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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】研磨部材固定用粘着剤および粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/02 20060101AFI20230725BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230725BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230725BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C09J153/02
C09J11/06
C09J7/38
B32B27/00 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019217843
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088614
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 忠士
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-078348(JP,A)
【文献】特開2018-070858(JP,A)
【文献】特開2018-065982(JP,A)
【文献】特開2018-199810(JP,A)
【文献】特開2007-245276(JP,A)
【文献】特開2011-122069(JP,A)
【文献】特開2002-069405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ゴム、および粘着付与樹脂を含有する研磨部材固定用粘着剤であって、
前記合成ゴムは、スチレン含有量5~40重量%、かつジブロック含有量8~40重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、
前記粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含み、
前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、0.3~6重量部のリン酸系老化防止剤(C)を含むことを特徴とした研磨部材固定用粘着剤。
【請求項2】
前記軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)の含有量は、前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、10~50重量部であることを特徴とした、請求項1記載の研磨部材固定用粘着剤。
【請求項3】
前記リン酸系老化防止剤(C)の含有量は、前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、0.4~5重量部であることを特徴とした、請求項1または2記載の研磨部材固定用粘着剤。
【請求項4】
前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)のジブロック含有量は、10~28重量%であることを特徴とした、請求項1~3いずれか1項記載の研磨部材固定用粘着剤。
【請求項5】
基材の片面または両面に、請求項1~4いずれか1項記載の研磨部材固定用粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた、粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤層が、研磨機定盤側用であることを特徴とした、請求項5記載の粘着シート。
【請求項7】
請求項5または6記載の粘着シートを、研磨部材に貼り合わせ、一体化された、研磨部材積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨部材を研磨機に固定する用途に好ましく使用できる粘着シートを形成するための粘着剤、および該粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンウエハや強化ガラス等の研磨には、研磨部材が用いられており、研磨部材を研磨機定盤に貼り合せて使用している。研磨部材を研磨機定盤に固定するためには、幅広い部材へ高い粘着性を示す、ゴム系の両面粘着シートが多く使用されている。
【0003】
研磨工程では粘着剤層に対して強い剪断力がかかり、さらに研磨中の温度が高温となることがあるため、粘着剤層が研磨部材からズレたり、剥がれたりする問題が発生する場合がある。そのため、粘着シートには、強い剪断力に耐えうる凝集力と、高温に耐えうる耐熱性が求められる。また、研磨工程では酸性やアルカリ性のスラリー溶液を用いるため、耐酸性や耐アルカリ性といった耐薬品性も必要であり、さらに、研磨終了後に研磨機から研磨部材を剥離する際、研磨機定盤に粘着シートが糊残りせず、容易に剥がすことが出来る再剥離性も求められる。
【0004】
更に、近年では、コストダウンや高効率化の観点から、研磨部材を交換する時間を削減するため、従来よりも研磨部材を長時間使用することが増えている。また、研磨中の温度や圧力を高くする等の所作で研磨時間の短縮を行うこともあり、研磨部材固定用粘着シートにも耐熱性や凝集性のみならず、従来よりも長時間性能が変化しない経時安定性も求められるようになっていた。しかし、アクリル系粘着剤に比較し、耐熱性や凝集力に劣るゴム系粘着剤を使用した粘着シートでは、近年求められる要求性能を満たすことが出来ていなかった。
【0005】
この様に、近年、高負荷環境の研磨に耐えると凝集力と、研磨機から容易に剥がすことが可能な再剥離性に加え、長期経時安定性が求められ、例えば、特許文献1では、特定の合成ゴムに、種類の異なる粘着付与樹脂を併用することで、研磨部材に対する強粘着力や強せん断力を得ることが記載されているが、粘着付与樹脂量が高く、近年求められる負荷環境では、凝集力、再剥離性や経時安定性が不足である。また、特許文献2に開示されるフェノール系老化防止剤を用いた粘着シートでは、近年求められる長期経時安定性については考慮がなされておらず、研磨部材固定用粘着シートとして、近年求められる再剥離性も十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-262253号公報
【文献】特開2017-088702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた長期経時安定性と凝集力を併せ持つことが可能な研磨部材固定用粘着シートを形成可能な粘着剤、および該研磨部材固定用粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた、粘着シートを提供することを目的とする。
また、研磨終了後、糊残りすることなく研磨機定盤から容易に剥がすことが可能であり、長期経時後の再剥離性にも優れた研磨部材固定用粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、スチレン含有量とジブロック含有量が特定範囲であるスチレンイソプレンブロック共重合体と、軟化点70~150℃のテルペン樹脂とリン酸系老化防止剤を含む研磨部材固定用粘着剤を使用することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、合成ゴム、粘着付与樹脂、および老化防止剤を含有する研磨部材固定用粘着剤であって、前記合成ゴムは、スチレン含有量5~40重量%、かつジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、前記粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含み、前記老化防止剤は、リン酸系老化防止剤(C)を含むことを特徴とした研磨部材固定用粘着剤に関する。
【0010】
また、本発明としてより好ましくは、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)の含有量は、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、10~50重量部である、前記研磨部材固定用粘着剤に関する。
【0011】
また、本発明としてより好ましくは、リン酸系老化防止剤(C)の含有量は、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、0.1~7重量部である前記研磨部材固定用粘着剤に関する。
【0012】
また、本発明としてより好ましくは、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)のジブロック含有量が5~28重量%である、前記研磨部材固定用粘着剤に関する。
【0013】
また、本発明としてより好ましくは、基材の片面または両面に、前記研磨部材固定用粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた、粘着シートに関する。
【0014】
また、本発明としてより好ましくは、前記粘着剤層が、研磨機定盤側用であることを特徴とした、前記粘着シートに関する。
【0015】
また、本発明としてより好ましくは、前記粘着シートを、研磨部材に貼り合わせ、一体化された、研磨部材積層体に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、長期経時安定性に優れ、研磨の際にかかる強いせん断力に耐えうる凝集力を有するだけでなく、さらに、研磨機定盤から粘着シートを剥がす際に糊残りせず容易に剥がすことが可能な再剥離性を併せ持つ粘着シートの供給が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、合成ゴム、粘着付与樹脂、および老化防止剤を含有する研磨部材固定用粘着剤であって、前記合成ゴムは、スチレン含有量5~40重量%、かつジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、前記粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含み、前記老化防止剤は、リン酸系老化防止剤(C)を含む。
【0018】
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、塗工することで粘着剤層を形成し、基材を備えた粘着シートとして使用することができる。
すなわち、基材の片面または両面に、研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備えた、研磨部材固定用粘着シートとして用いることができる。
なお本発明で粘着シート、粘着テープ、粘着フィルムは同義語である。
【0019】
ゆえに、本発明において、研磨部材固定用粘着剤とは、研磨部材に粘着シートを貼り合わせ一体化された、研磨部材積層体を研磨機の定盤に貼り合わせるために用いる粘着シートを形成することが出来る粘着剤のことである。
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、長時間の使用耐性に優れ、研磨の際にかかる強いせん断力に耐えうる凝集力と、従来よりも優れた耐酸性や耐アルカリ性をも持ち合わせているため、研磨機定盤側、および研磨部材側のいずれにも用いることができ、基材の片面または両面に、本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備えた、研磨部材用粘着シートとすることができる。とくに、再剥離性に優れ、研磨機の定盤から容易に再剥離が可能であるため、研磨機定盤側に本発明の研磨部材固定用粘着剤を好適に用いることができる。このとき、他方の面の粘着剤層を形成する粘着剤は、従来公知の粘着剤を用いることができる。
【0020】
また、本発明において、研磨部材とは、例えば、ウレタン系研磨パッド、不織布系研磨パッド、スウェード系研磨パッドや、研磨部材積層体をクッション材等を用いて複層構成化する場合に用いられる、ウレタン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体なども挙げられ、研磨を目的とした研磨部材積層体を構成する材料に使用されるものであれば、これらに限定されない。
なお本発明で研磨部材、研磨布、研磨パット、研磨パッド、研磨PADは同義語である。
【0021】
《研磨部材固定用粘着剤》
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、合成ゴム、粘着付与樹脂、および老化防止剤を含有し、前記合成ゴムは、スチレン含有量5~40重量%、かつジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、前記粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含み、前記老化防止剤は、リン酸系老化防止剤(C)を含む。
【0022】
<合成ゴム>
本発明の合成ゴムは、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン含有量5~40重量%、ジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体である。
このようなスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を使用することで、適度な粘着性と凝集力を併せ持ち、研磨機定盤から粘着シートを剥がす際に糊残りし難く、再剥離し易い粘着シートとすることが可能となる。
【0023】
スチレンイソプレンブロック共重合体(A)のスチレン含有量は、5~40重量%であり、好ましくは8~37重量%であり、より好ましくは、10~35重量%である。一定以上の凝集力を保持することが可能なため、長期経時後も糊残りし難く、再剥離し易い粘着シートとすることが可能となる。
【0024】
スチレンイソプレンブロック共重合体(A)のジブロック含有量は、5~70重量%であり、好ましくは8~40重量%であり、より好ましくは、10~28重量%である。この範囲にあることで、粘着力を低くすることが可能であり、長期経時後も糊残りし難く、再剥離し易い粘着シートとすることが可能となるために好ましい。
【0025】
スチレンイソプレンブロック共重合体(A)としては、例えば、Quintac3280(日本ゼオン社製、スチレン含有量25重量%、ジブロック含有量17重量%)、Quintac3270(日本ゼオン社製、スチレン含有量24重量%、ジブロック含有量67重量%)、Quintac3450(日本ゼオン社製、スチレン含有量19重量%、ジブロック含有量30重量%)、Quintac3520(日本ゼオン社製、スチレン含有量15重量%、ジブロック含有量78重量%)、Quintac3433N(日本ゼオン社製、スチレン含有量16重量%、ジブロック含有量56重量%)、Quintac3421(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量26重量%)、Quintac3620(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量12重量%)、Kraton D1119(クレイトン社製、スチレン含有量22重量%、ジブロック含有量66重量%)、Kraton D1126(クレイトン社製、スチレン含有量21重量%、ジブロック含有量30重量%)、Kraton D1193(クレイトン社製、スチレン含有量24重量%、ジブロック含有量20重量%)、Kraton D1117(クレイトン社製、スチレン含有量17重量%、ジブロック含有量33重量%)、Kraton D1163(クレイトン社製、スチレン含有量15重量%、ジブロック含有量38重量%)、Kraton D1161(クレイトン社製、スチレン含有量15重量%、ジブロック含有量19重量%)などが挙げられるが、これらに限定するものではなく、求められる性能を損なわない範囲で必要に応じて使用することができ、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
また、求められる性能を損なわない範囲であれば、上記特定のスチレンイソプレンブロック共重合体(A)以外のその他の合成ゴムを含んでもよい。その他の合成ゴムとしては、例えば、上記以外のスチレンイソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、またはブチルゴム(IIR)などが挙げられ、このようなスチレンイソプレンブロック共重合体(A)以外の合成ゴム等を含有する場合には、合成ゴム100重量%中、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)を50~100重量%含有することが、粘着力と凝集力のバランスの点で好ましく、より好ましくは、80~100重量%である。
【0027】
また、求められる性能を損なわない範囲であれば、天然ゴムを併用してもよい。天然ゴムとしては、特に限定されないが、素練ロールにて素練りし、ムーニー粘度をたとえば10~100程度になるよう調整して用いることができればよい。その他の合成ゴムや天然ゴムは、これらに限定されることなく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
<粘着付与樹脂>
本発明の粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含む。
テルペンモノマー(αピネン、βピネン等)を合成することで出来るテルペン樹脂を使用することで、スチレンイソプレンブロック共重合体のイソプレン部位に相互に作用し、イソプレン部位を適度に拘束することで、バランスよく低粘着力と凝集力を付与することが可能となり、さらに良好な再剥離性をも有する粘着剤とすることが出来る。また、軟化点が上記範囲であることで、耐熱性と長期経時安定性をバランスよく持ち合わせることが可能となる。
【0029】
本発明において、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)としては、テルペンモノマー単独重合樹脂であれば制限なく用いることができ、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂等が挙げられ、例えば、YSレジンPX800(ヤスハラケミカル社製、軟化点80±5℃)、YSレジンPX1000(ヤスハラケミカル社製、軟化点100±5℃)、YSレジンPX1150(ヤスハラケミカル社製、軟化点115±5℃)、YSレジンPX1250(ヤスハラケミカル社製、軟化点125±5℃)、YSレジンPX1150N(ヤスハラケミカル社製、軟化点115±5℃)、SylvaresTRB115(アリゾナケミカル社製、軟化点115±5℃)、またはSylvaresTRB125(アリゾナケミカル社製、軟化点125±5℃)などを例示することができる。軟化点70~150℃のテルペン樹脂であれば、これらに限定するものではなく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
さらに本発明において、粘着付与樹脂として、要求性能を損なわない範囲で、他の粘着付与樹脂も併用が可能である。その他粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン樹脂(B)以外のテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、酸変性テルペン樹脂、またはスチレン化テルペン樹脂などのテルペン樹脂以外のその他テルペン系樹脂、ロジンエステル、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、ロジンフェノール樹脂などのロジン系樹脂;、C5脂肪族炭化水素樹脂、C9系芳香族炭化水素樹脂、水添C9炭化水素樹脂、C5-C9系共重合樹脂、ジシクロペンタジエン炭化水素樹脂などの石油系炭化水素樹脂、クマロン-インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂であれば、これらに限定するものではなく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
本発明において粘着付与樹脂(B)の含有量は、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、10~50重量部であり、好ましくは13~47重量部であり、より好ましくは、15~45重量部である。この範囲にあることで、バランスよく低粘着力と凝集力を付与することが可能となり、優れた長期経時後の再剥離性を有する粘着力とすることが可能で、研磨機定盤から粘着シートを剥がす際に、糊残りし難く、再剥離し易い粘着シートとすることが可能となる。
【0032】
<老化防止剤>
老化防止剤とは、ゴムの老化を防止するものであって、本発明の研磨部材固定用粘着剤は、リン酸系老化防止剤(C)を含む。
スチレン含有量とジブロック含有量が特定範囲であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)と、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)に加えて、リン酸系老化防止剤(C)を含むことで、熱等により分子鎖が切れることで発生する凝集力の低下を抑制することが可能となり、長時間性能を付与し、長時間の研磨に耐えうる性能も付与することが可能となる。
【0033】
リン酸系の老化防止剤(C)としては、例えば、Irgafos168(BASFジャパン社製、Tris(2,4-di-tert.-butylphenyl)phosphite))、Irgafos168FF(BASFジャパン社製、Tris(2,4-di-tert.-butylphenyl)phosphite))、ノンフレックスTNP(精工化学社製、Tris(nonylated phenyl)phosphite)、アデカスタブ2112(アデカ社製、Tris(2,4-ditert-butylphenyl) phosphite)、アデカスタブ1178(アデカ社製、Tris(nonylphenyl) phosphite)、アデカスタブTPP(アデカ社製、Triphenyl phosphite)、等が挙げられる。リン酸系の老化防止剤であれば、これらに限定するものではなく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのなかでも、Tris(2,4-di-tert.-butylphenyl)phosphite、またはTris(nonylated phenyl)phosphiteが、長期経時安定性と耐熱性を高度に併せ持つことが可能な点で好ましい。
【0034】
本発明においてリン酸系老化防止剤(C)の含有量は、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、0.1~7重量部であり、好ましくは0.3~6重量部であり、より好ましくは、0.4~5重量部である。この範囲にあることで、凝集力低下抑制効果を得ることが可能となり、老化防止剤を起因とした凝集力の低下も抑制することが可能となり、長期経時後の再剥離性も良好となるために好ましい。
【0035】
さらに、本発明において、要求される性能を損なわない範囲で、リン酸系老化防止剤(C)以外の老化防止剤も使用可能である。その他老化防止剤としては、例えば、ノンフレックスWS(精工化学社製、Styrenated phenol)、ノンフレックスWS-P(精工化学社製、Blend of Styrenated phenol and inert filler)、ノンフレックスMBP(精工化学社製、2,2'-Methylene-bis(4-methyl-6-tert-butylphenol))、ノンフレックスEBP(精工化学社製、2,2'-Methylene-bis(4-ethyl-6-tert-butylphenol))、ノンフレックスMB(精工化学社製、2-Mercaptobenzimidazole)、ノンフレックスRD(精工化学社製、Polymerized 2,2,4-trimethyl-1,2-dihydroquinoline)、ノンフレックスOS(精工化学社製、Polymerized2,2,4-trimethyl-1,2-dihydroquinoline)、ノンフレックスOD-3(精工化学社製、Octylated diphenylamine)、ノンフレックスLAS-P(精工化学社製、Blend of Styrenated diphenylamine and inert filler)、IrganoxPS 800 FL(BASFジャパン社製、Didodecyl-3,3′-thiodipropionate)、IrganoxPS 802 FL(BASFジャパン社製、3,3′-Thiodipropionic acid dioctadecylester)、IrganoxPS 802 FL(BASFジャパン社製、3,3′-Thiodipropionic acid dioctadecylester)、Irganox1010(BASFジャパン社製、Pentaerythritol tetrakis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate))、Irganox1035(BASFジャパン社製、Thiodiethylene bis[3-(3,5-di-tert.-butyl-4-hydroxy-phenyl)propionate])
などを例示することができるが、老化防止剤であれば、これらに限定するものではなく、このような老化防止剤は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
尚、本発明において、老化防止剤とは、酸化等による劣化を防止する目的や、熱による劣化等を防止する目的で使用されるもので、酸化防止剤、酸化劣化防止剤、熱劣化防止剤は同義語である。
【0037】
<その他添加剤>
更に、本発明において、粘着剤には、必要に応じて公知の粘着剤に配合される、充填剤、顔料、染料、希釈剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、カップリング剤等、各種添加剤を含んでもよく、また、2種類以上を用いてもよい。また、添加剤の添加量は、必要な物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0038】
《粘着シート》
本発明の粘着シートは、研磨部材の固定に用いられる粘着シートであって、基材の片面または両面に、本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備える。
粘着シートの製造方法としては、粘着剤を剥離ライナーに塗工して粘着剤層を形成した後、基材を貼り合わせる方法(1)。または、基材に粘着剤を塗工し、粘着剤層を形成した後、剥離ライナーに粘着剤を塗工して粘着剤層を形成する方法(2)等で製造できる。
なお、粘着剤層は、粘着シートを使用する直前まで剥離ライナーで保護されていることが通常である。
本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層は、優れた長期経時安定性と耐性を併せ持つことが可能であるため、研磨部材側用、および研磨機定盤用のいずれにも用いることが可能であり、さらに再剥離性にも優れるため、研磨機定盤用にも好適に用いることができる。
【0039】
粘着剤の塗工は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、グラビアコーター法等の公知の方法が使用できる。塗工後は、熱風オーブン、赤外線ヒーター等で乾燥することができる。
【0040】
前記粘着剤層の厚みは、10~150μmが好ましく、20~100μmがより好ましい。
粘着剤層を上記範囲にすることで、研磨部材固定用として優れた粘着シートを得ることが出来る。
【0041】
基材としては、不織布、紙、フィルム、合成紙等粘着剤の基材として使用できる部材が使用できる。
本発明において、前記フィルム基材は、粘着剤の基材として使用できるプラスチックフィルムである。前記プラスチックフィルムは、例えばポリエチレンおよびポロプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ナイロン、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、ポリイミドおよびポリアミド等をフィルムにしたものが挙げられる。また、基材は、粘着剤層との密着性を高めるため易接着処理を施してもよい。前記易接着処理は、コロナ放電を行う乾式法およびアンカーコート剤と塗工する湿式法等の公知の方法を使用できる。また、基材は、帯電防止層を形成することができる。帯電防止剤は上段で説明した帯電防止剤の他に、導電性カーボン粒子、導電性金属粒子および導電性ポリマー等の少なくともいずれかを必要に応じて樹脂と配合した組成物が好ましい、または基材に金属蒸着または金属メッキを施すことで帯電防止層を形成できる。本発明の研磨部材固定用粘着剤は、前記基材の中で、易接着処理等の施されていないフィルムを用いることがより好ましい。ゴム系粘着剤の場合、易接着処理面等が施されていると、極性差により、基材から粘着剤が剥がれやすくなるため、両面ともに本発明の研磨部材固定用粘着剤を用いる場合には、両面ともに易接着処理等の施されていないフィルムが好ましく、片面にアクリル系粘着剤、もう一方の面に本発明の研磨部材固定用粘着剤を用いる場合には、易接着処理面等が施されていない面に本発明の研磨部材固定用粘着剤を塗布することが好ましい。
【0042】
更に、本発明において、基材の厚さは特に制限されないが、5~300μmが好ましい。上記範囲とすることで研磨部材固定用として形成可能な両面粘着シートを作ることが出来る。上記観点から生産性やコスト面を考慮すると20~80μmであるフィルム基材を用いることが好ましい。
【0043】
前記剥離ライナーは、紙、プラスチックフィルム、合成紙等の基材に、剥離剤を塗工して形成した剥離層を有する。剥離剤は、例えばシリコーン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。本発明の粘着剤は、剥離力が剥離剤の種類に依存し難い効果が得られる。なお、剥離ライナーの厚さは特に制限はないが10~200μm程度である。
【実施例
【0044】
以下に、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお例中、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味するものとする。
【0045】
[実施例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた4口フラスコに、窒素雰囲気下で、合成ゴムとしてクレイトン社製、D1161を100重量部、溶剤としてメチルエチルケトン、トルエンを適量仕込んだ。次いでフラスコを徐々に加熱し、内温約50℃で3時間加熱を継続した。加熱終了後、冷却し、内温約40℃以下で、粘着付与樹脂として、YSレジンPX1000(ヤスハラケミカル社製)を35重量部、老化防止剤として、Irgafos168(BASFジャパン社製)を1.5重量部仕込み、メチルエチルケトン、トルエンで希釈し、粘着付与樹脂が溶解するまで攪拌を継続し、不揮発分40%、粘度4200mPa・sの研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)を得た。
【0046】
<粘着シートの作製>
得られた研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)を、乾燥後の厚みが40μmになるよう25μmのPETフィルム基材に塗工し、100℃で2分間乾燥した後、剥離ライナーを貼り合わせ、次いで得られた研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)を、乾燥後の厚さが40μmになるよう剥離ライナーに塗工し、100℃で2分間乾燥した後、PETフィルム基材の粘着剤が塗布されていない面に貼り合わせ、23℃-50%で1週間放置し、層厚105μmの両面粘着シート1を得た。
【0047】
[実施例2~6、参考例7~8、実施例9~15、参考例16、実施例17~20、参考例21、比較例1~10]
合成ゴム、粘着付与樹脂、老化防止剤の種類、および配合量(不揮発分重量部)を表1~3に記載したように変更した以外は、研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)と同様にして、研磨部材固定用粘着剤(粘着剤2~32)の溶液を得た。
なお、表1~5における実施例7~8、16、21は、それぞれ参考例7~8、16、21の意である。
【0048】
得られた研磨部材固定用粘着剤(粘着剤2~32)を用い、両面粘着シート1と同様にして、それぞれ実施例2~21、比較例1~11の両面粘着シートを得た。
【0049】
表1~3中の略号は下記の通りである。また、配合量は、合成ゴムの固形分に対する不揮発分換算の添加量(重量部)である。
<合成ゴム:スチレンイソプレンブロック共重合体(重量%)>
[スチレンイソプレンブロック共重合体(A)]
・Kraton D1161
(クレイトン社製、スチレン含有量15重量%、ジブロック含有量19重量%、リニア構造)
・Quintac3620
(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量12重量%、リニア構造)
・Kraton D1193
(クレイトン社製、スチレン含有量24重量%、ジブロック含有量20重量%、リニア構造)
・Quintac3421
(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量26重量%、リニア構造)
・Kraton D1126
(クレイトン社製、スチレン含有量21重量%、ジブロック含有量30重量%、リニア構造)
・Quintac3450
(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量26重量%、リニア構造)
・Kraton D1119
(クレイトン社製、スチレン含有量22重量%、ジブロック含有量66重量%、リニア構造)
・Quintac 3270
(日本ゼオン社製、スチレン含有量24重量%、ジブロック含有量67重量%、リニア構造)
【0050】
<粘着付与樹脂>
[粘着付与樹脂(B)]
・YSレジン PX800
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点80℃)
・YSレジン PX1000
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点100℃)
・YSレジン PX1250
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点125℃)
[その他粘着付与樹脂]
・YSレジン PX300N
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点30℃)
・アルコン P100
(荒川化学社製、石油系樹脂、軟化点100℃)
・ペンセル D125
(荒川化学社製、ロジン系樹脂、軟化点125℃)
・YSポリスター T115
(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点115℃)
【0051】
<老化防止剤>
[リン酸系老化防止剤(C)]
・Irgafos 168(BASFジャパン社製、老化防止剤、Tris(2,4-di-tert.-butylphenyl)phosphite))
・ノンフレックス TNP(精工化学社製、老化防止剤、Tris(nonylated phenyl)phosphite)
[その他老化防止剤]
・ノンフレックス EBP(精工化学社製、老化防止剤、2,2'-Methylene-bis(4-ethyl-6-tert-butylphenol))
・IrganoxPS 800 FL(BASFジャパン社製、Didodecyl-3,3'-thiodipropionate)
・IrganoxPS 802 FL(BASFジャパン社製、3,3'-Thiodipropionic acid dioctadecylester)
・Irganox 1010(BASFジャパン社製、Pentaerythritol tetrakis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate))
・Irganox 1035(BASFジャパン社製、Thiodiethylene bis[3-(3,5-di-tert.-butyl-4-hydroxy-phenyl)propionate])
【0052】
得られた粘着シートを用いて、以下の物性評価を行った。結果を表4~6に記す。
【0053】
<粘着力>
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着し、20分または24時間放置後、引張試験機を使用して剥離角度180度、剥離速度0.3m/分の条件で粘着力を測定した。
【0054】
<保持力>
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを長さ25mm×幅25mm剥がしステンレス板に2kgロールで1往復圧着し、23℃-50%の雰囲気下で20分間放置した。その後、80℃の雰囲気下で1kgの重りを付け180度の方向に力が加わるようセットし、24時間後に粘着シートが被着体から何ミリずれているか、もしくは完全にずれ落ちた落下秒数を測定した。
【0055】
<経時保持力>
得られた粘着シートを、80℃および60℃‐90%の恒温恒湿機の中で200時間放置する。200時間放置したシートを取り出し、23℃-50%の雰囲気下で24時間放置後、測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを長さ25mm×幅25mm剥がしステンレス板に2kgロールで1往復圧着し、23℃-50%の雰囲気下で20分間放置した。その後、80℃の雰囲気下で1kgの重りを付け180度の方向に力が加わるようセットし、24時間後に粘着シートが被着体から何ミリずれているか、もしくは完全にずれ落ちた落下秒数を測定した。
【0056】
<耐アルカリ性>
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着した直後に、水酸化ナトリウムを用いてpH11.5に調整した水溶液中に浸し、40℃の環境下で、24時間放置した。その後、水溶液より試料を取り出し、水洗浄後、23℃-50%の雰囲気下で1時間放置した後にJISZ1528の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/分で粘着力を測定した。180度粘着力の値に対する変化が少ないほど耐アルカリ性に優れる。
【0057】
<耐酸性>
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着した直後に、硫酸を用いてpH1.5に調整した水溶液中に浸し、40℃の環境下で、24時間放置した。その後、水溶液より試料を取り出し、水洗浄後、23℃-50%RHの雰囲気下で1時間放置した後にJISZ1528の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/分で粘着力を測定した。180度粘着力の値に対する変化が少ないほど耐酸性に優れる。
【0058】
<経時80℃水浸漬再剥離試験>
得られた粘着シートを、80℃および60℃-90%RHの恒温恒湿機の中で200時間放置する。200時間放置したシートを取り出し、23℃-50%RHの雰囲気下で24時間放置後、得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着した直後に、80℃の温水中に投入し、24時間放置した。24時間経過後、温水中より試料を取り出した直後に、23℃-50%RHの雰囲気下でJISZ1528の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/分で剥離した。剥離後のステンレス板(SUS板)の表面を目視で評価することで再剥離性を評価した。評価基準は以下の通りである。

◎:SUS板に粘着剤が全く残らず剥離できた。 (非常に良好)
〇:SUS板に粘着剤がごく僅かに付着した。 (良好)
△:SUS板に粘着剤が少量付着した。 (実用上、問題なし)
×:SUS板に粘着剤が付着した。 (実用不可)
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
表4~6の結果より、本発明の研磨部材固定用粘着剤を用いた粘着シートは、優れた長期経時安定性と耐性を併せ持つことが確認できた。
さらに再剥離性も優れていることより、研磨部材側だけでなく、定盤側用にも好適に用いることが可能であることが確認できた。