(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】決済装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20230725BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G07G1/00 311D
G07G1/12 321P
(21)【出願番号】P 2019197031
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱木 貴史
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071006(JP,A)
【文献】特開2015-114738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 5/00
G03B 15/00,
17/02
H04N 23/51
G06F 1/16
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードの記憶部に記憶されているカード情報を読み取る読取部と、
前記カード情報が前記読取部によって読み取られている間に、前記クレジットカードに記載されている特定情報を含む撮影画像を撮影するカメラと、
読み取り済みの前記カード情報と、撮影済みの前記撮影画像から取得される前記特定情報と、を利用した決済処理を実行する決済処理実行部と、
を備える、決済装置
であって、
前記決済装置は、前記撮影済みの撮影画像の内容を認識する画像認識処理を実行することによって前記特定情報を取得し、
前記決済装置は、さらに
前記クレジットカードに設定された利用限度額と、前記決済処理の対象である特定の決済の決済額と、のうちの少なくとも一方に応じて、前記画像認識処理を実行する際における認識レベルを変更させる変更部を備える、決済装置。
【請求項2】
前記認識レベルの変更は、前記撮影画像の画素数の変更と、前記撮影画像の表示内容の解析回数の変更と、のうちの少なくとも一方を含む、請求項
1に記載の決済装置。
【請求項3】
前記記憶部は、接触ICチップを含み、
前記読取部は、前記接触ICチップと接触することによって、前記接触ICチップが記憶する情報を読み取り可能な接触IC読取部を含む、請求項1
または2に記載の決済装置。
【請求項4】
前記記憶部は、非接触ICチップを含み、
前記読取部は、前記非接触ICチップとの間で無線通信を実行することによって、前記非接触ICチップが記憶する情報を読み取り可能な非接触IC読取部を含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の決済装置。
【請求項5】
前記特定情報は、セキュリティコードを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の決済装置。
【請求項6】
前記記憶部は、磁気ストライプを含み、
前記読取部は、前記磁気ストライプと接触することによって、前記磁気ストライプが記憶する情報を読み取り可能な磁気読取部を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の決済装置。
【請求項7】
前記特定情報は、前記クレジットカードの名義人のサインを含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の決済装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、クレジットカードを利用する決済処理を実行する決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁気読み取りタイプのクレジットカードを利用する決済を行うための決済端末装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クレジットカードを利用する決済(以下では「クレジットカード決済」と呼ぶ場合がある)では、クレジットカードの記憶部に記憶されているカード情報の読み取り作業の後に、本人確認の作業が行われる。本人確認の作業は、例えば、サインの記載、PINコードの入力、又は、セキュリティコードの入力である。即ち、クレジットカード決済では、2種類の作業が行われる。
【0005】
本明細書では、クレジットカード決済における作業負担を低減するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、決済装置を開示する。当該決済装置は、クレジットカードの記憶部に記憶されているカード情報を読み取る読取部と、前記カード情報が前記読取部によって読み取られている間に、前記クレジットカードに記載されている特定情報を含む撮影画像を撮影するカメラと、読み取り済みの前記カード情報と、撮影済みの前記撮影画像から取得される前記特定情報と、を利用した決済処理を実行する決済処理実行部と、を備える。
【0007】
一般に、クレジットカードには、本人確認のための情報(例えば、名義人本人のサイン、セキュリティコード)が記載されている。上記の構成によれば、決済装置は、カード情報が読取部によって読み取られている間に、クレジットカードに記載されている特定情報を含む撮影画像を撮影する。これにより、決済装置は、本人確認のための作業を顧客に行わせることなく、クレジットカードから本人確認のための情報である特定情報を取得することができ、カード情報と特定情報とを利用した決済処理を実行することができる。従って、クレジットカード決済における作業負担を低減することができる。
【0008】
前記決済装置は、前記撮影済みの撮影画像の内容を認識する画像認識処理を実行することによって前記特定情報を取得し、前記決済装置は、さらに、前記クレジットカードに設定された利用限度額と、前記決済処理の対象である特定の決済の決済額と、のうちの少なくとも一方に応じて、前記画像認識処理を実行する際における認識レベルを変更させる変更部を備えてもよい。
【0009】
例えば、一定の認識レベルで画像認識処理を実行する比較例が想定される。この比較例では、利用限度額等が高額である場合に、認識レベルを変える(例えば、上げる)ことができない。また、この比較例では、利用限度額等が低額である場合にも、認識レベルを変える(例えば、下げる)ことができない。これに対して、上記の構成によると、利用限度額等に応じて、認識レベルを柔軟に変更することができる。
【0010】
前記認識レベルの変更は、前記撮影画像の画素数の変更と、前記撮影画像の表示内容の解析回数の変更と、のうちの少なくとも一方を含んでもよい。
【0011】
一般的に、撮影画像の画素数は、撮影画像の解像度に影響するため、1回の解析における画像認識処理の精度に影響する。また、撮影画像の表示内容の解析回数は、一連の画像認識処理の結果の正確性に影響する。そのため、この構成によると、画素数の変更と解析回数の変更とのうちの少なくとも一方によって、認識レベルの変更を適切に実現することができる。
【0012】
前記記憶部は、接触ICチップを含み、前記読取部は、前記接触ICチップと接触することによって、前記接触ICチップが記憶する情報を読取可能な接触IC読取部を含んでもよい。
【0013】
この構成によると、接触ICチップを有するクレジットカードを利用する決済における作業負担を低減することができる。
【0014】
前記記憶部は、非接触ICチップを含み、前記読取部は、前記非接触ICチップとの間で無線通信を実行することによって、前記非接触ICチップが記憶する情報を読取可能な非接触IC読取部を含んでもよい。
【0015】
この構成によると、非接触ICチップを有するクレジットカードを利用する決済における作業負担を低減することができる。
【0016】
前記特定情報は、セキュリティコードを含んでもよい。
【0017】
この構成によると、本人確認のための作業としてセキュリティコードを入力する作業を顧客に行わせる手間を省略することができる。
【0018】
前記記憶部は、磁気ストライプを含み、前記読取部は、前記磁気ストライプと接触することによって、前記磁気ストライプが記憶する情報を読取可能な磁気読取部を含んでもよい。
【0019】
この構成によると、磁気ストライプを有するクレジットカードを利用する決済における作業負担を低減することができる。
【0020】
前記特定情報は、前記クレジットカードの名義人のサインを含んでもよい。
【0021】
この構成によると、本人確認のための作業としてサインを記載する作業を顧客に行わせる手間を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】決済装置のブロック図及び決済システムを示す。
【
図4】第1実施例の決済装置において実行される処理のフローチャート示す。
【
図5】第2実施例の決済装置において実行される処理のフローチャート示す。
【
図6】第3実施例の決済装置において実行される処理のフローチャート示す。
【
図7】第4実施例の決済装置において実行される処理のフローチャート示す。
【
図9】第5実施例の決済装置において実行される処理のフローチャート示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施例)
(決済装置10の構成及びクレジットカードの構成;
図1、
図2)
図1に示される本実施例の決済装置10は、
図2に示されるクレジットカード100を利用する決済に関する作業を受け付けるための装置である。決済装置10は、例えば、
図1に示す姿勢で店舗等に設置される。決済装置10は、クレジットカード100の記憶部(例えば、後述する接触ICチップ102)に記憶されているカード情報(例えば、後述するカード番号)を読み取り、当該カード情報を利用した決済処理を実行する。決済装置10の構成を説明する前に、クレジットカード100の構成を説明する。
【0024】
図2に示すように、クレジットカード100の表面には、クレジットカード100を識別するカード番号が記載されている。また、クレジットカード100の表面には、接触ICチップ102が露出している。接触ICチップ102には、少なくともカード番号を含むカード情報が暗号化されて記憶されている。接触ICチップ102に記憶されている情報は、接触ICチップ102と適合する接触IC読取部(例えば
図1の14)が接触ICチップ102と接触することによって、当該接触IC読取部によって読み取られる。
【0025】
また、クレジットカード100の内側には、非接触ICチップ104が埋め込まれている。非接触ICチップ104は、クレジットカード100の表面及び裏面のいずれからも視認できない。非接触ICチップ104には、少なくともカード番号を含むカード情報が暗号化されて記憶されている。非接触ICチップ104に記憶されている情報は、非接触ICチップ104が非接触IC読取部(例えば
図1の16)と所定の通信方式に従った近距離無線通信を実行することによって、当該非接触IC読取部によって読み取られる。ここで、所定の通信方式は、例えば、NFC(Near Field Communicationの略)、Felica(登録商標)等の通信方式である。なお、非接触ICチップ104には、所定の通信方式に従った近距離無線通信を実行するためのアンテナ(図示省略)が接続されている。当該アンテナも、クレジットカード100の内側に埋め込まれている。
【0026】
また、クレジットカードの裏面には、磁気ストライプ106が露出している。磁気ストライプ106には、少なくともカード番号を含むカード情報が記憶されている。磁気ストライプ106に記憶されている情報は、磁気ストライプ106と適合する磁気読取部(例えば
図1の22)が磁気ストライプ106と接触することによって、当該磁気読取部によって読み取られる。
【0027】
また、クレジットカードの裏面には、クレジットカード100に関する情報が記載されている記載欄108が配置されている。記載欄108には、クレジットカード100の名義人のサインと、クレジットカード100のセキュリティコードと、が記載されている。サインは、クレジットカード100の名義人によって記載欄108に手書きされる。セキュリティコードは、クレジットカード100の発行会社から与えられるコードであり、クレジットカード100の発行時に記載欄108に予め記載されている。
【0028】
図1に示すように、決済装置10の上面10aには、クレジットカード100を挿入するための挿入口12が形成されている。挿入口12の内側には、接触IC読取部14が配置されている。クレジットカード100が挿入口12に挿入されることによって、クレジットカード100の接触ICチップ102が接触IC読取部14に接触する。
【0029】
また、決済装置10の上面10aには、所定の通信方式に従った近距離無線通信を実行するためのアンテナ18が埋め込まれている。アンテナ18は、決済装置10の上面10aから視認することができない。アンテナ18は、非接触IC読取部16に接続されている。非接触IC読取部16は、決済装置10に埋め込まれ、決済装置10の上面10aから視認することができない。クレジットカード100が上面10aに近づき、クレジットカード100内のアンテナ(図示省略)と決済装置10のアンテナ18との間の距離が近距離無線通信を実行可能な距離(例えば10cm)になると、非接触IC読取部16は、近距離無線通信を利用して、クレジットカード100の非接触ICチップ104からカード情報を受信する。
【0030】
また、決済装置10の上面10aには、カメラ24が配置されている。カメラ24は、上面10aの上方及び前方の所定の撮影範囲を撮影するカメラである。
【0031】
また、決済装置10の側面10bには、磁気読取部22(いわゆる磁気ヘッド)が配置されている。具体的には、磁気読取部22は、決済装置10の側面10bに形成されているスリット20内に配置されている。クレジットカード100の磁気ストライプ106がスリット20内をスライドすることによって、磁気ストライプ106が磁気読取部22に接触する。
【0032】
また、決済装置10の前面10cには、表示部26が配置されている。表示部26は、様々な情報を表示させるためのディスプレイである。表示部26は、タッチパネルである。即ち、表示部26は、操作部28としても機能する。ユーザは、操作部28を操作して、様々な指示を決済装置10に入力することができる。なお、変形例では、表示部26は、操作部として機能しないディスプレイであってもよい。この場合、操作部28は、表示部26と別体に配置されてもよい。そして、操作部28は、例えば、キーボードであってもよい。
【0033】
(決済システム2;
図3)
図3の決済システム2は、決済装置10を利用して、クレジットカード100の決済を実行するためのシステムである。決済システム2は、上記の決済装置10と、決済サーバ200と、を備える。
【0034】
(決済装置10)
決済装置10は、接触IC読取部14と、非接触IC読取部16と、磁気読取部22と、カメラ24と、表示部26と、操作部28と、通信インターフェース30と、制御部40と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。なお、
図1では、通信I/F30と制御部40の図示が省略されている。
【0035】
通信I/F30は、決済サーバ200とのインターネットを介した通信(例えば、移動体通信、Wi-Fi通信等)を実行するためのI/Fである。
【0036】
制御部40は、CPU42と、メモリ44と、を備える。CPU42は、メモリ44に記憶されているプログラム46に従って、様々な処理を実行する。メモリ44は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。
【0037】
(決済サーバ200)
決済サーバ200は、クレジットカード決済を実行するためのサーバであり、クレジットカード100の発行会社によって設置される。決済サーバ200は、照合テーブル210を記憶する。照合テーブル210は、決済装置10から送信される情報を照合するためのテーブルである。照合テーブル210では、複数枚のクレジットカード100のそれぞれについて、カード番号(例えば「1234567890123456」)と、セキュリティコード(例えば「456」)と、を対応付けて記憶する。
【0038】
(決済装置10の処理;
図4)
図4を参照して、決済装置10のCPU42によって実行される処理を説明する。決済装置10のユーザ(例えば、店舗の従業員)は、顧客が購入する商品の決済額を入力するための入力操作を操作部28に行う。そして、ユーザは、入力操作の後に、決済を開始する指示を入力するための決済開始操作を操作部28に行う。
図4の処理は、決済開始操作をトリガとして開始される。
【0039】
S10では、CPU42は、クレジットカード100の挿入口12への挿入を検知することを監視する。例えば、CPU42は、接触IC読取部14から接触ICチップ102が接触したことを示す信号が供給される場合に、クレジットカード100の挿入口12への挿入を検知する。CPU42は、クレジットカード100の挿入口12への挿入を検知する場合(S10でYES)に、S12に進む。接触IC読取部14は、クレジットカード100が挿入口12に挿入されると、接触ICチップ102のカード情報の読み取りを開始する。
【0040】
S12では、CPU42は、接触IC読取部14から読み取り済みのカード情報を取得する。
【0041】
S14では、CPU42は、カード情報が接触IC読取部14によって読み取られている間に、カメラ24を起動して、クレジットカード100の裏面を含む撮影画像を撮影する。
図4に示すように、クレジットカード100が挿入口12に挿入されると、クレジットカード100の裏面は、カメラ24と対面する。別言すれば、カメラ24は、挿入口12に挿入されたクレジットカード100の裏面と対面する位置に配置されている。このため、カメラ24は、クレジットカード100が挿入口12に挿入された状態で、クレジットカード100の裏面、特に、記載欄108を含む撮影画像を撮影することができる。
【0042】
S16では、CPU42は、S14で撮影された撮影画像からセキュリティコードを認識するための画像認識処理を実行することによってセキュリティコードを取得する。画像認識処理は、いわゆる、OCR(Optical Character Recognitionの略)や、画像照合等である。
【0043】
S18では、CPU42は、通信I/F30を介して、S12で取得されたカード情報と、S16で取得されたセキュリティコードと、を決済サーバ200に送信する。これにより、決済サーバ200は、照合テーブル210を利用して、決済装置10によって送信された情報の照合を実行する。具体的には、決済サーバ200は、照合テーブル210において決済装置10によって送信されたカード情報に含まれるカード番号と対応付けて記憶されているセキュリティコードを特定する。そして、決済サーバ200は、決済装置10によって送信されたセキュリティコードと、特定済みのセキュリティコードと、が一致するのか否かを判断する。決済サーバ200は、両セキュリティコードが一致すると判断する場合に、決済装置10から操作部28に入力された決済額を受信する。決済サーバ200は、決済装置10によって送信されたカード番号によって識別されるクレジットカード100を利用して、受信済みの決済額の決済を実行する。そして、決済サーバ200は、決済が完了したことを示す決済完了信号を決済装置10に送信する。一方、決済サーバ200は、両セキュリティコードが一致しないと判断する場合、又は、決済装置10によって送信されたカード情報に含まれるカード番号が照合テーブル210に記憶されていない場合に、決済ができないことを示すエラー信号を決済装置10に送信する。
【0044】
S20では、CPU42は、通信I/F30を介して、決済サーバ200から決済完了信号を受信したのか否かを判断する。CPU42は、決済サーバ200から決済完了信号を受信したと判断する場合(S20でYES)に、S22において、決済が完了したことを示す画面を表示部26に表示させる。一方、CPU42は、決済サーバ200からエラー信号を受信したと判断する場合(S20でNO)に、S24において、決済ができないエラーを示す画面を表示部26に表示させる。S22又はS24が終了すると、
図4の処理が終了する。
【0045】
本実施例の構成によれば、決済装置10は、カード情報が接触IC読取部14によって読み取られている間に、クレジットカードの裏面に記載されているセキュリティコードを含む撮影画像を撮影する(
図4のS14)。これにより、決済装置10は、本人確認のための作業(例えば、セキュリティコードを決済装置10に入力する作業)を顧客に行わせることなく、クレジットカードの裏面からセキュリティコードを取得することができ、カード情報とセキュリティコードとを決済サーバ200に送信することができる(S18)。従って、セキュリティコードを決済装置10に入力する作業を顧客に行わせる従来例と比較して、クレジットカード決済における作業負担を低減することができる。
【0046】
(対応関係)
決済装置10、接触IC読取部14、カメラ24が、それぞれ、「決済装置」、「読取部」、「カメラ」の一例である。クレジットカード100の接触ICチップ102が、「記憶部」の一例である。セキュリティコードが、「特定情報」の一例である。
図4のS18において実行される処理が、「決済処理」の一例である。
【0047】
(第2実施例)
(決済装置10の処理;
図5)
図5を参照して、第2実施例において、決済装置10のCPU42によって実行される処理を説明する。本実施例では、決済装置10は、クレジットカード100の非接触ICチップ104からカード情報を読み取る。本処理は、第1実施例と同様に、決済開始操作をトリガとして開始される。
【0048】
S30では、CPU42は、非接触IC読取部16からカード情報を取得することを監視する。具体的には、非接触IC読取部16は、クレジットカード100が近距離無線通信を実行可能な距離まで決済装置10に近づくと、近距離無線通信を利用して、クレジットカード100の非接触ICチップ104からカード情報を受信する。そして、非接触IC読取部16は、受信済みのカード情報をCPU42供給する。この結果、カード情報がCPU42によって取得される。CPU42は、非接触IC読取部16からカード情報を取得する場合(S30でYES)に、S32に進む。
【0049】
S32では、CPU42は、カード情報が非接触IC読取部16によって読み取られている間に、カメラ24を起動して、クレジットカード100の裏面を含む撮影画像を撮影する。
図5に示すように、クレジットカード100が決済装置10の上面10aに近づくと、クレジットカード100の裏面は、カメラ24と対面する。別言すれば、カメラ24は、上面10aに近づいたクレジットカード100の裏面と対面する位置に配置されている。このため、CPU42は、クレジットカード100が上面10aに近づいている状態で、クレジットカード100の裏面、特に、記載欄108を含む撮影画像を撮影することができる。
【0050】
S36~S44は、
図4のS16~S24と同様である。S42又はS44が終了すると、
図5の処理が終了する。
【0051】
本実施例の構成によれば、決済装置10は、カード情報が非接触IC読取部16によって読み取られている間に、クレジットカードの裏面に記載されているセキュリティコードを含む撮影画像を撮影する(
図5のS32)。本実施例でも、第1実施例と同様に、本人確認のための作業(例えば、セキュリティコードを決済装置10に入力する作業)を顧客に行わせないので、クレジットカード決済における作業負担を低減することができる。
【0052】
(対応関係)
非接触IC読取部16が、「読取部」の一例である。クレジットカード100の非接触ICチップ104が、「記憶部」の一例である。
図5のS38において実行される処理が、「決済処理」の一例である。
【0053】
(第3実施例)
(決済装置10の処理;
図6)
図6を参照して、第3実施例において、決済装置10のCPU42によって実行される処理を説明する。本実施例では、決済装置10は、第1実施例と同様に、クレジットカード100の接触ICチップ102からカード情報を読み取る。
【0054】
S50~S54は、第1実施例における
図4のS10~14と同様である。S60では、CPU42は、クレジットカード100に設定された利用限度額が第1判定値(例えば、100万円)以上であるのか否かを判断する。利用限度額は、例えば、カード情報に含まれる。また、変形例では、決済装置10は、決済サーバ200から利用限度額を受信してもよい。CPU42は、クレジットカード100に設定された利用限度額が第1判定値以上であると判断する場合(S60でYES)に、S62の処理をスキップして、S66に進む。一方、CPU42は、クレジットカード100に設定された利用限度額が第1判定値未満であると判断する場合(S60でNO)に、S62に進む。
【0055】
S62では、CPU42は、S54で撮影された撮影画像の画素数を所定の画素数まで下げる。例えば、S54で撮影された撮影画像の画素数は、800万画素である。そして、上記の所定の画素数は、30万画素である。なお、800万画素、30万画素等の具体的な値は、一例に過ぎない。
【0056】
S66~S74は、
図4のS16~S24と同様である。S72又はS74が終了すると、
図6の処理が終了する。
【0057】
利用限度額が高額である場合には、高額な決済額が決済されることがあり、本人確認を厳格に行う必要性が高い。一方、利用限度額が低額である場合には、低額な決済額が決済されることが多い。この場合には、本人確認の厳格性よりも、決済の開始から決済の完了までの処理の迅速性を優先させてもよいという事情がある。本実施例の構成によれば、決済装置10は、利用限度額が第1判定値未満である場合(S60でNO)に、撮影画像の画素数を下げる(S62)。これにより、決済装置10は、S66において実行される画像認識処理を迅速に実行することができる。この結果、決済の開始から決済の完了までの処理を迅速に行うことができる。
【0058】
(対応関係)
図6のS66において実行される画像認識処理が、「画像認識処理」の一例である。S62において実行される処理が、「認識レベルの変更」の一例である。
図6のS68において実行される処理が、「決済処理」の一例である。
【0059】
(第4実施例)
(決済装置10の処理;
図7)
図7を参照して、第4実施例において、決済装置10のCPU42によって実行される処理を説明する。本実施例は、S60の処理に代えて、S90の処理が実行される点を除いて、
図6の処理と同様である。
【0060】
S90では、CPU42は、入力操作によって操作部28に入力された決済額が第2判定値(例えば、20万円)以上であるのか否かを判断する。CPU42は、決済額が第2判定値以上であると判断する場合(S90でYES)に、S62の処理をスキップして、S66に進む。一方、CPU42は、決済額が第2判定値未満であると判断する場合(S90でNO)に、S62に進む。
【0061】
決済額が高額である場合には、本人確認を厳格に行う必要性が高い。一方、決済額が低額である場合には、本人確認の厳格性よりも、決済の開始から決済の完了までの処理の迅速性を優先させてもよいという事情がある。本実施例の構成によれば、決済装置10は、決済額が第2判定値未満である場合(S90でNO)に、撮影画像の画素数を下げる(S62)。これにより、第3実施例と同様に、S66の画像認識処理が迅速化され、決済の開始から決済の完了までの処理が迅速化される。
【0062】
(対応関係)
入力操作によって操作部28に入力された決済額が、「特定の決済の決済額」の一例である。
【0063】
(第5実施例)
(決済装置10の構成;
図8)
図8を参照して、第5実施例の決済装置50について説明する。決済装置50は、スリット20と磁気読取部22の位置が異なる点を除いて、第1実施例の決済装置10と同様である。本実施例では、スリット20は、決済装置50の上面50aに形成されている。磁気読取部22は、決済装置50の上面50aにおいて、スリット20内に配置されている。カメラ24は、第1実施例の決済装置10と同様に、上面50aに配置されている。表示部26(即ち操作部28)は、第1実施例の決済装置10と同様に、決済装置50の前面50cに配置されている。なお、
図8では、挿入口12、接触IC読取部14、非接触IC読取部16、及び、アンテナ18の図示が省略されている。
【0064】
(決済装置10の処理;
図9)
図9を参照して、第2実施例において、決済装置10のCPU42によって実行される処理を説明する。本実施例では、決済装置10は、クレジットカード100の磁気ストライプ106からカード情報を読み取る。本処理は、第1実施例と同様に、決済開始操作をトリガとして開始される。
【0065】
S110では、CPU42は、クレジットカード100のスリット20への挿入を検知することを監視する。例えば、CPU42は、磁気読取部22から磁気ストライプ106が接触したことを示す信号が供給される場合に、クレジットカード100のスリット20への挿入を検知する。CPU42は、クレジットカード100のスリット20への挿入を検知する場合(S110でYES)に、S112に進む。磁気読取部22は、磁気ストライプ106がスリット20内をスライドすることによって、磁気ストライプ106からカード情報を読み取る。
【0066】
S112では、CPU42は、磁気読取部22から読み取り済みのカード情報を取得する。
【0067】
S114では、CPU42は、カード情報が磁気読取部22によって読み取られている間に、カメラ24を起動して、クレジットカード100の裏面を含む撮影画像を撮影する。
図9に示すように、クレジットカード100がスリット20内をスライドすると、クレジットカード100の裏面は、カメラ24と対面する。別言すれば、カメラ24は、スリット20内をスライドするクレジットカード100の裏面と対面する位置に配置されている。このため、カメラ24は、クレジットカード100がスリット20内をスライドする際に、クレジットカード100の裏面、特に、記載欄108を含む撮影画像を撮影することができる。
【0068】
S116では、CPU42は、S14で撮影された撮影画像を加工して、記載欄108内のサインを含むサイン画像を生成し、当該サイン画像を表すサイン画像データを取得する。
【0069】
S118では、CPU42は、通信I/F30を介して、S112で取得されたカード情報を決済サーバ200に送信する。これにより、決済サーバ200は、照合テーブル210を利用して、決済装置10によって送信された情報の照合を実行する。具体的には、決済サーバ200は、決済装置10によって送信されたカード情報に含まれるカード番号が照合テーブル210に記憶されているのか否かを判断する。決済サーバ200は、カード番号が照合テーブル210に記憶されていると判断する場合に、決済装置10から操作部28に入力された決済額を受信して、当該決済額の決済を実行する。そして、決済サーバ200は、決済完了信号を決済装置10に送信する。一方、決済サーバ200は、カード番号が照合テーブル210に記憶されていないと判断する場合に、エラー信号を決済装置10に送信する。
【0070】
S120、S122、S124は、
図4のS20、S22、S24と同様である。ここで、CPU42は、決済サーバ200から決済完了信号を受信したと判断する場合(S120でYES)に、S130において、S112で取得したカード番号と対応付けて、S116で取得したサイン画像データを所定の記憶領域に記憶する。これにより、ユーザは、決済の完了後に所定の記憶領域にアクセスして、カード番号によって識別されるクレジットカード100の名義人と、サイン画像データによって表されるサイン画像と、を比較して、本人確認をすることができる。所定の記憶領域は、例えば、決済装置10のメモリ44内の記憶領域である。変形例では、所定の記憶領域は、決済装置10とは別体に設置されている装置(例えば、POSレジ端末)内の記憶領域であってもよい。S130又はS124が終了すると、
図9の処理が終了する。
【0071】
本実施例の構成によれば、決済装置10は、カード情報が磁気読取部22によって読み取られている間に、クレジットカードの裏面に記載されているサインを含む撮影画像を撮影する(
図9のS114)。これにより、決済装置10は、本人確認のための作業(例えば、サインを記載する作業)を顧客に行わせることなく、クレジットカードの裏面からクレジットカード100の名義人のサインを取得することができる。従って、第1実施例と同様に、クレジットカード決済における作業負担を低減することができる。
【0072】
(対応関係)
磁気読取部22が、「読取部」の一例である。クレジットカード100の磁気ストライプ106が、「記憶部」の一例である。
図9のS118及びS130において実行される処理が、「決済処理」の一例である。
【0073】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0074】
(変形例1) クレジットカード100の構成は、
図2の構成に限らない。例えば、セキュリティコードがクレジットカード100の表面に記載されていてもよい。即ち、「特定情報」は、クレジットカードの表面に記載されていてもよい。
【0075】
(変形例2) 決済装置10は、
図1に示すような上下に長い形状に限らず、前後に長い形状であってもよい。また、上記の各実施例では、決済装置10は、
図1に示す姿勢で店舗等に設置され、挿入口12は上面10aに形成されている。これに代えて、挿入口12は、上面10a以外の面(例えば、前面10c)に形成されていてもよい。この場合、カメラ24は、挿入口12が形成されている面と同じ面に配置されていてもよい。即ち、カメラ24の位置は、クレジットカードの記憶部(例えば接触ICチップ)に記憶されているカード情報が読取部(例えば接触IC読取部)によって読み取られている間に、クレジットカードに記載されている特定情報(例えばセキュリティコード)を撮影可能な位置であればよい。
【0076】
(変形例3) 上記の第3実施例では、決済装置10は、利用限度額が第1判定値未満である場合に、撮影画像の画素数を下げる(
図6のS62)。これに代えて、決済装置10は、利用限度額が第1判定値未満である場合に、第1の画素数でクレジットカード100の裏面を撮影し、利用限度額が第1判定値以上である場合に、第1の画素数よりも高い第2の画素数でクレジットカード100の裏面を撮影してもよい。即ち、決済装置10は、利用限度額が第1判定値以上である場合に、撮影画像の画素数を上げてもよい。本変形例では、撮影画像の画素数を上げることが、「認識レベルの変更(及び画素数の変更)」の一例である。
【0077】
(変形例4) 上記の第3実施例では、決済装置10は、利用限度額に応じて、撮影画像の画素数を下げる(
図6のS62)。これに代えて、決済装置10は、利用限度額に応じて、撮影画像に対する画像認識処理を実行する回数、即ち、撮影画像内のセキュリティコードの解析回数を変えてもよい。例えば、決済装置10は、利用限度額が第1判定値以上である場合に、解析回数を第1の回数に決定し、利用限度額が第1判定値未満である場合に解析回数を第1の回数より少ない第2の回数に決定してもよい。解析回数を第2の回数とすることで、決済の開始から決済の完了までの処理を迅速に行うことができる。本変形例では、撮影画像内のセキュリティコードの解析回数の変更が、「認識レベルの変更(及び撮影画像の表示内容の解析回数の変更)」の一例である。
【0078】
(変形例5) 上記の第3実施例と第4実施例の構成を組み合わせてもよい。即ち、決済装置10は、利用限度額が第1判定値未満であり、かつ、決済額が第2判定値未満である場合に、撮影画像の画素数を下げてもよい。
【0079】
(変形例6) 上記の各実施例では、決済装置10は、通信I/F30を介して、決済サーバ200との通信を実行する。これに代えて、決済装置10は、決済サーバ200と通信可能なPOSレジ端末に接続されていてもよい。そして、決済装置10は、POSレジ端末を介して、決済サーバ200との通信を実行してもよい。本変形例では、POSレジ端末を介して、決済サーバ200との通信することが、「決済処理」の一例である。
【0080】
(変形例7) 上記の第5実施例では、決済装置10は、撮影画像からサイン画像を生成し(
図9のS116)、サイン画像データを所定の記憶領域に記憶する(S130)。これに代えて、決済装置10は、撮影画像からサインを認識するための画像認識処理を実行することによってサインを表す文字列データを取得してもよい。そして、決済装置10は、カード情報と文字列データとを決済サーバ200に送信してもよい。これにより、決済サーバ200は、文字列データによって示される名前が、カード情報内のカード番号によって識別されるクレジットカード100の名義人の名前と一致するのか否かの照合を行ってもよい。また、他の例では、決済サーバ200は、現時点において送信された文字列データが、過去において決済装置10から送信された文字列データと一致するのか否かの照合を行ってもよい。これら本変形例によれば、カード情報と文字列データとを決済サーバ200に送信することが、「決済処理」の一例である。また、本変形例において、さらに、撮影画像からサインを認識するための画像認識処理の認識レベル(例えば画素数)を変更してもよい。
【0081】
(変形例8)上記の第5実施例では、決済装置10は、撮影画像からサイン画像を生成し(
図9のS116)、サイン画像データを所定の記憶領域に記憶する(S130)。これに代えて、決済装置10は、カード情報と撮影画像データとを決済サーバ200に送信してもよい。これにより、決済サーバ200は、あらかじめ決済サーバ200に登録されているサイン画像データと撮影画像に表示される名前が、カード情報内のカード番号によって識別されるクレジットカード100の名義人の名前と一致するのか否かの照合を行ってもよい。また、他の例では、決済サーバ200は、現時点において送信された撮影画像データが、過去において決済装置10から送信された撮影画像データと一致するのか否かの照合を行ってもよい。これら本変形例によれば、カード情報と撮影画像データとを決済サーバ200に送信することが、「決済処理」の一例である。また、本変形例において、さらに、撮影画像からサインを認識するための画像認識処理の認識レベル(例えば画素数)を変更してもよい。
【0082】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0083】
2:決済システム、10:決済装置、10a:上面、10b:側面、10c:前面、12:挿入口、14:接触IC読取部、16:非接触IC読取部、18:アンテナ、20:スリット、22:磁気読取部、24:カメラ、26:表示部、28:操作部、30:通信I/F、40:制御部、42:CPU、44:メモリ、46:プログラム、50:決済装置、50a:上面、50c:前面、100:クレジットカード、102:接触ICチップ、104:非接触ICチップ、106:磁気ストライプ、108:記載欄、200:決済サーバ、210:照合テーブル