(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20230725BHJP
B02C 1/04 20060101ALN20230725BHJP
B02C 1/06 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
B02C1/04
B02C1/06
(21)【出願番号】P 2019151079
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 共史
(72)【発明者】
【氏名】田中 精一
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-037036(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181989(WO,A1)
【文献】特開2019-052472(JP,A)
【文献】特開2019-108775(JP,A)
【文献】特開2012-097544(JP,A)
【文献】特開2011-102633(JP,A)
【文献】特開2010-189921(JP,A)
【文献】特開2019-060109(JP,A)
【文献】特開2016-223097(JP,A)
【文献】特開平10-018353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
B02C 1/04
B02C 1/06
E02F 9/26
E04G 23/08
B66C 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象物に対して処理を行う作業機械であって、
基体と、
前記基体に対して変位自在であり、前記作業対象物に対する処理動作を行う
ために相対動作をする複数の構成部材を有する作業具と、
前記作業具に対する操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が受け付けた操作および当該操作の操作量に応じて前記作業具の変位および処理動作を制御する制御部と、
前記作業具と前記作業対象物の位置に基づいて決まる一の領域との距離を取得する距離取得部と、を有し、
前記制御部は、前記距離に応じて前記操作量に対する前記作業具の
前記複数の構成部材の相対動作の動作量を調整することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記作業具は、基部と、前記基部に軸支され、開閉動作によって物体を挟み込み保持可能な前記複数の構成部材としての一対の掴み部材と、を有している把持具であることを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記距離取得部は、前記作業具と前記作業対象物を構成する複数の部品のうち一の部品が存在する前記一の領域との距離を取得し、
前記一の部品の種類を示す属性情報を取得する属性情報取得部を有し、
前記制御部は、前記属性情報に応じて
定まる、前記一対の掴み部材の開閉動作量が互いに異なる複数の作業動作モードにしたがって、前記操作量に対する
前記物体としての前記一の部品を把持するための前記一対の掴み部材の開閉動作量を調整することを特徴とする請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記基体に対して旋回自在な旋回体と、
一端が前記旋回体に対して回動自在に連結された第1の腕部、および一端が前記第1の腕部に対して回動自在に前記第1の腕部の他端に連結され、他端が
前記把持具
の前記基部に連結された第2の腕部を有する作業腕と、を含み、
前記操作受付部は、前記旋回体の旋回動作に対する第1操作、前記作業腕の前記第1の腕部の回動動作に対する第2操作
および前記作業腕の前記第2の腕部の回動動作に対する第3操作を受け付け、
前記制御部は、
前記操作受付部が受け付けた前記第1操作の操作量に応じた旋回量で前記旋回体に旋回動作をさせ、前記第2操作の操作量に応じた第1の回動量で前記作業腕の前記第1の腕部に回動動作をさせ、前記第3操作の操作量に応じた第2の回動量で前記作業腕の前記第2の腕部に回動動作をさせ、
前記一の領域までの距離に応じて前記第1操作の操作量に対する前記旋回量、前記第2操作の操作量に対する前記第1の回動量
および前記第3操作の操作量に対する前記第2の回動量を調整することを特徴とする請求項
2または3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1操作の操作量に対する前記旋回体の旋回量が互いに異なる複数の作業動作モードで前記旋回体を旋回させることを特徴とする請求項4に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、油圧式掘削機や、自動車を解体する解体作業機等の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧式掘削機は、オペレータキャブ等を備えた上部旋回体が下部走行体に旋回装置によって旋回自在に載架される。ブームは、上部旋回体の前部に一端が回動自在に連結される。アームは、ブームの他端に一端が回動自在に連結される。バケットは、アームの他端に回動自在に連結される。
【0003】
上部旋回体の旋回動作並びに、ブーム、アーム及びバケットの回動動作は、例えば、オペレータがオペレータキャブに設けられた操作レバーを操作することによって行われる。
【0004】
整地作業等の場合、ブーム、アーム及びバケットの動作の精度が要求される。そこで、操作レバーにブーム、アーム及びバケットの回動動作の速度を調整するスイッチを設けることが特許文献1に開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている操作制御方法は、オペレータが手動でスイッチを操作してブーム、アーム及びバケットの回動動作の速度を調整しなければならない。従って、例えば、オペレータが誤ってスイッチの切り替えを行った場合、オペレータが意図としない速度で動作が行われ得ることが課題の1つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、オペレータの意図する態様で作業機械の動作対象を動作させることが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明の作業機械は、作業対象物に対して処理を行う作業機械であって、基体と、前記基体に対して移動自在であり、前記作業対象物に対する処理動作を行うために相対動作をする複数の構成部材を有する作業具と、前記作業具に対する操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が受け付けた操作及び当該操作の操作量に応じて前記作業具の移動及び処理動作を制御する制御部と、前記作業具と前記作業対象物の位置に基づいて決まる1の領域との距離を取得する距離取得部と、を有し、前記制御部は、前記距離に応じて前記操作量に対する前記作業具の前記複数の構成部材の相対動作の動作量を調整することを特徴とする。
【0009】
本発明の作業機械によれば、制御部が作業具と1の領域との距離に応じて操作量に対する前記作業具の移動量又は処理動作の動作量を調整することにより、例えば、当該距離が遠い場合は、作業具の移動量や動作を大きく、かつ素早く行うことができる。また、例えば、当該距離が近い場合は、作業具の移動量や動作を小さく、かつ遅く行うことができる。従って、オペレータの意図する態様で作業具を移動又は動作させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の作業機械は、前記作業具は、基部と、前記基部に軸支され、開閉動作によって物体を挟み込み保持可能な前記複数の構成部材としての一対の掴み部材と、を有している把持具であるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の作業機械は、前記距離取得部は、前記作業具と前記作業対象物を構成する複数の部品のうち一の部品が存在する前記一の領域との距離を取得し、前記一の部品の種類を示す属性情報を取得する属性情報取得部を有し、前記制御部は、前記属性情報に応じて定まる、前記一対の掴み部材の開閉動作量が互いに異なる複数の作業動作モードにしたがって、前記操作量に対する前記物体としての前記一の部品を把持するための前記一対の掴み部材の開閉動作量を調整することようにしてもよい。
【0013】
このような態様によれば、制御部は、作業領域の属性情報に応じて、言い換えれば、作業の対象が、例えば、自動車のボンネットの引きはがしであるか、ハーネスの取り外しであるかに応じて、作業具の移動量又は動作量を調整する。従って、オペレータが意図する作業に応じて動作させる対象の動作量を調整することが可能となる。
【0014】
本発明の作業機械は、前記基体に対して旋回自在な旋回体と、一端が前記旋回体に対して回動自在に連結された第1の腕部、及び一端が前記第1の腕部に対して回動自在に前記第1の腕部の他端に連結され、他端が前記把持具の前記基部に連結された第2の腕部を有する作業腕と、を含み、前記操作受付部は、前記旋回体の旋回動作に対する第1操作、前記作業腕の前記第1の腕部の回動動作に対する第2操作および前記作業腕の前記第2の腕部の回動動作に対する第3操作を受け付け、前記制御部は、前記操作受付部が受け付けた前記第1操作の操作量に応じた旋回量で前記旋回体に旋回動作をさせ、前記第2操作の操作量に応じた第1の回動量で前記作業腕の前記第1の腕部に回動動作をさせ、前記第3操作の操作量に応じた第2の回動量で前記作業腕の前記第2の腕部に回動動作をさせ、前記1の領域までの距離に応じて前記第1操作の操作量に対する前記旋回量、前記第2操作の操作量に対する前記第1の回動量および前記第3操作の操作量に対する前記第2の回動量を調整するようにしてもよい。
【0015】
このような態様によれば、制御部は、1の領域までの距離に応じて第1操作の操作量に対する旋回量、第2操作の操作量に対する第1の回動量、第3操作の操作量に対する第2の回動量または第4操作の操作量に対する動作量を調整する。従って、動作させる対象の各々の動作量等を調整することによって細かい調整を行うことが可能でき、オペレータの意図に応じた動作をさせることが可能となる。
【0017】
このような態様によれば、制御部が、作業具の動作量を調整することによって、作業工程に応じた適切な動作を作業具の掴み部材にさせることができる。具体的には、例えば、車両からハーネスを取り外すような精密な作業が必要な場合において、車両からボンネットを外すような大きな動作を必要とする作業よりも、より細かに作業具を動作させることが可能である。
【0018】
前記制御部は、前記第1操作の操作量に対する前記旋回体の旋回量が互いに異なる複数の作業動作モードで前記旋回体を旋回させるようにしてもよい。
【0019】
このような態様によれば、オペレータの意図する態様で、旋回体を旋回させる、すなわち、作業具を移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】実施例1に係る作業機械の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図5】
図4の制御部による作業機械の制御態様を示す説明図である。
【
図7】実施例1に係る作業機械の動作処理ルーチンを示すフロー図である。
【
図8】実施例1に係る作業機械の出力処理ルーチンを示すフロー図である。
【
図9】実施例2作業機械の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図10】実施例2に係る作業機械の動作処理ルーチンを示すフロー図である。
【
図11】実施例2に係る作業機械の出力処理ルーチンを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。しかし、これらを適宜改変し、組み合わせてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、実施例1に係る作業機械としての自動車解体機100の側面図である。尚、図中の矢印は、自動車解体機100の上下方向及び前後方向を示している。作業機械としての自動車解体機100は、例えば、作業対象物としての廃車となった自動車を部品ごとに解体する機械である。
【0023】
図1に示すように、自動車解体機100は、基体としての走行体11を有する。走行体11は、クローラ式のもので自動車解体機100を前進又は後退させる。
【0024】
旋回体12は、走行体11に対して旋回可能に走行体11上に設けられている。旋回体12は、走行体11に対して旋回軸心CX周りの方向に旋回自在に設けられている。
【0025】
駆動部DVは、旋回体12に設けられている。駆動部DVは、旋回体12を走行体11に対して旋回させることが可能な旋回モータ(図示せず)を備える。例えば、旋回モータは、エンジン(図示せず)の駆動力によって駆動される油圧ポンプを含む油圧発生装置(図示せず)からの作動油によって駆動させられ、それにより旋回体12が旋回させられ得る。
【0026】
運転室CBは、旋回体12の自動車解体機100の前後方向(
図1中の矢印の前後方向)における前側の部分に配されている。運転室CB内には、旋回体12の旋回等の動作をオペレータが操作可能な2つの操作レバー(図示せず)が設けられている。また、運転室CB内には、旋回体12の旋回動作の制御状態を表示するディスプレイ(図示せず)が設けられている。
【0027】
第1の腕部としてのブーム13aは、棒状に形成されている。旋回体12に対して回動自在、すなわち起伏自在に旋回体12の前側に一端が接続されている。ブーム13aは、オペレータによる操作レバーの操作に応じて旋回体12に対して回動可能である。
【0028】
第2の腕部としての棒状のアーム13bは、ブーム13aに対して回動自在、すなわち起伏自在にブーム13aの他端に一端が接続されている。アーム13bは、オペレータによる操作レバーの操作に応じてブーム13aに対して回動可能である。ブーム13a及びアーム13bによって作業腕13が構成されている。
【0029】
作業具としての把持具14は、アーム13bに対して回動自在、すなわち起伏自在にアーム13bの他端に接続されている。把持具14は、オペレータによる操作レバーの操作に応じてアーム13bに対して回動可能である。把持具14は、作業対象物である自動車に対して把持動作をすることが可能である。このように、把持具14は、走行体11に対して移動自在であり、自動車に対する処理動作、すなわち把持動作を行うことが可能である。
【0030】
クランプ装置15は、走行体11の前部に設けられたアーム支持部15aを有する。アーム支持部15aは、走行体11と接続されている。
【0031】
クランプ装置15は、アーム支持部15aに支持された左右一対の押さえ用アーム15bを有する。クランプ装置15は、として上下方向に起伏する、すなわち、走行体11に対して回動することが可能である。
【0032】
カメラCMは、旋回体12の前後及び両側方に1つずつ計4か所に取り付けられている。各々のカメラCMが撮像することにより、自動車解体機100は、その前後及び両側方の映像又は画像を取得することが可能である。
【0033】
図2は、自動車解体機100の上面を示している。
図2に示すように、旋回体12は、旋回中心を中心として旋回することが可能である。制御ユニット20は、旋回体12の旋回動作、ブーム13a及びアーム13bの回動動作、並びに、把持具14の動作等を制御する。制御ユニット20は、旋回体12に設けられている。制御ユニット20は、カメラCMからの撮像情報を受信可能に接続されている。制御ユニット20は、カメラCMの撮像情報に基づいて自動車解体機100の上記旋回動作等の制御を行うことが可能である。
【0034】
運転室CB内には、オペレータが着座可能な座席STが設けられている。また運転室CB内には、座席STから見て左側に操作レバー30が設けられている。また運転室CB内には、座席STから見て右側に操作レバー40が設けられている。オペレータは、操作レバー30、40を操作することにより、例えば、旋回体12に旋回動作をさせることができる。
【0035】
図3は、操作レバーを示している。
図3に示
すように、操作レバー30、40は、基部BS及び基部BSに対して回動可能に取り付けられた棒状のシャフト31、41を有する。シャフト31、41は、前後方向及び左右方向に回動可能である。シャフト31、41は、上端側に円筒状に形成された握り部を有する。シャフト31、41は、一端、すなわち下端が操作レバー30、40の傾倒量、すなわち操作量を検知することが可能なセンサ(図示せず)に接続されている。
【0036】
シャフト31がオペレータによって左右方向に倒されると、例えば、制御ユニット20による制御によって、旋回体12が走行体11に対して回動、すなわち旋回させられる。具体的には、シャフト31がオペレータによって右方に倒されると、旋回体12が右周りに旋回させられる。シャフト31がオペレータによって左方に倒されると、旋回体12が左周りに旋回させられる。このように、旋回体12を走行体11に対して旋回させる操作レバー30の操作を第1操作とする。
【0037】
シャフト41がオペレータによって前後方向に倒されると、例えば、制御ユニット20による制御によって、ブーム13aが旋回体12に対して回動させられる。具体的には、シャフト41がオペレータによって前方に倒されると、ブーム13aが前方に押し出される。シャフト41がオペレータによって後方に倒されると、ブーム13aが後方に引き込まれる。このように、ブーム13aを旋回体12に対して回動させる操作レバー40の操作を第2操作とする。
【0038】
シャフト31がオペレータによって前後方向に倒されると、例えば、制御ユニット20による制御によって、アーム13bがブーム13aに対して回動させられる。具体的には、シャフト31がオペレータによって前方に倒されると、アーム13bが前方に押し出される。シャフト31がオペレータによって後方に倒されると、アーム13bが後方に引き込まれる。このように、アーム13bをブーム13aに対して回動する操作レバー30の操作を第3操作とする。
【0039】
シャフト41がオペレータによって左右方向に倒されると、例えば、制御ユニット20による制御によって、把持具14がアーム13bに対して回動させられる。具体的には、シャフト41がオペレータによって右方に倒されると、把持具14が前方に押し出される。シャフト41がオペレータによって後方に倒されると、把持具14が後方に引き込まれる。
【0040】
シャフト31、41の他端、すなわち上端には、左右方向に穿って形成されている開口部を有する。この開口部には、操作ボタン32、42が挿通されている。
【0041】
操作ボタン32、42は、棒状に形成された基体32a、42aを有する。ボタン部32b、42bは、基体32a、42aの他端、すなわち上端に一体となって形成されている。操作ボタン32、42は、シャフト31、41の開口部の開口形状に沿って左右方向に回動可能である。基体32a、42aは、一端、すなわち下端が操作ボタン32、42の傾倒量、すなわち操作量を検知することが可能なセンサ(図示せず)に接続されている。
【0042】
操作ボタン32が、オペレータによって左右方向に倒されると、例えば、制御ユニット20による制御によって、把持具14がアーム13bに対して回動させられる。具体的には、操作ボタン32がオペレータによって右方に倒されると、把持具14が右周りに回動される。操作ボタン32がオペレータによって左方に倒されると、把持具14が左周りに回動される。
【0043】
操作ボタン42がオペレータによって左右方向に倒されると、例えば、制御ユニット20による制御によって、把持具14の一対の爪部14b、14cが開閉させられる。具体的には、操作ボタン42がオペレータによって右方に倒されると、把持具14の一対の爪部14b、14cが互いに離隔される、すなわち爪部14bが開かられる。操作ボタン42がオペレータによって左方に倒されると、把持具14の一対の爪部14b、14cが互いに近接される、すなわち爪部14bが閉じられる。このように、把持具14の一対の爪部14b、14cを開閉させる、すなわち把持させる操作ボタン42の操作を第4操作とする。
【0044】
図4は、制御ユニット20の機能ブロックを示している。
図4に示すように、入力部21は、カメラCM及び操作レバー30、40と接続されているインターフェース部である。尚、制御ユニット20は、エンジンが稼働しているかどうかを取得可能である。
【0045】
制御ユニット20は、入力部21を介して操作レバー30、40に対してなされた操作を受付可能である。また、制御ユニット20は、入力部21を介してカメラCMが撮像した撮像データを取得可能である。
【0046】
出力部22は、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14の駆動部(図示せず)に駆動信号を送出する。制御ユニット20は、出力部22からの駆動信号によって、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14に対して上述した動作をさせることが可能である。
【0047】
制御部23は、演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を有するコンピュータによって実現される。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して、各種機能を実現する。
【0048】
操作受付部23aは、操作レバー30、40の入力操作を受け付けることが可能である。操作受付部23aは、操作レバー30、40に対する操作がなされたこと及び当該操作の量を入力部21を介して取得することが可能である。従って、操作受付部23aは、操作レバー30、40に操作がなされたか否かを判定することが可能である。
【0049】
また、操作受付部23aは、操作ボタン32、42の入力操作を受け付けることが可能である。操作受付部23aは、操作ボタン32、42に対する操作がなされたこと及び当該操作の量を入力部21を介して取得することが可能である。従って、操作受付部23aは、操作ボタン32、42に操作がなされたか否かを判定することが可能である。
【0050】
このように、操作受付部23aは、旋回体の旋回動作に対する第1操作乃至第4操作を受け付けることが可能である。具体的には、操作受付部23aは、旋回体12を旋回させる第1操作以外に、作業腕13のブーム13aの回動動作に対する第2操作を受け付けることが可能である。操作受付部23aは、作業腕13のアーム13bの回動動作に対する第3操作を受け付けることが可能である。操作受付部23aは、把持具14の把持動作に対する第4操作を受け付けることが可能である。尚、操作受付部23aは、自動車解体機100の駆動部DVのエンジンをON又はOFFにする操作がなされたかを入力部21を介して取得することが可能である。
【0051】
旋回制御部23bは、旋回体12の回動動作、すなわち旋回動作を制御することが可能である。旋回制御部23bは、操作受付部23aが受け付けた操作レバー30、40の操作に基づいて、駆動部DVを駆動させることにより旋回体12を旋回させることが可能である。従って、旋回制御部23bは、操作受付部23aが受け付けた第1操作の量に応じて旋回体12に旋回動作させることが可能である。
【0052】
回動制御部23cは、ブーム13aの回動動作を制御することが可能である。回動制御部23cは、操作受付部23aが受け付けた操作レバー30、40の操作に基づいて、駆動部DVを駆動させることによりブーム13aを回動させることが可能である。従って、回動制御部23cは、第2操作の量に応じて作業腕13のブーム13aに回動動作させることが可能である。
【0053】
起伏制御部23dは、アーム13bの回動動作、すなわち起伏動作を制御することが可能である。起伏制御部23dは、操作受付部23aが受け付けた操作レバー30、40の操作に基づいて、駆動部DVを駆動させることによりアーム13bを起伏させることが可能である。従って、起伏制御部23dは、第3操作の量に応じて作業腕13のアーム13bに起伏動作、すなわち回動動作させることが可能である。
【0054】
把持制御部23eは、把持具14の回動動作、把持動作を制御することが可能である。把持制御部23eは、操作受付部23aが受け付けた操作ボタン32、42の操作に基づいて、把持具14を回動させ、又は把持具14に把持動作をさせることが可能である。従って、把持制御部23eは、第4操作の量に応じて把持具14に動作させることが可能である。
【0055】
距離取得部23fは、例えば、カメラCMが撮像した撮像データに基づいて、把持具14と作業対象物である自動車の位置に基づいて決まる1の領域との距離を取得することが可能である。尚、1の領域は把持具14の動作によって作業がなされる領域である作業領域とするとよい。本実施例においては、1の領域を作業領域として説明する。
【0056】
このように、距離取得部23fは、把持具14から自動車解体機100が作業する領域である作業領域までの距離を取得することが可能である。
【0057】
距離取得部23fは、例えば、画像処理に基づいて把持具14から作業領域までの距離を算出する。作業領域は、例えば、解体される自動車の特定部位であってもよい。
【0058】
図5は、制御部23による旋回体12の動作を制御する態様を示している。本図においては、自動車ОBのボンネットの近傍を作業領域OAとして説明する。尚、作業領域OAは、自動車ОBのボンネットの近傍に限られず、実施態様に応じて適宜変更することが可能である。また、図中においては、旋回体12の旋回態様を明らかにするためクランプ装置15の記載を省略している。
【0059】
制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離に応じて、旋回体12の旋回量を制御することが可能である。例えば、制御部23は、把持具14の動作によって処理がなされるべき作業領域OAまでの距離の基準となる基準距離D1に基づいて上記の旋回量を制御する。この場合、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離が基準距離D1よりも遠いか否かによって旋回体12の旋回動作の旋回量を制御することが可能である。
【0060】
尚、作業領域OAは、オペレータにより例えば、運転室CBに設けられたディスプレイのタッチパネルにより入力されてもよい。また、作業領域OAは、制御ユニット20に接続された外部機器(図示せず)より、取得するようにしてもよい。
【0061】
図5に示すように、処理エリアPRは、作業領域OAの中心Cから基準距離D1以内の領域である。処理エリアPR外に把持具14がある状態、すなわち自動車解体機100が図中破線で示された姿勢である状態から旋回体12の旋回動作を開始させ、処理エリアPR内に把持具14が進入するまで旋回体12を旋回させる場合を説明する。
【0062】
制御部23は、例えば、把持具14が処理エリアPR外に位置するか処理エリアPR内に位置するかに応じて、旋回体12の旋回動作のモードを切り替えて旋回体12を旋回させる。言い換えれば、制御部23は、把持具14が作業領域OAの中心Cから基準距離D1以内に位置するか、把持具14が作業領域OAの中心Cから基準距離D1よりも外に位置するかに応じて、旋回体12の旋回動作のモードを切り替える。
【0063】
制御部23は、処理エリアPR外においては、旋回体12の旋回動作のモードである移動モードで旋回体12の旋回動作をさせる。制御部23は、把持具14が処理エリアPR内に進入すると、旋回体12の旋回動作のモードである作業モードで旋回体12の旋回動作をさせる。
【0064】
移動モード及び作業モードにおいて同一の操作量で操作レバー30を操作した場合、作業モードでは、移動モードよりも精密に旋回体12が旋回される。すなわち、作業モードでは、旋回速度が移動モードよりも遅い態様で旋回体12が旋回される。
【0065】
このように、把持具14から作業領域OAまでの距離が基準距離D1以下であるか否かによって、操作レバー30の操作量が同一であっても、旋回体12の旋回量が異なる。
【0066】
図6は、把持具14の拡大正面図を示している。
図6に示すように、把持具14は、アーム13bの他端に接続されている基部14aを有する。具体的には、基部14aは、アーム13bの軸周りに回転可能にアーム13bの他端に接続されている。従って、把持具14は、アーム13bの軸周りに回動自在である。把持具14は、オペレータによる操作レバーの操作に応じてアーム13bに対して回動可能である。
【0067】
把持具14は、爪状に形成されている一対の爪部14b、14cを有する。言い換えれば、把持具14は、掴み部材としての一対の爪部14b、14cを有する。爪部14bは、基部14aと一体に形成されている。爪部14cは、一端が基部14aのシャフトSHに軸支されている。
【0068】
従って、爪部14cがシャフトSHの軸周りに回動することによって、一対の爪部14b、14cは、各々の他端が互いに近接又は離隔する、すなわち把持動作をすることが可能である。一対の爪部14b、14cは、例えば、オペレータによる操作ボタン42の操作に応じて各々の他端が互いに近接又は離隔することが可能である。尚、図中の矢印は、爪部14cの可動範囲RMを示している。
【0069】
制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離に応じて、把持具14の把持動作の動作量を制御することが可能である。具体的には、制御部23は、把持具14が処理エリアPR外に位置するか処理エリアPR内に位置するかに応じて、把持具14の把持動作のモードを切り替えて把持具14を把持させる。言い換えれば、制御部23は、把持具14が作業領域OAの中心Cから基準距離D1以内に位置するか、把持具14が作業領域OAの中心Cから基準距離D1よりも外に位置するかに応じて、把持具14の把持動作のモードを切り替える。
【0070】
制御部23は、処理エリアPR外においては、把持具14の把持動作のモードである移動モードで把持具14の把持動作をさせる。制御部23は、把持具14が処理エリアPR内に進入すると、把持具14の把持動作のモードである作業モードで把持具14の把持動作をさせる。
【0071】
移動モード及び作業モードにおいて同一の操作量で操作レバー30を操作した場合、作業モードでは、移動モードよりも精密に把持具14が稼働される。すなわち、作業モードでは、把持速度が移動モードよりも遅い態様で把持具14が稼働される。また、狭小な空間での作業に適するように最大開度が移動モードよりも狭く稼働される。
【0072】
また、制御部23は、作業領域の属性によっても把持具14の把持動作のモードを変更してもよい。例えば、自動車OBからハーネスを取り外す工程では、車両からボンネットを外す工程よりも、より精密に把持具14を動作させる必要がある。従って、制御部23は、例えば、ハーネスのような精密に把持具14を動作させる対象(精密処理対象とも称する)に対して把持具14に把持動作をさせる場合に、把持動作速度が作業モードよりも遅い態様で把持動作がなされる微操作モードで把持具14を動作させてもよい。
【0073】
図7は、制御部23による稼働対象の動作処理ルーチンR1の一例を示している。尚、稼働対象は、本図及び次図においては、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14として説明する。
【0074】
図7に示すように、制御部23は、自動車解体機100のエンジンがONであるか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、制御部23は、自動車解体機100のエンジンをON又はOFFにする操作がなされたかを、例えば、入力部21を介して取得する。すなわち、制御部23は、操作受付部23aとして機能する。
【0075】
制御部23は、ステップS101の判定においてエンジンがONではないと判定した場合(ステップS101:N)、処理を終了する。
【0076】
制御部23は、ステップS101の判定においてエンジンがONであると判定した場合(ステップS101:Y)、把持具14から作業領域OAまでの距離が基準距離D1以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0077】
ステップS102の判定は、例えば、カメラCMが撮像した画像データに基づいて、処理エリアPR内に把持具14が位置するかによって行われる。言い換えれば、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離を当該画像データに基づいて取得する。従って、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離を取得する距離取得部23fとして機能する。
【0078】
制御部23の距離取得部23fは、ステップS102の判定において、当該距離が基準距離D1よりも長い、すなわち基準距離D1以下ではないと判定した場合(ステップS102:N)、稼働対象に対する制御モードを上述した移動モードにする(ステップS103)。尚、移動モードは、上述のように、動作速度が作業モードよりも速い態様で動作がなされる制御モードである。
【0079】
制御部23は、ステップS102の判定において、当該距離が基準距離D1以下であると判定した場合(ステップS102:Y)、稼働対象に対する制御モードを上述した作業モードにする(ステップS104)。尚、作業モードは、上述のように、稼働対象の動作が精密であり、かつ動作速度が微操作モードよりも速い態様で動作がなされる制御モードである。
【0080】
制御部23は、ステップS103又は、ステップS104の後、自動車解体機100のエンジンがOFFであるか否かを判定する(ステップS105)。
【0081】
制御部23は、ステップS105の判定において、エンジンがONである、すなわちエンジンがOFFではないと判定した場合(ステップS105:N)、ステップS102の判定に戻って以後の処理を繰り返す。
【0082】
制御部23は、ステップS105の判定において、エンジンがOFFであると判定した場合(ステップS105:Y)、処理を終了する。
【0083】
図8は、制御部23の旋回制御部23b乃至把持制御部23eの各々によって実行される各制御モードの駆動部に対する出力処理ルーチンR2の一例を示している。制御部23は、入力された第1操作乃至第4操作の量に対して各制御モードに応じて、補正をして駆動部に出力する。
【0084】
図8に示すように、制御部23は、稼働対象の動作に関する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201において、制御部23は、操作ボタン42による操作を受け付けたか否かによって当該判定を行う。従って、制御部23は、操作受付部23aとして機能する。
【0085】
制御部23は、ステップS201の判定において、操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS201:N)、処理を終了する。
【0086】
制御部23は、ステップS201の判定において、操作を受け付けたと判定した場合(ステップS201:Y)、作業モードであるか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202において、作業モードであるか否かの判定は、
図7で示したステップS102の判定処理の結果を取得することによって行われる。
【0087】
制御部23は、ステップS202の判定において、作業モードであると判定した場合(ステップS202:Y)、制御部23は、ステップS201において受け付けた操作の操作量に対して予め定めた第1補正値を乗じて駆動部に出力する、すなわち第1補正出力をする(ステップS203)。尚、第1補正値は、例えば、1よりも小さく0よりも大きい数値である。
【0088】
ステップS203においては、制御部23は、受け付けた操作量に応じた動作量を稼働対象の駆動部に対して出力して稼働対象を動作させる。すなわち、制御部23は、旋回制御部23b乃至把持制御部23eとして機能する。従って、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離に応じて第1操作乃至第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整する。
【0089】
制御部23の距離取得部23fは、ステップS202の判定において、作業モードでないと判定した場合(ステップS202:N)、制御部23は、ステップS201において受け付けた操作量を駆動部に出力する、すなわち出力をする(ステップS204)。
【0090】
ステップS204においては、制御部23は、受け付けた操作量に応じた動作量を稼働対象の駆動部に対して出力して稼働対象を動作させる。すなわち、制御部23は、旋回制御部23b乃至把持制御部23eとして機能する。従って、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離に応じて第1操作乃至第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整する。
【0091】
制御部23は、ステップS203又はステップS204の後、自動車解体機100のエンジンがOFFであるか否かを判定する(ステップS205)。
【0092】
制御部23は、ステップS205の判定において、エンジンがOFFではないと判定した場合(ステップS205:N)、ステップS201の判定に戻って以後の処理を繰り返す。
【0093】
制御部23は、ステップS205の判定において、エンジンがOFFであると判定した場合(ステップS205:Y)、処理を終了する。
【0094】
このように、制御部23は、作業領域OAまでの距離に応じて第1操作乃至第4操作の操作量に対する動作させる稼働対象の動作量を調整する。尚、制御部23が動作量を調整する稼働対象は、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14に限られず、例えば、クランプ装置15であってもよい。
【0095】
以上のように、本実施例に係る自動車解体機100によれば、制御部23が作業領域OAまでの距離に応じて第1操作の量、第2操作の量、第3操作の量及び第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整することにより、例えば、作業領域OAまでの距離が遠い場合は、旋回体等の動作を大きく、かつ素早く行うことができる。また、例えば、作業領域OAまでの距離が近い場合は、旋回体12等の動作を小さく、かつ遅く行うことができる。従って、オペレータの意図する態様で自動車解体機100の動作対象を動作させることが可能となる。
【実施例2】
【0096】
実施例2に係る自動車解体機100を説明する。実施例2に係る自動車解体機100は、解体の対象となる自動車の部位、言い換えれば、作業領域OAの属性に応じて、動作させる対象の動作量を調整する点で実施例1の自動車解体機100とは異なる。その余の点については、実施例1の自動車解体機100と同一であるので説明を省略する。
【0097】
図9は、実施例2の自動車解体機100の制御ユニット20の機能ブロックを示している。
図9に示すように、実施例2の制御ユニット20は、制御部23が属性情報取得部23gを有する点で実施例1の制御ユニット20とは異なる。
【0098】
属性情報取得部23gは、例えば、カメラCMが撮像した撮像データに基づいて、作業領域OAの属性情報、例えば、自動車ОBのボンネットの近傍、ドアの近傍、底面側等を取得することが可能である。従って、属性情報取得部23gは、作業領域OAの属性情報を取得することが可能である。
【0099】
図10は、制御部23による稼働対象の動作処理ルーチンR3の一例を示している。尚、稼働対象は、本図及び次図においては、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14として説明する。
【0100】
図10に示すように、制御部23は、自動車解体機100のエンジンがONであるか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301において、制御部23は、自動車解体機100のエンジンをON又はOFFにする操作がなされたかを、例えば入力部21を介して取得する。すなわち、制御部23は、操作受付部23aとして機能する。
【0101】
制御部23は、ステップS301の判定においてエンジンがONではないと判定した場合(ステップS301:N)、処理を終了する。
【0102】
制御部23は、ステップS301の判定においてエンジンがONであると判定した場合(ステップS301:Y)、把持具14から作業領域OAまでの距離が基準距離D1以下であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0103】
ステップS302の判定は、例えば、カメラCMが撮像した画像データに基づいて、処理エリアPR内に把持具14が位置するかによって行われる。言い換えれば、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離を当該画像データに基づいて取得する。従って、制御部23は、把持具14から作業領域OAまでの距離を取得する距離取得部23fとして機能する。
【0104】
制御部23の距離取得部23fは、ステップS302の判定において、当該距離が基準距離D1よりも長い、すなわち基準距離D1以下ではないと判定した場合(ステップS302:N)、稼働対象に対する制御モードを上述した移動モードにする(ステップS303)。尚、移動モードは、上述のように、動作速度が作業モードよりも速い態様で動作がなされる制御モードである。
【0105】
制御部23は、ステップS302の判定において、当該距離が基準距離D1以下であると判定した場合(ステップS302:Y)、作業領域OAの属性が、精密処理対象であるか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304において、作業領域OAの属性が精密処理対象であるか否かの判定は、上述したように、オペレータにより例えば、運転室CBに設けられたディスプレイのタッチパネルにより入力された入力情報に基づいて行われてもよいし、制御ユニット20に接続された外部機器(図示せず)より、取得した情報に基づいて行われるようにしてもよい。
【0106】
また、作業領域OAは、下記に示すように、カメラCMが撮像した撮像データに基づいて取得されるようにしてもよい。制御部23は、例えば、一定時間ごとにカメラCMによって撮像された複数の撮像データを取得する。制御部23は、当該複数の撮像データに基づいて、把持具14が自動車ОBのどの部位に進行しているかを画像処理によって判断する。制御部23は、把持具14の進行方向に位置する自動車ОBの部位を作業領域OAの属性として属性情報を取得する。
【0107】
例えば、作業領域OAの属性がボンネットである場合、把持具14は、徐々に当該ボンネットに向かって進行する。制御部23は、一定時間毎に撮像された複数の撮像データに基づいて、把持具14が自動車ОBのボンネットに進行していることを画像処理によって判断することが可能である。制御部23は、自動車ОBのボンネットを作業領域OAの属性として属性情報を取得する。したがって、制御部23は、属性情報取得部23gとして機能する。
【0108】
制御部23の距離取得部23fは、ステップS304の判定において、作業領域OAの属性が精密処理対象であると判定した場合(ステップS304:Y)、稼働対象に対する制御モードを上述した微操作モードにする(ステップS305)。尚、微操作モードは、上述のように、稼働対象の動作が精密であり、かつ動作速度が作業モードよりも遅い態様で動作がなされる制御モードである。
【0109】
制御部23の距離取得部23fは、ステップS304の判定において、作業領域OAの属性が精密処理対象ではないと判定した場合(ステップS304:N)、稼働対象に対する制御モードを上述した作業モードにする(ステップS306)。尚、作業モードは、上述のように、稼働対象の動作が精密であり、かつ動作速度が微操作モードよりも速い態様で動作がなされる制御モードである。
【0110】
制御部23は、ステップS303、ステップS305又はステップS306の後、自動車解体機100のエンジンがOFFであるか否かを判定する(ステップS307)。
【0111】
制御部23は、ステップS307の判定において、エンジンがOFFではないと判定した場合(ステップS307:N)、ステップS302の判定に戻って以後の処理を繰り返す。
【0112】
制御部23は、ステップS307の判定において、エンジンがOFFであると判定した場合(ステップS307:Y)、処理を終了する。
【0113】
このように、制御部23は、作業領域OAまでの距離に応じて第1操作乃至第4操作の操作量に対する動作させる稼働対象の動作量を調整する。尚、制御部23が動作量を調整する稼働対象は、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14に限られず、例えば、クランプ装置15であってもよい。
【0114】
図11は、制御部23の旋回制御部23b乃至把持制御部23eの各々によって実行される各制御モードの駆動部に対する出力処理ルーチンR4の一例を示している。制御部23は、入力された第1操作乃至第4操作の量に対して移動モード、作業モード及び微操作モードに応じて、補正をして駆動部に出力する。
【0115】
図11に示すように、制御部23は、稼働対象の動作に関する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401において、制御部23は、操作ボタン42による操作を受け付けたか否かによって当該判定を行う。従って、制御部23は、操作受付部23aとして機能する。
【0116】
制御部23は、ステップS401の判定において、操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS401:N)、処理を終了する。
【0117】
制御部23は、ステップS401の判定において、操作を受け付けたと判定した場合(ステップS401:Y)、作業モードであるか否かを判定する(ステップS402)。ステップS402において、作業モードであるか否かの判定は、
図10で示したステップS304の判定処理の結果を取得することによって行われる。
【0118】
制御部23は、ステップS402の判定において、作業モードであると判定した場合(ステップS402:Y)、制御部23は、ステップS401において受け付けた操作の操作量に対して予め定めた第1補正値を乗じて駆動部に出力する、すなわち第1補正出力をする(ステップS403)。尚、第1補正値は、例えば、1よりも小さく0よりも大きい数値である。
【0119】
ステップS403においては、制御部23は、受け付けた操作量に応じた動作量を稼働対象の駆動部に対して出力して稼働対象を動作させる。すなわち、制御部23は、旋回制御部23b乃至把持制御部23eとして機能する。従って、制御部23は、作業領域OAの属性に応じて第1操作乃至第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整する。
【0120】
制御部23の距離取得部23fは、ステップS402の判定において、作業モードでないと判定した場合(ステップS402:N)、微操作モードであるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404において、微操作モードであるか否かの判定は、
図10で示したステップS304の判定処理の結果を取得することによって行われる。
【0121】
制御部23は、ステップS404の判定において、微操作モードであると判定した場合(ステップS404:Y)、制御部23は、ステップS401において受け付けた操作量に対して予め定めた第2補正値を乗じて駆動部に出力する、すなわち第2補正出力をする(ステップS405)。尚、第2補正値は、例えば、1よりも小さく0よりも大きい数値であり、かつ、第1補正値よりも小さい数値である。
【0122】
ステップS405においては、制御部23は、受け付けた操作量に応じた動作量を稼働対象の駆動部に対して出力して稼働対象を動作させる。すなわち、制御部23は、旋回制御部23b乃至把持制御部23eとして機能する。
【0123】
従って、制御部23は、作業領域OAの属性に応じて第1操作乃至第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整する。
【0124】
制御部23は、ステップS404の判定において、微操作モードでないと判定した場合(ステップS404:N)、制御部23は、ステップS401において受け付けた操作量を駆動部に出力する、すなわち出力をする(ステップS406)。
【0125】
ステップS406においては、制御部23は、受け付けた操作量に応じた動作量を稼働対象の駆動部に対して出力して稼働対象を動作させる。すなわち、制御部23は、旋回制御部23b乃至把持制御部23eとして機能する。
【0126】
従って、制御部23は、作業領域OAの属性に応じて第1操作乃至第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整する。
【0127】
制御部23は、ステップS403、ステップS405又はステップS406の後、自動車解体機100のエンジンがOFFであるか否かを判定する(ステップS407)。
【0128】
制御部23は、ステップS407の判定において、エンジンがOFFではないと判定した場合(ステップS407:N)、ステップS401の判定に戻って以後の処理を繰り返す。
【0129】
制御部23は、ステップS407の判定において、エンジンがOFFであると判定した場合(ステップS407:Y)、処理を終了する。
【0130】
尚、制御部23が動作量を変更する対象は、旋回体12、ブーム13a、アーム13b及び把持具14に限られず、例えば、クランプ装置15であってもよい。
【0131】
また、上述の実施例においては、作業具を把持具14として説明した。しかし、作業具は把持具14に限られず、例えば、掘削機に用いられるバケットであってもよい。
【0132】
さらに、上述の実施例においては、作業機械を自動車解体機100として説明した。しかし、作業機械は、自動車解体機100だけでなく、例えば、建設解体機、油圧ショベル、スクラップローダ等の機械にも用いることができる。
【0133】
例えば、車両からハーネスを取り外す工程では、車両からボンネットを外す工程よりも、より精細に把持具14を動作させる必要がある。本実施例に係る自動車解体機100によれば、制御部23が作業領域OAの属性に応じて第1操作の量、第2操作の量、第3操作の量及び第4操作の量に対する動作させる対象の動作量を調整することにより、言い換えれば、作業の対象が、例えば、自動車ОBのボンネットの引きはがしであるか、ハーネスの取り外しであるかに応じて、動作させる対象の動作量を調整する。従って、オペレータが意図する作業に応じて動作させる対象の動作量を調整することが可能となる。
【符号の説明】
【0134】
100 自動車解体機
11 走行体
12 旋回体
13 作業腕
13a ブーム
13b アーム
14 把持具
20 制御ユニット
23 制御部
23g 属性情報取得部
OB 自動車