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特許7318438運転支援装置、運転支援装置の制御方法及び運転支援装置の制御プログラム
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  • 特許-運転支援装置、運転支援装置の制御方法及び運転支援装置の制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援装置の制御方法及び運転支援装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230725BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G01C21/34
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019165808
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021043742
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 立巳
(72)【発明者】
【氏名】竹原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】須山 明昇
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真那夢
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 智
(72)【発明者】
【氏名】青木 雄士
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176324(JP,A)
【文献】特開2018-049477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも速度超過、急ブレーキまたは車線逸脱である車両の挙動を示す挙動情報を取得する車両挙動情報取得部と、
前記挙動情報の取得に応じて走行路の特徴を示す特徴情報を取得する走行路特徴情報取得部と、
設定された目的地までの前記車両の案内経路を示す案内経路情報を取得する案内経路情報取得部と、
前記特徴情報を前記案内経路情報と照合し、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点を運転者の運転注意地点と判定する判定部と、
前記運転注意地点を走行する際に前記車両の運転操作の少なくとも一部を実行する自動運転制御部と、
を備え
前記判定部は、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点の数に基づき、前記案内経路の運転注意指数を算出し、
前記運転注意指数を表示する表示制御部をさらに備える、
運転支援装置。
【請求項2】
運転支援装置のコンピュータが実行する制御方法であって、
少なくとも速度超過、急ブレーキまたは車線逸脱である車両の挙動を示す挙動情報を取得するステップと、
前記挙動情報の取得に応じて走行路の特徴を示す特徴情報を取得するステップと、
設定された目的地までの前記車両の案内経路を示す案内経路情報を取得するステップと、
前記特徴情報を前記案内経路情報と照合し、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点を運転者の運転注意地点と判定する判定ステップと、
前記運転注意地点を走行する際に前記車両の運転操作の少なくとも一部を実行するステップと、を備え
前記判定ステップは、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点の数に基づき、前記案内経路の運転注意指数を算出し、
前記運転注意指数を表示するステップをさらに備える、
運転支援装置の制御方法。
【請求項3】
コンピュータが実行する運転支援装置の制御プログラムであって、
少なくとも速度超過、急ブレーキまたは車線逸脱である車両の挙動を示す挙動情報を取得するステップと、
前記挙動情報の取得に応じて走行路の特徴を示す特徴情報を取得するステップと、
設定された目的地までの前記車両の案内経路を示す案内経路情報を取得するステップと、
前記特徴情報を前記案内経路情報と照合し、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点を運転者の運転注意地点と判定する判定ステップと、
前記運転注意地点を走行する際に前記車両の運転操作の少なくとも一部を実行するステップと、を備え、
前記判定ステップは、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点の数に基づき、前記案内経路の運転注意指数を算出し、
前記運転注意指数を表示するステップをさらに備える、
転支援装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の安全な運転を支援する運転支援装置、運転支援装置の制御方法及び運転支援装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行に危険な地点のデータを集約したハザードマップデータと車両の案内経路とを照合し、案内経路上に危険地点を表示して運転者に注意を促す技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-032541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、すべての運転者に同一の危険地点の情報を提供するものであり、運転者の性格や運転技術の特徴を反映した運転支援技術が模索されている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、運転者固有の運転支援を行う運転支援装置、運転支援装置の制御方法及び運転支援装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運転支援装置は、少なくとも速度超過、急ブレーキまたは車線逸脱である車両の挙動を示す挙動情報を取得する車両挙動情報取得部と、前記挙動情報の取得に応じて走行路の特徴を示す特徴情報を取得する走行路特徴情報取得部と、設定された目的地までの前記車両の案内経路を示す案内経路情報を取得する案内経路情報取得部と、前記特徴情報を前記案内経路情報と照合し、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点を運転者の運転注意地点と判定する判定部と、前記運転注意地点を走行する際に前記車両の運転操作の少なくとも一部を実行する自動運転制御部と、を備え、前記判定部は、前記案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点の数に基づき、前記案内経路の運転注意指数を算出し、前記運転注意指数を表示する表示制御部をさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者の運転傾向から案内経路上の運転注意地点を判定し、運転注意地点を走行する際に車両の運転操作の少なくとも一部を実行するため、案内経路上を走行する際に運転者固有の運転支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る運転支援装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、運転時記録データベースに記録される挙動情報と特徴情報の一例を示す図である。
図3図3は、走行路の特徴と関連する運転者の運転傾向を分析する動作手順を示すフローチャートである。
図4図4は、案内経路上の運転注意地点を走行する際に運転操作を支援する動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る運転支援装置の機能構成を示すブロック図である。図2は、運転時記録データベースに記録される挙動情報と特徴情報の一例を示す図である。運転支援装置1は、車両が走行する走行路の特徴と車両の挙動とに基づいて、運転者の運転傾向を分析する。また、運転支援装置1は、例えば、カーナビゲーション装置が目的地までの案内経路を選択した場合に、運転傾向により案内経路上の運転注意地点の有無を判定する。そして、運転支援装置1は、案内経路上の運転注意地点を車両が走行する際に、該車両の運転操作制御の少なくとも一部を実行する。
【0011】
本実施形態に係る運転支援装置1が搭載される車両は、自動運転が可能な、例えば自動車などの車両である。自動運転とは、自動運転システム(不図示)が車両の運転操作の一部または全部を、運転者に代わって実行して該車両を自動的に運転するものをいう。自動運転システムは、既存の技術を用いることができ、例えば、車両に搭載された自動運転制御部と、車外の道路状況などの情報を外部機器から取得する道路状況取得部と、カメラなどを用いて車両周囲の外界状況の情報を取得する外界状況取得部と、GPS受信機などの位置情報や車速情報などから自車両の走行位置を推定する走行位置推定部などを備えて構成される。自動運転制御部は、道路状況取得部、外界状況取得部、及び走行位置推定部から得られる自動運転中の走行環境や自車両の走行状態などに基づき、車両のハンドル(操舵)操作制御、アクセル(加速)操作制御、及びブレーキ(制動)操作制御の少なくとも一部を実行する。なお、自動運転システムは上記したものに限るものではなく、他の構成によるものであってもよい。
【0012】
また、走行路の特徴とは、車両が通過時に所定の運転操作(ハンドル操作、アクセル操作、ブレーキ操作など)を要する箇所であり、例えば、いわゆるカーブ地点、交差点、踏切(一時停止線を含む)のように予め決められた種類に区分けされている。本実施形態では、走行路の特徴として、カーブ地点を一例に説明する、このカーブ地点は、曲がり方向や車線幅、曲率半径などの条件により細かく分類してもよい。
【0013】
車両の挙動とは、例えば、速度異常(速度超過)、急ブレーキ、車線逸脱などであり、比較的事故を誘発しやすい車両の動作をいう。運転者は、通常に運転している状態であっても、ブレーキ操作およびアクセル操作が適切に行われずに、例えばカーブ地点を速度超過の状態で走行することがある。この場合、車両が車線逸脱して事故を起こす可能性がある。
【0014】
運転支援装置1は、図1に示すように、カメラ2と、挙動検知センサ3と、カーナビゲーション装置4と、制御装置10とを備える。なお、カメラ2と、挙動検知センサ3と、カーナビゲーション装置4とを別体として構成し、制御装置10を運転支援装置1としてもよい。
【0015】
カメラ2は、車両が走行する走行路を含む車両の周囲の映像(車両周辺映像)を撮影する。カメラ2は、例えば、360°の全天周を撮影可能なカメラを用いてもよいし、車両の周囲を撮影する複数のカメラ群であってもよい。カメラ2は、車両のエンジンが始動してから停止するまでの間、車両の周囲の車両周辺映像を常時撮影する。カメラ2は、撮影した車両周辺映像の映像データ(走行路の特徴情報、車両の挙動情報)を制御装置10の走行路特徴情報取得部12、車両挙動情報取得部13にそれぞれ出力する。映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0016】
挙動検知センサ3は、エンジンが始動してから停止するまでの間、車両の挙動を検知する。挙動検知センサ3としては、例えば、速度センサや加速度センサ、車両位置検知センサ(GPSセンサ)が挙げられる。挙動検知センサ3が検知した挙動情報は、制御装置10の車両挙動情報取得部13に出力される。これらの挙動検知センサ3は、車両に搭載されている各種センサと共用してもよい。
【0017】
カーナビゲーション装置4は、既存の技術を用いることができ、設定された目的地までの経路を探索する経路探索部41と、探索した経路を表示する表示部42とを備え、経路に沿って車両の走行を案内する。経路探索部41は、目的地までの案内経路を示す案内経路情報を制御装置10の案内経路情報取得部17に出力する。また、案内経路情報には、案内経路における走行路の状態を示す道路環境情報を含む構成となっている。道路環境情報とは、例えば、特定の地点を示す位置情報(経度や緯度など)と、その地点における走行路の車線幅やカーブの種類などとから構成される。道路環境情報は、カーナビゲーション装置4に記憶されていてもよく、またはカーナビゲーション装置4によりネットワークを介して特定のサーバから取得してもよい。表示部42は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等で構成されて各種情報を表示するためのモニタ部である。
【0018】
制御装置10は、運転者認証部11と、走行路特徴情報取得部12と、車両挙動情報取得部13と、運転時記録データベース14と、運転傾向分析部15と、運転傾向データベース16と、案内経路情報取得部17と、判定部18と、通知部19と、自動運転制御部23とを備える。制御装置10は、運転支援装置1の全体の動作制御を司る装置であり、マイクロプロセッサまたはマイクロコンピュータといったハードウェアを備えた構成となっている。制御装置10の各構成要素を動作させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0019】
運転者認証部11は、車両の運転操作をする運転者の認証を行う。運転者の認証は、例えば、事前に登録した所定のリストから運転者の名前を選択するような簡素なものでも良いし、運転者の生体情報(指紋、声紋、顔、虹彩など)を読み取って、これを事前に登録された生体情報と照合するものであってもよい。
【0020】
走行路特徴情報取得部12は、カメラ2から出力された車両周辺の映像データから走行路の特徴となる特徴情報を取得する。走行路特徴情報取得部12は、映像データに画像処理を行って、例えば、車両が走行路を旋回しつつ走行していることが検知されると、走行路の特徴をカーブ地点と判断し、少なくとも走行路がどちらに曲がっているか(右カーブか左カーブか)と、該カーブ地点が撮影された時刻情報とを含む特徴情報を取得する。この場合、映像データから走行路の車線幅やカーブの曲率半径が検出できれば、これらの情報も特徴情報に含めることができる。また、映像データに画像処理を行って、例えば、横断歩道が検知された場合、走行路の特徴が横断歩道であると判断し、横断歩道であることと該横断歩道が撮影された時刻情報を含む特徴情報を取得する。
【0021】
車両挙動情報取得部13は、カメラ2の映像データもしくは挙動検知センサ3が検知した検知データから挙動情報を取得する。車両挙動情報取得部13は、例えば、速度センサが検知した車速情報と時刻情報とを挙動情報として連続的に取得する。この場合、車速が所定速度(法定速度)を超えている状態が所定時間以上継続している場合には、車両の挙動を速度超過と判断し、その車速と時刻情報とを別途挙動情報として取得する。また、例えば、加速度センサが車両の進行方向への一定以上の強さの加速を検知した場合、車両の挙動を急発進と判断し、加速度(急発進)の強さとその時刻情報とを挙動情報として取得する。また、例えば、加速度センサが車両の進行方向と反対側への一定以上の強さの加速(進行方向への減速)を検知した場合、車両の挙動を急ブレーキと判断し、加速度(急ブレーキ)の強さとその時刻情報とを挙動情報として取得する。また、車両挙動情報取得部13は、映像データに画像処理を行って、例えば、車両が現在走行している車線からはみ出したことを検知すると、車両の挙動を車線逸脱と判断して、車線逸脱して走行した距離と時刻情報とを挙動情報として取得する。また、車両挙動情報取得部13は、映像データに画像処理を行って、先方の車両との車間距離を検知し、車間距離が閾値以下の状態が所定時間以上継続すると、車両の挙動を前方衝突の危険性が高いと判断し、前方衝突の危険性と時刻情報とを挙動情報として取得する。また、車両挙動情報取得部13は、映像データに画像処理を行って、車両が走行路を反対向きに走行していること(いわゆる逆走)や、踏切などの一時停止区域で一時停止を怠ったこと(一時停止義務違反)などの車両の挙動情報を取得してもよい。
【0022】
運転時記録データベース14は、例えばハードディスクドライブなどの記憶媒体を備えた記憶装置であり、走行路特徴情報取得部12が取得した特徴情報、及び車両挙動情報取得部13が取得した挙動情報を記録する。運転時記録データベース14は、運転者ごとに、特徴情報、及び挙動情報を日時情報とともに履歴情報として記憶する。具体的には、図2に示すように、『速度超過』を示す挙動情報と、この挙動情報と同時刻に取得した走行路の特徴である『カーブ(左)』を示す特徴情報とを一組の履歴情報として運転時記録データベース14に記憶する。また、『急ブレーキ』を示す挙動情報と、この挙動情報と同時刻に取得した走行路の特徴である『横断歩道』を示す特徴情報とを一組の履歴情報として運転時記録データベース14に記憶する。
【0023】
運転傾向分析部15は、運転時記録データベース14に記録された特徴情報と挙動情報とに基づき、走行路の特徴と関連する運転者の運転傾向を分析する。この運転傾向は、運転者がどのような状態の時に事故を起こしやすいかを表すものであり、走行路の特徴と結びつけて設定されている。図2の例では、運転時記録データベース14には、所定期間内(例えば半年以内)に、『カーブ(左)』の特徴情報と、『速度超過』の挙動情報との組が所定数(3つ)記録されている。このため、運転傾向分析部15は、該当する運転者は、『左カーブ地点において速度超過をしやすい傾向にある』と分析する。この分析は、定期的に実施して直近の運転傾向を把握することが好ましい。なお、分析するにあたり、所定期間や組の所定数、分析の頻度などは適宜変更してもよい。
【0024】
運転傾向データベース16は、例えばハードディスクドライブなどの記憶媒体を備えた記憶装置であり、運転傾向分析部15が分析した運転傾向の情報を運転者ごとに記憶する。案内経路情報取得部17は、カーナビゲーション装置4の経路探索部41が出力した案内経路情報を取得する。この案内経路情報には、目的地までの所要時間や、案内経路の総距離、案内経路を構成する走行路の地図情報を含む。
【0025】
判定部18は、取得した案内経路情報と、運転者の運転傾向と関連する特徴情報とを照合し、案内経路上に存在する特徴情報を含む地点を運転者の運転注意地点と判定する。具体的には、判定部18は、案内経路上に『左カーブ地点』が存在するかを判定し、存在する場合には、案内経路上のすべての『左カーブ地点』を運転注意地点と判定する。また、判定部18は、案内経路上のすべての運転注意地点の数に基づき、案内経路における運転注意指数を求める。この運転注意指数は、例えば、運転注意地点の数を案内経路の総距離や目的地までの所要時間で除して、単位距離(例えば1km)や単位時間(例えば1時間)あたりの指数とする。これらの運転注意地点及び運転注意指数を含めて運転注意情報という。これらの判定は、カーナビゲーション装置4において、目的地までの経路探索が実行された際に行われる。このため、上記判定は、運転開始前に目的地を設定した場合や、運転中に案内経路から外れて再探索された場合に行われる。
【0026】
通知部19は、判定部18で判定された運転注意情報を運転者に通知する。通知部19は、表示制御部20を備える。表示制御部20は、カーナビゲーション装置4の表示部42を表示制御するものであり、表示された案内経路上に運転注意地点及び運転注意指数を重ねて表示する。この際、カーナビゲーション装置4は、車両が運転注意地点に接近する度にその旨を音声で通知する構成とするのが好ましい。
【0027】
自動運転制御部23は、車両外部に設置された自動運転システム(不図示)から通信などによって取得した各種情報に基づき、車両の運転操作制御の少なくとも一部(車両のハンドル(操舵)制御、アクセル(加速)制御、及びブレーキ(制動)制御)を、運転者に代わって実行する。本実施形態では、自動運転制御部23は、判定部18で判定された運転注意地点を車両が走行する際に、該運転注意地点に関連する車両の挙動を抑制する運転支援モード(運転操作制御)を実行する。自動運転制御部23は、例えば『左カーブ地点』が接近する(10m以内)と運転支援モードを実行する。この際、カーナビゲーション装置4の表示部42に運転支援モードを実行する旨を表示するとともに、音声で通知する構成とするのが好ましい。運転支援モードが実行されると、例えば『左カーブ地点』を走行する際に、自動運転制御部23は、アクセル(加速)操作及びブレーキ(制動)操作を制御して、所定速度(法定速度)以下の車速で走行する。この場合、『左カーブ地点』を走行中に運転者がアクセルペダルを過剰に踏み込んだとしても、自動運転制御部23の制御を優先することで『速度超過』の挙動を抑制することができる。
【0028】
次に、本実施形態に係る運転支援装置1の動作手順について説明する。本実施形態では、運転者の運転傾向を事前に分析する処理と、案内経路上の運転注意地点を走行する際に運転操作を支援する処理と、の2段階に分かれる。図3は、走行路の特徴と関連する運転者の運転傾向を分析する動作手順を示すフローチャートである。図4は、案内経路上の運転注意地点を走行する際に運転操作を支援する動作手順を示すフローチャートである。
【0029】
運転者の運転傾向を分析する場合、図3に示すように、運転者の認証を行う(ステップS1)。この運転者の認証においては、車両を運転する前に、例えば、事前に登録されている運転者リストから自己の名前を選択することで運転者が認証される。これにより、運転中に取得される挙動情報及び特徴情報は、運転者に紐付けられて記憶される。
【0030】
次に、運転者が車両を運転中に、走行路特徴情報取得部12は、カメラ2から出力された車両周辺の映像データから走行路の特徴となる特徴情報を取得する(ステップS2)。そして、車両挙動情報取得部13は、カメラ2の映像データもしくは挙動検知センサ3が検知した検知データから挙動情報を取得する(ステップS3)。カメラ2は、エンジンか駆動中には常時、車両周辺を撮影しているため、例えば、車両挙動情報取得部13が挙動検知センサ3の検知データから挙動情報を取得した際に、走行路特徴情報取得部12が映像データから特徴情報を取得してもよい。
【0031】
次に、運転時記録データベース14は、走行路特徴情報取得部12が取得した特徴情報、及び車両挙動情報取得部13が取得した挙動情報を記録する(ステップS4)。この場合、例えば『速度超過』を示す挙動情報が取得されると、この挙動情報と同時刻を含む前後の映像データに画像処理を行って、例えば『カーブ(左)』を示す特徴情報を取得する。そして、これらの『速度超過』を示す挙動情報と『カーブ(左)』を示す特徴情報と日時情報とを一組の履歴情報として運転時記録データベース14に記憶する。
【0032】
次に、運転時記録データベース14に記憶された特徴情報及び挙動情報に基づいて、運転者の運転傾向を分析する(ステップS5)。この運転分析において、同種の挙動情報及び特徴情報の組(『速度超過』を示す挙動情報と『カーブ(左)』を示す特徴情報の組)が所定期間内に複数記憶されている場合には、運転傾向分析部15は、該当する運転者は、『左カーブ地点において速度超過をしやすい傾向にある』と分析する。この分析結果は、運転傾向データベース16に運転者ごとに分けて記憶され(ステップS6)、運転者の運転傾向を分析する処理を終了する。
【0033】
また、案内経路上の運転注意地点を走行する際に運転操作を支援する処理を実施する場合には、図4に示すように、まず運転者の認証を行う(ステップS11)。運転者の認証の方式は、上述したものと同一の方式が採用される。これにより、認証された運手者の運転傾向に基づいて、案内経路上に運転注意地点の有無が判定される。
【0034】
次に、カーナビゲーション装置4を用いて、目的地までの案内経路が探索されて設定される(ステップS12)。すると、案内経路情報取得部17は、カーナビゲーション装置4の経路探索部41が出力した案内経路情報を取得する(ステップS13)。この案内経路情報には、目的地までの所要時間や、案内経路の総距離、案内経路を構成する走行路の地図情報、さらには案内経路における走行路の状態を示した道路環境情報を含む。
【0035】
次に、判定部18は、取得した案内経路情報と、運転者の運転傾向と関連する特徴情報とを照合し、案内経路上に運転者の運転注意地点が存在するか否かを判定する(ステップS14)。例えば、判定部18は、特徴情報と、案内経路情報に含まれる道路環境情報とを照合し、特徴情報に示された左カーブ地点が案内経路に含まれるか否かを判定する。この判定において、案内経路上に運転者の運転注意地点が存在しない場合(ステップS14;No)には処理を終了する。なお、この場合、カーナビゲーション装置4の表示部42に案内経路上に運転者の運転注意地点が存在しない旨を表示してもよい。
【0036】
一方、案内経路上に運転者の運転注意地点が存在する場合(ステップS14;Yes)には、カーナビゲーション装置4の表示部42に運転注意情報を表示する(ステップS15)。この運転注意情報は、運転注意地点と、該運転注意地点の数を案内経路の総距離や目的地までの所要時間で除して、単位距離(例えば1km)や単位時間(例えば1時間)あたりの指数とした運転注意指数とを含むものである。本実施形態では、カーナビゲーション装置4の表示部42に表示された案内経路上に運転注意地点及び運転注意指数を重ねて表示する。このため、運転者は、これから走行する案内経路上に、自己の運転傾向から判定された運転注意地点及び運転注意指数が反映されるため、運転者の注意を促すことができ事故の発生を抑制することができる。
【0037】
続いて、自動運転制御部23は、自車両が判定された運転注意地点の1つに接近しているか否を判定する(ステップS16)。具体的には、カーナビゲーション装置4や車両に搭載されたGPSセンサから自車両の位置を推定し、この自車両の位置が運転注意地点から所定距離(例えば10m)以内に接近したかを判定する。この判定において、運転注意地点の1つに接近していない場合(ステップS16;No)には、接近するまでステップS16の処置を繰り返し実行する。
【0038】
一方、運転注意地点の1つに接近している場合(ステップS16;Yes)には、自動運転制御部23は、運転注意地点に関連する車両の挙動を抑制する運転操作制御を実行する(ステップS17)。本実施形態では、運転注意地点として『左カーブ地点』を例示しているため、この『左カーブ地点』に関連する挙動である『速度超過』を抑制する運転操作制御を行う。具体的には、自動運転制御部23は、『左カーブ地点』を走行する際に運転支援モードを実行し、運転者に代わってアクセル(加速)操作の制御を行い、『左カーブ地点』を所定速度(法定速度)以下の車速で走行する。この際、運転者は、アクセル操作以外の操作であるハンドル操作やブレーキ操作を実施する。また、『左カーブ地点』を走行中に運転者がアクセルペダルを過剰に踏み込んだとしても、自動運転制御部23の制御を優先する。これにより、運転注意地点としての『左カーブ地点』を走行する際に『速度超過』の挙動を抑制することができる。この『左カーブ地点』を通過すると(例えば10m以上離れると)、この運転支援モードは終了し、運転者はアクセル操作を実施することが可能となる。なお、『左カーブ地点』を走行する(運転支援モードを実行する)前後には、アクセル操作が車両によって制御される旨を音声などによって通知する構成が好ましい。
【0039】
次に、自動運転制御部23は、案内経路上のすべての運転注意地点を車両が通過したか否かを判定する(ステップS18)。この判定において、すべての運転注意地点を車両が通過していない場合(ステップS18;No)には、処理をステップS16に戻す。また、すべての運転注意地点を車両が通過したい場合(ステップS18;No)には、処理を終了する。
【0040】
以上、本実施形態の運転支援装置1は、車両の挙動を示す挙動情報を取得する車両挙動情報取得部13と、挙動情報の取得に応じて走行路の特徴を示す特徴情報を取得する走行路特徴情報取得部12と、設定された目的地までの車両の案内経路を示す案内経路情報を取得する案内経路情報取得部17と、特徴情報を案内経路情報と照合し、案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点を運転者の運転注意地点と判定する判定部18と、運転注意地点を走行する際に車両の運転操作の少なくとも一部を実行する自動運転制御部23と、を備えるため、案内経路上を走行する際に、運転者の運転傾向に基づく運転者固有の運転支援を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、自動運転制御部23は、運転注意地点に関連する車両の挙動を抑制する運転操作を実行するため、運転注意地点を安全に走行することができる。
【0042】
また、判定部18は、案内経路上に存在する該特徴情報を含む地点の数を案内経路の総距離や目的地までの所要時間で除して、単位距離(例えば1km)や単位時間(例えば1時間)あたりの指数とした案内経路の運転注意指数を算出するため、運転者は案内経路上に表示された運転注意地点と、案内経路の運転注意指数を事前に確認できるため、案内経路の安全な運転を運転者に促すことができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、運転支援装置1は、車両に載置されているものを例示したが、これに限らず、可搬型で各種の車両に取り付けて利用可能な装置であってもよい。また、運転時記録データベース14および運転傾向分析部15は、車両内に配置せず、制御装置10とは別体に設けてもよい。例えば、走行路の特徴情報、及び、車両の挙動情報をSDカードなどの取り外し可能な記憶媒体に複製し、分析を行うタイミングでそのSDカードを、制御装置10とは別に用意された運転傾向分析装置(運転傾向分析部)に取り付けて読み込ませて分析を実行してもよい。また別の例として、運転時記録データベース14に記録された特徴情報、及び、挙動情報を、通信ネットワーク介して接続された外部機器に転送し、転送された情報を読み出すことができるようにした運転傾向分析装置(運転傾向分析部)において分析を実行してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、走行路の特徴を示す特徴情報は、カメラ2が撮影した映像データから取得しているが、例えば、GPSセンサが取得する車両の位置変化情報から特徴情報を取得してもよい。
【0045】
また、自動運転制御部23は、運転注意指数が所定の閾値以上の場合に、運転操作を実行してもよい。この構成によれば、例えば、短距離のように、運転注意指数が所定の閾値未満の場合には、自動運転制御部23による運転操作制御はなされないが、運転注意地点は予め運転者に通知されるため、運転注意地点における挙動を抑制する運転を促すことができる。
【0046】
また、本実施形態では、自動運転制御部23は、車両の運転操作の少なくとも一部を実行する構成としたが、車両の運転操作のすべてを自動的に実行する自動運転を行ってもよい。この場合、例えば、上記した運転注意指数が所定の閾値以上の場合には、自動運転のみを許可し、所定の閾値未満の場合には、自動運転と手動運転とを許可する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 運転支援装置
2 カメラ
3 挙動検知センサ
4 カーナビゲーション装置
10 制御装置
11 運転者認証部
12 走行路特徴情報取得部
13 車両挙動情報取得部
14 運転時記録データベース
15 運転傾向分析部
16 運転傾向データベース
17 案内経路情報取得部
18 判定部
19 通知部
20 表示制御部
23 自動運転制御部
42 表示部
図1
図2
図3
図4