12を脆化させることでその部位が破断されやすくなり、包装袋1をノッチ15から切り裂いたときに、切り裂きが易開封線16に沿って進行しやすくなるため、加熱調理後の包装袋1が膨らんだ状態で表面フィルム11と裏面フィルム12が離れた状態であっても、切り裂きが共に易開封線16に沿って進行しやすくなるため、容易に、かつ直線的に開封することができる。
【0021】
図2は、図1の包装袋1の表面フィルム11の線分AA´の部位の断面図である。表面フィルム11を構成する積層フィルムは、基材層21とシーラント層23が接着剤層22を介して貼り合わせられている。発熱インキ層17は、表面フィルム11のハーフカット線となっている易開封線16の部位に開封補助層として設けられている。図示しないが当該部位に対向する部位の裏面フィルム12も同様の構成である。表面フィルム11を構成する積層フィルムは、基材層21とシーラント層23からなる構成が最も基本的な構成であるが、これ以外にも中間層を積層しても良く、例えばガスバリア層、印刷層などを設けることもできる。
【0022】
また包装袋の形態は、図1に示したような四方シール袋に限られず、本発明は三方シール袋、自立性を有するスタンディングパウチなどにも適用できる。
【0023】
積層フィルムの基材層21としては、各種合成樹脂製の延伸フィルムが使用される。基材層21の材質としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂フィルムを使用することができる。
【0024】
また、内容物の保存性を向上させることなどを目的として、必要な場合には積層フィルムの中に、たとえば着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層フィルム中にガスバリア層を設けることができ、具体的にはプラスチックフィルム表面にガスバリア層を設けたガスバリアフィルムを用いることができる。ガスバリア層としては、アルミニウム蒸着フィルム、金属酸化物蒸着フィルム、窒化物、フッ化物等の単体または複合物を蒸着したフィルムが使用できる。金属酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化マグネシウム等が用いられる。ガスバリア層は、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設けることで設けることができる。
【0025】
また、必要に応じて商品としてのイメージアップや、内容物についての必要な情報を、積層フィルム中の、包装袋外側から見える層に印刷によって設けることができる。ここで印刷方法、および印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品容器としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよく、たとえばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性や絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0026】
シーラント層23としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。シーラント層23の厚さとしては、30~120μm程度が適当である。
【0027】
発熱インキ層17は、導電性有機化合物と樹脂とを含む発熱インキから構成されている。
【0028】
導電性有機化合物としては、ポリアニリン類、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリイソチアナフテン類、ポリチエニレンビニレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリアセン類、ポリチアジル類、ポリエチレンビニレン類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリペリナフタレン類、ポリアクリロニトリル類、ポリオキサジアゾール類、ポリインドール類、ポリアズレン類、ポリフラン類、フタロシアニン類およびその誘導体、ポリシラン類、ポリゲルマン類、ポルフィリン類およびその誘導体、グラフェン類またはその誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、キノン類などが例示できる。
【0029】
またさらに、ハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸、有機カルボン酸、遷移金属ハロゲン
化物、電解質アニオン、有機シアノ化合物、キノン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミノ酸、核酸、界面活性剤、色素、アルキルアンモニウムイオン、四級ホスホニウム塩などから選択されるドーパントを含んでも良い。
【0030】
発熱インキ層17中の導電性有機化合物の含有量は、固形分換算で、0.001~20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.005~10質量%であり、さらに好ましくは0.01~5質量%である。導電性有機化合物の含有量が0.001質量%より少ないと導電性が低く、20質量%より多いと発熱インキ組成物自体の作製が困難である。
【0031】
発熱インキ層17には、必要に応じて樹脂を含むことができる。前記樹脂は、発熱性を阻害しないものであれば、基材、用途、構成などに応じて、適宜選択できる。具体的には例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂、アクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂などが挙げられる。
【0032】
発熱インキ層17中の樹脂の含有量は、固形分換算で、0.1~50質量%であることが好ましい。より好ましくは0.2~40質量%であり、さらに好ましくは0.3~30質量%である。樹脂の含有量が0.1質量%より少ないと塗布が困難となり、50質量%より多いと発熱インキ自体の作製が困難である。
【0033】
発熱インキ層17を設ける方法としては、特に限定するものではないが、例えばシルクスクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ローラーコーター法、刷毛塗り法、スプレー法、ナイフジェットコーター法などの公知の印刷法、コーティング法から適宜選択して適用できる。
【0034】
発熱インキ層17の厚さは0.5~4μmが好ましく、1~3μmがより好ましい。0.5μmよりも薄いと電子レンジでの加熱時の脆化の効果が薄れ、4μmよりも厚いと発熱量が大きくなりすぎ、電子レンジでの加熱条件によっては加熱時に破断が起きる恐れがある。
【0035】
また発熱インキ層17の幅は0.5~10mmであると好ましく、1~3mmであるとより好ましい。0.5mmより狭いと電子レンジでの加熱時の脆化の効果が薄れ、10mmよりも広いと易開封線に沿って切り裂く時の破断の直進性が低下する恐れがある。
【0036】
別に中間層を設ける場合は、基材層21に用いるのと同様の各種合成樹脂フィルムを使用することができる。また各層の積層方法としては、接着剤を用いたドライラミネート法や、溶融した接着性樹脂をTダイから押出してラミネートする押出しラミネート法が用いられる。
【0037】
図3は、本発明の包装袋の別形態の外観図である。本実施形態の包装袋2では、通蒸部18が張り出しシール部として設けられている。電子レンジで加熱調理され、包装袋2が膨らんだ時に張り出しシール部に応力が集中することで、他のシール部分に先立って剥離が発生して開口し、水蒸気を排出する通蒸部となる。
【0038】
本発明の包装袋において、発熱インキ層の形状は上記の例に限られるものでなく、例えば図4(a)の包装袋3の様に発熱インキ層17aを破線状としても良く、また、図4(b)の発熱インキ層17bの様に曲線状としても良い。
【実施例
【0039】
以下実施例に基づき、本発明に係る包装袋についてより具体的に説明する。
<実施例1>
(包装袋の試作)
・以下の構成の積層フィルムで図5に示したようなスタンディングパウチ形状の包装袋を作製した。
基材/発熱インキ層/ドライラミ接着剤/中間層/ドライラミ接着剤/シーラント層
基材:ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)
易開封線:左右の側部に設けたノッチ15bの先端を結び、レーザー加工線を設けた。
発熱インキ層:ポリビニルアルコール系メジウム(固形分4%)10部、ポリアニリン溶液(固形分0.8%)50部、IPA10部、水30部からなる発熱インキ組成物をグラビア印刷法により幅2mm、乾燥時の厚さ2μmとなる様に易開封線に沿った位置に塗工、乾燥させ、発熱インキ層17cとした。
中間層:非直線カットナイロンフィルム(厚さ15μm)
シーラント層:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ60μm)
サイズ:縦158mm×横160mm
・一方の側部に張り出しシール部を設け、通蒸部18bとした。
・内容物として冷凍チャーハン200gを充填し、密封した。
(試験および評価)
・作製した包装袋を、電子レンジ(1000W)で1分間加熱し、電子レンジから取り出してすぐに開封し、表裏のフィルムの切り裂き位置の最大ズレ量を測定した。
・結果を表1に示す。
【0040】
<比較例1>
・発熱インキ層を設けない以下の構成の積層フィルムでスタンディングパウチ形状の包装袋を作製した。
基材/ドライラミ接着剤/中間層/ドライラミ接着剤/シーラント層
基材:ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)
中間層:直線カットナイロンフィルム(厚さ15μm)
シーラント層:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ60μm)
・それ以外の構成、形状は実施例1と同様とした。
・実施例1と同様の試験および評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
表1から、発熱インキ層を設けた場合は良好な直線カット性が得られ、本発明の効果が確認できたが、発熱インキ層を設けない場合は、中間層に直線カットフィルムを用いてもカット位置がずれてしまった。
【符号の説明】
【0042】
1、2、3、4・・・包装袋
11・・・表面フィルム
12・・・裏面フィルム
13・・・端縁シール部
14、18、18b・・・通蒸部
15、15b・・・ノッチ
16・・・易開封線
17、17a、17b、17c・・・発熱インキ層
21・・・基材層
22・・・接着剤層
23・・・シーラント層
図1
図2
図3
図4
図5