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特許7318486配線部材の固定構造及び接合部材付き配線部材
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  • 特許-配線部材の固定構造及び接合部材付き配線部材 図1
  • 特許-配線部材の固定構造及び接合部材付き配線部材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】配線部材の固定構造及び接合部材付き配線部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20230725BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20230725BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20230725BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230725BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20230725BHJP
【FI】
H02G3/30 050
H05B6/10 381
H01B7/40 307A
C09J7/38
C09J7/35
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019194981
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021069244
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/235788(WO,A1)
【文献】特開2002-371253(JP,A)
【文献】特開2000-264137(JP,A)
【文献】特開2002-112440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H01B 7/40
H05B 6/10
C09J 7/35
C09J 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、
粘着層、発熱層及び接合層を含む接合部材と、
前記配線部材が固定されている被着体と、
を備え、
前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記粘着層と前記接合層との間に設けられており、
前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり
前記粘着層が前記配線部材に固定され、
前記接合層が前記被着体に固定されており、
前記粘着層が固定される前記配線部材と、前記発熱層との間には前記接合層が設けられていない、配線部材の固定構造。
【請求項2】
少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、
粘着層、発熱層及び接合層を含む接合部材と、
前記配線部材が固定されている被着体と、
を備え、
前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記粘着層と前記接合層との間に設けられており、
前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、
前記粘着層が前記配線部材と前記被着体とのうち一方に固定され、前記接合層が前記配線部材と前記被着体とのうち他方に固定されており、
前記粘着層が前記発熱層の一方主面に接触するように設けられ、前記接合層が前記発熱層の他方主面に接触するように設けられている、配線部材の固定構造。
【請求項3】
請求項に記載の配線部材の固定構造であって、
前記粘着層が前記被着体に固定され、
前記接合層が前記配線部材に固定されている、配線部材の固定構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材の固定構造であって、
前記接合部材は前記配線部材の長手方向に沿って部分的に設けられている、配線部材の固定構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線部材の固定構造であって、
前記接合部材が前記被着体上に広がって設けられている、配線部材の固定構造。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線部材の固定構造であって、
前記接合部材が前記配線部材に巻かれている、配線部材の固定構造。
【請求項7】
少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、
粘着層、発熱層及び接合層を含む接合部材と、
を備え、
前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記粘着層と前記接合層との間に設けられており、
前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、
前記粘着層が前記配線部材に固定され、前記接合層が露出しており、
前記粘着層が固定される前記配線部材と、前記発熱層との間には前記接合層が設けられていない、接合部材付き配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材の固定構造及び接合部材付き配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワイヤーハーネスが両面粘着テープによって成形天井に貼付け固定される技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-264137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、成形天井に貼られた両面粘着テープにゴミ等が付着して粘着性が低下する恐れがある。これを防ぐためには、成形天井に貼られた両面粘着テープに剥離紙が設けられたり、成形天井に両面粘着テープが設けられてすぐにワイヤーハーネスが貼り付けられたりする必要がある。前者の場合、ワイヤーハーネスの貼り付け時に剥離紙が剥がされる工程が必要となる。後者の場合、組付工程上の制約となる恐れがある。
【0005】
そこで、配線部材と被着体とが簡易に固定されることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材の固定構造は、少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、粘着層、発熱層及び接合層を含む接合部材と、前記配線部材が固定されている被着体と、を備え、前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記粘着層と前記接合層との間に設けられており、前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記粘着層が前記配線部材と前記被着体とのうち一方に固定され、前記接合層が前記配線部材と前記被着体とのうち他方に固定されている、配線部材の固定構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線部材と被着体とが簡易に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかる配線部材の固定構造を示す斜視図である。
図2図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3図3は配線部材が被着体に固定される様子を示す説明図である。
図4図4は実施形態2にかかる配線部材の固定構造を示す斜視図である。
図5図5図4におけるV-V線に沿った断面図である。
図6図6は配線部材が被着体に固定される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材の固定構造は、次の通りである。
【0011】
(1)少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、粘着層、発熱層及び接合層を含む接合部材と、前記配線部材が固定されている被着体と、を備え、前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記粘着層と前記接合層との間に設けられており、前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記粘着層が前記配線部材と前記被着体とのうち一方に固定され、前記接合層が前記配線部材と前記被着体とのうち他方に固定されている、配線部材の固定構造である。接合部材を介して配線部材及び被着体が固定されている。粘着層によって接合部材が配線部材と被着体とのうち一方に簡易に固定される。接合層は、剥離紙を必要としない。また任意のときに発熱層を用いた誘導加熱によって接合層を加熱することができる。これらより、配線部材と被着体とが簡易に固定される。
【0012】
(2)前記粘着層が前記配線部材に固定され、前記接合層が前記被着体に固定されていてもよい。これにより、接合部材が配線部材に先に設けられることが簡易となる。
【0013】
(3)前記粘着層が前記被着体に固定され、前記接合層が前記配線部材に固定されていてもよい。これにより、接合部材が被着体に先に設けられることが簡易となる。
【0014】
(4)前記接合部材は前記配線部材の長手方向に沿って部分的に設けられていてもよい。これにより、接合部材が設けられる領域が小さくなる分、軽量化、コストダウン等を図ることができる。
【0015】
(5)前記接合部材が前記被着体上に広がって設けられていてもよい。これにより、接合部材と被着体とが接合しやすい。
【0016】
(6)前記接合部材が前記配線部材に巻かれていてもよい。これにより、接合部材と配線部材とが接合しやすい。
【0017】
(7)また、本開示の接合部材付き配線部材は、少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、粘着層、発熱層及び接合層を含む接合部材と、を備え、前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記粘着層と前記接合層との間に設けられており、前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記粘着層が前記配線部材に固定され、前記接合層が露出している、接合部材付き配線部材である。粘着層が配線部材に固定されていることによって、接合部材が配線部材に簡易に固定される。配線部材が被着体上に布線された状態で、発熱層を用いた誘導加熱によって接合性を呈するようになった接合層が被着体に接合することによって、線状伝送部材と被着体とが簡易に固定される。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の固定構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材の固定構造について説明する。図1は実施形態1にかかる配線部材の固定構造10を示す斜視図である。図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【0020】
配線部材の固定構造10は、配線部材20と接合部材30と被着体40とを備える。
【0021】
配線部材20は、車両に搭載される。配線部材20は、車両に設けられた各部品に、電気又は光等を伝送する配線である。配線部材20は複数(図1に示す例では2つ)設けられているが、1つであってもよい。また配線部材20は、被着体40上において直線状に配置されている。配線部材20は、被着体40上において曲がって配置されていてもよい。配線部材20は、被着体40上において分岐していない。配線部材20は、被着体40上において分岐していてもよい。また複数の配線部材20は被着体40上において平行である。複数の配線部材20は、被着体40上において平行でなくともよい。各配線部材20は、少なくとも1本の線状伝送部材22を含む。
【0022】
線状伝送部材22は、電気又は光等を伝送する線状の部材であればよい。線状伝送部材22は、電気又は光等を伝送する伝送線本体を含む。線状伝送部材22は、伝送線本体を覆う被覆層を含んでいてもよい。例えば、線状伝送部材22は、被覆電線、裸導線、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
【0023】
ここでは各配線部材20は複数の線状伝送部材22を含む。配線部材20は、外装部材を含んでいてもよい。外装部材は、複数の線状伝送部材22を覆う部材である。外装部材は、シートであってもよい。シートは、例えば、複数の線状伝送部材22の周りに巻かれる部材である。外装部材は、チューブ、プロテクタなどであってもよい。チューブ、プロテクタは、複数の線状伝送部材22を収容する部材である。外装部材は、結束部材であってもよい。結束部材は、複数の線状伝送部材22を結束する部材である。結束部材としては、例えば粘着テープ、結束バンド等が採用されてもよい。
【0024】
接合部材30は、粘着層32、発熱層34及び接合層36を含む。粘着層32、発熱層34及び接合層36はこの順に積層している。つまり発熱層34は粘着層32と接合層36との間に設けられている。

【0025】
粘着層32は粘着剤が設けられて粘着(感圧接着)可能な層である。粘着剤は室温において粘着性をもつ材料によって形成される。粘着剤の種類は特に限定されるものではなく、接着相手の材料、求められる固定強度等に応じて適宜選択可能である。例えば、粘着剤はゴム系であってもよいし、アクリルなどの樹脂系であってもよい。
【0026】
発熱層34は誘導加熱によって発熱可能な層である。発熱層34は、例えば、アルミニウム箔、銅箔などの導体箔を材料として形成された導体層である。誘導加熱は、電磁誘導を利用した加熱方法である。発熱層34は、誘導加熱によって以下のように発熱する。すなわち、誘導加熱は、発熱層34を貫通する磁界の変化を生じさせる。例えば、発熱層34と離れた位置において、高周波電流が流されることによって、発熱層34を貫通する磁界の変化が起こされる。発熱層34を貫通する磁界の変化によって、発熱層34に誘導電流(渦電流)が流れる。この誘導電流によって、発熱層34にジュール熱が生じる。このジュール熱によって、発熱層34が発熱する。
【0027】
発熱層34の一方主面側に粘着層32が設けられ、他方主面側に接合層36が設けられている。このため発熱層34は、粘着層32及び接合層36の基材であるとも言える。
【0028】
接合層36は誘導加熱時に発熱層34から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層である。接合層36は、接合相手(発熱層34、配線部材20、被着体40)の材料、求められる接合強度等に応じた材料によって形成される。
【0029】
例えば、接合層36は誘導加熱時に発熱層34から伝わる熱によって溶けて接合可能となる層であってもよい。この場合、接合層36の材料は、熱可塑性樹脂であってもよい。接合層36は、ホットメルト接着剤などであってもよい。このほか、例えば、接合層36は熱硬化性接着剤などであってもよい。接合層36は、室温において表面がなるべくべたつかないように形成されていてもよい。接合層36は、剥離紙が不要であると良い。
【0030】
被着体40は、車両に設けられる部材である。被着体40は、ルーフトリム、ドアトリムなどの内装部材であってもよい。被着体40は、車体骨格をなすボディ本体であってもよい。被着体40は、ルーフパネル、ドアパネルなどのボディパネルなどであってもよい。被着体40の固定面上に配線部材20が固定されている。ここでは被着体40の固定面は平面であるが、曲面であってもよい。被着体40の固定面は樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0031】
配線部材20は、接合部材30を介して被着体40に固定されている。粘着層32が配線部材20と被着体40とのうち一方に固定され、接合層36が配線部材20と被着体40とのうち他方に固定されている。本例では、粘着層32が被着体40に固定され、接合層36が配線部材20に固定されている。粘着層32が配線部材20に固定され、接合層36が被着体40に固定されていてもよい。また本例では、接合部材30は被着体40上に広がって設けられている。
【0032】
接合部材30は配線部材20の長手方向に沿って部分的に設けられている。配線部材20において被着体40上に配線された部分のうち一部に重なるように接合部材30が設けられている。接合部材30は、配線部材20のうち長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所(ここでは4箇所)を被着体40に固定している。
【0033】
配線部材20のうち外装部材が設けられた部分が被着体40に固定されていてもよい。配線部材20のうち外装部材が設けられずに複数の線状伝送部材22が露出する部分が被着体40に固定されていてもよい。
【0034】
図2に示す例では、配線部材20のうち接合部材30が設けられた部分には平面を有する外装部材が設けられていない。また配線部材20のうち接合部材30を介して被着体40に固定された部分では、配線部材20と被着体40とが面接触していない。配線部材20のうち接合部材30が設けられた部分には平面を有する外装部材が設けられていてもよい。配線部材20のうち接合部材30を介して被着体40に固定された部分では、配線部材20と被着体40とが面接触していてもよい。
【0035】
図3は配線部材20が被着体40に固定される様子を示す説明図である。接合部材30を介して配線部材20が被着体40に固定されるにあたり、粘着層32が先に固定相手に固定された後、接合層36が加熱されて固定相手に固定されるとよい。
【0036】
図3に示す例では、接合部材30は、配線部材20に固定されるより先に被着体40に固定されている。ここでは粘着層32が被着体40に固定される。これにより、接合部材30Bにおいて接合層36Bが露出する。接合部材30B及び接合層36Bは、接合層36Bが固定相手(ここでは配線部材20)に固定される前の状態である。接合部材30B及び接合層36Bにおいて、接合層36Bが固定相手(ここでは配線部材20)に固定されていないこと以外の構成については、上記接合部材30及び接合層36と同様の構成が採用可能である。この接合部材30Bが設けられた被着体40は、接合部材付被着体100と称されてもよい。
【0037】
この接合層36B上に重なるように配線部材20が布線されるとともに、発熱層34の誘導加熱によって接合層36Bが接合性を呈するようになる。これにより、接合性を呈するようになった接合層36が配線部材20に接合されて固定される。なお、配線部材20の布線と、発熱層34の誘導加熱とは、どちらかが先であってもよいし、同時であってもよい。
【0038】
以上のように構成された配線部材の固定構造10によると、接合部材30を介して配線部材20及び被着体40が固定されている。粘着層32によって接合部材30が配線部材20と被着体40とのうち一方に簡易に固定される。接合層36は、剥離紙を必要としない。また任意のときに発熱層34を用いた誘導加熱によって接合層36Bが接合性を呈するようになる。これらより、配線部材20と被着体40とが簡易に固定される。
【0039】
また粘着層32が被着体40に固定され、接合層36が配線部材20に固定されているため、接合部材30が被着体40に先に設けられることが簡易となる。
【0040】
また接合部材30は配線部材20の長手方向に沿って部分的に設けられているため、接合部材30が設けられる領域が小さくなる分、軽量化、コストダウン等を図ることができる。
【0041】
接合部材30が被着体40上に広がって設けられているため、接合部材30と被着体40とが接合しやすい。
【0042】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線部材の固定構造について説明する。図4は実施形態2にかかる配線部材の固定構造110を示す斜視図である。図5図4におけるV-V線に沿った断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本例では、接合部材30の取付態様が、実施形態1における接合部材30の取付態様とは異なる。具体的には、本例では、粘着層32が配線部材20に固定され、接合層36が被着体40に固定されている。また本例では、接合部材30が配線部材20に巻かれている。図5に示す例では、配線部材20に接合部材30が1周巻かれている。配線部材20に接合部材30が巻かれる領域は、特に限定されるものではない。配線部材20に接合部材30が1周より少なく(例えば、4分の1周又は2分の1周)巻かれていてもよいし、1周より多く巻かれていてもよい。1周、2分の1周、4分の1周は、厳密な意味での1周、2分の1周、4分の1周を意味するものではなく、1周、2分の1周、4分の1周とみなされる範囲であれば本発明の効果を奏する範囲で幅を持つ意味である。例えば、図5に示す例では、配線部材20に接合部材30が1周よりわずかに多く巻かれているが、この状態も配線部材20に接合部材30が1周巻かれているととらえることができる。
【0044】
図6は配線部材20が被着体40に固定される様子を示す説明図である。
【0045】
図6に示す例では、接合部材30Bは、被着体40に固定されるより先に配線部材20に固定されている。以下では、接合部材30Bが固定された配線部材20であって、被着体40に固定されていないものについて、接合部材付配線部材200と称される。接合部材付配線部材200は、配線部材20と、接合部材30Bとを備える。接合部材30Bは、粘着層32、発熱層34及び接合層36Bを含む。粘着層32、発熱層34及び接合層36Bはこの順で積層している。粘着層32が配線部材20に固定されている。接合層36Bは、被着体40に固定されていない。接合層36Bは、露出している。
【0046】
この接合部材付配線部材200が被着体40上に所定の経路に沿って布線される共に、発熱層34が誘導加熱されることによって接合層36Bが接合性を呈するようになる。これにより、接合性を呈するようになった接合層36が被着体40に接合されて固定される。なお、接合部材付配線部材200の布線と、発熱層34の誘導加熱とは、布線が先であってもよいし、誘導加熱が先であってもよいし、同時であってもよい。
【0047】
以上のように構成された配線部材の固定構造110によっても、配線部材20と被着体40とが簡易に固定される。また、粘着層32が配線部材20に固定され、接合層36が被着体40に固定されているため、接合部材30が配線部材20に先に設けられることが簡易となる。
【0048】
また接合部材30が配線部材20に巻かれているため、接合部材30と配線部材20とが接合しやすい。
【0049】
また接合部材付配線部材200によると、粘着層32が配線部材20に固定されていることによって、接合部材30Bが配線部材20に簡易に固定される。配線部材20が被着体40上に布線された状態で、発熱層34を用いた誘導加熱によって接合性を呈するようになった接合層36が被着体40に接合することによって、線状伝送部材22と被着体40とが簡易に固定される。
【0050】
[変形例]
実施形態1において、接合部材30が配線部材20に巻かれていてもよい。実施形態2において、接合部材30が被着体40上に広がっていてもよい。
【0051】
各実施形態において、接合部材30が配線部材20の長手方向に沿って全体に設けられていてもよい。配線部材20において被着体40上に配線された部分のうち長手方向に沿って全体に重なるように接合部材30が設けられていてもよい。
【0052】
接合部材30において、粘着層32に替えて接合層36が採用されてもよい。つまり、接合部材30において、発熱層34の両面に接合層36が設けられていてもよい。そして両側の接合層36のうち一方が配線部材20に固定され、他方が被着体40に固定されていてもよい。この場合、両側の接合層36は、同じ種類の材料によって構成されていてもよい。また、両側の接合層36は、それぞれの接合相手に応じて別の種類の材料によって構成されていてもよい。
【0053】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0054】
10、110 配線部材の固定構造
20 配線部材
22 線状伝送部材
30、30B 接合部材
32 粘着層
34 発熱層
36、36B 接合層
40 被着体
100 接合部材付き被着体
200 接合部材付き配線部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6